Japanese Mega Banks Ahead of Earnings Figures 三井住友銀行の看板Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg 例えば、三井住友銀の営業先である飲食チェーンから店舗ごとの来店データや売り上げデータを提供してもらう。そのデータを 富士通のAIで分析し、予測データを出力する。銀行は、それを元に人員配置や食材の発注、物流ルートの最適化で助言などが 可能になるほか、投資が必要な分野があれば資金調達の相談にも乗ることもでき、提案の幅が大きく広がる。
2025/03/06 水戸 B+継続 4200円 → 4700円
2025/03/05 みずほ 買い継続 4750円 → 5000円
2025/02/25 大和 2継続 420円 → 4400円
2025/02/14 東海東京 OP継続 4060円 → 4250円
2025/01/31 岩井コスモ A継続 4350円 → 4700円
2025/01/30 GS 買い継続 4600円 → 4700円
2025/01/24 BofA買い継続 3717円 → 4250円
2054/01/21 SBI 中立継続 3133円 → 4250円
2025/01/07 モルガンS Over継続 3900円 → 4420円
2024/12/25 野村 Buy継続 4633円 → 5000円
2024/12/18 岡三 中立継続 4,133円 → 3,750円
2024/12/17 JPM Overweight → Neutral格下げ 3757円 → 4360円
2025/03/13 日本経済新聞 朝刊
12日の東京株式市場で地銀株が軒並み高となった。業種別日経平均株価「銀行」の前日に比べた上昇率はおよそ3カ月ぶりの
大きさになった。海外景気の先行き不透明感が強く、内需株の中でも、日銀の追加利上げ観測から利ざや改善による業績期待が
強い銀行株が買われている。メガバンクに比べて出遅れていた地銀株の上昇が目立つ。
業種別日経平均「銀行」は前日比54円(2・7%)高の2094円となった。上昇率は2024年12月以来の高水準となり、12日の
日経平均株価の上昇率(0・07%)を上回った。
個別銘柄では、三菱UFJフィナンシャル・グループが2・0%高となるなど3メガバンクがそろって上昇した。それ以上の騰勢をみせ
たのが地銀株だ。コンコルディア・フィナンシャルグループは一時前日比7・9%上昇し、24年8月以来およそ7カ月ぶりの高値を
つけた。ほくほくフィナンシャルグループは4・6%高、しずおかフィナンシャルグループは3・4%高で終えた。
野村証券の神谷和男ストラテジストは「トランプ米大統領の関税政策を巡る不透明感が増し、国内消費も芳しくない中で投資家は
次の投資の軸を探している」と話す。そのうえで「内需株の中で有力視されているのが地銀株」と指摘する。日銀の追加利上げ観測
が根強いなか、「追加利上げのたびに買われてきたメガバンクと比べ、出遅れた地銀株に注目が集まっている」(内藤証券の田部
井美彦投資調査部長)。
投資家の間では日銀の追加利上げ観測が根強く、銀行株の収益拡大期待が大きい。
日銀の植田和男総裁は12日午前の衆院財務金融委員会に出席し、上昇基調の長期金利について「市場の見方と私どもの見方
に大きな齟齬(そご)はない」と語った。市場では金利上昇を強くけん制しなかったとの見方が広がり、銀行株は午後の取引で上げ
幅を広げる場面もあった。
業績拡大による株主還元期待も根強い。配当を増額または維持する「累進配当」の方針を2月下旬に明示した群馬銀行は、12日
に3・4%高となった。
SBI証券の鈴木英之投資情報部長は「為替の円高傾向もあり輸出株は買われにくい地合いで、銀行株は物色の対象に選ばれて
いる」と説明する。銀行株への物色は当面続きそうで、地銀株への先行き期待は強い。
【村瀬智一が斬る!深層マーケット】防衛関連株や期末接近で配当志向の物色に
「防衛関連株や期末接近で配当志向の物色に」
●米景気の減速警戒や日銀の利上げ観測で3万6000円割れ
トランプ米大統領の関税政策による米国景気の減速懸念や、日銀の利上げ観測に伴う円高進行が投資家心理を圧迫し、日経平均
株価は3月11日に一時1041円安の3万5987円まで急落した。トランプ政権の関税強化に対し、欧州連合(EU)やカナダが対抗措置を
発表。これを受けてトランプ大統領がさらなる報復措置を講じる考えを示すなど、貿易戦争の激化が世界経済にもたらす影響が警戒さ
れている。
週末14日は、3月限の先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)の通過で需給が軽くなったことに加え、為替市場で円高が
一服したことにより、日経平均株価は反発し3万7000円台を回復した。
ただし、トランプ関税が二転三転をみせるなかでは、積極的なリバウンド狙いの買いは期待しづらい。また、テクニカル面でも下向きで
推移するボリンジャーバンドの-1σが抵抗線として機能している。同バンドを明確に上抜くことができるかを確認したいところである。
来週18~19日は、日銀の金融政策決定会合、米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。現状の政策金利の維持が見込まれる
が、イベント通過までは市場心理を神経質にさせそうだ。また、米国市場では機関投資家がベンチマークとするS&P500指数が52週移動
平均線を割り込んでおり、調整入りのシグナルを発している。
週末の日経平均株価の動きも自律反発の域は脱しておらず、目先上昇したとしても戻り待ち狙いの売りには注意しておきたい。物色
の流れとしては、 防衛関連に断続的な買いが入りやすいとみられるほか、期末接近により配当志向の物色が意識されてきそうだ。
●活躍が期待される「注目5銘柄」
◆ヤクルト本社 <2267> [東証P]
4月8日に通常の「Y1000」に比べてカロリーを32%、糖類を44%低減した乳製品乳酸菌飲料「Y1000 糖質オフ」を発売する。「乳酸菌
シロタ株」にはストレス緩和や睡眠の質向上の機能があることが報告されており、「Y1000 糖質オフ」の投入により、足もとで低調だった
同シリーズの販売回復が期待される。また、4月の清涼飲料の値上げによる業績改善に加えて、株主優待制度の拡充による株価押し
上げの効果も期待したい。
◆三菱商事 <8058> [東証P]
米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が2月下旬に「株主への手紙」を公表し、日本の5大商社への投資拡大に意欲を示したとの報道
をきっかけに反発。現在も緩やかながら25日・75日線にサポートされる形で上向きのトレンドを継続している。昨年5月の上場来高値
3775円をピークに調整に転じ、前年の上昇分を概ね帳消しにしていたが、3月期末の配当取りも睨んで仕切り直しのスタンスで臨み
たい。
◆三井住友フィナンシャルグループ <8316> [東証P]
来週18~19日に開催される日銀の金融政策決定会合では、利上げは見送られるとの見方がコンセンサスである。ただし、最近の
植田和男総裁の発言を受けて日銀の利上げ観測は根強いほか、賃上げ機運の高まりが利上げを後押しするとの見方もある。国内
の長期金利の上昇により、今後も利ざや改善の思惑が高まりやすい状況は続くと考えられる。株価は200日線までの調整を経て
リバウンドに転じ、足もとで25日・75日線を上抜いてきた。2月高値4022円突破からの一段高に期待。
◆SBIグローバルアセットマネジメント <4765> [東証P]
金融機関の運用受託や投信などの金融情報の評価・データ提供を手掛ける。NISA(少額投資非課税制度)の定着などを背景とし
た資産運用ニーズの高まりを受け、大手金融機関や地域金融機関と共同で開催するセミナーや資産運用フェアなどの件数が増加。
アセットマネジメント事業は新商品の設定が奏功し、順調に拡大している。株価は2月12日高値の732円をピークに調整を続けたが、
75日線に支えられる形でリバウンドをみせている。上値抵抗の25日線を捉えてきており、同線突破からの一段のリバウンド加速が
意識されやすい。
◆芝浦機械 <6104> [東証P]
射出成形機、ダイカストなどの成形機が柱。自動車部品を一体成型する新技術「ギガキャスト」市場に参入し、3月中にも鍛造設備を
発売すると報じられた。電気自動車(EV)の製造工程、コストの大幅削減に寄与する技術であり、内外企業によるギガキャスト設備の
開発競争が加速している。報道によると、日米韓の自動車メーカー、大手サプライヤーへの売り込みを狙っているという。株価は利食いを交えながらもリバウンド基調を継続しており、昨年11月以来の水準を回復してきた。昨年9月27日高値の4160円を射程に入れたトレンド形成に期待したい。
(2025年3月14日 記)
2025/03/17 11:05 日経速報ニュース
(11時、プライム、コード8306)三菱UFJが4日続伸している。一時、前週末比39円(1.94%)高の2039円50銭を付け、株式分割を
考慮した上場来高値を更新した。企業の賃上げの動きを背景に日銀による先行きの追加利上げ観測が強まり、利ざや改善の思惑
から買いが入っているようだ。三井住友FG(8316)やみずほFG(8411)も高い。
連合が14日発表した2025年春季労使交渉(春闘)の第1回回答集計によると、基本給を底上げするベースアップと定期昇給を合わ
せた賃上げ率の平均は5.46%と24年の同時期(5.28%)から上昇した。第一生命経済研究所の藤代宏一主席エコノミストは「賃上げ
は日銀にとって「オントラック(見通し通り)かそれ以上で、利上げを早める材料になった」と指摘した。
日銀は今月18?19日に金融政策決定会合を開く。17日付の日本経済新聞朝刊は、日銀が政策金利を0.5%で据え置く見通しと報
じた。市場ではすでに据え置きが予想されており、報道内容にサプライズはないようだ。藤代氏は追加利上げ時期について7月と予
想しつつも、4月30日?5月1日の会合で決まる可能性もあるとみていた。
ピクテ・ジャパンの大槻奈那シニア・フェローは「19日の会合後の植田和男総裁会見で春闘の賃上げへの認識を記者から問われ、
市場がタカ派と受け止めるような前向きな評価をする可能性がある」と話した。大槻氏は三菱UFJについては、メガバンク3社で海外
の収益が大きく、外国為替相場が円安に振れていることも株価を押し上げていると指摘した。三菱UFJが14日に発表した信販大手
のジャックス(8584)への追加出資で、リテール(個人向け金融)事業での収益を取り込む方針を打ち出したことも支援材料になって
いるとみていた。
https://www.youtube.com/watch?v=014ExjvcSzI
2025/03/12 モルガンS Overweight継続 4420円 → 5030円
2025/03/07 シティG 1継続 4667円 → 5000円
2025/03/06 水戸 B+継続 4200円 → 4700円
2025/03/05 みずほ 買い継続 4750円 → 5000円
2025/02/25 大和 2継続 420円 → 4400円
2025/02/14 東海東京 OP継続 4060円 → 4250円
2025/01/31 岩井コスモ A継続 4350円 → 4700円
2025/01/30 GS 買い継続 4600円 → 4700円
2025/01/24 BofA買い継続 3717円 → 4250円
2024/12/25 野村 Buy継続 4633円 → 5000円
2024/12/18 岡三 中立継続 4,133円 → 3,750円
2024/12/17 JPM Overweight → Neutral格下げ 3757円 → 4360円
2025/03/12 モルガンS Overweight継続 4420円 → 5030円
2025/03/07 シティG 1継続 4667円 → 5000円
2025/03/06 水戸 B+継続 4200円 → 4700円
2025/03/05 みずほ 買い継続 4750円 → 5000円
2025/02/25 大和 2継続 420円 → 4400円
2025/02/14 東海東京 OP継続 4060円 → 4250円
2025/01/31 岩井コスモ A継続 4350円 → 4700円
2025/01/30 GS 買い継続 4600円 → 4700円
2025/01/24 BofA買い継続 3717円 → 4250円
2024/12/25 野村 Buy継続 4633円 → 5000円
2024/12/18 岡三 中立継続 4,133円 → 3,750円
2024/12/17 JPM Overweight → Neutral格下げ 3757円 → 4360円
2054/03/26 SBI 中立継続 4250円 → 4400円
2025/03/12 モルガンS Overweight継続 4420円 → 5030円
2025/03/07 シティG 1継続 4667円 → 5000円
2025/03/06 水戸 B+継続 4200円 → 4700円
2025/03/05 みずほ 買い継続 4750円 → 5000円
2025/02/25 大和 2継続 420円 → 4400円
2025/02/14 東海東京 OP継続 4060円 → 4250円
2025/01/31 岩井コスモ A継続 4350円 → 4700円
2025/01/30 GS 買い継続 4600円 → 4700円
2025/01/24 BofA買い継続 3717円 → 4250円
2024/12/25 野村 Buy継続 4633円 → 5000円
2024/12/18 岡三 中立継続 4,133円 → 3,750円
2025/04/02 12:00 日経速報ニュース
2日の東京株式市場で日経平均株価は前日比15円33銭(0.04%)高の3万5639円81銭で午前の取引を終えた。トランプ米政権による
貿易相手国と同水準まで関税率を引き上げる「相互関税」の詳細発表を控え、投資家の様子見姿勢が強まっている。日米の景況感が
悪化しており、日銀の追加利上げ観測を頼りに上昇してきた銀行株も失速が目立つ。足元では相場のけん引役を欠いている状況だ。
2日の日経平均は朝方には一時127円高まで上昇した後に上げ幅を縮小し、下落に転じた。前日終値比でプラス圏とマイナス圏を行き
来する方向感の欠ける展開となった。
投資家が警戒するのが米関税政策の行方だ。トランプ米大統領は米東部時間2日午後4時(日本時間3日午前5時)にホワイトハウスで
演説に臨み、詳細を発表するとみられる。内藤証券の田部井美彦投資調査部長は「相互関税の詳細が発表されても相手国の出方には
いろいろなパターンが想定される。むしろ交渉はこれから始まると言え、高値を追う状況にはならない」と語る。
相場の先行きは明るくない。報復関税の応酬が始まれば、日本企業の業績への影響は避けられないもようだ。
野村証券が金融を除いた主要企業のアナリストによる業績予想の上方修正から下方修正の割合を引いたリビジョン・インデックス(25
年3月期)は3月27日集計時点で2.3と、同13日集計時点(14.3)より切り下がってきている。
三菱UFJアセットマネジメントの徳岡祥一・戦略運用部ヴァイスプレジデントは「日本企業の2026年3月期の業績見通しは相当慎重に
なるとみている。減益予想となることも視野に運用している」と明かす。
失速が目立つのが日銀の追加利上げ観測を頼りに右肩上がりで上昇してきた銀行株だ。日米の長期金利の低下基調を受け、2日の
東京市場では3メガバンク株はそろって4日続落した。
三菱UFJフィナンシャル・グループは一時前日比3%安と3月12日以来の安値をつけた。三井住友フィナンシャルグループは2%安、みず
ほフィナンシャルグループは1%安で午前の取引を終えた。
日米の景況感が悪化していることも投資家心理を冷やしている。米サプライマネジメント協会(ISM)が1日発表した3月の製造業景況感
指数は49.0と、3カ月ぶりに好不況の境目とされる50を下回った。
日銀が1日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)では大企業製造業の景況感を示す業況判断指数は4四半期ぶりに悪化
した。販売価格が上昇と答えた企業から下落を引いた販売価格判断DIは、大企業非製造業で3ポイント上昇してプラス32となり、1983年
の調査開始以来、最も高くなった。
「インフレ圧力の根強さを印象づけ、追加利上げを後押しする内容だった」(第一生命経済研究所の藤代宏一主席エコノミスト)との意見
がある一方、光世証券の西川雅博エグゼクティブ・マネージャーは「日本の景況感が悪化すれば追加利上げ観測が遠のきかねない」と
警戒を強める。
大和証券の坪井裕豪日米株チーフストラテジストは短観について「企業の先行きへの警戒感がにじみ出る内容だった」と受け止めた
。「これだけでは7月の利上げを遅らせる材料にはならないものの、7月よりも早い段階で利上げをしていく観測は後退した」とみる。新
年度早々、日本株相場には暗雲が垂れ込めている。
(大久保希美)
【関連記事】
・バフェット氏が問う復元力 ダイキンは株安を脱するか
・大口取引、2000億円規模に急増 「期初の売り」との声も
2025/04/03 12:26 日経速報ニュース
3日午前の東京株式市場で日経平均株価の下げ幅は一時前日比1600円を超え、取引時間中としては2024年8月上旬以来
、約8カ月ぶりの安値となる3万4100円台まで下落した。トランプ米大統領が発表した相互関税は投資家心理を冷やし、東証
プライム上場企業の9割超が売られる全面安の展開となった。
トヨタ自動車は売り気配で始まり、一時6カ月半ぶりの安値水準まで下落した。代表的な輸出株の日立製作所と川崎重工業
はともに一時7%安まで沈んだ。
この日を象徴したのが銀行株の下げだ。三菱UFJフィナンシャル・グループは一時8%安と24年12月下旬以来の安値をつけ、
三井住友フィナンシャルグループやみずほフィナンシャルグループも大幅に下げた。地銀株も総じて安く、業種別東証株価指数
で「銀行」は下落率で首位だった。
背景にあるのが、日銀の利上げ観測の後退だ。相互関税が米国のインフレを悪化させて消費を減退させ、日本の景気にも
マイナス影響を与えることへの警戒が広がっている。「銀行株は日銀の利上げ期待に加えて、関税の影響が低いとの見方で
上昇してきたが局面が変わった」。楽天投信投資顧問の平川康彦第二運用部長はこう指摘する。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大西耕平上席投資戦略研究員は「足元までの上昇率も高く、利益確定に動いた
投資家も多い」と話す。
年初までは賃上げ期待が大きかった。連合が公表した25年の春季労使交渉(春闘)の第1回回答集計によると、ベース
アップと定期昇給を合わせた賃上げ率の平均は5.46%と、24年の同時期と比較すると0.18ポイント高い。
しかしここに来て、銀行株もトランプ関税による日米の景気悪化とは無関係ではいられなくなった。
国内景気の悪化を象徴するのがりそなホールディングスの急落だ。一時11%安と銀行株の中でも下落幅が大きい。
東海東京インテリジェンス・ラボの安田秀太郎マーケットアナリストは「メガバンクと比べたら海外展開比率が低く国内
景気に敏感」と指摘する。その分、日銀の利上げ期待の織り込みも大きかった。同様に国内比率の高い地銀株も下げ
が大きい。
国内景気への警戒感は強まっている。日銀が1日に発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)でも、大企業
製造業の景況感を示す業況判断指数は4四半期ぶりに悪化している。
今後の論点になりそうなのが、ディール(取引)の一環としてトランプ氏が各国に求めている米国への投資と生産だ。
日本企業が米国内での生産増強などに踏み切る場合、しわ寄せ先として日本国内の生産を縮小する可能性がある。
SMBC日興証券の野地慎チーフ為替・外債ストラテジストは「中小企業への賃上げの広がりを利上げの要件とする日銀
にとっては非常に重要なマターとなりそう」と指摘する。
岩井コスモ証券の嶋田和昭ストラテジストは「株式市場で25年半ばと見込まれていた日銀の追加利上げ時期は後ずれ
するだろう」と指摘する。
大方の予想を超える厳しい措置となったトランプ米政権の相互関税策を受け、自動車株をはじめとする日本の外需株の
低迷はしばらく続く可能性が高い。これに国内景気の腰折れ懸念という新たなマイナス材料が加わったことで、「内憂外患」に
さいなまれる日本株の再浮上シナリオが見えなくなってきた。
(越智小夏、坂部能生)
【関連記事】
・円147円台、相互関税でドル一人負け 深まる米景気懸念
・長期金利、1.34%に急低下 トランプ関税でリスク回避
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-04-02/SU2HZXT1UM0W00
需要予測などを提供、人員配置、発注、物流ルート効率化に活用
事業構造改革急ぐ電機業界、富士通にとって大きな一手
三井住友フィナンシャルグループ傘下の三井住友銀行は、法人営業部門の人工知能(AI)活用で、富士通と連携する方針を固めた。
富士通のAIで算出した顧客企業の需要予測などを営業に活用することで、提案力強化につなげたい考えだ。
複数の関係者が明らかにした。近く両社が基本合意書を締結し、三井住友銀の法人顧客に富士通のAIを使ったサービスを紹介
することになる。関係者によると、まずは上場大企業を中心に、一部中堅企業向けにも導入を検討している。銀行が個別の顧客企業
データをAIで分析するために外部企業と本格的に連携するのは珍しい。
Japanese Mega Banks Ahead of Earnings Figures
三井住友銀行の看板Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
例えば、三井住友銀の営業先である飲食チェーンから店舗ごとの来店データや売り上げデータを提供してもらう。そのデータを
富士通のAIで分析し、予測データを出力する。銀行は、それを元に人員配置や食材の発注、物流ルートの最適化で助言などが
可能になるほか、投資が必要な分野があれば資金調達の相談にも乗ることもでき、提案の幅が大きく広がる。
国内大手企業の業績は好調だが、一方で、人手不足や人件費高騰を背景にさらなる業務効率化を迫られている。本格的
に「金利ある世界」が到来すると、優良企業を巡る預貸ビジネスの競争が激化する可能性がある。三井住友銀は、AIを使った
精度の高い需要予測で競合との差別化を狙う。
三井住友銀と富士通の広報担当者は、個別案件へのコメントは控えるとした。
富士通は販路拡大期待
今回の連携は、事業モデル改革を急ぐ富士通にとっても大きな一手となる。需要予測AIは、富士通の新たな注力領域の
一つ。複数の予測モデルを組み合わせているため、複雑な環境変化にも柔軟に対応して正確な需要予測を立てられるという
。小売業界以外でも、卸売業や製造業などでの活用が期待できる。
電機業界の企業の多くが事業構造改革に投資を集中しており、特にAIやコンサルティング分野での競争は激しさを増して
いる。富士通は今回の基本合意を機に、銀行の持つ膨大な顧客網を活用し、販路拡大の足掛かりとしたい考えだ。
三菱UFJなど銀行株が急落、相互関税発表後に米長期金利が時間外で急低下
三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>や三井住友フィナンシャルグループ<8316>、みずほフィナンシャルグループ<8411>など
メガバンク株や、りそなホールディングス<8308>が急落している。トランプ米政権が米国時間2日、相互関税の発動とその詳細に
ついて発表。これを受けて米長期金利は時間外取引で急低下している。米国の景気減速懸念が強まるなか、米金利の低下に呼応
する形でドル円相場は一時1ドル=147円台まで円高が加速。円安の一服により日銀が早期の利上げに踏み切る可能性が低下
したとの受け止めもあって、金利上昇メリットセクターである銀行株に対する売り圧力が高まった。東証の業種別指数で銀行株は
下落率トップとなっている。
2025年04月04日10時23分
みずほFGなどメガバンクが10%超安、金利急低下で金融株から投資マネー流出続く
みずほフィナンシャルグループ<8411>や三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>、三井住友フィナンシャルグループ<8316>の
下落率が一時10%を超えるなど、メガバンクが連日の大幅安。そろって年初来安値を更新している。トランプ米政権の相互関税の
発表を受けて米国の景気不安が強まるなか、安全資産とされる米国債に資金が流入し、米長期金利は急低下した。3日の米株式
市場ではゴールドマン・サックス・グループ<GS>やシティグループ<C>、バンク・オブ・アメリカ<BAC>など銀行株が軒並み大幅安
となっている。国内では日銀の追加利上げ観測もしぼんだ状態となっており、日本の金融セクターにおいても投資マネーの流出
が続いている。楽天銀行<5838>や住信SBIネット銀行<7163>などネット銀の下げもきつい。
三菱UFJなどメガバンクへの売り止まらず、関税合戦のなか世界的な金融株安も警戒
三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>、三井住友フィナンシャルグループ<8316>、みずほフィナンシャルグループ<8411>など
軒並みウリ気配。メガバンクへの売り攻勢に勢いが増している。前週末の欧州株市場でドイツ銀行や仏ソシエテ・ジェネラルなど
大手金融株が10%前後の急落に見舞われた。また、米国株市場でもJPモルガン<JPM>が8%強、ゴールドマン<GS>が7.9%
安に売り込まれるなど金融セクターへの売り圧力が増幅されている。米関税とそれに対抗した各国の報復関税への動きによって
世界経済への悪影響が懸念されている
。「スタグフレーション懸念が現実味を帯び企業業績が急速に悪化した場合、銀行の融資焦げ付きなども警戒される可能性が出て
きた。ここに来ての世界的な金融株安はそれを織り込みに行っているのではないか」(ネット証券アナリスト)という見方もある。前週
末の東京市場では三菱UFJが断トツの売買代金をこなし株価を急落させたが、きょうも同社株の売買代金と株価動向が全体相場の
流れを左右しそうだ。
<東証>三菱UFJが21%安 米関税で経済停滞懸念
2025/04/07 12:43 日経速報ニュース
(10時40分、プライム、コード8306)銀行株が軒並み急落した。三菱UFJは前週末比358円50銭(21.48%)安の1310円まで下落し、
昨年8月以来の安値を付けた。米国の関税強化による世界経済の停滞懸念から世界的に金融株への売り圧力が強まっている。国内
ではこれまで銀行株を押し上げてきた日銀による追加利上げの観測も大きく後退している。みずほFG(8411)や三井住友FG(8316)
も2割近く下げる場面があった。
日銀は政策判断にあたり、通商政策の不確実性を注視すると何度も言及してきた経緯がある。米関税の世界経済への影響を見極
めるには時間を要するとの声が多い。市場では「2027年まで日銀はいったん利上げを停止するのではないか」(外資系証券)との見方
も聞かれた。
<みんかぶ・個人投資家の予想から>=「買い予想数上昇」4位に三井住友FG
「みんかぶ」が集計する「個人投資家の予想(最新48時間)」の7日正午現在で三井住友フィナンシャルグループ<8316>が「買い予想数
上昇」4位となっている。
7日の東証プライム市場で三井住友FGが7日続落。全体相場が急落するなか、相場のけん引役となってきた大手銀行株にも売りが膨ら
んでいる。トランプ米政権による「相互関税」を警戒し米株式市場が大幅な下落を演じ米長期金利が低下するなか、日本でも金利が低下基
調となり、日銀による早期の追加利上げ観測は急速に後退している。これを受け、金利上昇メリット株として注目されてきた銀行株は下落
基調を強めている。ただ、足もとの株価下落で三井住友FGの株価は連結PBR0.7倍台、25年3月期ベースでの配当利回りは4.2%
前後の水準となっており、再び割安感を指摘する見方も出ている。
三菱UFJなど銀行株が急反発、米金利低下一服し日米関税交渉巡る思惑で買い戻し
三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>やみずほフィナンシャルグループ<8411>、三井住友フィナンシャルグループ<8316>が
急反発している。7日に米長期金利は4.18%に上昇した。トランプ米政権の関税政策が世界経済に打撃をもたらすとの見方から、
質への逃避的な買いが米国債に入り、世界的にも債券価格に上昇圧力(金利に低下圧力)が掛かっていたが、中国が米国債の
売却に動いているとの観測が広がった。米金利の低下が一服したことに加え、日米間の関税交渉を巡り、米国側はベッセント財務
長官が交渉のテーブルに着くこととなった。
通貨安誘導政策に厳しい姿勢を示してきたベッセント氏とあって、日銀が円安是正のために追加利上げに向けて圧力を受けるシナリオ
も意識されているようだ。これらが銀行株のショートカバーを誘発する形となったとみられている。
<東証>三菱UFJが急伸 長期金利の上昇で、「高値試すには時間」の声も
2025/04/08 11:11 日経速報ニュース
(11時10分、プライム、コード8306)三菱UFJが8営業日ぶりに大幅反発している。前日比192円50銭(12.87%)高の1688円まで
上昇する場面があった。8日午前の国内債券市場で長期金利が急上昇(価格が急落)し、指標となる新発10年物国債の利回りは
前日比0.130%高い1.240%をつける場面があった。足元で米関税政策の強化による世界経済の停滞懸念から金利が急低下し
ていた影響で、三菱UFJは前日まで大きく下落していた。きょうは金利上昇を手がかりに自律反発狙いの買いが入っている。
三井住友FG(8316)やみずほFG(8411)も上昇し、東証の業種別株価指数の上昇率ランキングで銀行業は上位に顔を出している。
7日の海外市場では米長期金利が前週末比0.18%高い4.18%で終えたほか、ドイツなど欧州主要国の国債利回りも軒並み上昇した。
関税強化の方針を掲げる米政権に対し、欧州連合(EU)が歩み寄る姿勢をみせたことで世界景気の下振れ懸念がやや和らいでいる。
SBI証券の鈴木英之投資情報部長は「足元では金利低下だけでなく、3月期末の配当権利取りの動きが一巡したことも株価下落に
つながっていた」と指摘する。そのうえで「米関税政策の先行きは読みづらく、日銀はしばらく利上げに踏み切るのは難しいとみられ
、銀行株が高値を試すには時間がかかりそうだ」とも話していた。
2025/04/10 06:10 日経速報ニュース
9日の米株式市場で日本株の米預託証券(ADR)は全面高の展開となった。この日はトランプ米大統領が同日発動した
相互関税の上乗せ分を一部の国・地域で90日間停止すると発表し、米株式相場が急反発。日本株ADRにも買いが活発
となった。野村と三井住友FG、三菱UFJ、みずほFGが急伸した。ホンダとトヨタも大幅高となった。
三菱UFJなどメガバンク急反発、リスク回避一服で日本の長期金利は上昇
三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>や三井住友フィナンシャルグループ<8316>、みずほフィナンシャルグループ<8411>が
急反発した。米国市場では中国による米国債売却観測などが広がり、直近で長期金利が急上昇し、金融システムに対する悪影響
が警戒されるようになった。だが前日に実施された米国の10年債入札は順調な結果となり、債券需給を巡る悲観的な見方が後退
して米長期金利の上昇は一服。米国時間10日には30年債入札が予定されており、なお警戒感がくすぶった状況にあるものの
、トランプ米大統領が相互関税の一部について90日間の停止措置をSNS上で表明したことに伴って投資家のリスク許容度は幾分
回復し、10日の日本の長期金利には上昇圧力が掛かっている。これらの環境変化に呼応する形で、銀行株に対してはショートカバ
ーが誘発される格好となった。
<みんかぶ・個人投資家の予想から>=「買い予想数上昇」5位に三井住友FG
「みんかぶ」が集計する「個人投資家の予想(最新48時間)」11日午後1時現在で三井住友フィナンシャルグループ<8316>が
「買い予想数上昇」5位となっている。
三井住友FGは前日に上げた分をほぼ帳消しにする下げをみせている。一時3000円台を下回る場面があった。世界経済の
不透明感が増すなか、日銀による追加利上げは当分難しいとの見方から、メガバンクには向かい風が強い。ただ、PBRは0.7
倍台と割安感が強く、下値では押し目買いの動きも観測される。配当利回りが4%近くあり、インカムゲイン狙いで中期投資対象
とみなす向きもいるようだ。
三井住友フィナンシャル(SMBC)グループと傘下の三井住友銀行、三井住友カードは4月15日、法人向けのデジタル総合金融サービス
「Trunk(トランク)」を発表した。
【画像】業界最低水準という手数料
法人向けネット口座とビジネスカードを軸に、経理業務の効率化、資金の見える化、資金繰り支援などのサービスを提供する。単なる
銀行口座・カードに留まらずにお金周りのサービスを一体で提供する、法人向けのデジタル総合金融サービスになるという。5月に提供
を開始し、3年で30万口座の獲得を目指すとしている。
Trunkは、スマホから約20分で口座開設を申し込み可能。インターネットでの申し込み、ウェブ面談による審査などにより、最短翌営業日
で口座を開設できる。
会計SaaSといった経理業務サービスにシームレスに接続でき、受領した請求書を撮影するだけで自動的にデータ化・振込予約ができる
機能、同じアプリ上で支払期日を繰り延べ可能にするカード決済連携機能などを搭載する。インターネットバンキングの振り込みなどの手
数料は業界最低水準で提供するという。
複数の資金調達手段を一元的に管理できる「フレキシブル・ファイナンス」機能、ダッシュボード機能や補助金サポート機能など、さまざま
な周辺サービスを随時追加予定。銀行口座、決済、ファイナンスといった多様な機能はAIとも連携させ、利用者が直感的かつスピーディに
使いこなせる環境を整備するとしている。
インフキュリオンやビザ・ワールドワイド・ジャパンなどのパートナーとも協働し、5月以降もサービスを拡充する。「利便性の非常に高い
サービスを豊富に」利用可能で、利便性とコストパフォーマンスを両立させるサービスになるという。
なお、ビジネスカードはサービス開始当初、法人代表者向けのビジネスオーナーズの口座開設と同時に申し込みできる。2026年度には、
会計SaaSへの連携機能といった最先端の機能を搭載した新たなビジネスカードを発行予定だ。
三井住友フィナンシャルグループ 取締役 執行役員社長 グループCEOを務める中島達氏は、「金融決済サービスはTrunkだけで十分、
コストも納得。そんな商品を実現できた」と話した。
2025/04/16 日本経済新聞 朝刊
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は15日、法人向け総合金融サービス「Trunk(トランク)」を5月に始めると発表した。
個人向けの「Olive(オリーブ)」に続き、1つの銀行口座で振り込みやカード決済など幅広い金融サービスを使える。デジタル
人材の確保が難しい中小企業の業務効率化につなげ、法人口座や預金獲得を狙う。
スマホによる20分程度の手続きで最短翌営業日の口座開設を可能にする。1つの口座でカード決済や経費精算、資金管理を
一括でできる仕組みだ。法人カード決済の利用限度額は最大10億円とする。
請求書の写真をスマホのアプリで読み込むと、振り込み予約までスマホで完結できるようになる。課題を与えると人工知能(AI)
が情報を収集して判断する「AIエージェント」が資金調達手段などを助言する機能もつける。
中島達社長は同日の記者会見で「会社経営に必要な金融決済サービスをデジタルで切れ目なく提供する」と語った。
三井住友カードの大西幸彦社長は「人手不足の深刻化で中小はデジタル化が大きな課題だ。社長が自ら財務経理をこなす負担
を下げたい」と話した。
中小の利用を想定して金融サービスの料金も下げる。三井住友銀行間の振込手数料は無料にし、他行宛は一律で145円とする。
通常は数百円がかかる。法人カードは24年に資本業務提携した企業向け決済サービスのインフキュリオン(東京・千代田)と開発し、
AIによる与信で新設法人の発行のスピードを速める。
2025/04/17 日本経済新聞 朝刊
三井住友フィナンシャルグループ(FG)とマネーフォワードは16日、銀行機能を外部企業に提供する「BaaS(バンキング・アズ・ア
・サービス)」の共同出資会社を設立すると発表した。マネフォの中小企業向けサービスに銀行機能を組み込むほか、将来は非金融
の外部企業への提供も目指す。
両社はBaaS領域で準備会社を設立することで基本合意した。金融庁の許認可を前提に、新銀行の設立を検討する。新会社はマネ
フォと三井住友FGの折半出資にし、両社にとって持ち分法適用会社になる。出資額は明らかにしていない。
新銀行のサービスや提供時期は準備会社で検討する。預金や振り込みが軸になるとみられる。三井住友FGの金融ノウハウに、マネ
フォのデジタル技術を掛け合わせる。
マネフォはクラウド経由でソフトを提供するSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)などを手掛けてきた。顧客は2月末時点で個人事業
者を含めて40万事業者を超え、新銀行のBaaSサービスの潜在顧客となる。
マネフォと三井住友FGは24年から距離を縮めている。マネフォは祖業の家計簿アプリを本体から切り離して設立した新会社に三井住友
カードからの出資を受け入れた。BaaS事業を通じて両社は協業を深める。
[東京 28日 ロイター] - 三井住友フィナンシャルグループ(8316.T), opens new tab傘下のSMBC日興証券が28日に公表した
25年1-3月期(第4四半期)の純損益(海外拠点含む)は、26億円の赤字に転落した。欧州で低採算のプロジェクトファイナンス
案件の処分を進めたことで約100億円の特別損失を計上した。
同社幹部によると、グループの三井住友銀行(SMBC)が手掛けていたクレジットファイナンス案件に関連し、同社はデリバティブ
取引を行っていた。欧州における事業領域の再編に伴い、SMBCが当該案件を売却したため、SMBC日興も併せて保有していた
デリバティブ取引を処分したという。
財務を担当する後藤歩常務執行役員は、第4四半期の業績に関して、世界経済の先行き不透明感が増す中で、顧客のアクティビティ
が落ちてきたが、ファンドラップ口座の契約など残高ベース収益は堅調に推移したという。
足元の相場環境を踏まえた今後の見通しにも言及した。リテール向けの営業部門については、短期的な相場環境に左右されにくい
経営基盤の構築を進めてきたため、業績への影響は以前よりも軽微となると説明。法人向けのグローバル・インベストメント
・バンキング部門については、パイプラインは充実しており、好調を維持するとみる。一方で、株式市場の乱高下や金利急低下
の影響が企業の資金調達需要に与える影響を注視していく考えを示した。
25年3月期の連結純利益は、前年比26%増の727億円だった。制度連結による純利益は同約4.1倍の675億円だった。
2025/05/09 19:00 日経速報ニュース
三井住友フィナンシャルグループ(FG)はインドの民間大手、イエス銀行に出資する。傘下の三井住友銀行が2000億円超で約2割の株式を
取得し、持ち分法適用会社にする。これまで邦銀がノンバンクに出資するケースはあったが、インドの民間商業銀行に資本参加する初めての
事例になる。
規制当局の承認を条件に、国営のインドステイト銀行など既存株主から株式を買い取る。約2割の出資で、取得額は2000億円超が見込まれる。
イエス銀行は2003年設立の民間商業銀行で、インドで最大の商業都市であるムンバイに本社を置く。全土に1200以上の拠点を持ち、富裕層
を含めた個人や法人と取引がある。今年3月末時点の総資産は4.2兆ルピー(約7.2兆円)で、インドの民間銀行として5位前後の規模だ。証券
子会社を通じ、投資銀行ビジネスも展開している。
三井住友FGはインドとインドネシア、ベトナム、フィリピンの4カ国を海外の重点地域としている。24年3月にはインドで消費者金融を展開する
SMFGインディア・クレジット(旧フラトン・インディア)を完全子会社にした。
三井住友銀行は日本のメガバンクとして初めてインドに海外営業の本部機能を設けた。法人取引では同行が主に現地の大企業、イエス
銀行が中堅・中小企業との取引を担う。消費者金融を含め、個人から法人まで幅広く取引できる体制を整える。
日本の金融機関もインドの成長性に着目し、資本参加の機会をうかがってきた。みずほフィナンシャルグループはノンバンクのキセツ・セゾン
・ファイナンス・インディアに最大210億円を投じて15%の株式を取得した。三菱UFJフィナンシャル・グループは現地のノンバンクに日本円で
2000億?3000億円の出資交渉を進めていたが、協議の見送りを決めた。
【関連記事】
・三井住友銀行、京都市にグローバル企業特化の営業部署 全国4カ所目
・日本企業の関心は「インド1強」 リスクも明らかに
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-05-09/SVZT00DWX2PS00
Harshita Swaminathan
2025年5月9日 20:14 JST 更新日時 2025年5月9日 22:15 JST
三井住友フィナンシャルグループは、インド・ムンバイに本店を置くイエス銀行の20%株を取得し、筆頭株主となる。イエス銀が9日発表した。
インド証券取引所に提出された文書によると、三井住友FGはインドステイト銀行から1株当たり21.50ルピー、総額889億ルピー(約1510
億円)でイエス銀の13.2%株を取得する。
さらに、HDFC銀行やICICI銀行、コタック・マヒンドラ銀行などその他の既存株主から6.81%を買い入れると、イエス銀が説明した。この
購入額は明らかにされていないが、インドステイト銀行からの1株当たり購入額でブルームバーグが試算したところ、三井住友FGが取得に
要する総費用は約1350億ルピー(約2300億円)となる。
三井住友FGによる株式取得は、インドの銀行セクターに対する外国資本による最大の投資となる。内需主導のインド経済は他国と比べ
て世界的な景気後退への耐性が高いとされているほか、米国との貿易戦争により中国に代わる製造拠点としてインドに注目が集まっている。
三井住友FGの発表によると、同行は取締役2人を派遣し持ち分法適用会社化を想定。インドで民間6位の資産規模とともに1200を超える
支店網を持つイエス銀行に出資することで、リテール分野で高い成長余力のある同国での事業の成長加速を目指すとしている。
イエス銀によると、これまで24%の株式を保有し筆頭株主だったインドステイト銀行は、10%余りの株式を継続保有する。
ブルームバーグは先に、三井住友FGがイエス銀行の少数株取得に向けて協議していると、関係者の話を引用して報じていた。
2025/05/10 日本経済新聞 朝刊
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は9日、インドのイエス銀行に出資すると発表した。傘下の三井住友銀行が1348億ルピー
(約2400億円)で20%の株式を取得し、持ち分法適用会社にする。これまで邦銀がノンバンクに出資するケースはあったが、イン
ドの民間商業銀行に資本参加する初めての事例になる。
規制当局の承認を条件に、2025年後半をめどに国営のインドステイト銀行など既存株主から株式を買い取る。
イエス銀行は2003年設立の大手民間商業銀行で、インドで最大の商業都市であるムンバイに本社を置く。全土に1200以上の
拠点を持ち、富裕層を含めた個人や法人と取引がある。今年3月末時点の総資産は日本円換算で約7.6兆円。インドの民間銀行
として6位の規模だ。証券子会社を通じ、投資銀行ビジネスも展開している。
三井住友FGはインドとインドネシア、ベトナム、フィリピンの4カ国を海外の重点地域としている。24年3月にはインドで消費者金融
を展開するSMFGインディア・クレジット(旧フラトン・インディア)を完全子会社にした。
三井住友銀行は日本のメガバンクとして初めてインドに海外営業の本部機能を設けた。法人取引では同行が主に現地の大企業、
イエス銀行が中堅・中小企業との取引を担う。消費者金融を含め、個人から法人まで幅広く取引できる体制を整える。
2025/05/13 05:00 日経速報ニュース
3メガバンクの2025年3月期連結決算は、合計の純利益が4兆円規模だった。政策保有株式の売却益や日銀の利上げ効果で前
の期比25%程度の増益を確保した。利益の源泉である金利が戻り、銀行を取り巻く環境は好転している。それでも今期は米トランプ
政権の関税政策による企業業績の悪化が一段と顕在化しかねず、先行きに不透明感も漂う。
純利益は計3兆9000億円程度となり、05年度に3メガ体制が発足してから2年連続で最高益となった。低金利の時代は終わり、
業績が伸び悩む局面を抜け出した。政策株の売却益で手元資金に余裕が生まれるなか、国内企業の支援や自らの成長戦略にどう
生かすかが一層問われるようになる。
三井住友フィナンシャルグループが14日、みずほフィナンシャルグループと三菱UFJフィナンシャル・グループは15日に25年3月期
決算を発表し、トップが業績の内容や見通しを説明する。
利益を押し上げしたのは政策株の売却益だ。機関投資家は資本効率の改善に向け、連結純資産に占める保有株式の割合(時価
ベース)を20%未満とするよう求めている。三菱UFJは30年3月期までに達成する見通しを示していたが、27年3月期までに3年前倒し
することにした。足元で加速している政策株の売却が収益を下支えする。
金利上昇の局面では総資産の大きさが利益に結びつきやすくなる。日銀は24年3月にマイナス金利政策を解除し、24年7月と25年
1月に利上げへ踏み切った。現在の政策金利は0.5%程度。それぞれ100兆円前後にのぼる貸出金の利回り改善などにより、25年3月
期決算で大幅な増益要因となった。
三菱UFJは4月末、25年3月期の連結純利益が前の期比25%増の1兆8600億円だったようだと公表。政策株の売却益が想定より
増えるなどし、従来予想を1100億円上回った。三井住友は前期の純利益が02年の設立後初めて1兆円を超え、みずほは26年3月期
を最終年度とする中期経営計画の業績目標を1年前倒しで達成したようだ。
現時点で3メガは今期も好調な決算を見込むが、不透明感は強まっている。
米トランプ政権は鉄鋼・アルミニウムの製品や自動車に25%の追加関税と一律10%の相互関税を課した。世界経済や企業業績の
先行きが見通しづらくなるなか、融資の焦げ付きに備える貸倒引当金をどれほど積み増すかが焦点のひとつとなる。
前期は今後の景気見通しから企業業績への影響を加味した「フォワードルッキング」と呼ぶ引当金を数百億円計上した。大手銀行
の幹部は「取引先が(関税政策で)どれだけの影響を受けるのか読み切れない」と例年より業績見通しを立てづらくなっていると話す。
日銀は1日公表の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、25年度の実質国内総生産(GDP)成長率を前年度比でプラス0.5%と
1月時点の1.1%から引き下げた。金利が戻りつつある日本の市場環境は収益に追い風だが、GDPと連動しやすい銀行の業績に一定
の悪影響をおよぼしかねない。
関税政策の影響で米国の物価高が続けば、米連邦準備理事会(FRB)は追加の利下げに動きづらくなる。メガバンクは米市場を
重視し、積極投資してきた。関係者は北米でM&A(合併・買収)などの企業活動が停滞し、「今期は投資銀行のビジネスが縮小しか
ねない」と身構える。
もう一段の成長をめざすうえで、潤沢な手元資金の活用法はM&A(合併・買収)だけとは限らない。米JPモルガン・チェースは
24年にテクノロジー関連に170億ドル(約2.5兆円)を支出し、邦銀を引き離す。人工知能(AI)が日常に溶け込むなか、戦略的
なIT(情報技術)投資でデジタル時代にふさわしいビジネスを再構築できるかに次の成長がかかる。
【関連記事】
・三菱UFJ亀澤宏規社長「ROE目標9%前倒し達成」
・25年3月期の業績上振れ期待、メガバンク・トヨタ上位に
・JPモルガン、AIで「1強」固め 24年テック支出2.6兆円
2025/05/14 日本経済新聞 朝刊
3メガバンクの2025年3月期連結決算は、合計の純利益が4兆円規模だった。政策保有株式の売却益や日銀の利上げ効果で
前の期比25%程度の増益を確保した。利益の源泉である金利が戻り、銀行を取り巻く環境は好転している。
純利益は計3兆9000億円程度となり、2年連続で最高益となった。低金利の時代は終わり、業績が伸び悩む局面を抜け出した。
国内企業の支援や自らの成長戦略にどう生かすかが一層問われるようになる。
三井住友フィナンシャルグループが14日、みずほフィナンシャルグループと三菱UFJフィナンシャル・グループは15日に25年3月期
決算を発表し、トップが業績の内容や見通しを説明する。
利益を押し上げたのは政策株の売却益だ。機関投資家は資本効率の改善に向け、連結純資産に占める保有株式の割合を20%
未満とするよう求めている。三菱UFJは30年3月期までに達成する見通しを示していたが、27年3月期までに3年前倒しすることにした。
金利上昇の局面では総資産の大きさが利益に結びつきやすくなる。日銀は24年3月にマイナス金利政策を解除し、24年7月と25年
1月に利上げへ踏み切った。
現在の政策金利は0.5%程度。それぞれ100兆円前後にのぼる貸出金の利回り改善などにより、25年3月期決算で大幅な増益要因
となった。
三菱UFJは4月末、25年3月期の連結純利益が前の期比25%増の1兆8600億円だったようだと公表。政策株の売却益が想定より
増えるなどし、従来予想を1100億円上回った。
三井住友は前期の純利益が02年の設立後初めて1兆円を超え、みずほは26年3月期を最終年度とする中期経営計画の業績目標を
1年前倒しで達成したようだ。
3メガバンクは今期も好調な決算を見込むが、トランプ米政権の関税政策で不透明感は強まっている。
日銀は1日公表の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、25年度の実質国内総生産(GDP)成長率を前年度比でプラス0.5%と
1月時点の1.1%から引き下げた。
3メガバンクが融資の焦げ付きに備える貸倒引当金をどれほど積み増すかも焦点の一つだ。前期は今後の景気見通しから企業業績へ
の影響を加味した「フォワードルッキング」と呼ぶ引当金を数百億円計上した。
3メガバンクは米市場を重視し、積極投資してきた。関係者は北米でM&A(合併・買収)などの企業活動が停滞し、「今期は投資銀行
のビジネスが縮小しかねない」と身構える。
潤沢な手元資金の活用法はM&A(合併・買収)だけと限らない。米JPモルガン・チェースは24年にテクノロジー関連に170億ドル
(約2.5兆円)を支出し、邦銀を引き離す。戦略的なIT(情報技術)投資でデジタル時代にふさわしいビジネスを再構築できるかに
も次の成長がかかる。
鈴木英樹、浦中大我
2025年5月14日 17:02 JST 更新日時 2025年5月14日 17:47 JST
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は14日、今期(2026年3月期)の連結純利益が前期比10%増の1兆3000億円となる見通しだと
発表した。市場予想は1兆3680億円だった。3期連続での最高益更新となる。
発行済み株式総数の1%、1000億円を上限とした自社株買いの実施も発表した。金額については不透明な環境を踏まえたものだと
して、期中の追加実施も検討するとした。
日本銀行によるこれまでの利上げ効果や政策保有株式の売却などを背景に、3メガバンクの純利益は軒並み最高益を連続で更新
することが見込まれている。米トランプ大統領による関税政策を巡り、世界経済の先行きに対する不確実性が高まる中、三井住友FGは
関税影響を織り込んだ上で最高益更新を見込む。
本業のもうけを示す連結業務純益は前期比7.6%増の1兆8500億円を計画。与信関係費用は3000億円と前期から445億円改善する。
政策金利の前提は0.5%とし、今期中の日銀の追加利上げは織り込まなかった。一方、米関税措置による影響として純利益で1000億円
程度のマイナス影響を織り込んだ。
会見した中島達社長は「昨年度から続く本業の増益基調は維持可能だ」と語った。一方、「トランプ関税による影響は小さくなく、既に
出始めている」と指摘した。
米国では企業の合併・買収(M&A)やエクイティーファイナンス(新株発行に伴う資金調達)が止まっている状況だという。「不透明な
期間がどれだけ続くのか、日本の経済にどれだけ影響を与えるのか、しっかり注視していかないといけない」と警戒感も示した。
25年1-3月期(第4四半期)の純利益は前年同期比75%減の420億円だった。米関税政策による影響を踏まえ、前倒しで引当金
900億円を計上するなどした。
25年3月期(前期)の純利益は前の期比22%増の1兆1780億円となり、初の1兆円台に乗せた。日銀の利上げ効果で国内外での
貸出金収益が好調に推移したほか、政策保有株の売却益計上も寄与した。
浦中美穂
2025年5月14日午後 7:03 GMT+93時間前更新
三井住友FGの26年3月期、純利益10%増の1兆3000億円の見通し
5月14日、三井住友フィナンシャルグループは、2026年3月期の連結純利益は前期比10.4%増の1兆3000億円になる見通しだと
発表した。写真は、三井住友銀行の支店にある看板。2017年1月撮影。 (2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[東京 14日 ロイター] - 三井住友フィナンシャルグループ(8316.T), opens new tabは14日、2026年3月期の連結純利益は前期比
10.4%増の1兆3000億円になる見通しだと発表した。3期連続の過去最高益となる見込み。米国の関税措置の影響は、1000億円
程度のマイナスを純利益に織り込んだ。
中島達社長は決算会見で「先行き不透明感が増しており、ビジネスへのマイナス影響が一部で出始めている」としたが、「昨年度から続く
本業の増益基調は維持可能」と述べた。
トランプ米政権の関税措置を受けたマイナス影響は、株価下落による政策株売却益の減少や顧客企業の資金需要に与える影響、長期
金利の低下、円高などを踏まえた。
中島社長は、関税措置により「いろいろな指標が全部マイナス方向に振れている」と指摘。足元では企業のM&A(合併・統合)や大規模
な設備投資などの検討が先延ばしになってきているという。
同社は、発行済み株式総数の1.0%に当たる4000万株・1000億円を上限とする自社株買いも発表 もっと見る 。中島社長は、不透明
な環境や足元の資本水準を考慮しまずは上限1000億円を取得し、期中にも機動的に実施を検討すると説明した。
IBESがまとめたアナリスト12人のコンセンサス予想では、純利益の平均値は1兆3460億円だった。
25年3月期の連結純利益は、同22.3%増の1兆1780億円だった。日銀の利上げ効果もあり国内外での預貸金収益が好調に推移した
ほか、政策保有株の売却益も業績を押し上げた。
一方で、米国の関税措置などの景気後退リスクに備え、900億円のフォワードルッキング引当を実施した。
ロイター編集
2025年5月14日午後 5:21 GMT+95時間前更新
三井住友FG、発行済み株の1%・1000億円上限に自社株買い すべて消却
三井住友フィナンシャルグループは14日、発行済み株式総数の1.0%に当たる4000万株・1000億円を上限とする自社株買いを決議
したと発表した。写真は、三井住友銀行支店の看板。2011年11月、東京で撮影(2025年 ロイター/ Kim Kyung-Hoon)
[東京 14日 ロイター] - 三井住友フィナンシャルグループ(8316.T), opens new tabは14日、発行済み株式総数の1.0%に当たる
4000万株・1000億円を上限とする自社株買いを決議したと発表した。取得期間は15日から7月31日。取得した全株を8月20日に
消却する。
2025/05/15 日本経済新聞 朝刊
三井住友フィナンシャルグループ(FG)はソフトバンクとデジタル金融サービスで手を組む。三井住友FG傘下のクレジットカード大手、
三井住友カードが中核を担う「Olive(オリーブ)」とソフトバンク系のスマホ決済PayPayが連携する。キャッシュレス決済(総合2面きょう
のことば)ではライバルだったクレカとQRコード決済の大手による連合が誕生する。
三井住友FG、三井住友カード、ソフトバンク、PayPayの4社が15日に記者会見して発表する。三井住友FGの中島達社長は14日
の決算記者会見で「一部報道があった三井住友カードとソフトバンクの提携は15日の会見で詳細を説明する」と述べた。
個人向けの金融サービスはキャッシュレスの普及を背景に競争が激しい。スマホ決済や人工知能(AI)に強みを持つソフトバンクが
三井住友FGと手を組むことで、業種の垣根を越えた合従連衡が加速する可能性もある。
三井住友FGは傘下の三井住友カードを通じてソフトバンクと包括提携する。戦略の柱は3つある。1つ目は金融アプリの接続、2つ
目はソフトバンクの生成AIの活用、3つ目はソフトバンクが持つ人流データを生かしたカードの加盟店支援だ。
オリーブとPayPayを接続する。オリーブを使ってVisa(ビザ)の加盟店で決済する際、クレジットカードなどに加え、新たにPayPayの
残高で払えるようにする。
三井住友カードの会員数は23年度に3600万人を超え、国内発行会社としては楽天カードと並ぶ大手だ。一方、PayPayは決済額
と回数の両方でQRコードのシェア7割を持つ。高価格帯の買い物に使うクレカ、日常の買い物で使うQR決済の大手が手を組むことで、
消費者の利便性が高まる。
ビザの加盟店でたまるVポイントとPayPayポイントも交換できるようになる。PayPayの利用者は6900万人だが、グループ内のサ
ービスでの重複を含むと、PayPayポイントの利用者は延べ約2億9000万人になるという。Vポイントの8600万人を結びつけて顧客
基盤を拡大する。
単純比較できないが、1億を超す顧客IDを持つ楽天グループのポイント経済圏に対抗する。
提携の背景にはキャッシュレス市場の拡大がある。国内のキャッシュレス比率は2024年に4割を超え、政府目標を1年前倒しで
達成した。
脱現金のうねりは、金融や通信会社を軸に進むポイント経済圏に及ぶ。矢野経済研究所によると、ポイントサービスの国内市場
(ポイント発行額)は24年度見込みで約2兆8000億円となり、28年度には3兆2000億円を超える見通しだ。
三井住友カードとソフトバンクは生成AIやデータビジネスでも連携する。まず三井住友カードの事務やコールセンター業務を自動化し、
三井住友FGの各社に広げる可能性がある。人流データを活用した加盟店向けのデータビジネスでは地域ごとに人流の多い場所を
把握し、加盟店に新規出店やポイントを絡めたクーポンの配信などを提案する。
大手金融機関は金融サービスのデジタル化に向け、外部との連携を広げている。みずほFGが1650億円を投じて楽天カードに
15%弱を出資し、楽天経済圏との送客を図る。三菱UFJFGもスマホ金融サービスのウェルスナビを買収したほか、ネット銀行の
設立を準備している。
メガバンクでさえ既存のサービスだけでは生き残れないと危機感を強めている。M&A(合併・買収)や新規事業を立ち上げる動きが
今後も相次ぎそうだ。
2025/05/15 日本経済新聞 朝刊
三井住友フィナンシャルグループ(FG)が14日発表した2025年3月期の連結純利益は、前の期比22%増の1兆1779億円と
2期連続で最高益を更新した。連結最終利益が1兆円を超えるのは02年の発足以来初めて。金利上昇による利ざやの拡大や政
策保有株式の売却益が利益を押し上げた。
本業のもうけを示す傘下行の業務純益は31%増の1兆1844億円だった。融資の焦げ付きなどに備える貸倒引当金を積み増し、
前期の連結与信関係費用は26%増の3445億円だった。中島達社長は同日の記者会見で「(トランプ米政権の関税政策を受けて)
国内の輸出依存の高い業種などで引当金を積み増した」と語った。
26年3月期の連結純利益は前期比10%増の1兆3000億円を見込む。2期連続で1兆円を超え、前期に続いて最高益を更新する
見通しだ。トランプ政権の関税政策などで市場環境の不透明感が強まり、3月に立てた業績計画から1000億円程度少なくしたという。
2025/05/15 10:21 日経速報ニュース
(9時25分、プライム、コード8316)三井住友FGがさえない。前日比31円(0.85%)安の3601円を付けた。14日に2026年3月期
(今期)の連結純利益が前期比10%増の1兆3000億円になりそうだと発表した。政策保有株の売却を進めるほか、金利上昇で
預貸金利回り差が改善し資金利益が拡大する。ただ、アナリスト予想のQUICKコンセンサス(13日時点、13社)の1兆3499億
円は下回った。日銀の追加利上げ観測の高まりから前日まで上昇基調にあったこともあり、利益確定の売りも出ているようだ。
下値は堅く、上昇する場面もある。
年間配当は1株あたり136円と、前期実績(株式分割を考慮した実質で122円)から増える。政策保有株は前期に1850億円を
売却し、今期は1200億円以上の削減を目指す計画を示した。あわせて、自己株式を除く発行済み株式総数の1.0%にあたる
4000万株、金額で1000億円を上限に自社株買いを実施すると発表した。野村証券の高宮健リサーチアナリストは14日付の
リポートで「大きなサプライズはなかったが、本業収益が好調に推移していること、還元強化の方向性が確認できた点はやや
ポジティブ」と評価した。
同時に発表した25年3月期(前期)の純利益は、前の期比22%増の1兆1779億円と2期連続で最高益を更新した。最終利益
が1兆円を超えるのは02年の発足以来初めて。
2025/05/15 13:25 日経速報ニュース
三井住友フィナンシャルグループ(8316)傘下の三井住友カードとソフトバンク(9434)は15日、デジタル分野での包括的な業務提携に
ついて基本合意を締結したと発表した。三井住友FGの個人向け総合金融サービス「Olive(オリーブ)」とソフトバンク系のスマートフォン
決済「PayPay(ペイペイ)」の相互連携を進める。生成AI(人工知能)やヘルスケアなどの分野でも協業し、幅広い商品やサービスの
提供を目指す。
[東京 15日 ロイター] - 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306.T), opens new tab(MUFG)など大手銀行3グループが15日まで
に発表した2026年3月期純利益予想は、3社合計で前期比8%増の4兆2400億円となった。トランプ米政権の関税政策を受けて世
界経済の先行き不透明感が強まる中でも、「金利ある世界」の復活も追い風に連続で過去最高益を更新する見通しだ。
<初の純利益2兆円超えも>
MUFGは15日、26年3月期の連結純利益が前期比7.4%増の2兆円になる見通しと発表した。発足後初の2兆円超えとなる。
みずほフィナンシャルグループ(8411.T), opens new tabも、同6.1%増の9400億円を見込んでいる。三井住友フィナンシャルグループ
(8316.T), opens new tabが14日に発表した連結純利益予想は前期比10.4%増の1兆3000億円 もっと見る 。
各社とも、過去最高益だった前期を上回る見通し。
MUFGの亀澤宏規社長は決算会見で「ポートフォリオの多様化で、いろいろな環境変化にも強い状況が作れてきている」と語った。金利
上昇を受けた資金利益の拡大だけでなく、プロジェクト・ファイナンスや投資銀行など手数料ビジネスの伸びが利益の源泉になってきてい
るという。
日銀の金融政策正常化の流れで、銀行の収益力は着実に高まっている。政策保有株の売却益も利益を下支えし、業績を押し上げる要因
となっている。
<米関税の不透明感「どれだけ続くか注視」>
一方で、関税措置の影響も織り込まれており、先行きには不透明感も残る。
みずほFGの木原正裕社長は会見で「当期ベースで1兆円を稼げる形になってきたと自負している」としつつ、今期予想については、実質
1兆0500億円を狙えるところ足元の不確実性を踏まえて9400億円との見通しを出したと説明。
将来の不確実性に備え前期に与信費用を計上した上で、今期予想にも1100億円をマイナス要因として織り込んだ。「かなり保守的に
見積もった」(木原社長)という。
1年前倒しで中期経営計画の目標値を達成したことから、2028年3月期末の中期財務目標も公表した。25年3月期に1兆1442億
円だった連結業務純益を1.4─1.6兆円程度まで拡大させる見込み。
SMFGは、純利益に約1000億円のマイナス影響を織り込んだ。1─3月期には、融資の焦げ付きなどに備えるフォワードルッキング
引当を実施している。中島達社長は「不透明な期間がどれだけ続くか注視している。ダウンサイド、アップサイド両面で機動的な業務
運営を行っていきたい」と述べた。
25年3月期の連結決算では、3社合計の純利益は前期比約25%増の3.9兆円だった。
[15日 ロイター] - 米当局が過去10年以上で最大規模の銀行自己資本規制緩和を発表する準備を進めていると、英紙フィナンシャル
・タイムズ(FT)が15日に複数の関係筋の話として報じた。
当局は今後数カ月内に補完的レバレッジ比率(SLR)を引き下げる方針という。
ロイターはこの情報を今のところ確認できていない。各当局からもコメントを得られていない。
SLRは米大手銀行に損失を吸収できる資本を追加で積むよう義務付けるルールで、米規制当局は見直しの余地があるとしている。
2025/05/16 日本経済新聞 朝刊 1ページ 656文字 PDF有 書誌情報
印刷
5大銀行グループの2025年3月期決算が15日、出そろった。合計の連結純利益は前の期比30%増の4兆3973億円となり、
2年連続で最高益を更新した。国内の金利上昇で貸出金利ざやが拡大し、政策保有株式の売却益が業績を押し上げた。今期も
最高益を見込む。
5大銀行の連結純利益は期初予想の段階では計3兆7000億円だった。三菱UFJフィナンシャル・グループの亀澤宏規社長は
15日の記者会見で、これまで進めてきた店舗網の再編や業務の効率化などを念頭に「体質改善や収益の多様化に向けた取り
組みで成果が出てきた」と語った。
さらに業績を底上げしたのは政策株の売却益だ。株式等関係損益の合計は1兆4125億円と前の期の2.7倍に増えた。日銀
の政策修正で国内の金利も上昇し、預貸金利回りが改善。収益の押し上げ効果は3メガバンクだけで2800億円程度にのぼる。
勢いは今期も続き、26年3月期の純利益は計4兆7600億円と3年連続の最高益をうかがう。三菱UFJは純利益で初の2兆円
を予想し、自己資本利益率(ROE)10%も視野に入ってきた。
もっともトランプ米政権の関税政策による影響が懸念材料になっている。
みずほフィナンシャルグループの木原正裕社長は今期の業績について「かなり保守的に見積もっている」と強調した。三井住友
フィナンシャルグループの中島達社長も「企業のM&A(合併・買収)や大規模な設備投資の検討の動きが鈍くなっている」と述べた。
持続的な成長に向け、政策株の売却益などで増えた手元資金を使い、戦略投資を進める。
2025/05/15 GS 買い継続 4700円 → 4880円
2025/05/13 JPM Neutral継続 4470円 → 3830円
2054/03/26 SBI 中立継続 4250円 → 4400円
2025/03/12 モルガンS Overweight継続 4420円 → 5030円
2025/03/07 シティG 1継続 4667円 → 5000円
2025/03/06 水戸 B+継続 4200円 → 4700円
2025/03/05 みずほ 買い継続 4750円 → 5000円
2025/02/25 大和 2継続 420円 → 4400円
2025/02/14 東海東京 OP継続 4060円 → 4250円
2025/01/31 岩井コスモ A継続 4350円 → 4700円
2024/12/25 野村 Buy継続 4633円 → 5000円
2024/12/18 岡三 中立継続 4,133円 → 3,750円
2025/05/20 日本経済新聞 朝刊
メガバンクは2026年3月期、3期連続で最高益を更新する見通しだ。貸出金利の上昇や保有株の売却益が引き続き業績を押し上げる。
懸念はトランプ米政権による世界経済の混乱だ。これまでの勝ち筋がオセロのようにひっくり返り、負のスパイラルに陥る不安が頭をよぎる。
「世界経済の不確実性が高まっている」。三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)の亀澤宏規社長は15日の記者会見でトランプ政権に
よる関税に警戒感を強めた。市場や取引先への影響を洗い出すためのプロジェクトチームを立ち上げ、新たなリスクに備え始めた。
三菱UFJFG、三井住友FG、みずほFGの3メガバンクの業績は今期も好調が続く。いずれも過去最高となり、連結純利益の合計は前期比
8%増の4兆2400億円になる。三菱UFJはメガで初めて純利益が2兆円に達する。金利の上昇に伴う利息収入や政策保有株の売却益の
増加が利益を押し上げる。
稼ぐ力は一見盤石だが、3行の決算からは米関税の負の影響を慎重に推し量る姿が透ける。
「新型コロナウイルス禍の水準に匹敵する規模だ」。みずほの米沢武史最高財務責任者(CFO)は語る。みずほは将来の経済状況や市場
の変動を先取りして予防的に積む「フォワードルッキング」と呼ぶ引当金を前期に924億円計上した。今期の与信費用1400億円と合わせ、
コロナ禍並みの水準となる。
みずほだけではない。各行とも融資の焦げ付きへの備えを急ぐ。
貸倒引当金など今期の与信関係費用は計7900億円と6割増やした。企業の資金繰りが悪化したコロナ禍の1兆円規模は下回るものの
、前期に計上した引当金と合わせて多めに見積もる。
三菱UFJは3.2倍となる3500億円を見込む。前期に海外向けの貸倒引当金で多額の戻り益を計上した反動もあるが、取引先の業績が
落ち込むことを想定して追加の引当金を急きょ盛り込んだ。とりわけ25%の追加関税が課された自動車産業への影響は大きい。
日産自動車やマツダなど3行の融資残高が大きな取引先は今期の業績予想を「未定」とした。トヨタ自動車は4~5月の2カ月間で1800億
円の減益要因になる。トヨタだけで国内の取引先は部品メーカーなど6万社あるとされる。米国市場で販売が落ち込めば、中小企業に至るまで
経営への打撃は避けられない。
最悪のシナリオはこうだ。世界経済が混乱すると株式市場の株高基調が変わる可能性がある。景気が冷えて日銀は利上げに動けない。
そうなれば銀行の勝利の方程式、「金利上昇と株高」が崩れ、過去最高を見込む利益に陰りが出る恐れがある。負のスパイラルだ。
変調は一部で出始めた。M&A(合併・買収)など投資銀行ビジネスだ。
みずほは23年に米M&A助言会社のグリーンヒルを買収し、三井住友は米ジェフリーズとの協業を強めてきた。各行とも今後の成長の柱
に位置づける。主戦場の米国でM&Aや新株発行による資金調達など成長を加速するための企業活動が足踏みしている。マネーの動きが
停滞すれば市場の成長も揺らぐ。
調査会社のLSEGによると、米国のM&A(金額ベース)は1~3月に前年同期比14%減った。三井住友の中島達社長は「企業が様子見
の姿勢を強め、夏以降の実施を目指していた案件の進捗が遅れている」と懸念する。
M&A関連への貸し出しでも高金利の継続で融資先の格付けの悪化が見込まれる。米連邦準備理事会(FRB)は関税による物価高に
伴う個人消費の冷え込みを警戒し、追加利下げに踏み切れないシナリオが現実味を帯びてきた。
ある大手行は買収先の企業が生むキャッシュフローを担保に融資する「LBOファイナンス」の残高が米州で1兆円規模に達する。世界の
3分の1だ。幹部は「最も厳しい場合を想定したストレステストでは与信費用が500億円ほど増える」と身構える。
前期まで2期連続で最高益を稼いだメガバンクの経営体力には余力がある。一時的な引当金の増加は実はさほどの重荷ではない。米国発
の負の逆回転への備えこそが問われる。
2025/05/20 05:00 日経速報ニュース
銀行間の預金獲得競争に差がついてきた。メガバンクで一歩抜け出すのは三井住友銀行だ。国内預金を2025年3月期に前の期よりも
2.5%増やし、他行を引き離す。デジタル化の進捗によってコスト面でも違いが出始めた。金利ある世界の勝者はどこか。テクノロジーが
各社の浮沈を握る。
「金利が付く世界では預金が重要になる。決済に使う預金は一度預けたら定着率が高い。PayPayとの連携により間違いなく増える」。
三井住友フィナンシャルグループ(FG)の中島達社長は15日の記者会見で力を込めた。
三井住友銀の国内預金額は25年3月期までの1年間で2.5%増えた。2.1%増の三菱UFJ銀行を上回り、0.6%減のみずほ銀行とは大きな
差がつく。貸し出しも伸びており、4.6%増加した。横ばいと0.5%減だった両行の上を行く。増加額は三菱UFJ銀(約3.4兆円)、三井住友銀
(約3.2兆円)の順だった。
デジタル化、営業経費でも差
金利が上昇すれば、貸し出しの原資となる預金量が増えるほど銀行の稼ぐ力は高まる。預金の獲得力は三菱UFJFGを首位とする
メガバンクの勢力図を変える可能性も秘める。優勝劣敗のカギはデジタル戦略だ。
三井住友FGの強さもデジタルサービスにある。クレジットカードやポイント、銀行の機能を一体化した個人向け総合金融サービス「Olive
(オリーブ)」のアカウント数は2年間で500万に達した。預金を1兆6000億円押し上げる効果があった。
15日にはスマートフォンを使った決済で首位のPayPayとの提携も発表した。クレカやポイントと連動して新たな顧客層を開拓し、キャッシ
ュレス決済から得られる収益と併せて預金を囲い込む戦略だ。
デジタル化はコスト減でも効果が出ている。粗利益に対する経費率から鮮明になる。低いほどコストをかけずに利益を生み出すことが
できている。三井住友銀は47.5%と4.7ポイント低下した。72.2%と14.8ポイント高まった三菱UFJ銀、58.1%と1.8ポイント上昇したみずほ銀
と対照的だ。
他行は包囲網を強める。
「このまま座しているわけにはいかない」。三菱UFJFGの亀澤宏規社長は巻き返しを誓う。そしてこう続ける。「我々はデジタルサービス
で後発組だ。(先行するビジネスモデルからの)学びを生かしていきたい」
みずほFGも電子商取引(EC)などで1億を超える顧客IDを持つ楽天グループの経済圏との接続で個人向けビジネスを立て直す。4月、
自社のポイントを消費者の利便性の高い「楽天ポイント」や「dポイント」と交換できるようにした。木原正裕社長は「足元の新規(口座開設)
は反転して増えてきている」と話す。
メガ最高益、問われる次世代への成長投資
海外勢はデジタル化ではるか先を行く。
調査会社のエビデントによると、米JPモルガン・チェースを筆頭に米欧勢は人工知能(AI)関連の研究論文の発表件数や関連特許
の出願数で軒並み上位を占める。投資額も日本のメガバンクを大幅に上回る。大手行幹部は「海外銀行にはデジタル化で周回遅れだ
」と認める。
金融サービスはもちろん、AI向けなどデジタル投資を積み増して生産性を上げないと、預金獲得競争の裏で日米の大手行の成長力
の差が一段と広がる可能性がある。集めた預金から得る利益をどう次世代の成長につなげるか。最高益の今こそ問われる。
(四方雅之、古田翔悟)
【関連記事】
・メガバンク、不安交じりの最高益 「負のスパイラル」懸念拭えず
・5大銀行の純利益2年連続最高 25年3月期、株売却・金利上昇で
2025/05/21 日本経済新聞 朝刊
銀行間の預金獲得競争に差がついてきた。メガバンクで一歩抜け出すのは三井住友銀行だ。国内預金を2025年3月期に前の期よりも
2.5%増やし、他行を引き離す。デジタル化の進捗によってコスト面でも違いが出始めた。金利ある世界の勝者はどこか。テクノロジーが
各社の浮沈を握る。
「金利が付く世界では預金が重要になる。決済に使う預金は一度預けたら定着率が高い。PayPayとの連携により間違いなく増える」。
三井住友フィナンシャルグループ(FG)の中島達社長は15日の記者会見で力を込めた。
三井住友銀の国内預金額は25年3月末までの1年間で2.5%増えた。2.1%増の三菱UFJ銀行を上回り、0.6%減のみずほ銀行と
は大きな差がつく。貸し出しも伸びており、4.6%増加した。横ばいと0.5%減だった両行の上を行く。増加額は三菱UFJ銀(約3.4兆円)、
三井住友銀(約3.2兆円)の順だった。
金利が上昇すれば、貸し出しの原資となる預金量が増えるほど銀行の稼ぐ力は高まる。預金の獲得力は三菱UFJFGを首位とするメガ
バンクの勢力図を変える可能性も秘める。優勝劣敗のカギはデジタル戦略だ。
三井住友FGの強さもデジタルサービスにある。クレジットカードやポイント、銀行の機能を一体化した個人向け総合金融サービス「Oliv
e(オリーブ)」のアカウント数は2年間で500万に達した。預金を1兆6000億円押し上げる効果があった。
15日にはスマートフォンを使った決済で首位のPayPayとの提携も発表した。クレカやポイントと連動して新たな顧客層を開拓し、キャッシュ
レス決済から得られる収益と併せて預金を囲い込む戦略だ。
デジタル化はコスト減でも効果が出ている。粗利益に対する経費率から鮮明になる。低いほどコストをかけずに利益を生み出すことができ
ている。三井住友銀は47.5%と4.7ポイント低下した。72.2%と14.8ポイント高まった三菱UFJ銀、58.1%と1.8ポイント上昇した
みずほ銀と対照的だ。
他行は包囲網を強める。
「このまま座しているわけにはいかない」。三菱UFJFGの亀澤宏規社長は巻き返しを誓う。そしてこう続ける。「我々はデジタルサービスで
後発組だ。(先行するビジネスモデルからの)学びを生かしていきたい」
みずほFGも電子商取引(EC)などで1億を超える顧客IDを持つ楽天グループの経済圏との接続で個人向けビジネスを立て直す。4月、
自社のポイントを消費者の利便性の高い「楽天ポイント」や「dポイント」と交換できるようにした。木原正裕社長は「足元の新規(口座開設)
は反転して増えてきている」と話す。
海外勢はデジタル化ではるか先を行く。
調査会社のエビデントによると、米JPモルガン・チェースを筆頭に米欧勢は人工知能(AI)関連の研究論文の発表件数や関連特許の
出願数で軒並み上位を占める。投資額も日本のメガバンクを大幅に上回る。大手行幹部は「海外銀行にはデジタル化で周回遅れだ」と認める。
金融サービスはもちろん、AI向けなどデジタル投資を積み増して生産性を上げないと、預金獲得競争の裏で日米の大手行の成長力の
差が一段と広がる可能性がある。集めた預金から得る利益をどう次世代の成長につなげるか。最高益の今こそ問われる。
関口由紀、四方雅之、古田翔悟が担当しました。
【図・写真】オリーブで1兆6000億円の預金積み上げ効果があった
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250603/k10014824941000.html
三井住友フィナンシャルグループは、総合金融グループのSBIホールディングスと共同で新たな会社を設立し、利用者が増えている
資産運用のサービス強化に乗り出す方針を固めました。NISAが拡充され投資のすそ野が急拡大する中、資産運用の分野で顧客
を獲得しようという競争が一段と激しくなりそうです。
三井住友フィナンシャルグループとSBIホールディングスは資本提携の関係にあり、現在も資産形成のサービスやポイント活用などで
連携しています。
関係者によりますと、三井住友はさらに資産運用のサービスを強化するため、SBIとの間で月内にも新たな業務提携を結んだうえで
、共同で新会社を設立する方針を固めました。
AIなどを活用した高度な資産運用サービスを三井住友の総合金融アプリの中で始める計画で、新会社には双方のグループ傘下
にあるSMBC日興証券やSBI証券などが出資する方向で検討が進んでいます。
NISAが拡充されるなど投資のすそ野が急拡大する中、資産運用サービスは利用者が増えていて、三菱UFJ銀行もことし、資産
運用の自動サービスを手がける「ウェルスナビ」を完全子会社にしました。
今回、三井住友とSBIという大手どうしが連携強化に乗り出すことで、この分野で顧客を獲得しようという競争が一段と激しくなりそうです。
2025/06/03 22:53 日経速報ニュース
三井住友フィナンシャルグループ(FG)はSBIホールディングス(HD)と共同出資会社をつくり、個人に資産運用の助言をする
新たなサービスを始める。三井住友FGの個人向け金融サービス「Olive(オリーブ)」で一人ひとりの資産形成に合った運用の
相談に乗る。新しい少額投資非課税制度(NISA)の拡充で投資家の裾野が広がるなか、個人顧客を獲得する動きが強まってきた。
今月半ばに三井住友FGの中島達社長とSBIHDの北尾吉孝会長兼社長が記者会見し、新会社の立ち上げや新たなサービスの
概要を説明する。
新たな提携の柱は、三井住友FGが過半を出資するSBIHDとの共同出資会社を立ち上げる点だ。オリーブの証券サービスは
かねての提携先であるSBI証券に限られてきたが、今回の提携でSMBC日興証券の助言も受けられるようになる。
2023年3月に始めたオリーブは今年3月末時点で約500万の利用者を抱える。顧客基盤が準富裕層にも広がるにつれ、自らの
資産形成・運用に即した助言を受けたいという声が強まっていた。新会社ではAIを搭載したチャットボットやSMBC日興が抱える
証券外務員との面談を通じ、資産形成や運用に関する助言を受けられるようにする。
SBI証券にとっては「つみたてNISA」で投資信託を選好する個人投資家が個別株や債券など幅広い金融商品も選択肢に広げられ
やすくなれば、新たな収益機会になるとの期待がある。
三井住友FGとSBIHDは22年6月に資本・業務提携した。約9%の株式を握る大株主となり、オリーブを通じてSBI証券と顧客を送り
合う関係を築いている。グループの垣根を越えて顧客に様々な金融サービスを提供する流れが強まるなか、三井住友FGとSBIHDの
距離感が一層近づく。
個人投資家に資産運用の助言を行うサービスをめぐっては、投資先や運用を自動で任せるロボットアドバイザーの最大手である
ウェルスナビを三菱UFJ銀行が今年3月に完全子会社とした。みずほ証券と楽天証券は対面のコンサルティングを担う新会社の
業務を24年4月に始めている。
2025/06/03 大和 2継続 440円 → 4100円
2025/05/15 BofA買い継続 3800円 → 4000円
2025/05/15 GS 買い継続 4700円 → 4880円
2054/03/26 SBI 中立継続 4250円 → 4400円
2025/03/12 モルガンS Overweight継続 4420円 → 5030円
2025/03/07 シティG 1継続 4667円 → 5000円
2025/03/06 水戸 B+継続 4200円 → 4700円
2025/03/05 みずほ 買い継続 4750円 → 5000円
2025/02/14 東海東京 OP継続 4060円 → 4250円
2025/01/31 岩井コスモ A継続 4350円 → 4700円
2024/12/25 野村 Buy継続 4633円 → 5000円
2024/12/18 岡三 中立継続 4,133円 → 3,750円
2025/06/12 日本経済新聞 朝刊
日本の3メガバンクが米国市場向けのシンジケートローン(協調融資)を増やしている。2024年に幹事行として協調融資にかかわった
件数・金額は、データのある05年以降で過去最高となり、25年も高水準が続く。資本規制の強化を受けて米銀が融資以外の事業を強化
するなか隙間を埋める構図だ。トランプ米政権の関税政策で市場環境は変化しており、融資先を選別する目利き能力の向上が問われる。
英ロンドン証券取引所グループ(LSEG)のデータによると、24年に3メガの少なくとも1行が幹事行として関与した米市場向けの協調融資
件数は1076件と前年から33%増加。10年前の2.1倍、08年のリーマン危機前の数年間の3~5倍に大きく伸びた。
金額ベースでも、24年に3メガが携わった融資案件は計2698億ドル(約39兆円)と前年比33%増え、過去最高を更新した。
協調融資全体への邦銀の関与率も増している。米国の融資件数のうち3メガの少なくとも1行が幹事行として関わる取引の割合を算出する
と、3メガの幹事行としての関与率は24年に23%と前年比で2ポイント伸び、10年前(12%)から11ポイント上昇した。
米市場向けの協調融資総額は拡大が続き、24年に前年比5割増の3兆7134億ドルと、05年以降で過去最大となった。トランプ関税など
に端を発する混乱の影響はあるものの、データセンターなどデジタル化関連のプロジェクトファイナンス(事業融資)や融資の借り換え需要など
が依然堅調だ。
3メガは24年と25年に米フォード・モーターの運転資金を融資したほか、25年に仏ヘルスケア大手オペラヘルスケアグループにLBO(借り
入れで資金量を増やした買収)の資金を貸し付けた。みずほは25年に米アルファベットに運転資金を融資し、三菱UFJは25年に米金融サー
ビス大手、フィデリティ・ナショナル・インフォメーション・サービシズに買収資金を出した。
25年は6月4日時点で3メガのうち少なくとも1行が幹事行として関与したのが412件と前年実績の38%に達し、堅調に推移する。三井
住友フィナンシャルグループ(FG)の中島達社長は5月の決算記者会見でトランプ関税の影響に懸念を示しつつも、「選別的に(米国の)L
BOローンに取り組む」と述べた。
邦銀が米国向け協調融資に力を入れる背景には大きく2つの要因がある。一つは米国の協調融資の手数料規模と金利収入の厚みだ。
ある大手行幹部は「LBOローンは3%以上のスプレッド(上乗せ金利)をとれることが多い」と話す。日本国内でなお低金利が続く邦銀にとって
重要な収益源となっている。
3メガが進めてきた米国の体制強化もここにきて成果をあげつつある。三菱UFJFGは08年に資本提携した米モルガン・スタンレーと連携。
みずほFGは15年に英ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)の北米での企業向け貸出債権を買収、三井住友FGは21年に米ジェフリ
ーズ・ファイナンシャル・グループと資本提携した。
され、23年のシリコンバレー銀行の破綻で中堅銀行への規制強化が進んだ。米銀は投資銀行業務や富裕層向けのウェルスマネジメン
ト(資産管理)など資本を比較的使わない事業に注力して、高い自己資本利益率(ROE)を維持する方向にかじを切った。
引き続き有力市場ではあるものの、米銀は資本を使う協調融資に徐々に慎重になっている。これまで協調融資実績で上位に入っていた
米銀の市場シェアは24年に57%と10年前(59%)、リーマン危機前(66~67%台)から後退した。
邦銀にとって今後の課題はリスク管理だ。22年にイーロン・マスク氏がX(旧ツイッター)を買収した際、440億ドルの買収資金の一部を
銀行団からの借り入れで賄った。銀行団は米モルガン・スタンレーが率い、バンク・オブ・アメリカや英バークレイズ、三菱UFJ銀行とみずほ
銀行などが加わった。銀行団は後に引当金の計上を迫られた経緯がある。幹事行としての関与が増えれば、引当金計上のリスクが膨らみ
かねず、目利きが重みを増す。
協調融資で築いた企業との関係を足がかりに、より収益性の高い投資銀行などの手数料ビジネスの中期的な拡大につなげられるかも
試される。
トランプ米政権が4月に打ち出した関税政策により自動車業界などで先行き不透明感が強まっている。インフレや財政悪化が進んだ場合
、個人消費の減退や長期金利の上昇で企業活動に影響が及ぶ。融資先の返済能力が落ちれば、引当金を積む必要性に迫られる懸念もある。
2025/06/10 JPM Neutral継続 3830円 → 4180円
2025/06/03 大和 2継続 440円 → 4100円
2025/05/15 BofA買い継続 3800円 → 4000円
2025/05/15 GS 買い継続 4700円 → 4880円
2054/03/26 SBI 中立継続 4250円 → 4400円
2025/03/12 モルガンS Overweight継続 4420円 → 5030円
2025/03/07 シティG 1継続 4667円 → 5000円
2025/03/06 水戸 B+継続 4200円 → 4700円
2025/02/14 東海東京 OP継続 4060円 → 4250円
2025/01/31 岩井コスモ A継続 4350円 → 4700円
2024/12/25 野村 Buy継続 4633円 → 5000円
2024/12/18 岡三 中立継続 4,133円 → 3,750円
2025/06/16 日本経済新聞 夕刊
三井住友フィナンシャルグループ(FG)とSBIホールディングス(HD)は16日、準富裕層に資産運用を助言する共同出資会社を設立
すると発表した。三井住友FGの個人向け金融サービス「Olive(オリーブ)」を使う顧客の間で資産を増やす個人が増えていることを受け
、遠隔で運用相談に乗る仕組みをつくる。
16日午前に三井住友FGの中島達社長とSBIHDの北尾吉孝会長兼社長らが都内で新たな業務提携について記者会見を開いた。
中島氏は「両社の関係をさらに進化させ、互いの強みを結集してオリーブの資産運用サービスのアップグレードを図る」と強調した。
北尾氏は「有人コンサルとデジタルサービスを通じてSBI証券の金融関連商品やサービスを顧客に提供できる」と述べた。
新会社は関係当局の認可を前提に2025年度内をメドに事業を始める。三井住友FGが傘下企業を含めて60%、SBIHDが40%を
出資する。具体的には三井住友FGが10%、SMBC日興証券が30%、三井住友銀行が20%、SBIHDが10%、SBI証券が30%
を出資する。
顧客は新会社に所属するSMBC日興証券や三井住友銀行のアドバイザーから資産形成や運用に関する助言を受けられるようになる。
23年3月に始めたオリーブは今年3月末時点で約500万の利用者を抱える。少額投資非課税制度(NISA)で投資信託を選好する
個人投資家が多い。
三井住友FGとSBIHDは22年6月に資本・業務提携した。約9%の株式を握る大株主となり、オリーブを通じてSBI証券と顧客を送
り合う関係を築いている。
2025/06/18 05:00 日経速報ニュース
2023年3月に個人向けの金融サービス「Olive(オリーブ)」を始めた三井住友フィナンシャルグループ(FG)。カード会社を核としたデジタル
戦略が個人に刺さり、預金口座の獲得ではライバルに先行する。次の照準は中小企業。収益化のハードルは高く、オリーブのように早期
の成功を再現できるか未知数だ。
オリーブは預金口座、クレジットカード、保険、ネット証券をまとめて提供する金融サービス。クレジットカードやデビットカード、ポイントによ
る支払いをアプリで簡単に切り替えられる点も特徴だ。東洋大学の野崎浩成教授は「銀行がデジタルバンクとして生きられることを示した
成功例」と評する。
2年余りで獲得した口座数は約570万。預金口座を持つ顧客の切り替えにとどまらず、三井住友銀行と取引がなかった新規客の獲得は
全体の約4割を占める。預金の押し上げ効果は年1兆6000億円に達した。金利上昇を追い風に預金を原資にした貸し出しで得る利益も
伸びている。
オリーブの機能は金融を超え、家計簿や旅行サイトなど非金融の分野にも広がる。切り札となるのが5月半ばに発表したPayPayとの
提携だ。クレジットカードで最大手の三井住友カードとQRコード決済の最大手であるPayPayとの組み合わせを三井住友FGの中島達
社長は「大連立」と称する。
今回の提携で個人向け分野の優位性はさらに強まったとの見方が多い。次の主戦場は経費精算などデジタル化が遅れた中小企業だ。
5月に始めた法人版オリーブともいえる「Trunk(トランク)」で顧客を取り込む。
トランクは銀行口座とクレジットカードを起点に売掛金の買い取りや企業間の決済、資金管理など複数の金融機能を束ねて提供する。
従業員20人以下の中小企業で、とりわけ会計や人事といった業務を自ら切り盛りする経営者が対象になる。幹部は「これまでは都市圏
の大企業が中心で、地方や中小企業向けのサービスが手薄だった」と振り返る。
トランクでは事業主から集めた決済性預金の運用と決済に伴う手数料で収益を得る。中小企業基盤整備機構によると、DXを進めるうえ
での課題に人材不足を挙げた企業は33.5%にのぼる。三井住友はそこに商機を見いだした。
中小向けのマーケットにはまだ勝者がおらず、ライバル行も熱い視線を注ぐ。三菱UFJ銀行は決算書が不要で、人工知能(AI)が
最短2営業日で審査するオンラインレンディングに力を入れる。今後は法人カードの発行に加え、使うほど手数料などが安くなるプログラム
の構築で「法人版オリーブに対抗する」(幹部)。
オリーブは24年度に黒字となり、25年度に200億円の利益を見込むまでに育った。利用者による米ビザ加盟店での決済が増える
ことで加盟店から受け取る手数料も増える。銀行が得意としてきた法人ビジネスでも中小企業は1件あたりの取扱額が小さく、トランク
を黒字化するためのハードルは高い。事業主が銀行口座を開設し、一定額を入金しなければ収益化の前提は崩れる。
目標に据えるのが「3年で30万口座、預金量3兆円」。三井住友銀行が拠点を持たない地方では、日ごろから取引がある地域金融
機関を差し置いてどこまでトランクで取引をするか疑念もある。個人に刺さったデジタルのアプローチが対面取引に慣れた中小企業の
ニーズを吸い上げられるのか。序盤戦を順調に戦う三井住友は新たな勝負どころを迎える。
2025/06/03 大和 2継続 440円 → 4100円
2025/05/15 BofA買い継続 3800円 → 4000円
2025/05/15 GS 買い継続 4700円 → 4880円
2054/03/26 SBI 中立継続 4250円 → 4400円
2025/03/12 モルガンS Overweight継続 4420円 → 5030円
2025/03/07 シティG 1継続 4667円 → 5000円
2025/03/06 水戸 B+継続 4200円 → 4700円
2025/03/05 みずほ 買い継続 4750円 → 5000円
2025/02/14 東海東京 OP継続 4060円 → 4250円
2025/01/31 岩井コスモ A継続 4350円 → 4700円
2024/12/25 野村 Buy継続 4633円 → 5000円
2024/12/18 岡三 中立継続 4,133円 → 3,750円
2025/06/19 日本経済新聞 朝刊
2023年3月に個人向けの金融サービス「Olive(オリーブ)」を始めた三井住友フィナンシャルグループ(FG)。カード会社を核とした
デジタル戦略が個人に刺さり、預金口座の獲得ではライバルに先行する。次の照準は中小企業。収益化のハードルは高く、オリーブ
のように早期の成功を再現できるか未知数だ。
オリーブは預金口座、クレジットカード、保険、ネット証券をまとめて提供する金融サービス。クレジットカードやデビットカード、ポイン
トによる支払いをアプリで簡単に切り替えられる点も特徴だ。東洋大学の野崎浩成教授は「銀行がデジタルバンクとして生きられること
を示した成功例」と評する。
2年余りで獲得した口座数は約570万。預金口座を持つ顧客の切り替えにとどまらず、三井住友銀行と取引がなかった新規客の
獲得は全体の約4割を占める。預金の押し上げ効果は年1兆6000億円に達した。金利上昇を追い風に預金を原資にした貸し出しで
得る利益も伸びている。
オリーブの機能は金融を超え、家計簿や旅行サイトなど非金融分野にも広がる。切り札となるのが5月半ばに発表したPayPayとの
提携だ。クレジットカードで最大手の三井住友カードとQRコード決済の最大手であるPayPayとの組み合わせを三井住友FGの中島達
社長は「大連立」と称する。
今回の提携で個人向け分野の優位性はさらに強まったとの見方が多い。次の主戦場は経費精算などデジタル化が遅れた中小企業
だ。5月に始めた法人版オリーブともいえる「Trunk(トランク)」で顧客を取り込む。
トランクは銀行口座とクレジットカードを起点に売掛金の買い取りや企業間の決済、資金管理など複数の金融機能を束ねて提供する。
従業員20人以下の中小企業で、とりわけ会計や人事といった業務を自ら切り盛りする経営者が対象になる。幹部は「これまでは都市
圏の大企業が中心で、地方や中小企業向けのサービスが手薄だった」と振り返る。
トランクでは事業主から集めた決済性預金の運用と決済に伴う手数料で収益を得る。中小企業基盤整備機構によると、デジタルト
ランスフォーメーション(DX)を進めるうえでの課題に人材不足を挙げた企業は33.5%にのぼる。三井住友はそこに商機を見いだした。
中小向けのマーケットにはまだ勝者がおらず、ライバル行も熱い視線を注ぐ。三菱UFJ銀行は決算書が不要で、人工知能(AI)が
最短2営業日で審査するオンラインレンディングに力を入れる。今後は法人カードの発行に加え、使うほど手数料などが安くなる
プログラムの構築で「法人版オリーブに対抗する」(幹部)。
オリーブは24年度に黒字となり、25年度に200億円の利益を見込むまでに育った。利用者による米ビザ加盟店での決済が増える
ことで加盟店から受け取る手数料も増える。銀行が得意としてきた法人ビジネスでも中小企業は1件あたりの取扱額が小さく、トランク
を黒字化するためのハードルは高い。事業主が銀行口座を開設し、一定額を入金しなければ収益化の前提は崩れる。
目標に据えるのが「3年で30万口座、預金量3兆円」。三井住友銀行が拠点を持たない地方では、日ごろから取引がある地域金融
機関を差し置いてどこまでトランクで取引をするか疑念もある。個人に刺さったデジタルのアプローチが対面取引に慣れた中小企業の
ニーズを吸い上げられるのか。序盤戦を順調に戦う三井住友は新たな勝負どころを迎える。