6月17-18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、トランプ関税による「不確実性(uncertainty)」を理由に、4会合連続での政策金利の据え置き(4.25-50%)を全員一致で決定した。声明文からは、関税スタグフレーション(higher unemployment and higher inflation)への警戒文言が削除された。
昨日、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙が「トランプ米大統領はイラン攻撃計画を承認した」と報じ、一部報道では、米当局者の話として「米国は、近日中(in the coming days)にイラン攻撃を準備している」と報じられたことで、空爆が開始された場合の相場動向に備えることになる。 トランプ米大統領は、昨日、「何をするべきかいくつか考えを持っているが、最終決定はしていない。私は期限の1秒前に決断を下すのが好きだ」と述べた。そして、レビット米ホワイトハウス報道官が「トランプ米大統領はイラン攻撃について2週間以内に決定する。トランプ氏はイランとの外交が依然として選択肢であると信じている」とも述べている。
トランプ米大統領がまさか市場から「TACO」呼ばわりされていることを意識して、自ら「TNAC」(Trump Not Always Chicken)であることを証明したかったのか、それとも、まさか、週末までの2日間を2週間と間違えて伝えたのかと思わせるほどの早打ちに、市場としても戸惑いの感は否めず、週明けのアジア市場では、当然のことながら、「有事のドル買い」や「原油高、株安」といった反応とはなっているものの、「意外と落ち着いた動き」が続いているといったところです。
先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、トランプ関税による「不確実性(uncertainty)」を理由に、4会合連続での政策金利の据え置き(4.25-50%)を全員一致で決定した。声明文からは、関税スタグフレーション(higher unemployment and higher inflation)への警戒文言が削除。そして、ドット・プロット(金利予測分布図)では、年内2回の利下げ見通しが維持されている。
1. 「後悔、少しはあるさ(Regrets, I’ve had a few)」 2023年5月3日、パウエルFRB議長は、米銀の経営破綻に絡んで「後悔はあるか?」と問われ、フランク・シナトラの1969年の名曲「My Wayマイ・ウェイ」に引っかけて「後悔、少しはあるさ(Regrets, I’ve had a few」と答えた。 「My Way」は、「But then again, too few to mention(いまさら語るようなことではない)」と続いている。 パウエルFRB議長は、「間違いを犯したことは十分に分かっているし、新しいことも学んだ」と反省の弁を述べた。
2. 「鎮静化(clarity)」 2025年5月7日、米連邦公開市場委員会(FOMC)で、トランプ関税の「不確実性(uncertainty)」を理由に3会合連続でのタカ派的据え置きが決定された後、 パウエルFRB議長は、トランプ関税の「不確実性(uncertainty)」からの「鎮静化(clarity)」を待つことを表明した。「当面は『鎮静化(clarity)』を待つことになる」 DJゼッドの1stアルバム「Clarity」では、「If our love’s insanity, why are you my clarity?」(この愛が狂気なら、なぜあなたといると心が落ち着く(clarity)の?)と詠われた。
本日NY時間で注目されるのは、主に2点。1点目は米国の予算案。議会の両院を支配する共和党は大型の税制・歳出法案、「大きくて美しい1つの法案(one big beautiful bill)」における減税措置を延長するために福祉プログラムをどの程度削減するかを巡って意見が分かれている。下院指導部は上院の法案の完全採決は早ければ水曜日の朝に行われる可能性があると述べてているが、法案に修正が入るかなど事細かに見ていかなければならない。5月下旬の米トリプル安のきっかけが、同法案による財政悪化懸念だったことを考えると、債券に売りが入った場合(利回りが上昇)でも、ドル安になることにも気を付けておきたい。
ドル売りリスクの一つ目は、昨日トランプ米大統領による予算案「大きくて美しい1つの法案(one big beautiful bill)」が下院で可決し、本日大統領が法案に署名する予定であること。昨日は独立記念日を前に米債券市場が短縮取引だったため、法案可決時には米債市場が開いていなかった。市場はある程度は可決を織り込んでいたかもしれないが、どの程度まで織り込まれていたかが未知数だ。5月中旬に起こった米国のトリプル安相場は、財政悪化の懸念が高まったことも大きな要素だった。そして、議会予算局(CBO)は今回可決した修正法案について、前回の下院案の10年間で2.4兆ドルだった財政悪化が、3.3兆ドルまで悪化すると試算している。来週の休場明けの債券相場次第では再びトリプル安リスクが警戒されている。
今週9日にトランプ相互関税の上乗せ部分の発動停止期限を迎える。トランプ米大統領は1日に、日本が米国の自動車やコメを買ってくれないと批判し、「日本と合意できるとは思えない」と述べ、日本に対する一律関税について「30%や35%」という数字を挙げていた。そして、4日には、貿易相手国・地域に対して関税率を記した12の署名済み書簡を7日に送付すると言明した。日本に対する書簡を例に挙げて、『親愛なる日本様(Dear Mr. Japan)、日本は車に25%の関税が課されます』と示していたが、石破首相や交渉担当者の赤沢経済再生相は眼中にないらしい。
サッチャー第71代英首相は、1980年10月の英国議会で、「女は後戻りしない(the lady is not for turning)」と宣言した。 そして、「政治において、言ってほしいことがあれば、男に頼みなさい。やってほしいことがあれば、女に頼みなさい。」とも述べている。 トラス第78代英首相(1975年生まれ)やリーブス第77代英財務相(1979年生まれ)には、サッチャー第71代英首相のDNAは継承されていないらしい。
1. 『Commander in Cheat』(イカサマ司令官) 米国のベテラン・スポーツ記者リック・レイリー氏が、トランプ米大統領の周辺の100名程度の人物への取材を基に著した『Commander in Cheat』(イカサマ司令官)は、米国大統領を「Commander in Chief」(最高司令官)と定義する米国憲法第2条に由来している。 レイリー氏は、「トランプ米大統領のやるインチキは、最高レベルだ」と批判している。 「トランプは他の人間が見ているときにも見ていないときにも、インチキをする。トランプは人にどう思われるかなど御構いなしでインチキをする。トランプがインチキをするのは、それが彼のゴルフのやり方だからで。トランプと一緒にゴルフをやるなら、彼は必ずインチキをすることを覚悟しなければならない」 しかし、トランプ米大統領は、「私はゴルフでスコアを誤魔化している。なぜなら、他の連中も誤魔化しているからだ」と公言しており、インチキゴルフは周知の事実であり、トランプ米大統領からのクレームはないらしい。 大統領のキャディー達は、大統領をサッカーの「ペレ」と呼んでいるらしい。 すなわち、ボールが池に入ったり、林の中に入ったり、バンカーの中に入った場合、先回りして足でフェアウェイの真ん中に蹴り出しているらしい。
市場のドル買い・円売りの反応が鈍い一因は、参議院選挙前に過度に円売りを仕掛けてしまったこと。市場は与党の過半数割れで、野党が要望する消費税減税などを受け入れ、財政拡大路線懸念が高まり、日本売り(本邦国債売り、円売り)となることを予想した。ただ、選挙後への日本売りの反応は鈍かった。 これは、トランプ政権の予算案(「大きく美しい1つの法案」)が提出されたときも、財政悪化が懸念され米国売り(米債売り・ドル売り)に傾いたことと酷似している。同予算案は、更に上院の修正案により財政悪化が10年間で3.3兆ドルと増えたが、下院に修正案が送られたときには米債もドルも売られなかった。市場が余りにも過度に期待しすぎると「Buy the rumour sell the fact(噂で買って事実で売る)」になることが多く、今回の参議院選挙を挟んだ財政懸念も同様か。
本日は中国から7月のCaixinサービス部門購買担当者景気指数(PMI)が発表されるものの、市場への影響は限定的となるだろう。市場の注目は、先週発表された米雇用統計について米連邦準備理事会(FRB)関係者がどの程度、FRBの2大責務(物価の安定と雇用の最大化)のうちに雇用を重視する方向に傾くのかが注目される。しかし、アジア時間では発言が伝わる時間帯ではないことで相場の主導権が米国市場入り後になりやすそうだ。また、米政権による新たな人事(FRB理事と労働省労働統計局・Bureau of Labor Statistics=BLS局長)についての報道なども、市場を動意づける要因になるので警戒したい。
2つ目は週末に解任されたマッケンターファーBLS局長の後任人事。ハセット米国家経済会議(NEC)委員長は「大統領は自分の部下をそこに置きたい」と主張しているように、政策立案や経済のさまざまな側面の指標として利用されている統計が政治化される可能性がある。ノーベル経済学賞受賞者のクルーグマン氏は、今後は統計局の数値を信じることができなくなると批判しているように、今後はBLSが発表する経済指標は透明性と信頼性を失いそうだ。BLSは雇用統計だけでなく、消費者物価指数(CPI)も発表することで、雇用指数は良好でもCPIは低下する結果になり、FRBに一層の利下げ圧力をかけることになりそうだ。なお、個人消費支出(PCE)は商務省経済分析局(Bureau of Economic Analysis=BEA)が発表することで、CPIとPCEの結果にかい離が生じる可能性も出てきそうだ。
日経225先物オプション実況スレ3
https://talk.jp/boards/market/1745839932
一部報道によれば、イランの交渉団が、米国との核交渉の仲介国であるオマーンに到着したもよう。
日経平均株価は3日続伸。弱含みのスタートとなったが、5日移動平均線(38348円 6/18)付近を支持に持ち直す展開となった。前日高値(38581円)を上回り、上げ幅を拡大。後場も堅調に推移して高値引けとなった。
RSI(9日)は前日の66.8%→76.5%(6/18)に上昇。高値更新基調にあり、4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇継続の判断となる。5/13高値と5/29高値(38454円)をつないで延長した上値抵抗線を超えたことで、短期的には上値余地を探ることになる。
一方、25日移動平均線(37831円 同)の上昇が緩やかであるほか、75日移動平均線(36651円 同)がほぼ横ばいにとどまっている。5月中旬以降のもみ合いも約1カ月と短いことで、短期的な上値余地は4万円以下に収まる想定が必要となる。
上値メドは、心理的節目の39000円、2/13高値(39581円)、心理的節目の4万円、12/27高値(40398円)などがある。下値メドは、10日移動平均線(38175円 同)、心理的節目の38000円、25日移動平均線、100日移動平均線(37255円 同)、心理的節目の37000円、75日移動平均線などがある。
(18日終値:19日2時時点)
ドル・円相場:1ドル=144.68円(18日15時時点比▲0.33円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=166.42円(▲0.41円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1503ドル(▲0.0001ドル)
FTSE100種総合株価指数:8843.47(前営業日比△9.44)
ドイツ株式指数(DAX):23317.81(▲116.84)
10年物英国債利回り:4.495%(▲0.055%)
10年物独国債利回り:2.497%(▲0.038%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月英消費者物価指数(CPI)
(前月比) 0.2% 1.2%
(前年比) 3.4% 3.5%
CPIコア指数
(前年比) 3.5% 3.8%
5月英小売物価指数(RPI)
(前月比) 0.2% 1.7%
(前年比) 4.3% 4.5%
スウェーデン中銀、政策金利
2.00%に引き下げ 2.25%
4月ユーロ圏経常収支(季調済)
198億ユーロの黒字 509億ユーロの黒字
5月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値
(前年比) 1.9% 1.9%
5月ユーロ圏HICPコア改定値
(前年比) 2.3% 2.3%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ユーロドルは底堅い動き。イスラエルとイランの軍事衝突を巡り米国の軍事介入が警戒される中、「有事のドル買い」が優勢になると、23時過ぎに一時1.1484ドル付近まで下落した。
ただ、東京午前に付けた日通し安値1.1475ドルが目先サポートとして意識されると買い戻しが優勢に。トランプ米大統領が「イランからの接触があった」「イランはホワイトハウスを訪問すると示唆した」「イランは交渉を望んでいる」などと発言すると、中東情勢を巡る過度な警戒が後退。足もとで進んでいた「株安・原油高・ドル高」を巻き戻す動きが優勢となり、1.1530ドルと日通し高値を更新した。
なお、WTI原油先物価格は76ドル台前半から72ドル台後半まで急落したほか、主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時98.50まで低下した。
・ドル円は頭が重い。米連邦公開市場委員会(FOMC)結果公表を前に、しばらくは方向感に乏しい展開が続いたものの、トランプ米大統領の発言が伝わると、原油先物価格が下落し、米国株相場が堅調に推移。全般ドル売りが優勢となり、一時144.53円と日通し安値を更新した。米長期金利の低下に伴うドル売りも出た。
・ユーロ円は弱含み。日本時間夕刻に一時167.06円と日通し高値を付けたものの、買い一巡後は徐々に上値が重くなった。ドル円の下落につれた売りが相場の重しとなり、23時前に一時166.33円と日通し安値を付けた。そのあとはユーロドルの持ち直しや米国株高に伴う円売り・ユーロ買いが出たものの、戻りは限定的だった。
・ロンドン株式相場は小反発。5月英CPIが概ね予想通りの結果となり買いが入ったものの、中東情勢の先行き不透明感から上値は重かった。FOMC結果公表を前に、積極的な売買が手控えられた面もあった。セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株が買われたほか、HSBCやバークレイズなど金融株が値上がりした。
・フランクフルト株式相場は続落。イスラエルとイランの軍事衝突を巡り米国の軍事介入が警戒される中、株売りが優勢となった。個別ではダイムラー・トラック・ホールディング(2.49%安)やブレンターク(2.35%安)、フレゼニウス(2.26%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は上昇。中東情勢の緊迫化を背景に相対的に安全資産とされる独国債が買われた。
米連邦公開市場委員会(FOMC)は18日公表のFF金利見通しで、2025年末時点の中央値を3.875%と前回から据え置いた。
また、26年末時点の見通しを3.625%と前回3.375%から上方修正。
27年末時点の見通しは3.375%と前回3.125%から上方修正した。
長期金利見通しは3.000%と前回の3.000%から据え置いた。
18日の日経平均は大幅に3日続伸。終値は348円高の38885円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1092/値下がり461。任天堂が6.6%高と急伸しており、スクエニやバンナムなどゲーム株に強い買いが入った。証券会社の目標株価引き上げを材料に大成建設や鹿島など建設株が大幅上昇。株高基調が強まる中、野村HDや大和証Gなど証券株に資金が向かった。自己株取得・消却を発表した日清オイリオが急騰。サンリオとの資本業務提携を発表したIGポートは、場中は値が付かずストップ高比例配分となった。
一方、地政学リスクが意識される中でも三菱重工、川崎重工、IHIの防衛大手3社がそろって下落。リミックスポイント、gumi、メタプラネットなど暗号資産関連の多くが売りに押された。好地合いの中でディフェンシブ系の業種は敬遠されており、住友ファーマや中外製薬など薬品株が軟調。米国で再生エネルギー関連銘柄が急落したことを嫌気してエヌピーシーが大幅安となった。
日経平均は3日続伸。米国株安を受けて下落して始まったものの、場中の動きは非常に強かった。日本は中東の地政学リスクが他の地域に比べて小さいとの見方から資金が入っているとの見方もある。5月以降、何度か上を試したものの38500円近辺では押し戻されていたが、きょうは38800円台まで水準を切り上げた。直近3営業日で1000円近く上昇しており、反動売りが出てきたとしても健全な調整と受け止められる公算が大きい。売り方には分が悪く、上を試しやすい環境が整ってきた。
本日の米国市場ではFOMCの結果を消化する。米国は19日が休場で、本日の値動きが週後半の日本株に大きな影響を与える可能性がある。ただ、政策変更はないとみられており、地政学リスクが高まっているこの局面では、FRBからのメッセージもマーケットに配慮したものになると思われる。円高が急速に進行してしまうとやっかいだが、それ以外のケースでは、日本株にそれほど悪い流れにはならないだろう。米国株が上昇し、ドル円が円安に振れるようなら、あすは39000円超えからのスタートもあり得る。主力どころの銘柄の個別チャートを見ても過熱感が強いものは少ないだけに、FOMCを消化して一段高の展開に期待したい。
(18日終値)
ドル・円相場:1ドル=145.13円(前営業日比▲0.16円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=166.62円(▲0.17円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1480ドル(横ばい)
ダウ工業株30種平均:42171.66ドル(▲44.14ドル)
ナスダック総合株価指数:19546.27(△25.18)
10年物米国債利回り:4.39%(横ばい)
WTI原油先物7月限:1バレル=75.14ドル(△0.30ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3408.1ドル(△1.2ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
MBA住宅ローン申請指数
(前週比) ▲2.6% 12.5%
5月米住宅着工件数
125.6万件 139.2万件・改
建設許可件数
139.3万件 142.2万件・改
前週分の米新規失業保険申請件数
24.5万件 25.0万件・改
米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利
4.25-4.50%で据え置き 4.25-4.50%
4月対米証券投資動向
短期債を含む ▲142億ドル 2531億ドル・改
短期債を除く ▲78億ドル 1624億ドル・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は4日ぶりに反落。トランプ米大統領が「イランからの接触があった」「イランは交渉を望んでいる」などと発言すると、中東情勢を巡る過度な警戒が後退。原油先物価格が失速し、米国株相場が上昇、全般ドル売りが優勢となった。
米連邦準備理事会(FRB)は今日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で市場予想通り政策金利を4.25-4.50%で据え置くことを決めたと発表。声明では「経済の見通しを巡る不確実性は低下したものの、依然として高い」との見解が示され、「失業率とインフレ率の上昇リスクが高まった」との文言を削除した。
同時に公表されたFOMCメンバーの金利見通し(ドット・プロット)では、2025年末時点の中央値が3.875%で据え置かれ、年内の利下げ回数が2回と前回の想定が維持された。一方、26年・27年末時点の金利見通しは上方修正された。
FOMC結果公表直後はドル売りで反応し一時144.34円と日通し安値を付けたが、すぐに持ち直した。パウエルFRB議長が会見で「労働市場の状況は引き続き堅調」「調整を行う前に、より詳細な情報が得られるまで待つのが適切」「労働市場は利下げを強く求めていない」と述べ、改めて早期利下げに慎重な見方を示したことから、全般ドルを買い戻す動きが広がった。4時30分前には145.23円付近まで値を上げた。
・ユーロドルは横ばい。トランプ米大統領の発言が伝わると、足もとで進んでいた「株安・原油高・ドル高」を巻き戻す動きが優勢となり、一時1.1530ドルと日通し高値を更新した。
ただ、パウエルFRB議長がFOMC後の記者会見で利下げを急がない姿勢を示すと全般ドル買いが優勢に。一時4.33%台まで低下した米10年債利回りが4.40%台まで上昇したことも相場の重しとなり、4時過ぎに1.1461ドルと日通し安値を付けた。
・ユーロ円は続落。ただ、NY市場に限れば狭い範囲内での推移にとどまった。ドル相場となったためユーロ円自体は方向感が出にくい状況だった。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は小幅ながら続落。トランプ米大統領の発言を受けて中東情勢を巡る過度な警戒が後退すると買いが先行したものの、終盤失速した。パウエルFRB議長がFOMC後の記者会見で利下げを急がない姿勢を示したことから売りが強まった。
一方、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は小反発した。
・米国債券相場で長期ゾーンは横ばい。FOMC結果公表直後は買いが入ったものの、パウエルFRB議長が会見で利下げを急がない姿勢を示すと一転売りが優勢となり値を消した。
・原油先物相場は続伸。イスラエル・イラン紛争の激化懸念を背景とし、76ドル前半まで買いが先行。しかしながら、トランプ米大統領が「イランは交渉を望んでいる」などと発言すると、過度な警戒感の後退で73ドル割れまで急落した。もっともその後、核交渉の仲介国オマーンにイラン交渉団が到着したとの報道が否定されると、中東情勢の先行き不透明感の深まりで75ドル台を回復して終えた。
・金先物相場は小幅に反発。為替市場がドル高に振れた場面では、割高感が生じた「ドル建てで取引される金」に売りが入ったものの、一転ドル安に傾くとともに下げ渋った。FOMCの結果公表を控え、一巡後は様子見ムードが広がった。
18日09:36 カーニー加首相
「第三国を経由した鉄鋼流入のリスクを検証」
「トランプ大統領から51番目の州については言及されていない」
「鉄鋼のダンピングから自国産業を守るためのセーフガード(緊急輸入制限措置)を積極的に検討」
18日16:36 リクスバンク(スウェーデン中銀)声明
「政策金利の見通しには年内にさらなる引き下げが行われる可能性がある程度含まれている」
「インフレと経済活動の見通しは不透明」
「新たな情報とそれがインフレと経済活動の見通しにどのような影響を与えると予想されるかによって、今後の金融政策の策定が左右される」
18日17:35 パネッタ伊中銀総裁
「ECBは金融政策の明確な方針を事前に約束しない」
「ECBは引き続き会合ごとに決定を下す」
「マクロ経済リスクは米関税政策やイスラエル・イラン紛争から生じている」
18日23:05 トランプ米大統領
「イランからの接触があった」
「イランはホワイトハウスを訪問すると示唆した」
「イランは交渉を望んでいる」
「(イランとの交渉)今と1週間前では大きな違いがある」
「パウエルFRB議長はおそらく今日は利下げしないだろう」
「(FF金利)2.5ポイント引き下げられれば良いことだ」
19日04:26
「イランに関してまだ決断を下していない」
「ネタニヤフ首相と話し合っている」
「中東紛争をできるだけ早く終結させることが目標だ」
「イランとの対話の扉を閉めたわけではない」
「イラン核開発を阻止するには戦闘が必要になる可能性も」
19日00:18 マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁
「コアCPIの上昇は関税に伴う新たなコストを反映している可能性」
「関税は輸出と雇用に重くのしかかっていた」
「米加合意が成立するまで、CPIは関税による上昇圧力に直面」
「インフレ見通しは複雑」
「関税問題をインフレ問題にしてはならない」
「米国との自由貿易はカナダの雇用と成長にとって不可欠」
19日01:06 イランのアラグチ外相
「オマーンにはいかなる交渉代表団も派遣していない」
※時間は日本時間
19日03:00 米連邦公開市場委員会(FOMC)声明
「純輸出の変動がデータに影響を与えているものの、最近の指標は経済活動が引き続き堅調なペースで拡大していることを示している」
「失業率は低水準を維持し、労働市場の状況は堅調」
「インフレ率は依然やや高止まりしている」
「委員会は雇用最大化と長期的な2%のインフレ率の達成を目指す」
「経済見通しに関する不確実性は低下したものの、依然として高い水準にある」
「委員会は2つの使命の両面に対するリスクを注視している」
「目標を支援するため、委員会はFF金利の目標誘導レンジを4.25-4.50%に維持することを決定した」
「FF金利の目標誘導レンジに対する追加調整の程度と時期を検討するに当たり、委員会は今後もたらされるデータ、変化する見通し、リスクのバランスを慎重に評価する」
「委員会は引き続き国債、政府機関債、およびエージェンシーローン担保証券の削減を続ける」
「委員会は雇用最大化を支援し、インフレ率を2%の目標に戻すことに強く取り組む」
「金融政策の適切な姿勢を評価するに当たり、委員会は今後もたらされる経済見通しに関する情報の意味を引き続き監視する」
「もしも委員会の目標の達成を妨げる可能性があるリスクが生じた場合、委員会は金融政策の姿勢を適切に調整する準備がある」
「委員会の評価は、労働市場の状況、インフレ圧力、インフレ期待、金融と世界の動向を含む幅広い情報を考慮する」
「今回の金融政策決定は全会一致」
19日03:34 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長
「労働市場の状況は引き続き堅調」
「純輸出の異例の変動がGDPの算出を複雑化」
「センチメントが支出にどう影響するかはまだ分からない」
「インフレ率は低下しているが、目標を上回っている」
「現状政策の姿勢は対応に優れている」
「長期指標の大半は目標と整合」
「短期指標への期待は最近上昇」
「調査では関税が依然としてインフレ懸念を煽っている」
「関税引き上げは物価上昇につながる可能性が高い」
「貿易政策や財政政策の変更は依然として不透明」
「失業率は低水準で、狭い範囲にとどまっている」
「個々の予測は不確実性に左右される」
「FRBは一時的なインフレが定着しないように努める」
「調整を行う前に、より詳細な情報が得られるまで待つのが適切」
「FRBの2つの使命は矛盾する可能性がある」
「関税の影響は一部現れ始めているが、さらなる影響を予想」
「関税がインフレに及ぼす影響はより根強い可能性も」
「コアサービス価格の冷え込みがインフレ抑制に貢献」
「インフレ指標の抑制は住宅市場の冷え込みも一因」
「多くの企業が関税コストの転嫁を見込んでいる」
「ドットプロットなどのコミュニケーションツールの強化を検討」
「5カ年枠組み見直しは継続、FRBの政策とコミュニケーションに関する議論も」
「関税変更にリアルタイムで対応している」
「経済の不確実性は低下したが、依然として高い」
「FRBの予測は、成長率の鈍化とインフレ率の上昇へと向かっている」
「詳細が明らかになるにつれ、現状維持が適切だと考えている」
「関税によるインフレの影響は一時的なものとは考えられない」
「関税が最終消費者に波及するまでに時間がかかる」
「今後数カ月で相当なインフレが到来すると予想している」
「利下げが適切になる状況に到達する可能性は高い」
「金利軌道に強い確信を持っている人はいない」
「労働市場は利下げを強く求めていない」
「金融政策は将来を見据えたものでなければならない」
「判断する前に、関税が情報に及ぼす影響を確認したい」
※時間は日本時間
18日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米連邦公開市場委員会(FOMC)声明公表後に一時144.34円まで下落した後、パウエルFRB議長が早期利下げに慎重な見方を示したことで145.23円付近まで値を上げた。ユーロドルは1.1530ドルまで上昇した後、1.1461ドルまで下落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、中東情勢緊迫化を受けた有事のドル買いや原油価格上昇を受けた円売りで、上値抵抗水準となっている日足一目均衡表・雲の上限145.55円の突破を視野に入れた展開が予想される。
米連邦公開市場委員会(FOMC)では、予想通りにFF金利誘導目標が4.25-50%に据え置かれ、ドット・プロット(金利予測分布図)では、年内の利下げ見通しが3月同様に2回(2×0.25%)に据え置かれた。しかし、年内の利下げは不要との見方を示したのは7人となり、3月の4人から増加していた。
声明では、年内に利下げが実施される公算が依然大きいとしつつも、トランプ政権の関税措置によるインフレ上昇見通しを踏まえ、今後の全体的な利下げペース鈍化の可能性が示唆された。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、年内の利下げは9月FOMC(▲0.25%)と12月FOMC(▲0.25%)の2回となっており、ドット・プロットと整合的となっている。
中東情勢に関しては、トランプ米大統領がイランに無条件降伏を勧告したものの、イラン最高指導者ハメネイ師は拒否して徹底抗戦を主張している。また、トランプ米大統領は、ネタニヤフ・イスラエル首相に対してイラン攻撃の継続を促したが、米軍の参加は示唆しておらず、本日も関連ヘッドラインを注視していくことになる。
かつて1991年1月17日の湾岸戦争で、アメリカ軍を主力とする多国籍軍がイラクに空爆を開始した時は、ドル円は138円の高値から132円まで下落し、2月28日の戦闘終了にかけて、127円台まで下落しており、米軍による介入は、必ずしも「有事のドル買い」とはならないことも念頭に置いておきたい。
10時30分に発表される5月豪雇用統計の予想は、失業率が4.1%で4月と変わらず、新規雇用者数が前月比+2.25万人で、4月の同比+5.95万人からの増加幅の減少が見込まれている。
豪準備銀行(RBA)理事会は、5月20日、1-3月期豪GDPが前期比+0.2%に留まったことなどを受けて、政策金利であるオフィシャル・キャッシュレートの誘導目標を4.10%から2年ぶり低水準の3.85%に引き下げる決定を行った。
声明では、グローバルな不確実性を理由に挙げて、国内経済活動が悪化すれば「断固とした対応」を取る用意を示唆したことで、雇用統計次第では、7月の次回会合で、政策金利を0.25ポイント引き下げて、3.60%とする可能性が高まることになる。
日経225先物は11時30分時点、前日比280円高の3万8790円(+0.72%)前後で推移。寄り付きは3万8240円と、シカゴ日経平均先物(3万8230円)にサヤ寄せする形で、売りが先行して始まった。ただし、寄り付きを安値に上へのバイアスが強まり、現物の寄り付き時にはプラス圏を回復。その後、3万8500円~3万8600円辺りでの保ち合いをみせていたが、中盤以降にレンジを上抜け、終盤にかけて3万8810円まで上げ幅を広げている。
朝方は中東情勢が一段と緊迫することへの警戒から売りが先行したものの、ボリンジャーバンドの+1σ(3万8260円)水準が支持線として機能する形から反転し、+2σ(3万8700円)を突破してきた。寄り付き後の急速な切り返しによってショートカバーの動きも強まったとみられる。+2σを突破してきたことで過熱感は警戒されるものの、ヘッジ対応の動きが意識されやすいため、ショートは控えておきたい。瞬間的には+3σ(3万9150円)辺りが意識されてくる可能性はありそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.83倍と横ばいで推移。朝方は13.79倍に低下する場面もみられたが、その後の切り返しにより、一時13.84倍とプラス圏を回復。+1σ(13.76倍)と+2σ(13.85倍)とのレンジ内での推移を継続している。
大阪9月限
日経225先物 38850 +340 (+0.88%)
TOPIX先物 2807.0 +22.5 (+0.80%)
日経225先物(6月限)は前日340円高の3万8850円で取引を終了。寄り付きは3万8240円とシカゴ日経平均先物(3万8230円)にサヤ寄せする形で、売りが先行した。ただし、寄り付きを安値に上へのバイアスが強まり、現物の寄り付き時にはプラス圏を回復。その後、3万8500円~3万8600円辺りで保ち合いをみせていたが、前場中盤以降にレンジを上抜け、前場終盤にかけて3万8810円まで上げ幅を広げた。午後の取引では膠着感が強まったものの3万8740円~3万8840円と高値圏で保ち合い、終盤にかけてこのレンジを上抜き3万8880円まで買われる場面もみられた。
朝方は中東情勢の緊迫化を警戒して売りが先行したが、ボリンジャーバンドの+1σ(3万8260円)水準が支持線として機能する形で反転し、+2σ(3万8700円)を突破した。寄り付き後の急速な切り返しによってショートカバーの動きも強まったとみられる。+2σを突破してきたことで過熱感は警戒されたが、ヘッジ対応の動きが意識されやすいなかで、+3σ(3万9150円)に接近する動きをみせている。
バンドは緩やかに拡大しており、ナイトセッションでは+2σが3万8850円、+3σは3万9350円処で推移している。+2σの上昇に沿ったトレンドを形成してくるようだと、ピーク感はそれほど強まらないだろう。週足では+1σ(3万8250円)突破から+2σ(3万9870円)が意識されてくる可能性があり、短期的な過熱を警戒しつつも先高期待は強く、押し目狙いのスタンスに向かわせそうだ。
また、地政学リスクが警戒され、米連邦公開市場(FOMC)を控えるなかでも強い値動きが継続しており、仕掛け的な動きというよりも、実需の資金流入とみられる。6月第1週(6月2日-6日)時点での海外投資家の売買動向は、現物と先物合算で8週連続の買い越しである。5月半ばの戻り高値(3万8760円)を明確に突破してきたことで、ヘッジファンドなどによるカバーの動きが本格化することも意識されてこよう。
NT倍率は先物中心限月で13.84倍に上昇した。朝方は13.79倍に低下する場面もみられたが、その後は切り返してプラス圏を回復。ほぼ、前日の値幅での推移であり、+1σ(13.76倍)と+2σ(13.85倍)によるレンジ内での動きだった。週足では26週移動平均線(13.87倍)に接近しており、同線を突破してくるようだと、52週線(14.06倍)を射程に入れたNTロングに振れやすくなりそうである。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万7876枚、ソシエテジェネラル証券が1万0894枚、バークレイズ証券が2783枚、サスケハナ・ホンコン証券が2538枚、モルガンMUFG証券が1759枚、JPモルガン証券が1644枚、日産証券が1451枚、野村証券が1329枚、ゴールドマン証券が1301枚、みずほ証券が1276枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が1万5004枚、ソシエテジェネラル証券が1万3904枚、バークレイズ証券が4319枚、JPモルガン証券が2831枚、ゴールドマン証券が2618枚、モルガンMUFG証券が2270枚、ビーオブエー証券が1718枚、UBS証券が1660枚、みずほ証券が1116枚、SMBC日興証券が1109枚だった。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 38210 -300 (-0.77%)
TOPIX先物 2768.5 -16.0 (-0.57%)
シカゴ日経平均先物 38230 -280
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
17日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落。イスラエルとイランの軍事衝突を巡り、トランプ米大統領が自身のSNSにイランに対する忍耐を失いつつあるとして「無条件降伏」を求めた。米軍によるイラン攻撃を選択肢として検討しているとも報じられ、米国の軍事介入により中東情勢が一段と緊迫することへの警戒が広がった。トランプ大統領は「停戦ではなく、完全な終結」と述べており、米政府の関与を巡って緊張が高まった。
5月の米小売売上高が前月比0.9%減と、市場予想(0.6%減程度)以上に落ち込んだことも重荷になった。関税引き上げ前の駆け込み的な消費が一巡し、「減速を示唆した」と受け止められたようだ。
S&P500業種別指数はエネルギーのみが上昇した一方で、自動車・同部品、耐久消費財・アパレル、医薬品・バイオテクノロジー、電気通信サービス、運輸の弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、シェブロン<CVX>、ビザ<V>、IBM<IBM>、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>が買われた。半面、メルク<MRK>、ナイキ<NKE>、スリーエム<MMM>、アムジェン<AMGN>、ジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ>が軟調。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比280円安の3万8230円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比80円安の3万8430円で始まった。3万8260円まで下げた後は持ち直し、米国市場の取引開始直後には3万8450円まで下落幅を縮める場面もみられた。ただし、終盤にかけて下へのバイアスが強まり、3万8200円まで下げ幅を広げ、3万8210円とナイトセッションの安値圏で取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、売り先行で始まることになろう。前日はトランプ大統領が中東情勢への対応を理由にG7サミットの予定を切り上げて帰国したことで、イスラエルとイランの停戦に向けた思惑などがロングに向かわせていた。ただ、本日は米政府の関与による戦争激化への警戒感がリスク回避姿勢につながりそうである。
米連邦準備理事会(FRB)が18日まで開く米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果やパウエルFRB議長の記者会見を見極めたいとして積極的な売買を手控える動きもありそうだ。FOMCでは四半期ごとの経済予測とドットチャートを公表する予定である。原油価格の高騰によるインフレ再燃によって、年内2回の利下げ予想を織り込んでいる状況が後退する可能性については注意しておきたい。
日経225先物はナイトセッションで3万8200円まで売られたが、ボリンジャーバンドの+1σ(3万8200円)水準で下げ止まる形だった。前日の上昇で+2σ(3万8610円)を捉えてきたこともあり、短期的には過熱感が意識されていたため、過熱を冷ます調整の範囲内である。+1σを割り込んできたとしても、中心値となる25日移動平均線(3万7790円)が支持線として意識されやすく、押し目狙いのロング対応に向かわせよう。
FOMCの結果待ちのなかでポジションを傾けにくい状況でもあり、短期的にショートが強まる局面では、その後のショートカバー狙いのスタンスになりそうだ。そのため、+2σを中心にオプション権利行使価格の3万7875円から3万8625円のレンジを想定する。
17日の米VIX指数は21.60(16日は19.11)に上昇した。地政学リスクの高まりから再び25日線(18.79)、200日線(19.65)を上回ってきた。ただし、依然としてボトム圏での推移であるため、75日線(23.69)辺りを明確に上抜けてくるまでは、リスク回避姿勢はそれほど強まらないだろう。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.83倍に上昇した。一時13.85倍をつけており、5月14日の13.86倍に迫っている。+2σ(13.85倍)を捉えてきたことで、いったんはリバランスに伴うNTロングを巻き戻す動きを意識しておきたいところである。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 38650 -200 (-0.51%)
TOPIX先物 2795.5 -11.5 (-0.40%)
シカゴ日経平均先物 38640 -210
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
18日の米国市場は、NYダウ、 S&P500が下落した一方で、ナスダックは上昇。米連邦準備理事会(FRB)は18日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、予想通り政策金利を据え置いた。四半期ごとの経済予測とドットチャートでは、2025年末の予想中央値は0.25%の利下げ2回を示す水準を維持した。パウエルFRB議長が会見で、利下げを急がない姿勢を示したことから売りが強まった。
トランプ米大統領がイラン攻撃について「やるかもしれないし、やらないかもしれない」と述べたほか、イランの最高指導者ハメネイ師がイランは降伏しないと言明するなど、中東情勢を巡る緊張の高まりも重荷になった。
S&P500業種別指数は、銀行、自動車・同部品、半導体・同製造装置が上昇した半面、小売、メディア、エネルギーの弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、JPモルガン・チェース<JPM>、メルク<MRK>、アメリカン・エキスプレス<AXP>、エヌビディア<NVDA>が買われた。一方で、ビザ<V>、ボーイング<BA>、セールスフォース<CRM>、ジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>が軟調。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比210円安の3万8640円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比変わらずの3万8850円で始まった。直後につけた3万8950円を高値に軟化し、3万8560円まで売られた。米国市場の取引開始直後には3万8800円まで下落幅を縮める場面もみられたが、終盤にかけては3万8560円~3万8780円辺りで保ち合い、3万8650円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや売り先行で始まることになろう。ナイトセッションで一時3万8950円まで買われる場面もみられたが、その後はボリンジャーバンドの+2σ(3万8810円)を下回っての推移が目立っており、短期的な過熱感が警戒されるなかで、同バンドを挟んでの推移になりそうだ。
ただし、FOMCは予想通りの内容だったこともあり、イベント通過によって押し目狙いのロング対応は継続。米国ではエヌビディアなど半導体株の一角が買われたこともあり、アドバンテスト<6857.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株の支援材料になりそうだ。相対的に日経平均型優位の展開が意識されやすい。
そのため、オプション権利行使価格の3万8500円から3万9000円のレンジを想定する。足もとでは日経平均型のインデックス買いが断続的に入っている状況が目立っており、底堅さがみられる局面ではショートカバーを誘う動きが意識されそうである。
一方で、中東情勢を巡る報道には注意が必要である。一部メディアは「トランプ大統領がイラン攻撃計画を承認した」と伝えている。最終命令は保留しているようだが、関連する報道内容次第ではアルゴリズム発動のトリガーとなる可能性はありそうだ。
18日の米VIX指数は20.14(17日は21.60)に低下した。小動きではあるが、25日移動平均線(18.85)、200日線(19.63)を上回っての推移になった。依然としてボトム圏での推移ではあるものの、中東情勢の緊迫化からリスク選好に向かいにくいところである。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.84倍に上昇した。朝方は13.79倍に低下する場面もみられたが、その後の切り返しによりプラス圏を回復。ほぼ、前日の値幅での推移であり、+1σ(13.76倍)と+2σ(13.85倍)によるレンジ内での動きだった。+2σ水準ではリバランスに伴うNTロングの巻き戻しが意識される一方で、週足では26週線(13.87倍)に接近している。同線を突破してくるようだと、52週線(14.06倍)を射程に入れたNTロングに振れやすくなりそうだ。
東京市場は小動きか。米国株はまちまち。ダウ平均とS&P500が下落して、ナスダックが上昇した。ダウ平均は44ドル安の42171ドルで取引を終えた。3指数ともプラス圏で推移する時間が長かったが、終盤に失速する展開。FOMCでは大方の予想通り、政策金利が据え置かれた。利下げ見通しは年内2回が維持された。サプライズに乏しい内容ではあったが、早期の利下げに対する期待が高まらない中、翌日の休場を前に引けにかけて値を消した。ドル円は足元144円90銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが210円安の38640円、ドル建てが105円安の38745円で取引を終えた。
米国株、ドル円、米長期金利のいずれも大きな動きは出ておらず、FOMCは波乱なく消化した。米国株の引け味が悪かったことから日本株は売りが先行するとみるが、下値は堅いと予想する。一方、本日の米国が休場であすの材料難が予想されるだけに、動きが良くなれば、きのうまでの上昇に対する利益確定売りは出てきやすい。トランプ大統領がイランの核施設攻撃を検討しているといったニュースも伝わっており、ここからの上値追いには慎重になるとみる。上にも下にも値幅は出づらく、現状近辺での一進一退が続くだろう。日経平均の予想レンジは38650-38950円。
米国は今週末にもイラン攻撃の可能性を検討していると米当局者の話として一部通信社が報じた。
昨日の海外市場では、FOMCが予想通り政策金利の据置きを決定。声明文では「経済見通しの不確実性は低下したものの、依然として高い」との表現に変更されたほか、「失業率とインフレの上昇リスクが高まった」との文言が削除されました。また、「経済・金利見通し」では、注目のドットプロットの2025年末の中央値は3月から修正なし。ただ、2026年末、2027年末についてはそれぞれ上方修正することになりました。市場の反応は今年の利下げ回数が2回から1回のレベルに引き上げられるとの憶測もあっただけにドル売りの反応となったものの、その直後から米長期金利が一転して上昇するにつれてドル買戻しの動きに。ドル円は144.34円まで値を下げたあと、145.23円まで買戻されてNY市場を終えています。
市場では「2025年末の中央値に変更はなかったとはいえ、利下げなしの予想が4人から7人に大幅増加しているなど、明らかに全体的に押し上げられている」との声も聞かれているほか、パウエルFRB議長の定例記者会見でも、明らかに待つ姿勢を鮮明にしており、関税がもたらすインフレ率の上昇などをまだまだ見極める時期であることが強調されました。
いずれにしても、市場の視線はトランプ米大統領がイラン空爆のゴーサインを出すかどうかに集まっているわけで、本日もシチュエーションルームで協議された模様ですが、「既に空爆計画は承認されており、最終の攻撃命令待ち」となっている模様。一部では「攻撃の時期として今週末が視野に入っている」とも伝えられているなか、市場も神経質な動きを繰返しているといったところです。
何度かお伝えしている通り、イーロンマスクとの喧嘩別れを分岐点として、米政府内のパワーバランスがひっくり返った可能性が高く、昨日もイラン空爆実施の際には辞任の意向が伝えられているギャバード米国家情報長官が3月に行った「イランは核兵器を製造していない」との議会証言を無視してしまうことになるといった事態。4月2日のリベレーションデーから本日のジューンティーンスデーを迎えるにあたって、解放の持つ意味合いは、アメリカファーストから大きく変わろうとしています。
ドル円は、有事のドル買いやリスクオフの入り混じる整合性なき動きを続けていますが、はっきりしていることは、この不確実性極まるなかで、市場に溜め込まれたトランプシフトとしての円ロングからの解放が進んでいます。
日経225先物は11時30分時点、前日比280円安の3万8570円(-0.72%)前後で推移。寄り付きは3万8670円と、シカゴ日経平均先物(3万8640円)にサヤ寄せする形で、売りが先行して始まった。現物の寄り付き時に3万8840円まで下げ幅を縮めたがプラス圏を回復できず、中盤にかけてショート優勢の流れとなり、一時3万8460円まで下げ幅を広げた。売り一巡後は3万8550円を挟んだ狭いレンジでの推移を継続。
米当局は近日中にイランを攻撃する可能性に備えていると報じられるなど、中東情勢が一段と緊迫化しているとの警戒から持ち高調整に伴うロング解消に向かわせたようだ。ただし、ボリンジャーバンドの+1σ(3万8320円)と+2σ(3万8800円)での推移である。+2σ水準で過熱感が警戒されていたこともあって、利食いは入りやすかったとみられる。積極的にショートを仕掛けてくる動きはなく、押し目待ち狙いのロング対応に向かわせよう。
NT倍率は先物中心限月で13.82倍に低下した。+1σ(13.76倍)と+2σ(13.86倍)での推移を継続。半導体株の一角に利食いの動きがみられたが、東証プライムの6割近い銘柄が下げているなかで、NTロングを巻き戻す動きは強まっていない。
一部通信社によると、2025年度国債発行計画の修正案が判明し、20年・30年・40年債の発行額を7月からそれぞれ1000億円減額する方針だという。20年債は月9000億円、年間11兆1000億円、30年債は月7000億円、年間8兆7000億円、40年債は1回4000億円、年間2兆5000億円に減額。短期債と2年債で補う方針で10月から増発予定だ
「パウエルFRB議長は、いつも遅すぎる。職務を粗末に遂行している」
(トランプ米大統領)
6月17-18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、トランプ関税による「不確実性(uncertainty)」を理由に、4会合連続での政策金利の据え置き(4.25-50%)を全員一致で決定した。声明文からは、関税スタグフレーション(higher unemployment and higher inflation)への警戒文言が削除された。
1. FOMCの金融緩和(2024年~)
【FF金利誘導目標】 【CPI】 【PCE】
・2024年9月:4.75%~5.00%(第1次利下げ)▲0.50% +2.5% +2.5%
・2024年11月:4.50%~4.75%(第2次利下げ)▲0.25% +2.4% +2.1%
・2024年12月:4.25%~4.50%(第3次利下げ)▲0.25% +2.7% +2.3%
・2025年1月:4.25%~4.50%(据え置き)
・2025年3月:4.25%~4.50%(据え置き)
・2025年5月:4.25%~4.50%(据え置き)
・2025年6月:4.25%~4.50%(据え置き)
2. FOMC声明:関税スタグフレーションへの警戒文言を削除
・「経済見通しを巡る不確実性は低下したものの、依然高いままだ」
※削除「失業増加とインフレ加速のリスクは高まった」
・「失業率は引き続き低水準にあり、労働市場の状況はなお堅調」
・「今後もたらされる経済見通しに関する情報の意味を引き続き監視する」
・「目標の達成を妨げる可能性があるリスクが生じた場合、委員会は金融政策の姿勢を適切に調整する準備がある」
・「労働市場の状況、インフレ圧力やインフレ期待を示す各指標のほか、金融・国際情勢などを幅広く考慮して判断する」
■ドット・プロット(金利予測分布図)
・年内2回の利下げを見込む(▲0.25%×2=▲0.50%=FF金利3.75-4.00%)
・年内の利下げ回数をゼロと予想:7人(3月時点では4人)
・年内利下げ回数1回:2人
■シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループの「フェドウオッチ」
・9月FOMC(▲0.25%=4.00-25%)
・12月FOMC(▲0.25%=3.75-4.00%)
3.パウエルFRB議長:不確実性が高まっている
「政策スタンスの調整を検討する前に、経済の見通しについてより多くの情報を待てる状況にある。FRBは入手される情報に反応する態勢にある」
「インフレは目標を若干上回って推移している」
「FRBはイスラエルとイランの紛争を注視。エネルギー価格の上昇は避けられないものの、インフレへの長期的な影響は小さいと予想」
「関税の影響はレベルによって異なるが、年内の関税引き上げは経済活動を圧迫し、インフレを押し上げる可能性が高い」
「インフレを引き下げるためには金利を高水準に維持する必要がある。現在の政策は緩やかに制約的」
「FRB政策担当者の予測は不確実性に左右され、その不確実性は通常よりも高まっている」
本日のロンドン為替市場のポンドドルは、中東情勢に関するヘッドラインや原油価格の動向を注視しながら、イングランド銀行金融政策委員会(MPC)の結果に注目する展開が予想される。
イングランド銀行金融政策委員会(MPC)では、政策金利(4.25%)の据え置きが予想されている。
前回の会合では、5人が0.25%の利下げを支持、2人が0.50%の利下げを支持、2人が据え置きを支持と3通りに分かれており、ベイリーBOE総裁が「全ての会合がライブ」と述べていたことで、予断を許さない状況となっている。
5月英消費者物価指数は、前年比+3.4%と予想の同比+3.3%を上回ったものの、4月の同比3.5%から伸び率が鈍化し、2-4月失業率は4.6%と前回の4.5%からやや上昇、平均賃金は前年比+5.2%と7カ月ぶりの低水準となっていた。
中東情勢に関しては、トランプ米大統領が「イラン核開発を阻止するには戦闘が必要になる可能性」に言及して、ネタニヤフ首相に対してイラン攻撃の継続を促しつつも、米国の孤立主義と介入主義の狭間で、イラン攻撃への参加を明言していない。
しかし、「トランプ米大統領はイラン攻撃計画を承認した」(WSJ紙報道)や「米国は近日中(in the coming days)にもイラン攻撃の可能性を検討している」と米当局者の話として一部通信社が報じており、本日も関連ヘッドラインに警戒しておきたい。
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1631ドル(6/12高値)
・ユーロ円:167.61円(6/17高値)
・ポンドドル:1.3632ドル(6/13高値)
・ポンド円:196.85円(6/17高値)
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.1381ドル(日足一目均衡表・基準線)
・ユーロ円:165.91円(6/16安値)
・ポンドドル:1.3335ドル(5/20安値)
・ポンド円:193.27円(6/5安値)
ドル円:1ドル=145.11円(前営業日NY終値比▲0.02円)
ユーロ円:1ユーロ=166.24円(▲0.38円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1456ドル(▲0.0024ドル)
日経平均株価:38488.34円(前営業日比▲396.81円)
東証株価指数(TOPIX):2792.08(▲16.27)
債券先物9月物:139.33円(△0.47円)
新発10年物国債利回り:1.410%(▲0.045%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
対外対内証券売買契約等の状況(前週)
対外中長期債
1兆5713億円の取得超 4536億円の処分超・改
対内株式
4734億円の取得超 1798億円の所得超・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は下値が堅い。朝方から売りに押されて144.74円まで下押す場面があったが、その後は145.36円まで買い戻しが入った。関係者筋の話として「米当局者らは数日以内にイランに攻撃する可能性に備えている」との報道が伝わり、為替市場では「有事のドル買い」が優勢に。ただ、中東関連の続報が伝わらなかったほか、本日は米国市場が休場で取引参加者の減少が見込まれていることもあり、積極的に持ち高を傾ける展開にはならなかった。
・ユーロドルは小安い。中東の地政学リスクを意識したドル買いに押される展開となり、昨日安値の1.1461ドルを下抜けて、15時30分過ぎには1.1447ドルまで値を下げた。
・ユーロ円は売りが一服。日本株安を手掛かりにした売りが進み、一時166.04円まで値を下げた。もっとも、その後はドル円の買い戻しなどの影響もあり、166.40円台まで下げ渋った。
・日経平均株価は4営業日ぶりに反落。中東情勢の緊迫化が投資家心理を冷やした。半導体関連株を中心に幅広い銘柄が売りに押されたほか、戻り待ちの売りや利益確定目的の売りも上値を抑制。指数は400円近く下落して、この日の安値で取引を終えた。
・債券先物相場は続伸。米国が近日中にイランを攻撃する可能性があるとの報道が伝わり、安全資産とされる債券を買う動きが優勢となった。なお、この日実施された5年物国債入札は波乱のない結果となった。
BNPパリバ証券では、トランプ関税は発動したが、日本の輸出は5月も概ね「無風」であったとコメント。5月の実質輸出は前月比-0.1%、4-5月平均では1Q対比 +0.1%とほぼ横ばいであった。日米交渉が上手くいかなければ7月9日から対日相互関税が14%上乗せされるため、日本企業はこれに備えて米国への「駆け込み輸出」を続けているもよう。超高関税を課された中国以外の国も、日本同様に米国への駆け込み輸出を続けているとのこと。結果的に各国の輸出や生産は底堅く推移しており、グローバルの製造業サイクルもさほど悪化していないとBNPパリバでは指摘している。
第一生命経済研究所では、7月1日に発表される6月調査の日銀短観に関して、大企業・製造業の業況判断は、3月時点の12から2ポイント悪化して10の「良い」超になると予想している。既に実行されたトランプ関税の悪影響がじわじわと表れるとみている。一方、非製造業は前回比で改善が進む(35→36)と予想。インバウンド需要が引き続き好調で、小売、飲食サービス、娯楽などの業種を押し上げている可能性が高いと考えている。
東海東京インテリジェンス・ラボでは、米長期金利(10年債利回り)についてコメントしている。米長期金利は足元4.4%前後で推移。米5月CPIでは、食品とエネルギーを除いたコア(前年比)が市場予想を下回った。10年国債入札や30年国債入札は波乱なく消化。米5月小売売上高は、関税発動前の駆け込み需要の反動減などを重しに市場予想を下回った。低調な米経済指標が散見される中、米長期金利は当面、緩やかな低下基調をたどる公算が大きいと東海東京では考えている。
大阪9月限
日経225先物 38510 -340 (-0.87%)
TOPIX先物 2791.0 -16.0 (-0.57%)
日経225先物(6月限)は前日340円安の3万8510円で取引を終了。寄り付きは3万8670円とシカゴ日経平均先物(3万8640円)にサヤ寄せする形で、売りが先行した。現物の寄り付き時に3万8840円まで下げ幅を縮めたがプラス圏を回復できず、前場中盤にかけてショート優勢となり、一時3万8460円まで下げ幅を広げた。売り一巡後は3万8550円を挟んだ狭いレンジで推移。ランチタイムで3万8610円をつけた後は、終盤にかけて3万8470円までじりじりと下げる動きだった。
米当局者は近日中にイランを攻撃する可能性に備えていると報じられるなど、中東情勢の一段の緊迫化が警戒されて持ち高調整によるロングの解消に向かわせたようだ。ただし、ボリンジャーバンドの+1σ(3万8320円)と+2σ(3万8790円)によるレンジ内での推移である。+2σ水準で過熱感が警戒されていたこともあって、利食いが入りやすかったとみられる。
また、19日の米国市場はジューンティーンス(奴隷解放記念日)で休場となるため、海外投資家のフローが限られた影響もあったと考えられる。東証プライムの売買高は14億3000万株にとどまっており、日経225先物は前場半ば以降、概ね3万8500円から3万8600円辺りでの保ち合いだったため、スキャルピング中心のトレードを余儀なくされたと考えられる。為替市場では朝方に1ドル=144円70銭台をつけたが、その後は1ドル=145円台前半での推移が続いていた。
明日は海外勢のフローが限られるなかで、中東情勢に関連した報道に振らされやすいだろう。ただ、オーバーウィークのポジションは取りづらいため、基本的には+1σと+2σによるレンジ内での推移が続きそうである。短期的にショートを仕掛けてくる動きが強まる局面では、その後のショートカバーを狙ったスタンスとみておきたい。
週間形状では+1σが3万8200円、52週移動平均線が3万7930円辺りに位置している。週末の終値で+1σを上回ってくるようだと、+2σ(3万9780円)とのレンジが意識されてくる可能性はあるだろう。
NT倍率は先物中心限月で13.79倍に低下した。半導体株の一角に利食いがみられたことで、リバランスの動きが入ったようである。ただし、6月2日の13.47倍をボトムに上昇基調が継続しているため、+2σ(13.86倍)を突破してくると、上へのバイアスが強まりそうである。そのため、+1σ(13.76倍)辺りではNTロングを組成する動きが入りやすいとみられる。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万5901枚、ソシエテジェネラル証券が9773枚、サスケハナ・ホンコン証券が2534枚、JPモルガン証券が2474枚、バークレイズ証券が1663枚、モルガンMUFG証券が1278枚、野村証券が1119枚、みずほ証券が926枚、日産証券が922枚、SBI証券が597枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が1万2174枚、ソシエテジェネラル証券が1万1503枚、バークレイズ証券が3824枚、JPモルガン証券が3218枚、モルガンMUFG証券が2658枚、ゴールドマン証券が1572枚、ビーオブエー証券が1013枚、サスケハナ・ホンコン証券が670枚、BNPパリバ証券が537枚、野村証券が505枚だった。
本日のNY為替市場では、米国がジューンティーンスのため休場となるほか、主だった経済指標の発表や要人発言も予定されておらず、市場参加者の減少が見込まれる。しかし、緊迫化したイスラエル・イラン情勢には引き続き警戒が必要であり、ドル円は不意の動き出しへの緊張感を保ちながら神経質な動きが見込まれる。
イスラエル・イラン情勢について、一部通信社が「米国は今週末にもイラン攻撃の可能性を検討」と報じるなど、米国が軍事介入に踏み切るとの懸念が根強い。万一介入する事態となれば「有事のドル買い」が一段と強まる可能性はある。ただし、1991年の湾岸戦争の際はドル円が下落した点を踏まえると、ドル売りへの備えはしておきたいところである。
プロイセンの軍人だったクラウセヴィッツは戦争論で「戦争は政治の一形態」としていた。この言葉を借りるとするならば、一方が無条件降伏とならない限り、戦争状態が終結する際は有利な立ち位置で迎えたいとの思惑が両陣営に働くことが容易に想像できる。事態終結には時間がかかるかもしれない。
その他、トランプ米大統領からの不意の発言には、引き続き注意が必要だろう。
テクニカル面では、ドル円は三角保合を上抜けたことで、目先は上値を試しやすい状況といえる。今週に入り上値を抑えている11日高値145.46円を明確に上抜けると、先月29日高値146.28円に向けた続伸もあるだろう。ただし、11日高値付近には日足・一目均衡表の雲上限が位置しており、同水準が引き続き抵抗として意識される場合は調整安にも備えておきたい。
想定レンジ上限
・ドル円は、5月29日高値146.28円
想定レンジ下限
・ドル円は、日足・一目均衡表の転換線144.13円
今晩はジューンティーンスの祝日のためNY株式市場が休場となります。
日経平均株価は反落。前日終値を意識したスタートとなり、下値を探る展開となった。前場後半は下げ渋る場面もあったが、後場は戻り切れずに安値引けで取引を終えた。
RSI(9日)は前日の76.5%→63.7%(6/19)に低下。5/13高値と5/29高値(38454円)をつないで延長した上値抵抗線を超えた後の同線への揺り戻し(リターンムーブ)が生じた格好となったが、4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇継続の判断となる。
一方、25日移動平均線(37860円 6/19)の上昇が緩やかであるほか、75日移動平均線(36668円 同)がほぼ横ばいにとどまっている。5月中旬以降のもみ合いも約1カ月と短いことで、短期的な上値余地は4万円以下に収まる想定が必要となる。
上値メドは、心理的節目の39000円、2/13高値(39581円)、心理的節目の4万円、12/27高値(40398円)などがある。下値メドは、10日移動平均線(38269円 同)、心理的節目の38000円、25日移動平均線、100日移動平均線(37243円 同)、心理的節目の37000円、75日移動平均線などがある。
(19日終値:20日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=145.51円(19日15時時点比△0.40円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=167.02円(△0.78円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1478ドル(△0.0022ドル)
FTSE100種総合株価指数:8791.80(前営業日比▲51.67)
ドイツ株式指数(DAX):23057.38(▲260.43)
10年物英国債利回り:4.530%(△0.035%)
10年物独国債利回り:2.522%(△0.025%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
スイス国立銀行(SNB、中央銀行)政策金利
0.00%に引き下げ 0.25%
ノルウェー中銀、政策金利
4.25%に引き下げ 4.50%
4月ユーロ圏建設支出
(前月比) 1.7% ▲0.2%・改
(前年比) 3.0% ▲1.3%・改
英中銀(BOE)、政策金利
4.25%で据え置き 4.25%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は底堅い。イスラエルとイランの軍事衝突を巡り米国の軍事介入が警戒される中、「有事のドル買い」が優勢になると、20時過ぎに一時145.77円と5月29日以来の高値を付けた。節目の146.00円や同日の高値146.28円が目先レジスタンスとして意識されると145.35円付近まで伸び悩む場面もあったが、下押しは限定的。24時過ぎには145.76円付近まで強含んだ。
なお、本日は米国市場がジューンティーンスで休場となったため、市場参加者は少なく商いは低調だった。
・ユーロドルは方向感に乏し展開だった。東京午後に一時1.1446ドルと日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢となり1.1487ドル付近まで持ち直した。ただ、東京午前に付けた日通し高値1.1489ドルが目先レジスタンスとして意識されると再び弱含んだ。イスラエルとイランの軍事衝突が激化し、中東情勢の更なる緊迫化が懸念される中、「株安・原油高・ドル高」の様相が強まった。1時過ぎには1.1455ドル付近まで下押しした。
・ポンドドルは英インフレ懸念がくすぶる中、3時過ぎに一時1.3460ドルと日通し高値を付けた。英中銀(BOE)はこの日、市場予想通り政策金利を現行の4.25%に据え置くことを決めたと発表。声明では「中東での衝突激化でエネルギー価格が上昇した」と指摘し、中東の地政学リスクが新たなインフレ要因として意識されていることが明らかにした。また、MPC議事要旨では「9人の政策委員のうち、ベイリー総裁を含む6人が金利据え置きに賛成し、3人が0.25%の利下げを主張した」ことが分かった。
・ユーロ円は強含み。ドル円の上昇につれた買いが入ると一時167.32円まで上昇し、17日に付けた昨年7月以来の高値167.61円に近づいた。ロンドン午後に入ると次第に値動きが鈍った。
・ノルウェークローネは下落した。ノルウェー中銀はこの日、政策金利を4.50%から4.25%に引き下げると発表。市場では金利据え置きが予想されていたため、クローネ売りで反応。対ユーロで一時11.5994クローネ、対ドルで10.1239クローネ、対円で14.40円まで値を下げた。なお、ノルウェー中銀は声明で年内の追加利下げを示唆した。
・ロンドン株式相場は反落。中東情勢が緊迫化するとの警戒感から、投資家が運用リスクを回避する姿勢を強めると株売りが優勢となった。リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株が売られたほか、HSBCやバークレイズなど金融株が値下がりした。半面、原油高を背景にBPやシェルなどエネルギー株が買われた。
・フランクフルト株式相場は3日続落。イスラエルとイランの軍事衝突が激化し、世界経済に悪影響を及ぼすとの懸念が高まる中、投資家が運用リスクを回避する姿勢を強めると売りが膨らんだ。個別ではザランド(4.36%安)やハイデルベルク・マテリアルズ(2.61%安)、アディダス(2.10%安)などの下げが目立ち、ザルトリウス(2.72%高)などを除く36銘柄が下落した。
・欧州債券相場は下落。ただ、本日は米債券市場が休場ということもあり、独国債相場は方向感に乏しい展開だった。
19日の日経平均は4日ぶり大幅反落。終値は396円安の38488円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり657/値下がり890。サンリオが全市場の売買代金トップとなって2%近い上昇。中東の地政学リスクが改めて意識される中、三菱重工やIHIなど防衛株に資金が向かった。USスチールの買収が完了したと発表した日本製鉄が商いを伴って大幅上昇。半導体株の弱さが目立つ中で、ソシオネクストには強い買いが入った。証券会社が目標株価を引き上げたセガサミーが15.3%高と急騰した。
一方、東京エレクトロン、ディスコ、SCREENなど半導体株の多くが大幅安。トヨタ、ホンダ、日産自動車など自動車株が弱かった。エクイティファイナンスを視野に入れているとの観測が伝わった川崎汽船が2.1%安。DMG森精機、日立建機、SMC、キーエンスなど、機械、FA関連に大きく下げる銘柄が多かった。
日経平均は大幅安。前日の上げ分(348円高)を吐き出す下げとなった。本日の米国が休場であすはアップサイド要因が乏しいと見込まれるだけに、下に値幅が出ても押し目を拾う動きは限られた。
あすは手がかり難の中で、今週注目度が高まった半導体株の影響を大きく受けることになりそう。中東の地政学リスクに対する警戒がそれほど高まらず、半導体株に買いが入るようなら、きょうの下げ分を取り戻す動きが見られても不思議はない。買い手不在で軟調となるケースも想定されるが、その場合は5日線(38411円、19日時点)がサポートとして機能するかどうかに注目しておきたい。
米ウォールストリートジャーナル(WSJ)紙が報じたところによると、「トランプ米大統領はイラン攻撃計画を承認した」ようだ。なお、最終命令は保留しているもよう。
イスラエル国防軍(IDF)は19日、「イランがイスラエルに新たなミサイル攻撃を開始した」と発表した。
米CBSニュースが報じたところによると、「トランプ米大統領はイランへの攻撃について最終決定を下していない」ようだ。
米国はイランの最高指導者アリ・ハメネイ師が暗殺された場合、イランが核兵器開発に踏み切る可能性が高いと考えているとニューヨーク・タイムズが報じた。また、米国はイランのフォルドウ核施設が攻撃された場合にもイランが核爆弾の開発に動く可能性が高いとみているとのこと。ホワイトハウスは「イランはすでに核兵器を製造するために必要な全てを持っており、カメネイ師の決断があれば数週間で核兵器を完成させることができる」と明言。ただし、現時点ではイランの指導部が核兵器開発の最終決断を下した証拠はないが、米国の諜報機関はイランが短期間で核兵器を製造できる準備を進めているとみている。
19日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、欧州市場で中東情勢の緊迫化を背景に「株安・原油高・ドル高」の様相が強まり145.77円まで上昇した後、レビット米ホワイトハウス報道官の発言「トランプ米大統領はイラン攻撃について2週間以内に決定する。トランプ氏はイランとの外交が依然として選択肢であると信じている」を受けて、中東情勢を巡る過度な懸念が和らいだことで145.35円付近まで下押しした。ユーロドルは、「有事のドル買い」で1.1455ドル付近まで下げた後、1.1500ドルまで反発した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、日本の5月の消費者物価指数(CPI)を見極めた後は、米軍によるイラン空爆の可能性に警戒していく展開が予想される。
ドル円の一目均衡表でのテクニカル分析では、攻防の分岐点である雲の上限145.55円付近での推移となっており、明確に上抜けていくのか、それとも抵抗帯として上値を抑えるのかを見極めていくことになる。
昨日、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙が「トランプ米大統領はイラン攻撃計画を承認した」と報じ、一部報道では、米当局者の話として「米国は、近日中(in the coming days)にイラン攻撃を準備している」と報じられたことで、空爆が開始された場合の相場動向に備えることになる。
トランプ米大統領は、昨日、「何をするべきかいくつか考えを持っているが、最終決定はしていない。私は期限の1秒前に決断を下すのが好きだ」と述べた。そして、レビット米ホワイトハウス報道官が「トランプ米大統領はイラン攻撃について2週間以内に決定する。トランプ氏はイランとの外交が依然として選択肢であると信じている」とも述べている。
トランプ米大統領は、6月11日に「2週間以内に各国に関税率を通告する」とも述べており、2週間という時間軸の下で、トランプ関税と中東有事に備えていくことになる。
1991年1月の湾岸戦争では、17日の新月の暗闇に乗じて、アメリカ軍を主力とする多国籍軍がイラクに空爆を開始した時は、ドル円は138円の高値から132円まで下落し、127円台まで続落した後、2月28日の戦闘終了時に132円台まで戻していた。
米軍による軍事紛争への介入は、必ずしも「有事のドル買い」とはならないことも念頭に置き、今月の新月25日に向けて、日柄や値動きの再現の可能性には警戒しておきたい。
8時30分に発表される5月の全国コア消費者物価指数(CPI:生鮮食品を除く)は、前年比+3.6%と予想されており、4月の同比+3.5%からの伸び率上昇が見込まれている。
予想通りならば、日銀の早期利上げ観測を高めることになるが、今週の日銀金融政策決定会合や植田日銀総裁の見解では、トランプ関税への不確実性を理由に、政策金利の据え置きを決定しており、円債市場や円相場への影響は軽微なのかもしれない。
日本の5月のインフレ率が予想通りに上昇していた場合は、15時40分から予定されている植田日銀総裁の挨拶に注目することになる。
東京市場は小動きか。米国はジューンティーンス(奴隷解放記念日)により休場。欧州株は下落した。ドル円は足元145円50銭近辺で推移している。夜間の日経平均先物は日中比60円安の38450円で取引を終えた。
手掛かり難で動きづらい展開を予想する。中東の地政学リスクが高まっていることから基本的には上値が重いとみるが、日経平均はきのう大きく下げているだけに、一段安となれば押し目買いは入りやすい。夜間の日経平均先物が小動きであることやドル円が円安に振れていることなどを踏まえると、リスクオフに傾斜するというよりは、様子見に近い動きが想定される。場中は心理的節目の38500円近辺で一進一退が続くだろう。日経平均の予想レンジは38300-38600円。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 38450 -60 (-0.15%)
TOPIX先物 2786.5 -4.5 (-0.16%)
シカゴ日経平均先物 -
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
19日の米国市場はジューンティーンス(奴隷解放日)の祝日で休場。米国による対イラン攻撃への関与についてトランプ米大統領は、「2週間以内に決断を下す」と述べたと伝えられている。欧州市場は中東情勢が一段と緊迫化しているとの警戒からリスク回避姿勢が強まり、ストックス欧州600指数は0.8%安、ドイツDAX指数が1.1%安、フランスCAC40指数は1.34%安、英FTSE100が0.5%安だった。
日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比10円安の3万8500円で始まった。その後はロング優勢のなかで3万8690円まで買われる場面もみられた。ただし、市場参加者が限られるなかで積極的な売買は手控えられ、中盤にかけて軟化し、一時3万8360円まで売られた。終盤にかけて持ち直しており、3万8450円でナイトセッションの取引を終えた。
グローベックスの米株先物はS&P500先物が0.9%安、ナスダック100先物は1.0%超の下落だったこともあり、売りが先行しやすいと考えられる。ただし、米国市場が休場で海外勢のフローは限られ、地政学リスクへの警戒から狭いレンジでの推移になりそうだ。オーバーウィークのポジションは避けられるだろうが、イラン攻撃についてトランプ大統領は2週間以内に判断を下すと述べていることで、積極的にショートを仕掛けてくる動きも限られそうである。
日経225先物はボリンジャーバンドの+1σ(3万8360円)水準で下げ止まりをみせており、+2σ(3万8850円)とのレンジ内での推移を継続している。週足では+1σが3万8190円、52週移動平均線は3万7930円辺りに位置している。これらを割り込む可能性は低いと考えられ、5月以降、終値で超えられなかった水準を上抜けて終えるとみられ、テクニカル面でのリバウンド基調は継続。
円相場は1ドル=145円台半ばで円安に振れて推移しており、1月下旬以降、上値抵抗線として機能していた13週線を上抜けてきている。円安が支援材料になる可能性も意識されやすく、スキャルピング中心のトレードとはいえ、押し目狙いのロング対応に向かわせよう。そのため、オプション権利行使価格の3万8250円から3万8750円辺りでのレンジを想定する。+1σ水準での底堅さがみられる局面においては、ややロングの動きが強まるだろう。
19日の米VIX指数は22.17(18日は20.14)に上昇した。小動きではあるが、25日線(19.02)、200日線(19.65)から上放れてきており、75日線(23.64)を突破してくる可能性は意識しておきたいところだろう。週間形状では52週線(19.04)をサポートに26週線(21.30)を上回ってきており、13週線(24.72)辺りを試す可能性もありそうだ。
日経225先物は11時30分時点、前日比90円安の3万8420円(-0.23%)前後で推移。寄り付きは3万8510円と、ナイトセッションの終値(3万8450円)を上回る形で、前日比変わらずで始まった。現物の寄り付き時につけた3万8400円をボトムにロング優勢の流れからプラス圏を回復し、中盤にかけて3万8610円まで買われた。ただし、中盤以降は急速に軟化する形で3万8330円まで下落し、その後は3万8400円を挟んだ狭いレンジで推移している。
円相場が1ドル=145円台と、前日から円安に振れて推移していることが支援材料になり、寄り付き後ほどなくして上昇に転じた。ただ、日経平均株価をけん引しているのはアドバンテスト<6857.T>[東証P]など半導体株の一角であり、東証プライム全体では値下がり銘柄数が過半数を占めている状況であるため、トレンドは強まりにくいところであろう。 ボリンジャーバンドの+1σ(3万8350円)水準では下げ渋る動きをみせており、押し目待ち狙いのロング対応に向かわせそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.80倍に上昇した。+1σ(13.76倍)と+2σ(13.86倍)での推移を継続。半導体株を中心に買われているため、+1σ接近ではNTロングを組成する動きが意識されやすい。
昨日は、ジューンティーンスの祝日で米市場が休場。当然のように狭いレンジでの取引となりました。ドル円は欧州時間に目先の戻り目処として意識されていた11日の高値145.46円を上抜けると一時145.77円まで値を上げる場面もみられましたが、LDN勢が取引を終える時間帯になるとポジション調整から145.35円まで下押し。その後も再び145.76円まで買戻されたものの、NY時間午後になってホワイトハウスのレビット報道官が「トランプ米大統領はイラン攻撃について2週間以内にも決定する。イランとの外交が依然として選択肢であると信じている」との見解を表明。更には、戦争参加反対への声が高まっていることに対して、「大統領を信頼して欲しい」とのこと。再び145.35円の安値に面合わせして19日の取引を終えました。
報道官の言葉としては、かなり異例のお願いベースの言葉となっており、いかに政権内部や米国内からの反対が強まっているかを窺うことが出来るというもの。市場では、昨日の東京時間で「今週末の攻撃を視野に入れている」との報道もあっただけに、「またTACOかよ」といった声も聞こえて来ています。
いずれにしても、イスラエルとイランとの交戦が続くなか、トランプ米大統領はイラン攻撃計画そのものは承認したものの、最終的な実行命令を保留しているわけで、時間軸が2週間と公になった今、週末も含めて、月末まで緊張感は高いまま。ジューンティーンスの祝日から週末という一つの時間軸もあれば、湾岸戦争に米軍が参加したのが新月だったことから、来週の25日の新月という時間軸も市場ではささやかれていますが、とりあえず、トランプ米大統領は週末のゴルフコースを回った後、連日、シチュエーションルームでのミーティングで判断する予定となっています。
ドル円は、アジア市場では、いかにも週末らしい凪の状態が続いていますが、目先は一目雲をしっかりと上抜けることが出来るのかどうかといったチャート的なセンチメントの変化に注目が集まっています。
本日のロンドン為替市場のポンドドルは、5月英小売売上高を見極めた後は、中東情勢に関するヘッドラインや原油価格の動向を注視していく展開が予想される。
5月英小売売上高(自動車燃料含む)は前月比▲0.5%、前年比+1.7%、(自動車燃料除く)の予想は前月比▲0.7%、前年比+1.8%と予想されており、4月分からの悪化が見込まれている。
昨日のイングランド銀行金融政策委員会(MPC)では、6対3で政策金利(4.25%)の据え置きが決定されたものの、議事要旨は、「賃金上昇が年末にかけて大幅に鈍化する」「労働市場からディスインフレ圧力がかかる兆候が強まっている」とハト派的な論調だった。
ベイリーBOE総裁も「金利は引き続き緩やかな低下軌道にある」と述べ、市場では年内あと2回の0.25%の利下げが織り込まれている。
今後のポンドドルは、英米通商合意を受けた英国のインフレ率、労働市場、消費状況などを見極めながら、英中銀の「段階的かつ慎重」に行うとの利下げのガイダンスに沿った相場動向を見据えていくことになる。
中東情勢に関しては、レビット米ホワイトハウス報道官が「トランプ米大統領はイラン攻撃について2週間以内に決定する。トランプ氏はイランとの外交が依然として選択肢であると信じている」を受けて、引き続き関連ヘッドラインに警戒していくことになる。
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1580ドル(6/17高値)
・ユーロ円:167.61円(6/17高値)
・ポンドドル:1.3591ドル(6/17高値)
・ポンド円:196.85円(6/17高値)
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.1381ドル(日足一目均衡表・基準線)
・ユーロ円:166.12円(日足一目均衡表・転換線)
・ポンドドル:1.3335ドル(5/20安値)
・ポンド円:194.03円(6/19安値)
ドル円:1ドル=145.44円(前営業日NY終値比▲0.01円)
ユーロ円:1ユーロ=167.64円(△0.48円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1526ドル(△0.0031ドル)
日経平均株価:38403.23円(前営業日比▲85.11円)
東証株価指数(TOPIX):2771.26(▲20.82)
債券先物9月物:139.43円(△0.10円)
新発10年物国債利回り:1.395%(▲0.015%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合)
前年同月比 3.7% 3.5%
5月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品・エネルギー除く)
前年同月比 3.3% 3.0%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は下げ渋り。米国によるイラン攻撃を巡る警戒感がいったん後退したことでドルが売り戻される中、本邦の5月消費者物価指数(CPI)発表を控えて強い結果を先取する感じで円が買われたこともあり、145.13円まで下押し。ただ、節目の145円がサポートとして意識されると、その後145.40円台まで値を戻した。
なお、5月CPIコア指数は市場予想の+3.6%を上回る+3.7%となり、2024年1月以来の高水準を記録したが、市場は強い結果を先取りしたこともあり反応は限定的だった。
・ユーロ円は年初来高値を更新。ユーロドルやドル円の上昇に支えられて堅調に推移すると、昨年7月以来となる167.68円まで上値を広げた。
・ユーロドルは小高い。中東情勢に対する過度な警戒感が和らぎ、有事のドル買いの動きが一服する中、じり高で推移すると1.1532ドルまで買われた。
・日経平均株価は小幅続落。取引開始後に上げ幅を3桁に広げるも上値が重く、その後下げ幅が3桁に広がる場面も見られた。なお、下押す場面では値がさの半導体関連株への買いが支えとなったもよう。
・債券先物相場は3日続伸。前日の夜間取引で上昇した流れを受けて小高く始まるも、その後は中東情勢を巡る過度な警戒感がやや後退したことで伸び悩むなど、方向感に乏しかった。
大阪9月限
日経225先物 38350 -160 (-0.41%)
TOPIX先物 2765.0 -26.0 (-0.93%)
日経225先物(6月限)は前日160円安の3万8350円で取引を終了。寄り付きは3万8510円と、ナイトセッションの終値(3万8450円)を上回る形で、前日比変わらずで始まった。現物の寄り付き時につけた3万8400円をボトムにロング優勢となりプラス圏を回復し、前場中盤にかけて3万8610円まで買われた。ただし、前場中盤以降は急速に軟化する形で3万8330円まで下落し、後場は3万8400円~38500円辺りで保ち合いを継続。終了間際にレンジを下抜けたものの、日中の安値は割り込まなかった。
円相場が1ドル=145円台と、前日から円安に振れて推移していることが支援材料となり、寄り付き後ほどなくして上昇に転じた。ただ、日経平均株価を牽引しているのはアドバンテスト<6857.T>[東証P]など半導体株の一角であり、東証プライム全体では値下がり銘柄数が1100を超え、全体の7割近くを占めていた。また、東証33業種で上昇したのは、パルプ・紙と海運の2セクターのみだった。
日経225先物はボリンジャーバンドの+1σ(3万8350円)水準で底堅さがみられており、+1σと+2σ(3万8830円)によるレンジは継続。週間形状では52週移動平均線(3万7930円)、+1σ(3万8170)を上回って終えた。心理的な抵抗線だった52週線を上抜いてきており、今後は+1σと+2σ(3万9740円)によるレンジへと向かうことで、ショートカバーが強まる展開も意識されてくる可能性がありそうだ。
トランプ米大統領はイラン攻撃について2週間以内に判断を下すと伝えられており、この間に交渉を進める。トランプ大統領はイランとの交渉が近いうちに実現する可能性に言及しているが、停戦に向けた動きがみられるまではポジションを傾けにくいだろう。米国が実際に軍事行動に移るようだと波乱の展開となる可能性も警戒しておきたいところだ。
ただし、米国が不安定なかでリスク回避的に欧州やアジアに資金がシフトしているとの見方もある。さらに、来週以降は配当再投資に伴う需給面が下支えになることが見込まれる。そのため、+1σ水準では押し目狙いのスタンスに向かわせよう。
NT倍率は先物中心限月で13.86倍に上昇した。+1σ(13.76倍)と+2σ(13.86倍)での推移が続くなか、+2σ水準を捉えてきた。半導体株の買い戻しが強まるなかで、+2σ突破からのNTロングに振れやすくなりそうだ。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万6438枚、ソシエテジェネラル証券が9960枚、SBI証券が2388枚、サスケハナ・ホンコン証券が2384枚、バークレイズ証券が1493枚、JPモルガン証券が1411枚、日産証券が1235枚、野村証券が1144枚、モルガンMUFG証券が822枚、シティグループ証券が736枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が1万8064枚、ソシエテジェネラル証券が1万5633枚、バークレイズ証券が1万0014枚、モルガンMUFG証券が4727枚、ゴールドマン証券が3802枚、JPモルガン証券が3442枚、ビーオブエー証券が2360枚、野村証券が2230枚、シティグループ証券が877枚、日産証券が718枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、米国が休場明けとなる中、引き続き中東情勢を意識しながらの展開が見込まれる。
昨日NY時間にレビット米ホワイトハウス報道官が「トランプ米大統領はイラン攻撃について2週間以内に決定する」「トランプ氏はイランとの外交が依然として選択肢であると信じている」と述べたことで、中東情勢を巡る過度な懸念が後退すると、本日の東京市場では「有事のドル買い」の巻き戻しの動きが見られたが、心理的節目の145円を前に下げ渋った。背景には、懸念が後退したとはいえ、イスラエル・イラン両国が戦争状態であることには変わりないことがありそうだ。この後も引き続き、関係者の発言に神経質な展開が見込まれる。
また、経済指標は6月フィラデルフィア連銀製造業景気指数が発表予定。市場予想は-1.0と、前月の-4.0よりマイナス幅が縮小する見通し。そのほか、5月景気先行指標総合指数も予定されている。なお、要人発言は特段予定されていない。
テクニカル面では、日足・一目均衡表の雲の上限が145.55円に位置しており、攻防の分岐点となっている様子。もし終値が雲の上限を上回ることができれば、強い買いシグナルとされる「三役好転」が点灯することとなり、翌週は上値を追いやすくなるかもしれない。取引時間中に前日高値145.77円を上回るか気になるところだが、こちらにも注目したい。
他方、カナダでは複数の経済指標の発表が予定されており、その中では4月小売売上高に注目か。市場予想はヘッドラインが前月比+0.4%と前月の+0.8%から鈍化、除自動車は同-0.2%と前月の-0.7%からマイナス幅の縮小が見込まれている。もっとも、市場の関心が中東情勢に集まる中では反応は限られるかもしれない。
想定レンジ上限
・ドル円は、昨日高値145.77円。超えると5月29日高値146.28円
・カナダドル円は、17日高値106.89円。
想定レンジ下限
・ドル円は、日足・一目均衡表の雲の下限144.89円。割り込むと転換線144.29円
・カナダドル円は、21日移動平均線105.28円。
今晩は上値の重い展開か。昨日は祝日で休場だったが、水曜日の取引では米連邦公開市場委員会(FOMC)でスタグフレーションの可能性が示唆されたことや、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が早期利下げに慎重な姿勢を改めて示したことなどが相場の重しとなった。ハイテク株主体のナスダック総合が0.13%高と小幅に反発した一方、ダウ平均が44.14ドル安(-0.10%)と小幅に2日続落し、S&P500は0.03%安とほぼ横ばいで終了した。週初来ではダウ平均が0.06%安と小幅に2週続落ペースとなり、 S&P500が0.07%高、ナスダック総合が0.72%高とともに反発ペースとなった。
今晩は休場明けの週末の取引となるが、イスラエルとイランの紛争や、米国の直接武力関与などへの警戒感から上値の重い展開か。トランプ大統領は米国の参戦について2週間以内に結論を出すとしており、中東情勢の激化懸念からリスク回避姿勢が強まりそうだ。足もとの景気動向を巡り6月フィラデルフィア連銀業況指数や5月景気先行指数にも要注目。FOMCではタグフレーションの可能性が示唆され、経済指標が予想以上の悪化となれば景気後退懸念が強まることが警戒される。
今晩の米経済指標・イベントは6月フィラデルフィア連銀業況指数、5月景気先行指数など。企業決算は寄り前にダーデン・レストランツ、カーマックス、クローガー、アクセンチュアが発表予定。
日経平均株価は続落。10日移動平均線(38335円 6/20)を支持に下値は限定的だったものの、さえない動きが続いた。終値ベースでは上昇基調が続く5日移動平均線(38524円 同)下まで押し戻される格好となった。
RSI(9日)は前日の63.7%→56.4%(6/20)に低下。4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇継続の判断となる。一方、25日移動平均線(37886円 同)の上昇が緩やかであるほか、75日移動平均線(36677円 同)がほぼ横ばいにとどまっている。5月中旬以降のもみ合いも約1カ月と短いことで、短期的な上値余地は4万円以下に収まる想定が必要となる。
上値メドは、心理的節目の39000円、2/13高値(39581円)、心理的節目の4万円、12/27高値(40398円)などがある。下値メドは、心理的節目の38000円、25日移動平均線、6/13安値(37540円)、100日移動平均線(37228円 同)、心理的節目の37000円、75日移動平均線などがある。
(20日終値:21日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=145.90円(20日15時時点比△0.46円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=168.25円(△0.61円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1532ドル(△0.0006ドル)
FTSE100種総合株価指数:8774.65(前営業日比▲17.15)
ドイツ株式指数(DAX):23350.55(△293.17)
10年物英国債利回り:4.537%(△0.007%)
10年物独国債利回り:2.517%(▲0.005%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月独生産者物価指数(PPI)
(前月比) ▲0.2% ▲0.6%
5月英小売売上高(自動車燃料含む)
(前月比) ▲2.7% 1.3%・改
(前年比) ▲1.3% 5.0%
5月英小売売上高(自動車燃料除く)
(前月比) ▲2.8% 1.4%・改
(前年比) ▲1.3% 5.2%・改
6月仏企業景況感指数
96 96
6月ユーロ圏消費者信頼感指数
(速報値) ▲15.3 ▲15.1・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ユーロドルは一進一退。19時過ぎに一時1.1535ドルまで上昇したものの、米長期金利が上昇すると次第にユーロ売り・ドル買いが優勢に。24時前に一時1.1495ドル付近まで値を下げた。
ただ、東京午前に付けた日通し安値1.1492ドルが目先サポートとして働くと買い戻しが優勢に。イスラエルとイランの軍事衝突を巡り、米国が即座に軍事介入に動くとの警戒が和らぐ中、足もとで進んだ「有事のドル買い」が巻き戻される形でユーロ買い・ドル売りが入った。米長期金利が低下に転じたことも相場の支援材料となり、2時30分前には1.1544ドルと日通し高値を付けた。
もっとも、スイスのジュネーブで行われていた英独仏外相とイランのアラグチ外相と協議が終了し、交渉による停戦実現が叶わなかったことが伝わると、米国株相場の失速とともにユーロ買い・ドル売りの勢いは後退した。
・ドル円は堅調。中東情勢を巡る過度な警戒が後退する中、欧米株相場の上昇を背景に円売り・ドル買いが先行。米長期金利の上昇に伴う買いも入り、1時前に一時145.96円と5月29日以来の高値を付けた。
ただ、節目の146.00円や5月29日の高値146.28円がレジスタンスとして意識されると上昇は一服。「米政府は、中国に半導体工場を持つ同盟国への免除措置を撤回する可能性がある」との報道や、英独仏とイランの「核および地域問題」協議終了が伝わると、米国株が失速し、相場の重しとなった。
なお、ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事は「これまでのところデータは良好で、これ以上利下げを長く待つ必要はない」「FRBは早ければ7月にも利下げできる状況にある」と述べた一方、バーキン米リッチモンド連銀総裁は「現時点では、利下げを正当化するような緊急性の高いデータは見当たらない」「利下げを急ぐ必要はない」などと語った。
・ユーロ円はしっかり。トランプ米政権は19日、イスラエルと交戦するイランへの攻撃について「2週間以内」に判断する方針を表明。外交的解決の余地が残されたことを受けて、投資家のリスク志向が改善すると円売り・ユーロ買いが優勢となった。2時30分前に一時168.31円と昨年7月以来の高値を更新した。ただ、米国株が失速すると若干伸び悩んだ。
・ロンドン株式相場は小幅続落。中東情勢の成り行きを見極めたいとして、積極的な売買を手控える市場参加者が多く、しばらくはもみ合いの展開が続いた。ただ、引けにかけては米国株相場の失速などが相場の重しとなり、小幅に下げて取引を終えた。アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株の一角に売りが出たほか、BPやシェルなどエネルギー株が値下がりした。
・フランクフルト株式相場は4日ぶりに反発。米国がイラン攻撃に加わるかどうかの判断に猶予期間を置く姿勢を示したことを受けて、投資家の過度な警戒が一服。足もとで進んだリスク回避の動きが巻き戻された。個別ではエアバス(3.56%高)やエーオン(2.60%高)、ハイデルベルク・マテリアルズ(2.36%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場はまちまち。
(20日終値)
ドル・円相場:1ドル=146.09円(前営業日比△0.64円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=168.34円(△1.18円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1523ドル(△0.0028ドル)
ダウ工業株30種平均:42206.82ドル(△35.16ドル)
ナスダック総合株価指数:19447.41(▲98.86)
10年物米国債利回り:4.37%(▲0.02%)
WTI原油先物7月限:1バレル=74.93ドル(▲0.21ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3385.7ドル(▲22.4ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数
▲4.0 ▲4.0
5月米景気先行指標総合指数
(前月比) ▲0.1% ▲1.4%・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は続伸。イスラエルとイランの軍事衝突を巡り、米国が即座に軍事介入に動くとの警戒が和らぐ中、米国株相場の上昇を背景に円売り・ドル買いが優勢となった。「米政府は中国に半導体工場を持つ同盟国への免除措置を撤回する可能性がある」との報道や、英独仏とイランの「核および地域問題」協議終了が伝わると、米国株相場が失速。ドル円も伸び悩む場面があったが、下押しは限定的だった。引けにかけては再び強含み、一時146.22円と5月29日以来の高値を更新した。
なお、英独仏外相とイラン外相はスイスのジュネーブで会談を開き、イランの核問題などを協議した。外交的解決を目指して協議を継続することで合意したものの、イランは米国に対して強硬な姿勢を崩さず、核問題で歩み寄るかは不透明だ。
一方、トランプ米大統領はこの日、記者団に対し「イランとは話をしている」「イランにはしばらく時間を与えている」「米国によるイラン攻撃は必要ないかもしれない」などと話した。
・ユーロドルは小幅ながら続伸。中東情勢の成り行きを見極めたいとして、積極的な売買を手控える市場参加者が多く、一進一退の展開となった。
欧州市場序盤には一時1.1535ドルまで上昇したものの、NY市場に入ると一転売りが優勢となり24時前には1.1495ドル付近まで値を下げた。ただ、東京午前に付けた日通し安値1.1492ドルが目先サポートとして働くと買い戻しが優勢に。米長期金利が低下に転じたことも相場の支援材料となり、2時30分前には1.1544ドルと日通し高値を付けた。
もっとも、英独仏とイランの協議が終了した頃から再びユーロ売り・ドル買いが優勢になると、1.1514ドル付近まで押し戻された。
・ユーロ円は続伸。トランプ米政権は19日、イスラエルと交戦するイランへの攻撃について「2週間以内」に判断する方針を表明。外交的解決の余地が残されたことを受けて、投資家のリスク志向が改善すると円売り・ユーロ買いが優勢となった。5時前には一時168.40円と昨年7月以来の高値を更新した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに小反発。中東情勢を巡る過度な警戒が後退する中、買いが先行すると一時260ドル超上昇した。ただ、「米政府は中国に半導体工場を持つ同盟国への免除措置を撤回する可能性」との一部報道が伝わると、ハイテク株の一角に売りが出て、指数はマイナス圏に沈む場面があった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は反落した。
・米国債券相場で長期ゾーンは上昇。売り先行で始まったものの、ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事が「これまでのところデータは良好で、これ以上利下げを長く待つ必要はない」「FRBは早ければ7月にも利下げできる状況にある」と発言すると一転買い戻しが優勢となった。
・原油先物相場は3日ぶりに小反落。イスラエルとイランは互いに攻撃を続け、中東から原油供給が途絶えるとの懸念が高まると時間外では77ドル半ばまで急騰した。もっともその後、米国が対イラン軍事行動に移るまでには一定の猶予があるとの見方から、供給不安がやや和らいだ。週末を控えたポジション調整の売りにも押され、一時73ドル前半まで下落した。
・金先物相場は反落。イスラエルとイランの交戦は続いているものの、米国は即座に軍事介入には動かないとの見方が広がった。過度な中東地政学リスクへの警戒感が後退すると、安全資産とされる金は一時3360ドル割れまで下落。ただその後、ドルが対ユーロで売られた影響を受けてドル建て金は下げ幅を縮小した。
米ウォールストリートジャーナル(WSJ)紙が報じたところによると、「米政府は中国に半導体工場を持つ同盟国への免除措置を撤回する可能性がある」ようだ。
一部通信社が報じたところによると、「イスラエルはイランの石油精製所を攻撃した」ようだ。
スイスのジュネーブで行われていた英独仏外相とイランのアラグチ外相と協議が終了した。バロ仏外相は「イラン核問題に軍事的解決策はない」「イラン外相は協議継続の意思がある」などと述べたほか、ラミー英外相は「イランとの更なる接触を求め、米国との対話を強く求めた」と明らかにした。
20日08:50 4月30-5月1日分の日銀金融政策決定会合議事要旨
「何人かの委員、方向として、政策金利を引き上げていくのが適当」
「別のある委員は、米国の関税政策の展開がある程度落ち着くまで、取りあえずは様子見モードを続けざるを得ないと述べた」
「ある委員は物価目標達成が後ずれはするものの達成できるという見通しがあると指摘」
「一人の委員は、今回の経済・物価見通しの確度は従来と比べて高くはないとの見方を示した」
「別の一人の委員は、米国の政策転換次第で追加的な利上げを行うなど、過度な悲観に陥ることなく、自由度を高めた柔軟かつ機動的な金融政策運営が求められるとの認識を示した」
20日09:42 加藤財務相
「日銀には物価2%目標実現に向けた金融政策を期待している」
「国債の安定発行に支障が生じているわけではない」
20日15:44 植田日銀総裁
「景気は一部に弱めの動き見られるが緩やかに回復」
「基調的な物価上昇率は伸び悩むものの、成長率が高まるもとで徐々に高まっていく」
「基調物価、見通し期間後半には2%目標とおおむね整合的な水準で推移」
「見通しが実現していくとすれば、経済・物価の改善に応じて引き続き政策金利を引き上げ」
「金融システムは全体として安定性を維持」
20日16:33 イランのアラグチ外相
「EU会合では核協議のみ行う」
20日22:21
「我々は全力で自国を防衛すると決意」
20日21:41 ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「FRBは早ければ7月にも利下げできる状況にある」
「関税によるインフレへの影響は大きくないだろうと考えている。トレンドは良好」
「委員会が同意するかどうかは分からないが、データは良好で、失業率は低く、インフレ率は目標に近い」
「FRBには金利を引き下げる余地があり、その後インフレがどうなるか見極めることができる」
「サプライズが起こらないよう、このプロセスはゆっくりと始めるべき。ショックがあればFRBは一時停止する可能性がある」
「これまでのところデータは良好で、これ以上利下げを長く待つ必要はない」
21日01:28 プーチン露大統領
「ロシアはウクライナの屈服を求めていない」
「世界が第三次世界大戦へと向かうことを懸念」
21日01:36 バーキン米リッチモンド連銀総裁
「利下げを急ぐ必要はない」
「関税によるインフレリスクを否定する準備はできていない」
「インフレが急上昇した場合、それを無視することはできない。インフレ指数は依然として目標を上回っている」
「現時点では、利下げを正当化するような緊急性の高いデータは見当たらない」
21日04:41 トランプ米大統領
「イランとは話をしている」
「イランとイスラエルの停戦を支持するかもしれない」
「イランは欧州でなく米国と対話を望んでいる」
「イランにはしばらく時間を与えている」
「米国によるイラン攻撃は必要ないかもしれない」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
<海外>
○07:45 ☆ 1-3月期ニュージーランド(NZ)国内総生産(GDP、予想:前期比0.7%/前年比▲0.8%)
○10:30 ◎ 5月豪雇用統計(予想:失業率4.1%/新規雇用者数2.25万人)
○16:30 ☆ スイス国立銀行(中央銀行、SNB)、政策金利発表(予想:0.00%に引き下げ)
○16:30 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○17:00 ◎ ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:4.50%で据え置き)
○17:30 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○18:00 ◇ 4月ユーロ圏建設支出
○18:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○18:45 ◎ デギンドスECB副総裁、講演
○20:00 ☆ 英中銀(BOE)、政策金利発表(予想:4.25%で据え置き)
○20:00 ☆ 英中銀MPC議事要旨
○20:00 ◎ トルコ中銀、政策金利発表(予想:46.00%で据え置き)
○ポーランド、ブラジル(聖体節)、米国(ジューンティーンス)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
<国内>
○08:30 ☆ 5月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合、予想:前年比3.6%)
○08:30 ☆ 5月全国CPI(生鮮食料品・エネルギー除く、予想:前年比3.2%)
○08:50 ☆ 4月30-5月1日分の日銀金融政策決定会合議事要旨
○15:40 ◎ 植田和男日銀総裁、あいさつ
<海外>
○08:01 ◇ 6月英消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲20)
○15:00 ◇ 5月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比▲0.3%)
○15:00 ◎ 5月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比▲0.5%/前年比1.7%)
○15:00 ◎ 5月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比▲0.7%/前年比1.8%)
○15:45 ◇ 6月仏企業景況感指数(予想:96)
○17:30 ◎ 5月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比2.0%)
○21:30 ◎ 4月カナダ小売売上高(予想:前月比0.4%/自動車を除く前月比▲0.2%)
○21:30 ◇ 5月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比横ばい)
○21:30 ◇ 5月カナダ原料価格指数
○21:30 ◎ 6月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:▲1.0)
○23:00 ◎ 5月米景気先行指標総合指数(予想:前月比▲0.1%)
○23:00 ◎ 6月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲14.5)
○ニュージーランド(マタリキ)、スウェーデン(夏至祭)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
25日
○08:50 ◇ 日銀金融政策決定会合における主な意見(6月16-17日分)
○08:50 ◇ 5月企業向けサービス価格指数
○10:00 ◇ 田村直樹日銀審議委員、あいさつ
○14:00 ◇ 4月景気動向指数改定値
26日
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
27日
○08:30 ◎ 5月完全失業率
○08:30 ◎ 5月有効求人倍率
○08:30 ◎ 6月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合)
○08:50 ◇ 5月商業販売統計速報(小売業販売額)
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
23日
○14:00 ◎ 5月シンガポール消費者物価指数(CPI)
○16:00 ◎ ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、あいさつ
○16:15 ◎ 6月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値
○16:15 ◎ 6月仏サービス部門PMI速報値
○16:30 ◎ 6月独製造業PMI速報値
○16:30 ◎ 6月独サービス部門PMI速報値
○17:00 ◎ 6月ユーロ圏製造業PMI速報値
○17:00 ◎ 6月ユーロ圏サービス部門PMI速報値
○17:30 ◎ 6月英製造業PMI速報値
○17:30 ◎ 6月英サービス部門PMI速報値
○22:00 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、議会証言
○22:45 ◎ 6月米製造業PMI速報値
○22:45 ◎ 6月米サービス部門PMI速報値
○22:45 ◎ 6月米総?⑰MI速報値
○23:00 ◎ 5月米中古住宅販売件数
○23:00 ◎ ボウマンFRB理事、講演
○24:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○24日02:10 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、討議に参加
○24日03:30 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、クーグラーFRB理事、イベントに参加
24日
○17:00 ◎ 6月独Ifo企業景況感指数
○18:30 ◎ グリーン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○21:30 ◎ 5月カナダCPI
○21:30 ◎ 1-3月期米経常収支
○22:00 ◇ 4月米住宅価格指数
○22:00 ◎ 4月米ケース・シラー住宅価格指数
○22:15 ◎ ハマック米クリーブランド連銀総裁、講演
○22:35 ◎ ラムスデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○22:55 ◎ レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○23:00 ◎ ベイリーBOE総裁、公聴会に参加
○23:00 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、米下院金融サービス委員会で金融政策や経済情勢に関する半期に一度の証言
○23:00 ◎ 6月米消費者信頼感指数
○23:00 ◎ 6月米リッチモンド連銀製造業景気指数
○25日00:50 ◎ ブリーデンBOE副総裁、講演
○25日02:00 ◎ 米財務省、2年債入札
○25日03:00 ◎ コリンズ米ボストン連銀総裁、講演
○25日05:00 ◎ バーFRB理事、あいさつ
○NATO首脳会議(オランダ・ハーグ、26日まで)
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
25日
○07:45 ◎ 5月ニュージーランド(NZ)貿易収支
○10:30 ◎ 5月豪CPI
○15:45 ◇ 6月仏消費者信頼感指数
○17:45 ◎ ロンバルデリBOE副総裁、講演
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○23:00 ☆ 5月米新築住宅販売件数
○23:00 ☆ パウエルFRB議長、米上院銀行委員会で金融政策や経済情勢に関する半期に一度の証言
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○26日02:00 ◎ 米財務省、5年債入札
26日
○15:00 ◇ 7月独消費者信頼感指数(Gfk調査)
○17:00 ◇ 4-6月期南アフリカ経済研究所(BER)消費者信頼感指数
○18:30 ◇ 5月南アフリカ卸売物価指数(PPI)
○20:00 ◎ ベイリーBOE総裁、講演
○21:00 ◇ 5月メキシコ貿易収支
○21:30 ☆ 1-3月期米国内総生産(GDP)確定値
◎ 米個人消費/コアPCE確定値
○21:30 ◇ 5月米卸売在庫
○21:30 ◎ 5月米耐久財受注額
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数
○21:45 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○22:00 ◎ ハマック米クリーブランド連銀総裁、講演
○23:00 ◎ 5月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数)
○27日02:00 ◎ 米財務省、7年債入札
○27日02:15 ◎ バーFRB理事、講演
○27日04:00 ◎ メキシコ中銀、政策金利発表
○欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル、27日まで)
27日
○15:45 ◇ 5月仏消費支出
○15:45 ◇ 6月仏CPI速報値
○15:45 ◇ 5月仏PPI
○18:00 ◎ 6月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値)
○18:00 ◎ 6月ユーロ圏経済信頼感指数
○19:30 ◎ 5月インド鉱工業生産
○20:00 ◎ レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○21:00 ◇ 5月メキシコ失業率
○21:30 ☆ 4月カナダGDP
○21:30 ◎ 5月米個人消費支出(PCE)
◎ 5月米個人所得
☆ 5月米PCEデフレーター
☆ 5月米PCEコアデフレーター
○23:00 ◎ 6月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値)
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
◆豪ドル、リスクセンチメントに敏感で中東情勢に警戒
◆豪ドル、5月月次CPIに注目
◆ZAR、反イスラエル・親イランのため中東紛争長期化・激化は売り要因に
予想レンジ
豪ドル円 92.50-95.50円
南ア・ランド円 7.85-8.20円
6月23日週の展望
豪ドルは、来週も引き続き方向感のない動きになりそうだ。市場の注目はトランプ米政権による関税の動向と中東情勢になっており、豪州の国内情勢よりも国外要因が左右する相場展開が予想される。
イスラエルとイラン間での軍事攻撃が拡大している中で、週末には米国のイラン攻撃の可能性が示唆された。市場では、ホルムズ海峡封鎖や、他の中東国を巻き込む紛争拡大に発展してしまうかなどが警戒されている。地政学的には豪州と中東は距離があるものの、豪ドルはリスクセンチメントの移り変わりに動意づきやすいこともあり、戦争の状況を見極める必要がある。
また、関税に関しても、豪州は対米貿易赤字を計上していることから、高賦課関税は予想されていない。ただ、7月9日の追加関税の猶予期間を前にして、他国に対してのトランプ米大統領の関税強化が公表されれば豪ドルも動意づくだろう。
経済指標では、豪州からは25日に発表予定の5月消費者物価指数(CPI)に注目。月次CPIには、四半期CPIの対象と比較して62~73%に相当する分のみしか含まれていないことで、全体像を示すものではない。ただ、1-3月期の国内総生産(GDP)が低調になる中で、月次とはいうもののインフレ指標が低下した場合は、豪準備銀行(RBA)の利下げ圧力が高まりそうだ。なお、ニュージーランド(NZ)からは25日に5月貿易収支、27日にはANZ消費者信頼感指数が発表される予定。
南アフリカ・ランド(ZAR)は上値が限られそうだ。イスラエルとイランの紛争が長期化・激化した場合には、リスク回避の動きでZARにとってはネガティブ要素となり、上値を抑えることになる。また、南アは昨年5月に国際司法裁判所(ICJ)に対し、イスラエルが計画していたパレスチナ自治区ガザ地区南部ラファへの軍事攻撃を阻止するよう請求するなど、反イスラエルの姿勢を貫いている。また、昨年の年初からイランはBRICSに正式に加盟しており、南アとイランの関係も近い。イスラエルの自衛権を支持するG7各国と異なる姿勢を示していることも売り要因になるだろう。なお、来週の南アからの経済指標は、26日に4-6月期BER消費者信頼感と5月卸売物価指数(PPI)が発表予定。
6月16日週の回顧
豪ドルは対ドルでは横ばい、対円では底堅かった。中東情勢の悪化では、有事のドル買いの勢いが強く、中でもドル円の上げ幅がやや広がったことが豪ドル円の支えになった。5月雇用統計は、新規雇用者数は予想に反してマイナスとなったが、マイナス要因が非常勤雇用者数の大幅減少だったことで市場の反応は限られた。ZARは軟調。中東情勢の悪化により、新興国通貨が売られやすい地合いだった。中でも、南アは反イスラエル姿勢を取っていることもあり、対ドルでは5月中旬以来の水準まで弱含んだ。
◆ポンド、6月製造業・サービス部門PMI速報値に注目
◆加ドル、米加協議への期待で下押し圧力は緩和
◆加ドル、5月CPIや原油価格に注目
予想レンジ
ポンド円 194.00-197.50円
加ドル円 105.00-107.50円
6月23日週の展望
今週のイングランド銀行(英中銀、BOE)会合では6対3で金利の据え置きが決定された。ラムスデン副総裁、ディングラ委員、テイラー委員が0.25%の利下げを支持した。また、中東の緊迫化が強まる中、労働市場の低迷やエネルギー価格上昇のリスクを指摘し、さらなる利下げについて「緩やかで慎重なアプローチを取る」とのガイダンスを維持した。
ポンドは、追加利下げを巡り指標結果に注目。最近の英経済指標では、増税やトランプ米大統領による貿易戦争によって経済と労働市場が大きな打撃を受けていることが示された。BOEの次回会合は8月7日に予定されているが、市場では追加利下げを織り込みつつある。来週は英国内で6月製造業・サービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値の発表が予定されている。5月の製造業PMIは46.4と3カ月ぶりの高水準、サービス部門PMIは50.9と2023年10月以来初めて景気判断の分岐点とされる50を下回った4月から改善された。
加ドルは底堅い動きを予想している。先週の主要7カ国首脳会議(G7サミット)でトランプ米大統領とカーニー加首相が会談し、1カ月以内の貿易合意に向けて交渉を進めることで一致した。トランプ米大統領は、鉄鋼、アルミニウム、自動車など主要産業を対象とする上乗せ関税の緩和を求めているカナダと政策面での隔たりが残っているが、カーニー加首相の提案にも耳を傾ける姿勢を示し「貿易合意を数週間以内に実現できる」と述べた。
来週、加国内では5月消費者物価指数(CPI)、4月GDPなどの指標発表が予定されている。4月のCPIはエネルギー価格が下がったことが全体のインフレ率を押し下げ、前年比1.7%と3月の2.3%から伸びが鈍化したが、カナダ中銀(BOC)が重視するコアCPI中央値は3.2%と2024年3月以来の高水準となった。今のところ、市場ではBOCが7月会合で政策金利を3会合連続で据え置くとの見方が強い。今週に公表された6月のBOC会合議事要旨では、貿易を巡る混乱や不確実性を受けた基調的インフレ圧力が長期にわたり持続する可能性に懸念が示された一方で、関税の影響で経済が弱体化した場合は追加利下げが必要になる可能性も指摘された。
なお、中東情勢の緊迫化で原油価格が急騰。産油国カナダの経済見通しに対する楽観的な見方が強まり、加ドルの下支えとなっている。来週も中東情勢に絡んだ原油相場に注目したい。
6月16日週の回顧
今週はドル買いが優勢となった。中東の緊迫化を背景とした「有事のドル買い」と、米連邦準備制度理事会(FRB)が追加利下げに対する慎重姿勢を崩さなかったことがドルの支えとなり、ポンドドルは1.33ドル後半まで売りに押された。英中銀の政策イベントへの反応は限られた。ドル/加ドルは原油高を背景とした加ドル買いが入ったものの、ドル高が優勢となる中1.37加ドル半ばまでドル高・加ドル安となった。クロス円は方向感が限られるも、ポンド円は一時196円後半まで1月上旬以来の高値を更新。加ドル円は一時106円後半までじり高となった。
◆ドル円、米軍によるイラン空爆の可能性やFRB議長の議会証言に注目
◆5月米PCEデフレーターや6月東京都区部CPIにも注目
◆ユーロドル、ユーロ圏6月PMI速報値や欧米通商協議に注意
予想レンジ
ドル円 143.00-147.00円
ユーロドル 1.1350-1.1650ドル
6月23日週の展望
トランプ米大統領が先週、「2週間以内に各国に関税率を通告する」と述べたほか、今週はホワイトハウス報道官が「イラン攻撃について2週間以内に決定する」との見解を表明。いずれも2週間という時間軸の中で、トランプ関税や中東の地政学リスクに備える展開となる。
日米の通商交渉は、6回の閣僚級協議とG7サミットでの首脳会談でも合意に至っておらず、米国からの一方的な関税率の通告の可能性もあり注意している。
また、米国によるイラン空爆の可能性が高まっているなか、トランプ米大統領は、「イラン核開発を阻止するには戦闘が必要になる可能性」と述べ、ネタニヤフ首相に対してイラン攻撃の継続を促しつつ、イランに対して核開発の放棄を要請した。ただ、様々な報道を鑑みるに、現状は「トランプ米大統領はイラン攻撃計画を承認した」ものの最終決定は下しておらず、「攻撃については2週間以内に決定する」模様。いずれにしても、週末も含め予断を許さない状況が続いている。
過去を振り返ってみると、1991年1月17日の湾岸戦争時は、新月の暗闇に乗じて米軍の空爆が開始され、ドル円は有事のドル買いではなく、リスクオフのドル売りで反応。138円から132円までの下落となった。市場では、25日の新月に向けて歴史の再現に警戒感を強めている。
米国の経済指標では、27日に5月PCEデフレーターが発表される。予想は前年比2.3%で4月の2.1%からの上昇が見込まれている。ただ、5月CPIとPPIの伸び率が鈍化していたこともあり、予想を下回る数字となった場合には注意している。また、24日にはパウエルFRB議長の議会証言が予定されているが、FOMC後の記者会見での発言や、声明文に対する質疑応答の内容に注目しておきたい。日本からは、27日に6月東京都区部CPIが発表される。6月全国コアCPIの先行指標となることで注目。20日に公表された5月全国コアCPIは前年比3.7%となった。4月の3.5%から上昇。日銀の年内利上げ観測を高めている。
ユーロドルは、依然としてEUと米国との関税協議が難航しており、米国からの一方的な関税率通告への警戒感が上値を抑える中、6月のユーロ圏製造業・サービス業PMI速報値や独6月Ifo景況感指数に注目する展開となる。また、中東の地政学リスクや原油価格の動向などにも引き続き警戒しておきたい。
6月16週の回顧
ドル円は、米国によるイラン空爆の可能性が高まるなか、全般、有事のドル買いが先行。日米で政策金利の据置きが決定されたが、いずれも米関税などに対する不確実性が大きな理由となった。両国の政策調整の先送りが強まったことも買いを後押し。一時145.77円まで上昇している。ユーロドルは、有事のドル買いから一時1.1446ドルまで下落した。
20日の日経平均は続落。終値は85円安の38403円。
日経平均は続落。小幅な下げではあったものの、きのうきょうと引け間際の動きが弱かったのは気になる動きだ。今週は週を通して半導体株が注目を集めており、きょうも2桁の下げでとどまったのは半導体株の貢献が大きい。アドバンテストは1銘柄で日経平均を約106円押し上げた。そのアドバンテストは週間で15.6%高となったが、この動きに刺激されて他の半導体株の動きも良くなっている。レーザーテックは今週、1月につけた水準を上回り、年初来高値を更新した。足元ではやや上値が重い東京エレクトロンの動向が注目される。この銘柄の動きも良くなってくるようであれば、日経平均の39000円超えは時間の問題だろう。
【来週の見通し】
不安定な展開か。トランプ大統領がイランへ軍事行動を行うかどうかを2週間以内に判断すると19日に表明しており、中東情勢に関するニュースに神経質となる展開が想定される。米国が直接軍事行動に参加するとなれば、グローバルマーケットのリスクは一段上がる。軍事行動に踏み込まなければ市場は好感するだろうが、来週の時点では具体的な決定が出てこないかもしれない。中東関連以外では、パウエルFRB議長の議会証言や米マイクロンの決算などが注目される。中東情勢がエスカレートしなければ買われる場面もあるとみるが、エスカレートした場合には一気にリスクオフムードが強まる可能性もあるだけに、荒い動きが続くと予想する。
【今週を振り返る】
堅調となった。日経平均は16日から18日まで3日連続で3桁の上昇。半導体株の動きが良くなったことで、リスク選好ムードが強まった。18日には節目の38500円を大きく上回り、38800円台まで水準を切り上げた。日銀金融政策決定会合とFOMCはともに政策金利は据え置きとなり、特段のサプライズもなかったことから波乱なく消化。週後半は中東の地政学リスクに対する警戒から軟調に推移したものの、週間では大きく上昇した。日経平均は週間では約568円の上昇となり、週足では陽線を形成した。
【来週の予定】
国内では、5月首都圏新築マンション発売(6/23)、5月全国百貨店売上高、20年国債入札(6/24)、5月企業向けサービス価格指数、日銀金融政策決定会合の主な意見(6/16~17開催分)(6/25)、配当・優待権利付き最終売買日、2年国債入札(6/26)、5月失業率、5月有効求人倍率、6月東京都区部消費者物価指数(CPI)、5月商業動態統計(6/27)などがある。
企業決算では、壱番屋(6/23)、瑞光、ファーマライズ、セキチュー(6/25)、平和堂、ハローズ、FフォースG、YE DIGIT、NaITO、オプトエレ(6/26)、DCM、ナガイレーベ、オークワ、パレモ・HD(6/27)などが発表を予定している。
今週の日経225先物は、地政学リスクの高まりなどの外部要因に対して、国内の需給要因が下支えとなりそうだ。トランプ米大統領は日本時間の22日、イランの核施設3カ所に攻撃を行ったと発表した。
トランプ大統領は先週、米軍によるイラン攻撃計画を承認したものの最終決定は保留、イランと交渉が行われる可能性があるとし、2週間以内に米国が介入するかを決定すると発表。英国、ドイツ、フランスの3カ国とイランは20日、外相会議を行っており、外交努力による仲介が進むとの思惑から、週末のストックス欧州600指数は4日ぶりに反発していた。
イラン攻撃に米国が本格的に関与したことでイランの反発は必至であり、中東情勢の緊迫化がリスク回避姿勢を誘いそうである。また、トランプ政権が、韓国のサムスン電子とSKハイニックス、台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>に対して、中国工場に米国製の半導体製造装置を出荷する際の規制免除の撤回を伝えたと報じられている。直近で日経平均株価を牽引していたアドバンテスト<6857.T>[東証P]など、半導体株の重荷になる可能性がある。
一方、国内要因では配当再投資への思惑が高まりやすい。パッシブ連動資産は3月末の配当落ち場面では目減り分を補うため先物買いを入れているが、配当金が払い込まれる5月下旬から6月末にかけては、現物買い・先物売りとなる。ただし、今週から株主総会が本格化することで、再編の動きや中期経営計画での成長に向けた施策なども発表されるとみられるため、ショートを仕掛けづらくさせるだろう。
為替市場では円相場が1ドル=146円台前半で推移しており、チャート上では抵抗線として機能していた75日移動平均線を上抜けてきた。足もとで円安基調を継続していることは、押し目狙いのロング対応に向かわせやすいと考えられる。
日経225先物は、20日の取引終了後のナイトセッションで日中比20円高の3万8370円で終えた。3万8580円まで買われた後に3万8230円まで軟化する場面もあったが、下へのバイアスは強まらず、売り一巡後はボリンジャーバンドの+1σ(3万8390円)を挟んでの推移だった。
週間形状では先週の上昇で52週線(3万7910円)や+1σ(3万8330円)を突破したことで、+1σから52週線辺りではロング対応になる。週初はショートが先行するとみられるが、まずはその後の底堅さを見極めたい。52週線を再び割り込んでくるようだと、26週線(3万7440円)や13週線(3万6700円)が射程に入ってくるだろう。一方で、週足の+1σ水準で底堅さがみられるようだと、+2σ(3万9970円)とのレンジが意識されてくる。
また、海外投資家による資金流入が継続している。米国でリスク回避姿勢が強まるなか、欧州やアジアへの資金シフトが一段と強まることも考えられよう。
先週末のNT倍率は先物中心限月で13.86倍に上昇した。+1σ(13.76倍)と+2σ(13.86倍)での推移が続くなか、+2σ水準を捉えてきた。半導体株の買い戻しが強まるなかで、+2σ突破からのNTロングに振れやすくなる半面、5月14日の戻り高値13.86倍とのダブルトップ形成により、いったんはNTロングを巻き戻す動きが意識されやすい。
6月第2週(6月9日-13日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では9週連続の買い越しであり、買い越し額は2793億円(6月第1週は6301億円の買い越し)だった。なお、現物は997億円の買い越し(同3985億円の買い越し)と11週連続の買い越しであり、先物は1795億円の買い越し(同2315億円の買い越し)と3週連続の買い越し。個人は現物と先物の合算で47億円の売り越しと2週ぶりの売り越し。信託銀行は現物と先物の合算で3785億円の売り越しとなり、8週連続の売り越しだった。
主要スケジュールでは、23日に米国6月製造業PMI、米国6月サービス業PMI、24日に米国1-3月期経常収支、米国6月コンファレンス・ボード消費者信頼感指数、パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長が米下院金融サービス委員会で証言、25日に日銀金融政策決定会合の主な意見(6月16日・17日分)、4月景気動向指数改定値、米国5月新築住宅販売件数、パウエルFRB議長が米上院銀行・住宅・都市問題委員会で証言、26日に米国1-3月期GDP確報値、米国5月耐久財受注、27日に5月完全失業率、5月有効求人倍率、株主総会集中日、米国5月個人所得、米国5月個人消費支出などが予定されている。
<国内>
特になし
<海外>
○14:00 ◎ 5月シンガポール消費者物価指数(CPI、予想:前年比0.8%)
○16:00 ◎ ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、あいさつ
○16:15 ◎ 6月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:49.8)
○16:15 ◎ 6月仏サービス部門PMI速報値(予想:49.1)
○16:30 ◎ 6月独製造業PMI速報値(予想:49.0)
○16:30 ◎ 6月独サービス部門PMI速報値(予想:48.0)
○17:00 ◎ 6月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:49.8)
○17:00 ◎ 6月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:50.0)
○17:30 ◎ 6月英製造業PMI速報値(予想:46.9)
○17:30 ◎ 6月英サービス部門PMI速報値(予想:51.3)
○22:00 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、議会証言
○22:45 ◎ 6月米製造業PMI速報値(予想:51.0)
○22:45 ◎ 6月米サービス部門PMI速報値(予想:52.7)
○22:45 ◎ 6月米総?⑰MI速報値(予想:52.2)
○23:00 ◎ 5月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲1.3%/年率換算395万件)
○23:00 ◎ ボウマンFRB理事、講演
○24:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○24日02:10 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、討議に参加
○24日03:30 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、クーグラーFRB理事、イベントに参加
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
先週末のニューヨーク外国為替市場でドル円は米国株相場の上昇を支えに146.22円と5月29日以来の高値を更新した。ユーロドルは一進一退の展開となるも、米長期金利の低下を手がかりに1.1544ドルまで小幅高。また、ユーロ円は投資家のリスク志向の改善を支えに一時168.40円と昨年7月以来の高値を更新した。
東京市場では主な経済指標の発表や注目のイベントは予定されておらず、ドル円は日経平均や日米長期金利の動向を睨みながら、中東情勢関連のヘッドラインに注視する動きとなる。イラン攻撃に米国が参戦し、週明け早朝から「有事のドル買い」が先行している。テクニカル的にドル円は先週末にレジスタンスとして機能していた日足一目均衡表・雲の上限(145.55円)をしっかり上抜けした。週明けは5月29日の高値146.28円を上抜けし、146円後半まで上昇した。5月14日以来の147円台回復が視野に入っている。
トランプ米大統領は21日に米軍がイランの核施設3カ所を空爆したと発表した。米国内では他国への軍事介入に反対の声も多く聞かれ、トランプ氏は19日に攻撃に踏み切るかどうかを「2週間以内に判断する」と表明し、外交的な解決の余地を残していた。ただ、イラン側がウラン濃縮の放棄を拒否する姿勢を崩さなかったこともあり、直接的な参戦に踏み切った。トランプ氏はイラン攻撃の後、国民向けの演説で「攻撃は圧倒的な軍事的成功を収め、イランの主要な核燃料濃縮施設は完全に破壊された」と述べた。また、「平和がすぐに訪れない場合は、他の標的を正確に迅速に攻撃できる」とも語り、イランに報復しないようけん制した。
米軍が直接に参戦し、今後イランの報復次第では紛争がさらに拡大する可能性が高まっており、中東情勢は重大局面に入っている。今のところ、トランプ米政権はイランに対して体制転換に向けた動きは計画していないと伝達したもようで、全面的な対決は回避しようとしている。イランの対応が焦点となるが、イランは米軍の攻撃は「国際法違反」だと指摘し、今後も核開発を継続する考えを示した。また、イラン国営放送は「中東地域にいるすべての米国市民と米軍は正当な標的となった」との見方を伝え、イラン外務省は米国とイスラエルに「全力で抵抗する権利がある」とする声明を出した。
東京市場は軟調か。米国が22日にイランの核施設を攻撃したことが伝わっており、地政学リスクの高まりを嫌気した売りに押されると予想する。
20日の米国株はまちまち。ダウ平均が上昇した一方、S&P500とナスダックが下落した。ダウ平均は35ドル高の42206ドルで取引を終えた。FRBのウォラー理事の発言から7月利下げが意識されて強めに始まったものの、エヌビディアなど半導体株の一角が弱く、上値は重かった。CME225先物は円建てが50円安の38300円、ドル建てが55円高の38405円で取引を終えた。
為替市場では有事のドル買いが進んでおり、ドル円は足元146円40銭近辺と円安に振れている。ただ、軍事的緊張が高まる中での円安進行は、為替変動が大きくなりそうという点で相場のかく乱材料となる。米国のイラン攻撃を最初に消化する市場となるだけに、場中の値動きは不安定となるだろう。先週強かった半導体株の動向が注目されるが、反動の売りが大きくなった場合には、指数へのネガティブな影響が大きくなることも想定される。グローバルマーケットが新たなリスクを抱えただけに、場中は上げづらく下げやすい地合いが続くと予想する。日経平均の予想レンジは37800-38300円。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 38370 +20 (+0.05%)
TOPIX先物 2771.5 +6.5 (+0.23%)
シカゴ日経平均先物 38300 -50
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
20日の米国市場はNYダウが上昇した一方で、 S&P500、ナスダックは下落。英国、ドイツ、フランスの3カ国とイランは20日、外相会議を行い、外交努力による仲介が進むとの思惑から中東情勢を巡る過度な警戒が後退し、NYダウは3日ぶりに反発した。一方、トランプ政権が、韓国のサムスン電子とSKハイニックス、台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>に対して、中国工場に米国製の半導体製造装置を出荷する際の規制免除の撤回を伝えたと報じられたことが半導体株の重荷になった。
S&P500指数はテクノロジー・ハード・機器、耐久消費財・アパレル、食品・生活必需品小売が上昇した。半面、メディア、半導体・同製造装置、ソフトウエア・サービスの弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、アップル<AAPL>、ウォルマート<WMT>、スリーエム<MMM>、シェブロン<CVX>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>が買われた。一方で、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、エヌビディア<NVDA>、IBM<IBM>、マイクロソフト<MSFT>が下落。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比50円安の3万8300円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比110円高の3万8460円で始まった。3万8580円まで買われた後は軟化し、米国市場の取引開始後には3万8230円まで下落幅を広げる場面もみられた。売り一巡後は3万8230円~3万8390円辺りで日中終値を挟んで保ち合い、3万8370円とプラス圏を回復してナイトセッションの取引を終えた。
トランプ米大統領は日本時間の22日、イランの核施設3カ所に攻撃を行ったと発表した。イラン攻撃に米国が本格的に関与したことでイランの反発は必至であり、中東情勢の緊迫化がリスク回避姿勢を誘いそうである。
米国によるイラン攻撃の初動反応となる東京市場ではショートが先行し、イレギュラー的な下げになる可能性がある。為替市場では円相場が一時1ドル=146円台半ばまで円安に振れる場面もみられた。
ただ、その後は週明けの米国市場の反応を見極めたいとする模様眺めのムードが強まりやすく、グローベックスの米株先物を睨んでの相場展開となりそうだ。日経225先物はボリンジャーバンドの+1σ(3万8390円)辺りで攻防をみせているが、25日移動平均線(3万7910円)や200日線(3万7860円)が支持線として意識されるかが注目される。25日線水準で底堅さがみられると、押し目狙いのロングに向かわせる一方、両線を割り込んでくると、-1σ(3万7430円)が射程に入ってくるだろう。
20日の米VIX指数は20.62(19日は22.17)に低下した。足もとでは25日線(19.16)、200日線(19.66)を上回っての推移が目立つが、75日線(23.59)が抵抗線として機能していることでリスク回避姿勢はそれほど強まっていない。ただ、中東情勢の緊迫化によって5月23日につけた直近戻り高値25.53を捉えてくる可能性には警戒しておきたい。
先週末のNT倍率は先物中心限月で13.86倍に上昇した。+1σ(13.76倍)と+2σ(13.86倍)での推移が続くなか、+2σ水準を捉えてきた。米半導体株が売られた流れから指数インパクトの大きい値がさハイテク株には利食いが入りやすいほか、5月14日の戻り高値13.86倍とのダブルトップ形成により、いったんはNTロングを巻き戻す動きが意識されやすい。
先週末のNY市場では、イラン空爆には2週間の猶予が与えられたことがWHから公式に発表されていたほか、トランプ米大統領自身も「イランとは話をしている。米国による攻撃の必要はないかもしれない」と発言していただけに、日本時間22日未明の空爆実施には首を傾げる参加者も多くなっています。
トランプ米大統領がまさか市場から「TACO」呼ばわりされていることを意識して、自ら「TNAC」(Trump Not Always Chicken)であることを証明したかったのか、それとも、まさか、週末までの2日間を2週間と間違えて伝えたのかと思わせるほどの早打ちに、市場としても戸惑いの感は否めず、週明けのアジア市場では、当然のことながら、「有事のドル買い」や「原油高、株安」といった反応とはなっているものの、「意外と落ち着いた動き」が続いているといったところです。
いずれにしても、市場では「ホルムズ海峡封鎖」なる事態にかなりナーバスになっているようですが、実際の閉鎖状態、つまり、海峡での機雷設置や、海峡通過船舶への攻撃が行われるようになるには、対岸のオマーンの承認も必要とあって、実現にはかなりのハードルが存在している状況。ただ、封鎖を示唆することによって、事実上、石油タンカーが自発的に近づかないようになって、通過することが出来なくなる可能性は大いにあるわけで、今後の情勢を見極めていくことになります。
また、為替市場では、有事のドル買いとなってはいるものの、ユーロドルは先週末の安値を下抜けたものの、直近の安値である19日の安値1.1446ドルさえも下回ることなく買戻し。ドル円は、先週末の終値でしっかりと一目雲を上抜けるといったチャート上での買いシグナルが発生しているからか、早朝の146.00円を安値にかなり底堅い動きが続いています。米大統領に対する信頼感が完全に欠乏してしまっているなか、円ロングポジションの構築という、いわゆる、トランプシフトからの、巻き戻しが加速することになっています。
中国外交部の報道官は22日、米国がイランの3つの核施設を攻撃したことを非難する談話を発表した。談話の内容は次の通り。
報道官 中国は米国のイラン攻撃を強く非難する。国際原子力機関(IAEA)の監視下にある核施設が攻撃されたことは、米国の行為が国連憲章の目的と原則、そして国際法に重大な違反をしていることを意味する。また、この行為は中東地域の緊張を一層悪化させるものである。中国は、特にイスラエルに対し、早急に停戦し、民間人の安全を守り、対話と交渉を開始するよう呼びかける。中国は国際社会と協力し、中東地域の平和と安定の回復に向けて努力するつもりだ。
日経225先物は11時30分時点、前日比190円安の3万8160円(-0.49%)前後で推移。中東情勢の緊迫化から寄り付きは3万8180円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万8300円)を下回り、売りが先行して始まった。直後につけた3万8290円を高値に中盤にかけて下へのバイアスが強まり、一時3万8000円まで下落幅を広げる場面もみられた。ただし、売り一巡後は下げ渋る動きとなり、終盤にかけては3万8150円~3万8200円辺りでの推移をみせている。
米国によるイラン攻撃の初動反応としてショートが選好する形になったが、節目の3万8000円は割り込まず、25日移動平均線(3万7900円)、200日線(3万7860円)が支持線として意識されているほか、グローベックスのS&P500先物、ナスダック100先物は0.4%ほどの下げで推移しているため、ショートを仕掛けづらくさせている。節目の3万8000円近辺では押し目狙いのロング対応。一方で、リバウンド狙いのロングも限られ、ボリンジャーバンドの+1σ(3万8370円)に接近する局面があれば短期的なショートに向かわせそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.85倍に低下した。ただし、+1σ(13.78倍)と+2σ(13.89倍)での推移を継続。アドバンテスト<6857.T>[東証P]など半導体株の一角が売られているものの下値は堅く、NTロングを巻き戻す動きは限られている。
本日のロンドン為替市場では、緊迫化する中東情勢を警戒しながら、欧州で発表される経済指標を確認してゆく展開となるか。
まず中東情勢について、前週末に米国がイラン攻撃に踏み切ったことで、一段と緊迫化してきた。昨日は国連安全保障理事会で緊急会合が開催され、国連のグテレス事務総長は「戦争か対話かの岐路に立っている。平和を諦めてはならない」として外交での解決を呼びかけた。しかし、イランは報復を示唆したほか、米国は「報復があった場合、壊滅的な反撃を警告」とするなど、事態が収拾する様子は見られない。事態解決の糸口が見えない中、その間にもイランは議会でホルムズ海峡の封鎖を承認したほか、イスラエルにミサイルを撃ち込むなどしてている。事態が一段と混迷化する場合は「有事のドル買い」が進みやすいと見る。
また、本日は仏・独・ユーロ圏で6月製造業・サービス業購買担当者景気指数(PMI)・速報値が発表予定。市場予想は、仏製造業PMIが前月並みとなるものの、概ね製造業・サービス業ともに前月と比べて若干改善の見通しとなっている。結果発表直後の市場は予想比での上下に反応した展開が見込まれる。そのほか、NY序盤にはラガルド欧州中銀(ECB)総裁の議会証言も予定されている。
他方、英国でも6月製造業・サービス業PMI・速報値が発表予定。製造業・サービス業共に前月よりわずかに改善見通しである。しかし、前週の英中銀(BOE)理事会では利下げを投じた委員が3人と市場予想の2人より多かったことが明らかとなったほか、議事録で労働市場の低迷が指摘されるなど、追加利下げ観測がくすぶっている。予想に反して弱い結果となった場合はポンド売りに傾く恐れがある点には注意したい。
想定レンジ上限
・ユーロドル:16日高値1.1615ドル
・ポンドドル:21日移動平均線1.3512ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル:日足・一目均衡表の基準線1.1394ドル
・ポンドドル:心理的節目1.3300ドル
ドル円:1ドル=147.12円(前営業日NY終値比△1.03円)
ユーロ円:1ユーロ=169.38円(△1.04円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1513ドル(▲0.0010ドル)
日経平均株価:38354.09円(前営業日比▲49.14円)
東証株価指数(TOPIX):2761.18(▲10.08)
債券先物9月物:139.30円(▲0.13円)
新発10年物国債利回り:1.405%(△0.010%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は上昇。前週末に米国がイラクに攻撃したことで地政学的リスクが意識されて「有事のドル買い」が強まる中、早朝に146.79円まで上昇。その後の戻りを146.10円台に留めると15時半過ぎに147.40円まで上昇して先月中旬以来の高値水準となった。日経平均の下げ幅縮小も追い風となったもよう。
・ユーロ円はしっかり。早朝にユーロドルが下落した影響を受けて167.46円まで下押すも、その後はドル円が上昇したほか、日経平均の下げ幅縮小もあり、昨年7月以来となる169.67円まで上値を伸ばした。
・ユーロドルは底堅い。有事のドル買いの流れの中、早朝に1.1454ドルまで下押すも、売り一巡後は買戻しの流れとなって1.1521ドルまで切り返した。もっとも、先週末のNY終値1.1523ドルには届かなかった。
・日経平均株価は3日続落。地政学的リスクが意識されて安く始まるも、節目の3万8000円を前に底堅く推移すると、その後は緩やかに値を戻した。もっとも、買い材料が見当たらない中では限定的となった。個別株では、地政学リスクの高まりを受けてIHIや三菱重工業など防衛株に資金が向かうも、買いの勢いは続かなかった。
・債券先物相場は4日ぶり反落。小幅高で始まるも、米国のイラン攻撃により時間外の原油相場が大きく上昇し、インフレが意識されたことで債券売りが優勢となった。前週末に財務省が発表した2025年度の国債発行計画の修正案で、超長期債の発行を減らす代わりに2年債などの発行を増やす方針が伝わって需給の緩みが意識されたことも、債券相場の重しになったもよう。
「金利は引き続き緩やかな低下軌道にある」(ベイリーBOE総裁)
イングランド銀行、地政学的な緊張が高まる中で国内の労働市場軟化と経済成長停滞を考慮して、4.25%で据え置くことを決定した。3名が0.25%の利下げ、6名が据え置きに投じた。議事要旨は、「賃金上昇が年末にかけて大幅に鈍化する」とハト派的な論調となり、「労働市場からディスインフレ圧力がかかる兆候が強まっている」と指摘した。
1.イングランド銀行金融政策委員会(MPC)の棲み分け
MPCの9名の委員の棲み分けは、タカ派2名、中立派3名、ハト派4名に分類できる。
【MPC】 【2024/11/7】【12/19】【2025/2/6】【3/20】【5/8】【6/19】
■ハト派
・ベイリー総裁:4.75% 4.75% 4.50% 4.50% 4.25% 4.25%
・ラムスデン副総裁:4.75% 4.50% 4.50% 4.50% 4.25% 4.00%
・ディングラ委員: 4.75% 4.50% 4.25% 4.25% 4.00% 4.00%
・マン委員: 5.00% 4.75% 4.25% 4.50% 4.50% 4.25%
■中立派
・ロンバルデリ副総裁:4.75% 4.75% 4.50% 4.50% 4.25% 4.25%
・ブリーデン副総裁:4.75% 4.75% 4.50% 4.50% 4.25% 4.25%
・テイラー委員:4.75% 4.50% 4.50% 4.50% 4.00% 4.00%
■タカ派
・ピル委員:4.75% 4.75% 4.50% 4.50% 4.50% 4.25%
・グリーン委員:4.75% 4.75% 4.50% 4.50% 4.25% 4.25%
2.MPC金融政策
■2024年8月1日(5対4):5.25%から5.00%に引き下げ
利下げに賛成した5人「インフレが持続するリスクの緩和に一定の進展があった」
利下げに反対した4人「基調的なインフレが予想より根強く、成長率も予想以上」
■2024年9月18日(8対1)5.00%に据え置き
ディングラ委員が4.75%への追加利下げを主張した。
■2024年11月7日(8対1)4.75%に引き下げ
マン委員が5.00%での据え置きを主張した。
■2024年12月19日(6対3)4.75%に据え置き
議事要旨では、弱い成長シグナルと根強い国内物価上昇圧力を挙げ、両方向のインフレリスクを指摘した。第4四半期の成長率予測は11月時点の+0.3%成長からゼロ成長に引き下げられ、スタグフレーションへの警戒感が示された。
■2025年2月6日MPC(7対2)4.50%に引き下げ
2名(マン委員&ディングラ委員)は4.25%への引き下げを主張した。タカ派寄りからハト派寄りへと見解を変えたマン委員は、その理由として、消費者が支出を抑える中で企業は価格引き上げに苦戦すると考えたからだと述べた。
■ 2025年3月20日(8対1)4.50%で据え置き
4名のハト派の内、ラムズデン副総裁、テイラー委員、マン委員は据え置きに票を投じた。
最もハト派的なディングラ委員は、0.25%利下げを主張した。
■ 2025年5月8日(5対2対2)4.25%に引き下げ
・5名:▲0.25%
・2名:▲0.50%(ディングラ委員・テイラー委員)
・2名:据え置き(ピル委員・マン委員)
■ 2025年6月19日(6対3)4.25%で据え置き
・3名:▲0.25%(ディングラ委員・テイラー委員・ラムスデン副総裁)
・6名:据え置き
大阪9月限
日経225先物 38400 +50 (+0.13%)
TOPIX先物 2762.0 -3.0 (-0.10%)
日経225先物(9月限)は前日比50円高の3万8400円で取引を終了。中東情勢の緊迫化から寄り付きは3万8180円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万8300円)を下回り、売りが先行して始まった。直後につけた3万8290円を高値に前場中盤にかけて下へのバイアスが強まり、一時3万8000円まで下落幅を広げる場面もみられた。ただし、売り一巡後は下げ渋る動きとなり、前場終盤にかけては3万8150円~3万8200円辺りでの保ち合いを継続。後場中盤辺りには朝方につけた高値水準を回復し、3万8280円~3万8330円辺りにレンジを切り上げ、取引終盤にかけてプラス圏を回復した。
米国によるイラン攻撃の初動反応としてショートが先行する形になったが、節目の3万8000円は割り込まず、25日移動平均線(3万7900円)、200日線(3万7860円)が支持線として意識された。さらに、グローベックスのS&P500先物、ナスダック100先物がプラス圏を回復してきたことで、終盤にかけてはややショートカバーを誘う形になったようである。
日経225先物は節目の3万8000円近辺では押し目狙いのロング対応に向かわせ、終盤にかけてボリンジャーバンドの+1σ(3万8390円)を捉えてきた。地政学リスクを織り込んだとみるのは早計であろうが、リスクに対する耐性もみられるなかで、+1σを中心とした中心値(25日)と+2σ(3万8750円)とのレンジが意識されてくる可能性がありそうだ。
為替市場では円相場が1ドル=147円台前半で推移しており、チャート上では抵抗線として機能していた75日線を上抜け、一目均衡表では雲上限を突破し、遅行スパンは上方シグナルを発生させた。有事のドル買いとはいえ、足もとで円安基調を継続していることは、押し目狙いのロング対応に向かわせやすいと考えられる。
そのほか、23日の米国ではウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事のほか、ボウマンFRB副議長やクグラーFRB理事の講演が予定されている。米時間20日にはウォラー理事が米CNBCの番組で、「早ければ7月に利下げ」の考えを示していた。利下げ機運が高まるようだと、米金融政策に関心が向かうことになりそうだ。
週足の日経225先物は52週線(3万7920円)が支持線として機能しており、終値では+1σ(3万8370円)を上回っている。楽観は禁物ではあるが、+1σが支持線として意識されてくるようだと、+2σ(4万0020円)とのレンジが今後意識されてくる可能性はあるだろう。
NT倍率は先物中心限月で13.90倍に上昇した。朝方は13.81倍まで下げる場面もみられたが、+1σ(13.78倍)と+2σ(13.89倍)での推移を継続。+2σを捉えてきたことでNTロングを巻き戻す動きが意識されてくる可能性はあるものの、5月14日の戻り高値13.86倍を突破し、4月高値の13.91倍を捉えてきたことで、NTロングでのスプレッド狙いが一段と強まる展開も想定しておきたい。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万5719枚、ソシエテジェネラル証券が9656枚、サスケハナ・ホンコンが2684枚、JPモルガン証券が2370枚、バークレイズ証券が1957枚、日産証券が1325枚、ゴールドマン証券が1037枚、野村証券が925枚、SBI証券が871枚、モルガンMUFG証券が754枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が1万5745枚、ソシエテジェネラル証券が1万4824枚、バークレイズ証券が4795枚、JPモルガン証券が3967枚、ゴールドマン証券が3381枚、モルガンMUFG証券が2881枚、野村証券が1715枚、ビーオブエー証券が1504枚、サスケハナ・ホンコンが1070枚、シティグループ証券が1040枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、複数の米連邦準備理事会(FRB)高官による中東の地政学リスクへの言及に注目しながら、引き続き中東情勢関連の報道に警戒していくことになる。経済指標は米6月製造業・サービス業PMI速報値が発表予定。
週明けは、ホルムズ海峡の封鎖の可能性から原油価格は一時上昇した。欧州序盤に原油先物は売り戻されたが、為替は中東有事のドル買いの様相を呈しつつある。シカゴIMM筋の円の買い持ちポジションは依然として高水準にあり、ここからは投機筋の手仕舞うタイミングを見極めていくことになる。
パウエルFRB議長は先日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、トランプ関税による物価上昇が夏にかけて顕在化する見通しを示していた。今後、原油価格の上昇が加わった場合、利下げではなく利上げへの警戒感が高まることになる。
本日は、ボウマンFRB理事、グールズビー米シカゴ連銀総裁、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、クーグラーFRB理事の発言機会が予定されている。明日のパウエルFRB議長の議会証言を控えて、原油価格の上昇が続いた場合、金融政策への影響への言及に注目しておきたい。
6月米製造業PMI速報値(予想:51.0)、サービス部門PMI速報値(予想:52.7)は、トランプ関税への警戒感などから5月からの悪化が見込まれている。中東情勢が緊迫化した場合は、さらに悪化する可能性が高まることになる。
なおパウエルFRB議長は、米国の成長率を楽観視する要因として、国内民間最終需要(PDFP)が堅調であることを強調しているが、米国の足元の5月の経済指標は、軟化基調を示している。FOMCでの「経済見通し(SEP)」では、トランプ関税による関税スタグフレーションへの警戒感が示されていたが、中東情勢の緊迫化により、スタグフレーションに陥る可能性がさらに高まりつつある。そのため、明日のパウエルFRB議長の議会証言への注目度合いを高めている。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、148.65円(5/12高値)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、145.55円 (日足一目均衡表・雲の上限)
今週のNY市場は中東情勢と経済指標に注目。先週は主要3指数が高安まちまち。S&P500が0.15%安と小幅に2週続落した一方、ダウ平均が9.03ドル高(+0.02%)とほぼ横ばいとなり、ナスダック総合は0.21%高と反発した。19日木曜日がジューンティーンスの祝日で、4日間の取引だったが、中東情勢や米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長発言などをにらんでもみ合った。
FOMCでは予想通り政策金利が据え置かれ、メンバーのFF金利見通し(ドットプロット)では年内2回の利下げ見通しが維持された。しかし、2025年のGDP成長見通しが引き下げられた一方、インフレ見通しが引き上げられたことでスタグフレーションの可能性を示唆する内容となった。パウエルFRB議長は関税による経済の不確実性を強調し、利下げは今後のデータ次第だとする姿勢を維持した。ただ、ウォラーFRB理事が、早ければ7月にも利下げ出来る状況にあると発言したことで早期利下げ期待も高まった。
週末の動きでは米国がイランの核関連施設に空爆を行い、イスラエル・イランの紛争に直接的に関与した。
今週は米国のイラン攻撃による中東情勢の緊迫化やそれを受けた原油相場の上昇などでリスク回避が強まる展開か。NY原油先物は23日の時間外で5カ月ぶりの高値となる1バレル78ドル台に上昇しており、原油高によるインフレ圧力の高まりや、イランの報復による中東情勢の一段の緊迫化への警戒感も株式相場の重しとなりそうだ。
経済指標では景気動向を巡り5月中古住宅販売件数(月曜日)、6月消費者信頼感指数(火曜日)、1-3月期GDP確報値(木曜日)が注目されるほか、物価動向を巡っては金曜日の5月個人消費支出 (PCE)価格指数や6月ミシガン大1年先・5年先期待インフレ率確報値などに要注目となる。また、火曜日と水曜日にパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の半期に一度の議会証言もあり、利下げを巡る議長発言が注目される。
今晩の米経済指標・イベントはS&Pグローバル製造業・サービス業PMI速報値、5月中古住宅販売件数など。企業決算は寄り前にファクトセット・リサーチなどが発表予定。
日経平均株価は3日続落。売り先行から下げ幅を拡大する場面があったが、心理的節目の38000円や25日移動平均線(37920円 6/23)などを下値で意識して持ち直す展開となった。3日ぶりの陽線となり、ほほ高値圏で終えた。
RSI(9日)は前日の56.4%→53.0%(6/23)に低下。引き続き見方は変わらない。5/13高値(38494円)と5/29高値(38454円)をつないで延長した上値抵抗線を超えた後の揺り戻しが生じているが、4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇継続の判断となる。
一方、5月中旬以降のもみ合い期間は昨年10月以降のもみ合い期間に比べてまだ短い。そのため、上値に対するエネルギーが蓄積されておらず、短期的な上値余地は4万円以下に収まる想定が必要となる。ただ、パターン分析では4月前半の安値を先端に「スパイクボトム(V字)」を確認している。短期的な上値は限定的となりつつも、当面の見方としては意外高のシナリオは想定しておきたい。
上値メドは、心理的節目の39000円、2/13高値(39581円)、心理的節目の4万円、12/27高値(40398円)などがある。下値メドは、25日移動平均線、6/13安値(37540円)、100日移動平均線(37212円 同)、心理的節目の37000円、75日移動平均線(36690円 同)などがある。
(23日終値:24日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=146.21円(23日15時時点比▲0.91円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=169.15円(▲0.23円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1569ドル(△0.0056ドル)
FTSE100種総合株価指数:8758.04(前営業日比▲16.61)
ドイツ株式指数(DAX):23269.01(▲81.54)
10年物英国債利回り:4.492%(▲0.045%)
10年物独国債利回り:2.507%(▲0.010%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値
47.8 49.8
6月仏サービス部門PMI速報値
48.7 48.9
6月独製造業PMI速報値
49.0 48.3
6月独サービス部門PMI速報値
49.4 47.1
6月ユーロ圏製造業PMI速報値
49.4 49.4
6月ユーロ圏サービス部門PMI速報値
50.0 49.7
6月英製造業PMI速報値
47.7 46.4
6月英サービス部門PMI速報値
51.3 50.9
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ユーロドルは底堅い動き。米国によるイラン空爆を受けて中東情勢の一段の悪化に警戒感が広がる中、「有事のドル買い」が先行すると、18時30分過ぎに一時1.1454ドルと日通し安値を更新した。
ただ、バンス米副大統領は22日に「イランと戦争をしているのではない。イランの核開発計画と戦っている」と述べ、米国の攻撃が限定的であることを強調し、全面衝突を望まない考えを示唆。WTI原油先物価格が失速したこともあり、ドル買いの勢いは長続きしなかった。
NYの取引時間帯に入ると、ボウマン米連邦準備理事会(FRB)副議長が「インフレ圧力が抑制されれば、7月利下げを支持する可能性がある」と発言したことをきっかけに、米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.28%台まで低下。全般ドル売りが優勢となり、3時過ぎに一時1.1575ドルと日通し高値を更新した。
欧州序盤まで進んでいた「株安・原油高・ドル高」を巻き戻す動きも優勢だった。「イランはカタールの米軍基地に向けてミサイル6発を発射した」との報道が伝わるとリスク・オフの動きが見られたものの、イランによる報復攻撃が限定的だったことから反応は一時的に。カタール政府は「イランのミサイル攻撃の迎撃に成功した」と発表したほか、「イランは米軍基地攻撃を巡り、事前にカタールに通知していた」とも伝わっており、その後は原油安・米株高・ドル安の様相が強まった。
・ドル円は頭が重かった。中東情勢の緊迫化を背景に「有事のドル買い」が優勢になると一時148.03円と5月13日以来の高値を付けたものの、148円台での滞空時間は短かった。米早期利下げ観測の高まりを背景に、ドル全面安となった流れに沿って3時過ぎに一時146.12円付近まで下押しした。イランによる報復攻撃が限定的となったことも米株高・原油安・ドル安の様相を強めた。
なお、「イランは中東の米軍基地をミサイルで攻撃した」との報道後も米株の下げは一時的にとどまり、再び上げに転じた。また、WTI原油先物価格の下げは加速し、一時6%超急落した。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時98.43まで低下した。
・ユーロ円は伸び悩み。ドル円の上昇につれた買いが入ると一時169.71円と昨年7月以来の高値を付けたものの、ドル円が失速するとユーロ円にも売りが出て一時168.74円付近まで上げ幅を縮めた。
・ロンドン株式相場は小幅ながら3日続落。米国が週末にイランの核施設を攻撃したことで、中東情勢が一段と緊迫したことを嫌気する売りが出た。HSBCやバークレイズなど金融株が売られたほか、セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株が値下がりした。
・フランクフルト株式相場は反落。米国によるイラン空爆を受けて中東情勢の一段の悪化に警戒感が広がる中、株売りが優勢となった。個別ではミュンヘン再保険(3.05%安)やザルトリウス(2.48%安)、ブレンターク(2.29%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は上昇。米債高につれた。
23日の日経平均は3日続落。終値は49円安の38354円。米国がイランの核施設を攻撃したことが嫌気されて、3桁下落スタート。序盤は下を試す流れとなり、下げ幅を300円超に広げた。ただ、節目の38000円に接近したところでは踏みとどまり、9時台半ば以降は切り返した。前場は戻りが緩慢であったが、後場はドル円が147円台に乗せるなど円安に弾みがつく中、下げ幅を2桁に縮小。前日終値に接近する場面もあり、下落ではあったが高値圏で取引を終えた。グロース250指数は後場に入ってプラス圏に浮上した。
東証プライムの売買代金は概算で3兆8300億円。業種別では鉱業、精密機器、食料品などが上昇した一方、電気・ガス、非鉄金属、鉄鋼などが下落した。日本経済新聞で、不動産事業の売却に関して、早ければ11月にも最終的な買い手が固まる見通しとなったと報じられたサッポロホールディングス<2501.T>が大幅上昇。半面、1Qが営業減益となったあさひ<3333.T>が、後場マイナス転換から下げ幅を広げた。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり653/値下がり915。半導体株に濃淡がついており、キオクシアやソシオネクストが大幅上昇。中東の地政学リスクの高まりを受けて原油高が意識され、INPEXが買いを集めた。日経平均の構成銘柄に採用が決まったロームが5%を超える上昇。取締役および執行役員の異動を発表したホギメディカルが急騰した。
一方、レーザーテックやSCREENなど半導体株の一角が大きめの下落。フジクラや古河電工など電線株が弱かった。ドル円は大きく円安に振れたが、トヨタやホンダなど自動車株は多くが下落。ソニーG、NEC、富士通など電機株が売りに押された。証券会社が投資判断を引き下げた日本酸素が大幅安。メタプラネットやリミックスポイントなど暗号資産関連が厳しい下げとなった。
グロース市場に新規上場したウェルネス・コミュニケーションズは、公開価格を大幅に上回る初値をつけ、終値も初値を上回った。
日経平均は3日続落したが、一時300円超下げたところからは大きく値を戻した。きょう1日で中東の地政学リスクを織り込み切ったと判断するのは早計だが、日本はこのリスクに対してある程度耐性があることは印象づけられた。安値38026円は9時34分と早い時間につけており、38000円や25日線(37920円、23日時点、以下同じ)を割り込まなかったことは安心材料。直近3営業日の下げも、短期的な過熱感を和らげる程度のものにとどまっている。先行き不透明感が一段と強まる中でも底堅い動きが見られただけに、あすは38500円や5日線(38533円)を上回ることができるかに注目したい。
(23日終値)
ドル・円相場:1ドル=146.15円(前営業日比△0.06円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=169.20円(△0.86円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1578ドル(△0.0055ドル)
ダウ工業株30種平均:42581.78ドル(△374.96ドル)
ナスダック総合株価指数:19630.98(△183.57)
10年物米国債利回り:4.35%(▲0.02%)
WTI原油先物8月限:1バレル=68.51ドル(▲5.33ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3395.0ドル(△9.3ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ユーロドルは3日続伸。米国によるイラン空爆を受けて中東情勢の一段の悪化に警戒感が広がる中、欧州市場序盤は「有事のドル買い」が優勢となり、一時1.1454ドルと日通し安値を付けた。
ただ、NYの取引時間帯に入ると一転ドル売りが優勢に。ボウマン米連邦準備理事会(FRB)副議長が「インフレ圧力が抑制されれば、7月利下げを支持する可能性がある」と発言したことをきっかけに、米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.28%台まで低下。全般ドル売りが活発化した。欧州序盤まで進んでいた「株安・原油高・ドル高」を巻き戻す動きも優勢となり、5時30分過ぎには一時1.1582ドルと日通し高値を更新した。
なお、米国が週末にイランの核施設を攻撃したことを受けて、イランはカタールの米軍基地を標的にミサイル攻撃を実施したと伝わった。もっとも、一部報道によると「イランは外交ルートを通じて米国とカタールに攻撃を事前通知していた」ほか、カタールは「ミサイルの迎撃に成功し、人的被害はなかった」と発表した。市場では「イランの報復は限定的」と受け止められ、WTI原油先物価格が7%超急落したほか、ダウ平均は一時400ドル超上昇した。また、主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時98.35まで低下した。
・ドル円は小幅ながら3日続伸。20時過ぎに一時148.03円と5月13日以来の高値を付けたものの、148円台での滞空時間は短かった。米早期利下げ観測の高まりを背景に、ドル全面安となった流れに沿って3時30分前に一時146.01円付近まで下押しした。イランによる報復攻撃が限定的となったことや「トランプ米大統領は中東でのさらなる軍事関与を望んでいない」との報道が伝わったことも米株高・原油安・ドル安の様相を強めた。
なお、トランプ米大統領は「イランが対応したことでこれ以上の憎悪がないことを望む」「イランが事前通知したことに感謝」と述べたと伝わった。
・ユーロ円は3日続伸。欧州市場では一時169.71円と昨年7月以来の高値を付けたものの、そのあとはドル円の失速につれた売りが出たため168.74円付近まで伸び悩んだ。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は続伸。イランはこの日、米軍による核施設への攻撃の報復として、カタールの米軍基地にミサイルを発射した。ただ、カタールは「イランのミサイルの迎撃に成功し、人的被害はなかった」と発表したほか、「米国とカタールには攻撃を事前に通知していた」と伝わったことから、「イランの報復は限定的」と受け止められ、WTI原油先物価格が急落。投資家心理が改善し株買いが広がった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は反発。
・米国債券相場で長期ゾーンは続伸。ボウマンFRB副議長が「インフレ圧力が抑制されれば、7月利下げを支持する可能性がある」と発言したことをきっかけに買いが入った。ただ、米国株相場が底堅く推移するとやや上値が重くなった。
・原油先物相場は大幅続落。週末に米国によるイラン空爆でアジア時間早朝は上昇していたが、徐々に上値が重くなった。イランがカタールの米軍基地へミサイル攻撃をしたものの、事前にイランが被害を最小限にとどめるために攻撃の標的などを通達していたことなどで、イランが報復攻撃を自重しているとの認識が広まると引けかけて下げ幅を広げて続落して引けた。
・金先物相場は反発。週末に行われた米国によるイランへの攻撃で、アジア時間の時間外取引では上昇していた金先物相場だが、徐々に株式・為替市場が落ち着きを取り戻すと上値が抑えられた。ただ、引けにかけてはドル売りが優勢になったこともあり、ドル取引される金先物は割安感もあり下値が支えられ、反発して引けた。
一部通信社が報じたところによると、「イランは今後2日以内に米軍に対して報復攻撃の可能性がある」ようだ。
米ウォールストリートジャーナル(WSJ)紙が報じたところによると、「イランは米軍の攻撃計画に備えてミサイル発射台を移動している」ようだ。
一部通信社が報じたところによると、「イランはカタールの米軍基地に向けてミサイル6発を発射した」ようだ。
カタール政府は「イランのミサイル攻撃の迎撃に成功した」「ミサイル攻撃による事故や死傷者はない」と発表した。
一部通信社が報じたところによると、「イランは米軍基地攻撃を巡り、事前にカタールに通知していた」ようだ。
23日20:28 プーチン露大統領
「米国によるイラン空爆を正当化する理由はない」
「われわれは、イラン国民の支援に取り組んでいる」
23日21:51 ハセット米国家経済会議(NEC)委員長
「米連邦準備理事会(FRB)が利下げしない理由はない」
23日22:14 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「データは、全体的に、近い将来、経済活動の見通しがやや弱まることを示唆している」
「関税とユーロ高により輸出は落ち込むと予想」
「不確実性により投資決定が遅れている」
「成長見通しに対するリスクは引き続き下向きに傾いている」
「金利決定は、インフレ見通し、基礎インフレの動向、金融政策の伝達の強さに基づいて行われる」
「インフレは2%前後で持続的に安定すると思われる」
「コモディティ価格を注意深く監視する」
23日23:13 ボウマン米連邦準備理事会(FRB)副議長
「インフレ圧力が抑制されれば、7月にも利下げの可能性がある」
「今後、雇用市場の下振れリスクをより重視すべき」
「貿易政策はインフレに『最小限の影響』しか及ぼさない可能性が高い」
「データは貿易政策の変化による影響をあまり示していない」
「政府の政策変更によりインフレリスクは低下するはずだ」
「貿易の進展により見通しの不確実性は低下した」
「労働市場は堅調だが、軟化の兆候も現れている」
「中東紛争は商品価格の上昇につながる可能性がある」
24日02:29 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「これまでのところ関税の影響は懸念されていたほど悪くはない」
「関税はスタグフレーションを引き起こす石油ショックと似ている」
「関税水準の引き下げと免除により関税の影響は緩和される」
「現在の不確実性は不安を抱かせる」
「現在の移行期にはソフトな経済データに注目することが重要」
24日05:01 トランプ米大統領
「イランが対応したことでこれ以上の憎悪がないことを望む」
「イランが事前通知したことに感謝」
※時間は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○17:00 ◎ 6月独Ifo企業景況感指数(予想:88.0)
○17:00 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○18:30 ◎ グリーン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○20:15 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○21:00 ◎ カジミール・スロバキア中銀総裁、講演
○21:30 ◎ 5月カナダ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.5%/前年比1.7%)
○21:30 ◎ 1-3月期米経常収支(予想:4490億ドルの赤字)
○22:00 ◎ ラガルドECB総裁、講演
○22:00 ◇ 4月米住宅価格指数(予想:前月比横ばい)
○22:00 ◎ 4月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比4.0%)
○22:15 ◎ ハマック米クリーブランド連銀総裁、講演
○22:35 ◎ ラムスデンBOE副総裁、講演
○22:55 ◎ レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○23:00 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、米下院金融サービス委員会で金融政策や経済情勢に関する半期に一度の証言
○23:00 ◎ 6月米消費者信頼感指数(予想:99.5)
○23:00 ◎ 6月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:▲10)
○25日00:50 ◎ ブリーデンBOE副総裁、講演
○25日01:30 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○25日02:00 ◎ 米財務省、2年債入札
○25日02:45 ◎ カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、イベントに参加
○25日03:00 ◎ コリンズ米ボストン連銀総裁、講演
○25日05:00 ◎ バーFRB理事、あいさつ
○NATO首脳会議(オランダ・ハーグ、25日まで)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
CNNによると、イランの高官は「イランは停戦提案を受け取っておらず、その必要性も感じていない」と述べているという。「まさに今この瞬間も、敵はイランに対して攻撃を加えており、イランは報復攻撃をさらに強化する寸前にある。敵の嘘に耳を傾けるつもりはない」とも発言しているとのこと。
昨日のニューヨーク外国為替市場でドル円は伸び悩んだ。20時過ぎに一時148.03円と5月13日以来の高値を付けたものの、米早期利下げ観測の高まりを背景に146.01円付近まで押し戻された。ボウマン米連邦準備理事会(FRB)副議長が「インフレ圧力が抑制されれば、7月利下げを支持する可能性がある」と述べた。ユーロドルは「有事のドル買い」で一時1.1454ドルまで下押したが、米利下げ観測を背景にドル売りが強まると1.1582ドルまで切り返した。ユーロ円は一時169.71円と昨年7月以来の高値を付けた。
東京タイムでは主な指標や注目のイベントは予定されていない。ドル円は日本株や時間外の米長期金利の動向を睨みながらの動きとなるが、米早期利下げ観測の高まりが重しとなる。先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)では金利の据え置きを決定し、声明文は若干の修正にとどまった。また、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は「政策スタンスの調整を検討する前に、経済の見通しについてより多くの情報を待てる状況にある」と述べ、利下げを急ぐことなく、関税引き上げの影響を見極めながら、金融政策を運営していく考えを改めて示し、利下げ観測は高まらなかった。
ただ、先週末にウォラーFRB理事が関税によるインフレへの影響は一時的で、大きくないとの見解を示し、「早ければ7月にも利下げできる状況にある」と述べた。これに続いて昨日はボウマンFRB副議長が「インフレ圧力が抑制されれば、7月利下げを支持する可能性がある」と発言した。二人ともに7月と時期を明確に取り上げ、利下げを支持する姿勢を示したことで利下げへの思惑が高まった。本日のNYタイムではパウエルFRB議長の議会証言が予定されており、同氏の発言に変化があるかどうかが注目される。
米軍が週末にイランの核施設3カ所を空爆し、イランが報復としてカタールの米軍基地へミサイル攻撃をしたものの、事前にイランが被害を最小限にとどめるために攻撃の標的などを通達していたことなどで、イランが報復攻撃を自重しているとの認識が高まり、中東情勢への過度な警戒感は和らいだ。本日早朝にはトランプ米大統領の「イスラエルとイランの間で、完全かつ全面的な停戦が合意された」との発言が伝わっている。ただ、同氏の発言は二転三転することが多く、中東関連のヘッドラインには引き続き注意したい。
なお、近年に直面したショック時と同様に今回の中東の緊迫化に「リスク回避の円買い」は見られていない。現状で円の投機ポジションが歴史的なロングに傾いていることを鑑みると、「リスクポジションを解消して中立にする」という意味では、ドル円がドル売り・円買いではなくドル買い・円売りに傾斜しているのもある程度納得ができそうだ。米商品先物取引委員会(CFTC)が発表した17日時点の円ロングポジションは13万枚程度と、5月からロングの縮小が続いているものの引き続き高い水準であり、ロング解消の動きが加速する可能性には要注意だ。
ニューヨーク・タイムズ紙によると、イスラエル軍の報道官はトランプ氏の停戦発言についてコメントを控えたと伝わっているほか、別の通信社からはイラン高官がカタールの仲介で米国の停戦提案に同意したとも報じられるなど、情報が錯綜している。
読売新聞が報じたところによると、赤沢経済再生相が26日にも訪米し、7回目の日米閣僚級協議を行うという。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 38620 +220 (+0.57%)
TOPIX先物 2780.0 +18.0 (+0.65%)
シカゴ日経平均先物 38590 +190
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
23日の米国市場はNYダウ 、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。米軍による核施設への攻撃を受けたイランが報復としてカタールの米軍基地にミサイルを発射したことが伝わると、NYダウは200ドルほど下落する場面もあった。ただし、イランが米国とカタールに攻撃を事前に通知していたことで報復は限定的と受け止められたほか、NY原油先物相場が急落したことで買い戻しの動きが強まった。
米連邦準備理事会(FRB)のボウマン副議長は講演で、早ければ7月に利下げを支持する考えを示した。20日のウォラーFRB理事に続いて早期利下げに言及したことで、米長期金利が低下し、買いに向かわせた面もあった。
S&P500業種別指数は、エネルギーのみが下落した一方で、自動車・同部品、食品・生活必需品小売、耐久消費財・アパレル、電気通信サービス、ソフトウエア・サービスの上昇が目立った。NYダウ構成銘柄では、シャーウィン・ウィリアムズ<SHW>、IBM<IBM>、スリーエム<MMM>、ホームデポ<HD>、ウォルマート<WMT>が買われた。半面、アムジェン<AMGN>、シェブロン<CVX>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>が軟調。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比190円高の3万8590円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比90円高の3万8490円で始まった。3万8580円まで買われた後は軟化し、米国市場の取引開始後には3万8220円まで下落幅を広げる場面もみられた。ただし、終盤にかけて急速に切り返しプラス圏を回復。3万8540円~3万8600円辺りでの保ち合いを経て、3万8620円とナイトセッションの高値で取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、買い先行で始まることになろう。ナイトセッションではイランの報復攻撃は事前通告を受けていたことで限定的と受け止められたほか、米国で早期利下げ観測が高まったことがショートカバーを誘ったようだ。ボリンジャーバンドの+1σ(3万8450円)を上回って終えたことで、+2σ(3万8940円)とのレンジが意識されやすいだろう。
中東情勢を巡る懸念が払拭されたわけではないが、過度な警戒感が和らぐなかで、+1σを支持線とした押し目狙いのロング対応に向かわせそうである。週足でも上向きで推移する+1σ(3万9490円)が支持線として意識されやすく、中長期的には+2σ(4万0030円)とのレンジ推移が期待されてきそうだ。
米国株の上昇は、NY原油先物相場が急落した影響が大きいと考えられる。ただ、イラン国会がホルムズ海峡の封鎖を承認したと報じられているほか、ホルムズ海峡に向かっていた船舶のうち数隻が航行システムに電子妨害を受けて航路を外れたようだ。原油相場の影響を受けやすい状況であることは意識しておきたい。
日経225先物は+1σと+2σ辺りでのレンジ推移が見込まれ、オプション権利行使価格の3万8500円から3万9000円のレンジを想定する。押し目狙いのロング対応とし、+1σ水準での底堅さがみられる局面では+2σ水準を捉えてくる可能性はありそうだが、同水準では戻り待ち狙いのショートに向かわせよう。
23日の米VIX指数は19.83(20日は20.62)に低下した。一時22.51まで上昇する場面もみられたが、その後の下げで6月16日以来の20.00を割り込んでいる。25日移動平均線(19.22)、200日線(19.67)を上回っているが、判断の分かれ目となる20.00を下回ってきたことで、リスク選好に向かわせそうである。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.90倍に上昇した。朝方は13.81倍まで下げる場面もみられたが、終盤にかけての切り返しで5月14日の戻り高値13.86倍を突破し、4月高値の13.91倍を捉えてきた。+2σ(13.89倍)を捉えてきたことでリバランスは入りやすいだろうが、NTロングでのスプレッド狙いが一段と強まる展開になりそうだ。
東京市場は堅調か。米国株は上昇。ダウ平均は374ドル高の42581ドルで取引を終えた。米国がイランの核施設を攻撃したが、それに対するイランの報復が抑制的と受け止められたことで、地政学リスクが後退。原油価格の急落も安心材料となり、株式には資金が向かった。ドル円は148円近辺まで円安が進んだ後、一転円高に振れる荒い動きとなっており、足元では145円90銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが190円高の38590円、ドル建てが295円高の38695円で取引を終えた。
朝方にトランプ大統領が、イスラエルとイランが完全な停戦で合意したと、自身のSNSに投稿している。日本株は米国株高や大統領の投稿を好感した買いが入るだろう。ドル円は円高に傾斜しているが、前日大きく円安に振れた際に自動車株など外需が強く買われたわけではなかっただけに、逆風にはならないとみる。中東リスクの後退により市況関連や防衛関連は敬遠されそうだが、全体では強い動きが続くと予想する。日経平均の予想レンジは38500-38900円。
地元メディアによると、イスラエルのネタニヤフ首相はイランが攻撃を停止する限り停戦することに合意したという。
イラン国営放送(IRIB)によると、イランが新たなミサイルの一斉発射をイスラエルに向けて行ったと報じている。なお、イスラエル軍はイランから3度目のミサイルが発射されたと発表している。
財務省が実施した20年物国債入札は応札倍率が3.11倍と3月以来の高水準となり、平均落札価格と最低落札価格の差(テール)は28銭だった。
日経225先物は11時30分時点、前日比330円高の3万8730円(+0.85%)前後で推移。寄り付きは3万8800円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万8590円)を大きく上回って始まった。現物の寄り付き直後には、3万8970円まで上げ幅を広げる場面もみられた。買い一巡後は中盤にかけて3万8640円まで上げ幅を縮め、その後は3万8650円~3万8850円辺りでの推移をみせている。
寄り付き前に、トランプ米大統領は「イスラエルとイランが暫定的な停戦に合意した」と自身のSNSに投稿したことが伝わった。中東情勢の警戒が和らぐなかで、ロングの動きが強まったようである。ただし、ボリンジャーバンドの+2σ(3万8950円)を捉えた後は利食いの動きも入りやすく、オプション権利行使価格の3万8750円を中心とした上下の権利行使価格である、3万8625円から3万8875円でのレンジが意識される。中盤までの動きで一回転していると考えられ、押し目狙いのロング対応で底堅さを見極めることになりそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.92倍に上昇した。4月7日の戻り高値(13.91倍)を突破し、一時13.94倍まで上げている。上向きで推移する+2σ(13.92倍)に沿ったトレンドを継続しており、NTロングでのスプレッド狙いに向かわせやすいだろう。
イラン学生通信(ISNA)によると、イランは攻撃が続くなら、より厳しい反撃を行うと米国に警告したという。
昨日の海外市場では、ドル円は完全に行って来い。欧州時間までは有事のドル買いで一気に上値を試す展開となると目先のSLを巻き込むかたちで上げ足を速め一時148.03円まで買い上げられました。ただ、NY時間に入ってからは一転して戻り売り。先週末のウォラーFRB理事に続いて、昇格したばかりのボウマンFRB副議長が7月利下げの可能性を示唆。米10年債利回りが4.2886%まで10bpの急低下となるにつれて下値を試す展開となりました。引けにかけてはイランがカタールの米軍施設を報復攻撃した際、事前通告していたことが判明。形だけの報復に終わったほか、トランプ米大統領が「事前通告に対して感謝する」と発言すると一時146.01円まで値を下げました。
そして、アジア市場が始まってすぐに、トランプ米大統領が自身のSNSで「6時間後からの停戦合意」を表明。WTI原油先物価格の急落とともに全般ドル売りの流れとなると145.29円まで値を下げています。目先は一目雲が位置する145.16円から145.55円のレベルが意識されているほか、一目転換線の145.42円がポイントとなっています。
いずれにしても、今回の合意は、6時間後(日本時間13時)から12時間のイランの停戦が続き、その後の12時間、イスラエルが停戦すれば、24時間後には完全な停戦という合意。直前まで続いているイランからの攻撃が終了するのかどうかを見極めることになります。
また、今夜はパウエルFRB議長の半期に一度の議会証言が行われるほか、多数のFOMCメンバーの講演などが予定されているわけで、FRB内部の利下げに対する温度差が完全に二分されている今、つまり、次期FRB議長候補を中心とした早期利下げ派と、中銀の独立性を守りつつ、米関税の影響で今後数カ月はインフレ率の大幅な上昇を見込んで不確実性を意識している執行部との、どちらも譲れないパワーバランスの変化を見極めることになりそうです。
本日のロンドン為替市場では、中東情勢を念頭に置きつつ、経済指標や要人発言を確認しながらNY市場を待つ展開となるか。
まず中東情勢について、早朝にトランプ米大統領が「イスラエルとイランの間で、完全かつ全面的な停戦が合意された」と発言したことで、過度な警戒感が後退している。もっとも、直後にイラン高官から「停戦提案を受け取っておらず、その必要性も感じていない」との発言が伝わるなど、停戦の実効性には疑問が残る。当事者間で停戦合意がなされるまで、関係者の発言や行動を注意深く見守る展開は続くことが予想される。万一、再び緊張が高まる場面では、再び「有事のドル買い」の反応もあり得る。
また、欧州では、6月独IFO企業景況感指数が発表予定。市場予想は88.0と前月87.5からの小幅上昇が見込まれている。昨日はユーロ圏各国の製造業やサービス業の購買担当者景気指数(PMI)・速報値が発表され、全体としてみれば強弱まちまちの結果だった。ただし、独に限れば製造業は予想通りだったが、サービス業は予想比上振れとなった。17日に発表された6月ZEW景況感調査も予想比で上振れており、これらの結果に続くか注目したい。
一方、要人発言は複数予定されている。デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁やカジミール・スロバキア中銀総裁、NY時間序盤になるがラガルドECB総裁やレーンECB専務理事兼チーフ・エコノミストの発言機会が予定されている。8日のECB理事会でラガルド総裁が7月理事会での利下げ休止を示唆したこともあり、金利据え置き観測を後押しする発言が相次ぐようだと、欧米の金融政策の方向性の違いからユーロ買い・ドル売りの流れとなる事も考えられる。
テクニカル面では、ユーロドルは12日に1.1631ドルまで上昇して2021年10月以来の高値を付けた。同水準を上抜くようだと、21年10月高値1.1692ドルや、すぐ上の心理的節目1.17ドルを視野に入れた動きとなろう。
他方、英国でも要人発言が複数予定されている。ベイリー英中銀(BOE)総裁とグリーン英中銀金融政策委員会(MPC)委員は20日のBOE理事会で金利据え置きに票を投じた。またNY序盤になるが、0.25%利下げに票を投じたラムスデンBOE副総裁の発言機会も予定されている。市場では8月理事会での利下げ観測がくすぶるなか、今後の金利や経済見通しについて言及があれば材料視されるかもしれない。
そしてNY時間には、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が米下院金融サービス委員会で金融政策や経済情勢に関する半期に一度の証言を行う予定となっている。先週末からFRB高官が相次いで7月利下げについて言及する中、市場の関心は高そうだ。中東情勢に対する懸念が和らぎ、ユーロ圏要人発言や経済指標を消化すると、証言待ちのムードとなるかもしれない。
想定レンジ上限
・ユーロドル:2021年10月高値1.1692ドル
・ポンドドル:13日高値1.3632ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル:21日移動平均線1.1456ドル
・ポンドドル:日足・一目均衡表の基準線1.3484ドル
AP通信が伝えたところによると、イスラエルが空域を無期限で閉鎖したという。
ドル円:1ドル=145.30円(前営業日NY終値比▲0.85円)
ユーロ円:1ユーロ=168.70円(▲0.50円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1610ドル(△0.0032ドル)
日経平均株価:38790.56円(前営業日比△436.47円)
東証株価指数(TOPIX):2781.35(△20.17)
債券先物9月物:139.25円(▲0.05円)
新発10年物国債利回り:1.415%(△0.010%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は軟調。トランプ米大統領が「イスラエルとイランの間で完全かつ全面的な停戦が合意された」と発言すると、前日まで進んでいた「有事のドル買い」の動きが巻き戻された。昨日のボウマン米連邦準備理事会(FRB)副議長の発言を手掛かりにした米利下げ観測が意識されたこともあり、一時145.05円まで値を下げた。
なお、イスラエル・イラン紛争についてはイラン側が停戦を一時否定するなど情報が錯綜する場面もあったが、その後に双方が停戦案に同意したと伝わっている。
・ユーロドルは強含み。全般にドル売りが強まった流れに沿った。1.1622ドルまで上値を伸ばし、12日につけた直近高値の1.1631ドルに迫る水準まで値を上げた。
・ユーロ円はさえない。ドル円の下落につれて売りが進んだ。ユーロドルの上昇や日本株高などを支えにした買い戻しは目立たず、一時168.53円まで下押しした。
・日経平均株価は4営業日ぶりに反発。中東の地政学リスクが大きく後退したことを受けて、寄り付きから買いが先行した。一時630円超上昇する場面もあったが、節目の3万9000円には届かずに買いも一服。後場はやや上げ幅を縮めた水準でのもみ合いとなった。
・債券先物相場は続落。中東情勢に対する過度な警戒感が和らぐなか、相対的に安全資産とされる債券に売りが出た。20年物国債入札が「やや低調な結果」となったことも売りを促し、一時138円99銭まで下押し。ただ、引けにかけてはやや買い戻しが入った。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・田中 理氏
スイス中銀がマイナス金利の再開に近づく
通貨高進行や関税引き上げなど先行きの不安要素は少なくない
スイス中銀は6連続利下げで政策金利を0%に引き下げた。通貨高による輸入価格の下落が続いており、スイスの消費者物価は5月に約4年振りにマイナス圏に転落した。地政学的緊張や関税協議など先行きの不透明要因も多く、シュレーゲル総裁は追加利下げの可能性を排除していない。マイナス金利には副作用もあり、追加利下げのハードルは相応にあるが、スイスは2015~2022年に8年近くもマイナス金利を続けた経験がある。更なる通貨高進行や米国との関税協議の決裂時には、マイナス金利の再開か為替介入の何れかを検討する必要があろう。
「イスラエルとイランが、暫定的な停戦に合意した。全てが予定通りに進むという前提の下で、『12日間戦争』と呼ぶべきものを終結させるに当たり、イスラエルとイラン両国に対し、その忍耐力、勇気、知性に敬意を表したい」(トランプ米大統領:6月23日)
1.1979年のイランとイラク
1979年2月11日にイラン革命が勃発して、イラン=イスラーム共和国が成立し、シーア派のホメイニ師が神権政治体制の指導者となった。
親米派だったパーレビ第2代イラク国王は追放され、400日以上に及ぶ米大使館人質事件により、米国とイランは、蜜月関係から敵対関係となった。
1979年7月に、サダム=フセイン氏がイラク(スンナ派)の第2代大統領に就任し、革命の輸出を恐れて、イランと交戦状態(1980年~88年)に陥った。
2003年、ブッシュ第43代米大統領は、イラクが2001年9月11日の同時多発テロの犯人を隠匿し、大量破壊兵器を所有しているとして、フセイン大統領の退陣と亡命を要求したものの拒否されたため3月20日にイラク戦争に踏み切った。
12月13日、イラクに侵攻したアメリカ軍によって、フセイン大統領は拘束され、シーア派に対する「人道に対する罪」を犯したとして処刑された。
2025年6月、ネタニヤフ・イスラエル首相とトランプ米大統領は、イランが核兵器製造に邁進しているという理由で、イランの核施設への空爆を断行した。
「主要施設フォルドゥに爆弾を投下した。今こそ平和の時だ。米国、イスラエル、世界にとり歴史的な瞬間だ。イランはこの戦争を終わらせることに同意しなければならない」
イスラエルは、数カ月前からイランにイスラエル諜報特務庁Mossad(モサド)の特殊部隊を潜入させて空爆のターゲットを特定しており、核施設の破壊には、米軍の地中貫通型爆弾(バンカーバスター)が必要だったため、ネタニヤフ・イスラエル首相とトランプ米大統領による共同作戦だったと思われる。
2. ライジング・ライオン作戦(立ち上がるライオン)
2025年6月12日、イスラエル軍は、イランの核・ミサイル施設、軍幹部、核科学者を標的とし、核武装の抑制と戦略的優位の確保を目的とした先制・抑止的攻撃を断行した。
作戦には200機以上の航空機と特殊部隊が参加し、100箇所以上の標的に対して精密攻撃を行い、イランの防空能力は弱体化した。
故パーレビ国王の長男クロシュ・レザ・パーレビ氏(64歳)は、米国で亡命生活を送っているが、「軍と警察、治安部隊に訴える。体制から離反し、国民に加われ。政権の終焉は近い。これは、われわれにとっての『ベルリンの壁』崩壊の瞬間だ」とイランの体制打倒を訴えるメッセージを発信した。
3.ミッドナイト・ハンマー作戦(真夜中の鉄槌)
2025年6月21日、アメリカ軍は、B-2爆撃機6機がフォルドゥにバンカーバスター12発を投下し、潜水艦からは、ナタンズとイスファハンに巡航ミサイル30発を発射し、ナタンズにはB-2爆撃機1機がバンカーバスター2発を投下した。
(※GBU-57:Guided Bomb Unit「精密誘導爆弾」+「超大型貫通爆弾(Massive Ordnance Penetrator」)
バンカーバスターの開発には約4億ドル(@145円=約580億円)が投じられ、米軍は20発保有していたが、14発使用したので、約2.8億ドル(@145円=約280億円)使い果たしたことになる。
ネタニヤフ・イスラエル首相は「彼のリーダーシップは中東を繁栄と平和の未来へと導く歴史の転換点となった。トランプ大統領と私はよく『力によって平和は生まれる』と言う。まず力があり、そして平和が訪れる」と表明した。
大阪9月限
日経225先物 38810 +410 (+1.06%)
TOPIX先物 2784.5 +22.5 (+0.81%)
日経225先物(6月限)は前日410円高の3万8810円で取引を終了。寄り付きは3万8800円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万8590円)を大きく上回って始まった。現物の寄り付き直後には、3万8970円まで上げ幅を広げる場面もみられた。買い一巡後は前場中盤にかけて3万8640円まで上げ幅を縮めている。前場終盤にかけて再び3万8860円辺りまで切り返す動きをみせたが、ロングの勢いは強まらず、後場は概ね3万8640円~3万8830円処でのレンジ推移が続いた。
寄り付き前に、トランプ米大統領が「イスラエルとイランが暫定的な停戦に合意した」と自身のSNSに投稿したことが伝わった。中東情勢に対する警戒が和らぐなかで、ロングの動きが強まったようである。ただし、ボリンジャーバンドの+2σ(3万8970円)を捉えた後は利食いも入りやすく、オプション権利行使価格の3万8625円から3万8875円でのレンジ推移が続いた。
その後、トランプ大統領が「停戦はいま発効した」とSNSに投稿したが、両国の正式発表を見極めたいとして積極的な売買は手控えられたとみられる。なお、イスラエルのネタニヤフ首相は、トランプ大統領が提案したイランとの停戦に合意したと発表。加えて、イラン外交筋がイスラエルとの停戦に合意したことを明らかにしたとも報じられているが、停戦が実現するかは不透明である。
日経225先物は上向きで推移する+1σと+2σによるレンジをキープしている。グローベックス米株先物は、ナスダック100先物が1.0%ほど上昇して推移していることもあり、24日の米国市場でこの流れを引き継ぐ形となれば、改めてロングの動きが強まる可能性はありそうだ。また、+1σを割り込んだとしても、足もとでは中心値となる25日移動平均線(3万8020円)が支持線として機能しているため、同水準に接近する局面では押し目狙いのロング対応に向かわせよう。
週間形状においても+1σ(3万8390円)を上回って推移していることで、+2σ(4万0060円)とのレンジが意識されやすい。バンドは拡大傾向をみせているため、トレンドとしては1月27日につけた4万0300円を射程に入れたスタンスになりそうだ。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は24日、米下院金融サービス委員会で議会証言を行う予定である。ウォラー理事やボウマン副議長は最近の講演で、早ければ7月に利下げを支持する考えを示しており、早期の利下げ期待が高まっている。パウエル議長がこれまでの見解から変化を示すのかが注目されよう。
NT倍率は先物中心限月で13.93倍に上昇した。4月7日の戻り高値(13.91倍)を突破し、一時13.95倍まで上げている。上向きで推移する+2σ(13.92倍)に沿ったトレンドを継続しており、NTロングでのスプレッド狙いに向かわせやすいとみられる。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万6810枚、ソシエテジェネラル証券が1万1615枚、サスケハナ・ホンコン証券が3284枚、バークレイズ証券が1841枚、SBI証券が1578枚、野村証券が1489枚、JPモルガン証券が1321枚、ゴールドマン証券が1251枚、モルガンMUFG証券が1230枚、日産証券が1016枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が1万6393枚、ソシエテジェネラル証券が1万6156枚、バークレイズ証券が6712枚、モルガンMUFG証券が2572枚、ゴールドマン証券が2475枚、ビーオブエー証券が1984枚、みずほ証券が1827枚、UBS証券が1775枚、シティグループ証券が1437枚だった。
本日のニューヨーク為替市場のドル円は、トランプ米大統領が発表したイスラエルとイランの停戦合意に関するヘッドラインに警戒しながら、パウエルFRB議長の議会証言を見極める展開となる。
トランプ米大統領は「イスラエルとイランが暫定的な停戦に合意した」と発表した。イスラエルとイラン、及び米国による軍事衝突がどのように終息していくのか、今後の関連ヘッドラインを見極めていくことになる。
イスラエルのネタニヤフ首相は、「イランとの停戦に同意した。イランの核と弾道ミサイルの脅威を取り除く目標を達成」と発言。アラクチ・イラン外相は「イスラエルが攻撃を停止すれば、我々も対応を続けるつもりはない」と述べている。
先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、トランプ関税による「不確実性(uncertainty)」を理由に、4会合連続での政策金利の据え置き(4.25-50%)を全員一致で決定した。声明文からは、関税スタグフレーション(higher unemployment and higher inflation)への警戒文言が削除。そして、ドット・プロット(金利予測分布図)では、年内2回の利下げ見通しが維持されている。
パウエルFRB議長は会見で、今夏にはトランプ関税の影響が一層明らかになるとの見通しを示しつつ、先行きの物価上昇の可能性にも触れていた。
しかし、第1次トランプ米政権でFRB理事に指名された2名、ウォラーFRB理事とボウマンFRB副議長は、7月FOMCでの利下げの可能性に言及。次期FRB議長の有力候補でもあるウォラーFRB理事は、「早ければ7月にも実施できる位置にあると思う」と見解を示した。タカ派と見られているボウマンFRB副議長も、「インフレ圧力が抑制されたままであれば、政策金利を中立水準に近づけ、健全な労働市場を維持するために、次回の会合での利下げを支持する」との考えを明らかにした。
さらにトランプ米大統領が、「本来なら少なくとも2-3%は金利を下げるべきだ」「議会にはこの非常に愚かで頑固な人物(パウエルFRB議長)をしっかり問い詰めてもらいたい」と発言。こういった状況のなか、パウエルFRB議長がどのような議会証言をするのか注目が集まる。
経済指標では6月米消費者信頼感指数が発表予定。同月の雇用統計や物価情勢を見極める意味で、雇用や物価に関する数字にも注目しておきたい。
・想定レンジ上限
ドル円、上値目処(めど)は146.19円(本日高値)
・想定レンジ下限
ドル円、下値目処(めど)は144.34円 (6/18安値)
今晩は堅調か。昨日は米国が週末にイランの核施設に空爆を行い、イランがこれに対して報復を行ったものの、イランの報復が抑制的と受けとめられたことや、原油相場が急反落したことも追い風となり主要3指数がそろって上昇。ダウ平均が374.96ドル高(+0.89%)と2営業日続伸し、S&P500も0.96%高と4営業日ぶりに反発。ナスダック総合も0.94%高と反発した。引け後には、トランプ大統領が「イスラエルとイランが停戦で合意した」とSNSに投稿した。
今晩の取引ではトランプ大統領の停戦合意表明を受けて、実際にイランとイスラエルが停戦合意に至るか否かが注目されるが、停戦合意となれば中東情勢の緊張緩和や原油価格の下落が相場の押し上げ要因となりそうだ。
利下げ見通しを巡っては、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言にも要注目となる。先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)では早期利下げを否定する内容だったが、金曜日にウォラーFRB理事が、月曜日にボウマンFRB副議長が7月利下げの可能性に言及した。トランプ米大統領も早期利下げについてパウエルFRB議長に圧力をかけており、今晩の米下院金融サービス委員会でのパウエルFRB議長証言に注目が集まる。
今晩の米経済指標・イベントはパウエルFRB議長議会証言のほか、4月S&Pケースシラー住宅価格指数、6月消費者信頼感指数など。企業決算は寄り前にカーニバル、引け後にフェデックスが発表予定。
日経平均株価は大幅反発。マド開けを伴う大幅高スタートとなったが、場中は伸び悩む展開となった。一方、買い一巡後にマドを埋め戻すような動きはなく底堅く推移。5日移動平均線(38584円 6/24)上で小陽線を形成して取引を終えた。
RSI(9日)は前日の53.0%→57.0%(6/24)に上昇。あすも上昇しやすいタイミングとなる。引き続き見方は変わらない。4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇継続の判断となる。5/13高値(38494円)と5/29高値(38454円)をつないで延長した上値抵抗線を超えた後の揺り戻しが一巡し、目先は一段高となるか。
一方、5月中旬以降のもみ合い期間は昨年10月以降のもみ合い期間に比べてまだ短い。そのため、上値に対するエネルギーが蓄積されておらず、短期的な上値余地は4万円以下に収まる想定が必要となる。
ただ、パターン分析では4月前半の安値を先端に「スパイクボトム(V字)」を確認している。短期的な上値は限定的となりつつも、当面の見方としては意外高のシナリオは想定しておきたい。
上値メドは、心理的節目の39000円、2/13高値(39581円)、心理的節目の4万円、12/27高値(40398円)などがある。下値メドは、10日移動平均線(38419円 同)、25日移動平均線(37971円 同)、6/13安値(37540円)、100日移動平均線(37204円 同)、心理的節目の37000円、75日移動平均線(36708円 同)などがある。
米財務省によると、2年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが3.786%、応札倍率(カバー)が2.58倍となった。
(24日終値:25日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=144.73円(24日15時時点比▲0.57円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=168.26円(▲0.44円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1626ドル(△0.0016ドル)
FTSE100種総合株価指数:8758.99(前営業日比△0.95)
ドイツ株式指数(DAX):23641.58(△372.57)
10年物英国債利回り:4.473%(▲0.019%)
10年物独国債利回り:2.543%(△0.036%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月独Ifo企業景況感指数
88.4 87.5
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は下落。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言を控えて、しばらくは145.00円を挟んだ狭い範囲での推移が続いた。
ただNYの取引時間帯に入り、6月米消費者信頼感指数が93.0と予想の99.5を下回ったことが分かると円買い・ドル売りが先行。パウエルFRB議長が米下院金融サービス委員会で「インフレが低下し労働市場が軟化した場合、利下げ前倒しの可能性も」「インフレ率は予想ほど強くない可能性がある」などと発言すると、米長期金利の低下とともに全般ドル売りが活発化し、23時30分前に一時144.51円と日通し安値を更新した。
なお、パウエルFRB議長は議会証言の事前原稿で「関税の引き上げはインフレ率を押し上げ、経済活動を圧迫する可能性が高い」「FRBは政策調整を行う前に、経済の動向をより深く見極めるのに適した状況にある」と従来の考えを強調。利下げを急がない方針を改めて示していた。市場では「ウォラー理事やボウマン副議長の発言の影響で、ややハト派に傾いた印象がある」との声が聞かれた。
・ユーロドルは底堅い動き。6月独Ifo企業景況感指数が88.4と予想の88.0を上回るとユーロ買い・ドル売りが先行。NY市場に入ると、低調な米経済指標やパウエルFRB議長の発言を手掛かりに全般ドル売りが優勢になり一時1.1641ドルと2021年10月以来の高値を更新した。1時過ぎには1.1605ドル付近まで伸び悩む場面もあったが、下押しは限定的だった。
なお、パウエルFRB議長は為替について「ドルは長期にわたって準備通貨であり続ける」「ドル下落のシナリオは時期尚早」などと語った。
・ユーロ円は168.00円を挟んで一進一退の動きが続いた。ドル相場となったためユーロ円自体は方向感が出にくい状況だった。
・ロンドン株式相場は4日ぶりに小反発。交戦中だったイスラエルとイランが停戦で合意したと伝わると、中東情勢を巡る懸念が後退。投資家心理が上向き、株買いが入った。ただ、イスラエルとイランは互いに合意を守っていないと非難しており、停戦合意が完全になされているかは不透明。引けにかけては売りが強まり上げ幅を縮めた。
・フランクフルト株式相場は反発。トランプ米大統領が「イスラエルとイランが停戦で合意した」と表明すると、中東情勢が緊張緩和に向かうとの期待から買いが優勢となった。個別ではハイデルベルク・マテリアルズ(6.07%高)やドイツ銀行(5.34%高)、シーメンス・エナジー(4.35%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は英国債が上昇した一方、独国債が下落した。
24日の日経平均は4日ぶり大幅反発。終値は436円高の38790円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1044/値下がり509。東京エレクトロンやディスコなど半導体株の多くが強く買われており、証券会社が投資判断を引き上げたレーザーテックが13.3%高と値を飛ばした。フジクラや古河電工など電線株が急伸。地政学リスクの後退と原油安を追い風に、空運大手のJALとANAに資金が向かった。1Q決算が好感された壱番屋が大幅高。株主還元拡充策などが好感されたリズムがストップ高比例配分となった。
一方、原油価格急落を受けてINPEXが6.8%安。コスモエネルギーや富士石油なども大きく売られた。中東の地政学リスクが後退すれば海上運賃上昇に対する期待がはく落するとの見方から、日本郵船など海運株が下落。共栄タンカーや三井E&Sなど、地政学リスクが高まった際に物色された銘柄が売りに押された。シティインデックスイレブンスによる保有株売却が判明した大平洋金属が大幅安となった。
スタンダード市場に新規上場したプリモグローバルホールディングスは、公開価格割れからのスタートとなり、終値は初値を大幅に下回り安値引けとなった。
日経平均は大幅高。直近3営業日の下げ分の大半を取り戻した。地政学リスクが顕在化した際にも大崩れはしていないだけに、この先、ネガティブなニュースが出てきたとしても、下値では買いが入るだろう。高値が38990円までで39000円に届かなかっただけに、早期にもう一段上を試す動きが見られるかが注目される。きょうの高値を超えるのに時間を要するようだと、39000円が抵抗として意識されやすい。半導体株の動きが良くなっており、流れは悪くない。きょうの米国株が上昇することはある程度織り込んでいると思われるが、5日線(38584円、24日時点)上を回復してチャートの形状は良くなっている。あすは39000円を上回り、リスク選好ムードが高まる展開に期待したい。
(24日終値)
ドル・円相場:1ドル=144.94円(前営業日比▲1.21円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=168.26円(▲0.94円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1609ドル(△0.0031ドル)
ダウ工業株30種平均:43089.02ドル(△507.24ドル)
ナスダック総合株価指数:19912.54(△281.57)
10年物米国債利回り:4.30%(▲0.05%)
WTI原油先物8月限:1バレル=64.37ドル(▲4.14ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3333.9ドル(▲61.1ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
1-3月期米経常収支
4502億ドルの赤字 3120億ドルの赤字・改
4月米住宅価格指数
(前月比) ▲0.4% 0.0%・改
4月米ケース・シラー住宅価格指数
(前年比) 3.4% 4.1%
6月米消費者信頼感指数
93.0 98.4・改
6月米リッチモンド連銀製造業景気指数
▲7 ▲9
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は4日ぶりに反落。イスラエルとイランの停戦合意の報を受けて、「有事のドル買い」の解消が進行。6月米消費者信頼感指数が93.0と予想の99.5を下回ったこともドル売りを促した。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が米下院金融サービス委員会で「インフレが低下し労働市場が軟化した場合、利下げ前倒しの可能性も」「インフレ率は予想ほど強くない可能性がある」などと発言すると、米長期金利の低下とともに全般ドル売りが活発化。23時30分前に一時144.51円と日通し安値を更新した。米長期金利の指標となる米10年債利回りは一時4.2827%前後と5月8日以来の低水準を付けた。市場では「パウエルFRB議長の証言中、金融市場では米債利回りが低下し、ドルが下落。年内少なくとも2回の利下げに対する織り込みがやや強まった」との声が聞かれた。
なお、パウエルFRB議長は議会証言の事前原稿で「関税の引き上げはインフレ率を押し上げ、経済活動を圧迫する可能性が高い」「FRBは政策調整を行う前に、経済の動向をより深く見極めるのに適した状況にある」と従来の考えを強調。利下げを急がない方針を改めて示していた。また、質疑応答では「関税政策のインフレへの影響は6月と7月のデータに出始めるだろう」「データは関税の少なくとも一部が消費者に打撃を与えることを示唆」との考えを示した。為替については「ドルは長期にわたって準備通貨であり続ける」「ドル下落のシナリオは時期尚早」などと語った。
・ユーロドルは4日続伸。欧州時間発表の6月独Ifo企業景況感指数が予想を上回ったことを受けてユーロ買い・ドル売りが先行。NY市場に入ると、低調な米経済指標やパウエルFRB議長の発言を手掛かりに全般ドル売りが優勢になり一時1.1641ドルと2021年10月以来の高値を更新した。その後の下押しも1.1605ドル付近にとどまった。
主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時97.71まで低下した。
・ユーロ円は4日ぶりに反落。ドル円の下落につれた売りが出て一時167.92円まで値を下げたものの、NY市場に限れば狭い範囲での推移にとどまった。ドル相場となったためユーロ円自体は方向感が出にくい状況だった。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、3月3日以来の高値となった。交戦中だったイスラエルとイランが停戦で合意したと伝わると、中東情勢が緊張緩和に向かうとの期待から買いが優勢となった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は続伸し、2月20日以来の高値で取引を終えた。米長期金利の低下で高PER(株価収益率)のハイテク株に買いが入った。
・米国債券相場で長期ゾーンは3日続伸。低調な米経済指標やパウエルFRB議長の発言を手掛かりに買いが優勢となった。WTI原油先物相場の大幅下落もインフレ懸念の後退につながり、相場を下支えした。利回りは一時4.2827%前後と5月8日以来の低水準を付けた。
・原油先物相場は3日続落。前日からイランのカタール空爆が事前に米国に通達し、中東和平への期待が高まる中で、トランプ米大統領が停戦合意を発表した。中東情勢緊張緩和により、先週から軟調地合いだった原油先物は終始上値が重い展開で3日続落して引けた。
・金先物相場は大幅反落。前日にイスラエルとイランの停戦合意をトランプ米大統領が発表したことで、中東情勢緊張緩和により、安全資産として買われていた金先物に巻き戻しの売りが入った。
24日07:08 トランプ米大統領
「イスラエルとイランの間で、完全かつ全面的な停戦が合意された」
「約6時間後、両国が現在進行中の最終任務を完了した時点で発効」
「停戦は12時間続き、その時点で戦争は終結したと見なされる」
「イランがまず停戦を開始し、12時間後にイスラエルが停戦を開始、24時間後には『12日間戦争』の公式な終結」
24日14:11
「停戦は発効した。どうか破らないでほしい」
「本来なら少なくとも2-3%は金利を下げるべきだ」
「議会にはこの非常に愚かで頑固な人物(パウエルFRB議長)をしっかり問い詰めてもらいたい」
「我々は彼(パウエルFRB議長)の無能のツケを何年も払い続けることになるだろう」
24日19:48
「イスラエルとイランは共に停戦協定に違反した」
「イスラエルにもイランにも満足していない」
24日22:27
「中国は今後、イランから原油の購入を継続できる」
「願わくば、米国からも十分な量を購入してくれるだろう」
24日07:22 ヴァンス米副大統領
「トランプ大統領と共に停戦合意の実現に取り組んでいる」
「イランが核開発計画を再構築しないことを望んでおり、長期的な解決策の構築を目指す」
「今後数時間は国際的な承認を巡るさらなる調整が続く見込み」
「最大の懸念は、イランのウラン濃縮度が60%から90%に達するかどうか」
24日09:53 アラクチ・イラン外相
「現時点ではいかなる停戦合意もない」
「軍事作戦に関する最終決定は後ほど行う」
「イスラエルが攻撃を停止すれば、我々も対応を続けるつもりはない」
24日10:37 林官房長官
「参院選は7月3日公示・20日投開票を決定」
24日11:45 イスラエル軍
「安全上の事案は終了。シェルターから退避しても構わない」
24日13:06 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「市場の混乱があっても、ECBは依然として利下げが可能」
「ECBの金利は中立水準に戻った」
「中立金利は最終的な金利ではない」
「原油価格だけでは反応方針を決める十分な指標にはならない」
24日15:21 ネタニヤフ・イスラエル首相
「イランとの停戦に同意した」
「イランの核と弾道ミサイルの脅威を取り除く目標を達成」
24日18:43 グリーン英中銀金融政策委員会(MPC)委員
「利下げについては慎重かつ段階的なアプローチが引き続き必要」
「リスクは両サイドあるが、経済成長に関しては下振れ、インフレについては上振れリスクに傾いている」
「最近のインフレ率の上昇を考慮すると、物価安定が最優先事項」
24日19:13 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「物価上昇が予想される中で利下げを急ぐ必要はない」
「年後半に0.25%の利下げを予想」
「今年の経済成長率は1.1%に減速し、インフレ率は2.9%に上昇する見込み」
24日20:47 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「基調的なディスインフレの流れは、原油価格の上昇にも関わらず変わっていない」
※時間は日本時間
24日21:39 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長(議会証言原稿)
「関税の引き上げはインフレ率を押し上げ、経済活動を圧迫する可能性が高い」
「最終的な関税の水準が影響を左右する」
「FRBの責務はインフレ期待を安定させ、一時的な物価上昇が継続的なインフレ問題に発展するのを防ぐこと」
「インフレ率は目標の2%をやや上回っている」
「長期的なインフレ期待は2%の目標と整合的」
「FRBは政策調整を行う前に、経済の動向をより深く見極めるのに適した状況にある」
24日23:22
「インフレが低下し労働市場が軟化した場合、利下げ前倒しの可能性も」
「FRBが関税についてコメントするのは不適切」
「インフレ率は予想ほど強くない可能性がある」
「中東の緊張が経済に与える影響を判断するのは時期尚早」
「状況は変化しており、我々の考え方もそれに適応してきた」
「金利の動向は経済の動向次第」
「FRBはインフレに対して慎重な姿勢を維持」
「経済が好調な状況では、利下げを急ぐ必要はないと考えている」
「利下げの具体的な会合については言及を避けたい」
「インフレが抑制されれば、早期の利下げも可能」
「FRBを去る間に経済が好調であることを望んでいる」
「6月と7月の数字で関税インフレが見られるだろう」
「データは関税の少なくとも一部が消費者に打撃を与えることを示唆」
「ドルは長期にわたって準備通貨であり続ける」
「6月、7月、8月には関税によるインフレ効果が顕著に現れると予想」
「もしそれが見られなければ、利下げは早期に実施されるだろう」
「FRBは様子見の姿勢」
「関税はインフレへの一時的な打撃となる可能性があるものの慎重に対応する必要」
「インフレ全体の状況は良好」
24日22:30 ハマック米クリーブランド連銀総裁
「政策金利は当面の間、据え置かれる可能性」
「利下げの差し迫った理由は見当たらない」
「政策に関しては、急ぎすぎて間違った判断をするよりも、ゆっくり正しく判断する方が良い」
「米国経済は堅調な勢いを保っており、雇用市場も今のところ堅調」
「関税導入は見通しの不確実性を高めている」
24日22:47 ラムスデン英中銀(BOE)副総裁
「労働市場の大幅な緩和の累積的な証拠が影響を与えている」
「中期的にはインフレの下振れリスクをより重視」
「求人件数の減少により、求人数は大幅に減少した」
24日23:06 レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼主任エコノミスト
「インフレ目標達成はほぼ完了していることに十分な自信」
「サービスインフレはまだ道のりが遠い」
24日23:24 ベイリー英中銀(BOE)総裁
「英国経済はやや緩んできている」
「労働市場の減速が始まっている」
「国際的な枠組みに基づいて問題を解決する用意がある」
「我々は、国際法の下で公正かつ合理的な合意を求める」
「イスラエルが国際的な枠組みに基づいて抑制されることを望む」
25日01:54 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「経済成長は今年鈍化する見込み」
「雇用市場は堅調に推移する見込み」
「関税の影響と同様に、不確実性も経済パフォーマンスにとって重要」
「不確実性が解消されれば、経済は活性化するだろう」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 5月企業向けサービス価格指数(予想:前年比3.1%)
○08:50 ◇ 日銀金融政策決定会合における主な意見(6月16-17日分)
○10:00 ◇ 田村直樹日銀審議委員、あいさつ
○14:00 ◇ 4月景気動向指数改定値
<海外>
○07:45 ◎ 5月ニュージーランド(NZ)貿易収支
○09:15 ◎ シュミッド米カンザスシティー連銀総裁、講演
○10:30 ◎ 5月豪消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比2.3%)
○15:45 ◇ 6月仏消費者信頼感指数(予想:89)
○17:45 ◎ ロンバルデリ英中銀(BOE)副総裁、講演
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○23:00 ☆ 5月米新築住宅販売件数(予想:前月比▲6.7%/69.4万件)
○23:00 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、米上院銀行委員会で金融政策や経済情勢に関する半期に一度の証言
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○26日02:00 ◎ 米財務省、5年債入札
○北大西洋条約機構(NATO)首脳会議(オランダ・ハーグ、最終日)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 38750 -60 (-0.15%)
TOPIX先物 2777.0 -7.5 (-0.26%)
シカゴ日経平均先物 38765 -45
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
24日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。イスラエルとイランが停戦で合意したと伝わり、中東情勢の緊張が和らいだとの見方から買い優勢となった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は講演で、利下げを急がない姿勢を改めて示した。ただ、7月利下げの可能性については、インフレ圧力が抑制されているのであれば、早めに利下げに踏み切る考えを示しており、バランスの取れた回答が材料視された。6月の米消費者信頼感指数が予想外に低下したことも利下げ期待につながった。NYダウは3月上旬以来の4万3000ドル台を回復し、ハイテク比率の高いナスダック指数は2月中旬以来の高値で終えた。
S&P500業種別指数は半導体・同製造装置、運輸、各種金融が上昇した一方で、自動車・同部品、エネルギー、家庭用品・パーソナル用品の弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、セールスフォース<CRM>、アメリカン・エキスプレス<AXP>、エヌビディア<NVDA>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>が買われた。半面、シェブロン<CVX>、アップル<AAPL>、トラベラーズ<TRV>、プロクター・アンド・ギャンブル<PG>が軟調。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比45円安の3万8765円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比100円安の3万8710円で始まった。直後につけた3万8790円を高値にショート優勢の動きが続き、米国市場の取引開始後には3万8600円まで下落幅を広げる場面もみられた。ただし、終盤にかけては下げ幅を縮めており、3万8700円~3万8750円辺りでの保ち合いを経て、3万8750円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、戻り待ち狙いのショートが入りやすそうだ。イスラエルとイランが停戦で合意したことは前日の上昇で織り込まれており、ナイトセッションでは小動きが続いた。ただし、米国ではエヌビディアのほか、マイクロン・テクノロジー<MU>やブロードコム<AVGO>、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ<AMD>など半導体株が買われており、アドバンテスト<6857.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株の支援材料になるだろう。
日経225先物はボリンジャーバンドの+1σ(3万8520円)と+2σ(3万9030円)とのレンジ内での推移をみせており、+1σに接近する局面では押し目狙いのロング対応。一方で、+2σ近辺では戻り待ち狙いのショートでの対応になりそうである。そのため、オプション権利行使価格の3万8500円から3万9000円のレンジを想定する。
また、週足の+1σ(3万8400円)を上回っての推移をみせているため、方向性としては+2σ(4万0070円)とのレンジも意識されやすい。バントは上向きで推移していることもあり、ショートに傾けるポジションは控えておきたいところだろう。
24日の米VIX指数は17.48(23日は19.83)に低下した。25日移動平均線(19.20)、200日線(19.67)を割り込んで始まり、その後も両線を下回っての推移が続いていたため、リスク選好に向かわせそうである。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.93倍に上昇した。4月7日の戻り高値(13.91倍)を突破し、一時13.95倍まで上げている。上向きで推移する+2σ(13.92倍)に沿ったトレンドを継続しており、米半導体株の上昇が支援材料になるなかで、NTロングでのスプレッド狙いに向かわせやすいとみられる。目先的には200日線が位置する14.04倍辺りがターゲットになりそうだ。ただ、同水準は+3σになるため、ピーク感が強まる可能性はあるだろう。
24日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、イスラエルとイランの停戦合意の報を受けて、「有事のドル買い」の解消が進行する中、6月米消費者信頼感指数が予想を下回った事もあり軟調推移。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が「インフレが低下し労働市場が軟化した場合、利下げ前倒しの可能性も」などと発言すると、144.51円と日通し安値を更新した。ユーロドルは低調な米経済指標やパウエルFRB議長の発言を手掛かりに全般ドル売りが優勢になり一時1.1641ドルと2021年10月以来の高値を更新した。
本日の東京時間では、ドル円は引き続き中東情勢の行方に注意を払いながら、日米金融当局者の発言のほか、株価や時間外の米長期金利の動向を確認することになるか。
昨日はトランプ米大統領が「イスラエルとイランの間で、完全かつ全面的な停戦が合意された」などと発言すると、中東情勢に対する過度な懸念が後退。これまで「有事のドル買い」で買われたドル円は売り戻しが優勢となった。その後イスラエルとイランの停戦が日本時間13時から発効したことも、ドルの売り戻しを後押しした。前週末から7月利下げに言及するFRB高官の発言が相次いだほか、パウエルFRB議長からも利下げ前倒しの可能性について言及したことで、本日の東京市場でもドルが売られやすい地合いを引き継いで推移することが予想される。
ただ、市場のリスク回避ムードの緩和は株高要因であり、昨日はダウ平均が終値で約3カ月半ぶり高値となるなど米株は主要3指数がそろって上昇している。この流れを引き継いでアジア株が上昇するようならば、リスク・オンの流れの中でクロス円に連れてドル円も値を上げる展開もあり得る。そのほか、中東情勢が再び緊迫化する場合は「有事のドル買い」再開に備えておきたいところ。
国内では、日銀金融政策決定会合における主な意見(6/16-17開催)が公表される。今回は長期国債の買い入れペースの縮小が決定されたが、どのような議論がなされたか気になるところ。
また、田村日銀審議委員の発言機会が予定されている。同委員は16-17日に開催された日銀金融政策決定会合にてただ一人、長期金利の形成は市場と市場参加者に委ねるべきであるとして、2027年1-3月まで月間の買入れ予定額を原則として毎四半期4000億円程度ずつ減額する議案を提出(反対多数で否決)した。政策委員会の中でタカ派とされる同氏が今後の金融政策について言及があれば確認しておきたい。
他方、豪州では5月消費者物価指数(CPI)が発表予定。市場予想は前年比+2.3%と前月+2.4%よりわずかな伸びの鈍化が見込まれている。7月に豪準備銀行(RBA)理事会を控える中、予想よりも弱い結果となれば豪ドル相場の重しとなる事も考えられる。
そのほか、豪CPIの少し前にはタカ派とされるシュミッド米カンザスシティー連銀総裁の講演も予定されている。先週末から7月利下げについての言及が相次ぐ一方、昨日同じくタカ派とされるハマック米クリーブランド連銀総裁は「政策金利は当面の間、据え置かれる可能性」との見方を示すなど、FRB内でも次の一手についての見方が分かれている様子。どのような見通しを示すか確認しておきたい。
東京市場は一進一退か。米国株は上昇。ダウ平均は507ドル高の43089ドルで取引を終えた。トランプ大統領がイランとイスラエルの停戦合意を表明したことや、これを受けて原油価格が大きく下落したことなどを好感した買いが入った。米10年債利回りが大きく低下しており、半導体株に強い動きが見られた。ドル円は足元144円90銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが45円安の38765円、ドル建てが60円安の38750円で取引を終えた。
イランとイスラエルの停戦合意に関しては、日本株はきのう先んじて消化している。CME225先物は横ばい圏からのスタートを示唆しており、米国株高は織り込み済みと捉えるべきだろう。強めに始まらないのであれば、きのうの日経平均は39000円手前で頭打ちとなっているだけに、上値は追いづらい。米金利低下でドル円がやや円高(ドル安)に振れていることも重荷となる。一方、好材料を先取りしたにすぎないだけに、売り急ぎは抑制される公算が大きい。地政学リスクが完全に払しょくされたかどうかについて、本日の米国株を見極めたい状況でもあり、前日終値近辺で様子見姿勢の強い動きが続くと予想する。日経平均の予想レンジは38600-38950円。
イスラエルのメディアによると、イスラエルの政治・安全保障評議会の一部の閣僚はイランとの停戦に反対し、「イラン政権が崩壊するまで作戦を継続すべきだ」と要求したという。
昨日の海外市場では、ドル円はイスラエルのネタニヤフ首相が「停戦に合意した」と発表すると145.00円まで下落。その後は「イランがイスラエルに向けてミサイルを発射した」ことが伝えられると145.41円まで買戻される場面もみられましたが、その後は145.00円を挟んだもみ合い。NY時間に入ってからは、6月米消費者信頼感指数が予想を大幅に下回る弱い数字となると米長期金利が低下。パウエルFRB議長の米下院金融サービス委員会での半期に一度の議会証言では、質疑応答において「インフレが低下し労働市場が軟化した場合には、利下げの前倒しもあり得る」との見解が示されると米10年債利回りが4.2827%まで低下幅を広げるなか一時144.51円まで値を下げました。引けにかけては144.96円まで買戻されてNY市場を引けています。
アジア時間に入ってからは、ゴトー日とあって仲値にかけては本邦実需の買いが観測されると145.04円まで買戻されたものの、田村日銀審議委員がかなりタカ派的な発言を行うと144.61円まで下押し。ただ、この田村委員。日銀内では一番のタカ派とあって、市場では「当然の発言」との声も多く、それ以上でも以下でもないといったところです。
いずれにしても、市場は昨日の停戦合意発言からずっと続いているトランプ米大統領のSNSを追いかけているところですが、本日は「CNNとNYタイムズがフェイクニュースを流している」とお怒りのツイート。「イランの核施設を完全に破壊した」ことを何度も誇張していることが目立っています。
もはや、市場のクレディビリティを完全に失っている米大統領の大袈裟な投稿内容には、2%以上の利下げを要求する非現実的なツイートも同様に、既にヘッドラインリスクの一部としか認識されておらず、後1時間後に迫った停戦完了期限に向けて、様子見の動きが続いています。ドル円は目先、一目雲を意識した展開となっています。
日経225先物は11時30分時点、前日比80円安の3万8730円(-0.20%)前後で推移。寄り付きは3万8700円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万8765円)を下回り、売り先行で始まった。寄り付きを安値に切り返しており、現物の寄り付き時には3万8900円とプラス圏を回復する場面もみられた。ただし、買い一巡後は3万8700円~3万8850円辺りでの保ち合いを継続。終盤にかけてレンジを下抜け、3万8670円まで下げる場面もあった。
現物の寄り付き時に3万8900円まで上げたが、ボリンジャーバンドの+2σ(3万9020円)に接近する局面では戻り待ち狙いのショートが入りやすいようだ。一方で、東京エレクトロン<8035.T>[東証P]やアドバンテスト<6857.T>[東証P]の上昇が日経平均型を支えているため、下へのバイアスも強まらず、+1σ(3万8520円)とのレンジを継続。オプション権利行使価格の3万8750円を中心とした上下の権利行使価格である、3万8625円から3万8875円での狭いレンジが意識される。
NT倍率は先物中心限月で13.97倍に上昇した。一時13.99倍まで上げており、上向きで推移する+2σ(13.96倍)を上回っている。膠着感が強まるなかで指数インパクトの大きい値がさハイテク株が買われているため、NTロングでのスプレッド狙いに向かわせやすいだろう。
大和総研では欧州経済に関して、1-3月期は米国の追加関税実施前の駆け込み需要がユーロ圏経済を押し上げたが、4月に入ってその反動減が顕在化していると指摘している。4月の米国向け輸出は大幅に減少し、これが鉱工業生産の低下にもつながったとのこと。大和総研では、3月までの急増分が需要の先食いであったとすれば、米国向け輸出はもう一段減少してもおかしくないと考えており、4月の減少をもって輸出の落ち込みが一巡したと判断するのは早計とコメントしている。
本日のロンドン為替市場では、中東情勢を意識しつつ、米利下げ観測を背景とするドル売りが続くかを見極めることになるか。
まず中東情勢について、昨日イスラエル・イラン間での停戦が発表され、執筆時点でも辛うじて停戦は順守されている様子である。これを受け、足元ではそれまでの「有事のドル買い」が巻き戻され、ユーロドルは押し上げられている。
停戦後、イランのペゼシュキアン大統領が「12日間の戦闘終結」を宣言したほか、イスラエルのネタニヤフ首相は「核による絶滅の脅威を排除したとし、イスラエルは何世代にもわたって記録される歴史的勝利を収めた」と発言している。しかし、イランの核施設破壊は不完全であったと報じられていることや、イランの核物質の行方が不明であることなどから、このまま戦闘状態の終結に向かうかは依然不透明である。引き続き、関係者の発言や行動に注意を払う必要がありそうだ。
また、欧米間の金融政策の方向性の違いが意識されるかも、気になるところである。欧州は利下げ局面が終わりに近づいているとの見方が広がる一方、米国では足もとで7月利下げ観測が浮上している。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、足元での7月利下げ確率は19%弱と1週前の16%とあまり変わっておらず、織り込み余地はあると見る。この点に着目した動きが広がるようならば、ユーロドルは底堅い展開が見込まれる。
テクニカル面では、ユーロドルは日足の一目均衡表で強い買いシグナルとされる三役好転が点灯する中。昨日は1.1641ドルまで上昇して2021年10月以来の高値を更新した。目先は上値が意識されやすい展開が予想され、昨日高値を上抜くと、21年10月高値1.1692ドルやすぐ上の心理的節目1.17ドルを視野に入れた動きとなりそうだ。仮に下押しても、転換線1.1544ドルや上昇中の21日移動平均線1.1471ドル付近がサポートになると見る。
なお、本日は予定されている経済イベントは全般的に少なめ。経済指標は6月仏消費者信頼感指数くらいであるほか、要人発言についても欧州中銀(ECB)高官からは予定されておらず、ロンバルデリ英中銀(BOE)副総裁の講演が予定されている程度となっている。
想定レンジ上限
・ユーロドル:2021年10月高値1.1692ドル。超えると節目の1.1750ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル:日足・一目均衡表の転換線1.1544ドル。割り込むと21日移動平均線1.1456ドル
ドル円:1ドル=145.03円(前営業日NY終値比△0.09円)
ユーロ円:1ユーロ=168.51円(△0.25円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1618ドル(△0.0009ドル)
日経平均株価:38942.07円(前営業日比△151.51円)
東証株価指数(TOPIX):2782.24(△0.89)
債券先物9月物:139.41円(△0.16円)
新発10年物国債利回り:1.395%(▲0.020%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
<国内> <発表値> <前回発表値>
5月企業向けサービス価格指数
前年同月比 3.3% 3.4%・改
4月景気動向指数改定値
先行指数 104.2 103.4
一致指数 116.0 115.5
改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は下値が堅い。5・10日(ゴトー日)の仲値に向けた買いが先行し、9時30分過ぎに145.04円まで値を上げた。その後は田村日銀委員が「物価上振れリスクが高まる場合、果断な対応もあり得る」との見解を示したことが材料視され、いったんは144.61円まで売りに押されたが、昨日の安値144.51円の手前で下値の堅さを確認すると再び買い戻しが優勢に。15時過ぎには145.21円まで本日高値を更新した。
・ユーロドルは伸び悩み。対円でドル売りが強まった場面では1.1631ドルまで上昇したものの、昨日の高値1.1641ドルには届かず、1.1609ドル近辺まで押し戻された。
・ユーロ円は強含み。168円台前半で神経質に上下したものの、ドル円の上昇や日本株高を手掛かりにした買いが徐々に強まり、一時168.68円まで値を上げた。
・日経平均株価は続伸。前日の米国株高を受けて買いが先行したものの、その後はマイナス圏まで失速した。ただ、後場に入ると株価指数先物主導で再びプラス圏に浮上。外国為替市場でやや円安・ドル高が進んだことも相場を下支えした。
・債券先物相場は3営業日ぶりに反発。小安く始まったものの、次第に買いが優勢となった。この日公表された日銀決定会合の主な意見(6/16-17日分)で、日銀が早期の追加利上げに否定的な見解を示したことを材料視した買いが入った。
一部報道が関係筋の話て報じたところによると、政府は2025年度の成長率見通しの下方修正を検討しているもよう。従来予測の1.2%から1%未満まで引き下げられる可能性が浮上してきた。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・田中 理氏
フランスに政治の季節が再び到来
年金改革見直しで合意できず、内閣不信任案を提出へ
フランスで政局安定の鍵を握る年金改革の見直しを検討する労使間協議が合意できずに終わった。これを受け、これまで投票棄権で政権を消極的に支えてきた穏健左派の社会党は、内閣不信任案を近く提出する方針を固め、別の左派3党が同調することを示唆している。極右政党・国民連合も不信任に回れば、昨年12月と同様にバイル内閣は総辞職に追い込まれる。
政権奪取の機会を窺う極右政党がこれに同調するかは不透明だ。昨年の議会選挙後に同党の支持は一段と高まっているが、単独過半数には届かない。前倒し選挙で最大勢力となった場合も、首相の任命権を持つマクロン大統領が極右の政権発足を認めない可能性が高い。政権奪取への近道は大統領の座を手にすることで、3月に公職停止の判決を受けた同党のルペン前党首は、控訴審判決の結果を待ち、2027年の大統領選挙への出馬を諦めていない。議会選挙を前倒しした場合、ルペン氏は立候補ができず、大統領選挙に向け、議会で政権を追及する機会を失うことになる。
「政策判断で重視する基調的物価は上昇しているものの、2%へ向けて加速感を持って上がってるという状況ではない」(植田日銀総裁:6月17日)
6月24日、2%の物価安定目標の実現を目指す日銀が公表した5月の「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」は、まちまちとなった。コメなど原材料価格の上昇分や人件費などの転嫁が続き、上昇品目の比率は一段と高まった。
5月の上昇品目の比率は81.6%と、4月の80.3%を上回り、24年2月以来の高水準を維持している。下落品目は13.2%で、4月の14.2%から減少した。
1. 基調的なインフレ率を捕捉するための指標
物価動向の分析にあたっては、現実に観測される「消費者物価」の動きから、様々な一時的要因の影響を取り除いた、基調的なインフレ率(「コア指標」)が利用されている。
生鮮食品を除いた「コアCPI」や生鮮食品およびエネルギーを除いたコアコアCPIの他に、様々なコア指標を総合的にみていくことによって、基調的な物価変動をより的確に把握できると思われる。
日本銀行調査統計局では、毎月の全国消費者物価指数の公表に合わせて、上昇・下落品目比率、刈込平均値、最頻値、加重中央値を試算し、原則として、全国消費者物価指数の公表日の2営業日後の14時を目途に公表している。
2.5月の「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」(※コア3指標)
■刈り込み平均値:前年比+2.5%
・24年1月以来の上昇率(4月+2.4%、3月+2.2%、2月+2.2%、1月+2.2%、12月+1.9%)
・価格変動が大きい上下10%の品目を異常値として機械的に除き算出する
■加重中央値:前年比+1.7%
・4月と変わらず(4月+1.7%、3月+1.4%、2月+1.4%、1月+1.4%、12月+1.0%)
・価格上昇率の高い順にウエートを累積して50%付近にある価格変化率
■最頻値:前年比+1.6%(※2020年基準)
・4月から低下した(4月+1.8%、3月+1.4%、2月+1.2%、1月+1.3%、12月+1.1%)
・品目別価格変動分布で最も頻度の高い価格変化率
3.5月の消費者物価指数(CPI)
■消費者物価指数(CPI):+3.5%(4月+3.6%、3月+3.6%、2月+3.7%、1月+4.0%)
■コアCPI(生鮮食品を除く):+3.7%(4月+3.5%、3月+3.2%、2月+3.0%、1月+3.2%)
■コアコアCPI(生鮮食品・エネルギーを除く):+3.3%(4月+3.0%、3月+2.9%)
5月コアCPIは前年比+3.7%で、伸び率の拡大は3カ月連続で、2023年1月以来の高水準を記録した。3%台は6カ月連続で、日本銀行の目標の2%を上回るのは38カ月連続となった。
生鮮食品は野菜価格の下落により前年比0.1%下落とマイナスに転じた。これが生鮮食品を含む総合指数の上昇率が4月の+3.6%から+3.5%に縮小する要因となった。
賃金動向を反映しやすいサービス価格は1.4%上昇となり、前月の1.3%上昇からプラス幅が拡大した。
エネルギー価格は+8.1%(4月+9.3%)、生鮮を除く食料は+7.7%上昇(4月+7.0%)した。電気代は+11.3%(4月+13.5%)上昇、都市ガス代は+6.3%(4月+4.7%)上昇だった。
コメの価格高騰が続き、コメ類は101.7%上昇(※4月+98.4%)して、8カ月連続で過去最大の伸び率を更新した。今後、8月~10 月の電気代及び都市ガス代について、「緊急対応パッケージ」の一環として押し下げ効果が現れることになる。
大阪9月限
日経225先物 38930 +120 (+0.30%)
TOPIX先物 2783.0 -1.5 (-0.05%)
日経225先物(9月限)は前日比120円高の3万8930円で取引を終了。寄り付きは3万8700円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万8765円)を下回り、売り先行で始まった。その後はロングが入り、現物の寄り付き時には3万8900円とプラス圏を回復した。ただロングの動きは強まらず、買い一巡後は3万8700円~3万8850円辺りでの保ち合いを継続。前場終盤にかけてレンジを下抜け、3万8670円まで下げる場面もあった。
もっとも下を仕掛けてくる動きも限られており、ランチタイムで3万8750円辺りでの底堅さが意識されるなか、後場の取引でロングの動きが強まった。後場中盤には朝方につけた高値(3万8900円)を突破したことでショートカバーを誘い、引けにかけて上げ幅を広げており、本日の高値で終えた。
ボリンジャーバンドの+2σ(3万9020円)に接近する局面では戻り待ち狙いのショートが入りやすいところであった。一方で、東京エレクトロン<8035.T>[東証P]やアドバンテスト<6857.T>[東証P]の上昇が日経平均型を牽引するなかで下へのバイアスも強まらず、+1σ(3万8540円)とのレンジ内での推移だった。
円相場が朝方の1ドル=144円台半ばから、午後に入り145円台と円安に振れたことも、ショートカバーに向かわせたようである。日銀の田村直樹審議委員の会見を受けて、追加利上げを急いでいるわけではないと受け止められた。
日経225先物は上向きで推移する+1σと+2σとのレンジで推移するなか、ナイトセッションは3万8970円で始まった。+2σは3万9100円に上昇しており、3万9000円回復でいったんは達成感が強まる可能性はあるものの、値がさハイテク株への見直し買いが本格化してきたことで、バンドに沿ったリバウンドが意識されてきそうである。
+2σを超える局面でのロングは慎重になるだろうが、押し目待ち狙いのロングの動きは強まりそうだ。次第に1月下旬以来の4万円台回復が意識されてくるなかで、ショートカバーを誘う動きに向かわせよう。
NT倍率は先物中心限月で13.98倍に上昇した。一時13.99倍まで上げており、上向きで推移する+2σ(13.96倍)を上回っている。東証プライムの騰落銘柄は値下がり数が過半数を占めるなかで、指数インパクトの大きい値がさハイテク株が買われているため、日経平均型優位の状況である。200日移動平均線が位置する14.04倍辺りが目先的なターゲットになりそうだが、同線を上回ってくるようだと、1月高値の14.54倍を意識したNTロングでのスプレッド狙いに向かわせそうだ。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万4972枚、ソシエテジェネラル証券が9221枚、サスケハナ・ホンコンが2966枚、SBI証券が2376枚、JPモルガン証券が1295枚、バークレイズ証券が1227枚、モルガンMUFG証券が1170枚、楽天証券が1010枚、ゴールドマン証券が986枚、日産証券が889枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が1万7765枚、ソシエテジェネラル証券が1万5751枚、JPモルガン証券が5296枚、バークレイズ証券が4308枚、ゴールドマン証券が3985枚、ビーオブエー証券が2752枚、モルガンMUFG証券が2364枚、UBS証券が1688枚、野村証券が1379枚、サスケハナ・ホンコンが904枚だった。
本日のニューヨーク為替市場でドル円は、米金利動向を睨みながらの値動きか。下院金融サービス委員会で昨日発言したパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が、本日は上院銀行委員会において金融政策や経済情勢について証言する。パウエル議長の見解は変わりようがないものの、利下げ時期についての確認は繰り返されるだろう。
米WSJ紙のフェドウォッチャー、ニック・ティミラオス氏いわく、トランプ大統領による金利引き下げ圧力は近代史においてほとんど前例のない激しさだという。その大統領に対して、パウエル氏がどのように考えているかも興味深い。
昨日の米下院金融サービス委員会においてパウエルFRB議長は、9月利下げの可能性に言及したものの、基本的には「追加緩和に対する慎重な姿勢」、「関税によるインフレリスクへの懸念」、そして「労働市場の堅調さ」を強調した。ただし、議長任期が1年を切ったパウエル氏の影響力が、米連邦公開市場委員会(FOMC)内で弱まっているのは気にすべきところだろう。
先日、トランプ大統領が1期目のときにFRB理事に指名した2人(ウォラー氏と現在は銀行監督担当の副議長ボウマン氏)が、7月利下げに言及した。注目すべきは、これまでタカ派として知られていたボウマン副議長が、インフレ上昇よりも雇用低迷リスクへの懸念を表明したこと。FOMCで金利据え置きを決定した直後の発言なだけに、政策担当者の間で溝が出来ていることが容易に想像できる。
今後パウエルFRB議長にとっては、政治と経済リスクの均衡を保つため、今以上に努力が必要となりそうだ。トランプ政権からの圧力がさらに強まり、金融当局の独立性が揺らいだ場合は単純に考えるとドルにとってはネガティブだろう。
パウエルFRB議長が懸念している関税についてだが、トランプ大統領が設定した貿易協定締結の期限7月9日が迫ってきた(中国については8月半ばまで)。現時点で米国と合意したのは英国のみ(鉄鋼アルミ関税は未解決)だが、欧州連合(EU)、そして日本については話し合いが継続中。まだ中東情勢が不安定だとは言え、今後はトランプ関税を巡る報道に市場の目が向くのではないか。
想定レンジ上限
・ドル円、24日の高値146.19円
想定レンジ下限
・ドル円、18日の安値144.34円
今晩は底堅い展開か。昨日はイランとイスラエルが停戦合意を順守するとの見方が強まったことや、原油価格が大幅に続落したことが好感され主要3指数がそろって上昇。ダウ平均が507.24ドル高(+1.19%)と大幅に3営業日続伸し、S&P500が1.11%高、ナスダック総合が1.43%高とともに2日続伸した。S&P500は取引時間中の史上最高値まで0.74%に迫り、終値でも最高値まで0.85%に迫った。時価総額上位100銘柄で構成されるナスダック100指数は1.53%高の22190.52ポイントで終了し、4カ月ぶりに終値の過去最高値を更新した。
今晩の取引ではイランとイスラエルが停戦合意を順守していることで、中東の地政学リスクへの警戒感の緩和を背景に底堅い展開か。ただ、ナスダック100指数が終値の最高値を4カ月ぶりに更新したことや、S&P500も史上最高値まで1%未満に接近したことで、高値警戒感が強まることも予想される。金融政策の見通しを巡っては、前日の下院に続いて上院でパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言が予定されており、引き続き利下げを巡る発言が注目される。
今晩の米経済指標・イベントはパウエルFRB議長議会証言(米上院銀行委員会)のほか、MBA住宅ローン申請指数、5月新築住宅販売件数など。企業決算は寄り前にペイチェックス、ゼネラル・ミルズ、引け後にマイクロン・テクノロジーが発表予定。
日経平均株価は続伸。上値は限定的だったが、マイナスになる場面でも前日に続いて5日移動平均線(38595円 6/25)上で底堅く推移した。
RSI(9日)は前日の57.0%→65.3%(6/25)に上昇。あすも上昇しやすいタイミングとなる。引き続き見方は変わらず、直近6/18の終値ベースの高値(38885円)を上回ったことで、4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇が続いている。
一方、5月中旬以降のもみ合い期間は昨年10月以降のもみ合い期間に比べてまだ短い。そのため、上値に対するエネルギーが蓄積されておらず、短期的な上値余地は4万円以下に収まる想定が必要となる。
ただ、パターン分析では4月前半の安値を先端に「スパイクボトム(V字)」を確認している。短期的な上値は限定的となりつつも、当面の見方としては意外高のシナリオは想定しておきたい。
上値メドは、心理的節目の39000円、2/13高値(39581円)、心理的節目の4万円、12/27高値(40398円)などがある。下値メドは、10日移動平均線(38471円 同)、25日移動平均線(38036円 同)、6/13安値(37540円)、100日移動平均線(37203円 同)、心理的節目の37000円、75日移動平均線(36725円 同)などがある。
米財務省によると、5年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが3.879%、応札倍率(カバー)が2.36倍となった。
25日の日経平均は続伸。終値は151円高の38942円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり738/値下がり820。米国で半導体株が買われた流れを引き継ぎ、東京エレクトロン、アドバンテスト、ディスコ、レーザーテックが2~3%台の上昇。株主総会関連のニュースが多く伝わる中、フジHDが後場に入ってプラス圏に浮上した。上方修正を発表した黒崎播磨が大幅上昇。ジャパンエンジンや名村造船など船舶に絡む銘柄が騰勢を強めた。
一方、ソフトバンクG、トヨタ、IHIなどが軟調。米長期金利の低下を嫌気して、三菱UFJや三井住友など大手銀行株が売りに押された。三井物産、伊藤忠、住友商事など商社株がやや大きめの下落。三菱地所や東京建物など不動産株の一角が弱かった。
プライム市場に新規上場した北里コーポレーションは、初値は公開価格を大幅に上回ったものの、終値は初値を下回った。
日経平均は続伸。イスラエルとイランの停戦合意に関しては前日消化していただけにきょう一段高となるハードルは高かった。実際、場中は下げに転じる場面が何度もあったが、終わってみれば3桁の上昇。前引けにかけては揺さぶりをかけるような値崩れがあったものの、ひるむことなく後場にかけては売り手不在の様相が強まった。
半導体株が前日に続いて強い動きを見せたが、本日、米国の引け後にはマイクロン・テクノロジーが決算を発表予定。時間外の反応が大きくなった場合には、日本の半導体株を強く刺激する可能性がある。買い材料となって日経平均が節目の39000円を上回るようなら、日本株全体でリスクを取りに行く動きが活発になると期待できる。半導体株が一段の株高を演出できるかに注目したい。
(25日終値:26日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=145.39円(25日15時時点比△0.36円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=169.27円(△0.76円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1642ドル(△0.0024ドル)
FTSE100種総合株価指数:8718.75(前営業日比▲40.24)
ドイツ株式指数(DAX):23498.33(▲143.25)
10年物英国債利回り:4.481%(△0.008%)
10年物独国債利回り:2.565%(△0.022%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月仏消費者信頼感指数
88 88
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は伸び悩み。緊迫していた中東情勢への懸念が和らぐ中、円売り・ドル買いが先行。前日に144.51円まで下落した反動で買い戻しも入りやすかった。NYの取引時間帯に入ると、米長期金利の上昇などを手掛かりに全般ドル買いが進行。22時過ぎに一時145.95円と日通し高値を更新した。
ただ、節目の146.00円や前日の高値146.19円が目先レジスタンスとして意識されると上値が重くなった。5月米新築住宅販売件数が62.3万件と予想の69.4万件を下回ったことも相場の重しとなり、一時145.37円付近まで下押しした。
なお、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長はこの日、米上院銀行委員会で「関税の物価押し上げ効果を事前に予測するのは難しい」「米経済は良好でインフレも良い状態にある」「大多数の当局者は年末までに利下げすると予想している」などと発言。また、最近のドル安については「市場は異例の厳しい状況を消化している」と述べたほか、「ドルは依然として世界の準備通貨」などと話した。
・ユーロドルは底堅い動き。米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが出ると一時1.1590ドルと日通し安値を付けた。ただ、前日の安値1.1575ドルがサポートとして働くと買い戻しが優勢に。予想を下回る米住宅指標も相場を下支えし、3時前には一時1.1644ドルと2021年10月以来の高値を更新した。
なお、米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するコリンズ米ボストン連銀総裁は「今年後半に利下げするのが適切だと予想しているが、関税に大きく依存している」「今後数カ月で関税の影響がさらに拡大すると予想」「関税の影響でPCEコアインフレ率は年内に3%超上昇へ」などと発言した。
・ユーロ円はしっかり。東京午前に伝わった日銀金融政策決定会合における主な意見(6月16-17日分)「今は、現在の金利水準で緩和的な金融環境を維持し、経済をしっかりと支えるべき」や、東京午後に伝わった田村日銀審議委員の発言「基調的な物価上昇率が2%に達したと言うにはもう少し情報を見たい」が追加利上げを急いでいるわけではないと受け止められ、円売りが出やすい地合いとなった。前日の高値169.28円を上抜けると一時169.37円まで値を上げた。
また、ポンド円は一時198.58円、豪ドル円は94.75円、NZドル円は87.80円、カナダドル円は106.24円、スイスフラン円は180.90円、メキシコペソ円は7.70円まで値を上げた。
・ロンドン株式相場は反落。中東情勢を巡る懸念が後退し、投資家心理が改善する中、続伸して始まったものの、買い一巡後は徐々に売りに押された。セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株が売られたほか、リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株が値下がりした。
・フランクフルト株式相場は反落。中東情勢を巡る懸念が後退する中、買い先行で始まったもののすぐに失速した。市場では「中東情勢の今後の成り行きを見極めたいとの慎重な見方も多い」との声が聞かれた。個別ではコメルツ銀行(5.68%安)やドイツテレコム(3.00%安)、シムライズ(2.87%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は下落した。国防費増強などへ向けた財政拡大方針が国債増発につながるとの見方が債券売りを誘った。
(25日終値)
ドル・円相場:1ドル=145.24円(前営業日比△0.30円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=169.33円(△1.07円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1659ドル(△0.0050ドル)
ダウ工業株30種平均:42982.43ドル(▲106.59ドル)
ナスダック総合株価指数:19973.55(△61.02)
10年物米国債利回り:4.29%(横ばい)
WTI原油先物8月限:1バレル=64.92ドル(△0.55ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3343.1ドル(△9.2ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
MBA住宅ローン申請指数
(前週比) 1.1% ▲2.6%
5月米新築住宅販売件数
(前月比) ▲13.7% 9.6%・改
(件数) 62.3万件 72.2万件・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ユーロドルは5日続伸。米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが先行すると、22時前に一時1.1590ドルと日通し安値を付けた。
ただ、前日の安値1.1575ドルがサポートとして働くと買い戻しが優勢に。5月米新築住宅販売件数が62.3万件と予想の69.4万件を下回り、米長期金利が低下に転じたことも相場の支援材料。前日の高値1.1641ドルを上抜けると、4時過ぎに一時1.1665ドルと2021年10月以来約3年8カ月ぶりの高値を更新した。
なお、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長はこの日、米上院銀行委員会で「関税の物価押し上げ効果を事前に予測するのは難しい」「米経済は良好でインフレも良い状態にある」「大多数の当局者は年末までに利下げすると予想している」などと発言。また、最近のドル安については「市場は異例の厳しい状況を消化している」と述べたほか、「ドルは依然として世界の準備通貨」などと話した。
・ドル円は反発。米長期金利の上昇などを手掛かりに全般ドル買いが先行すると、22時過ぎに一時145.95円と日通し高値を付けたものの、節目の146.00円や前日の高値146.19円が目先レジスタンスとして意識されると上値が重くなった。予想を下回る米住宅指標や米長期金利の低下も相場の重しとなり、4時過ぎに145.11円付近まで下押しした。
・ユーロ円は反発。東京時間に伝わった日銀金融政策決定会合における主な意見(6月16-17日分)や田村日銀審議委員の発言を受けて、「日銀は追加利上げを急いでいるわけではない」と受け止めが広がると、円売りが出やすい地合いとなった。前日の高値169.28円を上抜けて一時169.39円まで値を上げた。
ユーロ円以外のクロス円も上昇が目立った。ポンド円は一時198.58円、豪ドル円は94.75円、NZドル円は87.80円、カナダドル円は106.24円、スイスフラン円は180.90円、メキシコペソ円は7.70円まで値を上げた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は4日ぶりに反落。中東情勢を巡る懸念が後退する中、買いが先行したものの、前日に3月3日以来の高値を更新したあとだけに利益確定目的の売りが強まると下げに転じた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は3日続伸し、2月19日以来の高値で取引を終えた。節目となる2万台に乗せる場面があった。
・米国債券相場で長期ゾーンは横ばい。緊迫していた中東情勢への懸念が和らぐ中、売りが先行したものの、一巡後はポジション調整目的の買いが優勢となり持ち直した。
・原油先物相場は4日ぶりに反発。この日に米エネルギー省(EIA)が発表した週間石油在庫で原油、ガソリン等が取り崩しになった。堅調なエネルギー需要を確認すると原油先物に買いが集まり一時66ドル台まで上昇した。また、今週に入り連日下落していた反動や、欧州通貨を中心にドル売りが進んだことによる割安感も支えになった。もっとも、中東和平への期待感があることで、引けにかけては上げ幅を縮小した。
・金先物相場は反発。昨日大幅に下落した反動もあり、本日は小幅ながら反発して引けた。欧州通貨を中心にドル売りが進んだことで、ドルで取引される金先物に割安感が出たことも支えになった。また、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が米上院銀行委員会で「大多数の当局者は年末までに利下げすると予想している」と述べたことで、金利のつかない金先物の買いを促したとの声もあった。
北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が25日、オランダのハーグで最終日を迎え、集団防衛へのコミットメントを再確認したほか、NATO加盟国は防衛支出をGDP比5%とする新目標で合意した。
米ウォールストリートジャーナル(WSJ)紙が報じたところによると、「イスラエルとイスラム組織ハマスは合意成立に関心を示しており、近くエジプトで会談の可能性がある」という。
一部通信社が「米連邦準備理事会(FRB)が主要な銀行資本規制の緩和案を発表」と報じた。
香港の中央銀行に相当する香港金融管理局(HKMA)はペッグ制防衛のため香港ドル買い・米ドル売りの市場介入を実施した。介入は2023年以来。
25日08:50 日銀金融政策決定会合における主な意見(6月16-17日分)
「物価は上振れているが、賃金からサービス価格への波及には頭打ち感がみられる」
「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」
「今は、現在の金利水準で緩和的な金融環境を維持し、経済をしっかりと支えるべき」
「先行きの不確実性が非常に高く、経済情勢等を見極める必要があり、政策金利は当面現状維持が適当」
「国債買入れの減額が進展する中、今後のペースが速すぎると、市場の安定に不測の影響を及ぼす可能性」
「インフレが想定対比、上振れて推移する中、金融緩和度合いの調整を、果断に進めるべき局面も」
「買入れ額をゼロにすることに強く拘ることは不要と考えている」
「決定した国債買入れの減額計画は財政への配慮ということでは全くない」
25日09:20 シュミッド米カンザスシティー連銀総裁
「政策については様子見の姿勢が適切」
「関税は物価を押し上げ、経済活動を抑制するだろう」
「経済の強さがあるため、FRBは利下げ前に状況を見極める時間がある」
「労働市場は良好な状態にある」
「FRBの二つの使命(雇用の最大化と物価安定)は今後対立する可能性が高い」
25日10:08 田村日銀委員
「適時適切に政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくというのが、私の基本的な考え方」
「現在の実質金利は極めて低い」
「物価目標の実現時期、想定より前倒しになる可能性も十分ある」
「政策金利、0.5%に壁があるとは感じていない」
「国債減額計画への反対、保有正常化していくべきと考えた」
「大規模緩和の後遺症はしばらく残り続ける-国債市場」
25日14:33
「6月日銀短観、企業の賃金・価格設定の観点で販売価格見通しや予想物価上昇率に注目」
「政策金利は1%を念頭に置いて、適時かつ段階的に利上げしていくのが正しい」
「基調的な物価上昇率が2%に達したと言うにはもう少し情報を見たい」
「利上げの経済への影響はかつてに比べ大きく低下している」
「保有ETFの処分をすぐに行うことは考えていない」
「関税のハードデータへの影響は7月以降に出てくる、駆け込みの反動など適切に評価する必要」
25日17:32 トランプ米大統領
「イスラエルとイランの停戦は順調に進んでいる」
「イランとはある程度の関係を築くことになるだろう」
25日23:05
「イランとイスラエル間の戦争は終わったと思っている」
「主な焦点は、NATO加盟国が欧州防衛の負担を負う必要性にあった」
25日22:50 コリンズ米ボストン連銀総裁
「米国経済は全体的に堅調」
「先週のFRBの据え置き決定を支持した」
「今年後半に利下げするのが適切だと予想しているが、関税に大きく依存している」
「今後数カ月で関税の影響がさらに拡大すると予想」
「関税の影響でPCEコアインフレ率は年内に3%超上昇へ」
「今年後半に政策正常化を再開する予定」
「トランプ米大統領と停戦および真の平和について協議」
「トランプ米大統領との協議は有意義だった」
25日23:41 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長
「米ドルは依然として世界の準備通貨」
「ドルが過大評価されているかどうかについては見解を述べない」
「(最近の米ドル安について)市場は異例の厳しい状況を消化している」
「債券市場は順調に機能している」
「インフレ率の実測値に何が現れるか見守る」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
<海外>
○15:00 ◇ 7月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲19.3)
○17:00 ◇ 4-6月期南アフリカ経済研究所(BER)消費者信頼感指数
○17:30 ◎ ブリーデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○18:30 ◇ 5月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比0.5%)
○18:45 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○20:00 ◎ ベイリーBOE総裁、講演
○20:00 ◎ シュナーベルECB専務理事、講演
○21:00 ◇ 5月メキシコ貿易収支(予想:3.65億ドルの黒字)
○21:30 ☆ 1-3月期米国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比年率▲0.2%)
○21:30 ◎ 1-3月期米個人消費(確定値、予想:前期比年率1.2%)
○21:30 ◎ 1-3月期米コアPCE(確定値、予想:前期比年率3.4%)
○21:30 ◇ 5月米卸売在庫(予想:前月比0.2%)
○21:30 ◎ 5月米耐久財受注額(予想:前月比8.5%/輸送用機器を除く前月比横ばい)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:24.5万件/195.0万人)
○21:45 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○22:00 ◎ ハマック米クリーブランド連銀総裁、あいさつ
○23:00 ◎ 5月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比0.1%/前年比なし)
○27日02:00 ◎ 米財務省、7年債入札
○27日02:15 ◎ バー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○27日03:30 ◎ ラガルドECB総裁、あいさつ
○27日04:00 ◎ メキシコ中銀、政策金利発表(予想:8.00%に引き下げ)
○欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル、27日まで)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 38950 +20 (+0.05%)
TOPIX先物 2777.0 -6.0 (-0.21%)
シカゴ日経平均先物 38925 -5
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
25日の米国市場はNYダウ、 S&P500が下落した一方で、ナスダックは上昇。イスラエルとイランの停戦合意を受けてNYダウは前日に3月以来の4万3000ドルを回復したこともあり、短期的な過熱感から持ち高調整の売りが優勢となった。半面、エヌビディア<NVDA>やアドバンスト・マイクロ・デバイセズ<AMD>など半導体株の一角が買われ、ナスダック指数は3日続伸で2月以来の高値水準で終えた。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は米連邦議会上院の銀行委員会での議会証言に臨んだ。前日の下院金融サービス委員会での発言内容を繰り返す形だったため、市場への影響は限られた。
S&P500業種別指数は、半導体・同製造装置、銀行、テクノロジー・ハード・機器が上昇した一方で、自動車・同部品、商業サービス・用品、不動産の弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、エヌビディアの上昇率が4%を超えたほか、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、アムジェン<AMGN>、JPモルガン・チェース<JPM>、アップル<AAPL>が買われた。半面、マクドナルド<MCD>、トラベラーズ<TRV>、ビザ<V>、スリーエム<MMM>が下落。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比5円安の3万8925円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比40円高の3万8970円で始まった。その後も上げ幅を広げ、一時3万9140円まで買われる場面もみられた。ただ、買い一巡後は利益確定に伴うロング解消の動きが優勢となり、米国市場の取引開始後には3万8890円と下落に転じている。終盤にかけて持ち直し、3万8950円とプラス圏を回復してナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、小動きで始まりそうだが、米ハイテク株が買われた流れを引き継ぐ形で日経平均型優位の展開が見込まれる。アドバンテスト<6857.T>[東証P]や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株が支える形になりそうであり、ショートを仕掛けにくくさせよう。取引終了後に予想を上回る決算を発表したマイクロン・テクノロジー<MU>が時間外取引で買われていることも支援材料になるとみられる。
日経225先物は一時節目の3万9000円を回復し、ボリンジャーバンドの+2σ(3万9100円)を捉える場面もみられた。上向きで推移する+1σ(3万8600円)と+2σとのレンジ内での推移を継続するなか、+2σ辺りでの値動きが意識されやすい。+2σ水準では短期的な過熱感からロング解消が入りやすいと考えられるものの、上向きで推移するバンドに沿ったトレンドを形成していることで、押し目待ち狙いのロング対応に向かわせよう。
そのため、オプション権利行使価格の3万8875円から3万9375円辺りでのレンジを想定する。ただし、+2σを上回る場面では、短期的なショートが入りやすいとみておきたい。
25日の米VIX指数は16.76(24日は17.48)に低下した。25日移動平均線(19.03)、200日線(19.67)から下放れる形状をみせており、6月11日につけた直近安値の16.23が射程に入ってきた。依然として不透明ではあるが、中東情勢を巡る過度な警戒が薄れたことで、リスク選好に向かわせそうである。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.98倍に上昇した。一時13.99倍まで上げており、上向きで推移する+2σ(13.96倍)を上回っている。東証プライムの騰落銘柄は値下がり数が過半数を占めるなかで、指数インパクトの大きい値がさハイテク株が買われているため、日経平均型優位の状況だった。
本日もハイテク株主導の展開が見込まれるなかでNTロングに振れやすく、200日線が位置する14.04倍辺りが目先的なターゲットになりそうだ。同線到達でいったんはNTロングを巻き戻す動きもありそうだが、200日線を明確に上回ってくるようだと、1月高値の14.54倍を意識したNTロングでのスプレッド狙いに向かわせそうだ。
25日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、前日に下落した反動や米長期金利の上昇などを手掛かりに全般ドル買いが先行すると、一時145.95円まで上昇するも節目の146.00円を前に上値が重かった。予想を下回る米住宅指標や米長期金利の低下も相場の重しとなり、145.11円付近まで下押しした。ユーロドルは、1.1590ドルまで下押し後に2021年10月以来となる1.1665ドルまで上昇した。
本日の東京時間では、ドル円は日米の金融政策の方向性を意識しつつ、株価や時間外の米長期金利をながめて方向感を模索することになるか。
足もとで急浮上した中東情勢リスクについて、イスラエル・イラン間の停戦により戦闘状態が一旦収束に向かう中、材料としては消化されつつあるかもしれない。ただ、複数のメディアは今回のイスラエルによるイラン核施設への攻撃は失敗したと報じていることもあり、イスラエルがイランを再度攻撃する恐れがある点は頭の片隅に置いておきたい。
そうした中、前週末から複数の米連邦準備制度理事会(FRB)高官から7月利下げについて言及したことで、にわかに7月利下げ観測が浮上している。本日の東京市場でも米早期利下げ観測が意識されるようならば、ドル円の上値を重くする可能性がある。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、足元での7月利下げ確率は24%と1週間前の18%と比べやや上昇している。とはいえ、依然として75%程度は据え置き予想であることを踏まえると、市場での織り込みはこれからとも言える。
もっとも昨日は、今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するコリンズ米ボストン連銀総裁が「今年後半に利下げするのが適切だと予想しているが、関税に大きく依存している」とする一方で「関税の影響でPCEコアインフレ率は年内に3%超上昇へ」とも述べている。18日のFOMCで金利据え置きを決定した直後にも関わらずこのような発言が相次いでおり、米金融当局者の間で意見が分かれている様子がうかがえる。昨日はあまり材料視されなかったとはいえ、引き続き、米金融当局者の発言や米長期金利の動きに注意したい。
また、昨日は田村日銀審議が「物価上振れリスクが高まる場合、果断な対応もあり得る」との見解を示した際には一時的に円高で反応する場面も見られた。ただ、午後には「基調的な物価上昇率が2%に達したと言うにはもう少し情報を見たい」などと発言し、市場では追加利上げを急いでいるわけではないと受け止められた。同氏がタカ派である点は割り引いて考える必要があるものの、足元で鳴りを潜めていた日銀の追加利上げ観測が再び浮上することがあれば、円高・株安材料となる公算である。関連報道に気を配りたい。
円相場を動かす要因としては、本日はスポ末(取引した通貨の受け渡しが月末日となる日)で、尚且つスポット応当日が四半期末にも重なることとなる。実需勢をはじめ東京仲値やロンドンフィキシングにかけて為替予約が多く出る可能性がある点には留意したい。
ウォールストリートジャーナル紙によると、トランプ米大統領は次期米連邦準備理事会(FRB)議長の早期指名を検討しているという。候補としては、ウォーシュ氏・ハセット氏・ベッセント氏・ウォラー氏・マルパス氏等が挙がっており、10月までに選ぶ考えを検討しているとのこと。
東京市場は小動きか。米国株はまちまち。ダウ平均とS&P500が下落して、ナスダックが上昇した。ダウ平均は106ドル安の42982ドルで取引を終えた。小高く始まったものの、寄り付きが高値となって早々にマイナス圏に沈むと、以降は軟調に推移した。エヌビディアなど半導体株の一角が強く、ナスダックは伸び悩んだもののプラスで終えた。ドル円は足元145円20銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが5円安の38925円、ドル建てが100円高の39030円で取引を終えた。引け後に決算を発表したマイクロン・テクノロジーは時間外では小動きとなっている。
米3指数の方向がそろっておらず、動きづらい展開を予想する。エヌビディアが4%超上昇しており、半導体株には買われる要素があるが、ダウ平均やS&P500の下落を嫌気して売られる銘柄も多くなると思われる。日経平均は節目の39000円を上回る場面があるかもしれないが、乗せれば到達感も出やすいだけに、これより上は重いとみる。値幅が出れば修正が入り、前日終値近辺で方向感に欠ける動きが続くだろう。日経平均の予想レンジは38850-39100円。
みずほ証券では原油市場に関して、需給をみると、短中期的に世界の原油増産の余地が大きいことを指摘している。OPECプラスが増産の機会をうかがっているとみられるほか、中東産油国にはイラン分が減少したとしてもカバーできる生産余力があるとのこと。みずほでは、地政学リスクに伴う原油価格の乱高下には留意が必要としながらも、原油需給がひっ迫する状況は長く続かないと予想。25年の原油価格の予想を1バレル=55ドル~80ドルとしている。
香港金融管理局(HKMA)は26日早朝の外国為替市場で、94億2000万HKドルの香港ドル買い・米ドル売りを実施した。『信報』によると、民間銀行がHKMAに保有する決済性預金口座残高は27日に1640億9800万HKドルに減少する。香港ドル買い介入は2023年5月以来2年1カ月ぶり。
香港ドルはペッグ制を採用しており、1米ドル=7.75-7.85HKドルの範囲で米ドルに連動する。外国為替市場で香港ドル相場が下限か上限に達すると、香港の中央銀行にあたるHKMAが市場介入する。
『香港経済日報』によれば、香港ドルの対米ドル相場は5月初旬に7.75HKドルまで上昇し、HKMA が総額167億米ドルの香港ドル売り・米ドル買い介入を4度にわたって実施。香港の銀行システムに1294億HKドルの流動性が注入された。しかし6月下旬には香港ドル相場が一転して下限の7.85 HKドルに接近し、市場で資金流出懸念が高まっていた。
『香港経済日報』は、香港ドル相場の下落を背景に香港銀行間金利(HIBOR)が低下していたものの、HKMAが香港ドル買い介入に踏み切ったことで資金流動性が縮小し、短期的にはHIBORの上昇につながるとの見方を伝えた。
昨日の海外市場では、ドル円は行って来い。欧州時間は米長期金利の動向につれて145.95円まで値を上げる場面もみられましたが、前日24日の高値146.19円が戻りの目処として意識されると次第に上値を切り下げる展開となりました。NY時間に入って5月米新築住宅販売件数が予想を大幅に下回る弱い数字となると米10年債利回りが4.28%台まで低下。引けにかけては145.11円まで下押して、ほぼほぼ欧州時間の上げ幅を消すかたちで25日の取引を終えました。
アジア時間は早朝にWSJがトランプ米大統領が次期FRB議長の発表を9月か10月に早める旨の記事を配信。全般ドル売りでの反応となると一時144.57円まで下押ししています。ユーロドルが昨日高値を上抜けて1.1717ドルまで値を上げるにつれて戻り売りとなっているといったところです。
いずれにしても、本日のWSJでニックティミラオス記者が論じているのは、次期議長の発表が早まれば早まるほど、実際の議長への道が閉ざされるのではないかといった逆説的な見解。週明けにもニックは、トランプ米大統領の中銀に対する圧力の激化に対して、FRBはルーズルーズ(lose-lose)の状況に置かれているとの私見を展開しています。
つまり、「米国では前例のない大統領からの強い要求をのんで大幅な利下げに踏み切り、インフレを助長し、市場におけるFRBの信頼性を損なうリスクを冒すか。それとも、現状の待ちの姿勢を維持したことで、経済が急激に減速し、インフレは懸念すべきではないというトランプ政権の見解が裏付けられた場合、FRBの立場を揺るがすような更なる圧力に直面するか」のいずれもルーズになる可能性があるということ。
次期議長候補たちは、先週末から早速、7月利下げなる「かなり無理筋」の見解を展開。イラン空爆で市場からの信頼感を失った米大統領は、今度は国内の中銀の独立性といった最も触れてはいけない金融市場の核を再びターゲットにして、中銀の懐深くにバンカーバスターを投じ始めているわけですが、市場自身は既に、イーロンマスク同様に、そこにどっぷりと浸かることなく、そこからの距離を徐々に広げようとしているのかもしれません。
日経225先物は11時30分時点、前日比400円高の3万9330円(+1.02%)前後で推移。寄り付きは3万9010円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万8925円)を上回り、節目の3万9000円を回復して始まった。直後につけた3万8980円を安値にロングの勢いが強まり、終盤にかけて3万9370円まで上げ幅を広げる場面もみられた。
米ハイテク株高の流れを引き継ぐ形からアドバンテスト<6857.T>[東証P]が1月10日以来の上場来高値を更新するなど、指数インパクトの大きい値がさハイテク株が日経平均型を押し上げる形になった。日経225先物は現物の寄り付き直後にはボリンジャーバンドの+2σ(3万9180円)を捉え、その後の一段高によってショートカバーを誘う形にもなったようだ。オプション権利行使価格の3万9375円水準まで一気に買われたことで、短期的な過熱感から利食いも入りやすいだろう。
NT倍率は先物中心限月で14.09倍に上昇した。一時14.10倍まで上げており、2月下旬以来の14.00倍台に乗せてきた。200日移動平均線(14.04倍)を上抜けたことでトレンドが強まる一方、+3σ(14.17倍)に接近しており、いったんはNTロングを巻き戻す動きも意識されてきそうだ。
本日のロンドン為替市場では、ユーロドルはドル売り要因をながめて堅調地合いを維持するか注目したい。
今週に入り、ユーロドルは年初来高値の更新が相次いでいる。背景としては欧米間の金融政策の方向性の違いが挙げられる。欧州は利下げ休止が視野に入る一方、米国は早ければ7月にも利下げが再開するとの見方がにわかに浮上しており、金融政策の方向性の違いがユーロ買い・ドル売り要因として作用しやすい。
本日朝にウォールストリートジャーナル(WSJ)紙が「トランプ米大統領は次期米連邦準備理事会(FRB)議長の早期指名を検討」と報じたことで、FRBの独立性が懸念されて市場はドル売りで反応している。今までの報道と違うのは「10月までに選ぶ考えを検討」と具体的な時期が伝えられた点だろう。欧州市場でも材料される場合はドル売り主導でユーロドル相場を押し上げることが予想される。
経済イベントは、序盤に7月GFK消費者信頼感調査が予定されている程度と少なめ。要人発言については、中立派のデギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁やタカ派であるシュナーベルECB専務理事の発言機会が予定されている。なお、英国ではブリーデン英中銀(BOE)副総裁のほか、ベイリーBOE総裁の発言機会が予定されている。
テクニカル面では、ユーロドルは今月に入り上向きとなる21日移動平均線を支持として堅調に推移する中、本日正午過ぎに2021年9月以来となる1.17ドル台に乗せてきた。ここから先の上値めどについて、21年9月につけた直近高値1.1909ドルまで主だった目標値が見当たらないため、目先は1.1750ドルや1.1800ドル等のきりの良い水準を手掛かりに上値を模索することになろう。なお、現在の立ち位置は約4年弱ぶりの高値水準と高値警戒感が出やすいが、先月12日に1.1065ドルの安値を見た後は押し目なく堅調に推移していることを考えると、下げが一服したら買いたい向きは少なくないと見る。
想定レンジ上限
・ユーロドル:心理的節目の1.1750ドル。超えると節目の1.1800ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル:12日高値1.1631ドル。割り込むと日足・一目均衡表の転換線1.1556ドル。
ドル円:1ドル=144.64円(前営業日NY終値比▲0.60円)
ユーロ円:1ユーロ=169.00円(▲0.33円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1684ドル(△0.0025ドル)
日経平均株価:39584.58円(前営業日比△642.51円)
東証株価指数(TOPIX):2804.69(△22.45)
債券先物9月物:139.21円(▲0.20円)
新発10年物国債利回り:1.415%(△0.020%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
<国内> <発表値> <前回発表値>
対外対内証券売買契約等の状況(前週)
対外中長期債
6155億円の取得超 1兆5673億円の取得超・改
対内株式
5243億円の処分超 4733億円の取得超・改
改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は軟調。一部報道で「トランプ米大統領は次期米連邦準備理事会(FRB)議長の早期指名を検討」と伝わり、米大統領が金融緩和に積極的なハト派の人物を選出するのではないかとの思惑から全般にドル売りが先行した。昨日安値の144.61円を下抜けて、12時過ぎには144.57円まで下押し。その後も戻りの鈍い動きが続き、15時過ぎには144.39円まで下げ幅を拡大した。
・ユーロドルは買いが一服。全般にドル売りが進んだ流れに沿って、一時1.1717ドルと2021年9月以来の高値を更新した。ただ、1.1700ドル超えの水準では戻り待ちの売りに押されて1.1670ドル台まで押し戻されており、1.17ドル台の滞空時間は短かった。
・ユーロ円は上値が重い。ユーロドルが上昇した場面で169.40円まで上値を伸ばすも、その後はユーロドルの失速とドル円の下落につれて168.64円まで反落した。
・日経平均株価は大幅に3日続伸。前日の米ハイテク株高を受けて、この日の国内市場でも半導体関連株に買いが集まった。株価指数先物主導で上値を伸ばす展開となり、指数は一時670円超高まで上昇した。
・債券先物相場は反落。2年物国債入札を控えてやや方向感の乏しい動きとなっていたが、日経平均株価の堅調推移を受けて安全資産とされる債券相場は次第に売りに押された。なお、2年債入札は「無難な結果」となった。
2012年、米連邦準備理事会(FRB)が量的金融緩和政策(QE)という迷宮を彷徨っていた頃、フィッシャー米ダラス連邦準備銀行総裁(当時)は、「我々は、私が『ホテル・カリフォルニア』的金融政策と呼ぶリスクに瀕している。理論的には我々はこのプログラムから好きな時にチェックアウトできることになっているが、我々はFRBのバランスシートを膨張させ続けており、実際はこの状況から抜け出すことはできないかもしれない」と警鐘を鳴らしていた。
2025年、パウエルFRB議長は、トランプ米大統領が夏あたりに次期FRB議長の早期選任を検討との報道を受けて、トランプ・ホテルからのチェックアウトできる2026年5月を待たずに辞表の提出を目論んでいるのかもしれない。
1. 「後悔、少しはあるさ(Regrets, I’ve had a few)」
2023年5月3日、パウエルFRB議長は、米銀の経営破綻に絡んで「後悔はあるか?」と問われ、フランク・シナトラの1969年の名曲「My Wayマイ・ウェイ」に引っかけて「後悔、少しはあるさ(Regrets, I’ve had a few」と答えた。
「My Way」は、「But then again, too few to mention(いまさら語るようなことではない)」と続いている。
パウエルFRB議長は、「間違いを犯したことは十分に分かっているし、新しいことも学んだ」と反省の弁を述べた。
2. 「鎮静化(clarity)」
2025年5月7日、米連邦公開市場委員会(FOMC)で、トランプ関税の「不確実性(uncertainty)」を理由に3会合連続でのタカ派的据え置きが決定された後、 パウエルFRB議長は、トランプ関税の「不確実性(uncertainty)」からの「鎮静化(clarity)」を待つことを表明した。「当面は『鎮静化(clarity)』を待つことになる」
DJゼッドの1stアルバム「Clarity」では、「If our love’s insanity, why are you my clarity?」(この愛が狂気なら、なぜあなたといると心が落ち着く(clarity)の?)と詠われた。
3. パウエルFRB議長の「惜別の唱」(島崎藤村)
執拗な圧力に 耐えかねて
この辞表を 書きしかな
悲しむなかれ 債券自警団よ
買いの準備 ととのえよ
別れといえば 昔より
この人の世の 常なるを
大阪9月限
日経225先物 39500 +570 (+1.46%)
TOPIX先物 2802.5 +19.5 (+0.70%)
日経225先物(6月限)は前日比570円高の3万9500円と1月下旬以来の水準を回復して取引を終了。寄り付きは3万9010円とシカゴ日経平均先物清算値(3万8925円)を上回り、節目の3万9000円を回復して始まった。直後につけた3万8980円を安値にロングが強まり、前場終盤にかけて3万9370円まで上げ幅を広げる場面もみられた。ランチタイムでは3万8280円辺りでの膠着となったが、午後に入り一気に3万9400円台に乗せると、終盤にかけてさらに上へのバイアスを強め、一時3万9580円まで上げ幅を広げた。
米ハイテク株高の流れを引き継ぐ形でアドバンテスト<6857.T>[東証P]が1月10日以来の上場来高値を更新するなど、指数インパクトの大きい値がさハイテク株が日経平均型を押し上げる形になった。日経平均型のインデックス買いが断続的に入るなかで、指数寄与度の大きいファーストリテイリング<9983.T>[東証P]、アドバンテスト、ソフトバンクグループ<9984.T>、東京エレクトロン<8035.T>[東証P]の4銘柄で日経平均株価 を480円弱押し上げている。
日経225先物は現物の寄り付き直後にボリンジャーバンドの+2σ(3万9180円)を捉え、その後の一段高によってショートカバーを誘う形にもなったようだ。午後に入りさらに上げ幅を広げており、+3σ(3万9760円)に接近する場面もみられた。過熱感が警戒されてくる可能性はあるが、上向きで推移する+2σに沿ったトレンド形成も意識されやすく、ショートは控えておきたいところだろう。
とはいえ、節目の3万9500円を突破してきたことにより4万円が射程に入る一方で、過熱を冷ます調整を挟みたいところである。一気に+3σを上抜けてくる局面ではピーク感につながる可能性があるため、+2σを挟んだ押し目狙いのロングで対応。+1σ(3万8790円)処まで調整を挟んでくるようだと、ショートも積み上がってくるとみられ、その後のカバー狙いのスタンスに向かわせそうだ。
週足では+1σ(3万8530円)と+2σ(4万0270円)によるレンジ内での推移となる。週末の終値が+1σを割り込むことはなさそうで、1月27日につけた4万0300円が射程に入ってくるだろう。
NT倍率は先物中心限月で14.09倍に上昇した。一時14.12倍まで上げており、2月下旬以来の14.00倍台に乗せてきた。200日移動平均線(14.04倍)、52週線(14.07倍)を上抜けたことでトレンドが強まりやすく、1月23日につけた14.54倍が意識されてくる。一方で、+3σ(14.17倍)に接近しているため、いったんはNTロングを巻き戻す動きも意識されてきそうだ。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が2万2136枚、ソシエテジェネラル証券が1万4443枚、サスケハナ・ホンコン証券が3477枚、バークレイズ証券が2529枚、JPモルガン証券が2430枚、BNPパリバ証券が2254枚、野村証券が1760枚、ゴールドマン証券が1535枚、日産証券が1499枚、モルガンMUFG証券が1487枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が2万0770枚、ソシエテジェネラル証券が1万9861枚、バークレイズ証券が6254枚、JPモルガン証券が5014枚、ゴールドマン証券が4138枚、シティグループ証券が4039枚、ビーオブエー証券が3319枚、モルガンMUFG証券が2867枚、野村証券が2703枚、みずほ証券が1865枚だった。
本日のニューヨーク為替市場では、まずは週間の雇用関連指標の結果を見極めたい。その後は、バーキン米リッチモンド連銀総裁やハマック米クリーブランド連銀総裁、バー米連邦準備理事会(FRB)理事の講演が予定されている。金融当局者が、次回利下げ時期についてどのように言及するか注目される。
先日の議会証言でパウエルFRB議長は、早期利下げに踏み切る条件について「インフレが予想を下回る、ないし労働市場が悪化した場合」と述べていた。前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数は、予想がそれぞれ24.5万件/195.0万人。来週発表される6月の雇用統計に向けて、調査対象週(6月12日)の状況に関心が集まる。
ところで第1次トランプ米政権でパウエル氏がFRB議長に指名されたのは、「ミスター・凡庸」として反対票を投じたことがなかったためだ。トランプ大統領は当時、金融政策を支配できると目論んでいたのだろう。今のところ、第1次政権で指名されたウォラーFRB理事(次期FRB議長候補)やボウマンFRB副議長は、大統領への忖度からか7月FOMCでの利下げの可能性に言及している。
本日の東京朝には、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙が、来年5月に任期を迎えるパウエルFRB議長の後任人事について報じていた。それによればトランプ政権は、9月ないし10月までか、それよりも早い今夏にも「次のFRB議長について発表」を検討しているもよう。
FRB議長の後任候補とされたのは、ハセット国家経済会議(NEC)委員長やベッセント米財務長官などFRBへの利下げ圧力を強めている人たち。またウォーシュ元FRB理事は、トランプ関税による物価上昇はあくまで一時的で統計的に重要ではないとして、FRBが積極的に利下げを実施すべきとの考えをしめしてている。マルパス元世界銀行総裁もレーガン・ブッシュ共和党政権に仕えた人物であり、トランプ共和党政権に忖度することが想定できる。
かつて、ボルカー第12代FRB議長は、レーガン第40代米大統領が4名のFRB理事を刺客として送り込んだことに反発して、辞表を叩きつけた。今夏の米国における金融・財政面のリスクシナリオとしては、「債務上限引き上げの遅延による2011年8月の『米国債ショック』の再現」と、「パウエルFRB議長の辞表提出」を想定しておきたい。
・想定レンジ上限
ドル円、本日高値145.27円を超えると25日高値145.95円
・想定レンジ下限
ドル円、16日安値143.65円を下抜けると13日安値142.80円
今晩は底堅い展開か。昨日は中東情勢への警戒感が和らぐ中、半導体株を中心にハイテク株が上昇し、ナスダック総合が0.31%高と3日続伸した。時価総額上位100銘柄で構成されるナスダック100指数は0.21%高と3日続伸し、前日に続いて終値の過去最高値を更新した。
一方、前日まで3日続伸したダウ平均は106.59ドル安(-0.25%)と反落し、史上最高値まで1%未満に迫ったS&P500がほぼ横ばいで終了した。センチメントは引き続き改善し、投資家の不安心理を示すVIX指数は前日の17.48ポイントから16.76ポイントに低下し、2月20日以来の低水準となった。
今晩の取引では中東の地政学リスクへの警戒感の後退やセンチメントの改善を背景に底堅い展開か。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が今週の議会証言で年内の利下げに言及したことや、ウォラーFRBなどの金融当局者が7月利下げの可能性に言及し、CMEのフェドウォッチ・ツールの7月利下げ確率が25%に上昇するなど早期利下げ期待の高まりも株価の支援となりそうだ。
経済指標では1-3月期国内総生産(GDP)確報値や新規失業保険申請件数が発表予定で、強すぎず弱すぎない結果となれば、S&P500の過去最高値更新も期待できそうだ。
今晩の米経済指標・イベントは1-3月期国内総生産(GDP)確報値、新規失業保険申請件数、5月耐久財受注、5月シカゴ連銀全米活動指数など。企業決算は寄り前にウォルグリーン・ブーツ・アライアンス、マコーミック、引け後にナイキが発表予定。
日経平均株価は3日続伸。39000円を超えるスタートから上値を伸ばす展開となり、5日移動平均線(38814円 6/26)上で強気の陽線を形成して終えた。
RSI(9日)は前日の65.3%→81.1%(6/26)に上昇。あす以降は目先的には上昇のハードルが高くなる。引き続き見方は変わらず、4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇が続いている。きょうは一目均衡表の転換線(38820円 同)が上昇するタイミングにあたり、上手く順応する格好となった。
5月中旬以降の三角保ち合いを上放れる格好となっている。ただ、短い期間の保ち合い放れのため、上値に対するエネルギーはさほど蓄積されておらず、目先の上値余地は4万円以下に収まる想定が必要となる。
ただ、パターン分析では4月前半の安値を先端に「スパイクボトム(V字)」を確認している。目先の上値は限定的と想定しつつも、当面の見方としては意外高のシナリオは想定しておきたい。
上値メドは、心理的節目の4万円、12/27高値(40398円)、7/17安値(41054円)、心理的節目の42000円などがある。下値メドは、心理的節目の39000円、10日移動平均線(38613円 同)、25日移動平均線(38140円 同)、6/13安値(37540円)、100日移動平均線(37205円 同)、心理的節目の37000円などがある。
米財務省によると、7年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが4.022%、応札倍率(カバー)が2.53倍となった。
(26日終値:27日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=144.19円(26日15時時点比▲0.45円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=169.05円(△0.05円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1724ドル(△0.0040ドル)
FTSE100種総合株価指数:8735.60(前営業日比△16.85)
ドイツ株式指数(DAX):23649.30(△150.97)
10年物英国債利回り:4.472%(▲0.009%)
10年物独国債利回り:2.569%(△0.004%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
7月独消費者信頼感指数(Gfk調査)
▲20.3 ▲20.0・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ユーロドルは底堅い動き。トランプ米大統領が米連邦準備理事会(FRB)次期議長の早期指名を検討していると伝わり、市場では利下げに前向きな人物が選ばれるとの思惑が浮上。米利下げ観測の高まりを背景に全般ドル売りが優勢となった。17時30分過ぎには一時1.1744ドルと2021年9月以来約3年9カ月ぶりの高値を更新した。なお、市場では「FRBの独立性が脅かされるとの懸念からドル売りが出た」との声も聞かれた。
NY市場に入ると一時1.1690ドル付近まで伸び悩む場面もあったが、売りはあくまでポジション調整の域を出ず長続きしなかった。1時30分過ぎは1.1740ドル付近まで持ち直した。
・ドル円は伸び悩み。米早期利下げ観測や米金融政策への政治的介入を警戒したドル売りが先行すると、17時30分過ぎに一時143.75円と16日以来の安値を付けた。
ただ、売り一巡後は下げ渋る展開となり、NY市場では144円台前半でのもみ合いに終始した。24-25日のパウエルFRB議長の議会証言など重要イベントを通過したことで、徐々に値動きが鈍くなっている。市場では「中東情勢を巡る警戒が再び高まる事態になっておらず、次の材料待ちとの雰囲気も出ている」との声が聞かれた。
・ユーロ円は下値が堅かった。ドル円の下落につれた売りが先行すると一時168.56円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後はじりじりと下値を切り上げた。2時過ぎには169.21円付近まで持ち直した。
・ロンドン株式相場は反発。中東情勢を巡る過度な懸念が後退する中、買いが優勢となった。米国株相場の上昇も相場の支援材料。リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株が買われたほか、BPやシェルなどエネルギー株が値上がりした。
・フランクフルト株式相場は反発。中東情勢を巡る過度な懸念が後退する中、買いが優勢となった。欧州で防衛関連支出の増額が実現すれば、将来的な景気の支えになるとの期待もあったようだ。個別ではラインメタル(7.28%高)やキアゲン(2.74%高)、エアバス(2.56%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は英国債が上昇した一方、独国債が下落した。
26日の日経平均は大幅に3日続伸。終値は642円高の39584円。米国株は3指数がまちまちとなったが、ナスダック高を好感して寄り付きから3桁の上昇。節目の39000円を上回ると、その後も上げ幅を広げた。東京エレクトロン<8035.T>やアドバンテスト<6857.T>など半導体株のほか、ファーストリテイリング<9983.T>やソフトバンクグループ<9984.T>など、主力大型株に強い買いが入った。
400円を超える上昇で前場を終えると、後場は39500円の節目を突破。600円超上昇して39600円台に乗せたところで買い一巡感が出てきたものの、萎むことなく引けまで高い位置をキープした。一方、サンバイオ<4592.T>のストップ安などもあって新興銘柄は弱く、グロース250指数は2%近い下落となった。
東証プライムの売買代金は概算で4兆9200億円。業種別では非鉄金属、電気・ガス、保険などが強い上昇。下落は精密機器、医薬品、食料品の3業種のみであった。証券会社が投資判断を引き上げたフジミインコーポレーテッド<5384.T>が急騰。半面、トヨコー<341A.T>やゼンムテック<338A.T>など、上場して日が浅い銘柄に大きく値を崩すものが散見された。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1189/値下がり380。米エヌビディア株の大幅高などを好感して、アドバンテスト、東京エレクトロン、レーザーテックなど半導体株の多くが大幅上昇。電線大手のフジクラ、古河電工、フジクラにも強い動きが見られた。ソフトバンクGが5.5%高、ファーストリテイリングが3.7%高となり、指数の押し上げに大きく貢献。上方修正を発表したサイボウズが急伸した。
一方、ルネサスが12%安と急落。ドル円が円高に振れたことから、トヨタ、ホンダ、スズキなど自動車株は全体株高に乗り切れず売りに押された。DeNA、バンナムHD、コナミGなどゲーム株が軟調。「アクーゴ」に関するリリースが失望を誘ったサンバイオがストップ安となった。
グロース市場に新規上場したエータイは、公開価格を大幅に上回る初値をつけた。寄った後の値動きは荒くなったが、終値は初値を小幅に上回った。
日経平均は大幅高。前日までは39000円に接近すると上値が重くなったが、きょうは寄り付きから39000円を上回ると、次の節目の39500円も上回った。きょうここまでの上昇となったことには意外感があるものの、6月中旬以降は下値と上値を切り上げており、上に行きそうな雰囲気はあった。
今週に入って1181円水準を切り上げており、あすは下げたとしても健全な調整と受け止められるだろう。外部環境の追い風があれば4万円乗せも視野に入る。きょうは日経平均の動きの良さが目立ったが、TOPIXも終値(2804.69p)で2800pの節目を上回っている。今年3月につけた年初来高値2815.47p(終値ベース)に接近しているだけに、TOPIXが高値を更新できるかに注目したい。
26日08:16 ベッセント米財務長官
「8月の議会休会前に債務上限対応を要請」
26日10:15 赤沢経済再生相
「自動車関税25%は受け入れられるものではない」
「日本の自動車産業は米国経済に貢献している」
「7月9日に米相互関税上乗せ分の期限が来ることを念頭に交渉」
26日20:12 ベイリー英中銀(BOE)総裁
「追加利下げについては、段階的かつ慎重なアプローチが引き続き適切」
「インフレには両方向のリスクが依然として存在」
「政策金利は緩やかな引き下げ経路を維持」
「短期的なインフレの上昇が、近視的なインフレ見通しにさらなる不確実性をもたらしている」
26日21:46 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「雇用関連指標は、健全な雇用情勢を示している」
「インフレの上昇が長続きしないことを確認したい」
26日21:49 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁
「雇用関連の指標は、健全さを示している」
「関税による物価への影響は一時的」
「秋の利下げを見込んでいる」
27日02:55 コリンズ米ボストン連銀総裁
「基本見通しは年内後半に利下げ再開」
「7月は利下げには時期尚早」
「FRBには今後得られる情報を慎重に評価する時間がある」
27日04:10 メキシコ中銀声明
「利下げは4対1で決定。1人の委員が金利据え置きを主張」
「2025年第2四半期のインフレ率を4.3%と予測」
「2025年第3四半期のインフレ率を4.1%と予測」
「2025年第4四半期のインフレ率を3.7%と予測(従来は3.3%)」
「2026年第3四半期にインフレ率が3%の目標に収束すると予測」
「次回利下げに関するガイダンスを削除」
※時間は日本時間
(26日終値)
ドル・円相場:1ドル=144.42円(前営業日比▲0.82円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=168.98円(▲0.35円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1701ドル(△0.0042ドル)
ダウ工業株30種平均:43386.84ドル(△404.41ドル)
ナスダック総合株価指数:20167.91(△194.36)
10年物米国債利回り:4.24%(▲0.05%)
WTI原油先物8月限:1バレル=65.24ドル(△0.32ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3348.0ドル(△4.9ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
1-3月期米国内総生産(GDP)確定値
(前期比年率) ▲0.5% ▲0.2%
個人消費確定値
(前期比年率) 0.5% 1.2%
コアPCE確定値
(前期比年率) 3.5% 3.4%
5月米卸売在庫
(前月比) ▲0.3% 0.1%・改
5月米耐久財受注額
(前月比) 16.4% ▲6.6%・改
輸送用機器を除く
(前月比) 0.5% 0.0%・改
前週分の米新規失業保険申請件数
23.6万件 24.6万件・改
5月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数)
(前月比) 1.8% ▲6.3%
(前年比) ▲0.3% ▲3.6%・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ユーロドルは6日続伸。トランプ米大統領が米連邦準備理事会(FRB)次期議長の早期指名を検討していると伝わり、市場では利下げに前向きな人物が選ばれるとの思惑が浮上。米利下げ観測の高まりを背景に全般ドル売りが優勢となった。欧州市場序盤には一時1.1744ドルと2021年9月以来約3年9カ月ぶりの高値を更新した。なお、市場では「FRBの独立性が脅かされるとの懸念からドル売りが出た」との声も聞かれた。
NY市場に入ると1.1700ドルを挟んだもみ合いに転じた。21時過ぎに一時1.1690ドル付近まで伸び悩む場面もあったが、1時30分過ぎは1.1740ドル付近まで再び上昇。ただ、引けにかけては1.16ドル台後半まで押し戻された。
・ドル円は反落。米早期利下げ観測や米金融政策への政治的介入を警戒したドル売りが優勢となり、欧州市場序盤に一時143.75円まで下落した影響が残った。
ただ、NY市場に限れば144円台でのもみ合いに終始した。24-25日のパウエルFRB議長の議会証言を通過したほか、中東情勢を巡る警戒が再び高まる事態になっておらず、次の材料待ちとの雰囲気が出ている。「明日27日の5月米個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)の結果を見極めたい」との声も聞かれた。
・ユーロ円も反落。日本時間夕刻に一時168.56円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後はじりじりと下値を切り上げた。2時過ぎには169.21円付近まで下げ渋った。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、2月28日以来約4カ月ぶりの高値となった。中東情勢を巡る懸念が後退する中、投資家心理が改善し買いが広がった。マイクロン・テクノロジーの決算が良好な内容となったことを受けて、人工知能(AI)関連の銘柄の上昇も目立った。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は4日続伸し、昨年12月16日以来の高値で取引を終えた。
・米国債券相場で長期ゾーンは上昇。米利下げ観測の高まりを背景に買いが進んだ。7年債入札が「堅調」と受け止められたことも相場の支援材料。
・原油先物相場は続伸。ドルが対ユーロや、対ポンドなど欧州通貨を中心に売られたことで、ドルで取引される原油先物は割安感から堅調に推移した。また、昨日発表された米エネルギー省(EIA)の週間石油在庫でエネルギー需要が高まっていることが示されたことで、今夏の更なる需要期待も原油先物を支えた。ただ、引けにかけては売りが入り上げ幅を縮小した。
・金先物相場は続伸。米株市場が堅調に推移するなど、市場全体がリスク選好の動きになると徐々に上値を切り下げる展開になった。ただ、ドルが対ユーロで2021年以来の安値を更新するなど、欧州通貨を中心にドル安が進んだことで、ドルで取引される金先物は割安感から続伸して引けた。
<国内>
○08:30 ◎ 5月完全失業率(予想:2.5%)
○08:30 ◎ 5月有効求人倍率(予想:1.26倍)
○08:30 ◎ 6月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合、予想:前年比3.3%)
○08:50 ◇ 5月商業販売統計速報(小売業販売額、予想:前年比2.5%)
<海外>
○08:00 ◎ カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、質疑応答
○15:45 ◇ 6月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.1%/前年比0.8%)
○15:45 ◇ 5月仏卸売物価指数(PPI)
○15:45 ◇ 5月仏消費支出(予想:前月比0.1%)
○16:30 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○18:00 ◎ 6月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:94.8)
○18:00 ◎ 6月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲15.3)
○20:00 ◎ レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○20:30 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○21:00 ◇ 5月メキシコ失業率(季節調整前、予想:2.59%)
○21:30 ☆ 4月カナダGDP(予想:前月比横ばい/前年比1.3%)
○21:30 ◎ 5月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.1%)
◎ 5月米個人所得(予想:前月比0.3%)
☆ 5月米PCEデフレーター(予想:前年比2.3%)
☆ 5月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.1%/前年比2.6%)
○22:15 ◎ ハマック米クリーブランド連銀総裁、クック米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○23:00 ◎ 6月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:60.5)
○28日01:00 ◎ チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
26日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米早期利下げ観測や米金融政策への政治的介入を警戒したドル売りが優勢となり、欧州市場序盤に一時143.75円まで下落した影響が残るも、NY市場に限れば144円台でのもみ合いに終始した。ユーロドルは一時1.1744ドルと2021年9月以来の高値を更新し、6日続伸となった。
本日の東京時間では、ドル円は日米の金融政策の方向性を意識しつつ、株価や時間外の米長期金利をながめて方向感を模索することになるか。
本日発表予定の6月東京都区部CPI(生鮮食料品除く総合)について、翌月発表される全国CPIの前哨戦の意味合いもあり、注目が集まりそうだ。政府がガソリン価格上昇に対応して「燃料油価格定額引下げ措置」を実施したことなどから、市場予想は前年比+3.3%と前月の+3.6%から伸びの鈍化が見込まれている。17日の日銀金融政策決定会合で利上げを急がない姿勢を示していることもあり、予想以上に伸び鈍化になったとしても、ドル円の反応は限定的かもしれない。とはいえ、3カ月連続での3%台予想となっており、予想を上回る場合はコストプッシュインフレの進行により日銀の早期利上げが想起される展開には注意したい。その場合は円高に振れる場面もありそうだ。その後は4万円が目前となっている日経平均株価の動向にも注目しておきたい。
引き続き注意が必要なのは、次期米連邦準備制度理事会(FRB)議長の人事の行方か。中東情勢に対する懸念が一服する中、トランプ米大統領の発言がFRBの独立性を脅かすと共に、利下げに前向きな議長が就任するのではとの見方から足元の市場はドル売りでの反応となっている。6月東京CPIが予想より上振れした場合は日銀の利上げが意識され、円買い・ドル売りが合わさってドル円に下落圧力が掛かる展開もありえる。
また、本日朝方にラトニック米商務長官から「来週ごろに多くの合意を発表する」「中国との合意に署名した」などの発言が伝わっている。米中貿易摩擦の緩和が期待されるようならば、アジア株にとって追い風となろう。株式市場の反応に注目したい。
そのほか中東情勢について、イランの最高指導者ハメネイ師は昨日「イスラエルを打ち砕き、アメリカに強烈な平手打ちを食らわせた」と勝利を宣言した。交戦前は徹底抗戦も予想されていただけに、早期に戦闘状態を終結させようとの意図が感じられる。ただ、イラン核施設攻撃は不十分だったと報じられているほか、イランからは核放棄といった話は聞こえてこない。引き続き、イスラエルがイラン再攻撃に踏み切る恐れがある点は頭の片隅に置いておきたい。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 39780 +280 (+0.70%)
TOPIX先物 2818.5 +16.0 (+0.57%)
シカゴ日経平均先物 39745 +245
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
26日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。NYダウは2月下旬以来の高値となり、S&P500指数、ナスダック指数は最高値に迫った。中東情勢を巡る懸念が後退したことで投資家心理が改善し、主力株を中心に買いが広がった。前日に予想を上回る決算を発表したマイクロン・テクノロジー<MU>は年初来高値更新後に利益確定売りに押されたものの、AIの強い需要が業績の追い風になるとの見方から、半導体株の上昇が続いたほか、出遅れ感が意識されていた景気敏感株の一角も買われた。
S&P500業種別指数はメディア、小売、銀行が上昇した一方で、不動産、食品・生活必需品小売、自動車・同部品の弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、ナイキ<NKE>、キャタピラー<CAT>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、ハネウェル・インターナショナル<HON>が買われた。半面、ウォルマート<WMT>、メルク<MRK>、シャーウィン・ウィリアムズ<SHW>、アムジェン<AMGN>が軟調。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比245円高の3万9745円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比30円安の3万9470円で始まった。その後は軟化し、米国市場の開始直後には3万9390円まで売られる場面もみられた。ただし、売り一巡後は終盤にかけて上へのバイアスが強まり、一時3万9810円まで買われて4万円の大台に迫る場面もあり、3万9780円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、買い先行で始まることになりそうだ。米国市場では取引時間中にS&P500指数、ナスダック指数が最高値に迫っており、リスク選好の動きが強まっている。出遅れ感のある景気敏感株への買い戻しもみられているため、東京市場においても先高期待が高まりそうだ。
日経225先物はナイトセッションで、上向きで推移するボリンジャーバンドの+2σ(3万9420円)を上回っての推移となり、+3σ(4万0020円)とのレンジでの値動きをみせた。+2σを上回り、+3σに接近してきたことで過熱感は警戒されやすいところである。4万円台回復となれば、いったん達成感が意識されてくるだろう。
ただし、週足の+2σは4万0370円辺りに位置しており、1月27日につけた4万0300円が射程に入ってくるため、押し目狙いのロング対応に向かわせそうだ。また、昨日は日経平均株価の上昇率が1%を超えた一方で、グロース250指数は1.8%の下落となるなど、インデックスに絡んだ海外勢の資金流入が強まり、大型株主導の動きが一段と強まる可能性がある。
そのため、オプション権利行使価格の3万9500円から4万円のレンジを想定。ナイトセッションの終値水準での推移が続くようだと、3万9750円から4万0250円辺りに切り上がりそうだ。
26日の米VIX指数は16.59(25日は16.76)に低下した。25日移動平均線(18.89)、200日線(19.67)を明確に下抜ける形状をみせており、6月11日につけた直近安値の16.23が射程に入っている。直近安値を割り込んでくると、次のターゲットは2月14日の安値14.74辺りが意識されてくるため、リスク選好に向かわせよう。
昨日のNT倍率は先物中心限月で14.09倍に上昇した。一時14.12倍まで上げており、2月下旬以来の14.00倍台に乗せてきた。+3σ(14.17倍)に接近しているほか、TOPIX型の出遅れ修正により、いったんはNTロングを巻き戻す動きも意識されてきそうだ。ただし、方向性としては200日線(14.04倍)、52週線(14.07倍)を上抜けたことでトレンドが強まりやすく、1月23日につけた14.54倍が意識されそうだ。
東京市場は堅調か。米国株は上昇。ダウ平均は404ドル高の43386ドルで取引を終えた。中東情勢に対する警戒が後退する中、10年債利回りが低下したことでハイテク株が上昇を先導。幅広い業種に買いが入った。ドル円は足元144円60銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが245円高の39745円、ドル建てが335円高の39835円で取引を終えた。
ナスダックは年初来高値を更新し、史上最高値に接近。S&P500も史上最高値に接近している。日本株も足元の動きが非常に良くなっており、米国株高を素直に好感した買いが入ると予想する。きのうの日経平均は大幅高となって節目の39000円や39500円を上回った。売り方には分が悪い中、踏み上げ的に4万円をつける場面が見られるかもしれない。米国同様にハイテク株が先導役となり、場中は強い動きが続くだろう。日経平均の予想レンジは39750-40100円。
日経225先物は11時30分時点、前日比730円高の4万0230円(+1.84%)前後で推移。寄り付きは3万9890円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万9745円)を上回り、買いが先行して始まった。寄り付きを安値に上へのバイアスが強まり、現物の寄り付き時には4万円の大台を回復。さらにショートカバーを誘う形となり、終盤にかけて4万0250円まで上げ幅を広げた。
前日に上場来高値を更新したアドバンテスト<6857.T>[東証P]は利食いから上げ一服となったが、東京エレクトロン<8035.T>[東証P]、ファーストリテイリング<9983.T>[東証P]、ソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさ株が日経平均型を牽引している。
日経225先物はボリンジャーバンドの+3σ(4万0190円)を上回っての推移をみせており、過熱感が警戒される。ただし、日経平均型のインデックス買いが断続的に入っているため、ショートは仕掛けにくいだろう。1月27日につけた4万0300円に接近してきたため、ここを抜ければ一段とショートカバーが入りやすいほか、出遅れているファンドによるロングも強まりやすい。
NT倍率は先物中心限月で14.15倍に上昇した。+3σは前日の14.17倍から14.25倍に切り上がっており、バンドに沿ったトレンド形成が意識されそうである。1月23日につけた14.54倍辺りがターゲットになりそうだ。
イラン国営テレビの報道によると、イランは核協議再開に合意していないという。なお、アメリカ側は近く核協議が再開されると発表しているが、これを真っ向から否定する形となっている。
昨日の海外市場では、欧州時間まではアジア時間に報じられたWSJのニック記事をきっかけとした現FRB総裁のレームダック化を狙うトランプ米大統領の動きに対して、ドル売りの反応。一時143.75円まで値を下げることになったわけですが、NY時間に入ってからは144.06円から144.54円の狭いレンジ取引に終始しました。
アジア時間に入ってからは、早朝に公表された6月東京都区部CPIが予想を大幅に下回る弱い数字となったほか、日経平均が寄付きから大幅な上昇となって40000円台を回復。米長期金利も上昇するにつれて144.81円まで買戻されました。その後も144.20円まで下押ししたものの、午後に入ってからは再び下値を切り上げているといったところです。
いずれにしても、市場ではユーロドルの上抜けがドル売りの流れを強めているわけですが、ドル円は相変わらずのレンジ相場。目先は一目雲を意識した神経質な動きに終始しています。市場では9月FOMCでの利下げを織込む動きになってはいるものの、次期FRB総裁候補たちの明らかに任命権限者に忖度した、非現実的な7月利下げへの言及に対して少々過剰反応しているといったところ。米相互関税猶予の期限もまだ到来していない時点での不確実性は極めて高いわけで、改めて、今夜の米PCEコアデフレータをはじめとしたインフレ指標を確認していくことになりそうです。
本日のロンドン為替市場では、今週に入り年初来高値更新が相次いでいるユーロドルの勢いを見守る展開となるか。ただ、NY市場で5月PCEデフレーターの発表を控えていることもあり、経済イベントや要人発言を消化した後は米指標の発表待ちで様子見となるかもしれない。
足もとのユーロドル相場について、米早期利下げ期待によるドル売りと、欧州中銀(ECB)の利下げ休止観測によるユーロ買いが合わさり、上値を模索する動きとなっている。ダウ理論のひとつに「トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する」とあることを踏まえると、現在のドル売り・ユーロ買いトレンドに影響を与えるような材料が出ないと、流れを変えるのは容易ではないかもしれない。
経済イベントは、序盤に6月仏消費者物価指数(CPI)速報値が予想されている。市場予想は前月比+0.1%/前年比+0.8%と、前月(-0.1%/+0.7%)を上回る伸びが見込まれている。欧州中銀(ECB)の利下げ休止観測が浮上するなか、予想を上回る伸びとなればユーロを押し上げるかもしれない。そのほか、6月ユーロ圏経済信頼感指数や消費者信頼感指数(確定値)なども発表予定。
要人発言では、ビルロワドガロー仏中銀総裁やレーン・フィンランド中銀総裁の発言機会が予定されている。直近の発言を振り返ると、仏中銀総裁は「市場の混乱があっても、ECBは依然として利下げが可能」「ECBの金利は中立水準に戻った」などと発言。フィンランド中銀総裁は「ECBはインフレ水準に満足してはならず、物価上昇率が目標を大幅に下回るなどのリスクに留意すべき」などの発言が伝わっている。金融スタンスに変化がないか見ておきたい。そのほか、NY序盤にウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁の講演も予定されている。
テクニカル面では、ユーロドルは週初に1.1454ドルの安値を見た後は下値を切り上げる動きが継続。その後は連日にわたり年初来高値を更新しており、21年9月高値1.1909ドルまで主だった目標値が見当たらない状態となっている。昨日高値1.1744ドルを突破すると、目先は1.1800ドルや1.1850ドルなど、きりの良い水準を手掛かりに上値を模索することになろう。ただ、前日安値1.1655ドルを割り込むようだと、今週に入ってからの上昇のリズムを崩すこととなり、週末のポジション調整を誘って上昇一服となるかもしれない。
想定レンジ上限
・ユーロドル:26日高値1.1744ドル。超えると心理的節目の1.1800ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル:26日安値1.1655ドル。割り込むと日足・一目均衡表の転換線1.1595ドル。
ドル円:1ドル=144.42円(前営業日NY終値比横ばい)
ユーロ円:1ユーロ=168.81円(▲0.17円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1689ドル(▲0.0012ドル)
日経平均株価:40150.79円(前営業日比△566.21円)
東証株価指数(TOPIX):2840.54(△35.85)
債券先物9月物:139.07円(▲0.14円)
新発10年物国債利回り:1.425%(△0.010%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
<国内> <発表値> <前回発表値>
5月完全失業率
2.5% 2.5%
5月有効求人倍率
1.24倍 1.26倍
6月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合)
前年同月比 3.1% 3.6%
5月商業販売統計速報(小売業販売額)
前年同月比 2.2% 3.5%・改
改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は上値が重い。6月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く)が予想比で下振れたことを受け、日銀の早期利上げ観測の後退を手掛かりにした買いが入った。日本株高も相場の支えとなり、一時は144.81円まで上昇。一方で、米利下げ観測の高まりもあって積極的に円売り・ドル買いを進める展開にもならず、一巡後は144.20円まで押し戻された。
・ユーロドルはもみ合い。1.1690ドル台を中心とした狭いレンジ内推移に終始し、相場は方向感が出なかった。
・ユーロ円は上値が重い。169.29円まで上昇した後に168.63円まで伸び悩むなど、総じてドル円につれた動きとなった。
・日経平均株価は4日続伸。米国株高を好感して買い先行で始まった。中東情勢を巡る懸念が後退する中で投資家心理が改善し、海外勢から断続的な買いが観測された株価指数先物主導で上値を試す展開に。節目の4万円台も回復して年初来の高値を更新。指数は一時680円超高まで上昇幅を拡大する場面も見られた。
・債券先物相場は続落。小高く始まったものの、その後はすぐに失速。日経平均株価の堅調推移を受けて安全資産とされる債券相場は売りに押された。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
メキシコ中銀、4会合連続の大幅利下げも、今後は利下げ幅縮小か
米ドル安が利下げを後押しの一方、インフレ再燃リスクもくすぶるなかで今後は慎重な対応が必要に
メキシコ中銀は、26日の定例会合で政策金利を4会合連続で50bp引き下げ8.00%とする決定を行った。昨年来の累計の利下げ幅は325bpに達し、政策金利も約3年ぶりの低水準となる。背景には、同国経済は米国への依存度が強いなかでトランプ関税による実体経済への悪影響が懸念されるなか、年明け以降のインフレ鈍化を受けて、金融緩和余地が拡大していることが挙げられる。
ただし、声明文では賛成4対反対1と票が割れ、ヒース副総裁がインフレ再加速リスクを理由に慎重姿勢を取っていることが明らかにされた。先行きの物価について上下双方に振れるリスクを挙げる一方、中銀は将来的な利下げ継続の可能性を示唆している。ただし、調整幅を巡って今回は「同程度」としてきた文言を削除しており、先行きについては利下げ幅を縮小させる可能性は高まっていると判断できる。
足元では実質金利のプラス幅が縮小するなど投資妙味が低下しているほか、司法制度の変化などが中長期的な金融政策に影響を与える可能性はある。他方、足元のペソ相場は金融市場における米ドル安が下支え役となるなか、今後の政策運営は米ドル相場を睨みつつ慎重な対応が求められることになろう。
6月21日、トランプ米大統領はイランの3個所の核関連施設に対して、合計14発の地中貫通型爆弾(バンカーバスター)を打ち込み、イスラエルとイランの停戦合意に持ち込んだ。
6月26日のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙は、トランプ米大統領が2026年5月に任期満了となるパウエルFRB議長の後任人事の発表を9月か10月に早める旨の記事を配信した。
1.地中貫通型爆弾(バンカーバスター)Bunker Buster
2025年6月21日、アメリカ軍は、B-2爆撃機6機がイランのフォルドゥにバンカーバスター12発を投下し、潜水艦からは、ナタンズとイスファハンに巡航ミサイル30発を発射し、ナタンズにはB-2爆撃機1機がバンカーバスター2発を投下した。
バンカーバスターの開発には約4億ドル(@145円=約580億円)が投じられ、米軍は20発保有していたが、14発使用したので、約2.8億ドル(@145円=約280億円)使い果たしたことになる。
ネタニヤフ・イスラエル首相は「彼のリーダーシップは中東を繁栄と平和の未来へと導く歴史の転換点となった。トランプ大統領と私はよく『力によって平和は生まれる』と言う。まず力があり、そして平和が訪れる」と表明した。
2.FRB(Federal Reserve Board・Banks)支配:Banker Buster
WSJ紙は、トランプ米大統領が2026年5月に任期満了を迎えるパウエルFRB議長の後任について、9月ないし10月までかそれよりも早い、今夏に前倒し早期の選定・指名発表を検討していると報じた。
かつて、ボルカー第12代FRB議長は、金融緩和を要請していたレーガン第40代米大統領が4名のFRB理事を刺客として送り込んだことで、辞表を叩きつけた。
今後のリスクシナリオは、嫌気がさしたパウエルFRB議長が早期に辞任を表明することになる。
ウォールストリート・ジャーナル紙のFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者は、FRBはルーズルーズ(lose-lose)の状況に置かれているとの私見を述べている。
すなわち、1つのルーズは、大統領からの執拗な利下げ要請に屈して利下げに踏み切って、インフレを助長し、FRBの信頼性を損なうリスクとなる。
もう1つのルーズは、利下げを躊躇して、経済が急激に減速し、関税スタグフレーションに陥るリスクとなる。
後任候補のハセット国家経済会議(NEC)委員長やベッセント米財務長官は、FRBへの利下げ圧力を強めている。ウォーシュ元FRB理事は、トランプ関税による物価上昇はあくまで一時的で統計的に重要ではないとして、FRBが積極的に利下げを実施すべきとのスタンスを示している。マルパス元世界銀行総裁もレーガン・ブッシュ共和党政権に仕えた人物であり、トランプ共和党政権に忖度することが想定できる。
次期FRB議長は、「来年の5月就任後には、FF金利誘導目標を2%に引き下げる」と宣言すると思われ、市場は織り込み始めると想定される。
中国政府は27日、米国との貿易枠組みの詳細を確認したとの声明を発表した。
大阪9月限
日経225先物 40180 +680 (+1.72%)
TOPIX先物 2847.0 +44.5 (+1.58%)
日経225先物(9月限)は前日680円高の4万0180円と1月27日以来の4万円の大台を回復して取引を終了。寄り付きは3万9890円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万9745円)を上回り、買いが先行して始まった。寄り付きを安値に上へのバイアスが強まり、現物の寄り付き時には4万円の大台を回復。さらにショートカバーを誘う形となり、前場終盤にかけて4万0250円まで上げ幅を広げた。
ランチタイムで4万0180円~4万0220円辺りでの底堅さがみられるなか、午後に入り4万0290円まで買われた。終盤にかけては持ち高調整とみられるロング解消の動きが入り、4万0060円まで上げ幅を縮めたが、引け間際に買い戻され、4万0180円で終えている。
前日に上場来高値を更新したアドバンテスト<6857.T>[東証P]は利食いから上げ一服となったが、東京エレクトロン<8035.T>[東証P]、ファーストリテイリング<9983.T>[東証P]、ソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさ株が日経平均型を牽引した。
日経225先物はボリンジャーバンドの+3σ(4万0170円)を上回っての推移をみせており、過熱感が警戒されやすいところだが、1月27日につけた4万0300円に接近してきたため、ショートを仕掛けにくくさせた。一方で、高値に接近するなかでショートカバーが入りやすい需給状況だったようだ。
また、ナイトセッションで+2σは3万9810円、+3σは4万0540円に切り上がっている。バンドが急拡大していることで、ピーク感にはつながらない面もある。+2σと+3σとのレンジ内での推移が継続する可能性が意識されやすく、4万円近辺では押し目待ち狙いのロング対応に向かわせそうである。4万円を割り込んだとしても、+2σ水準での底堅さがみられよう。
もっとも、配当再投資に伴う需給要因は一巡したと考えられるほか、足もとでショートカバーの動きを強めているハイテク株の持続性を見極める必要はあるだろう。そのため、オプション権利行使価格の3万9500円~4万0500円辺りのレンジを想定しておきたい。
NT倍率は先物中心限月で14.11倍に上昇した。一時14.16倍まで上昇する場面もあったが、+3σに接近するなかでリバランスが入りやすいところだろう。上向きのトレンドを形成しており、1月23日につけた14.54倍辺りがターゲットになりそうだが、+2σ(14.07倍)を割り込んでくるようだと、いったんNTロングを巻き戻す動きが強まる可能性がありそうだ。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が2万3194枚、ソシエテジェネラル証券が1万3824枚、JPモルガン証券が3742枚、サスケハナ・ホンコンが3306枚、野村証券が2468枚、バークレイズ証券が2329枚、ビーオブエー証券が1685枚、ゴールドマン証券が1599枚、みずほ証券が1517枚、SBI証券が1353枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が2万5730枚、ソシエテジェネラル証券が2万1776枚、バークレイズ証券が6925枚、JPモルガン証券が6696枚、モルガンMUFG証券が4095枚、野村証券が4047枚、ゴールドマン証券が3382枚、大和証券が2262枚、ビーオブエー証券が2236枚、みずほ証券が2145枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視しているPCEデフレーターの5月分や6月米消費者態度指数(ミシガン大調べ・確報値)のインフレ期待を見極めつつ、複数のFRB高官による次回利下げ時期への言及に注目していくことになる。
パウエルFRB議長は、議会証言で「インフレが予想を下回る、ないし労働市場が悪化した場合は、米連邦公開市場委員会(FOMC)はより早期に利下げに踏み切る可能性がある」と述べた。
7月29-30日のFOMCに向けて、米国の物価指数や雇用統計などを確認していくことになる。
5月米PCEデフレーターは前年比+2.3%と予想されており、4月の同比+2.1%からの上昇が見込まれている。5月の米消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)は、伸び率がやや鈍化していたことで、予想を下回るネガティブサプライズに警戒しておきたい。
6月米消費者態度指数(ミシガン大調べ)確報値では、1年先のインフレ期待が速報値の5.1%からの上方・下方修正に注目することになる。
第1次トランプ米政権でFRB理事に指名された次期FRB議長候補のウォラーFRB理事やタカ派のボウマンFRB副議長は、7月FOMCでの利下げの可能性に言及していた。
本日は、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、ハマック米クリーブランド連銀総裁、クックFRB理事による次回利下げ時期への言及に注目しておきたい。
7月FOMCでの利下げに慎重なスタンスを示しているのは、グールズビー米シカゴ連銀総裁、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、コリンズ米ボストン連銀総裁などとなっている。
また、ラトニック米商務長官は、米国と中国が貿易枠組みの合意の最終的な取りまとめに至り、計10に上る主要貿易相手国・地域との合意に達する差し迫った計画がある、と述べている。さらに、レビット報道官が「相互関税」の一時停止期間を7月9日から延長する可能性がある、とも述べており、関連ヘッドラインには注目しておきたい。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、145.27円(6/26高値)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、143.75円 (6/26安値)
今晩はインフレ指標に注目か。昨日は中東情勢への警戒感が和らぐ中、米10年債利回りの低下を追い風にハイテク株が上昇し、相場をけん引した。ダウ平均が404.41ドル高(+0.94%)と反発し、S&P500も0.80%高と反発。一時0.89%高まで上昇し、2月に付けた史上最高値まで0.91ポイント(0.01%)に迫り、終値でも最高値まで0.05%に迫った。ナスダック総合は0.97%高と4日続伸し、時価総額上位銘柄で構成されるナスダック100は0.94%高4日続伸し、3日連続で終値の最高値を更新した。週初来ではダウ平均が2.80%高、S&P500が2.90%高、ナスダック総合が3.70%高となった。引け後の動きではナイキが時間外で約11%高と急伸。6-8月期の売上高と粗利益率が予想ほど悪化しないとの見通しが好感された。
今晩は週末の取引となるが、史上最高値に肉薄したS&P500の高値更新がなるか否かに注目が集まる。足もとでは中東リスクの緩和や利下げ期待を背景に、マグニフィセント・セブンなどのメガキャップが上昇モメンタムを取り戻し、エヌビディアやマイクロソフト、ネットフリックスなどの上場来高値更新が続いている。今晩は米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注目する5月個人消費支出(PCE)価格指数の発表があり、インフレ鈍化を示す結果となれば、早期利下げ期待を背景にS&P500の最高値更新が期待できそうだ。
今晩の米経済指標・イベントは5月個人所得・個人消費支出・個人消費支出 (PCE) 価格指数のほか、6月ミシガン大消費者信頼感指数確報値、同1年先・5年先期待インフレ率確報値など。主要な企業の決算発表はなし。
日経平均株価は4日続伸。前日からマドを開ける強い上昇スタートとなり、4万円の大台を回復する展開となった。一方、昨年12/27高値(40398円)が意識され、後場は伸び悩む展開となった。
RSI(9日)は前日の81.1%→81.7%(6/27)にほぼ横ばい。来週初も上昇のハードルが高くなる。引き続き見方は変わらず、4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇が続いている。
パターン分析では4月前半の安値を先端に「スパイクボトム(V字)」を確認している。目先の上値は限定的と想定しつつも、当面の見方としては意外高のシナリオは想定しておきたい。
上値メドは、12/27高値(40398円)、7/17安値(41054円)、心理的節目の42000円、7/11安値(42102円)、7/11高値(42426)などがある。下値メドは、5日移動平均線(39164円 6/27)、心理的節目の39000円、10日移動平均線(38844円 同)、25日移動平均線(38260円 同)、200日移動平均線(37949円 同)、6/13安値(37540円)、100日移動平均線(37211円 同)、心理的節目の37000円などがある。
(27日終値:28日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=144.73円(27日15時時点比△0.31円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=169.36円(△0.55円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1702ドル(△0.0013ドル)
FTSE100種総合株価指数:8798.91(前営業日比△63.31)
ドイツ株式指数(DAX):24033.22(△383.92)
10年物英国債利回り:4.504%(△0.032%)
10年物独国債利回り:2.592%(△0.023%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月仏消費者物価指数(CPI)速報値
(前月比) 0.3% ▲0.1%
(前年比) 0.9% 0.7%
5月仏卸売物価指数(PPI)
(前月比) ▲0.8% ▲4.2%・改
5月仏消費支出
(前月比) 0.2% 0.5%・改
6月ユーロ圏消費者信頼感指数
(確定値) ▲15.3 ▲15.3
6月ユーロ圏経済信頼感指数
94.0 94.8
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ユーロドルは伸び悩み。中東情勢を巡る懸念が後退したことや、米利下げ観測の高まりを背景にユーロ買い・ドル売りが先行。欧米株価が堅調に推移する中、リスク・オンのユーロ買い・ドル売りも入り、22時過ぎに一時1.1753ドルと2021年9月以来約3年9カ月ぶりの高値を付けた。
ただ、買い一巡後は徐々に伸び悩んだ。月末が近づく中、ロンドン16時(日本時間24時)のフィキシングに向けたドル買いのフローが観測されたほか、週末を控えたポジション調整目的の売りが出た。3時前には一時1.1696ドル付近まで下押しした。
・ドル円は強含み。米相互関税の停止期限延期の可能性が意識される中、米国株相場が底堅く推移すると、投資家のリスク志向が改善し円売り・ドル買いが出た。ロンドン・フィキシングに向けたドル買いのフローも入ると、一時144.95円と日通し高値を付けた。ただ、フィキシング通過後はやや伸び悩んだ。
なお、本日発表の5月米個人消費支出(PCE)や個人所得は予想を下回ったものの、米連邦準備理事会(FRB)が金融政策を判断するうえで重視しているPCE価格指数(デフレーター)で、変動が激しい食品とエネルギーを除くコアデフレーターは前月比0.2%/前年比2.7%と予想の前月比0.1%/前年比2.6%を上回った。
・ユーロ円は堅調。欧米株価の上昇を背景にリスク・オンの円売り・ユーロ買いが優勢になると、一時169.81円と昨年7月以来約11カ月ぶりの高値を更新した。
・カナダドルは大幅安。「石油輸出国機構(OPEC)プラスは7月会合で大規模な増産を検討」との一部報道をきっかけに原油先物相場が一転下落すると、産油国通貨とされるカナダドルに売りが先行した。トランプ米大統領が「デジタルサービス税を理由にカナダとの貿易交渉をすべて打ち切る」と発言すると全般カナダドル売りが活発化。米ドルカナダドルは一時1.3759カナダドルまで上昇したほか、カナダドル円は105.24円まで値を下げた。
・ロンドン株式相場は続伸。米関税を巡る交渉が進展し、世界経済が悪化するとの懸念が後退する中、買いが優勢となった。コンパス・グループやピアソンなど一般消費財サービスが買われたほか、ロールス・ロイス・ホールディングスやレレックスなど資本財サービス株が値上がりした。
・フランクフルト株式相場は続伸。米関税を巡る交渉が進展し、世界経済が悪化するとの懸念が後退する中、買いが優勢となった。個別ではポルシェ(7.61%高)やダイムラー・トラック・ホールディング(6.14%高)などの上昇が目立ち、ラインメタル(6.09%安)などを除く38銘柄が上昇した。
・欧州債券相場は下落。株高が相場の重しとなった。
(27日終値)
ドル・円相場:1ドル=144.65円(前営業日比△0.23円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=169.48円(△0.50円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1718ドル(△0.0017ドル)
ダウ工業株30種平均:43819.27ドル(△432.43ドル)
ナスダック総合株価指数:20273.46(△105.55)
10年物米国債利回り:4.27%(△0.03%)
WTI原油先物8月限:1バレル=65.52ドル(△0.28ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3287.6ドル(▲60.4ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月米個人所得
(前月比) ▲0.4% 0.7%・改
5月米個人消費支出(PCE)
(前月比) ▲0.1% 0.2%
5月PCEデフレーター
(前年比) 2.3% 2.2%・改
5月PCEコアデフレーター
(前月比) 0.2% 0.1%
(前年比) 2.7% 2.6%・改
6月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値)
60.7 60.5
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ユーロドルは小幅ながら7日続伸。中東情勢を巡る懸念が後退したことや、米利下げ観測の高まりを背景にユーロ買い・ドル売りが先行。欧州株相場の上昇を背景にリスク・オンのユーロ買い・ドル売りも入り、22時過ぎに一時1.1753ドルと2021年9月以来約3年9カ月ぶりの高値を付けた。
ただ、買い一巡後は上値が重くなった。月末が近づく中、ロンドン16時(日本時間24時)のフィキシングに向けたドル買いのフローが観測されたほか、週末を控えたポジション調整目的の売りが出て、3時30分過ぎに1.1688ドル付近まで下押しした。カナダドルに対する米ドル買いも相場の重しとなった。
・カナダドルは大幅安。「石油輸出国機構(OPEC)プラスは7月会合で大規模な増産を検討」との一部報道をきっかけに原油先物相場が失速すると、産油国通貨とされるカナダドルに売りが先行した。トランプ米大統領が自身のSNSに「米国産乳製品への法外な関税や米ハイテク企業に対するデジタルサービス税の導入を理由に、カナダとの通商協議を全て打ち切る」と表明すると全般カナダドル売りが活発化。米ドルカナダドルは一時1.3759カナダドルまで上昇したほか、カナダドル円は105.24円まで値を下げた。
・ドル円は反発。米相互関税の停止期限延期の可能性が意識される中、米国株相場が底堅く推移すると、投資家のリスク志向が改善し円売り・ドル買いが出た。ロンドン・フィキシングに向けたドル買いのフローも入ると、一時144.95円と日通し高値を付けた。ただ、フィキシング通過後はやや伸び悩んだ。
・ユーロ円も反発。欧米株高を背景にリスク・オンの円売り・ユーロ買いが優勢になると、一時169.81円と昨年7月以来約11カ月ぶりの高値を更新した。ただ、そのあとは169.18円付近まで伸び悩む場面があった。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、2月28日以来約4カ月ぶりの高値となった。中東情勢を巡る懸念が後退したことや、米利下げ観測の高まりを背景にこの日も買いが続いた。米貿易交渉の進展を期待した買いも入り、指数は一時570ドル超上昇する場面があった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は5日続伸し、史上最高値で取引を終えた。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数も過去最高値を更新した。
・米国債券相場で長期ゾーンは反落。5月米個人消費支出(PCE)や個人所得が予想を下回ったことで買いが入ったものの、米連邦準備理事会(FRB)が金融政策を判断するうえで重視しているPCE価格指数(デフレーター)で、変動が激しい食品とエネルギーを除くコアデフレーターが予想を上回ったことで次第に売りが優勢となった。
・原油先物相場は3日続伸。原油在庫の減少やS&P500やナスダック総合が過去最高値を更新するなど、米経済の回復による需要増加期待で堅調地合いを維持した。一時「OPECが7月にさらなる大規模な増産を検討中」との報道が流れると、急落する場面もあったが、引けにかけては買い戻しが入り小幅ながら続伸して引けた。
・金先物相場は反落。S&P500とナスダック総合が過去最高値を更新するなど、市場のセンチメントの好転で安全資産とされる金先物は売りが優勢となった。
アトランタ連銀が発表した米国の国内総生産(GDP)成長率の現時点予測である4-6月期GDPNowは+2.9%と前回の+3.4%から引き下げられた。
27日05:28 トランプ米大統領
「インドと近く(協定を)合意する可能性」
「大きく美しい法案(bigbeautiful bill)はアジェンダの最終条件」
28日01:09
「インドとの貿易障壁の完全撤廃を求める」
「問題は米連邦準備理事会(FRB)の奴だ」
「この先、中国と貿易する」
「関税を支払わなければならなくなるため、一部の国は失望するだろう」
28日02:50
「デジタルサービス税を理由にカナダとの貿易交渉を終了」
「カナダとの貿易交渉をすべて打ち切る」
「今後7日以内にカナダに関税水準を伝える」
27日06:22 ラトニック米商務長官
「来週ごろに多くの合意を発表する」
「中国との合意に署名した」
「税制法案は今後1-2週間で可決されるだろう」
27日06:56 メルツ独首相
「米国との貿易協定が実現不可能な場合、EUは自らの利益を守る」
「EU首脳らは欧州委員会委員長に迅速な米国との貿易協定締結を要請」
「米国との貿易協定については指針を協議しただけで、具体的な提案はしていない」
27日07:09 フォンデアライエン欧州委員長
「EUは米国と貿易合意の用意」
「同時にEUは米と貿易合意に至らない可能性に備えている」
27日07:14 マクロン仏大統領
「欧州委員会委員長は我々の関税提案をまだ提示していない」
「最適な関税合意は関税ゼロ」
「迅速かつ公正なEU・米国間の貿易協定を支持する」
27日07:40 ハセット米国家経済会議(NEC)委員長
「税制法案が7月4日までに可決されると強い自信を持っている」
「いくつかの歳出削減パッケージがすでに準備できている」
「多くの貿易合意を控えている」
「インドとの合意に非常に近づいている」
「誰もが米連邦準備理事会(FRB)の指導部交代を予想」
27日08:19 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁
「関税が経済に与える影響をより的確に評価する必要」
「労働市場は良好だが減速しつつある」
「独立した金融政策がインフレ抑制と雇用改善を支えている」
「データ重視で政治的影響を受けない意思決定を再確認」
「インフレ率は依然2%を上回っており、目標水準への回帰が必要」
27日11:16 加藤財務相
「超長期債の買い入れ消却、課題を踏まえ慎重に検討」
「合成麻薬フェンタニルを含む違法薬物の取引を防止するため、関係当局と緊密に連携」
「現在のECB金利は中立水準にあり良い状態だ」
「インフレリスクは現在、上振れ・下振れ両方の可能性」
「ECBによる追加利下げの可能性は排除できない」
「ECBはしばらくの間、金利を据え置く必要があるかもしれない」
27日17:52 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「インフレ目標2%を達成できると確信している」
27日20:44 ベッセント米財務長官
「中国との緊張緩和に近づいている」
「中国との分断は回避したい」
「米国はグローバル・ミニマム課税により1000億ドルの損失を被ってきた」
「報復税は、不公正な関税への対抗措置」
※時間は日本時間
30日
○08:50 ◎ 5月鉱工業生産速報
○14:00 ◇ 5月新設住宅着工戸数
○19:00 ◇ 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
7月1日
○08:50 ☆ 日銀・企業短期経済観測調査(短観、6月調査)
○14:00 ◇ 6月消費動向調査(消費者態度指数 一般世帯)
2日
○08:50 ◇ 6月マネタリーベース
3日
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○10:30 ◇ 高田創日銀審議委員、あいさつ
4日
○08:30 ◇ 5月家計調査(消費支出)
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
30日
○10:00 ◇ 6月ANZ企業信頼感
○10:30 ◎ 6月中国製造業購買担当者景気指数(PMI)
○15:00 ◇ 5月独輸入物価指数
○15:00 ◎ 5月独小売売上高
○15:00 ☆ 1-3月期英国内総生産(GDP)改定値
○15:00 ◇ 1-3月期英経常収支
○16:00 ◇ 6月スイスKOF景気先行指数
○16:00 ◇ 5月トルコ貿易収支
○16:00 ◇ 5月トルコ失業率
○16:55 ◎ 6月独雇用統計
○17:30 ◇ 5月英消費者信用残高
○17:30 ◇ 5月英マネーサプライM4
○19:30 ◎ 5月インド鉱工業生産
○21:00 ◎ 5月南アフリカ貿易収支
○21:00 ◎ 6月独消費者物価指数(CPI)速報値
○22:45 ◎ 6月米シカゴ購買部協会景気指数
○23:00 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○7月1日02:00 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、討議に参加
○1日04:00 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○ECB主催の国際金融会議「ECBフォーラム」(ポルトガル・シントラ、2日まで)
7月1日
○07:45 ◎ 5月ニュージーランド(NZ)住宅建設許可件数
○10:45 ◎ 6月Caixin中国製造業PMI
○15:00 ◇ 6月英ネーションワイド住宅価格指数
○15:30 ◇ 5月スイス小売売上高
○16:00 ◇ 6月トルコ製造業購買担当者景気指数(PMI)
○16:30 ◇ 6月スイス製造業PMI
○16:30 ◎ デギンドスECB副総裁、パネルディスカッションに参加
○16:50 ◎ 6月仏製造業PMI改定値
○16:55 ◎ 6月独製造業PMI改定値
○17:00 ◎ 6月ユーロ圏製造業PMI改定値
○17:30 ◎ 6月英製造業PMI改定値
○18:00 ☆ 6月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値
○18:00 ☆ 6月ユーロ圏HICPコア速報値
○22:30 ☆ ラガルドECB総裁、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、ベイリー英中銀(BOE)総裁、植田和男日銀総裁、パネルディスカッションに参加
○22:45 ◎ 6月米製造業PMI改定値
○23:00 ☆ 6月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数
○23:00 ◇ 5月米建設支出
○23:00 ◎ 5月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数
○24:00 ◇ 6月メキシコ製造業PMI
○香港(香港特別行政区成立記念日)、カナダ(建国記念日)、休場
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
2日
○10:30 ◎ 5月豪住宅建設許可件数
○10:30 ◎ 5月豪小売売上高
○18:00 ◎ 5月ユーロ圏失業率
○18:00 ◎ チポローネECB専務理事、パネルディスカッションに参加
○19:30 ◎ レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、パネルディスカッションに参加
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○20:30 ◇ 6月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○未定 ◎ ポーランド中銀、政策金利発表
○21:15 ☆ 6月ADP全米雇用報告
○23:15 ◎ ラガルドECB総裁、あいさつ
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○3日01:00 ☆ 1-3月期ロシアGDP確定値
○3日01:00 ◎ 5月ロシア失業率
3日
○10:30 ◇ 5月豪貿易収支
○10:45 ◎ 6月Caixin中国サービス部門PMI
○15:30 ◎ 6月スイスCPI
○16:00 ◎ 6月トルコCPI
○16:50 ◎ 6月仏サービス部門PMI改定値
○16:55 ◎ 6月独サービス部門PMI改定値
○17:00 ◎ 6月ユーロ圏サービス部門PMI改定値
○17:30 ◎ 6月英サービス部門PMI改定値
○20:30 ☆ ECB理事会議事要旨(6月5日分)
○21:30 ◇ 5月カナダ貿易収支
○21:30 ◎ 5月米貿易収支
○21:30 ☆ 6月米雇用統計
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数
○22:45 ◎ 6月米サービス部門PMI改定値
○22:45 ◎ 6月米総?⑰MI改定値
○23:00 ☆ 6月米ISM非製造業指数
○23:00 ◎ 5月米製造業新規受注
○24:00 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○米株式・債券市場は短縮取引(独立記念日の前営業日)
4日
○15:00 ◎ 5月独製造業新規受注
○15:45 ◇ 5月仏鉱工業生産
○17:30 ◎ 6月英建設業PMI
○18:00 ◎ 5月ユーロ圏卸売物価指数(PPI)
○5日03:00 ◎ 6月ブラジル貿易収支
○米国(独立記念日)、休場
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
◆豪ドル、インフレ低下で利下げ圧力拡大も株高が支え
◆豪ドル、米予算案と関税交渉がリスク要因
◆ZAR、イスラエルとイランの停戦で堅調推移
予想レンジ
豪ドル円 92.00-97.00円
南ア・ランド円 8.00-8.40円
6月30日週の展望
豪ドルは、来週も引き続き神経質な値動きになることが予想される。国内情勢では豪準備銀行(RBA)の利下げ圧力の拡大が重しになるが、イスラエルとイランの停戦合意を好感し、リスク選好の動きが豪ドルを支えることなる。ただ、米国の政治動向で不確定要素が多いこともあり、豪ドルをはじめ為替市場をボラタイルな動きにさせるだろう。
今週発表された、5月消費者物価指数(CPI)は前月の2.4%から2.1%へと低下。RBAとしては、月次のCPIは四半期CPIバスケットの6割から7割程度しか含まれていないことから左程重要視はしていないが、インフレ圧力の低下により市場では利下げ予想が拡大している。来週は7月2日の5月住宅許可件数や小売売上高、3日には貿易収支が豪州から発表予定となっているが、RBA関係者からハト派寄りの発言が出た場合は豪ドルの重しになるだろう。
一方で、今週イスラエルとイランの間で停戦が合意されたことを受けて株式市場が堅調。リスクセンチメントに敏感な豪ドルの支えになり、利下げ圧力による豪ドル売りを相殺している。ただ、このまま両国が停戦合意を順守するかには引き続き注意しておきたい。
また、来週は豪国内からは市場を動意づけるイベントが少ない反面、米国の政治状況にも注目。特に7月4日までにトランプ米大統領が法案の可決を目指している「大きく美しい予算案(big, beautiful bill)」の行方が市場を大きく動意づけそうだ。下院では可決された法案だが、修正なく休会明けの上院で可決された場合は、歳出削減規模が縮まり、財政赤字がさらに拡大することになる。米債売りから、再び米トリプル安に陥るリスクもありそうだ。また、関税に関しても、7月9日の追加関税の猶予期限を前にして、交渉の進展具合も引き続き相場を動意づけるだろう。
南アフリカ・ランド(ZAR)は堅調となりそうだ。ほぼすべてのエネルギーを輸入に頼っている南アにとっては、中東情勢が混乱すれば経済的に痛手を被るところだった。イスラエルとイランの停戦は、当然ZARの支えになるだろう。また、米国の関税賦課期限が迫っているが、中国との関係をより一層深めている南アにとっては、徐々に米国依存の経済から脱却しようとしており、ZARにはポジティブ要素だ。なお、来週の南アからの経済指標は30日に5月貿易収支、月次財政収支、7月2日には4-6月期BERインフレ期待が公表される。
6月23日週の回顧
豪ドルは堅調。先週末に米国がイランを空爆したことを受けて、リスク回避の動きから対ドルでは5月中旬以来となる0.63ドル後半まで一時売り込まれた。ただ、イスラエルとイランが停戦に合意すると、一転0.65ドル半ばまで買戻されている。豪ドル円も93円後半から94円後半までじり高だった。ZARも週明けは中東情勢を嫌気し軟調に推移したが、停戦合意を受けると大幅に買い戻された。対円では一時3月下旬の水準まで上昇した。
◆正副BOE総裁、雇用情勢の急速悪化に懸念
◆ポンド、ドル安が支えも英中銀の追加利下げ観測の高まりで売りも入りやすい
◆加ドル、貿易交渉の行方や利下げめぐりデータを確認しつつドルに左右
予想レンジ
ポンド円 195.00-200.00円
加ドル円 105.00-108.00円
6月30日週の展望
中東情勢への警戒感はいったん落ち着き、市場の目線は再びトランプ関税や米大型減税案などに向けられている。来週も、米早期利下げ観測が高まる中での米雇用統計が注目されるなど、ドル主役の相場展開が予想される。トランプ米大統領が自ら設定した貿易協定締結の期限となる7月9日まで後2週間と迫っており、主要貿易相手国・地域との交渉は山場を迎えている。
今週の英上院経済委員会の公聴会でベイリーBOE(イングランド銀行、英中銀)総裁とラムスデン副総裁は、「労働党政権による予算で雇用コストが急増した影響の拡大もあり、国内の雇用情勢が急速に悪化している形跡が増えている」と指摘した。また、給与の上昇ペースについても「減速傾向にある」と明言した。4月に導入された雇用主向けの給与増税と最低賃金の引き上げという負担増に労働市場が耐えられなくなりつつあり、BOEは8月にも追加利下げを実施する観測が高まっている。ドル安が支えとなるも、英中銀の利下げ観測の高まりが上値を重くしそうだ。
6月製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は47.7と、景気判断の分岐点とされる50を9カ月連続で下回ったが、前月の46.4からは改善し、サービス部門PMIは51.3と3カ月ぶりの高水準となった。景気後退への過度な懸念は和らいだが、企業活動の伸びは依然として厳しいとの声が多い。20日に発表された5月小売売上高は、前月比-2.7%と2023年12月以来最も大幅な落ち込みを記録した。来週は1-3月期GDP改定値、6月建設業PMIと6月製造業・サービス部門PMI改定値などの発表が予定されている。
カナダでは、来週予定の経済指標は5月貿易収支程度と少なく、加ドルは米加貿易協議の進展に注目しつつも、ドルに左右される動きが続きそうだ。5月消費者物価指数(CPI)は前年比1.7%と予想や前月と変わらずの結果となった。ただ、カナダ中銀(BOC)が重視するコアインフレ指標のCPI中央値とCPIトリムはともに3.0%と前月からやや低下し中銀のインフレ目標(1-3%)の上限まで水準を切り下げた。BOCは2会合連続で政策金利の据え置きを決定したが、5月と6月のインフレ指標は7月末に予定されている次回会合で利下げに踏み切るかどうかを判断する重要な手がかりとなる。トランプ米政権による鉄鋼・アルミニウム、自動車に対する関税やカナダの対抗措置の影響はまだ鮮明になっていないが、住宅ローン費用や家賃は着実に減速している。
6月23日週の回顧
今週はドルに振り回される動きとなった。週明けは中東リスクを背景に「有事のドル買い」が先行したが、イラン・イスラエルが停戦合意したことを受けてドル買い意欲が後退。米早期利下げ観測の高まりを手がかりにドル売りが優勢となり、ポンドドルは2021年10月以来の高値水準となる1.37ドル半ばまで上昇した。加ドルは原油相場が乱高下する中、方向感が出ず、ドル/加ドルは1.37加ドルを挟んで神経質な動きとなった。ポンド円は198円後半まで年初来高値を更新。加ドル円は2月以来の107円台に上昇したが、ドル円が失速し伸び悩んだ。
◆ドル円、早期のトランプ相互関税率通告の可能性や6月雇用統計に注意
◆6月米ISM製造業・非製造業景気指数やFRB高官の発言にも注目
◆ユーロドル、ユーロ圏6月HICP、欧米関税協議、ECBフォーラムに注目
予想レンジ
ドル円 142.00-147.00円
ユーロドル 1.1400-1.1900ドル
6月30日週の展望
ドル円は、米相互関税期限である7月9日以前の前倒し通告の可能性に警戒しつつ、米国の経済指標などを見極めながら、7月29-30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げの可能性を探る展開となるだろう。
パウエルFRB議長が24、25日の議会証言で「インフレが予想を下回る、ないしは労働市場が悪化した場合は、FOMCはより早期に利下げに踏み切る可能性がある」と述べていたことで、来週は7月1日と7月3日に予定されている6月ISM製造業・非製造業景気指数での物価・雇用指標や、7月3日公表の6月雇用統計での雇用情勢や平均賃金などに注目したい。
雇用統計の予想は、失業率が4.3%で5月の4.2%から悪化、非農業部門雇用者数は前月比11.8万人で、5月の14.0万人からの増加幅の減少、雇用情勢の悪化が見込まれている。先週末から今週にかけては、次期FRB議長候補のウォラーFRB理事やタカ派のボウマンFRB副議長が7月FOMCでの利下げの可能性にも言及しており、早期利下げへの警戒感が高まりつつある。
また、日米の通商交渉は6回の閣僚級協議(※7回目が開催中)とG7サミットでの首脳会談でも合意に至っていない。11日にはトランプ米大統領が「一方的に関税率を設定し、今後2週間以内に各国・地域に書簡を送る」と述べており、相互関税一時停止期限の7月9日より前での関税率の通告には警戒しておきたい。
さらに、「トランプ米大統領は、2026年5月に任期満了となるパウエルFRB議長の後任人事を早期に選任する」とWSJが報じており、関連する報道などにも注意が必要だろう。
ユーロドルは、今週、直近の高値を上抜けて底堅い展開となったが、30日から7月2日にかけてポルトガルで開催される欧州中央銀行(ECB)年次フォーラムでの関税スタグフレーションやユーロ高に対する見解、欧米関税協議に関するヘッドラインを注視しながら、6月のユーロ圏消費者物価指数や卸売物価指数を見極めていく展開となる。
6月23週の回顧
ドル円は、米軍によるイラン核施設への空爆を受け、有事のドル買いから148.03円まで上昇したが、イスラエルとイランが停戦合意したほか、トランプ米大統領による次期FRB議長早期指名の報道などで、一転して143.75円まで反落した。ユーロドルは、有事のドル買いで週初に1.1454ドルまで下落したものの、その後は米早期利下げ観測の台頭から米長期金利が低下。12日の高値1.1631ドルを上抜けて一時1.1744ドルまで買戻されている。
27日の日経平均は大幅に4日続伸。終値は566円高の40150円。米国株高を好感して、寄り付きから200円を超える上昇。開始早々に節目の4万円を上回った。半導体株、防衛株、自動車株などに強い買いが入った。
600円超上昇して40200円台に乗せたところで買いが一巡。10時以降は値動きが落ち着き、しばらく40200円近辺でもみ合った。後場に入って13時台半ば辺りから緩やかに上げ幅を縮めたが、4万円より上はキープ。500円を超える上昇となり、終値で4万円を上回った。1月7日の終値40083.30円を上回り、年初来高値を更新している。TOPIXも3月27日につけた2815.47pを上回り、年初来高値を更新した。一方、グロース250指数は逆行安となった上に、場中の動きも弱かった。
東証プライムの売買代金は概算で5兆9200億円。大幅高となる中で商いも膨らんだ。業種別では非鉄金属、輸送用機器、証券・商品先物などが上昇している一方、鉱業、食料品、倉庫・運輸などが下落している。上方修正を発表した亀田製菓<2220.T>が後場急伸。半面、下方修正を発表した津田駒工業<6217.T>が後場に入って大幅に下落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1183/値下がり391。証券会社が目標株価を引き上げたディスコが全市場の売買代金トップとなる大商いで7.5%高。東京エレクトロンが大幅高となり、日経平均の押し上げに大きく貢献した。川崎重工やIHIなど防衛株が強かったほか、トヨタ、ホンダ、日産自など自動車株に見直し買いが入った。株高を受けて野村HDや大和証Gなど証券株に資金が向かった。
一方、アドバンテストやソシオネクストなど半導体株の一角が利益確定売りに押された。有価証券報告書の提出期限延長に関するリリースが嫌気されたニデックが3.8%安。リミックスポイントやgumiなど暗号資産関連が厳しい下げとなった。前日ストップ安となったサンバイオは、売りが止まらず9%を超える下落となった。
日経平均はあっさり4万円の節目を超えてきた。TOPIXとともに年初来高値を更新しており、非常に強い動きであった。きょうの高値は40267円。昨年10月以降に4万円を上回った局面では、40200円~40300円レベルで上値が重くなっているだけに、ここからは上昇のハードルが高くなる。ただ、このゾーンを難なく超えてくるようなら、昨年7月につけた史上最高値の42224円(終値ベース)が見えてくる。半導体株の動向が引き続き注目されるが、物色には広がりが出てきてほしいところ。きょう強かった防衛株も候補となり得るが、半導体に次ぐスター業種の登場に期待したい。
【来週の見通し】
堅調か。7月相場に入るが、金曜7月4日の米国が独立記念日により休場で、米6月雇用統計が木曜3日に発表される。変則スケジュールとなるが、日本株は足元の動きが良くなっているだけに、金曜に米雇用統計の結果を消化できることはプラスに作用しそう。様子見姿勢が強まることなく、個別の活況が期待できる。米国の相互関税に関して、上乗せ部分の発動猶予期限が7月9日であることから、関連ニュースには注意を払う必要がある。ただ、これについては期限の延長といった話が出てくれば、グローバルマーケットがリスクオンに傾斜する可能性もある。押し目を待っている投資家は多いと思われるだけに、弱材料には一定の耐性を示し、上を試しやすい地合いが続くと予想する。
今週の日経225先物は、1月の年初来高値更新から昨年7月高値(4万1000円)を射程に入れたロング優勢の展開が見込まれる。ただし、海外投資家による買い越し基調が継続する一方、国内では配当再投資に伴う需給要因が一巡し、7月に入り需給状況に変化がみられる可能性がある。日経平均株価は2023年、2024年と7月に高値をつけており(24年は年間高値)、アノマリーによるピークアウトを意識した利益確定の動きが意識されやすい。
先週の日経225先物は5日続伸し4万0290円まで買われ、1月27日につけた年初来高値の4万0300円に迫った。27日の取引終了後のナイトセッションでは一時4万0640円まで上昇し、年初来高値を更新。昨年7月高値の4万1000円が射程に入ってきた。一方、上向きで推移するボリンジャーバンドの+3σ(4万0680円)に沿ったトレンドを形成しており、過熱感が警戒されやすいところである。週初の早い段階で+3σを明確に上抜いてくると、いったんはピークアウトが意識されそうだ。
27日の米国市場では主要な株価指数が上昇し、S&P500とナスダックが最高値を更新した。エヌビディア<NVDA>やアドバスト・マイクロ・デバイセズ<AMD>など半導体株のほか、アルファベット<GOOG>やネットフリックス<NFLX>、メタプラットフォームズ<META>などの大型テック株が買われた。週明けの東京市場も先週同様、アドバンテスト<6857.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株が日経平均株価を牽引する形となりそうだ。
5月の米個人消費支出(PCE)はインフレ調整後の実質ベースでは前月比0.3%減少と市場予想を下回った一方で、食品とエネルギーを除くコア価格指数が同0.2%上昇と市場予想の0.1%を上回った。6月の米ミシガン大消費者態度指数(確報値)は60.7と速報値(60.5)から上方修正され、4カ月ぶりの高水準だった。今週は7月1日に6月ISM製造業景気指数、2日に6月ADP雇用統計、3日に6月雇用統計、6月のISM非製造業景気指数などの重要な経済指標の発表が予定されている。7月29日・30日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)を睨んで一部で利下げ期待の高まりもみられ、指標の結果を受けた米国市場の動向が注目される。
先週はイスラエルとイランの停戦合意が好感されてリスク選好ムードが広がった。ただし、「米国はイランの核施設を攻撃したが大きな成果はなかった」とのハメネイ師の発言を受け、トランプ米大統領はイランの経済制裁緩和の検討を停止すると自身のSNSに投稿した。27日の記者会見では、イランがウラン濃縮を続ければ再び攻撃すると表明しており、地政学リスクが警戒されて再びリスク回避姿勢が強まる可能性には注意しておきたい。
また、4日は米国市場が独立記念日の祝日となるため、週後半には海外勢のフローが減少するとみられ、利益確定に伴うロング解消に向かわせやすいだろう。もっとも、買い越し基調が続く海外勢の需給変化を見極める必要があるため、これを確認するまではショートに傾ける戦略は避けておきたい。
27日の米VIX指数は16.32(27日は16.59)に低下した。週間(6月20日は20.62)でも下げている。地政学リスクの後退で24日に一気に25日線、200日線を明確に割り込み、リスク選好の動きが強まった。ボトム圏での推移が続くなか、方向性としては2月14日の14.74辺りが射程に入っている。
先週のNT倍率は先物中心限月で14.11倍に上昇(20日は13.86倍)した。一時14.16倍まで上昇する場面もあったが、+3σに接近するなかでリバランスが入りやすいところだった。ただし、上向きのトレンドを形成しており、ナイトセッションで+3σは14.24倍に上昇している。指数インパクトの大きい値がさハイテク株の動向を睨むなかで、1月23日につけた14.54倍辺りがターゲットになる半面、+2σ(14.07倍)を割り込んでくると、いったんNTロングの巻き戻しが強まる可能性もあろう。
6月第3週(6月16日-20日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では10週連続の買い越しであり、買い越し額は1889億円(6月第2週は2793億円の買い越し)だった。なお、現物は884億円の買い越し(同997億円の買い越し)と12週連続の買い越しであり、先物は1004億円の買い越し(同1795億円の買い越し)と4週連続の買い越し。個人は現物と先物の合算で2804億円の売り越しと2週連続の売り越し。信託銀行は現物と先物の合算で2751億円の売り越しとなり、9週連続の売り越しだった。
主要スケジュールでは、6月30日に5月鉱工業生産、中国6月製造業PMI、米国6月シカゴ購買部協会景気指数、7月1日に日銀短観、中国6月財新製造業PMI、米国6月ISM製造業景気指数、2日に米国6月ADP雇用統計、3日に参院選公示(7月20日投開票)、米国6月雇用統計、米国5月貿易収支、米国6月ISM非製造業景気指数、4日に5月全世帯家計調査などが予定されている。
「全員に書簡を送って『おめでとう、あなたは25%の関税を払うことになる』と通知したいくらいだ」
2025年6月30日3:14
→トランプ大統領が激怒している原因は、トランプ大統領にもウソウソを貫く石破のせいであって、トヨタやホンダのせいではないと思われる。こうなったのも全部岸田が悪いと思う。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 40580 +400 (+0.99%)
TOPIX先物 2869.5 +22.5 (+0.79%)
シカゴ日経平均先物 40545 +365
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
27日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。S&P500、ナスダックは最高値を更新した。米中貿易交渉を巡り中国商務省が発表した声明で、米国へのレアアース輸出を承認する内容が含まれていたと報じられた。米政権が相互関税の猶予期間を延長する可能性をにじませたほか、ベッセント米財務長官が交渉が先行する国以外でも「レーバーデー(9月1日)までに終わらせる」方針を示したと伝わり、貿易交渉の進展を期待した買いが優勢となった。
5月の米個人消費支出(PCE)はインフレ調整後の実質ベースでは前月比0.3%減少と市場予想を下回った一方で、食品とエネルギーを除くコア価格指数が同0.2%上昇と市場予想の0.1%を上回った。6月の米ミシガン大消費者態度指数(確報値)は60.7と速報値(60.5)から上方修正され、4カ月ぶりの高水準だった。米連邦準備理事会(FRB)が年内に利下げするという見方を後押しする内容と受け止められたことも下支えになった。
S&P500業種別指数は耐久消費財・アパレル、小売、消費者サービスが上昇した一方で、医薬品・バイオテクノロジー、ソフトウエア・サービス、エネルギーが下げた。NYダウ構成銘柄では、ナイキ<NKE>、ボーイング<BA>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、ユナイテッド・ヘルス・グループ<UNH>が買われた。半面、IBM<IBM>、アムジェン<AMGN>、JPモルガン・チェース<JPM>、シェブロン<CVX>が軟調。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比365円高の4万0545円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比20円高の4万0200円で始まった。直後につけた4万0160円を安値にロング優勢となり、米国市場の開始時には4万0400円台に乗せた。中盤にかけて一段と上げ幅を広げており、4万0640円まで買われる場面もみられた。買い一巡後に4万0360円まで上げ幅を縮めたが、終盤にかけてショートカバーを誘い、4万0580円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、買い先行で始まりそうだ。1月27日につけた年初来高値(4万0300円)を明確に上抜けてきたことで、ショートカバーが強まりやすいだろう。ただし、ボリンジャーバンドの+3σ(4万0680円)を捉えていることで過熱感が警戒されるため、買い一巡後は押し目狙いのロングでの対応となりそうだ。
週足の+2σは4万1070円まで切り上がっている。1月高値を突破してきたことで、次のターゲットとしては昨年7月高値の4万1000円が射程に入ってくる。過熱感により利益確定に伴うロング解消が入ったとしても、ショートポジションを積み上げることは控えておきたいところである。
なお、日米関税交渉についてトランプ米大統領は、7月9日の期限延長は必要ないとの考えを示したと報じられている。日本との自動車貿易を巡って不満を表明しており、ロング解消のきっかけになる可能性はありそうだ。そのため、オプション権利行使価格の4万円から4万1000円のレンジを想定する。
27日の米VIX指数は16.32(26日は16.59)に低下した。地政学リスクの後退で24日に一気に25日移動平均線、200日線を明確に割り込み、その後はリスク選好の動きが強まっている。ボトム圏での推移が続くなか、方向性としては2月14日の14.74辺りが射程に入っているとみておきたい。
先週末のNT倍率は先物中心限月で14.11倍に上昇した。一時14.16倍まで上昇する場面もあったが、+3σ(14.17倍)に接近するなかでリバランスが入りやすいところだった。ただし、上向きのトレンドを形成しており、ナイトセッションで+3σは14.24倍に上昇している。1月23日につけた14.54倍辺りが目先のターゲットとして意識されそうだ。
日経225先物は11時30分時点、前日比640円高の4万0820円(+1.59%)前後で推移。寄り付きは4万0550円と、シカゴ日経平均先物清算値(4万0545円)にサヤ寄せする形から、買いが先行して始まった。直後につけた4万0530円を安値に上へのバイアスが強まり、中盤にかけて4万0870円まで上げ幅を広げた。その後は利食いに伴うロング解消の動きもみられているが、4万0760円~4万0860円辺りでの高値圏の推移を継続。
日経225先物はボリンジャーバンドの+3σ(4万0790円)を上回っての推移をみせており、過熱感は警戒されている。ただし、ソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]、東京エレクトロン<8035.T>[東証P]、アドバンテスト<6857.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさ株が日経平均株価を押し上げており、日経平均型のインデックス買いが断続的に入っているようだ。終盤にかけても高値圏での推移を続けているなか、ショートカバーの動きが一段と強まりそうである。
NT倍率は先物中心限月で14.22倍に上昇した。上向きで推移する+2σ(14.14倍)と+3σ(14.33倍)とのレンジ推移が続いている。2月12日の戻り高値14.29倍を捉えてくるようだと、1月23日につけた14.54倍辺りがターゲットになりそうだ。
27日のニューヨーク外国為替市場でドル円は一時144.95円まで上昇。米相互関税の停止期限延期の可能性が意識される中、米国株相場が底堅く推移したことやロンドン・フィキシングに向けたドル買いのフローに支えられた。ユーロドルは、中東情勢を巡る懸念が後退したことや、米利下げ観測の高まりや欧州株相場の上昇を背景に1.1753ドルまで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、7月3日に発表される米6月雇用統計を控えて、トランプ関税やイラン情勢に関するヘッドラインに注視していく展開が予想される。
ドル円の一目均衡表でのテクニカル分析では、雲(上限145.55円・下限144.61円)、基準線145.08円、転換線145.89円が上値を抑える展開となっている。
先週末に発表された米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視しているPCEデフレーターの5月分は、前年比+2.3%と4月の同比+2.2%から上昇していた。しかし、フェドウオッチでの年内利下げ見通しは3回となっており、6月FOMCのドット・プロット(金利予測分布図)での2回を上回っている。今後は、6月の米雇用統計や物価指標を見極めていくことになる。
中東情勢に関しては、トランプ米大統領は、イランがウラン濃縮活動を続け、核兵器保有の懸念が強まったと判断すれば、再び対イラン空爆に踏み切ると表明しつつ、今週にもイランと協議して何らかの合意を結ぶ可能性を示唆していた。
ドル円は、23日に米軍によるイラン核関連施設への空爆を受けて148.03円まで上昇していたが、24日時点のIMM通貨先物の非商業(投機)部門の円のネット買い持ちポジションは、前週比+1400枚の132277枚に増えていた。
昨年の7月2日時点では、過去最大の円売り持ちポジション184223枚を記録していたが、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入や日銀の利上げなどで、手仕舞いを余儀なくされた。今年は、過去最大の円買い持ちポジション(4/29:179212枚)からやや減少傾向にあるポジションの手仕舞いのタイミングに注目していくことになる。
トランプ関税に関しては、7月9日の「相互関税」の上乗せ分の猶予期限が迫る中、英国と中国とは合意に達したものの、カナダとの貿易交渉は打ち切られ、欧州連合(EU)や日本との貿易交渉は難航が伝えられている。赤沢経済再生相はラトニック米商務長官らと第7回日米通商交渉に臨んでいるが、トランプ米大統領は日本との自動車貿易について不満を表明している。
ベッセント米財務長官は、7月9日の期限を9月1日のレーバーデーまで延長する可能性を示唆しているものの、トランプ米大統領は延長に否定的であり、関連ヘッドラインに注視しておきたい。
ベッセント米財務長官は、トランプ米政権が8-10月辺りに選任する予定と報じられた次期FRB議長候補に挙がっていたが、「私はワシントンで最高の仕事に就いている。経済と米国民にとって最善の人物は誰か、大統領が判断する」と述べていた。次期FRB議長候補を巡るトランプ米大統領の突発的な見解、関連ヘッドラインにも警戒しておきたい。
東京市場は堅調か。米国株は上昇。ダウ平均は432ドル高の43819ドルで取引を終えた。早期の利下げに対する期待が高まる中、経済指標がインフレへの警戒を高める内容とならなかったことで、楽観ムードの強い地合いとなった。S&P500とナスダックは史上最高値を更新した。CME225先物は円建てが365円高の40545円、ドル建て445円高の40625円で取引を終えた。
米国株高を好感した買いが入ると予想する。CME225先物は大幅高スタートを示唆している。日経平均は27日に4万円を上回ったが、一段高となれば足元の上昇に乗り遅れた投資家からの買いも入りやすい。基調の強い銘柄だけでなく、出遅れ感の強い銘柄にも資金が向かうだろう。S&P500とナスダックが高値を更新したことで米国株高継続に対する期待も高まる中、場中も強い動きが続くと予想する。日経平均の予想レンジは40300-40800円。
先週末の海外市場では、ドル円は方向感のない動きに終始。欧州時間は144.18円まで値を下げる場面もみられましたが、その後は米長期金利の上昇につれて144.68円まで買戻し。NY時間に入って5月米個人所得が予想を大幅に下回る弱い数字となると米長期金利の低下とともに144.37円まで下押ししたものの、同時に公表された5月米PCEコアデフレータが予想を上回ったこともあり、再び米長期金利の上昇につれて買戻される展開に。LDN16時(日本時間24時)のフィキシングでは月末絡みのドル買いが持ち込まれると144.95円まで高値を更新しました。引けにかけては144.54円まで下押しして週末の取引を終えています。
週明けのアジア市場は、月末及び四半期末。海外勢にとっては中間期末とあって、早朝から本邦実需の買いが先行。週末にトランプ米大統領が日本車への関税を25%賦課する予定であると発言していたこともあり、オセアニア市場では144.33円まで下押していましたが、仲値にかけては一時144.76円まで上昇。その後は仲値高値となると、逆に輸出の売りが持ち込まれて下落と、いかにも月末らしいフローによる相場展開。そして、カナダのカーニー首相がトランプ米大統領の恫喝に再び折れる形で「デジタルサービス税の撤回」を表明すると、ドルカナダドルが急落。ドル円もつれるかたちで144.09円まで値を下げたものの、再び144.31円まで買戻されるなど、何とも意思の感じられないフラフラとした値動きが続いています。
いずれにしても、市場の主役が完全にユーロドルに移行してしまっているなか、ドル円はそれぞれにお付き合いしている程度の値動きとなっているわけで、目先は一目雲を意識した動きとなっています。日経平均は海外勢を中心とした政権交代による政策変更への期待感がかなり強まっている模様。
東京都議会選の与党の歴史的敗北をみてもわかるように、極端なコメ売り介入による米価格の下落が、都市部では全く支持されておらず、むしろ、参院選の与党の戦略とは裏腹に、票田の農業票を失うといった、本末転倒な選挙に突入することになる可能性が高まっていることが、HF勢を中心とした乱暴ともいえる買いにつながっているのかもしれず、これらがリスクオンという相場展開となるのかどうかを見極めていくことになりそうです。
「パウエルFRB議長は近く退任する、幸いなことに。というのも、私は彼のことをひどいと思っているので。後任は3、4人に絞っている」(トランプ米大統領)
米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、トランプ大統領が2026年5月15日に任期満了となるパウエルFRB議長の後任について、9月ないし10月までかそれよりも早い、今夏に前倒しでの選定・指名発表を検討していると報じた。
後任候補としては元FRB理事のケビン・ウォーシュ氏、ハセット国家経済会議(NEC)委員長、ベッセント米財務長官、世界銀行総裁を務めたデービッド・マルパス氏、ウォラーFRB理事らが検討の対象となっている。
米予測市場の「ポリマーケット」では、次期FRB議長に選ばれる確率はウォーシュ氏が22%、ウォラー氏(21%)、ハセット氏(18%)、ベッセント氏(13%)となっている。
1.第17代FRB議長のリスクシナリオ
トランプ米大統領は、第1次政権(2017~20年)の時も、現在の第2次政権(2025~28年)においても、米連邦準備理事会(FRB)に利下げ圧力をかけ続けてきた。
パウエル第16代FRB議長は、トランプ関税の不確実性(uncertainty)を理由に、FF金利誘導目標の引き下げを4.25-50%までで休止しており、トランプ米大統領は「パウエルFRB議長はいつも遅く間違っている」と批判し続けている。
今夏または秋に次期FRB議長の人選発表があれば、通常の3-4カ月の移行期間に比べて異例の早期選任となり、おそらく、次期FRB議長は、トランプ米大統領に忖度して、就任後の利下げを表明すると思われる。すなわち、市場は、レームダック化したパウエルFRB議長の金利据え置き路線よりも、影の次期FRB議長の利下げ路線を織り込み始めるのではないだろうか。
2. 第17代FRB議長候補
■ウォーシュ元FRB理事(2006~11年)
ウォーシュ元FRB理事の妻は、エスティローダー創業家一族であることで、トランプ一族と長年にわたる個人的なつながりがある。
2017年の第1次トランプ米政権では、第16代FRB議長の座を巡り、パウエルFRB理事と争ったものの敗れた。
FRB理事(2006~11年)としては、タカ派として知られていた。
2010年に失業率が9.4%と高水準だったにもかかわらず、バーナンキ第14代FRB議長の量的緩和(QE)第2弾に反対し、FRBの米国債購入がインフレを引き起こすと警告したが、インフレ懸念は杞憂に過ぎなかった。
2025年2月のWall Street Journalへの寄稿では、ハト派的な見解を示しており、第17代FRB議長の座を狙っているのかもしれない。
「中央銀行は物価を安定させるパワーを持つ」と指摘し、トランプ政権による規制緩和や政府支出の削減はインフレ抑制的であり、トランプ関税による物価上昇はあくまで一時的であり、FRBが積極的に利下げを実施すべきとのスタンスを示した。
■ウォラーFRB理事
ウォラーFRB理事は、トランプ政権1期目で理事に指名され、現時点では、7月FOMCでの利下げを主張している。
コロナ禍の際には、FRBはリセッション(景気後退)なしにインフレを抑制できると主張し、トランプ関税はインフレ加速的ではない、とも主張している。
ブルーカラー出身で、倉庫労働者として働いていたウォラーFRB理事は、ウォーシュ氏が次期FRB議長に選任された場合は、辞任する可能性が警戒されている。
■ハセット米国家経済会議(NEC)委員長
第1次トランプ米政権では、大統領経済諮問委員会(CEA)委員長として「減税・雇用法」の策定と成立に中心的な役割を果たした。
第2次トランプ米政権では、国家経済会議(NEC)委員長として、「税制・歳出法案」の成立に尽力している。
本日のロンドン為替市場では、再び高まりつつあるトランプ関税への警戒感を背景とした「リスクセンチメントの強弱」を測りながらの取引か。米国との貿易協定の締結期限とされる7月9日が迫るなか、先週末にトランプ米大統領は「カナダとの通商協議を全て打ち切る」と発言。また、同大統領は日本との自動車貿易についても不満を表明した。この流れであればトランプ政権は、欧州連合(EU)に対しても圧力を高めてくるだろう。
米国との貿易交渉についてフォンデアライエン欧州委員長は先週、「合意の用意はある」と述べたものの、「合意に至らない可能性にも備えている」と発言。マクロン仏大統領からも「米国の10%関税が維持されるなら、米国企業にも同等の関税を課す」との見解が示された。EUサイドからは貿易協議の延長を望む声が一部から出てはいるが、欧米関係の先行きは依然として不透明なままと言わざるを得ない。
ユーロドルは先週末27日までで7日続伸し、上昇トレンドを強めてきた。しかしながら今後トランプ米大統領が関税強化をちらつかせるようだと、高値警戒感も漂い始めたなかで上値を積極的に追いづらくはなるだろう。ただ一方で、米EUが何らかの合意に至る、または協議延長が決められた場合、貿易対立への危惧が薄まることでユーロ買いが強まる、というパターンもあり得る。
なお、ポルトガルのシントラで本日から2日まで、欧州中央銀行(ECB)主催の国際金融会議「ECBフォーラム」が開催される。本日は現地夜(日本時間1日未明)にラガルドECB総裁の講演が予定されている。明日1日には、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長や植田日銀総裁、ベイリー英中銀(BOE)総裁なども参加するパネル討論会が開かれる。
想定レンジ上限
・ユーロドル、2021年9月17日の高値1.1789ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、26日安値1.1655ドル
ドル円:1ドル=143.91円(前営業日NY終値比▲0.74円)
ユーロ円:1ユーロ=168.75円(▲0.73円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1726ドル(△0.0008ドル)
日経平均株価:40487.39円(前営業日比△336.60円)
東証株価指数(TOPIX):2852.84(△12.30)
債券先物6月物:139.02円(▲0.05円)
新発10年物国債利回り:1.430%(横ばい)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月鉱工業生産・速報値
前月比 0.5% ▲1.1%
前年同月比 ▲1.8% 0.5%
5月新設住宅着工戸数
前年同月比 ▲34.4% ▲26.6%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は頭が重い。週末にトランプ米大統領が日本との自動車貿易に不満を表明したことを嫌気して早朝取引で一時144.33円まで売りが先行。その後は月末・四半期末とあって東京仲値にかけて買いが強まり144.76円まで反発したが上値は限られた。一転して本邦輸出企業の売りが持ち込まれたうえ、700円超上昇していた日経平均株価が170円超高まで上げ幅を縮めたことも重しとなり、一時143.80円まで値を下げた。
・ユーロ円は売り優勢。対ドルでの円買い戻しにつれたほか、日本株の失速を受けて円買い・ユーロ売りが進行。一時168.71円まで売り込まれた。
・ユーロドルは小高い。ドル円の下落に伴ってユーロ買い・ドル売りが散見され、一時1.1740ドルまで値を上げた。
また、カナダドルは強含み。「米IT企業に対するデジタル課税を撤回したため、カナダと米国との貿易交渉が再開」との報道が伝わったことを受けて、対ドルでは一時1.3656カナダドルまで上昇した。
・日経平均株価は5日続伸。先週末の米国株が上昇したことを背景に買いが優勢となり、上げ幅は一時700円を超えた。ただ、一巡後は利益確定売りが優勢となり急速に上げ幅を縮めた。
・債券先物相場は3日続落。時間外で米国債が売られた影響を受けて一時138.86円まで下落する場面があった。ただ、引けにかけては押し目買いが入り下げ幅を縮めた。
SMBC日興証券では、イスラエルとイランの紛争についてリポートしている。イスラエルのイランへの先制攻撃から始まったイスラエル・イラン紛争は、イランの報復攻撃、米国のイラン攻撃を経て、トランプ米大統領から両国間の停戦合意が電撃的に発表された。トランプ大統領はイランの主要な核濃縮施設が完全に消滅したとしており、イスラエルがイランを攻撃する口実を摘み取った形となった。SMBC日興では、トランプ政権下ではイランが核濃縮再開を控える可能性があるとみており、その場合、トランプ政権が続く2029年1月までは停戦が続く可能性があると考えている。
カナダ政府は米国との貿易交渉を前進させるため、デジタルサービス税を撤回すると表明した。また、カーニー首相はトランプ米大統領と交渉再開で合意したという。
<国内>
○08:50 ◎ 5月鉱工業生産速報(予想:前月比3.5%/前年比1.6%)
○14:00 ◇ 5月新設住宅着工戸数(予想:前年比▲14.3%)
○19:00 ◇ 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
<海外>
○10:00 ◇ 6月ANZ企業信頼感
○10:30 ◎ 6月中国製造業購買担当者景気指数(PMI、予想:49.6)
○15:00 ◎ 5月独小売売上高(予想:前月比0.5%/前年比3.6%)
○15:00 ◇ 5月独輸入物価指数(予想:前月比▲0.4%/前年比▲0.8%)
○15:00 ☆ 1-3月期英国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.7%/前年比1.3%)
○15:00 ◇ 1-3月期英経常収支(予想:203億ポンドの赤字)
○16:00 ◇ 6月スイスKOF景気先行指数(予想:99.3)
○16:00 ◇ 5月トルコ失業率
○16:00 ◇ 5月トルコ貿易収支(予想:65.0億ドルの赤字)
○17:30 ◇ 5月英消費者信用残高(予想:11億ポンド)
○17:30 ◇ 5月英マネーサプライM4
○19:30 ◎ 5月インド鉱工業生産(予想:前年同月比2.3%)
○21:00 ◎ 6月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.2%/前年比2.2%)
○21:00 ◎ 5月南アフリカ貿易収支(予想:260億ランドの黒字)
○22:45 ◎ 6月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:42.7)
○23:00 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○1日02:00 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、討議に参加
○1日04:00 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○ECB主催の国際金融会議「ECBフォーラム」(ポルトガル・シントラ、2日まで)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
大阪9月限
日経225先物 40440 +260 (+0.64%)
TOPIX先物 2855.5 +8.5 (+0.29%)
日経225先物(6月限)は前日比260円高の4万0440円で取引を終了。寄り付きは4万0550円とシカゴ日経平均先物清算値(4万0545円)にサヤ寄せする形から、買いが先行した。前場中盤にかけて4万0870円まで上げ幅を広げ、その後は4万0760円~4万0860円処の高値圏で推移した。ただし、午後に入りこのレンジを下抜くと、終盤にかけて4万0350円まで上げ幅を縮める場面もみられた、
日経225先物はボリンジャーバンドの+3σ(4万0630円)を上回って推移しており、過熱感が警戒されるなかで、午後に入り利益確定に伴うロング解消が入ったようである。為替市場では円相場が1ドル=143円台半ばとやや円高に振れていたことで、短期的なショートを誘う形にもなったとみられる。
ただし、ソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]やファーストリテイリング<9983.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさ株が日経平均株価を押し上げており、東京エレクトロン<8035.T>[東証P]、アドバンテスト<6857.T>[東証P]は上げ幅を縮めたものの、高値圏での推移が目立っていた。過熱感は警戒されているが、ショートに転換するにはしばらく見極めが必要だろう。
+3σはナイトセッションで4万1010円、+2σは4万0160円辺りまで上昇してきた。+2σに接近する局面では押し目狙いのロング対応に向かわせそうである。日経225先物は午後に入り4万0350円まで上げ幅を縮めたことで、結果的には+3σを下回る形で終えている。+2σと+3σによるレンジを継続しており、オプション権利行使価格の4万円から4万1000円のレンジが意識されそうだ。
指数インパクトの大きい値がさ株が日経平均株価を押し上げており、日経平均型のインデックス買いが断続的に入っていたとみられる。ただし、午後に入りTOPIX型の買いもみられており、東証33業種では28セクターが上昇し、内需系の強さが目立っていた。
NT倍率は先物中心限月で14.16倍に上昇した。一時14.24倍まで切り上がる場面もみられたが、その後はリバランスに向かわせたようだ。+2σ(14.13倍)と+3σ(14.31倍)によるレンジで推移しているが、+2σを下回ってくると、いったんはNTロングの巻き戻しが入りやすくなろう。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が2万6641枚、ソシエテジェネラル証券が1万5590枚、サスケハナ・ホンコン証券が4752枚、JPモルガン証券が2920枚、バークレイズ証券が2537枚、モルガンMUFG証券が2296枚、ゴールドマン証券が1839枚、ビーオブエー証券が1554枚、日産証券が1478枚、野村証券が1437枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が2万7409枚、ソシエテジェネラル証券が2万5521枚、バークレイズ証券が8061枚、JPモルガン証券が7018枚、ゴールドマン証券が6337枚、モルガンMUFG証券が4285枚、野村証券が2463枚、ビーオブエー証券が2002枚、みずほ証券が1567枚、SMBC日興証券が1533枚だった。
先週に中東情勢の緊迫化が緩み、「有事のドル買い」が後退すると、ドルは売りが再燃した。米早期利下げ観測の高まりがドルの重しとなる中、日米協議が上手くいってないのもドル円の重し。また、米上院の採決を控えるトランプ米大統領の目玉政策である大型減税案もドルの上値を圧迫する要因であり、ドルに買い材料は乏しい。
先週、ユーロドルが2021年9月以来、ポンドドルが2021年10月以来の高値を更新し、高止まりしており、ドル安に調整が入る可能性はあるが、関税の不透明感が続く中でドルの買い戻しも限られるだろう。また、トランプ米大統領はイランがウラン濃縮活動を続け、核兵器保有の懸念が強まったと判断すれば、再び対イラン空爆に踏み切ると表明し、中東情勢には引き続き注目が必要となるも、米国を巻き込んだ戦争になるとの懸念が高まらない限り、再び「有事のドル買い」が大きく進む可能性は低いだろう。
本日のNYタイムでは予定されている米指標は6月シカゴ購買部協会景気指数程度と、指標の注目度は低い。また、ボスティック米アトランタ連銀総裁とグールズビー米シカゴ連銀総裁の発言機会がある。特にグールズビー氏は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持っており、米早期利下げ観測が高まっている中発言内容に注目。なお、先週ボスティック・アトランタ連銀総裁は労働市場・消費が依然として堅調であるとの見解を示し、インフレ懸念を強調し現時点での利下げは必要なく、今年後半の0.25%の利下げ見通しを示した。一方、グールズビー米シカゴ連銀総裁は具体的な時期には言及しなかったが、関税によるインフレへの影響が抑えられた状態が続けば、利下げを再開する可能性があるとの見解を示した。
来月9日に米政府が各国に付与する相互関税猶予期間が満了する予定だが、日米交渉は難航している。トランプ氏は輸入自動車の25%追加関税を譲歩しないとしており、交渉はなかなか進んでいない。トランプ米政権が貿易相手国・地域に課す上乗せ関税の一時停止期限が迫っているが、トランプ政権にとって大きな成果は見られていない。
トランプ氏や共和党幹部は米独立記念日の7月4日までに大型減税法案の議会通過を目指しており、上院は週末返上で立法手続きを急いでいる。採決は本日30日となりそうだが、与党共和党の財政規律派の反発は必至で、法案の議会通過は見通せない。上院が修正案を可決しても、下院が再可決する必要がある。共和党は上下両院とも僅差で多数派になっているにすぎず、法案成立のめどは立っていない。
・想定レンジ上限
ドル円、本日これまでの高値144.76円や日足一目均衡表・基準線145.08円が上値めど。
・想定レンジ下限
ドル円、16日の安値143.65円や13日安値142.80円が下値めど。
今週のNY市場は6月雇用統計などの経済指標や貿易交渉に注目。先週はダウ平均が1612.45ドル高(+3.82%)と大幅に2週続伸し、S&P500が3.44%高と3週ぶりに大幅反発。ナスダック総合は4.25%高と大幅に2週続伸した。イランとイスラエルが停戦合意を維持し、中東の地政学リスクへの警戒感が和らぐ中、ラトニック商務長官が米中貿易協定の枠組みが最終決定したと述べたことで貿易交渉の進展期待も追い風となった。ただ、トランプ米大統領がカナダとの貿易交渉を打ち切ったことが嫌気され売りに押される場面もあった。リスク回避姿勢が緩和し、AI関連株の上昇モメンタムが復活。大型ハイテク株で構成されるナスダック100指数は24日から週末27日まで4日連続で過去最高値を更新した。27日はS&P500が4カ月ぶりに史上最高値を更新し、ナスダック総合も半年ぶりに史上最高値を更新した。年初来ではダウ平均が3.00%高、S&P500が4.96%高、ナスダック総合が4.99%高とそろってプラス圏で終了した。
今週は金曜日が独立記念日の祝日で休場、木曜日が短縮取引となるが、6月雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率・平均賃金)などの注目の米経済指標の発表が多く、雇用や景気動向が焦点となりそうだ。また、貿易問題を巡っては、7月9日に90日間一時停止された「相互関税」の期限を迎えることで、各貿易相手国との交渉の行方にも注目が集まる。木曜日に発表される6月雇用統計では非農業部門雇用者数が前月の13.9万人増から6月は11.5万人増に減少が見込まれているが、予想を上回る結果となれば安心感が広がりそうだ。このほか、6月ISM製造業PMI、5月JOLTS求人件数(以上火曜日)、6月ADP民間部門雇用者数(水曜日)、新規失業保険申請件数、5月製造業新規受注、6月ISM非製造業PMI(木曜日)などにも要注目となる。
今晩の米経済指標・イベントは6月シカゴ地区購買部協会景気指数、6月ダラス連銀製造業景況指数など。主要な企業の決算発表はなし。
日経平均株価は5日続伸。前日からマドを開ける強い上昇スタートとなり、昨年7/18の急落で開けたマド埋めに向けて上値を伸ばす展開となった。6日ぶりの陰線となったが、寄り付きで開けたマドを完全に埋め戻すことなく小陰線で取引を終えた。
RSI(9日)は前日の81.7%→82.3%(6/30)に上昇。あすも上昇のハードルが高くなる。引き続き見方は変わらず、4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇が続いている。
パターン分析では4月前半の安値を先端に「スパイクボトム(V字)」を確認している。目先の上値は限定的と想定しつつも、当面の見方としては意外高のシナリオは想定しておきたい。
6月の月足ローソク足は5月に続いて陽線を形成した。4月の極端に長い下ヒゲから続くものであり、底入れ確認には理想的な動きだ。今後、下ヒゲの長さが上値余地として倍返しで生じる可能性が高く、中長期の目線では上昇基調が続く可能性が高まった局面とみられる。
上値メドは、7/17安値(41054円)、心理的節目の42000円、7/11安値(42102円)、7/11高値(42426)、心理的節目の43000円などがある。下値メドは、心理的節目の4万円、5日移動平均線(39591円 6/30)、10日移動平均線(39062円 同)、25日移動平均線(38378円 同)、200日移動平均線(37958円 同)、6/13安値(37540円)、心理的節目の37000円などがある。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
中国、ハードデータとソフトデータの動きの乖離が意味するもの
需要を伴わない生産拡大が続き、市場の楽観に修正が必要となる可能性に引き続き要注意
このところの世界経済や金融市場は、米トランプ政権の関税政策などの影響を大きく受けている。米国は自動車や鉄鋼・アルミ製品に追加関税を課し、貿易赤字の是正を目的に相互関税を課す方針を打ち出した。その後に米中の対立が激化し、貿易戦争に発展したが、米中協議を経て緊張緩和の兆しがうかがえる。足元では最悪期を過ぎているものの、今後も協議の行方に揺さぶられる可能性はくすぶる展開が続こう。
中国では、米国向け輸出減を受けて、米国以外の国・地域向け輸出増により影響緩和を図る動きをみせるが、輸出全体は頭打ちの様相をみせる。6月の製造業PMIは49.7と3ヶ月連続で好不況の分かれ目となる50を下回る。足元の生産活動は拡大する一方、外需の弱さが重石となっている。さらに、近年の省力化投資の進展を追い風に雇用が伸び悩んでおり、個人消費の回復を妨げる一因となっている可能性がある。
一方、6月の非製造業PMIは50.5と50をわずかに上回るなど堅調に推移するが、業種によって明暗が分かれている。建設業は公共投資に支えられる一方、サービス業では業種間の格差が大きく、特に小売や飲食など「コト消費」に関する分野は低迷が続いている。総?⑰MIは改善傾向を示すが、内需の回復力の乏しさがあらためて確認されており、幅広い分野で雇用不安がくすぶることが消費の足かせとなっている。
なお、5月の経済統計では小売売上高の伸びが加速するなど個人消費の堅調さが確認されたが、これは当局の政策支援効果によるものであり、持続的な消費拡大には繋がっていない。堅調な株価は個人消費を下支えする可能性はあるが、不動産価格の調整や雇用回復の遅れが家計部門の不安要因となる状況は変わらない。その意味では、現時点において中国景気への過度な楽観は避けるべきであろうと見込まれる。
30日の日経平均は大幅に5日続伸。終値は336円高の40487円。米国株の強い上昇を受けて、寄り付きから400円高。節目の40500円を上回り、前場では上を試しにいった。700円超上昇して40800円台に乗せたところで買い一巡感が出てきたが、しばらくは高い位置をキープ。しかし、後場に入って13時台半ば辺りからは短期的な過熱感が警戒されて値を消した。前場の貯金が大きく300円を超える上昇とはなったものの、終値では寄り付き(40550円)や節目の40500円を下回った。
東証プライムの売買代金は概算で5兆6100億円。業種別では電気・ガス、情報・通信、鉱業などが上昇した一方、輸送用機器、非鉄金属、電気機器などが下落した。上方修正や増配を発表した暁飯島工業<1997.T>が急騰。半面、1Qが大幅な営業赤字となった三陽商会<8011.T>が急落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり893/値下がり654。証券会社のリポートを手がかりにソフトバンクGが大幅上昇。任天堂、バンナムHD、MIXIなどゲーム株の動きが良かった。メタプラネットやリミックスポイントなど、先週は調整売りに押された暗号資産関連が急伸。ペロブスカイト型太陽電池に関する日経記事を材料に、伊勢化学や積水化学に資金が向かった。高島屋は通期の営業利益見通しを下方修正したが、自己株取得・消却の発表が好感されて4%近い上昇となった。
一方、トランプ大統領が日本の自動車貿易に対して不満を漏らしたことが伝わったことから、トヨタ、ホンダ、マツダなど自動車株が軒並み安。IHIや川崎重工など防衛株は、高く始まったものの買いが続かずマイナス圏に沈んだ。サンリオも買い先行から崩れて3%を超える下落。証券会社が目標株価を引き下げたハーモニックが大幅に下落した。
本日、グロース市場に新規上場したリップスは、初値が公開価格を小幅に上回った。スタンダード市場に新規上場したレントは、公開価格を大幅に上回る初値をつけた。そして、両銘柄とも終値は初値を下回った。
日経平均は5日続伸。後場の失速をどう捉えるかだが、安値は40322円、終値は40487円で、安値引けのような形にはなっていない。300円を超える上昇で40500円に近い水準で終えており、好地合いの中でいったん過熱感を削いだ動きのように見える。仮に大型株が調整したとしても、先週休養を入れた新興銘柄が資金の受け皿となり得るだけに、全体としての強い基調は継続する公算が大きい。
あすから7月相場に入り、寄り前には6月の日銀短観が発表される。月替わりは振れ幅が大きくなることもあるだけに、落ち着いた行動を心がけたい。一気に水準を切り上げた分、5日線(39591円、30日時点)は大きく上回っている。直近の急伸に対する反動売りが出てきたとしても、4万円を下回る場面が到来するようなら、そこは押し目買いの好機と捉えたい。
(30日終値:1日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=144.25円(30日15時時点比△0.34円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=169.72円(△0.97円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1766ドル(△0.0040ドル)
FTSE100種総合株価指数:8760.96(前営業日比▲37.95)
ドイツ株式指数(DAX):23909.61(▲123.61)
10年物英国債利回り:4.489%(▲0.015%)
10年物独国債利回り:2.607%(△0.015%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月独小売売上高
(前月比) ▲1.6% ▲0.6%・改
(前年比) 3.6% 4.6%・改
5月独輸入物価指数
(前月比) ▲0.7% ▲1.7%
(前年比) ▲1.1% ▲0.4%
1-3月期英国内総生産(GDP)改定値
(前期比) 0.7% 0.7%
(前年同期比) 1.3% 1.3%
1-3月期英経常収支
235億ポンドの赤字 210億ポンドの赤字
5月英消費者信用残高
9億ポンド 19億ポンド・改
5月英マネーサプライM4
(前月比) 0.2% ▲0.1%
(前年比) 3.5% 3.2%
6月独消費者物価指数(CPI)速報値
(前月比) 0.0% 0.1%
(前年比) 2.0% 2.1%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は下げ渋り。東京午前からの円買い・ドル売りの流れが継続し一時143.78円と日通し安値を付けたものの、26日の安値143.75円が目先サポートとして意識されると買い戻しが優勢に。22時30分過ぎには144.51円付近まで値を戻した。
その後発表の6月米シカゴ購買部協会景気指数が40.4と予想の42.7を下回ると再び上値が重くなったものの、月末のロンドン16時(日本時間24時)のフィキシングに向けたドル買いのフローが観測されると持ち直した。
なお、ボスティック米アトランタ連銀総裁は「FRBには忍耐強く待つ余裕がある。雇用市場は堅調」「今年1回、来年3回の利下げを予想」などと述べたと伝わった。
・ユーロドルは底堅い動き。月末に絡んだドル買いのフローが入ると一時1.1708ドルと週明け早朝取引で付けた日通し安値に面合わせしたものの、同水準がサポートとして働くと買い戻しが優勢に。予想を下回る米シカゴPMIを受けて全般ドル売りが強まると、アジア時間に付けた1.1751ドルや前週末の高値1.1753ドルを上抜けて一時1.1772ドルと2021年9月以来約3年9カ月ぶりの高値を付けた。
なお、22時発表の6月独消費者物価指数(CPI)速報値は予想を下回ったものの、相場の反応は限られた。
・ユーロ円も底堅い動き。アジア時間に一時168.71円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢となった。ユーロドルの上昇につれた買いが入ったほか、米国株高に伴う円売り・ユーロ買いが出た。3時過ぎには一時169.78円と日通し高値を更新し、前週末に付けた約11カ月ぶりの高値169.81円に迫った。
・ロンドン株式相場は3日ぶりに反落。前週末の米国株高などを支えに小高く始まったものの、徐々に売りに押された。今週発表の6月米雇用統計などを控えて様子見ムードも強く、利食い売りなども出やすかった。BPやシェルなどエネルギー株が売られたほか、アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株が値下がりした。
・フランクフルト株式相場は3日ぶりに反落。前週末の米国株高などを受けて買いが先行したものの、終盤失速した。個別ではシムライズ(6.68%安)やバイエル(5.34%安)、ドイツ銀行(3.19%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は英国債が上昇した一方、独国債が下落した。
(30日終値)
ドル・円相場:1ドル=144.03円(前営業日比▲0.62円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=169.78円(△0.30円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1787ドル(△0.0069ドル)
ダウ工業株30種平均:44094.77ドル(△275.50ドル)
ナスダック総合株価指数:20369.73(△96.27)
10年物米国債利回り:4.23%(▲0.04%)
WTI原油先物8月限:1バレル=65.11ドル(▲0.41ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3307.7ドル(△20.1ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月米シカゴ購買部協会景気指数
40.4 40.5
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ユーロドルは8日続伸。21時30分過ぎに一時1.1708ドルと週明け早朝取引で付けた日通し安値に面合わせしたものの、同水準がサポートとして働くと買い戻しが優勢に。6月米シカゴ購買部協会景気指数が40.4と予想の42.7を下回ったことを受けて全般ドル売りが強まると、前週末の高値1.1753ドルを上抜けて一時1.1788ドルと2021年9月以来約3年9カ月ぶりの高値を付けた。
なお、ベッセント米財務長官は「今後数週間から数カ月かけて、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の後任について検討」「新FRB議長職を新人理事が兼任する可能性を考えた」と述べたほか、レビット米ホワイトハウス報道官は「トランプ米大統領はパウエルFRB議長に遅すぎる。大幅に利下げすべきと伝えた」と明らかにした。
・ドル円は反落。日本時間夕刻に一時143.78円まで下落した反動が出て、NY市場に入ると下げ渋った。22時30分過ぎには144.51円付近まで下値を切り上げる場面があった。
ただ、そのあとは予想を下回る米シカゴPMIや米長期金利の低下が相場の重しとなり、143.96円付近まで押し戻された。
なお、トランプ米大統領は自身のSNSに「日本は大規模なコメ不足に陥っているのに、米国からコメを買おうとしない」「我々は日本に書簡を送るつもりだ。米国はこれからも長い間、日本が貿易相手国であることを望んでいる」と投稿。日本が米国産コメの輸入に消極的だとして、日本に新たな関税を賦課する構えを見せた。
・ユーロ円は続伸。アジア時間に一時168.71円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。ユーロドルの上昇につれた買いが入ったほか、米国株高に伴う円売り・ユーロ買いが出た。前週末の高値169.81円を上抜けると一時169.86円と昨年7月以来約11カ月ぶりの高値を更新した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、2月20日以来約4カ月ぶりの高値となった。米国とカナダの貿易交渉が進展するとの期待から投資家心理が改善すると、株買いが優勢となった。市場では「月末・四半期末とあって、機関投資家によるお化粧買いが入りやすかった」との指摘もあった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は6日続伸し、史上最高値で取引を終えた。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数も過去最高値を更新した。
・米国債券相場で長期ゾーンは反発。6月米シカゴ購買部協会景気指数が予想を下回ると買いが先行。市場では「月末・期末の機関投資家による保有債券の残存年限を長期化するための買いが入った」との声も聞かれた。
・原油先物相場は4日ぶりに小幅な反落。先週末に一時相場の下押し要因となった石油輸出国機構(OPEC)および主要産油国による枠組みOPEC+による減産幅縮小の動きが続くとの観測が再び材料視された。プラス圏で推移する場面もあったが戻りは鈍かった。
・金先物相場は反発。ユーロなど主要通貨に対するドル軟化が、ドル建て金相場の換算値押し上げに効いた。米金利の戻りが鈍かったことも、金利が付かない資産である金の相対的な投資妙味改善を意識させ、買いを促した。
30日14:31 クノット・オランダ中銀総裁
「関税問題により、不確実性が増大している」
30日15:35 赤沢経済再生相
「日米で協議を精力的に続けている」
「回数を重ねるごとに理解が深まっている」
「7月9日は一つの節目であることは間違いない」
「(ベッセント)米財務長官との会談が実現しなかったことは残念」
30日15:48 トランプ米大統領
「素晴らしい法案が順調に進んでいる!アメリカを再び偉大に!」
「トランプ政権は、アメリカの消費者にとってコストを大幅に削減した」
「イランの核施設を完全に破壊して以来、イランとは話さえしていない」
1日03:01
「日本に関税に関する書簡を送付する」
「日本は米国産の米を買うつもりがない」
30日16:57 イラン外務省報道官
「英国、フランス、ドイツとの協議は継続中」
「E3(欧州3カ国)と核協議を行うかどうかはまだ決定していない」
30日17:47 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「消費が成長の原動力になるという状況にはなっていない」
「不透明感によって消費が抑制されている」
「我々は極めて深刻な不確実性に直面している」
「第2四半期と第3四半期の成長はほぼ横ばいになる見通し」
「現在の金利水準は正しい」
「サービス分野のインフレ鈍化は顕著」
「不確実性があるため、あらゆる金利の選択肢を残しておく必要」
「不確実性や混乱の中でも、市場は楽観的」
30日18:24 エルドアン・トルコ大統領
「ここ数カ月の衝撃にもかかわらず、経済プログラムは維持されている」
「トルコはインフレとの戦いを継続する」
「10年債に焦点を当てている」
「インフレは非常に低い水準。金利低下が見込まれる」
「今後数週間から数カ月かけて、FRB議長の後任について検討」
「FRBは2022年の金利設定で大きなミスを犯した」
「関税によるインフレは見られず、一時的な価格調整が行われる可能性がある」
「新FRB議長職を新人理事が兼任する可能性を考えた」
「7月9日の関税期限に向けて、貿易協定が相次いで締結されるだろう」
30日23:21 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「関税の影響は時間の経過とともに現れるだろう」
「金融政策の今後の動向を知るには、より多くの情報が必要」
「見通しの不確実性は、貿易政策だけに起因するものではない」
「FRBには忍耐強く待つ余裕がある。雇用市場は堅調」
「今年1回、来年3回の利下げを予想」
「関税関連の価格上昇は今後も続く見通し」
「データは企業が関税関連の価格上昇を転嫁することを示唆」
1日02:31 レビット米ホワイトハウス報道官
「トランプ米大統領はパウエルFRB議長に世界の中銀金利を送付」
「トランプ米大統領はパウエルFRB議長に遅すぎると発言」
「トランプ米大統領はパウエルFRB議長に大幅に利下げすべきと伝えた」
1日03:02 カーニー加首相
「米国との合意に向けて前進している」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ☆ 日銀・企業短期経済観測調査(短観、6月調査)
☆ 大企業製造業の業況判断指数(DI、予想:10)
◎ 大企業非製造業の業況判断指数(DI、予想:34)
◎ 大企業製造業DI・9月見込み(予想:9)
◎ 大企業非製造業DI・9月見込み(予想:29)
◎ 大企業全産業設備投資計画(前年度比、予想:10.0%)
○14:00 ◇ 6月消費動向調査(消費者態度指数 一般世帯、予想:33.5)
<海外>
○07:45 ◎ 5月ニュージーランド(NZ)住宅建設許可件数
○10:45 ◎ 6月Caixin中国製造業購買担当者景気指数(PMI、予想:49.3)
○15:00 ◇ 6月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.1%)
○15:30 ◇ 5月スイス小売売上高
○16:00 ◇ 6月トルコ製造業PMI
○16:30 ◇ 6月スイス製造業PMI(予想:44.0)
○16:30 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、パネルディスカッションに参加
○16:50 ◎ 6月仏製造業PMI改定値(予想:47.8)
○16:55 ◎ 6月独製造業PMI改定値(予想:49.0)
○16:55 ◎ 6月独雇用統計(予想:失業率6.4%/失業者数変化1.50万人)
○17:00 ◎ 6月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:49.4)
○17:30 ◎ 6月英製造業PMI改定値(予想:47.7)
○17:40 ◎ エルダーソンECB専務理事、講演
○18:00 ☆ 6月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比2.0%)
○18:00 ☆ 6月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比2.3%)
○19:40 ◎ シュナーベルECB専務理事、講演
○22:30 ☆ ラガルドECB総裁、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、ベイリー英中銀(BOE)総裁、植田和男日銀総裁、パネルディスカッションに参加
○22:45 ◎ 6月米製造業PMI改定値(予想:52.0)
○23:00 ☆ 6月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:48.8)
○23:00 ◇ 5月米建設支出(予想:前月比▲0.2%)
○23:00 ◎ 5月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数(予想:730.0万件)
○24:00 ◇ 6月メキシコ製造業PMI
○香港(香港特別行政区成立記念日)、カナダ(建国記念日)、休場
○ECB主催の国際金融会議「ECBフォーラム」(ポルトガル・シントラ、2日まで)
○日米豪印外相会合(ワシントン)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
30日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、欧州市場の安値143.78円から144.51円付近まで反発した後、予想を下回る6月シカゴ購買部協会景気指数や米長期金利の低下を受けて143.96円付近まで押し戻された。ユーロドルは、米長期金利の低下を受けて1.1788ドルまで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、6月調査の日銀短観を見極めた後は、トランプ米政権の税制・歳出法案や関税、そしてイラン情勢に関するヘッドラインに注視していく展開が予想される。
ドル円は一目均衡表の雲の下限144.35円、基準線145.08円が上値を抑えているものの、下値は6月26日の安値143.75円、昨日安値143.78円付近で下げ渋っており、上下の放れを待つ状況となっている。
8時50分に発表される日銀短観6月調査では、大企業・製造業の業況判断が3月調査の12から2ポイント悪化して10と予想され、非製造業の業況判断DIは、3月調査の35から1ポイント悪化して34と予想されている。
日銀金融政策決定会合では、トランプ関税の不確実性から、政策金利の据え置きが続いており、2025年内の利上げ時期は見通せない状況となっている。植田日銀総裁は「トランプ関税の影響は、ハードデータには表れてはいないが、ソフトデータには表れている」と述べており、ソフトデータの代表でもある日銀短観では、景況感だけでなく物価(仕入価格や販売価格)に注目しておきたい。
5月のコア消費者物価指数(生鮮食品を除く)は、前年比+3.7%まで上昇し、「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」である刈り込み平均値も前年比+2.5%まで上昇していたが、加重中央値(前年比+1.7%)や最頻値(前年比+1.6%)、そして企業物価(前年比+3.2%)などは、伸び率が鈍化していた。
トランプ米大統領は税制・歳出法案を7月4日までに可決するよう求めており、米上院は本日までの採決を目指している。その後、下院も上院が可決した修正法案を早ければ明日にも採決する可能性がある。米上院本会議は6月28日の深夜に、税制・歳出法案の審議を開始する動議を賛成多数(賛成51票、反対49票)で可決した。共和党議員53名の内2名が造反したものの、法案成立には賛成50対反対50でも、議長であるバンス副大統領の1票で可決、成立することになる。
7月9日に相互関税上乗せの一時停止措置の期限を迎えるが、ベッセント米財務長官は、誠意を持って米国と交渉している場合でも、7月9日に大幅な関税引き上げに直面する可能性があると警告している。赤沢経済再生相は、先週末の第7回日米通商交渉でも合意に達することが出来なかったが、トランプ米大統領は日本との自動車貿易についても不満を表明し、日本がコメ不足なのに米国から買おうとしない、と批判して、日本に新たな関税を賦課する構えを見せている。
またトランプ米政権は、イランと今週6回目になる核協議再開を呼び掛けているが、イランのアラグチ外相は慎重なスタンスを示しており、引き続き関連ヘッドラインに警戒しておきたい。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 40250 -190 (-0.46%)
TOPIX先物 2838.5 -17.0 (-0.59%)
シカゴ日経平均先物 40295 -145
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
30日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。NYダウは2月20日以来となる4万4000ドルを回復し、S&P500、ナスダックは連日で最高値を更新した。トランプ米大統領が貿易交渉を打ち切ると表明していたカナダと、交渉再開で合意したことが材料視された。相互関税の一時停止期限を7月9日に控え、米国と相手国双方で歩み寄りがみられており、交渉進展への期待から投資家心理が改善した。また、月末と四半期末とあって、機関投資家によるドレッシング買いが入りやすい面もあった。
S&P500業種別指数は電気通信サービス、テクノロジー・ハード・機器、保険が上昇した一方で、自動車・同部品、小売、エネルギーの弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>、アップル<AAPL>、ビザ<V>、ハネウェル・インターナショナル<HON>が買われた。半面、ボーイング<BA>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、ナイキ<MKE>、シャーウィン・ウィリアムズ<SHW>が弱い値動きとなった。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比145円安の4万0295円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比30円高の4万0470円で始まった。寄り付きを高値に軟化し、売り一巡後は概ね4万0300円~4万0400円辺りで保ち合いを継続。終盤にかけてレンジを下放れ、4万0230円まで下げ幅を広げる場面もみられた。引けにかけては4万0250円~4万0300円とボトム圏での推移となり、4万0250円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや売り先行で始まりそうだ。前日に4万0870円まで買われ、ボリンジャーバンドの+3σ(4万0630円)を上抜けてきたことで過熱感が警戒されやすいだろう。ただし、バンドは上向きで推移しており、ナイトセッションで+3σは4万0950円、+2σは4万0120円に切り上がっている。+2σが支持線として機能してくると、押し目狙いのロングでの対応に向かわせそうだ。
そのため、オプション権利行使価格の4万0125円から4万0875円のレンジを想定する。米国ではドレッシング買いによる影響があったとみられる。国内でも海外投資家の買い越しが続いているほか、足もとでは配当再投資に伴う需給要因に加えドレッシング買いも入っていただろう。そのなかで、配当再投資やドレッシング買いが一巡することで、利食いに伴うロング解消が目立ってくる可能性がある。まずは+2σ水準での底堅さを見極めたいところである。
30日の米VIX指数は16.73(27日は16.32)と7日ぶりに上昇した。ただし、25日移動平均線(18.49)、200日線(29.65)を明確に割り込んでの推移であり、リスク選好の動きは継続。ボトム圏での推移が続くなか、方向性としては2月14日の14.74辺りが射程に入っているとみておきたい。
昨日のNT倍率は先物中心限月で14.16倍に上昇した。一時14.24倍まで切り上がる場面もみられたが、その後はリバランスに向かわせたようだ。+2σ(14.13倍)と+3σ(14.31倍)によるレンジで推移しているが、米国では出遅れ銘柄への買いが目立ってきていることもあり、+2σを下回ってくるといったんはNTロングを巻き戻す動きが入りやすくなりそうだ。
東京市場は上値が重いか。米国株は上昇。ダウ平均は275ドル高の44094ドルで取引を終えた。カナダがデジタルサービス税を撤回すると発表したことで、米国とカナダの貿易交渉進展期待が高まった。米10年債利回りが低下しており、ドル円は足元143円90銭近辺と円高(ドル安)に振れている。CME225先物は円建てが145円安の40295円、ドル建てが45円安の40395円で取引を終えた。
米国株は上昇したが、カナダが交渉で譲歩したことが買い材料となった。足元ではトランプ大統領が日本の自動車やコメの貿易について不満を示しており、日本にはプレッシャーがかかる。ドル円が円高に傾斜していること、きのうの日経平均が大幅高ではあったものの後場に急失速したことなどを踏まえると、米国株高に対するポジティブな反応は限られると予想する。下に値幅が出れば押し目は拾われるとみるが、場中はドル円をにらみながら方向感に欠ける動きが続くだろう。日経平均の予想レンジは40100-40550円。
1日の香港株式市場は香港特別行政区設立記念日につき休場。取引は2日から再開される。
【国連憲章第51条】
「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。」
イスラエルは、「先制的自衛権」の行使を大義名分にして、1981年にはイラクの原子炉を爆撃し、2025年にはイランの核関連施設を爆撃した。
1.イラク原子炉爆撃(バビロン作戦:1981年6月7日)
1981年当時、イスラエルは1960年代からフランスの協力により核開発を行い、多くの核兵器を保有していた。
イラクのフセイン政権は、イスラエルが核兵器を保有しているという情報を受けて、対抗措置として核武装を目指し、表向きは、将来の石油資源枯渇を見据えた原子力開発とした。
イスラエルは、イラクのオシラク原子炉が稼働して核武装した後に攻撃すれば、中東地域に「死の灰」が拡散するため、「先制的自衛権」を理由に爆撃することを決定した。
1981年6月7日午後4時、米国製「F-16戦闘機」8機がシナイ半島東部エツィオン空軍基地から飛び立ち、サウジアラビアを領空侵犯してイラク領空に侵入して、5時30分前にオシラク原子炉を空爆して破壊した。
F-16戦闘機のパイロットのイラン・ラモーンは、イスラエル初の宇宙飛行士として2003年1月にスペースシャトル・コロンビアに搭乗し、空中分解事故で落命した。
2. イラン核関連施設爆撃(ライジング・ライオン作戦:2025年6月13日)
2025年6月13日、イスラエルは、イランの核兵器開発を阻止するために核施設に先制攻撃「作戦名:ライジング・ライオン(立ち上がるライオン)」を実施し、200機を超える戦闘機でイランの100カ所以上の標的を攻撃したと発表した。イランのメディアは国内の主要なウラン濃縮施設などで爆発があったと伝えた。
イスラエル軍は、「イラン政権がイスラエル国家を破壊するための具体的な計画(※イスラエル破壊計画)を持っていた」ことを示す資料を入手したと述べた。
トランプ米大統領は、イスラエルの行動を事前に承知していたと認め、イランが交渉のテーブルに戻ると期待しているが、同国が核爆弾を持つことはできないとの立場を繰り返し表明した。
そして、6月21日、アメリカ軍は、B-2爆撃機6機がフォルドゥにバンカーバスター12発を投下し、潜水艦からは、ナタンズとイスファハンに巡航ミサイル30発を発射し、ナタンズにはB-2爆撃機1機がバンカーバスター2発を投下した。
昨日の海外市場では、NY時間に入ると米長期金利の低下につれて全般ドル売り。ユーロドルが6月27日の高値1.1753ドルを上抜けて一時1.1788ドルまで値を上げました。ドル円は相変わらずの動き。お付き合い程度の動きが続くなか、144.51円までの戻り高値を付けた後、引けにかけて143.96円まで下押ししてNY市場を終えました。月初のアジア市場では、早朝に公表された日銀短観が予想を上回る強い数字となったほか、日経平均が大幅な下落となるなか戻り売りが先行。一時143.44円まで値を下げる場面もみられましたが、その後は143.83円まで買戻されるなど方向感のない動きとなっています。
昨日は、トランプ米大統領が自身のSNSで「日本がコメ不足になっているのに米国から買おうとしない。日本にレターを送るつもりだ。日本が貿易相手国であることを望んでいる」とのコメント。行間を読んで意訳すれば、「お前ら、自動車もそうだが、コメも輸入解禁にする気がないようだな。いくら日本と言えども、もう付き合っていられないよ。他の貿易相手国との交渉を優先するから、まあ、その気があるんだったら、また言ってきてくれよ。もう、こちらとしては、構ってられないから、関税のレターを送らせてもらうよ」ということ。
完全な政策エラーの状態となっています。赤沢大臣が7回目の渡米をしたものの、ベッセント米財務長官と会うことすら出来ずに帰国したことが全てを物語っているといえます。米価格が2.5倍に跳ね上がるまで静観していた政権与党が、農業票を確保するために、敢えて米国からのコメ輸入というオプションを捨てて、慌てて強引なコメ売り介入を実施したものの、逆にJAと米国の両者からそっぽを向かれてしまうといったエラー。せめて、放出した備蓄米分だけでも、米国から輸入するなどの手土産を持参して渡米すればよかったものの、明らかに現政権与党の限界を露呈する結果となっています。
いずれにしても、ドル円は月末月初の需給のフローに左右される展開が続いているわけですが、相互関税交渉の失敗がもたらす貿易赤字の拡大が、新たなテーマになるのかもしれず、不確実性はさらに増すことになっています。
日経225先物は11時30分時点、前日比390円安の4万0050円(-0.96%)前後で推移。寄り付きは4万0250円と、シカゴ日経平均先物清算値(4万0295円)にサヤ寄せする形から、売りが先行して始まった。現物の寄り付き時に4万0360円まで下げ幅を縮めたものの、利食いに伴うロング解消の動きが優勢となるなかで、終盤にかけて4万0020円まで下げ幅を広げた。
日経225先物は前日までの6営業日で2000円超上昇したこともあり、過熱感が警戒されるなかでロング解消に向かわせたようだ。為替市場では円相場が1ドル=143円台半ばと円高に振れていることも影響しているとみられる。
ただし、ボリンジャーバンドの+2σ(4万0080円)を割り込んできたが、4万円接近では押し目待ち狙いのロングも意識されやすい。ファーストリテイリング<9983.T>[東証P]、東京エレクトロン<8035.T>[東証P]が日経平均株価を押し下げた一方で、アドバンテスト<6857.T>[東証P]は買われており、ショートを仕掛けづらくさせそうだ。
NT倍率は先物中心限月で14.15倍に低下した。一時14.11倍に低下する場面もみられており、ボリンジャーバンドの+2σ(14.17倍)を下回っての推移となった。日経平均株価が4万円の大台を割り込んでくるようだと、NTロングを巻き戻す動きが強まる可能性はあるだろう。
本日のロンドン為替市場では、複数予定されている金融当局者の発言に注目しながらの取引か。経済指標では6月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)が発表予定。
ポルトガルのシントラで2日まで開かれる欧州中央銀行(ECB)主催の国際金融会議「ECBフォーラム」では本日、ECB高官がパネルディスカッションに参加、または講演を行う。デギンドスECB副総裁、エルダーソンECB専務理事、シュナーベルECB専務理事などの発言が今のところ予定されている。
なおラガルドECB総裁は昨日のECBフォーラムにおいて、2%インフレ目標の維持を再確認し、現在の金融政策方針を評価した。トランプ関税による物価先行きの不確実性にも言及し、インフレが目標から大きく外れた場合は迅速に対応する考えを示している。
昨日まで8日続伸したユーロドルは、アジア午前に2021年9月以来の1.18ドル台乗せに成功した。ただ目先の達成感から大台の滞空時間は短かったものの、上値余地はまだ残したままと言えるのではないか。欧州中央銀行(ECB)の利下げはまだ何度か実施されるとの見方は根強いものの、緩和サイクルとしては終わりに近づいているとの見方がユーロの支えの1つ。
日本時間18時にはユーロ圏HICPの6月分が発表予定。市場予想は前年比2.0%と前回から0.1ポイント加速、コア指数は前回と変わらず2.3%上昇が見込まれている。金融政策の指針となる指標だが、予想にほぼ沿った結果であれば、市場の目はその後に予定されている主要中銀の総裁らによるパネルディスカッションに向きそうだ。
ほか、相互関税上乗せの猶予期限が近づくなか、依然としてトランプ関税に関連した報道には要警戒。またトランプ米大統領が「big、beautiful bill」と呼び、今週中の可決を目指す包括的な税制・歳出法案を巡る動きにも注意しておきたい。
想定レンジ上限
・ユーロドル、2021年9月8・10高値1.1851ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、6月30日安値1.1708ドル
SMBC日興証券のテクニカルリポートでは、ナスダックやS&P500が最高値を更新したことなどを受けて、米国株価指数、日経平均、TOPIXの当面の見通しを修正している。従来は、4月末以降の反騰は急落前の高値を上回るまでにはいたらず、いったん反落する公算が大きいとみていた。修正後の見通しでは、ナスダックは21100pt処、S&P500は6540p処まで上振れる公算が大きくなったとしている。日本株に関しては、TOPIXは2880~2930pt、日経平均は41050円か41900円処まで上昇する可能性があるとコメントしている。
ドル円:1ドル=143.58円(前営業日NY終値比▲0.45円)
ユーロ円:1ユーロ=169.22円(▲0.66円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1785ドル(▲0.0002ドル)
日経平均株価:39986.33円(前営業日比▲501.06円)
東証株価指数(TOPIX):2832.07(▲20.77)
債券先物9月物:139.22円(△0.20円)
新発10年物国債利回り:1.390%(▲0.040%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
日銀・企業短期経済観測調査(短観、6月調査)
大企業製造業の業況判断指数(DI)
13 12
大企業非製造業の業況判断指数(DI)
34 35
大企業製造業DI 9月見込み
12 12
大企業非製造業DI 9月見込み
27 28
大企業全産業設備投資
前年度比 11.5% 3.1%
6月消費動向調査(消費者態度指数、一般世帯)
34.5 32.8
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は弱含み。日銀短観が予想より強い内容となったほか、日経平均株価が軟調に推移したことを受けて売りが強まった。昨日安値の143.78円を下抜けて143.44円まで下値を広げた。月初とあって一巡後は本邦実需勢から買いが観測されたため143.93円付近まで反発したが戻りが限定的。再び143円台半ばまで押し戻された。
・ユーロ円も弱含み。良好な日銀短観や日本株安を背景に全般円高が進んだ流れに沿った。下げ渋る場面も見られたが、午後には一時169.13円まで値を下げた。
・ユーロドルはもみ合い。ドル円の下落に伴って買いが先行し、昨日高値の1.1788ドルを上抜けて1.1807ドルまで上昇し、2021年9月以来の高値を付けた。もっとも、1.18ドル台では利食い売りが出るなど上値は限られた。
・日経平均株価は6営業日ぶりに反落。足元で2000円超上昇しているだけに利益確定売りが活発化した。国内の機関投資家からの売りも観測された。
・債券先物相場は4営業日ぶりに反発。強い日銀短観で138.92円まで下落したが、10年債入札が順調だったことで買い戻しが入った。
大阪9月限
日経225先物 39890 -550 (-1.36%)
TOPIX先物 2828.0 -27.5 (-0.96%)
日経225先物(6月限)は前日比550円安の3万9890円で取引を終了。寄り付きは4万0250円と、シカゴ日経平均先物清算値(4万0295円)にサヤ寄せする形から、売りが先行して始まった。現物の寄り付き時に4万0360円まで下げ幅を縮めたものの、利食いに伴うロングの解消が優勢となり、前場終盤にかけて4万0020円まで下げ幅を広げた。
ランチタイムでは4万0020円~4万0120円処で保ち合い、午後の取引開始直後に3万9980円と4万円の大台を割り込んだ。その後中盤にかけて4万0170円まで下げ幅を縮める場面もみられたが、終盤にかけて下へのバイアスが強まり、3万9900円~3万9980円での保ち合いを経て3万9890円と本日の安値で終えた。
日経225先物は前日までの6営業日で2000円超上昇したこともあり、過熱感が警戒されロング解消に向かわせたようだ。為替市場では円相場が1ドル=143円台半ばと円高に振れたことも影響したほか、日米通商交渉を巡る不透明感なども短期的なショートを誘う形になったのだろう。
過熱を冷ます調整の範囲とはいえ、後場中盤からの弱い値動きによってボリンジャーバンドの+2σ(4万0050円)を割り込んできたことで、押し目待ち狙いのロングも手控えられそうだ。+2σはナイトセッションで4万0170円、+1σは3万9350円まで上昇しており、+1σが意識されやすい。
円相場は現在一時1ドル=142円台と円高に振れる場面もみられており、ショートが入りやすいところである。節目の3万9500円辺りを目先のボトムとした押し目狙いのロング対応としつつも、+1σ水準まで下げてくることも意識しておきたい。また、足もとでバンドが拡大しているためトレンドが出やすく、いったん下へのバイアスが強まると、25日移動平均線(3万8530円)や-1σ(3万7710円)などもターゲットになりそうだ。
4日の米国は独立記念日の祝日で休場になるため、週末にかけて海外勢のフローが減少するほか、翌週に相互関税の一時停止期限を控え、ヘッジ対応のショートの動きも警戒しておきたいところだろう。
NT倍率は先物中心限月で14.10倍に低下した。一時14.09倍に低下する場面もみられており、+2σ(14.16倍)を下回っての推移となった。日経平均株価が4万円の大台を割り込んできたことで、NTロングの巻き戻しが強まる可能性がある。そのため、目先的にはNTショートによるスプレッド狙いが入りそうだ。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が2万2891枚、ソシエテジェネラル証券が1万4882枚、サスケハナ・ホンコンが3934枚、JPモルガン証券が3877枚、SBI証券が3030枚、野村証券が2895枚、バークレイズ証券が2445枚、ゴールドマン証券が2368枚、シティグループ証券が2078枚、モルガンMUFG証券が1797枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が2万7869枚、ソシエテジェネラル証券が2万4415枚、バークレイズ証券が8119枚、モルガンMUFG証券が7780枚、JPモルガン証券が5539枚、ゴールドマン証券が4233枚、ビーオブエー証券が3356枚、サスケハナ・ホンコンが1664枚、ドイツ証券が1313枚、みずほ証券が1168枚だった。
本日のNY時間でドル円は、引き続き上値が重くなりそうだ。先週末や昨日は、ロンドンフィキシングを中心に、月末に絡んだ特殊玉でドル買いが出る動きが散見された。しかしながら、ドルの地合いは弱く、ユーロドルは8日続伸し2021年9月以来の水準までドル売りが進んだ。ポンドに対してもドルが数年ぶりの安値を更新していることを勘案すると、ドル売りが遅れている対円でも上値は限られるだろう。
本日発表された日銀の想定為替レート(全規模・全産業)では、今年度の下期の想定為替レートは146.95円から145.56円に大幅に引き下げられている(通期でも147.06円から145.72円へ引き下げ)。ドル円が上昇する局面があった場合は、手堅くドル売り予約を行うことが想像できる。
また、一部市場筋の間では、今年に入り米先物市場で円ロングが過去最高を記録したことで、巻き戻しのドル買い・円売りが入りやすいという声が出ていたが、ほぼドル売りから入れなかった市場筋のポジショントークともみなされている。一時小幅に解消された円ロングを先週は更に増やすなど、米国勢はドル安・円高地合いを更に長期的スパンで見ているとも言える。よって、ドル円は日米ともに売り意欲が強そうだ。
本日NY時間で注目されるのは、主に2点。1点目は米国の予算案。議会の両院を支配する共和党は大型の税制・歳出法案、「大きくて美しい1つの法案(one big beautiful bill)」における減税措置を延長するために福祉プログラムをどの程度削減するかを巡って意見が分かれている。下院指導部は上院の法案の完全採決は早ければ水曜日の朝に行われる可能性があると述べてているが、法案に修正が入るかなど事細かに見ていかなければならない。5月下旬の米トリプル安のきっかけが、同法案による財政悪化懸念だったことを考えると、債券に売りが入った場合(利回りが上昇)でも、ドル安になることにも気を付けておきたい。
2点目は、米経済指標。本日は23時に発表される6月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数と5月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数に注目。ISMは雇用指数も発表されることで、景況感以外の部分に反応することもあり要警戒。弱い雇用指標となれば、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ圧力の高まりでドルがさらに売られることになりそうだ。
なお、本日はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、植田日銀総裁、ベイリー英中銀(BOE)総裁がECB主催の国際金融会議「ECBフォーラム」でのパネルディスカッションに登壇する予定になっている。サプライズとなる発言が出ることは期待できないだろうが、警戒は怠らないようにしておきたい。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、本日の東京勢本格参入後の高値143.93円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値は、6月3日安値142.38円。
今晩はもみ合いか。昨日はカナダがデジタルサービス税を撤回したことで米国とカナダの貿易交渉進展期待が高まったことなどを追い風に主要3指数がそろって上昇。ダウ平均が275.5ドル高(+0.63%)、S&P500が0.52%高とともに3営業日続伸し、ナスダック総合は0.47%高と6営業日続伸した。S&P500とナスダック総合はともに連日で取引時間中と終値の史上最高値を更新した。6月月間ではダウ平均が4.32%高、S&P500が4.96%高とともに2カ月続伸し、ナスダック総合は6.57%高と3カ月続伸した。第2四半期ではダウ平均が4.98%高、S&P500が10.57%高、ナスダック総合が17.75%高となった。
今晩は第3四半期入りとなるが、地政学リスクの後退や貿易交渉の進展期待などを背景に底堅い展開か。一方、S&P500とナスダック総合が史上最高値を連日で更新したことで、上値では高値警戒感も強まりそうだ。今週は金曜日が独立記念日の祝日で休場となるが、木曜日には6月雇用統計が発表され、足もとの景気動向や年内の利下げ見通しを巡り非農業部門雇用者数や失業率、平均賃金が注目される。今晩も6月ISM製造業PMIや5月JOLTS求人件数などが発表予定で、景況感や雇用情勢などをにらんだ神経質な展開となりそうだ。
今晩の米経済指標・イベントは6月ISM製造業PMI、5月JOLTS求人件数のほか、6月S&Pグローバル製造業PMI確定値、5月建設支出など。欧州時間ではパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がECBフォーラムのパネルディスカッションに参加する。企業決算は引け後にコンステレーション・ブランズが発表予定。
日銀は1日、本日付けで日銀審議委員に就任した増一行氏の就任会見を午後5時から行うと発表した。増審議委員は6月30日に任期を迎えた中村審議委員の後任で任期は5年間となる。
2025年7月2日01:12
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-07-01/SYQA10T0AFB400
旧民主党政権「事業仕分け」をトランプ政権が米国で行っている。日本も公金チューチューを「事業仕分け」するべき。
ps://i.imgur.com/zLkw2Q1.jpeg
ps://i.imgur.com/u4a7tDQ.jpeg
ps://i.imgur.com/lj2znPh.jpeg
ps://i.imgur.com/y2Wp64v.jpeg
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
南ア・ランド相場に暗雲か、連立政権の一角DAが政策対話から離脱
連立政権自体は維持も、今後の政権運営に影響を与える可能性、ランド相場の行方にも要注意
南アフリカでは、昨年の総選挙後にANC(アフリカ民族会議)を中心に11党による大連立政権が発足し、ラマポーザ政権は3期目入りした。しかし、ANCと白人系政党DA(民主同盟)は政権発足以降度々対立するなど、政権内は不安定な展開が続く。背景には、歴史的背景や政策の違いなどがあり、教育や土地収用、予算安などで対立してきた。政治不安に加え、実体経済は低迷しているにもかかわらず、同国の通貨ランド相場は米ドル安や金価格の上昇、高金利環境などを追い風に堅調な推移をみせてきた。
しかし、ここにきてDA出身の副貿易産業相であったホイットフィールド氏が無許可での訪米を理由に解任されたことをきっかけに、連立内の緊張関係が再燃している。DAは反発を強めるとともに、政策対話からの離脱を表明するなど、連立政権の行方に不透明感が増している。今後の連立政権の行方は政策運営とともに、ランド相場の動向にも影響を与えることが予想されるなど、当面はその動きに注意が必要と言える。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
2年後もインフレ目標未達、ブラジル中銀は「タカ派」を卒業できない?
金融市場に利下げ観測がくすぶるなか、レアル相場は中銀の独立性の行方が左右する展開
ブラジル中銀は6月の定例会合で7会合連続の利上げを決定し、政策金利は15.00%と約19年ぶりの水準となった。ただ、今回の利上げ幅は25bpに縮小し、今後は利上げサイクルの中断も視野に入れている。これは、インフレが依然目標を上回る一方、金利高と物価高の共存が内需を圧迫しているほか、トランプ関税が外需の重石となり、足元の企業マインドが幅広く低下するなど景気減速が意識されていることがある。
金融市場では、景気減速により中銀が将来的に利下げに転じるとの見方が根強い。さらに、来年の大統領選での再選を目指すルラ大統領が中銀に利下げ圧力を掛ける可能性も懸念されている。他方、中銀は最新の金融政策報告で、来年及び再来年のインフレが目標を上回る見通しを示すとともに、利上げの正当性を主張した。今後もタカ派姿勢を維持しつつ、インフレ目標実現への取り組みを強調する考えをみせた。
足元の金融市場では、米ドル安に加え、中銀のタカ派姿勢もレアル相場を下支えしているとみられる。その意味では、中銀による政治的介入の有無やその動向をこれまで以上に注視する必要性は高まっている。
日経平均株価は反落。前日の陰線に続いて軟調な推移が続いた。一方、上昇基調が続く5日移動平均線(39830円 7/1)上を維持する動きとなり、直近上昇の反動安の範ちゅうで終えた。
RSI(9日)は前日の82.3%→67.3%(7/1)に低下。あすは上昇しやすいタイミングとなる。引き続き見方は変わらず、4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇が続いている。まずは5日移動平均線上から早々に反発できるかが注目される。
上値メドは、6/30高値(40852円)、昨年7/17安値(41054円)、心理的節目の42000円、7/11安値(42102円)、7/11高値(42426)、心理的節目の43000円などがある。下値メドは、5日移動平均線、10日移動平均線(39207円 同)、心理的節目の39000円、25日移動平均線(38469円 同)、200日移動平均線(37964円 同)、6/13安値(37540円)、心理的節目の37000円などがある。
(1日終値:2日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=143.63円(1日15時時点比△0.05円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=169.23円(△0.01円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1783ドル(▲0.0002ドル)
FTSE100種総合株価指数:8785.33(前営業日比△24.37)
ドイツ株式指数(DAX):23673.29(▲236.32)
10年物英国債利回り:4.454%(▲0.035%)
10年物独国債利回り:2.574%(▲0.033%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月英ネーションワイド住宅価格
前月比 ▲0.8% 0.4%・改
6月仏製造業PMI改定値
48.1 47.8
6月独製造業PMI改定値
49.0 49.0
6月独雇用統計
失業率 6.3% 6.3%
失業者数変化 1.10万人 3.30万人・改
6月ユーロ圏製造業PMI改定値
49.5 49.4
6月英製造業PMI改定値
47.7 47.7
6月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値
(前年比) 2.0% 1.9%
6月ユーロ圏HICPコア速報値
(前年比) 2.3% 2.3%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は下値が堅かった。米長期金利の指標となる米10年債利回りが一時4.1852%前後と5月1日以来2カ月ぶりの低水準を付けると円買い・ドル売りが先行。21時過ぎに142.68円と日通し安値を付けた。
ただ、6月3日の安値142.38円がサポートとして意識されると買い戻しが優勢に。6月米製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値や6月米ISM製造業景況指数、5月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数が予想を上回ったことも相場を下支えした。米10年債利回りが4.27%台まで上昇したこともドル買いを促し、2時前には143.78円付近まで持ち直した。
なお、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は「米国経済が堅調である限り、我々は時間をかけている。賢明なのは待つことだ」「FOMC当局者の大多数が年後半に追加利下げが適切と判断」と述べたほか、7月利下げは早過ぎるかとの質問に対しては「検討は会合ごとに行われる」と回答し、7月利下げの可能性を排除しなかった。また、植田和男日銀総裁は次の金融政策決定に向けて追加のデータを見極める考えを強調し、利上げを急いでいないことを示唆した。
市場では両氏の発言内容について「いずれも新味に乏しい」との受け止めが聞かれた。
・ユーロドルは頭が重かった。米長期金利の低下などを手掛かりにユーロ買い・ドル売りが先行。日本時間夕刻に一時1.1829ドルと2021年9月以来約3年10カ月ぶりの高値を付けた。
ただ、買い一巡後は徐々に上値が重くなった。NY市場に入ると、予想を上回る米経済指標や米長期金利の上昇を受けてユーロ売り・ドル買いが優勢となり、2時前に一時1.1761ドルと日通し安値を付けた。
なお、デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁は「現在のユーロの水準は懸念には当たらない」と述べたうえで、「ユーロが1ドル=1.20ドルを超えて上昇すれば政策対応が困難になる可能性がある」などと述べたほか、ラガルドECB総裁は「ユーロが最近、ドルに対して上昇しているのは市場の状況だけではなく、ユーロ圏経済の強さも反映している」と話した。
・ユーロ円は下げ渋り。日本時間夕刻に一時168.46円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後はじりじりと下値を切り上げた。3時前には169.25円付近まで値を戻した。
・ロンドン株式相場は小反発。米政権と各国の貿易交渉が進展するとの期待から、投資家心理が改善し、株買いが優勢となった。アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株が買われ、指数の上昇に寄与した。半面、ロールス・ロイス・ホールディングスやBAEシステムズなど資本財サービス株が売られ、相場の重しとなった。
・フランクフルト株式相場は続落。前日の米国株高などを受けて買いが先行したものの、買い一巡後は徐々に上値を切り下げた。個別ではシーメンス・エナジー(5.79%安)やラインメタル(5.26%安)、MTUエアロ・エンジンズ(4.19%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は上昇。ユーロ圏の物価上昇率の鈍化傾向が続く中、債券買いが入った。
7月に入り1日の日経平均は6日ぶり大幅反落。終値は501円安の39986円。米国株は上昇したが、円高進行が嫌気されて寄り付きから3桁の下落。安く始まったことでセンチメントが弱気に傾き、場中は下値模索が続いた。後場のスタート直後に4万円を割り込んだところでいったん売り圧力が和らいだものの、戻りは限定的。40100円台でしばらくもみ合った後、終盤にかけては改めての売りに押された。再び4万円を割り込むと600円超下げる場面もあり、安値圏で取引を終えた。
東証プライムの売買代金は概算で4兆6000億円。業種別では電気・ガス、その他金融、非鉄金属などが上昇した一方、その他製品、サービス、医薬品などが下落した。千葉銀行<8331.T>との経営統合観測が伝わった千葉興業銀行<8337.T>が後場に買いを集めてストップ高となっており、千葉銀行も大きく上昇した。半面、ファーストリテイリング<9983.T>が4.2%安と大きく売られており、1銘柄で日経平均を約164円押し下げた。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり482/値下がり1094。ナスダックの史上最高値更新を素直に好感してソフトバンクGが大幅上昇。フジクラや古河電工など電線株に強い動きが見られた。データセンター事業に本格参入すると報じられた東京電力HDが商いを伴って10%高。1Q決算が好感されたしまむらが急伸した。上方修正、増配、自己株取得を発表した象印マホービンはストップ高まで買い進まれた。
一方、東京エレクトロンやレーザーテックなど半導体株の一角が軟調。サンリオ、任天堂、リクルートなどグロース系の銘柄が弱かった。円高進行を受けてトヨタ、日産自動車、スズキなど自動車株の多くが下落。上期大幅増益でも上方修正がなかったスターマイカが大幅安となり、初配実施を決定したものの前期の大幅減益着地が嫌気されたインテグループが急落した。
7月初日の日経平均は大幅安。4万円を割り込み、前日の上げ分(336円高)以上の下落となった。直近の上昇度合いを踏まえれば利益確定売りの範ちゅうではあるが、きのうに続いて後場がさえなかったのは気になる動き。5日線(39830円、1日時点、以下同じ)を明確に割り込むと手じまい売りが出やすくなるだけに、あすは同水準より上をキープできるかが焦点となる。5日線近辺で切り返し、早々に4万円台を回復できれば、投資家のセンチメントは強気に傾くだろう。一方、5日線がサポートとして機能しなかった場合には、25日線(38469円)辺りまでは買い手不在に陥る展開も想定される。
(1日終値)
ドル・円相場:1ドル=143.42円(前営業日比▲0.61円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=169.33円(▲0.45円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1806ドル(△0.0019ドル)
ダウ工業株30種平均:44494.94ドル(△400.17ドル)
ナスダック総合株価指数:20202.89(▲166.84)
10年物米国債利回り:4.24%(△0.01%)
WTI原油先物8月限:1バレル=65.45ドル(△0.34ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3349.8ドル(△42.1ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月米製造業PMI改定値
52.9 52.0
6月米ISM製造業景況指数
49.0 48.5
5月米建設支出
(前月比) ▲0.3% ▲0.2%・改
5月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数
776.9万件 739.5万件・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は続落。米長期金利の指標となる米10年債利回りが一時4.1852%前後と5月1日以来2カ月ぶりの低水準を付けると円買い・ドル売りが先行。21時過ぎに一時142.68円と日通し安値を付けた。
ただ、6月3日の安値142.38円がサポートとして意識されると買い戻しが優勢に。6月米製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値や6月米ISM製造業景況指数、5月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数が予想を上回ったことも相場を下支えし、4時30分過ぎには143.80円付近まで下げ渋った。米10年債利回りが4.27%台まで上昇したこともドル買いを促した。
なお、トランプ米大統領は大統領専用機内で記者団に対し「日本と通商合意をまとめられる可能性は低い」「日本は30%、35%、あるいは我々が決定する関税率を支払うことになる可能性が高い」などと述べた。
・ユーロドルは小幅ながら9日続伸。欧州市場序盤に一時1.1829ドルと2021年9月以来約3年10カ月ぶりの高値を付けたものの、買い一巡後は徐々に上値が重くなった。予想を上回る米経済指標や米長期金利の上昇を受けてユーロ売り・ドル買いが優勢になると、2時前に一時1.1761ドルと日通し安値を付けた。
なお、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は「欧州中央銀行(ECB)フォーラム」で「米国経済が堅調である限り、我々は時間をかけている。賢明なのは待つことだ」「FOMC当局者の大多数が年後半に追加利下げが適切と判断」と述べたほか、7月利下げは早過ぎるかとの質問に対しては「検討は会合ごとに行われる」と回答し、7月利下げの可能性を排除しなかった。
また、デギンドスECB副総裁は「現在のユーロの水準は懸念には当たらない」と述べたうえで、「ユーロが1ドル=1.20ドルを超えて上昇すれば政策対応が困難になる可能性がある」などと発言。ラガルドECB総裁は「ユーロが最近、ドルに対して上昇しているのは市場の状況だけではなく、ユーロ圏経済の強さも反映している」と話した。
・ユーロ円は3日ぶりに反落。日本時間夕刻に一時168.46円まで下落した影響が残ったものの、NY市場では買い戻しが優勢だった。5時過ぎには169.52円付近まで値を戻した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は4日続伸し、2月19日以来約4カ月半ぶりの高値となった。米上院がトランプ米大統領の減税・歳出法案を可決したことで、法案を巡る不透明感がひとまず後退し株買いを促した。指数は一時500ドル超上昇する場面があった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は7日ぶりに反落。連日で史上最高値を更新したあとだけに利益確定目的の売りが出やすかった。トランプ米大統領とイーロン・マスク氏との対立が再び激化する中、テスラへの補助金削減が示唆されると同社株が5%超下落した。
・米国債券相場で長期ゾーンは反落。買いが先行し、利回りは一時4.1852%前後と5月1日以来2カ月ぶりの低水準を付けた。ただ、6月米ISM製造業景況指数や5月米JOLTS求人件数が予想を上回ると一転売りが優勢となった。
・原油先物相場は小反発。石油輸出国機構(OPEC)ほか主要産油国による枠組みOPEC+による減産幅縮小を重しとしたさえない動きから次第に盛り返してNY入りにかけて一時65.97ドルと、昨日高値65.82ドルを上回る場面もあった。予想を上回る6月米ISM製造業景況指数ほか米経済指標の改善が、景気回復による原油需要回復の思惑を高めた面もあったようだ。
・金先物相場は続伸。トランプ政権サイドの圧力を受けたFRBの7月利下げに対する思惑が高まるなか、金利が付かない資産である金の相対的な投資妙味の高まりが意識された。ただ、米長期金利の指標となる10年債の利回りが一時は5月1日以来の水準4.18%台まで低下していたものの4.27%台へ戻す動きもあって、金価格の上伸を抑制する要因となった。
一部通信社が報じたところによると、「トランプ米大統領の大規模な減税・歳出法案を巡り米上院共和党は合意に達した」ようだ。
米上院は1日、トランプ米大統領の大規模な減税・歳出法案を可決した。
1日14:14 シムカス・リトアニア中銀総裁
「ユーロ上昇のスピードを注視する必要」
「ユーロ相場やエネルギー価格の動向がインフレに与える影響に要警戒」
1日15:20 パークス・タウ南アフリカ貿易産業競争相
「米関税期限の延長を主張した」
「新しいテンプレートに合わせて枠組み合意を再提出する必要があるかもしれない」
「90日間の関税期限が延長される可能性がある」
1日15:22 ナーゲル独連銀総裁
「ユーロは対ドルで特別に高い水準ではない」
「金融政策は中立的な領域にある」
「インフレについては落ち着いた状況にある」
1日15:54 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「追加利下げは経済の助けにならない、 確実性が必要だ」
「2%の目標を下回る可能性は極めて限られている」
「第2四半期、第3四半期の成長はほぼゼロになる」
「ユーロドルは1.17ドルで十分許容できる」
「1.20ドルでも無視できるが、それ以上になると複雑になる」
1日16:17 ベイリー英中銀(BOE)総裁
「長期国債利回りの上昇が見られる」
「英国のイールドカーブに関して特に異常な点はないと考えている」
「安定した低インフレなくして持続的な成長はあり得ない」
「積極的な国債売却のペースは現在も検討中」
「不確実性はインフレよりも経済活動に強く感じられる」
1日17:26 増日銀審議委員
「実質金利がマイナスだから急いだほうが良いとは思っていない」
「現在の為替水準の影響は業態によって違う」
「経済物価の上下リスクがどちらに行くか慎重に見極めていく」
1日18:49 ネタニヤフ・イスラエル首相
「貿易協定に向けてまだいくつかの事項を最終調整する必要がある」
「来週アメリカでトランプ大統領と会談する予定」
1日20:42 ベッセント米財務長官
「本日午後には上院で法案が承認されると考えている」
「FRBについて、必要とあればどこへでも行くが、財務省でやるべきことがたくさんある」
「中国からのレアアースの流通がもっと速くなることを期待している」
「税制法案によって黒字になる可能性がある」
「税制法案はそれ自体で十分に財源を賄える」
「ユーロの上昇は速いが、今のところ特に気にする必要はない」
「7月は(金利を)変更する必要はない」
2日02:23
「(ECB)7月は政策金利を据え置くことができる」
1日22:36 トランプ米大統領
「(イーロン・マスク氏の国外追放について)検討必要」
2日04:06
「関税停止を7月9日以降に延長することは考えていない」
「日本とそれまでに合意をまとめられると思えない」
「日本の関税は30~35%に達する可能性がある」
「FRB議長については、2~3人の有力候補がいる」
「インドとはおそらく合意が成立するだろう」
「日本は30%、35%、あるいは我々が決定する関税率を支払うことになる」
1日22:41 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「責任を全うしたとはいえないが目標には到達」
1日22:43 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長
「関税を無視すれば、インフレは予想通り、希望通りの動きをする」
「米国経済が堅調である限り、我々は時間をかけている。賢明なのは待つことだ」
「夏場にはインフレ率が上昇すると予想」
「FOMC当局者の大多数が年後半に追加利下げが適切と判断」
「インフレデータと労働市場の状況を注意深く見守る必要がある」
「労働市場の予想外の弱さがないか注視」
「我々は会合ごとに対応していく。データ次第」
「(7月利下げ)時期尚早かどうか分からない。データ次第」
「米国の政策はやや引き締め的と言える」
「経済成長は堅調で、労働市場も堅調」
1日22:45 ベイリー英中銀(BOE)総裁
「金利は引き下げ方向」
「景気・労働市場に軟化の兆候」
1日22:49 植田日銀総裁
「総合インフレ率はほぼ3年間2%を上回っているが、基調インフレ率は依然として2%を下回っている」
「利上げは、インフレ動向の3つの要素に左右される」
2日02:00 エマー米下院議員
「米下院は明日、大型の税制・歳出法案「大きくて美しい1つの法案(one big beautiful bill)について採決する予定」
2日02:02 米WSJのFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者
「米連邦準備理事会(FRB)による7月の利下げに向けた準備は見られない」
※時間は日本時間
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 39570 -320 (-0.80%)
TOPIX先物 2816.5 -11.5 (-0.40%)
シカゴ日経平均先物 39660 -230
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
1日の米国市場はNYダウが上昇した一方で、 S&P500、ナスダックは下落。米連邦議会上院がトランプ米大統領の大型税制・歳出法案を可決した。法案を巡る不透明感がひとまず後退したとして、NYダウの上げ幅は一時500ドルを超える場面もみられた。半面、これまで上昇を牽引していたハイテク株が売られ、製薬や保険株など出遅れていた銘柄へのシフトが強まった。トランプ大統領が補助金の打ち切りを示唆したと伝わったテスラ<TSLA>が売られたことも影響した。
5月の米求人件数は776万9000件に増加し、昨年11月以来の高水準となったことで早期利下げ観測が後退。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は欧州中央銀行(ECB)の年次フォーラムに参加し、関税政策の影響を見極めつつ慎重に利下げ時期を判断する考えを改めて示した。
S&P500業種別指数は耐久消費財・アパレル、素材、医薬品・バイオテクノロジーが上昇した一方で、自動車・同部品、半導体・同製造装置、メディアの弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、アムジェン<AMGN>、シャーウィン・ウィリアムズ<SHW>、メルク<MRK>、ナイキ<NKE>が上昇。半面、エヌビディア<NVDA>、IBM<IBM>、マイクロソフト<MSFT>、シスコシステムズ<CSCO>が売られた。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比230円安の3万9660円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比50円安の3万9840円で始まった。直後につけた3万9860円を高値にショート優勢となり、3万9590円まで売られた後は3万9600円~3万9750円辺りで保ち合いを継続。中盤にかけて3万9800円まで下げ渋る場面もみられたが、終盤にかけて下げ幅を広げ、3万9570円とナイトセッションの安値で取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、売り先行で始まりそうだ。前日の下げでボリンジャーバンドの+2σを割り込み、ナイトセッションでは+1σ(3万9340円)が射程に入ってきている。米国ではハイテク株から出遅れている銘柄へのローテーションの動きが強まっているため、東京市場でも日経平均型からTOPIX型へのリバランスの動きが一段と強まる可能性があろう。
日米通商交渉を巡りトランプ大統領は、9日の猶予期限の延長はないとの見解を示した。合意は困難として30%や35%の高率関税賦課の考えも明らかにしており、押し目狙いのロングを手控えさせることになりそうだ。
日経225先物は+1σでの底堅さを見極めつつ、オプション権利行使価格の3万9375円から3万9875円のレンジを想定。+1σを割り込んでくると、節目の3万9000円や25日移動平均線が位置する3万8520円辺りをターゲットとしたショートが強まる展開も意識しておきたい。もっとも、トランプ発言に対する耐性もみられており、積極的なショートも仕掛けにくいだろう。
過熱を冷ます調整としては+1σ水準までの下げで一巡感が出てくる可能性も考えられるため、底堅さがみられる局面ではスキャルピング中心とはなるものの、押し目狙いのロングでの対応とみておきたい。
1日の米VIX指数は16.83(30日は16.73)に上昇した。ただし、25日移動平均線(18.41)、200日線(29.66)を明確に割り込んで推移していることで、リスク選好の動きは変わらない。短期的に25日線を捉えてくる場面はありそうだが、ボトム圏での推移が続くなかで方向性としては2月14日の14.74辺りが射程に入っているとみておきたい。
昨日のNT倍率は先物中心限月で14.10倍に低下した。一時14.09倍に低下する場面もみられており、+2σ(14.16倍)を下回っての推移となった。米国市場の動きもあり、NTロングの巻き戻しが強まる可能性はありそうだ。そのため、目先的にはNTショートによるスプレッド狙いが入りやすいだろう。
1日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが一時4.1852%まで低下したことで142.68円まで下落後、予想を上回った米国の経済指標を受けて143.80円付近まで反発した。ユーロドルは、予想を上回った米経済指標や米長期金利の上昇を受けて、欧州市場序盤の高値1.1829ドルから1.1761ドルまで下落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、トランプ米大統領が対日関税率を30-35%と示唆したことで、上値が重い展開が予想される。
トランプ米大統領が7月4日の独立記念日までの署名を目論んでいた税制・歳出削減法案「大きくて美しい法案」は、上院(共和党:53議席・民主党47議席)で共和党議員3名の造反があったものの、バンス副大統領の決定票により51対50で可決し、本日は下院で採決される。
また、トランプ米大統領は7月9日が猶予期限となっている相互関税に関しては、延長することなく、合意できていない国には関税率を送ることになると述べている。そして、日米の自動車貿易や米国産コメ輸入に不満を表明しつつ、日本との合意は困難であり、対日関税は30-35%、あるいは我々が決める関税率を支払うことになると述べた。
昨日発表された6月調査の日銀短観での大企業・製造業の業況判断は+13となり、予想の+10や3月調査の+12から改善。大企業・非製造業の販売価格判断も1983年5月以来の高水準だったことで、円買い材料となった。大企業・製造業による米国向けの輸出の関税率は、鉄鋼・アルミニウムに50%、自動車には25%、その他の対米輸出には10%の相互関税がかかっているにも関わらず、3月調査時点よりも改善していた。
大企業・製造業の業況判断を検証してみると、「良い」が20%(※3月は21%)、「さほど良くない」が73%(※3月は70%)、「悪い」が7%(※3月は9%)となっており、「良い」が1%減って、「悪い」が2%減って、「さほど良くない」が3%増えた結果の13%=「良い20」-「悪い7」となっている。トランプ米大統領が30-35%の関税率を警告している日本に対する相互関税率(4月発表段階は24%=10%+14%)次第で、悪化する可能性もあるため、新たな関税率待ちとなる。
植田日銀総裁は先日「トランプ関税の影響は、ハードデータには表れてはいないが、ソフトデータには表れている」と述べていたものの、日銀金融政策決定会合での判断材料はハードデータ重視であることには留意しておきたい。植田日銀総裁は昨日のシントラでの欧州中央銀行(ECB)の年次フォーラムで、次の金融政策決定に向けて追加のデータを見極める考えを強調して、利上げを急いでいないことを示唆した。
10時30分に発表される5月豪小売売上高や5月豪住宅建設許可件数では、予想を下回った場合は、豪準備銀行(RBA)の追加利下げ観測を高めることになるため注視しておきたい。
東京市場は軟調か。米国株はまちまち。ダウ平均が上昇した一方、S&P500とナスダックは下落した。ダウ平均は400ドル高の44494ドルで取引を終えた。エヌビディアなど半導体株は利益確定売りに押された一方、出遅れ銘柄には買いが入り、3指数には濃淡がついた。CME225先物は円建てが230円安の39660円、ドル建てが140円安の39750円で取引を終えた。
朝方にトランプ大統領が日本との貿易交渉に不満を示し、関税引き上げの可能性についても言及したことが伝わっている。日本株はこれを嫌気した売りに押されると予想する。米国で半導体株が弱かったこともネガティブな材料。ドル円も円高に振れており、大型外需が敬遠されるだろう。きのうの日経平均は大幅安となって終値で4万円を下回った。下振れスタートとなれば目先の天井感も意識されるだけに、場中は下押し圧力の強い地合いが続くと予想する。日経平均の予想レンジは39300-39700円。
日経225先物は11時30分時点、前日比330円安の3万9560円(-0.82%)前後で推移。寄り付きは3万9500円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万9660円)を割り込む形から、売りが先行して始まった。直後につけた3万9430円を安値に押し目狙いのロングの動きが入り、中盤にかけて3万9760円まで下げ幅を縮める場面もみられたが、終盤にかけては3万9600円を下回っての推移となった。
日経225先物は朝方の下げでボリンジャーバンドの+1σ(3万9340円)に接近するなかで、中盤にかけて自律反発狙いのロングが入ったとみられる。ただし、スキャルピング中心と考えられ、積極的なロングの動きにはならず、終盤にかけてはナイトセッションの終値水準での推移となっている。上値の重さが意識されることで、戻り待ち狙いのショートも入りやすくなるだろう。
NT倍率は先物中心限月で14.03倍に低下した。一時13.99倍に低下する場面もみられており、200日移動平均線(14.04倍)を割り込んできた。+1σ(13.99倍)まで下げたことでNTショートの動きは落ち着きそうだが、同バンドを割り込んでくるようだと、NTロングを巻き戻す動きが強まる可能性もありそうだ。
昨日のドル円は、相変わらず米長期金利の動向に左右される展開。週末に米国が独立記念日の祝日を控えているとあって、海外勢の動きは鈍く、目先の調整に終始しているといったところ。昨日も欧州時間までは米長期金利の低下につれて一時142.68円まで値を下げる場面もみられましたが、NY時間に入ってからは6月米製造業PMI改定値や6月米ISM製造業景気指数、5月米JOLTS求人件数が軒並み予想を上回る強い数字となると、4.1852%まで低下していた米10年債利回りが一転して4.2769%まで上昇。つれるかたちで143.80円まで買戻されて行って来い。引けにかけては、トランプ米大統領が日本との通商協議が期限までにまとまらず、30‐35%の相互関税を賦課する可能性に言及したことから143.39円まで下押ししています。
アジア時間に入ってからは、トランプ米大統領の日本を相手にしない発言を受けて日経平均が先物から下落幅をひろげると143.32円まで下押したものの、現物の日経平均が下落幅を縮めるにつれて143.75円まで買戻されました。その後はNY時間の高値が意識されると再び上値を切り下げているといったところです。
いずれにしても、ドル円は昨日の海外市場で長い下ひげを伸ばして買戻しとなっているわけで、6月23日の長い上ひげが戻り高値となっているように、目先の下値を確認した可能性もあって、海外勢の動きが鈍いなかにあって、神経質な動きが繰り返されています。
「来年5月のパウエル氏の任期満了後、1月任命の理事となる人物が議長となるか、5月に新たな議長を任命するかを検討している」(ベッセント米財務長官)
トランプ米政権は、2026年5月15日に任期満了となるパウエルFRB議長の後任を、8月から10月にかけて指名する意向を示している。
10月に指名した場合、8カ月程度前での指名となるため、過去40年間の歴代FRB議長の指名時期としては異例となる。
1.歴代FRB議長の指名時期
・ボルカー第12代FRB議長(1979年):1カ月前
・グリーンスパン第13代FRB議長(1987年):2カ月前
・バーナンキ第14代FRB議長(2006年):6カ月前
・イエレン第15代FRB議長(2014年):3カ月前
・パウエル第16代FRB議長(2018年):3カ月前
2.第17代FRB議長候補(※米予測市場の「ポリマーケット」での就任確率)
・ウォーシュ元FRB理事:22%
・ウォラーFRB理事:21%
・ハセット米国家経済会議(NEC)委員長:18%
・ベッセント米財務長官:13%
・マルパス元世界銀行総裁
3.トランプ計画
・2026年1月31日:クーグラーFRB理事が任期満了
・2026年2月1日:次期FRB理事としてX氏を指名
・2026年5月15日:パウエルFRB議長が任期満了
・2026年5月16日:X・FRB理事が議長へ昇格
※パウエル氏のFRB理事としての任期は2028年1月31日までだが、歴代のFRB議長の大半は退任を選択している。
4.レーガン第40代米大統領 対 ボルカー第12代FRB議長
レーガン第40代米大統領は、利下げ要請に逆らっていたボルカー第12代FRB議長に対して、4名のFRB理事を刺客として送り込んだため、ボルカーFRB議長は辞表をたたきつけた。
パウエルFRB議長は、7月1日の欧州中央銀行(ECB)の年次フォーラムで、「7月FOMCでの利下げの可能性を排除しないが、データ次第で会合ごとに判断」という従来の慎重な見解を繰り返した。
一方で、第1次トランプ米政権で任命されたウォラーFRB理事とボウマンFRB副議長は、良好な経済データを理由に7月FOMCでの利下げが適切になり得ると主張している。
本日のロンドン為替市場でもユーロドルは、欧州金融当局者の発言内容を見定めながらの値動きか。ユーロドルは昨日、2021年9月以来の1.18ドル台でニューヨーク引けした。ここからは当局者のインフレや金利見通しだけでなく、ユーロ高への見解も注目されそうだ。本日は、デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、チポローネECB専務理事、レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミストがECBフォーラムのパネルディスカッションに参加予定。
昨日は複数のECB高官から、為替水準についてコメントが見受けられた。シムカス・リトアニア中銀総裁は「ユーロ上昇のスピードを注視する必要」、ナーゲル独連銀総裁からは「ユーロは対ドルで特別に高い水準ではない」との見解が示された。ミューラー・エストニア中銀総裁は「ユーロの上昇は速いが、今のところ特に気にする必要はない」と述べ、慌てる必要がないというスタンスが目立った。
デギンドスECB副総裁も「ユーロドルは1.17ドルで十分許容できる」と発言。ただし「1.20ドルでも無視できるが、それ以上になると複雑になる」と警戒感もにじませてきた。そういったなか本日は、欧州中央銀行(ECB)の金融政策決定において重要な役割を担うレーン専務理事の発言が市場の注目を集めそうだ。
なお、昨日発表された6月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は前年比+2.0%、同コア指数も+2.3%と市場予想に沿った結果だった。結果発表の数時間後、ラガルドECB総裁の発言「責任を全うしたとはいえないが、目標には到達」が伝わった。
ユーロドルの値動きはユーロ高というだけでなく、ドル安でもある。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは昨日、96.38まで低下した。今年一番高かったところからだと、約12.5%の下落率だ。
前述したトランプ米政権がFRBに利下げ圧力を強めていることが、米金利先安観というだけでなく、中銀の独立性への懸念も相まってドル安要因とされている。また、米上院が僅差で可決した大規模なトランプ減税・歳出法案も、ドルにとってネガティブと受けとめられているようだ。一部試算によるとこの法案は、今後10年間で約3兆3000億ドルの財政赤字の拡大につながるもよう。米国発の材料も気にかけておくべきだろう。
想定レンジ上限
・ユーロドル、2021年9月8・10高値1.1851ドルを超えると同月3日高値1.1909ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、6月30日安値1.1708ドル
ドル円:1ドル=143.75円(前営業日NY終値比△0.33円)
ユーロ円:1ユーロ=169.44円(△0.11円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1787ドル(▲0.0019ドル)
日経平均株価:39762.48円(前営業日比▲223.85円)
東証株価指数(TOPIX):2826.04(▲6.03)
債券先物9月物:139.12円(▲0.10円)
新発10年物国債利回り:1.425%(△0.015%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月マネタリーベース
前年同月比 ▲3.5% ▲3.4%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は小高い。日経平均株価の下落を受けて寄り付き直後に一時143.32円まで下げたが、株価が下げ幅を縮めるにつれて買い戻しの動きに。午後に入ると、時間外の米10年債利回りが小幅ながら上昇したことも支えになり、一時143.86円まで値を上げた。
・ユーロドルは上値が重い。午前こそ1.1810ドルまでやや上げたが、1.18ドル台では利食い売りが持ち込まれ失速。米金利上昇も重しに一時1.1784ドルまで下押しした。
・ユーロ円は小幅高。ドル円の上昇や株価の下げ幅縮小を受けて円売り・ユーロ買いが散見。一時169.55円まで値を上げ、その後はもみ合いとなった。
・日経平均株価は続落。足元で上昇が目立っていた半導体関連株やゲーム株に利益確定売りが広がった。日米関税交渉に対する不透明感も投資家心理の悪化につながり、一時下げ幅は500円を越した。一方、大型株に買いが入ったため下げ幅を急速に縮める動きも見られた。
・債券先物相場は反落。日米貿易交渉の先行きに不透明感が漂う中、一時139.39円まで買いが先行したが、一巡後は持ち高調整の売りが優勢となった。
香港金融管理局(HKMA)は2日早朝の外国為替市場で、200億1800万HKドル規模の香港ドル買い・米ドル売りを実施した。『香港経済日報』によると、民間銀行がHKMAに保有する決済性預金口座残高は3日に1441億7500万HKドルに減少する見通し。HKMAは6月26日早朝にも、2023年5月以来およそ2年1カ月ぶりとなる94億2000万HKドルの香港ドル買い介入を実施しており、今回が年内2回目となる。
香港ドルはペッグ制を採用しており、1米ドル=7.75-7.85HKドルの範囲で米ドルに連動する。外国為替市場で香港ドル相場が下限か上限に達すると、香港の中央銀行にあたるHKMAが市場介入する。
中国共産党は1日、経済政策の大方針を決める中央財経委員会の第6回会議を開き、地方ごとの投資優遇、産業補助、独自規格などを取り払った全国統一大市場の建設について検討した。会議を主宰した習近平総書記(国家主席)は「重要講話」のなかで、全国統一大市場の建設は新たな発展構造を構築し、高品質な発展を推進するために必要だと強調。党中央の方針を着実に実行し、調整と連携を強化して総合的に推進するよう求めた。国営新華社が同日伝えた。
会議では、全国統一大市場建設を深く推進するための基本要件は、市場の基礎制度の統一、市場インフラの統一、政府行為基準の統一、市場監督執行の統一、要素資源市場の統一、そして国内外への開放の持続的拡大から成る「五統一、一開放(5つの統一・1つの開放)」だと指摘した。さらに、重点的かつ難易度の高い課題に焦点を当て、法と規則に基づいて企業の無秩序な低価格競争を是正し、企業に対して製品の品質向上を促し、老朽化した生産設備の秩序ある退出を促進する必要があるとした。
また、会議は政府調達や入札・契約を規範化し、落札結果の公平性審査を強化することや、地方政府の投資誘致活動を規範化し、情報開示を強化すること、内外貿易の一体化を推進し、輸出から内需向けへの転換ルートを円滑にし、内外貿易に優れた企業群を育成することを指示。企業関連の法執行の規範化を継続し、市場統一につながる財政・税制制度、統計・会計制度および信用制度を整備するほか、党幹部が正しい政治的業績観を確立・実践できるよう導き、高品質な発展の評価体系や幹部の成績評価制度の最適化も進めていく。
大阪9月限
日経225先物 39790 -100 (-0.25%)
TOPIX先物 2827.0 -1.0 (-0.03%)
日経225先物(6月限)は前日比100円安の3万9790円で取引を終了。寄り付きは3万9500円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万9660円)を割り込む形で売りが先行した。直後につけた3万9430円を安値に押し目狙いのロングの動きが入り、前場中盤にかけて3万9760円まで下げ幅を縮める場面もみられたが、終盤にかけては3万9600円を下回っての推移となった。
ランチタイムで3万9600円を挟んでの底堅さが意識され、午後に入ると再びロングが強まり、中盤にかけて3万9950円とプラス圏を回復する場面もみられた。ただし、4万円の大台には届かず、持ち高調整に伴うロング解消の流れにより続落で終えた。
日経225先物は朝方の下げでボリンジャーバンドの+1σ(3万9340円)に接近したことで、中盤にかけて自律反発狙いのロングが入ったとみられる。午後にリバウンドを試す動きもあったが、スキャルピング中心とみられ、4万円の大台回復とはならなかった。結局は+1σと+2σ(4万0180円)によるレンジ内での推移であり、トレンドの出にくい状況である。
ナイトセッションで+1σが3万9440円、+2σは4万0300円辺りまで上昇している。+1σが支持線として機能するようであれば、バンドに沿った形で下値を切り上げる動きになるため、押し目狙いのロングが入りやすくなりそうだ。一方で、+1σを明確に割り込んでくると、節目の3万9000円や25日移動平均線が位置する3万8590円辺りが射程に入ってくるとみておきたい。
また、リバウンド基調が強まる局面では+2σを意識しつつも、4万円の大台接近では戻り待ち狙いのショートが優勢になりそうである。過熱を冷ます調整は想定されていたが、2日間で1000円ほど下げる場面もあったことで、やや神経質にさせそうである。
指数インパクトの大きいアドバンテスト<6857.T>[東証P]や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]は+1σ水準まで調整したことで、リバウンドをみせてくるかが注目されよう。ハイテク株に買い戻しが入るようであれば、センチメントの改善につながりそうだ。
NT倍率は先物中心限月で14.07倍に低下した。一時13.99倍に低下する場面もみられており、200日線(14.04倍)を割り込んできた。ただし、+1σ(13.99倍)まで下げたことでNTショートの動きは落ち着き、その後は利益確定からNTショートの巻き戻しも入ったとみられ、200日線を上回って終えている。+1σまでの調整を経て、再びNTロングに向かうかを見極めたい。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が2万4402枚、ソシエテジェネラル証券が1万6056枚、サスケハナ・ホンコンが4404枚、JPモルガン証券が3348枚、ゴールドマン証券が2667枚、SBI証券が2570枚、バークレイズ証券が2113枚、モルガンMUFG証券が2090枚、みずほ証券が1741枚、日産証券が1364枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が2万4660枚、ソシエテジェネラル証券が2万2040枚、バークレイズ証券が6795枚、JPモルガン証券が6278枚、ゴールドマン証券が5530枚、モルガンMUFG証券が3748枚、ビーオブエー証券が2288枚、シティグループ証券が2259枚、UBS証券が1767枚、野村証券が1333枚だった。
時間外の米長期金利の上昇に伴いドルに調整の買い戻しが入っているが、ドルの弱い地合いは変わっていない。トランプ関税の不確実性や米早期利下げ観測及びトランプ政権の大型減税案による財政赤字の拡大がドルの重しとなっている。
本日は明日に6月米雇用統計を控え、6月ADP雇用データを確認。今週の4日は米市場が独立記念日の祝日で休場となり、雇用統計は明日に発表される予定だ。トランプ米大統領が米連邦準備制度理事会(FRB)に利下げ圧力を強めているほか、FRBメンバーからも7月の米国連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げを言及する発言が聞かれている中、利下げを巡り雇用データの注目度が増している。6月雇用統計では非農業部門雇用者数と平均時給、失業率、いずれも先月より弱い結果が見込まれている。
昨日に発表された、5月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数は予想外に増加し、昨年11月以来の高水準となったが、採用は減少傾向にあり、トランプ大統領が設定した「相互関税」上乗せ分の一時停止期限が迫る中、労働市場は減速に転じた兆候が強まっているとの見方が強い。
パウエルFRB議長は昨日に関税のインフレへの影響を見極めるために「待つ姿勢」を改めて表明するも7月の利下げ可能性については否定せず、7月FOMCでの利下げ検討が「早過ぎるとは言えない」との認識を示した。
・想定レンジ上限
ドル円、21日移動平均線(本日144.56円近辺)や日足一目均衡表・雲の下限(本日144.59円近辺)が位置する144円半ばが上値めど。その上は6月27日の高値144.95円を意識した節目の145円大台の攻防に注目。
・想定レンジ下限
ドル円、本日これまでの安値143.32円や昨日の安値142.68円が下値めど。
今晩は貿易交渉の進展や経済指標に注目。第3四半期入りした昨日は第2四半期に相場上昇をけん引したハイテク株に利益確定売りが強まった一方、ヘルスケアや生活必需品株などの同期間に大きくアンダーパフォームした銘柄が買われた。ユナイテッドヘルスやアムジェンが大幅高となり、ダウ平均が400.17ドル高(+0.91%)と4営業日続伸した一方、S&P500は0.11%安と4営業日ぶりに小幅反落。ハイテク株主体のナスダック総合は0.82%安と7営業日ぶりに反落した。6月ISM製造業PMIや5月JOLTS求人件数が予想を上回る強い結果となり、米10年債利回りは前日の4.226%から4.2455%に上昇した。
今晩の取引では貿易交渉の進展や経済指標をにらんでもみ合う展開か。トランプ米大統領の「相互関税」の90日間の猶予期限が来週9日に迫る中、主要貿易相手国との交渉の進捗が注目される。経済指標では、翌木曜日の6月雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率・平均賃金)の発表を控え、前哨戦となる6月ADP民間部門雇用者数が注目される。ADP民間部門雇用者数の市場予想は9.5万人増と5月の3.7万人増から増加が見込まれており、予想通りの結果となれば翌日の非農業部門雇用者数の好調期待が高まりそうだ。
今晩の米経済指標・イベントは6月ADP民間部門雇用者数のほか、MBA住宅ローン申請指数、EIA週間原油在庫など。主要な企業の決算発表はなし。
日経平均株価は続落。6/27の上昇で開けたマド埋め一巡後は下げ渋る展開となり、10日移動平均線(39294円 7/2)上で陽線を形成して終えた。
RSI(9日)は前日の67.3%→71.2%(7/2)に上昇。直近上昇の反動安の範ちゅうであり、引き続き見方は変わらない。4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇が続いている。10日移動平均線上から早々に反発できるかが注目される。
上値メドは、心理的節目の4万円、6/30高値(40852円)、昨年7/17安値(41054円)、心理的節目の42000円、昨年7/11安値(42102円)、昨年7/11高値(42426)、心理的節目の43000円などがある。下値メドは、10日移動平均線、心理的節目の39000円、25日移動平均線(38550円 同)、200日移動平均線(37978円 同)、6/13安値(37540円)、心理的節目の37000円などがある。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
オーストラリアに早くも利下げの「副作用」、金融政策と豪ドルの行方
RBAの「次の一手」は利下げだろうが、時期の後ズレが豪ドル相場を下支えすると見込まれる
オーストラリア準備銀行(RBA)は、インフレ鈍化を背景に今年2月と5月に利下げを実施するなど、金融政策を緩和方向に転換させている。足元のインフレ率はRBAの目標域内に収まるなど落ち着いており、雇用環境にも調整の兆しが出るなど、さらなる利下げを後押しする要因はある。その一方、利下げによる副作用として足元の不動産価格は上昇ペースを強めている。不動産価格は資産効果や貸し出し増を通じて新たなインフレ圧力を招く懸念がある。こうしたなか、金融市場では米トランプ政権の不透明な政策運営が米ドル安を招いており、豪ドルの対米ドル相場は底入れしている。今後もRBAは追加利下げに動くと見込まれるが、その時期の後ズレ観測が豪ドルの対米ドル相場を下支えする一因となる可能性は高まっている。
(2日終値:3日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=143.71円(2日15時時点比▲0.04円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=169.49円(△0.05円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1794ドル(△0.0007ドル)
FTSE100種総合株価指数:8774.69(前営業日比▲10.64)
ドイツ株式指数(DAX):23790.11(△116.82)
10年物英国債利回り:4.612%(△0.158%)
10年物独国債利回り:2.664%(△0.090%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月ユーロ圏失業率
6.3% 6.2%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ポンドは全面安。ポンドドルは一時1.3563ドルと日通し安値を付けたほか、ユーロポンドは0.8670ポンドと日通し高値を更新した。ポンド円も本日安値となる195.37円まで値を下げた。スターマー英首相が財政規律を堅持する方針を掲げるリーブス英財務相への全面的な支持について明言を避けると、リーブス氏の進退を巡る臆測が急速に高まり英国債相場が急落(利回りは上昇)。ポンドにも売りが集まった。
なお、英首相報道官は「リーブス英財務相が職を離れることはない。彼女は首相の全面的な支持を受けている点は、スターマー英首相が繰り返し明言している」と述べた。
・ドル円は一進一退。日本時間夕刻に一時144.25円と日通し高値を付けたものの、一目均衡表雲の下限144.59円がレジスタンスとして働くと伸び悩んだ。6月ADP全米雇用報告で政府部門を除く非農業部門雇用者数が3.3万人減と予想の9.5万人増を大幅に下回ったことが分かると一時143.49円付近まで下落した。
ただ、アジア時間に付けた日通し安値143.32円が目先サポートとして働くと買い戻しが優勢となり、144.15円付近まで持ち直した。米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.30%台まで上昇したことも相場を下支えした。
もっとも、NY午後に入ると再び弱含んだ。2時30分前には143.62円付近まで押し戻されている。
・ユーロドルは下値が堅かった。米長期金利の上昇などを手掛かりにユーロ売り・ドル買いが先行。21時前に一時1.1747ドルと日通し安値を付けた。ただ、この日発表の米雇用関連指標が予想より弱い内容だったことが分かるとユーロ買い・ドル売りが優勢に。2時30分前には1.1800ドル付近まで持ち直した。
・ユーロ円は明確な方向感に乏しい展開となった。日本時間夕刻に一時169.79円と日通し高値を付けたものの、6月30日に付けた約11カ月ぶりの高値169.89円がレジスタンスとして意識されると失速。22時前に一時169.04円と日通し安値を付けた。ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢となり169.54円付近まで持ち直した。
・ロンドン株式相場は小反落。スターマー英首相がリーブス英財務相への全面的な支持について明言を避けると、リーブス氏の進退を巡る臆測が急速に高まった。英株は続伸して始まったものの、中盤以降売りに押された。セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株が売られたほか、ナショナル・グリッドやSSEなど公共事業株が値下がりした。
・フランクフルト株式相場は3日ぶりに反発。米政策を巡る過度な懸念が後退し投資家心理が上向く中、買いが優勢となった。個別ではBMW(5.02%高)やダイムラー・トラック・ホールディング(3.74%高)、コメルツ銀行(3.03%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は下落。英財政悪化への懸念が再燃する中、債券売りが広がった。
2日の日経平均は続落。終値は223円安の39762円。1日の米国株は3指数がまちまちとなったが、朝方にトランプ大統領が日本に対する関税引き上げを示唆したことが伝わったことから、300円超下げて始まった。開始直後には下げ幅を500円超に拡大。ただ、節目の39500円を割り込んだところで売りが一巡した。
半導体株を中心に主力のグロース株が売られる一方、内需株には買いが入るという構図。前場では早いうちに下げ渋ったものの、戻りは鈍かった。しかし、後場に入ると大型グロース株にも持ち直すものが散見される中、下げ幅を縮小。2桁安となって前日終値に接近したところでは売り直されたものの、寄り付き(39631円)は上回って終え、ローソク足では陽線を形成した。プライムでは値上がり銘柄が多く、TOPIXは後場にプラス圏に浮上する場面もあった。一方、新興銘柄は弱く、グロース250指数は2%を超える下落となった。
東証プライムの売買代金は概算で4兆8400億円。業種別では不動産、空運、パルプ・紙などが上昇した一方、その他製品、機械、非鉄金属などが下落した。グループの経営ビジョンを発表したJR東日本<9020.T>が大幅上昇。半面、「すき家」の6月度月次が失望を誘ったゼンショーホールディングス<7550.T>が大幅に下落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり834/値下がり728。前日大きく下げたファーストリテイリングが、きょうは主力株が弱い中で堅調に推移した。トランプ関税リスクが意識される中でもトヨタやホンダなど自動車株が上昇。フジHDやダイキンなどに強い動きが見られた。証券会社のリポートを手がかりにフューチャーやタマホームが大幅高。「TikTok Shop」支援サービスに関するリリースが好感されたいつもがストップ高となった。
一方、投資家人気の高いグロース系の銘柄が弱く、アドバンテストやディスコなど半導体株の多くが大幅安。任天堂、コナミG、バンナムHDなどゲーム株の弱さも目立った。三菱重工、川崎重工、IHIの防衛大手3社がそろって大幅安。特別調査委員会の設置を発表したACSLがストップ安となった。
日経平均は下落したものの、買い意欲の強さが感じられる1日となった。安値は39444円までで、39500円を割り込んだところではすぐに切り返した。トランプ大統領の発言には引き続き注意が必要だが、関税が引き上げられるかもしれないといった話が出てきて大崩れしなかったことは、下値不安を和らげる。バッドシナリオを一応織り込んだとも言えるだけに、早期の4万円台回復にも期待が持てる。
今週は木曜に米6月雇用統計が発表される変則スケジュール。東京市場では金曜に結果を消化することになるため、あすは様子見姿勢が強まるとみる。本日の米国市場でナスダックが強ければきょう弱かったグロース株が見直され、ナスダックが弱ければきょう同様に内需優位となるだろう。指数に関しては、節目の39500円やきょうの安値39444円を下回ることなく推移できるかに注目しておきたい。
(2日終値)
ドル・円相場:1ドル=143.66円(前営業日比△0.24円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=169.49円(△0.16円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1799ドル(▲0.0007ドル)
ダウ工業株30種平均:44484.42ドル(▲10.52ドル)
ナスダック総合株価指数:20393.13(△190.24)
10年物米国債利回り:4.28%(△0.04%)
WTI原油先物8月限:1バレル=67.45ドル(△2.00ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3359.7ドル(△9.9ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
MBA住宅ローン申請指数
(前週比) 2.7% 1.1%
6月米企業の人員削減数
(前年比) ▲1.6% 47.0%
6月ADP全米雇用報告
▲3.3万人 2.9万人・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は3日ぶりに反発。日本時間夕刻に一時144.25円まで上昇した影響が残ったものの、NY市場では上値が重かった。6月ADP全米雇用報告で政府部門を除く非農業部門雇用者数が3.3万人減と予想の9.5万人増を大幅に下回ったことが分かると円買い・ドル売りが先行。21時30分前に一時143.49円付近まで下押しした。
アジア時間に付けた日通し安値143.32円が目先サポートとして働くと、いったんは144.15円付近まで下げ渋ったものの、NY午後に入ると再び弱含んだ。5時前には143.57円付近まで押し戻された。
・ユーロドルは10日ぶりに小反落。米長期金利の上昇などを手掛かりにユーロ売り・ドル買いが先行すると、21時前に一時1.1747ドルと日通し安値を付けた。ただ、この日発表の米雇用関連指標が予想より弱い内容だったことが分かるとユーロ買い・ドル売りが優勢となり、5時前に1.1803ドル付近まで持ち直した。
・ユーロ円は小反発。日本時間夕刻に一時169.79円と日通し高値を付けたものの、6月30日に付けた約11カ月ぶりの高値169.89円がレジスタンスとして意識されると失速。22時前に一時169.04円と日通し安値を付けた。ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢となり169円台半ばまで持ち直した。
・ポンドは全面安。ポンドドルは一時1.3563ドルと日通し安値を付けたほか、ユーロポンドは0.8670ポンドと日通し高値を更新した。ポンド円も本日安値となる195.37円まで値を下げた。スターマー英首相が財政規律を堅持する方針を掲げるリーブス英財務相への全面的な支持について明言を避けると、リーブス氏の進退を巡る臆測が急速に高まり英国債相場が急落(利回りは上昇)。ポンドにも売りが集まった。
ただ、英首相報道官が「リーブス氏が職を離れることはない」と述べ、「リーブス氏は首相の全面的な支持を受けている点は、首相が繰り返し明言している」と強調するとポンド売りは一服した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は5日ぶりに小反落。前日に約4カ月半ぶりの高値を付けたあとだけに利益確定目的の売りが出た。6月ADP全米雇用報告が予想を下回ったことも相場の重し。
一方、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は反発し、史上最高値で取引を終えた。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数も過去最高値を更新した。
・米国債券相場で長期ゾーンは続落。英国の歳出削減や増税を主導してきたリーブス英財務相の退任観測を背景に、英財政不安が高まると英国債相場が急落(利回りは上昇)。米国債にも売りが波及した。
・原油先物相場は続伸。イランのペゼシュキアン大統領が国際原子力機関(IAEA)との協力を停止する法律施行を発表。中東情勢の緊張が再び高まり、同地域からの供給が滞るとの思惑が原油相場を支援した。米エネルギー省(EIA)週間石油在庫(6/27時点)で原油在庫が+384.5万バレル(前週 -583.6万バレル)、ガソリン在庫も+418.8万バレル(前週 -207.5万バレル)と積み増しへ転じたことが上値を重くする場面もあったが、ほどなく持ち直した。
・金先物相場は3日続伸。明日に足もとの景況の行方を判断するための重要指標とされる米雇用統計の発表を控え、調整中心の動きだった。主要通貨に対してドルが上値重く推移したこともあって、ドル建て金相場の割安感が意識されやすかった。強い方向感はなかったものの、もみ合いから次第に買い戻し方向でポジション調整が進みやすくなった。
2日08:26 ベッセント米財務長官
「関税が米連邦準備理事会(FRB)に利下げを促さないことに戸惑いを感じている」
「FRBは、9月までには利下げに踏み切ると予想している」
2日15:23 石破首相
「米国の対日貿易赤字を減らす」
「日本は米国に最大の投資・雇用創出、他国とは違う」
2日16:46 センテノ・ポルトガル中銀総裁
「インフレが目標を下回るリスクの方が、上回るリスクよりも大きい」
「現時点で利下げを急ぐつもりはない」
「ユーロ高は世界的な動向の反映であり、強いユーロは欧州への投資を呼び込む」
「ユーロ圏経済は依然として回復力が弱く、安定的な2%インフレを生み出すには不十分」
2日17:50 レーン・フィンランド中銀総裁
「ECBはインフレ率が2%の目標を持続的に下回るリスクにも注意を払うべき」
2日19:10 赤沢経済再生相
「真摯かつ精力的な協議を続けていきたい」
「今週末の訪米について、訪米の可能性は否定できないが具体的に予定決まっていない」
「譲れない国益があるからパッケージとして一致に至っていない」
「7月9日は一つの節目、念頭に置いて協議望んでいるが早期合意優先して国益損なってはならない」
2日19:14 テイラー英中銀金融政策委員会(MPC)委員
「QT(量的引き締め)は依然として検討中の課題」
「イギリスの中立金利は2.75-3%程度と見ている」
「2025年には5回の利下げが必要だと考えている」
「2026年には需要の弱さや貿易混乱の拡大により、下振れシナリオの可能性が高いと考えている」
「労働市場にひび割れ(悪化の兆し)が見え始めている」
「インフレ圧力は逆方向に傾きつつある」
「経済にはスラック(需給の緩み)やアウトプットギャップがある」
「すべてを考慮する必要があり、金利はあらかじめ決まった道筋ではない」
「大幅な利下げが必ずしも必要、望ましいとは思わない」
「インフレが目標を下回るリスクを懸念している」
「金利のソフトランディング(穏やかな着地)はリスクにさらされている」
2日19:19 ウンシュ・ベルギー中銀総裁
「市場の金利見通しに対して不安は感じていない」
2日21:43 トランプ米大統領
「私はすべての手段を握っており、すべての切り札を持っている」
「私はニューヨーク市を救い、熱く偉大な街に再び蘇らせる」
2日23:29
「ベトナムと貿易ディールをとりまとめた」
「ベトナムからの輸入品に20%の関税を賦課」
「ベトナムは米国製品に0%の関税を課す」
3日04:52 バーキン米リッチモンド連銀総裁
「失業率の変化を注視」
「現時点で政策変更の緊急性はない」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○10:30 ◇ 高田創日銀審議委員、あいさつ
○参院選公示
○連合、2025年春闘の最終集計結果を公表
<海外>
○10:30 ◇ 5月豪貿易収支(予想:50.00億豪ドルの黒字)
○10:45 ◎ 6月Caixin中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI、予想:50.9)
○15:30 ◎ 6月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比横ばい)
○16:00 ◎ 6月トルコCPI(予想:前月比1.50%/前年比35.25%)
○16:50 ◎ 6月仏サービス部門PMI改定値(予想:48.7)
○16:55 ◎ 6月独サービス部門PMI改定値(予想:49.4)
○17:00 ◎ 6月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:50.0)
○17:30 ◎ 6月英サービス部門PMI改定値(予想:51.3)
○20:30 ☆ 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(6月5日分)
○21:30 ◇ 5月カナダ貿易収支(予想:59.8億カナダドルの赤字)
○21:30 ◎ 5月米貿易収支(予想:710億ドルの赤字)
○21:30 ☆ 6月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化11.0万人/失業率4.3%/平均時給、前月比0.3%/前年比3.8%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:24.1万件/196.2万人)
○22:45 ◎ 6月米サービス部門PMI改定値(予想:53.1)
○22:45 ◎ 6月米総?⑰MI改定値(予想:52.8)
○23:00 ☆ 6月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:50.6)
○23:00 ◎ 5月米製造業新規受注(予想:前月比8.2%)
○24:00 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○米株式・債券市場は短縮取引(独立記念日の前営業日)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
2日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、6月ADP全米雇用報告で政府部門を除く非農業部門雇用者数が3.3万人減と予想の9.5万人増を大幅に下回ったことで、欧州序盤の高値144.25円から143.49円付近まで下押しした。ユーロドルは、米長期金利の上昇を受けて1.1747ドルまで下落後、1.1803ドル付近まで持ち直した。ポンドドルはリーブス英財務相の進退を巡る臆測から英国債相場が急落したことで、一時1.3563ドルまで下落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、トランプ米大統領が対日相互関税率の引き上げの可能性を警告していることや米6月雇用統計の悪化見通しなどから、上値の重い展開が予想される。
米6月雇用統計の予想は、失業率が4.3%で、5月の4.2%から上昇。非農業部門雇用者数は前月比+11.0万人で、5月の同比+13.9万人からの増加幅の減少が見込まれている。
米6月の雇用統計の前哨戦である6月ADP全米雇用報告は前月比3.3万人減、ISM製造業「雇用」指数は45.0(※5月:46.8)と悪化していることで、ネガティブサプライズに警戒しておきたい。
予想通りに雇用情勢の悪化が確認された場合、トランプ米大統領によるパウエルFRB議長への利下げ圧力がさらに強まることで、ドル円の上値を抑えることになる。
また、パウエルFRB議長は、先日の「欧州中央銀行(ECB)フォーラム」で、7月利下げは早過ぎるかとの質問に対しては「検討は会合ごとに行われる」と回答し、7月利下げの可能性を排除しなかった。
6月24、25日の議会証言では「インフレが予想を下回る、ないしは労働市場が悪化した場合は、FOMCはより早期に利下げに踏み切る可能性がある」とも述べており、6月の消費者物価指数(CPI)なども合わせて、7月29-30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けて予断を許さない状況が続くことになる。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、7月FOMCでの0.25%の利下げ確率は、昨日の20%程度から25%程度に上昇している。
また、トランプ米大統領が明日の独立記念日までの署名を目論んでいた税制・歳出削減法案「大きくて美しい法案」は、上院(共和党:53議席・民主党47議席)でバンス副大統領の決定票により51対50で可決し、下院で審議、採決されることになっている。
しかし、米下院の財政保守派(フリーダム・コーカス)が法案成立に難色を示していることで、関連ヘッドラインに警戒しておきたい。
10時30分からの高田日銀審議委員のあいさつでは、日本の消費者物価指数(CPI)や日銀短観を受けての利上げ時期への言及に注目しておきたい。
東京市場は小動きか。米国株はまちまち。ダウ平均が下落した一方、S&P500とナスダックは上昇した。ダウ平均は10ドル安の44484ドルで取引を終えた。6月ADP民間部門雇用者数が雇用の弱さを示す結果となったことが重荷となった一方、トランプ米大統領がベトナムと20%の輸入関税で合意したと表明したことは支えとなった。物色ではエヌビディアなど半導体株などが買われた一方、ヘルスケア株が大きく売られている。CME225先物は円建てが75円安の39715円、ドル建てが10円高の39800円で取引を終えた。
本日は米6月雇用統計の発表日で、これを前に米3指数の方向がそろわなかったことから、日本株は動きづらい展開を予想する。米国で半導体株が強かったことから、グロース株にはプラスの影響が見込まれる。ただ、買いが優勢になったとしても、4万円に接近すればリスク回避の売りが出てくるだろう。強気にも弱気にも傾きづらく、場中は一進一退が続くと予想する。日経平均の予想レンジは39600-39950円。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 39740 -50 (-0.12%)
TOPIX先物 2823.0 -4.0 (-0.14%)
シカゴ日経平均先物 39715 -75
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
2日の米国市場はNYダウが小幅に下落した一方で、 S&P500、ナスダックは上昇。6月の米ADP雇用統計で民間雇用者数は3万3000人減少した。10万人近い増加を見込んでいた予想に反して減少したことで、3日発表の6月の米雇用統計が下振れするとの見方が重荷になった。ただし、関税交渉を巡って米政権がベトナムと合意に達したと発表し、関税に関する市場の懸念が後退したことは支えになった。
医療保険のセンティーン<CNC>が通期見通しを取り下げるとの発表が嫌気され40%を超える急落となったことで、前日に強い動きが目立っていたユナイテッドヘルス・グループ<UNH>に売りが波及した。半面、前日に下げが目立ったテスラ<TSLA>は、4-6月期の世界販売が予想ほど落ち込まなかったとして買い戻されたほか、エヌビディア<NVDA>などハイテク株の一角が反発し、S&P500、ナスダックは最高値を更新。
S&P500業種別指数は自動車・同部品、半導体・同製造装置、テクノロジー・ハード・機器が上昇した一方で、ヘルスケア機器・サービス、保険、商業サービス・用品の弱さが目立った。NYダウ構成銘柄ではエヌビディアのほかナイキ<NKE>、アップル<AAPL>、アムジェン<AMGN>、キャタピラー<CAT>が買われた。半面、ユナイテッドヘルス・グループのほか、トラベラーズ<TRV>、IBM<IBM>、コカ・コーラ<KO>、セールスフォース<CRM>が軟調。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比75円安の3万9715円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比30円安の3万9760円で始まった。直後につけた3万9790円を高値にショート優勢となり、米国市場の取引開始直前には3万9570円まで売られる場面もみられた。売り一巡後は下げ渋り、3万9640円~3万9760円辺りで保ち合い、3万9740円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや売り先行で始まりそうだ。ただし、米国市場では前日に弱い値動きが目立っていたハイテク株を買い戻す動きとなったことで、アドバンテスト<6857.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株の買い戻しが意識されやすく、日経平均型の支援材料になりそうだ。
日経225先物はナイトセッションで小動きだったが、ボリンジャーバンドの+1σ(3万9450円)と+2σ(4万0300円)によるレンジ内での推移を継続。+1σが支持線となることで、同バンドに接近する局面では押し目狙いのロング対応に向かわせよう。
米雇用統計の発表を控えるほか、9日に期限を迎える日米通商交渉の行方も不透明なため積極的なロングの動きは限られそうだ。ただし、日経225先物は6月30日の4万0870円をピークに、+3σ突破の水準から足もとで+1σまで調整したことで過熱感は和らいでおり、トランプ発言に対する耐性もみられるなかではショートを仕掛けにくくさせよう。
日経225先物は+1σでの底堅さを見極めつつ、オプション権利行使価格の3万9500円から4万円のレンジを想定。可能性は低いが+1σを割り込んでくると、節目の3万9000円や25日移動平均線が位置する3万8590円辺りをターゲットとしたショートの動きが強まる展開も意識しておきたい。
2日の米VIX指数は16.64(1日は16.83)に低下した。ただし、25日線(18.30)、200日線(19.66)を明確に割り込んで推移していることで、リスク選好の動きは変わらない。米雇用統計の結果次第で短期的に25日線を捉えてくる場面はありそうだが、ボトム圏での推移が続くなかで方向性としては2月14日の14.74辺りが射程に入っているとみておきたい。
昨日のNT倍率は先物中心限月で14.07倍に低下した。一時13.99倍に低下する場面もみられており、200日線(14.04倍)を割り込んできた。ただし、+1σ(13.99倍)まで下げたことでNTショートの動きは落ち着き、その後はNTショートの巻き戻しも入ったとみられ、200日線を上回って終えている。米ハイテク株高の流れもあり、再びNTロングに向かう可能性はありそうだ。
■各社予想 6月米非農業部門雇用者数
JPモルガン +12.5万人
第一生命経済研究所 +12.8万人
ドイツ証券 +10.0万人
バークレイズ・キャピタル +10.0万人
BNPパリバ +12.5万人
HSBC +11.0万人
モルガン・スタンレー +14.0万人
市場コンセンサス +11.0万人
前回 +13.9万人
■各社予想 6月米失業率
JPモルガン 4.3%
第一生命経済研究所 4.3%
ドイツ証券 4.3%
バークレイズ・キャピタル 4.2%
BNPパリバ 4.2%
HSBC 4.3%
モルガン・スタンレー 4.2%
市場コンセンサス 4.3%
前回 4.2%
■各社予想 6月米平均時給(前月比)
JPモルガン +0.3%
第一生命経済研究所 +0.4%
ドイツ証券 +0.3%
バークレイズ・キャピタル +0.3%
BNPパリバ +0.3%
HSBC +0.3%
モルガン・スタンレー +0.3%
市場コンセンサス +0.3%
前回 +0.4%
■各社予想 6月米平均時給(前年比)
JPモルガン +3.9%
第一生命経済研究所 +4.0%
バークレイズ・キャピタル +3.9%
BNPパリバ +3.8%
HSBC +3.9%
市場コンセンサス +3.8%
前回 +3.9%
昨日のドル円は、引き続き方向感のない動き。欧州時間は米長期金利の上昇につれて買い戻しが先行。前日1日の高値144.08円を上抜けると一時144.25円まで値を上げる場面もみられましたが、NY時間に入って6月ADP全米雇用報告が予想の9.5万人を大幅に下回る▲3.3万人となると143.49円まで急落。ただ、アジア時間の安値143.32円が目先の目処として意識されたほか、米10年債利回りが4.2592%まで低下した直後から一転して4.3063%まで上昇幅を広げるなか144.15円まで買い戻されました。引けにかけては再び143.57円まで下押ししてNY市場を終えています。アジア時間に入ってからは一時143.45円まで下押す場面もみられましたが、その後は再び143.76円と早朝の高値に面合わせするなど、神経質な動きが続いています。
いずれにしても、市場では「昨日のADPがマイナスになったこともあり、今夜の米雇用統計での注目度が上がっている」との声も聞かれていますが、一方で「ADPへの信頼感はかなり低い」のも実証済み。市場では「これまでにも何度となく裏切られてきた」という認識が強く、朝令暮改の発言を繰り返すトランプ米大統領への信頼感と同様に、実際のところは「あまりあてにしていない」のが実際。改めて今夜の数字を確認することになります。
また、市場ではユーロドルが昨日まで8営業日続いた前日高値の更新が止まり、相場のリズムとしては一旦崩れたことが話題。相場付きの変化に注意したいところです。ドル円は、1日の安値142.68円を目先の底値として意識するなか、買い戻しの目処を見極めているところです。
日経225先物は11時30分時点、前日比30円安の3万9760円(-0.07%)前後で推移。寄り付きは3万9760円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万9715円)にサヤ寄せする形から、やや売りが先行して始まった。現物の寄り付き直後につけた3万9670円を安値に押し目狙いのロングが優勢となり、中盤にかけて3万9870円とプラス圏を回復する場面もみられた。ただし、積極的な上値追いの流れにはならず、終盤にかけては3万9680円~3万9760円辺りでの推移となった。
米国市場の流れを引き継ぐ形から指数インパクトの大きい値がさハイテク株が買われたことで、日経225先物は売り一巡後にロングを誘う形になったようだ。ボリンジャーバンドの+1σ(3万9450円)が支持線として意識されており、ショートを仕掛けにくくさせている。もっとも、上値も限られており、オプション権利行使価格の3万9625円から3万9875円での狭いレンジでの推移であり、スキャルピング中心のトレードにとどまっている。
NT倍率は先物中心限月で14.08倍に上昇した。200日移動平均線(14.04倍)を上回っての推移であり、小動きではあるがNTショートを巻き戻す動きに向かわせているようだ。日経平均株価は膠着感の強い値動きであるが、東京エレクトロン<8035.T>[東証P]やアドバンテスト<6857.T>[東証P]、ファーストリテイリング<9983.T>[東証P]がプラス圏で推移しており、NTロングでのスプレッド狙いに向かわせそうだ。
「法案は完全に狂気で破壊的であり、国家債務を大幅に増加させ、政府効率化省(DOGE)によって達成した節約効果を帳消しにする」(イーロン・マスク氏)
1. 米国債格付けの市場評価
2025年5月16日、S&Pグローバルが米国債の格付けを「AAA(トリプルA)」から引き下げて「米国債ショック」で市場を震撼させて14年、格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが米国に残されていた最後の「AAA(トリプルA)」格付けを剥奪した。
S&Pグローバルの「Capital IQ」モデルでは、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場の価格に基づき、米国債格付けを現行水準より6段階低い「BBB+(トリプルBプラス)」に相当する、すなわち、かろうじて投資適格級にとどまる水準だと示唆している。
2.トランプ税制・歳出法案(Big Beautiful Bill)「一つの大きく美しい法案」
トランプ米大統領は、7月4日の独立記念日に、看板政策である大型税制・歳出法案(Big Beautiful Bill)への署名を目論んでいる。
米議会予算局(CBO)によると、大型税制・歳出法案は、約3.3兆ドルの財政赤字をもたらし、米国の債務残高を2年以内に40兆ドルに押し上げると試算されている。
すなわち、「Big Beautiful Bill」は、米国債の格付けを「BBB」に陥れるトリプルB(BBB)法案になるらしい。
3. 米上院共和党の粉飾策
米上院共和党は、トランプ大統領の看板政策である減税措置の延長にかかるとされる3兆8000億ドルの推定コストについて、異例の会計手法「現行政策ベースcurrent policy baseline」を用いて実質的に帳消しにする計画を進めている。
米議会の税制合同委員会によると、第1次トランプ政権で導入された減税措置を延長するためのコストは3兆8000億ドルに上る。一方で、法案に含まれるその他の税制関連条項のコストは約6930億ドルにとどまり、第2次トランプ政権の公式コストには後者の約6930億ドルのみが反映されている。
6月30日、上院共和党は、減税延長の費用をゼロと見なすことに賛成票を投じた。
7月1日、上院(共和党:53議席・民主党47議席)は、共和党議員3名の造反があったものの、バンス副大統領の決定票により51対50で可決した。
4. 保守派グループ「フリーダム・コーカス(Freedom Caucus)」
米下院共和党には、フリーダム・コーカス(Freedom Caucus)と呼ばれる、保守的あるいはリバタリアン的な下院議員によって成る自由議員連盟が居座り、減税・緊縮財政を標榜している。
米下院共和党のフリーダム・コーカスは、米上院共和党の奇策である減税コストゼロに反旗を翻さないのだろうか。
本日のロンドン為替市場では、英国の長期債市場を見定めながらの値動きか。昨日は(財政規律の堅持方針を掲げる)リーブス英財務相の退任観測を受け、英長期債に売り圧力が強まった(金利は上昇)。前日に4.45%台で終えた英10年債利回りは一時4.63%台まで急騰し、これを受けて為替ではポンドが急落した。
スターマー英首相が率いる労働党政権は、公約に社会保障改革を掲げていた。しかしながら今開かれている議会で、改革の重要部分である「福祉予算の50億ポンド削減案」を労働党議員らが撤回に追い込んだ。
リーブス財務相は財政赤字の抑制を目指していたが、社会保障改革の遅れにより英財政悪化への懸念が高まった。そういったなか、スターマー英首相がリーブス氏への全面的な支持について明言を避けたことが、英債券市場を混乱に陥れた。
その後、英首相サイドはリーブス氏の全面支援を表明。オセアニア時間にも、スターマー首相が強い関係性を訴え、「リーブス氏は今後何年も財務相を務める」との発言も伝わった。しかしながら、ポンドの主要通貨に対する売りは止んだとはいえ、上値はまだ重いと言える。
これからリーブス財務相の続投が明らかになったとしても、社会保障改革の核となる部分が抜け落ちるとなれば、債券市場の参加者は警戒感を高めたままだろう。いずれにせよ、英長期債の不安定な動きは続きそうであり、ポンドも神経質に上下する展開となりそうだ。
他、欧州の6月サービス部門購買担当者景気指数(PMI)が発表されるが、こちらは改定値。また、同月5日分の欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨も公表されるものの、その1時間後に発表される6月米雇用統計に市場の目は向くだろう。
想定レンジ上限
・ポンドドル、昨日高値1.3753ドル
・ユーロドル、2021年9月10日高値の1.1851ドル
想定レンジ下限
・ポンドドル、6月24日安値1.3506ドル
・ユーロドル、6月30日安値1.1708ドル
ドル円:1ドル=143.86円(前営業日NY終値比△0.20円)
ユーロ円:1ユーロ=169.69円(△0.17円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1796ドル(▲0.0003ドル)
日経平均株価:39785.90円(前営業日比△23.42円)
東証株価指数(TOPIX):2828.99(△2.95)
債券先物9月物:138.97円(▲0.15円)
新発10年物国債利回り:1.440%(△0.015%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
対外対内証券売買契約等の状況(前週)
対外中長期債
1828億円の取得超 6151億円の所得超・改
対内株式
6513億円の取得超 5241億円の処分超・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は下値が堅い。朝方に一時143.45円まで下押ししたものの、一巡後は下値を切り上げる展開となった。本邦実需勢の買いが観測されたほか、タカ派よりで知られる高田日銀審議委員が「年内の利上げの可能性は、予断をもって語るべきではない」と発言したことも円売りを誘い、一時143.93円まで値を上げた。
・ユーロ円は小高い。ドル円の上昇につれて円売り・ユーロ買いが散見され、一時169.76円まで上げた。また、ポンド円は196.37円、スイスフラン円は181.90円まで上昇している。
・ユーロドルは小動き。今晩に6月米雇用統計を控えているとあって売買は手控えられ、1.18ドルを挟んだもみ合いが続いた。
・日経平均株価は3営業日ぶりに小反発。前日の米ハイテク株高を受けて半導体関連株に買いが入った半面、日米通商交渉への不透明感は根強く、上値も限られた。
・債券先物相場は続落。30年債入札が弱い内容だったことを受けて債券売りが散見され、一時138.86円まで下落した。
連合が2025年春闘の最終回答集計結果を発表し、平均賃上げ率は5.25%と2024年の5.10%から上昇した。
大阪9月限
日経225先物 39720 -70 (-0.17%)
TOPIX先物 2826.5 -0.5 (-0.01%)
日経225先物(6月限)は前日比70円安の3万9720円で取引を終了。寄り付きは3万9760円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万9715円)にサヤ寄せする形からやや売りが先行して始まった。現物の寄り付き直後につけた3万9670円を安値に押し目狙いのロングが優勢となり、前場中盤にかけて3万9870円とプラス圏を回復する場面もみられた。ただし、積極的な上値追いの流れにはならず、前場終盤にかけては3万9680円~3万9760円辺りでの推移となった。
午後に入りレンジを上抜けて3万9820円まで下げ幅を縮めたが、その後は終盤にかけてじりじりと値を下げ、3万9650円と朝方につけた安値を下回る場面もみられた。なお、現物の大引け時に3万9770円まで下げ幅を縮める動きがあったが、株価指数の銘柄入れ替えに絡んだ売買による影響とみられる。
米国市場の流れを引き継ぐ形で指数インパクトの大きい値がさハイテク株が買われたことで、日経225先物は売り一巡後にロングを誘う形になったようだ。ボリンジャーバンドの+1σ(3万9450円)が支持線として意識されており、ショートを仕掛けにくくさせている。もっとも、上値も限られており、オプション権利行使価格の3万9625円から3万9875円の狭いレンジでの推移であった。
+1σはナイトセッションで3万9530円、+2σは4万0400円辺りに上昇している。引き続き+1σでの底堅さを見極めつつ、押し目狙いのロング対応に向かわせそうである。米国では6月の雇用統計が発表される。前日のADP雇用統計では民間雇用者数が予想外に減少したことで、雇用統計も下振れが警戒されていた。そのため、イベント通過後は自律反発狙いのロングに向かわせる可能性もあろう。
また、4日の米国市場は独立記念日の祝日で休場となるため、明日は海外勢のフローが限られる。短期的なトレードが中心になるとみられ、荒い値動きをみせくる局面ではその後のカバー狙いとなりそうだ。オプション権利行使価格の3万9500円から4万円のレンジを想定しておきたい。
NT倍率は先物中心限月で14.05倍に低下した。一時14.10倍まで上昇する場面もみられたが、午後に入りNTショートが優勢となり、14.02倍まで下げて200日移動平均線(14.04倍)を下回る場面もあった。東京エレクトロン<8035.T>[東証P]やアドバンテスト<6857.T>[東証P]がプラス圏で推移し、日経平均型を支えるなか、午後に入りローテーションとみられる動きから自動車や鉄鋼株への買いが目立ち、相対的にTOPIX型優位になった。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万7326枚、ソシエテジェネラル証券が1万2912枚、サスケハナ・ホンコンが3698枚、野村証券が3124枚、JPモルガン証券が2743枚、バークレイズ証券が2449枚、SBI証券が2219枚、みずほ証券が1743枚、モルガンMUFG証券が1642枚、SMBC日興証券が1441枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が2万1861枚、ソシエテジェネラル証券が1万8656枚、バークレイズ証券が1万0376枚、ゴールドマン証券が4845枚、モルガンMUFG証券が4232枚、JPモルガン証券が3957枚、UBS証券が1544枚、ビーオブエー証券が1517枚、野村証券が1372枚、みずほ証券が944枚だった。
本日のNY時間ではドル円は、米雇用統計の結果に連れる展開になるだろう。6月の同指標は、失業率が4.3%で、5月の4.2%から上昇。非農業部門雇用者数は前月比+11.0万人で、5月の同比+13.9万人からの増加幅の減少が見込まれている。
今月発表された6月の米雇用関連指標では、昨日発表された6月ADP全米雇用報告は予想の+9.5万人や前回の+2.9万人より下回る-3.3万人となった。また前々日に発表されたISM製造業雇用指数も悪化するなど、弱い結果が目立っている。雇用統計も同様に市場予想を下回ることになれば、7月の利下げ期待が高まりドル安・円高に動きそうだ。
雇用統計以外では、引き続き米予算や関税関連の報道に注目。米上院でトランプ氏の大型減税法案を可決されたが、法案は修正されているため、下院で再び採決が行われる。議会予算局(CBO)の試算では、上院の修正案により財政悪化が10年間で3.3兆ドルと前回下院で可決された案の2.4兆ドルを大幅に上回るとされている。この修正案が下院で可決された場合は、5月中旬に起こった米国のトリプル安相場が再燃する可能性がある。トランプ政権は明日4日の独立記念日までに議会通過を目指しているとされているが、思惑通りに事が進むか注目される。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、2日高値144.25円。その上は6月30日高値で日足一目・雲下限も位置する144.76円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値は、2日安値143.32円。割り込めば1日安値142.68円。
トランプ米大統領とゼレンスキー・ウクライナ大統領の電話会談が4日に行われる予定とフィナンシャルタイムズ紙が報じた。
今晩は6月雇用統計などの米経済指標に注目。昨日はダウ平均が10.52ドル安(-0.02%)とわずかながら5営業日ぶりの反落となった一方、S&P500が0.47%高、ナスダック総合が0.94%高とともに反発した。S&P500は取引時間中と終値の史上最高値を更新し、ナスダック総合も終値の最高値を更新した。6月ADP民間部門雇用者数が予想に反して減少し、景気減速懸念を強めた一方、それにより早期利下げ期待が高まったことや、トランプ米大統領がベトナムと20%の輸入関税で合意したと発表したことが好感された。
今晩は翌金曜日が独立記念日の祝日のため休場で、今晩の取引も午後1時までの短縮取引となるが、6月雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率・平均賃金など)、新規失業保険申請件数、6月ISM非製造業PMIなど注目度の高い経済指標が一度に発表され、指標結果を受けた利下げ見通しや景況感が焦点となりそうだ。昨日の6月ADP民間部門雇用者数が予想に反して減少したことで今晩の雇用統計の下振れが警戒される。非農業部門雇用者数(NFP)の市場予想は11.0万人増と5月の13.9万人増から減少が見込まれているが、予想以上の大幅減となれば、景気後退(リセッション)懸念が強まることが警戒される。雇用を巡っては同時刻に発表される新規失業保険申請件数も注目されるほか、景景況感を巡っては6月ISM非製造業PMIにも要注目となる。
今晩の米経済指標・イベントは6月雇用統計、新規失業保険申請件数、6月ISM非製造業PMIのほか、5月貿易収支、6月S&Pグローバル総合・サービス業PMI確定値、5月耐久財受注改定値、5月製造業新規受注など。主要な企業の決算発表はなし。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
ベトナムが米国との通商協議で合意
アジア新興国での協議の「ベンチマーク」となり、「不平等」な合意が罷り通るリスクも
トランプ米大統領は2日、ベトナムとの関税交渉で合意に達したと発表した。米国はベトナムからの輸入品に20%、第三国からの経由製品に40%の関税を課す一方、ベトナムは米国製品への関税をゼロとすることで合意したとしている。これは極めて不平等な内容であるが、ベトナム経済は対米輸出への依存度が極めて高く、経済成長率目標実現のハードルを下げる観点から受け入れざるを得なかったと捉えられる。
一方、この合意はASEAN諸国など他のアジア諸国の関税交渉に影響を与える可能性がある。ベトナムの20%という水準が今後の基準となることで、他国がより低い関税を引き出すことは困難になるであろう。また、米国が自動車や鉄鋼・アルミ製品に課す追加関税については譲歩しておらず、交渉余地が限られることを意味する。さらに、中国はこの合意に反発する可能性があり、ベトナムは米中両国との関係で板挟みとなるリスクを抱える。今回の合意は、トランプ関税をきっかけに米国の「グローバルサウス」と称される新興国への影響力低下が懸念されるなか、新たな緊張をもたらすきっかけとなる可能性に要注意である。
(3日終値:4日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=145.07円(3日15時時点比△1.21円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=170.51円(△0.82円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1754ドル(▲0.0042ドル)
FTSE100種総合株価指数:8823.20(前営業日比△48.51)
ドイツ株式指数(DAX):23934.13(△144.02)
10年物英国債利回り:4.542%(▲0.070%)
10年物独国債利回り:2.615%(▲0.049%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月スイス消費者物価指数(CPI)
前月比 0.2% 0.1%
6月仏サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値
49.6 48.7
6月独サービス部門PMI改定値
49.7 49.4
6月ユーロ圏サービス部門PMI改定値
50.5 50.0
6月英サービス部門PMI改定値
52.8 51.3
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は上昇。6月米雇用統計の発表を控えてしばらくはもみ合いの展開が続いたものの、指標結果が伝わると一時145.23円まで急伸した。米労働省が発表した6月米雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比14.7万人増と予想の11.0万人増を上回り、失業率は4.1%と予想の4.3%より強い内容となった。米労働市場の減速に対する懸念が後退すると、米長期金利の上昇とともにドル買いが優勢となった。
なお、市場では「前日に発表された6月ADP全米雇用報告で政府部門を除く非農業部門雇用者数が3.3万人減と予想の9.5万人増を大幅に下回ったことで、雇用統計の下振れが懸念されていたが、良好な結果を受けて投資家の間で買い安心感が広がった」との声が聞かれた。
・ユーロドルは下げ渋り。良好な米雇用統計をきっかけにユーロ売り・ドル買いが先行すると一時1.1718ドルと日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。欧米株価の上昇を背景にリスク・オンのユーロ買い・ドル売りが入ると、23時過ぎに1.1790ドル付近まで持ち直した。
もっとも、23時発表の6月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数は50.8と予想の50.6を若干上回ると上値が重くなった。
・ユーロ円は堅調。欧米株価の上昇を背景に投資家のリスク志向が改善すると円売り・ユーロ買いが優勢となった。23時過ぎに一時170.61円と昨年7月以来約1年ぶりの高値を更新した。
ユーロ円以外のクロス円も堅調だった。ポンド円は一時198.10円、豪ドル円は95.37円、NZドル円は88.05円、カナダドル円は107.03円、スイスフラン円は182.46円、メキシコペソ円は7.79円まで値を上げた。
・ロンドン株式相場は反発。スターマー英首相が「リーブス氏は今後何年も財務相を務める」と発言したことを受けて、英財政不安が緩和。英国債相場は反発(利回りは低下)し、英株には買い戻しが入った。ナショナル・グリッドやSSEなど公共事業株が買われたほか、バークレイズなど金融株が値上がりした。
・フランクフルト株式相場は続伸。6月米雇用統計の発表を控えてしばらくはもみ合いの展開が続いた。米雇用統計の結果が伝わると米国株が堅調に推移し、独株にも買いが波及した。個別ではコメルツ銀行(2.44%高)やヘンケル(2.03%高)、SAP(2.02%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は上昇。英財政不安が緩和したことで英国債相場に買い戻しが入った。
3日の日経平均は3日ぶり反発。終値は23円高の39785円。まちまちの米国株を受けて小幅高スタート。場中は方向感に乏しく、プラス圏とマイナス圏を行き来した。マイナス圏に沈んでも下げ幅を3桁に広げることはなかった。一方、プラス圏に浮上しても上げ幅を3桁に広げると戻り売りに押された。小幅安で前場を終えると、後場はマイナス圏で推移する時間が長かった。引け間際に下げ幅を広げて安値圏でクロージングオークションに入ったが、大引けにかけては買いが入り、小幅なプラスで終えた。
東証プライムの売買代金は概算で5兆0300億円。業種別では鉄鋼、非鉄金属、輸送用機器などが上昇した一方、情報・通信、倉庫・運輸、建設などが下落した。日産自動車<7201.T>、マツダ<7261.T>、三菱自動車<7211.T>など自動車株の一角が大幅上昇。半面、1Qが減益着地となったダイセキ<9793.T>が大幅に下落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり827/値下がり735。出遅れ感のある業種に資金が向かっており、日本製鉄、JFE、神戸鋼の鉄鋼大手3社がそろって大幅上昇。三菱マテリアル、住友鉱山、DOWAなど非鉄株の動きが良かった。足元強い半導体株も、ソシオネクストやSCREENなどが大幅上昇。西友株の取得を完了したと発表したトライアルHDが急伸した。
一方、良品計画が月次を材料に商いを伴って大幅安。主力どころではサンリオや三菱重工が弱かった。株主総会を通過した辺りから騰勢を強めていたフジHDが一転崩れて7%安。スクエニ、バンナム、コナミGなどゲーム株への売りが続いた。
日経平均は3日ぶり反発。値幅はそれほど出ず、様子見姿勢の強い地合いが続いた。本日は米国で6月雇用統計が発表される。米国は金曜4日が独立記念日で休場となるため、あすの日本株は上でも下でも振れ幅が大きくなる可能性がある点には留意したい。
米雇用統計に関しては、弱い結果となって早期の利下げ期待が高まるというのが株式市場には歓迎されるシナリオとなりそうだが、弱すぎると米国の景気悪化に対する警戒が高まるリスクもある。米国株は上昇基調が続く中で三連休を迎えるだけに、雇用統計が利益確定売りの材料にされる可能性もあり、反応は読みづらい。
日本株を見る上では為替が重要となる。利下げ期待が高まっても、米長期金利が大きく低下してドル安・円高が加速してしまうと手がけづらさが意識される。きょう鉄鋼株や自動車株などが買われたところを見ると物色意欲は引き続き旺盛で、それほど円高が進まなければ売り急ぎは手控えられそう。きょうの終値は39785円で4万円乗せも高いハードルではないだけに、米雇用統計が日本株の買い材料となることに期待したい。
(3日終値)
ドル・円相場:1ドル=144.93円(前営業日比△1.27円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=170.39円(△0.90円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1757ドル(▲0.0042ドル)
ダウ工業株30種平均:44828.53ドル(△344.11ドル)
ナスダック総合株価指数:20601.10(△207.97)
10年物米国債利回り:4.34%(△0.06%)
WTI原油先物8月限:1バレル=67.00ドル(▲0.45ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3342.9ドル(▲16.8ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月米貿易収支
715億ドルの赤字 603億ドルの赤字・改
6月米雇用統計
失業率 4.1% 4.2%
非農業部門雇用者数変化
14.7万人 14.4万人・改
平均時給
(前月比) 0.2% 0.4%
(前年比) 3.7% 3.8%・改
前週分の米新規失業保険申請件数
23.3万件 23.7万件・改
6月米サービス部門PMI改定値
52.9 53.1
6月米総?⑰MI改定値
52.9 52.8
6月米ISM非製造業指数
50.8 49.9
5月米製造業新規受注
(前月比) 8.2% ▲3.9%・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は続伸。米労働省が発表した6月米雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比14.7万人増と予想の11.0万人増を上回り、失業率は4.1%と予想の4.3%より強い内容となった。米労働市場の減速に対する懸念が後退すると、米長期金利の上昇とともに全般ドル買いが先行。22時前に一時145.23円と日通し高値を更新した。
買いが一巡すると144.61円付近まで下押しする場面もあったが、23時発表の6月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数が50.8と予想の50.6をやや上回ると再び強含んだ。
なお、市場では「前日に発表された6月ADP全米雇用報告で政府部門を除く非農業部門雇用者数が3.3万人減と予想の9.5万人増を大幅に下回ったことで、雇用統計の下振れが懸念されていたが、良好な結果を受けて投資家の間で買い安心感が広がった」との声が聞かれた。
・ユーロドルは続落。良好な米雇用統計をきっかけにユーロ売り・ドル買いが先行すると一時1.1718ドルと日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。欧米株価の上昇を背景にリスク・オンのユーロ買い・ドル売りが入ると、23時過ぎに1.1790ドル付近まで持ち直した。ただ、米ISM非製造業指数が予想を上回ると再び上値が重くなった。
なお、ベッセント米財務長官は「実質金利は現時点で非常に高い」「7月の利下げがなければ、9月により大幅な利下げの可能性もあるだろう」と述べたほか、最近のドル安について「ドルの価値は強いドル政策と何ら関係ない」「強いドル政策というのは、ドルが世界の準備通貨であり続けるために米国が長期的に必要な行動を十分に取っているかどうかが鍵を握る」との考えを示した。
・ユーロ円は続伸。米国株高を背景に投資家のリスク志向が改善すると円売り・ユーロ買いが優勢となった。23時過ぎに一時170.61円と昨年7月以来約1年ぶりの高値を更新した。
ユーロ円以外のクロス円も堅調だった。ポンド円は一時198.10円、豪ドル円は95.37円、NZドル円は88.05円、カナダドル円は107.03円、スイスフラン円は182.46円、メキシコペソ円は7.79円まで値を上げた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、2月5日以来約5カ月ぶりの高値となった。6月米雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を上回り、失業率が予想以上に低下すると、米景気懸念が後退。主力株中心に買いが集まった。なお、この日は独立記念日の前日で短縮取引だった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は続伸し、史上最高値で取引を終えた。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数も過去最高値を更新した。
・米国債券相場で長期ゾーンは3日続落。6月米雇用統計が良好な結果になると、労働市場の底堅さが意識されて債券売りが広がった。
なお、この日は独立記念日の前日で短縮取引だった。
・原油先物相場は反落。米3連休を控えて商いは停滞気味。ドル高でドル建て原油相場に割高感が生じ、やや下押す方向で調整が入った。
・金先物相場は4日ぶりに反落。予想を上回る6月米雇用統計や6月米ISM非製造業指数を受け、米長期金利の指標である10年債の利回りは一時4.35%台と6月24日以来の水準まで上昇。金利上昇は金利が付かない資産である金の相対的な投資妙味を低下させる要因となった。米金利上昇を受けたドル高も、ドル建て金相場の割高感につながり価格低下を招いた。米経済指標の改善や米株上昇をにらんだリスク選好の地合いは、リスク回避資産とされる金の購入意欲を後退させる材料となった。
東海東京インテリジェンス・ラボではユーロに関して、国防費拡張による財政支出の拡大を受けた景気押し上げにより、中長期的に上昇トレンドが続く可能性が高いと考えている。やや長い目でみると、「ドル1強」が緩やかに修正される中で、ユーロ復調の動きが続く可能性があるとみている。ユーロ・ドルの過去最高値は1ユーロ=1.60ドル台と、現状の1.18ドル前後からの上昇余地は大きいと指摘。ユーロ円に関しては、年内にも昨年高値の175円台を超え、中長期的な上昇が見込まれるとコメントしている。
アトランタ連銀が発表した米国の国内総生産(GDP)成長率の現時点予測である4-6月期GDPNowは+2.6%と前回の+2.5%から引き上げられた。
トランプ米大統領とプーチン露大統領は3日、ウクライナ和平や中東情勢を巡って電話協議を実施した。プーチン氏はウクライナでの紛争解決を巡って根本原因の除去を要求し譲歩しない姿勢を改めて強調したという。
米議会下院はトランプ減税法案を可決。可決案をトランプ大統領に送付するという。
3日06:16 スターマー英首相
「リーブス氏は今後何年も財務相を務める」
「リーブス氏と強い関係にある」
「リーブス氏の涙は私や政治とは全く関係ない」
3日19:33
「私はリーブス財務相を全面的に信頼している。私たちは一体となって取り組んでいる」
「市場の反応についてコメントを控える」
「2024年予算では困難な対応を行い、難しい決断をした」
3日10:18 トランプ米大統領
「下院は今夜、税制・歳出法案を採決する準備が整っているようだ」
「下院共和党は団結している」
3日10:37 高田日銀審議委員
「内外金融政策スタンスの違い、為替中心に市場変動リスクも」
「前向きな企業行動を確認なら、緩和調整が引き続き必要」
「足元は利上げいったん休止局面、様子見後に再ギアシフト」
「国内動向をみる限り、物価安定の目標実現が目前に迫りつつある局面」
「物価安定目標への動き生じてきた中で、米関税政策が水を差さないか注視したい」
「今後FRBが利下げ再開する場合、日銀の金融政策の自由度低下する可能性」
「米政策への期待次第で市場が大きく変動する可能性に留意」
「物価目標実現への動き維持すべく、緩和的な金融環境継続でサポートしていく姿勢も必要」
「物価上昇、輸入物価要因だけでなく国内要因によるホームメード化の兆しが生じている」
「市場全体の機能度改善を念頭に、年限別の需給動向や流動性踏まえ国債買い入れの減額進めていく必要」
3日14:17
「事前の関税の想定が変われば、自ずと経済の見通しも変わる」
「利上げ休止期間がどのくらいなのか予断持って申し上げられない」
「7月は関税関連のメニューそろっている、よく見ていきたい」
「目標が目前に迫っているが達成されていないため、緩和環境を維持」
「足元は、あくまで利上げはいったん休止局面」
「年内の利上げの可能性は、予断をもって語るべきではない」
3日16:25 中国商務省報道官
「中国の利益を損ねるいかなる貿易合意にも反対」
「米中の健全な貿易関係の推進を期待」
3日17:41 メルツ独首相
「米国との関係が以前ほど強固であり続けるかには正当な疑念」
「今こそヨーロッパの時代だ」
「米国との関係維持に全力を尽くすが、米国の欧州への関与が減る可能性に備えなければならない」
※時間は日本時間
3日20:25 ベッセント米財務長官
「インフレ期待は低下していくはずだ」
「債務上限措置により2027年まで対応できる見込み」
「本日午前以降はXデー(資金枯渇日)を心配する必要はない」
「2年物米国債の動きは翌日物金利が高すぎることを示している」
「米国債への需要は非常に強いと見ている」
「各国に対し、貿易協議を長引かせないよう警告」
「関税は4月2日の水準まで再び引き上げることが可能」
4日00:58
「参院選を控え、日本は今、厳しい状況にある」
「迫っている日本の選挙が交渉を制約している可能性」
「今朝、EUの貿易担当者と会談」
「私の理解では、ベトナムとの合意は原則的に成立した」
「今利下げがなければ、9月により大幅な利下げの可能性も」
「実質金利は現時点で非常に高い」
4日02:53
「市場は税法案が財政的に慎重で、成長促進的であると示唆」
「10年後の債務予測は非常に困難」
「債務問題に関しては正しい方向に向かっていると確信」
「ドルの消滅は過去に何度も予測されてきた」
「中国の通貨は非兌換性である」
「ドルの価値は強いドル政策とは無関係」
「ユーロが1.20ドルに達したら、欧州は騒ぎ立てるだろう」
3日20:27 リーブス英財務相
「税制変更について憶測するつもりはない」
「今日は新しい一日。私は仕事に専念する」
「昨日動揺していたのは確かだが、それは個人的な問題であり、詳細には触れない」
3日20:37 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(6月5日分)
「一部メンバーは、金利を現状維持する根拠があると見ている」
「関税引き上げと最近のユーロ高は輸出の重しとなるはず」
「中期的なインフレ圧力を過小評価している可能性がいくつかある」
「2026年はインフレ率が2%を下回る重要な年」
「データは第2四半期のユーロ圏成長の弱さと高まる不透明感を示唆」
「エネルギーとユーロが総?④PIの主な要因」
「金利はすでに緩和的な水準にある可能性も指摘された」
「大半の基礎的インフレ指標は、中期的にインフレ率が2%目標付近で安定することを示唆している」
「2026年のインフレ率下振れを過大評価すべきではない」
「ユーロ高は輸出の逆風を強める可能性がある」
「貿易摩擦がさらに激化すれば、成長とインフレは基準予測を下回るとスタッフは予想」
「適切な政策が維持されれば、下振れは一時的」
「目先の一時的なインフレ下振れは深刻に捉えすぎるべきではない」
3日21:41 フォンデアライエン欧州委員長
「米国との貿易協定を結ぶ用意はあるが、合意に至らなくても対応できる」
3日22:23 ウンシュ・ベルギー中銀総裁
「物価リスクは下振れ方向へ進むと予想」
「追加利下げの可能性に不快さはない」
4日01:31 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「物価上昇圧力が当面続く著しいリスクがある」
「FRBは雇用政策についてより明確に議論する必要がある」
「雇用市場は基本的に目標水準に達しており、引き続きインフレに焦点を当てることができる」
「最近のインフレ指標はここ数カ月、目標水準を維持しているが、将来的にはインフレ率が上昇することを示唆」
※時間は日本時間
<国内>
○08:30 ◇ 5月家計調査(消費支出、予想:前年比1.2%)
<海外>
○15:00 ◎ 5月独製造業新規受注(予想:前月比▲0.2%/前年同月比5.7%)
○15:45 ◇ 5月仏鉱工業生産(予想:前月比0.3%)
○16:00 ◇ 6月スイス失業率(季節調整前)
○17:00 ◎ エルダーソン欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○17:30 ◎ 6月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:48.5)
○18:00 ◎ 5月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比▲0.6%/前年比0.3%)
○21:15 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○5日02:30 ◎ テイラー英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○5日03:00 ◎ 6月ブラジル貿易収支(予想:63.00億ドルの黒字)
○米国(独立記念日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
3日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、6月米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比14.7万人増、失業率は4.1%と予想より強い内容となったことで、米長期金利の上昇とともに145.23円まで上昇した。ユーロドルは良好な米雇用統計を受けて1.1718ドルまで下落後、欧米株価の上昇を背景にしたリスク・オンのユーロ買いで1.1790ドル付近まで持ち直した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、米6月雇用統計で米雇用情勢の悪化懸念が後退したことで底堅い展開が予想される。しかしながら、トランプ米大統領が対日相互関税率の引き上げの可能性を警告していることで、上値も重くなりそうだ。
ドル円の一目均衡表での注目水準は、145円台では、基準線145.21円と雲の上限145.55円、144円台では雲の下限144.76円と転換線144.44円となっており、米国が独立記念日の休場で閑散取引が予想される中で、念頭に置いて相場に臨みたい。
米6月雇用統計は失業率が4.1%で、5月の4.2%から低下、非農業部門雇用者数は前月比+14.7万人で、5月の同比+14.4万人(修正値)から増加した。政府雇用者数が7.3万人増加したものの、民間雇用者数は7.4万人の増加に留まったこと、失業率の低下は13万人が労働力から離脱したことが要因となっている。
さらに、6月の貿易赤字は輸出の減少により715.17億ドルとなり、今年1-5月は5223.75億ドルとなり、昨年同時期の3473.40億ドルから50%増えていた。
第2次トランプ米政権は、貿易赤字の削減を標榜してトランプ関税を打ち出しているものの、貿易赤字が大幅に拡大していることで、高関税率が賦課される可能性が高まっている。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、7月FOMCでの0.25%の利下げの可能性はなくなったものの、ベッセント米財務長官による利下げ圧力を受けて、依然として年内2回の利下げが見込まれている。
また、トランプ米大統領が本日の独立記念日に署名することになっている大規模な減税・歳出法案「Big, Beautiful Bill(大きく美しい法案)」は、米下院で賛成218票対反対214票の僅差で可決されたことで、目論見通りに成立することになる。
大規模な減税・歳出法案が成立して、債務上限も引き上げられることで、2011年8月のような米国債ショックの再現の可能性は低下している。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 40120 +400 (+1.00%)
TOPIX先物 2854.5 +28.0 (+0.99%)
シカゴ日経平均先物 40120 +400
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
3日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。6月の米雇用統計で非農業部門就業者数が前月比14万7000人増加と、市場予想(11万人増程度)を上回った。失業率は前月の4.2%から4.1%に低下した。前日発表の6月のADP雇用報告で非農業部門の雇用者数が予想外に減少したこともあり、雇用統計の予想を上回る内容を受けて主力株中心に買われた。米政府が5月に導入した中国向け半導体設計ソフトウエアの輸出規制の一部を撤回したことも安心感につながった。NYダウは2月上旬以来の水準を回復し、S&P500、ナスダックは連日で最高値を更新した。
S&P500業種別指数はソフトウエア・サービス、商業サービス・用品、半導体・同製造装置が上昇した一方で、耐久消費財・アパレル、医薬品・バイオテクノロジー、自動車・同部品が小幅に下落。NYダウ構成銘柄では、トラベラーズ<TRV>、JPモルガン・チェース<JPM>、ボーイング<BA>、シスコシステムズ<CSCO>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>が買われた。半面、メルク<MRK>、スリーエム<MMM>、プロクター・アンド・ギャンブル<PG>、マクドナルド<MCD>が軟調。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比400円高の4万0120円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比50円高の3万9770円で始まった。直後につけた3万9730円を安値に膠着が続いていたが、米雇用統計の結果を受けて上へのバイアスが強まり、一気に4万円台を回復。買い一巡後は4万円~4万0100円辺りでの保ち合いが続くなか、終盤にかけて4万0120円まで買われ、ナイトセッションの高値で取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、買い先行で始まることになりそうだ。ただし、米国市場は4日が独立記念日の祝日で休場になるため、海外勢のフローは限られるであろう。そのため、買い一巡後は次第に膠着感が強まると考えられる。
ただし、足もとでボリンジャーバンドの+1σ(3万9570円)が支持線として機能するなかで、同バンドから上に放れる形であり、+2σ(4万0470円)辺りが意識されてくる可能性はありそうだ。
また、米連邦議会下院は3日、トランプ米大統領の大型減税・歳出法案を可決した。トランプ大統領が4日に署名して成立する見通しとなった。半導体企業への税優遇拡大でテック株高を後押しするとの見方もあり、指数インパクトの大きい値がさハイテク株が買われやすくなるとみられ、日経平均型の底堅さにつながろう。
そのため、買い一巡後は4万円の底固めを意識しつつ、オプション権利行使価格の3万9875円から4万0375円でのレンジを想定する。4万円近辺での上値の重さがみられるようだと、3万9750円から4万円辺りでの狭いレンジ内でのスキャルピング中心の売買になりそうだ。
3日の米VIX指数は16.38(2日は16.64)に低下した。一時16.14まで下げており、6月26日(16.11)以来の水準に低下する場面もみられた。下向きで推移する25日移動平均線(18.19)が抵抗線として機能している状況であり、リスク選好に向かわせよう。
昨日のNT倍率は先物中心限月で14.05倍に低下した。一時14.10倍まで上昇する場面もみられたが、午後に入りNTショートの動きが優勢となり、14.02倍まで下げて200日線(14.04倍)を下回る場面もあった。昨日は自動車や鉄鋼株などがローテーションとみられる動きのなかで買いが目立っていたが、本日もこの動きが続くかを見極めることになりそうだ。再びハイテク株主導の上昇がみられるようだと、200日線を支持線としたNTロングに振れやすいとみておきたい。
東京市場は堅調か。米国株は上昇。ダウ平均は344ドル高の44828ドルで取引を終えた。6月雇用統計では、非農業部門雇用者数が14.7万人増と市場予想の11.0万人増を上回り、5月分も上昇修正された。7月利下げの可能性は大きく低下し、10年債利回りは上昇したが、雇用の堅調さが確認できたことが株買いにつながり、3指数とも強い動きを見せた。S&P500とナスダックは最高値を更新し、ダウ平均も取引時間中に今年の高値を上回る場面があった。米金利上昇を受けて為替はドル高(円安)に振れており、ドル円は足元144円90銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが400円高の40120円、ドル建てが485円高の40205円で取引を終えた。
強い雇用統計を受けて米国株が上昇するというのは、日本株には理想的な流れ、米株高と円安の両方の恩恵を受けることができる。CME225先物は4万円超えのスタートを示唆しており、全体の底上げが進むと予想する。本日の米国は独立記念日により休場。足元の動きが良かった米国株が休場を前にしてもさらに買われたことは、リスク選好ムードを高める。4万円より上では目先の利益を確定させる動きも出てくるとみるが、売りをこなしながら強い基調が続くだろう。日経平均の予想レンジは39950-40300円。
日経225先物は11時30分時点、前日比100円高の3万9820円(+0.25%)前後で推移。寄り付きは3万9960円と、シカゴ日経平均先物先物清算値(4万0120円)にサヤ寄せする形から、買いが先行して始まった。直後につけた4万円を高値にショート優勢の動きとなり、現物の寄り付き後ほどなくして、3万9710円と下落に転じる場面もみられた。ただし、下へのバイアスは強まらず、中盤にかけて3万9940円まで戻した後に、終盤にかけて3万9800円を割り込むなど、狭いレンジでの推移になった。
4日の米国市場が独立記念日の祝日で休場となるなかで海外勢のフローは限られており、スキャルピング中心での取引にとどまっているようである。4万円をキープできなかったことでその後はショートも入ったとみられるが、概ねオプション権利行使価格の3万9750円~3万9875円辺りでの推移である。ボリンジャーバンドの+1σ(3万9540円)を上回っての推移を継続するなかでは、ショートを仕掛けにくくさせるため、押し目狙いのロング対応に向かわせよう。
NT倍率は先物中心限月で14.07倍に上昇した。一時14.01倍に低下する場面もみられたが、その後は200日移動平均線(14.04倍)を上回っての推移である。同線での底堅さが意識されるようだと、NTロングでのスプレッド狙いに向かわせそうだ。
米雇用統計が月一のビッグイベントたる所以は、米金融政策の方向性に指針を与えるといった極当たり前の理由は勿論のこと、まさにその予想が難しいという、アナリスト泣かせのウェートの部分も大きく、ましてや、昨日の歴史的誤差が生じたように、民間の給与明細書を発効しているADPのデータを使った全米雇用報告の出現が、これもまた、指数誕生当時の米国内での政治的忖度があっての採用だったわけですが、更にその整合性という観点からは難易度を高めてしまっているだけに、何度も実施されているパラメータの変更にもかかわらず、今となってはもはや、その存在自体が市場の健全な値動きを妨げる障害となっているような状況。
▲3.3万人から14.7万人への不必要なポジティブサプライズが米長期金利の急騰とドル円の145円台乗せを達成することになりました。市場では、現在のADPが当てにならないことは、昨日もお伝えした通りで、「やっぱりね」といった声が多いですが、一部で憶測が台頭していた7月FOMCでの利下げ観測を吹き飛ばすことになったほか、トランプ米大統領と次期FRB議長を狙う忖度メンバー達が連日声を荒げている大幅利下げへのコールをかき消すことになりました。
いずれにしても、パウエルFRB議長は今週のECBフォーラムにおいて、「6月、7月、8月のインフレ指標から米関税の影響を判断する」旨の見解を表明しているわけで、利下げは早くても9月であって、インフレ率が急上昇するならば、恐らく、今年の利下げはゼロから1回といったFOMC内を2分しているハト派シナリオとなっていくのが筋。あくまでも、現在のFRB議長の方針がメインシナリオとなっています。
2025年6月の米国の失業率は、13万人が労働力から離脱したことや就業者数が前月比9.3万人増加したことなどで4.1%(※4.117%)となり、5月の4.2%(※4.244%)から低下した。
非農業部門雇用者数(NFP)は、前月比+14.7万人の増加となり、5月は速報値の+13.9万人から+14.4万人へ上方修正(+0.5万人)され、4月は改定値の+14.7万人から+15.8万人へ上方修正(+1.1万人)されたことから、合計で1.6万人の上方修正となった。
政府の雇用者数は7.3万人増加したが、州政府の教育部門の増加+4万人によるもので、季節的な要因と見なされている。民間の雇用者数は7.4万人増加したが、5月の+13.7万人からは増加幅が減少していた。
政府効率化省(DOGE)が連邦政府職員の削減を進めていた中、連邦政府の雇用者数は7000人減となり、1-6月で6.9万人減少した。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、7月FOMCでは据え置き見通しで、追加利下げの時期は9月(▲0.25%)、12月(▲0.25%)の2回となり、12月時点では3.75-4.00%と見込まれている。
2021年の非農業部門雇用者数は723.3万人の増加となり、年間ベースで過去最大の伸びを記録し、月平均は60.3万人の増加だった。2022年平均は+38.0万人、2023年平均は+21.6万人、2024年平均は+16.8万人、2025年平均は+13.0万人と減少傾向が続いている。
1.家計調査(Household survey):失業率を算出(※6万世帯)
6月の失業率は4.1%(※4.117%)となり、5月の4.2%(※4.244%)から低下した。労働参加率(就業者および求職者の合計である労働力人口の生産年齢人口に占める割合)は62.3%となり、5月の62.4%から低下したが、移民政策を反映しており今後も低下傾向が続くことが見込まれている。経済の雇用創出能力の尺度とされる就業率は、5月と同じ59.7%となり、2022年1月以来の低水準で低迷している。
失業者数は701.5万人となり、5月の723.7万人から22.2万人減少したものの、2020年2月の570万人を依然として上回ったままとなっている。労働力人口(1億7038万人)は、パンデミック(世界的大流行)前の水準(1億6458万人)を約580万人上回っている。
・不完全雇用率(U6):7.7%(5月7.8%、4月7.8%、3月8.0%:2020年5月21.1%)
(フルタイム雇用を望みながらパートタイム職に就いている労働者を含む広義の失業率)
・労働参加率:62.3%(5月62.4%、4月62.6%、3月62.5%:2020年2月:63.4%)
・長期失業者(27週以上):164.7万人(5月145.7万人:2020年2月112.1万人)
・黒人の失業率:6.8%(4月6.3%、3月6.2%、2月6.0%、1月6.2%:2020年2月6.0%)
(※黒人の失業率は景気後退(リセッション)が近づく前に先行して上昇する傾向)
2.事業所調査(Establishment survey):非農業部門雇用者数(Non-Farm Payroll)(※12.2万の会社・政府機関)
6月の非農業部門雇用者数は、前月比+14.7万人の増加となり、54カ月連続での雇用拡大となった。平均時給は前月比+0.2%で、5月の+0.4%から低下し、前年同月比は+3.7%となり、5月の3.8%から低下した。
本日のロンドン為替市場でユーロドルは、1.17ドル台で方向感を探る展開か。経済指標は5月の独製造業新規受注や仏鉱工業生産、ユーロ圏卸売物価指数(PPI)などが予定されているが、相場インパクトはそれほど大きくはない。当局者発言では、エルダーソン欧州中央銀行(ECB)専務理事の講演が予定されている程度。
昨日のユーロドルは、弱いと予想されていた6月米雇用統計が良好な結果だと分かると、1.17ドル後半から1.1710ドル台まで急落。ただその後、下げ幅を大きく縮める場面もあった。結局は続落で終えたものの、9連騰して1.14ドル台から1.18ドル前半まで上げた後なだけに、調整の範囲内の動きと言えるだろう。
市場のリスクセンチメントは、米労働市場の底堅さを背景に良好だ。ただし、欧州金融市場は既に米雇用統計後の動きを織り込んでおり、新たなポジティブ材料でもない限りはリスク志向も強まり難いかもしれない。本日の米国は独立記念日で祝日ということもあり、欧州午後からは週末の様子見ムードが広がりそうだ。
注意すべきは、大型減税・歳出法案が米議会で可決されたことで気を良くしているであろうトランプ米大統領の発言。強気な態度が一層大きくなり、貿易問題についてより厳しい姿勢を示すかもしれない。なおトランプ大統領は、交渉中の貿易相手国に対し、早ければ4日から新たな関税率を記した書簡を送付すると述べている。
他、先行き不透明感が一層深まるウクライナ情勢にも気を付けておきたい。昨日は米国とロシアの首脳が電話で協議したものの、ウクライナ・ロシアの停戦について、プーチン露大統領は譲歩しない姿勢を改めて示したもよう。今週、トランプ政権が一部の米国製武器の輸送を停止したことが報じられており、ロシアのウクライナ侵攻が強まる懸念が高まっている。
想定レンジ上限
・ユーロドル、1日高値1.1829ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、日足一目均衡表・転換線1.1702ドル
ドル円:1ドル=144.33円(前営業日NY終値比▲0.60円)
ユーロ円:1ユーロ=170.08円(▲0.31円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1784ドル(△0.0027ドル)
日経平均株価:39810.88円(前営業日比△24.98円)
東証株価指数(TOPIX):2827.95(▲1.04)
債券先物9月物:139.12円(△0.15円)
新発10年物国債利回り:1.435%(▲0.005%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月家計調査(消費支出)
前年同月比 4.7% ▲0.1%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は弱含み。昨日の良好な米雇用統計を受けて上昇した反動から利食い売りが先行。トランプ米大統領が「明日、10-12通の新しい関税率の書簡を送付する。対象国は、8月1日から関税を支払うことになる」と発言すると、リスク回避を目的とした売りも重なり、一時144.18円まで値を下げた。
・ユーロ円も弱含み。ドル円の下落につれたほか、米関税政策を巡る警戒感も相まって円買い・ユーロ売りが強まった。一時169.89円まで下落した。
・ユーロドルはじり高。ドル円の下落に伴ってユーロ買い・ドル売りが進行。一時1.1785ドルまで値を上げた。なお、ナーゲル独連銀総裁は「次の利下げを急ぐ理由はない」、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁からは「金利に関しては、好位置にある」などの発言が出たが、目立った反応は見られていない。
・日経平均株価は小幅に続伸。日本株の根強い先高観などを背景に海外勢から株先に買いが観測されると指数は一時220円超上昇した。ただ、米関税政策を巡る不透明感から一巡後は一転して売りに押された。
・債券先物相場は3営業日ぶりに反発。前日の米国債券相場が下落した流れを引き継いで138.79円まで下落した。ただ、上値の重い日本株をながめて次第に買い戻しが入った。
第一生命研究所では、トランプ大統領がベトナムとの関税交渉で合意に達したと発表したことを受けてリポートしている。合意の中身が極めて不平等な内容であるが、ベトナムは対米輸出への依存度が極めて高く、経済成長率目標実現のハードルを下げる観点から受け入れざるを得なかったと第一生命では捉えている。また、この合意はASEANなど他のアジア諸国に影響を与える可能性があるとみている。ベトナムの20%という水準が今後の基準となることで、他国がより低い関税を引き出すことは困難になると考えられる。トランプ関税をきっかけに米国の「グローバルサウス」と称される新興国への影響力低下が懸念されるなか、今回の合意が新たな緊張をもたらすきっかけとなる可能性に要注意と第一生命ではコメントしている。
大阪9月限
日経225先物 39770 +50 (+0.12%)
TOPIX先物 2826.0 -0.5 (-0.01%)
日経225先物(6月限)は前日比50円高の3万9770円で取引を終了。寄り付きは3万9960円と、シカゴ日経平均先物清算値(4万0120円)にサヤ寄せする形から、買いが先行して始まった。直後につけた4万円を高値にショート優勢となり、現物の寄り付き後ほどなくして3万9710円と下落に転じる場面もみられた。
前場中盤にかけて3万9940円まで戻したが、前場終盤にかけて軟化し、午場に入り3万9690円まで下げる場面もみられた。ただし、下へのバイアスは強まらず、終盤にかけて3万9870円まで戻すなど、狭いレンジでの推移になった。
4日の米国市場が独立記念日の祝日で休場となるため海外勢のフローは限られており、スキャルピング中心の取引にとどまっていた。寄り付き直後につけた4万円をキープできなかったことでその後はショートも入ったとみられるが、概ね3万9700円~3万9870円処での推移であり、下値の堅さは意識されていた。
ボリンジャーバンドの+1σ(3万9540円)を上回っての推移を継続するなかでは、積極的にショートを仕掛ける動きは限られていた。+2σ(4万0410円)とのレンジ内のため、+1σに接近する局面では、押し目狙いのロング対応に向かわせている。
ただ、今週は週初に4万0870円をつけた後は調整が続き、+1σが支持線として機能したものの、小動きながらも上値を切り下げていた。そのため、いったんは+1σを割り込む場面を意識しておきたいところだろう。ナイトセッションで+1σは3万9610円まで切り上がっており、同バンドを割り込むようだと、節目の3万9500円や25日移動平均線の3万8750円辺りが射程に入りそうだ。
NT倍率は先物中心限月で14.07倍に上昇した。一時14.02倍に低下する場面もみられたが、その後は200日線(14.04倍)を上回っての推移である。200日線水準には+1σも位置しているため、同水準での底堅さが意識されると、NTロングでのスプレッド狙いに向かわせそうだ。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万5221枚、ソシエテジェネラル証券が1万0550枚、サスケハナ・ホンコンが2978枚、ゴールドマン証券が2089枚、SBI証券が1993枚、バークレイズ証券が1859枚、JPモルガン証券が1704枚、ビーオブエー証券が878枚、みずほ証券が792枚、モルガンMUFG証券が783枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が1万6395枚、ソシエテジェネラル証券が1万5400枚、バークレイズ証券が6598枚、ゴールドマン証券が3631枚、JPモルガン証券が3499枚、モルガンMUFG証券が2151枚、野村証券が1255枚、シティグループ証券が1000枚、BNPパリバ証券が940枚、ビーオブエー証券が686枚だった。
本日のNY時間は、米国が独立記念日で休場ということもあり、閑散な取引になりそうだが、ドル円は下値リスクが大きいことには警戒したい。
昨日の強い米雇用統計の発表を受けて、7月の利下げ予想が大幅に後退した。ただ、為替市場ではドル円以外の多くの通貨では、昨日の発表前の水準を24時間もかからずに取り戻している。市場では、来週にかけてドル売りリスクが高いことを警戒している。
ドル売りリスクの一つ目は、昨日トランプ米大統領による予算案「大きくて美しい1つの法案(one big beautiful bill)」が下院で可決し、本日大統領が法案に署名する予定であること。昨日は独立記念日を前に米債券市場が短縮取引だったため、法案可決時には米債市場が開いていなかった。市場はある程度は可決を織り込んでいたかもしれないが、どの程度まで織り込まれていたかが未知数だ。5月中旬に起こった米国のトリプル安相場は、財政悪化の懸念が高まったことも大きな要素だった。そして、議会予算局(CBO)は今回可決した修正法案について、前回の下院案の10年間で2.4兆ドルだった財政悪化が、3.3兆ドルまで悪化すると試算している。来週の休場明けの債券相場次第では再びトリプル安リスクが警戒されている。
二つ目のリスク要因は、再び関税相場になることが挙げられる。ここ最近は上述の予算案や、イスラエルとイラン間の戦争にかかりっきりだったトランプ大統領だが、来週からは再び「Tariff Man(関税男)」としての行動が再開されるだろう。大統領は明日には関税率の書簡を送付し、来月1日から新たな関税賦課を開始すると述べている。特に日本に対しての関税交渉が進んでいないこともあり、対日関税率次第ではドル円が値幅を伴って動く可能性がありそうだ。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、日足一目均衡表・基準線145.21円や前日高値145.23円付近。
・想定レンジ下限
ドル円の下値は、昨日の雇用統計発表前の高値143.93円、その下は2日安値143.32円。
今晩は独立記念日の祝日のためNY株式市場が休場となります。
国連は核査察官を安全上の理由でイランから撤退させたと複数のメディアが報じている。
日経平均株価は続伸。下落に転じた5日移動平均線(39966円 7/4)に上値を抑えられる展開となり、買い先行のあとは下方に押し戻される動きとなった。
RSI(9日)は前日の73.5%→75.0%(7/4)に上昇。引き続き見方は変わらず、4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇が続いている。10日移動平均線(39565円 同)を下回らずに早期に反発できるかが注目される。
一方、10日移動平均線を下回ると、25日移動平均線(38678円 同)まで調整幅が拡大する展開が予想される。6/18高値(38885円)付近まで揺り戻しが生じる意味合いとなる。
上値メドは、心理的節目の4万円、6/30高値(40852円)、昨年7/17安値(41054円)、心理的節目の42000円、昨年7/11安値(42102円)、昨年7/11高値(42426円)などがある。下値メドは、10日移動平均線、心理的節目の39000円、25日移動平均線、200日移動平均線(38010円 同)、6/13安値(37540円)、心理的節目の37000円などがある。
(4日終値:5日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=144.47円(4日15時時点比△0.14円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=170.11円(△0.03円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1775ドル(▲0.0009ドル)
FTSE100種総合株価指数:8822.91(前営業日比▲0.29)
ドイツ株式指数(DAX):23787.45(▲146.68)
10年物英国債利回り:4.554%(△0.012%)
10年物独国債利回り:2.607%(▲0.008%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月独製造業新規受注
(前月比) ▲1.4% 1.6%・改
(前年比) 5.3% 5.8%・改
5月仏鉱工業生産
(前月比) ▲0.5% ▲1.4%
6月スイス失業率
2.7% 2.7%・改
6月英建設業購買担当者景気指数(PMI)
48.8 47.9
5月ユーロ圏卸売物価指数(PPI)
(前月比) ▲0.6% ▲2.2%
(前年比) 0.3% 0.7%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は下げ渋り。トランプ米大統領は本日4日から相互関税を念頭に新たな税率を記した書簡を各国に送ると表明。税率は国ごとに見直し、最大70%にする考えを示した。米関税政策を巡る不透明感の高まりを背景に、リスク回避の円買い・ドル売りが優勢になると一時144.18円と日通し安値を更新した。
ただ、売り一巡後は徐々に下げ渋る展開に。3日の6月米雇用統計など重要イベントを通過したうえ、本日は米国市場が独立記念日の祝日で休場。新規の手掛かり材料にも乏しく、欧州タイムから早くも閑散取引となった。
・ユーロドルはもみ合い。米通商政策を巡る先行きの不透明感が強く、ユーロ売り・ドル買いが出たものの、米市場が休場ということもあり積極的に持ち高を一方向に傾ける動きは限られた。欧州時間の安値は1.1764ドル、高値は1.1788ドルで値幅は0.0024ドル程度と小さかった。
・ユーロ円は持ち直した。米国の関税発動期限が迫る中、貿易交渉の先行きに不透明感が漂っていることがリスク回避の円買い・ユーロ売りを誘った。欧州株相場や時間外のダウ先物の下落も相場の重しとなった。ただ、欧州市場終盤に入ると買い戻しが優勢となり、1時前には170.33円付近まで値を戻した。
・ロンドン株式相場は小反落。米関税政策を巡る先行き不透明感から売りが先行したものの、引けにかけて下げ渋った。米国市場が休場となる中、積極的な売買は手控えられたようだ。リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株が売られた半面、アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株が買われた。
・フランクフルト株式相場は3日ぶりに反落。米関税政策を巡る先行き懸念が強まったことをきっかけに株売りが優勢となった。個別ではシーメンス(2.39%安)やブレンターク(2.07%安)、DHLグループ(1.67%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は英国債が下落した一方、独国債が上昇した。
4日の日経平均は続伸。終値は24円高の39810円。米国株が強い6月雇用統計に好反応を示したことを受けて、200円超上昇して始まった。しかし、開始直後に節目の4万円を上回ったところで買いが続かなくなり、急失速してマイナス圏に沈んだ。いったん切り返したものの、序盤の高値を超えることはできずに再び下げに転じると、以降はプラス圏とマイナス圏を行き来した。後場に入ると値幅が限られ、終盤にかけては前日終値近辺で一進一退。小幅なプラスで取引を終えた。TOPIXは小幅に下落している。
東証プライムの売買代金は概算で3兆8800億円。業種別では電気・ガス、銀行、証券・商品先物などが上昇した一方、海運、鉄鋼、非鉄金属などが下落した。上期決算と併せて自己株取得やアヲハタ<2830.T>の完全子会社化などを発表したキユーピー<2809.T>が急騰しており、アヲハタはストップ高比例配分となった。半面、米国では長期金利の上昇を受けて住宅関連株が売られたことから、米国で住宅事業を手掛ける住友林業<1911.T>が大幅に下落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり785/値下がり757。決算や株式分割が好感された霞ヶ関キャピタルが、全市場の売買代金トップ10入りする大商いとなって12.6%高。米長期金利の上昇を手がかりに、三菱UFJやみずほFGなど銀行株に資金が向かった。証券会社が目標株価を引き上げたSCREENが大幅高。東電HD、北海道電力、九州電力など電力株に強い動きが見られた。
一方、三菱重工、川崎重工、IHIの防衛大手3社がそろって下落。ドル円は米雇用統計発表後には円安に振れたが、東京時間では円高に傾斜しており、トヨタや日産自動車など自動車株が軒並み安となった。米長期金利上昇を嫌気して三井不動産や三菱地所など不動産株が下落。三菱マテリアルや住友鉱山など前日強く買われた非鉄株が売りに押された。
グロース市場に新規上場したヒットは、公開価格を大幅に上回る初値をつけた後も買いが続いてストップ高で終えた。
日経平均は序盤に4万円を上回る場面があったものの、買い一巡後は伸び悩んだ。米国株高と円安進行で日本株には願ってもない展開になるかと思われたが、ドル円に関しては早々に円安一服感が出てきており、楽観に傾くことはできなかった。米6月雇用統計に関しては、ヘッドラインは市場予想を上回ったものの、中身を吟味するとそれほど良くはないとの指摘もある。米国景気に対する不安が高まるようだと、ドル円は円安(ドル高)には振れづらくなる。前日に特段為替の恩恵がない中で強く買われた自動車株は、きょうは弱さが目立った。一転円高が加速するようだと日本株にはネガティブな影響が及ぶと思われるだけに、引き続き為替動向には注意を払っておきたい。
【来週の見通し】
不安定な展開か。トランプ政権が関税の猶予期限としていた7月9日を迎える。直近でトランプ大統領が日本の自動車やコメの貿易に不満を示しており、交渉難航はある程度織り込まれていると思われるが、期限のタイミングで大統領が改めて日本批判を強める可能性もあるだけに油断はできない。一方、小売関連の決算発表が増えてくる時期で、ファーストリテイリングやセブン&アイなどの決算も週内に消化する。「関税リスク」が意識される中で、内需株には資金が向かいそう。ナスダックやS&P500が最高値を更新するなど、米国株の動きが良いことも下支え要因として期待できる。トランプ政権絡みのニュースに振り回されるだろうが、悲観一辺倒にはならず、大幅安もあれば大幅高もあるといった荒い動きが続くと予想する。
【今週を振り返る】
軟調となった。週明け6月30日の日経平均は大幅高となったが、40800円台に乗せた後に失速して終値では40500円を下回っており、高値警戒感が台頭した。7月に入って1日は円高に神経質な反応を示して500円を超える下落となり、終値で4万円を下回った。2日はトランプ大統領が日本に対する関税引き上げを示唆したことが伝わったことから、連日で3桁の下落。3日は米雇用統計の発表を前に様子見姿勢が強まる中で、小幅に上昇した。米国の6月雇用統計は良好な内容となり、結果を受けた米国株は大幅上昇。ただ、この動きに対する日本株の反応は案外で、4日は小幅なプラスにとどまった。日経平均は週間では約339円の下落となり、週足では3週ぶりに陰線を形成した。
一部通信社が、「インドが米国の自動車関税に対しWTOに報復関税を提案」と報じている。また、米国による自動車および一部の自動車部品への25%の輸入関税はセーフガード措置に相当するとも伝えている。
これまで、インドが英国やベトナムに次いで、米国と貿易協定を締結すると予想されていたが、協定締結が暗礁に乗り上げる可能性が高まっているようだ。
一部通信社が報じたところによると、「OPECプラスは日量41.1万バレルを超す供給の拡大を検討している」ようだ。
4日13:00 ナーゲル独連銀総裁
「次の利下げを急ぐ理由はない」
「もしインフレ率が2%を下回った場合でも、懸念する必要はない」
4日13:27 トランプ米大統領
「明日、10-12通の新しい関税率の書簡を送付する」
「対象国は、8月1日から関税を支払うことになる」
「関税はおそらく60-70%から10-20%のレンジだろう」
4日14:18 ラガルドECB総裁
「欧州中央銀行(ECB)はインフレ目標達成に全面的にコミットしている」
「金利に関しては、好位置にある」
4日16:07 中国商務省
「EU産ブランデー輸入に対する反ダンピング関税を5日から5年間実施」
※時間は日本時間
7日
○08:30 ◇ 5月毎月勤労統計(現金給与総額)
○08:50 ◇ 6月外貨準備高
○14:00 ◇ 5月景気動向指数速報値
8日
○08:50 ◎ 5月国際収支速報
○14:00 ◇ 6月景気ウオッチャー調査
9日
○08:50 ◇ 6月マネーストックM2
10日
○08:50 ◇ 6月企業物価指数
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○14:00 ◇ 日銀地域経済報告(さくらレポート)
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
6日
○BRICS首脳会議(ブラジル・リオデジャネイロ、7日まで)
7日
○15:00 ◎ 5月独鉱工業生産
○15:00 ◎ 6月スウェーデン消費者物価指数(CPI)
○17:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○18:00 ◎ 5月ユーロ圏小売売上高
○22:00 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
8日
○10:30 ◇ 6月豪NAB企業景況感指数
○13:30 ☆ 豪準備銀行(RBA)政策金利発表
○15:00 ◇ 5月独貿易収支
○15:45 ◇ 5月仏貿易収支
○15:45 ◇ 5月仏経常収支
○21:00 ◎ 5月ブラジル小売売上高
○23:00 ◇ 6月カナダIvey購買部協会景気指数
○23:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○9日02:00 ◎ 米財務省、3年債入札
○9日04:00 ◇ 5月米消費者信用残高
9日
○10:30 ◎ 6月中国CPI
○10:30 ◎ 6月中国生産者物価指数(PPI)
○11:00 ☆ ニュージーランド準備銀行(RBNZ)、政策金利発表
○20:00 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○21:00 ◎ 6月メキシコCPI
○23:00 ◇ 5月米卸売売上高
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○10日01:00 ◎ 6月ロシアCPI
○10日02:00 ◎ 米財務省、10年債入札
○10日03:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(6月17日-18日分)
○08:01 ◇ 6月英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格
○未定 ◎ 韓国中銀、政策金利発表
○15:00 ◎ 6月独CPI改定値
○15:00 ◎ 6月ノルウェーCPI
○16:00 ◇ 5月トルコ鉱工業生産
○16:00 ◎ チポローネECB専務理事、講演
○17:00 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○21:00 ◎ 6月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数
○22:00 ◎ ムサレム米セントルイス連銀総裁、講演
○11日02:00 ◎ 米財務省、30年債入札
○11日03:30 ◎ デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
11日
○15:00 ◇ 6月独卸売物価指数(WPI)
○15:00 ☆ 5月英国内総生産(GDP)
○15:00 ◎ 5月英鉱工業生産/製造業生産高
○15:00 ◇ 5月英商品貿易収支/英貿易収支
○15:45 ◇ 6月仏CPI改定値
○16:00 ◇ 6月スイスSECO消費者信頼感指数
○16:00 ◇ 5月トルコ経常収支
○21:00 ◇ 5月メキシコ鉱工業生産
○21:30 ◇ 5月カナダ住宅建設許可件数
○21:30 ☆ 6月カナダ雇用統計
○12日03:00 ◎ 6月米月次財政収支
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
◆豪ドル、RBAの金融政策に注目
◆NZドル、RBNZの利下げ局面は小休止へ
◆ZAR、インフレ目標の引き下げ観測が相場の支えに
予想レンジ
豪ドル円 93.00-97.00円
南ア・ランド円 8.10-8.50円
7月7日週の展望
豪ドルは金融政策絡みで荒い値動きに注意が必要となるだろう。注目は7-8日に開催される豪準備銀行(RBA)理事会での金融政策。金利先物市場では現在、0.25%の利下げをほぼ100%織り込んだ状態にあり、市場でも利下げ予想が優勢となっているが、一部では「7月の利下げは確実なものではない」といった声も聞かれている。
実際、RBAは今年に入って金融緩和へと舵を切った後も、インフレ見通しについては慎重な姿勢を示しており、直近の四半期経済・インフレ予測によると、RBAが重視している消費者物価指数のトリム平均は予測期間内(2027年前半まで)にインフレ目標(2-3%)中央値である2.5%へ鈍化することはないとの見方を示している。30日に発表となる4-6月期CPIでもインフレ率は高止まりを続けるとの予想もあり、今回のRBA理事会で利下げが決定されたとしても、声明文の内容などから「タカ派的な利下げ」と捉えられる可能性もありそうだ。
現在の金利先物市場は今回も含めて年内に3-4回程度の利下げをすでに織り込んでいる状態であるため、予想通りに利下げが実施されたとしても額面通りに豪ドル売りへとつながらない可能性がある点には注意しておきたい。
隣国のニュージーランド(NZ)でも9日にNZ準備銀行(RBNZ)の金融政策が公表される。こちらは、金利先物市場での0.25%利下げ織り込み度が15%程度となっており、昨年8月からの連続利下げも小休止となる見込みだ。政府との対立で突如辞任したオア前総裁の後を引き継いだホークスビー総裁も「金利は中立水準に近い」と言及しており、今回の声明文では先行きの金融政策方針に注目が集まるだろう。なお、金利先物市場では現在年内に1-2回程度の利下げを織り込んだ状態となっている。
南アフリカ・ランド(ZAR)は底堅い展開となりそうだ。国民統一政府(GNU)が民主同盟(DA)出身の副貿易相を解任したことを受けて、第2党のDAが政権から離脱するとの懸念が高まっていたが、現在は「連立政権の崩壊は避けられるだろう」との見方が広がっている。もっとも、第1党のアフリカ民族会議(ANC)とDAの関係は決して楽観視できる状態にはなく、今後も政局の不透明感は残り続けるだろう。一方で、南ア準備銀行(SARB)が近く、インフレ目標(3-6%)の引き下げを表明するなか、実質金利のプラス幅が維持されやすくなるとの思惑がZAR相場を支える構図も続いている。SARBによる正式な発表の際にはZARの反応にも注目しておきたい。
6月30日週の回顧
豪ドルは対ドル・対円でともに底堅く推移。対円では週前半こそ伸び悩む動きとなっていたが、良好な米雇用統計の発表後にドル円が大きく上昇すると、豪ドル円もつれて上値を伸ばした。ZARも総じて堅調な動き。南ア国内の政局不安が意識される場面はあったものの、対ドルでは年初来の高値を更新する底堅い地合いが継続。対円でも3月以来の高値を更新した。
◆ポンド、英財政不安に警戒
◆ポンド、5月GDPが低調なら8月利下げの織り込みが加速か
◆加ドル、米加協議を睨みつつ6月雇用統計に注目
予想レンジ
ポンド円 195.00-200.00円
加ドル円 105.00-108.00円
7月7日週の展望
ドル安と円の対ドルでの伸び悩みがポンドの支えとなっているが、ポンド独自にも英財政リスクとイングランド銀行(英中銀、BOE)による早期利下げの思惑で売り圧力が強い。英政府は財源確保のために福祉改革による歳出削減策を提案したが、与党・労働党からも反発が強く、修正を余儀なくされている。政府は財政規律を満たすため、秋に財政健全化策を発表する予定だが、今後の歳出削減が実現しなければ、増税または追加の国債発行が必要になる可能性が高い。
英市場はここ数年、債務増大と経済成長鈍化を懸念する投資家からたびたび厳しい売りにさらされてきた。2022年には、当時のトラス首相が打ち出した財源の裏付けがない減税案が無謀だと市場に受け取られ、英国資産は大きく変動。国債は最大の売りを記録し、ポンドは37年ぶりの安値まで下落した。今週も、政府の福祉予算の削減案が撤回され、財政規律を重視するリーブス財務相の交代観測も広がり、財政悪化の不安が高まった。スターマー英首相は市場の一撃を受けて「今後何年も財務相にとどまる」と火消しに走ったが、社会保障改革により財政赤字を抑制するリーブス財務相の計画に狂いが生じており、英財政不安への警戒感は払しょくされていない。
また、英中銀の利下げ思惑の高まりもポンドの重し。来週、英国内では5月GDPの発表が予定されているが、4月GDPは前月比-0.3%とサービス業の減速が響き大幅なマイナスとなった。6月の英小売売上高が落ち込み、7月の見通しも悪化。労働市場も軟化するなど英経済に減速リスクが高まっており、市場では英中銀が次回8月会合で利下げに踏み切るとの見方が強まっている。
加ドルは、ドル安の流れが続いていることを支えに底堅い動きが続いている。2月にはトランプ米大統領がカナダに対し厳しい関税方針を示したことで、対ドルで一時1.48加ドル手前と2003年以来の加ドル安が進んだが、1.35加ドル台まで加ドルが買い戻されている。一部では、米国株を大量に保有するカナダの年金基金が為替ヘッジを強化する必要に迫られているため、「一段とドル売り・加ドル買いの圧力が強まる可能性がある」との声も聞かれている。
ただ、目先は米加貿易交渉を睨みつつ、指標で経済状況を確認することになりそうだ。トランプ米大統領は、カナダとの貿易交渉打ち切りを表明したが、カナダが協議中止の原因となった米IT企業に対するデジタル課税を撤回したため、協議は再開。21日までに妥結を目指すことになった。来週、加国内では6月雇用統計の発表が予定されている。なお、2日発表の6月製造業PMIは45.6と約5年ぶりの低水準。米関税の影響により5カ月連続で景気判断の分岐点とされる50を下回った。
6月30日週の回顧
ポンドは対ドルで2021年10月以来の高値となる1.37ドル後半まで上昇したが、英財政リスクを意識したトリプル安(英債・英株・ポンド)で1.35ドル台まで押し戻された。対円でも一時195円前半まで失速したが、198円台まで切り返した。ドル/加ドルはドルの動きに振られ1.36ドルを挟んで上下。加ドル円は106円後半まで持ち直すなど底堅い動きとなった。
◆ドル円、米相互関税率などに注目
◆FOMC議事要旨、6月米財政収支、イランと米国の核協議にも注意
◆ユーロドル、米相互関税率やユーロ圏5月小売売上高や独5月鉱工業生産に注目
予想レンジ
ドル円 142.00-147.00円
ユーロドル 1.1450-1.1900ドル
7月7日週の展望
ドル円は、米相互関税の猶予期限である9日以降に通告される予定の新たな関税率に警戒しながら、米国の財政赤字への警戒感が高まりつつあることで、11日に公表される6月の財政収支や関税収入などに注目していく展開が予想される。
3日に発表された6月雇用統計を受けて雇用情勢悪化の懸念は払拭されたものの、米国の1-5月の貿易赤字が前年比で約50%拡大しており、貿易赤字削減を標榜しているトランプ米政権による関税率の引き上げやドル安圧力が高まる可能性がある。
トランプ米大統領は今週、「日本との自動車貿易は不公正であり、コメ不足にも関わらず米国産のコメを輸入しない」と批判。一時停止中の相互関税率(24%)を超える「30%か35%の関税を賦課する」ことを警告した。通商協議が不調に終わって相互関税が引き上げられた場合には、日本の景況感悪化懸念が高まり、20日に投開票が行われる参議院選挙での与党敗北の可能性も高まる。政局に突入した場合の市場の反応には十分注意したいところだ。
また、米国では、9日にFOMC議事要旨(6月17‐18日開催分)が公表されるが、地区連銀景況報告での景気判断が、前回の「ほとんど停滞(little changed)」から「わずかながら減退(declined slightly)」に引き下げられ、景気減速が認識されていたなか、全会一致で政策金利据え置きが決定されたほか、「経済金利見通し」のドットプロットでは年内の利下げ不要としたメンバーが4名から7名に増えていたことへの見解などを確認することになるだろう。
さらに、来週は米国とイランが6回目の核協議に臨む予定。休戦合意と絡めて関連する報道に注意が必要だ。
ユーロドルは、デギンドスECB副総裁が、「1.20ドルまでのユーロ高は無視できるが、それ以上の水準は複雑になる」との懸念を示しており、警戒ゾーンに入りつつある。ユーロドルの上昇は、欧州の財政拡張政策を受けた欧州投資家による米国投資からの資金回帰が主因となっているが、トランプ相互関税率次第では関税スタグフレーションの可能性が高まることで、上値を抑える要因となる。指標では、7日のユーロ圏5月小売売上高や独5月鉱工業生産などにも要注目。
6月30週の回顧
ドル円は、米長期金利の低下を受けて一時142.68円まで値を下げたものの、その後は6月米雇用統計が予想を大幅に上回る強い数字となったことから一転して買い戻し。一時145.23円まで値を上げている。なお、米10年債利回りは4.18%台まで低下した後、週末にかけては4.35%台まで上昇した。ユーロドルは前週から続き上値を追う展開となると一時1.1829ドルまで買われたものの、その後は米長期金利の急上昇につれて1.17ドル台前半まで下落した。
石破内閣は中国ファーストを止めて日米ファーストに戻すべき。
フェンタニル密輸出した中国人容疑者を逃した自公政権を米国政府が信頼するのは無理です。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5a79f68edda3b6bbe2de8aa52b121ae5a107b85a
imgur.com/jx0NLfk.jpeg imgur.com/xO1Hyxb.jpeg imgur.com/Xn35aTQ.jpeg imgur.com/ntMo0tn.jpeg imgur.com/LuasMol.jpeg
米国政府や米国議会がフェンタニル違法薬物は中国共産党が日本経由で米国に密輸出してきたと言うてるぞ
日本のテレビ新聞は報道してないけど。
駐日米大使も「中国共産党が米国にフェンタニルを日本から密輸出しないように取り締まってくれ」と言うてたろ
何で日本のテレビ新聞は報道しないのか謎だが、米国のテレビで報道されてるぞ
米国政府と駐日米国大使がフェンタニル密輸の犯人は中国共産党で共犯は日本と断定してる
日本でもDEAが警察と捜査を開始したぽい
米国DEA(Drug Enforcement Administration)麻薬取締局は、メキシコやカナダの麻薬組織を最新兵器で壊滅させてきたが、長らく日本経由の密輸だけが抜け穴だったのでフェンタニルを防げなかった。
米国では年間7万人も死亡しているので、米国の有権者が子ども達を守るためにトランプを勝たせた。
トランプ政権は日本政府を「スポイル(spoil)」していると何度も非難してきたぞ。
政府にスポイルを使う時は「腐敗した政府」という意味だからね。かなり強い非難だよ。
全財産を投げ売ってる
立憲民主党より候補者が多い
ps://i.imgur.com/oUBH1nw.jpeg
ps://i.imgur.com/aqyUps3.jpeg
ps://i.imgur.com/HnujsOD.jpeg
今週の日経225先物は、米トランプ政権による相互関税の上乗せ分の停止期限が9日に迫るなか、関税を巡る不透明感が重石となる可能性がある。足もとではトランプ米大統領がベトナムと20%の輸入関税で合意したと発表したことが、通商交渉の進展期待を高めている。日米間の交渉は目立った進展は見られないが、赤沢亮正経済再生相が5日までにラトニック米商務長官と2度にわたり電話会談を行ったと報じられている。
トランプ大統領は日本に対する一律関税について「30%や35%」といった数字を挙げ、「日本と合意できるとは思えない」との考えを示している。また、12カ国の貿易相手国に対して関税率を記した書簡を7日に送付すると述べた。圧力を強める一方で、ギリギリのタイミングで緩和して合意につなげる可能性もあるが、基本的には20日の参院選投開票日前に日本側が自動車などの分野で踏み込んだ譲歩を示すことは難しく、参院選通過までは不安定な値動きが続きそうだ。
もっとも、市場では合意を期待したロングは積み上がっておらず、協議延長に持っていくことができれば、ひとまず安心感につながる可能性があろう。日経225先物は6月30日につけた4万0870円をピークに、その後は短期的な過熱感が意識されて売り圧力が強まった。日経平均株価が直近2年は7月に高値ピークを形成していたこともあり、アノマリー的な要因も積極的なロングを手控えさせたのだろう。
一方で、海外投資家の買い越し基調が継続しているほか、米ハイテク株高によってナスダック指数は最高値を更新している。フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も昨年7月につけた最高値に接近しており、アドバンテスト<6857.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株が日経平均型を牽引する展開も期待される。そのため、積極的なショートも仕掛けづらいところである。
ただし、トランプ政権が中国に半導体が密輸されるリスクを阻止するため、マレーシアとタイへの人工知能(AI)向け半導体の輸出規制を計画していると伝えられており、エヌビディア<NVDA>など米半導体株の動向を見極める必要があろう。
+1σと+2σ(4万0480円)によるレンジをキープしているため、+1σ水準での底堅さがみられる局面では押し目狙いのロング対応に向かわせよう。ただし、日米交渉を受けて+1σを割り込んでくるようだと、短期的には中心値となる25日移動平均線が位置する3万8750円のほか、200日線の3万7960円や-1σの3万7890円辺りへのバイアスが強まる可能性が警戒される。一方で、アク抜け的な動きをみせてくると、+2σに接近することになろう。
そのため、日経225先物は+1σ水準での底堅さを見極めつつ、オプション権利行使価格の3万8750円から4万0375円と広めのレンジを想定しておきたい。
4日の米VIX指数は17.48(3日は16.38)に上昇した。週間(6月27日は16.32)でも上げている。ボトム圏での推移でありリスク選好の状況は継続しているが、4日の上昇で一時17.67まで上げる場面もみられ、下向きで推移する25日線(18.52)に接近してきた。同線のほか200日線(19.67)を捉えてくる展開から、市場心理をやや神経質にさせる可能性は意識しておきたい。
先週のNT倍率は先物中心限月で14.07倍(3日は14.05倍)に上昇した。週間(6月27日は14.11倍)では低下となった。6月30日につけた14.24倍をピークに低下する形であり、7月に入りリバランスの動きが入っている。ただし、200日線(14.04倍)を挟んで底堅さがみられており、SOX指数が高値更新ともなれば、再びNTロングに振れやすくなりそうである。
6月第4週(6月23日-27日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では11週連続の買い越しであり、買い越し額は3683億円(6月第3週は1889億円の買い越し)だった。なお、現物は3398億円の買い越し(同884億円の買い越し)と13週連続の買い越し、先物は285億円の買い越し(同1004億円の買い越し)と5週連続の買い越しであり、配当再投資に伴う現物買いの需給が影響したとみられる。個人は現物と先物の合算で6877億円の売り越しと3週連続の売り越し。信託銀行は現物と先物の合算で328億円の買い越しとなり、10週ぶりの買い越しだった。
主要スケジュールでは、7日に5月毎月勤労統計、5月景気動向指数、8日に5月国際収支、6月景気ウォッチャー調査、米国5月消費者信用残高、9日に米国による日本への相互関税「上乗せ部分」の一時停止期限、中国6月消費者物価指数、中国6月生産者物価指数、FOMC議事録、10日に6月国内企業物価、米国新規失業保険申請件数、11日にオプションSQ、米国6月月次財政収支などが予定されている。
ブラジルや中国、ロシアなど有力新興国で構成するBRICS首脳会議が6日、ブラジルのリオデジャネイロで開幕し、「イランに対する軍事攻撃が国際法違反であることを非難し、中東の安全保障情勢の緊迫化に強い懸念を表明する」と宣言した。
ベッセント米財務長官は6日、複数のメディアに出演し、トランプ大統領が発表した上乗せ関税の一時停止期限(9日)を前に、「通知された関税率は確定ではなく、適用は8月1日からで各国には譲歩案を出す時間が残されている」と発言。合意に至らない国には最大3週間の交渉延長の可能性を示唆した。
テキサス州で4日に発生した集中豪雨による大規模な洪水について、トランプ米大統領は6日、捜索や救助活動を支援する大規模災害宣言に署名したと発表した。
<国内>
○08:30 ◇ 5月毎月勤労統計(現金給与総額、予想:前年比2.4%)
○08:50 ◇ 6月外貨準備高
○14:00 ◇ 5月景気動向指数速報値(予想:先行105.2/一致115.9)
<海外>
○15:00 ◎ 5月独鉱工業生産(予想:前月比▲0.2%/前年同月比▲0.3%)
○15:00 ◎ 6月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%/前年比0.4%)
コア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.5%)
○17:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○18:00 ◎ 5月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比▲0.6%/前年比1.4%)
○22:00 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○BRICS首脳会議(ブラジル・リオデジャネイロ、最終日)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
4日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、独立記念日の祝日休場で閑散取引の中、144.31円から144.58円までの27銭幅の小動きに終始した。ユーロドルも1.1764ドルから1.1788ドルまでの0.0024ドル幅の小動きだった。ユーロ円も170円台前半での小動きとなった。
本日の東京外国為替市場のドル円は、9日のトランプ相互関税発動の猶予期限を控えて上値が重い展開が予想される。
今週9日にトランプ相互関税の上乗せ部分の発動停止期限を迎える。トランプ米大統領は1日に、日本が米国の自動車やコメを買ってくれないと批判し、「日本と合意できるとは思えない」と述べ、日本に対する一律関税について「30%や35%」という数字を挙げていた。そして、4日には、貿易相手国・地域に対して関税率を記した12の署名済み書簡を7日に送付すると言明した。日本に対する書簡を例に挙げて、『親愛なる日本様(Dear Mr. Japan)、日本は車に25%の関税が課されます』と示していたが、石破首相や交渉担当者の赤沢経済再生相は眼中にないらしい。
ベッセント米財務長官は、7日に書簡を送った相手先を公表し、9日に迫る交渉期限までに合意できない場合、一時停止中の相互関税が復活する可能性があると警告しているものの、期限までに合意がまとまらない一部の国については、3週間の交渉期間延長の選択肢が与えられる可能性を示した。
赤沢経済再生相は3日と5日にラトニック米商務長官と8回目となる日米通商交渉を行い、米関税措置に関して突っ込んだやり取りを行ったとのことだが、目立った成果は報じられていない。
日本に対するトランプ関税は、鉄鋼・アルミニウムに50%、自動車には25%、その他の対米輸出には10%の相互関税がかかっているが、9日の期限切れの後は、相互関税24%が復活することになる。トランプ米大統領は、対日相互関税30-35%と警告しており、7日から順次送付される予定の書簡の到着を待つことになる。以上の関税に関したリスク要因がドル円の上値を重くさせそうだ。
ただ、石破政権のリスクシナリオは、対日相互関税が4月公表時の24%を上回る30%以上になり、20日に投開票が行われる参議院選挙で敗北することであり、日本は政治・経済面でダメージを受けることになる。よってドル円相場の影響は、日本経済低迷による日銀早期利上げ観測の後退や、日本の政局混迷による円売り材料となる。
8時30分に発表される5月毎月勤労統計では、実質賃金が4カ月連続して減少していた4月の前年比-1.5%から、下げ止まるのか否かを見極めておきたい。もっとも、日銀の金融政策の注目ポイントは、トランプ関税による不確実性と基調的インフレ率に移っており、注目度合いは低下している。
なお、ドル円の一目均衡表での注目水準は、過去9日間の中心値である転換線144.32円、26日間の中心値である基準線145.21円、そして、雲の下限144.76円と上限145.55円となっている。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 39750 -20 (-0.05%)
TOPIX先物 2828.5 +2.5 (+0.08%)
シカゴ日経平均先物 -(休場)
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
4日の米国市場は独立記念日の祝日で休場。欧州市場はSTOXX欧州600指数、ドイツDAX指数、フランスCAC40指数、英国FTSE100指数がいずれも下落した。米トランプ政権による相互関税の上乗せ分の停止期限が9日に迫るなか、関税を巡る不透明感が重石となった。
日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比20円安の3万9750円で始まった。直後につけた3万9610円を安値にショートカバーが入り、中盤にかけて3万9810円とプラス圏を回復する場面もみられた。ただし、買い一巡後は軟化し3万9690円から3万9740円辺りの狭いレンジで推移が続き、3万9750円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はやや売り先行で始まりそうだ。上乗せ関税の一時停止期限が迫るなかでは、ポジションを傾けてくる動きは限られるだろう。
足もとではベトナムと20%の輸入関税で合意したと報じられたほか、ベッセント米財務長官が期限までに合意がまとまらない一部の国について、3週間の交渉期間延長の可能性を示したと伝えられており、ショートを仕掛けにくくさせそうだ。
ただし、台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>は、トランプ関税を踏まえて米国投資を優先するため、日本での熊本第2工場の建設を延期する方針と関係者の話として報じられている。また、トランプ政権が中国へ半導体が密輸されるリスクを阻止するため、マレーシアとタイへの人工知能(AI)向け半導体の輸出規制を計画していると伝えられており、アドバンテスト<6857.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株の重荷となる可能性がある。
日経225先物は7月に入り調整をみせているが、上向きで推移するボリンジャーバンドの+1σ(3万9620円)が支持線として機能している。+1σと+2σ(4万0480円)によるレンジをキープしているため、+1σ水準での底堅さがみられる局面では押し目狙いのロング対応に向かわせよう。
日米交渉を巡る不透明感に加えて、半導体株が日経平均型の重荷になるようだと、+1σを割り込んでくる可能性はありそうだ。短期的には中心値となる25日移動平均線が位置する3万8750円辺りが意識されてくるとみておきたい。そのため、日経225先物は+1σ水準での底堅さを見極めつつ、オプション権利行使価格の3万8750円から4万円辺りのレンジを想定する。
4日の米VIX指数は17.48(3日は16.38)に上昇した。一時17.67まで上げる場面もみられ、下向きで推移する25日線(18.52)に接近してきた。依然としてボトム圏での推移であるが、同線を捉えてくる展開からやや神経質にさせる可能性は意識しておきたい。
先週のNT倍率は先物中心限月で14.07倍(3日は14.05倍)に上昇した。6月30日につけた14.24倍をピークに低下する形であるが、200日線(14.04倍)を挟んで底堅さがみられている。値がさハイテク株の動向を睨むなかで、同線が支持線として機能するようだとNTロングに振れやすくなりそうである。
東京市場は小動きか。米国株は独立記念日により休場で、ドル円は足元144円50銭近辺で推移している。欧州株は英独仏がそろって小幅に下落となった。
今週は9日に日本への相互関税の「上乗せ部分」の適用停止期限を迎える。トランプ米大統領は4日に12カ国の貿易相手国に対する関税率などをまとめた書簡を7日に送付すると発言しており、関税関連のヘッドラインには注意が必要だろう。
先週金曜日には安川電機が決算を発表した。1Qの減益着地に加え、米国の関税政策の影響により需要の先行きに不透明感が高まったことを踏まえ、通期の業績予想を下方修正している。安川電機の株価はPTSで下落しているが、きょうの株価反応が注目される。安川電機の動向次第では、関税政策への警戒が他の銘柄にも広がる可能性がある。
全体としては、小安く始まった後は徐々に様子見姿勢が強まると予想するが、安川電機の株価が大きく下落するようなら一段安の展開も想定しておきたい。日経平均の予想レンジは39600円-39900円。
カーニー加首相はブリティッシュコロンビア州沿岸への新たな石油パイプライン計画について「国家的に重要なプロジェクトに指定される可能性が非常に高い」と述べ、経済的な機会とカナダの資源力を強調した。また、こうしたプロジェクトは民間主導で進めるべきだとし、アルバータ州のオイルサンドにおける165億カナダドル規模の炭素回収プロジェクトにも支持を表明している。
日経225先物は11時30分時点、前日比120円安の3万9650円(-0.30%)前後で推移。寄り付きは3万9760円と、小幅に下落して始まった。直後に3万9840円とプラス圏を回復する場面もみられたが、現物の寄り付き時には下落に転じており、中盤にかけて3万9540円まで下げ幅を広げる場面もみられた。終盤は3万9580円~3万9650円辺りでの保ち合いを継続している。
日経225先物は寄り付き直後にプラス圏を回復したが、積極的なロングの動きは限られるなかで、中盤にかけて軟化し、ボリンジャーバンドの+1σ(3万9610円)を割り込む場面もみられた。ただ、下へのバイアスも強まらず、売り一巡後は+1σ水準で下げ渋る動きをみせている。オプション権利行使価格の3万9500円から3万9875円でのレンジで推移するなかで、+1σでの底堅さがみられるようだと、短期的なリバウンドを狙ったロングが入りそうだ。
NT倍率は先物中心限月で14.07倍と横ばいで推移。一時14.04倍に低下する場面もみられたが、200日移動平均線(14.04倍)が支持線として意識されている。ただし、東京エレクトロン<8035.T>[東証P]やアドバンテスト<6857.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株が下げに転じており、NTショートを仕掛けてくる動きが入りやすいだろう。
先週末は、米国が独立記念日の祝日で休場。欧州勢も目先のポジション調整が中心となると極めて狭いレンジでの取引に終始しました。ドル円は、祝日の関係上、木曜日に公表された6月米雇用統計を受けたドル買いからの調整売りが先行。東京時間で一時144.18円まで値を下げる場面もみられましたが、その後は144.31円から144.58円の様子見で週末の取引を終えました。
そして、週明けのアジア市場。日経平均が弱含みの推移となっていることもあってか144.23円まで下押ししたものの、先週末安値が意識されると次第に下値を切り上げる展開に。トランプ米大統領が8月1日から発動される相互関税のレターを本日正午(日本時間翌1時)から送付することが報じられると全般ドル買いで反応。特に、「BRICSに同調する国には10%の追加関税をかける」と発言したことから、南アランドなどを中心にドル買いが加速。ドル円も一時144.84円まで買戻されているといったところです。
いずれにしても、またまた始まった米大統領の朝令暮改の発言に、ロングウィークエンドを楽しんだ市場には、ある意味、得も言われぬ焦燥感や拒否感、更には、結果的には相互関税の猶予期間が9日から8月1日まで延長されることに対する嫌悪感といったものが渦巻いているなか、ドル円は純粋に目先のチャートポイントなどを見極めながら、一向に整理が進まない円ロングポジションの調整が進んでいくことになりそうです。一目転換線の144.32円や一目雲が位置する144.76円から145.55円を意識しながらの動きとなっています。
「女の涙は相手を負かしたことを意味し、男の涙は自分が負けたことにほかならない」
(ニーチェ)
サッチャー第71代英首相は、1980年10月の英国議会で、「女は後戻りしない(the lady is not for turning)」と宣言した。
そして、「政治において、言ってほしいことがあれば、男に頼みなさい。やってほしいことがあれば、女に頼みなさい。」とも述べている。
トラス第78代英首相(1975年生まれ)やリーブス第77代英財務相(1979年生まれ)には、サッチャー第71代英首相のDNAは継承されていないらしい。
1.トラス・ショック(大型減税計画の挫折)・・財政のカナリア?
トラス第78代英首相は、「小さな政府」を標榜し、サッチャー第71代英首相のキーワード「減税」「改革」を多用し、青を基調にしたワンピースを着用して「第2のサッチャー」になろうとしていた。
2016年のブレグジット(英国の欧州連合からの離脱)の是非を問う国民投票では、残留派だったが、離脱派の勝利により離脱推進派に転向した。
2022年9月5日に第78代英首相となり、9月23日に450億ポンドの大型減税案を発表した。しかし、財源への不安感から、英国市場はトリプル安(ポンド下落、英国株式・債券下落)に襲われた。
トラス第78代英首相は、大型減税案の撤回を余儀なくされ、10月20日、首相就任から英国政権市場最短となる45日目で辞意を表明した。辞任表明の席で、光熱費対策と国民保険料の引き下げを実現して、「低税率・高成長経済」のビジョンを打ち出したものの果たせなかったと述べた。
2. リーブス・ショック(財政規律の挫折)・・財政のカナリア?
2025年7月3日、リーブス英財務相が財政規律を守るために打ち出した財源確保の為の変更案に対して、与党・労働党内から強い反発が起こり、スターマー英首相が撤回を余儀なくされたため、英国債やポンドが売られた。
リーブス財務相は、財政計画が大幅な赤字に陥る可能性を受けて窮地に立たされており、辞任に追い込まれる可能性が高まった。
しかし、スターマー英首相は「リーブス財務相が今後何年も現職にとどまるだろう」と述べて辞任観測を打ち消した。
リーブス財務相は、スターマー英首相の後ろで涙を拭うような仕草を見せていたが、リーブス氏の妹で同じく下院議員のエリー・リーブス氏が駆け寄って、寄り添いながら、議場の外へ連れ出した。
ちなみに、2011年に公開された伝記映画の原題は『The Iron Lady』だが、邦題は『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』となっていた。
本日のロンドン為替市場のユーロドルは、5月独鉱工業生産や5月ユーロ圏小売売上高、ナーゲル独連銀総裁やホルツマン・オーストリア中銀総裁の講演を見極めつつ、トランプ米政権が公表予定のトランプ相互関税の通知先の中に、欧州連合(EU)が入っているのか否かを確認することになる。
ベッセント米財務長官は、本日、トランプ相互関税の書簡を送った相手先を公表し、9日に迫る交渉期限までに合意できない場合、一時停止中の相互関税が復活する可能性がある、と警告しているものの、期限までに合意がまとまらない一部の国については、3週間の交渉期間延長の選択肢が与えられる可能性を示した。
EUに対するトランプ関税は、自動車・部品に対して25%、鉄鋼・アルミニウムに対して50%、その他には10%の一律関税が課されている。
米国との通商交渉では、実質的な関税引き下げとなる割当枠や免除措置、酒類、半導体、商用航空機といった重要分野での関税引き下げの確約を求めているとのことである。
そして、米国との通商合意に至らなかった場合は、報復措置を講じる構えであり、最悪のシナリオは、欧米貿易戦争の勃発となる。
一方、英紙フィナンシャルタイムズは、米国はEUが輸出する農産物に対し、17%の関税を課す可能性を示したと報じており、期限切れの9日を控えた土壇場での難題が浮上している。
ホルツマン・オーストリア中銀総裁は、トランプ関税の不確実性を理由に、追加利下げに慎重なスタンスを示していたが、本日公表される通知先にEUが入っていた場合の見解に注目しておきたい。
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1829ドル(7/1高値=年初来高値)
・ユーロ円:171.09円(2024/7/23高値)
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.1710ドル(日足一目均衡表・転換線)
・ユーロ円:169.37円(日足一目均衡表・転換線)
ドル円:1ドル=144.99円(前営業日NY終値比△0.52円)
ユーロ円:1ユーロ=170.66円(△0.49円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1771ドル(▲0.0007ドル)
日経平均株価:39587.68円(前営業日比▲223.20円)
東証株価指数(TOPIX):2811.72(▲16.23)
債券先物9月物:139.12円(横ばい)
新発10年物国債利回り:1.455%(△0.020%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月毎月勤労統計(現金給与総額)
前年同月比 1.0% 2.0%・改
6月外貨準備高
1兆3138億ドル 1兆2981億ドル
5月景気動向指数速報値
先行指数 105.3 104.2
一致指数 115.9 116.0
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は底堅い。時間外の米10年債利回りが低下したことなどが重しとなり、10時過ぎには一時144.23円まで値を下げた。ただ、4日安値144.18円が目先のサポートとして意識されると一転して買い戻しが優勢に。トランプ米大統領が「BRICSの反米政策に同調する国には10%の追加関税が課される」と発言すると対新興国通貨を中心にドル高が加速し、一時145.08円まで買い上げられた。
・ユーロ円も底堅い動き。総じてドル円につれた動きとなった。午前に一時169.77円まで下げたものの、一巡すると一転して170.73円まで反発した。
・ユーロドルはもみ合い。米大統領の発言で全般ドル買い圧力が高まると一時1.1764ドルまで下げたが、ユーロ円が堅調に推移した影響などから下値は限られた。
・日経平均株価は反落。米関税政策の先行き不透明感から輸出関連株を中心に売りが広がった。決算を嫌気して安川電機が下げたこともその他機械株の売りにつながった。
・債券先物相場は横ばい。前週末の米国債市場が休場で手掛かり材料難の中、先週末終値を挟んで方向感を欠いた。
大阪9月限
日経225先物 39540 -230 (-0.57%)
TOPIX先物 2809.5 -16.5 (-0.58%)
日経225先物(6月限)は前日比230円安の3万9540円で取引を終了。寄り付きは3万9760円と小幅に下落して始まった。直後に3万9840円とプラス圏を回復する場面もあったが、現物の寄り付き時には下落に転じ、前場中盤にかけて3万9540円まで下げ幅を広げた。売り一巡後は3万9580円~3万9660円処で保ち合いを継続。後場に入っても同水準での保ち合いが続き、引け間際には3万9530円まで売られる場面もあった。
日経225先物は寄り付き直後にプラス圏を回復したが、積極的なロングの動きは限られ、前場中盤にかけて軟化した。売り一巡後は、ボリンジャーバンドの+1σ(3万9600円)水準での底堅さが意識されていたが、後場に入り同バンドを下回っての推移が目立った。
オプション権利行使価格の3万9500円から3万9875円のレンジで推移するなかで、+1σ割れからショートが強まる流れにはならなかった。グローベックスの米株先物はマイナス圏で推移しており、3連休明け後の米国市場の動向を見極めたいところであろう。
トランプ米大統領は7日に各国・地域への関税通知の送付を開始し、通知先の具体的な相手を公表する予定であり、これを受けた米国市場の動向が注目される。一方で、ベッセント米財務長官は期限までに合意がまとまらない一部の国について、3週間の交渉期間延長の選択肢が与えられる可能性を示したと伝えられており、ショートも仕掛けにくい状況だったようだ。
ただ、+1σは上向きで推移しているため、ナイトセッションでは3万9660円に上昇している。+1σが抵抗線として意識されてくるようだと、中心値である25日移動平均線(3万8830円)辺りまでの調整が警戒されるため、同バンドでの底堅さをみせたいところだろう。
週足の+1σは3万9240円辺りに位置しており、まずはオプション権利行使価格の3万9250円から3万9750円辺りのレンジを想定しておきたい。
NT倍率は先物中心限月で14.07倍と横ばいだった。一時14.03倍に低下する場面もみられたが、足もとでは200日線(14.04倍)を支持線とした値動きが続いている。同線での底堅さがみられるなかでは、NTロングでのスプレッド狙いを意識したスタンスになりそうだ。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万4005枚、ソシエテジェネラル証券が9188枚、サスケハナ・ホンコンが2674枚、バークレイズ証券が1719枚、JPモルガン証券が1707枚、SBI証券が1294枚、ゴールドマン証券が1146枚、野村証券が958枚、モルガンMUFG証券が905枚、UBS証券が830枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が1万6163枚、ソシエテジェネラル証券が1万5862枚、バークレイズ証券が6867枚、JPモルガン証券が3771枚、ビーオブエー証券が2925枚、モルガンMUFG証券が2319枚、ゴールドマン証券が1562枚、サスケハナ・ホンコンが752枚、野村証券が681枚、大和証券が566枚だった。
本日のニューヨーク為替市場は、米国勢が3連休明けで重要イベントも予定されていないとは言え、依然としてトランプ関税を巡る報道で神経質な動きとなりそうだ。また、東京午前(米国6日)に伝わった「トランプ米大統領のBRICSへの圧力」に対して、BRICS側の反応にも注意が必要だろう。
トランプ政権による「相互関税の猶予期限・7月9日」が迫るなか、トランプ大統領は本日から期限日までにかけて、最大15の貿易相手国に関税率などを通知する書簡を送ることを明らかにした。現在進行中の関税交渉が合意に至らなかった場合については、来月1日から新たな関税が発動されるとラトニック米商務長官は説明している。
週明け時間外の米株先物は売りが先行したものの、先週大きく上げた後でもあり、調整の範囲は出ていない。連休明けの米債市場も、時間外では目立った動きを見せず。先週は、6月米雇用統計が良好な結果となり、またトランプ政権が推し進めた大規模な減税・歳出法案が成立。重要なイベントをクリアし、相場全般に一先ずトランプ書簡を見極めたいというムードが広がりつつあるか。
とは言え、米国の一方的とも言える関税政策への反発は根強いのは確か。特に、世界経済への影響力を増してきたBRICSと米国が対立色を強めるようだと、リスクセンチメントの悪化が一気に進んでしまうだろう。
本日まで開催される「主要な新興国11カ国で構成するBRICS首脳会議」では、トランプ米政権を念頭に置いた無差別な関税政策について懸念を表明するもよう。また加盟国イランに対する軍事攻撃についても、国際法違反として非難した。これに対して、トランプ大統領は「BRICSの反米政策に同調する国には追加で10%の関税を課す」と反応している。
米国とBRICSの関係悪化を懸念し、欧州昼までは対新興国通貨を中心にドル高が進行。NY勢がこの流れに乗ってくるようであれば、日足一目均衡表・雲の上限145.55円を超えて上値余地を試す場面がありそうだ。
想定レンジ上限
・ドル円、6月24日高値146.19円
想定レンジ下限
・ドル円、4日安値144.18円
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
OPECプラス有志8ヶ国は8月も大幅増産、自主減産枠の約9割縮小へ
先行きは過剰供給への懸念もくすぶるなか、国際原油価格は上値の重い展開が続く可能性も
主要産油国の枠組みであるOPECプラスの有志8ヶ国は、5日のオンライン会合において、今年4月から進めている自主減産の段階的縮小を8月も加速することで合意した。元々は18ヶ月かけて日量220万バレルの自主減産枠を縮小する計画だったが、今回の決定によりそのスケジュールは一段と前倒しされることとなり、8月までの5ヶ月で約9割が縮小される見通しとなっている。
決定の背景には、減産の長期化でOPECプラスの市場シェアの低下に対する警戒感がある。今回の決定を巡っては、安定した世界経済の情勢や低水準の在庫を根拠に挙げている。一方、米トランプ政権の関税政策や中東の地政学リスクを背景に、国際原油価格は一時上昇したが、イスラエルとイランの停戦合意により市場は落ち着きを取り戻している。しかし、先行きには依然として不透明感が残っており、減産縮小の前倒しによる過剰供給への懸念も重なり、国際原油価格は上値の重い展開が続く可能性がある。
欧州連合(EU)は中国との気候変動対策協定への署名を見送っているとフィナンシャルタイムズ紙が報じている。背景には、EUと中国の間で電気自動車(EV)関税や医療機器の市場アクセス問題など、貿易や経済を巡る緊張が続いていることが挙げられる。
また、EUは気候変動分野で中国との協力の重要性を認めつつも、競争と協調のバランスや欧州独自の戦略的自律性を重視しており、協定締結に慎重な姿勢を取っている。さらに、欧州委員会は中国側からの明確な提案や約束を求めており、7月のEU・中国首脳会談を前に交渉が続いている状況だ。
マネースクエアのエリオット波動レポートでは、日経平均の週足は重要サポートとしての200週MAを上回って推移していると指摘。同MAを今後も維持する限り、プライマリー上昇3波は依然継続中とみている。日経平均はインターミディエイト級第(5)波の上昇が進行中。この第(5)波は、20年3月コロナショック底(16358.19 円)からのラリー中「最後の上昇」に相当するという。早ければ7月~8月にも、日経平均は24年7月高値(42,426.77円)を上抜き史上最高値を更新するとみている。
「フェンタニルで毎日200人超の米国人が命を落としている。この危機的状況に対処するには、日米の強い決意と協力体制が求められる。中国の麻薬を阻止しましょう。」
→フェンタニル関税を上乗せして、相互関税25%と自動車関税50%にしました。日本政府は国内に潜伏している中国マフィアを撲滅するしかありません。石破政権は中国マフィアが日本に出入り自由に変更しました。
ps://i.imgur.com/1IenE5Q.jpeg
ps://i.imgur.com/D3SkD1t.jpeg
今週のNY市場は貿易交渉の行方に注目。
先週は、4日が独立記念日の祝日で休場のため4日間の取引だった。ダウ平均が1009.26ドル高(+2.30%)と大幅に3週続伸し、S&P500が1.72%高と続伸。ナスダック総合は1.62%高と3週続伸した。カナダがグーグルやメタなどに課すデジタルサービス税を撤回したことで米国とカナダの貿易交渉進展期待が再び高まったほか、ベトナムと20%の輸入関税で合意したことでナイキなどが大幅高となった。
経済指標では6月雇用統計で非農業部門雇用者数が市場予想を上回ったほか、失業率も悪化予想に反して改善したことで安心感が広がった。前週末に史上最高値を更新したS&P500は6月30日と2日、3日の連日で史上最高値を更新。ナスダック総合も7月1日を除く3日間で終値の過去最高値を更新した。ダウ平均は昨年12月に付けた史上最高値まで185.51ドル(0.41%)に迫って終了した。
今週は主要3指数が最高値圏にあり、高値警戒感が強まることが予想される中、主要貿易相手国との貿易交渉の行方が焦点となりそうだ。トランプ米大統領の「相互関税」の90日間の猶予期限が9日水曜日に期限を迎えることで、EUや日本、インドなどとの交渉結果が注目される。トランプ大統領は約15カ国に対して新たな関税率を通知する書簡を7日に送り、8月1日から新税率を発動する予定を示したが、べッセント財務長官は交渉期限延長の可能性も示唆しており、引き続き貿易交渉をにらんだ展開が予想される。
今週の経済指標・イベントは6月NFIB中小企業楽観度指数、5月卸売在庫、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨、新規失業保険申請件数など。
今晩の米経済指標・イベントは6月雇用傾向指数など。主要な企業の決算発表はなし。
みずほ証券では、日本政府としては関税交渉を延長し続ければ、来年の中間選挙が近づくにつれて、トランプ大統領がソフトになるとの期待を持っていたのかもしれないが、足元は逆の状況になってきたと指摘。これまで米国と関税合意できたのは英国だけだという言い訳もできたが、46%の相互関税が表明されていたベトナムも合意に至ったため、日本政府は参議院選挙後に本気で打開策を見つける必要が出てくるとみている。7月9日に対日関税は現状維持がメインシナリオとしながらも、30~35%に引き上げられればネガティブサプライズになるとみている。
中国商務部など9部門は7日、農村振興の一環として家政サービス業の活用を進める「2025年家政興農行動工作方案」を公表した。農村の労働力を都市部の家政業に誘導し、雇用創出や消費拡大を図る。都市への定着支援や起業支援も組み合わせ、農村経済の底上げにつなげる。
重点分野は就業促進、能力向上、就業保障、起業支援の4項目。家政業への新規就業を後押しするため、生活サービス就業キャンペーンなどのイベントを開催するほか、インターネットを活用したライブ配信による求人紹介も行う。労働組合が地域間で連携し、労働力と家政企業のマッチング支援にも取り組む。
スキル向上では、全国の信用情報プラットフォームを通じたオンライン学習や、職業学校による技能訓練を促す。家政サービスの標準規格の普及や、産学連携による人材育成体制の整備も進める。
都市部への定着支援としては、公営住宅の拡充や居住証制度の普及を掲げる。都市に出た家政労働者の医療保険加入も促進し、公共サービスの平等な享受につなげる。
起業・就業支援では、女性向けの専用ローン商品の活用や税制優遇策の周知を通じ、家政業での創業や雇用吸収力の強化をめざす。地方政府には重点分野における税費優遇策の展開を求める。
今回の方案は商務部のほか、国家発展改革委員会、教育部、財政部、人力資源社会保障部、農業農村部、国家市場監督管理総局、全国総工会、全国婦聯の9部門が共同で策定した。
日経平均株価は反落。終日さえない動きが続き、10日移動平均線(39688円 7/7)を下回って終えた。
RSI(9日)は前日の75.0%→64.8%(7/7)に低下。引き続き見方は変わらず、4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇が続いている。一方、10日移動平均線を下回ったことで、一目均衡表の基準線(39086円 同)や25日移動平均線(38763円 同)付近まで調整幅が拡大する可能性が高まった。ただ、その場合でも6/18高値(38885円)付近に向けた単なる揺り戻しが生じる意味合いとなる。
上値メドは、心理的節目の4万円、6/30高値(40852円)、昨年7/17安値(41054円)、心理的節目の42000円、昨年7/11安値(42102円)、昨年7/11高値(42426円)などがある。下値メドは、心理的節目の39000円、25日移動平均線、200日移動平均線(38027円 同)、6/13安値(37540円)、心理的節目の37000円などがある。
(7日終値:8日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=146.06円(4日15時時点比△1.07円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=170.98円(△0.32円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1706ドル(▲0.0065ドル)
FTSE100種総合株価指数:8806.53(前営業日比▲16.38)
ドイツ株式指数(DAX):24073.67(△286.22)
10年物英国債利回り:4.586%(△0.032%)
10年物独国債利回り:2.643%(△0.036%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月独鉱工業生産
前月比 1.2% ▲1.6%・改
前年同月比 1.0% ▲2.1%・改
6月スウェーデン消費者物価指数(CPI)
前月比 0.5% 0.0%
前年同月比 0.8% 0.2%
6月スウェーデンCPI(コア指数)
前月比 0.5% 0.1%
前年同月比 2.9% 2.3%
5月ユーロ圏小売売上高
前月比 ▲0.7% 0.3%・改
前年同月比 1.8% 2.7%・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は買い優勢。米関税政策の先行きに対する警戒感が強まるなか、米長期金利の上昇に伴う買いが先行した。連休明けのNY勢参入後も買いの流れは変わらず、米10年債利回りが4.39%台まで上昇幅を拡大したことをながめ、一時146.23円まで本日高値を更新。トランプ米大統領が日本に対する新たな関税率を通知すると145.74円付近まで弱含む場面もあったが、相場への影響は一時的だった。
なお、米大統領はこの日のNY時間午後に自身のSNSで日本に対して送付したとする書簡を公開。「8月1日から25%の関税を賦課する」「自動車やアルミニウム・鉄鋼などの分野別関税と今回の関税は別の扱いとする」などと記されていたほか、報復措置をとればさらに税率を上乗せるとの姿勢も示した。
また、米ホワイトハウスのレビット大統領報道官はその後に「米大統領は本日午後に各国との交渉期限を7月9日から8月1日に延期するための大統領令に署名する」と明らかにした。
・ユーロドルは軟調。米長期金利の上昇とともに全般ドル買いが進んだ影響を受けた。3日安値の1.1718ドルに面合わせしたところでいったん下げ止まる場面もあったものの、戻りの鈍さを確認すると1.1687ドルまで下げ幅を拡大した。
・ユーロ円は堅調。ドル円の上昇につれて円売り・ユーロ買いが進み、一時171.27円まで昨年7月以来の高値を更新した。もっとも、米大統領による書簡公表後はユーロドルの売りが強まったほか、米国株式相場が下げ足を速めたこともあり、買いの勢いも落ち着いた。
・ロンドン株式相場は続落。米関税政策への先行き警戒感が強いこともあり、上値を試す展開とはならかった。シェルやBPなどのエネルギー株が売られたほか、ヘルスケアなどの下げも上値を抑制した。
・フランクフルト株式相場は反発。仏国株など他の欧州株式相場の上昇につれて、取引時間の終盤に上値を伸ばした。個別ではハイデルベルク・マテリアルズ(2.89%高)やラインメタル(2.54%高)、シーメンス・エナジー(2.29%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は下落。米債券安につれた。
7日の日経平均は3日ぶり反落。終値は223円安の39587円。
プライム市場の値上がり率上位では、キャピタル・リサーチの大量保有が材料視された円谷フィールズHDが寄り付きから大幅に上値を伸ばしたほか、眼鏡ブランド「Zoff」を展開するインターメスティックが堅調な既存店売上が好感された。日本ヒュームは大阪・東淀川の交差点での水道管破裂などが材料視され短期資金を集めた。
一方、値下がり率上位では、アスクルが今期の連続2ケタ減益見通しが嫌気されたほか、安川電機の下方修正を受けてSMCやファナックなどへ連想売りが広がった。前日に25日線を割り込んださくらインターネットが大幅に5日続落となった。
あすの東京市場は週明けの米国株の動向次第であるが、神経質な展開となりそうだ。トランプ政権が関税の猶予期限としていた7月9日に近づいている。直近では、トランプ大統領が日本の自動車やコメの貿易に不満を示しており、交渉難航の度合いを織り込む週となりそうだ。トランプ政権が12カ国に送る書簡は日本が入っているかは不明だが、相互関税が35%となるとネガティブサプライズになるとの見方が強い。
関税交渉への不透明感に加え、安川電機の下方修正で外需関連には引き続き手控え要因となる。そういった状況下でも、米国株の上昇や円高一服の流れが強まれば投資家心理の支えになるほか、持たざるリスクを背景とした選別物色は続く公算が大きい。逆に、米ナスダックやS&P500などの上昇一服や、円高に振れる局面では下押し圧力が増すことになろう。
今週は小売関連の決算発表が多く予定されており、きょうのように内需株に資金回避する流れが続く展開も予想される。週初から小売の主力企業である良品計画が大幅高で高値更新となったが、二番手、三番手を狙う動きが活発化する可能性もあり、小売企業の決算反応が予想以上に大きくなることもあるだろう。
需給イベントでは、8日と10日にTOPIX型、日経平均型のETFが決算日を迎えるため、現物、先物に合計1.5兆円規模の分配金捻出の売りが発生することが見込まれている。市場推計では、8日がTOPIX型と日経平均型で5700~6100億円、10日は合計で9300億円程度の規模になるという。一時的な要因ではあるが、外部環境のネガティブな状況が重なる場合は下げ幅が予想以上に大きくなることも考えられる。
(7日終値)
ドル・円相場:1ドル=146.05円(前営業日比△1.58円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=171.03円(△0.86円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1709ドル(▲0.0069ドル)
ダウ工業株30種平均:44406.36ドル(▲422.17ドル)
ナスダック総合株価指数:20412.52(▲188.58)
10年物米国債利回り:4.38%(△0.04%)
WTI原油先物8月限:1バレル=67.93ドル(△0.93ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3342.8ドル(▲0.1ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は反発。連休明けのNY勢参入後も欧州時間からの流れを引き継いで買いが先行した。米10年債利回りが4.39%台まで上昇幅を拡大したことをながめ、一時146.24円まで本日高値を更新。その後は米長期金利の上昇が一服したこともあって高値圏でのもみ合いに転じた。
なお、トランプ米大統領はこの日、自身のSNSで日本に対して送付したとする書簡を公開。「8月1日から25%の関税を賦課する」「自動車やアルミニウム・鉄鋼などの分野別関税と今回の関税は別の扱いとする」などと記されていたほか、報復措置をとればさらに税率を上乗せるとの姿勢も示した。また、米ホワイトハウスのレビット大統領報道官はその後に「米大統領は本日午後に各国との交渉期限を7月9日から8月1日に延期するための大統領令に署名する」と明らかにした。
・ユーロドルは反落。米長期金利の上昇とともに全般ドル買いが進んだ影響を受けた。3日安値の1.1718ドルに面合わせしたところでいったん下げ止まる場面もあったものの、戻りの鈍さを確認すると1.1687ドルまで下げ幅を拡大。引けにかけても戻りの鈍い動きが続いた。
・ユーロ円は反発。ドル円の上昇につれて円売り・ユーロ買いが進み、一時171.32円まで昨年7月以来の高値を更新した。米大統領による書簡公表後には米国株式相場が下げ幅を拡大したが、米株安に対する反応は限られた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は反落。トランプ米大統領が日本や韓国に25%の関税を課すと表明すると、米国の貿易政策によって世界景気が冷え込むとの懸念が広がった。また、連休前に約5カ月ぶりの高値をつけていたため、短期的な過熱感が意識されたことも相場の重しに。指数は一時670ドル近く下げる場面も見られた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も3営業日ぶりに反落した。
・米国債券相場で長期ゾーンは4日続落。米国の関税政策がインフレ再燃につながるとの思惑が意識されたほか、今週の米国債入札を前に持ち高調整売りも出た。
・原油先物相場は反発。石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の産油国で構成する「OPECプラス」の有志8カ国(サウジアラビア、ロシア、UAE、クウェート、オマーン、イラク、カザフスタン、アルジェリア)は5日にオンライン会合を開き、8月の生産量を前月から日量54万8000バレル増やすことを決定した。予想を上回る規模となったものの、足元の増産幅が計画を下回っていることから買いが先行した。
また、エネルギー需要に影響を及ぼす可能性が高いとしてトランプ関税が注目されているが、新関税率の発動は当初の7月9日から8月1日に先送りされる見通しとなっていることも支援材料となった。
・金先物相場はほぼ変わらず。米長期金利の上昇や為替相場でのドル高を背景にドル建ての金は売りが先行。ただ、トランプ関税の不透明感が根強く、下押し局面では安値拾いの動きが強まり、下げを取り戻した。主要中銀による金購入が続いていることも支援材料となった。中国人民銀行(中央銀行)の金準備は8カ月連続で増加している。
7日06:30 トランプ米大統領
「(イーロンマスク氏による)第3政党を立ち上げるなんて馬鹿げている」
「今後数日以内に貿易に関する書簡を送る予定だ」
「今週中にもガザ合意が成立する可能性がある」
「ゼレンスキー・ウクライナ大統領との電話会談は良かった、プーチン露大統領には失望」
7日11:28
「BRICSの反米政策に同調する国には10%の追加関税が課される」
8日01:20
「日本に貿易に関する書簡を送付した」
「日本からの輸入品に25%関税賦課へ」
8日03:21
「南アフリカからの輸入品に30%の関税を賦課」
7日14:47 マクルーフ・アイルランド中央銀行総裁
「ユーロがドルの代替となる準備はできていない」
8日00:19 ナバロ米大統領上級顧問
「パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の金利据え置きは深刻な悪影響をもたらしている」
「FRBにはパウエル議長のスタンスに対する抵抗での介入を求める」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◎ 5月国際収支速報
◇ 経常収支(予想:季節調整前2兆9400億円の黒字/季節調整済2兆5806億円の黒字)
◎ 貿易収支(予想:5172億円の赤字)
○14:00 ◇ 6月景気ウオッチャー調査(予想:現状判断指数45.0/先行き判断指数45.3)
<海外>
○10:30 ◇ 6月豪NAB企業景況感指数
○13:30 ☆ 豪準備銀行(RBA)政策金利発表(予想:3.60%に引き下げ)
○15:00 ◇ 5月独貿易収支(予想:155億ユーロの黒字)
○15:45 ◇ 5月仏貿易収支(予想:82.50億ユーロの赤字)
○15:45 ◇ 5月仏経常収支
○21:00 ◎ 5月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比2.5%)
○23:00 ◇ 6月カナダIvey購買部協会景気指数
○23:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○9日02:00 ◎ 米財務省、3年債入札
○9日04:00 ◇ 5月米消費者信用残高(予想:110.0億ドル)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
①消費税の廃止。
②日本から米国にフェンタニルを密輸出している台湾マフィア(中国共産党が台湾に作ったマフィア)の撲滅。
③日本政府の海外支援金がキックバックされている腐敗の撲滅。岸田24兆円。
④中国製「再エネ5割」で中国に利益誘導する石破総理の辞任。
⑤安倍総理暗殺の黒幕の捜査。
imgur.com/1IenE5Q.jpeg imgur.com/e7ZbhTM.jpeg imgur.com/QL8nQIn.jpeg imgur.com/DqUz3hY.jpeg
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 39330 -210 (-0.53%)
TOPIX先物 2804.0 -5.5 (-0.19%)
シカゴ日経平均先物 39460 -80
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
7日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落した。トランプ米大統領は7日、日本と韓国からの輸入品に25%の関税を賦課すると表明した。4月に発表した税率(24%)を1ポイント上回る水準であり、関税は8月1日から適用するとした。その後、ミャンマーからの輸入品に対しては40%、南アフリカには30%の関税を課すとも表明した。トランプ政権の貿易政策が世界景気の冷え込みにつながると懸念され、主力株を中心に利益確定や持ち高調整の売りが膨らんだ。
S&P500業種別指数は食品・生活必需品小売、公益事業の2セクターのみが上昇した。一方で、自動車・同部品、テクノロジー・ハード・機器、保険、銀行、素材の弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、ボーイング<BA>、ウォルマート<WMT>、ナイキ<NKE>が買われた。半面、シャーウィン・ウィリアムズ<SHW>、トラベラーズ<TRV>、アムジェン<AMGN>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>、アップル<AAPL>が下落。
シカゴ日経平均先物清算値は大阪比80円安の3万9460円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比60円高の3万9600円で始まった。その後もロング優勢の流れが続き、米国市場の取引開始直後には3万9910円まで上げ幅を広げる場面もみられた。ただし、買い一巡後は急速に軟化し、終盤にかけて3万9330円まで売られ、ナイトセッションの安値で取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、売り先行で始まりそうだ。ただし、トランプ大統領は日本に対する一律関税について「30%や35%」といった数字を挙げ、「日本と合意できるとは思えない」との考えを示していた。また、ベッセント米財務長官が3週間の交渉期間延長の可能性を示していたこともあり、想定されていた範囲内ではあろう。
そのため、ショート優勢の流れとはなるものの、売り一巡後の下値の堅さが意識されそうである。ボリンジャーバンドの+1σ(3万9640円)を割り込んできたことで、中心値となる25日移動平均線(3万8820円)が射程に入ってきた。週足の+1σは3万9190円に位置しており、まずは同バンドが支持線として機能するかを見極めたいところだろう。
オプション権利行使価格の3万8875円から3万9625円のレンジを想定。週足の+1σに接近する局面では、いったん押し目狙いのロングでの対応に向かわせよう。また、日米交渉については、基本的には20日の参院選投開票日前に日本側が自動車などの分野で踏み込んだ譲歩を示すことは難しく、参院選通過まではショートも手控えられやすくなりそうだ。
7日の米VIX指数は17.79(4日は17.48)に上昇した。一時18.50まで上げる場面もみられ、下向きで推移する25日線(18.12)を上回る場面もみられた。やや神経質にさせる可能性は意識しておきたいところだが、200日線(19.68)や判断の分かれ目となる20.00を明確に上抜けてくるまでは、リスク回避姿勢は強まらないだろう。
昨日のNT倍率は先物中心限月で14.07倍と横ばいだった。一時14.03倍に低下する場面もみられたが、足もとでは200日線(14.04倍)を支持線とした値動きが続いている。米株安の流れを受けて日経平均型のインデックス売りが先行する形になりそうだが、200日線水準での底堅さがみられるなかでは、NTロングでのスプレッド狙いを意識したスタンスになりそうだ。
7日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが4.39%台まで上昇したことを受けて146.24円まで上昇した。トランプ米大統領は、日本に対して8月1日から25%の関税を賦課する、と表明した。ユーロドルは米長期金利の上昇を受けて1.1687ドルまで下落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、トランプ相互関税率25%の発表を受けたトリプル安の進展を見極めることになる。
トランプ米大統領は、日本に対する相互関税率を基本税率10%に15%の上乗せ分を加えた25%に引き上げると発表した。
4月に発表されていた24%を1%上回ったものの、先週トランプ米大統領が警告していた30-35%や税率の上限の60-70%は下回った。
これで、日本に対する関税率は、自動車・部品に対して25%、鉄鋼・アルミニウムに対して50%、その他には25%の相互関税が課されることになった。
一方で、トランプ米大統領は、日本の企業が米国内で製品を製造する決定を下すのであれば、関税は賦課しない考えを表明している。レビット大統領報道官は「米大統領は本日午後に各国との交渉期限を7月9日から8月1日に延期するための大統領令に署名する」と述べている。
ベッセント米財務長官も、トランプ米大統領の手紙は最後通告ではなく、8月1日の発効までに関税交渉の余地はある、と述べている。
トランプ米大統領による相互関税率の発表を受けてドルは全面高の展開となり、ドル円も146円台まで上昇し、日本企業の米国預託証券(ADR)も下落、長期債も財政拡大への警戒感から売られていたことで、トリプル安(円安・日本株安・日本国債安)の様相を呈している。
ドル円は一目均衡表の雲の上限145.55円や90日移動平均線145.51円を上抜けてきており、シカゴIMM筋の円の買い持ちポジションの手仕舞いを誘発して、ドル高・円安トレンドを形成していくのか否かを見極めていくことになる。
昨年の7月のドル円は、シカゴIMM筋の過去最大規模の円の売り持ちポジションなどから、161.95円まで上昇していたものの、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入や日銀の利上げにより、140円台まで反落していた。
今年7月も、トランプ関税がシカゴIMM筋のポジションの手仕舞いに繋がるのか否かに注目しておきたい。
13時30分に発表される豪準備銀行(RBA)の政策金利は、6年ぶりとなる2会合連続の利下げで3.60%に引き下げられることが見込まれている。しかし、RBAはインフレの見通しに慎重なスタンスを示しており、直近の四半期経済・インフレ予測によると、RBAが重視している消費者物価指数のトリム平均は予測期間内(2027年前半まで)にインフレ目標(2-3%)中央値である2.5%へ鈍化することはないとの見方を示している。
本日のリスクシナリオは、確率は低いものの据え置きの場合、そして、予想通りに利下げの場合も、声明文でタカ派的な見解が示された場合となる。
トランプ米大統領が相互関税を発表したことを受けて、ドルは全面高の展開、豪ドルは弱含みに推移しており、声明文次第では、豪ドル/ドルの下落に拍車がかかる可能性に警戒しておきたい。
一方、現在の金利先物市場は今回も含めて年内に3回程度の利下げ(※3.10%)をすでに織り込んでおり、予想通りに利下げが実施されたとしても豪ドル売りに繋がらない可能性にも留意しておきたい。
ポリティコが報じたところによると、米国は欧州連合(EU)に条件付きながら10%関税案を提示したという。なお、現時点でこの合意は仮のものであり、最終的な締結には至っていないとのこと。
東京市場は一進一退か。米国株は下落。ダウ平均は422ドル安の44406ドルで取引を終えた。トランプ大統領が日本や韓国などへの追加関税の内容について表明。日本には25%の関税を課すとした。貿易摩擦懸念が高まる中、3指数は弱く始まり、場中に下げ幅を広げた。為替市場では円が売られており、ドル円は足元145円90銭近辺と円安・ドル高に振れている。CME225先物は円建てが80円安の39460円、ドル建てが変わらずの39540円で取引を終えた。
トランプ大統領は以前に30~35%の関税を課す可能性を示唆したこともあった。それと比べればマイルドではあるが、特に日本に配慮するような姿勢は見られなかった。今後の交渉にも不安が残る。一方で、円安は一定程度日本株を下支えすると見込まれる。「トランプ・リスク」が改めて意識されるだけに、基本的には上値は重いだろう。ただ、関税に関する不透明感が若干和らいだこともあり、大きく下げるようなら押し目は拾われるとみる。積極的な売買は手控えられ、序盤に売り買いをこなした後は模様眺めムードの強い地合いが続くと予想する。日経平均の予想レンジは39200-39700円。
昨日のドル円は、週明けのアジア時間から買いが先行。トランプ米大統領がブラジルのリオデジャネイロで最終日を迎えていたBRICS首脳会議にあてつけるかたちで「10%の追加関税」を表明すると全般ドル買いが強まるなか、じりじりと下値を切り上げる展開となりました。欧州時間に入ってからは、低下していた米長期金利が上昇に転じると目先の上値目処として重要視されていた一目雲上限が位置する145.55円を上抜けて上げ幅をひろげる動きに。トランプ米大統領が予告通り正午に送付した相互関税のレターの内容を公表すると、発表直後こそ145.74円まで値を下げたものの下値も極めて限定的。146.24円まで高値を更新してNY市場を引けました。
東京勢参入と同時に利食い売りなども観測されましたが、下押しも145.83円までにとどまると、仲値にかけての実需の買いなどを受けて一時146.45円まで昨日高値を上抜けて値を上げているといったところです。
市場では、昨日のレターに対しては「単純に期限と税率が変更されて上書きされただけ」との認識が強く、日経平均も先物からそれほど極端な反応とはならず、むしろ、最終通告ではなく、交渉余地が生まれたことをポジティブに捉えている向きが多い模様。リスクオフにはなっていないことがわかります。
また、為替市場では、全般ドル買いの流れとなっているわけですが、ドル円については、これまで何度かお伝えしたことがありますが、昨日のような全く下押しらしい下押しもないまま、週明けのアジア市場から24時間ずっと下値をじりじりと切り上げているといった値動きとなるのは、明らかに一部マクロHF勢がまとまった買いを継続していたからこその動き。
昨日公表された1日時点での投機筋の円ロングが依然として大量にキープされていることが判明していますが、恐らく、独立記念日前日の米雇用統計から昨日にかけて、根本的なポジションのアンワインディングに取り掛かった可能性もあるわけで、チャート上でも一目雲上抜けといった明確な買戻しサインにもつながっています。
いずれにしても、昨日のレター送付国リスト。7回も赤澤大臣が渡米したにもかかわらず、4月の24%からなぜか1%関税を引き上げられているあたり、米国の石破政権に対する姿勢をうかがい知ることが出来るというもの。ましてや、これらの完全な新興国リストの中に日本が入っていること自体に、ある意味ショックを受けている参加者も多いはずです。
日経225先物は11時30分時点、前日比170円高の3万9710円(+0.42%)前後で推移。寄り付きは3万9410円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万9460円)にサヤ寄せする形から、売りが先行して始まった。寄り付きを安値に押し目狙いのロングが入り、現物の寄り付き時にはプラス圏を回復。さらに、中盤にかけて3万9820円まで上げ幅を広げる場面もみられた。買い一巡後は売り買いが交錯する形で上げ幅を縮めており、ボリンジャーバンドの+1σ(3万9660円)を挟んでの推移をみせている。
トランプ米大統領は、日本と韓国に対して25%の関税をかけると通告したが、日本に対する一律関税について「30%や35%」といった数字を挙げていたこともあり、想定内との見方から押し目狙いのロングに向かわせた形だろう。一気に+1σを上回ったことでショートカバーを誘った面もあったとみられる。強弱感が対立しやすいところだが、+1σを上回っての推移が続くようだと、ロングの動きが強まりそうだ。
NT倍率は先物中心限月で14.09倍に上昇した。14.04倍に低下して始まったが、同水準に位置する200日移動平均線(14.04倍)が支持線として機能しており、その後は14.13倍まで上昇する場面もみられた。+1σ(14.06倍)を上回っての推移が続くようだと、NTロングに振れやすいだろう。
習・中国国家主席が、8月27-30日に開催予定の党中央委員会第4回全体会議(4中全会)で、引退するのではないか、という噂が出回っている。
習主席が、5月19-20日に河南省を視察した後、半月も公の場に姿を見せなかったことで、プーチン大統領は、軟禁状態にあるとの噂を確認するためベラルーシのルカチェンコ大統領を訪中させた。首脳会談は習主席の自宅で行われるなど不自然な会談だった。
1.噂の出所
■マイケル・フリン氏(6月27日)
6月27日、トランプ第1期政権時に大統領補佐官(国家安全保障担当)を務めたマイケル・フリン氏が、習氏の失脚説を流した。
「中国で明らかに権力移動が起きている。中国のリーダーシップ変化は途方もない果を招くことになる」
そして、3名の後継者候補を紹介した。
・丁薛祥・国務院副首相
・陳吉寧・上海党書記
・張又侠・中央軍事委員会副主席
■グレゴリー・スレイトン氏(6月28日)米国の元バミューダ駐在大使
6月28日、グレゴリー・スレイトン氏は、習氏の失脚説を扱った記事をニューヨーク・ポストに寄稿した。
「習近平は健康が不安定で8月党中央委員会第4回全体会議(4中全会)で引退するか、名前だけ職責を維持する可能性がある」
「2022年習近平から屈辱を受けた後、胡錦濤氏ら元老が権力を掌握した」
■台湾自由時報(6月30日)
習主席は、中国軍部を掌握するために2人の側近(中央軍事委員会副主席の何衛東氏と苗華氏)に軍部の実権者である張又侠氏を粛清しようとしたが失敗し、2名の側近は失脚した。そこで、習主席は、引退する条件として集団指導体制の復元に合意した。
・側近である丁薛祥国務院副首相:総書記
・胡錦濤前主席の支持を受ける陳吉寧上海党書記:首相
・張又侠中央軍事委員会副主席:中央軍事委主席
2.噂の背景
・習主席が7月6-7日にブラジル・リオデジャネイロで開かれる第17回BRICS首脳会議を欠席(※2013年の就任以来出席していた)
・習主席の父親・習仲勲を賛える「習仲勲記念館」が「関中革命記念館」に名称変更
本日のロンドン為替市場のユーロドルは、欧州連合(EU)とトランプ米政権による通商協議の行方を見極めることになる。
ユーロドルは、欧州の財政拡張策に対するレパトリで、米国投資から欧州への資金還流の流れに乗り、9手連続陽線で1.18ドルまで上昇してきた。
しかし、デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁がユーロドル1.20ドル台に難色を示し、昨日のトランプ米大統領による相互関税通告により、ドルは全面高の様相を呈しており、欧米通商交渉が決裂した場合は、ユーロ売り・ドル買いに拍車がかかる可能性に警戒しておきたい。
欧州委員会は昨日、6日のフォンデアライエン委員長とトランプ大統領との電話会談を経て、米EUの通商合意の枠組みがまとまりつつあると述べた。さらに、EUは米国の関税通知回避の公算、とも報じられている。
EUに対するトランプ関税は、自動車・部品に対して25%、鉄鋼・アルミニウムに対して50%、その他には10%の一律関税が課されている。
EUが明日9日までに米国と通商合意を結ばなければ、米国向け輸出品のほぼ全てに対する関税は50%に引き上げられることになっていたが、レビット大統領報道官が「米大統領は本日午後に各国との交渉期限を7月9日から8月1日に延期するための大統領令に署名する」と述べており、8月1日まで交渉期限が延期されることになっている。
EUは、米国との通商合意に至らなかった場合は、報復措置を講じる構えであり、最悪のシナリオは、欧米貿易戦争の勃発となる。また、先日の英紙フィナンシャルタイムズは、米国はEUが輸出する農産物に対し、17%の関税を課す可能性を示したと報じている。
また、ポリティコが報じたところによると、米国はEUに条件付きながら10%関税案を提示したとのことである。現時点でこの合意は仮のものであり、最終的な締結には至っていないとのことであり、関連ヘッドラインには、引き続き警戒しておきたい。
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1829ドル(7/1高値=年初来高値)
・ユーロ円:172.83円(2024/7/17高値)
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.1593ドル(日足一目均衡表・基準線)
・ユーロ円:169.89円(日足一目均衡表・転換線)
ドル円:1ドル=146.10円(前営業日NY終値比△0.05円)
ユーロ円:1ユーロ=171.44円(△0.41円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1734ドル(△0.0025ドル)
日経平均株価:39688.81円(前営業日比△101.13円)
東証株価指数(TOPIX):2816.54(△4.82)
債券先物9月物:138.96円(▲0.16円)
新発10年物国債利回り:1.485%(△0.03%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月国際収支速報
経常収支(季節調整前)
3兆4364億円の黒字 2兆2580億円の黒字
経常収支(季節調整済)
2兆8181億円の黒字 2兆3068億円の黒字
貿易収支
5223億円の赤字 328億円の赤字
6月景気ウオッチャー調査
現状判断指数 45.0 44.4
先行き判断指数 45.9 44.8
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は上昇一服。仲値公示前後でドル買い・円売りの流れとなると、146.45円まで上昇。買いの勢いが一巡すると、7月20日に投開票される参議院選挙やトランプ関税への対策で、政府の財政支出が増加するとの懸念から20年・30年債の利回りが上昇したことが嫌気されて145.80円台まで下押す場面も見られた。
・ユーロ円は底堅い。ほぼ1年ぶり高値となる171.81円まで上昇後は171.30円台まで下押したが、同水準で下げ渋ると171.60円台に切り返すなど、ドル円に連れた動きとなった。
・ユーロドルは伸び悩み。「米国は欧州連合(EU)に条件付きながら10%関税案を提示」とポリティコが報じると、日本や韓国などと比べて低い関税率であることが好感されてユーロはじり高で推移。その後1.1750ドルまで上値を伸ばすも、同水準では上値が重く伸び悩んだ。
・豪ドル円は上昇。豪準備銀行(RBA)は市場の0.25%利下げ予想に反して政策金利の3.85%据え置きを決定。これを受けて豪ドル買いが強まる中、一時95.70円まで上昇した。なお、声明では「本日の政策決定は賛成6、反対3」などが明らかとなったほか、ブロックRBA総裁からは「インフレデータに対する我々の解釈は市場とはやや異なっていた」などの発言が伝わっている。
・日経平均株価は反発。前日の米株安を受けて小安くスタート。しかし、トランプ大統領が日本に25%の関税を課すと通告したが、25%は想定内との声も多く、米関税政策を巡る過度な警戒感が後退すると買い戻された。上昇幅は一時200円超となる場面も見られた。
・債券先物相場は下落。政府の財政支出が増加するとの警戒感から、20年債や30年債の利回りが上昇。これを嫌気して債券は売り優勢となった。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
RBAは物価動向見極めへ金利据え置き、豪ドル相場の行方は?
利下げはタイミングの問題としつつ慎重姿勢を維持、市場の期待先行の動きを諫める考えを強調
オーストラリア準備銀行(RBA)は8日の定例会合で政策金利(OCR)を3.85%に据え置いた。RBAは年明け以降に2度利下げを実施するなど、インフレ沈静化と景気減速を理由に緩和姿勢に転じている。足下のインフレ指標はすべてRBAが定める目標(2~3%)の域内にあるなど、金融緩和に動きやすい環境にある。
インフレは落ち着いた推移をみせる一方、足元では不動産価格が都市部を中心に上昇して過去最高値を更新するなど利下げの副作用が懸念される動きもみられる。政府はここ数年、不動産価格抑制に向けた規制強化など取り組みを強化させているが、金融緩和によってその効果が打ち消されている可能性がある。
RBAは四半期ベースのインフレ指標の動きを見極めるべく、今回は判断を先送りしたとみられる。声明では、インフレは緩やかに推移するが、持続的に2.5%に収束するか確認する必要があるとの認識を示した。景気は内需に回復の兆しがある一方、世界経済の不透明感や労働市場の逼迫など不確実性を強調した。
ブロック総裁は利下げ効果が浸透しつつあるとの見方を示すも、「緩和の方向は維持しつつも、決定はタイミングの問題」として慎重姿勢を強調。金融市場との距離を保つ構えをみせた。今回の据え置き決定は事前の市場予想に反したこともあり、当面の金融市場では豪ドルが底堅く推移する可能性が高まっている。
大阪9月限
日経225先物 39820 +280 (+0.70%)
TOPIX先物 2825.0 +15.5 (+0.55%)
日経225先物(9月限)は前日比280円高の3万9820円と本日の高値で取引を終了。寄り付きは3万9410円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万9460円)にサヤ寄せする形で売りが先行した。寄り付きを安値に押し目狙いのロングが入り、現物の寄り付き時にはプラス圏を回復。さらに、前場中盤にかけて3万9820円まで上げ幅を広げた。買い一巡後は売り買いが交錯する形で上げ幅を縮めたが、後場はボリンジャーバンドの+1σ(3万9680円)を挟んで推移し、終盤にかけてロングの動きが強まった。
トランプ米大統領は日本と韓国に対して25%の関税を課すと通告したが、日本に対する一律関税について「30%、35%」といった数字を挙げていたこともあり、想定内とする見方が押し目狙いのロングに向かわせた形だろう。一気に+1σを上回ったことでショートカバーを誘った面もあったとみられる。
日経225先物は+1σを割り込んで始まったが、その後は底堅さがみられるなかで同バンドを上回って終えており、引き続き支持線として意識されそうだ。ナイトセッションで+1σは3万9750円辺りに切り上がっており、+2σ(4万0580円)とのレンジに戻るかが注目されよう。
もっとも、+1σ水準で底堅さがみられたことで、同バンドを下回る場面では押し目待ち狙いのロングが入りやすくなったとみられる。積極的にポジションを傾けてくる動きは限られるだろうが、日米交渉について参院選通過までは政府が踏み込んだ譲歩を示すことは難しいと考えられるため、それまではショートも仕掛けづらい状況だろう。
日経225先物は6月30日につけた4万0870円をピークに調整が続き、+1σを割り込む水準まで下げたことで過熱感は和らいでいる。楽観視はできないものの、目先的にはリバウンドを想定したスタンスにより、4万円回復を狙ったロング優勢の展開が期待される。そのため、短期的にはオプション権利行使価格の3万9750円から4万250円辺りのレンジ推移を想定しておきたいところだ。
NT倍率は先物中心限月で14.09倍に上昇した。14.04倍に低下して始まったが、同水準に位置する200日移動平均線(14.04倍)が支持線として機能しており、その後は14.12倍に上昇する場面もみられた。+1σ(14.06倍)を上回って終えたことで、+2σ(14.24倍)とのレンジに入るようだとNTロングに振れやすいだろう。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万7050枚、ソシエテジェネラル証券が1万0979枚、サスケハナ・ホンコンが3206枚、JPモルガン証券が2425枚、SBI証券が2320枚、バークレイズ証券が1922枚、モルガンMUFG証券が1726枚、ゴールドマン証券が1313枚、野村証券が1051枚、日産証券が930枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が2万1382枚、ソシエテジェネラル証券が1万8060枚、バークレイズ証券が7111枚、JPモルガン証券が6766枚、モルガンMUFG証券が3528枚、ゴールドマン証券が3177枚、シティグループ証券が2062枚、ビーオブエー証券が1698枚、みずほ証券が1146枚、UBS証券が1024枚だった。
NYタイムは、米関税問題の行方をにらんだ神経質な展開が予想される。ドル円は146円前半で底堅く推移しているが、1.17ドル台で戻りを試したユーロドルや、2024年7月以来の高値圏171円後半へと買いが先行していたユーロ円にもやや調整が入るなど、関税問題の影響を推し量りきれない部分が残るなか、方向が定まりにくい面もある。高値圏をおおむね維持しているドル円も、きっかけ次第で調整の反落を強めるリスクがある。
本日はドル円の動向に直接影響しそうな米経済指標の発表は予定されていない。ただ、米3年債入札後の米金利の振れには注意が必要か。需給の偏りによって短期的にせよ金利が大きめに振れる展開も警戒される。必ずしも継続的なトレンドにつながるとは限らないものの、思わぬ米金利・ドル相場の上下を誘うリスクも念頭に置いて臨みたい。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、2025年レンジ38.2%水準147.14円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値めどは、日足一目均衡表・基準線145.21円
今晩は上値の重い展開か。
昨日はトランプ米大統領が14カ国宛てに関税率を通知した書簡を送り、8月1日から適用すると発表したことや、BRICS諸国に対して10%の追加関税を課す可能性を示唆したことが嫌気され主要3指数がそろって下落。テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が新しい政党を立ち上げる意向を発表し、テスラ株が7%近く下落したことも相場の重しとなった。ダウ平均が422.17ドル安(-0.94%)と反落し、先週連日で史上最高値を更新したS&P500とナスダック総合もそれぞれ0.79%安、0.92%安とともに3営業日ぶりに反落した。
今晩は主要3指数が高値圏にあることや、関税問題の先行き不透明感などで上値の重い展開か。株式相場の追い風となる利下げを巡っては、先週発表された6月雇用統計が強い結果となったことで7月米連邦公開市場委員会(FOMC)での政策金利据え置き見通しが強まった。今晩は6月NFIB中小企業楽観度指数などが発表予定で、中小企業の足もとの景況感が注目される。取引時間午後には米3年債入札もあり、入札結果を受けた米10年債利回りの動向にも要注目となる。
今晩の米経済指標は6月NFIB中小企業楽観度指数のほか5月消費者信用残高など。主要な企業の決算発表はなし。
米中双方がロンドン枠組み合意の成果を具体化する作業を進めるなか、ベッセント米財務長官は7日、今後数週間内に中国側と会談する見通しを明らかにした。通商を含む幅広い議題で協議を推進する意向を示している。『香港経済日報』が8日伝えた。
ベッセント長官は、ジュネーブとロンドンでの会談を「敬意をもって臨んだ良好な対話」とした上で、「もし中国側が望むならば、われわれには協力できることがあると信じている。貿易以外の分野にも進むことができるかどうか話し合うつもりだ」と語った。
中国側の会談相手の名前を明らかにしなかったが、ベッセント長官はこれまでに中国の何立峰副首相と接触している。何副首相は先月、ロンドンで米国側と貿易問題について協議する中国代表団を率いていた。
習近平中国国家主席は7月7日から8日にかけて山西省を訪問し、資源型経済の転換を加速する重要性を強調した。習国家主席は、山西省が中部地区の発展を加速し、黄河流域の生態保護と高品質な発展を進めるために、党中央の戦略を確実に実行する必要があると訴えた。国営新華社が8日伝えた。
習国家主席は、山西省の地元政府幹部らとともに、陽泉市と太原市を訪問し、現地での状況を視察。7日午後、陽泉市にある百団大戦記念碑広場を訪れ、八路軍烈士に献花した。その後、百団大戦記念館を見学し、抗日戦争における中国共産党と中国人民の団結と勇気を称賛。百団大戦の歴史的な意義を強調し、抗戦精神を後世に伝えることの重要性を語った。
その後、習国家主席は陽泉閥門股フン有限公司を訪れ、山西省の産業転換に関する報告を受けた。習国家主席は企業の製造ラインを視察し、伝統的な製造業における技術革新と活性化の重要性を指摘した。習国家主席は、伝統産業が新たな技術と設備を取り入れることで、より高い生産性と競争力を発揮するべきだとの考えを示した。
8日には山西省委員会および省政府の報告を受け、山西省の進展を評価するとともに、今後の取り組みについて指針を示した。習国家主席は、エネルギー転換、産業のアップグレード、多元的な発展に向けた改革を加速し、特に石炭産業の高付加価値化を進める必要性を訴えた。また、風力発電、太陽光発電、水素エネルギーなど新たなエネルギー開発にも力を入れるよう指示した。
習国家主席は、転換期における安全確保も強調し、雇用、企業、市場、予測の安定を図るべきだと述べた。さらに、社会治安や環境保護への対応を強化し、重大な事故の防止策を徹底するよう求めた。
日経平均株価は反発。弱含みのスタートとなったが、緩やかに持ち直す動きが続いた。10日移動平均線(39778円 7/8)付近で上値が抑えられたものの、4日ぶりの陽線を形成して終えた。
RSI(9日)は前日の64.8%→64.1%(7/8)にほぼ横ばい。引き続き見方は変わらず、4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇が続いている。一方、10日移動平均線を下回っていることで、一目均衡表の基準線(39149円 同)や25日移動平均線(38853円 同)付近まで調整幅が拡大する可能性も高い。ただ、その場合でも6/18高値(38885円)付近に向けた単なる揺り戻しが生じる意味合いとなる。
上値メドは、心理的節目の4万円、6/30高値(40852円)、昨年7/17安値(41054円)、心理的節目の42000円、昨年7/11安値(42102円)、昨年7/11高値(42426円)などがある。下値メドは、基準線や心理的節目の39000円、25日移動平均線、心理的節目の38500円、200日移動平均線(38045円 同)、6/13安値(37540円)などがある。
米財務省によると、3年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが3.891%、応札倍率(カバー)が2.51倍となった。
(8日終値:9日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=146.71円(4日15時時点比△0.61円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=172.01円(△0.57円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1724ドル(▲0.0010ドル)
FTSE100種総合株価指数:8854.18(前営業日比△47.65)
ドイツ株式指数(DAX):24206.91(△133.24)
10年物英国債利回り:4.633%(△0.047%)
10年物独国債利回り:2.687%(△0.044%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月独貿易収支 184億ユーロの黒字 145億ユーロの黒字・改
5月仏貿易収支 77.66億ユーロの赤字 76.89億ユーロの赤字・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は堅調。米国の関税政策によって日銀の追加利上げと米連邦公開市場委員会(FOMC)の追加利下げがさらに遠のくとの思惑も広がるなか、円売り・ドル買いが優勢となった。米10年債利回りが4.43%台まで上昇幅を拡大するなか、連日で米長期金利の上昇を手掛かりにした買いも進み、一時146.98円と6月23日以来の高値を更新。もっとも、節目の147.00円手前では買いも一服した。
なお、トランプ米大統領は関税の交渉期限について「8月1日の期限の延長は認められない」との認識を示したほか、「パウエルFRB議長は直ちに辞任すべきだ」「銅に50%の関税を賦課する」などと述べた。
・ユーロドルは神経質な値動き。「欧州連合(EU)は関税措置を巡って米政権と合意に近づいている」との報道を手掛かりにした買いが入り、欧州序盤には一時1.1765ドルまで上昇する場面も見られた。ただ、その後は全般にドル買いが進んだ流れに沿って上値を切り下げる展開となり、23時過ぎに1.1683ドルまで下押し。NY時間の午後に入るとドル買いが一服した影響で1.17ドル台前半まで再び下げ渋った。
・ユーロ円は強含み。ドル絡みの取引が中心となったことで方向感を欠く場面もあったが、同時に円売りも進んだことから昨年7月以来の高値となる172.02円まで上値を伸ばすなど底堅く推移した。
・ロンドン株式相場は3営業日ぶりに反発。トランプ米大統領が相互関税の交渉期限を8月1日まで延長したことを受け、早期の関税賦課が避けられたとの見方から投資家心理が改善した。前日は売りに押されたエネルギー株が買われたほか、グレンコアなど素材株の上昇も目立った。
・フランクフルト株式相場は続伸。「欧州連合(EU)と米国は関税措置を巡って合意に近づいている」との報道が伝わるなか、終日底堅く推移した。個別ではコメルツ銀行(4.96%高)やバイエル(3.84%高)、ポルシェ(3.59%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は下落。米債券安につれた。
8日の日経平均は反発。終値は101円高の39688円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1083/値下がり484。古河電工、住友電工、フジクラの電線大手3社が証券会社のリポートを手がかりにそろって急伸。東電HDや北海道電力など電力株の一角に強い動きが見られた。上方修正を発表したネクステージが急騰。経営支援ファンドによる投資実行が伝わったオムロンとタダノが人気化した。グロース市場ではリスクを取りにいく動きが活発となる中、トヨコー、データセクション、農総研などがストップ高まで買い進まれた。
一方、ファイナンスが嫌気された日産自動車が6%を超える下落。売り出しを発表した丸井Gや黒田Gが大幅安となった。第一生命、東京海上、SOMPOなど保険株が軟調。中外製薬、塩野義製薬、アステラス製薬など薬品株の多くが売りに押された。
日経平均は反発。下落スタートとなったものの、開始直後に安値をつけてプラス圏に浮上した。米国からの関税に関しては、7月9日の猶予期限までに具体的な数値が出てくることは予想されていたし、先週は30~35%になるかもしれないというニュースを消化していた。税率は25%で、適用も即時発動ではなく8月1日からという内容であれば、改めて強く売る理由も乏しい。一方、関税交渉の根本的な解決には時間がかかりそう。米国側が日本の参院選を気にしているようなニュースも伝わっているだけに、日本株は選挙の結果が出るまで方向感が定まらないかもしれない。
日経平均は直近で4万円を超えた後は上値が重くなっているが、39500円近辺では底堅く推移している。7月2日は場中に39444円まで下げたものの、39762円で終了。きのうときょうは安値でも39500円を割り込まなかった。トレンドがはっきりしない局面でも指数が大崩れしなければ個別の活況が期待できる。あすも39500円より上で推移できるかに注目したい。
(8日終値)
ドル・円相場:1ドル=146.58円(前営業日比△0.53円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=171.86円(△0.83円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1725ドル(△0.0016ドル)
ダウ工業株30種平均:44240.76ドル(▲165.60ドル)
ナスダック総合株価指数:20418.46(△5.94)
10年物米国債利回り:4.40%(△0.02%)
WTI原油先物8月限:1バレル=68.33ドル(△0.40ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3316.9ドル(▲25.9ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月米消費者信用残高
51.0億ドル 168.7億ドル・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は続伸。米国の関税政策によって日銀の追加利上げと米連邦公開市場委員会(FOMC)の追加利下げがさらに遠のくとの思惑も広がるなか、円売り・ドル買いが優勢となった。米10年債利回りが4.43%台まで上昇幅を拡大したことを受けて、連日で米長期金利の上昇を手掛かりにした買いも進み、24時過ぎには一時146.98円と6月23日以来の高値を更新した。もっとも、節目の147.00円手前では買いも一服。その後に米10年債利回りが4.39%台まで上昇幅を縮小すると、146円台半ばまで押し戻された。
なお、トランプ米大統領は関税の交渉期限について「8月1日の期限の延長は認められない」との認識を示したほか、銅や銅製品に対して50%、医薬品に対しては最大200%の分野別関税を課すと主張した。
・ユーロドルは反発。全般にドル買いが進んだ流れに沿って売りに押される展開となり、23時過ぎに1.1683ドルまで下押し。ただ、1.17ドル割れ水準では昨日同様に下値を拾う動きも見られ、米金利の上昇とドル買いが一服すると1.1730ドル近辺まで下げ渋った。
・ユーロ円は続伸。ドル絡みの取引が中心となった影響で方向感は乏しかったが、昨年7月以来の高値となる172.02円まで上値を伸ばす場面も見られた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は続落。トランプ米大統領はこの日、銅や銅製品に対して50%、医薬品に対しては最大200%の分野別関税を課す方針を示した。米関税政策を巡る不透明感が引き続き相場の重しとなった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は小幅に反発した。
・米国債券相場で長期ゾーンは5日続落。トランプ米大統領が新たに銅や医薬品に対する関税方針を示し、米関税政策がインフレ再燃につながるとの思惑が債券売りを誘った。
・原油先物相場は続伸。トランプ関税への警戒感や石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の産油国で構成する「OPECプラス」の有志8カ国が増産を決定したことを背景に売りが先行したが、9日にエネルギー情報局(EIA)が発表する原油とガソリン在庫が取り崩し予想となっていることや中東リスクを手がかりに買いが入った。
・金先物相場は3日続落。トランプ米大統領が相互関税の交渉期限を8月1日まで延長し、関税への過度な警戒感が緩んだことや、連日米長期金利の上昇が続いていることが材料視され、金利を生まない金先物は売りに押された。
NATOのルッテ事務総長はNYタイムズのインタビューで、将来中国が台湾に侵攻した場合、北京がロシアにヨーロッパでNATOを牽制するよう働きかける可能性が高いと語った。ルッテ氏は、習近平国家主席が「非常に従属的なパートナー」であるプーチン大統領に、欧州でNATO領土を攻撃するよう要請し、NATOの戦力を分散させる狙いがあると指摘している。
またNATO事務総長は、トランプ大統領の欧州への防衛負担増要請やウクライナ支援の強化にも言及した。一方で、モスクワと北京の関係の親密さについては過大評価の可能性も示唆している。
SMBC日興証券では、5月の個人消費を受けてリポートしている。供給側である消費活動指数でみた5月の実質消費は、前月では減少も均してみれば緩やかながら持ち直しの動きが継続。需要側からみた個人消費を示す世帯消費動向指数は、5月に前月比+1.8%と3ヶ月ぶりに増加した。4-5月平均は1-3月平均を0.4%上回っており、ようやく底打ちの兆しがみられるとSMBC日興では指摘している。
8日08:08 韓国政府
「米国との同盟関係を基盤に緊密に協力していく方針を表明」
「米国との首脳会談を早期に実現したい意向を伝達」
8日08:32 トランプ米大統領
「関税の8月1日期限は確定だが、100%ではない」
「関税通知はほぼ最終提案」
8日23:47
「8月1日の期限の延長は認められない」
9日01:34
「プーチン露大統領には不満」
「ロシアへの制裁を検討中」
「パウエルFRB議長は直ちに辞任すべきだ」
「直ちに金利を引き下げる人材を任命すべき」
「米ドルは王者であり、我々はこの状態を維持するよう努める」
9日01:59
「銅に50%の関税を賦課する」
8日09:24 石破首相
「米国と可能な限り早期の合意を目指す」
「関税引き上げを発表したことは誠に遺憾」
8日11:21 加藤財務相
「現時点でベッセント米財務長官と為替に関し具体的な協議は想定していない」
「(関税に関して)日米間で折り合うことができない点が残っている」
8日13:30 オーストラリア準備銀行(RBA)声明
「本日の政策決定は賛成6、反対3」
「理事会は今後もデータやリスク評価の変化に細心の注意を払い、世界経済・金融市場の動向、国内需要のトレンド、インフレや労働市場の見通しを注視」
「物価の安定と完全雇用の達成という使命に集中し、必要と判断すればあらゆる措置を講じる方針」
「インフレリスクがよりバランスの取れたものになり、労働市場が依然として強いと判断」
「理事会は依然として慎重な姿勢を保っている」
「インフレ率が持続的に2.5%に到達することを確認するため、もう少し情報を待つことができると判断」
「民間国内需要は徐々に回復しており、実質家計所得も増加、一部の金融ストレス指標も緩和している」
「労働市場の状況は依然としてタイトであることが示唆」
「単位労働コストの増加率は高止まり」
「家計消費の回復ペースが当初の予想よりやや遅れるリスクがある」
「慎重かつ段階的な緩和アプローチを維持することが適切」
「次回の会合までにはさらに多くのデータや情報が得られるだろう」
「我々が依然として正しい道を進んでいることを確認したい」
「月次のインフレデータはやや変動が大きすぎる」
「インフレデータに対する我々の解釈は市場とはやや異なっていた」
8日14:51 赤沢経済再生相
「日米協議が合意に至っていないのは日本として安易な妥協をしなかったため」
「ラトニック米商務長官と電話協議し、協議続けることを確認」
「追加関税に加え米が関税引き上げたのは誠に遺憾」
8日15:20
「自動車産業は基幹産業、自動車で合意なければ全体の合意ない」
「農業を犠牲にする交渉する気は毛頭ない」
8日22:52
「ベッセント米財務長官と電話会談を実施」
「日米が積極的に関税の交渉を継続することで合意」
「日本は引き続き米国と互恵的な合意を目指していく」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 6月マネーストックM2
<海外>
○10:30 ◎ 6月中国消費者物価指数(CPI、予想:前年比横ばい)
○10:30 ◎ 6月中国生産者物価指数(PPI、予想:前年比▲3.2%)
○11:00 ☆ ニュージーランド準備銀行(RBNZ)、政策金利発表(予想:3.25%で据え置き)
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○20:00 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○21:00 ◎ 6月メキシコCPI(予想:前年比4.31%)
○21:15 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○23:00 ◇ 5月米卸売売上高(予想:前月比0.2%)
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○10日02:00 ◎ 米財務省、10年債入札
○10日03:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(6月17日-18日分)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
8日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米国の関税政策によって日米金融政策の変更がさらに先送りされるとの見方や米10年債利回りが4.43%台まで上昇したことを受けて146.98円まで上昇した。ユーロドルは1.1683ドルまで下押しした後1.1730ドル近辺まで下げ渋った。
本日の東京外国為替市場のドル円は、トランプ関税や米10年債利回りの上昇を背景に上値を探る展開が予想される。
ドル円は、トランプ関税の交渉期限が8月1日まで延期されたことで、29-30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)や30-31日の日銀金融政策決定会合では「不確実性」を理由に金融政策の維持が見込まれることや、米10年債利回りの上昇基調を背景に堅調推移が予想される。
ドル円相場の道標ともいえるシカゴIMMの円のネット買い持ちポジションは、4月29日時点の過去最大規模の179212枚から、直近7月1日時点では127338枚に減少している。昨年7月には、過去最大規模の円の売り持ちポジションは、本邦通貨当局のドル売り・円買い介入や日銀の利上げにより手仕舞いを余儀なくされた。今年は円の買い持ちになっているが、昨年同様に7月の手仕舞いの水準、タイミングを見極めていくことになる。
シカゴIMMは、今年、ドル円が155円付近の頃、円売り持ちから買い持ちに転換し、152円前後で過去最大規模の買い持ちポジションになっていた。円の買い持ちポジションを手仕舞う目安としては、200日移動平均線の149.70円付近を念頭に相場に臨んでいきたい。
4月2日のトランプ関税公表第1段の時は、ドル円は対日相互関税24%へのネガティブサプライズにより、150円台から149円台まで下落した。その後、7月9日までの適用猶予を受け、4月22日に139.89円の安値をつける局面があったものの、5月12日には米中通商協定の合意を受けて148.65円まで反発した。その後142円台まで下押す局面があったものの、7月7日のトランプ関税公表第2段での対日相互関税率25%と8月1日までの通商交渉期限の先送りを受けて、昨日は146.98円まで上昇している。
11時に発表されるニュージーランド準備銀行(RBNZ)の政策金利は据え置きが予想されており、昨年8月からの6会合連続利下げ(※5.50%から3.25%へ)も小休止となる見込みとなっている。
ホークスビー総裁も「金利は中立水準に近い」と言及しており、声明文では、年内に1-2回程度の利下げを織り込んだ金利先物市場との整合性を見極めることになる。
なお、四半期に一度示されるRBNZによるフォワードガイダンスでは、今年年末の政策金利を2.92%としており、あと1回の追加利下げが見込まれている。
リスクシナリオとしては、昨日豪準備銀行(RBA)が金利先物市場で0.25%の利下げをほぼ100%織り込んでいた予想に反して据え置きを決定したように、据え置き予想に反して追加利下げを決定した場合となる。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 39950 +130 (+0.32%)
TOPIX先物 2834.0 +9.0 (+0.31%)
シカゴ日経平均先物 39985 +165
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
8日の米国市場はNYダウ、 S&P500が下落した一方で、ナスダックは上昇。トランプ米大統領が8日、8月1日発動の関税について「延長は認められない」との考えを自身のSNSに投稿したほか、閣議後の記者会見で分野別の関税にも言及。銅や銅製品に対して50%、医薬品に対しては最大200%の分野別関税を課す方針を示した。米関税政策を巡る不透明感が引き続き相場の重荷になった。ただし、関税を巡る議論は引き続き柔軟であるとの見方から一方的な売りにはならなかった。
S&P500業種別指数はエネルギー、自動車・同部品、半導体・同製造装置が上昇した半面、銀行、食品・生活必需品小売、小売の弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、シェブロン<CVX>、セールスフォース<CRM>、アムジェン<AMGN>、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、スリーエム<MMM>が買われた。一方で、ナイキ<NKE>、JPモルガン・チェース<JPM>、ウォルマート<WMT>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>が軟調。
シカゴ日経平均先物清算値は大阪比165円高の3万9985円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比40円高の3万9860円で始まった。その後は3万9810円~3万9890円辺りで保ち合いを継続。米国市場の取引開始後にレンジを上抜け、4万0050円まで買われた。買い一巡後は3万9950円~4万0050円処の高値圏での推移が続き、3万9950円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや買い先行で始まりそうだ。昨日はトランプ大統領が通告した日本に対する関税政策は想定内との見方から、売り先行で始まった後はロング優勢の展開となった。トランプ氏は強気な姿勢を示しており楽観視はできないものの、新たな期限である8月1日まではショートは仕掛けにくくなったとみられる。
ナイトセッションではボリンジャーバンドの+1σ(3万9760円)を上回って推移し、一時4万0050円と4万円の大台を回復してきた。積極的なロングは限られるだろうが、4万円の攻防が意識されるなかで、オプション権利行使価格の3万9750円から4万0250円辺りのレンジを想定する。引き続き+1σ近辺では押し目待ち狙いのロング対応となりそうだ。
8日の米VIX指数は16.81(7日は17.79)に低下した。前日に一時18.50まで上げる場面もみられ、下向きで推移する25日移動平均線(18.12)を上回る場面もあった。この日は同線が抵抗線として機能する形で低下しており、リスク選好に向かわせやすいだろう。
昨日のNT倍率は先物中心限月で14.09倍に上昇した。14.04倍に低下して始まったが、同水準に位置する200日線(14.04倍)が支持線として機能しており、その後は14.12倍に上昇する場面もみられた。米国ではエヌビディア<NVDA>やマイクロン・テクノロジー<MU>など半導体株の一角が買われた一方で、アナリストによる投資判断引き下げが嫌気された銀行株の弱さが目立っていた。この流れを引き継ぐ形で、NTロングに振れやすいとみておきたい。
東京市場は堅調か。米国株はまちまち。ダウ平均とS&P500が下落した一方、ナスダックは上昇した。ダウ平均は165ドル安の44240ドルで取引を終えた。関税を巡る不透明感が強く上値は重かったが、エヌビディアなど半導体株には買いが入った。ドル円は足元146円60銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが165円高の39985円、ドル建てが235円高の40055円で取引を終えた。
米国株は3指数とも小動きであったが、半導体株の動きが良かったことは日本株にプラスの影響を及ぼすと思われる。円安基調の継続も追い風となる。きのうの日経平均は、トランプ大統領が日本に25%の関税を課すというニュースを消化してプラスで終えた。CME225先物は高寄りを示唆しており、売りを出しづらい地合いが醸成されるだろう。米国同様、半導体株を中心にグロース系の銘柄が買われることで、場中はしっかりとした動きが続くと予想する。日経平均の予想レンジは39600-40100円。
トランプ米大統領はアフリカ諸国の首脳らと9日午後12時5分(日本時間10日1時5分)に会談するようだと一部通信社が伝えた。
日経225先物は11時30分時点、前日比130円安の3万9690円(-0.32%)前後で推移。寄り付きは3万9950円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万9985円)にサヤ寄せする形から、買いが先行して始まった。ただし、寄り付き直後につけた3万9990円を高値に軟化し、中盤にかけて3万9570円まで売られる場面もみられた。売り一巡後は3万9600円~3万9700円辺りで下げ渋る動きをみせている。
日経225先物は買いが先行したものの、4万円の大台を回復できなかったこともあり、利益確定に伴うロング解消の動きが優勢になった。上場来高値を更新して始まったアドバンテスト<6857.T>[東証P]が下落に転じるなど、指数インパクトの大きい値がさハイテク株が軟化したこともロング解消に向かわせたようだ。ただし、3万9570円まで売られた後は、ボリンジャーバンドの+1σ(3万9740円)近辺で下げ渋る動きをみせており、押し目狙いのロング対応が意識されやすいだろう。
NT倍率は先物中心限月で14.03倍に低下した。14.09倍と前日比変わらずから始まり、14.10倍をつけた後にNTロングを巻き戻す動きが入り、14.02倍まで下げる場面もみられた。ただし、その後は200日移動平均線(14.04倍)が支持線として意識されており、同線での底堅さがみられるようだと、リバランスを誘う形でNTロングに向かわせそうである。
https://i.imgur.com/xug5EUK.jpeg
アベガーや反日テレビや立憲スパイが自然消滅して、参政党と日本保守党が自然増殖していくので、
日韓台vs中国共産党の対立構造に自然に向かっていく。
「私は関税の信奉者だ。私にとって、辞書の中で最も美しい言葉は『関税』だ」
(トランプ米大統領)
かつて、マッカーサー連合国最高司令官は、「日本人は12歳の少年」と喝破していたが、第1次トランプ米政権で大統領補佐官を務めたジョン・ボルトン氏の回顧録によると、トランプ第45代米大統領は11歳の少年とのことである。その後、11歳ではなく1歳の赤ん坊に過ぎないと訂正されている。
その1~11歳程度のトランプ第47代米大統領による対日関税率は、自動車・部品に対して25%、鉄鋼・アルミニウムに対して50%、その他には相互関税10%に上乗せ分が課されることになっている。
1.第1回トランプ関税公表(4月2日):24%
トランプ米大統領は、4月2日に、日本に対する相互関税率を基本税率10%に14%の上乗せ分を加えた24%にすると発表した。ドル円は150円台から149円台に下落した。
しかし、米国債市場の下落が誘発したトリプル安(ドル安・株安・債券安)に襲われたので、4月9日から90日間後となる7月9日まで相互関税発動を猶予することになった。
その間、赤沢経済再生相とラトニック米商務長官、グリア通商代表部(USTR)代表、そしてベッセント米財務長官による、日米通商交渉が7回、電話会談が1回行われたものの、合意には至らなかった。
・第1回日米通商交渉(4月16日)
・第2回日米通商交渉(5月1日)
・第3回日米通商交渉(5月23日)
・第4回日米通商交渉(5月30日)
・第5回日米通商交渉(6月5-6日)
・第6回日米通商交渉(6月13日)
・第7回日米通商交渉(6月27日)
・第8回日米通商交渉(7月3・5日 電話 ラトニック米商務長官)
・第9回日米通商交渉(7月8日 電話 ラトニック米商務長官)
2. 第2回トランプ関税公表(7月7日):25%
トランプ米大統領は、7月7日に、日本に対する相互関税率を基本税率10%に15%の上乗せ分を加えた25%に引き上げると発表した。そして、日本の企業が米国内で製品を製造する決定を下すのであれば、関税は賦課しない考えを表明した。
さらに、発効日である8月1日に向けて、通商交渉を継続していくことになった。
ドル円は、146円台まで上昇した。
7月の注目すべき政治・経済のスケジュールは以下の通りとなっている。
・20日:参議院選挙投開票
・29-30日:米連邦公開市場委員会(FOMC)
・30-31日:日銀金融政策決定会合
昨日の海外市場でも、ドル円は一見すると米長期金利の動向につれる動きとなっているわけですが、NY時間に入ってからの値動きは、昨日もお伝えしたように、米独立記念日後の米マクロ勢によるショートカバーがまとめて出ているような展開。本日のアジア市場でもランチタイムに入ってからの2度目の147円台乗せもまた、同様の動きが観測されているといったところです。ロングウィークエンド明けの米相互関税レターをきっかけに一目雲を上抜けたことから、ファンド勢がかかる動きに舵を切ったともいえ、下押しらしい下押しもないまま、かつ、何も材料がないままでの買戻しが続いていくことになっています。
いずれにしても、WSJがその内情を明らかにしているように、米相互関税レターについては、またしてもベッセント米財務長官がトランプ米大統領の「最後通告」を説得。日本では20日に参院選を控えているほか、自身が19日の大阪万博イベントへの出席も兼ねて訪日。恐らく既に面会すら拒否している日本サイドの交渉相手が変更となる可能性が高いことを十分承知しているからこそ、新たな潜在的交渉先との打合せの必要性があっての8月1日への期限延期。日本の税率が30や35ではなく、25%となったことも、米国側の意志が伝わればよかったわけで、キーパーソンの健在ぶりが目立つことになっています。
日経平均はETFの分配金捻出のための売りがどうしても上値を押さえてしまっていますが、ただ、この短期的な需給のゆるみが収まれば、改めて、参院選後の政局を睨んだポジティブな要因がフォーカスされることになりそうです。ドル円はとりあえず、6月23日の高値148.03円が意識されています。
本日のロンドン為替市場のユーロドルは、引き続き欧州連合(EU)とトランプ米政権による通商協議に関するヘッドラインに警戒しながら、デギンドスECB副総裁やナーゲル独連銀総裁の講演を見極めていくことになる。
ユーロドルは、欧州の財政拡張策に対するレパトリで、米国投資から欧州への資金還流の流れに乗り、9手連続陽線で1.1829ドルの年初来高値まで上昇してきた。
レーンECB専務理事兼主任エコノミストは、「欧州の投資家を中心に、グローバルな資金がユーロに向かう一定のリバランスが見られている。今のところこの動きは持続的と見受けられるが、今後どうなるか関心を持って見ている」と述べていた。
米資産運用会社ブラックロックは、「米国よりもユーロ圏の国債および社債を選好している」と言及している。
ユーロの導入が1999年に開始されて以来の対ドル平均相場は1.1829ドル(=7/1の年初来高値)となっており、先日、ナーゲル独連銀総裁は、ユーロドル1.18ドル台は問題ではない、と述べており、本日の講演でも同様の見解が予想される。
しかし、デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁は、先日、ユーロが1.20ドルを超えて上昇すれば政策対応が難しくなる可能性があると指摘しており、本日の講演でもユーロ高への牽制発言が予想される。
欧州と米国の通商協議が決裂して欧米貿易戦争が勃発した場合、関税スタグフレーションへの警戒感や安全保障への警戒感が高まるため、米国から欧州への資金移動の流れが続くのか否かに注目していくことになる。
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1829ドル(7/1高値=年初来高値)
・ユーロ円:173.43円(2024/7/12高値)
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.1593ドル(日足一目均衡表・基準線)
・ユーロ円:170.24円(日足一目均衡表・転換線)
ドル円:1ドル=146.98円(前営業日NY終値比△0.40円)
ユーロ円:1ユーロ=172.21円(△0.35円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1716ドル(▲0.0009ドル)
日経平均株価:39821.28円(前営業日比△132.47円)
東証株価指数(TOPIX):2828.16(△11.62)
債券先物9月物:138.69円(▲0.27円)
新発10年物国債利回り:1.495%(△0.010%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月マネーストックM2
前年同月比 0.9% 0.6%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は強含み。米関税政策の先行き不透明感を背景に日米が金融政策の変更に対して慎重になっているとの見方から円売り・ドル買いが先行。昨日高値の146.98円を上抜けて147.18円まで上値を伸ばした。一巡後は利食い売りが出たものの、下押しも146.90円付近までと限られている。
・ユーロ円も強含み。日銀の早期利上げ観測の後退などを背景に全般円売りが進んだ流れに沿った。一時172.28円まで値を上げた。
なお、NZドル円は一時88.34円まで上昇。NZ準備銀行(RBNZ)が予想通り政策金利の据え置きを発表したが、一部では利下げを予想する声もあっただけに発表後に買いが強まった。議事要旨の中で利下げが検討されていたことが分かると失速したが、その後再び買いが強まるなど一進一退の動きとなった。
・ユーロドルはもみ合い。ドル円の上昇に伴って一時1.1702ドルまで下げたが、節目の1.1700ドルを割れることはなく、その後は1.1720ドル台まで持ち直している。
・日経平均株価は続伸。外国為替市場での円安を受けて自動車関連株に買いが入ったほか、東京エレクトロンなど半導体関連株にも買いが観測され、一時280円超上昇した。もっとも、一巡後は戻り売りから下げに転じるなど方向感がなかった。
・債券先物相場は続落。昨日の米国債券相場が下落した流れを引き継いで売りが先行。10日の20年債入札を前に持ち高調整の売りも出た。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
ニュージーランド準備銀、追加利下げを留保しつつ利下げを一時休止
NZドルは米ドルや日本円に対し方向感を欠く一方、豪ドルに対しては弱含みする可能性
ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は9日の定例会合で政策金利を3.25%に据え置いた。RBNZは昨年8月に金融緩和に転じ、6回連続で累計225bpの利下げを実施してきた。しかし、インフレが目標域内に収まるも上振れ懸念がある一方、先行きの景気に不透明感がくすぶるなか、今回は利下げを一時停止させた。
RBNZは、先行きのインフレについて年半ばにかけて加速するも、来年初旬には2%前後に鈍化するとの見通しを示している。他方、景気の先行きには不透明感が強く、米国の関税政策による世界経済の減速懸念が重石となることを警戒している。こうしたなか、RBNZは先行きの政策運営について、中期的なインフレ圧力が緩和すれば追加利下げを行う可能性に言及するなど、追加利下げを留保する考えを示している。
金融市場では、米ドル安を追い風にNZドルは米ドルや日本円に対して上昇しているが、先行きはRBNZのハト派スタンスが上値を抑えると予想される。他方、豪ドルに対してはオーストラリア準備銀行(RBA)のタカ派姿勢が影響すると見込まれ、当面の豪ドル/NZドル相場はNZドルが弱含みする展開が見込まれる。
SMBC日興証券では、トランプ大統領が日本からの輸入品に対して8月1日から25%の関税を課す意向を示したことを受けてリポートしている。25%関税によって日本経済は、25年度の実質GDP成長率が0.26ppt程度押し下げられ、前年比+0.7%程度になるとSMBC日興では試算。景気後退には至らず、経済は拡大すると見込んでいる。新関税25%は4月2日に発表された相互関税24%とほぼ同じで、株価が追加的に織り込む部分は小さい。今後の株価は関税25%を所与として、基本的には名目GDPの増加に沿って緩やかに上昇していくとSMBC日興では考えている。
マレーシア中央銀行は9日、政策金利を現行の3.00%から2.75%に引き下げることを決めたと発表した。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券では、10日に実施される20年利付国債入札に関して、無難に通過できるだけの応札が集まるか否かは不透明感が残ると指摘している。2000億円の発行減額や高い利回り水準などポジティブな要因は少なくないとしながらも、参院選後の財政拡張に対する根強い懸念は逆風になると考えている。今後の財政政策動向が見通せるようになるまでは金利リスクテイクを手控える動きが出やすいとみており、3日の30年債入札が低調な落札結果となったことも心理的な重石になり得るとコメントしている。
ラトニック米商務長官は8日、8月上旬に中国と貿易交渉を行う見通しを明らかにした。米東部時間同日午後に放送の米CNBCインタビュー番組で、5月と6月にそれぞれスイスのジュネーブと英ロンドンで開いた閣僚協議を踏まえ、「世界の2大経済国間でより大きな協議プロセスが始まる」と述べた。同氏のほか、ベッセント米財務長官、グリア米通商代表部(USTR)代表が参加する予定。「時間がかかるプロセスになると思うが、少なくとも大きな議論を始める第一歩を踏み出せる」とラトニック氏は付け加えた。
CNBCインタビュアーが「米中が貿易合意に達しているのかどうか、少し混乱がある」と問いかけ、ラトニック氏は「中国製品に対して30%の関税を追加した」と指摘。トランプ政権1期目の25%と合わせて計55%の関税を課す中国製品もあると説明した。また、中国側がレアアース輸出を認可し、米国側がエタンやソフトウエア製品、航空機部品などの輸出を再開するなど「両国関係のバランス調整を行っている」と語った。
大阪9月限
日経225先物 39800 -20 (-0.05%)
TOPIX先物 2828.0 +3.0 (+0.10%)
日経225先物(6月限)は前日比20円安の3万9800円で取引を終了。寄り付きは3万9950円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万9985円)にサヤ寄せする形で買いが先行して始まった。ただし、寄り付き直後につけた3万9990円を高値に軟化し、前場中盤には3万9570円まで下げ幅を広げた。売り一巡後は3万9600円~3万9700円辺りで保ち合いを継続。後場中盤辺りにレンジを上抜くと、引けにかけてショートカバーが入る形から3万9840円まで下げ幅を縮める場面もあった。
日経225先物は買いが先行したものの、4万円の大台を回復できなかったこともあり、利益確定に伴うロングの解消が優勢になった。上場来高値を更新して始まったアドバンテスト<6857.T>[東証P]が一時下落に転じるなど、指数インパクトの大きい値がさハイテク株が軟化したこともロングの解消に向かわせたようだ。
ただし、3万9570円まで売られた後は、ボリンジャーバンドの+1σ(3万9750円)近辺で下げ渋り、後場中盤以降は同バンドを上回って推移するなど底堅さがみられた。
また、半導体株が前場中盤にかけて売られたが、アドバンテストやレーザーテック<6920.T>[東証P]はその後プラス圏を回復したほか、東京エレクトロン<8035.T>[東証P]は下げ幅を縮めていた。トランプ米大統領は銅や銅製品に対して50%、医薬品に対しては最大200%の分野別関税を課す方針を示したが、半導体への関税を近く発表する予定と伝えられるなか、ショートを誘う形になったようだ。
もっとも、関税を巡る報道には引き続き振らされやすいとみられるが、新たな期限である8月1日までは積極的にポジションを傾けてくる動きは限られよう。来週にもベッセント米財務長官が大阪・関西万博の米国ナショナルデーに合わせて日本を訪問すると報じられており、通商交渉が行われるかを見極めたいところであろう。
そのため、日経225先物はスキャルピング中心の売買が続きそうであり、4万円突破からの上値追いは期待しづらい。一方で、短期的なショートによって+1σ水準を割り込む場面では、その後のカバーを狙った押し目狙いのロングでの対応となりそうだ。
NT倍率は先物中心限月で14.07倍に低下した。朝方に14.10倍をつけた後はNTロングの巻き戻しが入り、前場中盤にかけて14.02倍まで下げる場面もみられた。ただし、その後は支持線として意識される200日移動平均線(14.04倍)での底堅さがみられ、後場はリバランスを誘う形でNTロングに向かわせている。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万4297枚、ソシエテジェネラル証券が8840枚、サスケハナ・ホンコンが2335枚、SBI証券が1561枚、BNPパリバ証券が1552枚、バークレイズ証券が1096枚、JPモルガン証券が1091枚、ゴールドマン証券が985枚、モルガンMUFG証券が946枚、日産証券が879枚だった。
TOPIX先物はソシエテジェネラル証券が1万2948枚、ABNクリアリン証券が1万2599枚、バークレイズ証券が5187枚、JPモルガン証券が2804枚、ゴールドマン証券が2429枚、モルガンMUFG証券が2252枚、ビーオブエー証券が1513枚、野村証券が675枚、シティグループ証券が660枚、ドイツ証券が581枚だった。
本日のニューヨーク為替市場では、トランプ関税に関する報道には依然として注意しながら、米株や債券市場の動向を見据えた値動きとなりそうだ。経済指標は5月卸売売上高が発表される程度だが、NY午後には米10年債入札と前回の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が公表される。
今週初にトランプ米大統領は、上乗せ関税の導入期限を当初予定の7月9日から8月1日まで延長することを発表した。関税の先延ばしで過度な警戒感は緩んだとはいえ、トランプ大統領の「関税徴収は来月1日から発生し、日付に変更はない」という強気な態度は、市場参加者を不安にさせる。そういったなか本日、複数の国との貿易に関する最新情報が発表されるもよう。
NY午後には米財務省が、10年債入札を実施する。この結果を受けて米長期金利が動意付くようであれば、ドル相場も追随することになるだろう。なお、昨日の長期債券相場は5日続落した。銅や医薬品に対する新たなトランプ関税がインフレ懸念を高め、債券への売り(金利上昇)圧力となった。
日本時間10日3時に公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨は、6月17-18日に開催時のもの。政策金利を予想通り据え置いたこの会合では金利見通しも示され、従来と変わらず年内2回の利下げを予想の中央値としていた。
前回FOMC後の出来事を振り返ると、強い6月雇用統計の発表、大規模な減税・歳出法案の成立、トランプ関税の新たなる展開が起きている。また今月初めには、欧州中央銀行(ECB)フォーラムで、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が金融政策について語った。会合時と状況は諸々と変っているものの、金融当局者の見解にサプライズがないか確かめる必要はあるだろう。
なお、明日10日の東京時間になるが、本邦20年債入札への警戒感が増している。参院選を前にして財政拡大への懸念が高まっており、超長期国債の流動性が悪化しているようだ。価格の低下(金利は上昇)が円売りに繋がっているとの見方もある。投機筋の動向を左右することになると思われ、本邦債に絡んだニュースにも注意が必要か。
想定レンジ上限
・ドル円、6月23日高値148.03円
想定レンジ下限
・ドル円、7月8日安値145.83円
今晩は引き続き神経質な展開か。昨日は主要3指数が高安まちまち。ダウ平均が165.6ドル安(-0.37%)と2日続落し、S&P500も0.07%安とわずかながら2日続落した一方、ハイテク株主体のナスダック総合は0.03%高とわずかながら反発して終了した。半導体株が上昇したものの、関税政策の不透明感が意識される中、アナリストが投資判断を引き下げた大手金融株の下落が相場の重しとなった。
今晩の取引では主要3指数が最高値圏にあることや、関税政策の不透明感などで引き続き神経質な展開か。金融政策の見通しを巡っては、取引時間午後に公表される6月17-18日開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨に注目が集まる。6月FOMCでは政策金利が市場予想通り据え置かれ、メンバーのFF金利見通し(ドットプロット)では年内2回の利下げ予想が維持されたものの、経済見通しではスタグフレーションの可能性が示された。公表される議事要旨で議論の内容に要注目となる。
今晩の米経済指標・イベントはFOMC議事要旨のほか、MBA住宅ローン申請指数、5月卸売在庫、米10年債入札など。主要な企業の決算発表はなし。
中国商務部は9日、国家安全保障と国際的な拡散防止義務の履行を理由に、台湾企業8社を新たに輸出規制対象に指定したと発表した。これにより、これらの企業へのデュアルユース(軍民両用)物品の輸出が禁止され、現在進行中の関連輸出も即時停止される。
特殊な事情がある場合には、輸出業者が商務部に申請する必要がある。規制は同日から発効した。規制対象企業は以下の通り。
1 漢翔航空工業股フン有限公司(Aerospace Industrial Development Corp.)
2 経緯航太科技公司(GEOSAT Aerospace & Technology Inc.)
3 中山科学研究院(National Chung-Shan Institute of Science & Technology)
4 仲碩科技股フン有限公司(JC Technology Inc.)
5 国際造船股フン有限公司(CSBC Corporation,Taiwan)
6 中信造船股フン有限公司(Jong Shyn Shipbuilding Co.,Ltd)
7 龍徳造船工業股フン有限公司(Lungteh Shipbuilding Co.,Ltd)
8 攻衛股フン有限公司(Gong Wei Co.,Ltd)
中国政府は7月9日、雇用安定化に向けた新たな政策強化策を発表した。「安定雇用政策支援強化に関する通知」として、企業支援や雇用拡大、職業訓練の充実を図ることを目的としている。
通知では、企業が安定的に雇用を維持できるよう、雇用維持のための特別融資支援範囲の拡大が示された。政府と銀行との協力を強化し、融資手続きを簡素化するほか、中小企業に対する失業保険の雇用維持返還率を、前年の保険支払額の60%から最大90%に引き上げる。大企業に対しては、返還率を最大30%から50%に引き上げる。困難な状況にある企業には、段階的に年金保険や失業保険、労災保険の法人分について支払い猶予が認められる。
また、企業に対しては、雇用拡大を促進するための社会保険補助金を支給する。特定の業界の中小企業が重点的に雇用を増加させ、必要な社会保険料を支払う場合、個人の支払額の25%が補助される。さらに、公共事業を通じて雇用拡大を促す政策も打ち出された。
職業訓練に関しては、失業者に対する技能向上支援が強化され、技術学校への進学者数の増加や年齢制限の緩和が検討されている。企業に対しても、職業訓練を通じて従業員の技能向上を支援するよう求められた。
加えて、雇用サービスの充実が求められ、企業への雇用指導や就業情報の提供を拡大する方針だ。また、失業者や困難な状況にある卒業生に対しては、専門的な支援が提供されることになった。
通知は、各地方政府および関連機関に対し、安定雇用政策の実行責任を明確化し、政策の実施状況を常に監視するように指示した。
日経平均株価は続伸。買い一巡後は伸び悩む展開となったが、5日移動平均線(39738円 7/9)上を回復して終えた。
RSI(9日)は前日の64.1%→55.5%(7/9)に低下。引き続き見方は変わらず、4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇が続いている。5日移動平均線上への回復から直近高値に向けて陽線を形成できるかが焦点となる。一方、RSIはあすも低下が続きやすいタイミングとなる。一目均衡表の基準線(39190円 同)や25日移動平均線(38936円 同)付近まで調整幅が拡大する可能性も高い。ただ、その場合でも6/18高値(38885円)付近に向けた単なる揺り戻しが生じる意味合いとなる。
上値メドは、心理的節目の4万円、6/30高値(40852円)、昨年7/17安値(41054円)、心理的節目の42000円、昨年7/11安値(42102円)などがある。下値メドは、基準線や25日移動平均線、心理的節目の38500円、200日移動平均線(38066円 同)、6/13安値(37540円)などがある。
米財務省によると、10年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが4.362%、応札倍率(カバー)が2.61倍となった。
(9日終値:10日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=146.34円(9日15時時点比▲0.64円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=171.32円(▲0.89円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1708ドル(▲0.0008ドル)
FTSE100種総合株価指数:8867.02(前営業日比△12.84)
ドイツ株式指数(DAX):24549.56(△342.65)
10年物英国債利回り:4.612%(▲0.021%)
10年物独国債利回り:2.673%(▲0.014%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は軟調。前日まで大きく値を上げていた反動もあり、欧州勢の参入後は持ち高調整目的の売りが先行した。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の公表を控えて、米10年債利回りが4.34%台まで低下するなか、日米金利差縮小を意識した売りに押されて146.27円まで下押し。一巡後も戻りは限られた。
・ユーロドルはもみ合い。欧州連合(EU)と米国の貿易交渉の行方を見極めたいとの思惑から方向感が出なかった。欧州勢の参入後に1.1728ドル付近まで上昇するも、アジア時間につけた高値1.1729ドル手前では買いも一服。一方で、21時前には1.1690ドルまで下押ししたが、昨日安値の1.1683ドルが意識されると下げ止まった。
・ユーロ円は軟調。ドル円の下落につれて円買い・ユーロ売りが進んだ。連日で大きく上値を伸ばしてきた反動で一時171.28円まで売りに押された。
・ロンドン株式相場は続伸。小幅高水準での底堅い動きとなったものの、積極的に上値を試す動きにもならなかった。エネルギー株が連日で上昇した一方、素材株は売りに押されて指数の重しになった。
・フランクフルト株式相場は3日続伸し、史上最高値を更新した。欧米貿易交渉の合意期待が相場を下支え。個別ではシーメンス(3.46%高)やドイツ銀行(3.16%高)、BASF(2.81%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は上昇。米債券高につれた。
9日の日経平均は続伸。終値は132円高の39821円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1259/値下がり315。円安進行を受けてホンダ、SUBARU、いすゞなど自動車株の一角が大幅高。INPEX、出光興産、コスモエネルギーなど原油との連動性が高い銘柄の動きが良かった。1:2の株式分割を発表し、1Q決算も好調であったパルグループが13.2%高。1Qが大幅営業増益となった吉野家が急伸した。
一方、ディスコ、ソシオネクスト、東京エレクロトンなど半導体株の一角が軟調。三菱重工など防衛株や、フジクラなど電線株が弱かった。日産自動車は円安を好感できずに連日の大幅安。業績関連のリリースを材料にハニーズや日置電機が売りに押された。
日経平均は続伸。指数は半導体など人気どころの銘柄に翻弄されたが、値を消した際にも値上がり銘柄は多かった。半導体株や電線株が下げたとしても、グロースがダメならバリューを狙うといった風に、日本株の中で買える銘柄探しが活発となっている。4万円は超えられなかったものの、先行きに期待が持てる動きであった。
本日の米国では6月開催のFOMC議事要旨が公表される。議論の中身がハト派的と受け止められるようなら、米国の半導体株には好影響が見込まれる。タカ派的と受け止められた際には米半導体株は嫌われそうだが、米長期金利が上昇して為替はドル高(円安)に振れる可能性がある。日本株は全面高は見込みづらい一方、全面安も想定しづらく、今の相場環境なら良いとこ取りで買われる展開も期待できる。改めて4万円を目指す動きが見られるかに注目したい。
(9日終値)
ドル・円相場:1ドル=146.33円(前営業日比▲0.25円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=171.50円(▲0.36円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1720ドル(▲0.0005ドル)
ダウ工業株30種平均:44458.30ドル(△217.54ドル)
ナスダック総合株価指数:20611.34(△192.88)
10年物米国債利回り:4.33%(▲0.07%)
WTI原油先物8月限:1バレル=68.38ドル(△0.05ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3321.0ドル(△4.1ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
MBA住宅ローン申請指数
(前週比) 9.4% 2.7%
5月米卸売売上高
(前月比) ▲0.3% 0.0%・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は3営業日ぶりに反落。米長期金利の低下に伴って、日米金利差縮小を意識した売りが出た。米10年債利回りが4.33%台まで低下するなか、3時30分前には一時146.25円まで下押し。その後も146円台前半でのさえない動きが続いた。
なお、この日公表された6月17-18日分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では「関税引き上げが物価上昇圧力となる可能性が高い」との見解が示された。一方で「大半の参加者は政策金利の目標レンジを今年いくらか引き下げることが適切である可能性が高いと評価」「数名の参加者はデータが予想通り推移すれば、次回会合で早急に政策金利の目標レンジ引き下げを検討する可能性があると指摘」とも伝わっており、今後の利下げペースに関して意見の相違が広がっている様子も見られた。
・ユーロドルは反落。21時前に1.1690ドルまで下落する場面があったものの、昨日安値の1.1683ドルが目先のサポートとして意識されると下げ止まった。その後は米長期金利が低下した影響もあって1.1720ドル台まで下値を切り上げる展開に。もっとも、アジア時間につけた高値1.1729ドルには届かず、買い戻しの勢いも限られた。
・ユーロ円は3営業日ぶりに反落。ドル円の下落につれて円買い・ユーロ売りが進んだ。連日で大きく上値を伸ばしてきた反動もあり、一時171.28円まで売りに押された。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発。米金利の低下で株式の相対的な割高感が和らぎ、指数は一時310ドル超上昇。いったんは上昇幅を縮めたものの、引けにかけては再び買い戻しが入った。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は続伸し、史上最高値で取引を終えた。なお、米半導体大手エヌビディアは上昇し、世界で初めて時価総額が4兆ドルの大台に乗せる場面も見られた。
・米国債券相場で長期ゾーンは6営業日ぶりに反発。昨日までの下落に対する反動から買い戻しが入ったほか、この日実施された10年債入札で需要の底堅さが確認されたことも買いを誘った。
・原油先物相場は3日続伸。この日、エネルギー情報局(EIA)が発表した週間在庫統計はまちまち。原油在庫は予想以上の積み増しとなった一方で、ガソリンとディスティレート(留出油)在庫は予想以上の取り崩しとなった。EIAが公表した短期エネルギー見通しで今年の米産油量を下方修正したことが需給引き締まり観測を強め、相場の支えとなった。
・金先物相場は4営業日ぶりに反発。連日上昇し、金相場の重しとなっていた米長期金利がこの日は低下し支えとなった。ただ、欧米株が堅調な動きになるなどリスク回避ムードが高まっておらず、上値は限られた。
9日08:07 ハウザー豪準備銀行(RBA)副総裁
「RBAは研究戦略を刷新し、優先順位を新たに設定する」
9日11:00 ニュージーランド準備銀行(RBNZ)声明
「中期的なインフレ圧力が予想通り緩和し続ける場合、今後さらに政策金利を引き下げる見通し」
「今後数四半期は食料品や管理価格の上昇でインフレ率が高まる見込みだが、経済の余剰能力がインフレ圧力を抑え、2026年初めには目標バンドの中間点に戻ると予想」
「一部メンバーは7月の追加利下げが経済活動回復の安全網になると主張」
「0.25%利下げと据え置きの両方を検討」
「据え置きの決定理由として、直近のインフレリスクを踏まえ8月まで様子を見るメリットを挙げた」
「世界的な不確実性や関税が、ニュージーランド経済の回復やCPIに悪影響を及ぼすと予想」
「国内の消費・投資の回復ペースは弱い」
9日16:40 フォンデアライエン欧州委員長
「米国との貿易合意に向けて、欧州連合(EU)はあらゆるシナリオに備えている」
「貿易合意に達するためEUは断固たる姿勢で交渉にのぞみ、米国と緊密に協力する」
9日17:41 メルツ独首相
「EUと米国の貿易協定、慎重ながらも楽観的」
「今月末までに米国と合意に達することができると期待」
9日22:28 ホルツマン・オーストリア中銀総裁
「さらなる利下げの理由は見当たらない」
「政策金利はおそらく景気拡張的な領域にある」
10日02:43 トランプ米大統領
「関税に関する苦情はあまりない」
「週内にガザ停戦合意に至る可能性は十分にある」
「政策金利は最低水準になるはずだ」
10日03:00 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(6月17日-18日分)
「委員会は引き続き、金融政策の適切なスタンスを評価するにあたり入手する情報が経済見通しに与える影響を注視していくことで合意」
「委員会の目標達成を阻害しかねないリスクが顕在化した場合、委員会は金融政策のスタンスを適切に調整する用意がある」
「評価に当たっては、労働市場の状況、インフレ圧力とインフレ期待、金融・国際情勢など、幅広い情報を考慮に入れることでも合意」
「インフレ率は2022年のピーク以降大幅に緩和したものの、委員会の2%という長期目標と比較すると依然としてやや高い水準にある」
「インフレ率を目標値に戻すための進捗にばらつきはあるものの、継続している」
「関税引き上げが物価上昇圧力となる可能性が高い」
「これらの影響の時期、規模、持続期間については相当の不確実性がある」
「大半の参加者は政策金利の目標レンジを今年いくらか引き下げることが適切である可能性が高いと評価」
「数名の参加者はデータが予想通り推移すれば、次回会合で早急に政策金利の目標レンジ引き下げを検討する可能性があると指摘」
「今年から2027年までの実質GDP成長率に関するスタッフ予測は、5月の会合で作成した予測よりも高くなった」
「経済見通しの改善により、労働市場の状況は前回の予測ほど悪化しないと予想されたが、失業率は来年にかけて若干上昇し、2027年まではスタッフが推定する自然失業率を若干上回ると予測」
「関税引き上げは今年のインフレ率を押し上げ、2026年には若干の押し上げ効果をもたらすと予想」
「インフレ率は2027年までに2%に低下すると予測」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 6月企業物価指数(予想:前月比▲0.2%/前年比2.9%)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○14:00 ◇ 日銀地域経済報告(さくらレポート)
<海外>
○08:01 ◇ 6月英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格(予想:▲8)
○未定 ◎ 韓国中銀、政策金利発表(予想:2.50%で据え置き)
○15:00 ◎ 6月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比横ばい/前年比2.0%)
○15:00 ◎ 6月ノルウェーCPI(予想:前月比なし/前年比3.1%)
○未定 ◇ 5月仏経常収支
○16:00 ◇ 5月トルコ鉱工業生産
○16:00 ◎ チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○16:40 ◎ エスクリバ・スペイン中銀総裁、講演
○19:00 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○21:00 ◎ 6月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比5.32%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.5万件/197.4万人)
○22:00 ◎ ムサレム米セントルイス連銀総裁、講演
○11日02:00 ◎ 米財務省、30年債入札
○11日02:45 ◎ ブリーデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○11日03:30 ◎ デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○ウクライナ支援に関する欧州首脳会合(ロンドン)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 39910 +110 (+0.27%)
TOPIX先物 2834.0 +6.0 (+0.21%)
シカゴ日経平均先物 39925 +125
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
9日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。10年債入札が需要の底堅さを示唆する結果となるなかで、米長期金利が4.3%台前半まで低下。エヌビディア<NVDA>が最高値を更新し、世界で初めて時価総額が4兆ドル台に乗せる場面があった。米連邦準備理事会(FRB)が公表した米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨では、利下げ方針を巡る意見の隔たりが示され、年2回の利下げの選択肢が残されているとの見方が安心感につながった。
S&P500業種別指数は、耐久消費財・アパレル、半導体・同製造装置、小売が上昇した一方で、電気通信サービス、食品・飲料・タバコ、エネルギーの下げが目立った。NYダウ構成銘柄では、ボーイング<BA>、メルク<MRK>、キャタピラー<CAT>、エヌビディア、シャーウィン・ウィリアムズ<SHW>が買われた。半面、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、コカ・コーラ<KO>、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>、セールスフォース<CRM>が軟調。
シカゴ日経平均先物清算値は大阪比125円高の3万9925円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比30円高の3万9830円で始まった。その後は3万9770円~3万9870円辺りで保ち合いを継続。米国市場の取引開始後にレンジを上抜け、3万9950円まで買われた。買い一巡後は3万9740円まで軟化する場面もみられたが、終盤にかけてロング優勢となり、3万9910円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや買い先行で始まりそうだ。ナイトセッションでは一時3万9740円まで売られたが、概ねボリンジャーバンドの+1σ(3万9810円)を上回っての推移が目立った。同バンドが支持線として意識されるため、+1σに接近する局面では押し目狙いのロング対応に向かわせよう。
米国ではエヌビディアが最高値を更新したことで、アドバンテスト<6857.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株に関心が集まりやすいと考えられる。そのため、やや日経平均型優位の需給状況になるとみておきたい。
ただ、ナイトセッションで4万円に乗せることができなかったため、大台接近では市場心理を神経質にさせる可能性がある。4万円を明確に上抜けてくる場面ではショートカバーを誘う形になろうが、見極めが必要だろう。そのため、オプション権利行使価格の3万9750円から4万円のレンジを想定する。狭いレンジでの推移が予想されるため、スキャルピング中心のトレードになりそうだ。
9日の米VIX指数は15.94(8日は16.81)に低下した。2月下旬以来の16.00を割り込んできており、2月半ばにつけた14.74辺りが意識されてきそうだ。下へのトレンドが強まる可能性もあるため、リスク選好に傾きやすいだろう。
昨日のNT倍率は先物中心限月で14.07倍に低下した。朝方に14.10倍をつけた後はNTロングを巻き戻す動きが入り、前場中盤にかけて14.02倍まで下げる場面もみられた。ただし、その後は200日移動平均線(14.04倍)が支持線として意識され、リバランスを誘う形でNTロングに向かわせていた。本日はハイテク株への物色が見込まれるなか、NTロングでのスプレッド狙いが入りやすいとみられる。
9日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが4.33%台まで低下したことで、146.25円まで下押しした。ユーロドルは1.1690ドルまで下落した後、米長期金利の低下を受けて1.1720ドル台まで下値を切り上げた。
本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りの低下を受けて上値が重い展開が予想される。
ドル円は、トランプ相互関税の8月1日からの適用、そしてそれまでの交渉余地が発表されたことで、147.18円まで上昇していたものの、伸び悩む展開となっている。5月12日に、ドル円は米中通商協定の合意報道を受けて148.65円まで上昇した後に失速した。6月23日に、ドル円は米軍によるイラン核施設への空爆を受けた有事のドル買いで148.03円まで上昇した後にも失速した。
ドル円相場の道標ともいえるシカゴIMMの円のネット買い持ちポジションは、4月29日時点の過去最大規模の179212枚から、直近7月1日時点では127338枚に減少している。シカゴIMMが円の買い持ちポジションを手仕舞う目安は200日移動平均線の149円台後半ではないかと思われるが、これまでの所、上値抵抗線として立ちはだかっている。
今後は、8月1日の交渉期限に向けて、20日の参議院投開票、29-30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)、30-31日の日銀金融政策決定会合などの政治・経済の日程をこなしていくことになる。
8時50分に発表される6月企業物価指数の予想は前年比+2.9%で5月の同比+3.2%から低下、前月比は-0.2%で5月の同比-0.2%と変わらずと見込まれている。5月の企業物価指数の伸び率は昨年9月以来の低さで、6カ月ぶりに4%台を割り込んだが、6月が予想通りならば、3%台を割り込むことになる。また、5月の輸入物価指数は前年比-10.3%まで低下しており、6月も低下傾向が見込まれている。日本の物価指数の伸び率鈍化は、トランプ関税による景気減速懸念が高まる中で、日銀の利上げ観測を後退させる要因、すなわち、円売り要因となる。
なお、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙が次期FRB議長候補にハセット米国家経済会議(NEC)委員長が浮上していると報じ、トランプ米大統領は最近2回ほどハセットNEC委員長と米連邦準備理事会(FRB)の金融政策に関して会談したとのことである。ハセットNEC委員長は、トランプ米大統領とともに、FRBに利下げ圧力をかけ続けている人物である。早期に指名された場合、パウエルFRB議長はレームダックとなり、影の第17代FRB議長としてFRBに利下げ圧力をかけることが予想される。
東京市場は堅調か。米国株は上昇。ダウ平均は217ドル高の44458ドルで取引を終えた。10年債入札の好調などを受けて長期金利が低下したことが支援材料となった。ドル円は足元146円20銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが125円高の39925円、ドル建てが185円高の39985円で取引を終えた。
米国株高を受けて日本株も水準を切り上げると予想する。米国ではエヌビディアの時価総額が一時4兆ドルを超えたことが注目を集めており、ハイテクグロース株向きの地合いが想定される。ただ、きのうの日経平均は節目の4万円を前にしては足踏みした。本日はETF分配金捻出の売り需要が発生する日であることが広く知られており、高くなれば利益確定売りは出やすい。上値追いには慎重になると思われるだけに、買い一巡後は様子見姿勢が強まるだろう。日経平均の予想レンジは39750-40100円。
昨日の海外市場では、ドル円はアジア時間まで上昇していた米長期金利が低下に転じるにつれて目先のポジション調整が先行。FOMCミニッツ(6月17-18日分)ではハト派とタカ派が利下げ時期を巡ってはっきりと対立している事実を確認。それ自身には何の違和感もありませんでしたが、米10年債入札が前日不調に終わった3年債とは逆に好調な結果となると、米長期金利が低下幅を拡大。米10年債利回りが4.3320%の安値引けとなるなか146.25円まで値を下げてNY市場を終えました。
アジア時間に入ってからは、米系短期の売り仕掛けが観測されると、日経平均の下落につれて145.76円まで下押す場面もみられましたが、ゴトー日とあって本邦実需の買い意欲が強く、その後は再び146円台を回復。米系短期の買戻しが持ち込まれると146.20円まで買戻されています。
いずれにしても、ドル円は一目雲を上抜けてからというもの、戻りの目処を確認する動きが続いているわけで、アジア時間で目先の下押しのレベルを確認したようなかたち。短期的なポジション調整を繰返しながら、HF勢の大元の円ロングを縮小する流れを見極めているところです。
「欧州の投資家を中心に、グローバルな資金がユーロに向かう一定のリバランスが見られている。今のところこの動きは持続的と見受けられるが、今後どうなるか関心を持って見ている」(レーンECB専務理事兼主任エコノミスト)
ユーロが1999年に導入されて以来の対ドル平均相場は1.1829ドルとなっている。
2025年7月1日、ユーロドルは年初来高値となる1.1829ドルに到達した。
欧州連合(EU)とトランプ米政権が、トランプ関税を巡り通商協議に臨んでいる最中、ユーロとドルが1.1829ドルで邂逅した奇跡を記録しておきたい。
1.ユーロ誕生:1999年1月1日
1999年1月1日、欧州統一通貨「ユーロ(EURO)」が誕生した。
「ユーロ(EURO)」の名前の由来は、「ヨーロッパ(EUROPA)」だが、「ヨーロッパ(EUROPA)」の由来は、ギリシャの最高神のゼウスに見初められたフェニキアの古代都市テュロスの王女「エウロパ(EUROPA)」である。
ゼウスが牡牛に変身してエウロパを連れ去る場面は、『エウロペの誘拐』として西洋絵画を彩り、ゼウスは「牡牛座」に、エウロパは「スバル」となり、天空を飾っている。
1998年12月31日、欧州連合(EU)蔵相理事会は、新通貨「ユーロ」と参加欧州各国通貨との交換レートを決定した。
レート算出時に採用した相場によると、1ユーロは対米ドルでは1.16675ドル、対円で
は132.80円となる。
第1&2次世界大戦の戦禍をくぐり抜けた欧州の政治家達は、両大戦を引き起こしたドイツを封じ込めて、アメリカ合衆国やソビエト連邦に対抗しうるヨーロッパ合衆国・連邦の構築を目論んでいた。
2.2025年初来高値圏でのユーロドル相場への見解
■ラガルドECB総裁
「歴史的にそうだったように、一夜にしては起こらない。だが、明らかに何かが壊れた。それが修復可能なのか、壊れたままなのかは判断がまだ付いていないと思う」
■デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「ユーロが1.20ドルを超えて上昇すれば政策対応が難しくなる可能性がある。1.17ドル、1.20ドル程度はある程度見過ごせるものの、それを上回るとはるかに複雑になる」
「ユーロの為替レートが一定の安定を示し、経済成長の観点からこれ以上悪影響を及ぼさないことを望む」
■ナーゲル独連銀総裁
「ユーロドル1.18ドル台は問題ではない。金融政策に対して為替の影響はある程度あるだろうが、一つの要因でしかない。インフレを押し上げる要因と押し下げる要因の全てをわれわれは考慮している。そのようにしてこの問題を捉えるべきだ」
■シムカス・リトアニア中銀総裁
「ユーロ上昇のペースは極めて注意深い監視が必要だ。歴史的な観点から言えば、現在の為替レートは異常ではない。だが、調整のペースに鑑みると、真剣に捉える必要がある」
日経225先物は11時30分時点、前日比190円安の3万9610円(-0.47%)前後で推移。寄り付きは3万9860円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万9925円)にサヤ寄せする形から、買いが先行して始まった。ただし、寄り付き直後につけた3万9890円を高値に軟化し、中盤にかけて3万9550円まで売られる場面もみられた。売り一巡後は3万9600円~3万9650円辺りで下げ渋る動きをみせている。
日経225先物は買いが先行したものの、シカゴ先物の清算値には届かず、その後は利益確定に伴うロング解消の動きが優勢になった。寄り付き後ほどなくしてボリンジャーバンドの+1σ(3万9790円)を割り込んだこともロング解消に向かわせたようである。
エヌビディア<NVDA>が最高値を更新した流れからアドバンテスト<6857.T>[東証P]は買われた半面、東京エレクトロン<8035.T>[東証P]はマイナス圏で推移しており、ロングを手控えさせている面もある。また、本日は引けにかけて上場投資信託(ETF)の分配金捻出に絡んだ換金売りが入るとみられており、先回り的にショートが入っている可能性がありそうだ。
NT倍率は先物中心限月で14.09倍に上昇した。14.07倍と前日比変わらずから始まり、その後は14.11倍まで上昇する場面もみられた。支持線として機能している200日移動平均線(14.04倍)から上放れており、NTロングに振れやすい状況であろう。
本日のロンドン為替市場のユーロドルは、引き続き欧州連合(EU)とトランプ米政権による通商協議に関するヘッドラインに警戒しながら、チポローネECB専務理事、エスクリバ・スペイン中銀総裁、ビルロワドガロー仏中銀総裁らの講演を見極めていくことになる。
昨日は英紙フィナンシャル・タイムズが、欧州連合(EU)と米国の貿易交渉で、米国が英国に認めた水準より高い関税をEUに課す内容で合意に近づいている、と報じた。
また、フォンデアライエン欧州委員長は、「米国との貿易合意に向けて、EUはあらゆるシナリオに備えている。貿易合意に達するためEUは断固たる姿勢で交渉にのぞみ、米国と緊密に協力する」と述べていた。
さらに、メルツ独首相も、「EUと米国の貿易協定、慎重ながらも楽観的。今月末までに米国と合意に達することができると期待」と述べており、欧米通商合意観測が高まりつつある。
気がかりな報道としては、ECB幹部が、異常気象がもたらす熱波や洪水、山火事などがユーロ圏の域内総生産(GDP)を今後5年間で約5%押し下げる可能性があるとの見解を示したことが挙げられる。
トランプ米政権の大規模な減税・歳出法案では、気候変動対策の予算が削減されており、今後は、世界的な異常気象が世界金融危機や新型コロナウイルス禍に匹敵する悪影響を及ぼす可能性には警戒しておきたい。
デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁は、先日、ユーロが1.20ドルを超えて上昇すれば政策対応が難しくなる可能性があると指摘していたが、昨日も「ユーロの為替レートが一定の安定を示し、経済成長の観点からこれ以上悪影響を及ぼさないことを望む」と述べていた。
本日予定されているチポローネECB専務理事、エスクリバ・スペイン中銀総裁、ビルロワドガロー仏中銀総裁の講演では、利下げ時期への言及やユーロ高への見解に注目しておきたい。
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1829ドル(7/1高値=年初来高値)
・ユーロ円:172.28円(7/9高値=年初来高値)
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.1601ドル(日足一目均衡表・基準線)
・ユーロ円:170.37円(日足一目均衡表・転換線)
日銀は7月の地域経済報告(さくらレポート)を公表。一部に弱めの動きもみられるが、すべての地域で、景気は「緩やかに回復」、「持ち直し」、「緩やかに持ち直し」とし、前回4月から景気判断は据え置かれた。
ドル円:1ドル=146.25円(前営業日NY終値比▲0.08円)
ユーロ円:1ユーロ=171.68円(△0.18円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1739ドル(△0.0019ドル)
日経平均株価:39646.36円(前営業日比▲174.92円)
東証株価指数(TOPIX):2812.34(▲15.82)
債券先物9月物:138.73円(△0.04円)
新発10年物国債利回り:1.490%(▲0.010%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月企業物価指数
前月比 ▲0.2% ▲0.1%・改
前年同月比 2.9% 3.3%・改
対外対内証券売買契約等の状況(前週)
対外中長期債
1兆6568億円の取得超 1828億円の所得超
対内株式
6117億円の取得超 6513億円の所得超
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は持ち直し。前日からのドル売り基調を引き継いで始まると、145.76円まで下押し。ただ、下げの勢いが一服すると買い戻しが優勢に。日経平均が一時下げ幅を縮小したことも追い風となり、146.41円まで上昇した。
・ユーロ円は底堅い。10時前に171.18円まで下押すも、その後は同水準での底堅さが確認されると徐々に買い戻されて171.75円まで切り返すなど、ドル円に連れた動きとなった。
・ユーロドルは小高い。ドル円でのドル売りをながめて1.1750ドルまで小幅に上昇。もっとも、1.1756ドルに位置する日足・一目均衡表の転換線を前に上昇が一服すると、その後は1.17ドル台前半でのもみ合いとなった。
・日経平均株価は3営業日ぶり反落。小幅安で寄り付いた後は下げ幅を拡大し、後場に入り300円近い下げとなった。上場投資信託(ETF)の分配金捻出に絡んだ換金売りの観測も重しとなった模様である。
・債券先物相場は3営業日ぶり反発。夜間取引で下落した流れを引き継いで安く始まった。その後は警戒感が高まっていた本日の20年債入札を前に小動きとなった。入札が無難な結果となった事を受け、超長期債を中心に買いが入った。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
ブラジルが突如トランプ関税の「標的」に!?
トランプ関税が政治的要素で用いられる流れ、両国関係の行方はどうなる!?
ブラジルがトランプ関税に揺れている。米トランプ政権は、自動車や鉄鋼・アルミ製品などに追加関税を課し、すべての国に一律10%、一部の国・地域に税率を上乗せする相互関税を発動させた。相互関税は発動直後に上乗せ分が90日間延期され、個別協議が行われてきた。しかし、米国は協議期限直前に関税政策を強化するとともに、突如ブラジルに対する税率を当初の10%から50%に引き上げる方針を示した。
米国は関税引き上げの理由に、不公正な貿易慣行のほか、自由選挙や言論の自由への攻撃といった政治的要素を示した。ブラジルは米国にとって貿易黒字国であり、関税強化の根拠には疑問が残る。一方、トランプ第1次政権やボルソナロ前政権時代の両国関係は良好であったものの、ルラ政権に交代して以降は対中接近が進んでいる一方、両国関係が変化する動きが確認されている。さらに、同国は今年BRICS議長国であるなか、米国に対して批判的な立場を示したこともトランプ氏の反発を招いた可能性がある。
さらに、ボルソナロ氏への対応やSNSを巡る検閲問題も関税強化の理由とされるなど、このところは米国とブラジルの緊張は高まっていた。ルラ大統領は報復措置を示唆しており、金融市場では通貨レアル相場や主要株式指数が大きく調整するなど混乱が広がる動きがみられる。今後の両国による協議の行方が注目されるが、両国の対立が激化する可能性もあり、現時点において事態を楽観視することは極めて難しい。
大阪9月限
日経225先物 39640 -160 (-0.40%)
TOPIX先物 2814.5 -13.5 (-0.47%)
日経225先物(9月限)は前日比160円安の3万9640円で取引を終了。寄り付きは3万9860円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万9925円)にサヤ寄せする形から、買いが先行して始まった。ただし、寄り付き直後につけた3万9890円を高値に軟化し、前場中盤には3万9550円まで売られた。売り一巡後は3万9600円~3万9650円辺りで下げ渋りをみせたが、後場終盤にかけて3万9540円まで下落。引け間際にショートカバーが入り、やや持ち直した。
日経225先物は買いが先行したものの、シカゴ先物の清算値には届かず、その後は利益確定に伴うロング解消が優勢になった。寄り付き後ほどなくしてボリンジャーバンドの+1σを割り込んだこともロング解消に向かわせたようである。
エヌビディア<NVDA>の最高値更新を受けて、アドバンテスト<6857.T>[東証P]が買われた半面、東京エレクトロン<8035.T>[東証P]がマイナス圏で推移しており、ポジションを取りにくくさせた面もある。また、本日は引けにかけて上場投資信託(ETF)の分配金捻出に絡んだ換金売りが入ったため、先回り的にショートが入りやすい需給状況だった。
トランプ米大統領はブラジルからの輸入品に50%の関税を課すと発表。ルラ政権に不満を示しており、改めて関税政策を巡る警戒感が重荷となって、押し目狙いのロングは限られていた。為替市場で円相場が一時1ドル=145円台後半と、やや円高に振れたことも手掛けにくくさせた。
日経225先物は再びボリンジャーバンドの+1σ(3万9840円)を下回ってきた。ただし、ETFに絡んだ需給要因が一巡したこともあり、前日にハイテク主導で上昇していた米国市場が落ち着いた値動きをみせてくるようであれば、ロングを誘う形になりそうである。
週足のボリンジャーバンドでは+1σ(3万9250円)と+2σ(4万0730円)によるレンジを維持している。週末の終値で+1σを下回ってくる可能性は現時点で低いと考えられ、押し目狙いのロング対応とみておきたい。
ベッセント米財務長官は19日に、大阪・関西万博の米国ナショナルデーに合わせて日本を訪問する予定である。通商交渉が行われるかは不明だが、ショートを仕掛けにくくさせると考えられる。
NT倍率は先物中心限月で14.08倍に上昇した。14.07倍と前日比変わらずで始まり、その後は14.11倍まで上昇する場面もみられた。支持線として機能している200日移動平均線(14.04倍)から上放れつつある。+1σ(14.08倍)を上回ってくると、NTロングに振れやすくなりそうだ。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万6052枚、ソシエテジェネラル証券が9297枚、サスケハナ・ホンコンが2527枚、バークレイズ証券が2167枚、モルガンMUFG証券が1680枚、ゴールドマン証券が1323枚、SBI証券が1153枚、野村証券が1029枚、日産証券が962枚、JPモルガン証券が939枚だった。
TOPIX先物はソシエテジェネラル証券が2万4690枚、ABNクリアリン証券が2万4586枚、モルガンMUFG証券が1万1708枚、バークレイズ証券が9114枚、JPモルガン証券が6240枚、ゴールドマン証券が4955枚、ビーオブエー証券が3661枚、野村証券が2966枚、みずほ証券が2523枚、シティグループ証券が2327枚だった。
NYタイムは、8月1日から適用予定のトランプ相互関税関連の報道や、米長期金利・株価動向に呼応したドル相場を追いつつ、米雇用指標の強弱を確認する展開が想定される。
先週は、2日に6月ADP全米雇用報告で政府部門を除く非農業部門雇用者数が3.3万人減と予想の9.5万人増を大幅に下回った一方、翌3日の6月米雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比14.7万人増と予想の11.0万人増を上回る底堅い結果となり、マーケットの動意を荒っぽくした。雇用統計が示した労働市場の地合いの強さを再確認することになるか、あるいはADPが示した軟調な方向へ揺り戻されるのか注目となる。
本日発表となる前週分の新規失業保険申請件数の市場予想は23.5万件と、その前回の23.3万件から小幅な増加予想。同失業保険継続受給者数は197.4万人と、こちらも196.4万人から増加するとの見方となっている。まずは予想比での強弱に反応することになるだろう。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、9日高値147.18円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値めどは、日足一目均衡表・基準線145.28円
今晩はもみ合いか。
昨日は米国債利回りの低下が追い風となる中、人工知能(AI)普及による業績好調期待を背景にエヌビディアが上昇し、上場来高値を更新した。時価総額は一時4兆ドルを上回り、初めての4兆ドル企業となった。ダウ平均が217.54ドル高(+0.49%)、S&P500が0.61%高とともに3日ぶりに反発したほか、ナスダック総合は0.94%高と2日続伸し、3営業日ぶりに取引時間中と終値の史上最高値を更新した。センチメントは改善。投資家の不安心理を示すVIX指数は前日の16.81ポイントから15.94ポイントに低下し、2月20日以来の低水準となった。
今晩の取引ではセンチメントの改善やAI関連株の上昇モメンタムが復活したことでハイテク株を中心に堅調持続が期待される一方、主要3指数が最高値圏にあることや、関税政策の不透明感などが上値の重しとなりそうだ。利下げ見通しを巡っては新規失業保険申請件数が注目されるほか、ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事のパネルディスカッション参加などFRB高官発言も複数予定され、利下げを巡る要人発言にも要注目となる。
今晩の米経済指標・イベントは新規失業保険申請件数のほか、米30年債入札など。要人発言はウォラーFRB理事のほか、ムサレム米セントルイス連銀総裁、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁など。企業決算は寄り前にコナグラ・ブランズ、デルタ航空が発表予定。
日経平均株価は反落。マイナス圏でさえない展開となり、陰線で5日移動平均線(39711円 7/10)を下回って終えた。
RSI(9日)は前日の55.5%→35.5%(7/10)に低下。引き続き見方は変わらず、4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇が続いている。一方、前日に上回った10日移動平均線(39872円 同)をあっさり下回った点はやや力不足の感が残る。RSIはあすも低下が続きやすいタイミングとなる。一目均衡表の基準線(39190円 同)や25日移動平均線(39019円 同)付近まで調整幅が拡大する可能性も高い。ただ、その場合でも6/18高値(38885円)付近に向けた単なる揺り戻しが生じる意味合いとなる。
上値メドは、心理的節目の4万円、6/30高値(40852円)、昨年7/17安値(41054円)、心理的節目の42000円、昨年7/11安値(42102円)などがある。下値メドは、基準線や25日移動平均線、心理的節目の38500円、200日移動平均線(38080円 同)、6/13安値(37540円)などがある。
米財務省によると、30年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが4.889%、応札倍率(カバー)が2.38倍となった。
(10日終値:11日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=146.32円(10日15時時点比△0.07円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=171.04円(▲0.64円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1689ドル(▲0.0050ドル)
FTSE100種総合株価指数:8975.66(前営業日比△108.64)
ドイツ株式指数(DAX):24456.81(▲92.75)
10年物英国債利回り:4.595%(▲0.017%)
10年物独国債利回り:2.705%(△0.032%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月独消費者物価指数(CPI)改定値
前月比 0.0% 0.0%
前年比 2.0% 2.0%
6月ノルウェー消費者物価指数(CPI)
前月比 0.2% 0.4%
前年比 3.0% 3.0%
5月仏経常収支
31億ユーロの赤字 66億ユーロの赤字・改
5月トルコ鉱工業生産
前月比 3.1% ▲3.2%・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は上値が重い。しばらくは146.20円を挟んだ水準でのもみ合いとなっていたが、NY勢の参入後はやや上値を伸ばした。前週分の米新規失業保険申請件数が市場予想より強い結果となり、米10年債利回りが4.37%台まで上昇すると、一時146.79円まで本日高値を更新。ただ、その後は米長期金利の上昇一服とともに146.30円台まで押し戻された。
・ユーロドルはさえない。欧州勢の参入後から徐々に上値が重くなり、NY時間に入ると米長期金利の上昇とともに売りが加速した。23時30分前には1.1663ドルまで下落し、今週の初めからサポートとして意識されてきた1.1680-90ドルの支持帯を下抜けた。
・ユーロ円は弱含み。ユーロドルの下げにつれて円買い・ユーロ売りが進み、一時171.04円まで値を下げた。
・ロンドン株式相場は3日続伸し、史上最高値を更新した。リオ・ティントやグレンコアなど素材株の上昇が目立ったほか、ヘルスケアにも買いが入り、指数を押し上げた。トランプ米大統領は銅や医薬品の輸入に関税を課す方針を示しているが、最終的な決定や発動までは交渉の余地があるだろうといった楽観的な見方が広がっている。
・フランクフルト株式相場は4営業日ぶりに反落。小高く始まったものの、他の欧州株につれて上値を切り下げる展開となり、取引時間終盤には下げに転じた。個別ではコメルツ銀行(3.96%安)やシーメンス・エナジー(2.62%安)、アリアンツ(2.22%安)などの下落が目立った。
・欧州債券相場はまちまち。
10日の日経平均は3日ぶり反落。終値は174円安の39646円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり522/値下がり1040。上方修正を発表したディスコが全市場の売買代金トップとなって4.2%高。米エヌビディア株の時価総額4兆ドル超えが話題となる中、アドバンテストやソシオネクストが買いを集めた。1Qが大幅増益となったMrMaxが急伸。グロース市場ではQPS研究所やサンバイオが人気化し、データセクションやレナサイエンスがストップ高まで買い進まれた。
一方、決算発表の延期を発表したイオンとイオンFSが大幅安。半導体株は濃淡がついており、東京エレクトロンやSCREENが売りに押された。業種では東電HDや北海道電力など電力株の弱さが目立った。SHIFTは上方修正が好感されず7.1%安。3Q決算と併せて社長による株式売却を発表したプログリットが15.4%安と急落した。
日経平均は終日軟調。海外動向からは売り材料は乏しいように思われたが、多くの銘柄が下落した。グロース250指数が強かったことを踏まえると、ETFの分配金ねん出目的の売り需要発生日ということが強く意識されたのかもしれない。
きょうはさえなかったが、日経平均は39500円~4万円レベルでの一進一退が続いており、レンジを逸脱するような動きにはならなかった。分配金ねん出の売りを警戒するなら終盤に下を試しにいっても不思議はなかったが、引けにかけては下げ幅を縮めている。このレンジが意識されるのであれば、あすは下値が限られ、買いが入りやすくなると見込まれる。米国株の基調が強い上に、ドル円も円高に対する警戒は大きく後退しているだけに、仕切り直しの動きが見られるかに注目したい。
(10日終値)
ドル・円相場:1ドル=146.26円(前営業日比▲0.07円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=171.14円(▲0.36円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1701ドル(▲0.0019ドル)
ダウ工業株30種平均:44650.64ドル(△192.34ドル)
ナスダック総合株価指数:20630.66(△19.32)
10年物米国債利回り:4.35%(△0.02%)
WTI原油先物8月限:1バレル=66.57ドル(▲1.81ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3325.7ドル(△4.7ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
前週分米新規失業保険申請件数
22.7万件 23.2万件・改
前週分米失業保険継続受給者数
196.5万人 195.5万人・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は続落。前週分の米新規失業保険申請件数が市場予想より強い結果となり、米10年債利回りが4.37%台まで上昇すると146.79円まで上値を伸ばした。ただ、その後は米長期金利が徐々に上昇幅を縮小した影響で146.10円台まで押し戻された。
なお、ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事は「7月の利下げは検討可能」「金利をめぐる私見は政治的なものではない」などの見解を示したほか、今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つムサレム米セントルイス連銀総裁は「インフレにはいくぶんの上振れリスクがある」「関税がインフレ率を上昇させると予想」と述べた。
・ユーロドルは続落。NY勢の参入後は米長期金利の上昇とともに売りに押される展開となり、23時30分前に1.1663ドルまで下押し。今週の初めからサポートとして意識されてきた1.1680-90ドルの支持帯を下抜けた。もっとも、一巡後は米金利が上昇一服となったことで1.1700ドル前後まで下げ渋った。
・ユーロ円は続落。ユーロドルの下落やドル円の伸び悩みなどにつれて円買い・ユーロ売りが進み、一時170.94円まで値を下げた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は続伸。良好な結果となった米雇用指標を好感した買いが入った。ハイテク株に対して出遅れ気味だった景気敏感株などにも買いが向かい、指数を押し上げた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は3日続伸し、連日で史上最高値を更新した。
・米国債券相場で長期ゾーンは反落。良好な米雇用データを手掛かりにした売りが出た一方、ウォラーFRB理事の早期利下げ主張などを受けた買い戻しも入った。
・原油先物相場は4営業日ぶりに反落。米雇用データの結果を受けて為替相場でドルが上昇し、ドル建ての原油は割高感が生じ売りに押された。前日まで3日続伸したこともあり、その反動で利食い売りも出た。また、トランプ関税が世界の景気を下押し、エネルギー需要への影響が出るとの懸念も上値を重くした。
・金先物相場は続伸。トランプ米大統領が昨日に銅の輸入に50%の関税を賦課すると表明したことを受けて銅先物が上昇し、金属商品全般にも買いが強まった。ただ、ドル高に振れたことや、米長期金利が上昇したことが重しとなり、上値は限られた。
大和証券では、4日に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2024年度の運用状況(速報)を発表したことを受けてリポートしている。2025年3月末時点の資産構成割合は、国内株式が24年12月末の24.99%から25年3月末は23.94%と低下、外国株式も同24.93%→24.05%と低下した。大和では、3月末の株価の下落幅が大きかったことから、1-3月期末の日本株の構成割合が基本ポートフォリオの25%から下方かい離したと考えている。また、1-3月期の国内株式への資金フローは約-1兆3500億円と、4四半期ぶりの売り越しであったと推計している。
中国汽車工業協会(CAAM)はこのほど、2025年1-6月の新車販売台数が前年同期比11.4%増の1565万3000台だったと発表した。生産台数は同12.5%増の1562万1000台だった。『信報』が10日伝えた。
うち、新エネルギー車(純電気車、プラグインハイブリッド車、燃料電池車)の販売台数は40.3%増の693万7000台で、自動車販売全体の44.3%を占めた。輸出台数は自動車全体で308万3000台と10.4%増え、うち新エネ車は75.2%増の106万台だった。
CAAMの担当者は、中国国内では買い替えを促す「以旧換新」政策が効果を発揮し、市場が大きく改善していると指摘。新エネ車も高い成長を維持しているとした。下期については、「両新」(消費財買い替え促進と大規模設備更新)政策の推進やメーカーによる新型車の相次ぐ投入などで消費の押し上げが期待され、自動車産業は引き続き健全で安定的に推移するとみている。
10日08:04 ルラ・ブラジル大統領
「ブラジルはアメリカに対して相互主義法を用いて対応する」
10日09:31 トランプ米大統領
「8月1日より銅に対して50%の関税を課すことを発表」
「この50%の関税はバイデン政権の軽率な行動と愚かさを覆すもの」
「アメリカは再び圧倒的な銅産業を築き上げるだろう」
「今こそ我々の黄金時代だ」
10日14:49 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「今年のフランスのGDPは0.6%と見込んでいる」
「成長率は低調だが、フランスにとってはポジティブ」
10日16:22 中国商務省
「米国とは、経済・貿易分野における懸念事項について協議を継続している」
「米国と中国が歩み寄り、対話と意思疎通を強化し続けることを期待」
10日23:04 ムサレム米セントルイス連銀総裁
「インフレにはいくぶんの上振れリスクがある」
「米経済は良い状況にあり、完全雇用かそれに近い状態にある」
「金融政策は適度に制限的」
「関税がインフレ率を上昇させると予想」
「過去3カ月間のインフレのトレンドはポジティブだった」
11日03:14 ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「現在の政策金利はなお非常に抑制的」
「7月の利下げは検討可能」
「金利をめぐる私見は政治的なものではない」
11日03:43 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁
「インフレは緩和しつつある」
「金融政策は依然として引き締め的」
「2025年に2回の利下げが実施される可能性が高い」
※時間は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○15:00 ◇ 6月独卸売物価指数(WPI)
○15:00 ☆ 5月英国内総生産(GDP、予想:前月比0.1%)
○15:00 ◎ 5月英鉱工業生産(予想:前月比横ばい/前年比0.1%)
○15:00 ◎ 5月英製造業生産高(予想:前月比▲0.1%)
○15:00 ◇ 5月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:215.00億ポンドの赤字/46.05億ポンドの赤字)
○15:45 ◇ 6月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.3%/前年比0.9%)
○16:00 ◇ 6月スイスSECO消費者信頼感指数(予想:▲35.0)
○16:00 ◇ 5月トルコ経常収支(予想:8.3億ドルの赤字)
○17:00 ◎ パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○17:40 ◎ ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○20:30 ◎ チポローネECB専務理事、講演
○21:00 ◇ 5月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比▲0.1%)
○21:30 ☆ 6月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化ゼロ/失業率7.1%)
○21:30 ◇ 5月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲0.8%)
○12日01:00 ◎ 6月ロシアCPI(予想:前月比0.2%)
○12日03:00 ◎ 6月米月次財政収支(予想:110億ドルの赤字)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
10日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、前週分の米新規失業保険申請件数が予想より強い結果となり、米10年債利回りが4.37%台まで上昇したことで146.79円まで上値を伸ばした後、米長期金利が上昇幅を縮小した影響で146.10円台まで押し戻された。ユーロドルは、米長期金利の上昇を受けて1.1663ドルまで下押し後、1.1700ドル前後まで下げ渋った。
本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りや日経平均株価の動向を睨みながらの相場展開が予想される。
昨日のドル円は、9日の米10年債利回りの4.41%台までの上昇に連れた高値147.18円から、4.33%台までの低下に連れた安値145.76円まで下押ししたものの、支持帯となっている一目均衡表・雲の上限145.55円が機能して下げ渋る展開となっている。
本日も、米10年債利回りの動向を睨みつつ、雲の上限を念頭に置きながら相場に臨んでいきたい。
昨日の米国30年債の入札は、前日の10年債入札同様に無難に終わった。
トランプ米政権の看板政策である「大規模な減税・歳出法案」は、超党派機関の米議会予算局(CBO)の資産によれば、米財政赤字を今後10年間に2兆4200億ドル膨らませる見込みとなっている。しかし、ベッセント米財務長官が、米金融機関に米国債を購入させるために補完的レバレッジ比率(SLR)を緩和することを示唆したことで、トリプル安(ドル安・株安・債券安)の引き金となりやすい米国債の下値不安が和らいでいることが確認できた。
一方で、米国債にとっての懸念材料は、2011年8月5日の米格付け機関スタンダード&プアーズ(S&P)による米国債格下げショックの再現となることであり、警戒を怠らずに夏相場に臨んでいきたい。
今夜発表される米国6月の財政赤字は335億ドルと予想されており、昨年6月の709.65億ドルの赤字からの赤字幅の減少が見込まれている。背景には、トランプ関税による歳入増があると思われるため、確認しておきたい。
ベッセント米財務長官は、2025年の関税収入が通年で3000億ドルを超えるとの見通しを示しているが、関税を負担しているのは、輸出国ではなく輸入国(輸入業者や消費者)である。
ノーベル経済学賞の経済学者ジョセフ・スティグリッツ氏やポール・クルーグマン氏が「愚挙」と断じるトランプ関税は、いよいよ来月1日から本格的に発動されることになる。
米国の貿易赤字削減を目指したトランプ関税だが、今年1-5月の貿易赤字は5223.75億ドルとなっており、昨年のバイデン政権時の1-5月の貿易赤字3473.40億ドルから50%程度増えている。
昨日はハト派のウォラーFRB理事が「7月FOMCの利下げは検討可能」と述べたが、7月利下げに言及しているのは、ボウマンFRB副議長との二人だけである。
先日のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙は、次期FRB議長候補にハセット米国家経済会議(NEC)委員長が浮上したと報じ、トランプ米大統領も米連邦準備理事会(FRB)の金融政策を巡り2度ほど会談を行ったとのことである。
FRBの金融政策を巡るリスクシナリオは、次期FRB議長にFRBに対して利下げ圧力をかけ続けているハセットNEC委員長が指名され、影のFRB議長としてパウエルFRB議長をレームダック化させることとなる。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 39740 +100 (+0.25%)
TOPIX先物 2822.5 +8.0 (+0.28%)
シカゴ日経平均先物 39705 +65
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
10日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。米新規失業保険申請件数が前週比5000件減の22万7000件となり、予想(23万5000件程度)に反して減少し、約2カ月ぶりの低水準となったことが材料視された。デルタ航空<DAL>が発表した4~6月期決算が市場予想を上回り12%近く上昇した。関税政策に対する過度な警戒感が和らぎ、米景気の底堅さを示したとして、ユナイテッド航空ホールディングス<UAL>やアメリカン航空グループ<AAL>に買いが波及するなど、景気敏感株への物色が目立った。
S&P500業種別指数は自動車・同部品、運輸、医薬品・バイオテクノロジーが上昇した一方で、電気通信サービス、ソフトウエア・サービス、食品・生活必需品小売の下げが目立った。NYダウ構成銘柄では、アメリカン・エキスプレス<AXP>、マクドナルド<MCD>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、JPモルガン・チェース<JPM>、キャタピラー<CAT>が買われ、エヌビディア<NVDA>は連日で上場来高値を更新した。半面、セールスフォース<CRM>、ウォルマート<WMT>、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>が軟調。
シカゴ日経平均先物清算値は大阪比65円高の3万9705円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比40円高の3万9680円で始まった。その後は軟化し、米国市場の取引開始直後に3万9590円まで売られる場面もみられた。ただし、売り一巡後はロング優勢の流れのなかでプラス圏を回復し、終盤にかけて3万9760円まで買われ、3万9740円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや買い先行で始まることになりそうだ。昨日は上場投資信託(ETF)の分配金捻出に絡んだ換金売りが入ったため、先回り的にショートが入りやすい需給状況だったが、ピークは通過したとの見方から押し目狙いのロングが入りやすくなりそうだ。
一方で、トランプ関税に対する不透明感から上値追いのロングは限られそうである。石破茂首相は参院選の応援演説で、日米関税交渉をめぐり妥協しない考えを強調した。参院選に勝つための発言だろうが、前日にはトランプ米大統領はブラジルからの輸入品に50%の関税を課すと発表しており、過度な強気姿勢で臨み過ぎると米側の反感を買う可能性も警戒されやすいだろう。
日経225先物はナイトセッションで3万9500円接近での底堅さはみられるが、ボリンジャーバンドの+1σ(3万9840円)に上値を抑えられていた。心理的な抵抗線として意識される可能性はありそうだが、ベッセント米財務長官は19日に、大阪・関西万博の米国ナショナルデーに合わせて日本を訪問する予定である。通商交渉が行われる可能性も考えられ、ショートは控えておきたい。
そのため、オプション権利行使価格の3万9500円から3万9875円でのレンジを想定する。+1σを捉えてくるようだと、4万円の大台接近もありそうだ。
10日の米VIX指数は15.78(9日は15.94)に低下した。前日に2月下旬以来の16.00を割り込んできており、2月半ばにつけた14.74辺りが意識される。緩やかながら下へのトレンドが継続する可能性もあるため、リスク選好に向かわせやすいだろう。
昨日のNT倍率は先物中心限月で14.08倍に上昇した。14.07倍と前日比変わらずから始まり、その後は14.11倍まで上昇する場面もみられた。支持線として機能している200日移動平均線(14.04倍)から上放れつつある。ナスダックが連日で史上最高値を更新していることもあり、+1σ(14.08倍)を上回ってくるようだと、NTロングに振れやすくなりそうである。
東京市場は堅調か。米国株は上昇。ダウ平均は192ドル高の44650ドルで取引を終えた。新規失業保険申請件数が市場予想を下回って雇用の強さが確認できたことや、デルタ航空が決算を受けて急騰したことなどが好感された。ドル円は足元146円20銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが65円高の39705円、ドル建てが110円高の39750円で取引を終えた。
米国株は小動きではあったがS&P500とナスダックが最高値を更新しており、日本株にもプラスの影響が及ぶと予想する。ただ、ナスダックは横ばい程度で3指数の中では見劣りする動きであっただけに、ハイテク株に関しては上値が重いかもしれない。きのうの日経平均はETF分配金ねん出の売り需要を警戒した格好となって下落したが、需給イベントを消化した本日は売りを急ぐ理由に乏しい。ドル円が落ちついていることも安心材料となり、場中はしっかりとした動きが続くだろう。日経平均の予想レンジは39550-39850円。
トランプ米大統領は一律で15%または20%の関税を課す計画とNBCが伝えた。
トランプ米大統領はカナダからの輸入品に35%の関税を課す方針だと一部通信社が伝えた。
昨日のドル円は、アジア時間に目先の下値を確認した後、146.46円まで上昇。NY時間に入ってからすぐに146.09円まで下押す場面もみられましたが、米新規失業保険申請件数が予想よりも強い数字となると米長期金利の上昇につれて146.79円まで値を上げました。引けにかけては4.3715%まで上昇していた米10年債利回りが4.3498%まで低下したことから146.17円まで再び下押ししてNY市場を終えました。
アジア時間に入ってからは、トランプ米大統領がまたまたTACOぶりを発揮。カナダに対して35%の関税をかけるが、一方ではUSMCA対象の免税は維持するとのこと。ほぼ合意が近づいているとの認識となっていたEUにも相互関税レターを送付する意向を示すなど、何とも昨日の対米貿易赤字のブラジルに対して、BRICS首脳会議でルーラ大統領に苦言を呈されたことに気分を損ねたのか、何と50%関税を発表したこととも合わせて、市場としては既にお手上げ状態。日経平均は310円を超える上昇から一転してリスクオフの動きとなったものの、ドル円は仲値に向けた実需の買いも手伝って、147円台までショートカバーが進む状況となっています。
いずれにしても、目先は9日の高値147.18円や6月23日の高値148.03円が戻りの目処として意識されているわけで、需給関係や、大元のポジションの偏りの状況を鑑みた現在の方向性には何ら変わりはなく、下値を確認しながらの動きが続いています。
日経225先物は11時30分時点、前日比20円安の3万9620円(-0.05%)前後で推移。寄り付きは3万9740円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万9705円)にサヤ寄せする形から、買いが先行して始まった。ロングの動きが強まり、現物の寄り付き直後には3万9960円まで上げ幅を広げた。ただし、買い一巡後は急速に軟化し、3万9550円まで売られる場面もみられた。中盤以降は3万9570円~3万9770円辺りでの推移が続いている。
日経225先物は寄り付き直後に一気に3万9960円まで買われ、ボリンジャーバンドの+1σ(3万9830円)を上回ったが、キープできずにロング解消の動きが強まった。ただ、ナイトセッション同様に3万9500円接近では底堅さがみられており、押し目狙いのロングが入りやすくなっただろう。
NT倍率は先物中心限月で13.97倍に低下した。14.07倍で始まり、14.09倍をつけた後に大きく低下する形になった。支持線として機能していた200日移動平均線(14.04倍)を割り込み、一気に25日線(13.93倍)水準まで下げてきた。ファーストリテイリング<9983.T>[東証P]が下落して始まった後に下へのバイアスを強めた影響が大きい。
「FRBが今利下げをしない理由は全くない。あと1カ月分のデータを見れば、FRBは金利が高過ぎることを認めざるを得なくなるだろう」(ハセットNEC委員長:2025年6月23日)
米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、次期FRB議長候補にハセットNEC委員長が浮上している、と報じた。トランプ米大統領はハセットNEC委員長に対して2度の面接を行ったらしい。
WSJが先日報じていた後任候補は、元FRB理事のケビン・ウォーシュ氏、ハセットNEC委員長、ベッセント米財務長官、世界銀行総裁を務めたデービッド・マルパス氏、ウォラーFRB理事らが検討の対象となっていた。米予測市場の「ポリマーケット」では、次期FRB議長に選ばれる確率はウォーシュ氏が22%、ウォラー氏(21%)、ハセット氏(18%)、ベッセント氏(13%)となっていた。
1.第17代FRB議長のリスクシナリオ
トランプ米大統領は、第1次政権(2017~20年)の時も、現在の第2次政権(2025~28年)においても、米連邦準備理事会(FRB)に利下げ圧力をかけ続けてきた。
パウエル第16代FRB議長は、トランプ関税の不確実性(uncertainty)を理由に、FF金利誘導目標の引き下げを4.25-50%までで休止しており、トランプ米大統領は「パウエルFRB議長はいつも遅く間違っている」と批判し続けている。
今夏または秋に次期FRB議長の人選発表があれば、通常の3-4カ月の移行期間に比べて異例の早期選任となり、おそらく、次期FRB議長は、トランプ米大統領に忖度して、就任後の利下げを表明すると思われる。すなわち、市場は、レームダック化したパウエルFRB議長の金利据え置き路線よりも、影の次期FRB議長の利下げ路線を織り込み始めるのではないだろうか。
2. ハセット第17代FRB議長候補(1962年3月20日生まれの63歳)
・1992年~1997年:連邦準備制度理事会の研究・統計部門のエコノミスト
・ブッシュ第41代米大統領&クリントン第42代米大統領:財務省の政策コンサルタント
・第1次トランプ米政権:大統領経済諮問委員会(CEA)委員長として「減税・雇用法」の策定と成立に中心的な役割を果たした。
・第2次トランプ米政権:国家経済会議(NEC)委員長として、「税制・歳出法案」の成立に尽力した。
■ラッファー理論「ブードゥー経済学:減税すれば、税収が増える」
ハセット氏は、法人税率を引き下げて国内投資を刺激し、経済成長率を高めて税収確保も実現できるとする「ラッファー理論」を支持してきた
■「Dow36,000」
1999年10月1日、ダウが10,273ドルで引けた時に、3年~5年後に36000ドルになるとの予言書を発行した。そして、22年後の2021年、ダウ平均は36000ドルに到達した。
本日のロンドン為替市場のユーロドルは、本日トランプ米大統領がEU加盟国に送付する関税通知の関税率(15%~20%)への警戒感から軟調推移が予想される。
EUと米国との貿易交渉では、合意間近との報道があったものの、本日、トランプ米大統領が「EU加盟国は、関税通知を受け取る」と述べていることで、15%から20%程度の関税が課される可能性が高まっている。
欧米貿易交渉は、10%程度の相互関税で原則合意し、個別協議は継続、という楽観的な見方があったものの、トランプ米政権が一方的に関税率を通知することになった。
フォンデアライエン欧州委員長は、交渉が決裂した場合は、報復措置を打ち出すと警告していたことで、欧米貿易戦争への警戒感が高まりつつある。
また、ユーロドルが1.18ドル台に乗せたあたりから、ECB高官によるユーロ高を牽制する発言が聞かれ始めており、伸び悩む展開となっている。ECBは、経済物価見通しの前提条件として、ユーロドルの相場水準を1.11ドルに設定している。
デギンドスECB副総裁は、ユーロが1.20ドルを超えて上昇すれば政策対応が難しくなる可能性があると指摘し、シムカス・リトアニア中銀総裁も、ユーロ高を注視する必要がある、と述べている。
ユーロドルが1.20ドルに向けて続伸した場合、トランプ関税とともにユーロ圏の輸出を減少させるため、景況感悪化懸念が高まることになる。また、輸入物価の押し下げにより、インフレ率が目標水準から下振れる可能性を高めることになる
デギンドスECB副総裁が「ユーロの為替レートが一定の安定を示し、経済成長の観点からこれ以上悪影響を及ぼさないことを望む」と述べていたように、ユーロ高牽制がECBの総意になる可能性には警戒しておきたい。
ポンドドルは、5月英国内総生産(GDP)で、トランプ関税の影響や8月7日のイングランド銀行金融政策委員会(MPC)での利下げの可能性を探ることになる。
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1829ドル(7/1高値=年初来高値)
・ユーロ円:172.28円(7/9高値=年初来高値)
・ポンドドル:1.3681ドル(7/4高値)
・ポンド円:199.48円(7/8高値=年初来高値)
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.1601ドル(日足一目均衡表・基準線)
・ユーロ円:170.37円(日足一目均衡表・転換線)
・ポンドドル:1.3447ドル(日足一目均衡表・雲の上限)
・ポンド円:197.60円(日足一目均衡表・転換線)
ドル円:1ドル=146.86円(前営業日NY終値比△0.60円)
ユーロ円:1ユーロ=171.50円(△0.36円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1678ドル(▲0.0023ドル)
日経平均株価:39569.68円(前営業日比▲76.68円)
東証株価指数(TOPIX):2823.24(△10.90)
債券先物9月物:138.57円(▲0.16円)
新発10年物国債利回り:1.500%(△0.010%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は堅調。トランプ米大統領が自身のSNSでカナダに対しての35%の関税を課すという、カーニー加首相宛の書簡を公表。対カナダドル主導でドル買いが優勢になるとドル円は強含んだ。本邦実需勢からの断続的な買いも観測されると一時147.18円まで買い上げられた。
・ユーロ円は一転上昇。米大統領によるカナダへの35%関税発表を受けてカナダ円の急落につれて170.81円まで下落した。ただ、米当局者が「USMCAに対する製品の関税免除は維持する」との発言が伝わりカナダ円が一転上昇するとその他クロス円も反発。一時171.77円まで切り返した。
・ユーロドルは弱含み。カナダドル主導のドル買いに押される形で1.1665ドルまで値を下げ、その後の戻りも限られた。なお、ポンドドルは一時1.3540ドルまで下落。5月英国内総生産(GDP)や5月英鉱工業生産など英指標が概ね弱い内容だったことも売りを促した。
・日経平均株価は小幅続落。昨日の米国株高を好感した買いが観測され310円超上昇した。ただ、米関税を巡る報道などで失速。決算を嫌気してファーストリテイリングが急落したことも指数を押し下げた。
・債券先物相場は反落。しばらくは前日終値を挟んで方向感がなかったが、引けにかけては週末を前に持ち高調整の売りに押された。
大阪9月限
日経225先物 39510 -130 (-0.32%)
TOPIX先物 2822.5 +8.0 (+0.28%)
日経225先物(9月限)は前日比130円安の3万9510円で取引を終了。寄り付きは3万9740円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万9705円)にサヤ寄せする形から買いが先行した。ロングが強まり、現物の寄り付き直後には3万9960円まで上げ幅を広げた。しかし、買い一巡後は急速に軟化し3万9550円まで売られ、前場中盤以降は3万9570円~3万9770円辺りで保ち合いを継続。後場終盤にかけてレンジを下抜けており、3万9490円まで売られる場面もあった。
日経225先物は寄り付き直後に一気に3万9960円まで買われ、ボリンジャーバンドの+1σ(3万9830円)を上回ったが、キープできずにロング解消の動きが強まった。前日夕に決算を発表したファーストリテイリング<9983.T>[東証P]が急落し、1社で日経平均株価を260円超下押す形になった影響が大きかった。
トランプ米大統領は、カナダからの輸入品の一部に8月1日から35%の関税を適用すると明らかにしたことで、日本にも強硬姿勢を示すとの見方が押し目狙いのロングを手控えさせたようだ。ただし、アドバンテスト<6857.T>[東証P]や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]などハイテク株の一角が買われたほか、東証プライムの7割超の銘柄が上昇しているため、地合いは悪くないだろう。
日経225先物は足もとで3万9500円~4万円のレンジで推移していたが、レンジ下限を割り込んできており、25日移動平均線が位置する3万9120円や節目の3万9000円を試す展開が意識されてきた。
ベッセント米財務長官は19日に、大阪・関西万博の米国ナショナルデーに合わせて日本を訪問する予定であり、そのタイミングで日米通商交渉が行われる可能性も考えられ、動向を見極めたいところである。さらに20日には参議院選挙の投開票が行われるため、押し目待ち狙いのロングは手控えられやすい。足もとでのレンジを割り込んだことにより、短期的にはショートが入りやすくなったとみられる。
NT倍率は先物中心限月で13.99倍に低下した。14.07倍で始まり、14.09倍をつけた後に大きく低下する形になった。支持線として機能していた200日線(14.04倍)を割り込み、一気に25日線(13.93倍)水準まで下げてきた。ただし、25日線が支持線として機能する形で下げ幅を縮めている。ファーストリテイリングの下げ止まりを見極めつつ、NTロングへの転換を待つことになりそうだ。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万7256枚、ソシエテジェネラル証券が1万1413枚、サスケハナ・ホンコンが3705枚、モルガンMUFG証券が2406枚、ゴールドマン証券が2113枚、JPモルガン証券が2049枚、バークレイズ証券が1785枚、SBI証券が1673枚、日産証券が1327枚、楽天証券が1235枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が2万6399枚、ソシエテジェネラル証券が2万0963枚、バークレイズ証券が8069枚、モルガンMUFG証券が6499枚、JPモルガン証券が5084枚、ゴールドマン証券が2720枚、ビーオブエー証券が2253枚、サスケハナ・ホンコンが1173枚、UBS証券が992枚、野村証券が981枚だった。
本日のニューヨーク為替市場では、米国発のイベントが少ないなか、カナダドル(CAD)の対ドルでの動向が他の通貨にも影響を与えそうだ。まずはカナダ雇用統計を確かめ、その後はトランプ大統領が明らかにしたカナダへの関税強化に対する株式市場の反応や、関連報道に注意しながらの取引となるだろう。
NY序盤に発表される6月カナダ雇用統計は新規雇用者数の変化はなし、失業率は前回から悪化し7.1%が予想されている。失業率が見込み通りであれば、2カ月連続の7%台であり、また2021年8月以来の高い水準でもある。トランプ米政権による関税圧力が、カナダ経済を不安定にさせているのは確かだろう。
来週前半には6月カナダ消費者物価指数(CPI)が発表されるため、カナダ中銀の次の一手はインフレ動向を見極めないといけない。しかしながら、もし想定以上に労働市場が悪かったとなれば、現状は据え置きがほぼ確実視される「30日のカナダ中銀会合」に対する見方が変わってくるのではないか。
カーニー・加政権は先月末、米大手テクノロジー企業を対象とするデジタルサービス課税を撤回。これにより、カナダと米国は再び貿易協議を進めることになった。21日が合意のめどとされていたが、その前にトランプ大統領は圧力をかけてきている。同大統領は自身のSNSで、カナダに対しての35%の関税を課すという、カーニー加首相宛の書簡を公表した。
しかしながら一部関係者の話によれば、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)基準に適合する製品については、関税の免除が継続される可能性が高いと言う。ただしこれもまた、トランプ米大統領の機嫌次第で変更されるかもしれない。
カナダ政府の統計によれば、カナダ輸出の対米依存度は昨年5月からの1年間で10%減少したもよう。カナダ企業はトランプリスクを避けるため、輸出先の多様化を図っているとされている。ただしそれでもカナダ経済が米国に頼るところは大きく、米加関係の悪化はカナダドルにとってネガティブ要因ということに変わりはない。
想定レンジ上限
・ドル/カナダドル、5月30日高値1.3830CAD
・ドル円、6月23日高値148.03円
想定レンジ下限
・ドル/カナダドル、7日安値(今週の安値)1.3590CAD
・ドル円、本日安値146.14円
SMBC日興証券では、世論調査から見た米国民の意識についてリポートしている。 トランプ大統領は中間選挙へ向けて米国民の支持獲得を目指す必要があるが、これまでのところ遂行してきた政策が評価を得ているとは言い難い。ただ、民主党が受け皿として機能していない点にSMBC日興では着目。無党派層にしてみれば、「共和党も嫌だけど、民主党はもっと嫌」という状況になっているとみている。一方で、トランプ大統領は強硬姿勢により、自身の支持層の期待に応えることには成功している。民主党への支持が高まらない状況で、無党派層を意識した積極的な支持層拡大に向けた動きはいまだ必要ないとの判断がトランプ大統領の傍若無人ともいえる強気を支えているとSMBC日興では考えている。
今晩は軟調か。
昨日はAIラリーが継続し、エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイセズなどの半導体株の上昇が続いた。新規失業保険申請件数が予想を下回り、労働市場の減速懸念が和らいだことや、デルタ航空が予想を上回る決算を発表、空運株やレジャー関連株が軒並み上昇したことで主要3指数がそろって上昇した。
ダウ平均が192.34ドル高(+0.43%)、S&P500が0.27%高と、ともに2日続伸した。ハイテク株主体のナスダック総合は0.09%高と小幅ながら3日続伸した。S&P500は4日ぶりに史上最高値を更新し、ナスダック総合は前日に続いて史上最高値を更新した。週初来ではダウ平均が0.40%安と4週ぶりの反落ペースとなったが、S&P500が0.02%高とわずかながら3週続伸ペースとなり、ナスダック総合は0.14%高と小幅に4週続伸ペースとなった。
引け後の動きでは、トランプ米大統領がカナダからの輸入品に対して35%の関税を8月1日から課すと発表した。
今晩の取引ではトランプ米大統領がカナダに対して35%関税を発表したことで、貿易摩擦問題が相場の重しとなりそうだ。前日にはブラジルに対して50%の関税を課すと発表しており、関税による物価上昇や景気悪化懸念が改めて意識されそうだ。投資家の不安心理を示すVIX指数が2月以来の15ポイント台に低下するなどセンチメントは良好であるものの、S&P500とナスダック総合の史上最高値更新が続いていることで高値警戒感も強まりそうだ。
今晩の米経済指標・イベントは6月財政収支など。主要な企業の決算発表はなし。
JPモルガンは最新リポートで、中国本土系不動産株の足元の株価上昇は投機主導の可能性があるものの、新たな政策支援に対する市場の期待が高まっていると指摘した。『AAストックス』が11日伝えた。
市場で来週「ハイレベル会議」が開催されるとの観測が広がり、本土不動産株は10日に約6%上昇した。JPモルガンは、こうした観測を裏付ける情報は確認されていないとし、仮に来週具体的な発表がなければ、利益確定売りが出る可能性があるとみている。
ただ、来週または7月末の中国共産党政治局会議で何の発表もなかったとしても、不動産販売量と価格の落ち込みが拡大するなか、向こう数カ月内に新政策の支援が打ち出されるとの期待は高まっていると指摘。これを踏まえ、同セクターへの戦略的な買い持ちは良好なリスク・リターンが見込めるとした。
日経平均株価は続落。10日移動平均線(39814円 7/11)や一目均衡表の転換線(39895円 同)が上値抵抗となり、3日連続の陰線を形成して終えた。
RSI(9日)は前日の35.5%→19.0%(7/11)まで低下。来週初は上昇しやすいタイミングとなる。引き続き見方は変わらず、4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇が続いている。一方、一目均衡表の転換線の下向きが続く可能性が高く、基準線(39196円 同)や25日移動平均線(39092円 同)付近まで調整幅が拡大する可能性も高い。ただ、その場合でも6/18高値(38885円)付近に向けた単なる揺り戻しが生じる意味合いとなる。
上値メドは、10日移動平均線や心理的節目の4万円、6/30高値(40852円)、昨年7/17安値(41054円)、心理的節目の42000円、昨年7/11安値(42102円)などがある。下値メドは、基準線や25日移動平均線、心理的節目の38500円、200日移動平均線(38095円 同)、6/13安値(37540円)などがある。
(11日終値:12日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=147.38円(11日15時時点比△0.52円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=172.34円(△0.84円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1693ドル(△0.0015ドル)
FTSE100種総合株価指数:8941.12(前営業日比▲34.54)
ドイツ株式指数(DAX):24255.31(▲201.50)
10年物英国債利回り:4.622%(△0.027%)
10年物独国債利回り:2.725%(△0.020%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月独卸売物価指数(WPI)
前月比 0.2% ▲0.3%
5月英国内総生産(GDP)
前月比 ▲0.1% ▲0.3%
5月英鉱工業生産
前月比 ▲0.9% ▲0.6%
前年比 ▲0.3% 0.3%・改
5月英製造業生産指数
前月比 ▲1.0% ▲0.7%・改
5月英商品貿易収支
216.88億ポンドの赤字 224.24億ポンドの赤字・改
5月英貿易収支
56.99億ポンドの赤字 65.02億ポンドの赤字・改
6月仏消費者物価指数(CPI)改定値
前月比 0.4% 0.3%
前年比 1.0% 0.9%
6月スイスSECO消費者信頼感指数
▲32.2 ▲36.5
5月トルコ経常収支
6.8億ドルの赤字 78.6億ドルの赤字
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は強含み。欧州勢の参入後もしばらくは147.00円を挟んだ水準でのもみ合いとなっていたが、NY時間に入ると上値を試す動きとなった。米10年債利回りが4.42%台まで上昇幅を拡大するなか、一時147.52円まで値を上げた。
・ユーロドルは小高い。シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事が「インフレが持続的に下振れするリスクはない」「追加利下げのハードルはとても高い」などの見解を示すと、ECBの利下げ局面が終わりに近づいているとの見方が改めて意識され、対ポンドを中心にユーロ買いが入った。22時30分過ぎには一時1.1714ドルまで本日高値を更新。ただ、その後は米長期金利の上昇に伴うドル買い圧力が強まったため、上値も重くなった。
なお、ポンドドルは一時1.3481ドルまで下押し。全般にドル買いが強まった流れに沿ったほか、この日発表された5月英国内総生産(GDP)が前月比0.1%減と予想に反してマイナス成長となり、英経済の景気減速懸念を手掛かりにした売りも出た。
・ユーロ円はしっかり。ユーロドルやドル円の上昇につれた買いが進み、一時172.42円と昨年7月以来の高値を更新した。
・ロンドン株式相場は4営業日ぶりに反落。米関税政策を巡る不透明感が意識されるなか、投資家がリスク回避姿勢を強めた。エネルギーや素材セクターが上昇した一方、ヘルスケアの下げが指数を押し下げた。
・フランクフルト株式相場は続落。トランプ米大統領が前日に欧州連合(EU)に対して新たな税率を11日までに通知する考えを示し、米関税政策を巡る不透明感が嫌気された。個別ではシーメンス・ヘルシニアーズ(3.70%安)やブレンターク(2.51%安)、ザルトリウス(2.43%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は下落。米債券安につれた。
(11日終値)
ドル・円相場:1ドル=147.43円(前営業日比△1.17円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=172.30円(△1.16円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1689ドル(▲0.0012ドル)
ダウ工業株30種平均:44371.51ドル(▲279.13ドル)
ナスダック総合株価指数:20585.53(▲45.13)
10年物米国債利回り:4.41%(△0.06%)
WTI原油先物8月限:1バレル=68.45ドル(△1.88ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3364.0ドル(△38.3ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月米財政収支
270億ドルの黒字 3160億ドルの赤字
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は3営業日ぶりに反発。NY勢の参入後は米長期金利の上昇とともに上値を試す動きとなった。23時過ぎには一時147.52円まで上昇。引けにかけても米10年債利回りが4.42%台まで上昇幅を拡大する中で底堅く推移した。
・ユーロドルは3日続落。シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事が「インフレが持続的に下振れするリスクはない」「追加利下げのハードルはとても高い」などの見解を示すと、ECBの利下げ局面が終わりに近づいているとの見方が改めて意識され、22時30分過ぎには一時1.1714ドルまで本日高値を更新した。ただ、米長期金利の上昇によるドル買い圧力が強まったことから買いは続かず、その後は上値が重くなった。
・ユーロ円は3営業日ぶりに反発。ドル円の上昇につれた円売り・ユーロ買いが進み、一時172.42円と昨年7月以来の高値を更新した。
また、カナダドル円もしっかり。全般に円売りが進んだ流れに沿ったほか、この日発表された6月カナダ雇用統計が強い結果となったことも材料視され、一時107.85円まで買いが入った。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落。米関税政策が世界景気を押し下げるとの懸念が再燃するなか、週末を前に利益確定目的の売りに押された。また、米長期金利が上昇したことで相対的な株式の割高感が意識された面もあった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も4営業日ぶりに反落した。
・米国債券相場で長期ゾーンは続落。トランプ米大統領がカナダへの35%関税を表明するなか、米関税が物価上昇につながるとの思惑が債券売りを促した。
・原油先物相場は反発。短期的な需給引き締まり観測や対ロシア制裁強化への警戒感で買いが優勢となった。国際エネルギー機関(IEA)が公表した月報では、夏の行楽シーズンを迎えた北半球で燃料需要が高まり、発電所での原油使用量も増えていると指摘した。また、トランプ米大統領が週明けの14日にロシアに関する「重大な声明」を発表するとし、ロシア制裁強化の思惑が高まっている。
・金先物相場は3日続伸。トランプ米大統領がカナダからの輸入品に35%の関税を課すとする書簡を公表するなど、関税による貿易摩擦の拡大が懸念され、投資家のリスク回避志向が逃避資産とされる金の買いを後押しした。
11日08:48 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「関税の影響は、驚くほど少ない」
「政府債務を安くするために利下げすべきだという議論は理解できない」
「連邦準備制度(FRB)の構造は贅沢なものではない」
「関税がインフレを押し上げているという証拠は多くない」
「関税による混乱や曖昧さが続いているため、FRBとしてはその解消が必要」
11日09:01 ルラ・ブラジル大統領
「BRICSはトランプ大統領が怒る理由にはならない」
「先進国に従属することにうんざりしている」
「トランプ大統領が米国とブラジルの強固な関係を妨げている」
「経済界のリーダーたちが政府と歩調を合わせることを望む」
11日09:57 米当局者
「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に対する製品の関税免除は維持する」
11日17:11 シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事
「追加利下げのハードルはとても高い」
「インフレが持続的に下振れするリスクはない」
「ユーロ高が価格に影響を及ぼすという懸念は誇張されている」
「更なる利下げには大幅なインフレ率の変動が必要」
「欧州中央銀行(ECB)はより柔軟になってきている」
※時間は日本時間
14日
○08:50 ◎ 5月機械受注
○13:30 ◇ 5月鉱工業生産確報
○13:30 ◇ 5月設備稼働率
○13:30 ◇ 5月第三次産業活動指数
17日
○08:50 ◎ 6月貿易統計(通関ベース)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
18日
○08:30 ☆ 6月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合)
○08:30 ☆ 6月全国CPI(生鮮食料品・エネルギー除く)
20日
○参院選、投開票
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
14日
○09:00 ◎ 4-6月期シンガポール国内総生産(GDP)速報値
○未定 ◎ 6月中国貿易収支
○15:30 ◇ 6月スイス生産者輸入価格
○16:30 ◎ ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○19:30 ◎ 6月インド消費者物価指数(CPI)
○21:30 ◇ 5月カナダ卸売売上高
○24:00 ◎ チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、議会証言
15日
○08:01 ◇ 6月英小売連合(BRC)小売売上高調査
○09:30 ◇ 7月豪ウエストパック消費者信頼感指数
○11:00 ☆ 4-6月期中国国内総生産(GDP)
○11:00 ◎ 6月中国鉱工業生産
○11:00 ◎ 6月中国小売売上高
○18:00 ◎ 7月独ZEW景況感指数
○18:00 ◎ 7月ユーロ圏ZEW景況感指数
○18:00 ◎ 5月ユーロ圏鉱工業生産
○21:30 ◇ 5月カナダ製造業出荷
○21:30 ◎ 6月カナダ消費者物価指数(CPI)
○21:30 ☆ 6月米CPI
☆ エネルギーと食品を除くコア指数
○21:30 ◎ 7月米ニューヨーク連銀製造業景気指数
○22:15 ◎ ボウマン米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○16日01:45 ◎ バーFRB理事、講演
○16日02:00 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○16日03:45 ◎ コリンズ米ボストン連銀総裁、講演
○16日05:00 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○トルコ(民主主義の日)、休場
16日
○08:45 ◎ ローガン米ダラス連銀総裁、講演
○15:00 ◎ 6月英消費者物価指数(CPI)
○15:00 ◎ CPIコア指数
◇ 小売物価指数(RPI)
○18:00 ◇ 5月ユーロ圏貿易収支
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○20:00 ◇ 5月南アフリカ小売売上高
○21:00 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○21:15 ◇ 6月カナダ住宅着工件数
○21:30 ◎ 6月米卸売物価指数(PPI)
◎ 食品とエネルギーを除くコア指数
○22:15 ◎ 6月米鉱工業生産
◇ 設備稼働率
○22:15 ◎ ハマック米クリーブランド連銀総裁、講演
○23:00 ◎ バー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○17日03:00 ◎ 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
○06:30 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○10:30 ◎ 6月豪雇用統計(失業率/新規雇用者数)
○15:00 ◎ 6月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○15:00 ◎ 3-5月英失業率(ILO方式)
○18:00 ☆ 6月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値
○18:00 ☆ 6月ユーロ圏HICPコア改定値
○21:30 ◇ 5月対カナダ証券投資
○21:30 ☆ 6月米小売売上高
○21:30 ◇ 6月米輸入物価指数
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数
○21:30 ◎ 7月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数
○23:00 ◇ 5月米企業在庫
○23:00 ◎ 7月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指
○23:00 ◎ クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○18日02:30 ◎ クックFRB理事、講演
○18日05:00 ◎ 5月対米証券投資動向
○主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(南アフリカ、18日まで)
18日
○07:30 ◎ ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○15:00 ◇ 6月独生産者物価指数(PPI)
○17:00 ◇ 5月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
○18:00 ◇ 5月ユーロ圏建設支出
○21:30 ◎ 6月米住宅着工件数
◎ 建設許可件数
○23:00 ◎ 7月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値)
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
◆豪ドル・NZドル、両中銀の利下げ停止で堅調
◆豪ドル、雇用統計に注目
◆ZAR、米関税は短期的に影響も中長期では脱米国姿勢鮮明に
予想レンジ
豪ドル円 94.50-99.00円
南ア・ランド円 8.10-8.50円
7月14日週の展望
豪ドルは堅調な動きとなりそうだ。今週7-8日に開催された豪準備銀行(RBA)理事会では、市場の25ベーシスポイントの利下げ予想に反し、政策金利を3.85%に据え置いたことが豪ドルの支えになりそうだ。RBAは今年に入り金融緩和へと舵を切ったが、「今後はインフレ率が持続的に2.5%に到達することを確認するのを待って判断を下す」とした。
来週は、RBA理事会の声明文で「労働市場は強く、依然としてタイト」との見解が示されたこともあり、17日に発表される6月の雇用統計で確認することになる。5月は新規雇用者数が減少したが、RBAの見解通りに雇用者数の下振れは先月だけの一過性のものであれば、来月も政策金利は据え置きの可能性が高まる。一方で、6月も前月同様に新規雇用、中でも常勤雇用者数が伸び悩んだ場合は8月11-12日の理事会では利下げ予想が高まるだろう。なお、その他の経済指標では、15日に7月ウエストパック消費者信頼感が発表予定。
ニュージーランド(NZ)ドルも同様に底堅い展開を予想している。9日にNZ準備銀行(RBNZ)が金融政策を公表し、政策金利を据え置いた。声明文では、「年間消費者物価上昇率(CPI)は、2025年半ばにかけて金融政策委員会(MPC)の目標バンド(1-3%)の上限に向かって上昇する可能性が高い」との見解が示された。昨年8月から6会合連続で利下げし、政策金利を5.50%から3.25%まで引き下げたが、「中立金利にも近い水準」とホークスビーRBNZ総裁が言及したように、利下げの停止が豪ドル同様にNZドルを支えそうだ。
南アフリカ・ランド(ZAR)も堅調予想。今週は南アがトランプ米政権による8月1日からの30%の関税賦課対象国に選ばれたことで、一時ZARが弱含む場面があった。ただ、既にこれまでに南アと米国の関係はこれ以上ないほど悪化しており、関税賦課はサプライズではない。南アは小規模な新興市場経済国であるため、先進国で消費者主導型の経済である米国への輸出量が輸入量よりはるかに多いことは当然。貿易不均衡を解消する術は限られる。短期的には米国による高関税賦課の影響を受けるだろうが、ラマポーザ南ア大統領も国内輸出業者に対し、輸出先の多様化への取り組みを加速させるように促しており、脱米国が進めば影響は徐々に弱まるだろう。なお、南アはBRICS加盟国だけでなく、すでに中国からアフリカ諸国は無税の輸出が確約されている。来週の経済指標は16日に5月小売売上高が発表される程度で、市場は引き続きトランプ米政権の動向に左右されそうだ。
7月7日週の回顧
豪ドルは堅調。対円ではドル円の上昇に連れて2月以来となる96円前半まで上昇。また、利下げ予想だったRBAが政策金利を据え置いたことや、堅調な株式市場が豪ドルを支えた。ZARも底堅かった。トランプ米大統領がBRICSに同調する国に対して関税の上乗せを示唆したことで売られる場面もあったが、売り圧力も限定的でリスク選好の動きが下値を支えた。
◆ポンド、6月インフレ指標や3-5月雇用データに注目
◆ポンド、英財政不安は依然としてポンドの重しに
◆加ドル、6月CPIを材料視
予想レンジ
ポンド円 196.00-201.00円
加ドル円 106.50-108.50円
7月14日週の展望
英財政悪化への懸念が残るなか、ポンドは週半ば以降の経済指標に注目が集まる。16日に6月インフレ指標、17日には3-5月雇用データが発表予定。
前回5月の消費者物価指数(CPI)は、前年比3.4%と予想や4月分から大きく外れなかったものの、コア指数は3.5%と前月から0.3%減速した。また、英中銀が重視するサービス価格インフレ率は5%割れまで鈍化した。雇用データも2-4月失業率は悪化し、平均賃金も減速。6月の英中銀会合ではハト派的ながらも金利据え置きだったが、「次回8月会合では0.25%利下げ」との予測が優勢だ。しかし、CPIの結果次第ではその思惑が揺らぎ、ポンド相場が神経質に上下することは留意しておきたい。
また、英国の予算責任局(OBR)が公表した「財政リスクと持続可能性に関する報告書」では、1960年代以降で最高水準に達する公的債務の更なる急増リスクが警告された。経済停滞や高金利が財政問題の解決を遅らせ、また医療・年金支出の拡大、気候変動/地政学的リスクの高まりによる負担増も指摘された。財政健全化に待ったなしの状況でスターマー首相の指導力が問われる。
ところで、英国と米国は5月に貿易協定を締結したが、今後、英国が協定条件(特に中国資本の関与制限)を履行しなければ、米国は鉄鋼・アルミ関税を50%に引き上げる可能性があると警告している。米英貿易協定に関する動向にも注意しておく必要があるだろう。
加ドルは、15日の6月CPIが材料視されそう。5月分は前年比1.7%と市場予想に沿った結果。2カ月連続でカナダ中銀のインフレ目標2%を下回った。トランプ関税で物価上昇への懸念は残るが、4月からの炭素税撤廃によるガソリン価格下落でインフレ全体が抑制されている。今月30日の中銀会合については、据え置き見込みが優勢。ただ、今のところ「年末までに2回の利下げ予測」が多数派ではある。いずれにせよ、今回のCPIで先行きの金利見通しに変化がでれば、加ドルも値幅を伴った動きを見せるだろう。
なお、21日までの合意を目指すカナダと米国の通商交渉は継続中であり、カナダにとって最大の貿易相手国との関係に先行き不透明感は残ったまま。カナダ企業は米国への依存度を減らすため、貿易相手国の多様化に取り組んでいるもよう。カナダ政府の統計によれば、昨年5月からの1年間で米国への輸出は10%減少し、総輸出に占める割合も7割弱まで低下した。来週は21日が近づくにつれ、トランプ米大統領のカナダに対する強引な発言などには警戒だろう。
7月7日週の回顧
円安が先行するなか、ポンドは対円で196円後半を底に昨年7月以来の水準となる199円後半まで上昇した。ただ1年ぶりの200円台を前にして失速。一時198円前半まで水準を落とした。加ドル円も106円割れで下げ渋ると、約5カ月ぶりの高値となる107円半ばまで上昇した。一巡後の下押しは106円半ばまでにとどまっている。
ポンドドルは1.36ドル台から1.35ドル前半まで下落。加ドルは対ドルで一時1.37加ドル台まで売られる場面もあった。
◆ドル円、関税交渉延期で日米金融政策の現状維持観測高まる
◆参院選での政権与党惨敗を想定した減税観測台頭
◆ユーロドル、節目の1.2000ドルを意識も米EU関税交渉進展では振幅も
予想レンジ
ドル円 145.00-149.50円
ユーロドル 1.1500-1.1950ドル
7月14日週の展望
ドル円は、日米両中銀の政策据え置き観測、参院選での政権与党惨敗を想定した政権交代実現への思惑から下値の堅い動きとなりそうだ。
29-30日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、30-31日に日銀金融政策決定会合が予定されているが、トランプ米大統領が各国との関税交渉期限を8月1日に延長し、両中銀が関税交渉期限前に金融政策を変更しづらくなったとの思惑が広がっている。そのため、日銀の利上げやFOMCの利下げ観測がともに後退したことで円売り・ドル買いが出やすい地合いとも言えるだろう。
来週は15日に6月消費者物価指数(CPI)、16日に6月卸売物価指数(PPI)や6月鉱工業生産、17日に6月小売売上高や7月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、18日に7月ミシガン大消費者態度指数速報値など重要指標が数多く発表される。米早期利下げ観測が後退するなか、特にCPIに対しては予想より上振れた場合、ドル買いの反応が強くなるだろう。
また、20日投開票を迎える参議院選挙については、政権与党惨敗というのは想定済であるうえで自公が過半数の50議席を維持できるかどうかが焦点となりそうだ。仮に過半数を割り込んだ場合には石破首相が辞任する可能性があるほか、野党が強く推進する減税が現実味を帯びるだろう。減税による株価上昇への思惑から週末にかけては仕掛け的な円売りが強まるリスクには十分警戒したい。
ユーロドルは、神経質な展開が想定される。デギンドス欧州中央銀行(ECB)総裁が「1.2000ドルを超えてくれば政策対応が難しくなる可能性」と発言した1日を最後に、ユーロドルの上値が重くなっていることを鑑みると、今後、この水準は相当意識されるだろう。また、EUと米国との関税を巡る交渉が大詰めとなっており、進展の状況次第では上下に振らされそうだ。なお、来週は18日に7月ZEW景況感指数、17日に6月消費者物価指数(HICP)改定値の発表が予定されている。
7月7日週の回顧
ドル円は、週明けこそ144.23円まで下げたが、米長期金利の上昇を背景に一巡後は一転して買い戻しが優勢に。日銀の利上げ及びFOMCの利下げ観測がともに後退したことも買いにつながり、週半ばには一時147.18円まで買い上げられた。もっとも、その後は持ち高調整の売りなどに押される形で145.76円まで下げる場面がみられている。
ユーロドルはやや上値が重い。米長期金利の上昇に伴う売りが強まり、週後半には一時1.1663ドルまで値を下げた。ただ、米国との通商交渉の進展期待が高まっているだけに下値も限られた。
11日の日経平均は続落し、終値は76円安の39569円。かなり強く始まったが、動きが良かったのは最初だけであった。ファーストリテイリングが足を引っ張った格好にはなっているが、終盤にかけては下を試しにいっており、4万円台回復のハードルの高さがうかがえる。来週は参院選の投開票前かつ三連休を控えており、上値追いには一段と慎重になると思われる。
今週、週間ではグロース250指数が5.3%高とパフォーマンスが良好であった。6月後半から先週辺りまではさえない動きであったが、強い切り返しを見せている。上述のように日経平均は上値が重くなる可能性があるだけに、新興銘柄の上値が軽くなる展開に期待したい。
【来週の見通し】
方向感に欠ける展開か。日曜20日が参議院選挙の投開票日。翌週月曜21日は海の日により休場で、東京市場は三連休を控えるスケジュールとなる。万博イベントへの出席が目的とのことだがベッセント米財務長官が19日に訪日することも伝わっており、高くなればリスク回避や利益確定を目的とした売りは出やすい。一方、参院選や三連休を過度に警戒して大きく下げるようなら、連休明けの反転を期待した押し目買いが入るだろう。強気にも弱気にも傾きづらく、値幅が出ればそれが修正されて週間では水準が大きく変化しないと予想する。
【今週を振り返る】
軟調となった。週明け7日の日経平均は、関税交渉への不透明感やETF分配金ねん出売りへの警戒感などから200円を超える下落。8日はトランプ大統領が日本からの輸入品に25%の関税を課すと表明したことを受けて下げて始まったものの、切り返してプラスで終えた。9日は不安定な動きとなったものの、円安を追い風に連日の3桁上昇。一方、10日は米国株の上昇を受けても3桁の下落となり、11日は大幅高スタートから急失速して下落で終えた。8日と10日がETFの分配金ねん出目的の売り需要発生日であったほか、11日がSQ日で、需給に関する思惑が入り交じる日が多い週でもあった。日経平均は週間では約241円の下落となり、週足では2週連続で陰線を形成した。
【来週の予定】
国内では、5月機械受注、5月第3次産業活動指数(7/14)、 6月訪日外客数(7/16)、6月貿易統計、6月首都圏新築マンション発売(7/17)、6月全国消費者物価指数(CPI)(7/18)、参議院議員選挙投開票日(7/20)などがある。
「日本人へ。自分の国くらい自分で守れ」
ps://i.imgur.com/H4EfTq6.jpeg
ps://i.imgur.com/3x37CZp.jpeg
ps://i.imgur.com/Dk8Cc9q.png
今週の日経225先物は、関税交渉を巡るトランプ米大統領の強硬姿勢により、ポジションを傾けにくい需給状況が続きそうである。先週は米政権が8月1日以降に日本からの輸入品に25%の関税を課すと発表し、当初の期限であった7月9日から延長した。トランプ大統領が30%か35%の関税を課す可能性に言及していたこともあり、想定内との見方から7月9日には一時4万0050円(ナイトセッションを含む)をつける場面もあった。ただし、4万円突破からの一段高を想定したロングの動きは強まらず、3万9500円~4万円でのレンジ推移が続いた。
先週末にトランプ大統領は、カナダに35%の関税を課すと表明した。さらに、米時間12日にはEU(欧州連合)とメキシコからの輸入品に、8月1日から30%の関税を課すと自身のSNSに投稿した。EU委員長は、交渉継続の意向を示しつつも、状況次第では対抗措置も辞さないとしている。一方、国内ではベッセント米財務長官が19日、大阪・関西万博で予定されている米国のナショナルデーに参加するため来日する。赤沢亮経済再生相と会談を行う方向で調整しているため、日米通商協議が行われるかを見極めたいところである。
さらに、20日には参議院選挙の投開票が行われる。序盤の情勢では、自民・公明の与党が過半数を維持できるか微妙と報じられている。参院選を巡る不透明感もポジションを傾けにくくさせよう。
また、先週は決算を発表したファーストリテイリング<9983.T>[東証P]の急落が日経平均型の重荷になった。米国でも決算シーズンに入り、今週はシティグループ<C>、JPモルガン・チェース<JPM>、ウェルズ・ファーゴ<WFC>、バンク・オブ・アメリカ<BAC>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、モルガン・スタンレー<MS>など、金融企業の決算発表が予定されている。国内で指数インパクトがありそうなのは17日のディスコ<6146.T>[東証P]になるが、9日に第1四半期業績予想の上方修正を発表しており、影響は限られそうだ。
そのほか、経済指標では米国で15日に6月の消費者物価指数(CPI)、16日に6月の生産者物価指数(PPI)の発表が予定されており、米国市場の動向に振らされやすいところである。
そのため、まずは中心値の25日線と+1σ水準となる、オプション権利行使価格の3万9125円から3万9875円のレンジを想定する。ファーストリテイリングのリバウンドは期待しづらいところだが、下げ止まりをみせてくると3万9500円から3万9875円辺りでのレンジ内での推移が期待される。関税交渉を巡る不透明感は根強いが、日米通商協議開催の可能性と参議院選挙の投開票を前に、いったんはショートポジションをニュートラルに戻すリバランスも意識されやすい。
11日の米VIX指数は16.40(10日は15.78)に上昇した。週間(4日は17.48)では低下している。先週は7日に18.50まで上昇する場面があり、下向きで推移し抵抗線として機能している25日線(7日:18.12)を上回ったが、その後は低下基調が強まり、10日には15.70まで下げていた。2月半ば以来の16.00割れとなるなかで、リスク選好に向かわせやすい状況が続いている。
先週のNT倍率は先物中心限月で13.99倍(10日は14.07倍)に低下した。週間(4日は14.07倍)でも下げている。支持線として機能していた200日線(14.04倍)水準で底堅さがみられていたが、ファーストリテイリング急落の影響により一気に25日線(13.93倍)水準まで下げる場面もみられた。ただし、25日線が支持線として機能する可能性が意識されやすく、今週は200日線辺りを狙ったNTショートを巻き戻す動きとなりそうだ。
7月第1週(6月30日-7月4日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では12週連続の買い越しであり、買い越し額は2782億円(6月第4週は3683億円の買い越し)だった。なお、現物は5775億円の買い越し(同3398億円の買い越し)と14週連続の買い越し。先物は2992億円の売り越し(同285億円の買い越し)と6週ぶりの売り越しだった。個人は現物と先物の合算で436億円の売り越しと4週連続の売り越し。信託銀行は現物と先物の合算で1334億円の売り越しとなり、2週ぶりの売り越しだった。
主要スケジュールでは、14日に5月機械受注、中国6月貿易収支、15日に中国4-6月期GDP、中国6月鉱工業生産、中国6月小売売上高、米国6月消費者物価指数、16日に米国6月生産者物価指数、米国6月鉱工業生産、17日に6月貿易収支、米国6月小売売上高、米国6月輸出入物価指数、G20財務相・中央銀行総裁会議(南アフリカ、~18日)、18日に6月全国消費者物価指数、米国6月住宅着工件数などが予定されている。
トランプ大統領は自身のSNSで欧州連合(EU)とメキシコからの輸入品に対し8月1日から30%の関税を課すと発表した。EUには貿易赤字是正を理由に、メキシコには合成麻薬フェンタニル流入対策が不十分だとして課税を強化。米大統領は各国が市場開放や障壁撤廃に応じれば関税引き下げも検討すると表明している。
欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は13日、米関税強化に対する報復措置について、14日までとなっている停止期間を8月上旬に延長する意向を表明した。
次期米連邦準備理事会(FRB)議長候補の一人とされているウォーシュ氏は13日、FOXニュースのインタビューに応え、「FRBは今すぐ利下げすべきだ」「FRB本部改修について非常識だ」「FRBには体制転換が必要だ」と発言した。
<国内>
○08:50 ◎ 5月機械受注(予想:船舶・電力除く民需 前月比▲1.5%/前年比3.4%)
○13:30 ◇ 5月鉱工業生産確報
○13:30 ◇ 5月設備稼働率
○13:30 ◇ 5月第三次産業活動指数(予想:前月比0.1%)
<海外>
○09:00 ◎ 4-6月期シンガポール国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比0.6%)
○未定 ◎ 6月中国貿易収支(予想:1090.0億ドルの黒字)
○15:30 ◇ 6月スイス生産者輸入価格
○16:30 ◎ ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○19:30 ◎ 6月インド消費者物価指数(CPI、予想:前年比2.50%)
○21:30 ◇ 5月カナダ卸売売上高
○24:00 ◎ チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、議会証言
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
先週末のニューヨーク外国為替市場でドル円は米長期金利の上昇に伴い一時147.52円と6月23日以来の高値を更新し、ユーロ円は172.42円まで連れ高と昨年7月以来の高値を塗り替えた。ユーロドルはシュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事がECBの利下げ局面が終わりに近づいているとの見方を示したことが意識され1.1714ドルまで買われる場面があったが、米長期金利の上昇によるドル高圧力が強まったことから買いは続かず1.16ドル後半で上値の重い動きとなった。
本日、日米で為替の動意につながりそうな指標発表やイベントは予定されていない。先週の流れを引き継ぎ、本日の東京タイムではドル高・円安の圧力を受けやすい。足もとでは米早期利下げ思惑が後退し、関税の懸念で日銀による追加利上げ期待は高まらず、ドル円の下方向への警戒感は和らいでいる。
トランプ米政権は貿易相手国に新たな関税率を通告しているが、米国売りは観測されず、先週は高関税賦課を示唆した国の通貨が売られる展開となった。日本にも25%の関税率を賦課するとしており、足もとでは円高に傾きにくい。関税の引き上げが日銀の利上げに影響し、日本の貿易赤字も拡大するとの観測が高まることで、関税の警戒感が円売りにつながりやすくなっている。
また、20日投開票の参院選は、与党が参院での過半数を維持できるかが焦点となっている。今回争われる議席の過半数は63議席で、与党側は50議席を確保すれば全体の過半数を維持することになるが、50議席を割り込めば政策運営が厳しくなり、財政拡張的な野党の意向が取り込まれることで国債利回りに上昇圧力が加わる可能性が高い。日銀としては、利回りの上昇に拍車をかけることになる利上げが難しくなるため、利上げ観測の後退が円安を促す可能性がある。
なお、米国が各国に通告している新たな関税率は適用が8月1日とされた。「相互関税」の上乗せ一時停止期限の7月9日が交渉期限と目されていたものが、1カ月弱延長されたと楽観的に受け止めている面がある。しかしながら、今後高関税賦課を通告した各国との交渉が難航し、相手国も米国への報復措置を強める姿勢を示せば、米政権の関税方針による米経済の失速懸念が高まり「米国売り」が再燃する可能性は残される。今後も関税関連のヘッドラインに注目する相場が続きそうだ。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 39500 -10 (-0.02%)
TOPIX先物 2820.5 -2.0 (-0.07%)
シカゴ日経平均先物 39505 -5
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
11日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落。トランプ米大統領は10日、カナダからの輸入品に対して35%の関税を8月1日から課すと自身のSNSに投稿した。景気や物価への影響が改めて警戒されたほか、米長期金利が4.4%台前半と前日終値(4.35%)から水準を切り上げたことが重荷になった。また、来週には大手銀行を皮切りに主要企業による決算発表が本格化することで、業績内容を見極めたいとするムードも、買い手控えにつながった。
S&P500業種別指数は、自動車・同部品、小売、エネルギーが上昇した一方で、耐久消費財・アパレル、電気通信サービス、各種金融の弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、シェブロン<CVX>、マクドナルド<MCD>、エヌビディア<NVDA>が買われた。半面、ナイキ<NKE>、セールスフォース<CRM>、ビザ<V>、アメリカン・エキスプレス<AXP>、アムジェン<AMGN>が軟調。
シカゴ日経平均先物清算値は大阪比5円安の3万9505円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比130円安の3万9380円で始まった。3万9270円まで売られた後は下げ幅を縮め、米国市場の取引開始直後にプラス圏を回復。終盤にかけて3万9560円まで買われる場面もみられたが引け間際に軟化し、3万9500円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや売り先行で始まりそうだ。トランプ大統領は12日、EU(欧州連合)とメキシコからの輸入品に8月1日から30%の関税を課すと自身のSNSに投稿した。EU委員長は、交渉継続の意向を示しつつも、状況次第では対抗措置も辞さないとしており、神経質な相場展開になりそうだ。
ただし、国内ではベッセント米財務長官が19日、大阪・関西万博で予定されている米国のナショナルデーに参加するため来日する。赤沢亮経済再生相と会談を行う方向で調整しているため、日米通商協議が行われるかを見極めたいところである。さらに、20日には参議院選挙の投開票が行われるため、ポジションを傾けてくる動きは限られよう。
日経225先物はボリンジャーバンドの+1σ(3万9860円)を下抜け、ナイトセッションでは中心値である25日移動平均線(3万9130円)に接近してきた。終値では3万9500円を回復しているが、同水準で戻りの鈍さが意識されてくると短期的にショートを誘う形となり、25日線を試してくる可能性がありそうだ。
ただし、3万9500円辺りでの底堅さがみられる局面では、+1σとのレンジが意識されやすいだろう。週末の政治イベントを控えスキャルピング中心のトレードになるとみられ、25日線に接近する局面では、その後のショートカバー狙いのロング対応に向かわせよう。そのため、オプション権利行使価格の3万9500円を中心に3万9125円から3万9875円のレンジを想定する。
11日の米VIX指数は16.40(10日は15.78)に上昇した。10日には15.70まで下げており、2月半ば以来の16.00割れとなるなかで、自律反発の範囲である。25日線(17.90)を明確に割り込んでいるため、リスク選好に向かわせやすい状況であろう。
先週のNT倍率は先物中心限月で13.99倍(10日は14.08倍)に低下した。支持線として機能していた200日線(14.04倍)水準で底堅さがみられていたが、ファーストリテイリング<9983.T>急落の影響により一気に25日線(13.93倍)水準まで下げる場面もみられた。25日線が支持線として機能する可能性が意識されやすく、ファーストリテイリングの下げが落ち着けば、200日線辺りを狙ったNTショートを巻き戻す動きに向かわせそうだ。
東京市場は軟調か。先週末の米国株は下落。ダウ平均は279ドル安の44371ドルで取引を終えた。トランプ大統領がカナダからの輸入品に対して35%の関税を8月1日から課すと発表したことが嫌気された。関税が米国の物価上昇につながるとの見方から米10年債利回りは上昇しており、ドル円は足元147円30銭近辺とドル高(円安)に振れている。CME225先物は円建てが5円安の39505円、ドル建てが50円高の39560円で取引を終えた。
トランプ大統領は12日に、EUとメキシコに30%の関税を課すとも表明している。関税リスクがクロースアップされる中、日本株は売りに押されると予想する。円安は一定程度日本株を下支えすると期待できる。ただ、その恩恵が見込まれる外需は手がけづらい。大きく下げるようなら押し目は拾われるとみるが、上値は重いだろう。日経平均の予想レンジは39300-39650円。
南アフリカのラマポーザ大統領は、警察相センゾ・ムチュヌ氏を犯罪組織との関与疑惑で即時休職とした。クワズール・ナタール州の警察トップは、ムチュヌ氏が犯罪組織と共謀し重要捜査に介入したと告発。ムチュヌ氏は疑惑を否定し、法の支配を守る姿勢を強調している。
ラマポーザ大統領は信頼回復のため、司法調査委員会の設置とフィロズ・カチャリア法学者の警察相代行任命を発表。事件は政権与党ANC内の権力争いにも影響し、連立与党や野党からも議会調査を求める声が上がっている。
日経225先物は11時30分時点、前日比60円安の3万9450円(-0.15%)前後で推移。寄り付きは3万9360円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万9505円)を下回り、売りが先行して始まった。現物の寄り付き直後に3万9480円をつけた後は下へのバイアスが強まり、中盤にかけて3万9290円まで売られる場面もみられた。売り一巡後は終盤にかけてショートカバーとみられる動きにより、朝方につけた高値水準を回復している。
日経225先物はトランプ関税に対する警戒からショートが先行し、ナイトセッションでつけた安値(3万9270円)水準に接近した。ただし、その後は下げ幅を縮めており、25日移動平均線(3万9130円)接近ではカバーの動きが入りやすいようだ。ただし、3万9500円接近では戻り待ち狙いのショートが意識されやすく、オプション権利行使価格の3万9250円から3万9500円辺りでの狭いレンジでの推移が続きそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.97倍に低下した。ファーストリテイリング<9983.T>[東証P]は下げ止まりをみせているが、東京エレクトロン<8035.T>[東証P]、ソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]が日経平均型の重荷になっている。ただし、上向きで推移する25日線(13.95倍)が支持線として機能しており、リバランスの動きをみせてくるかが注目される。
先週末のドル円は、欧州時間に一時146.72円まで下押す場面もみられましたが、その後は米長期金利の上昇につれて下値を切り上げる展開に。NY時間に入ってアジア時間に面合わせして上抜け出来なかった9日の高値147.18円を上抜けると一時147.52円まで値を上げました。引けにかけては147.40円を挟んだ高値圏でのもみ合いとなって週末の取引を終えています。そして、週明けのアジア市場。オセアニア市場で一時147.15円まで下押ししたものの、その後は買戻しが強まると、先週末高値を上抜けて一時147.57円まで上昇。日経平均が弱含んだことから146.86円まで値を下げる場面もみられましたが、株価が下げ幅を縮めたほか、本邦実需の買いも観測されると147.35円まで買戻されているといったところです。
週末には、トランプ米大統領がEUとメキシコに30%の相互関税を賦課するレターを送付。市場では一旦はユーロ円の売りや株価の下落など、リスクオフ的な動きとなったわけですが、先週末にもお伝えした通り、市場は既にトランプ米大統領の発言に対しては「まともに付き合ってはいられない」との認識が強いわけで、対米貿易赤字のブラジルに対して50%の関税を賦課した時点で、相互関税に対する整合性は完全に崩れているのは明らか。個人的な感情論やその場しのぎの脅迫めいた発言に対しては、もはや、市場自身がある意味、嫌悪感からの拒否反応の方が大きくなっているといったところ。
週明けからランチタイムにいたるまでのユーロドルやドル円、または、日経平均の動きがそれを物語っているといえます。ドル円は、先週末公表された8日時点での投機筋の円ロングポジションがようやく11183枚減少と、1万枚台に乗ってきたこともあり、ポジション調整が始まっていることが確認されていますが、ただ、まだまだ始まったばかりのかかる動きに加速感はなく、更なる踏み上げ相場をみるまで、その方向性に変化はなさそうです。
本日のロンドン為替市場では、トランプ関税に関連した報道に注目しながらの取引か。重要な経済指標の発表はなく、金融当局者の講演もブイチッチ・クロアチア中銀総裁が予定されている程度。
トランプ大統領は12日、自身のSNSで欧州連合(EU)からの輸入品に対し8月1日から30%の関税を課す書簡を発表した。これに対しフォンデアライエン欧州委員長は、「交渉による解決を目指す」との見解を改めて表明。EU側は、15日に発動予定だった米国への報復措置(鉄鋼・アルミへの関税強化に対抗したもの)を8月上旬まで延長した。この猶予期間を話し合いにあてるとしている。
トランプ米大統領が関税強化の書簡をばら撒いているのは、依然として市場のリスク要因。一方で上乗せ関税の発動時期が後ずれしたことや、合意を目指した貿易協議の継続は過度な警戒感を後退させている。今後もトランプ氏の強気な姿勢は続くのだろうが、一方で米政権の高官からはEUとの落しどころを探るような発言も出てくるのではないか。いずれにせよ、米国とEUの歩み寄りの度合いを測りながら、ユーロドルは上下することになりそうだ。
ところで、米国の商品先物取引委員会(CFTC)が発表した8日時点における投機筋の先物ポジション状況では、ユーロのネットロングが12万枚超まで拡大。これは2023年12月以来の高い水準ではあるものの、当時は15万枚を上回る水準までロングを増やしていた。水準も相場を巡る状況も違うため一概に比較はできないが、ポジションは偏ってはいるものの、投機筋が買い増す余地はまだあるのかもしれない。
想定レンジ上限
・ユーロドル、10日高値1.1750ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、日足一目均衡表・基準線1.1601ドル
「米国の関税収入は年末までに3000億ドルを優に超す可能性がある」
(ベッセント米財務長官)
1. 2025会計年度(24年10月-25年9月)財政赤字:1兆3373.72億ドル
米財務省は、2025会計年度(24年10月~25年9月)の6月の財政収支が、270.10億ドルの黒字だったと発表した。2024年6月は709.65億ドルの赤字だったことで、赤字幅は979.75億ドル減少した。歳出は政府債務の利払い費用が減少したことで4994.35億ドル(▲7%)、歳入は関税収入が272億ドルと過去最高を記録したことで5264.45億ドル(+12.9%)だった。
2025会計年度(24年10月-25年9月)累計の財政赤字は、前年同期比5%増の1兆3373.72億ドル、歳入は4兆0081.46億ドル(+7%)、歳出は5兆3455.18億ドル(+6%)となり、過去最高を記録した。
国債利回りの上昇を受けて、政府のコスト負担が大きく膨らんでおり、6月は1446.25億ドル(※2025会計年度=9209.65億ドル)だった。
米国債残高の金利は平均で約3.36%となっているが、2025年の借り換え債は9.2兆ドル、今後3年間で発行されている国債の50%が満期を迎えるため、現状の米中長期債利回りの高止まりが続いた場合、利払い額は、2倍の2兆ドルに達することが警戒されている。
ベッセント米財務長官は、米中長期債利回りの抑制を最重要課題に掲げている。
【財政赤字と対GDP比】
・2020会計年度:3兆1319億ドル(対GDP比15.0%)※過去最大
・2021会計年度:2兆7721.79億ドル(対GDP比12.4%)※過去2番目
・2022会計年度:1兆3754.81億ドル
・2023会計年度:1兆6952.40億ドル(対GDP比6.2%)
・2024会計年度:1兆8328.16億ドル(対GDP比6.4%)利払い=GDP比3.06%
2.2025年6月末債務残高:36兆2114億ドル(※米国債発行:28兆5825億ドル)
米国の2025年6月末時点での債務残高は36.2114兆ドルで、2025年第1四半期国内総生産(GDP) 29.962兆ドルの約121%となっている。
純関税歳入は、1月が79億ドル、2月は77億ドル、3月は87億ドル、4月は163億ドル、5月は228億ドルで、6月は272億ドル、2025会計年度では、グロスベースでは1130億ドル、ネットベースでは1080億ドルとなった。
議会予算局(CBO)は、包括的な税制・歳出法案は、向こう10年間で約3.3兆ドルの財政赤字拡大につながる、と警鐘を鳴らした。
超党派の非政府組織(NGO)「責任ある連邦予算委員会(CRFB)」は、34年度までに米債務を少なくとも3.3兆ドル増加させ、年間財政赤字をGDP比7%超に押し上げるとの推計を発表した。
大阪9月限
日経225先物 39410 -100 (-0.25%)
TOPIX先物 2823.0 +0.5 (+0.01%)
日経225先物(9月限)は前日比100円安の3万9410円で取引を終了。寄り付きは3万9360円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万9505円)を下回り、売りが先行して始まった。現物の寄り付き直後に3万9480円をつけた後は下へのバイアスが強まり、前場中盤にかけて3万9290円まで売られる場面もみられた。売り一巡後は前場終盤にかけてショートカバーとみられる動きにより、朝方につけた高値水準を回復。
ランチタイムでは3万9420円~3万9470円辺りでの保ち合いが続き、後場の取引開始後にレンジを上抜け、中盤にかけて3万9610円まで買われる場面もあった。ただし、終盤にかけて再び軟化し、引けは3万9410円まで下げる形だった。結局は25日線と+1σとのレンジ内での推移でトレンドレスの展開である。
日経225先物はトランプ関税に対する警戒からショートが先行し、ナイトセッションでつけた安値(3万9270円)水準に接近した。ただし、その後は下げ幅を縮めており、25日移動平均線(3万9130円)接近ではカバーの動きが入りやすいようだ。
為替市場では円相場が1ドル=147円台前半と円安に振れて推移するなかで、後場中盤には3万9610円まで買われた。前場はオプション権利行使価格の3万9250円から3万9500円辺りの狭いレンジでの推移が続き、後場はレンジを上抜ける形となったが、ボリンジャーバンドの+1σ(3万9850円)を捉えることができなかった。
なお、日経225先物は一目均衡表では雲を上回っての推移を継続している。足もとでは基準線(3万9170円)が支持線として機能する一方で、転換線(3万9690円)に上値を抑えられる形状を続けている。転換線と基準線とのレンジを続けるなか、これらをブレイクしてくるようだと、短期的にトレンドが出やすくなりそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.96倍に低下した。先週末に急落したファーストリテイリング<9983.T>[東証P]は下げ止まりをみせていたが、ソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]と東京エレクトロン<8035.T>[東証P]が日経平均型の重荷になっている。ただし、上向きで推移する25日線(13.95倍)が支持線として機能しており、同線が意識されてくるようだと、リバランスの動きから200日線(14.03倍)辺りを捉える可能性もあるだろう。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万2710枚、ソシエテジェネラル証券が8581枚、サスケハナ・ホンコンが2745枚、JPモルガン証券が1909枚、バークレイズ証券が1228枚、ゴールドマン証券が1148枚、SBI証券が1063枚、日産証券が980枚、モルガンMUFG証券が890枚、野村証券が518枚だった。
TOPIX先物はソシエテジェネラル証券が1万4859枚、ABNクリアリン証券が1万3586枚、バークレイズ証券が5646枚、JPモルガン証券が4337枚、モルガンMUFG証券が2302枚、野村証券が2014枚、ゴールドマン証券が1665枚、ビーオブエー証券が1028枚、シティグループ証券が912枚、UBS証券が757枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、米国株式・債券市場の動向を注視しながら、トランプ米大統領のロシアに関する重大発表に注目することになる。
トランプ米大統領が欧州連合(EU)に対する相互関税率を4月の20%から30%に引き上げたことで、通商交渉の猶予期限とされる8月1日に向けて、欧米通商交渉の進展を見極めていくことになる。
フォンデアライエン欧州委員長は、米国の関税に対する対抗措置の停止期間を8月上旬まで延長し、交渉による解決を引き続き目指す方針を明らかにしつつも、交渉がまとまらない場合は報復関税を打ち出す可能性も示唆している。
シェフコビッチ欧州委員会副委員長は「米国の関税計画は、相互の貿易の障害になる」と述べつつ、本日、米国と協議する予定、と述べた。
今週は17-18日にG20財務相・中央銀行総裁会議が開催されるものの、米国の交渉担当者でもあるベッセント米財務長官は欠席して、19日の大阪万博会場での米国の「ナショナルデー」の催し物に参加することになっている。
赤沢経済再生相は、20日の参議院選挙の投開票を控えて、ベッセント米財務長官との通商交渉を目論んでいる、と報じられている。
本日のトランプ米大統領のロシアに関する重大発表では、ロシアに対する制裁強化やウクライナに対する支援強化などが予想されている。
トランプ米大統領の発表を受けて、ウクライナ情勢の地政学リスクの高まりから有事のドル買いとなった場合、200日移動平均線の149.71円を念頭に置き、11日時点で円のネット買い持ちポジションが116155枚になっているシカゴIMM筋の手仕舞いのタイミングを見極めることになる。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、149.71円(200日移動平均線)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、146.14円 (7/11安値)
今週のNY市場はトランプ関税、第2四半期決算発表、物価指標に注目。先週はダウ平均が457.02ドル安(-1.02%)と4週ぶりに反落し、S&P500が0.31%安と3週ぶりに反落。ナスダック総合は0.08%安と4週ぶりの小幅反落となった。関税政策の不透明感が意識されたものの、エヌビディアを筆頭にAI関連株が上昇し、木曜日まではおおむね堅調な推移となった。6月下旬に4カ月ぶりに史上最高値を更新したS&P500は10日木曜日に再び史上最高値を更新。ナスダック総合も6月下旬に半年ぶりに史上最高値を更新すると、先週は9日、10日の連日で史上最高値を更新した。しかし、トランプ米大統領が木曜日引け後にカナダからの輸入品に対して35%の関税を8月1日から課すと発表したことで貿易戦争による景気や物価への影響が改めて意識された。金曜日の取引ではダウ平均とS&P500が3日ぶりに反落し、ナスダック総合も4日ぶりに反落。主要3指数がそろって週間で下落となった。週末の動きではトランプ米大統領が欧州連合(EU)とメキシコからの輸入品に対し8月1日から30%の関税を課すと発表した。
今週はトランプ関税の先行き不透明感が引き続き上値の重しとなることが予想される中、最高値圏にある株価の上昇余地をめぐり、企業業績や物価動向が焦点となりそうだ。企業業績を巡っては今週から第2四半期決算発表がスタートする。JPモルガン、ウェルズ・ファーゴ、シティグループ、ゴールドマン・サックス、バンク・オブ・アメリカなどの大手金融機関のほか、ジョンソン&ジョンソン、ユナイテッド・エアラインズ、GEエアロスペース、 ネットフリックス、3MなどS&P500採用の約40銘柄が発表予定で、関税による景気減速が懸念される中、決算結果や発表される業績見通しが注目される。経済指標では、先行きの利下げ見通しを巡り、火曜日の6月消費者物価指数(CPI)、水曜日の6月生産者物価指数(PPI)、金曜日の7月ミシガン大1年先・5年先期待インフレ率速報値などのインフレ指標が注目される。関税によるインフレ加速が懸念される中、物価が引き続き抑制的な伸びにとどまれば、利下げ期待の高まりが株価の支援となりそうだ。このほか、6月鉱工業生産、6月小売売上高、6月住宅着工件数なども発表され、足もとの景気動向にも要注目となる。
今晩は主要な米経済指標・イベントの発表なし。企業決算は寄り前にファスナルが発表予定。
ドル円:1ドル=147.36円(前営業日NY終値比▲0.07円)
ユーロ円:1ユーロ=171.97円(▲0.33円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1670ドル(▲0.0019ドル)
日経平均株価:39459.62円(前営業日比▲110.06円)
東証株価指数(TOPIX):2822.81(▲0.43)
債券先物9月物:138.06円(▲0.51円)
新発10年物国債利回り:1.570%(△0.070%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月機械受注(船舶・電力除く民需)
前月比 ▲0.6% ▲9.1%
前年同月比 4.4% 6.6%
5月鉱工業生産・確報値
前月比 ▲0.1% 0.5%
前年同月比 ▲2.4% ▲1.8%
5月設備稼働率
前月比 2.0% 1.3%
5月第三次産業活動指数
前月比 0.6% 0.5%・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ユーロドルは戻りが鈍い。トランプ大統領が週末に自身のSNSで欧州連合(EU)からの輸入品に対し8月1日から30%の関税を課す書簡を発表。週明け早朝からユーロ売りが強まり、先週末安値の1.1665ドルを下抜け1.1651ドルと6月25日以来の安値まで値を下げた。一巡後はショートカバーの動きから1.1698ドルまで切り返したものの、1.17ドル台回復とはならず。再び安値圏まで押し戻された。
・ドル円は一進一退。対ユーロ主導で円買いが先行した影響を受けて147.15円まで早朝取引で売られたが、その後は買い戻しが入り先週末高値の147.52円を上抜けて147.57円と6月23日以来の高値を付けた。ユーロドルが買い戻された場面では上値が重くなり146.86円まで値を下げたが、下値も限定的。280円超下げていた日経平均株価が一時プラス圏を回復したことも支えに147.50円付近まで持ち直した。
「日銀が今月末に開く金融政策決定会合で、2025年度の物価見通しの上方修正を検討する見込み」と一部通信社が関係筋の話として伝わり瞬間的に147.11円付近まで下げたが、売りは続かなかった。
・ユーロ円は弱含み。米大統領によるEUへの30%関税発表を受けて171.60円まで売りが先行した後は172円台を回復したが定着できなかった。東京終盤には再び171.70円台まで押し戻された。
・日経平均株価は続落。米関税政策への不透明感から売りが強まり、指数は一時280円超下落した。半面、自動車株や医薬品株に買いが入ったため、プラス圏を回復する場面も見られた。
・債券先物相場は続落。先週末の米国債券相場が下落した流れを引き継ぐ形で日本国債も売りが先行。20日の参院選で与党大敗が濃厚となっており、拡張的な財政政策に傾くとの思惑から超長期債を中心に売りが広がった影響も受けた。
日経平均株価は3日続落。終日さえない展開が続いたが、25日移動平均線(39147円 7/14)や一目均衡表の基準線(39196円 同)などを下値で意識して底堅さも見えた。
RSI(9日)は前日の19.0%→25.8%(7/14)に上昇。あすも上昇しやすいタイミングとなる。引き続き見方は変わらず、4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇が続いている。6/18高値(38885円)付近に向けた単なる揺り戻しの範ちゅうであり、基準線や25日移動平均線付近から反発に転じることができるかが焦点となる。
上値メドは、10日移動平均線(39711円 同)や心理的節目の4万円、6/30高値(40852円)、昨年7/17安値(41054円)、心理的節目の42000円などがある。下値メドは、基準線や25日移動平均線、6/18高値(38885円)、心理的節目の38500円、200日移動平均線(38111円 同)、6/13安値(37540円)などがある。
(14日終値:15日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=147.71円(14日15時時点比△0.35円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=172.27円(△0.30円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1663ドル(▲0.0007ドル)
FTSE100種総合株価指数:8998.06(前営業日比△56.94)
ドイツ株式指数(DAX):24160.64(▲94.67)
10年物英国債利回り:4.600%(▲0.022%)
10年物独国債利回り:2.729%(△0.004%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月スイス生産者輸入価格
(前月比) ▲0.1% ▲0.5%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ユーロドルは戻りが鈍い。トランプ米大統領が週末に欧州連合(EU)に8月1日から30%の関税を適用すると発表したことを受けて、投資家心理が悪化。ユーロ売り・ドル買いが先行し、一時1.1654ドル付近まで値を下げた。
ただ、週明け早朝取引で付けた日通し安値1.1651ドルが目先サポートとして意識されると買い戻しが優勢に。20時30分前には1.1697ドル付近まで持ち直した。市場ではトランプ関税について「TACO(Trump Always Chickens Out=トランプはいつもビビってやめる)と捉えている」との声が聞かれた。
もっとも、NY勢参入後は再び上値が重くなった。米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.44%台まで上昇したことも相場の重しとなり、1.1659ドル付近まで押し戻された。
なお、トランプ米大統領は関税について「欧州を含め、いつでも協議に応じる」「欧州は米国に来るだろう。彼らは話し合いを望んでいる」などと語った。
・ドル円はじり高。しばらくは147円台前半でのもみ合いが続いていたが、米長期金利の上昇に伴う円売り・ドル買いがじわりと強まると、2時30分前に一時147.76円と6月23日以来の高値を付けた。
ただ、本日は米経済指標の発表などもなく手掛かり材料に欠けたことから、一本調子で上昇する展開にはならなかった。市場では「明日15日発表の6月米消費者物価指数(CPI)の結果を見極めたい」との声も聞かれた。
なお、トランプ米大統領は「金利は非常に高い」「インフレはない」「(金利)1%未満にすべきだ」などと述べたと伝わった。
・ユーロ円は底堅い動き。16時前に一時171.73円付近まで値を下げたものの、週明け早朝取引で付けた日通し安値171.60円が目先サポートとして働くと買い戻しが優勢に。0時30分過ぎには一時172.47円と昨年7月以来1年ぶりの高値を更新した。
・ロンドン株式相場は反発し、史上最高値を更新した。小幅に続落して始まったものの、売り一巡後は買い戻しが優勢となり上げに転じた。市場では「トランプ関税を巡り、英米は暫定合意に至っており、欧州の他の国々と比べると不確実要素が少ない」との声が聞かれた。
・フランクフルト株式相場は3日続落。トランプ米大統領がEUに8月1日から30%の関税を適用すると発表したことを受けて、投資家心理が悪化。売りが優勢となった。個別ではザランド(5.28%安)やザルトリウス(4.72%安)、ブレンターク(2.72%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は英国債が上昇した一方、独国債が下落した。
14日の日経平均は3日続落。終値は110円安の39459円。米国株安を受けて3桁下落スタート。序盤は下値を模索する動きとなり、下げ幅を200円超に広げた。39200円台に入ったところで売りが一巡し、10時台半ばからは下げ幅を縮小。2桁の下落で前場を追えると、後場にはプラス圏に浮上する場面があった。しかし、戻し切った後は買いが続かなかった。終盤にかけては改めての売りに押されており、3桁の下落で取引を終えた。
東証プライムの売買代金は概算で3兆6600億円。業種別では電気・ガス、機械、不動産などが上昇した一方、その他製品、情報・通信、空運などが下落した。1Qが大幅な営業増益となったイオンファンタジー<4343.T>が急伸。半面、ジンズホールディングス<3046.T>は3Q累計で大幅増益となったものの、通期見通し据え置きで目先の材料出尽くしが意識されて急落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり907/値下がり649と、値上がり銘柄の方が多かった。三菱重工、川崎重工、IHIの防衛大手3社がそろって大幅上昇。前営業日に決算で急落したファーストリテイリングに見直し買いが入った。アドバンテストやディスコなど半導体株の一角が上昇。円安を手がかりにトヨタやホンダなど自動車株に資金が向かっており、直近で大きく売られていた日産自動車が3%を超える上昇となった。
一方、良品計画が上方修正や1:2の株式分割を発表したものの下落。上昇する場面もあって場中は強弱感が交錯し、売買代金は全市場でトップとなった。良品計画同様、内需の好業績株として市場からの評価が高まっていたサンリオが、警戒売りに押されて4.5%安。レーザーテックやソフトバンクGなど、グロース株の一角に大きく売られるものが散見された。前営業日に年初来高値を更新したフジHDがきょうは大幅安。下方修正を発表したジェイテックコーポレーションが急落した。
日経平均は3日続落。ただ、値上がり銘柄は多く、警戒ムードが高まるような下げではなかった。今週は先に参院選投開票や三連休を控える中、きょうのように強いのか弱いのかはっきりしない日が多くなるかもしれない。
米国ではあす15日に6月の消費者物価指数(CPI)が発表される。この発表を前に、あすの日本株は様子見姿勢が強まるだろう。11時には中国関連の指標が多く出てくることから、機械や化粧品など中国絡みのニュースに刺激されやすいセクターの値動きが大きくなる可能性がある。日経平均は25日線(39147円、14日時点)が下値のメドとして意識されるかが注目される。3日続落で値ごろ感は醸成されており、25日線の下には節目の39000円も控えているだけに、この近辺で当面の売りが一巡する展開に期待したい。
(14日終値)
ドル・円相場:1ドル=147.72円(前営業日比△0.29円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=172.32円(△0.02円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1664ドル(▲0.0025ドル)
ダウ工業株30種平均:44459.65ドル(△88.14ドル)
ナスダック総合株価指数:20640.33(△54.80)
10年物米国債利回り:4.43%(△0.02%)
WTI原油先物8月限:1バレル=66.98ドル(▲1.47ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3359.1ドル(▲4.9ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は続伸。米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.44%台まで上昇すると円売り・ドル買いが進行。5時30分前に一時147.78円と6月23日以来の高値を付けた。
ただ、本日は米経済指標の発表などもなく手掛かり材料に欠けたことから、一本調子で上昇する展開にはならなかった。市場では「明日15日発表の6月米消費者物価指数(CPI)の結果を見極めたい」との声も聞かれた。
なお、トランプ米大統領は「金利は非常に高い」「インフレはない」「(金利)1%未満にすべきだ」などと述べたと伝わった。
・ユーロドルは4日続落。トランプ米大統領は12日、「欧州連合(EU)に8月1日から30%の関税を適用する」と表明したものの、市場では「単なる交渉手段に過ぎない」との受け止めから、ユーロ売りでの反応は限られた。20時30分前には1.1697ドル付近まで値を上げた。
ただ、東京午前に付けた日通し高値1.1698ドルが目先レジスタンスとして意識されると上値が重くなった。米長期金利の上昇も相場の重しとなり、2時30分過ぎには1.1659ドル付近まで押し戻された。
なお、トランプ米大統領は関税について「欧州を含め、いつでも協議に応じる」「欧州は米国に来るだろう。彼らは話し合いを望んでいる」などと語った。
・ユーロ円は小幅続伸。ドル円の上昇や米国株高に伴う円売り・ユーロ買いが出ると一時172.47円と昨年7月以来1年ぶりの高値を更新した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は反発。トランプ米大統領は12日、EUとメキシコに30%の追加関税を課すと明らかにしたものの、市場では楽観的な見方が根強く、売り一巡後は買い戻しが優勢となった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も反発し、史上最高値で取引を終えた。
・米国債券相場で長期ゾーンは3日続落。トランプ関税が米物価上昇圧力につながるとの見方から債券売りが優勢となった。
・原油先物相場は反落。トランプ米大統領はロシアに対し「合意なき場合、ロシアに100%の2次関税を課す」としたが、50日間の猶予を設定したこともあり、ロシア産原油の供給が直ちに減少するとの過度な警戒感が和らいだこともあり、売りが優勢となった。
・金先物相場は4日ぶりに反落。前週末まで買いが続いたこともあり、利益確定の売りが出た。対ユーロでドル買いが優勢となった事も重しとなった。ただ、米関税政策を巡る不透明感が漂う中、安全資産として金を買う動きもあり、下値も限定的であった。
14日08:25 トランプ米大統領
「欧州連合(EU)は貿易を巡って我々と協議している」
「韓国が合意を求めている」
「ガザ情勢について協議中で、来週中には解決できることを期待」
15日00:18
「ロシアには不満」
「50日以内のディールなければ、ロシアに厳しい関税賦課」
「合意なき場合、ロシアに100%の2次関税を課す」
「(関税について)欧州を含め、いつでも協議に応じる」
「欧州は米国に来るだろう。彼らは話し合いを望んでいる」
「プーチン露大統領との会談には何の意味もない」
「プーチン露大統領は多くの人を騙している」
15日01:46
「ベッセント氏のおかげで市場は落ち着きを取り戻した」
「ベッセント氏は素晴らしい仕事をしている」
「(関税に関して)依然として協議に応じる意向」
「金利は非常に高い」
「インフレはない」
「(金利)1%未満にすべきだ」
14日15:46 シェフコビッチ欧州委員会副委員長
「米国の関税計画は、相互の貿易の障害になる」
14日16:40 中国人民銀行(PBOC)副総裁
「人民元を基本的に安定的に維持する」
「人民元下落による競争上の優位性を求めていない」
「人民元資産は魅力的であり、双方向の資本フローを促進している」
14日22:59 ハマック米クリーブランド連銀総裁
「利下げを支持する前にインフレが一段と鈍化するのを見たい」
※時間は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○08:01 ◇ 6月英小売連合(BRC)小売売上高調査(予想:前年比1.0%)
○09:30 ◇ 7月豪ウエストパック消費者信頼感指数
○11:00 ☆ 4-6月期中国国内総生産(GDP、予想:前期比0.9%/前年同期比5.1%)
○11:00 ◎ 6月中国鉱工業生産(予想:前年比5.6%)
○11:00 ◎ 6月中国小売売上高(予想:前年比5.3%)
○18:00 ◎ 7月独ZEW景況感指数(予想:50.4)
○18:00 ◎ 7月ユーロ圏ZEW景況感指数
○18:00 ◎ 5月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比1.0%/前年比2.2%)
○21:30 ◇ 5月カナダ製造業出荷(予想:前月比▲1.3%)
○21:30 ◎ 6月カナダ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%/前年比1.9%)
○21:30 ☆ 6月米CPI(予想:前月比0.3%/前年比2.6%)
☆ エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.3%/前年比2.9%)
○21:30 ◎ 7月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:▲9.6)
○22:15 ◎ ボウマン米連邦準備理事会(FRB)副議長、あいさつ
○16日01:45 ◎ バーFRB理事、講演
○16日02:00 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○16日03:45 ◎ コリンズ米ボストン連銀総裁、講演
○16日05:00 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○トルコ(民主主義の日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 39510 +100 (+0.25%)
TOPIX先物 2831.0 +8.0 (+0.28%)
シカゴ日経平均先物 39515 +105
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
14日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。トランプ米大統領が12日、欧州連合(EU)とメキシコからの輸入品に8月1日から30%の関税を課すと自身のSNSに投稿したことで、米国の消費減速や物価上昇を懸念して売りが先行した。ただし、EUは米国への報復措置の発動を8月上旬まで延長し、交渉による解決を目指す方針を明らかにした。交渉次第では税率が下がるとの楽観的な見方が高まり、押し目買いが入った。
S&P500業種別指数は、食品・生活必需品小売、自動車・同部品、保険が上昇した一方で、家庭用品・パーソナル用品、エネルギー、テクノロジー・ハード・機器の弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、ボーイング<BA>、ウォルマート<WMT>、スリーエム<MMM>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、ハネウェル・インターナショナル<HON>が買われた。半面、シェブロン<CVX>、プロクター・アンド・ギャンブル<PG>、アップル<AAPL>、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>が下落。
シカゴ日経平均先物清算値は大阪比105円高の3万9515円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比80円高の3万9490円で始まった。その後は軟化し、3万9310円まで売られる場面もみられた。ただし、米国市場の取引開始後にロング優勢となりプラス圏を回復すると、中盤にかけて3万9540円まで買われた。買い一巡後は3万9480円~3万9530円辺りで保ち合い、3万9510円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや買い先行で始まりそうだ。トランプ大統領の関税を巡る発言ついては楽観はできないものの、交渉進展への期待から押し目待ち狙いのロング対応となりそうである。ナイトセッションで3万9310円まで売られる場面もみられたが、25日移動平均線(3万9180円)が支持線として意識されており、同水準に接近する局面ではその後のショートカバー狙いになろう。
一方で、積極的なロングも限られるため、ボリンジャーバンドの+1σ(3万9880円)を意識したトレンド形成は期待しづらい。25日線を支持線とした3万9500円辺りの狭いレンジでの推移になりそうであり、まずは3万9500円処での底堅さがみられるかを確認したい。3万9500円水準で底堅さがみられるようだと、+1σに接近する可能性はあるが、戻り待ち狙いのショートでの対応に向かわせそうである。
そのため、オプション権利行使価格の3万9500円を挟んだ上下の権利行使価格である、3万9250円から3万9750円のレンジを想定。
14日の米VIX指数は17.20(11日は16.40)に上昇した。一時17.85まで上げる場面もみられ、抵抗線として機能している25日線(17.90)に接近した。同線に上値を抑えられる形でその後は低下しているが、やや神経質にさせそうだ。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.96倍に低下した。ソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]と東京エレクトロン<8035.T>[東証P]が日経平均型の重荷になった。ただし、上向きで推移する25日線(13.95倍)が支持線として機能しており、同線をサポートにリバランスの動きをみせてくるかが注目される。NTショートの巻き戻しに向かうようだと、200日線(14.03倍)辺りを捉えてくる可能性が意識されよう。
昨日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが4.44%台まで上昇した動きに伴い147.78円まで6月23日以来の高値を付けた。ユーロドルは、トランプ米大統領が欧州連合(EU)への高関税賦課を表明したことが上値を圧迫し1.16ドル後半での小動きとなった。また、ユーロ円はドル円の上昇や米国株高に伴う円売り・ユーロ買いが出ると一時172.47円と昨年7月以来1年ぶりの高値を更新した。
東京タイムでは昨日のドル高・円安の流れを維持しつつ、今晩の米消費者物価指数(CPI)待ちとなりそうだ。東京タイムでは中国で4-6月期GDPや6月鉱工業生産・小売売上高など注目指標の発表が予定されている。このところ、米中の貿易交渉に目を向けられ中国の指標結果への反応は限られているが、4-6月期GDPの結果次第では中国と貿易で緊密な関係にある豪ドルを中心に動意づく可能性はある。
最近、トランプ米大統領の高関税賦課表明にその貿易相手国の通貨売り・ドル買いの反応を示しており、ドル円は引き続き底堅い動きが見込まれる。関税の影響で日銀の追加利上げの不確実性が高まっていることや、20日の参議選で与党の過半数割れが警戒されていることが円に売り圧力として働いており、ドル円は上方向に傾きやすい地合いとなっている。
ただ、「米国売り」の再燃によりドルが再び「リスク資産的」な通貨として取引される可能性には要注意だ。今のところ、米政権の新たな関税率の適用が8月1日に延期されたことや、高関税率を通告した国と地域の反発が控え目であることもあり、関税の悪影響を懸念する動きは高まっていない。しかしながら、同盟国の日本や韓国を含め欧州連合(EU)などとの交渉は難航しており、今後トランプ米政権の圧力で貿易相手国の反発が強まる可能性がある。日本やカナダ、EUなどは、トランプ関税の対策として連携を高めているとの報道も伝わっている。関税を巡りトランプ氏の横暴な振る舞いが再認識することになると、ドルに売り圧力が強まるだろう。
3日に発表された、6月米雇用統計で米非農業部門雇用者数が予想を上回り、失業率も予想外に低下したことで米早期利下げ期待は後退した。もっとも、非農業部門雇用者数の増加は政府部門がほぼ半数を占めるなど特殊要因による一時的な伸びと見られ、失業率の低下は主に労働参加率の低下などによる労働力人口の減少によるものだった。また、多くの業種で賃金の伸びが低下するなど、内容を精査すると労働市場は引き続き減速傾向にあることがうかがえる。本日発表予定の6月米消費者物価指数(CPI)と17日発表予定の6月米小売売上高の結果次第では、米早期利下げ思惑が再燃する可能性がある。
東京市場は堅調か。米国株は上昇。ダウ平均は88ドル高の44459ドルで取引を終えた。トランプ大統領がEUとメキシコからの輸入品に対して30%の関税を8月1日から課すと発表したことを受けて序盤は軟調であったが、下押し圧力は限定的。切り返して中盤以降はプラス圏で値動きが落ち着いた。ドル円は足元147円70銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが105円高の39515円、ドル建てが155円高の39565円で取引を終えた。
米国株が上昇した上に、ドル円が一段と円安に振れていることから、買いが優勢になると予想する。ただ、本日は米国で6月消費者物価指数(CPI)の発表を控えているだけに、ガンガン上値を追っていくような流れにはなりづらい。米国ではエヌビディアなど半導体株は下落しているものが多く、国内ハイテク株への好影響は限られそう。売り材料が乏しいだけにプラス圏で推移するとみるものの、場中は様子見ムードの強い地合いが続くと予想する。日経平均の予想レンジは39400-39700円。
WSJ紙が報じたところによると、欧州連合(EU)は米国との貿易協定が8月1日までに成立しない場合に備え、最大720億ユーロ(約840億ドル)相当の米国製品に対する報復関税案をまとめたという。欧州委員会が作成したこのリストには、ボーイング製航空機、自動車、バーボン、医療機器、農産品、化学製品、プラスチックなどが含まれる。当初は950億ユーロ相当の製品が対象だったが、企業や加盟国との協議を経て範囲が縮小されたとのこと。
SMBC日興証券では、投資信託協会が発表した6月の月次データを受けて、日本の個人投資家の動向についてリポートしている。6月のETFを除く株式投信の設定額は前月比1%増の2.95兆円となり、先月に続いて低調であったとのこと。解約・償還額は同20%増の2.37兆円。純増額は+0.57兆円で、24年1月の新NISA開始以来、最低額を記録したと指摘している。
昨日の海外市場では、ドル円は週明けのアジア市場で上下をトライした後、欧州時間はもみ合いが続くなかで147.15円まで下押し。ただ、NY時間に入って米長期金利が上昇するとアジア時間の高値147.57円を上抜けて一時147.78円まで値を上げることになりました。
そして本日の東京市場では、早朝からゴトー日とあって本邦実需の買いが観測されると昨日高値を上抜けて一時147.89円まで上昇。その後は昨日から続く超長期の日本国債利回りが大幅な上昇となるなか、日経平均の下落につれて147.57円まで下押し。株価が一転して買戻しの動きとなると147.82円まで買戻されたものの、午後に入って再び147.56円まで値を下げるなど、神経質な動きを繰返しています。
いずれにしても、市場は今夜の米CPI待ちであることは明らか。数字次第では短期的に上下に振らされることになりそうですが、昨日もお伝えしている通り、目先の方向性に変わりはなく、ドル円はあくまでも下押しのレベルを確認しつつ、戻り高値をトライしている状況。大元の円ロングポジションの解消が続くなかにあって、6月23日の高値148.03円や5月12日の高値148.65円、更には200日MAの位置する149.71円が意識されています。
日経225先物は11時30分時点、前日比40円高の3万9450円(+0.10%)前後で推移。寄り付きは3万9560円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万9515円)にサヤ寄せする形から、買いが先行して始まった。買い一巡後は中盤にかけて軟化し、3万9380円まで売られる場面もみられた。終盤にかけてロング優勢となり3万9640円まで買われたが、直後に3万9430円まで上げ幅を縮めるなど、狭いレンジでの推移ながらも値動きの荒さが目立っている。
日経225先物は、3万9500円を中心としたオプション権利行使価格の3万9375円から3万9625円での推移をみせている。短期的に仕掛けてくる動きがみられるものの、スキャルピング中心とみられ、クローズの動きが速い。石破茂首相は、大坂・関西万博のイベント参加のため訪日するベッセント米財務長官と会談する方向で調整に入ったと報じられている。ショートを仕掛けにくくさせそうだが、上値追いのロングは限られ、押し目狙いでの対応になりそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.96倍と横ばいで推移。支持線として意識されていた25日移動平均線(13.96倍)を割り込み、13.90倍まで低下する場面もみられた。その後は25日線を挟んでの推移だが、同線が抵抗線として意識されるようだと、NTショートに振れやすいだろう。
本日のロンドン為替市場では、トランプ関税やロシアに関連した報道に注意しながら欧州の経済指標を確認し、欧州午後(ニューヨーク序盤)に発表される6月米消費者物価指数(CPI)の発表を待つことになる。
昨日のユーロドルは1.16ドル後半を中心に上下した。ユーロポンドやユーロ円の上昇が支えとなったものの、週末にトランプ米大統領が表明した「8月1日から欧州連合(EU)製品に30%関税を賦課する」がやはりユーロの上値を圧迫したようだ。トランプ大統領はEUとの関税交渉に応じる意向を示しているものの、貿易を巡る米EU間の溝が埋まるかは不透明だ。なお米WSJ紙によれば、EUは米国製品への報復関税案を準備しているもよう。
一方、ロシアに対してトランプ米大統領が強硬な姿勢に出たことで、安全保障の面では欧米が歩調を合わせたと言える。米大統領は昨日、停戦合意にロシアが50日以内に応じないようならば100%の2次関税を導入すると表明。また、ウクライナへの追加の兵器供給も明らかにした。ただ、プーチン露大統領が簡単に言いなりになるとも思えず、地政学リスクが一層高まる可能性もある。そうなってしまうと、ユーロの上値は追いづらいかもしれない。
経済指標では、7月独ZEW景況感指数に注目か。市場予想は50.4と前回から3ポイント近い上昇。過去2回連続で予想から上振れており、3月に記録した約3年ぶりの高い水準51.6に迫るかもしれない。ほか、同じ時間に7月ユーロ圏ZEW景況感指数と5月ユーロ圏鉱工業生産も発表予定。
なお週明けのポンド相場は、先週からの地合いの弱さを持ち越した。ポンドドルは1.3424ドルまで下落し、戻り鈍いまま日足一目均衡表・雲の中で引けている。ユーロポンドも0.8693ポンドと、約3カ月ぶりの水準までユーロ高ポンド安が進んだ。
ポンドは先週、英財政赤字の拡大懸念が重しとなるなか、週末発表の5月英国内総生産(GDP)などが弱かったことで売り圧力が強まった。ポンドにとってポジティブな材料が見当たらないなか、本日も下値余地を探ることになるか。
想定レンジ
・ユーロドル、日足一目均衡表・転換線1.1731ドル
・ポンドドル、14日高値1.3504ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、日足一目均衡表・基準線1.1601ドル
・ポンドドル、90日移動平均線1.3320ドル
ドル円:1ドル=147.58円(前営業日NY終値比▲0.14円)
ユーロ円:1ユーロ=172.44円(△0.12円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1685ドル(△0.0021ドル)
日経平均株価:39678.02円(前営業日比△218.40円)
東証株価指数(TOPIX):2825.31(△2.50)
債券先物9月物:137.92円(▲0.14円)
新発10年物国債利回り:1.585%(△0.015%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は上値が重い。朝方に147.89円まで上昇する場面があったものの、6月23日につけた直近高値の148.03円が目先のレジスタンスとして意識されると上値が重くなった。本邦長期金利の上昇も相場の重しとなり、147.55円まで押し戻された。
・ユーロドルは強含み。対円などでドル売りが進んだ影響を受けたほか、ユーロポンドなどユーロクロスの上昇なども支えとなり、1.1688ドルまで上値を伸ばした。
・ユーロ円は小高い。しばらくは172.40円を挟んだ水準でのもみ合いとなっていたが、ユーロドルの上昇につれて15時過ぎには172.56円まで値を上げた。
・日経平均株価は4営業日ぶりに反発。前日終値を挟んで上下する神経質な動きとなった。今夜に6月米消費者物価指数(CPI)の発表を控えていることもあって様子見ムードが強かったが、半導体関連株などに買いが入り、結局この日の高値で取引を終えた。
・債券先物相場は3日続落。昨日の米国債券相場が下落した流れを引き継いだほか、20日の参院選を巡って財政拡張の可能性が意識されていることも売りを促した。
1.ウォラーFRB理事の提言
次期FRB議長候補に挙がっているウォラーFRB理事は、7月10日のダラス連銀が主催したイベントで講演し、「バランスシートのランオフ(償還に伴う保有証券減少)を当面続けることで準備預金を減らすことが可能だと考えている」と述べた。
FRBが保有する銀行準備金の水準を現在の3兆2600億ドルから、2兆7000億ドルまで引き下げることが可能との見解を示した。
FRBの通貨保有や政府預金口座(TGA)の残高を加えると、バランスシート全体では5兆8000億ドルとなり、現在の6兆7000億ドルから縮小されることになる。
FRBが「十分」と考える銀行準備の下限水準は、翌日物資金の調達市場に混乱を招くことなく、FRBがバランスシート縮小をどこまで進められるかを判断する上で重要な指標となる。流動性を十分に維持し市場のストレスを回避するには、準備金を少なくとも3
兆~3兆2500億ドルに保つ必要があるとのことである。
2.FRBの量的金融引締政策(QT:Quantitative tightening)
FRBのバランスシートは、量的金融緩和政策(QE:Quantitative Easing)により、2020年春の約3兆7600億ドルから、新型コロナウイルスのパンデミック期に約4兆6000億ドルの債券を購入して、2022年夏の8兆9655億ドルまで倍増した。そして、量的金融引締政策(QT:Quantitative tightening)の開始により、毎月950億ドル規模の保有する国債と住宅ローン担保証券の削減が行われており、2025年2月には、6兆8000億ドルまで減少している。しかし、新型コロナウイルス感染症流行前の水準の約4兆ドルを依然として大きく上回っている。
FRBによるインフレ抑制のための利上げは、2023年7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でのFF金利誘導目標5.25-50%への引き上げで終了し、現状は、4.25-50%までの利下げサイクルに入っている。
すなわち、政策金利は緩和政策だが、量的金融政策面では、引締め政策となっていた。
3.米国債のランオフの減額=間接的利下げ
1月28-29日のFOMCでは、タカ派的な据え置きが決定されたが、政府債務の上限引き上げを巡る問題が解決するまでバランスシート圧縮を一時停止または減速させる可能性が議論された。
3月18-19日のFOMCでは、米国債のランオフ(償還に伴う保有証券減少)ペースの上限を月間250億ドルから50億ドルに減額、すなわち、間接的な利下げを決定した。
反対したウォラーFRB理事は、「準備金が『十分』な水準に近づくのに伴い、保有証券の償還をさらに減速あるいは停止するというのは適切だろう。しかし、私の見解ではまだその段階にはない。準備残高は3兆ドルを超えている。この水準は『潤沢』だ」と述べた。
大阪9月限
日経225先物 39660 +250 (+0.63%)
TOPIX先物 2826.0 +3.0 (+0.10%)
日経225先物(9月限)は前日比250円高の3万9660円で取引を終了。寄り付きは3万9560円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万9515円)にサヤ寄せする形で買いが先行した。買い一巡後は前場中盤にかけて軟化し、3万9380円まで売られる場面もみられた。
前場終盤にかけてロング優勢となり3万9640円まで買われ、直後に3万9430円まで上げ幅を縮めるなど、狭いレンジでの推移ながら値動きの荒さが目立った。ランチタイム以降は、3万9410円~3万9510円辺りで保ち合いを継続。後場中盤にリバウンドの動きが強まり、引けにかけて3万9680円まで買われる場面もみられた。
日経225先物は、概ね3万9500円を中心とした、上下のオプション権利行使価格の3万9375円から3万9625円での推移となった。ランチタイム以降はショートを仕掛ける動きが意識されていたが、3万9400円辺りを割り込むことができず、後場半ば以降のショートカバーにつながった形である。
20日の参議院選挙の情勢では、自民・公明の与党で過半数を維持できるか微妙と報じられており、ショートが入りやすい需給であろう。一方、石破茂首相が大坂・関西万博のイベント参加のために来日するベッセント米財務長官と会談する方向で調整に入ったと報じられるなかでは、ショートを仕掛けにくくさせる。
また、15日の米国では6月の消費者物価指数(CPI)の発表が予定されているほか、シティグループ<C>やウェルズ・ファーゴ<WFO>など大手銀行の決算発表が本格化することもあり、引けにかけてのカバーにつながったようだ。
日経225先物は、25日移動平均線(3万9190円)とボリンジャーバンドの+1σ(3万9890円)とのレンジをキープしている。週間形状では+1σ(3万9390円)で下げ止まりをみせており、同バンドで底堅さがみられるようだと、リバウンド狙いの動きが意識されてきそうだ。
NT倍率は先物中心限月で14.03倍に上昇した。前場は支持線として意識されていた25日線(13.96倍)を割り込み、13.90倍まで低下する場面もみられた。その後は前引けにかけて25日線を挟んでの推移となったが、後場終盤はリバランスの流れからNTショートの巻き戻しが強まり、200日線(14.03倍)水準を捉えてきた。200日線を突破してくると、NTロングに振れやすくなろう。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万4986枚、ソシエテジェネラル証券が9331枚、サスケハナ・ホンコンが3825枚、JPモルガン証券が2007枚、モルガンMUFG証券が1906枚、SBI証券が1782枚、バークレイズ証券が1666枚、日産証券が1479枚、楽天証券が1004枚、松井証券が880枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が1万6059枚、ソシエテジェネラル証券が1万5374枚、バークレイズ証券が5908枚、JPモルガン証券が5049枚、モルガンMUFG証券が3446枚、ゴールドマン証券が1605枚、シティグループ証券が1172枚、ビーオブエー証券が1052枚、サスケハナ・ホンコンが668枚、野村証券が601枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、米6月消費者物価指数(CPI)を見極めた後は、複数の米連邦準備理事会(FRB)高官の利下げ時期への言及に注目することになる。
トランプ米大統領は昨日、欧州連合(EU)を含めた貿易相手国・地域とのさらなる交渉に応じる意向を示唆しつつ、新たな関税を通知する各国・地域への書簡が「ディール」だとも主張した。
「TACO」(Trump Always Chickens Out(トランプはいつもおじけづく))が繰り返される可能性が高まったことで、今後の関連ヘッドラインには警戒しておきたい。
また、ロシアが50日以内に停戦に合意しないなら100%の「2次関税」を導入すると述べ、ウクライナに最高の兵器を供給するとも述べており、ロシアからの対抗措置に注目しておきたい。
6月米CPIは前月比+0.3%、前年比+2.6%と予想されており、5月の前月比+0.1%、前年比+2.4%からの伸び率上昇が見込まれている。
予想通りならば、7月米連邦公開市場委員会(FOMC)での政策金利据え置きがほぼ確実となり、9月の利下げ観測を後退させることになる。
ドル円が6月米CPIを受けて200日移動平均線149.71円方向に上昇した場合は、シカゴIMM筋の円の買い持ちポジションが手仕舞われる可能性に警戒しておきたい。
タカ派だったボウマン米連邦準備理事会(FRB)副議長は、ウォラーFRB理事と共に7月FOMCでの利下げを主張していたことで、本日の発言に注目しておきたい。
また、9月以降の利下げを主張していたバーFRB理事、バーキン米リッチモンド連銀総裁、コリンズ米ボストン連銀総裁らの講演にも要注目か。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、148.65円(5/12高値)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、146.14円 (7/11安値)
今晩は物価指標と金融機関の決算発表に注目。昨日はトランプ米大統領が週末にEUとメキシコに対して30%の関税を課すと発表したことで貿易摩擦問題が意識されたものの、交渉による関税引き下げ期待や、今週からスタートする第2四半期決算発表への期待などで主要3指数がそろって上昇。ダウ平均が88.14ドル高(+0.20%)、S&P500が0.14%高とともに反発し、ナスダック総合は0.27%高となり2営業日ぶりに取引時間中と終値の史上最高値を更新した。
今晩の取引では決算発表と物価指標に注目する展開か。先週木曜日のデルタ航空を皮切りにスタートした第2四半期決算発表は、今晩はウェルズ・ファーゴ、JPモルガン・チェース、シティグループなどの大手金融機関が発表予定で、4-6月期の結果や会社が発表する業績見通しが注目される。経済指標では利下げ見通しを巡り、6月消費者物価指数(CPI)に注目が集まる。6月CPIの市場予想は前年比+2.7%と前月分の+2.4%から加速が見込まれ、変動の大きい食品、エネルギーを除くコアCPIも前年比+3.0%と5月の+2.8%から上昇が見込まれている。トランプ関税による物価上昇が懸念されるなか、CPIが予想以上に高い伸びとなれば、利下げ期待の後退が相場の重しとなりそうだ。
今晩の米経済指標・イベントは、6月CPIのほか7月NY連銀製造業業況指数など。企業決算は寄り前にウェルズ・ファーゴ、JPモルガン・チェース、シティグループ、ステート・ストリート、引け後にJBハント・トランスポートなどが発表予定。
日経平均株価は反発。10日移動平均線(39681円 7/15)や一目均衡表の転換線(39650円 同)まで上値を伸ばし、高値引けの陽線を形成。25日移動平均線(39206円 同)から反発する格好となった。
RSI(9日)は前日の25.8%→46.1%(7/15)に上昇。4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇が続いており、目先的には25日移動平均線からの反発継続に期待したいところだ。39600円~39700円水準は強い抵抗帯になりえるが、抵抗帯をジャンプアップできるかが注目される。
上値メドは、心理的節目の4万円、6/30高値(40852円)、昨年7/17安値(41054円)、心理的節目の42000円などがある。下値メドは、基準線(39196円 同)や25日移動平均線、6/18高値(38885円)、心理的節目の38500円、200日移動平均線(38128円 同)、6/13安値(37540円)などがある。
(15日終値:16日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=148.94円(15日15時時点比△1.36円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=172.71円(△0.27円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1596ドル(▲0.0089ドル)
FTSE100種総合株価指数:8938.32(前営業日比▲59.74)
ドイツ株式指数(DAX):24060.29(▲100.35)
10年物英国債利回り:4.625%(△0.025%)
10年物独国債利回り:2.712%(▲0.017%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
7月独ZEW景況感指数
52.7 47.5
7月ユーロ圏ZEW景況感指数
36.1 35.3
5月ユーロ圏鉱工業生産
(前月比) 1.7% ▲2.2%・改
(前年比) 3.7% 0.2%・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円はしっかり。しばらくは147円台後半でのもみ合いが続いていたが、6月米消費者物価指数(CPI)の発表後に上昇した。
米労働省が発表した6月米CPIは前月比0.3%/前年比2.7%と予想の前月比0.3%/前年比2.6%を前年比で上回った。また、エネルギーと食品を除くコア指数は前月比0.2%/前年比2.9%と予想の前月比0.3%/前年比2.9%を前月比で下回った。結果は概ね予想に沿った内容となり、インフレの抑制を示したが、関税の影響を巡る懸念は払拭されず、米連邦準備理事会(FRB)が当面は金利を据え置くとの観測が広がった。
一時4.39%台まで低下していた米10年債利回りが4.48%台まで上昇すると、全般ドル買いが活発化し、0時30分過ぎに一時149.02円と4月3日以来約3カ月半ぶりの高値を更新した。レジスタンスとして意識されていた6月23日の高値148.03円や5月12日の高値148.65円を上抜けたことで、テクニカル的にも買いが入りやすい地合いとなった。
・ユーロドルは頭が重かった。日本時間夕刻に一時1.1693ドルと日通し高値を付けたものの、前日の高値1.1698ドルが目先レジスタンスとして働くと失速した。米CPIの結果を受けて米長期金利が上昇すると全般ドル買いが加速し、2時30分前に一時1.1593ドルと6月25日以来の安値を付けた。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時98.70と6月23日以来の高値を更新した。
なお、トランプ米大統領は「消費者物価は低い」として、米連邦準備理事会(FRB)に改めて利下げを要求した。
・ユーロ円は強含み。23時30分前に一時173.08円と昨年7月以来1年ぶりの高値を付けた。ユーロドルの下落につれた売りが出た一方、ドル円の上昇につれた買いが入った。
・ロンドン株式相場は反落。前日の米国株相場の上昇を受けて英株にも買いが先行したものの、終盤失速した。史上最高値を更新したあとだけに利益確定目的の売りが出やすかった。アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株が売られたほか、リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株が値下がりした。
・フランクフルト株式相場は4日続落。前日の米国株相場の上昇を受けて買いが先行したものの、引けにかけて失速した。米関税政策への警戒感は根強く、売りが出やすい面もあった。個別ではコメルツ銀行(2.91%安)やラインメタル(2.77%安)、アリアンツ(1.54%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は英国債が下落した一方、独国債が上昇した。
15日の日経平均は4日ぶり反発。終値は218円高の39678円。米国株高を受けて小高く始まった後は、しばらくプラス圏とマイナス圏を行き来した。方向感が定まらないまま、小幅なプラスで前場を終了。一方、半導体株の動きが良くなってきたことから、後場に入って13時を過ぎた辺りからはじわじわと上げ幅を広げていった。終盤にかけても買いの勢いは緩まず、200円を超える上昇となって高値引け。プライムでは値下がり銘柄の方が多く、TOPIXは小幅なプラスにとどまった。新興グロース株は敬遠されており、グロース250指数は2%を超える下落で安値引けとなった。
東証プライムの売買代金は概算で4兆1200億円。業種別では非鉄金属、保険、電気機器などが上昇した一方、卸売、不動産、パルプ・紙などが下落した。今期の大幅増益見通しや自己株取得の発表などが好感されたGunosy<6047.T>がストップ高。半面、1Qの業績速報値が大幅な減収減益となった極東証券<8706.T>が、後場に入って大きく値を崩した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり626/値下がり932と、日経平均は上昇したが値下がり銘柄は多かった。古河電工、住友電工、フジクラの電線大手3社がそろって大幅上昇。ディスコ、東京エレクトロン、レーザーテックなど、半導体株の多くに強い買いが入った。国内長期金利の上昇を手がかりに、第一生命や東京海上など保険株が堅調。1Q決算と併せて株式分割や優待拡充を発表したクリレスHDが急騰し、1Qが大幅増益となったPR TIMESがストップ高比例配分となった。
一方、良品計画が商いを伴って3%を超える下落。三菱重工や川崎重工など防衛株が売りに押された。国内の長期金利上昇を嫌気して三井不動産や三菱地所など不動産株が軒並み安。1Q減益着地のIDOMが急落した。グロース市場では、QPS研究所やデータセクションなど人気どころの銘柄が大幅安。決算を材料にELEMENTSが21%安と派手に下げた。
日経平均は4日ぶり反発。前場は荒い動きが続いたが、後場に入るとプラス圏が定着して上げ幅を広げた。序盤では全体の上値を抑えていた半導体株が、終わってみれば日経平均の上昇に大きく貢献した。
本日の米国では6月の消費者物価指数(CPI)が発表される。トランプ関税が米国のインフレを長期化させるとの見方もあるだけに、CPIが強く米長期金利が大きく上昇してしまうとグロース株には逆風となる。一方、CPIが弱く米長期金利が低下するなら、グロース株には追い風となる。
金利が上昇することで買われる銘柄もあるが、今の日本株が半導体株の影響を受けやすくなっていることを鑑みると、米金利は低下する方が好ましい。また、あすは欧州でASMLホールディング、木曜17日は台湾でTSMCが決算発表を予定している。この先、グローバルで半導体株の動きが良くなるかどうかが注目される。
(15日終値)
ドル・円相場:1ドル=148.88円(前営業日比△1.16円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=172.71円(△0.39円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1601ドル(▲0.0063ドル)
ダウ工業株30種平均:44023.29ドル(▲436.36ドル)
ナスダック総合株価指数:20677.80(△37.47)
10年物米国債利回り:4.48%(△0.05%)
WTI原油先物8月限:1バレル=66.52ドル(▲0.46ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3336.7ドル(▲22.4ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月米消費者物価指数(CPI)
(前月比) 0.3% 0.1%
(前年同月比) 2.7% 2.4%
エネルギーと食品を除くコア指数
(前月比) 0.2% 0.1%
(前年同月比) 2.9% 2.8%
7月米ニューヨーク連銀製造業景気指数
5.5 ▲16.0
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は3日続伸。米労働省が発表した6月米消費者物価指数(CPI)は前月比0.3%/前年比2.7%と予想の前月比0.3%/前年比2.6%を前年比で上回った一方、エネルギーと食品を除くコア指数は前月比0.2%/前年比2.9%と予想の前月比0.3%/前年比2.9%を前月比で下回った。結果は概ね予想に沿った内容となり、インフレの抑制を示したが、関税の影響を巡る懸念は払拭されず、米連邦準備理事会(FRB)が当面は金利を据え置くとの観測が広がった。
一時4.39%台まで低下していた米10年債利回りが4.48%台まで上昇すると、全般ドル買いが活発化し、0時30分過ぎには149.02円と4月3日以来約3カ月半ぶりの高値を更新した。レジスタンスとして意識されていた6月23日の高値148.03円や5月12日の高値148.65円を上抜けたことで、テクニカル的にも買いが入りやすい地合いとなった。
市場では「20日に投開票される参議院選挙を巡る不透明感も円売り・ドル買いを促している」との声が聞かれた。最新の世論調査では与党が過半数維持に向けて厳しい戦いとなっており、財政拡張を訴える野党との協調が必要になるとの見方から円売りが出ているもよう。
・ユーロドルは5日続落。米CPIの結果を受けて米長期金利が上昇すると全般ドル買いが優勢となり、2時30分前に一時1.1593ドルと6月25日以来の安値を付けた。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時98.70と6月23日以来の高値を更新した。
なお、トランプ米大統領は「消費者物価は低い」として、FRBに改めて利下げを要求した。
・ユーロ円は3日続伸。ドル円の上昇につれた買いが入ると一時173.08円と昨年7月以来1年ぶりの高値を付けたものの、ユーロドルの下落につれた売りが出ると172.63円付近まで伸び悩んだ。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は反落。6月米CPIの結果を受けて、FRBの利下げ再開時期が後ずれする可能性が意識されると株売りが広がった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は続伸し、史上最高値で取引を終えた。中国向け人工知能(AI)半導体「H20」の出荷再開計画を発表したエヌビディアが上昇すると、他の半導体株にも買いが波及した。
・米国債券相場で長期ゾーンは4日続落。6月米CPIは概ね市場予想通りだったものの、米関税政策が物価上昇圧力につながるとの見方は根強く、債券売りが広がった。
・原油先物相場は続落。6月米CPIは概ね予想通りであったが、関税の影響を巡る懸念は払拭されず、FRBの早期利下げ観測が後退。これを受けて対ユーロでドル高が進行すると、原油は売り優勢となった。米国による対ロシア制裁を巡る過度な警戒感が後退していることも、重しとなった。
・金先物相場は続落。6月米CPIは概ね予想通りであったが、関税の影響を巡る懸念は払拭されず、FRBの早期利下げ観測が後退。これを受けてドル買いが優勢となる中、ドル建てで取引される金の割高感が意識されて売りが優勢となった。
15日08:53 メキシコ政府
「米国によるトマト輸入への関税決定は不当」
「米国との合意を引き続き目指す」
15日12:14 赤沢経済再生相
「日米交渉、国益守りながら合意の可能性を精力的に探る」
「大阪万博の米ナショナルデーの政府参加者は調整中」
15日20:11 ベッセント米財務長官
「米大統領の言う通り、パウエルFRB議長の解任は検討されていない」
「中央銀行の独立は政策において非常に重要」
「FRB議長の後任候補を選定する正式なプロセスがすでに始まっている」
「素晴らしい候補者が多くいて、どの程度急速に進展するか見てみたい」
「パウエル氏が議長の任期終了後もFRBに残れば混乱を招く」
15日23:08 トランプ米大統領
「今すぐFRBの金利を下げろ」
「『消費者物価は低い』として、FRBに改めて利下げを要求」
16日02:03
「インドネシア産品に19%の関税を賦課へ」
「パウエル氏は遅すぎる」
「EUとは(通商協議)進展しているが、すでに書簡はある」
15日23:39 マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員
「インフレは依然として課題」
「2%のインフレ目標を達成するためには金融政策を継続することが重要」
※時間は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○08:45 ◎ ローガン米ダラス連銀総裁、講演
○15:00 ◎ 6月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%/前年比3.4%)
○15:00 ◎ CPIコア指数(予想:前年比3.5%)
◇ 小売物価指数(RPI、予想:前月比0.3%/前年比4.3%)
○18:00 ◇ 5月ユーロ圏貿易収支(予想:季節調整前130億ユーロの黒字/季節調整済140億ユーロの黒字)
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○20:00 ◇ 5月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比4.4%)
○21:00 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○21:15 ◇ 6月カナダ住宅着工件数(予想:26.25万件)
○21:30 ◎ 6月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比2.5%)
◎ 食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.7%)
○22:15 ◎ 6月米鉱工業生産(予想:前月比0.1%)
◇ 設備稼働率(予想:77.4%)
○22:15 ◎ ハマック米クリーブランド連銀総裁、講演
○23:00 ◎ バー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○17日03:00 ◎ 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
昨日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3日続伸し、一時149.02円まで上昇した。6月米消費者物価指数(CPI)はほぼ予想に沿った結果であり、米連邦準備理事会(FRB)が政策金利を据え置くとの観測が広がった。米長期金利が上昇によるドル買いで、ユーロドルも1.1593ドルまでユーロ安ドル高が進んだ。
本日の東京タイムでも、先週末から強まったドル高・円安の流れは基本維持されるだろう。ただしドル円は、海外市場で大きく上昇した後の東京市場が調整の場になることも多い。11日からの3営業日で上昇幅は3円近くにも達しており、ある程度の下向きの動きは念頭に入れておきたい。
昨日の6月米CPIを受けて、直近の米金融政策に対する見通しは変わっていないが、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)については見方が分かれている。CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によれば、7月末のFOMCにおいて政策金利据え置きはほぼ確定。ただ9月会合については、0.25%利下げ織り込み度は前日から4ポイント程度下がり、金利引き下げ見通しは5割を上回った程度だ。
フェドウォッチの年末にかけての見通しは、前回6月のFOMCにおいて委員会メンバーが示した「2回の利下げ」を依然として織り込んでいる。ただし、6月CPI発表後の米長期金利の動きをみる限り、トランプ関税による不確実性が残るなかで金利先安観は強まり難いということなのだろう。そうなると、米金利の面からドルの底堅さは続くことになる。
トランプ米大統領は昨日も消費者物価は低いとし、FRBに改めて利下げを要求した。もっとも、お決まりの文句に市場の反応は限定的。また昨日は、ベッセント米財務長官が「中央銀行の独立は政策において非常に重要」との見解を示し、トランプ大統領がもたらす市場の不安感を薄めている。なおベッセント氏は、「FRB議長の後任候補を選定する正式なプロセスがすでに始まっている」と明らかにしたものの、「米大統領の言う通り、パウエル氏のFRB議長解任は検討されていない」と述べた。
このところの円安基調は、20日投開票が実施される参院選を巡る政局不透明感も影響しているもよう。選挙に向けた複数の世論調査で、与党不利との見通しが示されている。直近の調査では自民、公民が非改選を合わせても過半数維持が微妙ということだ。
野党が掲げる財政拡大政策を警戒し、本邦の超長期債相場は軟調な地合いが続いている。債券利回りは上昇しているため、東京タイムでは円高に傾く場面も見受けられるが、それも一時的。ここから与党が一気に支持率を回復するとは思えず、今週はまだ暫く、同じような動きが続くことになりそうだ。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 39600 -60 (-0.15%)
TOPIX先物 2821.0 -5.0 (-0.17%)
シカゴ日経平均先物 39615 -45
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
15日の米国市場はNYダウ、 S&P500が下落した一方で、ナスダックは上昇。6月の米消費者物価指数(CPI)は前月比0.3%上昇し、予想と一致した。食品とエネルギーを除くコア指数は同0.2%上昇と予想(0.3%上昇)を下回ったが、自動車価格の下落によるためで、関税措置の影響を受けやすい一部製品は高い伸びをみせている。そのため、米連邦準備理事会(FRB)は利下げ判断に慎重な姿勢を維持するとの観測が強まった。米長期金利は4.49%と約1カ月ぶりの高水準をつける場面があり、相対的な割高感が意識された。
決算発表を受けて、JPモルガン・チェース<JPM>やウェルズ・ファーゴ<WFC>、ブラックロック<BLK>など金融株の下げが目立った。一方、エヌビディア<NVDA>は4%を超える上昇をみせ、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ<AMD>やブロードコム<AVGO>など他の半導体株も買われ、ナスダックは連日で最高値を更新した。
S&P500業種別指数は半導体・同製造装置、ソフトウエア・サービス、テクノロジー・ハード・機器が上昇した半面、医薬品・バイオテクノロジー、耐久消費財・アパレル、素材、自動車・同部品の下げが目立った。NYダウ構成銘柄では、エヌビディアのほかマイクロソフト<MSFT>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、アップル<AAPL>が買われた。一方、アメリカン・エキスプレス<AXP>、ホーム・デポ<HD>、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、メルク<MRK>、トラベラーズ<TRV>が軟調。
シカゴ日経平均先物清算値は大阪比45円安の3万9615円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比20円安の3万9640円で始まった。その後はロング優勢の流れが続き、米国市場の取引開始後には3万9810円まで買われた。買い一巡後は軟化し、日中終値を挟んで3万9600円~3万9750円辺りで保ち合いを継続。終盤にかけて3万9570円まで売られる場面もあり、3万9600円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや売り先行で始まりそうだ。ただし、米国では半導体株の一角が買われており、アドバンテスト<6857.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株の下支えとなりそうだ。前日の後場からはNTショートを巻き戻す形でリバランスの動きが目立っていたこともあり、日経平均型の底堅さが意識されそうである。
日経225先物はナイトセッションで3万9810円まで買われ、ボリンジャーバンドの+1σ(3万9930円)に接近する場面もみられた。同バンドと中心値となる25日移動平均線(3万9230円)との推移を継続するなかで、レンジ上限を試す動きが意識されそうだ。そのため、オプション権利行使価格の3万9375円から3万9875円のレンジを想定。3万9500円処で底堅さがみられるようだと、4万円を視野に仕掛けてくる動きも意識しておきたい。
15日の米VIX指数は17.38(14日は17.20)に上昇した。ただ、16.56まで下げる場面もみられ、抵抗線として機能している25日線(17.92)を下回っての推移だった。同線に上値を抑えられる形での推移であり、リスク選好に向かわせやすいだろう。
昨日のNT倍率は先物中心限月で14.03倍に上昇した。前場は支持線として意識されていた25日線(13.96倍)を割り込み、13.90倍まで低下する場面もみられた。しかし、後場に入りリバランスによりNTショートを巻き戻す動きが強まり、200日線(14.03倍)水準を捉えてきた。200日線を突破してくるようだと、NTロングに振れやすくなりそうだ。
東京市場は一進一退か。米国株はまちまち。ダウ平均とS&P500は下落した一方、ナスダックは上昇した。エヌビディアなど半導体株が買われた一方、決算を材料に金融株が売りに押された。6月消費者物価指数(CPI)は市場予想並みの結果となったが、結果を受けた米10年債利回りは上昇。ドル円は足元148円90銭近辺と円安(ドル高)に振れている。CME225先物は円建てが45円安の39615円、ドル建てが5円高の39665円で取引を終えた。
米3指数がまちまちの反応となったことで、日本株は強弱感が交錯しそう。米長期長期が上昇してもナスダックはプラスで終えた。ただ、エヌビディアは「H20」の中国向け輸出再開見通しを発表したことが買い材料となったが、これについてはきのうの東京市場で先んじて消化している。なお、本日は欧州でASMLホールディングが決算発表を予定している。ダウ平均の下落はネガティブだが、円安は日本株を下支えする。強気にも弱気にも傾きづらく、プラス圏とマイナス圏を行き来するような方向感に欠ける地合いが続くと予想する。日経平均の予想レンジは39450-39800円。
米政府はブラジルの貿易政策に関して通商法301条(セクション301)に基づく不公正貿易慣行調査を開始した。1974年通商法に基づく条項で、アメリカ企業や労働者が海外の不公正な貿易政策によって不利益を被ることを防ぐことにあります。米国通商代表部(USTR)が調査し、協議を行っても問題が解決しない場合、大統領が関税引き上げや輸入制限といった制裁措置を決定できる。
日経225先物は11時30分時点、前日比40円安の3万9620円(-0.10%)前後で推移。寄り付きは3万9600円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万9615円)にサヤ寄せする形から、やや売りが先行して始まった。寄り付き直後に3万9740円まで買われた後は軟化し、3万9510円まで売られたが、中盤にかけてプラス圏を回復し3万9770円まで切り返す場面もみられた。ただし、買い一巡後は再びショート優勢となり、終盤にかけては3万9620円~3万9660円辺りで推移。
日経225先物は、オプション権利行使価格の3万9625円を中心とした上下の権利行使価格となる、3万9500円から3万9750円での推移となっている。スキャルピング中心のトレードであり、積極的にトレンドを取りに行く動きは限られている。3万9500円での底堅さがみられるなかで、ボリンジャーバンドの+1σ(3万9930円)に接近する場面は意識されそうである。
NT倍率は先物中心限月で14.06倍に上昇した。200日移動平均線(14.03倍)を上回っており、NTショートを巻き戻す動きが続きそうである。東京エレクトロン<8035.T>[東証P]、アドバンテスト<6857.T>[東証P]、レーザーテック<6920.T>[東証P]が日経平均型を支えており、NTロングでのスプレッド狙いに向かわせそうだ。
昨日の海外市場では、注目の6月米CPIが公表されたわけですが、公表直後のファーストリアクションとしては、米金利の低下とともにドル売り。ただ、直ぐにも米金利が一転して上昇するにつれてドル全面高へと反転していきました。ドル円は米10年債利回りの4.3915%への低下を受けて147.68円まで下押したものの、その後は利回りが4.4893%まで急激な上昇に転じるなか、目先のレジスタンスレベルとして意識されていた6月23日の高値148.03円や5月12日の高値148.65円を上抜けて一気に149.02円まで買い上げられています。
6月米CPIはヘッドラインが2.7%と予想の2.6%を上回った一方、コアの前月比が0.2%と予想の0.3%を下回る結果。市場が発表直後に上下に振らされた要因となりましたが、ただ、いずれも年率では5月から確実に上昇に転じているわけで、債券市場参加者に言わせれば「詳細をみると、ついに関税の影響が反映し始めている。7月、8月はかなりその影響が強まる可能性がある」との判断だったようで、これまでトランプ米大統領を筆頭に展開されてきた「関税の影響は一時的で軽微」との認識を前提とした米金融政策に対する恫喝や批判に整合性を与えることが難しくなったといったところ。
米大統領への忖度を必要としていない米債券市場の答えをもとに、ドル円もようやく先週から本格化し始めた模様の米HF勢による円ロングポジションの巻き戻しの動きへと繋がっていきました。チャート上の節目を上抜けたことによるテクニカル的な買戻しも余儀なくされているわけで、本日のアジア市場でも、安値がNY時間高値からの下押しレベルである148.71円に面合わせしたのみといった底堅い動きが続いています。
いずれにしても、ドル円は更なる重要なレジスタンスレベルである200日MAが位置する149.72円が意識されていますが、3月28日の高値151.21円や3月3日の高値151.30円もまた、念頭に入れておく必要がある相場展開となってきています。
中国政府は14-15日、中央都市工作会議を北京で開き、習近平国家主席が都市政策の基本方針を示した。内包的成長と都市更新を軸に「現代化人民都市」の建設を掲げ、数量拡大から質の向上へと発展モデルの転換を鮮明にした。
国営新華社によると、習主席は会議で、新時代に入ってからの都市発展の成果を総括。都市を有機的生命体と捉え、住民本位の開発を強調した。李強首相は総括発言で、習主席の講話に基づく実行計画を提示した。
会議では今後の都市政策の総合目標として、革新性や居住性、強靭性、文明性、スマート性などを備えた都市づくりを進める方針を打ち出した。都市の質向上や構造転換を重視し、都市の安全を守りながら、中国独自の現代化モデルを確立するという。
会議では重点課題として7分野を提示した。第1に都市群や都市圏の形成による空間構造の最適化、第2に新質生産力を育成する革新都市の構築、第3に不動産制度の見直しや公共サービスの強化による居住環境の改善を挙げた。第4に環境汚染対策の徹底や生物多様性の向上、第5に老朽インフラの改修や防災体制の強化による安全都市づくり、第6に歴史文化の保護と都市文化の育成、第7に行政サービスのデジタル化を通じたスマート都市の推進を盛り込んだ。
あわせて都市政策の実行には共産党の全面的な指導が不可欠とし、リーダーシップ体制や政策の整合性を強化する必要性を訴えた。都市発展の評価制度を整備し、形式主義や官僚主義の排除も掲げた。
足もとのドル高・円安の流れを受けて、ポンドドルは6月23日以来の安値水準となる1.34ドル割れまで弱含んだが、ポンド円はドル円の上昇を支えに199円を挟んで底堅い動き。ポンド独自に英財政リスク懸念やイングランド銀行(英中銀、BOE)の利下げ観測の高まりによる売り圧力も強い。
市場ではBOEの次回8月会合で利下げ予想が優勢となりつつある中、本日発表の英6月消費者物価指数(CPI)の結果に注目。5月CPIはほぼ市場予想通りの結果となるも、コア指数は前年比3.5%と前月から0.3%減速し、BOEが重視するサービス価格インフレ率は前月の5.4%らか4.7%に低下した。6月のCPIは5月並みの水準が予想されているが、低調な結果になると利下げ観測は一層高まり、ポンドに売り圧力が強まりそうだ。
昨日に英小売協会(BRC)が発表した6月の現金ベースの支出は前年同月比3.1%と、5月の1.0%から伸びが加速し、今年2番目の大幅増加となった。例年より猛暑で扇風機や夏物衣料の需要が伸びて消費支出が押し上げられた。食品価格も上昇しており、CPIの大幅な伸びの鈍化は想定しにくいか。
ポンドは英CPIの結果に反応を示した後は目線が明日の雇用データに向けられそうだ。前回発表の2-4月の賃金は前年比5.2%と伸び率は2024年第3四半期以来の低水準となり、2-4月の失業率は4.6%と2021年5-7月以来の高い水準となった。明日の雇用データが英労働市場に減速の兆しが鮮明になりつつあることが示されれば、8月会合での利下げはほぼ確実になる可能性がある。ベイリーBOE総裁は14日の英紙タイムズインタビューで、英国の雇用市場が中銀の想定以上の速さで悪化した場合には、より大幅な利下げに踏み切る可能性があると示唆した。
・想定レンジ上限
ポンドドルは14日高値1.3504ドルや日足一目均衡表・転換線1.3530ドル。ポンド円は心理的節目の200.00円や昨年7月24日高値201.19円。
・想定レンジ下限
ポンドドルは90日移動平均線1.3325ドルや5月19日安値1.3245ドル。ポンド円は日足一目均衡表・転換線198.30円や21日移動平均線197.82円。
ドル円:1ドル=148.82円(前営業日NY終値比▲0.06円)
ユーロ円:1ユーロ=172.93円(△0.22円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1620ドル(△0.0019ドル)
日経平均株価:39663.40円(前営業日比▲14.62円)
東証株価指数(TOPIX):2819.40(▲5.91)
債券先物9月物:137.96円(△0.04円)
新発10年物国債利回り:1.570%(▲0.015%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は上値が重い。仲値に向けた買いが観測されたほか、一時はマイナス圏に沈んだ日経平均株価が持ち直したことも支えに149.18円まで値を上げた。もっとも、約3カ月ぶりの高値圏とあって持ち高調整売りなども入り、一巡後は148.66円まで失速。時間外の米10年債利回りが小幅に低下したことも相場の重しとなった。
・ユーロドルは小高い。前日まで売りに押された反動が出た。米長期金利の低下もドル売りを促し、一時1.1624ドルまで値を上げた。また、ポンドドルも1.3414ドルまで上昇。6月英消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ったことを受けて買いが入った。
・ユーロ円は伸び悩み。ドル円が上値を試したタイミングで一時173.24円と昨年7月以来の高値を更新したが、その後は172.70円台まで上値を切り下げた。
・日経平均株価は小幅反落。前日終値を挟んで神経質に上下した。昨日のダウ平均が下落した影響で売りに押される場面もあったが、その後は買い戻しが入った。オランダの半導体製造装置大手、ASMLホールディングの決算発表を控えて半導体関連株に買いが入り、指数は一時240円超高まで反発。ただ、引けにかけては伸び悩み、再びマイナス圏に沈んだ。
・債券先物相場は4営業日ぶりに反発。昨日の米国債券相場が下落した流れを引き継いで売りが先行したものの、超長期債に割安感を手掛かりにした買いが入るとプラス圏に浮上した。
「ゴルフを単なる遊びと考える教養のない人間ほど平気でスコアを誤魔化す」
(サー・ロバート・フリントン)
「ゴルフほどプレーヤーの性質が現れるものはない。しかもゴルフでは、それが最善と最悪の形で現れるのだ」(バーナード・ダーウィン)
「私はゴルフでスコアを誤魔化している。なぜなら、他の連中も誤魔化しているからだ」
(トランプ米大統領)
世界共通のルールブックである『ゴルフ規則』の第1章の冒頭には、「ゴルフの精神」が記されている。
「ゴルフはほとんどの場合レフェリーの立ち会いなしに行われる。また、ゴルフゲームは、プレーヤーの一人一人が他のプレーヤーに対して心くばりをし、ゴルフ規則を守ってプレーするというその誠実さに頼っている。プレーヤーはみな、どのように競い合っているときでもそのようなことに関係なく、礼儀正しさとスポーツマンシップを常に示しながら洗練されたマナーで立ちふるまうべきである。これこそが正に、ゴルフの精神なのである。」
1. 『Commander in Cheat』(イカサマ司令官)
米国のベテラン・スポーツ記者リック・レイリー氏が、トランプ米大統領の周辺の100名程度の人物への取材を基に著した『Commander in Cheat』(イカサマ司令官)は、米国大統領を「Commander in Chief」(最高司令官)と定義する米国憲法第2条に由来している。
レイリー氏は、「トランプ米大統領のやるインチキは、最高レベルだ」と批判している。
「トランプは他の人間が見ているときにも見ていないときにも、インチキをする。トランプは人にどう思われるかなど御構いなしでインチキをする。トランプがインチキをするのは、それが彼のゴルフのやり方だからで。トランプと一緒にゴルフをやるなら、彼は必ずインチキをすることを覚悟しなければならない」
しかし、トランプ米大統領は、「私はゴルフでスコアを誤魔化している。なぜなら、他の連中も誤魔化しているからだ」と公言しており、インチキゴルフは周知の事実であり、トランプ米大統領からのクレームはないらしい。
大統領のキャディー達は、大統領をサッカーの「ペレ」と呼んでいるらしい。
すなわち、ボールが池に入ったり、林の中に入ったり、バンカーの中に入った場合、先回りして足でフェアウェイの真ん中に蹴り出しているらしい。
また、トランプ米大統領のゴルフ関連経費は以下の通りとなっている。
・第1期(2017年~2020年):1億5150万ドル
・第2期(2025年1月20日~7月14日):5600万ドル
2. コール・ハマー選手
元世界アマチュアランキング1位の25歳コール・ハマー選手は、20年の全英オープンと全米オープンにアマチュアとして参戦した経歴の持主だが、現在はポイントランク77位に低迷している。ハマー選手が、メモリアルヘルス選手権初日の17番パー3で、ティーショットを打った後、同伴プレーヤー(アルゼンチンのネルソン・レデスマ)のキャディが4本の指を立て「4アイアン?」と尋ねた。本能的にハマー選手もジェスチャーで肯定した。
ゴルフ規則10条2項aでは、プレーヤーが自分のキャディ以外にアドバイスを与えたり尋ねたりすることを禁じている。
すなわち、ハマー選手が同伴プレーヤーのキャディに対して、使用クラブを教えたことは規則違反となる。翌朝、ハマー選手は、プレー後にモヤモヤしたので競技委員に、番手を教えたことを伝えた。競技委員は、ハマー選手とレデスマ選手に失格を伝えた。
ハマー選手は、「胸のつかえが取れて気分が楽になりました。でもレデスマまで失格になるとは思っていなかった。自分がサイン(番手の助言)を出したので僕だけが失格になると思っていたのに」とレデスマ選手を気遣った。
レデスマ選手とキャディは「ルール上今回の決定は正しい。受け入れる以外ない」と潔く認めた。
大阪9月限
日経225先物 39590 -70 (-0.17%)
TOPIX先物 2816.5 -9.5 (-0.33%)
日経225先物(9月限)は前日比70円安の3万9590円で取引を終了。寄り付きは3万9600円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万9615円)にサヤ寄せする形でやや売りが先行した。寄り付き直後に3万9740円まで買われた後は軟化し、3万9510円まで売られたが、前場中盤にかけてプラス圏を回復し3万9770円まで切り返す場面もみられた。
買い一巡後は再びショート優勢となり、前場終盤にかけては3万9620円~3万9660円辺りで推移。後場中盤にロングの動きが強まり、3万9910円まで買われる場面もみられたものの、終盤にかけてはロングの解消によって3万9600円を割り込んでいる。
日経225先物は、オプション権利行使価格の3万9625円を中心とした上下の権利行使価格となる、3万9500円から3万9750円での推移が続くなか、後場中盤にかけてレンジを上抜け、ボリンジャーバンドの+1σ(3万9930円)に接近する場面がみられた。同バンドに接近した後は終盤にかけてロングの解消が強まり、後場に入ってからのリバウンド分を帳消しにした。スキャルピング中心のトレードのため、ポジション解消の速さが目立つ形だった。
エヌビディア<NVDA>など米半導体株が買われた影響が大きいものの、後場半ばにオランダの半導体製造装置大手ASMLホールディング<ASML>の決算発表が控えていたこともあり、東京エレクトロン<8035.T>[東証P]やアドバンテスト<6857.T>[東証P]、レーザーテック<6920.T>[東証P]などには先回り的な買いが入っていた。ASMLホールディングの決算発表後に半導体株が弱含んだことが、日経平均型の重荷になっている。
もっとも、短期の資金が中心とみられるため、ポジションは解消されているだろう。日経225先物は+1σ接近後に軟化したものの、3万9500円辺りでの底堅さは意識されていた。参院選の投開票日を控えてポジションを傾ける動きは限られようが、3万9500円から4万円辺りでのレンジ推移が想定されよう。
NT倍率は先物中心限月で14.05倍に上昇した。200日移動平均線(14.03倍)を上回っており、NTショートを巻き戻す動きが強まった。一時14.10倍まで切り上がり、+1σ(14.10倍)を捉えている。東京エレクトロンなど指数インパクトの大きい値がさハイテク株の影響が大きいものの、200日線で底堅さがみられるようだと、NTロングでのスプレッド狙いに向かわせそうだ。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万7271枚、ソシエテジェネラル証券が1万2013枚、サスケハナ・ホンコンが3465枚、モルガンMUFG証券が2058枚、日産証券が1809枚、JPモルガン証券が1753枚、SBI証券が1646枚、バークレイズ証券が1362枚、野村証券が1224枚、ビーオブエー証券が1067枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が1万6758枚、ソシエテジェネラル証券が1万5569枚、バークレイズ証券が5515枚、JPモルガン証券が4325枚、モルガンMUFG証券が3563枚、ゴールドマン証券が1513枚、シティグループ証券が1207枚、ビーオブエー証券が1085枚、野村証券が648枚、SBI証券が624枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、米6月米卸売物価指数(PPI)がポジティブサプライズだった場合の200日移動平均線149.72円の攻防に警戒する展開が予想される。
6月米PPIは前月比+0.2%、前年比+2.5%と予想されており、5月の前月比+0.1%からは上昇、前年比+2.6%からは伸び率の鈍化が見込まれている。
6月米PPIが予想を上回るポジティブサプライズだった場合は、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ確率が、現時点の52%台からさらに低下することで、ドル円は、200日移動平均線149.72円を上抜ける可能性が高まることになる。
ドル円が200日移動平均線を上抜けた場合は、シカゴIMM筋の円のネット買い持ちポジション(※7/8時点:116155枚)が手仕舞われる可能性に警戒しておきたい。
ドル円相場の道標ともいえるシカゴIMMの円のネット買い持ちポジションは、4月29日時点の過去最大規模の179212枚から減少傾向にあるが、昨年7月には過去最大の円のネット売り持ちポジションが手仕舞われたことで、夏休み前の手仕舞いという日柄にも警戒しておきたい。
また本日は、ハマック米クリーブランド連銀総裁やバー米連邦準備理事会(FRB)理事の講演が予定されており、6月の消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)を受けた利下げ時期への言及にも注目しておきたい。
パウエルFRB議長は、前回のFOMCの後に、インフレが夏にかけて上昇するとの見通しを示して、「この夏、6月の数字と7月の数字によって状況が分かり始めるだろう」として利下げを急がない姿勢を維持していた。
さらに、7月29-30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の判断材料となる米地区連銀経済報告(ベージュブック)にも注目しておきたい。
前回の地区連銀経済報告での景気判断は、「ほとんど停滞」から「わずかながら減退」へ引き下げられており、景気減退が認知されていた。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、150.49円(4/2高値)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、148.03円(6/23高値)
今晩は引き続き物価指標と金融機関の決算に注目。昨日は中国向けAI半導体の輸出再開見通しを発表したエヌビディアが大幅高となり、ナスダック総合が取引時間中と終値の史上最高値を更新した。一方、6月消費者物価指数(CPI)が市場予想とほぼ一致したものの、4カ月ぶりの高水準となったほか、関税導入による先行きの物価上昇懸念が強まったことでダウ平均とS&P500が反落した。注目された大手金融機関の決算発表は好悪まちまちで、シティグループが3%超上昇した一方、ウェルズ・ファーゴとブラックロックが5%超下落し、予想を上回る決算を発表したJPモルガン・チェースも1%近く下落した。
今晩の取引ではインフレ動向や利下げ見通しを巡り6月生産者物価指数(PPI)が注目されるほか、ゴールドマン・サックスやバンク・オブ・アメリカなどの大手金融機関の決算発表に引き続き注目する展開か。6月PPIの市場予想は前年比+2.5%と5月の+2.6%から鈍化が見込まれ、変動の大きい食品、エネルギーを除くコアPPIも+2.7%と前月の+3.0%から伸びの鈍化が見込まれているが、予想を上回る伸びとなれば利下げ期待の後退が引き続き相場の重しとなりそうだ。
今晩の米経済指標・イベントは6月PPIのほか、MBA住宅ローン申請指数 、6月鉱工業生産、米地区連銀経済報告(ベージュブック)など。このほか、バー米連邦準備理事会(FRB)理事、バーキン米リッチモンド連銀総裁、ハマック米クリーブランド連銀総裁の講演も予定されている。企業決算は寄り前にジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、ゴールドマン・サックス、バンク・オブ・アメリカ、モルガン・スタンレー、引け後にユナイテッド・エアラインズなどが発表予定。
日経平均株価は小幅反落。取引時間中は上値を伸ばす場面があったが、後場の中盤あたりからは上げ幅を縮小する展開となった。10日移動平均線(39671円 7/16)や一目均衡表の転換線(39650円 同)付近まで押し戻されて終えた。
RSI(9日)は前日の46.1%→44.3%(7/16)に低下。4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇が続いており、25日移動平均線(39256円 同)付近からの反発継続に期待したいところである。39600円~39700円水準は強い抵抗帯だが、抵抗帯をジャンプアップして陽線を形成できるかが目先の注目点となる。
上値メドは、心理的節目の4万円、6/30高値(40852円)、昨年7/17安値(41054円)、心理的節目の42000円などがある。下値メドは、25日移動平均線や基準線(39196円 同)、6/18高値(38885円)、心理的節目の38500円、200日移動平均線(38140円 同)、6/13安値(37540円)などがある。
16日の日経平均は反落。終値は14円安の39663円。小高く始まるも、買いが続かず前場ではプラス圏とマイナス圏を行き来した。半導体株には強い動きが見られた一方、プライムでは値下がり銘柄が多く、強弱感が交錯した。後場に入ると半導体株が一段と買われたことで、200円超上昇する場面があった。しかし、ASMLホールディングの決算が伝わった14時辺りからは失速。下げに転じる半導体株も出てくる中、指数も値を消してマイナス圏に沈んだ。後場の上昇分を吐き出した後は前日終値近辺でのもみ合いが続き、小幅な下落で取引を終えた。
東証プライムの売買代金は概算で4兆3900億円。業種別ではその他製品、情報・通信、食料品などが上昇した一方、不動産、パルプ・紙、証券・商品先物などが下落した。1Qが大幅増益となったオープングループ<6572.T>が急騰。半面、1Q決算が市場の期待に届かなかったテラスカイ<3915.T>が急落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり568/値下がり994。主力どころではフジクラ、良品計画、IHI、任天堂などが強めの上昇。半導体株は値動きが荒くなったが、東京エレクトロンやアドバンテストはプラスを確保した。通期見通しを引き上げた東宝が跳ねており、東映や東映アニメーションなど映画関連に連想買いが入った。上期が計画を上振れた串カツ田中が急騰。リリースを材料にヘリオスがストップ高となった。
一方、強く買われる場面もあったレーザーテックが後場に崩れて5%安。米国で金融株が決算を材料に売られたことから、三菱UFJや三井住友など銀行株が軟調となった。米国では長期金利上昇を受けて住宅関連も弱く、住友林業が大幅安。三井不動産や三菱地所など不動産株も総じてさえない動きとなった。1Qが大幅減益となったヨシムラフードが急落した。
日経平均は小幅安。半導体株の影響を大きく受けながら、方向感に欠ける動きが続いた。参院選の投開票と三連休が迫ってきて日増しに手がけづらさが意識される中、半導体に関しては今週材料がいくつかある。そのため、良くも悪くも半導体次第といった様相が強まってくる。あすは台湾でTSMC、国内では引け後にディスコ<6146.T>が決算発表を予定している。
参院選に関しては、自公の過半数が微妙といった観測も出てきているが、政局の混乱を警戒するような売りは今のところ限定的となっている。むしろ、国内長期金利の上昇(債券売り)や円安(円売り)は、与党の大敗を織り込みにいっているようにも見える。きょうは引け味は悪かったものの、前日から水準はほとんど変化していない。終値(39663円)では5日線(39603円、16日時点、以下同じ)を上回っている。選挙前に政治を理由として日本株が崩れるリスクは低下しつつあるだけに、あすは5日線や節目の39500円より上で推移できるかに注目したい。
(16日終値:17日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=147.67円(16日15時時点比▲1.15円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=171.91円(▲1.02円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1641ドル(△0.0021ドル)
FTSE100種総合株価指数:8926.55(前営業日比▲11.77)
ドイツ株式指数(DAX):24009.38(▲50.91)
10年物英国債利回り:4.639%(△0.014%)
10年物独国債利回り:2.687%(▲0.025%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月英消費者物価指数(CPI)
(前月比) 0.3% 0.2%
(前年比) 3.6% 3.4%
CPIコア指数
(前年比) 3.7% 3.5%
6月英小売物価指数(RPI)
(前月比) 0.4% 0.2%
(前年比) 4.4% 4.3%
5月ユーロ圏貿易収支
(季調済)162億ユーロの黒字 151億ユーロの黒字・改
(季調前)162億ユーロの黒字 99億ユーロの黒字
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は乱高下。6月米卸売物価指数(PPI)の下振れを受けて米長期金利が低下すると一時148.48円まで下落したものの、押し目を拾いたい向きは多く、売り一巡後は下げ渋る展開となった。市場では「投機筋の円ロング(ドル円のショート)ポジションの偏りが警戒される中、ショートカバーが入りやすい」との声も聞かれ、23時前には148.93円付近まで持ち直した。
ただ、「トランプ米大統領は共和党議員にパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長解任の是非について尋ねた」「議員らはトランプ氏がパウエル議長の解任を示唆したと語った」「トランプ米大統領は共和党議員にFRB議長解任を求める書簡の草稿を配布した」との一部報道や、ホワイトハウス高官による「トランプ米大統領はパウエルFRB議長を近く解任する可能性が高い」との発言が伝わると全般ドル売りが活発化。0時30分過ぎに一時146.92円まで急落した。
もっとも、トランプ米大統領が「パウエルFRB議長を解任する計画はない」「パウエルFRB議長解任の可能性は極めて低い」などと述べ、一連の報道を否定すると一転ドル買い戻しが優勢に。1時過ぎには148.38円付近まで持ち直した。
・ユーロドルは荒い値動き。6月米PPIの下振れを受けて、米長期金利の指標となる米10年債利回りは4.43%台まで低下したものの、ドル売りでの反応は一時的。そのあとは全般ドル買いが優勢となり、前日の安値1.1593ドルを下抜けて一時1.1563ドルまで値を下げた。
ただ、パウエルFRB議長の解任を巡る報道が相次ぐと、再びドル売りが優勢に。0時30分過ぎには一時1.1721ドルの本日高値まで値を上げた。もっとも、トランプ米大統領が一連の報道を否定すると1.1612ドル付近まで押し戻された。
・ユーロ円は頭が重い。欧州勢が本格参入するとじりじりと値を下げ、0時30分前に一時171.85円と日通し安値を付けた。東京市場で一時173.24円と昨年7月以来1年ぶりの高値を更新したあとだけに、利益確定目的の売りが出やすかった。
売り一巡後は買い戻しがやや優勢となり、172.49円付近まで下げ渋る場面もあったが、戻りは鈍かった。3時過ぎには171.86円付近まで再び弱含んだ。
・ロンドン株式相場は小幅続落。6月英消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ったことを受けて売りが先行したあとは上げに転じる場面もあったが、戻りは鈍かった。セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株が売られたほか、コンパス・グループやパーシモンなど一般消費財サービスが値下がりした。
・フランクフルト株式相場は5日続落。オランダの半導体製造装置大手ASMLが先行きの業績に慎重な見通しを示したことをきっかけに、投資家心理が悪化。株売りが優勢となった。個別ではフォルクスワーゲン(3.66%安)やBASF(3.07%安)、ポルシェ(3.02%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は英国債が下落した一方、独国債が上昇した。
(16日終値)
ドル・円相場:1ドル=147.88円(前営業日比▲1.00円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=172.09円(▲0.62円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1641ドル(△0.0040ドル)
ダウ工業株30種平均:44254.78ドル(△231.49ドル)
ナスダック総合株価指数:20730.49(△52.69)
10年物米国債利回り:4.45%(▲0.03%)
WTI原油先物8月限:1バレル=66.38ドル(▲0.14ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3359.1ドル(△22.4ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月米卸売物価指数(PPI)
(前月比) 0.0% 0.3%・改
(前年比) 2.3% 2.7%・改
食品とエネルギーを除くコア指数
(前月比) 0.0% 0.4%・改
(前年比) 2.6% 3.2%・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は4日ぶりに反落。6月米卸売物価指数(PPI)の下振れを受けて一時148.48円まで下落したものの、押し目を拾いたい向きは多く、売り一巡後は下げ渋る展開となった。23時前には148.93円付近まで持ち直した。
ただ、「トランプ米大統領は共和党議員らとの会合でパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の解任を打診した」との報道が相次いだほか、ホワイトハウス高官が「トランプ米大統領はパウエル氏を近く解任する可能性が高い」と発言したと伝わると、FRBの独立性が損なわれ、金融政策の混乱につながるとの警戒から全般ドル売りが活発化。0時30分過ぎに一時146.92円まで急落した。
もっとも、トランプ米大統領が「パウエルFRB議長を解任する計画はない」「パウエル氏解任の可能性は極めて低い」などと述べ、一連の報道を否定すると一転買い戻しが優勢に。1時過ぎには148.38円付近まで持ち直した。そのあとは147円台後半で値動きが鈍った。
・ユーロドルは6日ぶりに反発。米PPIの下振れを受けて米長期金利が低下するとドル売りが先行したものの、反応は一時的。そのあとは全般ドル買いが優勢となり、前日の安値1.1593ドルを下抜けて一時1.1563ドルまで値を下げた。
ただ、パウエルFRB議長の解任を巡る報道が相次ぐと、全般ドル売りが優勢に。0時30分過ぎには一時1.1721ドルまで値を上げた。もっとも、トランプ米大統領が一連の報道を否定すると1.1612ドル付近まで押し戻された。
なお、FRBはこの日公表した米地区連銀経済報告(ベージュブック)で「米経済活動はわずかに拡大した」としながらも、「不確実性は依然として高く、企業の慎重な姿勢が続いている」と報告した。また、物価については「全地区で上昇した」「今後数カ月間はコストの上昇圧力が高まった状態が続くと予想し、夏後半までに消費者物価が急上昇し始める可能性が高まっている」と指摘した。
・ユーロ円は4日ぶりに反落。欧州市場で円高・ユーロ安が進んだ流れを引き継いで、0時30分前に171.85円まで下落した。そのあとは172.49円付近まで下げ渋ったものの、戻りは鈍く3時過ぎには171.84円と日通し安値を更新した。東京市場で一時173.24円と昨年7月以来1年ぶりの高値を更新したあとだけに、利益確定目的の売りが出やすかった。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は反発。6月米PPIがインフレの鈍化を示すと、買い安心感が広がった。決算内容が好感されたJ&Jが買われ、相場を押し上げた面もある。なお、パウエルFRB議長解任を巡る懸念が高まると、指数は下げに転じる場面があった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は3日続伸し、史上最高値で取引を終えた。
・米国債券相場で長期ゾーンは5日ぶりに反発。6月米PPIがインフレの鈍化を示唆すると、買いが優勢となった。ただ、パウエルFRB議長解任を巡る懸念が高まると、売りが強まる場面もあった。
・原油先物相場は3日続落。米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間の石油在庫統計で原油などの在庫が前週比で増加したことが明らかとなり、需給の緩みが意識されて売りが優勢となった。売り一巡後はプラス圏を回復するも一時的だった。
・金先物相場は3日ぶりに反発。FRB議長解任を巡る報道を受けてドル売りが優勢となる中、相対的に安全資産とされる金に買いが集まった。しかし、その後トランプ米大統領が「パウエルFRB議長を解任する予定はない」と発言すると、上げ幅を縮小した。
一部通信社が報じたところによると、「トランプ米大統領は共和党議員にFRB議長解任の是非について尋ねた」ようだ。
一部通信社が報じたところによると、「トランプ米大統領はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長解任を求める書簡を起草した」「トランプ米大統領は共和党議員にFRB議長解任を求める書簡の草稿を配布した」ようだ。
16日08:55 ローガン米ダラス連銀総裁
「基本シナリオとしては、引き続き引き締め的な金融政策を維持」
「労働市場の軟化が近いうちに利下げを必要とする可能性も」
「FRBが利下げのタイミングを誤れば、雇用を支えるためにさらなる利下げを強いられる恐れ」
「早すぎる利下げは、物価安定までの長い道のりにおいて経済に深い傷を残しかねない」
「6月のCPIデータは、FRBが目標とする2%のPCEインフレ率が上昇することを示唆」
「インフレの軟化と労働市場の弱まりが、早期の利下げを正当化する可能性も」
「関税引き上げはしばらくの間、追加的なインフレ圧力を生む公算が大きい」
「労働市場は依然として強く、財政政策は成長を後押しする」
「本当にインフレが持続的に低下していることを確認する必要がある」
16日16:38 ナーゲル独連銀総裁
「トランプ関税を巡る不確実性には、安定した手が必要」
「地政学的環境と米国との貿易摩擦が物価に与える影響は、極めて不透明」
17日00:18 ホワイトハウス当局者
「トランプ米大統領はパウエルFRB議長を近く解任する可能性が高い」
「FRB議長人事決定の具体的な時期は未定」
17日00:58 トランプ米大統領
「(パウエルFRB議長解任の意思を問われ)計画していない」
「パウエルFRB議長を解任する予定はない」
「パウエルFRB議長はひどい」
「ハセット氏はFRB議長として検討する人物だ」
「パウエルFRB議長解任の書簡を書いていない」
「パウエルFRB議長解任の可能性は極めて低い」
「原油価格1バレル64ドルは素晴らしい」
「原油価格がもう少し下がることを期待」
「150カ国以上が支払い通知を受け取る予定」
「日本とは恐らく、貿易の書簡に従うことになるだろう」
17日01:51 マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員
「インフレを鎮静化させるにはある程度の努力が必要」
「金融政策委員会(MPC)では、需要状況が実際にどのようになっているのか、それが労働市場にどう影響しているのかについて、見解が異なる」
17日03:03 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
「米経済活動はわずかに拡大した」
「5地区は小幅または緩やかな拡大、5地区は横ばい、残りの2地区は緩やかに縮小した」
「これは、半数の地区が少なくとも若干の縮小を報告した前回と比べて改善を示している」
「不確実性は依然として高く、企業の慎重な姿勢が続いている」
「見通しは中立からやや悲観的であり、活動の拡大を予想したのは2地区のみ、その他の地区は横ばいまたはやや弱い活動を予想した」
「雇用は全体的にごくわずかに増加し、1地区が小幅増加、6地区が若干増加、3地区が横ばい、2地区が若干減少した」
「採用は概ね慎重な姿勢が続いており、多くの調査対象者は、経済および政策の不確実性が続いているためだと分析した」
「賃金は全体的にわずかに上昇し、最近の傾向を引き継いでおり、横ばいから緩やかな上昇まで幅があると報告」
「今後については、不確実性が低下するまで大規模な採用やレイオフの決定を延期する意向が多い」
「物価は全地区で上昇し、7地区は中程度、5地区はやや上昇と評価しており、概ね前回の報告と同様である」
「12地区全てにおいて、企業は関税に関連した投入コストの圧力が中程度から顕著に高まっていると報告。特に製造・建設に使用される原材料のコスト圧力が高まっている」
「今後数カ月間はコスト圧力が高止まりすると予想しており、夏の終わりまでに消費者物価が急上昇し始める可能性が高まっている」
17日05:04 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「今のところ利下げは見送られるだろう」
「インフレは転換点を迎えている可能性があり、最新の消費者物価指数はインフレ圧力が高まっていることを示唆」
「関税がインフレに及ぼす影響が完全に明らかになるには、2026年までかかる可能性」
「今後の政策決定は、データに基づいて行う必要」
「インフレ率はFRBの目標に達していないため、FRBは目標を達成することで信頼性を維持する必要がある」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◎ 6月貿易統計(通関ベース、予想:季節調整前3539億円の黒字、季節調整済2747億円の赤字)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
<海外>
○07:30 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○10:30 ◎ 6月豪雇用統計(予想:失業率4.1%/新規雇用者数2.00万人)
○15:00 ◎ 6月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○15:00 ◎ 3-5月英失業率(ILO方式、予想:4.6%)
○18:00 ☆ 6月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比2.0%)
○18:00 ☆ 6月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比2.3%)
○21:00 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○21:30 ◇ 5月対カナダ証券投資
○21:30 ☆ 6月米小売売上高(予想:前月比0.1%/自動車を除く前月比0.3%)
○21:30 ◇ 6月米輸入物価指数(予想:前月比0.3%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.5万件/196.5万人)
○21:30 ◎ 7月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:▲1.0)
○23:00 ◇ 5月米企業在庫(予想:前月比横ばい)
○23:00 ◎ 7月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:33)
○23:00 ◎ クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○18日02:30 ◎ クックFRB理事、講演
○18日05:00 ◎ 5月対米証券投資動向
○主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(南アフリカ、18日まで)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
昨日のニューヨーク外国為替市場でドル円は乱高下。6月米卸売物価指数(PPI)の下振れでは148円半ばで下げ渋ったが、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の解任に関する報道で146.92円まで急落。トランプ米大統領が否定すると、148.30円台まで反発する場面があった。ユーロドルは1.1563ドルを底に1.17ドル前半まで急騰するも、一巡後は1.16ドル台で上値を切り下げた。
本日の東京タイムでドル円は、まずは財務省が発表する6月貿易統計を確認し、その後はFRB議長に関する報道には気を付けながらも結局は買い場探しとなるか。ほか豪ドル相場は、6月豪雇用統計を受けた反応が注目される。
6月貿易統計(通関ベース、季節調整前)は市場予想が3539億円の黒字。見込み通りであれば6300億円超の赤字だった5月分からは改善し、3カ月ぶりの黒字となる。ただ、今年1月に記録した2兆7500億円超の赤字が重くのしかかり、本日が予想に沿った結果だったとしても、1-6月の合計では約2兆円の赤字だ。また財務省が参考値として発表する季節調整済の貿易統計では、6月分は4カ月連続の赤字予想。貿易における需給はドル買い円売りに傾いたままと言えるだろう。
昨日のNY市場で相場を騒がせた、トランプ米大統領がパウエルFRB議長を解任する可能性については、大統領自身が否定した。ただし、これまでのトランプ氏の行動・言動を鑑みると、考えをあっさりと変える可能性はないとは言えない。昨年の米大統領選でも話題となったブロックチェーンを基とした予測市場・ポリマーケットでは、今年中にパウエル氏がFRB議長を辞めるかについて、確率が15%前後から22%前後まで上昇している。
FRB議長解任の見込み自体は低いとは言え、火のないところに煙は立たない。一部の欧州金融機関は、トランプ大統領がパウエルFRB議長を解任した場合のリスクについて警告。パウエル議長が辞職に追い込まれた場合はFRBの独立性にとって大きな打撃となり、ドルは3-4%下落するとの予測を示した。米国債も売られ、長期債利回りは30-40ベーシスポイント上昇する可能性があるとしている。
さて、日本時間10時30分に発表の6月豪雇用統計は、失業率が前回と変わらず4.1%が市場予想。一方で豪新規雇用者数は2万人増の予想と、5月分が増加予想を裏切り小幅な減少だったところから改善が見込まれている。前回は非常勤雇用者数の大幅減少が影響しており、豪準備銀行(RBA)の見立ては依然として「労働市場は強く、依然としてタイト」だ。ただし、常勤雇用者数が伸び悩むようだと、8月RBA理事会がハト派に振れるとの思惑が高まるかもしれない。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 39540 -50 (-0.12%)
TOPIX先物 2815.5 -1.0 (-0.03%)
シカゴ日経平均先物 39565 -25
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
16日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。6月米卸売物価指数(PPI)は横ばいとなり、市場予想(0.2%上昇)を下回った。米政権の関税政策がインフレにつながるとの懸念が和らぎ、買い安心感につながった。決算発表が本格化するなか、2025年12月期通期の収益見通しを上方修正したジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ>が6%を超える上昇となり、アムジェン<AMGN>やメルク<MRK>など他のヘルスケア株に買いが広がった。
S&P500業種別指数は自動車・同部品、医薬品・バイオテクノロジー、不動産が上昇した一方で、小売、エネルギー、食品・生活必需品小売の下げが目立った。NYダウ構成銘柄では、ジョンソン・エンド・ジョンソン、アムジェン、メルクのほか、キャタピラー<CAT>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>が買われた。半面、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、シェブロン<CVX>、ホーム・デポ<HD>、IBM<IBM>、JPモルガン・チェース<JPM>が軟調。
シカゴ日経平均先物清算値は大阪比25円安の3万9565円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比40円高の3万9630円で始まった。その後は3万9560円~3万9660円処で保ち合いを継続。米国市場の取引開始後に軟化し、3万9130円まで急落する場面もみられた。ただし、終盤にかけてショートカバーが優勢となり、3万9540円と下落幅を縮めてナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや売り先行で始まりそうだ。米国市場の取引開始後に急落する場面があったが、トランプ米大統領が共和党議員らとの会合でパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の解任を打診したとの報道がトリガーになった。その後、トランプ大統領が「解任の可能性は低い」と述べたため、終盤にかけて買い戻されている。
日経225先物は25日移動平均線(3万9290円)を割り込む場面もみられたが、イレギュラー的な値動きであり、オプション権利行使価格の3万9500円を挟んだ上下の権利行使価格である3万9250円から3万9750円辺りでの推移になりそうだ。トランプ大統領の発言に振らされやすい状況ではあるが、スキャルピング中心のトレードのため、下へのバイアスが強まる場面ではその後のカバーを狙った押し目狙いのロング対応となりそうだ。
トランプ大統領は、「日本は市場を開放しない」と述べるなど改めて不満を示した。8月1日に日本からの輸入品に対して25%の関税措置を発動する可能性が警戒されるなかでは、ボリンジャーバンドの+1σ(3万9950円)を意識したトレンドは期待しにくいだろう。
16日の米VIX指数は17.16(15日は17.38)に低下した。パウエルFRB議長の解任を巡る報道で一時19.48まで急伸する場面もみられ、200日移動平均線(19.63)に接近した。ただ、その後は25日線(17.91)を下回って推移しており、リスク選好に傾きやすいだろう。
昨日のNT倍率は先物中心限月で14.05倍に上昇した。200日線(14.03倍)を上回っており、NTショートを巻き戻す動きが強まった。一時14.10倍まで切り上がり、+1σ(14.10倍)を捉える場面もみられた。その後は、オランダの半導体製造装置大手ASMLホールディング<ASML>の決算を受けて値がさハイテク株が弱含んだ影響により低下したが、200日線で底堅さがみられるようだと、NTロングでのスプレッド狙いに向かわせそうだ。
東京市場は軟調か。米国株は上昇。ダウ平均は231ドル高の44252ドルで取引を終えた。6月生産者物価指数(PPI)が市場予想を下回り、インフレ長期化に対する過度な警戒が後退したことや、ジョンソン・エンド・ジョンソンが決算を受けて大幅高となったことなどが支援材料となった。ただ、トランプ大統領がパウエルFRB議長の解任を示唆したことが伝わって200ドル超下落し、大統領がそれを否定して急速に切り返すといった場面があるなど、場中の値動きは不安定となった。米10年債利回りは低下しており、ドル円は足元147円80銭近辺と円高(ドル安)に振れている。ど、CME225先物は円建てが25円安の39565円、ドル建てが20円高の39610円で取引を終えた。
米国株は上昇したが、為替市場で円安に一服感が出てきたことは懸念材料。トランプ大統領が日本に対して8月1日から25%の関税を課す意向を改めて示したことが伝わっており、こちらも買いを手控える要素となる。米国ではエヌビディアは上昇したものの、アプライド・マテリアルズやマイクロンは大きめの下落となっており、半導体株は敬遠されそう。東京市場は三連休が迫っていることもあり、米国株高を好感する動きは限られ、売りが優勢になると予想する。大きく崩れる展開は想定しづらく、節目の39500円は一定のサポートになるとみるが、終日上値の重さが意識される地合いとなるだろう。日経平均の予想レンジは39450-39750円。
昨日のパウエルFRB議長解任騒動は、お粗末極まりない状況となりました。市場ではトランプ米大統領ばかりではなく、トランプ政権自体が既にTACO状態であることを確認。トップのTACO振りが指揮系統に浸透してしまっているなか、昨日のTACO最短記録(約1時間)を生むことになったといえます。
NY勢からの話などを鑑みるに、真相は恐らく以下の通り。トランプ米大統領が共和党議員を前にして「パウエルの野郎。もう我慢ならない。解任したいんだが、皆さんは賛同してもらえるだろうか?」と打診すると、当然のように満場一致で拍手の嵐。気を良くしたトランプが「ちょっとこれを見てもらいたいんだが、米連邦住宅金融庁(FHFA)のプルート長官が解任のレター草稿を先週作ってくれたんだよ。FRBのオフィスリノベーションで不正が確認された場合には、このレターを使って解任を求めようと思っているのだがね」と参加議員にそのコピーを配布。大手新聞社やメディアがこぞって「FRB議長解任レターの草稿が配られて、すぐにも解任すると大統領が示唆した」と報道。WH高官からも「すぐの解任の可能性が高い」ことが伝わると市場は当然のように米トリプル安で反応。
ただ、トランプ米大統領がバーレーンのサルマン皇太子との会談後の記者会見で「俺、そんなこと言ってないし」と否定。「すぐ何かする計画は何もないよ。あと8か月もすれば任期が来るんだし、今すぐ解任なんて予定はないよ」とどこ吹く風の発言。市場の反応は言わずもがなといったところです。
いずれにしても、参院選を直前に控えて、ファクトチェックが流行っていますが、昨日もかかるファクトがどこにあるのかをわきまえておかないと、突然のTACO振りにそのまま振り回されることになるわけで、ファクトはまさに、キーパーソンであるベッセント米財務長官が「解任はない。来年5月の任期終了後に理事として残ってもらうことは避けたい」と明言しているほか、米利下げについては、パウエルFRB議長が6月に開催された半期に一度の議会証言において、「関税の影響で、6月、7月、8月のインフレ率が急上昇する可能性があり、もし、そういう状況にならないのであれば、早急に政策金利の調整を行う」との見解を示していることが全て。
朝令暮改どころか、朝起きてブレックファストを取った直後に発言が180度変わってしまうかもしれない朝令食改に右往左往する生産性のなさに、何とも脱力感と失望感だけが残る相場。本日のアジア市場では、ドル円は淡々と本邦実需の買いが目立つ展開となっています。
日経225先物は11時30分時点、前日比変わらずの3万9590円(±0.00%)前後で推移。寄り付きは3万9480円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万9565円)を下回る形から、売りが先行して始まった。現物の寄り付き直後に3万9350円まで売られた後はロング優勢の流れとなり、中盤にかけて3万9600円とプラス圏を回復する場面もみられた。ただし、積極的な売買は手控えられており、買い一巡後は3万9500円~3万9600円辺りでの保ち合いを継続。
日経225先物は、25日移動平均線(3万9290円)が支持線として意識されるなか、売り一巡後にプラス圏を回復する場面もみられた。ただ、アドバンテスト<6857.T>[東証P]や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株の下げが日経平均型の重荷になっている。リバウンド狙いのロングを入れにくい状況であるが、一方で3万9500円処での底堅さもみられており、ショートも仕掛けづらくさせている。スキャルピング中心のトレードであるが、3万9500円での底堅さがみられるなかで、ややリバウンドを試す場面が意識されそうである。
NT倍率は先物中心限月で14.02倍に低下した。200日線(14.03倍)水準から始まったが、ハイテク株の弱い値動きが重荷となるなかで、一時13.97倍まで低下する場面もみられた。その後は25日線(13.98倍)までの調整を経て200日線水準まで戻してきており、押し目ではNTロングでのスプレッド狙いに向かわせそうだ。
本日のロンドン為替市場では、ポンドについては序盤に発表される英雇用データを受けた動きが続きそうだ。ユーロは、トランプ関税を巡る欧米関係の行方を見据えながらの取引。また、ニューヨーク早朝(欧州昼過ぎ)には見られるであろうトランプ米大統領のSNS投稿にも、いつものように注意しておきたい。
昨日発表された6月英インフレ率は総じて予想外に高い水準となり、英中銀の利下げペースが鈍るとの思惑が広がった。来月の金融政策委員会(MPC)についても判断が難しいとの声も出てきたが、今のところ依然として0.25%利下げを予想する向きが多い。
英インフレは上振れしたものの、労働市場の状況次第では金利先安観が再び持ち上がってくるだろう。本日発表予定の3-5月英失業率(ILO方式)は予想4.6%と、前回記録した2021年以来の高い水準から変わらず。同時に発表される6月雇用統計もさえない可能性がある。というのも、今週発表された民間の月例調査で、労働市場の急速な冷え込みが示唆されたからだ。
ポンドドルは、月初の1.38ドル手前から今週は1.34ドル割れまで大きく水準を切り下げた。昨日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の解任に関する観測報道でドル安に振れた場面でも、1.35ドルには届かず。日足一目均衡表・雲の中での推移が続くようだと(上限は本日1.3460ドル)、下押し圧力が徐々に強まることになりそうだ。
ところで、欧州連合(EU)ではトランプ政権による関税強化策に対し反発を強めている。トランプ米政権が30%関税を導入した場合、フランスを含む複数のEU加盟国は強力な報復措置の発動を支持。EU内には慎重派もいるため、一気に貿易戦争へ突入とはならないだろうが、逆に欧州各国の意見の相違が顕著となれば、ユーロは買いづらくなるのではないか。
トランプ大統領のSNS投稿では、対EU関税についてやFRB議長に関するコメントが注視される。特に、パウエルFRB議長の解任は否定したものの辞めてほしいとの考えは隠そうともしておらず、強気な口調に市場は振り回されそうだ。
想定レンジ上限
・ポンドドル、16日高値1.3486ドル
・ユーロドル、16日高値1.1721ドル
想定レンジ下限
・ポンドドル、ピボット・サポート2の1.3303ドル
・ユーロドル、16日安値1.1563ドル
新規雇用者数増減
2025/06 +0.20万人
2025/05 -0.11万人 (前月発表値 -0.25万人)
失業率
2025/06 4.3%
2025/05 4.1% (前月発表値 4.1%)
常勤雇用者数
2025/06 -3.82万人
2025/05 +4.19万人 (前月発表値 +3.87万人)
非常勤雇用者数
2025/06 +4.02万人
2025/05 -4.30万人 (前月発表値 -4.11万人)
労働参加率
2025/06 67.1%
2025/05 67.0% (前月発表値 67.0%)
内閣府によると、赤沢経済再生相が19日に大阪に出張し、ベッセント米財務長官をはじめとした米代表団と話し合いが持たれると発表した。
ドル円:1ドル=148.47円(前営業日NY終値比△0.59円)
ユーロ円:1ユーロ=172.49円(△0.40円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1617ドル(▲0.0024ドル)
日経平均株価:39901.19円(前営業日比△237.79円)
東証株価指数(TOPIX):2839.81(△20.41)
債券先物9月物:138.05円(△0.09円)
新発10年物国債利回り:1.555%(▲0.015%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月貿易統計(通関ベース)
季節調整前 1531億円の黒字 6386億円の赤字・改
季節調整済 2355億円の赤字 2916億円の赤字・改
対外対内証券売買契約等の状況(前週)
対外中長期債
7593億円の取得超 1兆6591億円の取得超・改
対内株式
4460億円の取得超 6115億円の取得超・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は強含み。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の解任騒動を受けた円買い・ドル売りの動きが一巡すると、米長期金利や日本株の上昇を手掛かりにした買いが入った。朝方につけた安値147.73円から一時148.77円まで反発した。
・ユーロドルは小安い。米金利の上昇などを背景にした売りに押され、1.1579ドルまで下押しした。また、豪ドル米ドルは6月豪雇用統計がさえない結果となったこともあり、0.6470米ドルまで下落する場面も見られた。
・ユーロ円は小高い。ドル円や日本株の上昇につれて円売り・ユーロ買いが進み、一時172.67円まで値を上げた。
・日経平均株価は反発。半導体関連株を中心に売りに押されて一時300円近く下げる場面があったものの、その後は次第に下値を切り上げた。後場に入ると海外勢からの買いが観測された株価指数先物主導でプラス圏に浮上。引けまで底堅く推移した。
・債券先物相場は続伸。時間外の米長期金利が上昇したことなどを手掛かりに売りが先行したものの、この日実施された流動性供給入札を無難に消化すると買い戻しが入った。
「リーブス財務相と私は共に働き、共に考える。われわれは足並みをそろえている」
(スターマー英首相)
2025年7月1日、ポンドドルは1月の安値1.2100ドルから1.3789ドルまで上昇して、年初来高値を更新した。
ポンドドル上昇の背景には、トランプ政権が手がける政策の不確実性の高まりを嫌った英国の投資家が、米国資産から英国へ資金を還流、レパトリエーション(海外投資資金の本国への還流)を行っているからである。ユーロドルも同様に、欧州の投資家が欧州の財政拡張政策に応じて、米国資産から欧州資産へ資金を還流させていることで、1.18ドル台まで上昇してきた。しかし、ポンドドルは現時点では1.33ドル台まで反落して、中期上昇トレンドの支持線(※1.3423ドル)を割り込みつつある。
ポンドの金融緩和策と財政引き締め策というポリシー・ミックスでの売り要因を確認しておきたい。
1.イングランド銀行の金融緩和
6月19日、イングランド銀行は、地政学的な緊張が高まる中で国内の労働市場軟化と経済成長停滞を考慮して、4.25%で据え置くことを決定した。3名が0.25%の利下げ、6名が据え置きに投じた。議事要旨は、「賃金上昇が年末にかけて大幅に鈍化する」とハト派的な論調となり、「労働市場からディスインフレ圧力がかかる兆候が強まっている」と指摘した。
7月13日、イングランド銀行のベイリー総裁は、英国の雇用市場が中銀の想定以上の速さで悪化した場合には、より大幅な利下げに踏み切る可能性があると示唆した。
ベイリー総裁は、金利の「方向性は下向きだと思っている。本当にそう信じている」と述べた。その一方で「だが、われわれが『段階的かつ慎重に』という表現を使い続けるのは『なぜインフレ率が目標を上回っているのに利下げをするのか』と問う声があるからだ」と説明した。そして「もし経済の緩み(スラック)が想定よりはるかに速いペースで広がるのが確認されれば、別の結論に至るだろう」と語った。
2025年6月の英国の消費者物価指数(CPI)は前年比+3.6%と発表され、2024年1月以来の高水準を記録したことで、8月7日のイングランド銀行金融政策委員会(MPC)での政策金利据え置き観測が高まっている。
2.スターマー英政権の財政計画
リーブス英財務相は、今年の3月に、自身が導入した財政規律ルールを守るための財政余力は100億ポンド弱だと述べており、増税はしない、と繰り返し述べていた。
しかし、スターマー英政権は、与党労働党議員や右派ポピュリスト政党「リフォームUK」の圧力を受けて、リーブス英財務相の財源確保策を覆し続けており、増税を余儀なくされつつあるため、リーブス英財務相の辞任観測が台頭しつつある。
3.マサチューセッツ・アベニュー・モデル(Massachusetts avenue model)
■持続可能な現実的政策
【財政政策】 【金融政策】 【通貨政策】
1)〇緊縮 +〇引締(高金利)+〇通貨高
2)〇緊縮 +●緩和(低金利)+●通貨安
3)●積極 +〇引締(高金利)+〇通貨高
4)●積極 +●緩和(低金利)+●通貨安
■持続不可能な空想的政策
5)〇緊縮 +〇引締(高金利)+●通貨安
6)〇緊縮 +●緩和(低金利)+〇通貨高
7)●積極 +〇引締(高金利)+●通貨安
8)●積極 +●緩和(低金利)+〇通貨高
大阪9月限
日経225先物 39930 +340 (+0.85%)
TOPIX先物 2844.0 +27.5 (+0.97%)
日経225先物(9月限)は前日比340円高の3万9930円で取引を終了。寄り付きは3万9480円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万9565円)を下回る形から売りが先行した。現物の寄り付き直後に3万9350円まで売られた後はロング優勢の流れとなり、前場中盤にかけて3万9600円とプラス圏を回復する場面もみられた。
積極的な売買は手控えられ、買い一巡後は3万9500円~3万9600円辺りでの保ち合いを継続するなか、後場に入りレンジを上放れた。3万9780円まで買われた後に中盤にかけて3万9680円まで上げ幅を縮めたが、終盤にかけてロングが強まり、3万9930円と本日の高値で終えた。
日経225先物は、25日移動平均線(3万9300円)が支持線として意識されるなか、売り一巡後は底堅い値動きとなった。アドバンテスト<6857.T>[東証P]や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株の一角が日経平均型の重荷になったが、後場に入り先物主導の上昇となり、現物市場でのインデックス買いに向かわせた形である。
後場中盤以降は、台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>が発表した4-6月期決算で純利益が市場予想を上回ったほか、2025年の売上高見通しを上方修正したことがセンチメントを明るくさせた。また、為替市場で円相場が1ドル=148円台後半と円安に振れて推移していたことも支援材料となっており、短期筋のショートカバーを誘った。
これにより日経225先物はボリンジャーバンドの+1σ(3万9970円)に接近してきた。トランプ米大統領が日本からの輸入品に対して8月1日から25%の関税措置を発動する可能性を改めて示していることで、+1σ突破を狙ったロングの動きは期待しにくいだろう。ベッセント米財務長官は18日から日本を訪れ、石破茂首相への表敬訪問が予定されている。その席での関税交渉の進展はないとみられるほか、20日の参議院選挙を控えてポジションを傾けてくる動きはなさそうだ。
ただし、参議院選挙での与党苦戦が予想されており、短期的にショートが積み上がっている可能性はある。そのため、持ち高をニュートラルにする過程で+1σ水準を突破し、4万円台を回復する展開は意識しておきたいところであろう。
NT倍率は先物中心限月で14.04倍に低下した。200日線(14.03倍)水準から始まったが、ハイテク株の弱い値動きが重荷となるなかで、一時13.97倍まで低下する場面もみられた。その後は25日線(13.98倍)までの調整を経て200日線水準回復した。14.00倍を下回る場面では、その後の切り返しを想定したNTロングでのスプレッド狙いに向かわせそうだ。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万5502枚、ソシエテジェネラル証券が9143枚、サスケハナ・ホンコンが2112枚、JPモルガン証券が1983枚、SBI証券が1554枚、バークレイズ証券が1519枚、日産証券が1139枚、楽天証券が1069枚、モルガンMUFG証券が957枚、松井証券が931枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が1万8976枚、ソシエテジェネラル証券が1万7769枚、バークレイズ証券が5908枚、モルガンMUFG証券が5287枚、JPモルガン証券が4464枚、ゴールドマン証券が1905枚、SMBC日興証券が1361枚、ビーオブエー証券が1325枚、シティグループ証券が1073枚、日産証券が708枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、トランプ関税を受けた米6月小売売上高や米新規失業保険申請件数を見極めることになる。
ドル円のテクニカル分析では、攻防の分岐点である200日移動平均線149.71円の手前で、「孕み線」「トップ・リバーサル・デー」という高値反落のパターンが出現しており、本日の足型に注目しておきたい。
昨日のニューヨーク市場では、恒例となりつつある解任報道が飛び交ったパウエルFRB議長は、前回のFOMCの後の記者会見で、インフレが夏にかけて上昇するとの見通しを示して、「この夏、6月の数字と7月の数字によって状況が分かり始めるだろう」として利下げを急がない姿勢を維持していた。
6月の消費者物価指数(CPI)は前年比+2.7%(5月+2.4%)、コア指数は同+2.9%(5月+2.8%)から伸び率が加速しており、関税引き上げに伴う価格転嫁の影響が顕在化しはじめたことを示していた。
しかし、6月米卸売物価指数(PPI)は前年比+2.3%(5月+2.7%)と伸び率が鈍化しており、サプライチェーン(供給網)の川上でのトランプ関税の影響は潜在化したままだった。
本日発表される6月米小売売上高は、前月比+0.1%、自動車を除く前月比+0.3%と予想されており、川上と川下での影響がまちまちだったことで、小売り段階でのトランプ関税の影響を見極めることになる。
また、7月の雇用統計の調査対象週(7/12)の米新規失業保険申請件数(予想:23.5万件)でも、トランプ関税による雇用情勢への影響を見極めることになる。
20日の参議院選挙の投開票を控えて、石破首相は、18日に大阪万博の米国の「ナショナルデー」に参加するために来日するベッセント米財務長官と面会する予定、と報じられている。
しかし、トランプ米大統領は「日本に関しては恐らく書簡の内容通りになるだろう」と述べて、25%の上乗せ関税が8月1日に発動されるとの認識を示しており、起死回生の日米通商合意の可能性は限りなく低い。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、149.18円(7/16高値)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、146.71円(日足一目均衡表・転換線)
今晩は小売売上高とトラベラーズなどの決算発表に注目。昨日はトランプ米大統領がパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の解任を示唆したことで下落する場面もあったが、その後、大統領が解任の可能性を否定したことで買い直された。米6月生産者物価指数(PPI)が予想を下回る伸びとなり、米10年債利回りが低下したことや、利下げ期待がやや高まったことも支援となった。ダウ平均が231.49ドル高(+0.53%)、S&P500が0.32%高とともに反発し、ナスダック総合は0.25%高と3日続伸し、3日連続で終値の最高値を更新した。
今晩の取引ではナスダック総合が連日で最高値を更新し、S&P500も最高値圏にあることで高値警戒感が強まることが予想されるが、経済指標や決算発表をにらんだ神経質な展開となりそうだ。経済指標は寄り前に新規失業保険申請件数や6月小売売上高が発表予定で、弱い結果となれば景気減速懸念が強まることになる一方、利下げ期待が高まることになり、指標結果を受けた市場の反応が注目される。企業決算は寄り前にトラベラーズ、ペプシコ、GEエアロスペース、アボット・ラボラトリーズ、USバンコープなどが発表予定で、関税の影響が警戒されるなか、決算結果や発表される業績見通しに要注目となる。
今晩の米経済指標・イベントは新規失業保険申請件数、6月小売売上高のほか、6月輸入物価、7月NAHB住宅市場指数など。企業決算は寄り前にトラベラーズ、ペプシコ、GEエアロスペース、アボット・ラボラトリーズ、USバンコープ、引け後にネットフリックスなどが発表予定。
日経平均株価は反発。下落スタートから序盤は下を試しにいったが、25日移動平均線(39325円 7/17)近辺で切り返すと、後場にはプラス圏に浮上。5日移動平均線(39654円 同)を大きく上回り、節目の4万円に接近した。
RSI(9日)は前日の44.3%→53.5%(7/17)に上昇。4/7安値(30792円)を起点とした短期波動の上昇が続く中、陽線を形成して強い抵抗帯であった39600円~39700円を上回ってきた。勢いを切らすことなく4万円を超えられるかが焦点となる
上値メドは、心理的節目の4万円、6/30高値(40852円)、昨年7/17安値(41054円)、心理的節目の42000円などがある。下値メドは、25日移動平均線や基準線(39196円 同)、6/18高値(38885円)、心理的節目の38500円、200日移動平均線(38151円 同)などがある。
(17日終値:18日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=148.65円(17日15時時点比△0.18円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=172.23円(▲0.26円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1585ドル(▲0.0032ドル)
FTSE100種総合株価指数:8972.64(前営業日比△46.09)
ドイツ株式指数(DAX):24370.93(△361.55)
10年物英国債利回り:4.655%(△0.016%)
10年物独国債利回り:2.675%(▲0.012%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月英雇用統計
失業率 4.5% 4.5%
失業保険申請件数
2.59万件 1.53万件・改
3-5月英失業率
(ILO方式) 4.7% 4.6%
6月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値
(前年比) 2.0% 2.0%
6月ユーロ圏HICPコア改定値
(前年比) 2.3% 2.3%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は上値が重かった。日本株や欧州株相場の上昇を手掛かりに円売り・ドル買いが先行。NYの取引時間帯に入ると、6月米小売売上高や7月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数、前週分の米新規失業保険申請件数が予想より強い内容だったことを受けて円売り・ドル買いが加速した。21時30分過ぎには一時149.09円と日通し高値を更新した。
ただ、前日に付けた4月3日以来の高値149.18円がレジスタンスとして意識されると上値が重くなった。米長期金利の低下に伴う売りも出て一時148.38円付近まで下押しした。
なお、クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事は「インフレ率は目標の2%を上回っている」「失業率の低さと関税による物価上昇圧力の高まりを踏まえると、政策金利を当面据え置くことが適切」と述べた一方、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁は「関税の影響は予想よりも控えめになる可能性」「今年2回の利下げは『妥当』な見通し」などと語った。
・ユーロドルは下値が堅かった。日本時間夕刻に一時1.1605ドル付近まで値を上げたものの、東京時間に付けた日通し高値1.1643ドルが目先レジスタンスとして働くと失速。NY市場では米経済指標の上振れを受けて一時1.1557ドルと日通し安値を付けた。
ただ、そのあとは米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りが入り、1.1603ドル付近まで下げ渋った。
・ユーロ円は弱含み。アジア時間に一時172.67円と日通し高値を付けたあとはじり安の展開となった。23時30分過ぎには一時171.94円と日通し安値を付けた。ただ、前日の安値171.84円が目先サポートとして意識されると下げ渋った。
・ロンドン株式相場は3日ぶりに反発。3-5月英失業率(ILO方式)が4.7%と予想の4.6%より弱い内容だったことが分かると、英早期利下げ期待が高まり株買いが入った。ハルマやセイジ・グループなど情報技術セクターが買われたほか、HSBCやバークレイズなど金融株が値上がりした。
・フランクフルト株式相場は6日ぶりに反発。半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)の決算が好感されて買いが広がった。足もとで相場下落が続いたあとだけに押し目買いなども入りやすかった。個別ではシーメンス・エナジー(4.69%高)やシーメンス(4.08%高)、MTUエアロ・エンジンズ(2.40%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は英国債が下落した一方、独国債が上昇した。
17日の日経平均は反発。終値は237円高の39901円。米国株高を受けても、寄り付きから3桁の下落。オランダASMLホールディングの株価急落を警戒して、半導体株が軒並み安となった。開始直後には下げ幅を200円超に拡大。ただ、半導体株以外には買われる銘柄も多く、39300円台に入ったところで売りが一巡した。
39500円台まではすぐに戻し、前引けでは下げ幅を2桁に縮小。後場は前引けから水準を切り上げて始まり、早々にプラス圏に浮上した。決算発表を前にディスコ<6146.T>がプラス転換から上げ幅を広げるなど半導体株に対する過度な警戒も後退する中、台湾TSMCの決算を波乱なく消化すると終盤にかけては上げ幅を拡大。200円を超える上昇となり、39900円台に乗せて取引を終えた。
東証プライムの売買代金は概算で4兆0900億円。業種別ではその他製品、サービス、医薬品などが上昇した一方、鉱業、鉄鋼、石油・石炭などが下落した。証券会社が投資評価を引き上げた三井E&S<7003.T>が急騰。半面、レーザーテック<6920.T>が4.8%安と、連日で大幅な下落となった。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1172/値下がり374。ソシオネクストが6%を超える上昇。主力どころではソフトバンクG、サンリオ、任天堂などの動きが良かった。NECやソニーGなど電機株の一角が大幅上昇。証券会社が投資判断を引き上げたフェローテックが急騰した。今期の見通しを開示したデータセクションは、場中に値が付かずストップ高比例配分となった。
一方、クシュタール社が買収提案を撤回したと伝わったセブン&アイが9.2%安。セブンイレブン向けに中食を展開するわらべや日洋も売りに押された。半導体株は売り一巡後は持ち直したものの、東京エレクトロンやアドバンテストは下落。円安にブレーキがかかったことから、日産自動車、マツダ、SUBARUなど自動車株が嫌われた。新株予約権の発行などを発表したクリングルファーマは、場中に値が付かずストップ安比例配分となった。
日経平均は後場の動きが良く、3桁の上昇。レーザーテックなどは弱いままであったが、全体では午前の時点でも半導体株の下落に比較的耐性を示していただけに、後場は売り手不在の様相が強まった。あすは三連休前かつ、日曜20日には参院選の投開票が控えているだけに、上値追いには慎重になると思われる。ベッセント米財務長官の来日に合わせて、石破首相があす18日に会談する方向で調整していると伝わっている。ただ、参院選の投開票前に踏み込んだ話ができるかどうかは微妙なところで、それほど期待は高まらないだろう。一方、きょうの引け味が良かっただけに、下げたとしても押し目は冷静に拾われる可能性が高い。与党の苦戦が報じられる中でしっかりとした動きを見せているのだから、売りを急ぐ理由も乏しい。きょうの終値は39901円。4万円を上回る場面が見られるかに注目したい。
(17日終値)
ドル・円相場:1ドル=148.58円(前営業日比△0.70円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=172.29円(△0.20円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1596ドル(▲0.0045ドル)
ダウ工業株30種平均:44484.49ドル(△229.71ドル)
ナスダック総合株価指数:20885.65(△155.16)
10年物米国債利回り:4.45%(横ばい)
WTI原油先物8月限:1バレル=67.54ドル(△1.16ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3345.3ドル(▲13.8ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月米小売売上高
(前月比) 0.6% ▲0.9%
(除く自動車) 0.5% ▲0.2%・改
6月米輸入物価指数
(前月比) 0.1% ▲0.4%・改
前週分の米新規失業保険申請件数
22.1万件 22.8万件・改
7月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数
15.9 ▲4.0
5月米企業在庫
(前月比) 0.0% 0.0%
7月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数
33 32
5月対米証券投資動向
短期債を含む 3111億ドル ▲146億ドル・改
短期債を除く 2594億ドル ▲82億ドル・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は反発。6月米小売売上高や7月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数、前週分の米新規失業保険申請件数が予想より強い内容だったことが分かると円売り・ドル買いが先行。21時30分過ぎに一時149.09円と日通し高値を付けた。
ただ、前日に付けた4月3日以来の高値149.18円がレジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。米長期金利の低下に伴う売りも出て一時148.38円付近まで下押しした。米長期金利が上昇に転じると148.75円付近まで持ち直したものの、米長期金利が再び低下すると上値が重くなった。
・ユーロドルは反落。米経済指標の上振れを受けてユーロ売り・ドル買いが先行すると一時1.1557ドルと日通し安値を付けたものの、売り一巡後は下げ渋る展開に。1時前には1.1603ドル付近まで下値を切り上げた。
前日にドル売りを加速させた米連邦準備理事会(FRB)の独立性を巡る懸念はひとまず後退したものの、市場では「完全に払拭されたわけではない」との声も聞かれた。FRBに対する政治的な圧力が再び強まる可能性は残るとの見方は、ドル買いに一定の歯止めをかけているもよう。
・ユーロ円は小反発。アジア時間に一時172.67円と日通し高値を付けたあとはじりじりと上値を切り下げる展開に。23時30分過ぎには一時171.94円と日通し安値を付けた。ただ、前日の安値171.84円が目先サポートとして意識されると買い戻しが優勢となり上げに転じた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は続伸。6月米小売売上高など良好な米経済指標が相次いだことで買いが優勢となった。半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)の決算を好感した買いも入った。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は4日続伸し、史上最高値で取引を終えた。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数も過去最高値を更新した。
・米国債券相場で長期ゾーンは横ばい。6月米小売売上高など良好な米経済指標が相次いだことで売りが先行したものの、すぐに持ち直した。引けにかけては売買が交錯し、方向感に乏しい展開となった。
・原油先物相場は反発。中東情勢を巡る地政学的リスクが意識され、需給が引き締まるとの見方から買いが入った。6月米小売売上高などが予想より強い結果となり、底堅い景気が原油需要を支えるとの見方もまた、買いを誘ったもよう。
・金先物相場は反落。6月米小売売上高や7月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数などが予想より強い結果となり、ドルが買われたことで、ドル建てで取引される金の割高感が意識されて売りが優勢となった。
米格付け会社ムーディーズは17日、アルゼンチンの格付けを「Caa3」から「Caa1」に引き上げたと発表した。なお、見通しは「安定的」とした。
17日07:21 トランプ米大統領
「パウエルFRB議長が辞任してくれたら嬉しい」
「私がパウエルFRB議長を解任すれば、市場が混乱すると言う人もいる」
「欧州連合(EU)との合意の可能性がある」
「カナダとの合意について話すにはまだ早すぎる」
「150カ国に対して10-15%の関税率を設定する可能性が高い」
17日07:38 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「景気抑制的なFRB政策スタンスは全く適切」
「関税によるインフレ圧力は今後数カ月で増すと予想」
「直近のデータは労働市場の堅調さを示した」
「ドル安はインフレ圧力を強める公算」
17日11:24 青木官房副長官
「投機的動向を含め、為替市場の動向を憂慮」
「長期金利は様々な経路通じ経済に影響、動向をしっかり注視」
「今後も市場で安定的に国債を発行する環境を整える」
17日21:24 ウォーシュ次期FRB議長候補
「FRBの利下げ躊躇が信頼を失わせている」
「トランプ米大統領が公にFRBに圧力をかけているのは正しい」
17日22:35 クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「失業率の低さと関税による物価上昇圧力の高まりを踏まえると、政策金利を当面据え置くことが適切」
「インフレ率は目標の2%を上回っている」
「労働市場は安定し、底堅い」
「インフレ期待を安定させるには、現時点では抑制的な政策スタンスが重要」
「関税がインフレに及ぼす影響はまだこれからだと考える根拠は数多くある」
18日01:56 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁
「インフレ対策にはまだ課題あり」
「経済成長は堅調で、労働市場も堅調」
「依然として問題なのは、物価安定が達成されていないこと」
「現在はインフレに焦点を当てており、他のことには気を取られない」
「政策と経済は好調」
「関税がより広範囲に波及し、持続的なインフレを引き起こしているという証拠は見ていない」
「今年2回の利下げは『妥当』な見通し」
「関税の影響は予想よりも控えめになる可能性」
18日02:54 レビット米ホワイトハウス報道官
「トランプ米大統領は英国を9月17-19日に訪問」
「トランプ大統領は足の腫れで医師の診断を受けた」
18日04:48 加藤財務相
「米関税措置による不確実性に懸念を表明した」
18日04:57 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「短期的には利下げは難しいかもしれない」
「経済見通しは依然として非常に不透明」
「貿易政策がインフレにどのような影響を与えるかを見極めるにはまだ数カ月かかる可能性がある」
※時間は日本時間
<国内>
○08:30 ☆ 6月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合、予想:前年比3.4%)
○08:30 ☆ 6月全国CPI(生鮮食料品・エネルギー除く、予想:前年比3.3%)
<海外>
○07:30 ◎ ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○15:00 ◇ 6月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比0.1%)
○17:00 ◇ 5月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
○18:00 ◇ 5月ユーロ圏建設支出
○21:30 ◎ 6月米住宅着工件数(予想:130.0万件、前月比3.3%)
◎ 建設許可件数(予想:139.0万件、前月比▲0.5%)
○23:00 ◎ 7月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:61.5)
○主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(南アフリカ、最終日)
○20日 参院選、投開票
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 40060 +130 (+0.32%)
TOPIX先物 2846.0 +2.0 (+0.07%)
シカゴ日経平均先物 40045 +115
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
17日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。6月の米小売売上高は前月比0.6%増加となり、市場予想(0.1%増)を上回った。7月の米フィラデルフィア連銀製造業景況指数は15.9と前月のマイナス4.0から改善し、市場予想(マイナス1.0)を上回ったほか、新規失業保険申請件数は7000件減の22万1000件と5週連続で減少するなど、朝方発表された経済指標が米景気の底堅さを示す内容だったことが好感された。台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>の好決算を受けてエヌビディア<NVDA>が最高値を更新するなど、ハイテク株の一角に買いが広がった。
S&P500業種別指数は食品・飲料・タバコ、銀行、耐久消費財・アパレルが上昇した一方で、ヘルスケア機器・サービス、医薬品・バイオテクノロジー、自動車・同部品の弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、トラベラーズ<TRV>、ウォルト・ディズニー<DIS>、コカ・コーラ<KO>、JPモルガン・チェース<JPM>、シスコシステムズ<CSCO>が買われた。半面、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、メルク<MRK>、ジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ>、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>が軟調。
シカゴ日経平均先物清算値は大阪比115円高の4万0045円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比60円安の3万9870円で始まった。その後は3万9800円~3万9650円での保ち合いを継続。米国市場の取引開始後にレンジを上抜けると、終盤にかけて上げ幅を広げ、4万0110円まで買われる場面もみられた。終盤にかけては4万0050円を挟んだ推移をみせており、4万0060円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや買い先行で始まることになりそうだ。前日の上昇でボリンジャーバンドの+1σ(4万円)を捉え、ナイトセッションで+1σを上回ってきた。ベッセント米財務長官が17日に来日し、18日夕に石破茂首相や赤沢亮正経済再生担当相と会談する予定であり、期待はそれほど高まらないものの、ショートは仕掛けにくくさせそうだ。
20日の参議院選挙を控え、与党の苦戦が伝えられるなかでは積極的なロングの動きも期待しづらいところであろう。ただし、政治への不透明感から先回り的にショートが入っていると考えられ、政治イベントを前に、いったんニュートラルに修正する動きが意識されやすい面はありそうだ。4万円の大台回復によるショートカバーも入りやすいと考えられる。
全体としては膠着感が強まり、スキャルピング中心のトレードを余儀なくされそうだが、米ハイテク株高の流れもあり、押し目待ち狙いのロング対応に向かわせよう。そのため、4万円を挟んだ上下の権利行使価格となる、3万9750円から4万0250円でのレンジを想定する。
17日の米VIX指数は16.52(16日は17.16)に低下した。一時17.37に上昇する場面もみられたが、25日移動平均線線(17.85)を下回っての推移をみせており、リスク選好に向かわせやすいだろう。
昨日のNT倍率は先物中心限月で14.04倍に低下した。200日線(14.03倍)水準から始まったが、ハイテク株の弱い値動きが重荷となるなかで、一時13.97倍まで低下する場面もみられた。その後は25日線(13.98倍)までの調整を経て200日線水準を回復。TSMCの決算は前日の時点で織り込まれているが、米ハイテク株が買われたことで、NTロングでのスプレッド狙いに向かわせそうだ。
昨日の海外市場でドル円は、一時149.09円まで上昇。6月米小売売上高など良好な経済指標が相次いだ影響を受けた。しかしながら、一巡後は148円台で伸び悩んだ。ユーロドルは1.1557ドルまで売り込まれたところから下げ渋った。
本日の東京タイムでは、本邦インフレの動向をまず確認し、堅調スタートが予想される日本株の動きを見極めながら、3連休前の実質ゴトー日(5・10日)となる東京仲値辺りまでで動意は一服しそうだ。その後は20日の参議院選挙を控え、様子見ムードが広がるのではないか。なお、昨日午後に日本に到着したベッセント米財務長官は、本日夕方に代表団とともに石破首相を表敬訪問する予定。
8時30分発表の6月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合)、いわゆるコアCPIは前年比予想3.4%と5月分から0.3ポイント減速する見込み。見込み通りであれば4カ月ぶりに伸び率拡大が一服することになる。とはいえ水準としては、3月コアCPIの前年比3.2%を上回っている。
既に月末の日銀金融政策決定会合については、政策金利据え置きがほぼ完全に織り込み済み。また、週末には参院選の投開票もあるため、本日のインフレ指標はそれほど材料視されないだろう。ポイントは、複数のアナリストが予想している夏頃から3%を割り込む「下地」ができているか。5月CPIの発表時に不確実性が懸念されていたエネルギー価格の動向や、コメ価格の影響などを見定めたい。
昨日の米国株式市場は堅調なまま終え、ナスダック総合やS&P500が再び過去最高値を更新した。日経平均先物も夜間取引で底堅く推移し、4万円超えで終えている。現物も買い先行が見込まれるが、一巡後の動きは参院選への期待感、または警戒感がどの程度まで膨らむかに左右されそうだ。株価動向をもとにしたリスクセンチメントの強弱で、円相場の地合いも変わってくるだろう。
参院選だが、選挙終盤になっても与党・自公民の支持率伸び悩みと野党優勢の状況が継続。非改選議席も含め、与党の過半数確保は微妙との見方が高まっている。もっとも「選挙は水物」と言われており、自公民の組織票が土壇場で盛り返すかもしれない。結局は結果待ちとされ、本日は手控えムードが広がるのではないか。
とはいえ、野党が掲げる財政拡張策が財政リスク懸念を強めているのは確かだろう。昨日辺りから超長期債への売り圧力は弱まってきているものの、利回り水準としては高いままだ。債券売りからの円売りの構図自体は変わりそうにないか。
東京市場は堅調か。米国株は上昇。ダウ平均は229ドル高の44484ドルで取引を終えた。6月小売売上高が市場予想を上回るなど経済指標が良好で、景気後退に対する警戒が後退。決算を材料に大きく上昇する銘柄も多く、幅広いセクターに買いが入った。ドル円は足元148円30銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが115円高の40045円、ドル建てが165円高の40095円で取引を終えた。
米国株高を好感した買いが入ると予想する。東京市場は三連休前であるだけに、高くなれば目先の利益を確定させる動きは出てくるとみるが、売りを急ぐ理由には乏しい。米国ではS&P500やナスダックが高値圏にある中でも決算反応が概ね良好となっており、日本も来週から決算発表シーズンに入る。参院選は相場のかく乱材料にはなるが、与党の苦戦に対する織り込みは進んでいる。節目の4万円はそれほど抵抗にはならず、楽観ムードの強い地合いが続くだろう。日経平均の予想レンジは39850-40150円。
昨日のドル円はアジア時間から本邦実需の買いが断続的に観測されると下値を切り上げる展開に。下押しらしい下押しもないまま148.83円まで値を上げました。NY時間に入って6月米小売売上高や米新規失業保険申請件数、更には7月米フィリー指数が予想を大幅に上回る強い数字となると米長期金利の上昇とともに149.09円まで値を上げる場面もみられましたが、前日16日の高値149.18円が意識されたほか、米10年債利回りが低下に転じると148.38円まで戻り売り。ただ、引けにかけては米長期金利が回復するにつれて148.75円まで買戻されて17日の取引を終えています。
3連休前の東京市場では、ウォラーFRB理事が「7月FOMCでの利下げの必要性」に言及したことを受けて148.29円まで値を下げたものの、次期FRB議長候補の中でもダークホース的存在として、かなり前から利下げを主張していたわけで、「全く驚きもなければ新鮮味の無い発言」とあっては、一昨日のNY市場でのFRB議長解任騒動の副作用からか、市場自身がかかるネタにある意味、拒否感と嫌悪感を抱いているなかで反応も極めて限定的。連休前の実需勢の買いが淡々と観測されているといったところです。
いずれにしても、ドル円は、参院選後の東京市場が休場という、政権与党が市場の都合など全く無視した日程を設定したこととも相まって、ほとんどの参加者が様子見を決め込んでいる状況。ただ、既に動き出している市場の大元のポジションのアンワインディングは続いているわけで、16日の騒動後の市場センチメントの悪化の回復を待って、東京勢不在の週明けの相場が展開されていくことになりそうです。
日経225先物は11時30分時点、前日比150円安の3万9780円(-0.37%)前後で推移。寄り付きは4万0050円と、シカゴ日経平均先物清算値(4万0045円)にサヤ寄せする形から、買いが先行して始まった。ただし、直後につけた4万0130円を高値に軟化し、現物の寄り付き直後には下落に転じた。その後もじりじりと下値を切り下げる動きが続き、終盤にかけて3万9750円まで売られた。
日経225先物は、4万円台を回復して始まったが、ボリンジャーバンドの+1σ(3万9980円)を上回る水準では戻り待ち狙いのショートも入りやすいようだ。買い一巡後はロングを解消する流れとなったが、アドバンテスト<6857.T>[東証P]やディスコ<6146.T>[東証P]、東京エレクトロン<8035.T>[東証P]といった指数インパクトの大きい値がさハイテク株の弱い値動きにより、短期的なショートを誘う形にもなったようだ。前場はオプション権利行使価格の3万9750円から4万0125円でのレンジで推移。4万円を挟んだ3万9750円から4万0250円でのレンジ下限に到達しており、後場はショートカバーを意識させよう。
NT倍率は先物中心限月で14.02倍に低下した。一時14.07倍に上昇する場面もあったが、その後の低下で200日移動平均線(14.03倍)を割り込んできた。25日線(13.99倍)に接近する局面では、その後のリバランスを想定したNTロングでのスプレッド狙いに向かうかが注目される。
本日のロンドン為替市場でユーロ相場は、欧州連合(EU)予算案を巡る加盟国の足並みを気にしながらの取引か。経済指標は6月独生産者物価指数(PPI)、5月ユーロ圏の経常収支とユーロ圏建設支出がある程度。また来週の欧州中央銀行(ECB)理事会前のクワイエット期間(いわゆるブラックアウト期間)に入っているため、金融当局者の発言も金融政策に関する内容は避けられる。
フォンデアライエン欧州委員長は16日、2兆ユーロ(1ユーロ=172円換算で344兆円)にも及ぶEUの次期予算案を発表した。2028-34年の7カ年を対象とした案は、2027年までの現行予算から8000億ユーロも規模が拡大している。欧州委員長は予算案とともに、これまでの農業や地域開発向け支出を全般的に見直す方針を明らかにした。今後は、経済競争力向上と防衛を新たに重視するもよう。
野心的とも言える予算案に対して、EU加盟国は必ずしも納得はしていないもよう。一部報道によればフォンデアライエン委員長は、大規模な予算案の仕上げ段階まで委員と共有しなかったもよう。さらに問題は、EU予算に最も拠出している国・ドイツが委員長提出の予算案を拒否したこと。加盟国が財政健全化に努力しているときにEUだけが大きく予算を拡大するのは認められないと、ドイツは厳しい姿勢のようだ。
予算の承認までには2年ほどかかるとされ、今後はフォンデアライエン欧州委員長の調整力が問われることになる。もちろん、27の加盟国の足並みが簡単に揃うとは思えず、不協和音が広がるようだと、通貨ユーロも買いづらくなりそうだ。
ユーロドルは、今月1日に1.18ドル前半で2021年9月以来の高値を更新後は売り戻しが続いた。昨日も高値後の下押し水準を1.1557ドルまで広げている。執筆時点では、日足一目均衡表・基準線1.1638ドルに迫りつつあるが、その上に転換線1.1661ドルや21日移動平均線1.1684ドルも控えており、テクニカル的に意識すべき水準は多い。
想定レンジ上限
・ユーロドル、16日高値1.1721ドル(パウエルFRB議長に対する解任観測報道で上昇)
想定レンジ下限
・ユーロドル、17日安値1.1557ドル
ドル円:1ドル=148.76円(前営業日NY終値比△0.18円)
ユーロ円:1ユーロ=172.82円(△0.53円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1617ドル(△0.0021ドル)
日経平均株価:39819.11円(前営業日比▲82.08円)
東証株価指数(TOPIX):2834.48(▲5.33)
債券先物9月物:138.35円(△0.30円)
新発10年物国債利回り:1.520%(▲0.035%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合)
前年比 3.3% 3.7%
6月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品・エネルギー除く)
前年比 3.4% 3.3%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は下値が堅い。ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事が「7月会合で0.25%の利下げをすべき」と発言したことを受けて148.29円まで下げたものの、その後は連休前の実質5・10日(ゴトー日)仲値に向けて徐々に下値を切り上げた。20日の参院選で与党の過半数割れの可能性が意識されており、根強い財政悪化懸念も円売り材料に。14時30分過ぎには148.81円まで反発した。
・ユーロドルは上値が重い。11時前に1.1634ドルまで上昇する場面があったが、昨日の高値1.1643ドルが目先のレジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。ドル円の買い戻しを受けた売りも進み、1.1610ドル台まで上値を切り下げた。
・ユーロ円はしっかり。序盤はユーロドルの上昇、その後は円売りの流れに沿って買いが進み、一時172.87円まで値を上げた。
・日経平均株価は反落。節目の4万円台に乗せて始まったが、その後は3連休前の持ち高調整売りや利益確定目的の売りに押されて上値が重くなった。連休中に参院選の投開票を控えるなか、今後の政局に対する先行き不透明感が広がっていることも買い手控えムードにつながった。
・債券先物相場は3日続伸。時間外取引で米国債券相場がやや上昇した影響を受けたほか、この日実施された国債買い入れオペで需給の引き締まりが意識されたことも買いを誘った。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
南アにトランプ関税の影響直撃、ランド相場は堅調さを維持できる?
自動車産業に大打撃、中銀総裁も雇用悪化を警戒、楽観視できないが市場環境に左右される展開
このところの国際金融市場は、トランプ米政権の政策、特に関税政策の不透明感に大きく左右されている。さらに、FRB(連邦準備理事会)人事への介入発言も相次ぐなか、米ドルに下落圧力が掛かる動きがみられる。その一方、金融市場では一時的な動揺の後にリスク選好が回復する動きがみられる。結果、南アは政治・経済の両面で不透明感が高まるなかでも、通貨ランドは持ち直しの動きを強めてきた。背景には、インフレ鈍化の一方で中銀は慎重な政策を維持しており、実質金利が高止まりするなど投資妙味が高いことも影響している。
しかし、米国が強硬姿勢をみせるなかで相互関税や追加関税の強化に直面している。すでに対米自動車輸出は大幅に減少するなど悪影響が顕在化している。さらに、米国はBRICSの反米政策にも追加関税を課す方針を示すなど、同国経済に対する外的圧力は強まる一方の状況にある。こうしたなか、中銀総裁はトランプ関税によって最大10万人規模の雇用喪失の懸念を示すなど、すでに極めて高い失業率がさらに悪化するリスクがある。現時点ではランドは比較的堅調に推移しているが、先行きについては楽観的な見通しは立ちにくい一方、引き続き金融市場の動向に左右される展開が続く可能性は高いと見込まれる。
「ロシアが通常兵器による攻撃を受けた場合、核兵器を使用する可能性があるし、核保有国の支援を受けた攻撃を共同攻撃と見なす」(プーチン露大統領)
「ロシアは西側に対して予防的攻撃を開始すべき」
(メドヴェージェフ露安全保障会議副議長・前露大統領)
「米国が長距離武器を提供すればモスクワとサンクトペテルブルクを攻撃できるか?」
(※7/15に否定)
(7月4日:トランプ米大統領とゼレンスキー・ウクライナ大統領の首脳会談)
1. ロシアの「核ドクトリン」=国家存亡の危機
ロシアが核兵器を使用する条件として挙げられているのは、以下の4つである。
1)ロシアと同盟国への弾道ミサイル発射に関する信頼できる情報を入手したとき
2)ロシアと同盟国に対して敵が核兵器や大量破壊兵器を使用したとき
3)死活的に重要な政府や軍の施設※に対して敵が干渉を行ったとき
※機能不全に陥ると核戦力での報復に支障をきたすような施設
4)通常兵器によってロシアが侵略され国家の存立が危機的になったとき
ロシアのペスコフ大統領報道官は、「集団的西側諸国」の行動により、核使用条件を定めた同国の軍事ドクトリンの変更が必要になった、との見解を示した。そして、「いわゆる集団的西側諸国がもたらした課題と脅威がドクトリン変更の背景にある。ウクライナが米国から供与された長距離兵器を使用してロシア領土の奥深くまで攻撃する可能性も考慮している」と述べた。
プーチン大統領は、「ロシアが通常兵器による攻撃を受けた場合、核兵器を使用する可能性があるし、核保有国の支援を受けた攻撃を共同攻撃と見なす」と述べた。
2.トランプ・ドクトリン
第2次トランプ米政権は、国際貿易体制や民主主義の推進、世界の安全保障への関与といった米グローバル戦略の核心を軽視しつつ、軍事的・経済的な優位性を背景に、ロシア包囲網としての北大西洋条約機構(NATO)の軍事力強化、中国包囲網としてのインド太平洋地域の同盟国(日韓台湾)の軍事力強化を推進しながら、貿易相手国には貿易戦争を仕掛けてきた。不動産王としての経験から、ディール(取引)の名の下に駆け引きを重視し、戦略性の欠如により、矛盾した政策を打ち出してきた。すなわち、同盟国の対米貿易黒字削減のためのトランプ関税、貿易戦争を仕掛けながら、軍事費の増強を要請している。
イラン核合意から離脱して、イランの核開発施設を地中貫通型爆弾(バンカーバスター)で破壊した。
さらに、パナマに対しては、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」からの離脱を迫りつつ、パナマ運河の譲渡を迫り、デンマークに対してはグリーンランドの買い取りを迫った。
3.米議会上院外交委員会「撤退の代償:米国は世界的リーダーシップを中国に明け渡す」
報告書は、第2次トランプ米政権の最初の6か月間で、中国に対する米国の競争能力がいかに著しく損なわれたかを指摘している。そして、一貫した米国戦略を欠いていることが、米国の経済および安全保障上の利益を損ない、中国が世界的な影響力を拡大する余地を生み出している、と警告している。
大阪9月限
日経225先物 39830 -100 (-0.25%)
TOPIX先物 2838.5 -5.5 (-0.19%)
日経225先物(9月限)は前日比100円安の3万9830円で取引を終了。寄り付きは4万0050円と、シカゴ日経平均先物清算値(4万0045円)にサヤ寄せする形から買いが先行した。ただし、直後につけた4万0130円を高値に軟化し、現物の寄り付き直後には下落に転じた。その後もじりじりと下値を切り下げ、前場終盤にかけて3万9750円まで売られた。後場の取引開始直後に3万9730円をつけた後は下げ渋りをみせ、終盤にかけては3万9750円~3万9850円処での保ち合いが続いた
日経225先物は4万円台を回復して始まったが、ボリンジャーバンドの+1σ(3万9980円)を上回る水準では戻り待ち狙いのショートも入りやすいようだ。買い一巡後はロングを解消する流れとなったが、アドバンテスト<6857.T>[東証P]やディスコ<6146.T>[東証P]といった指数インパクトの大きい値がさハイテク株の弱い値動きにより、短期的なショートを誘う形にもなったようだ。
前場はオプション権利行使価格の3万9750円から4万0125円のレンジで推移。4万円を挟んで3万9750円から4万0250円のレンジ下限に到達しており、後場は底堅さがみられたものの、ショートカバーの動きは限定的だった。
週を通じて中心値の25日移動平均線と+1σによるレンジ内での推移が続いた。週足では+1σ(3万9420円)を上回って終えており、+2σ(4万0690円)とのレンジはキープしている。参議院選挙の結果を受けてレンジを割り込んでくる可能性はあるが、20日は祝日取引になるため、短期的な売買の影響を受けやすいだろう。ロングはそれほど積み上がっていないため、アク抜け的な動きをみせてくる可能性もあるとみられ、押し目狙いのロング対応を想定しておきたい。
NT倍率は先物中心限月で14.03倍に低下した。一時14.07倍に上昇する場面もあったが、その後の低下で14.01倍まで下げており、一時200日線(14.03倍)を割り込んだ。ただし、同線を下回る局面ではその後のリバランスを想定したNTロングでのスプレッド狙いに向かわせている。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万3071枚、ソシエテジェネラル証券が8013枚、サスケハナ・ホンコンが2957枚、バークレイズ証券が1911枚、JPモルガン証券が1860枚、モルガンMUFG証券が1488枚、日産証券が897枚、SBI証券が854枚、松井証券が841枚、ゴールドマン証券が835枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が1万4844枚、ソシエテジェネラル証券が1万3602枚、バークレイズ証券が4640枚、JPモルガン証券が3663枚、モルガンMUFG証券が2644枚、ゴールドマン証券が2020枚、シティグループ証券が1353枚、ビーオブエー証券が971枚、SBI証券が468枚、みずほ証券が450枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、6月米住宅着工件数・建設許可件数や7月米消費者態度指数(ミシガン大調べ)を見極めつつ、インフレ期待に注目する展開が予想される。
7月米消費者態度指数(ミシガン大調べ)の速報値は61.5と予想されており、6月の確報値の60.7からの改善が見込まれている。4カ月ぶりの高水準となった6月の背景には、インフレ期待が大きく低下し、経済見通しと家計の財務状況に関する懸念が後退したことが挙げられる。
1年先インフレ期待は5%となり、5月の6.6%から大幅に低下していた。
7月調査では、インフレ期待の低下傾向が続くのか、それともトランプ関税の影響で上昇が見込まれるのか注目しておきたい。
6月米住宅着工件数・建設許可件数では、米連邦準備理事会(FRB)による利下げ観測が後退して、長期金利が高止まりしていることからの悪影響を見極めることになる。
パウエルFRB議長は、前回のFOMCの後の記者会見で、インフレが夏にかけて上昇するとの見通しを示して、「この夏、6月の数字と7月の数字によって状況が分かり始めるだろう」として利下げを急がない姿勢を維持していた。
一方で、米連邦準備理事会(FRB)では少数派となっているハト派のウォラーFRB理事(※次期FRB議長候補)は、瀬戸際にある労働市場を支援するため、今月29、30両日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を0.25%引き下げるべきだとの主張を繰り返している。
ドル円は、15日に6月米消費者物価指数(CPI)が前年比+2.7%だったことで、149.02円まで上昇、16日はパウエルFRB議長の解任報道を受けた乱高下の中で149.18円まで上昇、17日は6月米小売売上高が前月比+0.6%だったことで、149.09円まで上昇した。
6月米CPIが上昇した背景には、トランプ関税による物価上昇の影響があり、小売売上高の増加は、その物価上昇によるものであり整合的となっている。
しかし、150円という心理的水準の前に立ちはだかっている200日移動平均線149.70円台が続伸を阻んでいる。
20日に投開票が行われる参議院選挙では政権与党の過半数割れが警戒されているが、オプション市場のリスク・リバーサルは、150円超えを想定しており、東京市場が休場となる21日に窓を空けて上放れした場合は、シカゴIMM筋の円のネット買い持ちポジション(※7/8時点:116155枚)も手仕舞いを余儀なくされると思われる。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、149.71円(200日移動平均線)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、147.47円(日足一目均衡表・転換線)
今晩は底堅い展開か。昨日は新規失業保険申請件数や6月小売売上高などが強い結果となり景気減速懸念が和らいだことや、企業決算発表がおおむね良好だったことでセンチメントが一段と改善。ダウ平均が229.71ドル高(+0.52%)、S&P500が0.54%高となり、ともに2日続伸した。ハイテク株主体のナスダック総合は0.74%高と4日続伸した。S&P500とナスダック総合はともに取引時間中の史上最高値を更新し、終値ではS&P500が今年9回目の最高値更新となり、ナスダック総合は10回目の最高値更新を記録した。週初来ではダウ平均が0.25%高、S&P500が0.60%高、ナスダック総合が1.45%高とともに反発ペースとなった。引け後の動きではネットフリックスが予想を上回る決算を発表し、通期売上高見通しを引き上げたものの、株価は時間外で2%近く下落した。
今晩は週末の取引となるが、総じて良好な第2四半期決算や経済指標を背景にセンチメントが改善しており、底堅い展開が期待できそうだ。経済指標では足もとの景況感を巡り、7月ミシガン大消費者信頼感指数速報値が注目されるほか、利下げ見通しを巡り、ミシガン大が併せて発表する同1年先・5年先期待インフレ率速報値にも要注目となる。6月分の期待インフレ率は1年先が5.0%、5年先が4.0%だったが、7月分が前月から低下すれば利下げ期待の高まりが相場の支援となりそうだ。
今晩の米経済指標・イベントは7月ミシガン大消費者信頼感指数速報値、同期待インフレ率速報値のほか6月建設許可件数、6月住宅着工件数など。企業決算は寄り前にSLB、アメリカン・エキスプレス、引け後にチャールズ・シュワブ、3Mなどが発表予定。
日経平均株価は反落。節目の4万円を上回るスタートとなったものの、寄り付き直後を高値に失速。ただ、マイナス圏に沈んでも5日移動平均線(39704円 7/18)付近では下げ渋った。
RSI(9日)は前日の53.5%→60.0%(7/18)に上昇。今週は下を試した際に25日移動平均線(39404円 同)がしっかりサポートとして機能した。本日は参院選投開票や三連休を前に上値が抑えられたものの、週明けに改めて4万円をトライできるかが注目される。
上値メドは、心理的節目の4万円、6/30高値(40852円)、昨年7/17安値(41054円)、心理的節目の42000円などがある。下値メドは、5日移動平均線や25日移動平均線、基準線(39196円 同)、6/18高値(38885円)、心理的節目の38500円などがある。
(18日終値:19日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=148.71円(18日15時時点比▲0.05円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=172.92円(△0.10円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1627ドル(△0.0010ドル)
FTSE100種総合株価指数:8992.12(前営業日比△19.48)
ドイツ株式指数(DAX):24289.51(▲81.42)
10年物英国債利回り:4.674%(△0.019%)
10年物独国債利回り:2.695%(△0.020%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月独生産者物価指数(PPI)
(前月比) 0.1% ▲0.2%
5月ユーロ圏経常収支(季調済)
323億ユーロの黒字 186億ユーロの黒字・改
5月ユーロ圏建設支出
(前月比) ▲1.7% 4.3%・改
(前年比) 2.9% 4.7%・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は一進一退。20日に投開票される参議院選挙で与党の過半数割れが警戒される中、円売り・ドル買いが先行。日本時間夕刻に一時148.89円と日通し高値を付けた。
ただ、前日の高値149.09円や16日に付けた4月3日以来の高値149.18円がレジスタンスとして意識されると失速した。市場では「ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事が7月利下げを主張したことが改めて意識された」との声も聞かれた。
NYの取引時間帯に入ると、7月米ミシガン大学消費者態度指数速報値が61.8と予想の61.5を若干上回った一方、1年先の期待インフレ率が4.4%、5-10年先が3.6%といずれも予想を下回ったことが明らかに。米長期金利の低下とともにドル売りが先行し一時148.19円と日通し安値を更新した。
もっとも、売り一巡後は買い戻しが優勢となり、148.79円付近まで持ち直している。市場では「投機筋の円ロング(ドル円のショート)ポジションの偏りが警戒される中、ショートカバーが入りやすい」との指摘もあった。
・ユーロドルは上値が重かった。ウォラーFRB理事が7月利下げを主張したことが改めて意識される中、ユーロ買い・ドル売りが進行。米ミシガン大学が発表した期待インフレ率が予想を下回ると全般ドル売りが活発化し、一時1.1672ドルと日通し高値を付けた。
ただ、買い一巡後は徐々に上値を切り下げる展開に。「トランプ米大統領は欧州連合(EU)に対していかなる合意であっても最低15~20%の関税を課す意向」との報道が伝わる中、2時30分過ぎには1.1618ドル付近まで下押しした。なお、EUはトランプ米大統領が30%の関税を課すとした8月1日の交渉期限に向けて米政権と協議を継続している。
・ユーロ円は日本時間夕刻に一時173.11円と日通し高値を付けたものの、16日に付けた約1年ぶりの高値173.24円がレジスタンスとして意識されると上昇が一服。そのあとは173.00円を挟んだ狭いレンジ取引に終始した。ドル相場となったためユーロ円自体は方向感が出にくい状況だった。
・ロンドン株式相場は続伸。好業績を発表した銘柄を中心に買いが集まると指数は9000の大台に乗せる場面があったが、週末を控えたポジション調整目的の売りが出ると伸び悩んだ。セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株が買われたほか、ナショナル・グリッドやSSEなど公共事業株が値上がりした。
・フランクフルト株式相場は反落。前日の米国株相場の上昇を受けて買いが先行したものの、引けにかけて失速した。週末を控えたポジション調整目的の売りなどが出た。個別ではザルトリウス(2.57%安)やシーメンス・エナジー(1.59%安)、フレゼニウス・メディカル・ケア(1.40%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は下落した。
(18日終値)
ドル・円相場:1ドル=148.81円(前営業日比△0.23円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=173.00円(△0.71円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1626ドル(△0.0030ドル)
ダウ工業株30種平均:44342.19ドル(▲142.30ドル)
ナスダック総合株価指数:20895.66(△10.01)
10年物米国債利回り:4.42%(▲0.03%)
WTI原油先物8月限:1バレル=67.34ドル(▲0.20ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3358.3ドル(△13.0ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月米住宅着工件数
132.1万件 126.3万件・改
建設許可件数
139.7万件 139.4万件
7月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値)
61.8 60.7
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ユーロドルは反発。ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事が7月の利下げを主張したことが意識される中、ユーロ買い・ドル売りが先行。7月米ミシガン大学消費者態度指数速報値が61.8と予想の61.5を若干上回った一方、1年先の期待インフレ率が4.4%、5-10年先が3.6%といずれも予想を下回ったことが分かると米長期金利の低下とともにドル売りが活発化し、一時1.1672ドルと日通し高値を付けた。
ただ、買い一巡後は徐々に上値が重くなった。「トランプ米大統領は欧州連合(EU)とのいかなる合意であっても最低15~20%の関税を課す意向」との報道が伝わる中、4時30分過ぎには1.1617ドル付近まで下押しした。なお、EUはトランプ米大統領が30%の関税を課すとした8月1日の交渉期限に向けて米政権と協議を継続している。
・ドル円は小幅続伸。米ミシガン大学が発表した期待インフレ率が予想を下回ると全般ドル売りが先行。23時過ぎに一時148.19円と日通し安値を更新した。
ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢となり、148.85円付近まで持ち直した。市場では「投機筋の円ロング(ドル円のショート)ポジションの偏りが警戒される中、ショートカバーが入りやすい」との声も聞かれた。
なお、トランプ米大統領は「準備通貨としてのドルを失うのは戦争に負けるようなものだ」「ドル安を容認するつもりはない」などと話した。
・ユーロ円は続伸。日本時間夕刻に一時173.11円まで上昇した影響が残ったものの、NY市場に限れば173.00円を挟んだ狭いレンジ取引に終始した。ドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、相場は大きな方向感が出なかった。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反落。「トランプ米大統領はEUとの関税交渉で強気姿勢を示している」と伝わったことが投資家心理を冷やし、一時250ドル超下落する場面があった。
一方、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は小幅ながら5日続伸し、史上最高値で取引を終えた。
・米国債券相場で長期ゾーンは上昇。米ミシガン大学が発表した期待インフレ率が予想を下回ると債券買いが優勢となった。市場では「週末を控えて、持ち高調整目的の買いが入りやすかった」との声も聞かれた。
・原油先物相場は小反落。一部報道で「米大統領、EU製品全品に15~20%の最低関税を課すことを推進」と伝えられた。これを受け、米欧間の貿易摩擦が懸念されて原油需要が伸び悩むとの見方から売りがやや優勢となった。
・金先物相場は反発。一部報道で「米大統領、EU製品全品に15~20%の最低関税を課すことを推進」と伝えられたことで、米欧間の貿易摩擦が懸念されると、相対的に安全資産とされる金に買いが入った。
フィナンシャル・タイムズ(FT)紙が報じたところによると、「トランプ米大統領はEU製品全品に15~20%の最低関税を課すことを推進している」ようだ。
18日05:11 加藤財務相
「為替の動きを監視する必要性を日本は強調」
18日23:05
「世界経済の下振れリスクに備える必要を指摘した」
「(G20)共同声明を発出できたのは非常に有意義」
「米国と建設的な協議を継続すると表明した」
18日06:22 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長
「FRBの内部監査官に改修プロジェクトの精査を要請」
「FRB本部ビルには大規模修理が必要」
18日07:34 ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「7月会合で0.25%の利下げをすべき」
「経済へのリスク増大は金融政策の緩和を後押しする」
「基調的なインフレが抑制され、成長も低調な場合は、さらに利下げが必要になる」
「雇用市場に問題が起こるまで利下げを待つべきではない」
18日21:09
「民間部門の状況は、一般に考えられているほどよくない」
「FRBが利下げを6週間遅らせたとしても、おそらく大した問題にはならないだろうが、延期する本当の理由もない」
「ハードランディングを望んでいないことを確認しておきたい」
「関税は税金である」
「トランプ米大統領にFRB議長職を打診されたら、答えはYESだ」
「7月FOMCで反対票を投じるか否かには、回答しない」
18日15:21 台湾副首相
「米国との関税に関する合意に達するために24時間体制で交渉が行われている」
18日16:30 チャーマーズ豪財務相
「米国の関税は経済的自傷行為」
18日17:36 メルツ独首相
「我々の最優先事項は、ドイツを不況から脱却させること」
「経済センチメントが改善していることを示す証拠がある」
18日18:35 石破首相
「必ず良い合意ができるとベッセント米財務長官から発言あった」
「ベッセント米財務長官には、防衛力強化に取り組むと申し上げた」
「この 『間抜け』(パウエルFRB議長)が多くの人々を傷つけるのを止めるため、FRBの理事会は何もしていない。多くの点で理事会にも等しく責任がある」
19日04:19
「仮想通貨はドルと国にとって良いものだ」
「仮想通貨はどの株価よりも上昇している」
「中央銀行デジタル通貨は米国では決して実現しない」
「準備通貨としてのドルを失うのは戦争に負けるようなものだ」
「ドルを下落させるつもりはない」
18日21:04 ベッセント米財務長官
「日本とのディールは、急いだものより良いディールが重要」
「日米相互に利益となる貿易合意は依然として可能」
18日22:03 G20コミュニケ
「中央銀行の独立性は物価安定の目標達成に不可欠」
19日00:48 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「最新の消費者物価指数(CPI)では関税が財インフレを押し上げていることが示されており、やや警戒感を強めている」
「中央銀行の独立性に関する議論を見るのは辛い」
「今後1年間で金利はかなり低下する可能性がある」
19日04:21
「FRBの運営には独立性が重要」
「インフレへの影響を理解するためには、関税について何らかの解決が必要」
「関税に関する発表が少しずつ増えているということは、関税が一時的な物価上昇を意味するという議論は成り立たないことを意味」
「2%のインフレ目標に向けて順調に進んでいるかどうかの判断を難しくするものは、何であれ利下げの時期を長引かせることになる」
「我々は様子を見る必要がある」
「不確実性が解消されれば、金利が引き下げられるのは現実的」
「労働市場の悪化が見られ始めた場合、それは私の考えに大きな影響を与えるだろう」
※時間は日本時間
20日
○参院選、投開票
21日
○海の日の祝日で休場
23日
○10:30 ◎ 内田眞一日銀副総裁、あいさつ
25日
○08:30 ◎ 7月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合)
○08:50 ◇ 6月企業向けサービス価格指数
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○14:00 ◇ 5月景気動向指数改定値
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
21日
○07:45 ◎ 4-6月期ニュージーランド(NZ)消費者物価(CPI)
○17:30 ◎ 6月香港CPI
○21:30 ◇ 6月カナダ鉱工業製品価格
○21:30 ◇ 6月カナダ原料価格指数
○23:00 ◎ 6月米景気先行指標総合指数
22日
○07:45 ◎ 6月NZ貿易収支
○10:30 ◎ 豪準備銀行(RBA)理事会議事要旨(7月7日-8日分)
○18:15 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、議会証言
○21:30 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、あいさつ
○23:00 ◎ 7月米リッチモンド連銀製造業景気指数
23日
○14:00 ◎ 6月シンガポールCPI
○17:00 ◎ 6月南アフリカCPI
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○23:00 ◎ 7月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値)
○23:00 ◎ 6月米中古住宅販売件数
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○24日02:00 ◎ 米財務省、20年債入札
○12:05 ◎ ブロックRBA総裁、講演
○15:00 ◇ 8月独消費者信頼感指数(Gfk調査)
○15:45 ◇ 7月仏企業景況感指数
○16:15 ◎ 7月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値
○16:15 ◎ 7月仏サービス部門PMI速報値
○16:30 ◎ 7月独製造業PMI速報値
○16:30 ◎ 7月独サービス部門PMI速報値
○17:00 ◎ 7月ユーロ圏製造業PMI速報値
○17:00 ◎ 7月ユーロ圏サービス部門PMI速報値
○17:30 ◎ 7月英製造業PMI速報値
○17:30 ◎ 7月英サービス部門PMI速報値
○20:00 ◎ トルコ中銀、政策金利発表
○21:15 ☆ 欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表
○21:30 ◎ 5月カナダ小売売上高
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数
○21:45 ☆ ラガルドECB総裁、定例記者会見
○22:45 ◎ 7月米製造業PMI速報値
○22:45 ◎ 7月米サービス部門PMI速報値
○22:45 ◎ 7月米総?⑰MI速報値
○23:00 ☆ 5月米新築住宅販売件数
25日
○08:01 ◇ 7月英消費者信頼感指数(Gfk調査)
○15:00 ◎ 6月英小売売上高
○15:45 ◇ 7月仏消費者信頼感指数
○17:00 ◎ 7月独Ifo企業景況感指数
○19:30 ◎ ロシア中銀、政策金利発表
○21:30 ◎ 6月米耐久財受注額
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
◆豪ドル、雇用統計で利下げ思惑広がる
◆NZドル、4-6月期CPIに注目
◆ZAR、中銀総裁はインフレの不透明感を指摘
予想レンジ
豪ドル円 93.50-97.00円
南ア・ランド円 8.10-8.50円
7月21日週の展望
豪ドルはさえない動きとなりそうだ。今週はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の解任騒動で一時的にドル売りの反応が見られる場面もあったが、その後はすぐにドル買い戻しの流れに戻り、改めてドル買いの強さが確認された。来週もトランプ米大統領の言動に注意する必要があるものの、基本的には豪ドルも対ドルで売りに押される展開が続きそうだ。
また、今週発表された6月豪雇用統計がさえない結果となったことも豪ドルの重しとなるだろう。新規雇用者数や失業率はいずれも市場予想より弱い結果となり、若年層の失業率は9.6%まで上昇した。豪準備銀行(RBA)理事会が前回(7-8日)の会合で指摘していた「労働市場のひっ迫」とは異なる内容となり、市場では「RBAが予想よりも早くタカ派的な姿勢を放棄せざるを得なくなる可能性がある」との思惑が広がっている。RBAが次回(8月11-12日)の理事会で再び利下げに動くかどうかの最終的な判断は今月30日の4-6月期消費者物価指数(CPI)を待つ必要があるが、当面は豪金利先安観が意識されるだろう。なお、金利先物市場では現在、8月理事会での0.25%利下げをほぼ100%程度織り込んだ状態にある。
隣国のニュージーランド(NZ)では、21日に予定されている4-6月期CPIに注目が集まるだろう。NZ準備銀行(RBNZ)のホークスビー総裁は「金利は中立水準に近い」と言及しているが、前回(9日)の声明文では「中期的なインフレ圧力が予想通り緩和し続ける場合、今後さらに政策金利を引き下げる見通し」との見解も示されている。4-6月期CPIが予想比で大きく上振れない限り、次回(8月20日)の会合で追加利下げが決定される可能性が高そうだ。なお、1-3月期CPIは前年比2.5%の上昇と約2年半ぶりに前期の2.2%からインフレが加速している。
南アフリカ・ランド(ZAR)は神経質な展開となりそうだ。来週は23日に6月CPIの発表が予定されている。南アフリカ準備銀行(SARB)のクガニャゴ総裁は今週、「米国の関税政策と中国におけるデフレ傾向が南アフリカのインフレ見通しを不透明にしている」と指摘。市場でも次回(31日)の金融政策決定委員会(MPC)でSARBが金融緩和サイクルを維持するか一時停止するかで意見が分かれており、その直前に発表される来週のインフレデータに注目が集まっている。なお、前月(5月分)は前年比2.8%の上昇となり、SARBのインフレ目標(3-6%)下限を3カ月連続で下回った。
7月14日週の回顧
豪ドルは対ドルで弱含み。全般にドル買いが進んだ影響を受けたほか、豪雇用統計がさえない結果となったことも相場の重しとなった。豪ドル円はドル円の上昇につれて1月以来の高値を更新する場面もあったが、週末にかけては伸び悩んだ。ZARは対ドルで方向感の乏しい動きが続いたが、対円ではドル円の上昇に伴って8.3円台で底堅く推移した。
◆週明け、参院選の結果次第で対円では荒い動きに
◆ポンド、7月PMIや6月小売売上高が重しとなる可能性
◆加ドル、米国との通商関係に注視だが、交渉目的に変化も
予想レンジ
ポンド円 197.00-202.00円
加ドル円 106.00-110.00円
7月21日週の展望
20日投開票の参議院選挙の結果次第で、ポンドや加ドルは週明けから対円では値幅を伴った荒い動きに注意したい。注目は、連立政権を組む自民党と公明党が多数派を維持できるかどうか。与党苦戦のニュースが目立ち、非改選議席と合わせて過半数確保は微妙との見方が広がっている。参院選の序盤から野党に勢いはあったが、終盤でも支持を着実に固めている。
もっとも、野党優勢は投資家にとっては日本売りを強める材料でもある。前評判の良い党は財政拡張策を掲げており、それが財政リスク懸念を高めているからだ。本邦の超長期債相場は軟調な地合いのまま(金利は上昇基調)、30年債利回りは過去最高を更新。為替は金利上昇で円高となる局面があるも、あくまで一時的な動きだ。結局は本邦債売りからの円売りという構図となっている。
「選挙は水物」と言われており、自公民の組織票が土壇場で盛り返すかもしれないが、与党大敗となれば、日本が祝日の週明け21日の円相場は週末と違った水準で始まる可能性もあり注意したい。
英国では経済成長の減速懸念が高まるなか、今週は週後半に7月製造業/サービス部門購買担当者景気指数(PMI)、6月小売売上高が発表予定。11日発表の5月国内総生産(GDP)や鉱工業生産は小幅プラスや横ばいと、4月分からの改善予想から一転してマイナスに沈んだ。財政不安も高まるなかで下振れた経済指標は、明らかにその後のポンド相場の重しとなっている。
今週発表された6月消費者物価指数(CPI)は予想外に加速していたものの、3-5月失業率(ILO方式)は4.7%と予想より悪く、約4年ぶりの高い水準を記録した。6月インフレ率の上振れで英中銀の利下げペースが鈍るとの思惑はあるが、深刻な労働市場の冷え込みは無視できない。PMIや小売売上高がさえないようだと、英金利先安観の強まりでポンドは上がりづらくなるだろう。
カナダでは、24日に5月小売売上高が発表され、「自動車を除く前月比」の改善度合いがポイントの1つ。ただし、加ドルにとってより重要なのは、なかなか溝が埋まらない貿易を巡る米加関係の行方だろう。8月1日の追加関税期限が迫るなか、カーニー加首相は関税撤廃を目的とする交渉の断念を示唆。米国との貿易協定には、カナダ製品への課税受入れを含む可能性が出てきた。
ただ、米国に歩み寄り始めた一方で、対米でメキシコと連携する姿勢を見せている。加墨の両首脳は電話会談で、米政権の関税措置を踏まえ、貿易協力の強化で合意した。この動きが、トランプ米大統領の暴走にブレーキをかけることができるのか見定めたい。
7月14日週の回顧
ポンド円は全般円安が進むなか199円後半まで上昇も、9日高値には届かず失速。パウエルFRB議長の解任観測報道でドル円が急落すると、つれて198円を割り込んだ。ただ一巡後は199円台まで切り返した。加ドル円は1月下旬以来の108円後半まで上値を伸ばしたが、その後の円買い戻しで107円前半まで沈んだ。一巡後は108円台を回復している。ポンドドルは1.35ドル付近から1.3360ドル台まで下落。加ドルは対ドルで1.37加ドル半ばまで加ドル安に振れた。
◆ドル円、財政拡大や日米金融政策維持への期待感から底堅い
◆リスク要因はFRB議長の解任問題
◆ユーロドル、ECBは約1年続いた利下げサイクルを一時停止へ
予想レンジ
ドル円 147.00-152.00円
ユーロドル 1.1450-1.1800ドル
7月21日週の展望
ドル円は、参院選の結果次第で週明けから大きく動意づく可能性があるだろう。投開票の3日前となっても自公与党が過半数割れとなる可能性は一段と高まっており、衆参両院で少数与党となった場合、野党が推し進める減税に向けて動き出すとの思惑が広がる。すでに今週は超長期債利回りが大きく上昇し、為替市場では財政拡大を先取りするかたちで円売りが強まっているが、結果が判明すれば一段と円安が加速することもあり得る。しかも、週明け21日は東京市場が海の日で休場であり、薄商いで値が振れやすく、ドル円が大きく上昇するリスクがある事は想定しておいた方が良いだろう。一方で、過半数割れでも石破政権が続投し、減税に消極的な立憲民主党との連立政権を樹立するようなら円が買い戻されるケースも想定しておきたい。
ただ、ドル円の上昇要因はそれだけではなく、米連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げ観測、日銀の利上げ観測がさらに後退していることも挙げられる。今週発表された6月米消費者物価指数(CPI)は、衣料品価格など、関税の影響を受けやすいカテゴリの上昇が顕著に見られた。7月以降はより一層、関税による物価圧力の影響を大きく受けるとされており、米利下げ観測は一段と後退している。また、日銀は日米関税交渉の期限となる8月1日の前日に決定会合が予定されており、今回は利上げを見送る公算が大きく、円売り・ドル買いの地合いは継続しそうだ。
リスク要因としては、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の解任問題だろう。「トランプ米大統領がFRB議長の解任を共和党議員らに打診」との報道を米大統領は否定したが、米大統領自身、FRB議長解任を望んでいることは明らか。今後も、あらゆる理由を付けて解任に追い込も動きが出てきた場合は、FRBの独立性を脅かし、ドルの信認問題に発展しそうだ。なお、来週は22日にFRB主催のカンファレンスでパウエルFRB議長のあいさつが予定されている。
ユーロドルは、米長期金利の動向に振らされる神経質な動きが続くとみている。来週は欧州中央銀行(ECB)理事会が開催されるが、現時点では据え置き予想。2024年6月から続いた利下げサイクルを一時停止することが見込まれている。ラガルドECB総裁が米関税政策の影響を考慮した上で次回会合での利下げ再開を示唆するかどうかが注目される。
7月14日週の回顧
ドル円は荒い値動き。週明けに146.86円まで売られたものの、米CPI後に米長期金利が急上昇すると買いが優勢に。一時149.18円と約3カ月半ぶりの高値を付けたが、FRB議長の解任報道で一時146.92円まで急落。米大統領が否定すると反発し17日には149.09円まで切り返した。
ユーロドルは一進一退。米金利上昇で1.1563ドルまで下落した後、FRB議長の解任報道が相次ぐと1.1721ドルまで反転。米大統領による否定で失速すると1.1557ドルまで値を下げた。
18日の日経平均は反落。終値は82円安の39819円。米国株高を受けて、3桁上昇スタート。節目の4万円を上回った。しかし、開始直後に高値をつけて失速。ディスコ<6146.T>が決算を受けて急落し、アドバンテスト<6857.T>など他の半導体株も売られたことが嫌気された。下げ幅を3桁に広げたところでは売り圧力が和らぎ、11時辺りからは三連休を前に動意が乏しくなった。後場は狭いレンジでのもみ合いに終始し、2桁の下落で取引を終えた。グロース250指数が1.3%安と、やや大きめの下落となった。
東証プライムの売買代金は概算で4兆円。業種別では情報・通信、証券・商品先物、非鉄金属などが上昇した一方、不動産、空運、パルプ・紙などが下落した。ソフトバンクグループ<9984.T>が米国株高や傘下アームの大幅高などを手がかりに5%高。年初来高値を更新した。半面、1Qが大幅な減収減益となった東京製鉄<5423.T>が後場に入って急落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり543/値下がり1037。半導体株は濃淡あり、レーザーテックや東京エレクトロンは上昇。良品計画や日立の動きが良かった。古河電工、住友電工、フジクラの電線大手3社がそろって上昇。ストラテジックキャピタルの大株主浮上が判明したノリタケが急伸した。
一方、上期の見通しが失望を誘ったディスコが8.8%安。アドバンテストが4.4%安となり、1銘柄で日経平均を約140円押し下げた。千代田区がマンション転売に制限をかけると伝わったことから、後場に入って住友不動産や野村不動産など不動産株が売りに押された。セブン&アイが連日の大幅安。クリングルファーマが連日でストップ安比例配分となった。
本日、スタンダード市場に上場した「おかしのまちおか」を展開するみのやは、高い初値をつけた後に大きく上昇する場面もあったが、終値は初値を小幅に下回った。
日経平均は反落。ただ、4万円に乗せる場面があり、下げに転じても売りが加速するような動きにはならなかった。ディスコとアドバンテストの下げの度合いが大きかったが、半導体株は軒並み安とはならなかった。決算の見栄えが悪かったディスコはともかく、アドバンテストは三連休前の利益確定といった意味合いが強いと思われる。きょうはソフトバンクGが大きく上昇したほか、電線株が堅調であった。これらは生成AI関連という点で、半導体株同様に選好される要素がある。この辺りの銘柄が人気になっているうちは、日本株全体でも堅調な地合いが継続する公算が大きい。
【来週の見通し】
一進一退か。月曜が休場で立ち合いは4日。米国は決算発表が本格化し、日本は決算発表シーズンに突入する。個別の振れ幅は大きくなると思われるが、決算発表待ちで手がけづらくなる銘柄も多くなるだけに、全体では方向感が定まりづらい。参院選が終了し、政局や日米交渉に関するニュースには振らされやすくなるとみる。一方、翌週にはFOMCや日銀金融政策決定会合が控えており、上でも下でも値幅が出れば、それを修正する動きも出てきやすい。強弱感が入り交じり、週を通しては小幅な値動きにとどまると予想する。
昨日の海外市場でドル円は、米ミシガン大学が発表した期待インフレ率が予想を下回ると全般ドル売りが先行。23時過ぎに一時148.19円と日通し安値を更新した。ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢となり、148.85円付近まで持ち直した。ユーロドルは一時1.1672ドルと日通し高値を付けたが、「トランプ米大統領は欧州連合(EU)とのいかなる合意であっても最低15~20%の関税を課す意向」との報道が伝わる中1.1617ドル付近まで下押しした。
本日のアジア時間でのドル円は、参議院選挙の結果を受けて円安がさらに進むのか、もしくは先週までに過度に与党の敗北を織り込んでいたことへの調整が入るのかを見極める必要がある。ただ、本日は東京市場が海の日で休場ということもあり、海外の市場参加者は、本邦投資家等がどのような動きをするかを見定めるまでは一方的にリスクを持ちにくいかもしれない。
今回の参議院選挙では自民、公明両党の議席の過半数割れが必至となった。参議院の議席数は248議席だが、改選されなかった124議席の中で与党が保持する非改選議席が75議席、今回過半数に達するには50議席が必要だったが、過半数には届かない惨敗となることが確実になっている。すでに、衆議院でも自民党会派と公明党で合計220議席となっていることで、議員定数465議席の過半数(233議席)に届かず、衆参同時に与党が過半数割れになる。ただ、首相の指名で優越する衆議院で現与党が最多議席という構図は変わらないことで、自民・公明の両党による政権は変わらないとみられている。
先週には多くが与党の過半数割れを予想していたこともあり、ドル買い・円売りが先行していた。しかし、早朝のオセアニア市場では、与党敗北をすでに織り込まれていたこともあり、先週末の引け値水準(148.81円近辺)から1円超の水準まで一時円が買われている。この円買いが継続されるのか、または与党の大敗で再び円安基調に戻るのかを、今日・明日は見定める相場展開になる。
円安要因としては政治状況の不確定要素が高まったこと。自民・公明党だけでは衆参両院ともの過半数割れとなっていることで、与党が連立を拡大するのか、または他党と政策ごとに合意を求めるなど、様々なシナリオが考えられる。いずれにしても、野党案を受け入れることになれば、先週のように野党が求める財政拡張路線を嫌気し、本邦国債が売られ、円が売られる日本売りが進む可能性が高そうだ。
一方で、石破首相が続投を表明し、日米関税交渉を期限内で決着しようとしているとの報道もあり、早期の関税交渉がまとまれば円高要因になる。一部では、だれが交渉をした場合でも日本が有利になる条件で妥結することができないため、関税合意という不人気となる決定を現政権に押し付けた後に「石破降ろし」を進めるとのうわさもある。
<国内>
○海の日の祝日で休場
<海外>
○07:45 ◎ 4-6月期ニュージーランド(NZ)消費者物価指数(CPI、予想:前期比0.6%/前年比2.8%)
○17:30 ◎ 6月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比1.7%)
○21:30 ◇ 6月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比0.1%)
○21:30 ◇ 6月カナダ原料価格指数(予想:前月比横ばい)
○23:00 ◎ 6月米景気先行指標総合指数(予想:前月比▲0.2%)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
中国の全国銀行間同業折借中心が21日に発表した2025年7月の最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)は、1年物を3.00%で据え置き、5年物も3.50%で据え置いた。
先週末の海外市場では、ドル円はNY市場に入って7月米ミシガン大消費者態度指数速報値と同時公表された消費者の期待インフレ率が予想を下回ったことを受けて、米長期金利が低下したことから一時148.19円まで値を下げる場面もみられましたが、引けにかけては週末の参院選を控えたポジション調整から148.85円まで買い戻されてほぼ行って来いとなって取引を終えました。そして、本日のアジア市場。東京勢不在のなか、週明け早朝のオセアニア市場では148.41円から147.79円まで下落。その後は一転して148.66円まで買い戻されたものの、再び148円台前半まで下押すなど、不安定な動きを繰り返しているといったところです。
参院選については、先ほど全議席が確定。市場では「惨敗が予想されていた自民党が結果的に39議席も獲得した」ことに意外感を示す向きが多く、2007年の大敗北時の37議席を上回ったことに対する反応。
現状の石破政権が退陣ではなく、少なくとも米相互関税の期限である8月1日までは存続する可能性が高まったわけで、今後は、自民党内でのパワーバランスに変化が生じるかどうか、つまり、明らかに責任論を反故した非常識的執着心から辞任する意向が全くない様相の石破首相降ろしの動きが身内から出てくるかどうかを、市場は改めて見極めていくことになりそうです。
いずれにしても、ドル円は、先週末公表された投機筋の円ロングポジション(15日時点)が2週続けて1万枚台の減少となっていることからも分かるように、下押しを淡々と拾いながら、また、チャート上での節目などではスピード感を伴いながら、大元の調整が続いています。
本日の欧州時間のユーロドルは、欧州から市場を動意づけるような経済指標の発表が予定されていないことで、先週同様に欧州連合(EU)と米国の関税交渉が市場を動意づけることになりそうだ。
先週末に英ファイナンシャル・タイムズ(FT)紙が、米国がEUに対して最低15-20%の関税を検討していると報じている。これまで米政権と関税に関して合意を結んでいるのは英国とアジアの複数諸国しかなく、EUがアジア諸国のような明らかな不公正(ベトナムへの関税20%、インドネシアは19%、一方米国に対しては0%)なディールを結ぶとは考えにくい。北大西洋条約機構(NATO)の負担金をGDP5%に引き上げることで一致したこともあり、更に欧州から譲歩を引き出すのは難しいだろう。米・EUとの関税をめぐる交渉は、このままチキンゲームが続くと予想される。動意づける指標等もないことで、本日も関税についての報道で一喜一憂する相場になりそうだ。
なお、今週24日には欧州中央銀行(ECB)理事会が行われ、政策金利が発表される。すでに会合7日前から始まるブラックアウト期間に入っていることで、ECB要人の政策金利に関する発言は控えられている。また、市場では2024年6月から続いた利下げサイクルを一時停止することが見込まれている。
・想定レンジ上限
ユーロドル:21日移動平均線の1.1693ドル。
・想定レンジ下限
ユーロドル:7月17日安値1.1557ドル。
本日のNY為替市場のドル円は、参議院議員選挙での自公連立政権の敗北を受けたIMMシカゴ筋の動向を見極めていくことになる。
本日のアジア市場では、東京勢が不在のなか一時147円台後半まで円が買い戻された。週末に行われた参議院議員選挙で自公連立政権が警戒されたほどの大敗ではなく、過度な円売り警戒感が緩んだ。ロンドン市場でも、一時147円台で円高に傾いている。
ドル円相場の道標の1つとされるシカゴIMM筋のネットポジションは、4月29日時点の過去最大規模のネット円買い179212枚から、直近7月15日時点では103582枚まで減少。その後、16日には149.18円、17日には149.09円まで円安が進んだことで、円買いポジションはさらに減少していると想定される。
シカゴIMM筋は、今年の1月にドル円が155円付近で推移していた頃、円売りポジションから買いポジションに転換し、150-152円付近で過去最大規模を更新していた。
今後は夏休みに向けて手仕舞いが加速すると思われるが、おそらくドル円が200日移動平均線149.70円付近を上抜けるかが1つポイントだろう。今後は、8月1日の相互関税発動日、次期FRB議長の人選、日本の政局などを睨みながら、動向を見極めていくことになる。
20日のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙は、ベッセント米財務長官がトランプ米大統領に対して、パウエルFRB議長の解任を留まるように説得した、と報じた。理由としては、経済と市場への影響の可能性や、FRBが既に年内の利下げに向けて動いているとみられること、政治的・法的ハードルの可能性などを挙げたとのことである。
昨年の7月のシカゴIMM筋の過去最大規模の円のネット売りポジション(※2024年7月2日:184223枚)は、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入、植田日銀総裁のタカ派発言やパウエルFRB議長のハト派発言を受けて、8月13日には買いポジションに転換していた。ドル円も161円台から141円台まで下落していた。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、149.18円(7/16高値)
・想定レンジ下限
ドル円の下値めどは、146.92円(7/16安値)
今週のNY市場は第2四半期決算や、主要貿易相手国との関税交渉に注目。先週はダウ平均が29.32ドル安(-0.07%)と小幅に2週続落した一方、S&P500が0.59%高、ナスダック総合が1.51%高と反発した。新規失業保険申請件数や6月小売売上高などが予想を上回る強い結果となり景気減速懸念が和らぐ中、発表がスタートした第2四半期決算発表が総じて良好な結果となったことが支援となった。S&P500は15,17,18日の連日で取引時間中の史上最高値を更新し、ナスダック総合もほぼ連日で取引時間中の史上最高値を更新し、終値では5日連続で最高値を更新した。
今週は発表が本格化する第2四半期決算や、主要貿易相手国との関税交渉の行方が焦点となりそうだ。決算発表はアルファベット、テスラなどマグニフィセント・セブンの一角のほか、ベライゾン・コミュニケーションズ、ゼネラル・モーターズ、コカ・コーラ、IBM、インテルなどS&P500採用の110銘柄以上が発表予定で、決算結果やガイダンスに注目が集まる。関税問題を巡っては、8月1日にトランプ関税延期の期限を迎える中、主要貿易相手国との交渉の行方が注目される。ラトニック商務長官は日曜日、8月1日を各国が関税の支払いを開始する「厳格な期限」と表明したが、8月1日以降も協議継続が可能だとも付け加えた。経済指標では6月景気先行指数、6月中古住宅販売件数、7月S&Pグローバル製造業・サービス業PMI速報値などが発表予定で足もとの景気動向や景況感が注目される。
今晩の米経済指標・イベントは6月景気先行指数など。企業決算は寄り前にドミノ・ピザ、ベライゾン、フリーポート・マクモラン、引け後にNXPセミコンダクターズなどが発表予定。
共同通信が伝えたところによると、赤沢経済再生相は日米双方に8月までの合意の意思があるという。
ベッセント米財務長官は21日、米連邦準備理事会(FRB)の建物改修をめぐる現行の論争を超えて、その機能全体を見直すべきだとの考えを示した。CNBCの「スクワーク・ボックス」に出演した同氏は、「連邦航空局(FAA)で同じようなミスが多発していれば、何が問題だったのかを検証するはずだ」と述べ、FRBが本来の使命を果たしてきたか再評価が必要だと強調した。
英政府は対ロシア制裁の一環としてプーチン大統領の主要なエネルギー・石油関連部門などに対し、新たに137件の制裁を発表した。これには、ロシアの軍事活動を支えたり、経済制裁回避に関与した金融機関、影の石油タンカー船団の運営会社や石油・ガス関連技術、重要部品の供給業者などが含まれる。加えて、イギリスはG7と連携し、ロシア産原油の価格上限を1バレルあたり47.60ドルに引き下げ、ロシアの石油収入圧縮を強化。今回の措置は制裁回避の監視を徹底し、エネルギー収入や軍需関連サプライチェーンを断つことで、ロシア経済と戦争遂行能力に重大な打撃を与える狙いだ。
メキシコのシェインバウム大統領は米国政府がメキシコの航空分野に対し何らかの措置を講じるとの正式な通知は現時点で受けていないと明らかにした。また、首都空港システムの変更を理由にメキシコが制裁を受ける正当な理由はないとの認識を示した。メキシコ大統領は米国の制裁や関税などに対しては冷静に説明と対話を重ねているほか、安全保障や経済対策を含む分野で米国と協議を続けている姿勢も、これまでの記者会見などで強調している。
インドと米国は、二国間貿易協定(BTA)の締結に向け、7月中旬にワシントンで5回目の公式協議を行った。協議では、米国の対インドトランプ関税(主に26%)が8月1日に再開される猶予期間終了を目前に控え、同関税回避を含む暫定合意の成立が焦点。主な論点は、米国が求める農産品・乳製品への関税引き下げに対し、インドが国内保護から譲歩を拒否しているほか、労働集約型製品(繊維・皮革・宝飾品など)への対米関税軽減を強く求めている。
一方、米国は工業製品や電気自動車、ワイン、農産品などの市場開放も要求。さらに、デジタル貿易や技術規制、相互の市場アクセス拡大といった広範な分野が協議に含まれている。両国は2025年秋までの包括合意を目指しつつ、まず8月1日までに暫定的な成果を指向。トランプ政権による追加関税の回避と自国産業保護の両立を図るため、熾烈な交渉が続いている。
(21日終値:22日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=147.25円(21日15時時点比▲1.05円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=172.14円(▲0.38円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1691ドル(△0.0058ドル)
FTSE100種総合株価指数:9012.99(前営業日比△20.87)
ドイツ株式指数(DAX):24307.80(△18.29)
10年物英国債利回り:4.603%(▲0.071%)
10年物独国債利回り:2.613%(▲0.082%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は軟調。20日投開票された参院選を巡り、市場では「自民・公明の与党が一部で警戒されたほどの大敗ではなかった」との受け止めから、全般円買いが先行した。NYの取引時間帯に入ると、米10年債利回りが4.34%台まで低下したことやベッセント米財務長官が「もしインフレ率が低ければ、金利を引き下げるべき」と発言したことでドル売りが活発化した。6月米景気先行指標総合指数が予想を下回ったことも相場の重しとなり、一時147.08円と日通し安値を更新した。
・ユーロドルは堅調。新規材料に乏しい中、しばらくは1.16ドル台半ばでのもみ合いが続いていたが、NY市場に入ると米長期金利の低下や米経済指標の下振れを受けてユーロ買い・ドル売りが強まった。0時30分前に一時1.1717ドルと日通し高値を付けた。
米欧の貿易協議などの行方に楽観的な見方が広がる中、ユーロ買い・ドル売りが入りやすい面もあった。ラトニック米商務長官は20日、米CBSテレビのインタビューで「欧州連合(EU)と貿易協定を締結できると確信している」と述べた。
ただ、16日の高値1.1721ドルが目先レジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。
・ユーロ円はもみ合い。ドル円の下落につれた売りが出た一方、ユーロドルの上昇につれた買いが入ったため、相場は大きな方向感が出なかった。
・ロンドン株式相場は3日続伸し、史上最高値を更新した。リオ・ティントやグレンコア、アングロ・アメリカンなど素材株が買われ、相場の押し上げ要因となった。ナショナル・グリッドやSSEなど公共事業株も値上がりした。
・フランクフルト株式相場は反発。新規材料に乏しい中、前週末終値付近でのもみ合いに終始した。個別ではBASF(2.33%高)やエーオン(1.93%高)、ボノビア(1.89%高)などの上昇が目立った。半面、フレゼニウス・メディカル・ケア(1.55%安)やザルトリウス(1.37%安)などが売られた。
・欧州債券相場は上昇した。
(21日終値)
ドル・円相場:1ドル=147.38円(前営業日比▲1.43円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=172.33円(▲0.67円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1694ドル(△0.0068ドル)
ダウ工業株30種平均:44323.07ドル(▲19.12ドル)
ナスダック総合株価指数:20974.18(△78.52)
10年物米国債利回り:4.38%(▲0.04%)
WTI原油先物8月限:1バレル=67.20ドル(▲0.14ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3406.4ドル(△48.1ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月米景気先行指標総合指数
(前月比) ▲0.3% 0.0%・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は3日ぶりに反落。米10年債利回りが4.34%台まで低下したことやベッセント米財務長官が「もしインフレ率が低ければ、金利を引き下げるべき」と発言したことで全般ドル売りが先行。6月米景気先行指標総合指数が予想を下回ったことも相場の重しとなり、一時147.08円と日通し安値を更新した。
20日投開票された参院選では、自民・公明の与党が改選過半数を下回ったものの、市場では「警戒したほどの大敗ではなかった」との受け止めから、円買いが入りやすい面もあった。
・ユーロドルは続伸。米長期金利の低下や米経済指標の下振れを受けてユーロ買い・ドル売りが進行。0時30分前に一時1.1717ドルと日通し高値を付けた。
なお、ラトニック米商務長官は20日、米CBSテレビのインタビューで「欧州連合(EU)と貿易協定を締結できると確信している」などと発言。米欧の貿易協議などの行方に楽観的な見方が広がる中、ユーロ買い・ドル売りが入りやすい地合いとなった。
もっとも、16日の高値1.1721ドルが目先レジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。
・ユーロ円は3日ぶりに反落。ただ、NY市場に限れば狭いレンジ取引に終始した。ドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、相場は大きな方向感が出なかった。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は小幅ながら続落。米欧の貿易協議などの行方に楽観的な見方が広がる中、買いが先行したものの、終盤失速した。
一方、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は6日続伸し、史上最高値で取引を終えた。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数も過去最高値を更新した。
・米国債券相場で長期ゾーンは続伸。前週半ばまで相場下落が続いただけに、持ち高調整目的の買いが優勢となった。
・原油先物相場は続落。EUによるロシアへの追加制裁は限定的になるとの見方から売りが強まった。一方、一巡後は押し目買いが入るなど下値は限られた。
・金先物相場は続伸。各国との米関税交渉への不透明感から安全資産とされる金に買いが入り、約1カ月ぶりの高値を付けた。
21日14:10 石破首相
「比較第1党としての責任を果たしていかなければならない」
「米関税措置は8月1日の節目を念頭に合意目指す」
「(政権続投について)いつまでと期限を考えているわけではない」
21日20:42 ベッセント米財務長官
「通商協議は進行している」
「合意の成立そのものは急がず、質の高い内容を望んでいる」
「欧州連合(EU)とは険悪な関係ではない」
「今夜FRB本部の建物に行き、明日は定例会合に出席する」
「もしインフレ率が低ければ、金利を引き下げるべき」
22日04:31 レビット米ホワイトハウス報道官
「税制改正法案による財政赤字については懸念していない」
「パウエルFRB議長は金利を引き下げるべき」
「トランプ大統領にはパウエルFRB議長を解任する予定はない」
「8月1日までにさらに関税に関する通知書(レター)が送付される可能性がある」
※時間は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○07:45 ◎ 6月ニュージーランド(NZ)貿易収支
○10:30 ◎ 豪準備銀行(RBA)理事会議事要旨(7月7日-8日分)
○18:15 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、議会証言
○21:30 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、あいさつ
○23:00 ◎ 7月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:▲2)
○23日02:00 ◎ ボウマンFRB副議長、講演
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
今週の日経225先物は、外部環境を睨んでの展開となりそうだ。7月20日投開票の参議院選挙で自民・公明両党は40議席台にとどまり、非改選と合わせた全体の過半数を割り込んだ。衆議院・参議院とも少数与党となるのは、戦後初めとなる。参院選での与党過半数割れは、市場はある程度は織り込んでいたとみられ、アク抜けからショートカバーを誘う展開もありそうだ。石破茂首相は比較第1党の責任は重いとして続投の意向を表明しているが、責任論が強まるとの見方がある。高市早苗前経済安全保障担当相は18日、次期自民総裁選への出馬に意欲を示したと報じられている。
参院選を通過したことで、8月1日に期限を迎える米国による関税発動の行方が注目されることになろう。日本がある程度譲歩して対米合意に達したとしても、国内で支持を得られるかは不透明である。トランプ米大統領は最初に示した税率を最終的に引き下げて合意につなげるとみられるが、合意に達するまではポジションを傾けにくい状況が続きそうだ。
トランプ大統領は欧州連合(EU)に対して30%の関税を適用すると表明していたが、EUとのいかなる合意であっても最低15~20%の関税を課す意向だと報じられている。EUはあくまで交渉による合意を目指す方針であるものの、合意に至らなかった場合に備えて対応策の計画策定に向けて会合を開くと伝えられている。マーケットは、8月1日に迫る期限を前に関連する報道の影響を受けやすくなりそうである。
日経225先物は、18日の取引終了後のナイトセッションを日中比120円安の3万9710円で終えた。18日の米国市場はNYダウ、S&P500が下落した一方で、ナスダックが小幅に上昇した。7月の米ミシガン大消費者態度指数が61.8と、6月の確報値(60.7)を上回り、5カ月ぶりの高水準となった。予想インフレ率は1年先が4.4%、5年先が3.6%と、いずれも前月(5.0%、4.0%)から低下した。景気後退の懸念が和らいだほか、物価見通しを示す予想インフレ率が短期・長期ともに下がったことが材料視される場面もみられた。
ただし、トランプ大統領がEUとの関税交渉で強硬な姿勢を示したことが警戒された。また、決算発表が本格化するなかで、ネットフリックス<NFLX>やスリーエム<MMM>、アメリカン・エキスプレス<AXP>などが決算を受けて売られたことが重荷になった。日経225先物はナイトセッションで3万9860円から始まり、直後につけた3万9870円を高値にショートが優勢となり、米国市場取引開始後には3万9630円まで売られる場面もみられた。
21日の祝日取引は3万9710円で始まり、3万9850円まで買われる場面みられた。ただし、その後は3万9730円~3万9780円辺りで推移しており、リスク回避姿勢は強まらないだろう。参加者が限られている祝日取引では、アク抜けを見極めることは難しいが、政治リスクに対する警戒感が過度に強まらなければ、上向きで推移する25日移動平均線(3万9440円)とボリンジャーバンドの+1σ(4万円)によるレンジ内での推移が続きそうだ。そのため、オプション権利行使価格の3万9375円から4万0125円辺りのレンジを想定する。
先週末のNT倍率は先物中心限月で14.03倍(17日は14.04倍)に低下した。週間(11日は13.99倍)では上昇している。13日に13.90倍まで下落し、支持線として機能していた25日線(15日:13.96倍)を割り込む場面もみられた。ただし、その後はNTショートの巻き戻しが強まり、16日には一時14.10倍と200日線(16日:14.03倍)を上回っている。その後は25日線が支持線として意識されるなかで、200日線での攻防となった。14.00倍を下回る局面では、その後のリバランスを想定したNTロングでのスプレッド狙いに向かわせそうだ。
7月第2週(7日-11日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では13週連続の買い越しであり、買い越し額は9873億円(7月第1週は2782億円の買い越し)だった。なお、現物は4030億円の買い越し(同5775億円の買い越し)と15週連続の買い越し。先物は5842億円の買い越し(同は2992億円の売り越し)と2週ぶりの買い越しだった。個人は現物と先物の合算で461億円の売り越しと5週連続の売り越し。信託銀行は現物と先物の合算で9390億円の売り越しとなり、2週連続の売り越しだった。
主要スケジュールでは、21日に米国6月コンファレンス・ボード景気先行指数、22日にパウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長発言、23日に日・EU首脳会談、米国6月中古住宅販売件数、24日にECB(欧州中央銀行)政策金利、ラガルドECB総裁記者会見、米国7月製造業PMI、米国6月新築住宅販売件数、25日に6月企業向けサービス価格指数、米国6月耐久財受注などが予定されている。
昨日の海外市場では、米10年債利回りが4.34%台まで低下したことやベッセント米財務長官が「もしインフレ率が低ければ、金利を引き下げるべき」と発言したことで全般ドル売りが先行。6月米景気先行指標総合指数が予想を下回ったことも相場の重しとなり、ドル円は147.08円まで弱含んだ。ユーロドルは米長期金利の低下や米経済指標の下振れを受けてユーロ買い・ドル売りが進行し、一時1.1717ドルまで上昇した。
本日の東京時間でのドル円は、参議院選挙の結果を受けた東京市場の反応を見極める展開になる。昨日は東京市場が海の日で休場だったこともあり、本日から連休明けとなる本邦勢が、昨日の海外市場同様に円の買い戻し(ドル売り)を継続するのかを確かめる必要がありそうだ。
7月上旬から自民・公明両党の過半数割れを織り込む相場になっていたことで、ドル円は7月1日につけた142.68円を安値に、16日には149.18円までドル高・円安が進んだ。予想よりも自民・公明両党の獲得議席の減少が限られたことが円の買い戻し要因との声もあるが、衆議院に続いて参議院でも過半数を失ったという事実は変わらないことで、今後の為替市場を読み解くうえでも、自民・公明両党がどのような政治的な方針をとるのかということが焦点になる。
今後は与党が連立を拡大する、政策ごとに他野党の支援を受けるなど、どのような方針を取るのかは未知数だが、どの政党と手を組んだ場合でも減税などを含め、財政拡大路線になる可能性がある。この場合は、今月上旬のように本邦国債が売られ、日本売り、円売りになりやすい。ただ、この動きを市場がすでに過度に織り込んでいたこともあり、これ以上の円売りが進まない可能性もある。昨日は国内の外国為替証拠金取引(FX)業者の取引開始となる7時を過ぎると、本邦の個人投資家は円売りを仕掛けたが、数十銭程度しかドル円は上昇しなかったことを考えると、7月上旬までの流れを期待するのも難しいかもしれない。
円が買われるリスク要因として、昨日石破首相が続投の意向を正式に表明し、対米交渉に関しては「米関税措置は8月1日の節目を念頭に合意目指す」との見解を示したこと。どの政治家が首相になった場合でも、米国との関税交渉は、多くの国民や自民党支持の農業団体から非難を浴びる可能性が高い。レームダック化した石破政権に日米交渉を押し付けた方が、次期首相候補も望ましいと思っているだろう。本格的な石破降ろしとなるのは、日米交渉で合意した後になるか。もし、日米交渉の合意を期待する声が高まれば、これまで売られていた円が買い戻されることもありそうだ。
なお、本日は本邦からは主だった経済指標の発表が予定されていない。豪州からは7月7日-8日に行われた豪準備銀行(RBA)理事会の議事要旨が発表される。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 39820 -10 (-0.02%)
TOPIX先物 2836.5 -2.0 (-0.07%)
シカゴ日経平均先物 39790 -40
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
21日の米国市場はNYダウが下落した一方で、 S&P500、ナスダックは上昇。欧州連合(EU)が米国との関税交渉でさらなる譲歩を迫られた場合に備えて対抗措置をとる準備を進めていると報じられ、貿易協議を巡る不透明感が主力株への売りを促した。また、スリーエム<MMM>、アメリカン・エキスプレス<AXP>などが決算を受けて売られたことが重荷となった。
S&P500業種別指数は電気通信サービス、メディア、小売が上昇した。半面、エネルギー、保険、医薬品・バイオテクノロジーの下げが目立った。NYダウ構成銘柄では、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>、ナイキ<NKE>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、ホーム・デポ<HD>が買われた。一方で、アメリカン・エキスプレスのほか、トラベラーズ<TRV>、メルク<MRK>、エヌビディア<NVDA>が軟調。
シカゴ日経平均先物清算値は、大阪比40円安の3万9790円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比30円高の3万9860円で始まった。その後はショートが優勢となり、18日の米国市場取引開始後には3万9630円まで売られる場面もみられ、日中比120円安の3万9710円で終えた。祝日取引では3万9700円~3万9850円辺りでの推移が続くなか、21日の米国市場の取引開始後にロング優勢となり、3万9930円まで買われる場面もみられた。買い一巡後は終盤にかけて軟化し、3万9820円で取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形で、小動きで始まることになりそうだ。注目された20日投開票の参議院選挙で、自民・公明両党は40議席台にとどまり、非改選と合わせた全体の過半数を割り込んだ。参院選での与党過半数割れについては、市場はある程度は織り込んでいたと考えられ、アク抜けの動きをみせてくるかが注目される。
祝日取引ではボリンジャーバンドの+1σ(4万0010円)に接近する場面もみられており、取引開始後に底堅さがみられるようだと、短期的にロングを仕掛けてくる動きがありそうだ。ただし、石破茂首相は比較第1党の責任は重いとして続投を表明しているが、責任論が強まるとの見方がある。政治リスクを警戒した流れが強まるようだと、ショートを仕掛けてくる動きにより、25日移動平均線(3万9440円)に接近する展開も意識されよう。
参院選を通過したことで、8月1日に期限を迎える米国による関税発動の行方が注目される。日本は通商交渉で強硬姿勢を示しており、合意に達するまではポジションを傾けにくい状況が続きそうだ。そのため、25日線と+1σによるレンジ内での推移が続くとみられ、オプション権利行使価格の3万9375円から4万0125円辺りのレンジを想定する。
21日の米VIX指数は16.65(18日は16.41)に上昇した。16.99まで上げる場面もみられたが、下向きで推移し抵抗線として機能している25日線(17.58)を下回って低下傾向が続いているため、リスク選好に向かわせやすい状況である。
先週末のNT倍率は先物中心限月で14.03倍(17日は14.04倍)に低下した。一時14.07倍に上昇する場面もあったが、その後の低下で14.01倍まで下げており、一時200日線(14.03倍)を割り込んだ。ただし、同線を下回る局面ではその後のリバランスを想定したNTロングでのスプレッド狙いに向かわせている。参院選通過でアク抜けが意識されるようだと、リバランスからNTロングでのスプレッド狙いが入りやすいだろう。
東京市場は一進一退か。米国株は18日、21日とも3指数がまちまちとなった。18日はネットフリックスなどが弱く、ダウ平均とS&P500が下落。21日はベライゾンなどが買われてS&P500とナスダックが上昇と、決算発表銘柄の値動きが大きくなった。21日のダウ平均は19ドル安の44323ドルで取引を終えた。ドル円は足元147円40銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが40円安の39790円、ドル建てが10円高の39840円で取引を終えた。
米国株は両日とも方向感に欠ける動きであった。日本は参院選で政権与党が大敗したが、事前観測から織り込みは進んでいる。石破首相は続投の意向を示しており、日本株は強弱感が交錯して動きづらい展開を予想する。ドル円は円高に振れているが、野党躍進の場合、財政規律が緩んで「悪い円安」が進むことへの懸念もあっただけに、そういった反応となっていない点には安心できる要素もある。政局、日米交渉、企業決算など見定めたい材料が多く、様子見ムードの強い1日となるだろう。日経平均の予想レンジは39600-39950円。
昨日の海外市場では、ドル円は石破首相が続投を公式に表明したことを受けて改めて戻り売り。政権交代まではなくとも、財政拡大路線に転換する可能性に目先はファンド勢が買戻しを進めていたわけで、退陣しない理由に「明日、来るかもしれない直下型地震」を上げるなど、前代未聞の会見とはなったものの、とりあえず、市場としては短期勢が先週末にかけて買い上げた分を落としてきたといったところ。
本日の東京市場では、3連休明けとあって、本邦実需の買いが断続的に観測されているほか、元々選挙前に買われていなかった日経平均が寄付きから40000円台を回復して450円を超える上昇となるなか、一時147.71円まで買戻されました。その後は一目転換線の位置する147.47円を意識する動きが続いています。
いずれにしても、本日は、本来政権与党をサポートする保守系メディアであるはずの産経新聞と読売新聞が社説で「石破首相の即時退陣」を主張するといった異常事態。続投が異常事態である以上、今後に起きうる事態もまた然りなのかもしれず、本日の東京勢の反応もまた、政権与党内での政局の可能性を意識しているからこその値動き。ドル円は、目先のポジション調整を繰返しつつ、進むべき方向性に向かっているところです。
日経225先物は11時30分時点、前日比50円高の3万9880円(+0.12%)前後で推移。寄り付きは3万9780円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万9790円)にサヤ寄せする形から、やや売りが先行して始まった。ただし、直後につけた3万9770円を安値にロング優勢の流れとなり、現物の寄り付き直後に4万円の大台を回復すると、4万0270円まで上げ幅を広げた。ただし、その後は急速に上げ幅を縮めており、中盤以降は3万9850円~3万9950円辺りでの保ち合いを継続。
日経225先物は、4万円台を回復し、ボリンジャーバンドの+1σ(4万0010円)を上回ってきたことで、ショートカバーを誘う形になった。20日投開票の参院選で与党が過半数割れとなったが、石破茂首相は比較第1党の責任は重いとして続投を表明している。政治空白リスクへの警戒が和らいだとの見方から、ショートカバーを誘う形になったようだ。ただし、買い一巡後は上げ幅を縮めており、オプション権利行使価格の4万円を挟んだ上下の権利行使価格となる、3万9750円から4万0250円でのレンジで推移。+1σをキープできなかったことで、後場は3万9750円~4万円のレンジが意識されそうだ。
NT倍率は先物中心限月で14.05倍に上昇した。一時14.01倍に低下する場面もあったが、25日移動平均線(14.00倍)が支持線として機能する形となり、その後のリバランスによって200日線(14.03倍)を上回っている。
本日の欧州時間でも欧州からは主だった経済指標の発表が予定されていないことで、欧州連合(EU)と米国との関税交渉や、トランプ政権要人の発言に左右される展開になると予想する。
EUと米国の交渉については、水面下での交渉が継続されているが、現時点では具体的な進展内容などは発表されていない。ベッセント米財務長官が「重要なのは交渉のタイミングではなく、取引の質だ」と述べているが、8月1日までに交渉がまとまらないかもしれない。合意に至らない場合で再延長があるのか、それとも当初予定されているような関税賦課が行われ、貿易戦争になるのかはいまだに不透明なままだ。本日も、観測記事を含め貿易に関するニュースヘッドラインを睨みながらの取引になるか。
本日は欧州時間昼頃に、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長とボウマンFRB副議長が発言する機会がある。ただ、19日からすでに米連邦公開市場委員(FOMC)を控え、ブラックアウト期間に入っていることもあり政策金利などについては発言が控えられている。また、両者ともにワシントンD.C.で開催される大規模銀行の資本枠組みの統合レビューコンフェレンスへの出席で、コンフェレンス自体の内容を鑑みても金利についての話が出てくるとは考えにくいだろう。ただ、FRB正副議長の発言は期待できないものの、昨日もベッセント米財務長官やレビット米ホワイトハウス報道官などが金利について言及するなど、トランプ政権高官による発言が市場に影響を与える可能性があることには注意が必要だ。
・想定レンジ上限
ユーロドル:10日高値の1.1750ドル
・想定レンジ下限
ユーロドル:日足一目均衡表・基準線1.1638ドル
ドル円:1ドル=147.77円(前営業日NY終値比△0.39円)
ユーロ円:1ユーロ=172.69円(△0.36円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1686ドル(▲0.0008ドル)
日経平均株価:39774.92円(前営業日比▲44.19円)
東証株価指数(TOPIX):2836.19(△1.71)
債券先物9月物:138.6円(△0.25円)
新発10年物国債利回り:1.500%(▲0.020%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は堅調。前日に下落した流れを引き継ぎ朝方に147.24円の安値を見た後は、連休明けの本邦勢が本格参入するとやや買いが強まる中でじりじりと上値を伸ばす動きに。15時前に147.81円まで上昇した。
・ユーロ円も堅調。朝方に172.15円まで下落後は172.78円まで切り返すなど、ドル円に連れた動きとなった。
・ユーロドルはもみ合い。手掛かり材料を欠く中、1.1690ドル前後で方向感を模索する動きとなった。
・日経平均株価は小幅続落。前週末の参院選では自民・公明の連立与党の議席数が過半数を割り込むも、大きなサプライズがなかったことで買い戻しが先行すると、4万円の大台を回復。もっとも、その後は米国との関税交渉の行方が不透明なこともあり利益確定の売りに押された。
・債券先物相場は4営業日続伸。参院選での与党敗北を受け、国内政治に対する不透明感が強まると共に日銀の利上げが難しくなりかねないとの見方から、債券は買いが優勢の展開に。一時138円71銭まで上昇する場面が見られた。
「第二院は何の役に立つのか?
もしそれが第一院に一致するならば、無用であり、
もしそれに反対するならば、有害である」(シェイエス)
橋本元首相と石破首相は、政治家を父に持ち、最終学歴は慶應義塾大学法学部で、卒業後は民間企業に勤務し、20代で政治家になって所属したのは田中派であり、故田中氏の薫陶を受けた。党内の支持基盤は弱かったものの国民的な人気は一貫して高く、要職を歴任した後、首相に就任したが、参議院選挙では敗北した。
1. 橋本元首相(1998年7月12日)
1998年7月12日の第18回参議院議員選挙では、自民党は改選議席の60議席を大きく下回る44議席(追加公認1を加えて45議席)と敗北した。選挙前議席の119議席から103議席まで減少した。
7月13日(翌日)、橋本第83代首相は参院選での惨敗を受け退陣を表明した。
7月24日(12日後)、自民党総裁選挙(小渕氏、梶山氏、小泉氏)が実施された。
7月30日(18日後)、小渕内閣(第84代首相)が発足した。
■日米自動車交渉
橋本通商産業大臣は、カンター米国通商代表と日米自動車交渉で対峙し、米国から「タフ・ネゴシエイター」として高く評価された。
■ソブリンリスク
1997年、橋本首相は「財務省証券を大幅に売りたいという誘惑に駆られたことがある」と述べた。
2.石破首相(2025年7月20日)
2025年7月20日の第27回参議院議員選挙では、自民党は改選議席52議席から39議席まで減少した。選挙前議席の114議席(=改選52+非改選62)から101議席まで減少した。
自公与党は122議席(自民101議席+公明21議席)で過半数125議席を割り込んだ。
7月21日、石破首相は続投を表明した。
■日米関税交渉
石破政権は、トランプ米政権によるトランプ関税に関して、ベッセント米財務長官、ラトニック米商務長官、グリア通商代表部(USTR)代表などと通商交渉に臨んだ。
赤沢経済再生相は、7回(※現在8回目が開催中)の日米通商交渉に臨んだものの、合意には至っていない。
■ソブリンリスク
石破首相は、「日本の財政状況はギリシャよりよろしくない」と述べた。
多数派となった野党が消費減税を主張しているため、財政悪化懸念が高まっている。
大阪9月限
日経225先物 39750 -80 (-0.20%)
TOPIX先物 2837.0 -1.5 (-0.05%)
日経225先物(9月限)は前日比80円安の3万9750円で取引を終了。寄り付きは3万9780円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万9790円)にサヤ寄せする形からやや売りが先行した。ただし、その後はロングが優勢となり、現物の寄り付き直後に4万円の大台を回復すると、4万0270円まで上げ幅を広げた。
ただし、買い一巡後は急速に上げ幅を縮め、前場中盤以降は3万9850円~3万9950円辺りで保ち合いを継続。ランチタイムでレンジを下抜くと、後場中盤にかけて下へのバイアスが強まり、3万9580円まで下げ幅を広げる場面もみられた。終盤にかけてはショートカバーが入り3万9750円まで下げ幅を縮めて終えた。
日経225先物は4万円台を回復し、ボリンジャーバンドの+1σ(4万円)を上回ってきたことで、ショートカバーを誘う形になった。20日投開票の参院選で与党が過半数割れしたが、石破茂首相は続投を表明している。政治空白リスクへの警戒が和らぎ、ショートカバーを誘う形となったようだ。
ただし、買い一巡後は上げ幅を縮め、前場はオプション権利行使価格の4万円を挟んだ上下の権利行使価格となる、3万9750円から4万0250円のレンジで推移。ランチタイムでレンジを下抜けたが、25日移動平均線(3万9440円)が支持線として機能しており、荒い値動きとはなったものの、概ね25日線と+1σによるレンジでの推移だった。
米国が日本からの輸入品に25%の関税を課す期限が来月1日に迫るなか、関税発動の可能性を市場は織り込んでくるとみられ、積極的なロングは入りにくい状況が続きそうだ。一方で、ある程度譲歩して対米合意に達することができれば、ショートカバーを誘う形で4万円台を再び突破してくる展開が意識されそうだ。
オプション権利行使価格の3万9500円から4万円のレンジを想定しつつ、レンジ下限接近では押し目待ち狙いのロング対応に向かわせよう。レンジ上限での底堅さがみられる局面では、短期的なロングを入れつつも+1σ水準を支持線に変えてくる展開を見極めることになる。
NT倍率は先物中心限月で14.01倍に低下した。一時14.09倍に上昇する場面もあったが、200日線(14.03倍)での攻防が目立つなかで、25日線(14.00倍)まで下げている。同線を下回る場面ではその後のリバランスを狙ったNTロングを意識しておきたいところだ。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万7831枚、ソシエテジェネラル証券が1万3162枚、サスケハナ・ホンコンが4704枚、JPモルガン証券が2512枚、モルガンMUFG証券が1758枚、バークレイズ証券が1694枚、SBI証券が1364枚、日産証券が1348枚、ゴールドマン証券が1342枚、楽天証券が1325枚だった。
TOPIX先物はソシエテジェネラル証券が1万9431枚、ABNクリアリン証券が1万9124枚、バークレイズ証券が5118枚、JPモルガン証券が4031枚、モルガンMUFG証券が4027枚、ゴールドマン証券が2638枚、ビーオブエー証券が2232枚、シティグループ証券が929枚、サスケハナ・ホンコンが718枚、野村証券が713枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、ブラックアウト期間中のパウエルFRB議長とボウマンFRB副議長の発言に注目する展開が予想される。
29-30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えてブラックアウト期間となっているため、本日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長のあいさつやボウマンFRB副議長の講演では、金融政策に関する言及はないことになっている。
しかしながら、トランプ米政権による利下げ圧力が強まる中で、8月に物価上昇を予想しているパウエルFRB議長と7月のFOMCでの利下げを主張している両者の発言には注目しておきたい。
ベッセント米財務長官は、昨日、「もしインフレ率の数値が低下した場合、FRBは利下げすべき」と述べており、6月の消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)では、インフレ率の鈍化傾向が示されていた。
また、早期の次期FRB議長の選任が警戒される中、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙は、ベッセント米財務長官がトランプ米大統領に解任を思い止まるように説得したと報じていた。理由としては、経済や市場に影響を与える可能性、FRBはすでに年後半にかけて利下げの軌道にあること、政治的、法律的な混乱を及ぼす可能性、などを挙げたとのことである。
レビット米ホワイトハウス報道官も「トランプ大統領にはパウエルFRB議長を解任する予定はない」と述べおり、当分、パウエルFRB議長の解任懸念は後退したのかもしれない。
今後は、8月1日のトランプ相互関税の発動や日本の臨時国会の召集に向けて、赤沢経済再生相とラトニック米商務長官らによる第8回日米通商交渉の成り行きに注目することになる。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、148.66円(7/21高値)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、145.93円(日足一目均衡表・基準線)
今晩は上値の重い展開か。昨日はダウ平均が19.12ドル安(-0.04%)とわずかながら2営業日続落した一方、S&P500が0.14%高と反発し、ナスダック総合は0.38%高と6営業日続伸した。7月中旬からスタートした第2四半期決算発表が総じて良好な結果となり、決算発表への期待が高まる中、予想を上回る決算を発表したベライゾンが4%超上昇したほか、水曜日引け後に決算を発表するアルファベットも2.72%高と大幅に上昇し、ハイテク株の上昇をけん引した。S&P500とナスダック総合はともに取引時間中の史上最高値を更新し、S&P500は終値で初めて6300ポイントを上回って終了。ナスダック総合は6日連続で終値の最高値を更新した。
今晩の取引ではS&P500とナスダック総合が史上最高値更新を続けていることで高値警戒感が意識されるほか、翌日引け後のアルファベットやテスラの決算発表を控えた様子見姿勢が強まることも予想され、上値の重い展開か。高水準の発表が続く第2四半期決算が引き続き注目されるほか、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言も予定されており、FRB議長の任期を巡る発言などにも要注目か。
今晩の米経済指標・イベントはパウエルFRB議長発言、7月リッチモンド連銀製造業総合指数など。企業決算は寄り前にゼネラル・モーターズ(GM)、フィリップモリス、D.R.ホートン、シャーウィン・ウィリアムズ、RTX、コカ・コーラ、ハリバートン、ロッキード・マーチン、引け後にインテューイティブ・サージカル、テキサス・インスツルメンツ、ベーカー・ヒューズなどが発表予定。
関係者筋の話として一部報道が伝えたところによると、「日銀は来週の金融政策決定会合で金利を据え置く可能性が高い」「日銀は選挙結果で利上げ路線継続変更の必要性は大きくないと見ている」「日銀は利上げ検討時に米関税政策の影響を慎重に見極める」「財政の大幅拡大が物価上昇につながる可能性を警戒」などと伝えられている。
ハンガリー中銀は22日、主要政策金利を10カ月連続で6.5%に据え置いた。消費者物価指数(CPI)は6月に4.6%へ加速し、中銀の許容レンジ(2~4%)を上回る水準が続いている。物価の持続的な減速が確認できるまで利下げは困難との姿勢を堅持し、今年中の利下げは限定的との見方が強い。今年の成長率予測は0.8%と低迷、物価トレンドの上方リスクに対し経済成長の下方リスクも指摘されている。
欧州連合(EU)のセフチョビッチ通商担当委員は今週開催予定のEU・中国首脳会談を「貿易・投資に関する重要な議題を協議する機会」と位置付けた。米国との貿易交渉が進む中、EUは中国との関係でも「よりバランスの取れたパートナーシップ」を目指しており、中国市場のさらなる開放を求めている。米国による対EU関税(最大20%)が見込まれる中、多様化戦略としても中国との対話の重要性が増している。
日経平均株価は続落。小幅高で寄り付くも、上げ幅を400円超に広げた後に200円超下落するなど、場中の値動きは荒くなった。ただ、終値では44円安(39774円)と小幅な下落にとどまった。
RSI(9日)は前日の60.0%→53.9%(7/22)に低下。上に長めのヒゲをつけた陰線を形成したが水準は大きく変化しておらず、終値(39774円)では5日移動平均線(39767円 7/22)を上回った。安値(39586円)でも節目の39500円や25日移動平均線(39463円 同)は割り込んでおらず、上向きの基調は崩れていない。
上値メドは、心理的節目の4万円、6/30高値(40852円)、昨年7/17安値(41054円)、心理的節目の42000円などがある。下値メドは、5日移動平均線や25日移動平均線、基準線(39439円 同)、6/18高値(38885円)、心理的節目の38500円などがある。
米財務省は22日、イエメンのフーシ派(Ansarallah)に関連する石油密輸および制裁回避ネットワークに対して新たな制裁を課した。対象はフーシ派支配地域への石油製品の輸入で利益を得ている2人の個人と5つの企業で、これらはイエメンとアラブ首長国連邦に拠点を置いている。イラン支援のフーシ派は毎年数億ドルの収益を石油輸入の課税やマネーロンダリングを通じて得ており、これが同派の地域 destabilization活動の資金源となっている。
フォールケンダー財務省副長官は、「フーシ派は機会主義的なビジネスマンと協力し、石油製品の密輸から巨額の利益を上げ、国際金融システムへのアクセスを可能にしている。このような違法ネットワークを財務省は全力で解体する」と述べた。この制裁は対テロの大統領令13224号に基づいており、昨年来のフーシ派資金源や武器調達を狙う一連の措置の一環。フーシ派は2024年に米国から外国テロ組織に指定されている。
(22日終値:23日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=146.56円(22日15時時点比▲1.21円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=172.14円(▲0.55円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1745ドル(△0.0059ドル)
FTSE100種総合株価指数:9023.81(前営業日比△10.82)
ドイツ株式指数(DAX):24041.90(▲265.90)
10年物英国債利回り:4.569%(▲0.034%)
10年物独国債利回り:2.590%(▲0.023%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は頭が重かった。日本時間夕刻に一時147.95円まで値を上げる場面もあったが、欧州勢が本格参入した後は売りが優勢となった。米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.32%台まで低下したことで全般ドル売りが進んだほか、7月米リッチモンド連銀製造業指数が▲20と予想の▲2を下回ったことが相場の重しとなり、一時146.31円と日通し安値を更新した。
20日投開票された参院選では、自民・公明の与党が改選過半数を下回ったものの、市場では「警戒したほどの大敗ではなかった」と受け止められた。政治や財政悪化リスクへの過度な懸念が和らぎ、「前週にかけて積み上がった円売り・ドル買いの持ち高を解消する動きが続いた」との声も聞かれた。
・ユーロドルは底堅い動き。米欧の貿易交渉に対し具体的な進捗が伝わってきておらず、市場では警戒感が根強く、22時過ぎに一時1.1679ドルと日通し安値を更新した。ただ、そのあとは米金利低下や米経済指標の下振れを受けてユーロ買い・ドル売りが優勢となり、前日の高値1.1717ドルを上抜けて一時1.1760ドルまで上値を伸ばした。
なお、ベッセント米財務長官は「8月1日の期限までの合意は、多くの国にとって困難」としながらも、「期限が過ぎた後でも交渉の継続は可能」「今後数日間に多くの合意が期待できる」などと話した。
・ユーロ円は上値が重かった。日本時間夕刻に一時172.93円と日通し高値を付けたものの、買い一巡後は次第に弱含んだ。ドル円の下落につれた売りが出ると一時171.37円と日通し安値を更新した。ただ、ユーロドルの上昇につれた買いが入ると172.20円付近まで下げ渋った。
・ロンドン株式相場は4日続伸し、史上最高値を更新した。足もとで相場上昇が続く中、序盤は利益確定目的の売りが出たものの、終盤強含んだ。コンパス・グループやエンテインなど一般消費財サービスが買われたほか、リオ・ティントやグレンコアなど素材株が値上がりした。
・フランクフルト株式相場は反落。米欧の貿易交渉を巡る具体的な進捗状況が伝わってこないことから、売りが優勢となった。個別ではザルトリウス(5.36%安)やインフィニオン・テクノロジーズ(3.51%安)、ラインメタル(3.36%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は上昇した。
22日の日経平均は続落。終値は44円安の39774円。小高く始まった後、序盤では買いに勢いがつき、節目の4万円を超えて40200円台まで水準を切り上げた。400円超上昇したところで買いが一巡し、すぐに上げ幅を縮めたものの、前場ではプラス圏をキープした。
しかし、後場は前引けから水準を切り下げ、マイナス圏からのスタート。しばらく下を試す流れが続き、下げ幅を200円超に広げた。39500円台に入ったところで押し目買いが入り、13時台半ば以降は緩やかに値を戻した。終日方向感は定まらなかったものの、極端な動きは修正され、小幅な下落で取引を終えた。TOPIXも後場にマイナス圏に沈んだが、こちらは終値ではプラスを確保。グロース250指数は終日プラス圏で推移した。
東証プライムの売買代金は概算で4兆2000億円。業種別では鉄鋼、機械、非鉄金属などが上昇した一方、医薬品、精密機器、その他製品などが下落した。原発新設の可能性を検討する目的での調査を開始すると発表した関西電力<9503.T>が大幅上昇。半面、メタプラネット<3350.T>が商いを伴って大きく値を崩した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり687/値下がり877。日本の防衛力強化に対する思惑などから、三菱重工、川崎重工、IHIの防衛大手3社が大幅上昇。フジクラ、ソフトバンクG、良品計画などが買いを集めた。関西電力の原発新設に対する期待が高まったことから東電HDや北海道電力などにも資金が向かい、原発建設関連として助川電気工業や日本製鋼所などが物色された。
一方、レーザーテックや東京エレクトロンなど半導体株の一角が軟調。ドル円が円高に振れたことからトヨタや日産自動車など自動車株が売りに押された。住友ファーマや中外製薬など薬品株の多くが大きめの下落。1Q決算が失望を誘ったアルインコが大幅に下落した。
日経平均は小幅安。プラス圏とマイナス圏を行き来したが、参院選での政権与党の大敗に関しては、織り込みもかなり進んでいた。結果そのものには大きなサプライズはなく、選挙が終われば米国との関税交渉が喫緊の課題となるだけに、今は楽観にも悲観にも傾きづらい。政局に大きな変化が出てくるとしても、8月以降になるのではないかと思われる。この先は3月決算銘柄の1Q業績が出始めるだけに、いったん政治の話は脇に置いて、個別重視の様相が強まるだろう。なお、石破首相は続投を明言しているが、万博出席目的で来日したベッセント米財務長官との会談でも、これといった進展はなかった。トランプ政権から交渉に対する不満が強く出てきた場合には、新たなリーダーを求める声が高まるとみておいた方が良い。
石破首相は日米関税交渉の進展を見極めて近く進退判断と読売新聞が伝えた。
(22日終値)
ドル・円相場:1ドル=146.63円(前営業日比▲0.75円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=172.36円(△0.03円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1754ドル(△0.0060ドル)
ダウ工業株30種平均:44502.44ドル(△179.37ドル)
ナスダック総合株価指数:20892.69(▲81.48)
10年物米国債利回り:4.34%(▲0.04%)
WTI原油先物8月限:1バレル=66.21ドル(▲0.99ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3443.7ドル(△37.3ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
7月米リッチモンド連銀製造業景気指数
▲20 ▲8・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は続落。米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.32%台まで低下したことなどを手掛かりに円買い・ドル売りが先行。7月米リッチモンド連銀製造業指数が▲20と予想の▲2を下回ったことも相場の重しとなり、一時146.31円と日通し安値を更新した。
なお、日米貿易交渉を巡っては、新たな「相互関税」が適用される8月1日の期限を前に協議が難航。米政権は「期限よりも質の高い合意」を目指す立場を崩しておらず、交渉が長期化する可能性が出ている。ベッセント米財務長官は「8月1日の期限までの合意は、多くの国にとって困難」と述べたうえで、「期限が過ぎた後でも交渉の継続は可能」「今後数日間に多くの合意が期待できる」などと語った。
また、読売新聞が報じたところによると「石破首相は22日、米関税措置を巡る日米協議の進展状況を見極め、近く進退を判断する意向を固め、周辺に伝えた」ようだ。参院選で自民、公明両党が惨敗しながら、続投を表明したことへの反発が自民内で広がっていることを考慮したという。
・ユーロドルは3日続伸。米欧の貿易交渉に対して警戒感が根強い中、22時過ぎに一時1.1679ドルと日通し安値をつけたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。米金利低下や米経済指標の下振れを理由にユーロ買い・ドル売りが活発化すると、前日の高値1.1717ドルを上抜けて一時1.1760ドルまで上値を伸ばした。
なお、トランプ米大統領は「パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が金利を高く設定しているのはおそらく政治的な理由」「政策金利は1%にするべき」などと述べたと伝わった。
・ユーロ円は小反発。ドル円の下落につれた売りが出ると一時171.37円と日通し安値を付けたものの、ユーロドルの上昇につれた買いが入ると172.40円付近まで持ち直した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反発。上昇が続いてきたハイテクや半導体株に売りが目立ち、序盤は小安く推移した。ただ、出遅れ感のあったディフェンシブ株に買いが集まると相場は上げに転じた。
一方、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は7日ぶりに反落した。連日で史上最高値を更新したあとだけに利益確定目的の売りが優勢となった。
・米国債券相場で長期ゾーンは3日続伸。米関税政策を巡る不透明感や米経済指標の下振れを背景に、相対的に安全資産とされる米国債に買いが入った。
・原油先物相場は3日続落。米関税政策を巡る不透明感によりエネルギー需要低迷を意識した売りが優勢となった。
・金先物相場は3日続伸。引き続き米国と各国の関税交渉への警戒感の高まりが金需要につながり、6月中旬以来の高値を更新した。
トランプ米大統領は22日、フィリピンへの関税率を20%から19%に引き下げると発表した。
22日11:01 林官房長官
「(日米関税交渉)8月1日念頭に着地点探す努力を継続」
「経済再生相、米国での今後の予定は調整中」
(記者会見で、関税交渉のため訪米中の赤沢経済再生相がラトニック商務長官に続き、ベッセント財務長官やグリアUSTR代表と会談する予定はあるかとの質問に対して)
22日19:36 ベイリーBOE総裁
「現在、イールドカーブのスティープ化が進行している」
「借入コスト上昇は、英国だけの問題ではない」
「借入コストの上昇は、通商政策による世界貿易への影響を巡る懸念や財政政策の不透明感によってもたらされている」
22日20:46 ベッセント米財務長官
「8月1日の期限までの合意は、多くの国にとって困難」
「期限が過ぎた後でも交渉の継続は可能」
「今後数日間に多くの合意が期待できる」
「中国との協議は、新たなレベルに移行した」
「28-29日にストックホルムで中国当局者と会談する予定」
「2026年Q1までに、国内総生産(GDP)が3%以上になる見込み」
「関税収入は大きな数字であり、GDPの1%にもなる見込み」
22日21:51 ブルース米国務省報道官
「米国はユネスコから脱退する」
「ユネスコは分断的な社会的・文化的大義名分を推進するために活動し、国連の持続可能な開発目標という、米国第一主義の外交政策とは相反する」
22日23:32 リーブス英財務相
「財政的な余裕をもっと確保したいが、それには代償が伴う」
23日00:46 トランプ米大統領
「金利が住宅購入者に問題を引き起こしている」
「パウエルFRB議長が金利を高く設定しているのはおそらく政治的な理由」
「政策金利は1%にするべき」
「(パウエルFRB議長辞任について)彼は8カ月以内に退任しなければならない」
※時間は日本時間
<国内>
○10:30 ◎ 内田眞一日銀副総裁、あいさつ
<海外>
○14:00 ◎ 6月シンガポール消費者物価指数(CPI、予想:前年比0.9%)
○17:00 ◎ 6月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.3%/前年比3.1%)
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○23:00 ◎ 7月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲15.0)
○23:00 ◎ 6月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲0.7%/年率換算400万件)
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○24日02:00 ◎ 米財務省、20年債入札
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
昨日の海外市場でドル円は、米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.32%台まで低下したことなどを手掛かりに円買い・ドル売りが先行し146.31円まで弱含んだ。ユーロドルは米金利低下や米経済指標の下振れを理由にユーロ買い・ドル売りが活発化すると、前日の高値1.1717ドルを上抜けて一時1.1760ドルまで上値を伸ばした。
本日の東京時間でのドル円は、引き続き上値が重い展開を予想する。参議院選挙の週明け21日は、国内の外国為替証拠金取引(FX)業者の取引開始となる7時を過ぎると148.66円まで上昇したが、すぐに上値が抑えられた。昨日22日には、海の日で休場明けとなった本邦勢の参入後は147.95円まで上昇した。しかし、その後は再び上値が抑えられ、高値から1円64銭売られている。衆議院に続いて参議院で与党が過半数割れとなったことで、財政拡大路線を懸念した円売りを予想していた本邦勢は軒並みコストの悪いドルロングができてしまっているこ。本日はドル円が上昇する局面があった場合は、ドルロングを逃げたい投資家が上値を抑えていくことになりそうだ。
本邦からの経済指標の発表が乏しい中で、本日も国内政治の動向を注目する必要がありそうだ。読売新聞をはじめとした保守系のメディアが石破降ろしに動いているが、8月1日を期限とした日米貿易交渉を前に、首相が変わるのも難しく、交渉の妥結か期限の延長が決定されない限りは早期退陣を期待するのは難しいかもしれない。自民党幹事長を務めるのが農林族のドンとされる森山氏でもあることで、首相交代となると、米をはじめとした農業分野で、これまでの交渉が白紙に戻る可能性もあることが政局を難しくしている。
なお、本日は内田眞一日銀副総裁が高知市で金融経済懇談会であいさつを行う予定。副総裁の発言に注目が集まる。また、財政拡大の可能性がささやかれている中で、本日は40年物国債の入札が行われる。入札後の債券市場の反応が注目されることになるだろう。
市場全体としてドル売りとなっているが、米連邦公開市場委員(FOMC)を控え、19日からブラックアウト期間に入っていることで、米連邦準備理事会(FRB)要人は金利についての発言ができない。一方で、米金利の低下を望んでいるトランプ政権要人の発言が繰り返されることが、ドルの重しになりそうだ。30日のFOMCの結果発表までは米金利低下を促す発言が優勢になることは避けられないか。
東京市場は軟調か。米国株はまちまち。ダウ平均とS&P500が上昇し、ナスダックが下落した。全般的に方向感に欠ける動きではあったが、エヌビディアなど半導体株はやや大きめの下落となった。ドル円は足元146円70銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが140円安の39610円、ドル建てが95円安の39655円で取引を終えた。
きのうの日経平均は、一時4万円を上回りながらも下落で終えた。米国株がまちまちでは上値は追いづらく、半導体はエヌビディア安を受けて嫌われるだろう。ドル円が円高に振れていることも逆風で、日本株は売りが優勢になると予想する。多くの銘柄は1Q決算発表を前に手がけづらく、場中は動意薄となる時間が長くなりそうだ。日経平均の予想レンジは39550-39850円。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 39620 -130 (-0.32%)
TOPIX先物 2835.0 -2.0 (-0.07%)
シカゴ日経平均先物 39610 -140
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
22日の米国市場はNYダウ、 S&P500が上昇した一方で、ナスダックは下落。トランプ米大統領が、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が8カ月以内に辞任するだろうと発言したと報じられた。一方で、解任する計画はないとも述べ、米金融政策を巡る不透明感が後退した。これまで上昇していたハイテク株に利益確定の売りが目立ち序盤は小安く推移していたが、その後は出遅れ感のあるディフェンシブ株への買いが強まり、NYダウは上昇に転じた。
S&P500業種別指数は耐久消費財・アパレル、医薬品・バイオテクノロジー、家庭用品・パーソナル用品が上昇した半面、半導体・同製造装置、食品・飲料・タバコ、ソフトウエア・サービスの弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、アムジェン<AMGN>、メルク<MRK>、ジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ>、プロクター・アンド・ギャンブル<PG>、ホーム・デポ<HD>が買われた。一方でエヌビディア<NVDA>、スリーエム<MMM>、IBM<IBM>、マイクロソフト<MSFT>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>が軟調。
シカゴ日経平均先物清算値は大阪比140円安の3万9610円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比10円安の3万9740円で始まった。3万9800円まで買われた後は、3万9690円~3万9790円辺りで保ち合いを継続。米国市場の取引開始後にレンジを下抜け、3万9460円まで売られる場面もみられた。売り一巡後は終盤にかけて3万9550円~3万9650円辺りで保ち合いが続き、3万9620円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや売り先行で始まりそうだ。米国市場では出遅れ感のあるディフェンシブ株が買われた半面、エヌビディアなどハイテク株の下げが目立っており、アドバンテスト<6857.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株の重荷になりそうだ。
日経225先物は3万9460円まで売られ、支持線として機能している25日移動平均線(3万9480円)を下回る場面もみられた。支持線水準までの調整を経てリバウンドが意識されるだろうが、同線に接近する局面では押し目狙いのロング対応としつつ、明確に割り込んでくるようだと下へのバイアスが強まる展開には注意しておきたい。
もっとも、トランプ大統領が日本からの輸入品に25%の関税を課す期限が来月1日に迫るなか、ある程度譲歩して対米合意に達することができれば、ショートカバーを誘うと考えられるため、積極的なショートは仕掛けにくくさせよう。そのため、基本的には現在の25日線とボリンジャーバンドの+1σ(4万0020円)によるレンジ内での推移を想定する。
22日の米VIX指数は16.50(21日は16.65)に低下した。17.48まで上げる場面もみられたが、下向きで推移し抵抗線として機能している25日線(17.38)を一時上回った後は、低下傾向をみせているため、リスク選好に向かわせやすい状況であろう。
昨日のNT倍率は先物中心限月で14.01倍に低下した。一時14.09倍に上昇する場面もあったが、200日線(14.03倍)での攻防が目立つなかで、25日線(14.00倍)まで下げている。同線を下回る場面では、その後のリバランスを狙ったNTロングを意識しておきたいが、米国市場の流れを引き継ぐ形になるようだと、-1σが位置する13.91倍辺りまでの低下を意識しておく必要がありそうだ。
NHKが政府関係者の話として伝えたところによると、自動車関税の税率は12.5%となり、もともとの2.5%と合わせて15%になるという。
一部報道が伝えたところによると、石破首相は参院選の総括を踏まえて8月末までに退陣を表明する意向だという。
日経225先物は11時30分時点、前日比1300円高の4万1050円(+3.27%)前後で推移。トランプ米大統領は、自身のSNSで日本との関税交渉で合意したと発表。取引開始直前に伝わったことで、寄り付きは4万0350円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万9610円)を大きく上回り、ギャップアップから始まった。寄り付き直後につけた4万0250円を安値にショートカバーを交えた上昇となり、合意内容の詳細が明らかになるにつれて上へのバイアスが強まり、終盤にかけて4万1080円まで上げ幅を広げた。
日経225先物は、ボリンジャーバンドの+1σ(4万0130円)を上回って始まり、その後も強い上昇をみせるなかで、6月30日につけた4万0870円を突破した。+2σ(4万0730円)を上回ってきたことで、やや過熱感が意識されてくる可能性はある。ただし、物色の圏外に置かれていたトヨタ自動車<7203.T>[東証P]など輸出関連株への買い戻しの動きが目立つ一方で、アドバンテスト<6857.T>[東証P]などハイテク株の一角には利益確定の売りがみられており、冷静な反応のようである。そのため、過熱感からの短期的なショートは控えておきたい。
NT倍率は先物中心限月で14.01倍と横ばいで推移している。一時13.96倍に低下する場面もあったが、その後は25日移動平均線(14.01倍)、200日線(14.03倍)水準で下げ渋りをみせている。
昨日の海外市場では、米長期金利の低下につれて全般ドル売り。ドル円は参院選後の短期投機筋のポジション調整が続くなか一時146.31円まで値を下げる場面もみられましたが、引けにかけては146.68円まで買い戻されてNY市場を終えています。
そしてアジア市場に入ってからは、トランプ米大統領が「日本と貿易交渉で大規模合意した」と発信したことをきっかけに荒い値動き。ヘッドライン直後は146.78円から146.25円まで下落も、日経平均先物が急騰したほか、合意内容に5500億ドル(80兆円)の米国投資が含まれていたこともあり146.94円まで買い戻し。
東京市場が始まってからは日本国債の金利が大幅な上昇となるにつれて146.20円まで下落。仲値にかけては本邦実需の買いが断続的に観測されると146.73円まで買い戻されました。その後の下押しが146.42円までにとどまると、今度は毎日新聞が石破首相が8月末までに退陣の意向であることを伝えると日経平均の4桁の急騰とともに147.20円まで高値を更新しているといったところです。
いずれにしても、21日の会見で「直下型地震」を続投の理由に挙げるほどの異常な言動を繰り返していた石破首相の辞任は時間の問題となっていたわけで、既に早朝から読売新聞も「首相が関税交渉の結果を待って進退を決めると周囲に漏らした」ことを報じていたなかでの合意。40000円台が戻り売りの目処として意識されていた日経平均が完全に上抜けた事実は大きく、何とも停滞していた日本の政治的、経済的変革への大きなきっかけとなるのかもしれません。
明日に欧州中央銀行(ECB)理事会の政策イベントを控え、トランプ米政権と欧州連合(EU)の関税協議に進展があるかどうかが注目される。
本日の東京タイムではトランプ米大統領が日本と貿易交渉で合意に達し、日本からの輸入品に15%の関税を賦課すると明らかにした。そして、日本は米国の自動車輸入および追加の農産物輸入に対して「自国を開放する」ことになるとした。さらに、トランプ氏は「私の指示の下、日本は米国に5500億ドルを投資し、この投資による利益の90%を米国が受け取ることになる」とも述べた。
この結果を受けてドル円は神経質な動きとなるも、方向感にはつながっていない。市場もこのディールの評価に迷っている。トランプ氏の発言通りであれば、8月1日に発動と示唆した25%の関税からは引き下げられるが、日本は「自動車と農産物市場の開放」の犠牲を払うことになる。トランプ氏の第2次政権前と比べ、日本は関税を引き上げられただけではなく、大きな犠牲を払うことになり、トランプ氏の対日交渉は大成功したと言えるだろう。
果たして、EUと米政権の交渉はどうなるか。トランプ米大統領はEUの大半の輸出品に対し、8月1日から30%の関税を課すとしており、交渉は正念場を迎えている。交渉期限が迫る中でトランプ氏は強硬姿勢を維持しているが、EUは合意に至らなかった場合に備えた報復措置の強化を準備しつつ、行き詰まりを打開するために必要であれば米国側に有利な合意でも受け入れる用意があるとも伝えられている。EUとの交渉もトランプ氏が自画自賛するような結果になるかが注目される。
ユーロドルは昨日、全般ドル売りが優勢となったこともあって1.1760ドルまで上昇し、本日の東京市場でも1.17ドル前半で底堅い動きとなっているが、関税が「米国売りの再燃」につながらない限り、ドル売りは加速する可能性は低く、ユーロドルは7月上旬同様に1.18ドル台を回復しても売り圧力が強いと見込んでいる。
・想定レンジ上限
ユーロドルは2・3日高値1.1810ドルや1日の年初来高値1.1829ドル。ユーロ円は18日高値173.11円。
・想定レンジ下限
ユーロドルは日足一目・転換線1.1659ドルや18日安値1.1592ドル。ユーロ円は11日安値170.81円。
ドル円:1ドル=147.16円(前営業日NY終値比△0.53円)
ユーロ円:1ユーロ=172.63円(△0.27円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1730ドル(▲0.0024ドル)
日経平均株価:41171.32円(前営業日比△1396.40円)
東証株価指数(TOPIX):2926.38(△90.19)
債券先物9月物:137.62円(▲0.98円)
新発10年物国債利回り:1.590%(△0.090%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は上昇。トランプ米大統領が日本との貿易交渉が締結したと自身のSNSに発表すると、米関税政策に対する不透明感が後退して日銀が利上げに動きやすくなるとの見方から、146.25円まで下押し。その後、日経平均先物が大幅に上昇してドル買い・円売りが進行するも147円を前に失速すると、146.20円まで再び下落。しかし、石破首相が8月末までに退陣を表明するとの一部報道に円売りで反応すると147.21円まで上昇した。
・ユーロ円は強含み。171.68円まで下落後に172.74円まで切り返すなど、ドル円に連れた動き。もっとも、日経平均が一時1500円超上昇したこともあり、高値を付けた後の下押しも172.30円台に留めるなど底堅い。
・ユーロドルは小安い。首相退陣報道の影響から対円でドルが強含むなか、時間外取引で米10年債利回りが一時4.37%台へ持ち直した影響もあり、1.1727ドルまで弱含んだ。
・日経平均株価は大幅上昇。日米関税交渉の合意のほか、石破首相の退陣観測を手掛かりとした新政権への期待を背景に買いが強まった。上げ幅は一時1500円を超えて、年初来高値を更新した。なお、TOPIXは取引時間中の過去最高値を更新した。
・債券先物相場は大幅反落。日米関税交渉は15%で妥結したことが明らかになったが、市場の想定よりも関税率が低かったと受け止められた。石破首相退陣観測による新政権への期待も市場のリスク志向改善を後押しすると、債券売りが強まった。本日の40年債入札が弱めの結果となった事も、債券相場の重しとなった。
「エプスタインの顧客リストにはトランプの名前もある。小児性愛者を守るなら、それは『国民に敵対する政府』だ」(イーロン・マスク氏)
陰謀論集団「Qアノン」は、トランプ氏は、悪魔崇拝の小児性愛者による国際的な秘密組織を暴くために神に選ばれた存在だと主張していた。
トランプ米大統領の熱烈な支持層である「MAGA(アメリカを再び偉大に)派」は、大統領が故ジェフリー・エプスタインの「顧客リスト」を暴くことなく存在を否定したことで、激怒しているらしい。
1.トランプ米大統領との親交
ニューヨーク・マガジン誌が2002年に掲載した記事の中で、トランプ氏は15年間に渡る付き合いを基にエプスタイン被告について「素晴らしい男」だと述べたと伝えられていた。
トランプ米大統領は、不動産王だった頃の2002年の雑誌インタビューで「彼と一緒にいるのはとても楽しい。私と同じくらい美人好きだからね」と答えていたが、今は「ずっと昔に仲違いした」と述べている。
2025年7月17日、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、故ジェフリー・エプスタイン元被告に宛てた2003年の下品な私信にトランプ大統領の名前があったと報じた。トランプ氏の名前がある手紙には、数行のタイプライターの文章があり、「誕生日おめでとう。そして毎日が素晴らしい秘密の日となりますように」と結ばれ、「ドナルド」との署名があるらしい。
2. ジェフリー・エプスタイン氏(1953年~2019年)
エプスタイン氏は、ニューヨーク大学を退学してマンハッタンにあるダルトン・スクールで微積分の教師となった後、1976年にベア・スターンズでオプション・トレーダーとして働き始めた。その後、1982年にヘッジファンドを起業して米国有数の富豪となった。
知人には、クリントン第42代大統領、トランプ第45代米大統領、英国のアンドリュー王子、俳優のケビン・スペイシー、ウディー・アレン、サマーズ米元財務長官、ビル・ゲイツなどが名を連ねている。
エプスタイン氏のプラーベート・ジェット機は、「ロリータ・エキスプレス」と呼ばれ、クリントン第42代大統領は26回の搭乗記録(クリントン氏は4回と主張)、トランプ氏も搭乗記録に何度か名前が記載されている。
■フロリダ州連邦地検:2008年(18カ月)
2005年、未成年の少女約40名に対する性的スキャンダルが発覚して終身刑の可能性があったものの、ブッシュ第43代米大統領の計らいでのアコスタ・フロリダ州連邦検事との司法取引によって、18カ月禁錮刑に服し、13カ月で出所している。
■ニューヨークの連邦地検:2019年(45年?)
ニューヨークの連邦地検は、ジェフリー・エプスタイン容疑者を、性的搾取目的の未成年人身取引罪などで起訴し、最高45年の禁錮刑を科される可能性が報じられていた。
しかし、エプスタイン容疑者は、マンハッタンのメトロポリタン矯正センターの独房で首を吊って死亡しているのが発見された。2分間の監視カメラの空白などから、口封じのために殺されたと信じる者も多かったが、FBIは今月改めて、エプスタインの死因は自殺だとの結論を発表した。
大阪9月限
日経225先物 41220 +1470 (+3.69%)
TOPIX先物 2929.5 +92.5 (+3.26%)
日経225先物(9月限)は前日比1470円高の4万1220円で取引を終了した。トランプ米大統領は、自身のSNSで日本との関税交渉で合意したと発表。取引開始直前に伝わったことで、寄り付きは4万0350円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万9610円)を大きく上回り、ギャップアップから始まった。寄り付き直後につけた4万0250円を安値にショートカバーを交えた上昇のなかで、合意内容の詳細が明らかになるにつれて上へのバイアスが強まり、前場終盤にかけて4万1000円台に乗せた。
ランチタイム以降は、4万1000円~4万1130円辺りでの保ち合いを継続。ただし、後場中盤辺りにレンジを上抜けると、一時4万1360円まで上げ幅を広げる場面もみられた。終盤にかけては持ち高調整とみられるロング解消から若干上げ幅を縮めたものの、昨年7月半ば以来の4万1000円台を回復して終えた。
日経225先物は、ボリンジャーバンドの+1σ(4万0180円)を上回って始まり、その後も強い上昇をみせるなかで、前場終盤にかけて6月30日につけた4万0870円を突破した。+2σ(4万0810円)を上回ってきたことで、やや過熱感が意識されてくる可能性はあったが、後場終盤にかけての上昇によって、+3σ(4万1440円)に接近した。
+3σに接近したことで、さすがに過熱感は警戒されてくるだろう。ただし、バンドが拡大傾向をみせてきたため、ナイトセッションでは+2σが4万1010円、+3σは4万1700円辺りに切り上がってきている。+2σ辺りでの押し目狙いのスタンスに向かわせそうだ。
また、1カ月ほど4万円に上値を抑えられる形での保ち合いが続くなか、一気にレンジを上抜けたことでショートカバーの動きが強まった。そのほか、一時1500円を超える急ピッチの上昇によってレバレッジ型ETFなどのヘッジ対応に伴うロングがまとまって入ったと考えられる。急ピッチの上昇に対する過熱感を警戒しつつも、値幅が出やすい需給状況のなかで、ヘッジ対応の動きによる影響も大きくなりそうである。
週足のボリンジャーバンドでは、+1σ(3万9860円)からの上昇で+2σ(4万1170円)を捉えてきた。+2σ水準では利食いも入りやすいと考えられ、まずは4万1000円辺りでの底固めを見極めたいところだろう。
NT倍率は先物中心限月で14.07倍に上昇した。トヨタ自動車<7203.T>[東証P]など輸出関連株への買い戻しの動きが目立つなどTOPIX型優位の展開により、一時13.95倍に低下する場面もあった。ただし、その後は25日移動平均線(14.01倍)、200日線(14.03倍)水準で下げ渋りをみせていたが、後場に入ってからのインデックス買いによって、利食い先行で始まったアドバンテスト<6857.T>[東証P]、東京エレクトロン<8035.T>[東証P]などもプラス圏を回復しており、NTロングに振れる形になった。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が4万0021枚、ソシエテジェネラル証券が2万8012枚、JPモルガン証券が7553枚、サスケハナ・ホンコンが6712枚、ゴールドマン証券が4606枚、バークレイズ証券が4137枚、SBI証券が3576枚、野村証券が3323枚、日産証券が2901枚、モルガンMUFG証券が2405枚だった。
TOPIX先物はソシエテジェネラル証券が4万3520枚、ABNクリアリン証券が4万1196枚、JPモルガン証券が1万1071枚、モルガンMUFG証券が8336枚、バークレイズ証券が8298枚、みずほ証券が5226枚、ゴールドマン証券が5015枚、野村証券が3133枚、BNPパリバ証券が3076枚、ビーオブエー証券が2683枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、株式・債券市場の動向を見極めつつ、トランプ米政権による日米関税合意内容の公表を待つことになる。
トランプ米大統領は、日本からの輸入品に一律で課す関税率を15%とすることで合意したと明らかにした。そして、日本は米国に5500億ドルを投資し、日本が米国に対して、自動車、トラック、コメなどの農産物の市場を開放することになっている。
なおトランプ大統領は、日米がアラスカにおける液化天然ガス(LNG)の合弁事業の設立で合意するだろうとも述べた。ただしこのアラスカ事業に関しては、採算が合わないとのことで難航してきており、今後の関連ヘッドラインに注目しておきたい。
これまでのところ合意内容が明らかになっていないことで、トランプ米政権からの公表を待つことになる。
ところで、トランプ米政権による急転直下の日米関税合意の背景には、17日に米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が、故ジェフリー・エプスタイン元被告に宛てた2003年の下品な私信にトランプ大統領の名前があったとの報道、そして、トランプ米大統領による100億ドルの名誉棄損訴訟があるのではないかとの憶測が流れている。
トランプ米政権を離れたイーロン・マスク氏は、「エプスタインの顧客リストにはトランプの名前もある」と述べており、エプスタイン・リストを巡り、トランプ米大統領の支持基盤であるMAGA(アメリカを再び偉大に)派やホワイトハウス周辺が動揺している。そこで、トランプ米大統領のスキャンダルを後景に押しやり、日本との大規模なディール(取引)を前面に押し出したのではないだろうか。
ところで、7月30-31日の日銀金融政策決定会合では、利上げ見送りの理由となっていたトランプ関税の不確実性が後退したことで、日本の新聞による関連ヘッドラインにも警戒しておきたい。内田日銀副総裁は、本日、日米合意で不確実性は低下したものの、5月展望リポートと構図は不変、展望リポートにも反映していきたい、と述べている。
本日の東京市場では、石破首相の退陣報道で円安、否定報道で円高に反応しており、今後の関連ヘッドラインには警戒しておきたい。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、147.66円(日足一目均衡表・転換線)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、145.93円(日足一目均衡表・基準線)
今晩は底堅い展開か。昨日はダウ平均が179.37ドル高(+0.40%)と3日ぶりに反発し、S&P500も0.06%高とわずかながら上昇し、前日に続いて終値の過去最高値を更新した。一方、ハイテク株主体のナスダック総合は0.39%安と7日ぶりに反落した。米国がフィリピンと貿易協定を締結したことで貿易交渉進展期待が支援となったものの、エヌビディアなどの半導体株の下落がハイテク株の重しとなった。時間外の動きではトランプ米大統領が日本と関税交渉で合意したと発表した。
今晩の取引では米国と日本が関税交渉で合意に至ったことで、その他の主要貿易相手国との交渉進展期待が相場の支援となりそうだ。ただ、S&P500とナスダック総合が史上最高値圏にあることで高値警戒感が上値圧迫要因となることが予想されるほか、引け後にマグニフィセント・セブンの一角のアルファベットとテスラが第2四半期決算を発表することで、決算発表を控えた様子見姿勢も強まりそうだ。
今晩の米経済指標・イベントはMBA住宅ローン申請指数、6月中古住宅販売件数など。企業決算は寄り前にAT&T、ネクステラ・エナジー、サウスウェスト航空、引け後にチポトレ・メキシカン・グリル、IBM、アルファベット、テスラなどが発表予定。
トランプ米政権はAI特化型データセンターの建設を加速させ、次世代インフラでの主導権確保を目指すと一部通信社が報じた。併せて、AI開発における“過度な”規制を撤廃し、技術革新と投資の促進を狙うとのこと。この資本投下と規制緩和の二本柱は、AI分野での世界的優位を確立する戦略の一環とされる。
米国務省は21日、米商務省傘下の特許商標庁職員が私的訪中中に中国当局から「出国禁止措置」を受け、帰国できなくなっていることを確認した。職員は渡航ビザに政府職員であることを申告していなかったと報じられており、これが処分の理由とみられる。国務省は「米国民の安全を最優先」として解決に向け中国と協議中。今回の件は、米中間の緊張が高まる中、人質外交とも指摘される中国政府の出国禁止措置の問題を再び浮き彫りにした。こうした措置は個人だけでなく、交渉材料として外国政府に圧力をかける手段として用いられることが多く、過去にもカナダ人拘束事例などが国際的に問題視されてきた。また、米国企業ウェルズ・ファーゴの幹部にも同様の措置がとられ、同社は中国渡航を全面停止した。この動きは現在進行中の米中貿易協議との関連性も懸念されている。
日経平均株価は大幅反発。高寄りスタートから上値を伸ばす展開となり、5日移動平均線(40065円 7/23)上で長い陽線を形成した。途中大きくだれることもなく、6/30につけた年初来高値を大幅に更新して終えた。
RSI(9日)は前日の53.9%→78.6%(7/23)に上昇。高値更新を通じて、4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇が続いていることを再確認する格好となった。目先的な反動安は想定しながらも、昨年7月につけた史上最高値(42224円)が射程圏に入ってきた。
上値メドは、41500円や昨年7/12高値(41754円)、昨年7/11安値(42102円)、昨年7/11高値(42426円)、43000円、44000円などがある。下値メドは、6/30高値(40852円)、心理的節目の40500円、5日移動平均線、心理的節目の4万円、25日移動平均線(39568円 同)、心理的節目の39000円、6/18高値(38885円)、心理的節目の38500円などがある。
米財務省によると、20年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが4.935%、応札倍率(カバー)が2.79倍となった。
(23日終値:24日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=146.52円(23日15時時点比▲0.64円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=172.31円(▲0.32円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1760ドル(△0.0030ドル)
FTSE100種総合株価指数:9061.49(前営業日比△37.68)
ドイツ株式指数(DAX):24240.82(△198.92)
10年物英国債利回り:4.635%(△0.066%)
10年物独国債利回り:2.639%(△0.049%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
7月ユーロ圏消費者信頼感指数
(速報値) ▲14.7 ▲15.3
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ユーロドルは底堅い動き。日米の関税交渉が合意に達したことを受けて、日本株中心に世界の株式相場が上昇すると投資家のリスク選好意欲が高まりユーロ買い・ドル売りが先行したが、米欧の貿易交渉に対して警戒感が根強い中、ユーロ買いの勢いは限定的だった。米長期金利が上昇すると次第にユーロ売り・ドル買いが優勢となり、一時1.1711ドルと日通し安値を更新した。
もっとも、売り一巡後は買い戻しが優勢に。6月米中古住宅販売件数が予想よりも弱い内容となったことでユーロ買い・ドル売りが入ったあとは、「米国と欧州連合(EU)は関税率を15%とする方向で合意間近」との報道が伝わり全般ユーロ買いが活発化。前日の高値1.1760ドルを上抜けて一時1.1765ドルまで上値を伸ばした。
・ドル円は頭が重かった。アジア時間に一時147.21円と日通し高値を付けたものの、買い一巡後は徐々に上値が重くなった。「石破茂首相は月内にも退陣表明する」との一部報道を手掛かりに円安・ドル高が進んでいたものの、石破首相が当該報道を否定すると一転円買い・ドル売りが優勢に。21時前に一時146.11円と日通し安値を付けた。
そのあとは146.73円付近まで下げ渋る場面もあったが、米住宅指標の下振れを受けて再び上値が重くなっている。
・ユーロ円は下値が堅かった。石破首相が自身の辞任報道を否定すると円買い・ユーロ売りが先行し一時171.37円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。「米・EU関税交渉の妥結間近」との一部報道をきっかけにユーロ買いが活発化すると、172.41円付近まで下値を切り上げた。
・ロンドン株式相場は5日続伸し、史上最高値を更新した。日米関税交渉の合意を受けて米関税政策への過度な警戒感が後退すると、投資家心理が改善し買いが優勢となった。アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株が買われたほか、BPやシェルなどエネルギー株が値上がりした。
・フランクフルト株式相場は反発。米国による日本への関税が25%から15%に引き下げられて合意したこと、石破政権の退陣報道で日経平均株価が大幅に上昇したことなどが好感された。個別ではダイムラー・トラック・ホールディング(7.32%高)やポルシェ(6.72%高)、シーメンス・エナジー(6.35%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は下落。欧州株高や米EU関税交渉を巡る報道を受けた。
23日の日経平均は3日ぶり大幅反発。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1373/値下がり231。全市場の売買代金トップとなったトヨタが14.3%高、ストップ高のマツダが17.8%高、年初来高値を更新したホンダが11.1%高と、自動車株が人気化。デンソーやアイシンなど部品株にも買いが波及した。指数が上に値幅が出る中、ファーストリテイリングが5.5%高。米国で住宅関連株が決算を材料に急騰したことを手がかりに、住友林業が値を飛ばした。
一方、ディスコ、フジクラ、IHIなど人気銘柄の一角が逆行安。良品計画が特段の材料が観測されない中で4%を超える下落となった。スギHD、マツキヨココカラ、ウエルシアなどドラッグストア関連が全般軟調。令和アカウンティングHDが1Q決算を材料に急落した。
日経平均は大幅高。予期せぬポジティブサプライズに対して自動車株が大賑わいとなり、前後場通して強い基調が続いた。直前で参院選や関税リスクを警戒して大きく下げていたわけではなく、高値圏をキープしていたところから跳ねている。関税率をみると米国側が譲歩したように映るが、トランプ大統領は合意について満足したようなメッセージを発しており、グローバル株式市場でも「トランプリスク」が低下する可能性がある。大幅高となる中でも直近で強かった半導体株や電線株はクールダウンしており、個別で過熱感が強いものはそれほど多くない。日本株を取り巻く環境は大きく変わった。きょうの終値は41171円。反動が出てきたとしても4万円近辺では上昇に乗り遅れた投資家からの買いが入るだろう。不透明感の払しょくや自動車関連の業績不安後退などを背景に、目先の日本株は下げづらく上げやすい地合いが続く公算が大きい。
フィナンシャル・タイムズ(FT)紙が報じたところによると、「米国とEUは15%の関税合意に近づいている」ようだ。
23日08:16 トランプ米大統領
「日本との大規模なディール完了」
「日本からの輸入品に15%の関税を賦課」
「(日本とのディール)おそらく史上最大規模の合意」
「私の指示の下、日本は米国に5500億ドルを投資し、その利益の90%を米国が受け取る」「この合意は数十万人の雇用を創出する」
「これはかつてない規模のもので、おそらく最も重要なのは、日本が自動車やトラック、米、その他の農産物などを含む貿易に対して国を開放すること」
23日09:12 石破首相
「(合意内容について)報告はこれから受ける」
「そのうえで必要であれば米大統領と電話・対面で会談を行う」
23日15:33
※自身の辞任について
「報道されている事実全くない」
「わたしの出処進退、一切話でていない」
23日10:37 内田日銀副総裁
「各国の通商政策やその内外経済への影響を巡る不確実性は、極めて高い状況が続いており、経済・物価ともに下振れリスクが大きい」
「緩和的な金融環境を維持し、経済活動をしっかりと支えていくことが大切」
「経済・物価のメインシナリオが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」
「経済・物価の先行きには常に不確実性があるので、金融政策においては、そのことを前提としたうえで、経済・物価の安定の観点から、上振れ・下振れ双方向のリスクに対して最も中立的な立ち位置に調整していく必要がある」
23日14:14
「日米の関税交渉合意は大変大きな前進、経済の不確実性低下につながる」
「日米合意は展望リポートにも反映していきたい」
「世界経済や日本経済の不確実性は引き続き高い」
23日11:21 赤沢経済再生相
「自動車及び自動車部品、既存税率含め15%にすることで合意」
「一律の関税、既存税率が15%以上の品目には課されない」
23日14:55 加藤財務相
「日米関税合意に為替に関する内容は含まれていない」
「米関税が日本経済に与える影響を十分に分析する」
23日20:16 ベッセント米財務長官
「EUとの協議はこれまでよりも順調に進んでいる」
「日本はパートナーシップや出資、信用保証を提案」
「パウエルFRB議長について『急いではいない』」
「FRBの見直しは委員会で実施される可能性も」
「パウエルFRB議長との定例会談は継続」
「パウエルFRB議長は理事の座を辞任するとは言っていない」
23日21:53 ラトニック米商務長官
「日米関税合意は、欧州連合(EU)と米国との合意のモデルになる」
「対日自動車関税15%は、日本の自動車産業にとってぎりぎりの数字」
※時間は日本時間
(23日終値)
ドル・円相場:1ドル=146.51円(前営業日比▲0.12円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=172.47円(△0.11円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1771ドル(△0.0017ドル)
ダウ工業株30種平均:45010.29ドル(△507.85ドル)
ナスダック総合株価指数:21020.02(△127.33)
10年物米国債利回り:4.38%(△0.04%)
WTI原油先物9月限:1バレル=65.25ドル(▲0.06ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3397.6ドル(▲46.1ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
MBA住宅ローン申請指数
(前週比) 0.8% ▲10.0%
6月米中古住宅販売件数
(前月比) ▲2.7% 1.0%・改
(年率換算件数)393万件 404万件・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ユーロドルは4日続伸。米欧の貿易交渉に対して警戒感が根強い中、米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが先行すると、22時30分過ぎに一時1.1711ドルと日通し安値を更新した。
ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢に。6月米中古住宅販売件数が予想よりも弱い内容となったことでユーロ買い・ドル売りが入ったほか、「米国と欧州連合(EU)は関税率を15%とする方向で合意間近」との報道をきっかけに全般ユーロ買いが活発化。前日の高値1.1760ドルを上抜けて一時1.1775ドルまで上値を伸ばした。
・ドル円は小幅ながら3日続落。アジア市場では一時147.21円まで上昇する場面もあったが、石破茂首相が「月内にも退陣を表明する」との一部報道を否定したことから欧州市場に入ると円買い・ドル売りが目立った。21時前には146.11円と日通し安値を更新した。
NY勢が本格参入したあとは146.73円付近まで下げ渋る場面もあったが、米住宅指標の下振れや対ユーロでのドル売りに押されて再び弱含む展開となった。
・ユーロ円は小幅続伸。石破首相が自身の辞任報道を否定すると円買い・ユーロ売りが先行し、21時前に一時171.37円と日通し安値を付けた。ただ、「米・EU関税交渉の妥結間近」との一部報道をきっかけに全般ユーロ買いが優勢になると、172.55円付近まで持ち直した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、昨年12月4日以来の高値となった。日米の関税交渉の合意を好感した買い先行。「米国とEUは関税率を15%とする方向で合意間近」との報道が伝わると一段高となった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は反発し、史上最高値で取引を終えた。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数も過去最高値を更新した。
・米国債券相場で長期ゾーンは4日ぶりに反落。日米関税交渉の合意や米・EUの貿易協定合意への期待から、相対的に安全資産とされる米国債に売りが出た。
・原油先物相場は小幅に下落。日米通商交渉が合意に至ったが、米中の進展には不透明感が残っており、原油には積極的な買いは入らず、上値の重い動きが続いた。ただ、EIA週間在庫統計で原油が大幅な取り崩しとなったため、終盤にかけては下げ幅を縮めた。
・金先物相場は4日ぶりに反落。日米の関税交渉が合意に達したことでその他各国との交渉も進展するとの期待感から、安全資産とされる金は売りが優勢となった。
<国内>
特になし
<海外>
○12:05 ◎ ブロック豪準備銀行(RBA)総裁、講演
○15:00 ◇ 8月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲19.2)
○15:45 ◇ 7月仏企業景況感指数(予想:96)
○16:15 ◎ 7月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:48.5)
○16:15 ◎ 7月仏サービス部門PMI速報値(予想:49.6)
○16:30 ◎ 7月独製造業PMI速報値(予想:49.5)
○16:30 ◎ 7月独サービス部門PMI速報値(予想:50.0)
○17:00 ◎ 7月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:49.7)
○17:00 ◎ 7月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:50.7)
○17:30 ◎ 7月英製造業PMI速報値(予想:48.0)
○17:30 ◎ 7月英サービス部門PMI速報値(予想:53.0)
○20:00 ◎ トルコ中銀、政策金利発表(予想:43.50%に引き下げ)
○21:15 ☆ 欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:2.15%で据え置き)
○21:30 ◎ 5月カナダ小売売上高(予想:前月比▲1.0%/自動車を除く前月比▲0.3%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.7万件/196.0万人)
○21:45 ☆ ラガルドECB総裁、定例記者会見
○22:45 ◎ 7月米製造業PMI速報値(予想:52.7)
○22:45 ◎ 7月米サービス部門PMI速報値(予想:53.0)
○22:45 ◎ 7月米総?⑰MI速報値(予想:52.8)
○23:00 ☆ 6月米新築住宅販売件数(予想:前月比4.3%/65.0万件)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
昨日のドル円は、アジア市場では一時147.21円まで上昇する場面もあったが、石破茂首相が「月内にも退陣を表明する」との一部報道を否定したことから欧州市場に入ると円買い・ドル売りが目立った。21時前には146.11円と日通し安値を更新した。ユーロドルは「米国と欧州連合(EU)は関税率を15%とする方向で合意間近」との報道をきっかけに全般ユーロ買いが活発化。前日の高値1.1760ドルを上抜けて一時1.1775ドルまで上値を伸ばした。
本日の東京時間でのドル円は、引き続き上値は限定的か。連日市場がニュース等に反応し、円売りを仕掛ける場面もあるが、参議院選挙後のドル円は3日続落して引けている。下値も一定の底堅さを示していることで、急落することも難しいだろうが、コストの悪いドルロングも増えていることで上昇局面ではドルの売り逃げを狙っている市場参加者も多そうだ。
昨日は、トランプ米大統領が自身のSNSで日米貿易交渉が締結されたと発表した。参議院選挙の終了から1週間も経たずに合意に達したが、一部では自民党が議席減少を避けるために合意していても、選挙前には発表できないという声があった。発表できなかった要因としては、今回の合意では米を含めた農産物の市場開放を約束しているが、農林族のドンとされる森山幹事長の立場上、この発表ができなかった可能性がある。そして、選挙前に発表すると、地方の多くの自民党支持者離れが進む可能性があった。
また、約80兆円の投資支援枠の合意と発表されたが、令和7年度予算の消費税の税収は24.9兆円となっている。多くの野党が消費税下げを参議院選挙の公約していたのに対して、自民党は財源不足としてこの案を批判していたが、年間の消費税収入の3倍以上の投資枠を米国に提供するのであれば、消費税下げも可能との論調も出ることで、発表を控えていたとされるのは頷けるだろう。昨日は唐突感がある発表だったこともあり、株式市場は1300円超上昇して引けたが、今後は昨日の投資額の財源や、これまでトランプ政権前の関税率が約3.3%だったのに対して15%まで上昇することの影響など、冷静に合意内容を見極める展開になるだろう。
本日の東京市場では、市場を動意づけるような経済指標の発表や要人の講演などが予定されていない。引き続き石破首相の進退をめぐる本邦の政治状況、トランプ政権要人の発言などが市場の注目になる。なお、日経平均株価がボラタイルな動きを続けているが、ここ最近は株式市場と為替市場の関連性が少なくなっている。以前は株高がドル円の買いにつながっていたが、昨日は株高の局面でもドル円が下がる局面があった。振り返れば、イスラエルがイランを攻撃したときのリスク回避の円買いが一時的で、その後はリスク回避のドル買い・円売りが進んだ。株高のリスク選好もこれまでのようなドル買い・円売りにつながると判断するのは、今後は難しそうだ。
なお、欧州入り後は欧州の購買担当者景気指数(PMI)や、欧州中央銀行(ECB)定例理事会など、様々なイベントが予定されていることで、市場の動きが急転するリスクがあることを念頭に入れておきたい。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 41730 +510 (+1.23%)
TOPIX先物 2954.5 +25.0 (+0.85%)
シカゴ日経平均先物 41640 +420
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
23日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。日米関税交渉の合意を好感した買いが先行した。その後、英紙フィナンシャル・タイムズの「米国と欧州連合(EU)は関税率を30%から15%に引き下げる方向で合意間近」との報道が伝わると、買いの勢いが強まった。米国とEUは互いに航空機や医療機器など一部分野の関税を免除する方針のようである。
S&P500業種別指数は医薬品・バイオテクノロジー、資本財、エネルギーが上昇した一方で、公益事業、保険、消費者サービスの下げが目立った。NYダウ構成銘柄では、メルク<MRK>、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、キャタピラー<CAT>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、ボーイング<BA>、エヌビディア<NVDA>が買われた。半面、トラベラーズ<TRV>、コカ・コーラ<KO>、マクドナルド<MCD>、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>が小安い。
シカゴ日経平均先物清算値は大阪比420円高の4万1640円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比110円安の4万1110円で始まった。直後につけた4万1100円を安値に底堅い値動きをみせており、4万1100円~4万1370円辺りで保ち合いを継続。米国市場の取引開始後にレンジを上抜け4万1400円台に乗せると、4万1740円まで買われる場面もみられた。買い一巡後は終盤にかけて4万1550円~4万1740円辺りで保ち合いが続き、4万1730円とナイトセッションの高値圏で取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、買い先行で始まりそうだ。関税交渉の合意については前日の急騰で織り込まれているが、米国とEUの合意も近いと伝えられるなかで、ロング優勢の流れが強まりそうである。関税交渉期限の8月1日に近づくなか、主要な貿易相手国との関税交渉が前進しており、センチメントを明るくさせよう。
日経225先物はナイトセッションでボリンジャーバンドの+2σ(4万1150円)と+3σ(4万1900円)でのレンジだった。+3σ接近で過熱感が警戒されるものの、バンドが拡大傾向をみせているほか、前日の急伸で昨年7月以来の4万1000円を一気に突破したことで上へのバイアスが強まりやすい。値幅が出やすい需給状況でレバレッジ型ETFに絡んだヘッジ対応のロングも膨らみやすいとみられ、過熱を警戒しつつもショートは避けておきたい。トレンドフォロー型で、押し目狙いのロング対応に向かわせよう。
週足では+2σ(4万1400円)を突破し、+3σ(4万2790円)とのレンジに入ってきた。そのため、週足の+2σと日足の+3σとのレンジである、オプション権利行使価格の4万1375円から4万1875円でのゾーンを想定。日足の+3σを突破し4万2000円台に乗せてくる局面では、ヘッジ対応のロングが一段と強まる可能性がある。
23日の米VIX指数は15.37(22日は16.50)に低下した。17.32まで下げる場面もみられ、7月10日につけた15.70を割り込み、2月下旬以来の水準に低下した。8月1日に向けて貿易相手国との関税交渉の合意が進むと予想されるなかで低下傾向は続くとみられ、リスク選好に向かわせやすい状況であろう。
昨日のNT倍率は先物中心限月で14.07倍に上昇した。トヨタ自動車<7203.T>[東証P]など輸出関連株の買い戻しの動きが目立つなど、TOPIX型優位の展開により一時13.95倍に低下する場面もあった。ただし、その後は25日移動平均線(14.01倍)、200日線(14.03倍)水準で下げ渋りをみせており、後場に入ってからのインデックス買いによって、利食い先行で始まった値がさハイテク株の一角もプラス圏を回復したことで、NTロングに振れる形になった。
東京市場は堅調か。米国株は上昇。ダウ平均は507ドル高の45010ドルで取引を終えた。米国と日本が関税交渉で合意に至ったことに加え、フィナンシャル・タイムズ(FT)が米国とEUの関税交渉で合意が近いと報じたことも追い風となった。ドル円は足元146円50銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが420円高の41640円、ドル建てが480円高の41700円で取引を終えた。
きょうの日経平均も強い動きが続くと予想する。きのうの日本と米国の関税交渉の合意に加え、米国とEUの関税交渉が合意が近いと報じられたことにより、米国と主要貿易相手国との関税交渉の進展期待が高まっている。また、アルファベットが引け後に発表した第2四半期決算が予想を上回り時間外で上昇していることも追い風となろう。CME225先物は上昇スタートを示唆しているが、リスクオンの流れから高く始まった後も堅調な推移になるとみる。日経平均の予想レンジは41500-42000円。
日経225先物は11時30分時点、前日比740円高の4万1960円(+1.79%)前後で推移。寄り付きは4万1670円と、シカゴ日経平均先物清算値(4万1640円)にサヤ寄せする形で、買いが先行して始まった。寄り付き直後につけた4万1610円を安値にロングの動きが強まり、終盤にかけて4万2030円まで上げ幅を広げた。
日経225先物は、一時4万2000円台に乗せてきた。ボリンジャーバンドの+3σ(4万1980円)を上回ってきており、過熱感が警戒されやすいだろう。ただし、連日の大幅な上昇によって、引けにかけてはレバレッジ型ETFに絡んだヘッジ対応のロングが意識されやすく、過熱感からの短期的なショートは控えておきたいところであろう。日米の関税交渉の合意に続いて、欧州連合(EU)と合意に近づいているとの報道や、中国とも交渉が順調に進んでいると伝えられており、押し目待ち狙いのロング対応に向かわせよう。
NT倍率は先物中心限月で14.07倍と横ばいで推移している。一時14.02倍に低下する場面もあったが、25日移動平均線(14.02倍)、200日線(14.02倍)が支持線として機能する形となった。14.00倍接近では、その後のリバランスを想定したNTロングが入りやすいようだ。
6日のパウエル辞任騒動に続き、昨日は石破辞任騒動。その渦中にいる市場は、再び右往左往させられる展開となりました。参院選後の政局は、月末から8月中旬にかけてクライマックスを迎えることになりますが、昨日も東は大手町、丸の内周辺、西は心斎橋周辺で読売新聞が「石破首相退陣へ」との号外を配布したにもかかわらず、夕方になって石破首相が自身の辞任報道を否定。パウエル辞任騒動に次ぐ、あり得ない騒動に繋がっていきました。
米国での騒動同様に、やはりきちんとしたファクトチェックが必要となっているわけですが、辞任報道が相次いだのには理由があって、石破首相の退陣を討議できる「両院議員総会」開催の見通しが立ったからに他ならず、議員の3分の1の開催要請の署名が始まったことがきっかけ。ただ、現時点では28日に拘束力のない「両院議員懇談会」の開催が決定されているのみとなっているなか、総会に切替わるのか、または、別のスケジュールで総会が開催されるのかといった状況となっていることがファクト。いずれにしても、政局は、総会開催の可否ということではなく、いつ開催されるかの時間軸の問題となっています。
ドル円は、石破首相退陣への期待感から買われていただけに、その後はポジション調整が続いているわけですが、上抜けとなっている日経平均は恐らく、これまでの期待感がなかった分、ドル円とは違う動きとなっているのかもしれず、それぞれのポジション状況を見極めながらの展開となっています。
大和証券では、今回の日米合意では相互関税率が15%、自動車関税も15%となったことで、累計のGDP下押し幅は当初想定の0.7%程度から0.6%へと改善すると見込む。関税賦課の影響が最も大きく出ると想定している25年度の成長率見通しは、当初の0.45%から0.54%へと上方修正されたという。経済見通しの改善を受け、利上げ時期を1-3月期から10-12月期へ前倒し。内田副総裁が会見で述べた通り、日米合意により日本経済を巡る不確実性が低下し、2%物価目標の実現確度が上がっているとの認識は、日銀内で共有されているものと考えている。
本日のロンドンタイムではユーロ圏と主要国の7月製造業・サービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値や欧州中央銀行(ECB)理事会に注目する展開となる。
独・ユーロ圏の7月製造業・サービス部門PMI速報値は6月からやや上昇の見込みとなっている。先週に発表された7月独ZEW景気指数は52.7と2022年2月以来の高い水準となった。米政権と欧州連合(EU)の通商交渉の早期妥結を楽観視していることや、独政府の投資計画による景気への期待感が要因となった。7月独製造業・サービス部門PMIは景気判断の分岐点とされる50を上回るかどうかが注目される。製造業が6月の49.7から50.0に、サービスが6月の49.0から49.5に上昇すると予想されている。
本日のECB理事会では政策金利の据え置きが見込まれている。据え置きとなれば、昨年7月以来となる。米・EUの通商交渉が正念場を迎えており、ECBも交渉結果に注目している。ラガルドECB総裁の会見も予定されており、関税の景気・物価への影響や足元のユーロ高などについての見解も注目されそうだが、米・EUの交渉を控える中、今回のECB政策イベントは無風通過する可能性が高いか。
なお、米・EU交渉に関しては、米国が輸入する大半のEU製品に15%の関税を課す内容で合意に向けて前進していると伝わった。また、EU加盟国は15%の一律関税を受け入れる用意があり、この関税率が自動車などのセクターに適用されるようにEU当局者は働き掛けているとも報じられている。EU側は合意成立を楽観しているが、最終的な合意にはトランプ米大統領の承認が必要となる。
・想定レンジ上限
ユーロドルは2・3日高値1.1810ドルや1日の年初来高値1.1829ドル。ユーロ円は16日高値173.24円。
・想定レンジ下限
ユーロドルは23日安値1.1711ドルや日足一目・転換線1.1666ドル。ユーロ円は11日安値170.81円。
ドル円:1ドル=146.01円(前営業日NY終値比▲0.50円)
ユーロ円:1ユーロ=171.86円(▲0.61円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1770ドル(▲0.0001ドル)
日経平均株価:41826.34円(前営業日比△655.02円)
東証株価指数(TOPIX):2977.55(△51.17)
債券先物9月物:137.51円(▲0.11円)
新発10年物国債利回り:1.595%(△0.005%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は下げ渋り。日米の関税交渉の合意により、日銀が利上げに動きやすくなっているとの見方を背景に、昨日に続き円買いの地合いが継続すると、昨日安値146.11円を割り込むと145.86円まで下押し。その後しばらく146円を挟んだもみ合いが続いたが、15時過ぎに146.20円台まで下げ幅を縮小した。
・ユーロ円も下げ渋り。171.76円まで下押し後は172円を挟んでの往来が続くも、その後172.10円台まで小幅高となるなど、ドル円に連れた動きとなった。
・ユーロドルは様子見。円主体の動きとなる中、主に1.1770ドル台で方向感を模索する動きとなった。
・日経平均株価は続伸。日米関税交渉の合意を好感して前日の日米株式相場が上昇した流れを引き継ぎ、買いが先行。一時は昨年7月以来となる4万2000円台に上昇した。もっとも、連日の大幅上昇もあり、後場に入ると利益確定と見られる売りが上値を抑えた。
・債券先物相場は続落。前日に大幅下落した反動からプラス圏に持ち直すも一時的。日経平均が大幅に上昇する中、相対的に安全資産とされる債券は売りが優勢となった。日米の関税交渉合意で日銀が利上げに動きやすくなっているとの見方もまた、債券相場の重しとなっているもよう。
大阪9月限
日経225先物 41870 +650 (+1.57%)
TOPIX先物 2980.5 +51.0 (+1.74%)
日経225先物(9月限)は前日比650円高の4万1870円で取引を終了。寄り付きは4万1670円と、シカゴ日経平均先物清算値(4万1640円)にサヤ寄せする形で、買いが先行して始まった。寄り付き直後につけた4万1610円を安値にロングが強まり、前場終盤にかけて4万2000円台を回復。後場の取引開始直後には4万2080円まで買われる場面もみられた。その後は利益確定に伴うロング解消の動きが入り、後場中盤以降は4万1780円~4万1960円辺りで保ち合いが続いた。
日経225先物は、4万2000円台回復でいったんは利食いが意識されやすいところだろう。ボリンジャーバンドの+3σ(4万1950円)を一時上回ったことで、過熱感が警戒されやすいところでもある。ただし、ナイトセッションで+3σは4万2280円、+2σは4万1450円辺りに切り上がりをみせている。過熱警戒から調整をみせてきたとしても、+2σ水準がサポートとして機能するようだと、バンドの切り上がりに沿ったトレンド形成が意識されやすい。
関税交渉期限の8月1日が近づくなか、主要な貿易相手国との関税交渉が前進しており、米国と欧州連合(EU)が合意できれば、改めて市場は評価することになりそうである。もっとも、今後は国内でも決算発表が本格化することで、投資家の関心は企業業績に集まることになりそうだ。インデックスに絡んだ商いから、主要企業の決算の影響を受けやすくなろう。
日経225先物は+2σと+3σでのレンジにより、オプション権利行使価格の4万1500円から4万2250円辺りでの推移を想定。ただし、直近では過熱感から積極的なロングは手控えられやすく、+2σ水準で底固めを意識しての、押し目狙いのスタンスに向かわせそうである。
NT倍率は先物中心限月で14.04倍に低下した。14.11倍と上昇して始まった後はTOPIX型優位のなかで、一時14.02倍に低下する場面もあった。しかし、25日移動平均線(14.02倍)、200日線(14.02倍)が支持線として機能する形から下げ幅を縮め、両線を上回って終えた。NTロングは強まりにくいものの、14.00倍近辺ではその後のリバランスを想定したNTロングでのスプレッド狙いが入りやすいようだ。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が2万6217枚、ソシエテジェネラル証券が1万7778枚、サスケハナ・ホンコンが5754枚、JPモルガン証券が3914枚、バークレイズ証券が3201枚、SBI証券が2931枚、ゴールドマン証券が2827枚、日産証券が2483枚、野村証券が2129枚、モルガンMUFG証券が2099枚だった。
TOPIX先物はソシエテジェネラル証券が2万7695枚、ABNクリアリン証券が2万6693枚、JPモルガン証券が6422枚、バークレイズ証券が5787枚、モルガンMUFG証券が5023枚、ゴールドマン証券が4158枚、みずほ証券が3512枚、ビーオブエー証券が3060枚、シティグループ証券が2766枚、ドイツ証券が1453枚だった。
「政策判断で重視する基調的物価は上昇しているものの、2%へ向けて加速感を持って上がっているという状況ではない」(植田日銀総裁:6月17日)
7月23日、2%の物価安定目標の実現を目指す日銀が公表した6月の「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」は、3指標は揃ってプラス幅が縮小した。政府の定額補助でガソリン価格が下落に転じるなど、エネルギー価格の伸びが鈍化した。
6月の上昇品目の比率は8.5%と、5月の81.6%を下回り、下落品目は13.6%で、5月の13.2%から増加した。
1. 基調的なインフレ率を捕捉するための指標
物価動向の分析にあたっては、現実に観測される「消費者物価」の動きから、様々な一時的要因の影響を取り除いた、基調的なインフレ率(「コア指標」)が利用されている。
生鮮食品を除いた「コアCPI」や生鮮食品およびエネルギーを除いたコアコアCPIの他に、様々なコア指標を総合的にみていくことによって、基調的な物価変動をより的確に把握できると思われる。
日本銀行調査統計局では、毎月の全国消費者物価指数の公表に合わせて、上昇・下落品目比率、刈込平均値、最頻値、加重中央値を試算し、原則として、全国消費者物価指数の公表日の2営業日後の14時を目途に公表している。
2.6月の「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」(※コア3指標)
■刈り込み平均値:前年比+2.3%
・5月から低下(5月+2.5%、4月+2.4%、3月+2.2%、2月+2.2%、1月+2.2%)
・価格変動が大きい上下10%の品目を異常値として機械的に除き算出する
■加重中央値:前年比+1.4%
・5月から低下(5月+1.7%、4月+1.7%、3月+1.4%、2月+1.4%、1月+1.4%)
・価格上昇率の高い順にウエートを累積して50%付近にある価格変化率
■最頻値:前年比+1.4%(※2020年基準)
・5月から低下(5月+1.6%、4月+1.8%、3月+1.4%、2月+1.2%、1月+1.3%)
・品目別価格変動分布で最も頻度の高い価格変化率
3.6月の消費者物価指数(CPI)
■消費者物価指数(CPI):+3.3%(5月+3.5%、4月+3.6%、3月+3.6%、2月+3.7%)
■コアCPI(生鮮食品を除く):+3.3%(5月+3.7%、4月+3.5%、3月+3.2%、2月+3.0%)
■コアコアCPI(生鮮食品・エネルギーを除く):+3.4%(5月+3.3%、4月+3.0%)
6月コアCPIは前年比+3.3%となり、4カ月ぶりに伸び率が鈍化した。しかし、3%台は7カ月連続で、日本銀行の目標の2%を上回るのは39カ月連続となった。
政府の定額補助でガソリン価格が前月比-1.8%と下落しており、エネルギー価格の伸び率が+2.9%と5月の+8.1%から鈍化したことで総合指数の抑制に寄与した。昨年6月には政府の電気・ガス価格激変緩和対策が縮小されたことで伸び率が高まったが、その反動が出た。
授業料無償化で教育費が大幅-9.6%に下落していることも総合指数の下落に寄与した。
コメ類は100.2%の上昇と、1971年1月以降で最大となった5月の+101.7%を下回った。今後、8月~10 月の電気代及び都市ガス代について、「緊急対応パッケージ」の一環として押し下げ効果が現れることになる。
本日のNY為替市場のドル円は、まずは7月の雇用統計の調査対象週(7/12)の失業保険継続受給者数や7月米製造業PMI速報値を見極める展開。また、トランプ米大統領のFRB本部訪問に関するヘッドラインにも注目する必要があるだろう。
前週の米新規失業保険申請件数の予想は22.7万件、7月の雇用統計の調査対象週(7月12日週)の失業保険継続受給者数の予想は196.0万人。7月雇用統計を占う意味で、雇用情勢を見極めていくことになる。
7月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げを主張しているウォラーFRB理事は、利下げの理由として民間部門の雇用情勢の脆弱性を挙げていた。「先月の雇用増加の大半は公的部門だった。つまり、民間部門の状況はあまり良くないということだ」と述べていた。
7月FOMCでは政策金利(※FF金利誘導目標4.25-50%)の据え置きが見込まれている。ただ昨日は、ベッセント米財務長官は「FRBが公表している経済予測は政治的に偏っている」と批判ししていた。さらに、トランプ米大統領は以前、FRBに対して300bpの利下げを実施するように要求していた。その大統領が、本日FRB本部を訪問する予定と報じられている。
パウエルFRB議長は先日、「トランプ関税の影響で夏にかけて物価が上がると予想している」と述べていた。次期FRB議長の人選など、FRBの金融政策を巡る関連ヘッドラインには、引き続き警戒しておきたい。
7月米製造業PMI速報値は52.7と予想されており、6月の52.9からの若干の悪化見込み。トランプ関税の不確実性への警戒感を織り込んだ数字であるため、対日相互関税が15%で合意に至り、対欧州連合(EU)関税も15%での合意見通しと報じられていることで、8月分は改善するのではないだろうか。
トランプ米大統領のアキレス腱となりつつある「エプスタイン文書」だが、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙が17日に「故ジェフリー・エプスタイン元被告に宛てた2003年の下品な私信にトランプ大統領の名前があった」と報じた。昨日は「ボンディ司法長官がトランプ大統領に対し、エプスタイン文書にトランプ氏の名前があったと5月に伝えていた」と報じている。
トランプ米大統領の支持基盤である「MAGA(米国を再び偉大に)」派の離反が強まりつつあるある。来年の中間選挙でのトランプ米政権の敗北、すなわちレームダック化の可能性が高まることで、関連ヘッドラインには警戒しておきたい。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、147.65円(日足一目均衡表・転換線)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、144.36円(日足一目均衡表・雲の上限)
今晩は上値の重い展開か。
昨日は関税交渉で米国と日本が合意に至ったことや、EUとも合意が近いとの報道が好感され主要3指数がそろって大幅に上昇。ダウ平均は507.85ドル高(+1.14%)の45010.29ドルで終了し、12月4日に付けた終値の過去最高値に肉薄した。S&P500も0.81%高まで上昇後、0.78%高で終了し、取引時間中と終値の史上最高値を更新した。ナスダック総合は0.61%高と反発し、終値で初めて21000ポイントを上回った。
引け後の動きでは第2四半期の売上高と利益が予想を上回ったアルファベットが時間外で約2%上昇した一方、テスラは決算が予想を下回り、時間外で4%超下落した。IBMもソフトウェア収入が予想を下回り、株価は時間外で5%超下落した。
今晩の取引では米国と日本が関税交渉で合意に至り、EUなどとの関税合意期待が引き続き相場の支援となりそうだ。決算発表銘柄では、マグニフィセント・セブンの一角のアルファベットが予想を上回る決算を発表し、今晩の取引で上昇が期待されるものの、テスラやIBMの下落が見込まれる。ほか、主要3指数が史上最高値圏にあることで高値警戒感が強まることも予想され、底堅いながらも上値も重い展開か。
経済指標では新規失業保険申請件数、7月S&Pグローバル製造業・サービス業PMI速報値、6月新築住宅販売件数などが発表予定で、労働市場の動向や景気動向にも要注目となる。
今晩の米経済指標・イベントは6月建設許可件数改定値、 新規失業保険申請件数、7月S&Pグローバル製造業・サービス業PMI速報値、6月新築住宅販売件数など。企業決算は寄り前にユニオン・パシフィック、ハネウェル・インターナショナル、ダウ、引け後にニューモント、インテルなどが発表予定。
トルコ中央銀行は24日、政策金利を46.00%から43.00%へ300ベーシスポイント引き下げ、約3カ月ぶりに金融緩和に転じた。今回の利下げ幅は市場予測の250ベーシスポイントを上回り、多くのアナリストを驚かせた。背景には、6月に35.05%と依然高水準ながら徐々に低下しているインフレに対応しつつ、国内需要の節約やリラの実質価値上昇を通じて物価安定を目指す狙いがある。中央銀行は引き締め姿勢を継続するとも表明したが、引き続き段階的な利下げペースの鈍化も示唆された。市場からは金融政策委員会の独立性を疑問視する声もある一方、現状の高水準金利は政策として正しいとの指摘もある。年末のインフレ見通し28%への到達に十分な引き締めかは不透明な状況だ。
ポルトガル政府は24日、OECD(経済協力開発機構)チーフエコノミストのアルヴァロ・サントス・ペレイラ氏を次期中央銀行総裁に指名した。サントス・ペレイラ氏は2011-13年にポルトガルの債務危機下で経済相を務めた経験を持つ。前任のマリオ・センテノ総裁は7月19日に任期を終了しており、同氏は欧州中央銀行でのハト派的立場で知られていた。ペレイラ氏の指名は内閣会議で発表され、今後議会委員会による質疑を経て正式任命される見通し。なお、ポルトガルでは規制機関の長が任期終了後も数カ月間職に留まることは珍しくない。今回の交代は与党右派のセンテノ批判も背景にあり、独立性論争が続く中央銀行の新体制に注目が集まっている。
24日の香港株式市場で、ハンセン指数は5営業日続伸。終値は前日比0.51%高の25667.18ポイントだった。中国企業指数は0.18%高の9257.62ポイント。メインボードの売買代金は概算で2948億1000万HKドル。
ハンセン指数は序盤に上げ幅を拡大すると、その後もプラス圏で推移し、終値は2021年11月16日以来、約3年8カ月ぶり高値だった。前日のNY市場やきょうの中国本土市場の上昇が好感されたほか、中国の何立峰副首相が7月27日から30日までスウェーデンを訪れ、米国側と経済貿易会談を行うと中国商務部が発表したことを受け、米中協議の進展期待が高まった。
ハンセン指数構成銘柄では、信義光能(00968)が8%近く上昇したほか、中国宏橋(01378)や中升集団(00881)、中国中信(00267)も高かった。半面、JDドットコム(09618)やアリババ集団(09988)が売られて重しとなったほか、安踏体育用品(02020)や百度(09888)も安かった。
ハイテク銘柄で構成するハンセンテック指数は0.05%安の5743.00ポイント。ASMPT(00522)が11%超上昇したほか、センスタイム(00020)や華虹半導体(01347)も高かった。半面、蔚来集団(09866)や百度、ネットイース(09999)が売られた。指数構成銘柄以外では、12月18日付で海南島内での「ゼロ関税」輸入品の割合が大幅に引き上げられることを受け、中国旅遊集団中免(01880)や海南美蘭国際空港(00357)が大幅高となった。
国際通貨基金(IMF)は、2023年末時点でセネガルの政府系企業の債務がGDP比約7.4%、金額にして約11.3億ドルにのぼる「隠れた債務」が存在すると報告した。IMFはこの問題を内部レビューで見落としていたことを認め、理事会に説明を行う予定。また、セネガル側と重要な是正措置についての合意を間もなくまとめる方針で、更新された債務データの追加提供を待っている。
(24日終値:25日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=146.81円(24日15時時点比△0.80円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=172.79円(△0.93円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1770ドル(横ばい)
FTSE100種総合株価指数:9138.37(前営業日比△76.88)
ドイツ株式指数(DAX):24295.93(△55.11)
10年物英国債利回り:4.622%(▲0.013%)
10年物独国債利回り:2.702%(△0.063%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
87月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値
48.4 48.1
7月仏サービス部門PMI速報値
49.7 49.6
7月独製造業PMI速報値
49.2 49.0
7月独サービス部門PMI速報値
50.1 49.7
7月ユーロ圏製造業PMI速報値
49.8 49.5
7月ユーロ圏サービス部門PMI速報値
51.2 50.5
7月英製造業PMI速報値
48.2 47.7
7月英サービス部門PMI速報値
51.2 52.8
欧州中央銀行(ECB)、政策金利
2.15%で据え置き 2.15%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は底堅い動き。米国と欧州連合(EU)の関税交渉が進展しているとの期待が高まる中、欧州株相場が上昇するとリスク・オンの円売り・ドル買いが先行。前週分の米新規失業保険申請件数が予想より強い内容となったことも相場の支援材料となり、1時過ぎには一時146.95円と日通し高値を更新した。
22時45分発表の7月米製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値が49.5と昨年12月以来7カ月ぶりに好不況の分岐点とされる50を割り込み、23時発表の6月米新築住宅販売件数が62.7万件と予想より弱い内容だったことが分かると146.36円付近まで売られる場面もあったが、下押しは限定的だった。
・ユーロドルは一進一退。堅調な米雇用関連指標を受けて22時過ぎに一時1.1731ドルと日通し安値を付けたものの、その後発表された米経済指標が低調な内容だったことが分かるとユーロ買い・ドル売りが優勢に。23時30分前には1.1789ドルと7日以来の高値を付けた。ただ、同日の高値1.1790ドルが目先レジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。
なお、欧州中央銀行(ECB)はこの日、市場予想通り政策金利を現行の2.15%に据え置くことを決めたと発表。ラガルドECB総裁は理事会後の会見で「経済成長のリスクは引き続き下振れ方向にある」と述べ、従来の認識を繰り返した。欧州連合(EU)が米政権と関税措置を巡る交渉を続ける中、様子見姿勢を取ったとみられ、次の一手について手掛かりは示さなかった。
・ユーロ円は堅調。英国株が連日で史上最高値を更新するなど、欧州株相場が堅調に推移するとリスク選好の円売りが出て、1時過ぎに一時172.92円と日通し高値を更新した。
・トルコリラ円は下げ渋り。アジア時間に一時3.60円と日通し安値を付けたものの、欧米市場に入ると徐々に下値を切り上げた。ドル円の上昇につれた買いが入ったほか、欧州株高に伴う円売り・リラ買いが入った。
なお、トルコ中銀はこの日、政策金利を現行の46.00%から43.00%へ引き下げることを決めたと発表。利下げ幅は市場予想(2.50%の利下げ)よりも大きかった。政治的混乱によって妨げられていた緩和サイクルを再開した形となったが、声明では「物価安定が達成されるまで引き締め的な金融政策を維持する」との見解も示された。
・ロンドン株式相場は6日続伸し、史上最高値を更新した。米政権による関税政策が世界経済に悪影響を及ぼすとの懸念が和らぐ中、投資家が運用リスクをとる動きを強めると株買いが広がった。BTグループやボーダフォン・グループなど電気通信サービス株が買われたほか、アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株が値上がりした。
・フランクフルト株式相場は続伸。米国とEUの関税交渉が進展しているとの期待が高まる中、株買いが広がった。個別ではドイツ銀行(9.13%高)やドイツテレコム(5.05%高)、シーメンス・ヘルシニアーズ(2.97%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は英国債が上昇した一方、独国債が下落した。
24日の日経平均は続伸。終値は655円高の41826円。
プライム市場の値上がり率上位では、業績上方修正が好感されたKOAがストップ高。前日に決算発表で急落したOBCが一転して急反発となり、今期の増益見通しが好感された信越ポリマーが出来高増加を伴って急伸した。上期の連結純利益の着地が市場予想を上回ったブロンコビリーも大幅高。非公開化進ちょく報道でテクノプロHLDGが急騰した。
一方、値下がり率上位では、日本航空電子工業が1Qの連結経常利益が大幅減益となったことが嫌気されたほか、GMOインターネットやフジメディアHDが軟調。前場の取引時間中に減益決算を発表したMARUWAが大幅安となった。
あすの東京市場は反落か。週末で利益確定売りに上値が抑えられる公算が大きい。米国株高による支援材料も想定されるが、高値警戒感も強く円高への懸念も重荷となりそうだ。
寄り付き前に7月東京都区部消費者物価指数(CPI)の発表がある。6月は前年同月比3.1%上昇し、前月の3.6%から伸びが鈍化した。7月の予想は2.9-3.0%と引き続き鈍化が見込まれているが、インフレを示す結果となった場合は利上げの前倒し観測から為替市場で円高への揺り戻しが進展する可能性が高く、株式市場には重荷となる。
きょうの日経平均は前日に1000円を超える上げ幅となった直後でもあり、上値に慎重な場面もあった。昨年7月高値時に形成したチャート上のマド埋め(42102円)が短期的な上値の目安となりやすく、きょうは完全に埋めき切れずに後場は伸び悩んだ。前日賑わった自動車株は早くもモメンタムが減速しており、業種別最上位に浮上した銀行株がどれだけモメンタムを維持できるかが指数の強弱感の焦点となりそうだ。
いずれにしても、TOPIXが史上最高値を更新するなど好地合い中、決算発表が本格化する。決算内容の受け止め方は個別まちまちだろうが、株主還元策への期待は根強い。参議院選挙後に短期間で大きく上昇した2016年の上昇率を単純に当てはめた場合、月内には44000円台に乗せるシナリオも想定できる。
(24日終値)
ドル・円相場:1ドル=147.01円(前営業日比△0.50円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=172.72円(△0.25円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1749ドル(▲0.0022ドル)
ダウ工業株30種平均:44693.91ドル(▲316.38ドル)
ナスダック総合株価指数:21057.96(△37.94)
10年物米国債利回り:4.39%(△0.01%)
WTI原油先物9月限:1バレル=66.03ドル(△0.78ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3373.5ドル(▲24.1ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
前週分の米新規失業保険申請件数
21.7万件 22.1万件
7月米製造業PMI速報値
49.5 52.9
7月米サービス部門PMI速報値
55.2 52.9
7月米総?⑰MI速報値
54.6 52.9
6月米新築住宅販売件数
(前月比) 0.6% ▲11.6%・改
(件数) 62.7万件 62.3万件
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は4日ぶりに反発。米国と欧州連合(EU)の関税交渉が進展しているとの期待が高まる中、欧州株相場が上昇するとリスク・オンの円売りが先行。前週分の米新規失業保険申請件数が予想より強い内容となったことも相場の支援材料となり、取引終了間際に一時147.02円と日通し高値を更新した。
なお、7月米製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値が49.5と昨年12月以来7カ月ぶりに好不況の分岐点とされる50を割り込み、6月米新築住宅販売件数が62.7万件と予想より弱い内容だったことが分かると146.36円付近まで売られる場面もあったが、下押しは限定的だった。
・ユーロドルは5日ぶりに反落。堅調な米雇用関連指標を受けて22時過ぎに一時1.1731ドルと日通し安値を付けたものの、その後発表された米経済指標が低調な内容だったことが分かるとユーロ買い・ドル売りが優勢に。23時30分前には1.1789ドルと7日以来の高値を付けた。ただ、同日の高値1.1790ドルが目先レジスタンスとして意識されると上値が重くなった。
なお、欧州中央銀行(ECB)はこの日、市場予想通り政策金利を現行の2.15%に据え置くことを決めたと発表。ラガルドECB総裁は理事会後の会見で「経済成長のリスクは引き続き下振れ方向にある」と述べ、従来の認識を繰り返した。EUが米政権と関税措置を巡る交渉を続ける中、様子見姿勢を取ったとみられ、次の一手について手掛かりは示さなかった。
・ユーロ円は3日続伸。日本や欧州の株式相場が堅調に推移するとリスク選好の円売りが先行。ドル円の上昇につれた買いも入ると一時172.92円と日通し高値を更新した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反落。決算内容が嫌気されたIBMが7.6%近く急落し、1銘柄でダウ平均を122ドルほど押し下げた。「メディケア事業の慣行に不正がなかったかを巡る米司法省の調査に協力している」と伝わったユナイテッドヘルス・グループも売られ、相場の押し下げ要因となった。
一方、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は小幅ながら続伸し、史上最高値で取引を終えた。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数も過去最高値を更新した。
・米国債券相場で長期ゾーンは続落。前週分の米新規失業保険申請件数が予想より強い内容だったことを受けて売りが先行したものの、7月米製造業PMI速報値や6月米新築住宅販売件数が予想より弱い内容だったことが分かると下げ渋った。
・原油先物相場は反発。需給の引き締まりを意識した買いが優勢となった。「トランプ米大統領がベネズエラでの石油事業許可を検討」との報道で急失速する場面があったが、一時的だった。
・金先物相場は続落。米関税政策を巡る各国との交渉懸念が和らぐなか、この日も安全資産とされる金の売りにつながった。
24日08:42 ベッセント米財務長官
「次期FRB議長の候補はおそらく12月か1月に発表」
24日10:37 ラトニック米商務長官
「パウエルFRB議長は辞任か交代を」
「金利の引き下げが必要」
24日22:24
「欧州連合(EU)は本当に合意を望んでいる」
「我々はその問題を克服しようとしている」
「韓国側は非常に合意に意欲的」
24日20:15 トルコ中銀声明
「物価安定が達成されるまで維持される金融引き締め姿勢は、国内需要の抑制、リラの実質的な上昇、インフレ期待の改善を通じてディスインフレを後押し」
「最近のデータは、需要環境によるディスインフレ効果が強まっていることを示している」
「地政学的展開や貿易保護主義の高まりがディスインフレに与える潜在的影響を注視」
「インフレ期待と価格設定行動は、依然としてディスインフレに対するリスクを伴っている」
「金利変更幅は、インフレ見通しに焦点を当てつつ、毎回の会合で慎重に見直される」
「信用・預金市場で予想外の動きが生じた場合は、追加的なマクロプルーデンス措置により金融政策の波及効果が補完される」
24日21:19 欧州中央銀行(ECB)声明
「理事会の金利決定は、インフレ見通しとそれを取り巻くリスクに基づいて行われる」
「金利決定は、経済・金融の最新データ・基調的なインフレの動向、そして金融政策の波及効果の強さを踏まえたもの」
「インフレ率を中期的に2%で安定させることに強い決意を持っている」
「金融政策の適切なスタンスは、データ依存かつ会合ごとに判断されるアプローチによって決定される」
「特定の金利経路に事前にコミットすることはしない」
「過去の利下げ効果もあり、厳しい国際環境下においても、ユーロ圏経済は全体として底堅い」
「環境は依然として極めて不透明であり、特に貿易摩擦がその一因」
「インフレの安定に向けて、その権限の範囲内であらゆる手段を調整する用意がある」
24日21:53 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「関税の上昇とユーロ高で企業の投資が困難になると予想」
「経済データは全体として緩やかな拡大を示唆」
「基調インフレは、インフレが目標水準で安定することを示唆」
「長期的なインフレ期待は引き続き2%前後で推移」
「経済成長のリスクは引き続き下振れ傾向」
「ユーロ圏のインフレ見通しは通常よりも不透明」
「特定の為替レートをターゲットにしていない」
「為替レートはインフレ予測に重要であり、監視はしている」
「賃金は正しい方向に向かっている」
「インフレショックは過ぎ去ったと確信」
24日23:56 シェインバウム・メキシコ大統領
「メキシコは米国との関税合意に自信あり」
25日00:28 欧州中央銀行(ECB)当局者
「9月会合では再び据え置きが見込まれる」
「追加の利下げを望む者たちは困難な戦いに直面する」
25日04:18 ヒース・メキシコ中銀副総裁
「コアインフレが目標を上振れることを懸念」
「インフレ減速で利下げを正当化すべきではない」
※時間は日本時間
<国内>
○08:30 ◎ 7月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合、予想:前年比3.0%)
○08:50 ◇ 6月企業向けサービス価格指数(予想:前年比3.2%)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○14:00 ◇ 5月景気動向指数改定値
<海外>
○08:01 ◇ 7月英消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲20)
○15:00 ◎ 6月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比1.2%/前年比1.8%)
○15:00 ◎ 6月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比1.2%/前年比1.9%)
○15:45 ◇ 7月仏消費者信頼感指数(予想:88)
○17:00 ◎ 7月独Ifo企業景況感指数(予想:89.0)
○19:30 ◎ ロシア中銀、政策金利発表(予想:18.00%へ引き下げ)
○21:30 ◎ 6月米耐久財受注額(予想:前月比▲10.5%/輸送用機器を除く前月比0.1%)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
昨日の海外市場でドル円は、米国と欧州連合(EU)の関税交渉が進展しているとの期待が高まる中、欧州株相場が上昇するとリスク・オンの円売りが先行。予想より強い雇用指標も相場の支援材料となり、取引終了間際に147.02円と日通し高値を更新した。ユーロドルは1.1731ドルまで下落後、1.1789ドルまで反発した。なお、欧州中央銀行(ECB)は、市場予想通り政策金利を2.15%に据え置いた。
本日の東京時間でのドル円は、147円を挟んで上下しそうだが、引き続き円買い要因があることには注意したい。
市場のドル買い・円売りの反応が鈍い一因は、参議院選挙前に過度に円売りを仕掛けてしまったこと。市場は与党の過半数割れで、野党が要望する消費税減税などを受け入れ、財政拡大路線懸念が高まり、日本売り(本邦国債売り、円売り)となることを予想した。ただ、選挙後への日本売りの反応は鈍かった。
これは、トランプ政権の予算案(「大きく美しい1つの法案」)が提出されたときも、財政悪化が懸念され米国売り(米債売り・ドル売り)に傾いたことと酷似している。同予算案は、更に上院の修正案により財政悪化が10年間で3.3兆ドルと増えたが、下院に修正案が送られたときには米債もドルも売られなかった。市場が余りにも過度に期待しすぎると「Buy the rumour sell the fact(噂で買って事実で売る)」になることが多く、今回の参議院選挙を挟んだ財政懸念も同様か。
また、日米の金融政策の方向性の違いもドル円の重しになっている。米連邦準備理事会(FRB)は30日、日銀は31日に政策金利の発表を控えている。両中銀ともに今月は据え置き予想となっているが、米国の利下げ圧力、日本の利上げ圧力が再び高まっている。
米国はインフレ率等を鑑みれば、利下げに動くのは時期尚早との声は強い。しかしながら、今週も米政権の利下げ圧力が止まない。更に昨日トランプ米大統領はFRB本部改修工事を視察し、その後パウエルFRB議長と金利水準について話し合いが行われた。トランプ大統領は、圧力については否定しているが、バイデン前大統領は大統領就任後数年の間、パウエルFRB議長と話をしていなかったこと(2021年4月の発言)を考えると、トランプ大統領のFRB訪問が異例だったことが分かる。今回トランプ大統領は、FRB議長の解任も否定したが「FRBは正しい対応を取る」と述べるなど、FRBの独立性を再び揺るがす状態になるかもしれない。
一方で、日本では内田副総裁は先日の講演で、関税について「経済全体の不確実性は引き続き高い」と強調したが、日米間の合意は大きな前進と認めている。市場では大半は利上げ時期が年後半から来年になるとの予想が根強いが、利上げ期待が徐々に高まれば円買い要因になるだろう。
なお、本日は本邦から複数の経済指標が発表されるが、注目されるのは全国の消費者物価指数(CPI)の前哨戦とされている7月東京都区部CPIになりそうだ。市場予想は前月の3.1%から3.0%へ低下する予想となっている。市場は日銀の利上げ時期を探る動きになっていることで、予想よりもインフレ高進となった場合の方が、市場の反応が敏感になりそうだ。
また、石破首相の進退についての報道にも注目。読売、毎日、日経など各紙が辞任を促す報道を連日記載している。ただ、旧安倍、茂木派など辞任圧力を強めている派閥が、闇献金、統一教会などで自民党の支持を大幅に減少させた派閥ということで、世間から石破首相続投の声も出てきている(「#石破辞めるな」が拡大)。今後の政局でも再び為替が動意づくことになりそうだ。なお、石破首相が続投する場合は、これまでの市場の反応はドル売り・円買いに動いている。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 41640 -230 (-0.54%)
TOPIX先物 2967.5 -13.0 (-0.43%)
シカゴ日経平均先物 41605 -265
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
24日の米国市場はNYダウが下落した一方で、 S&P500、ナスダックは上昇。米新規失業保険申請件数は前週比4000件減の21万7000件と6週連続で減少し、労働市場の底堅さが示された。ただし、主要企業の決算発表が本格化するなか、2025年4~6月期決算でソフトウエア部門が市場予想ほど伸びなかったIBM<IBM>が7.6%超の急落となったほか、ハネウェル・インターナショナル<HON>も決算を受けて6%超の下落となり、NYダウを押し下げた。
S&P500業種別指数は電気通信サービス、半導体・同製造装置、小売が上昇した半面、自動車・同部品、ヘルスケア機器・サービス、耐久消費財・アパレルの弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、シェブロン<CVX>、エヌビディア<NVDA>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、マイクロソフト<MSFT>が買われた。一方で、IBM、ハネウェル・インターナショナルのほか、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、ナイキ<NKE>、マクドナルド<MCD>が軟調。
シカゴ日経平均先物清算値は大阪比265円安の4万1605円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比10円安の4万1860円で始まった。寄り付きを高値にロング解消の動きになり、米国市場の取引開始直後には4万1530円まで下落幅を広げた。売り一巡後は中盤にかけて4万1760円辺りまで持ち直す場面もみられ、4万1700円~4万1760円辺りでの保ち合いが続いた。終盤にかけてレンジを割り込み、4万1640円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、売り先行で始まることになりそうだ。ただし、前日の上昇で一時4万2000円台を回復し、ボリンジャーバンドの+3σを上回ってきたことで、過熱感が警戒されやすいところである。そのため、過熱を冷ます形での調整は入れておきたいところであり、押し目待ち狙いの買い意欲は強そうである。
+3σは4万2240円、+2σが4万1420円に位置しているため、+2σ水準での底堅さを見極めることになろう。一方で、4万2000円接近では利益確定に伴うロング解消も入りやすいと考えられ、オプション権利行使価格の4万1500円から4万2000円でのレンジを想定する。
米国では決算発表が本格化するなかでIBMやハネウェル・インターナショナルの決算を受けた下げが目立ったが、トランプ米政権によるAI(人工知能)開発を推進する国家戦略である「AI行動計画」によってAIの成長期待は大きく、エヌビディアのほかアドバンスト・マイクロ・デバイセズ<AMD>、ブロードコム<AVGO>などが買われている。指数インパクトの大きい値がさハイテク株への支援材料になると考えられ、日経平均型を支えることになろう。
24日の米VIX指数は15.39(23日は15.37)に上昇した。一時14.95と2月半ば以来の15.00を割り込む場面もみられた。節目の15.00割れで、いったんリバウンドも意識されやすいだろうが、8月1日に向けて貿易相手国との関税交渉の合意が進むとみられるなかで、リスク選好に向かわせやすい状況であろう。
昨日のNT倍率は先物中心限月で14.04倍に低下した。14.11倍と上昇して始まった後はTOPIX型優位のなかで、一時14.02倍に低下する場面もあった。しかし、25日移動平均線(14.02倍)、200日線(14.02倍)が支持線として機能する形から下げ幅を縮め、両線を上回って終えた。14.00倍近辺ではその後のリバランスを想定したNTロングでのスプレッド狙いが入りやすいようだ。
東京市場は軟調か。米国株はまちまち。ダウ平均が下落し、S&P500とナスダックが上昇した。ダウ平均は316ドル安の44693ドルで取引を終えた。構成銘柄のIBMとハネウェル・インターナショナルが決算を受けて大きく下落したことが響いた。ドル円は足元147円10銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが265円安の41605円、ドル建てが215円安の41655円で取引を終えた。
日経平均は23日、24日の2営業日で2000円を超える上昇となった。米3指数がそろって強い上昇となれば週末一段高にも期待できるところであったが、ダウ平均が大きく下げており、きょうは利益確定売りに押されることになるだろう。ただ、下に値幅が出るようなら、直近の上昇に乗り遅れた投資家からの買いが入りやすい。来週は決算発表が本格化して、個別物色が一段と活況になると見込まれる。前日の上げ分(655円高)くらいの下げはあるかもしれないが、警戒感はさほど高まらず、売り一巡後は底堅く推移すると予想する。日経平均の予想レンジは41200-42050円。
昨日のドル円は、参院選後のポジション調整が出たのが東京時間まで。一目基準線の145.93円を意識して下押しを拾う向きも多く、欧州時間に入ってからは米新規失業保険申請件数が予想よりもかなり強い数字となったことから上値を試す展開に。7月米製造業PMI速報値が節目の50を割込む弱い結果だったにもかかわらず、下押しも146.36円までにとどまると、引けにかけては147.02円まで買戻されてほぼ高値引けとなってNY市場を終えました。アジア時間に入ってからは、週末のゴトー日とあって本邦実需の買いが先行。一時147.46円まで値を上げています。
いずれにしても、参院選後に石破首相が自らの辞任を否定したことをきっかけに始まった短期勢のポジション調整が終わり、大手新聞社が号外を出すほどの辞任報道が、今朝方にNHKが「自民党内で両院議員総会開催に向けた動きが出ている」と報道したことからも明らかなように、既に退陣がダンディールとなるなか、当然のことながら、参院選までに高まった期待感や方向性に戻る動きとなってきているといったところ。
日米関税合意についても、昨日、ベッセント米財務長官から交渉担当が変わったとされるラトニック米商務長官が誇らしげに「日本は完全に市場開放するつもりがないので、私が1月に提案していた投資案件で15%分の関税を買った」とインタビューに答える姿には唖然。詳細が全く明らかにされていない5500億ドル(81兆円)の米国への投資については、「トランプ米大統領が指定した安全保障上重要なプロジェクトを実現させるべくファイナンスし、利益の90%は米国、10%が日本に渡ることになる」とこれも満面の笑みで解説。
アンカーの女性が「石破首相は融資保証と言っていますが」との質問には、「もちろんそれ以上で、日本はプロジェクトを実行させるために融資保証やローンや全て提供しなければなりません」とのこと。為替市場で考えた場合、明らかな巨額の潜在的ドル買い需要ということに他ならず、石破首相辞任云々どころではないのがファクト。
連日のファクトチェックとなっていますが、構造的な円安の状況がさらに深まることになりそうです。ドル円は目先、一目転換線の位置する147.52円を意識する展開となっていますが、参院選後の高値である21日の148.66円もまた、重要なポイントとなってきています。
日経225先物は11時30分時点、前日比270円安の4万1600円(-0.64%)前後で推移。寄り付きは4万1650円と、シカゴ日経平均先物清算値(4万1605円)にサヤ寄せする形で、売りが先行して始まった。4万1740円まで下げ幅を縮めた後は、4万1620円~4万1740円辺りでの保ち合いを継続。終盤にかけてレンジを割り込み、4万1570円まで売られる場面もみられた。
日経225先物は、過熱を冷ます形での調整であり、ボリンジャーバンドの+2σ(4万1420円)と+3σ(4万2230円)とのレンジ内で、+2σが支持線として意識されている。米国ではIBM<IBM>やハネウェル・インターナショナル<HON>が決算を受けて急落したが、国内においても昨夕決算を発表した信越化学工業<4063.T>[東証P]が急落しており、日経平均株価の重荷になっている。主要企業の決算発表が本格化するなかで、手掛けにくくさせそうである。
NT倍率は先物中心限月で14.04倍と横ばいで推移している。一時14.02倍に低下する場面もあったが、25日移動平均線(14.03倍)、200日線(14.02倍)水準で下げ渋る動きとなり、14.08倍まで切り返す場面もあったが支持線として機能する形となった。引き続き、14.00倍接近では、その後のリバランスを想定したNTロングが入りやすい。
大和証券では7月30~31日の日銀金融政策決定会合では、政策金利の現状維持が決定されると見込んでいる。また、最新のマクロ経済状況や関税政策の動向を踏まえた経済・物価見通しとリスク評価が示されるという点で、同時に公表される展望リポートに注目している。大和では、展望リポートでは現時点において関税の影響が想定ほど顕在化していないことを反映し、2025年度の経済成長率が前回の+0.5%から+0.6%へ上方修正されると予想している。一方、2026年度と2027年度は据え置かれると予想している。
アジア時間でのユーロドルは対円でのドルの動向に連れて上下し、主体性が無く動いている。ただ、本日の欧州時間では、欧州連合(EU)と米国の関税協議や独IFOの結果に左右される相場展開になると予想する。
今週に入りEUと米国の関税交渉の合意を期待する声が徐々に高まってきている。8月1日から予定されている米国の高関税賦課の期限まで1週間を切っていることもあり、本日だけでなく週末での合意の可能性もある。EUが交渉に前向きな姿勢を見せていることで、仮に1日まで合意に至らない場合には、期限延長の可能性もあることで、ユーロドルは底堅さを維持できるのではないかと思われる。
本日、トランプ米大統領はプライベートでスコットランドを訪れる。メルツ独首相はトランプ氏が所有する2つのゴルフコースにいる間、大統領に会う可能性も示唆されている。現時点の貿易交渉案では、米国が示している鉄鋼輸入への50%の関税撤廃や削除が含まれていないと報じられている。EUは一定の割当量を超えて輸出される鉄鋼にのみ50%の関税を認める妥協案を推し進めようとしている。欧州市場は米国がもはや吸収できなくなった鉄鋼で溢れかえっているとの声も出ている中で、メルツ首相がトランプ大統領を説得し、関税交渉に前進がみられるかなどが注目される。
なお、本日発表される7月IFO企業景況感指数は、前回の88.4を上回る89.0が市場予想。今年に入り毎月右肩上がりになっている同指標が、予想通り上昇すればユーロの支えになりそうだ。
・想定レンジ上限
ユーロドル:1日の年初来高値1.1829ドル。
・想定レンジ下限
ユーロドル:23日安値1.1711ドル。割り込めば日足一目・転換線1.1673ドル。
ドル円:1ドル=146.94円(前営業日NY終値比▲0.07円)
ユーロ円:1ユーロ=172.59円(▲0.13円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1746ドル(▲0.0003ドル)
日経平均株価:41456.23円(前営業日比▲370.11円)
東証株価指数(TOPIX):2951.86(▲25.69)
債券先物9月物:137.43円(▲0.08円)
新発10年物国債利回り:1.600%(横ばい)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
7月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合)
前年比 2.9% 3.1%
6月企業向けサービス価格指数
前年比 3.2% 3.4%・改
対外対内証券売買契約等の状況(前週)
対外中長期債
1兆6413億円の取得超 7653億円の取得超・改
対内株式
5719億円の取得超 4423億円の取得超・改
5月景気動向指数改定値
先行指数 104.8 105.3
一致指数 116.0 115.9
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は上値が重い。5・10日(ゴトー日)の仲値に向けて国内輸入企業からの買いが観測されたほか、昨日の米雇用指標の改善で米連邦準備理事会(FRB)が利下げに慎重になるとの思惑も買いを誘い、一時147.49円まで上昇した。ただ、来週に日米の金融政策発表を控えるなか、週末を前に積極的に持ち高を傾けにくかった面もあり、午後に入ると調整売りが優勢に。関係者筋の話しとして「日米関税合意によって日銀が年内に利上げできる環境が整う可能性がある」「日銀がデータに基づき、早めに政策判断できる可能性が高まる」との報道が伝わると、円の買い戻しが強まり、146.82円まで売りに押される場面も見られた。
・ユーロ円も上値が重い。午前に173.18円まで上昇する場面があったものの、16日につけた直近高値の173.24円手前で上値の重さを確認すると、日銀絡みの報道後には172.48円まで失速した。総じてドル円と同様の動きだった。
・ユーロドルはもみ合い。1.1740ドル台を中心とするレンジ内で推移した。一時1.1734ドルまで下押す場面があったが、昨日安値の1.1731ドルが意識されると下げ渋った。
・日経平均株価は3営業日ぶりに反落。連日で年初来の高値を更新していたこともあり、週末を前に利益確定目的の売りに押されやすかった。前日まで買われていた自動車株の一角が売りに押され、指数は一時430円超安まで下押しした。
・債券先物相場は3日続落。週末を控えた持ち高調整目的の買いが先行したほか、この日発表された7月東京都区部消費者物価指数(CPI)が予想比で下振れしたことも買い材料視された。ただ、引け間際に日銀絡みの報道が伝わると一転してマイナス圏に沈んだ。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
トルコ中銀は緩和路線を再開、今後も漸進的な利下げに動く方針
リラ相場は政治的リスクが重石に、異常気象によるインフレリスクの動向にも注意を払う必要
このところの国際金融市場では、トランプ米政権の政策不安などを理由に米ドル安基調が続いている。さらに、リスク選好の高まりを受けて新興国資産への資金流入が活発化しているが、トルコリラ相場は最安値圏で推移している。発端は、エルドアン大統領の政敵とされるイマモール・イスタンブール市長の逮捕とみられる。結果、中銀は昨年末以降、景気下支えに向けて断続的な利下げに動いたが、リラ防衛を目的とする利上げに追い込まれた。しかし、その後もインフレの鈍化が確認されており、中銀は24日の定例会合で政策金利を300bp引き下げ43%とする決定を行った。同行の利下げ実施は2会合ぶりであり、先行きも漸進的な利下げに動く方針をみせている。足下のインフレは落ち着いた動きをみせるが、異常気象によるインフレ再燃リスクはくすぶる。リラ相場の安定には政治的リスクの低下が不可欠だが、再来年の大統領選を控えて一段と激化する可能性はあり、リラは米ドルに対してのみならず、円に対しても上値の重い展開が続こう。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・田中 理氏
ECBが利下げを休止 関税協議次第だが、利下げは打ち止めか
利下げ余地が乏しくなるなか、関税協議の行方が確定しない今回の理事会での利下げ見送りは既定路線。足元の景気や物価は底堅さを増しており、来年以降はドイツの財政転換や欧州各国の国防費の増加も景気回復を後押しする。一部報道にある通り、米国との関税協議が15%の関税率で決着すれば、輸出企業への打撃は避けられないが、同時に関税協議を巡る不透明感が解消され、先送りされていた投資や経済活動が動き出す。また、最近のユーロ高進行はドルの信認低下に加えて、ユーロ圏の景気回復期待を反映したもの。現状程度の為替水準であれば、利下げ打ち止めの障害にはならない。関税合意の結果次第ではあるが、利下げは打ち止めとなる可能性が高い。
「赤沢経済再生相はタフネゴシエーターだ」(ベッセント米財務長官)
2025年7月23日、赤沢経済再生相は、トランプ米政権閣僚(ラトニック商務長官、グリア通商代表部代表、ベッセント財務長官)との8回目の日米通商交渉で、ようやく日米関税合意に達した。
1.日米関税交渉の合意事項(赤沢経済再生相)
【関税】
・相互関税:15%を適用
※既存の関税率が15%以上の品目にはかからず、15%未満の品目については15%が上限
・自動車・部品:15%=既存の2.5%+(追加関税25%の半分の12.5%)
・鉄鋼・アルミ関税:50%
・半導体や医薬品など経済安全保障上重要な物資:将来分野別関税が課される際も日本が他国に劣後する扱いとならないと確約
・コメ:現行のミニマムアクセスの枠内で米国(※77万トン)からの輸入を増やす
・農産品含め日本側の関税を引き下げることは含まれない
【投資】
・強靭なサプライチェーン構築へ連携(半導体、医薬品、鉄鋼、造船、重要鉱物、航空、エネルギー、自動車、AIなど経済安保上重要な分野が対象)
・日本の経済安保の観点から極めて重要な合意実現のため、日本企業が関与する医薬品や半導体などの重要分野での対米投資促進
・政府系金融機関が最大5500億ドル規模の出資、融資、融資保証を提供可能
2. 日米関税合意(ホワイトハウス)
「トランプ大統領が日本と前例のない戦略的な貿易・投資協定を締結」
トランプ大統領は、日本との関税合意について「われわれは日本との大規模なディール(取引)を完了した。恐らくこれまでで最大のディールだ。日本が市場の開放に初めて同意したことから、関税率を15%に削減した。合意への署名で5500億ドルの署名ボーナスを獲得した」と述べた。
ベッセント財務長官は、「日本が貿易合意の内容を順守しているかどうか四半期ごとに精査し、トランプ大統領が不満であれば、関税は自動車も含めて25%に戻る」と述べて、日本側を牽制した。
・アメリカの「ボーイング」社から航空機を100機購入する
・アメリカの防衛装備品を毎年、数十億ドル購入する
・アメリカ産の大豆やトウモロコシ、肥料やバイオエタノールなどを80億ドル分購入する
・アラスカでのLNG=液化天然ガスの開発:アメリカと日本が新たな調達契約を結ぶことを検討している
・アメリカから日本への自動車の輸出拡大に向け、アメリカの自動車の安全基準が初めて承認される
大阪9月限
日経225先物 41360 -510 (-1.21%)
TOPIX先物 2948.0 -32.5 (-1.09%)
日経225先物(9月限)は前日比510円安の4万1360円で取引を終了。寄り付きは4万1650円と、シカゴ日経平均先物清算値(4万1605円)にサヤ寄せする形で、売りが先行した。4万1740円まで下げ幅を縮めた後は、4万1620円~4万1740円辺りで保ち合いを継続。前場終盤に4万1570円まで売られる場面もみられた。後場に入ってもロング解消とみられる動きが続き、終盤にかけて4万1360円まで下げ幅を広げており、本日の安値で取引を終えた。
日経225先物は、過熱を冷ます形での調整であり、ボリンジャーバンドの+2σ(4万1360円)が支持線として意識されやすいだろう。もっとも、前日までの2日間で2000円超上昇したこともあり、+2σを明確に割り込んでくると、短期的には+1σ(4万0700円)辺りまでの調整は意識しておきたい。
また、24日の米国ではIBM<IBM>やハネウェル・インターナショナル<HON>が決算を受けて急落したが、国内でも昨夕決算を発表した信越化学工業<4063.T>[東証P]が急落しており、日経平均株価の重荷になっている。来週以降は国内で主要企業の決算発表が本格化することもあり、慎重な見通しがコンセンサスになるようだと、いったん利益を確定させる動きが強まりやすい点は注意しておきたい。
そのため、目先的には+1σ水準までの調整を意識しつつ、押し目狙いのロング対応に向かわせよう。8月1日の期限に向けた米国と主要な貿易相手国との関税交渉の行方が注目されるが、ひとまず欧州連合(EU)との間で合意となれば、市場へのインパクトも一巡してくる可能性があり、その後は決算を手掛かりとした物色にシフトしよう。
NT倍率は先物中心限月で14.02倍に低下した。一時14.08倍まで切り返す場面もあったが、その後は200日移動平均線(14.02倍)、25日線(14.03倍)辺りでの攻防となった。両線が支持線として機能する形であり、14.00倍接近では、その後のリバランスを想定したNTロングが入りやすいとみておきたい。ただし、主要企業の決算が本格化してくると、日経平均型の重荷になる可能性は意識しておく必要がありそうだ。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万6819枚、ソシエテジェネラル証券が1万3699枚、サスケハナ・ホンコンが3639枚、JPモルガン証券が2596枚、バークレイズ証券が2220枚、みずほ証券が1795枚、モルガンMUFG証券が1790枚、ゴールドマン証券が1548枚、野村証券が1484枚、SBI証券が1433枚だった。
TOPIX先物はソシエテジェネラル証券が1万9298枚、ABNクリアリン証券が1万7834枚、バークレイズ証券が4940枚、JPモルガン証券が3438枚、モルガンMUFG証券が3304枚、ゴールドマン証券が2948枚、ビーオブエー証券が1953枚、サスケハナ・ホンコンが756枚、シティグループ証券が747枚、日産証券が742枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、トランプ米大統領の突発的な発言に警戒しながら、6月米耐久財受注額を確認し、NY株式・債券市場の動向を注視していく展開となる。
ドル円は、上値の200日移動平均線149.64円、下値の日足一目均衡表・基準線145.93円や90日移動平均線145.37円という重要なポイントの狭間で、方向感のない値動きが続いている。トランプ関税という不確実性(uncertainty)がやや後退しつつあり、来週には、不確実性を理由に金融政策の変更を停止していた日銀金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。それらをこなし、8月のテーマを模索していく段階となりつつある。
フェドウオッチは、7月FOMCでは金利据え置き、年内の利下げは9月と12月と予想。日銀については、オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場では、年末の金融政策決定会合での利上げ観測が台頭しつつある。一部市場筋は、来週の日銀会合で追加利上げを示唆するとの見方を示した。また、日銀関係筋は「日米の関税合意によって日銀が年内に利上げできる環境が整う可能性」と言及。一方、新聞報道では来週の利上げは見送り、と錯綜しており、関連ヘッドラインには警戒しておきたい。
6月米耐久財受注額は前月比▲10.5%/輸送用機器を除く前月比+0.1%との予想。ただし、金融政策に影響を与える指標ではないため、サプライズの場合だけ債券市場に影響を与えるのかもしれない。
トランプ米大統領は昨日、FRB本部を訪問してパウエルFRB議長に改めて利下げを要請したが、パウエルFRB議長は首を横に振って拒絶したとのことである。なお大統領は「パウエル氏のFRB議長解任の意図はない」と発言したものの、次期FRB議長候補のウォラーFRB理事やウォーシュ元FRB理事は、指名された場合は受け入れる姿勢を示している。
今後のリスクシナリオは、トランプ米大統領が次期FRB議長を早期に指名して、パウエルFRB議長をレームダックにする場合となる。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、148.66円(7/21高値)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、145.93円(日足一目均衡表・基準線)
今晩は底堅い展開か。
昨日は決算が嫌気されたIBMやハネウェルなどの大幅安が重しとなりダウ平均が、316.38ドル安(-0.70%)と3日ぶりに反落した。一方、EUなどとの関税合意期待や、マグニフィセント・セブンの一角のアルファベットが上昇し、S&P500が0.07%高と小幅に4日続伸し、ナスダック総合は0.18%高と2日続伸。ともに取引時間中と終値の史上最高値を更新した。
アルファベットの第2四半期決算は売上高と利益が予想を上回り、クラウド事業の好調を理由に設備投資計画を引き上げたことでAI関連を中心としたハイテク株の好調持続見通しが維持された。S&P500は終値で今年13回目の最高値更新を記録し、そのうち4回は今週に記録。月曜日は終値で初めて6300ポイントを上回った。ナスダック総合も終値で今週3回の最高値更新を記録し、水曜には初めて21000ポイントを上回った。
週初来ではダウ平均が0.79%高と3週ぶりの反発ペースとなったほか、S&P500が1.06%高、ナスダック総合が0.78%高とともに2週続伸ペースとなった。
引け後の動きでは、トランプ米大統領が米連邦準備理事会(FRB)の建物の改修工事を視察し、パウエルFRB議長に直接利下げを要求した。しかし市場が懸念する議長の解任については、視察終了後に解任の予定はないとし、「解任は大きな動きであり、私はその必要性を感じていない。そして、彼は正しいことをするだろうと信じている」と述べた。
今晩は週末の取引となるが、関税交渉の進展期待やAIラリーの持続期待などを背景に底堅い展開か。ただ、S&P500とナスダック総合の史上最高値更新が続いていることや、FRBの独立性についての懸念の高まりなどが上値の圧迫要因となりそうだ。翌週には4-6月期国内総生産(GDP)速報値、米連邦公開市場委員会(FOMC)結果公表、7月雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率・平均賃金)、7月ISM製造業購買担当者景気指数(PMI)などの発表が予定され、重要イベントを控えた様子見姿勢も強まりそうだ。
今晩の米経済指標・イベントは6月耐久財受注など。企業決算は寄り前にはチャーター・コミュニケーション、センティーン、フィリプス66などが発表予定。
トランプ米大統領は24日、連邦準備制度(FRB)本部の改修工事費が当初の25億ドルから31億ドルに膨らんでいると指摘し、パウエルFRB議長とその場で論争を交わした。パウエル議長は「知らなかった」と否定し、費用増加の内訳として5年前に完了したマーティン棟改修も含まれていると説明。トランプ氏は利下げを強く望む一方、解任は不要と語った。今回の対立は、ホワイトハウスが改修問題を通じてFRB独立性への圧力を強めている象徴的な出来事と見られている。投資家はFRBの独立性維持を重視しており、市場への影響は限定的だった。
カナダ中央銀行(BOC)は30日の金融政策決定会合で、政策金利を2.75%の据え置きとする見通しが強まっていると一部通信社が伝えた。また、多くの専門家は、2025年末までに金利が2.25%以下へ引き下げられると予想している。直近6月4日の会合でも、経済の減速、インフレ圧力の持続、米国の関税をめぐる不透明感が理由で金利は据え置かれた。
日経平均株価は反落。直近の大幅上昇に対する反動が5日移動平均線(40809円 7/25)上で生じる格好となった。ただ、前日の上げで形成したマド埋め(41342円)には至らず、下落幅は限定的であった。
RSI(9日)は前日の88.4%→80.1%(7/25)に低下。前日に史上最高値(42224円、終値ベース)をつけた昨年7/11に形成したマド埋め(42102円)水準を意識して伸び悩んだ動きから反転下落につながっており、目先は上げ一服との見方ができる。ただ、5日移動平均線上を保っており、早々に一段高に向かう可能性も高い。
上値メドは、昨年7/11安値(42102円)、昨年7/11高値(42426円)、43000円、44000円などがある。下値メドは、6/30高値(40852円)、10日移動平均線(40231円 同)、心理的節目の4万円、25日移動平均線(39804円 同)、心理的節目の39000円、6/18高値(38885円)、心理的節目の38500円などがある。
WSJ紙によると、2025年の米新関税の負担は主にGMやNike、Hasbroなどの米企業が吸収しており、消費者への価格転嫁は抑制されているという。企業は市場シェアの喪失やトランプ大統領の批判を恐れて価格引き上げを慎重にしているものの、家具やおもちゃ、衣料品などでインフレ率はわずかに上昇し、6月のCPIは前年同月比2.7%となった。中国の供給者もわずかに値下げしたが、トランプ氏の主張ほどではない。中小企業は吸収と転嫁の両面で苦戦している。こうした価格抑制は一時的な可能性が高く、今後価格上昇が遅れることでFRBの利下げ機会を生む可能性があるが、企業のコスト圧迫は続き、長期的には生産性向上やコスト削減が求められる。
(25日終値:26日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=147.67円(25日15時時点比△0.73円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=173.32円(△0.73円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1737ドル(▲0.0009ドル)
FTSE100種総合株価指数:9120.31(前営業日比▲18.06)
ドイツ株式指数(DAX):24217.50(▲78.43)
10年物英国債利回り:4.635%(△0.013%)
10年物独国債利回り:2.718%(△0.016%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月英小売売上高(自動車燃料含む)
(前月比) 0.9% ▲2.8%・改
(前年比) 1.7% ▲1.1%・改
6月英小売売上高(自動車燃料除く)
(前月比) 0.6% ▲2.9%・改
(前年比) 1.8% ▲1.2%・改
7月仏消費者信頼感指数
89 88
7月独Ifo企業景況感指数
88.6 88.4
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は底堅い動き。日銀関係者の話として「日米合意で日銀が年内に利上げできる環境が整う可能性」との報道が伝わると一時146.82円まで値を下げたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。「来週30-31日の日銀金融政策決定会合では追加利上げが見送られる公算が大きい」との一部報道も買い戻しを促し、20時30分前には一時147.94円と日通し高値を付けた。
ただ、22日の高値147.95円が目先レジスタンスとして働くと上昇は一服した。米10年債利回りが低下に転じたことも相場の重しとなり、そのあとは147円台後半でのもみ合いに終始した。
なお、トランプ米大統領は「日本は自国通貨を安くしたがっている」「中国と日本は、通貨安によって覇権を握ってきた」と述べたほか、「依然として強いドルを望んでいる」との見解を示したと伝わった。
・ユーロドルは上値が重かった。東京午後に一時1.1761ドルと日通し高値を付けたものの、前日の高値1.1789ドルが目先レジスタンスとして意識されると次第に弱含んだ。米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが出たほか、トランプ米大統領が「欧州連合(EU)との貿易合意は五分五分の可能性」と発言したことが嫌気されて一時1.1703ドルと日通し安値を付けた。
ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢となり1.1740ドル付近まで下げ渋った。米長期金利が低下に転じたことも相場を下支えした。
・ユーロ円は持ち直した。アジア時間に一時172.48円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。17時30分過ぎには173.61円と日通し高値を付けた。NYの取引時間帯に入ると、ドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、相場は大きな方向感が出なかった。
・ロンドン株式相場は7日ぶりに反落。前日に史上最高値を更新したあとだけに利益確定目的の売りが出た。週末を控えたポジション調整目的の売りも出た。リオ・ティントやグレンコアなど素材株が売られたほか、ボーダフォン・グループなど電気通信サービス株が値下がりした。
・フランクフルト株式相場は3日ぶりに反落。米国とEUの関税協議に関する新たな材料待ちの状況となる中、週末を控えたポジション調整目的の売りが出た。個別ではMTUエアロ・エンジンズ(1.94%安)やボノビア(1.86%安)、フレゼニウス・メディカル・ケア(1.70%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は下落した。前日の欧州中央銀行(ECB)定例理事会の結果とラガルドECB総裁の発言を受けて、「ECBが利下げを急いでいない」との見方が広がる中、独国債への売りが目立った。
一部報道は関係者筋の話しとして、「日米の関税合意によって日銀が年内に利上げできる環境が整う可能性」「日銀がデータに基づき、早めに政策判断できる可能性が高まる」「日銀は日米関税合意は不確実性の低下につながるとみている」などと伝えた。
アトランタ連銀が発表した米国の国内総生産(GDP)成長率の現時点予測である4-6月期GDPNowは+2.4%と前回と同じだった。
一部通信社が報じたところによると、「トランプ米大統領と欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は27日にスコットランドで会談する」ようだ。
米格付け会社ムーディーズは25日、トルコの格付けを「B1」から「Ba3」に引き上げたと発表した。なお、見通しは「安定的」とした。
25日05:20 トランプ米大統領
「パウエルFRB議長に日本の貿易協定について説明した」
「FRBの建物改修については、始まってしまって残念だ」
「FRB建物の改修には非常に高額な作業が多い」
「金利についてはFRBの決定を見守る」
「EUとはうまくやっている」
「金利が低ければ、より良くなる」
「パウエル議長と金利について話し合った」
「パウエル議長との議論は非常に生産的」
「パウエル議長解任は不要、FRBは正しい対応を取る」
「パウエル氏に辞任の圧力はかけていない」
「次期FRB議長の候補者は念頭にある」
25日22:16
「8月1日までに大半の貿易協定が成立する予定。すべてまとまる可能性もある」
「中国とは合意の枠組みができている」
「昨日のやりとりで、パウエルFRB議長は利下げに前向きな印象を受けた」
「米ドルについて、決して弱い通貨を望むとは言わない」
「EUとの合意は五分五分の可能性」
「中国との貿易合意が間近に迫っている」
「依然として強いドルを望んでいる」
「日本は自国通貨を安くしたがっている」
「中国と日本は、通貨安によって覇権を握ってきた」
「ドル安は関税の価値を高める」
25日05:22 ベッセント米財務長官
「FRBは基本に立ち返るべきだ」
「FRBは経済に対して過大な影響力を持っている」
「FRBの影響範囲が大きくなりすぎた」
25日07:22 ウォーシュ元FRB理事
「大統領からFRB議長に指名されれば光栄」
25日18:36 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「関税は物価上昇圧力に繋がらない」
「ユーロ圏の成長リスクは下振れ方向」
「欧州中央銀行(ECB)の今後の金融政策はオープン」
「ユーロ高はディスインフレ要因」
25日18:45 カザークス・ラトビア中銀総裁
「追加利下げの必要性はない」
25日18:50 レーン・フィンランド中銀総裁
「景気への警戒感が高まりつつある」
「追加利下げの判断には少し時間が必要」
25日21:16 ナーゲル独連銀総裁
「不確実性の中では、慎重な金融スタンスが適切」
「景況感は、6月に比べるとやや改善している」
※時間は日本時間
(25日終値)
ドル・円相場:1ドル=147.69円(前営業日比△0.68円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=173.36円(△0.64円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1742ドル(▲0.0007ドル)
ダウ工業株30種平均:44901.92ドル(△208.01ドル)
ナスダック総合株価指数:21108.32(△50.36)
10年物米国債利回り:4.39%(横ばい)
WTI原油先物9月限:1バレル=65.16ドル(▲0.87ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3335.6ドル(▲37.9ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月米耐久財受注額
(前月比) ▲9.3% 16.5%・改
輸送用機器を除く
(前月比) 0.2% 0.6%・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は続伸。アジア市場では日銀関係者の話として「日米合意で日銀が年内に利上げできる環境が整う可能性」との報道が伝わり一時146.82円まで下落した。ただ、そのあとは「来週30-31日の日銀金融政策決定会合では追加利上げが見送られる公算が大きい」との観測報道などを受けて買い戻しが優勢に。20時30分前には一時147.94円と日通し高値を付けた。
石破茂首相の続投方針への反発が強まる中、「議決権がある自民党の両院議員総会の開催へ向けた必要な署名が集まった」と伝わった。日本の政局が流動化することへの警戒も円売りを誘ったようだ。
もっとも、22日の高値147.95円が目先レジスタンスとして働くと上昇は一服した。米10年債利回りが低下に転じたことも相場の重しとなり、そのあとは147円台半ばから後半でのもみ合いに終始した。
なお、トランプ米大統領は「日本は自国通貨を安くしたがっている」「中国と日本は、通貨安によって覇権を握ってきた」と述べたほか、ドル下落を心配しているかとの質問に「私は『強いドル』を好む人間だが、弱いドルははるかに多くの利益をもたらす」「足もとのドル安で関税の価値が高まる」などと答えた。
・ユーロドルは小幅ながら続落。米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが先行したほか、トランプ米大統領が「欧州連合(EU)との貿易合意は五分五分の可能性」と発言したことが嫌気されて一時1.1703ドルと日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。米長期金利が低下に転じたことなどが相場を下支えし、1.1747ドル付近まで下げ渋った。
・ユーロ円は4日続伸。アジア時間に一時172.48円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。欧州序盤には173.61円と日通し高値を付けた。もっとも、NYの取引時間帯に限ればドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、相場は大きな方向感が出なかった。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は反発。米国と貿易相手国との通商交渉が進展するとの期待から買いが優勢となった。なお、「トランプ米大統領とEUのフォンデアライエン欧州委員長は27日にスコットランドで会談する」と伝わった。市場では「トップ会談で合意に至る」との観測が広がった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は3日続伸し、史上最高値で取引を終えた。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数も過去最高値を更新した。
・米国債券相場で長期ゾーンは横ばい。米貿易交渉が進展するとの期待から売りが出たものの、週末を控えたポジション調整目的の買いが入ると持ち直した。
・原油先物相場は反落。米欧の貿易協議進展への期待感が高まるなか、需給緩和への思惑が相場の重しとなった。
・金先物相場は3日続落。米関税交渉を巡って市場の楽観ムードが広がるなか、安全資産とされる金は売りが活発化した。
◆豪ドル、日米金融政策で荒い値動きとなる可能性
◆豪ドル、4-6月期CPIに注目
◆ZAR、SARBの予想は意見割れる
予想レンジ
豪ドル円 94.00-99.00円
南ア・ランド円 8.20-8.60円
7月28日週の展望
豪ドルは荒い値動きに警戒が必要となりそうだ。来週は日米で金融政策の発表が予定されており、円やドル相場は大きく振らされる可能性がある。当初は無風と予想されていた30-31日の日銀金融政策決定会合だが、今週に日米関税交渉が締結したことで日銀が懸念していた不確実性が和らいだとして、市場では早期利上げ観測が再び浮上。実際に利上げに踏み切る可能性は高くないと思われるが、日米関税合意を受けた展望リポートの内容が注目されるだろう。追加利上げへの思惑が高まった際には豪ドル円も売りに押される可能性がありそうだ。
米国でも29-30日の日程で米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。市場予想は金利据え置きとなっているが、今回も据え置きを決めたとなれば、トランプ米大統領を始めとする米政権側からパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長やFRBメンバーへの圧力が一層強まることは想像に難くない。利下げ時期を巡るFRB内の意見の相違が拡大する可能性もあり、ドル相場を不安定にする要因として注意しておきたい。
また、30日には豪州でも4-6月期消費者物価指数(CPI)の発表が控えており、市場の注目を集めるだろう。豪準備銀行(RBA)理事会は前回(7-8日)の会合で予想外の金利据え置きを6対3で決定したが、ブロックRBA総裁は「意見の相違は方向性ではなくタイミングの問題だ」として、「四半期CPIが軟化すれば金融緩和への道筋が開けるだろう」との見方を示している。
来週は、四半期CPIなどの結果を見極めながら、RBAの今後の利下げスケジュールを探っていく必要がありそうだ。なお、金利先物市場では現時点で次回(8月11-12日)理事会での0.25%利下げをほぼ100%程度織り込んでいるほか、年内に計3-4回の利下げを織り込んだ状態にある。
南アフリカ・ランド(ZAR)は神経質な展開となりそうだ。来週は31日に南アフリカ準備銀行(SARB)の金融政策決定委員会(MPC)が開催されるが、現時点では0.25%の利下げか、金利据え置きかで市場予想も割れている。もっとも、SARBと財務省が検討中のインフレ目標引き下げによって、次の利下げは現状の緩和サイクルでおそらく最後になると予想されており、南アの実質金利は今後も高水準を維持するだろう。この実質金利の高さが現状のZAR買いを支えている要因ともなっているが、トランプ米政権の関税政策によって南ア経済がさらに低迷する可能性もあり、市場では追加緩和で景気を刺激する余地が乏しくなることはむしろ今後の懸念材料と警戒する声も聞かれている。
7月21日週の回顧
豪ドルは対ドルで0.66ドル台まで上値を伸ばし、年初来の高値を更新。一方、対円ではドル円が下落した影響で伸び悩む場面もあったが、96円台を中心とするレンジ内で下値の堅い動きとなった。ZARも対ドルでは買いが入り、年初来高値をうかがう展開に。対円では8.3円台の高値圏でもみ合いとなった。
◆ポンド、日米の金融政策を受けて動意付く可能性
◆ポンド、市場の注目は今後の英金融政策
◆加ドル、BOCは据え置き予想も声明文の内容に注目
予想レンジ
ポンド円 196.50-201.50円
加ドル円 106.00-110.00円
7月28日週の展望
来週は、英国発の材料が乏しいものの、ポンドは対ドルでは米連邦公開市場委員会(FOMC)、対円では日銀金融政策決定会合を経て動意付くのではないか。FOMCは29-30日、日銀会合は30-31日に開催され、どちらも政策金利の据え置きが市場予想。ただ、声明や定例記者会見で市場の金利見通しが変化する可能性もある。米国では、トランプ米大統領の金利引き下げ圧力をパウエル連邦準備理事会(FRB)議長がどのように往なすかがポイント。日銀については、日米関税交渉の決着で早期利上げに踏み切れる条件が整いつつあるとの見方が広がっている。これまで懸念してきた「不確実性」の薄まりについて、植田日銀総裁の見解が注目される。
また、英中銀(BOE)による次の金融政策公表は8月7日ではあるが、政策金利を決定するうえで重要な材料はほぼ出揃っている。短期金融市場は0.25%の利下げをほぼ織り込み済みであり、その後についても9月が据え置き、11月か12月のどちらかに追加利下げが予想されている。もっともベイリーBOE総裁が先週、「今後の金利引き下げ幅がより大きくなる可能性」を示唆したことを受け、一部の米系金融機関は「11月から来年3月までの4会合連続利下げ」との見通しに転じた。英雇用市場の悪化が中銀の想定よりも進んでいた場合との条件付きだが、ベイリー総裁のハト派的な見解を意識し、ポンドの上値が重くなる場面もありそうだ。
加ドルは、まず30日のカナダ中銀(BOC)の金融政策決定会合を見極めることになる。大方の市場予想は、現行2.75%の政策金利の据え置き。見込み通りであれば、3会合連続の据え置き決定となる。声明文に注目が集まっているが、前回6月会合では「カナダ経済が直面するリスクと不確実性に特に注意を払いながら、慎重に政策を進めていく」との見解。この「リスクと不確実性」の元となるトランプ関税を巡る米国との交渉については、今週、カーニー加首相は交渉が難航していることを認めた。8月1日の追加関税期限が迫るなか、首相は「悪い合意は受け入れない」との姿勢を示している。トランプ米大統領も簡単に歩み寄るとは思えず、BOCがより注意深く政策を遂行せざるを得ない状況が続くことになるだろう。
カナダの経済指標では、31日に5月国内総生産(GDP)が発表予定。前年比は前回から下振れるもプラス維持、前月比が小幅ながらプラス浮上が予想されている。市場が6割程度とする「年末までの追加利下げ織り込み度」に変化がでるかに注目したい。
7月21日週の回顧
参院選の結果を受けて週明けは円買いが先行。政治の不安定さを嫌気した円売りは出たものの、ポンド円は199円半ばから197円半ばまで、加ドル円も108円前半から107円前半まで円高に振れた。一巡後はそれぞれ、198円台、107円後半を中心に上下した。ポンドドルは1.34ドル前後から1.35ドル後半まで上昇するも、予想を下回った7月英サービス部門PMI速報値などを受けて伸び悩んだ。加ドルは、対ドルで一時1.35加ドル後半まで加ドル高に振れた。
◆ドル円、日米金融政策の結果次第で荒い値動き
◆石破首相の進退、米雇用統計など相次ぐ指標にも警戒
◆ユーロドル、米EU交渉期待やECBの利下げ観測後退で底堅い
予想レンジ
ドル円 144.00-149.50円
ユーロドル 1.1600-1.2000ドル
7月28日週の展望
ドル円は、日米の金融政策発表が予定されているため、荒い値動きが想定される。特に注目されるのが30-31日の日銀金融政策決定会合だろう。米国との関税交渉期限である8月1日を前に日銀が金融政策の変更には動かないとの見方が広がっていたが、22日に日米交渉が合意に至ったことで、市場では「来週の会合で利上げに動くのでないか」との思惑が浮上している。また、仮に据え置いたとしても、植田日銀総裁が会見で利上げについて前向きな姿勢を示した場合には円高での反応となりそうだ。なお、今会合では四半期に一度の展望レポートも公表される予定。一部報道では食品価格上振れなどを理由に物価見通しが上方修正される可能性が指摘されている。
29-30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)については、金融政策の現状維持が見込まれているが、注目はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見となるだろう。16日にはFRB議長の解任報道が相次ぎ、一時ドルが急落する場面があったが、米政府からの利下げ圧力が一段と高まるなかでFRB議長の見解に変化が見られるかどうかが焦点となる。
また、石破首相の進退問題にも注意したい。参院選の結果で党結成以来、初めて衆参両院で少数与党となり、自民党内でも石破首相の退陣を求める声が多く挙がっている。「石破首相退陣へ」との読売新聞の報道に対して石破首相は否定したが、来週以降も関連ニュースには気を付けたい。
なお、来週は日米金融政策の他にも、米国では29日に6月JOLTS求人件数、30日に7月ADP全米雇用報告や4-6月期GDP速報値、31日には6月米PCEコアデフレータ、8月1日には7月雇用統計や7月ISM製造業景気指数など重要指標が目白押しとなっている。
ユーロドルは、底堅い地合いとなりそうだ。交渉が難しいとされていた日米通商交渉が合意したことで欧州連合(EU)との交渉への期待感も高まっており、ユーロの押し上げ要因となるだろう。また、欧州中央銀行(ECB)の利下げ観測が後退していることも支え。ECBは24日に8会合ぶりに政策金利を据え置き、ラガルドECB総裁は会見で「リスクが今後数カ月の間にどう展開していくかを見守ることが適切な状況にある」「様子見に入ったと言えるかもしれない」と語った。また、ECB当局者の話では「9月会合でも再び据え置きが見込まれる」と伝わっている。
7月21日週の回顧
ドル円は軟調。参院選での大敗にも関わらず、石破首相が続投を表明したことで売りが優勢に。弱い米指標による米長期金利の低下や石破首相が退陣報道を否定したことも売りを促し、一時145.86円まで売り込まれた。その後はショートカバーから147円台まで値を戻すなど神経質な動きが続いている。ユーロドルは堅調。米EUの交渉進展期待を背景に週明けから週後半にかけて強い地合いを維持。一時1.1789ドルまで上げ幅を拡大した。
25日の日経平均は3日ぶり大幅反落。終値は370円安の41456円。
日経平均は3日ぶり反落。ただ、下に値幅は出たものの、前日の上げ分(655円高)を打ち消すほどの下落にはならなかった。プライムでは値上がり銘柄が結構多かったほか、グロース250指数やスタンダード指数はプラスで終えており、弱いなりに健闘したと言える。
来週はFOMC(7/29~30)と日銀金融政策決定会合(7/30~31)が注目イベントで、どちらも政策変更はないとの見方が濃厚。ただ、日本に関しては日米交渉の合意を受けて、日銀が利上げできる環境が整ってきたとの見方が浮上している。政局が不安定なこの時点での利上げはないと思われるが、会合後の植田総裁発言などから早期の利上げが意識された場合には、円高、金融株買いの動きが出てくると思われる。当面の物色がグロース優位となるかバリュー優位となるかを見定める点において、観測報道も含めて日銀からのメッセージに注意を払う必要がある。
【来週の見通し】
波乱含みか。FOMCと日銀金融政策決定会合があり、金曜8月1日には米国で7月雇用統計が発表される。長期金利や為替の振れ幅が大きくなる可能性がある中で、日米ともに注目度の高い企業の決算が多く出てくる。国内ではアドバンテストや東京エレクトロン、米国ではアップルなどが発表を予定しており、個別の値動きが指数を大きく刺激する展開も想定される。日米とも株価指数が高値圏にあり、週を通して楽観ムードの強い地合いが継続するとみるものの、大幅高もあれば大幅安もあるといったように、日々のボラティリティは大きくなるだろう。
【今週を振り返る】
大幅高となった。月曜が休場で立ち合いは4日。参院選では政権与党が大敗したが、事前の織り込みが進んでいたこともあり、三連休明け22日の日経平均は2桁の下落にとどまった。23日は1396円高と4桁の上昇。日米交渉が合意に至ったことが伝わり、これまで関税に対する警戒から物色の蚊帳の外に置かれていた自動車株が人気化した。この日に年初来高値を更新すると、24日も大幅高となり、一時4万2000円を上回った。急ピッチの上昇に対する反動で25日は大幅安となったものの、週間では大きく水準を切り上げた。TOPIXは史上最高値を更新した。日経平均は週間では約1637円の上昇となり、週足では2週連続で陽線を形成した。
【来週の予定】
国内では、2年国債入札、配当・優待権利付き最終売買日(7/29)、日銀金融政策決定会合(~7/31)(7/30)、6月商業動態統計、6月鉱工業生産指数、植田和男日銀総裁、定例記者会見、日銀、経済・物価情勢の展望を公表(7/31)、6月失業率、6月有効求人倍率、7月新車販売台数、7月軽自動車販売台数(8/1)などがある。
海外の経済指標の発表やイベントでは、米2年国債入札、米5年国債入札(7/28)、FOMC(~7/30)、米6月雇用動態調査(JOLTS)求人件数、米7月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)、米7年国債入札(7/29)、米7月ADP雇用統計、パウエルFRB議長会見(7/30)、米6月個人消費支出(PCEデフレーター)(7/31)、米7月雇用統計、米7月ISM製造業景況指数、米政府が関税発動を予定(8/1)などがある。
30日
○日銀金融政策決定会合(1日目)
31日
○08:50 ◎ 6月鉱工業生産速報
○08:50 ◇ 6月商業販売統計速報(小売業販売額)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○未定 ☆ 日銀金融政策決定会合(終了後、決定内容発表)
○未定 ◎ 経済・物価情勢の展望(7月、基本的見解)
○14:00 ◇ 6月新設住宅着工戸数
○14:00 ◇ 7月消費動向調査(消費者態度指数 一般世帯)
○15:30 ☆ 植田和男日銀総裁、定例記者会見
○19:00 ◇ 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
8月1日
○08:30 ◎ 6月完全失業率
○08:30 ◎ 6月有効求人倍率
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
28日
○16:30 ◎ エスクリバ・スペイン中銀総裁、講演
○19:30 ◎ 6月インド鉱工業生産
○21:00 ◇ 6月メキシコ失業率
○21:00 ◇ 6月メキシコ貿易収支
○29日00:30 ◎ 米財務省、2年債入札
○29日02:00 ◎ 米財務省、5年債入札
29日
○17:30 ◇ 6月英消費者信用残高
○17:30 ◇ 6月英マネーサプライM4
○21:30 ◇ 6月米卸売在庫
○22:00 ◇ 5月米住宅価格指数
○22:00 ◎ 5月米ケース・シラー住宅価格指数
○23:00 ◎ 6月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数
○23:00 ◎ 7月米消費者信頼感指数
○30日02:00 ◎ 米財務省、7年債入札
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
30日
○10:00 ◇ 7月ANZ企業信頼感
○10:30 ◎ 6月豪消費者物価指数(CPI)
○10:30 ◎ 4-6月期豪CPI
○14:30 ◎ 4-6月期仏国内総生産(GDP)速報値
○14:30 ◇ 6月仏消費支出
○15:00 ◎ 6月独小売売上高
○16:00 ◇ 7月スイスKOF景気先行指数
○16:00 ◇ 6月トルコ失業率
○17:00 ☆ 4-6月期独GDP速報値
○18:00 ◎ 7月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値)
○18:00 ◎ 7月ユーロ圏経済信頼感指数
○18:00 ☆ 4-6月期ユーロ圏GDP速報値
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○21:00 ◎ 4-6月期メキシコGDP速報値
○21:15 ☆ 7月ADP全米雇用報告
○21:30 ☆ 4-6月期米GDP速報値
◎ 米個人消費/コアPCE速報値
○22:45 ☆ カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表
○23:00 ◎ 6月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数)
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○31日01:00 ◎ 6月ロシア失業率
○31日03:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表
○31日03:30 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○31日06:30 ☆ ブラジル中銀、政策金利発表
○10:30 ◎ 7月中国製造業購買担当者景気指数(PMI)
○10:30 ◇ 4-6月期豪輸入物価指数
○10:30 ◎ 6月豪住宅建設許可件数
○10:30 ◎ 6月豪小売売上高
○15:00 ◇ 6月独輸入物価指数
○15:30 ◇ 6月スイス小売売上高
○15:45 ◇ 7月仏CPI速報値
○15:45 ◇ 6月仏PPI
○16:00 ◇ 6月トルコ貿易収支
○16:55 ◎ 7月独雇用統計
○17:30 ◎ 4-6月期香港GDP速報値
○18:00 ◎ 6月ユーロ圏失業率
○18:30 ◇ 6月南アフリカ卸売物価指数(PPI)
○20:30 ◇ 7月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:00 ◎ 6月南アフリカ貿易収支
○21:00 ◎ 7月独CPI速報値
○21:30 ☆ 5月カナダGDP
○21:30 ☆ 4-6月期米雇用コスト指数
○21:30 ◎ 6月米個人消費支出(PCE)
◎ 6月米個人所得
☆ 6月米PCEデフレーター
☆ 6月米PCEコアデフレーター
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数
○未定 ☆ 南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表
○22:45 ◎ 7月米シカゴ購買部協会景気指数
8月1日
○07:45 ◎ 6月ニュージーランド(NZ)住宅建設許可件数
○10:30 ◎ 4-6月期豪PPI
○15:00 ◇ 7月英ネーションワイド住宅価格指数
○16:00 ◇ 7月トルコ製造業PMI
○16:50 ◎ 7月仏製造業PMI改定値
○16:55 ◎ 7月独製造業PMI改定値
○17:00 ◎ 7月ユーロ圏製造業PMI改定値
○17:30 ◎ 7月英製造業PMI改定値
○18:00 ☆ 7月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値
○18:00 ☆ 7月ユーロ圏HICPコア速報値
○21:30 ☆ 7月米雇用統計
○22:45 ◎ 7月米製造業PMI改定値
○23:00 ☆ 7月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数
○23:00 ◇ 6月米建設支出
○23:00 ◎ 7月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値)
○24:00 ◇ 7月メキシコ製造業PMI
○スイス(建国記念日)、休場
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
今週の日経225先物は、トランプ米大統領が示す関税交渉の期限である8月1日に向けた米国と貿易相手国との通商交渉の行方が変動要因となろう。さらに、米雇用統計などの重要な経済指標や米連邦公開市場(FOMC)、日銀の金融政策決定会合などが予定されているほか、本格化する日米の企業決算を睨んでの相場展開になりそうだ。
先週の日経225先物は、日米関税交渉の合意が好感され、7月23日には1470円高と急伸し4万1000円台を回復。翌24日は米国と欧州連合(EU)の通商交渉が合意間近、中国との協議も順調に進んでいると伝えられ、一時4万2080円まで買われた。ボリンジャーバンドの+3σを突破してきたことで過熱感が警戒され、週末は利益確定に伴うロング解消の動きが優勢となったが、+2σ水準での底堅さがみられた。
25日の取引終了後のナイトセッションでは一時4万1270円まで下げる場面がみられ、終盤にかけてプラス圏を回復したものの、+2σ(4万1500円)を下回っている。過熱を冷ます調整との見方ではあるが、短期的には+1σ(4万0700円)までの調整は意識しておきたい。一方で、早い段階で+2σを上回ってくるようだと、過熱感を警戒しつつも+3σ(4万2290円)とのレンジでの推移が見込まれる。
米国とEUの関税交渉については、トランプ大統領とフォンデアライエン欧州委員長が27日にスコットランドで会談すると報じられている。トランプ大統領は合意の可能性は五分五分と述べており、合意できなければショートが強まる可能性がある。また、先週の合意間近との報道である程度は織り込みが進んでいるとみられ、合意となってもインパクトは限られそうだ。
先週は23日の急騰局面でレバレッジ型ETFに絡んだヘッジ対応のロングが膨れた。大きな変動局面では、今後もヘッジ対応の動きが強まるとみられるため、上下いずれにもバイアスが強まりやすいと考えておきたい。
また、米国で決算発表が本格化しているが、先週はIBM<IBM>やハネウェル・インターナショナル<HON>、インテル<INTC>が急落した。国内では2026年3月期の業績見通しが市場予想に届かなかった信越化学工業 <4063.T> [東証P]が急落し、日経平均株価の重荷になっていた。今後、国内でも決算発表が本格化するが、予想を下回る慎重な見通しが相次ぐようだと、利食いに伴うロング解消の動きが強まりやすいだろう。
米国では今週はプロクター・アンド・ギャンブル<PG>、ラム・リサーチ<LRCX>、メタ・プラットフォームズ<META>、マイクロソフト<MSFT>、クアルコム<QCOM>、アップル<AAPL>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>などの決算発表が予定されている。米経済指標では6月の個人消費支出(PCE)や7月の雇用統計、7月のISM製造業景気指数など重要な統計が相次いで発表される。
25日の米VIX指数は14.93(24日は15.39)に低下した。週間(18日は16.41)でも下落となった。先週は22日に17.48まで切り上がる場面がみられたが、下向きで推移し抵抗線として機能している25日移動平均線が抵抗線として機能していた。2月中旬以来の15.00を割り込んできており、リスク選好に向かわせやすい状況が続いている。
先週末のNT倍率は先物中心限月で14.02倍(24日は14.04倍)に低下した。週間(18日は14.03倍)でも小幅に下げている。日米関税交渉の合意を受けて自動車株が大きく買われるなかで、23日には一時13.95倍に低下する場面もみられた。その後は、200日線(16日:14.02倍)、25日線(14.03倍)辺りで底堅さがみられており、14.00倍に接近する局面では、その後のリバランスを想定したNTロングでのスプレッド狙いに向かわせそうだ。
7月第3週(14日-18日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では14週連続の買い越しであり、買い越し額は2411億円(7月第2週は9873億円の買い越し)だった。なお、現物は1875億円の買い越し(同4030億円の買い越し)と16週連続の買い越し。先物は536億円の買い越し(同5842億円の買い越し)と2週連続の買い越しだった。個人は現物と先物の合算で1170億円の売り越しと6週連続の売り越し。信託銀行は現物と先物の合算で2120億円の売り越しとなり、3週連続の売り越しだった。
主要スケジュールでは、28日に自民党両院議員懇談会、3回目の米中通商協議(~29日)、29日に米国7月コンファレンスボード消費者信頼感指数、30日に米国7月ADP雇用統計、米国4-6月期GDP、FOMC(米連邦公開市場委員会)終了後に政策金利、パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長記者会見、31日に日銀金融政策決定会合終了後に政策金利、植田和男日銀総裁が記者会見、6月鉱工業生産、中国7月製造業PMI、米国6月個人所得、米国6月個人消費支出、8月1日に6月完全失業率、米国が日本に15%の相互関税発動見通し、臨時国会招集、米国7月雇用統計、米国7月ISM製造業景気指数などが予定されている。
25日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、「来週30-31日の日銀金融政策決定会合では追加利上げが見送られる公算が大きい」との観測報道を受けて一時147.94円まで上昇した。ユーロドルは米長期金利の上昇やトランプ米大統領が「欧州連合(EU)との貿易合意は五分五分の可能性」と発言したことで1.1703ドルまで下落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、週内に日米金融政策決定会合の開催や米7月雇用統計の発表を控えていることで動きづらい展開が予想される中、引き続きトランプ米大統領による突発的な発言には警戒しておきたい。
ドル円相場の道標ともいえるシカゴIMM筋の円のネット買いポジションは、4月29日時点の過去最大規模の179212枚から、直近7月22日時点では106645枚まで減少している。7月20日に投開票が行われて自民・公明の連立与党の敗北が判明した後、そして23日午前中に日米関税合意が発表される前のポジションとなっているが、ポジションを手仕舞う目安は200日移動平均線の149円台後半だと思われるため、夏休み前の投機筋の動向には警戒しておきたい。
ちなみに、昨年7月2日時点では、過去最大規模の184223枚の円のネット売りポジションに膨れ上がっていたが、11日と12日の本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入、31日の日銀金融政策決定会合での利上げと植田日銀総裁のタカ派発言、パウエルFRB議長のハト派発言などで、8月6日時点では11354枚の売り持ちに減少し、13日には23104枚の買いポジションに転換していた。
今週は、28-29日の米中通商協議、29-30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)、30-31日の日銀金融政策決定会合、8月1日の米7月雇用統計の発表などのイベントを見極めていくことになる。米中通商協議に関しては、中国がロシアから原油を輸入していることで第2次関税への警戒感が高まる中、8月12日の関税停止期限が3カ月延長されるとの報道もあるため、関連報道に注目していきたい。
今週のFOMCや日銀金融政策決定会合では政策金利の据え置きが予想されているものの、米国と日本及び欧州連合(EU)との関税合意を受けて、据え置き理由となっていた不確実性がやや後退していることで予断を許さない状況となりつつある。
日銀金融政策決定会合に関しては、先週末に日銀筋の話として、「日米の関税合意によって日銀が年内に利上げできる環境が整う可能性」、新聞報道では、「7月会合では追加利上げが見送られる公算が大きい」などと伝えられており、今後もリーク報道には警戒しておきたい。
また、先週、ジョンソン米下院議長は、民主党と一部の共和党議員からエプスタイン関連のファイルを30日以内に公開する採決を強制するよう圧力が高まったことで、予定より早く夏休み休会を宣言したため、米下院は約5週間の夏休み入りした。
トランプ米大統領の再選の原動力となった熱烈な支持基盤であるMAGA(アメリカを再び偉大に)派は、公約であった永遠の戦争終結やエプスタイン関連のファイルの公表に関して裏切られたため離反しつつある。トランプ米大統領も「愚かな人々」と呼び、「もう彼らの支持はいらない」と対決姿勢を示している。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙は、17日に、故ジェフリー・エプスタイン元被告に宛てた2003年の下品な私信にトランプ大統領の名前があったと報じ、23日には、ボンディ米司法長官が5月にトランプ大統領に対し、エプスタイン・ファイルにトランプ氏の名前があったと伝えていた、と報じており、今後も関連ヘッドラインには警戒しておきたい。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 41410 +50 (+0.12%)
TOPIX先物 2946.0 -2.0 (-0.06%)
シカゴ日経平均先物 41370 +10
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
25日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。米国と貿易相手国との通商交渉の進展期待から買いが優勢となった。ここ最近の経済指標が、トランプ関税は懸念していたほど米経済を下押ししていないとの見方に向かわせていることも買いを誘った。
S&P500業種別指数は自動車・同部品、耐久消費財・アパレル、素材が上昇した一方で、エネルギー、電気通信サービス、メディアが小幅に下落。NYダウ構成銘柄では、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、マクドナルド<MCD>、スリーエム<MMM>、ナイキ<NKE>、アメリカン・エキスプレス<AXP>が買われた。半面、ジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ>、アムジェン<AMGN>、シェブロン<CVX>、ウォルト・ディズニー<DIS>、トラベラーズ<TRV>が軟調。
シカゴ日経平均先物清算値は大阪比10円高の4万1605円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比20円安の4万1340円で始まった。4万1470円まで買われた後に軟化し、米国市場の取引開始後には4万1270円まで買われる場面もみられた。売り一巡後は終盤にかけて4万1350円~4万1410円辺りの狭いレンジで推移し、4万1410円でナイトセッションの取引を終えた。
なお、トランプ米大統領は、欧州連合(EU)との貿易交渉で合意したと発表した。8月1日の関税の発動期限を前に、最大の貿易相手との貿易戦争を回避した。自動車を含む欧州製品に対して15%の基本関税を設定すると述べたほか、EUは米国から7500億ドル相当のエネルギー製品を購入するほか、6000億ドルを米国に投資することで合意したと報じられている。
この発表を受けて本日の東京市場は、先物主導で買いが先行するとみられる。朝方はロングが集中すると考えられ、ギャップアップから始まることになりそうだ。先週にEUと合意間近と伝えられていたこともあり、ある程度は織り込みが進んでいるとみられ、インパクトは限られるようだと週明けの欧米市場の反応待ちになりそうである。
25日の取引終了後のナイトセッションでは終盤にかけてプラス圏を回復したものの、+2σ(4万1500円)を下回っている。寄り付きの時点で+2σを上回ってくる可能性があるため、過熱感を警戒しつつも+3σ(4万2290円)とのレンジでの推移が見込まれる。まずはチャート上で25日に残した陰線(4万1360-4万1860円)を埋めてくるかを見極めたい。
そのため、オプション権利行使価格の4万1500円から4万2250円のレンジを想定する。ただし、今週は米雇用統計などの重要な経済指標や米連邦公開市場(FOMC)、日銀の金融政策決定会合などが予定されているほか、本格化する日米の企業決算の影響を受けやすいと考えられる。4万2000円手前では強弱感が対立する可能性もありそうだ。
25日の米VIX指数は14.93(24日は15.39)に低下した。先週は22日に17.48まで切り上がる場面がみられたが、下向きで推移している25日移動平均線が抵抗線として機能していた。2月中旬以来の15.00を割り込んできたことで、リスク選好に向かわせやすい状況が続いている。
先週末のNT倍率は先物中心限月で14.02倍(24日は14.04倍)に低下した。日米関税交渉の合意を受けて自動車株が大きく買われるなかで、23日には一時13.95倍に低下する場面もみられた。その後は、200日線(16日:14.02倍)、25日線(14.03倍)辺りで底堅さがみられており、14.00倍に接近する局面では、その後のリバランスを想定したNTロングでのスプレッド狙いとなりそうだ。
東京市場は堅調か。先週末の米国株は上昇。ダウ平均は208ドル高の44901ドルで取引を終えた。関税交渉進展に対する期待が高まる中、企業決算も概ね良好で、楽観ムードの強い地合いが続いた。ドル円は足元147円70銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが10円高の41370円、ドル建てが70円高の41430円で取引を終えた。
27日に米国とEUが15%の関税率で合意したことが伝わっており、米国が事前に通告していた30%の関税は回避されることとなった。日本株は米国株の上昇や米EU間の交渉合意を好感した買いが入ると予想する。日米の中銀イベントを先に控えているだけに高くなれば利益確定売りは出やすいが、萎めば上昇に乗り遅れた投資家からの買いが入りやすい。場中は米国同様に楽観的な見方が支配的となることで、しっかりとした動きが続くだろう。日経平均の予想レンジは41350-41900円。
先週末のドル円は、東京時間午後になって日銀関係筋の話として「日米合意で年内に利上げ出来る環境が整う可能性」が伝わると146.82円まで値を下げる場面もみられましたが、その後は朝日新聞が「30‐31日の日銀会合では金利据置きの公算」と伝えると買戻される展開に。米長期金利の上昇や6月米耐久財受注額が予想を上回る強い数字となったことも買戻しを後押しすると一時147.94円まで値を上げました。22日の高値147.95円が戻りの目処として意識されたこともあり、NY時間午後に147.53円まで下押したものの、引けにかけては様子見となって週末の取引を終えています。
週明けのアジア市場では、EUと米国が関税交渉で合意したことが判明しましたが、反応も極めて限定的。小高く寄付いた日経平均が戻り売りに押されるにつれて147.52円と一目転換線に面合わせする場面もみられましたが、その後は本邦実需の買いなどが断続的に観測されるなか22日の高値147.95円を上抜けて一時148.02円まで買戻されているといったところです。
いずれにしても、ドル円は、下押しをしっかりと拾う動きが目立っていますが、参院選後の米系短期筋のポジション調整が終わり、大元の円ロングポジションの巻き戻しの動きが続いているわけで、先週末の上下に振らされた日銀ネタなどは、ある意味、「当然のことが伝えられているだけで、材料視することのほうが不思議な、どうでもいい話」だったはず。
それよりも、目先は自民党内の政局。つまり、石破政権の退陣がもたらす財政拡大政策への方針転換といった、参院選前の期待感への回帰がポイント。円ロングの巻き戻しを加速させるかどうかの判断材料として、市場の視線は本日15時30分からの政局に向けられています。
日経225先物は11時30分時点、前日比240円安の4万1120円(-0.58%)前後で推移。寄り付きは4万1600円と、シカゴ日経平均先物清算値(4万1370円)大きく上回る形で、買いが先行して始まった。ただし、4万1610円を高値に軟化し、現物の寄り付き直後には4万1070円まで急落する場面もみられた。売り一巡後に4万1330円まで下げ幅を縮めたものの、終盤にかけて再び4万1100円辺りまで下げ幅を広げてきた。
日経225先物は、朝方に米国と欧州連合(EU)が貿易交渉で合意したと伝えられるなかで、買いが先行して始まった。ただし、ロングの勢いは限られ、現物の寄り付き直後にはショートの動きにより下へのバイアスが強まっている。アドバンテスト<6857.T>[東証P]が一時10%を超える急落で日経平均株価を下押しており、ショートを誘う形になった。アドバンテストと東京エレクトロン<8035.T>[東証P]の2社で日経平均株価を300円超押し下げており、リバウンド狙いのロングは入れにくいだろう。
NT倍率は先物中心限月で13.99倍に低下した。一時14.06倍に上昇する場面もあったが、その後は25日移動平均線(14.04倍)、200日線(14.02倍)を割り込み、13.96倍まで下げた。ボリンジャーバンドの-1σ(13.98倍)を下回ったことで下げ渋る動きをみせているが、指数インパクトの大きい半導体株にらみの展開になりそうだ。
「ユーロの上昇が予想以上にインフレを押し下げる可能性がある」(ラガルドECB総裁)
2025年7月24日に開催された欧州中央銀行(ECB)理事会では、8会合ぶりに利下げを見送った。欧州連合(EU)とトランプ米政権の関税交渉が続き、不確実性が根強い中、様子見姿勢を取った。ECBはこれまで金利の中立水準を1.75-2.25%としてきており、現状は中間点2.00%に到達している。短期金融市場では、秋の利下げ予想は80%に低下した。
1.欧州中央銀行(ECB)の金融政策正常化(※中銀預金金利)
■2025年7月24日: 2.00%(据え置き)
・限界貸出金利 :2.40%(2.40%)
・リファイナンス金利:2.15%(2.15%)
・中銀預金金利 :2.00%(2.00%)
■2025年6月5日: 2.00%(第8次利下げ)▲0.25%
■2025年4月17日:2.25%(第7次利下げ)▲0.25%
■2025年3月6日:2.50%(第6次利下げ)▲0.25%
■2025年1月30日:2.75%(第5次利下げ)▲0.25%
■2024年12月12日:3.00%(第4次利下げ)▲0.25%
■2024年10月17日:3.25%(第3次利下げ)▲0.25%
■2024年9月12日:3.50%(第2次利下げ)▲0.25%
■2024年7月18日:3.75%(据え置き)
■2024年6月6日:3.75%(第1次利下げ)▲0.25%
2.声明文
「厳しい世界環境の中で経済は、理事会が過去に実施した利下げを一部反映し、全体として底堅さを見せている。貿易摩擦のため環境は依然として極めて不透明だ」
「インフレ見通しと関連するリスク評価に基づき、会合ごとに決定する」
「物価については、入手した情報はインフレ見通しに関する理事会の前回の評価とほぼ一致している」
「域内の物価上昇圧力は引き続き緩和しており、賃金の伸びは緩やかになっている」
「今後の経済・金融データ、基調的インフレ動向、金融政策の伝達力を考慮したインフレ見通しの評価に基づいて金利を決定する」
3.ラガルドECB総裁
■様子見姿勢
「われわれは金利を据え置き、足元は様子見の状況にあると言える。今後の金融政策決定はデータに基づき、会合ごとに決定される。特定の道筋によって事前に決められるものではない。不確実性がどれだけ早く解消されるかは、現状ではまだ分からない」
■インフレ目標
「重要なのは中期目標であり、われわれはこの目標を再確認しており、目標水準は間違いなく2%だ。インフレ期待は短期的にも長期的にも、2%近辺でしっかりと抑制されている」
■インフレ見通し
「世界的な貿易政策環境の不安定さにより、インフレ見通しは例年よりも不透明となっている。ユーロの上昇が予想以上にインフレを押し下げる可能性がある。関税引き上げによって、ユーロ圏の輸出への需要が減退し、過剰生産能力を抱える国が輸出先をユーロ圏にシフトさせれば、インフレはさらに低下する可能性もある」
■基調インフレ
「基調的なインフレ指標は総じてわれわれの中期目標である2%と一致している」
本日のロンドン為替市場でユーロ相場は、欧州連合(EU)と米国が貿易協定を合意したことに対する金融市場全体の反応を見極めながらの取引となりそうだ。週明けオセアニア市場ではユーロ買いが先行するも、対ドルでは1.17ドル後半で伸び悩んだ。ユーロ円は昨年7月以来の174円手前で上昇が一服するも、下押しは限られている。
27日の米・EU首脳会談では、トランプ米大統領とフォンデアライエン欧州委員長が貿易合意を正式に発表。米国は自動車を含む大半のEU輸入品の関税を30%から15%へと引き下げる。一方で、EUは7500億ドル規模の米国産エネルギー輸入を約束し、6000億ドル超の対米直接投資を実施する見通しだ。
今回の合意は、日本型の関税協定に類似する。ただしEUのGDP規模は日本の4倍強とされ、5500億ドルの日本の対米投資と比較するとEU側の負担は相対的に軽いとも考えられる。また、両者合わせて1兆1500億ドル(約170兆円)超の資金が米国経済にどれだけ実効性をもたらすかは不透明だ。
週末に締結された貿易合意について、米・EU間で認識の違いが複数みられる。フォンデアライエン欧州委員長は、15%の関税率は全てを包括し、鉄鉱・アルミニウムについても引き下げられると述べた。一方、トランプ米大統領は医薬品や金属は対象外との見解をしめしている。
見解の相違点が大きいとなれば、リスクセンチメントを抑制する要因にもなり得る。そうなると、ユーロが対ドルや対円で積極的に上値を試すことも難しくなるだろう。いずれにせよ、貿易合意に関する続報には今後も注意が必要だ。
想定レンジ
・ユーロドル、1日高値1.1829ドル
・ユーロ円、18日-22日下落幅の上方倍返し174.85円
想定レンジ下限
・ユーロドル、日足一目均衡表・転換線1.1673ドル
・ユーロ円、25日安値172.48円
ドル円:1ドル=147.87円(前営業日NY終値比△0.18円)
ユーロ円:1ユーロ=173.60円(△0.24円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1740ドル(▲0.0002ドル)
日経平均株価:40998.27円(前営業日比▲457.96円)
東証株価指数(TOPIX):2930.73(▲21.13)
債券先物9月物:137.81円(△0.38円)
新発10年物国債利回り:1.560%(▲0.040%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ユーロドルは上値が重い。米国と欧州連合(EU)が27日、自動車を含む大半のEU輸出品に対する関税率を15%とする貿易協定で合意したことを好感して週明け早朝から買いが強まり、一時1.1779ドルまで上昇した。ただ、一巡後は材料出尽くしということもあり利食い売りが優勢に。市場では「15%とはいえ、今後の欧州経済への懸念材料であることは確か」との見方もあり、欧州勢が参入し始めると1.1711ドルまで下げ足を速めた。
・ドル円は下値が堅い。東京仲値にかけて売りが散見され、一時147.52円まで下げたが下値は限られた。その後は対ユーロ主導でドルの買戻しが強まった影響もあり、15時過ぎには148.17円まで切り返した。
・ユーロ円は買い先行後はもみ合い。米EU合意を受けて早朝取引で一時173.97円まで上昇した後はユーロドルが伸び悩んだ影響から上値が重くなった。一方でドル円は底堅く推移したため下値も限定的だった。
・日経平均株価は続落。小高く始まるも短期的な過熱感から一巡後は利益確定売りが活発化した。政局不安や国内企業決算への警戒感も重しとなった。
・債券先物相場は4営業日ぶりに反発。前週末の夜間取引などで上昇した流れを引き継いでスタート。一時137.92円まで上値を伸ばすなど、終始堅調に推移した。
大阪9月限
日経225先物 40910 -450 (-1.08%)
TOPIX先物 2927.0 -21.0 (-0.71%)
日経225先物(9月限)は前日比450円安の4万0910円で取引を終了。寄り付きは4万1600円と、シカゴ日経平均先物清算値(4万1370円)大きく上回る形で、買いが先行して始まった。ただし、4万1610円を高値に軟化し、現物の寄り付き直後には4万1070円まで急落する場面もみられた。売り一巡後に4万1330円まで戻したものの、前場終盤にかけて再び4万1100円辺りまで下げ幅を広げた。
後場の取引開始後に朝方に付けた安値を割り込み、4万1010円まで売られた。後場終盤にかけては4万1010円~4万1110円辺りでの保ち合いを継続。引け間際にレンジを下抜けており、4万0910円と本日の安値で終えた。
日経225先物は、朝方に米国と欧州連合(EU)が貿易交渉で合意したと伝えられるなかで、買いが先行して始まった。ただし、ロングの勢いは限られ、現物の寄り付き直後にはショートの動きにより下へのバイアスが強まった。アドバンテスト<6857.T>[東証P]が一時10%を超える急落で日経平均株価を下押しており、ショートを誘う形になった。
アドバンテストと東京エレクトロン<8035.T>[東証P]、ソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]の3社で日経平均株価を440円ほど押し下げており、リバウンド狙いのロングは入れにくい状況だっただろう。
また、自民党はきょう午後に党所属の国会議員が参加する「両院議員懇談会」を開く。「両院議員総会」を開催するための署名も集まったと伝えられるなか、政治空白への警戒などもロング解消に向かわせた可能性がありそうだ。
日経225先物はボリンジャーバンドの+2σ(4万1410円)を上回って始まったが、あっさりと割り込み、結局は引けにかけて下落幅を広げ、+1σ(4万0650円)に接近する形になった。ナイトセッションで+1σは4万0710円辺りに上昇しており、同水準が支持線として機能するかを見極めることになるだろう。+1σを割り込んでくると、中心値となる25日移動平均線(3万9980円)が射程に入ってくる。
さらに中心値に接近するようだと、日米の関税交渉の合意を受けて急伸した部分を帳消しにするとの警戒も高まりやすく、+1σ水準で踏ん張りたいところであろう。
NT倍率は先物中心限月で13.97倍に低下した。14.05倍に上昇する場面もあったが、その後は25日線(14.03倍)、200日線(14.02倍)を割り込み、ボリンジャーバンドの-1σ(13.98倍)を下回ってきた。バンドは収れんしており、短期的には-2σ(13.92倍)、-3σ(13.86倍)辺りが意識される可能性もありそうだ。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万8745枚、ソシエテジェネラル証券が1万4304枚、サスケハナ・ホンコンが3858枚、JPモルガン証券が3052枚、バークレイズ証券が2578枚、ゴールドマン証券が2131枚、モルガンMUFG証券が1609枚、SBI証券が1502枚、みずほ証券が1464枚、日産証券が1066枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が1万9669枚、ソシエテジェネラル証券が1万9231枚、バークレイズ証券が6515枚、JPモルガン証券が5247枚、ゴールドマン証券が3831枚、モルガンMUFG証券が3140枚、ビーオブエー証券が1635枚、みずほ証券が1321枚、ドイツ証券が1163枚、UBS証券が841枚だった。
本日のNY時間では、明日までスウェーデンで行われる米中閣僚級貿易協議についての発言や報道で上下すると予想する。もっとも、今週は30日に米連邦公開市場委員(FOMC)、31日に日銀の両中銀が政策金利を発表し、1日には市場注目の米雇用統計の発表と米国の関税延期期間が終了することなど、大きなイベントが控えていることで値動きが限られる可能性がありそうだ。
米中閣僚級貿易協議については、両国とも現在8月12日に期限を迎える貿易休戦の延長で合意するとの予想が多い。すでに、本日付の香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、双方の関係筋の話として「米国と中国は停戦をさらに3カ月延長する見込み」と報じている。
今回の協議については、先週行われた中国と欧州連合(EU)の首脳会談同様に、中国側が強気の姿勢を示すと予想されている。先週EU側は、貿易不均衡、ウクライナ戦争における中国のロシアへの継続的な支援、さらに最近の中国によるレアアースの供給網への締め付けまで、多くの問題に対する懸念を表明した。しかしながら、中国はほぼ未回答で会談を終えている。米国側もレアアースの供給問題もあり、中国に対しての譲歩姿勢が予想される。逆に中国は強気に交渉に臨み、米国にフェンタニル関連の20%関税の撤廃を求めるとの報道もある。
なお、米国側はロシア産原油の購入を継続している中国に対して非難を繰り返し、今回もロシアへの制裁について議論されると一部では報じられている。しかしながら、5月の中露首脳会談で、習中国主席は「中国はロシアとともに両国と幅広い発展途上国の権利と利益を断固として守る」と発言し、プーチン露大統領は「ロシアと中国の関係は歴史上、最高レベルに達した」と述べるなど、中国がロシアへの制裁に加わることは考えられないだろう。米国側も多くは期待できないことで、ロシアに関しては話し合ったという表面的なもので終わる可能性が高そうだ。
なお、本日は米国から市場を動意づけるような経済指標の発表は予定されていないが、2年債と5年債の入札が予定されていることで、入札結果による債券市場の動きが為替にも影響を及ぼすこともありそうだ。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、21日高値148.66円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値は、2日安値147.52円。
今週のNY市場は金融政策、経済指標、決算発表に注目。先週はダウ平均が559.73ドル高(+1.26%)と3週ぶりに反発し、S&P500が1.46%高、ナスダック総合が1.02%高とともに2週間続伸となった。ソフトバンクとオープンAIによる大規模AIプロジェクトの進捗が芳しくないとの報道を受けてエヌビディアなどのAI関連株を中心にハイテク株が下落する場面もあったが、発表が本格化した第2四半期決算が総じて良好な結果となったことに加え、米国と日本が関税合意に至り、EUなどとの合意期待が高まったことでセンチメントが改善した。第2四半期決算は、先週はS&P500採用の109銘柄が発表を終え、そのうち90銘柄で調整後一株当たり利益が市場予想を上回った。予想を上回る決算を受けてウエスト・ファーマシューティカル、ラム・ウェストン、IQVIAが週間で20%超上昇し、TEコネクテビティ、ベーカー・ヒューズ、サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック、デッカーズ・アウトドア、ニューモント、GEベルノバ、D.R.ホートンなども2桁高となったほか、時価総額上位のアルファベットも4%超上昇し、相場をけん引した。週末の動きでは米国とEUが15%関税で合意した。
今週はEUとの関税合意を受けてその他の国との貿易協議の進展期待が引き続き相場の支援となることが期待されるが、利下げを巡り29-30日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)や、6月個人消費支出 (PCE) 価格指数、7月雇用統計などの経済指標、発表のピークを迎える第2四半期決算が焦点となりそうだ。FOMCでは政策金利の据え置きがほぼ確実視されているものの、トランプ米大統領はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長に繰り返し利下げを要求しており、会合の結果や声明文、パウエルFRB議長の記者会見が注目される。経済指標ではFRBがインフレ指標として注目する個人消費支出 (PCE) 価格指数が木曜日に発表されるほか、金曜日の7月雇用統計では非農業部門雇用者数・失業率・平均賃金などが注目される。決算発表はS&P500採用の160銘柄強が発表予定で、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、アップル、アマゾン・ドット・コムなどのマグニフィセント・セブンのほか、ボーイング、メルク、プロクター・アンド・ギャンブル、ビザ、クアルコムなどが発表予定で、決算結果やガイダンスに要注目となる。
今晩の米経済指標・イベントは7月ダラス連銀製造業景況指数など。企業決算は寄り前にライブ・ネーション、リビティ、引け後にウエイスト・マネジメント、ウェルタワー、ニューコア、ユニバーサル・ヘルスなどが発表予定。
独政府は2026年予算案で、インフラと防衛強化のため過去最大の1267億ユーロ(約15.8兆円)の投資を計画していると一部通信社が伝えた。インフラ・防衛向け特別基金や借入制限の例外措置により、2026年の新規借入は1743億ユーロに拡大。経済の停滞脱却を狙い、2029年までの中期財政計画も合わせて閣議決定される見通し。予算審議は9月末から議会で始まる。
SMBC日興証券では、7月の東京都区部コアCPI(消費者物価指数)が前年同月比+2.9%となった結果を受けて、8月22日公表予定の7月の全国コアCPIを同+3.1%と予想している。CPI米類については、長らく続いた価格上昇が止まってきたとのこと。食料価格の高止まりは当面続く見込みであるものの、それ以外の財・サービスの鈍化、エネルギーの減速を踏まえれば、コアCPIは今年5月にピークをつけ、鈍化基調に転じたと見てよいとSMBC日興では捉えている。
米国が対中技術輸出の規制措置を一時停止したもようだ。『AAストックス』によると、外電が28日、関係者の話として報じた。中国との貿易協議への影響を避ける狙いがあるとみられ、トランプ米大統領と習近平国家主席の会談実現に向けた環境整備の一環とも報じられている。
報道によると、米商務省の現職や元幹部は、傘下の産業安全保障局(BIS)がここ数カ月、対中強硬策を回避するよう指示を受けていると話した。
米中両国は28日からスウェーデン・ストックホルムで第3回の閣僚級経済貿易協議を開催する。
米財務省によると、2年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが3.920%、応札倍率(カバー)が2.62倍となった。
日経平均株価は大幅続落。買い先行ながらも売りに押され、7/24の上げで形成したマドの下限(41342円)を埋め戻す動きとなった。連続陰線を形成し、5日移動平均線(41045円 7/28)を若干下回って終えた。
RSI(9日)は前日の80.1%→72.1%(7/28)に低下。史上最高値(42224円、終値ベース)をつけた昨年7/11に形成したマド埋め(42102円)水準を意識していったん調整が入る格好となっているが、5日移動平均線付近までの微調整の範ちゅうにあり、早々に一段高に向かう可能性は依然として高い。
上値メドは、7/24高値(42065円)、昨年7/11安値(42102円)、昨年7/11高値(42426円)、43000円、44000円などがある。下値メドは、6/30高値(40852円)、10日移動平均線(40374円 同)、心理的節目の4万円、25日移動平均線(39908円 同)、7/22安値(39586円)、心理的節目の39000円、6/18高値(38885円)などがある。
米財務省によると、5年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが3.983%、応札倍率(カバー)が2.31倍となった。
(28日終値:29日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=148.52円(28日15時時点比△0.65円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=172.17円(▲1.43円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1592ドル(▲0.0148ドル)
FTSE100種総合株価指数:9081.44(前営業日比▲38.87)
ドイツ株式指数(DAX):23970.36(▲247.14)
10年物英国債利回り:4.647%(△0.012%)
10年物独国債利回り:2.689%(▲0.029%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ユーロドルは頭が重かった。欧州連合(EU)と米国が関税率15%で合意したことを受けて、週明け早朝取引では一時1.1779ドルまで値を上げたものの、欧州市場に入ると全般ユーロ売りが目立った。市場では欧米の貿易合意について「詳細な内容に不透明な部分が残る」「米国のニーズを満たすために再び条件が変更されないかどうかが不透明」との指摘があった。NY市場に入ると、米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いも出て、3時前に一時1.1590ドルと日通し安値を付けた。
・ドル円は底堅い動き。アジア時間に一時147.52円と日通し安値を付けたものの、同水準に位置する一目均衡表転換線がサポートとして働くと買い戻しが優勢に。市場では「参院選後の米系短期筋のポジション調整が終わり、大元の円ロングポジションの巻き戻しの動きが続いている」との声が聞かれた。NY市場では、米長期金利の上昇に伴う円売り・ドル買いが出て、3時過ぎに一時148.55円と日通し高値を更新した。
・ユーロ円はユーロドルと似た動き。週明け早朝取引では173.97円まで値を上げたものの、その後失速。NY午後に入ると一時172.07円と本日安値を更新した。
・ロンドン株式相場は続落。EUと米国が関税率15%で合意したことを受けて、買いが先行したものの、買い一巡後は徐々に上値を切り下げた。BTグループやボーダフォン・グループなど電気通信サービス株が売られたほか、リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株が値下がりした。
・フランクフルト株式相場は続落。米国とEUが貿易交渉で合意したことを受けて買いが先行したものの、買い一巡後は利益確定や持ち高調整などを目的とした売りに押された。市場では米欧の貿易合意について「詳細な内容に不透明な部分が残る」との指摘もあった。
・欧州債券相場は英国債が下落した一方、独国債が上昇した。
28日の日経平均は大幅続落。終値は457円安の40998円。米国株高や米EU間の関税交渉合意などを受けて上昇して始まったものの、早々にマイナス転換。アドバンテスト<6857.T>など半導体株の下げが大きく、全体にもネガティブな影響が波及した。300円超下げたところでいったん切り返したが、戻し切れず売り直されて安値圏で前場を終了。後場も売りが止まらず下げ幅を400円超に広げ、終値で節目の41000円を割り込んだ。一方、新興銘柄は相対的にしっかりとした動きを見せており、グロース250は小幅ながらプラスで終えた。
東証プライムの売買代金は概算で4兆0500億円。業種別では輸送用機器、繊維、サービスなどが上昇した一方、銀行、情報・通信、電気機器などが下落した。通期見通しを引き上げたユーグレナ<2931.T>が、一時ストップ高となるなど急騰。半面、証券会社の投資判断引き下げが嫌気されたアドバンテストが9%安と派手に売られており、1銘柄で日経平均を約278円押し下げた。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり695/値下がり860。1Qが大幅な増益となったファナックが5%高。米中交渉の進展期待が高まったことで、安川電機に資金が向かった。ドル円が円安に振れたことから、ホンダ、マツダ、三菱自動車など自動車株が全般堅調。業績関連のリリースを材料に、伊勢化学工業やイーグル工業が急騰した。
一方、1Qが減益となったSCREENが9.7%安。アドバンテストの急落も嫌気されて、東京エレクトロンやディスコなど半導体株が売りに押された。ソフトバンクGが後場に崩れて4%近い下落。三菱UFJなど銀行株が弱く、ほくほくFGや七十七銀行など地銀株に下に値幅が出るものが散見された。東証から監理銘柄(審査中)に指定されたオルツがストップ安となった。
日経平均は大幅安。アドバンテストは6月中盤辺りから日本株の上昇を先導するような動きを見せていただけに、この銘柄が崩れてしまうと楽観ムードに水が差されてしまう。アドバンテストはあすの引け後に決算発表を予定しているだけに、あすも思惑が入り交じって振れ幅が大きくなる可能性がある。
米国ではあすからFOMCが開催される。今回は政策金利の変更はないとみられているが、直近でトランプ大統領が利下げを強く要求しており、結果を受けた大統領の発言がマーケットのかく乱材料となる可能性がある。そのため、発表前は上値追いに慎重となるだろう。日本では本日半導体株が弱かったため、あすは一時的に買い手不足に陥る展開も想定される。大崩れすることなく値を保ってほしいところで、節目の41000円や5日線(41045円、28日時点)を意識した動きが見られるかが注目される。
(28日終値)
ドル・円相場:1ドル=148.53円(前営業日比△0.84円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=172.15円(▲1.21円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1589ドル(▲0.0153ドル)
ダウ工業株30種平均:44837.56ドル(▲64.36ドル)
ナスダック総合株価指数:21178.59(△70.27)
10年物米国債利回り:4.41%(△0.02%)
WTI原油先物9月限:1バレル=66.71ドル(△1.55ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3311.2ドル(▲24.4ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ユーロドルは3日続落。米国と欧州連合(EU)が貿易交渉で合意したことを受けて、週明け早朝取引では一時1.1779ドルまで値を上げた。ただ、欧米市場に入ると全般ユーロ売りが優勢に。米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いも出て、3時過ぎには一時1.1585ドルと日通し安値を付けた。
なお、市場では欧米の貿易合意について「詳細な内容に不透明な部分が残る」「米国のニーズを満たすために再び条件が変更されないかどうかが不透明」との指摘があったほか、「前週に米国とEUが合意に近づいているとの報道が伝わって以降、マーケットの織り込みが一定程度進んでいたこともあり、本日はユーロ売りが出やすかった」との声が聞かれた。
・ドル円は3日続伸。米長期金利の上昇に伴う円売り・ドル買いが優勢になると、4時前に一時148.58円と日通し高値を更新した。市場では「投機筋の円ロング(ドル円のショート)ポジションの巻き戻しが続いている」との声が聞かれた。
・ユーロ円は5日ぶりに反落。ユーロ全面安となった流れに沿って、一時172.07円と日通し安値を更新した。
なお、ユーロ豪ドルは一時1.7770豪ドル、ユーロNZドルは1.9409NZドル、ユーロポンドは0.8666ポンド、ユーロカナダドルは1.5907カナダドル、ユーロスイスフランは0.9304スイスフランまで値を下げた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は反落。米国とEUが貿易交渉で合意に至ったものの、前週に「合意に近づいている」との報道が伝わって以降、マーケットの織り込みが一定程度進んでいたこともあり、本日は利食い売りなどが優勢となった。
一方、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は4日続伸し、史上最高値で取引を終えた。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数も過去最高値を更新した。
・米国債券相場で長期ゾーンは下落。米国とEUが通商交渉で合意し、投資家のリスク回避姿勢が後退。相対的に安全資産とされる米国債に売りが出た。29-30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前にポジション調整目的の売りも出た。
・原油先物相場は反発。米・EUが通商交渉で合意し、米・EUの関税戦争による混乱が回避されたことや、EUが米国からエネルギー関連製品を7500億ドル分購入すると報じられたことが支えとなった。また、トランプ米大統領がロシアに対する経済制裁を前倒しで実施する可能性を示唆したことも買いを後押した。
・金先物相場は4日続落。米・EUが通商交渉で合意し、投資家のリスク回避姿勢が後退し、安全資産とされる金は売りに押された。また、米長期金利が上昇したことも金利を生まない金の重しとなった。
一部通信社が報じたところによると、「スウェーデンで行われている米中閣僚級貿易協議の1日目の交渉が終了した」ようだ。
28日16:45 ドイツ機械工業連盟(VDMA)
「米国とEUは貿易協定を新たな常態にしてはならない」
28日17:32 カッツ・イスラエル国防相
「ハマスが人質を解放しなければ、地獄の門が開かれることになる」
28日18:34 カジミール・スロバキア中銀総裁
「米EU貿易協定は不確実性を減らすが、現時点ではそれがインフレにどう影響するかは不明」
「私が行動を起こすには、労働市場の顕著な悪化といった明確な兆候が必要になるだろう」
「持続的なインフレ下振れのリスクが差し迫っているとは考えていない」
「リスクは下方に偏っていない」
「9月に自分の手を動かさざるを得なくなるような大きな変化は見ていない」
28日20:19 石破首相
「(自民両院議員懇談会)意見を踏まえ今後適切に判断する」
「日米関税合意の着実な実施をやっていかないといけない」
「続投方針に変わりないと明言」
「自身の進退、国民世論と党の考え方一致することが大事」
28日20:57 セフコビッチ 欧州連合(EU)通商担当委員
「米国とのディールはプロセスの開始を意味する」
28日21:04 グリア米通商代表部(USTR)代表
「EUは米国の自動車基準の一部を受け入れる」
「(中国との貿易交渉について)前進していきたいが、今日は大きな進展は期待していない」
「トランプ大統領と習近平国家主席は、お互いに会談を持つことに関心を示している」
「トランプ氏は、手っ取り早い取引よりも良い取引に興味がある」
「(インドとの貿易交渉について)さらなる交渉が必要であり、相手方との話し合いを続ける」
28日22:44 トランプ米大統領
「(今週FOMCの利下げについて)そうしなければならないだろう」
※時間は日本時間
<国内>
○未定 ◇ 7月月例経済報告
<海外>
○17:30 ◇ 6月英消費者信用残高(予想:12億ポンド)
○17:30 ◇ 6月英マネーサプライM4
○21:30 ◇ 6月米卸売在庫(予想:前月比▲0.1%)
○22:00 ◇ 5月米住宅価格指数(予想:前月比▲0.2%)
○22:00 ◎ 5月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比2.9%)
○23:00 ◎ 6月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数(予想:750万件)
○23:00 ◎ 7月米消費者信頼感指数(予想:96.0)
○30日02:00 ◎ 米財務省、7年債入札
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
○米中閣僚級貿易協議(最終日、スウェーデン・ストックホルム)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
28日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米長期金利の上昇に伴う円売り・ドル買いで148.58円まで上昇した。ユーロドルは、米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いで1.1585ドルまで下落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りの上昇が下支えする中、昨日から開催されている米中通商協議や本日から開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)への思惑などで堅調推移が予想される。また、引き続きトランプ米大統領による突発的な発言や石破首相の進退に関する報道には警戒しておきたい。
昨日の自民党両院議員総会では石破首相に対する退陣要請が高まったものの、石破首相はこれまで通りに続投を表明している。今後は、退陣ならは円安要因、続投は円高要因というコンセンサスを念頭に、関連ヘッドラインには警戒しておきたい。
ドル円は、攻防の分岐点である149.60円台の200日移動平均線に向けて上昇基調となっている。しかし、トランプ米大統領やベッセント米財務長官が円安を牽制しており、トランプ米大統領が非関税障壁としての円安に不満ならば、対日関税が25%に戻る可能性は念頭に置くべきかもしれない。
28-29日にストックホルムで開催されている米中通商協議では、5月のロンドンでの協議のように合意に向けた前向きな結果、あるいはロシア産原油輸入に対する第2次関税による紛糾で3カ月延期などのシナリオを想定しながら結果を待つことになる。
ポジティブサプライズの背景としては、トランプ米大統領やベッセント米財務長官が中国との関係が良好という融和的な姿勢を示し、王毅中国外相も「レアアースの輸出について他国と協力する」というスタンスを示していたことが挙げられる。ネガティブサプライズの背景としては、米国がロシアから輸入している国に第2次関税を課すことを警告していることによる協議難航が挙げられる。
ラトニック米商務長官は「中国との90日間関税停止延長はトランプ米大統領が判断」と述べている。
FOMCでは、政策金利の据え置きが予想されており、注目ポイントは、据え置き理由とされてきたトランプ関税による不確実性の後退により、利下げを主張するメンバーの数とパウエルFRB議長の記者会見となる。
パウエルFRB議長は据え置きの理由として、不確実性の他に、国内民間最終需要(PDFP)の伸びが強いことを挙げていた。しかし明日発表される米4-6月期国内総生産(GDP)では、消費の伸び悩みを受けてPDFPの伸びが減速している可能性が警戒されており、不確実性の後退とPDFPの減速の場合のパウエルFRB議長の見解に要注目となる。
昨年7月末のFOMCでは、政策金利は据え置かれたものの、パウエルFRB議長が利下げに言及したことで、植田日銀総裁の利上げ示唆と合わせてドル売りに拍車がかけられていた。
また、ウォラーFRB理事は据え置きに反対すると述べており、ボウマンFRB副議長(銀行監督担当)が加わって2名の反対者となれば、1993年9月以来32年ぶりとなる。かつてレーガン第40代米大統領は、利下げを拒んでいたボルカー第12代FRB議長を追い出すため、4名のFRB理事を刺客として送り込んで辞表を提出させた。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 40820 -90 (-0.21%)
TOPIX先物 2915.5 -11.5 (-0.39%)
シカゴ日経平均先物 40795 -115
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
28日の米国市場はNYダウが下落した一方で、 S&P500、ナスダックが上昇。米国と欧州連合(EU)が貿易交渉で合意した。8月1日の関税発動の期限を前に、最大の交易相手との貿易戦争を回避したが、前週に「合意に近づいている」と伝わっていたこともあり、利益確定の売りが優勢となった。ハイテク大手の決算発表を控えているほか、米連邦準備理事会(FRB)は29~30日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。7月の米雇用統計など重要な経済指標の発表が相次ぐことで、持ち高調整の売りも出やすかった。
S&P500業種別指数は自動車・同部品、半導体・同製造装置、耐久消費財・アパレルが上昇した半面、不動産、保険、電気通信サービスの弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、ナイキ<NKE>、エヌビディア<NVDA>、ボーイング<BA>、IBM<IBM>、シェブロン<CVX>が買われた。一方で、トラベラーズ<TRV>、アムジェン<AMGN>、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>、コカ・コーラ<KO>、ジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ>が軟調。
シカゴ日経平均先物清算値は大阪比115円安の4万0795円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比50円高の4万0960円で始まった。4万1020円まで買われた後に軟化し、米国市場の取引開始後には4万0680円まで売られる場面もみられた。売り一巡後は4万0680円~4万0760円辺りの狭いレンジで推移。終盤にかけてショートカバーが入り、4万0820円でナイトセッションの取引を終えた。
シカゴ先物にサヤ寄せする形で、やや売りが先行しそうだ。ナイトセッションでボリンジャーバンドの+1σ(4万0700円)水準まで下げてきたことで、いったんは同バンドを支持線とした押し目狙いのロングが入りやすいとみられ、+2σ(4万1420円)とのレンジが意識されよう。一方で、+1σを明確に割り込んでくると、中心値となる25日移動平均線(3万9980円)が射程に入ってくる可能性がある。
FOMCや日銀の金融政策決定を控えて持ち高調整に伴うロング解消が入りやすいだろうが、積極的にショートを仕掛けてくる動きは限られよう。一方、自民党はきょう午前に党本部で役員会を開き、両院議員総会の開催について協議する予定である。関連報道を受けて短期的にショートを誘う場面がありそうだ。そのため、オプション権利行使価格の4万0625円から4万1250円のレンジを想定する。
28日の米VIX指数は15.03(25日は14.93)に上昇した。前週に2月中旬以来の15.00を割り込んできたことで、いったんは反発が意識されやすいところだろう。もっとも、ボトム圏での推移であるため、リスク選好に向かわせやすい状況が続いている。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.97倍に低下した。14.05倍に上昇する場面もあったが、その後は25日線(14.03倍)、200日線(14.02倍)を割り込み、ボリンジャーバンドの-1σ(13.98倍)水準まで下げてきた。前日に日経平均型を押し下げたアドバンテスト<6857.T>[東証P]が落ち着きをみせてくると、NTショートの巻き戻しが入りそうだが、バンドは収斂しており、短期的には-2σ(13.92倍)、-3σ(13.86倍)辺りが意識される可能性もありそうだ。
東京市場は小動きか。米国株はまちまち。ダウ平均が下落した一方、S&P500とナスダックは上昇した。ダウ平均は64ドル安の44837ドルで取引を終えた。プラス圏で推移する場面もあったが、FOMCを前に上値の重い展開。半導体株の一角が強く、ナスダックは相対的に良好なパフォーマンスとなった。ドル円は足元148円50銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが115円安の40795円、ドル建てが65円安の40845円で取引を終えた。
米3指数の方向がそろっておらず、日本株は動きづらい展開を予想する。米国動向からは半導体株の奮起に期待したいところだが、本日は引け後にアドバンテスト<6857.T>が決算発表を予定している。きのう28日はアドバンテストの大幅安が全体にもネガティブな影響を及ぼしているだけに、半導体株に買いが入るとしても恐る恐るとなりやすい。FOMCや日銀金融政策決定会合など中央銀行イベントも先に控える中、場中は様子見姿勢の強い地合いが続くだろう。日経平均の予想レンジは40700-41150円。
昨日の海外市場では、ユーロ全面安。米国とEUとの関税合意がユーロ圏にかなり不利な条件との認識が強まるなか、ポジション調整の売りが一気に持ち込まれたといったところ。ユーロドルばかりでなく、ユーロクロス全般も売り込まれることになりました。ドル円はアジア時間に一目転換線の位置する147.52円に面合わせして目先の下押しのレベルを確認した後とあって、かかる動きにつれるかたちで上昇。米長期金利の上昇も買い戻しを後押しすると、148.58円まで値を上げてNY市場を終えています。
アジア時間に入ってからは、仲値にかけては本邦実需の買いなどから昨日高値や21日の高値148.66円を上抜けて一時148.71円まで値を上げる場面もみられましたが、その後は日経平均が下げ幅をひろげるなか148.29円まで下押ししているといったところです。ただ、全般狭いレンジ内での方向感のない動きが続いています。
いずれにしても、市場は国内の政局を見極めているわけですが、昨日も15時30分から始まった自民党の両院議員懇談会は20時過ぎまでのロングラン。そして、本日は31日を目途に両院議員総会の開催が決定したわけで、8月1日に予定されている臨時国会を前にして、政局も山場を迎えています。参院選前の18日の高値が148.89円、参院選後の週明けアジア時間での高値が148.66円。ドル円は選挙後のポジション調整を終えて、再び振出しに戻ってきていますが、改めて、財政拡大への政策変更を前提とした大きな方向性を見極めていきたいところです。
日経225先物は11時30分時点、前日比290円安の4万0620円(-0.70%)前後で推移。寄り付きは4万0880円と、シカゴ日経平均先物清算値(4万0795円)上回る形で、小幅に下落して始まった。ただし、寄り付き直後につけた4万0890円を高値にショート優勢の動きとなり、4万0640円~4万0750円辺りでの保ち合いを継続。終盤にかけてレンジを割り込み、4万0620円まで下げ幅を広げてきた。
日経225先物は、ナイトセッションでボリンジャーバンドの+1σ(4万0690円)まで下落した後に下げ幅を縮めていたこともあり、シカゴ先物を上回って始まった。ただし、その後は+1σ水準での攻防をみせており、中盤以降は同バンドを下回っての推移が続いている。+1σが抵抗線として意識されてくるようだと、中心値である25日移動平均線(3万9980円)が次第に意識されてくることで、短期的にショートを誘う形になりそうである。
NT倍率は先物中心限月で13.99倍に上昇した。ただし、一時14.03倍をつける場面もあったが、その後は25日線(14.04倍)、200日線(14.02倍)に上値を抑えられる形となり、-1σ(13.99倍)辺りでの攻防をみせている。半導体株がマイナス圏で推移していることもあり、NTロングでのスプレッド狙いは入りにくいようだ。
【財政法第5条】
「すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。」
7月20日に投開票が行われた第27回参議院議員選挙では、自民・公明の連立与党が過半数を割り込み、衆議院とあわせて少数与党に転落した。
そのため、現金給付以上の消費税減税などの拡張的な財政政策を余儀なくされる蓋然性が高まったことで、日本国債の格付けが引き下げられる可能性が高まっている。
財務省が7月23日に実施した40年国債入札は、財政悪化懸念が強まる中、投資家需要の強弱を反映する応札倍率が2.13倍と2011年以来の低水準となった。最高落札利回りは3.375%となり、2007年の入札開始以降で過去最高となった。
1.格付け会社ムーディーズ・レーティングス
ムーディーズは2014年12月以降、日本の格付けを上から5番目の「A1」、見通しは「安定的」としている。
5月のリポートでは、「財政赤字が大幅かつ持続的に拡大する見込みが高まり、既に高水準にある債務負担の著しい悪化につながる」場合、格付けを引き下げる可能性があると警告していた。
7月22日、消費税減税が実施された場合の日本の国債格付けへの影響は、減税の範囲、規模、持続性によって決まるとの見方を示した。
2. 国債発行の現状と財政状況
普通国債の発行残高は、2024年度末には1105兆円余りに達し、2025年度末には1129兆円にまで膨らむ見通しとなっている。
2025年度予算案では、国債発行額は約28兆6000億円と、2024年度当初より6兆8000億円減少し、17年ぶりに30兆円を下回る見込みとなっている。
3.財政健全化「基礎的財政収支」の課題
政府は財政健全化に向けて、「基礎的財政収支」を2025年度に黒字化するという目標を掲げており、内閣府は、2025年度は8000億円程度の黒字になると予想していた。
しかし、2025年度予算案での「基礎的財政収支」は7835億円の赤字となっている。
そして、長期金利が上昇していることで、2024年度予算案では利払いにあてる金額が前年度比1兆2187億円増の9兆6910億円に達している。
4.日銀の国債保有「財政ファイアンス」
日本銀行による異次元緩和の開始前、2013年3月時点では、日本銀行の国債保有残高は128兆円(全体の13%)だった。
しかし、2025年3月には547兆円(全体の46%)まで膨れ上がっている。
本日のロンドン為替市場では、昨日軟調に推移した欧州株の動向を見定めながら、ユーロ相場の地合いを探ることになりそうだ。欧州発の重要な経済指標は予定されておらず、ただ本日までスウェーデン・ストックホルムで行われる閣僚級の米中・貿易協議に関した報道には注意を払いたい。
昨日はドイツDAXが約1%安で引けるなど、欧州主要株は総じて売りが優勢だった。欧州連合(EU)と米国が貿易協定で合意したものの、双方の言い分に違いが見受けられたこと。またEU輸入品に対する米国の関税は15%とされ、確かに当初の30%よりは下げられたものの、実際の税率の高さが徐々に嫌気されたようだ。
オセアニア市場でユーロ買いが先行した為替市場も、欧州勢の参入後からは売り戻しが強まった。ユーロドルは高値からの下落幅を200ポイント近くまで広げ、ユーロポンドも年初来高値を更新したところから約100ポイントの大幅反落。ユーロ円が174円台目前から172円手前まで失速し、ユーロスイスフランも200日移動平均線に届かずに0.93フラン近辺まで緩んでいる。
大きく売られたものの、ユーロポンドやユーロ円は調整の範囲内とも考えられる。ただ一方、ユーロドルはダブルトップを形成しつつあり、ユーロスイスフランも主要な移動平均線や日足一目均衡表の水準も下抜けている。ユーロが、対ドルやスイスフランで売り圧力を増すのかに注視したい。
昨日(1日目)の米中閣僚級協議は、現地時間20時に終了したもよう。一部関税の停止期限が約2週間後に迫るなか、香港メディアが報じていたように90日間の停止延長案が認められるかが焦点の1つ。また、米側が中国に求めるとされる「ロシアやイランから原油購入を控える」ことについて、中国側がどのような反応を示すかにも注意が必要だろう。
想定レンジ上限
・ユーロドル、日足一目均衡表・基準線1.1693ドル
・ユーロスイスフラン、200日移動平均線0.9388フラン
想定レンジ加減
・ユーロドル、日足一目均衡表・雲の上限1.1485ドル
・ユーロスイスフラン、4月11日安値0.9222フラン
ドル円:1ドル=148.24円(前営業日NY終値比▲0.29円)
ユーロ円:1ユーロ=171.64円(▲0.51円)
ユーロドル:1ユーロ=は1.1578ドル(▲0.0011ドル)
日経平均株価:40674.55円(前営業日比▲323.72円)
東証株価指数(TOPIX):2908.64(▲22.09)
債券先物9月物:137.90円(△0.09円)
新発10年物国債利回り:1.555%(▲0.010%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は上値が重い。東京仲値にかけて本邦実需勢の買いが観測されると昨日高値の148.58円を上抜けて148.71円まで上昇した。ただ、その後は日経平均株価の下落を受けて上値を切り下げる展開に。午後に入っても戻りは鈍く、一時148.16円まで値を下げた。
・ユーロ円は弱含み。昨日からの売りの流れが継続。日本株安に伴う売りも重なると一時171.50円まで下値を広げた。その他クロス円も弱く、ポンド円は197.74円、NZドル円は88.43円、カナダドル円は107.87円までそれぞれ値を下げた。
・ユーロドルも弱含み。昨日の弱い地合いは本日のアジア時間に入ってからも続き、欧州勢が参入し始めると1.1558ドルまで下げ幅を拡大した。
・日経平均株価は3日続落。この日も利益確定売りが主導する展開となった。今週は日米金融政策発表をはじめ、重要イベントを控えているとあって持ち高調整の動きが出やすい面があるようだ。
・債券先物相場は続伸。重要イベントを前に積極的な売買が手控えられ、前日終値を挟んで方向感がなかった。
ハンガリー経済省は29日、2025年の実質GDP成長率予測を従来の2.5%から1%へ大幅に引き下げた。2025年第1四半期は景気後退、第2四半期も停滞が見込まれ、後半も低成長が続くとの見通し。なお2026年の成長率見通しも4.1%から3.1%に引き下げられた。一方、部分的な歳出凍結などで今年の財政赤字目標(GDP比4.1%)は達成可能としているが、ビジネス信頼感も5年ぶりの低水準となっており、景気の先行きは厳しい状況だ。
ポーランドのトゥスク首相は米国の新たな関税措置によって同国は約80億ズロチ(約3,200億円)の損失が発生する可能性があると述べた。首相は「損失は大西洋の両岸で大きくなるが、同盟国同士の無意味な関税戦争よりも、厳しいながらも合意ある貿易協定が望ましい」とも強調している。
政府は29日、7月の月例経済報告を公表。景気の基調判断を「景気は、米国の通商政策等による影響が一部にみられるものの、緩やかに回復している」に3カ月ぶりに変更した。総括判断は据え置いたが、個別では輸出を12カ月ぶりに下方修正した。
大阪9月限
日経225先物 40810 -100 (-0.24%)
TOPIX先物 2913.0 -14.0 (-0.47%)
日経225先物(9月限)は前日比100円安の4万0810円で取引を終了。寄り付きは4万0880円と、シカゴ日経平均先物清算値(4万0795円)を上回る形で、小幅に下落して始まった。寄り付き直後につけた4万0890円を高値にショート優勢となり、4万0640円~4万0750円辺りで保ち合いを継続。
前場終盤にかけて4万0620円まで下げ幅を広げると、後場中盤には4万0620円~4万0710円のレンジに切り下がり、4万0570円まで売られる場面もあった。ただし、終盤にかけて下げ渋るなかで、引け間際に急速に切り返す動きとなり、4万0810円まで下げ幅を縮めて取引を終えた。
日経225先物は、ナイトセッションでボリンジャーバンドの+1σ(4万0690円)まで下落した後に下げ幅を縮めていたこともあり、寄り付きはシカゴ先物を上回って始まった。ただし、その後は+1σ水準で攻防をみせ、前場中盤以降は同バンドを下回っての推移が続いた。後場中盤に4万0570円まで下げてきたことで下へのバイアスが強まる局面が警戒されたものの、引け間際の切り返しによって+1σを上回って終えている。
+1σはナイトセッションで4万0760円辺りまで切り上がっており、引き続き同バンドが支持線として機能するかを見極めることになろう。足もとでアドバンテスト<6857.T>[東証P]の下げが日経平均型の重荷になっているが、取引終了後に第1四半期(4-6月)決算を発表しており、併せて2026年3月期通期業績予想を上方修正した。コンセンサスを上回る修正が評価され、PTS(私設取引)では9%ほど上昇して推移。
ADR(米預託証券)でも強い動きをみせてくるようだと、センチメントを明るくさせそうである。指数インパクトの大きい値がさハイテク株であることで先物市場へも影響を与えるため、押し目待ち狙いのロング対応に向かわせそうだ。
一方で、ADRでの反応が限定的だと、本格化する決算を迎えるなかで様子見姿勢が強まりやすくなりそうだ。日経225先物は+1σ水準での攻防が続き、短期的にショートを誘う局面を警戒しておきたい。そのため、オプション権利行使価格の4万0500円から4万1000円のレンジを想定。+1σが支持線として機能するようだと、+2σ(4万1460円)とのレンジ推移が意識されやすく、オプション権利行使価格の4万0750円から4万1375円に切り上がろう。
NT倍率は先物中心限月で14.00倍に上昇した。ただし、14.02倍をつける場面もあったが、その後は25日移動平均線(14.04倍)、200日線(14.02倍)に上値を抑えられる形となり、一時13.96倍まで下げるなど、-1σ(13.99倍)を挟んで攻防をみせている。バンドは収斂しており、アドバンテストの動向次第では、いったんNTロングに振れやすくなりそうだ。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万6528枚、ソシエテジェネラル証券が1万1762枚、サスケハナ・ホンコンが3545枚、バークレイズ証券が3208枚、日産証券が1795枚、ゴールドマン証券が1681枚、JPモルガン証券が1635枚、モルガンMUFG証券が1215枚、楽天証券が1120枚、SBI証券が1113枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が1万7526枚、ソシエテジェネラル証券が1万5869枚、バークレイズ証券が5223枚、JPモルガン証券が3432枚、モルガンMUFG証券が2696枚、ゴールドマン証券が2218枚、ビーオブエー証券が2064枚、シティグループ証券が1178枚、野村証券が869枚、みずほ証券が773枚だった。
本日のNY時間では、2日目を迎える米中閣僚級貿易協議で両国がどの程度の合意を発表するかが注目される。市場では、すでに米中の多くの要人発言や報道があるように、関税の90日間の一時停止延長がコンセンサスになっている。
米中関税合戦は、4月に米国が対中関税を145%に引き上げると発表し、中国も報復的に米国に125%の関税引き上げを課すと発表したことで、世界の金融市場が一時混乱した。その後、米国側は中国のレアアースの輸出規制が響き、輸出規制解除の代償として他国同様に中国に対しても10%の基本関税を維持することになった。本来であれば、ウクライナとロシアの戦争の早期停戦で、ウクライナにあるレアアースを獲得すれば、米国は中国に対して強気な外交姿勢を保つことができた。しかし、プーチン露大統領が停戦に抵抗したことで、レアアース獲得が水の泡になり、米国の中国との交渉は弱腰でしかいられなくなっている。
このような状況下で、中国は基本関税の10%に追加されているフェンタニルの20%関税の撤廃を要求していると思われる。ただ、すでに対中関税が骨抜きとなっていることで、フェンタニルに関する関税撤廃を無条件でトランプ政権が飲むこともできない。
その妥協点として、中国が米国産大豆、航空機部品の購入や、中国企業の米国の製造業への投資などを示す可能性が指摘されている。これをトランプ政権が受け入れれば、フェンタニル関税が撤廃され、市場にとってポジティブサプライズとなりそうだ。
また、今回の会談では米中の首脳会談を行うことを発表する可能性もありそうだ。具体的な日程等まで決定されるかはわからないが、中国からの投資等を発表する場合は、トランプ大統領が自ら手柄を支持者に示そうとするため、首脳会談までは米中協議の進展を隠すこともあり得そうだ。
なお、対露制裁に関しては、中露関係が良好なこともあり、中国がロシア産の原油購入を中断することは考えにくく、中国が対露制裁に加わるのを期待するのは難しい。
米国からの経済指標は複数発表されるが、市場の反応が一番大きくなるのは6月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数になるか。ただ、明日に米連邦公開市場委員(FOMC)の結果発表を控えているほか、31日に6月米PCEデフレーター、1日に同月雇用統計の発表も予定されていることで、トレンドを作るほどの動きにはなりにくそうだ。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、16日高値149.18円。その上は200日移動平均線149.62円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値は、28日安値147.52円から日足一目均衡表・転換線の147.48円
今晩は様子見姿勢継続か。昨日はダウ平均が64.36ドル安(-0.14%)と小幅に反落した一方、S&P500が0.02%高と小幅に6営業日続伸し、ナスダック総合も0.33%高と4営業日続伸した。週内にメタ、マイクロソフト、アップル、アマゾンのマグニフィセント・セブンの決算発表や米連邦公開市場委員会(FOMC)結果公表、7月雇用統計などの重要イベントが目白押しで様子見姿勢も強まったが、米国とEUの関税合意や、総じて良好な企業決算などが支援となった。S&P500とナスダック総合はともに連日で取引時間中の史上最高値を更新し、終値ではS&P500が6日連続、ナスダック総合が4日連続で最高値を更新した。
今晩の取引では翌日からの重要イベントを控え、様子見姿勢が継続か。投資家の不安心理を示すVIX指数は先週末に2月以来の低水準となる14.93ポイントまで低下し、昨日も15.03ポイントで終了するなどセンチメントは良好だが、決算発表では水曜日引け後にメタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、木曜日引け後にアップル、アマゾン・ドット・コムが控えているほか、経済イベントでは水曜日の米連邦公開市場委員会(FOMC)結果公表、金曜日の7月雇用統計などが控えている。結果待ちの展開が予想されるが、今晩も寄り前にボーイング、ユナイテッドヘルス、メルク、プロクター・アンド・ギャンブルなどが決算を発表するほか、6月JOLTS求人件数などの発表もあり、決算や指標結果にも要注目となる。
今晩の米経済指標・イベントは7月消費者信頼感指数、6月JOLTS求人件数など。企業決算は寄り前にアメリカン・タワー、ボーイング、ユナイテッドヘルス、メルク、プロクター・アンド・ギャンブル、ユナイテッド・パーセル・サービス、ペイパル、引け後にスターバックス、ビザなどが発表予定。
トランプ米大統領は29日、中国の習近平国家主席との首脳会談を求めているとの報道を否定した。自身のSNSに「フェイクニュースは私が中国の習主席とのサミットを求めていると報じているが、間違いだ。私は何も求めていない」と投稿した。訪中については「習主席からの招待」が前提であり、すでに招待を受けていると指摘。「さもなければ興味はない」と述べた。
これまでの報道によると、トランプ氏は訪中を渇望しており、韓国で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の前に中国へ立ち寄るか、APEC期間中(10月30日から11月1日まで)に会談の席を設ける案やAPEC閉幕後に中国入りする案が検討されている。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券では、今後の日経平均を見通す上で、2つのシナリオを考えておきたいとコメント。期待先行で切り上がったバリュエーションの調整をメーンシナリオとしている。1Q決算では通期見通しの修正などは軽微にとどまる可能性があるだけに、決算発表通過後にEPSが上昇しなければ、株価の割高感が意識されるとみている。その一方で、ゴルディロックス相場(適温相場)が続くことを前提に、上昇トレンドが継続する可能性についても考えておきたいとしている。決算発表時に多くの企業が関税の影響をある程度織り込んだ業績見通しを明確に示し、業績の不確実性が低下すれば、株高は持続可能と考えている。
SMBC日興証券では、春先から円安が進んでいる点に着目。この要因として、米国の短期金利が上昇していることを挙げている。米国市場では、これまでの過度な景気懸念が緩和して利下げ期待が後退。短期先物金利が上昇して、ドル高、円安となっているとのこと。米国の短期金利はFedのドットプロットに近づこうとしているが、SMBC日興ではあと25bp程度は上昇余地があるとみている。今後、米国の短期金利が25bp上昇した場合、ドル円レートは2.5円程度円安となり、1ドル=150円まで円安が進む可能性があると指摘している。
日経平均株価は3日続落。マドを開けての下落スタートとなったが、前日のように下げ幅を拡大する動きは限定的だった。上昇基調が続く10日移動平均線(40496円 7/29)付近で下げ渋る動きをみせ、3日連続陰線ながらも小陰線で取引を終えた。
RSI(9日)は前日の72.1%→63.9%(7/29)に低下。昨年7/11に形成したマド埋め(42102円)水準を意識していったん調整が入る格好となっているが、10日移動平均線付近までの微調整の範ちゅうであり、早々に一段高に向かう可能性は依然として高いといえる。RSIが50%超を維持しているほか、あすは一目均衡表の基準線(40046円 同)が横ばいから上昇に転じるタイミングでもあり、株価の押し上げ効果につながるかが注目される。
上値メドは、5日移動平均線(41225円 同)、7/24高値(42065円)、昨年7/11安値(42102円)、昨年7/11高値(42426円)、43000円などがある。下値メドは、10日移動平均線、心理的節目の4万円、7/22安値(39586円)、心理的節目の39000円、6/18高値(38885円)、200日移動平均線(38235円 同)などがある。
米財務省によると、7年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが4.092%、応札倍率(カバー)が2.79倍となった。
(29日終値:30日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=148.48円(29日15時時点比△0.24円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=171.38円(▲0.26円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1541ドル(▲0.0037ドル)
FTSE100種総合株価指数:9136.32(前営業日比△54.88)
ドイツ株式指数(DAX):24217.37(△247.01)
10年物英国債利回り:4.633%(▲0.014%)
10年物独国債利回り:2.708%(△0.019%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月英消費者信用残高
14億ポンド 9億ポンド
6月英マネーサプライM4
(前月比) 0.3% 0.2%
(前年比) 3.3% 3.5%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ユーロドルは一進一退。米国と欧州連合(EU)の貿易交渉合意を受けて投資家心理が改善した半面、合意内容を巡っては一部で欧州経済の先行き不安が浮上したため、売買が交錯した。日本時間夕刻に一時1.1527ドルまで下落したあと1.1588ドル付近まで買い戻されたものの、すぐに失速。22時過ぎに1.1519ドルと6月23日以来の安値を更新した。もっとも、NY午後に入ると1.1560ドル付近まで下げ渋った。
市場の関心は29-30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)や8月1日の7月米雇用統計に向いており、方向感が出にくい面もあったようだ。
・ドル円はもみ合い。今週はFOMCや日銀金融政策決定会合など日米金融政策発表や週末の米雇用統計など重要指標が相次ぐため、様子見ムードが広がった。
なお、スウェーデンで開催されていた米中閣僚級協議について、中国政府によると「米中両政府は互いに一時停止中の関税措置について停止期間をさらに延長することで合意した」と伝わった。これについてベッセント米財務長官は「対中関税休戦の最終決定はトランプ大統領が下す」「対中関税延長の決定はトランプ大統領次第」と述べ、米中は関税導入の停止期限を延長する条件を巡り協議を継続すると説明した。
・ユーロ円は戻りが鈍かった。日本時間夕刻に一時171.28円まで下げたあとは172.08円付近まで下げ渋ったものの、NY勢参入後は再び弱含む展開に。24時過ぎには171.05円と日通し安値を付けた。
・ロンドン株式相場は3日ぶりに反発。米関税政策への過度な警戒感が後退する中、投資家心理が上向き買いが優勢となった。アストラゼネカやヘイリオンなど医薬品株が買われたほか、HSBCやバークレイズなど金融株が値上がりした。
・フランクフルト株式相場は3日ぶりに反発。米関税政策への過度な警戒感が後退する中、投資家心理が上向き買いが優勢となった。個別ではラインメタル(3.46%高)やMTUエアロ・エンジンズ(3.45%高)、シーメンス・エナジー(3.03%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は英国債が上昇した一方、独国債が下落した。
29日の日経平均は大幅に3日続落。終値は323円安の40674円。まちまちかつ小動きの米国株を受けても、寄り付きから200円を超える下落。前日同様に半導体株が弱く、リスク回避ムードが強まる中、場中は下値模索が続いた。切り返す動きはほとんど見られず、後場に入ると一時下げ幅を400円超に拡大。40500円台に入ったところで売りが一巡して終盤にはやや値を戻したものの、300円を超える下落で取引を終えた。
東証プライムの売買代金は概算で4兆円。業種別では鉱業、石油・石炭、サービスなどが上昇した一方、輸送用機器、証券・商品先物、機械などが下落した。通期の利益見通しを引き上げた第一工業製薬<4461.T>が、後場に買いを集めてストップ高。半面、通期の見通しを大幅に引き下げたさくらインターネット<3778.T>が、場中は値が付かずストップ安比例配分となった。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり585/値下がり970。良品計画、サンリオ、リクルートなどが大幅上昇。原油高を手がかりにINPEX、ENEOS、富士石油などが選好された。1Qの業績好調が確認できた野村総研が8.3%高。1Qが計画に対して良好な進ちょくとなったエンプラスがストップ高となった。
一方、証券会社が投資判断を引き下げたレーザーテックが、全市場の売買代金トップとなって8.3%安。ディスコやソシオネクストなど半導体株の多くに警戒売りが広がった。為替は円安に振れたものの、トヨタやホンダなど自動車株には下落銘柄が多かった。1Qが減収減益となったコマツが後場に値を崩しており、これを受けて同業の日立建機も大幅安。ACCESSやヤクルトが決算を材料に急落した。
名証メイン市場に新規上場した山忠は、初値が公開価格と同値となり、終値は初値を小幅に下回った。
日経平均は323円安と大幅な下落。3営業日連続で3桁の下落となっており、この間の下げ幅は1000円を超えた。きょうは米国動向からは売り材料が乏しかった上に、半導体株はむしろ買われても良かったくらいであっただけに、300円を超える下落というのは印象が悪い。アドバンテスト<6857.T>が引け後に決算を発表しており、1Qは大幅増益で通期見通しを上方修正している。これが全体の反転材料となるかどうかが、あすの焦点となる。
あすから日銀金融政策決定会合が開催される。東京市場では、木曜31日にFOMCと日銀会合の結果を消化する。本来ならあす30日は「待ち」の1日となるが、連日で指数に値幅が出ているだけに、あすも振れ幅が大きくなるかもしれない。上の場合は5日線(41225円、29日時点、以下同じ)を上回ることができるか、下の場合は25日線(40001円)を割り込まずに推移できるかに注目しておきたい。
一部報道が伝えたところによると、自民党は両院議員総会の開催を決定したという。
一部通信社が報じたところによると、「中国は米国と関税導入の停止期間延長に合意した」ようだ。
29日07:21 ラトニック米商務長官
「中国との90日間関税停止延長はトランプ米大統領が判断」
「中国との90日間関税停止延長が起こりえる結果」
29日09:55 石破首相
「(自民党両院総会が開催されれば)説明を丁寧に真摯にしていく」
29日17:43 サー・イスラエル外相
「ハマスが権力を維持し続けることは、イスラエル人とパレスチナ人の双方にとって悲劇」
「軍事的圧力は効果的だが、それだけが選択肢ではない。外交的手段も用いる用意がある」
29日21:16 マクルーフ・アイルランド中銀総裁
「ECBの金融緩和サイクルは様子見の段階に入った」
「ユーロ圏のインフレ率は安定している」
「成長は概ね予想通りに進展している」
30日01:37 ベッセント米財務長官
「中国の狙いを我々ははるかによく理解している」
「対中関税休戦の最終決定はトランプ大統領が下す」
「対中関税延長の決定はトランプ大統領次第」
30日03:15
「90日間停止はトランプ大統領の承認待ち」
「習主席はトランプ氏を北京に招待した」
30日02:40 トランプ米大統領
「ロシアに対し今日から10日後に関税を課す」
※時間は日本時間
(29日終値)
ドル・円相場:1ドル=148.46円(前営業日比▲0.07円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=171.42円(▲0.73円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1547ドル(▲0.0042ドル)
ダウ工業株30種平均:44632.99ドル(▲204.57ドル)
ナスダック総合株価指数:21098.29(▲80.29)
10年物米国債利回り:4.32%(▲0.09%)
WTI原油先物9月限:1バレル=69.21ドル(△2.50ドル)
金先物12月限:1トロイオンス=3381.2ドル(△14.4ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月米卸売在庫
(前月比) 0.2% ▲0.3%
5月米住宅価格指数
(前月比) ▲0.2% ▲0.3%・改
5月米ケース・シラー住宅価格指数
(前年比) 2.8% 3.4%
6月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数
743.7万件 771.2万件・改
7月米消費者信頼感指数
97.2 95.2・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ユーロドルは4日続落。米国と欧州連合(EU)の貿易交渉合意を受けて投資家心理が改善した半面、合意内容を巡っては一部で欧州経済の先行き不安が浮上。22時過ぎに一時1.1519ドルと6月23日以来の安値を更新した。ただ、米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りが入ると1.1560ドル付近まで下げ渋るなど、相場は大きな方向感が出なかった。
市場の関心は明日30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)結果公表や今週末の7月米雇用統計に向いており、方向感が出にくい面もあったようだ。
・ドル円は4日ぶりに小反落。22時30分過ぎに一時148.81円と日通し高値を付けたものの、16日の高値149.18円がレジスタンスとして意識されると上値が重くなった。米長期金利の低下も相場の重しとなり、2時30分前には148.34円まで下押しした。
今週はFOMCや日銀金融政策決定会合など日米金融政策発表や週末の米雇用統計など重要指標が相次ぐため、様子見ムードも強く方向感に乏しい展開となった。
なお、中国政府によると「スウェーデンで開催されていた米中閣僚級協議では、両政府が互いに一時停止中の関税措置について停止期間をさらに延長することで合意した」と伝わった。これについてベッセント米財務長官は「対中関税休戦の最終決定はトランプ大統領が下す」「対中関税延長の決定はトランプ大統領次第」と述べ、米中は関税導入の停止期限を延長する条件を巡り協議を継続すると説明した。
・ユーロ円は続落。ユーロドルの下落につれた売りが出たほか、米国株相場の失速に伴う売りが出ると一時171.05円と日通し安値を更新した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は続落。決算内容が嫌気されたユナイテッドヘルス・グループやメルクが売られ、相場の押し下げ要因となった。明日のFOMC結果公表を前に持ち高調整目的の売りも出やすかった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は5日ぶりに反落。連日で史上最高値を更新しただけに利益確定目的の売りが出た。
・米国債券相場で長期ゾーンは反発。今週はFOMCや7月米雇用統計など注目材料の発表が相次ぐため、持ち高調整目的の買いが優勢となった。7年債入札が「好調」と受け止められたことも相場の支援材料。
・原油先物相場は続伸。引き続き米EUの通商合意でEUが米国からエネルギー関連製品を大量購入することになったことが相場の支えとなった。また、トランプ米大統領が「ロシアに対し今日から10日後に関税を課す」と発言し、ロシアに対する制裁発動への懸念が高まったことも買いを後押した。
・金先物相場は5日ぶりに反発。米中の協議結果待ちとなる中、買いが先行した。また、米長期金利が低下したことも買いを後押した。ベッセント米財務長官は米中の関税停止延長の協議を継続することで合意したと述べた。
<国内>
○日銀金融政策決定会合(1日目)
<海外>
○10:00 ◇ 7月ANZ企業信頼感
○10:30 ◎ 6月豪消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比2.1%)
○10:30 ◎ 4-6月期豪CPI(予想:前期比0.8%/前年同期比2.2%)
○14:30 ◎ 4-6月期仏国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比0.1%)
○14:30 ◇ 6月仏消費支出(予想:前月比▲0.2%)
○15:00 ◎ 6月独小売売上高(予想:前月比0.5%/前年比2.3%)
○16:00 ◇ 7月スイスKOF景気先行指数(予想:97.5)
○16:00 ◇ 6月トルコ失業率
○17:00 ☆ 4-6月期独GDP速報値(季節調整済、予想:前期比▲0.1%/前年同期比0.2%)
○17:00 ☆ 4-6月期独GDP速報値(季節調整前、予想:前年同期比0.1%)
○18:00 ◎ 7月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲14.7)
○18:00 ◎ 7月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:94.5)
○18:00 ☆ 4-6月期ユーロ圏GDP速報値(予想:前期比横ばい/前年比1.2%)
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○21:00 ◎ 4-6月期メキシコGDP速報値(予想:前期比0.4%/前年比0.2%)
○21:15 ☆ 7月ADP全米雇用報告(予想:7.5万人)
○21:30 ☆ 4-6月期米GDP速報値(予想:前期比年率2.5%)
○21:30 ◎ 4-6月期米個人消費(速報値、予想:前期比年率1.5%)
○21:30 ◎ 4-6月期米コアPCE(速報値、予想:前期比年率2.3%)
○22:45 ☆ カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:2.75%で据え置き)
○23:00 ◎ 6月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比0.2%/前年比▲2.8%)
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○31日01:00 ◎ 6月ロシア失業率(予想:2.3%)
○31日03:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表(予想:4.25-4.50%で据え置き)
○31日03:30 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○31日06:30 ☆ ブラジル中銀、政策金利発表(予想:15.00%で据え置き)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
29日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、148.81円まで上昇したものの、米長期金利の低下などにより148.34円まで下押しした。ユーロドルは、米国と欧州連合(EU)の貿易合意により欧州経済の先行き不安が浮上していることで、1.1519ドルまで続落した。ユーロ円は米国株相場の失速に伴う売りで171.05円まで下落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、明朝の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明や明日の日銀金融政策決定会合の結果待ちで、動きづらい展開が予想される。豪ドルは、豪CPIが注目材料となる。
今週28-29日にストックホルムで開かれた米中通商協議では、(極めて高い関税の導入停止期限を迎える)8月12日までに相違を解消を目指して話し合われた。会合終了後にベッセント米財務長官は、停止期限を90日間延長する条件を巡り協議を継続すると述べている。中国側は、米国と関税の停止期間延長で合意し、今後緊密な意思疎通を継続すると述べている。ベッセント米財務長官は、本日トランプ米大統領に報告し、最終決断を待つことになるらしい。
パウエルFRB議長と植田日銀総裁は、トランプ関税による不確実性を理由に金融政策の現状維持を続けてきた。しかし、対日・欧州連合(EU)関税が15%、対英関税が10%となり、不確実性はやや後退しつつあるため、記者会見での見解が注目されている。
明朝3時に米連邦公開市場委員会(FOMC)声明が公表され、3時30分からパウエルFRB議長の記者会見が予定されている。そして、明日の12時前後を目処に日銀金融政策決定会合の結果が公表され、15時30分から植田日銀総裁の記者会見が予定されている。
パウエルFRB議長は、トランプ米大統領による利下げ圧力に抗していた理由に、トランプ関税の不確実性や国内民間最終需要(PDFP)の伸びが強いことを挙げていた。しかし、今夜発表される米4-6月期国内総生産(GDP)では、消費の伸び悩みを受けてPDFPの伸びが減速している可能性が警戒されており、トランプ関税の不確実性が後退しつつある中、PDFPが減速していた場合のパウエルFRB議長の見解に要注目となる。
現状の金融政策の維持が見込まれているFOMCでは、労働市場の弱さを理由に利下げを主張しているウォラーFRB理事(次期FRB議長候補)が反対票を投じると述べていたが、注目ポイントは、利下げを主張しているボウマンFRB副議長も反対票を投じるか否かとなる。2名のFRB理事が反対した場合、1993年9月以来32年ぶりの椿事となることで、トランプ米大統領による利下げ圧力がさらに強まり、次期FRB議長の選任時期を早める可能性が高まることになる。昨年7月のFOMCでは、金融政策の現状維持が決定されたものの、パウエルFRB議長が利下げを示唆したことで、ドル売り要因となった。
10時30分に発表される6月豪消費者物価指数(CPI)は前年同月比+2.1%、4-6月期豪CPIは前期比+0.8%、前年同期比+2.2%と予想されている。7月7-8日の豪準備銀行(RBA)理事会は予想外の金利据え置きを6対3で決定したが、ブロックRBA総裁は「四半期CPIが軟化すれば金融緩和への道筋が開けるだろう」との見方を示しており、CPIの伸び率が鈍化していた場合、8月11-12日のRBA理事会での利下げ観測が高まることになる。
東京市場は一進一退か。米国株は下落。ダウ平均は204ドル安の44632ドルで取引を終えた。FOMCの結果発表を翌日に控えて様子見姿勢が強まる中で、決算を発表したユナイテッドヘルスやボーイングが大きく下落しており、直近の上昇に対する利益確定売りが優勢となった。ドル円は足元148円40銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが170円安の40640円、ドル建てが120円安の40690円で取引を終えた。
あす31日にFOMCと日銀会合の結果を消化するため、基本的には日本株も様子見姿勢の強い1日になるとみる。米国株の下落は上値を抑える要素となるが、3指数とも高値圏で推移しているだけに、さほど警戒ムードは高まらないだろう。きのうの引け後にアドバンテスト<6857.T>が通期の見通しを引き上げており、この銘柄が強く買われるようなら、プラス圏で推移する展開も期待できる。アドバンテストの反応が案外であったとしても、FOMCや日銀会合が株買いを促す可能性もあるだけに、深押しするようなら下値は拾われるとみる。場中は強弱感が交錯して、方向感に欠ける動きが続くだろう。日経平均の予想レンジは40400-40900円。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 40650 -160 (-0.39%)
TOPIX先物 2904.0 -9.0 (-0.30%)
シカゴ日経平均先物 40640 -170
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
29日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落。予想を下回る四半期決算を発表したユナイテッドヘルス・グループ<UNH>やメルク<MRK>が売られ、NYダウの重荷になった。30日に米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表を控えて、持ち高調整の売りが優勢だった。トランプ米大統領は、中国に対する関税措置停止の延長について30日に最終決定する考えを示したが、延長は織り込み済みとの見方から反応は限られた。
S&P500業種別指数は食品・飲料・タバコ、不動産、公益事業が上昇した一方で、運輸、自動車・同部品、資本財の弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、トラベラーズ<TRV>、コカ・コーラ<KO>、マクドナルド<MCD>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、ジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ>が買われた。半面、ユナイテッドヘルス・グループやメルクのほか、ボーイング<BA>、ハネウェル・インターナショナル<HON>、アップル<AAPL>が軟調。
シカゴ日経平均先物清算値は大阪比170円安の4万0640円だった。日経平均株価(9月限)のナイトセッションは日中比70円高の4万0880円で始まった。4万0960円まで買われた後は4万0830円~4万0910円辺りで保ち合いを継続。ただし、米国市場の取引開始後に軟化し、4万0580円まで売られる場面もみられた。中盤以降は4万0580円~4万0720円のレンジで推移し、4万0650円でナイトセッションの取引を終えた。
シカゴ先物にサヤ寄せする形で、やや売りが先行して始まりそうだ。ナイトセッションでボリンジャーバンドの+1σ(4万0740円)を挟んで推移し、中盤以降は同バンドを下回っての値動きが続いた。FOMCのほか本日から開かれる日銀の金融政策決定会合の結果待ちのなかで、積極的な売買は手控えられそうだ。
また、昨夕に通期の業績予想の上方修正を発表したアドバンテスト<6857.T>[東証P]は、ADR(米預託証券)で5%ほど上昇した。同社が日経平均型を支える形になりそうだが、直近の大幅な調整に対する戻りが限定的になるようだと、先物市場では戻り待ち狙いのショートを誘うきっかけになりそうである。
そのため、+1σを挟んで膠着感の強い展開が続くと考えられ、オプション権利行使価格の4万0500円から4万1000円のレンジを想定しておきたい。+1σが抵抗線として機能してくるようだと、中心値である25日移動平均線(4万0060円)とのレンジが意識されてくる可能性がありそうだ。
29日の米VIX指数は15.98(28日は15.03)に上昇した。一時14.70に低下する場面もみられたが、その後16.12まで上昇し25日線(16.43)に接近した。同線が上値抵抗線として機能しているため、リスク選好に向かわせやすい状況が続いている。
昨日のNT倍率は先物中心限月で14.00倍に上昇した。14.02倍をつける場面もあったが、その後は25日線(14.04倍)、200日線(14.02倍)に上値を抑えられる形となり、一時13.96倍まで下げるなど、-1σ(13.99倍)を挟んで攻防をみせている。アドバンテストの動向次第では、いったんNTロングに振れやすくなりそうだ。
NHKが報じたところによると、ロシアのカムチャッカ半島で発生した地震の影響で、北海道や太平洋沿岸を中心に津波警報が発令された。
日経225先物は11時30分時点、前日比140円安の4万0670円(-0.34%)前後で推移。寄り付きは4万0690円と、シカゴ日経平均先物清算値(4万0640円)にサヤ寄せする形で、売りが先行して始まった。現物の寄り付き直前に4万0760円まで下げ幅を縮めたが戻りは鈍く、中盤にかけて4万0560円まで下げ幅を広げた。終盤にかけては下げ渋る動きをみせており、4万0650円を挟んでの膠着が続いた。
日経225先物は、ボリンジャーバンドの+1σ(4万0750円)を明確に上抜けることができず、同バンドに上値を抑えられる形でショート優勢になっている。ただし、オプション権利行使価格の4万0500円接近ではショートカバーに向かわせているようだ。注目されたアドバンテスト<6857.T>[東証P]は買い先行で始まったがプラス圏をキープできず。日経平均株価は反発して始まったが、寄り付きの4万0744.53円を高値に軟化した。ただし、東証プライムの6割超の銘柄が上昇するなど下へのバイアスは強まっていないため、ショートを仕掛けにくくさせよう。再び+1σ水準を試す動きが入りそうである。
NT倍率は先物中心限月で13.93倍に低下した。一時14.02倍をつける場面もあったが、25日移動平均線(14.04倍)、200日線(14.02倍)に上値を抑えられる形となり、-1σ(13.99倍)を割り込んで-2σ(13.94倍)水準まで下げてきた。トレンドが出やすく、NTショートに振れやすい状況であろう。
国家の税制の変更は、当該国の景気変動と外国資本の流出入に影響を及ぼすため、為替変動要因となる。税率の引き上げは、当該通貨の売り要因、引き下げは買い要因となる。
お金は、金利の低い国から高い国へ移動し、税金の高い国から低い国へ移動する。
1.消費増税=円安要因
ドル円は、過去4回の消費税引き上げを受けて、円安に反応している。いずれも消費増税の数年前にかけて発生した大幅な円高が不況をもたらし、政府の財政出動による財政赤字の拡大が、増税の必要性を高める一方で、日銀の積極的な金融緩和が円安をもたらしている。この結果、消費増税と円安がリンクした可能性がある。
■竹下内閣(1989年)=3.0%
1989年4月、竹下内閣は、消費税(3.0%)を導入した。
ドル・円は、翌年1990年4月にかけて、160円35銭まで上昇した。
1989年当時の日本経済は、1985年9月のプラザ合意を受けた円高不況から、政府の財政出動や日銀の金融緩和などによって反転し、バブル経済に突入していく局面だった。
■橋本内閣(1997年)=5.0%
1997年4月、橋本内閣は、消費税を3.0%から5.0%へ引き上げた。
ドル・円は、翌年1998年8月にかけて、147円64銭まで上昇した。
1997年当時の日本経済は、日米貿易摩擦の激化や金融システム不安に陥っていた。
■安倍内閣(2014年)=8.0%
2014年4月、安倍内閣は、消費税を5.0%から8.0%へ引き上げた。
ドル円は、翌年2015年6月にかけて125.86円まで上昇した。
2014年当時の日本経済は、2013年に打ち出された「アベノミクス」による日銀の異次元緩和などを受けて景気回復途上にあった。
■安倍内閣(2019年)=10.0%
2019年10月、安倍内閣は、消費税を8.0%から10.0%へ引き上げた。
ドル円は、翌年2020年2月にかけて112.23円まで上昇した。
2019年当時の日本経済は、第1次トランプ米政権と中国による米中貿易戦争の悪影響を受けていた。
2.消費減税=円高要因
2025年7月20日に投開票が行われた第27回参議院議員選挙では、給付金を掲げた自民・公明の連立与党は、消費税減税を掲げた野党に敗北し、過半数を割り込んだ。
消費税減税による円高の可能性に警戒することになる。
昨日の海外市場は、完全なFOMC待ち。ドル円は欧州時間にユーロドルが売られると148.74円まで上昇。その後は148.36円まで下押ししたものの、NY時間に入ると再びユーロドルが下落。つれるかたちで148.81円まで値を上げました。引けにかけては、全般様子見気分が強いなか、下押しも148.34円までにとどまると狭いレンジ相場となってイベント前の取引を終えています。米10年債利回りが8bpも低下したものの、月末絡みのデュレーション長期化によるテクニカル的な買いとあって、米7年債入札が好調に終わり、その影響もあったわけですが、ドル円の反応はほとんどないままとなりました。
アジア時間に入ってからは、ロシアカムチャツカでのマグニチュード8.8という東日本大震災以来の大地震。東京湾を含む太平洋沿岸に津波警報が発動されると147.95円まで下押し。ゴトー日とあって本邦実需の買いが観測されると148.17円まで買い戻されましたが、午後に入って再びロシアでの地震が報じられると147.85円まで値を下げました。ただ、実需勢の買い意欲も強く、148円台を回復するなど、神経質な動きを繰り返しているといったところです。
いずれにしても、本日はWSJも報じているように、過去30年間、これまで259回連続の会合において、初めて2人の理事の反対票が投じられるFOMCとなる可能性が高まっていますが、市場は石破首相に比べればまだまだ解任の可能性は低いものの、FRBのビル改修工事現場まで乗り込んできて、ヘルメット会談を行ったトランプ米大統領の政治的圧力を直接浴びせられるかたちとなったパウエルFRB議長の定例記者会見を見守ることになりそうです。
本日のロンドン為替市場では、複数の経済指標を確かめながらの取引となる。ただし、ニューヨーク午後に米連邦公開市場委員会(FOMC)やパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の定例会見が控えているということもあり、指標結果を確認した後はイベント待ちという雰囲気が漂いそうだ。
欧州の経済指標は、フランスとドイツから4-6月期国内総生産(GDP)速報値、またユーロ圏からも同四半期GDP速報値が発表予定。こちらドイツが前期比-0.1%、ユーロ圏も同比±0.0%まで落ち込みが予想されている。アジア市場でユーロドルは下げ渋っているものの地合いが回復したとは言い切れない。そのためGDPの結果がさえないとなれば、ユーロ売り再燃もあり得るだろう。
その他、フランスからは6月消費支出、ドイツから同月小売売上高、スイスからも7月KOF景気指数が発表される。予想から大きく上下に振れれば、欧州通貨の動意に繋がりそうだが、通常であれば相場インパクトはそれほど強くない。
なお欧州午後には、米雇用統計の前哨戦である7月ADP全米雇用報告が発表される。前回は増加予想から一転して結果は減少と、見込みから大きく乖離していた。今回も結果次第では、FOMC前に一波乱あるかもしれない。
想定レンジ上限
・ユーロドル、昨日高値1.1599ドルを超えると日足一目均衡表・基準線1.1674ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、日足一目均衡表・雲の上限1.1497ドルを割り込むと6月23日安値1.1454ドル
ドル円:1ドル=148.03円(前営業日NY終値比▲0.43円)
ユーロ円:1ユーロ=170.98円(▲0.44円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1550ドル(△0.0003ドル)
日経平均株価:40654.70円(前営業日比▲19.85円)
東証株価指数(TOPIX):2920.18(△11.54)
債券先物9月物:137.98円(△0.08円)
新発10年物国債利回り:1.555%(横這い)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は軟調。 ロシア・カムチャツカ半島沖でM8.8の大規模地震が発生し、北海道や太平洋沿岸を中心に津波警報が発令されると海外勢が円買い・ドル売りで反応。本日は5・10日(ゴトー日)だったが、東京仲値にかけた買いも目立たず、午後には一時147.85円まで下値を広げた。
・ユーロ円も弱含み。ロシアでの大地震による日本の津波警報が円高につながったほか、上昇していた日経平均株価がマイナス圏に沈んだことも重しとなった。ユーロ円は一時170.90円まで下落したほか、ポンド円は197.45円、豪ドル円は96.29円まで値を下げた。
・ユーロドルはもみ合い。ドル円の下落に伴って1.1573ドルまで上昇したが、買いは続かずユーロ円が終始軟調に推移した影響から1.1540ドルまで押し戻された。
・日経平均株価は4日続落。海外短期筋から買いが観測された反面、日米金融政策発表を前に持ち高調整の売りに押されるなど、総じて方向感がなかった。
・債券先物相場は3日続伸。夜間取引で上昇した流れを引き継ぎやや買われるも、本日から週末にかけて控えるビッグイベントを前に商いは低調だった。
中国共産党政治局は経済の基礎は安定していると強調し、10月の第4回全体会議開催を決定した。積極的な財政政策や政策運営の柔軟性向上、消費活性化、雇用や市場安定策を推進し、内需拡大に注力する。また、地方政府債務リスク対応や主要産業の生産能力管理にも言及。既存の政策路線を再確認しつつ、内需回復や投資家の懸念緩和に取り組む方針を示した。
欧州中央銀行(ECB)の賃金トラッカーによると、ユーロ圏の賃金上昇率は2026年第1四半期に年率+1.7%と、2024年末のピーク(+5.2%)から大幅に減速する見込みだ。2024年の一時金や賃上げ前倒しの反動が背景。インフレ率はすでに目標圏内に収まり、賃金圧力も和らいできたことで、ECBは9月の追加利下げ見送りが基本シナリオとなっている。
大阪9月限
日経225先物 40660 -150 (-0.36%)
TOPIX先物 2923.0 +10.0 (+0.34%)
日経225先物(9月限)は前日比150円安の4万0660円で取引を終了。寄り付きは4万0690円と、シカゴ日経平均先物清算値(4万0640円)にサヤ寄せする形で、売りが先行して始まった。現物の寄り付き直前に4万0760円まで下げ幅を縮めたが戻りは鈍く、前場中盤にかけて4万0560円まで下げ幅を広げた。
前場終盤にかけては下げ渋る動きをみせたが、後場は開始直後につけた4万0730円が高値、中盤につけた4万0580円が安値だった。結局は前場半ばまでにつけた価格レンジを上下いずれも突破できず、膠着感の強い相場であった。
日経225先物は、ボリンジャーバンドの+1σ(4万0750円)を明確に上抜けることができず、同バンドに上値を抑えられる値動きとなっている。ただし、オプション権利行使価格の4万0500円接近では底堅さがみられており、ショートカバーに向かわせていたようだ。注目されたアドバンテスト<6857.T>[東証P]は買い先行で始まったがプラス圏をキープできず、日経平均株価の重荷になった。
日経平均株価は寄り付きの4万0744.53円が高値、前場中盤につけた4万0556.61円を安値とした狭いレンジでの推移が続いた。ただし、予想を上回る決算で買われたコーニング<GLW>を手掛かりに、フジクラ<5803.T>[東証P]など電線大手3社が揃って高値を更新するなど、地合いの悪さは感じられず、ショートを仕掛けにくくさせていた。
日経225先物は、ボリンジャーバンドの+1σ水準での攻防が続きそうである。米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を受けた米国市場の影響を受けやすいだろうが、国内では日銀の金融政策決定会合の結果待ちのなかで、積極的に仕掛けてくる動きはなさそうだ。もっとも、週末には米雇用統計の発表を控えていることもあり、日米の金融政策決定会合の通過によるアク抜けは期待しにくい。
週足では上向きで推移する+1σ(4万0210円)と+2σ(4万1540円)でのレンジである。+2σに上値を抑えられる形で調整をみせているため、+1σに接近する局面はありそうだ。そのため、オプション権利行使価格の4万0500円を明確に割り込む場面では、短期的にショートを仕掛けつつも、オプション権利行使価格の4万0250円辺りでは押し目狙いのスタンスに向かわせそうである。
NT倍率は先物中心限月で13.91倍に低下した。一時14.01倍をつける場面もあったが、25日移動平均線(14.04倍)、200日線(14.02倍)に上値を抑えられる形となり、その後は-1σ(13.98倍)、-2σ(13.93倍)を割り込み、-3σ(13.88)に接近してきた。バンドが収れんから拡大に転換してくることでトレンドが出やすく、NTショートに振れやすい状況であろう。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万3666枚、ソシエテジェネラル証券が9713枚、サスケハナ・ホンコンが3222枚、モルガンMUFG証券が2427枚、バークレイズ証券が1442枚、日産証券が1314枚、JPモルガン証券が1284枚、ゴールドマン証券が1135枚、松井証券が761枚、ビーオブエー証券が694枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が1万7477枚、ソシエテジェネラル証券が1万6569枚、バークレイズ証券が6281枚、モルガンMUFG証券が3512枚、JPモルガン証券が3121枚、ゴールドマン証券が2597枚、ビーオブエー証券が2432枚、UBS証券が1592枚、野村証券が1389枚、シティグループ証券が1078枚だった。
本日のNY時間では、米連邦公開市場委員(FOMC)の結果に左右される展開になるだろう。
トランプ米大統領からの利下げ圧力が高いものの、今月3日に発表された6月の米雇用統計は好結果となり、15日に発表された6月の消費者物価指数(CPI)は予想やFRBの中長期目標を上回る+2.7%となり、利下げを早急にする要因が少ない。よって、今回のFOMCでも金融政策の現状維持予想が圧倒的に多数だ。また、声明文も昨日の米メディアの予想では、ほぼ6月の会合と似た展開になるとの声が優勢だった。
ただ、市場ではウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事とボウマンFRB副議長が据え置きに反対するとの予想があり、両名の動向に注目が集まる。もし複数の理事が反対票を投票した場合は1993年以来となる。(なお、昨日から始まった会合ではクーグラー理事は個人的な理由で参加せず、本日は11名が投票する。)
投票結果以外ではパウエルFRB議長の会見も市場の目が集まるだろう。トランプ関税の影響にも限らず現時点ではインフレの上振れが限られていることについての見解などが注目されそうだ。
FOMCが最大の注目になるだろうが、結果を受けたトランプ米大統領の発言などに要注意。据え置きに対してのFRB議長への不満を表明することは織り込んでいる相場だが、FRBの独立性を揺るがすような発言があれば市場を動意づけるだろう。また、昨日まで行われた米中閣僚級会談後に、ベッセント米財務長官は「対中関税休戦の最終決定はトランプ大統領が下す」「対中関税延長の決定はトランプ大統領次第」と述べていたことで、大統領がこの件についての発表する可能性もある。ベッセント氏は米国に決定権があるような発言だが、交渉の主導権を握っているのは中国であり、中国が要求した可能性もあるフェンタニル関税の撤廃などが決定された場合は市場が大きく動意づく要因になる。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、29日高値148.81円。大相場になった場合は200日移動平均線149.60円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値は、日足一目均衡表・転換線の147.38円。大相場になった場合は24日につけた参院選挙後の安値145.86円。
今晩は金融政策決定会合に注目。昨日は中国との貿易交渉を巡る不透明感が強まったことや、ボーイングやユナイテッドヘルスなど決算発表銘柄の下落が重しとなりダウ平均が204.57ドル安(-0.46%)と2日続落した。S&P500とナスダック総合は朝方に取引時間中の史上最高値を更新したものの、S&P500が0.30%安と7営業日ぶりに反落し、ナスダック総合も0.38%安と5営業日ぶりに反落した。
今晩の取引では先行きの利下げ見通しを巡り、取引時間午後に結果が公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)に注目が集まる。今会合では政策金利の据え置きがほぼ確実視されているが、CMEのフェドウォッチ・ツールの9月FOMCでの利下げ確率は65%と、市場では9月利下げ期待が高まっている。声明文や会合後のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見で9月利下げを支持する内容となれば好感されるが、利下げに消極的なハト派的内容となれば失望感が強まることが警戒される。このほか、金曜日の7月雇用統計の前哨戦となる7月ADP民間部門雇用者数や、4-6月期国内総生産(GDP)速報値の発表もあり、労働市場や景気動向にも要注目となる。
今晩の米経済指標・イベントはFOMC結果公表、パウエルFRB議長記者会見のほか、MBA住宅ローン申請指数、7月ADP民間部門雇用者数、4-6月期国内総生産(GDP)速報値、6月中古住宅販売仮契約指数など。企業決算は寄り前にヒューマナ、アルトリア、ガーミン、クラフト・ハインツ、GEヘルスケア、ハーシー、ブンゲ、引け後にメタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、クアルコム、ラム・リサーチ、フォード、イーベイなどS&P500採用の50銘柄以上が発表予定。
SMBC日興証券では米国の住宅販売に関して、足元で関税の悪影響が鮮明になっていると指摘している。住宅ローン金利が高止まりする状況で、関税に伴う高い不確実性と経済の下振れリスクが住宅販売の重石になっているとのこと。住宅コストはさらに上昇する可能性が高く、住宅販売は一段と落ち込みかねないとコメントしている。
UBSでは、日米の関税合意や景気刺激策が2026年の経済成長を下支えすると考えており、日銀の利上げ時期予想を2025年12月と2026年6月に前倒ししている。利上げ幅はそれぞれ25ベーシスポイントを見込んでいる。石破首相は続投するとみているが、仮に辞任した場合でも財政規律は維持されると予想している。財政懸念が後退することで債券利回りは安定するとみており、2025年末の10年債利回りは1.5%程度で落ち着くと考えている。
日経平均株価は4日続落。場中は戻りが鈍くさえない展開となったが、上昇基調が続く10日移動平均線(40594円 7/30)付近で底堅さもあり小幅安にとどまる動きとなった。
RSI(9日)は前日の63.9%→63.8%(7/30)と横ばい。昨年7/11に形成したマド埋め(42102円)水準を意識していったん調整が入る格好となっているが、10日移動平均線付近までの微調整の範ちゅうであり、早々に一段高に向かう可能性は依然として高いといえる。RSIが50%超を維持しているほか、一目均衡表の基準線(40365円 同)の上昇基調が続くこともあり、株価の押し上げ効果につながるかが注目される。
上値メドは、5日移動平均線(41122円 同)、7/24高値(42065円)、昨年7/11安値(42102円)、昨年7/11高値(42426円)、43000円などがある。下値メドは、10日移動平均線、心理的節目の4万円、7/22安値(39586円)、心理的節目の39000円、6/18高値(38885円)、200日移動平均線(38246円 同)などがある。
(30日終値:31日2時時点)
ドル・円相場:1ドル=148.93円(30日15時時点比△0.90円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=170.88円(▲0.10円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1474ドル(▲0.0076ドル)
FTSE100種総合株価指数:9136.94(前営業日比△0.62)
ドイツ株式指数(DAX):24262.22(△44.85)
10年物英国債利回り:4.603%(▲0.030%)
10年物独国債利回り:2.706%(▲0.002%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4-6月期仏国内総生産(GDP)速報値
(前期比) 0.3% 0.1%
6月仏消費支出
(前月比) 0.6% 0.1%・改
6月独小売売上高
(前月比) 1.0% ▲0.6%・改
(前年比) 2.4% 4.6%・改
4-6月期独国内総生産(GDP)速報値(季節調整済)
(前期比) ▲0.1% 0.3%・改
(前年同期比) 0.4% 0.3%・改
4-6月期独国内総生産(GDP)速報値(季節調整前)
(前年同期比) 0.0% 0.0%・改
7月ユーロ圏消費者信頼感指数
(確定値) ▲14.7 ▲14.7
7月ユーロ圏経済信頼感指数
95.8 94.2・改
4-6月期ユーロ圏域内総生産(GDP)速報値
(前期比) 0.1% 0.6%
(前年同期比) 1.4% 1.5%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は上昇。米連邦公開市場委員会(FOMC)やパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見の内容を見極めたいとして、しばらくは148.00円を挟んだ狭いレンジ取引が続いた。
ただ、NYの取引時間帯に入り、7月ADP全米雇用報告や4-6月期米国内総生産(GDP)速報値が予想を上回ったことが伝わると、米長期金利の上昇とともに全般ドル買いが活発化。1時過ぎに一時149.13円と日通し高値を更新した。
・ユーロドルは頭が重かった。東京午前に一時1.1573ドルと日通し高値を付けたものの、前日の高値1.1599ドルが目先レジスタンスとして意識されると徐々に上値が重くなった。NY市場に入ると米経済指標の上振れをきっかけに全般ドル買いが優勢となり一時1.1458ドルと6月23日以来の安値を付けた。
・ユーロ円は小安い。ユーロドルの下落につれた売りが出て一時170.71円と日通し安値を付けたものの、ドル円の上昇につれた買いも入ったため一本調子で下落する展開にはならなかった。
・米ドルカナダドルはしっかり。全般米ドル買いが進んだ流れに沿って一時1.3819カナダドルまで値を上げた。
なお、カナダ中銀(BOC)はこの日、政策金利を現行の2.75%に据え置くことを決めたと発表。市場の予想通りとなった。声明では「景気減速がインフレにさらなる下押し圧力をかけ、貿易混乱による物価上昇圧力が抑制されれば、政策金利の引き下げが必要となる可能性がある」と指摘し、追加利下げの余地を残した。また、「カナダ経済が直面するリスクと不確実性に特に注意を払いながら、慎重に対応を進めていく」との姿勢を維持した。
・ロンドン株式相場はほぼ横ばい。FOMCを前に様子見ムードが強く、前日終値付近でのもみ合いが続いた。アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株が買われたほか、ナショナル・グリッドなど公共事業株が値上がりした。
・フランクフルト株式相場は小幅ながら続伸。FOMCやパウエルFRB議長の記者会見の内容を見極めたいとの雰囲気もあり、大きな方向感は出なかった。個別ではコメルツ銀行(4.52%高)やシーメンス・エナジー(4.19%高)、シーメンス・ヘルシニアーズ(1.98%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は上昇した。
30日の日経平均は4日続落。終値は19円安の40654円。米国株安を受けても上昇して始まったが、上方修正を発表したアドバンテスト<6857.T>が買い先行後に失速したことから、早々にマイナス転換。その後、ロシアのカムチャッカ半島付近を震源とした大規模な地震の発生に伴い、日本でも津波警報が発令されたことを受けて、一時下げ幅を3桁に広げた。
ただ、下押し圧力は限定的で、40500円近辺で切り返すと、前引けではプラスを確保。後場はプラス圏が定着せず再びマイナス圏に沈んだものの、下げ幅を3桁に広げることはなく、小幅な下落で取引を終えた。プライムでは値上がり銘柄が圧倒的に多く、TOPIXは上昇した。
東証プライムの売買代金は概算で4兆9400億円。業種別では非鉄金属、繊維、海運などが上昇した一方、空運、サービス、パルプ・紙などが下落した。1Qが大幅な増収増益となったツガミ<6101.T>が後場急伸。半面、下方修正や今期の無配見通しを発表した大阪製鉄<5449.T>が後場に入って急落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1071/値下がり482。米コーニングの株価急騰に刺激され、フジクラや古河電工など電線株が人気化。三菱重工、川崎重工、IHIの防衛大手3社がそろって大きく上昇した。決算を受けてNECが急伸しており、富士通や日立など他の電機株にも買いが波及。証券会社が投資判断を引き上げた住友ファーマが16.3%高と値を飛ばした。
一方、決算が市場の期待に届かなかったキーエンスが大幅安。1Qが減収減益となった村田製作所が後場に入って値を崩した。通期見通しの下方修正がネガティブサプライズとなったシマノはストップ安まで売り込まれた。前日決算で売られたコマツが連日の大幅安。前日ストップ安比例配分となったさくらネットが7.6%安となった。アドバンテストは1Qが大幅な増益となり、通期の見通しも引き上げたが、期待値も相応に高かっただけに1.1%安と下落で終えた。
日経平均は4日続落。決算反応が注目を集めたアドバンテストにそれほど値幅が出なかったこともあり、終日方向感が定まらなかった。下落ではあったが値上がり銘柄が多かった上に、自然災害に関するニュースにも耐性を示しており、底堅かったと言える。半導体株は材料が少ない時期に先んじて大きく水準を切り上げていただけに、決算は良くて当たり前とみられているもよう。あすは引け後に東京エレクトロンが決算発表を予定している。
あすはFOMCと日銀会合の結果を消化する。どちらも政策金利は据え置きが濃厚とみられており、会合後のパウエルFRB議長および植田日銀総裁の会見が重要となる。
FOMCに関しては、トランプ大統領が利下げを強く望んでいる中、FRBから早期の利下げを示唆するようなメッセージが市場に届けられるかどうかが注目される。利下げに消極的と受け止められた場合には、トランプ大統領がFRBに対する批判を強めることで、米債券市場や為替市場が不安定となるリスクがある。
日銀会合に関しては、日米交渉が合意に至ったことで、日銀が利上げを再開するのではないかといった見方が浮上している。日銀が利上げに対してどういったイメージを持っているかを、植田総裁の会見から読み取っていくことになる。日銀総裁会見は引け後のため、あすはFOMCを受けた米国株に好反応が見られるようなら、日本株にもプラスの影響が及ぶだろう。ただし、米国で早期の利下げ期待が高まり、日本で早期の利上げが意識された際には、日米金利差縮小観測から円高・ドル安が進行する可能性がある。急激な円高は日本株には逆風となるだけに、為替動向には注意を払っておきたい。
(30日終値)
ドル・円相場:1ドル=149.51円(前営業日比△1.05円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=170.51円(▲0.91円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1405ドル(▲0.0142ドル)
ダウ工業株30種平均:44461.28ドル(▲171.71ドル)
ナスダック総合株価指数:21129.68(△31.39)
10年物米国債利回り:4.37%(△0.05%)
WTI原油先物9月限:1バレル=70.00ドル(△0.79ドル)
金先物12月限:1トロイオンス=3352.8ドル(▲28.4ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
MBA住宅ローン申請指数
(前週比) ▲3.8% 0.8%
7月ADP全米雇用報告
10.4万人 ▲2.3万人・改
4-6月期米国内総生産(GDP)速報値
(前期比年率) 3.0% ▲0.5%
個人消費速報値
(前期比年率) 1.4% 0.5%
コアPCE速報値
(前期比年率) 2.5% 3.5%
6月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数)
(前月比) ▲0.8% 1.8%
(前年比) ▲0.3% ▲0.3%
米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利
4.25-4.50%で据え置き 4.25-4.50%
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は反発。7月ADP全米雇用報告や4-6月期米国内総生産(GDP)速報値が予想を上回ったことが伝わると、全般ドル買いが先行。1時過ぎに一時149.13円まで値を上げた。そのあとは米連邦公開市場委員会(FOMC)やパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見の内容を見極めたいとして値動きが鈍った。
FRBは今日まで開いたFOMCで市場予想通り政策金利を4.25-4.50%で据え置くことを決めたと発表。声明では「純輸出の変動が引き続きデータに影響を及ぼしているものの、最近の指標は今年上期の経済活動の成長が緩やかになったことを示している」と指摘し、米経済に対する認識を下方修正した。また、ボウマンFRB副議長とウォラーFRB理事が0.25%の利下げを主張し、決定に反対票を投じたことが明らかに。FOMC声明を受けてドル円は148.53円付近まで上値を切り下げる場面があった。
ただ、ドル売りでの反応は一時的だった。パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で「経済は堅調な状況にある」「インフレ率は目標をやや上回っている」「インフレリスクへの対応として、現在のスタンスは適切だと認識」「9月FOMCについては何も決定していない」などと発言。市場では「タカ派的」と受け止められ、米長期金利の上昇とともにドル買いが広がった。取引終了間際には一時149.54円と4月2日以来の高値を更新した。
・ユーロドルは5日続落。米経済指標の上振れをきっかけに全般ドル買いが先行すると、一時1.1458ドルまで下落した。
FOMC声明で景気判断が下方修正され、約32年ぶりに理事2人が反対票を投じたことが判明するとドル売りで反応し、1.1503ドル付近まで下げ渋る場面もあったが、すぐに失速した。パウエルFRB議長が早期利下げに慎重な見方を示すと再びドル買いが優勢となり、取引終了間際に一時1.1401ドルと6月10日以来の安値を更新した。
なお、主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時99.97と5月29日以来の高水準を付けた。
・ユーロ円は3日続落。ドル円の上昇につれた買いが入った半面、ユーロドルの下落につれた売りが出た。5時30分前に一時170.45円と日通し安値を更新した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落。パウエルFRB議長がFOMC後の記者会見で、早期利下げに慎重な見方を示すと株売りが優勢となった。
一方、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は反発した。パウエルFRB議長の会見を受けて下げに転じる場面もあったが、下値は限定的だった。取引終了後のマイクロソフトとメタプラットフォームズの四半期決算への期待から買いが入った。
・米国債券相場で長期ゾーンは反落。7月ADP全米雇用報告や4-6月期米GDP速報値が予想を上回ったことを受けて売りが進んだ。パウエルFRB議長がFOMC後の記者会見で、早期利下げに慎重な見方を示したことも相場の重し。
・原油先物相場は3日続伸。4-6月期米GDP速報値が予想を上回り、米景気先行きに対する過度な懸念が和らぎ、原油先物は買いが先行した。米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間在庫統計で原油在庫が減少予想に反して大幅な積み増しとなり、一時売り圧力が強まるも、トランプ米政権による対ロシア経済制裁の発動が警戒されるなか堅調な動きとなった。
・金先物相場は反落。この日発表の7月ADP全米雇用報告と4-6月期米GDP速報値が予想より強い結果だったことを受けて米経済への楽観的な見方が強まり、米早期利下げ思惑が後退した。米長期金利が上昇し、金利を生まない金は売りに押された。
共同通信が報じたところによると、「自民党は、党の重要な意思決定機関である両院議員総会を8月8日に開催する方針を固めた」ようだ。
30日16:11 習・中国国家主席
「過度な競争を打破しなければならない」
「より積極的なマクロ政策を強化する」
「内需拡大を呼びかける」
「通年の経済目標達成に努力が必要」
30日21:14 トランプ米大統領
「インドは8月1日から25%の関税を払うことになる」
「インドはロシアから購入していることでペナルティを払う」
31日02:43
「EUと日本との貿易協定を称賛」
「他の国々と交渉中」
「パウエルFRB議長は本日、利下げを行わないだろう」
30日22:48 カナダ銀行(BOC、カナダ中央銀行)声明
「米貿易政策の一部はここ数週間で具体化し始めているが、貿易交渉は流動的であり、新たなセクター別関税の脅威は依然として存在する」
「米国の貿易行動は依然として予測不能」
「こうした状況を受け、カナダおよび世界のGDP成長率とインフレ率に関する従来のベースケース予測は示されていない」
「代わりに、7月27日時点で発動済みまたは合意済みの関税に基づく現在の関税シナリオと、関税がエスカレートした場合と緩和した場合の2つの代替シナリオを示している」
「米国の関税措置は世界貿易の変動を招いているものの、世界経済は比較的底堅く推移している」
「原油価格は、多少の変動はあるものの、4月の水準に近づいた」
「世界の株式市場は上昇し、企業の信用スプレッドは縮小。長期国債利回りは上昇した」
「カナダの為替レートは、全般的に下落している米ドルに対して上昇した」
「現在の関税シナリオでは、世界経済の成長率は2025年末までに2.5%程度まで緩やかに減速し、その後2026年から2027年にかけて3%程度まで回復すると予想」
「全体として経済は今のところある程度の回復力を示している」
「依然として高い不確実性、カナダ経済の底堅さ、そして基調的なインフレへの継続的な圧力を踏まえ、理事会は政策金利を据え置くことを決定した」
「景気減速によるインフレ下押し圧力と、関税や貿易再編に伴うコスト上昇によるインフレ上昇圧力の双方について、その時期と強さを引き続き評価していく」
「景気減速がインフレにさらなる下押し圧力をかけ、貿易混乱による物価上昇圧力が抑制されれば、政策金利の引き下げが必要となる可能性がある」
「理事会は、カナダ経済が直面するリスクと不確実性に特に注意を払いながら、慎重に対応を進めていく」
「これらのリスクと不確実性には、米国の関税引き上げがカナダの輸出品に対する需要をどの程度減少させるか、これが企業投資、雇用、家計支出にどの程度波及するか、関税や貿易混乱によるコスト上昇がどの程度の速さで消費者物価に転嫁されるか、そしてインフレ期待がどのように変化するかが含まれている」
「我々はこの世界的な混乱の時期を通して、カナダ国民が物価安定への信頼を維持し続けることに注力していく」
「我々はインフレが適切に抑制された状態を維持しながら経済成長を支援していく」
31日00:04 ベッセント米財務長官
「本日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げは予想していない」
※時間は日本時間
31日03:00 米連邦公開市場委員会(FOMC)声明
「純輸出の変動は引き続きデータに影響を与えているものの、最近の指標は今年上半期の経済活動の成長が緩やかになったことを示している」
「失業率は低水準を維持し、労働市場の状況は引き続き堅調だ」
「インフレ率は依然やや高止まりしている」
「委員会は雇用最大化と長期的な2%のインフレ率の達成を目指す」
「経済見通しに関する不確実性は依然として高く、委員会は2つの使命の両面に対するリスクを注視している」
「目標達成を支援するため、委員会はFF金利の目標誘導レンジを4.25-4.50%に維持することを決定した」
「FF金利の目標誘導レンジに対する追加調整の程度と時期を検討するに当たり、委員会は今後もたらされるデータ、変化する見通し、リスクのバランスを慎重に評価する」
「委員会は保有する米国債およびエージェンシーローン担保証券の削減を続ける」
「委員会は雇用最大化を支援し、インフレ率を2%の目標に戻すことに強く取り組む」
「金融政策の適切な姿勢を評価するに当たり、委員会は今後もたらされる経済見通しに関する情報の意味を引き続き監視する」
「もしも委員会の目標の達成を妨げる可能性があるリスクが生じた場合、委員会は金融政策の姿勢を適切に調整する準備がある」
「委員会の評価は、労働市場の状況、インフレ圧力、インフレ期待、金融と世界の動向を含む幅広い情報を考慮する」
「反対票を投じたのはボウマン氏とウォラー氏で、両氏は今回の会合で0.25%の利下げを支持した」
31日03:39 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長
「経済は堅調な状況にある」
「インフレ率は目標をやや上回っている」
「現在の政策スタンスにより、タイムリーに対応できる体制が整っている」
「成長の鈍化は、消費者支出の減速を反映」
「失業率は低く、狭い範囲にとどまっている」
「個人消費支出(PCE)は2.5%、コアは2.7%の上昇を予想」
「長期インフレ期待を示す指標のほとんどは、この目標と整合」
「関税で一部の財価格は押し上げられている」
「インフレリスクは一時的な物価上昇にとどまるというのが妥当なベースシナリオ。ただ、不確実性は残る」
「関税のインフレへの影響は短命というのが妥当な見方」
「インフレリスクへの対応として、現在のスタンスは適切だと考えている」
「夏の終わりまでに政策見直しを完了する予定」
「我々は適度に抑制的な政策をとっている」
「インフレ率は関税の影響を除いても2%をわずかに上回っている」
「経済は、金利が不適切に経済を抑制しているような動きではない」
「今後数カ月でより多くの情報が得られると予想」
「9月FOMCについては何も決定していない」
「労働市場に下向きのリスクが見られる」
「今注目すべき主な指標は失業率」
「GDPは予想通りの結果となった」
「労働者の需要と供給はほぼ同じペースで減少」
「労働市場には下振れリスクが存在」
「反対意見については、明確な説明が求められており、本日はその説明が得られた」
「インフレ率は目標をわずかに上回っており、失業率は目標水準にある」
「関税の影響は一部消費者物価に現れ始めている」
「深刻なインフレに発展しないよう、万全を期する」
「金利変更に伴う政府のコストは考慮しない」
「もし考慮すれば、我々の信頼性にとって好ましくない」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◎ 6月鉱工業生産速報(予想:前月比▲0.8%/前年比1.3%)
○08:50 ◇ 6月商業販売統計速報(小売業販売額、予想:前年比1.8%)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○未定 ☆ 日銀金融政策決定会合、終了後政策金利発表(予想:0.50%で据え置き)
○未定 ◎ 経済・物価情勢の展望(7月、基本的見解)
○14:00 ◇ 6月新設住宅着工戸数(予想:前年比▲16.4%)
○14:00 ◇ 7月消費動向調査(消費者態度指数 一般世帯、予想:35.0)
○15:30 ☆ 植田和男日銀総裁、定例記者会見
○19:00 ◇ 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
<海外>
○10:30 ◎ 7月中国製造業購買担当者景気指数(PMI、予想:49.7)
○10:30 ◇ 4-6月期豪輸入物価指数(予想:前期比▲0.4%)
○10:30 ◎ 6月豪住宅建設許可件数(予想:前月比1.8%)
○10:30 ◎ 6月豪小売売上高(予想:前月比0.4%)
○15:00 ◇ 6月独輸入物価指数(予想:前月比▲0.2%/前年比▲1.6%)
○15:30 ◇ 6月スイス小売売上高
○15:45 ◇ 7月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.2%/前年比1.0%)
○15:45 ◇ 6月仏卸売物価指数(PPI)
○16:00 ◇ 6月トルコ貿易収支(予想:82.0億ドルの赤字)
○16:55 ◎ 7月独雇用統計(予想:失業率6.3%/失業者数変化1.50万人)
○17:30 ◎ 4-6月期香港域内総生産(GDP)速報値(予想:前期比0.1%/前年比2.8%)
○18:00 ◎ 6月ユーロ圏失業率(予想:6.3%)
○18:30 ◇ 6月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比0.6%)
○20:30 ◇ 7月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:00 ◎ 6月南アフリカ貿易収支(予想:252億ランドの黒字)
○21:00 ◎ 7月独CPI速報値(予想:前月比0.2%/前年比2.0%)
○21:30 ☆ 5月カナダGDP(予想:前月比▲0.1%/前年比1.1%)
○21:30 ☆ 4-6月期米雇用コスト指数(予想:前期比0.8%)
○21:30 ◎ 6月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.4%)
◎ 6月米個人所得(予想:前月比0.2%)
☆ 6月米PCEデフレーター(予想:前年比2.5%)
☆ 6月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.3%/前年比2.7%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.3万件/195.3万人)
○22:00 ☆ 南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:7.00%に引き下げ)
○22:45 ◎ 7月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:42.0)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
30日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、予想通りに政策金利が据え置かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)後のパウエルFRB議長の記者会見がタカ派だったことで、149.54円まで上昇した。ユーロドルは1.1401ドルまで下落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、日銀金融政策決定会合では現状の金融政策の維持が見込まれており、注目ポイントは植田日銀総裁の記者会見となる。
植田日銀総裁は、これまでの金融政策の現状維持の理由にトランプ関税の不確実性を挙げていた。しかし、先日の日米関税合意により、昨年までの関税率1.6%(※除くコメ)が15%に引き上げられたことで、不確実性が後退しており、利上げ時期への言及に要注目となる。
23日の内田日銀副総裁の講演では、日米の関税交渉の合意について「大変、大きな前進だ。日本経済にとって関税政策をめぐる不確実性の低下につながる」と述べ、経済や物価情勢の改善に応じて利上げを進める方針も改めて表明していた。
米連邦準備理事会(FRB)が、6月の米消費者物価指数(CPI)が前年比+2.7%なのに、政策金利を4.25-50%に据え置いたのは、オーバーキルの可能性が指摘されている。一方で、日本銀行が6月の日本のCPIが前年比+3.3%なのに、政策金利を0.50%に据え置くのは、アンダーキルの可能性があり、不確実性の逓減により、日米金融政策の中立金利水準に向けた収束が待たれるのではないだろうか。
本日の植田日銀総裁の会見でのリスクシナリオは、1年前に政策金利を0.25%に利上げした後に「0.5%が壁になるとは認識していない」と述べつつ、中立金利の下限である1%を意識した見通しを示したことの再現となる。
とはいえ、植田日銀総裁がハト派的な見解を示した場合は、ドル円は200日移動平均線149.59円を上抜けて150円台に乗せる可能性が高まる。
先日、トランプ米大統領は赤沢経済再生相との日米関税合意の席で、「日本が円安を望んでいる。私は強いドルを好むが、ドル安の方がお金は稼げる」と述べていた。そして、円安の要因を日銀の低金利だと指摘しているベッセント米財務長官は、日米関税合意について、「トランプ大統領が日本の実行状況に不満であれば、関税率は自動車も含めて25%に逆戻りする」と述べていた。
日本の為替政策を管轄する三村財務官は、赤沢経済再生相の傍らでトランプ米大統領の円安牽制発言を聞いており、15%の関税を死守するためにドル高・円安の阻止に動く可能性を警戒しておきたい。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 40730 +70 (+0.17%)
TOPIX先物 2928.5 +5.5 (+0.18%)
シカゴ日経平均先物 40640 -20
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
30日の米国市場はNYダウ、 S&P500が下落した一方で、ナスダックは上昇。4-6月期の米実質国内総生産(GDP)は前期比年率で3.0%増だった。市場予想を上回り、トランプ関税による経済の下押し懸念が後退した。米連邦準備理事会(FRB)は30日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、市場の予想通り政策金利を据え置いた。パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で早期利下げに慎重な見解を示した。不確実性は非常に多いと述べ、次回9月の利下げ期待が後退したことは相場の重荷になった。
S&P500業種別指数は半導体・同製造装置、ヘルスケア機器・サービス、公益事業が上昇した半面、耐久消費財・アパレル、家庭用品・パーソナル用品、素材の弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、エヌビディア<NVDA>、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、キャタピラー<CAT>、JPモルガン・チェース<JPM>、シスコシステムズ<CSCO>が買われた。一方で、スリーエム<MMM>、プロクター・アンド・ギャンブル<PG>、シェブロン<CVX>、ナイキ<NKE>が軟調。
シカゴ日経平均先物清算値は大阪比20円安の4万0640円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比変わらずの4万0660円で始まった。その後は4万0780円まで買われ、米国市場の取引開始後は4万0660円~4万0760円辺りで保ち合いを継続。終盤に4万0480円まで下落する局面もみられたが、引けにかけて切り返し、4万0730円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物は終盤にかけて荒い値動きとなったが、プラス圏を回復して終えたことで安心感につながろう。また、米国市場の取引終了後に決算を発表したマイクロソフト<MSFT>とメタ・プラットフォームズ<META>は、いずれも市場予想を上回る内容だったとして時間外取引で急伸している。米ハイテク株高に加えて、為替市場で円相場が1ドル=149円台半ばと円安に振れて推移していることが材料視され、買い先行で始まることが期待される。
日経225先物は一時4万0480円と節目の4万0500円を割り込む場面もみられたが、その後は急速に切り返していることで、同水準が支持線として意識されやすい。ボリンジャーバンドの+1σ(4万0790円)を突破してくることが見込まれ、同バンドでの底堅さを見極めることになりそうだ。そのため、オプション権利行使価格の4万0750円を中心とした上下の権利行使価格となる4万0500円から4万1000円のレンジを想定する。
+1σが支持線として意識されるようだと、直近の調整に対するショートカバーを誘う可能性もあるため、+2σ(4万0450円)とのレンジが意識されてきそうだ。決算発表が本格化しているなかで積極的にポジションを傾けにくいところだが、押し目待ち狙いのロング対応に向かわせよう。
30日の米VIX指数は15.48(29日は15.98)に低下した。一時17.27まで急伸し、25日移動平均線(16.38)を上抜ける場面もみられた。ただし、その後は軟化し同線を下回って終えている。市場心理をやや神経質にさせそうであるが、リスク選好に傾きやすい状況は続いているとみておきたい。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.91倍に低下した。一時14.01倍をつける場面もあったが、25日線(14.04倍)、200日線(14.02倍)に上値を抑えられる形となり、その後は-1σ(13.98倍)、-2σ(13.93倍)を割り込み、-3σ(13.88)に接近してきた。バンドが収斂から拡大に転換してくることでトレンドが出やすくなるが、一気に-3σまで下げたことで、NTショートを巻き戻す動きが入りそうだ。
東京市場はしっかりか。米国株はまちまち。ダウ平均とS&P500が下落した一方、ナスダックは上昇した。ダウ平均は171ドル安の44461ドルで取引を終えた。FOMCでは大方の予想通り、政策金利は据え置かれた。パウエルFRB議長が9月の利下げに慎重な姿勢を示したことが嫌気されて3指数とも下を試す場面があったが、引けにかけては持ち直してナスダックはプラスを確保した。早期の利下げ観測が後退して、米10年債利回りは上昇。ドル円は足元149円40銭近辺と円安(ドル高)に振れている。CME225先物は円建てが20円安の40640円、ドル建てが20円高の40680円で取引を終えた。
米3指数の方向はそろわなかったが、早期の利下げ期待が高まらなかった中でナスダックがプラスで終えたことは安心材料。引け後に決算を発表したマイクロソフトやメタが時間外で大きく上昇しており、日本のハイテク株にはプラスの影響が見込まれる。円安も日本株を下支えする公算が大きい。本日は日銀金融政策決定会合の結果が公表されるが、FOMCを通過して円安が進んだことから、円高加速に対する警戒は大きく後退する。引け後の植田総裁会見を見極めたい状況だけに高くなればリスク回避の動きは出てくるとみるが、現状からさらに売り込む理由は乏しく、下値は堅いと予想する。日経平均の予想レンジは40550-40850円。
昨日のドル円は、アジア時間の津波警報を受けて米系短期勢が売り仕掛けたものの、月末絡みの実需勢の買いなどが厚く、結局は買戻しを余儀なくされる結果となりました。欧州時間からショートカバーが先行するなか、NY時間に入ってからは7月ADP全米雇用報告や4-6月期米GDP速報値が予想を大幅に上回る強い数字となると、米長期金利の上昇につれて149.13円まで上昇。16日の高値149.18円が目先の目処として意識されると戻り売りとなるなか、FOMCの声明文で経済認識が下方修正されていたことを確認すると148.53円まで下押ししたものの、パウエルFRB議長が「9月FOMCについては何も決まっていない」とトランプ米大統領からのいわれなき利下げ圧力を全く無視する発言となったことから、一気に149.54円まで値を上げたといったところです。
いずれにしても、昨日のFOMCの決定や、1993年以来初めての2人の理事による反対票も市場が予想していた結果に過ぎず、ましてや、パウエルFRB議長の記者会見での内容も、「特別サプライズなものではなく、これまでの見解をそのまま表明しただけ」だったものの、直前に米大統領にFRBのビル改修工事現場にまで乗り込まれた状況を鑑みるに、「何らかの配慮ある発言になるかもしれない」との淡い期待感が市場にあったのも事実。アジア時間の津波警報で売り込んだファンド勢の踏み上げとなったのはいうまでもありませんでした。
本日はランチタイムに日銀が政策金利を発表して、15時30分からの植田日銀総裁の記者会見待ちとなっているわけですが、月末という特殊要因も重なって、需給関係はタイトな状況が続いています。ドル円は目先、200日MAが位置する149.59円や週足の一目雲下限となっている150.76円付近を意識する展開となっていきそうです。
日経225先物は11時30分時点、前日比360円高の4万1020円(+0.88%)前後で推移。寄り付きは4万0800円と、シカゴ日経平均先物清算値(4万0640円)を大きく上回る形で、買いが先行して始まった。現物の寄り付き直後に4万0690円まで上げ幅を縮めたが、その後は再びロング優勢の動きが強まり、終盤にかけて4万1030円まで買われた。
日経225先物は、ボリンジャーバンドの+1σ(4万0810円)を上回って始まり、いったん割り込んだものの、ショートの動きは限られた。同バンドを再び上抜けてくるとショートカバーを誘う形になり、4万1000円台を回復した。米連邦公開市場委員会(FOMC)通過でアク抜け的な動きのほか、マイクロソフト<MSFT>とメタ・プラットフォームズ<META>の決算評価による時間外取引での上昇が支援材料になった。
アドバンテスト<6857.T>[東証P]は小安く推移しているが、一方で、ソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]や京セラ<6971.T>[東証P]、東京エレクトロン<8035.T>[東証P]などが日経平均型を牽引。日銀の金融政策決定会合の結果待ちのなか、結果判明でアク抜けに向かわせるかが注目される。4万1000円固めの動きになるようだと、ショートカバーが強まる可能性はありそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.93倍に上昇した。ただし、東証プライムの7割超の銘柄が上昇しているなかでは、NTショートを巻き戻す動きは限られている。+3σ(13.87倍)と+2σ(13.92倍)辺りでの推移であり、+2σを明確に上抜けてくるのを見極めたいところであろう。
1.2025年8月のリスクシナリオ
金融市場では、8月は市場参加者がバカンス気分で油断しているせいなのか、金融危機に襲われがちな季節としてトラウマになっている。
今年の8月は、2008年9月のリーマンショック、2020年2月のコロナショック、2024年8月の令和ブラックマンデーなどに符号した水星逆行(Mercurial retrograde)が予定されており、警戒感が高まっている。
すなわち、地政学リスクの激化(ウクライナ戦争や中東紛争)、8月21-23日のジャクソンホール会合を控えてトランプ米大統領が次期FRB議長を指名する可能性、習中国国家主席が8月27-30日に開催予定の党中央委員会第4回全体会議で引退する可能性などに要警戒となる。
2.「8月の円高」というトラウマ
■ イラクのクウェート侵攻
1990年8月2日、イラクのフセイン政権は、クウェートに侵攻した。1991年1月17日、多国籍軍によるイラク空爆により湾岸戦争が勃発した。
ドル円は、8月2日の高値151.60円から10月の123.70円まで下落した。
■ アジア通貨危機
1997年7月、アジアの新興国諸国で一斉に通貨が暴落し、8月にかけてアジア全体が不況に陥った。ドル円は、5月の高値127.48円から、6月には110.61円まで下落していた。
■ ロシアショック
1998年8月17日、ロシア政府は、対外債務の90日間の支払い停止を宣言した。
ドル円は、8月11日の高値147.64円から9月11日の128円台まで約20円下落した。
■ パリバショック
2007年8月9日、仏銀行最大手のBNPパリバ銀行傘下のミューチュアルファンドが、サブプライムローンの証券化商品の混乱により解約を凍結された。
ドル円は、8月9日の119円台から8月17日の111円台まで下落した。
■米国債格下げ
2011年8月5日、米格付け機関スタンダード&プアーズが、アメリカの長期発行体格付けを『AAA』から『AA+』に格下げした。当時、米国議会は、米国債務上限の引き上げを巡る問題で紛糾しており、デフォルト(債務不履行)のリスクが警戒されていた。
ドル円は、80円前後から10月31日の変動相場制移行後の最安値75.32円まで下落した。
■中国人民元切り下げ
2015年8月11日、中国人民銀行は、中国人民元の対ドル基準値を前日比1.9%切り下げ、その後12日、13日と3日間で約4.7%の中国人民元切り下げを断行した。
ドル円は、125円台から月末の116円に向けて約9円下落した。
■米中貿易・通貨安戦争の勃発
2019年8月1日、トランプ大統領が対中制裁関税第4弾を9月1日から発動する、と表明し、中国商務省は、国営企業に対して米国産農産物の輸入停止を要請し、報復関税措置の発動を表明したことで、米中貿易戦争が再燃した。さらに、中国人民銀行が、ドル・人民元が1ドル=7元以上に上昇することを黙認したことで、人民元安誘導という「為替操作」の思惑が強まり、米財務省は中国を「為替操作国」に認定し、米中通貨安戦争が勃発した。ドル円は109.32円から104.46円まで下落した。
■令和のブラックマンデー
2024年8月5日、日経平均株価は4451.28円(▲12.40%)下落して、1987年10月20日の「ブラックマンデー」の下げ幅3836.48円(▲14.9%)を上回り、「令和のブラックマンデー」となった。NYダウは、1033.99ドル(▲2.60%)下落した。
ドル円は、7月3日に到達した1986年12月以来の高値161.95円から、141.70円まで約20.25円下落した。
本日のロンドン為替市場では、序盤は植田日銀総裁の定例会見を受けた円相場中心の動きとなりそうだ。米国は15%の高い関税率を日本製品に賦課するものの、日米の貿易協議はひとまず決着。最悪な展開は免れたとし、金融政策を遂行するうえで障害とされたトランプ関税による「不確実性」が薄まった。そういったなか植田総裁が、市場が次の一手とみる「追加利上げ」について、何かしらのヒントを示すのか注目される。
昨日のドル円は、好調な米経済指標やパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の早期利下げ慎重スタンスを受けて149円半ばまで上昇した。一方ユーロ円はユーロドルの下げにより反応し、170円半ばまで下落。執筆時点では170円手前まで下げ幅を広げている。前回の日銀会合は6月17日であり、そこからユーロ円は今週初につけた173.97円まで約7円上昇した。ユーロ円のここ数日の下押しを調整とみるか、または天井を打ったとみるかは、本日の日銀金融イベントに左右されそうだ。
昨日の米指標やパウエルFRB議長の会見を受け、ユーロドルは1.14ドルに迫る水準まで5日続落した。本日はドイツやフランスの7月消費者物価指数(CPI)速報値や、ドイツの同月雇用統計が発表予定。相場の反応が鈍いときも多いが、ユーロ相場の地合いが弱いだけに、予想を下回るようだとユーロドルが下値余地を探る展開もありそうだ。
ただし、欧州午後(NY序盤)にはFRBが重要視する個人消費支出(PCE)デフレーターの6月分が発表される。結局は米指標の結果に市場は左右される、ということになるかもしれない。
想定レンジ上限
・ユーロ円、30日高値171.55円
・ユーロドル、ピボット・レジスタンス1の1.1518ドル
想定レンジ下限
・ユーロ円、2日安値169.04円
・ユーロドル、5月30日安値1.1313ドル
ドル円:1ドル=148.79円(前営業日NY終値比▲0.72円)
ユーロ円:1ユーロ=170.16円(▲0.35円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1436ドル(△0.0031ドル)
日経平均株価:41069.82円(前営業日比△415.12円)
東証株価指数(TOPIX):2943.07(△22.89)
債券先物9月物:138.03円(△0.05円)
新発10年物国債利回り:1.550%(▲0.005%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月鉱工業生産・速報値
前月比 1.7% ▲0.1%
前年同月比 4.0% ▲2.4%
6月商業販売統計速報(小売業販売額)
前年同月比 2.0% 1.9%・改
対外対内証券売買契約等の状況(前週)
対外中長期債
3316億円の処分超 1兆6438億円の所得超・改
対内株式
7433億円の取得超 5719億円の所得超
日銀金融政策決定会合(日銀金融市場調節目標)
0.50% 政策金利 0.50%
6月新設住宅着工戸数
前年同月比 ▲15.6% ▲34.4%
7月消費動向調査(消費者態度指数、一般世帯)
33.7 34.5
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は軟調。昨日の大幅上昇に対する利食い売りが先行。月末に絡んだ本邦輸出企業の売りも出たほか、日銀が金融政策決定会合で政策金利を据え置き、展望レポートで2025年度の物価見通しを引き上げたことも嫌気され、一時148.59円まで下げ足を速めた。一巡後は148.90円台まで下げ渋ったが、戻りは鈍かった。
・ユーロドルはじり高。昨日のドル大幅高に対する持ち高調整の動きが強まったため、ユーロ買い・ドル売りが進行。一時1.1454ドルまで値を上げた。
・ユーロ円は弱含み。ドル円の下落につれたうえ、日銀の物価見通し上方修正を受けて一時169.73円まで値を下げる場面があった。もっとも、急ピッチで下げた反動から一巡後は170.30円台まで切り返している。
・日経平均株価は5営業日ぶりに反発。昨日の米ハイテク株高を受けて半導体関連株が相場を主導した。決算を物色した個別銘柄への買いが入ったほか、日銀が金融政策の現状維持を発表すると指数は上げ幅を拡大した。
・債券先物相場は4日続伸。昨日の米国債券相場が下落した流れを引き継いで売りが先行した。ただ、日銀の発表を受けて「早期の利上げを示唆するものはなかった」との見方から午後は買い戻しが優勢となった。
大阪9月限
日経225先物 41200 +540 (+1.32%)
TOPIX先物 2949.0 +26.0 (+0.88%)
日経225先物(9月限)は前日比540円高の4万1200円で取引を終了。寄り付きは4万0800円と、シカゴ日経平均先物清算値(4万0640円)を大きく上回る形で、買いが先行した。現物の寄り付き直後に4万0690円まで上げ幅を縮めたが、その後は再びロングがとなり、前場終盤にかけて4万1000円台を回復。ランチタイム以降は4万0930円~4万1050円辺りで保ち合いを継続したが、中盤辺りにレンジを上抜けると、終盤にかけて一段高となった。
日経225先物は、ボリンジャーバンドの+1σ(4万0830円)を上回って始まり、いったん割り込んだものの、ショートの動きは限られた。同バンドを再び上抜けるとショートカバーを誘い、4万1000円台を回復した。米連邦公開市場委員会(FOMC)通過でアク抜け的な動きのほか、マイクロソフト<MSFT>とメタ・プラットフォームズ<META>の決算評価による時間外取引での上昇が支援材料になった。
日銀の金融政策決定会合では、予想通り政策金利が据え置かれた。「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では25年度以降の物価見通しを引き上げており、利上げを肯定するややタカ派的な内容と受け止められ、メガバンクなどへの物色に向かわせていた。
アドバンテスト<6857.T>[東証P]は下落して始まり、寄り付き直後には1カ月ぶりに1万円の大台を割り込んだ。ただし、その後は徐々に下げ幅を縮め、後場にはプラス圏を回復。ソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]や京セラ<6971.T>[東証P]なども終日強含みで推移しており、インデックスに絡んだ資金が断続的に流入していたとみられる。
日経225先物の+1σは4万0910円に切り上がってきており、+2σは4万1600円辺りに位置する。節目の4万1000円固めが意識されてくるなかで、+1σに接近する局面では押し目待ち狙いのロング対応に向かわせよう。
なお、中国当局はエヌビディア<NVDA>のAI半導体「H20」に安全保障上のリスクがあると指摘したと報じられている。米中の通商交渉の行方に影響を及ぼす可能性があるため、この報道を受けたエヌビディアなど半導体株の動向には注意する必要がありそうだ。
そのため、+1σ水準を中心に、オプション権利行使価格の4万0500円から4万1500円のレンジを想定しつつ、目先的には4万1000円水準での底堅さを見極めることになろう。
NT倍率は先物中心限月で13.97倍に上昇した。前場は+3σ(13.88倍)と+2σ(13.93倍)辺りでの推移だったが、後場に入り+2σを明確に上抜けてきた。終盤にかけて-1σ(13.98倍)に接近しており、NTロングに振れる形になった。200日移動平均線(14.01倍)、25日線(14.04倍)を捉えてくる可能性もありそうだ。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万6206枚、ソシエテジェネラル証券が1万1457枚、サスケハナ・ホンコンが4076枚、JPモルガン証券が2345枚、バークレイズ証券が2273枚、日産証券が1548枚、モルガンMUFG証券が1472枚、SBI証券が1107枚、野村証券が1018枚、ゴールドマン証券が936枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が2万2686枚、ソシエテジェネラル証券が1万9621枚、バークレイズ証券が7575枚、ゴールドマン証券が4585枚、JPモルガン証券が3788枚、ビーオブエー証券が3648枚、モルガンMUFG証券が3524枚、シティグループ証券が1428枚、UBS証券が1299枚、BNPパリバ証券が1085枚だった。
ドル円は昨日発表された米経済指標が好結果だったことや、植田日銀総裁が早期利上げについての言及もなかったほか、「足もとの為替の動き、物価見通しに直ちに影響あるとは見ていない」と発言し、現行の水準は円安と捉えていないことで堅調推移となっている。
本日のNY時間では、米連邦準備理事会(FRB)が重要視するインフレ指標の米個人消費支出(PCE)デフレーターの結果に注目することになるが、ドル円は上値を探りやすい展開になりそうだ。また、明日期限を迎えるトランプ政権の高関税停止期間を前に、トランプ米大統領の発言などにも警戒が必要だ。
6月のPCEデフレーターは前年比で、5月の+2.3%からさらに上昇し+2.5%予想となっている。4月には+2.1%まで弱まった同指標だが、トランプ関税の影響もあってか再び上昇基調をたどる予想。6月消費者物価指数(CPI)も前年比でヘッドラインとコア指数が前月よりも上振れ2%後半まで上昇したが、調査対象やカバレッジも異なる両インフレ指標が立て続けに上昇基調をたどるのを確認できれば、米連邦公開市場委員(FOMC)の利下げ予想が更に後退しドルが底堅くなりそうだ。
なお、昨日発表された米雇用指標や4-6月期の国内総生産(GDP)が市場予想より好結果だったことで、FOMCの利下げ予想が後退している。次回9月のFOMCでは、29日までは64%超が25ベーシスポイントの利下げ予想となっていたが、昨日の指標発表後に利下げ予想は45%台まで減少。一方据え置きが約55%まで増加している。
10月末のFOMCでは利下げ予想が依然として優勢で約65%となっているが、指標発表前までは80%を超えていたことを考えると市場の流れが急変している。本日のPCEでインフレ低下の兆しが見えず、明日の雇用統計も堅調だった場合は、更に利下げ時期が後ずれするだろう。
明日に期限を迎えるトランプ政権の関税については、すでに日本とは交渉が合意したことで円相場への影響は限定的だ。ただ、他通貨を動意づけることもあり警戒したい。
カナダがパレスチナの国家承認の意向と伝わっていることで、アジア時間にトランプ大統領はこの承認により「カナダとの貿易協定締結は非常に困難になる」と述べている。通商問題と全く関係のないことにも関わらず、自分の思惑通りにいかないことに対しては相変わらず暴言、暴挙を繰り返している。イスラエルに厳しい姿勢を示している南アなどは、1日以後の高関税賦課開始が始まる標的になり、それらの国の通貨が動意づく可能性もありそうだ。
なお、本日は月末ということもあり、ロンドンフィキシングにかけては激しく相場が振れることが予想される。先月末のドル円は買いの勢いが上回ったが、月によってフィキシングの傾きは異なる。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、心理的節目150.00円。上抜ければ4月2日高値150.49円や3月28日高値151.21円を目指していくか。
・想定レンジ下限
ドル円の下値は、これまでの本日安値148.59円。割り込むと日足一目均衡表・転換線147.70円。
今晩は堅調か。昨日は米連邦公開市場委員会(FOMC)で市場予想通り政策金利が据え置かれたが、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が会合後の記者会見で9月利下げは未定だと発言したことで利下げ期待が後退。米10年債利回りが上昇し、米国株は売りに押された。ナスダック総合が0.39%安まで下落後、0.15%高と小幅に反発して終了したが、ダウ平均は一時370ドル超下落し、171.71ドル安(-0.38%)と3日続落して終了。S&P500も0.54%安まで下落し、0.12%安と小幅に2日続落した。引け後の動きでは4-6月期が予想を上回ったマイクロソフトが時間外で8%超上昇。メタ・プラットフォームズも好決算や強い見通しを発表し、時間外で11%超上昇した。
今晩の取引では9月利下げ期待が後退したことや、引け後にアップル、アマゾンの決算発表、金曜日に7月雇用統計、7月ISM製造業購買担当者景気指数(PMI)の発表を控えていることが上値圧迫要因となることが予想されるものの、昨日引け後に決算を発表したマイクロソフトやメタ・プラットフォームズの大幅高が見込まれることで、ハイテク株を中心に堅調な展開か。経済指標ではFRBがインフレ指標として注視する7月個人消費支出(PCE)価格指数のほか、新規失業保険申請件数の発表もあり、利下げ見通しを巡りインフレや労働市場の動向にも要注目となる。
今晩の米経済指標・イベントは7月個人消費支出(PCE)価格指数、新規失業保険申請件数のほか、7月チャレンジャー企業人員削減数、4-6月期雇用コスト指数、7月シカゴ地区購買部協会景気指数など。企業決算は寄り前にCVSヘルス、バイオジェン、アッヴィ、引け後にアップル、アマゾンなどが発表予定。
日銀は31日発表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、2025年度の消費者物価指数(CPI、除く生鮮食品)見通しを+2.7%(前回は+2.2%)、26年度を+1.8%(前回は+1.7%)、27年度を+2.0%(前回は+1.9%)とした。
また、2025年度の実質国内総生産(GDP)見通しを+0.6%(前回は+0.5%)、26年度を+0.7%(前回は+0.7%)、27年度を+1.0%(前回は+1.0%)とした。
【基本的見解】
・先行きのわが国経済を展望すると、各国の通商政策等の影響を受けて、海外経済が減速し、わが国企業の収益なども下押しされるもとで、緩和的な金融環境などが下支え要因として作用するものの、成長ペースは純化すると考えられる。その後については、海外経済が緩やかな成長経路に復していくもとで、成長率を高めていくと見込まれる。
・物価の先行きを展望すると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、2025年度に2%台後半となったあと、2026年度は1%台後半、2027年度は2%程度となると予想される。このところの米などの食料品価格上昇の影響は減衰していくと考えられる。この間、消費者物価の基調的な上昇率は、成長ペース鈍化などの影響を受けて伸び悩むものの、その後は、成長率が高まるもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。
・前回の見通しと比べると、成長率については概ね不変である。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比については、2025年度は、食料品価格上昇の影響を主因に上振れているが、2026年度と2027年度は概ね不変である。
・リスク要因としては様々なものがあるが、とくに、各国の通商政策等の今後の展開やその影響を受けた海外の経済・物価動向を巡る不確実性は高い状況が続いており、その金融・為替市場やわが国経済・物価への影響については、十分注視する必要がある。
・リスクバランスをみると、経済の見通しについては、2025年度と2026年度は下振れリスクの方が大きい。物価の見通しについては、概ね上下にバランスしている。
日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(全員一致)。
無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0.5%程度で推移するよう促す。
SMBC日興証券では7月のFOMCに関して、当会合で生じた2つの変化、(1)FRB理事2名の反対票、(2)経済活動に対する認識の引き下げ―に着目。これらはFedがいずれ利下げ再開に動くことを示唆するものと捉えている。表面的なインフレ率が上昇したとしても、インフレ沈静化の基調が維持されている旨の理解に基づき、関税賦課の行方を確認した上で、Fedが2025年9月のFOMC会合で利下げ再開に動くとSMBC日興では考えている。その後、年内にもう一度利下げを行い、2025年中に累計50bp、2026年に追加的に合計で75bpの利下げを講じると予想している。
日経平均株価は反発。上昇基調が続く10日移動平均線(40734円 7/31)付近から陽線を形成し、5日移動平均線(40970円 同)上を回復して終えた。
RSI(9日)は前日の63.8%→65.5%(7/31)にやや上昇。昨年7/11に形成したマド埋め(42102円)水準を意識していったん調整が入る格好となっているが、10日移動平均線付近から反発した。早々に一段高に向かう可能性は依然として高いといえる。RSIが50%超を維持しているほか、一目均衡表の基準線(40388円 同)の上昇基調が続くこともあり、株価の押し上げ効果につながるかが注目される。
上値メドは、7/24安値(41554円)、7/24高値(42065円)、昨年7/11安値(42102円)、昨年7/11高値(42426円)、43000円などがある。下値メドは、10日移動平均線、25日移動平均線(40161円 同)、心理的節目の4万円、7/22安値(39586円)、心理的節目の39000円、6/18高値(38885円)、200日移動平均線(38258円 同)などがある。
(31日終値:1日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=150.66円(31日15時時点比△1.87円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=172.05円(△1.89円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1419ドル(▲0.0017ドル)
FTSE100種総合株価指数:9132.81(前営業日比▲4.13)
ドイツ株式指数(DAX):24065.47(▲196.75)
10年物英国債利回り:4.569%(▲0.034%)
10年物独国債利回り:2.695%(▲0.011%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月独輸入物価指数
(前月比) 0.0% ▲0.7%
(前年比) ▲1.4% ▲1.1%
7月仏消費者物価指数(CPI)速報値
(前月比) 0.2% 0.4%
(前年比) 1.0% 1.0%
6月仏卸売物価指数(PPI)
(前月比) ▲0.2% ▲0.9%・改
7月独雇用統計
失業率 6.3% 6.3%
失業者数変化 0.20万人 1.00万人・改
6月ユーロ圏失業率
6.2% 6.2%・改
7月独消費者物価指数(CPI)速報値
(前月比) 0.3% 0.0%
(前年比) 2.0% 2.0%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は底堅い。植田和男日銀総裁が記者会見で「見通しが実現していくとすれば、引き続き政策金利を引き上げる」としながらも「インフレ率の上方修正だけで金融政策が左右されるものではない」「基調的な物価上昇率は2%に届いておらず、緩和的な金融政策を維持している」と述べたことで、「日銀は追加利上げを急いでいない」との見方が広がり、円売りが出やすい地合いとなった。
NYの取引時間帯に入ると、米連邦準備理事会(FRB)が金融政策を判断するうえで重視している6月米個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)で、変動が激しい食品とエネルギーを除くコア・デフレーターが前年比で予想を上回ったほか、4-6月期米雇用コスト指数の伸び率も予想以上となり、米インフレ圧力の根強さが意識された。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見で早期利下げに慎重な見方を示したこともあり、ドル買いも入りやすかった。1時30分前には一時150.79円と3月28日以来約4カ月ぶりの高値を更新した。
・ユーロドルは下げ渋り。米利下げ観測の後退や米経済指標の上振れを手掛かりにユーロ売り・ドル買いが先行。22時30分前に一時1.1406ドル付近まで値を下げた。ただ、オセアニア時間に付けた日通し安値1.1404ドルや前日の安値1.1401ドルが目先サポートとして働くと下げ渋った。市場では「月末のロンドン16時(日本時間24時)のフィキシングに絡んだユーロ買いのフローが観測された」との声も聞かれた。
・ユーロ円は堅調。植田日銀総裁が早期利上げに慎重な姿勢を示したことを材料に全般円売りが進行。ロンドン・フィキシングに絡んだユーロ買いのフローも観測された。1時30分前には一時172.32円と日通し高値を更新した。
・ロンドン株式相場は3日ぶりに小反落。米政権が30日に銅と関連製品を輸入する際の関税について方針を示したことをきっかけに銅先物価格が急落。リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株が売られ、相場の重しとなった。アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株も売られた。
・フランクフルト株式相場は3日ぶりに反落。米関税政策への根強い警戒感が相場の重しとなった。個別ではシーメンス・ヘルシニアーズ(4.43%安)やザランド(4.21%安)、アディダス(3.92%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は上昇。株安を受けた。
31日の日経平均は5日ぶり大幅反発。終値は415円高の41069円。FOMCを消化した米国株は3指数がまちまちとなったが、ナスダック高や円安進行を好感して上昇スタート。引け後に決算を発表したマイクロソフトやメタが時間外で大きく上昇したことも支援材料となった。寄り付き直後には瞬間的に下げに転じたものの、すぐに切り返して上げ幅を3桁に拡大。電線株や半導体株など主力銘柄に強い買いが入って水準を切り上げる動きが続き、前場のうちに節目の41000円を上回った。
昼休みには日銀が金融政策の現状維持を発表したが、織り込みも進んでいたことからマーケットの反応は限定的。波乱なしとの見方から、後場に入ってもじわじわと上値を伸ばした。終盤にかけての動きが良く、400円を超える上昇となって高値圏で取引を終えた。
東証プライムの売買代金は概算で5兆3800億円。業種別では非鉄金属、保険、ガラス・土石などが上昇した一方、金属製品、輸送用機器、鉄鋼などが下落した。1Qの営業赤字が前年同期比で縮小したヤマトホールディングス<9064.T>が急騰。半面、1Qが大幅な最終減益となったワコム<6727.T>が急落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1271/値下がり305。フジクラ、古河電工、住友電工の電線大手3社が連日の大幅上昇。住友電工は自身の決算も買い材料となった。ディスコが全市場の売買代金トップとなる大商いで7%を超える上昇。ソフトバンクGやサンリオなどグロース系の銘柄が強く、下方修正発表後に売りが続いていたさくらネットが商いを伴って急伸した。新中計を発表したライフドリンクのほか、決算が好感されたノジマやアステラス製薬が値を飛ばした。
一方、武田や富士通が決算を受けて下落。カプコンは1Qの91%営業増益が好感されず、9%を超える下落となった。JCRファーマ、三和HD、大和工業、アンリツが2桁の下落率となるなど、好地合いの中でも決算失望銘柄はたたき売られた。円安進行を受けてもトヨタ、ホンダ、マツダなど自動車株の多くが下落。民事再生手続きの申し立てを行うことを発表し、上場廃止および整理銘柄の指定が決まったオルツがストップ安(55.6%安)となった。
日経平均は大幅上昇。FOMCや日銀会合に特段のサプライズがあったわけではなかったが、中銀イベント前の買い手控えムードが強かったのか、かなり上に値幅が出た。マイクロソフトやメタの時間外の大幅高を先取りして大きく上昇しているだけに、あす一段高となるハードルは高い。米7月雇用統計の発表前でもあり、手がけづらさもある。引け後に東京エレクトロン<8035.T>が通期の業績および配当の見通しを下方修正しており、指数にはネガティブな影響が想定される。
一方、きょう41000円台まで戻してきたことは底打ち期待を高める。反動安に見舞われた場合、押し目での買い意欲が強いかどうかを注視しておきたい。米雇用統計に関しては、7月FOMCで早期の利下げ期待が高まらなかっただけに、市場予想を下回る結果となった場合の米国株へのポジティブインパクトが大きいと考えられる。国内では来週も引き続き決算発表が多い。きょうの上げ分(415円)を打ち消すほどの下げとならなければ、売り急ぎは抑制される公算が大きい。
31日12:01 日本銀行声明
「政策金利の現状維持、全員一致で決定」
「基調的な物価上昇率、成長鈍化で伸び悩み後に徐々に高まる」
「予想物価上昇率、緩やかに上昇している」
31日13:37 トランプ米大統領
「カナダはパレスチナの独立を支持すると発表」
「これにより、カナダとの貿易協定締結は非常に困難になるだろう」
1日00:08
「メキシコは自動車に25%、鉄鋼に50%の関税を支払う」
「メキシコとの関税ディールを90日間延長」
31日15:37 植田日銀総裁
「日米関税の合意は大きな前進」
「賃金と物価が相互に緩やかに上昇していくメカニズムは維持される」
「見通しが実現していくとすれば、引き続き政策金利を引き上げる」
「不確実性、低下したとはいえ、なお高い状況続く」
「リスクや確度を点検し、利上げの是非やタイミングを適切に判断」
「基調的な物価上昇率、2%に向けて緩やかに上昇していく」
「インフレ率の上方修正だけで金融政策が左右されるものではない」
「米関税を巡る見極めの期間は現時点で確定的なことは言いにくい」
「賃金のサービス価格への影響、加速しているとはみていない」
「基調的な物価上昇率は2%に届いておらず、緩和的な金融政策を維持している」
「足もとの為替の動き、物価見通しに直ちに影響あるとは見ていない」
※時間は日本時間
(31日終値)
ドル・円相場:1ドル=150.75円(前営業日比△1.24円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=172.08円(△1.57円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1415ドル(△0.0010ドル)
ダウ工業株30種平均:44130.98ドル(▲330.30ドル)
ナスダック総合株価指数:21122.45(▲7.22)
10年物米国債利回り:4.37%(横ばい)
WTI原油先物9月限:1バレル=69.26ドル(▲0.74ドル)
金先物12月限:1トロイオンス=3348.6ドル(▲4.2ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
7月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
(前年比) 139.8% ▲1.6%
4-6月期米雇用コスト指数
(前期比) 0.9% 0.9%
6月米個人所得
(前月比) 0.3% ▲0.4%
6月米個人消費支出(PCE)
(前月比) 0.3% 0.0%・改
6月PCEデフレーター
(前年比) 2.6% 2.4%・改
6月PCEコアデフレーター
(前月比) 0.3% 0.2%
(前年比) 2.8% 2.8%・改
前週分の米新規失業保険申請件数
21.8万件 21.7万件
7月米シカゴ購買部協会景気指数
47.1 40.4
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は続伸。植田和男日銀総裁の会見を受けて、「日銀は追加利上げを急いでいない」との見方が広がる中、NY勢参入後も円売りの流れが続いた。米連邦準備理事会(FRB)が金融政策を判断するうえで重視している6月米個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)で、変動が激しい食品とエネルギーを除くコア・デフレーターが前年比で予想を上回り、4-6月期米雇用コスト指数の伸び率も予想を上回ると、米インフレ圧力の根強さが意識されてドル買いも進んだ。5時過ぎには一時150.84円と3月28日以来約4カ月ぶりの高値を更新した。
・ユーロドルは6日ぶりに小反発。米利下げ観測の後退や米経済指標の上振れを受けてユーロ売り・ドル買いが先行。22時30分前に一時1.1406ドル付近まで値を下げた。
ただ、オセアニア時間に付けた日通し安値1.1404ドルや前日の安値1.1401ドルが目先サポートとして働くと持ち直した。市場では「月末のロンドン16時(日本時間24時)のフィキシングに絡んだユーロ買いのフローが観測された」との声も聞かれた。もっとも、フィキシング通過後は再び上値が重くなった。
・ユーロ円は4日ぶりに反発。植田日銀総裁が早期利上げに慎重な姿勢を示したことを受けて、円全面安の展開となった。4時過ぎには一時172.34円と日通し高値を更新した。
ユーロ円以外のクロス円も堅調だった。ポンド円は一時199.52円、豪ドル円は97.00円、NZドル円は88.90円、カナダドル円は108.94円、スイスフラン円は185.73円まで値を上げた。
メキシコペソ円はトランプ米大統領が「メキシコとの関税ディールを90日間延長する」と述べたことも相場の支援材料となり、一時8.03円と昨年8月1日以来約1年ぶりの高値を更新した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は4日続落。前日引け後に決算を発表したマイクロソフトやメタ・プラットフォームズが買われ、反発して始まったものの、そのあとは次第に上値が重くなった。予想を上回る米経済指標が相次ぎ、米早期利下げ観測が後退する中、株売りが広がった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は小反落した。
・米国債券相場で長期ゾーンは横ばい。予想を上回る米経済指標が相次ぎ、米早期利下げ観測が後退すると売りが出た。半面、月末の機関投資家による保有債券の残存年限を長期化するための買いが入ったため、相場は大きな方向感が出なかった。
・原油先物相場は4日ぶりに反落。為替相場でドル高の流れが続き、ドル建ての原油先物に割高感が生じた。昨日まで3日続伸と1カ月ぶりの高い水準まで上昇したこともあり、この日は利食い売りに押された。
・金先物相場は続落。前日取引終了後にパウエルFRB議長が会見で早期利下げに慎重な見方を示したことや、この日の6月米PCEデフレーターなどの米経済指標が予想を上回ったことで、FRBの早期利下げ期待が後退したことが重しとなった。
<国内>
○08:30 ◎ 6月完全失業率(予想:2.5%)
○08:30 ◎ 6月有効求人倍率(予想:1.25倍)
〇臨時国会が召集
<海外>
○07:45 ◎ 6月ニュージーランド(NZ)住宅建設許可件数
○10:30 ◎ 4-6月期豪卸売物価指数(PPI)
○10:45 ◎ 7月Caixin中国製造業購買担当者景気指数(PMI、予想:50.2)
○15:00 ◇ 7月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.5%)
○16:00 ◇ 7月トルコ製造業PMI
○16:50 ◎ 7月仏製造業PMI改定値(予想:48.4)
○16:55 ◎ 7月独製造業PMI改定値(予想:49.2)
○17:00 ◎ 7月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:49.8)
○17:30 ◎ 7月英製造業PMI改定値(予想:48.2)
○18:00 ☆ 7月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比1.9%)
○18:00 ☆ 7月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比2.3%)
○21:30 ☆ 7月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化10.4万人/失業率4.2%/平均時給、前月比0.3%/前年比3.8%)
○22:45 ◎ 7月米製造業PMI改定値(予想:49.7)
○23:00 ☆ 7月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:49.5)
○23:00 ◇ 6月米建設支出(予想:前月比横ばい)
○23:00 ◎ 7月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:62.0)
○24:00 ◇ 7月メキシコ製造業PMI
○スイス(建国記念日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 40780 -420 (-1.01%)
TOPIX先物 2942.5 -6.5 (-0.22%)
シカゴ日経平均先物 40765 -435
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
31日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落。前日夕に予想を上回る決算を発表したマイクロソフト<MSFT>とメタ・プラットフォームズ<META>が買われ、反発して始まった。ただし、6月の米個人消費支出(PCE)統計は、総合価格指数が前年同月比では2.6%上昇、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として重視するコア価格指数は同2.8%上昇と伸びが加速。4~6月期の米雇用コスト指数は前期比0.9%上昇し予想を上回ったほか、米新規失業保険申請件数は21万8000件と予想を下回ったことで、FRBによる早期利下げ観測が後退し、売りが優勢となった。
さらに、トランプ米大統領は、製薬会社17社に対し、米国の消費者向けの医薬品価格を他の先進国で提供されている最低価格まで引き下げるよう求める書簡を送付したと伝えられた。これを受けたユナイテッドヘルス・グループ<UNH>やメルク<MRK>といったヘルスケア株の下げも重荷となった。
S&P500業種別指数はメディア、ソフトウエア・サービス、小売が上昇した一方で、ヘルスケア機器・サービス、自動車・同部品、医薬品・バイオテクノロジーの弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、マイクロソフト、スリーエム<MMM>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、キャタピラー<CAT>、トラベラーズ<TRV>が買われた。半面、ユナイテッドヘルス・グループ、メルクのほか、IBM<IBM>、ナイキ<NKE>、セールスフォース<CRM>が軟調。
シカゴ日経平均先物清算値は大阪比435円安の4万0765円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比90円安の4万1110円で始まった。直後に4万1280円まで買われ、買い一巡後は4万1130円~4万1230円辺りでの推移を継続。米国市場の取引開始後に軟化し4万1000円を割り込むと、中盤にかけて4万0580円まで下げ幅を広げる場面もみられた。終盤にかけてはショートカバーが入る形で下げ幅を縮め、4万0780円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、売り先行で始まることになりそうだ。マイクロソフトなどの上昇を先取りする形で前日に強いリバウンドをみせていたこともあり、米国市場の下落を受けてロング解消の動きが入りやすいだろう。ただし、ナイトセッションで4万0580円まで売られる場面もみられたが、足もとでは4万0500円処での底堅さがみられていることもあり、同水準に接近する局面では押し目狙いのスタンスに向かわせそうである。
日経225先物は4万1000円をキープすることはできず、ボリンジャーバンドの+1σ(4万0880円)を下回ってきた。米雇用統計の発表を控えていることで積極的な売買は手控えられやすく、+1σを挟んでの推移が見込まれる。そのため、オプション権利行使価格の4万0500円から4万1000円のレンジを想定。+1σを上回っての推移をみせてくる局面においては、オプション権利行使価格の4万0875円から4万1250円辺りでの推移が意識されそうだ。
31日の米VIX指数は16.72(30日は15.48)に上昇した。14.74まで低下する場面もみられたが、その後の急伸によって一時17.17まで切り上がった。ボトム圏での推移ではあるものの、25日移動平均線(16.39)を上抜けてきたことで、やや神経質にさせそうである。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.97倍に上昇した。前場は+3σ(13.88倍)と+2σ(13.93倍)辺りでの推移だったが、後場に入り+2σを明確に上抜けてきた。終盤にかけて-1σ(13.98倍)に接近しており、NTロングに振れる形になった。200日線(14.01倍)、25日線(14.04倍)を捉えてくる可能性がある一方で、再び-2σ辺りを下回ってくるようだと、バンドに沿った低下基調が意識されてきそうだ。
31日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、植田日銀総裁の利上げに慎重なスタンス、6月米コアPCEデフレーターが前年比で予想を上回ったことなどで150.84円まで上昇した。ユーロドルは、米利下げ観測の後退や米経済指標の上振れを受けて1.1406ドル付近まで値を下げた後、月末のロンドンフィキシングに絡んだユーロ買いで下げ渋る展開となった。ユーロ円は172.34円まで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、今夜発表される米7月雇用統計への警戒感から上値が重い展開が予想される。
ドル円は、パウエルFRB議長の利下げに慎重なスタンス、植田日銀総裁の利上げに慎重なスタンスを受けて、攻防の分岐点であった200日移動平均線を上抜けて150円台後半まで上昇している。昨年の7月末にパウエルFRB議長のハト派的な見解と植田日銀総裁のタカ派的な見解でドル売り・円買いに拍車がかかると、150円を割り込んで翌月に141.70円まで下落していた。そして過去最大規模に膨らんでいたIMMシカゴ筋の円のネット売りポジションは、ネット買いポジションに転換した。
今後の懸念材料としては、赤沢経済再生相との日米関税合意の席で、円安に懸念を表明していたトランプ米大統領による円安牽制発言となる。円安の要因を日銀の低金利だと指摘しているベッセント米財務長官は、日米関税合意について、「トランプ大統領が日本の実行状況に不満であれば、関税率は自動車も含めて25%に逆戻りする」と述べており、円安の進行により対日関税が15%から25%に引き上げられる可能性には警戒しておきたい。
米連邦公開市場委員会(FOMC)では、1993年12月以来となる2名のFRB理事の反対票が投じられての金融政策の据え置きが決定された。1993年12月のFOMCでは、グリーンスパン第13代FRB議長らの多数派による政策金利3.0%での据え置きが決定されたが、その後の展開は、6.0%までの利上げを余儀なくされたため、利上げを主張した2名(エンジェルFRB理事とリンゼーFRB理事)が正しかった。
今回利下げを主張したウォラーFRB理事やボウマンFRB副議長は、労働市場への懸念を理由にしており、今夜の米7月雇用統計への注目度合いが高まっている。米7月雇用統計の予想は、失業率が4.2%で6月の4.1%から上昇、非農業部門雇用者数は前月比+10.4万人で、6月の同比+14.7万人からの増加幅の減少が見込まれている。
予想通りに米国の雇用情勢の悪化が確認された場合、2名の反対者の懸念が正しかったことになり、トランプ米大統領が次期FRB議長を早期に選任する動機を強めることになる。現時点で次期FRB議長の候補に挙がり受諾することを表明しているウォラーFRB理事とウォーシュ元FRB理事は、利下げを主張している。
東京市場は軟調か。米国株は下落。ダウ平均は330ドル安の44130ドルで取引を終えた。マイクロソフトやメタが決算を受けて大きく上昇したことから買いが先行したものの、上値が重く失速する展開。経済の強さを示す指標がいくつか確認されて早期の利下げに対する期待が一段と後退したほか、ヘルスケア株や半導体株の下落が重荷となった。ドル円は円安が進行しており、足元150円70銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが435円安の40765円、ドル建てが405円安の40795円で取引を終えた。
日本株はマイクロソフトとメタの時間外の大幅高から米国株の上昇を見込んできのう大きく買われているだけに、米国株の下落に強い売り反応を示すことになるだろう。きのう引け後に東京エレクトロン<8035.T>が通期の業績と配当の見通しを下方修正しており、ADRでは急落している。米国でも半導体株が弱かっただけに、国内半導体株には厳しい展開が想定される。円安は一定程度日本株を下支えするとみるが、本日発表される米7月雇用統計が米国マーケットをかく乱する可能性もあるだけに、場中は下押し圧力の強い地合いが続くと予想する。日経平均の予想レンジは40600-40900円。
トランプ米大統領はこの日、カナダへの関税を25%から35%へと引き上げる命令に署名した。なお、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に準拠した品目は新たな関税の対象から除外されるとしている。
米国は8月1日の期限を迎えて、各国の関税率を公表。カナダは35%、スイスは39%、南アフリカは30%、台湾は20%、ニュージーランドは15%、トルコは15%などと伝わっている。
■各社予想 7月米非農業部門雇用者数
JPモルガン +10.0万人
ドイツ証券 +7.5万人
バークレイズ・キャピタル +7.5万人
BNPパリバ +13.0万人
HSBC +13.0万人
モルガン・スタンレー +10.0万人
市場コンセンサス +11.0万人
前回 +14.7万人
■各社予想 7月米失業率
JPモルガン 4.2%
バークレイズ・キャピタル 4.2%
BNPパリバ 4.1%
HSBC 4.2%
モルガン・スタンレー 4.2%
市場コンセンサス 4.2%
前回 4.1%
■各社予想 7月米平均時給(前月比)
JPモルガン +0.3%
バークレイズ・キャピタル +0.3%
BNPパリバ +0.3%
HSBC +0.3%
モルガン・スタンレー +0.3%
市場コンセンサス +0.3%
前回 +0.2%
■各社予想 7月米平均時給(前年比)
JPモルガン +3.8%
バークレイズ・キャピタル +3.8%
BNPパリバ +3.8%
HSBC +3.8%
市場コンセンサス +3.8%
前回 +3.7%
月末の為替市場では、ドル円が200日MAを上抜けて上昇。HF勢の円ロングポジションを巻き戻す動きが加速することになりました。前日のFOMCでは、直前の米大統領によるFRBのビル改修工事現場への殴り込みを受けた「パウエル議長から何らかの配慮ある発言があるかもしれない」との淡い期待感を踏みにじられた市場にとって、昨日は日米関税交渉が合意に至ったことによる、不確実性からの解放がもたらす淡い期待感があったわけで、ましてや、展望レポートでの物価見通しの上方修正といった事実も助長して、市場の早期利上げ観測が高まるなかでの植田日銀総裁の一撃。「物価見通しの上方修正だけで政策は左右されない」との見解を示したほか、「足元の為替の動き、物価見通しに直ちに影響ない」と発言しました。
連日、コストを払い続けさせられている円ロングポジションが既にワークしていないなか、市場の反応は言わずもがなといったところです。ドル円は、チャート上で重要視されている200日MAをいともあっさりと上抜け。7月30日には、津波警報で短期筋が売り仕掛けてしまったというおまけもついて、買戻しの動きに拍車をかける結果となっています。
いずれにしても、本日はかなり忙しかった今週のイベント週の最後を飾る7月米雇用統計を待っているところ。週足の一目雲が位置する150.76円から151.75円を意識しつつ、目先は3月28日の高値151.21円が戻りの目処となっています。
日経225先物は11時30分時点、前日比220円安の4万0980円(-0.53%)前後で推移。寄り付きは4万0760円と、シカゴ日経平均先物清算値(4万0765円)にサヤ寄せする形から、売りが先行して始まった。現物の寄り付き後ほどなくして4万0580円まで売られる場面もみられたが、ナイトセッションでつけた安値(4万0580円)で下げ止まりをみせている。売り一巡後は押し目狙いのロングが入る形で4万0750円~4万0850円辺りでの保ち合いを継続。終盤にかけてレンジを上抜ける形となり、4万0980円まで下げ幅を縮めてきた。
前日に下方修正を発表した東京エレクトロン<8035.T>[東証P]が急落し、一時ストップ安水準まで売られ、日経平均株価を500円超押し下げる形になった。これを受けた短期的なショートも入ったと考えられるが、引き続き4万0500円に接近する局面では底堅さがみられている。一方で、決算内容がポジティブ視された銘柄への資金流入も目立っているほか、TOPIX型のインデックス買いが断続的に入っているとみられ、日経225先物は、ボリンジャーバンドの+1σ(4万0890円)を上回ってきており、ややショートカバーを誘う形になりやすいようである。
NT倍率は先物中心限月で13.83倍に低下した。一時13.80倍まで低下しており、+3σ(13.83倍)を割り込んで、75日移動平均線(13.79倍)水準まで下げている。半導体株の弱い値動きが目立つ一方で、TOPIX型が買われており、75日線を割り込んでくるようだと、NTショートに振れやすくなりそうだ。
2024年7月末の日米金融政策決定会合では、植田日銀総裁は追加利上げを示唆するタカ派、パウエルFRB議長は利下げを示唆するハト派だったことで、ドル売り・円買いに拍車がかかり、150円を割り込んだ
2025年7月末の日米金融政策決定会合では、植田日銀総裁は利上げに慎重なハト派、パウエルFRB議長は利下げに慎重はタカ派だったことで、ドル買い・円売りに拍車がかかり、150円台に乗せた。
1.2024年7月末
■米連邦公開市場委員会(FOMC)(7月30-31日)※5.25-50%
8会合連続でFF金利誘導目標レンジ(5.25-50%)の据え置きが決定された。
パウエルFRB議長は、「早ければ次回9月の会合で政策金利の引き下げが選択肢となり得る。経済の展開の仕方次第で、年内の利下げがゼロにも複数回にもなるというシナリオは想像し得る」とハト派的な見解を述べた。
■日銀金融政策決定会合(7月30-31日)
政策金利(無担保コール翌日物金利)が、これまでの「0-0.1%程度」から、「0.25%程度」に引き上げられた。
植田日銀総裁は、「0.25%への利上げでも実体経済への影響は出ない。経済のショック、景気循環で日本経済に下振れが生じた場合、0.25%では対応しづらい。2006年からの前回の利上げ局面のピークである0.5%が壁になるとは認識していない」と述べた。さらに、中立金利の下限である1%を意識した見通しを示したことで、年内に1回(+0.25%=0.50%)、来年は1-2回程度で0.75%から1.00%に向けた利上げの可能性が示唆された。
2.2025年7月末
■米連邦公開市場委員会(FOMC)(7月29-30日)※4.25-50%
5会合連続で、FF金利誘導目標レンジ(4.25-50%)の据え置きが決定された。ウォラーFRB理事とボウマンFRB副議長の2名が利下げを主張した。
米経済に対する認識が前回の「堅調なペースで拡大を続けている」から「緩やかになった」に下方修正され、利下げにやや近づいている可能性が示唆された。
パウエルFRB議長は、現在の政策金利は「適切な水準」との見解を示し、政策スタンスについては「やや引き締め的」との認識を示しつつも、利下げには慎重な姿勢を示した。
■日銀金融政策決定会合(7月30-31日)※0.50%
4会合連続で、政策金利(無担保コール翌日物金利)を0.5%で据え置くと決めた。
展望リポートでは、2025年度の生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)の前年度比上昇率の見通しが2.7%とされ、4月時点(2.2%)から引き上げた。
植田日銀総裁は、日米関税合意にも関わらず、不確実性の霧は晴れていない、として利上げに対して慎重なスタンスを崩さなかった。
本日のロンドン為替市場では、トランプ関税を巡る市場のリスクセンチメントを見極めつつ、複数の欧州経済指標を確かめながらの取引となる。
トランプ米政権は現地時間7月31日夜、1日の交渉期限を前に各国への関税率を発表した。欧州連合(EU)や英国、日本、韓国といった主要な貿易相手国・地域とは(内容への懸念は残るものの)合意に達している。今回の発表で目を引いたのが、スイス製品に対する39%の高関税率だろう。4月にトランプ大統領が発表した時点では、31%だった。
米国の発表を受け、値幅はそれほど大きくなかったがスイスフランへの売り圧力が強まった。この後も欧州勢の反応を見定めることになるものの、難しいのはフランの「リスク回避通貨」としての位置付け。先月に国際通貨基金(IMF)が公表した1-3月期の世界外貨準備高でも、円からスイスフランへの大規模な資金移動が見受けられ、安全資産としてフランの魅力がこれまで以上に高まりつつあることが指摘されている。
経済指標では、仏独ユーロ圏、そして英国も7月製造業購買担当者景気指数(PMI)の改定値が発表予定。速報値から離れた結果となれば、ユーロ相場は反応するかもしれない。これらの後に同月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が公表される。市場は前年比1.9%を予想し、2カ月ぶりに欧州中央銀行(ECB)のインフレ目標2%を下回ると見ている。
ECBは先週の理事会で8会合ぶりに政策金利の据え置きを決定した。金利先安観は維持されたままではあるが、次回のECB理事会まで1カ月以上ある。今回のインフレ指標が大きく上下に振れたとなれば別だが、ユーロ相場の反応は限られてしまうかもしれない。
欧州後半(ニューヨーク序盤)には7月米雇用統計、その後に同月ISM製造業景況指数も発表される。ユーロ圏HICP後は、米指標待ちというムードになりそうだ。
想定レンジ上限
・ドルスイスフラン、6月10日高値0.8242フラン
・ユーロドル、ピボット・レジスタンス2の1.1484ドル
想定レンジ下限
・ドルスイスフラン、21日移動平均線0.8002フラン
・ユーロドル、6月2日安値1.1341ドル
ドル円:1ドル=150.47円(前営業日NY終値比▲0.28円)
ユーロ円:1ユーロ=172.01円(▲0.07円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1431ドル(△0.0016ドル)
日経平均株価:40799.60円(前営業日比▲270.22円)
東証株価指数(TOPIX):2948.65(△5.58)
債券先物9月物:138.08円(△0.05円)
新発10年物国債利回り:1.550%(横ばい)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月完全失業率
2.5% 2.5%
6月有効求人倍率
1.22倍 1.24倍
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は頭が重い。東京午前は本邦実需勢の買いなどが観測されたことで昨日高値の150.84円を上抜けて150.92円まで値を上げた。もっとも、節目の151円を前に買いが一服すると、その後は持ち高調整の売りに押される形で150.42円まで値を下げた。
・ユーロドルは下値が堅い。米早期利下げ観測が後退しているほか、米関税による欧州景気不安が重しとなり一時1.1405ドルまで値を下げた。ただ、昨日安値の1.1404ドル、一昨日安値の1.1401ドルを割り込めず、節目の1.1400ドルがサポートして機能すると1.1437ドルまで反発した。
・ユーロ円はもみ合い。ドル円の下落につれて171.91円まで下げたが動きは総じて鈍く、その後は172円挟みの動きとなった。
・日経平均株価は反落。決算を嫌気して東京エレクトロンが大きく下落したため半導体関連株が総じて軟調に推移した。昨日の米株安も嫌気され、指数は一時480円超下落した。
・債券先物相場は5日続伸。昨日の植田日銀総裁の会見で早期利上げ観測が後退するなか、債券を買う動きが強まった。
大阪9月限
日経225先物 40860 -340 (-0.82%)
TOPIX先物 2952.5 +3.5 (+0.11%)
日経225先物(9月限)は前日比340円安の4万0860円で取引を終了。寄り付きは4万0760円と、シカゴ日経平均先物清算値(4万0765円)にサヤ寄せする形から、売りが先行して始まった。現物の寄り付き後ほどなくして4万0580円まで売られる場面もみられたが、ナイトセッションでつけた安値(4万0580円)は割り込まず、底堅さが意識された。売り一巡後は押し目狙いのロングが入る形で4万0750円~4万0850円辺りで保ち合いを継続。
前場終盤にかけてレンジを上抜ける形となり、ランチタイムで4万1010円まで下げ幅を縮める場面もみられた。だが、4万1000円をキープすることはできず、後場中盤には4万0770円まで売られた。終盤にかけて持ち高調整に伴うショートカバーによりやや下げ幅を縮めたものの、ボリンジャーバンドの+1σ(4万0880円)を下回って終えた。
前日に下方修正を発表した東京エレクトロン<8035.T>[東証P]が急落し、一時ストップ安水準まで売られ、日経平均株価を500円ほど押し下げる形になった。これを受けた短期的なショートも入ったとみられるが、引き続き4万0500円に接近する局面ではショートを仕掛けにくくさせよう。
一方で、決算内容がポジティブ視された銘柄への資金流入も目立つほか、前日同様、TOPIX型のインデックス買いが断続的に入っているとみられ、東証プライムの騰落銘柄は値上がり数が8割を占めている。半導体株の弱さが目立つなかで日経平均株価は下落したが、全体としての地合いは悪くなかった。
日経225先物は4万0500円処で底堅さはみられているが、+1σ水準での攻防のなかでは、いったんは25日移動平均線(4万0220円)辺りを試す可能性を意識しておきたい。東京エレクトロンは明確な底打ちは確認できていないため、引き続き半導体株の動向をにらみながらの展開となりやすいだろう。そのため、オプション権利行使価格の4万0250円から4万1250円辺りのレンジを想定。
NT倍率は先物中心限月で13.83倍に低下した。一時13.80倍まで低下しており、+3σ(13.83倍)を割り込んで、75日線(13.79倍)水準まで下げている。半導体株の明確な底入れからの反転を確認するまでは、NTショートに振れやすい需給状況になりそうだ。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が2万1220枚、ソシエテジェネラル証券が1万3966枚、サスケハナ・ホンコンが4730枚、SBI証券が2198枚、JPモルガン証券が1744枚、ゴールドマン証券が1721枚、バークレイズ証券が1587枚、モルガンMUFG証券が1461枚、日産証券が991枚、シティグループ証券が949枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が2万6643枚、ソシエテジェネラル証券が2万3851枚、JPモルガン証券が8616枚、バークレイズ証券が6040枚、モルガンMUFG証券が4073枚、シティグループ証券が2716枚、ゴールドマン証券が2482枚、UBS証券が1850枚、みずほ証券が1604枚、BNPパリバ証券が1596枚だった。
ドル円は、米雇用指標が市場予想を上振れれば、3月後半以来となる151円を狙いに行く展開になるか。また、雇用統計が仮に市場予想よりも弱い結果となった場合でも、買い場を探す動きになりそうだ。
昨日発表された6月の米個人消費支出(PCE)デフレーター、およびコアデフレーターは前年比で市場予想を上回った。6月米消費者物価指数(CPI)も前年比でヘッドラインとコア指数が前月よりも上振れるなど、調査対象やカバレッジも異なる両インフレ指標が立て続けに上昇基調をたどっていることが確認された。トランプ米大統領が利下げの圧力をかけているが、米連邦準備理事会(FRB)が中長期の目標とする2%のインフレから上方向に離れつつあることで、米国の早期利下げ観測が急速に後退している。次期利下げ予想が9月から10月へと後退しているが、10月の利下げ予想も6割程度しかなく、更に後ろにずれる可能性もあり、ドルの買い意欲が引きそうもない。
FRBの2つの責務のうちで、1つ目の物価の安定で利下げ予想が後退する中で、もう1つの責務である雇用の最大化を判断するために、本日は7月の雇用統計の結果が注目される。市場では失業率が前月の4.1%から4.2%へと悪化、非農業部門雇用者数も前月比+10.4万人で、6月の同比+14.7万人から悪化する予想になっている。市場が前月よりも低調な予想に傾いていることで、逆に前月と同程度の結果になった場合はポジティブサプライズになり、ドル買いが一気に進みそうだ。一方で、予想を下振れた場合でも、米国のインフレが高止まりしているだけでなく、日銀の利上げ観測の後退や、植田日銀総裁が現行水準の円安を警戒していないこともあり、ドル買いだけではなく円売り意欲も強く、ドル円を買い遅れている市場参加者が買い場を探してくることが予想され、下げ幅は限られそうだ。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、3月28日高値151.21円。その上は2月19日高値152.31円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値は、昨日150円乗せ後の下押し水準149.82円。割り込むと200日移動平均線149.59円。
今晩は7月雇用統計に注目。昨日は好決算を発表したマイクロソフトとメタ・プラットフォームズが大幅高となり上昇してスタートしたものの、トランプ米大統領がインドやブラジルに高率の関税を課すと発表したことや、前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を受けて利下げ期待が後退したことも引き続き重しとなり主要3指数がそろって下落して終了した。ダウ平均は330.3ドル安(-0.74%)と4日続落し、S&P500とナスダック総合は朝方に取引時間中の史上最高値を更新したものの、S&P500は0.37%安と3日続落し、ナスダック総合は0.03%安とわずかながら反落した。引け後の動きでは決算が予想を上回ったアップルが時間外で2%超上昇したが、アマゾン・ドット・コムはガイダンスが嫌気され時間外で6%超下落した。
今晩はトランプ関税の猶予期限を迎えることで関税を巡るニュースが注目されるほか、今後の利下げ見通しを巡り、寄り前に発表される7月雇用統計が注目される。7月雇用統計の市場予想は非農業部門雇用者数(NFP)が11.0万人増と6月分の14.7万人増から減少が見込まれ、失業率は6月の4.1%から4.2%に悪化が見込まれている。やや弱い目の結果となれば利下げ期待の高まりが相場の支援となることが期待される。このほか、7月ISM製造業PMIの発表もあり、足もとの景況感にも要注目となる。
今晩の米経済指標・イベントは7月雇用統計、7月ISM製造業PMIなどのほか、7月S&Pグローバル製造業PMI確定値、7月ミシガン大消費者信頼感指数確報値、同1年先・5年先期待インフレ率確報値など。企業決算は寄り前にエクソン・モービル、モデルナ、シェブロンなどが発表予定。
日経平均株価は反落。41000円を意識したスタートから下値を探る展開となった。前日安値(40639円)を若干下回る場面もあったが、一目均衡表の基準線(40560円 8/1)を支持に下げ幅を縮小して終えた。
RSI(9日)は前日の65.5%→62.4%(8/1)にやや低下。5日移動平均線(40839円 同)の下げに押された感もあるが、上昇基調が続く10日移動平均線(40824円 同)に寄せて終えた印象だ。昨年7/11に形成したマド埋め(42102円)水準を意識していったん調整が入る格好となっているが、RSIが50%超を維持しているほか、一目均衡表の基準線の上昇基調も続く。10日移動平均線付近から上昇再開の展開につながるかが焦点となる。
上値メドは、7/24安値(41554円)、7/24高値(42065円)、昨年7/11安値(42102円)、昨年7/11高値(42426円)、43000円などがある。下値メドは、心理的節目の40500円、25日移動平均線(40209円 同)、心理的節目の4万円、7/22安値(39586円)、心理的節目の39000円、6/18高値(38885円)、200日移動平均線(38265円 同)などがある。
(1日終値:2日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=147.87円(1日15時時点比▲2.60円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=170.44円(▲1.57円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1527ドル(△0.0096ドル)
FTSE100種総合株価指数:9068.58(前営業日比▲64.23)
ドイツ株式指数(DAX):23425.97(▲639.50)
10年物英国債利回り:4.528%(▲0.041%)
10年物独国債利回り:2.679%(▲0.016%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
7月英ネーションワイド住宅価格
前月比 0.6% ▲0.9%・改
7月仏製造業PMI改定値
48.2 48.4
7月独製造業PMI改定値
49.1 49.2
7月ユーロ圏製造業PMI改定値
49.8 49.8
7月英製造業PMI改定値
48.0 48.2
7月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値
(前年比) 2.0% 2.0%
7月ユーロ圏HICPコア速報値
(前年比) 2.3% 2.3%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は急落。7月米雇用統計の発表を控えてしばらくは150円台半ばでのもみ合いが続いたが、NYの取引時間帯に入ると大幅に下落した。トランプ米大統領が自身のSNSに「パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は頑固な馬鹿者。もし彼が利下げを拒み続けるなら、理事会が主導権を握るべきだ」と投稿すると、FRBの独立性を巡る懸念が高まり全般ドル売りが先行。
米労働省が発表した7月米雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比7.3万人増と予想の10.4万人増を下回り、過去2カ月分が25.8万人下方修正された。米雇用市場に対する懸念が高まると、米長期金利の大幅低下とともにドル売りが加速した。
その後発表された7月米ISM製造業景況指数が予想を下回るとさらにドル売りが進み、一時147.50円まで下落した。米株式市場でダウ平均が一時790ドル超下落したこともリスク回避の円買いを誘った。
なお、今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策決定に反対票を投じたボウマンFRB副議長とウォラーFRB理事はそれぞれ声明を発表し、0.25%の利下げを改めて主張したうえで、金利据え置きに反対した理由を明らかにした。
・ユーロドルは上昇。FRBの独立性を巡る懸念や米雇用市場に対する懸念から全般ドル売りが進行。米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.40%台から4.22%台まで急低下したこともドル売りを促し、23時過ぎに一時1.1588ドルまで値を上げた。
ただ、買い一巡後は伸び悩んだ。トランプ米大統領はメドベージェフ露安全保障会議副議長(前大統領)の挑発に対し、SNS上で「原子力潜水艦2隻の配備を命令した」と明らかに。地政学リスクへの懸念からユーロ売りが出て一時1.1517ドル付近まで下押しした。
・ユーロ円は軟調。米関税政策が世界景気に悪影響を及ぼすとの懸念が再び高まったほか、低調な米経済指標を受けた米景気の不透明感から欧米株価が大幅に下落。投資家がリスク回避姿勢を強め、円買い・ユーロ売りが優勢となった。2時30分前には一時170.29円と日通し安値を更新した。
なお、欧州を代表する株価指数のひとつユーロ・ストックス50指数は2.9%安となったほか、ナイト・セッションの日経平均先物は大証終値比1130円安の3万9730円まで下げる場面があった。
・ロンドン株式相場は続落。アジア各国・地域の株価指数が総じて下落すると、英株にも売りが先行。低調な米経済指標が相次ぎ、米国株相場が急落したことも相場の重しとなった。バークレイズやロイズ・バンキング・グループなど金融株が売られたほか、アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株が値下がりした。
・フランクフルト株式相場は続落。米関税政策に対する警戒感が再燃する中、売りが先行。低調な米経済指標が相次ぎ、米国株相場が急落すると独株にも売りが波及した。個別ではダイムラー・トラック・ホールディング(8.71%安)やシーメンス(5.31%安)、ハイデルベルク・マテリアルズ(4.96%安)などの下げが目立ち、バイエル(2.82%高)などを除く37銘柄が下落した。
・欧州債券相場は上昇。株安を受けた。
(1日終値)
ドル・円相場:1ドル=147.40円(前営業日比▲3.35円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=170.79円(▲1.29円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1587ドル(△0.0172ドル)
ダウ工業株30種平均:43588.58ドル(▲542.40ドル)
ナスダック総合株価指数:20650.13(▲472.32)
10年物米国債利回り:4.22%(▲0.15%)
WTI原油先物9月限:1バレル=67.33ドル(▲1.93ドル)
金先物12月限:1トロイオンス=3399.8ドル(△51.2ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
7月米雇用統計
失業率 4.2% 4.1%
非農業部門雇用者数変化
7.3万人 1.4万人・改
平均時給
(前月比) 0.3% 0.2%
(前年比) 3.9% 3.8%・改
7月米製造業PMI改定値
49.8 49.5
7月米ISM製造業景況指数
48.0 49.0
6月米建設支出
(前月比) ▲0.4% ▲0.4%・改
7月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値)
61.7 61.8
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は3日ぶりに大幅反落。トランプ米大統領が自身のSNSに「パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は頑固な馬鹿者。もし彼が利下げを拒み続けるなら、理事会が主導権を握るべきだ」と投稿すると、FRBの独立性を巡る懸念が高まり全般ドル売りが先行。
米労働省が発表した7月米雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比7.3万人増と予想の10.4万人増を下回り、過去2カ月分が計25.8万人下方修正された。米雇用市場に対する懸念が高まると、米長期金利の大幅低下とともにドル売りが加速した。その後発表された7月米ISM製造業景況指数が予想を下回るとさらにドル売りが進んだ。
NY午後には「クーグラーFRB理事が8月8日付で辞任する意向を示した」と伝わり、米長期金利が一段と低下。ドルの重しとなり、一時147.30円まで値を下げた。
・ユーロドルは続伸。FRBの独立性を巡る懸念や米雇用市場に対する懸念から全般ドル売りが優勢になると、23時過ぎに一時1.1588ドルまで値を上げた。
トランプ米大統領がメドベージェフ露安全保障会議副議長(前大統領)の挑発に対し、SNS上で「原子力潜水艦2隻の配備を命令した」と明らかにすると、地政学リスクへの懸念からユーロ売り・ドル買いで反応。2時30分過ぎに1.1517ドル付近まで下押しする場面もあった。
ただ、FRB理事の辞任が伝わると米金利の低下とともに再びドル売りが優勢となり、一時1.1597ドルと日通し高値を更新した。
・ユーロ円は反落。米関税政策が世界景気に悪影響を及ぼすとの懸念が再び高まったほか、低調な米経済指標を受けた米景気の不透明感から株価が大幅に下落。リスク回避の円買い・ユーロ売りが優勢となり、2時30分前に一時170.29円と日通し安値を更新した。
なお、米株式市場でダウ平均は一時790ドル超下落したほか、ナイト・セッションの日経平均先物は大証終値比1130円安の3万9730円まで下げる場面があった。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は5日続落。FRBの独立性を巡る懸念や米雇用市場に対する懸念から、株売りが優勢となった。決算内容が嫌気されたアマゾン・ドット・コムが大幅に下落したことも相場の押し下げ要因となり、指数は一時790ドル超下げた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は大幅に続落した。
・米国債券相場で長期ゾーンは大幅上昇。FRBの独立性を巡る懸念や米雇用市場に対する懸念から、相対的に安全資産とされる米国債に買いが入った。米利下げ観測の高まりも相場の支援材料。
・原油先物相場は続落。トランプ米政権の新たな関税の発動がエネルギー需要に及ぼす影響を見極めたいとの思惑が強まるなか売りが先行した。弱い米雇用統計の結果を受けて為替相場でドル安が進み、ドル建ての原油は割安感から買いが入る場面もあったが、買いは一時的にとどまり再び売りに押された。
・金先物相場は3日ぶりに反発。米雇用統計の結果を受けて雇用情勢への警戒感が強まり、米早期利下げ思惑が浮上し、米長期金利が急低下した。金利を生まない金に買いが入り大幅反発した。米株の大幅安も安全資産とされる金の買いを後押した。
トランプ米大統領は1日、ロシアの脅威を指摘し、原子力潜水艦2隻の配備を命令したと発表した。
米連邦準備理事会(FRB)は1日、クーグラー理事が8月8日付で辞任する意向を示したと発表した。
1日09:53 赤沢経済再生相
「引き続き米側に自動車・同部品関税引き下げの合意実施を求めてゆく」
「(米相互関税の大統領令について)発表されたばかりで措置の詳細を精査する必要」
「輸出価格や輸出動向に注視が必要」
「関税で対米輸出や世界総需要など下振れる可能性が想定される」
「日銀、引き続き政府と緊密に連携して2%物価目標の安定的実現に向けて適切な政策運営を期待」
「日本の関税、相対的に他国より有利ならば日本の競争条件が有利になる可能性」
1日10:20 加藤財務相
「投機的な動きを含め、為替市場の動向を憂慮している」
「為替市場の動向に関して、政府としてコメントは控える」
「米関税措置が輸出に与える影響を注視する」
「為替はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要」
1日19:36 トランプ米大統領
「パウエルは頑固な馬鹿者であり、今すぐ大幅な利下げをしなければならない」
1日21:10 ウォラー米連邦準備制度理事会(FRB)理事
「私が反対票を投じたのは、政策金利を0.25%引き下げることが適切だと判断したため」
「関税は一時的な価格上昇要因であり、インフレ期待が安定している限り、政策当局は見過ごすべきだと考えている」
「さまざまなデータから、金融政策は現状では引き締め的でなく中立に近い水準が妥当だと示されている」
「現行金利を維持する理由は見当たらず、このままでは労働市場の急激な悪化リスクがあると指摘」
1日21:13 ゴドンワナ南ア財務相
「CPI目標の変更は協議を経て行われる」
「CPI目標に関する政策決定権は自分に委ねられている」
「CPI目標の発表の計画はない」
1日21:14 ボウマン米連邦準備制度理事会(FRB)副議長
「他のFOMCメンバーが異なる見解を持っていることは認識し、尊重している」
「行動を遅らせることで労働市場の悪化や経済成長のさらなる減速というリスク」
「関税がインフレに恒常的なショックを与えるとは考えにくい」
「物価安定への上振れリスクは弱まっているとの自信が高まっている」
「今後は雇用維持により重きを置くべき」
「現在のやや引き締め的な金融政策を段階的に中立へ戻し始めるのが適切だと考える」
1日22:22 ハマック米クリーブランド連銀総裁
「インフレ目標の未達幅は拡大し、期間も長引いている」
「今週の決定に自信を持っている」
「労働市場を非常に注意深く見守る必要がある」
「労働市場は健全、依然として均衡が取れている」
「雇用統計は確かに失望させるものだった」
「労働市場側に弱さが見られる可能性がある」
※時間は日本時間
4日
○08:50 ◇ 7月マネタリーベース
5日
○08:50 ☆ 6月16-17日分の日銀金融政策決定会合議事要旨
6日
○08:30 ◇ 6月毎月勤労統計(現金給与総額)
7日
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○14:00 ◇ 6月景気動向指数速報値
8日
○08:30 ◇ 6月家計調査(消費支出)
○08:50 ◎ 6月国際収支速報
○08:50 ◇ 日銀金融政策決定会合における主な意見(7月30-31日分)
○14:00 ◇ 7月景気ウオッチャー調査
○自民党、両院議員総会を開催
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
4日
○15:30 ◎ 7月スイス消費者物価指数(CPI)
○16:00 ◎ 7月トルコCPI
○16:30 ◇ 7月スイス製造業購買担当者景気指数(PMI)
○23:00 ◎ 6月米製造業新規受注
○カナダ(市民の祝日)、休場
5日
○10:45 ◎ 7月Caixin中国サービス部門PMI
○15:45 ◇ 6月仏鉱工業生産
○16:50 ◎ 7月仏サービス部門PMI改定値
○16:55 ◎ 7月独サービス部門PMI改定値
○17:00 ◎ 7月ユーロ圏サービス部門PMI改定値
○17:30 ◎ 7月英サービス部門PMI改定値
○18:00 ◎ 6月ユーロ圏卸売物価指数(PPI)
○21:30 ◇ 6月カナダ貿易収支
○21:30 ◎ 6月米貿易収支
○22:45 ◎ 7月米サービス部門PMI改定値
○22:45 ◎ 7月米総?⑰MI改定値
○23:00 ☆ 7月米ISM非製造業指数
○6日02:00 ◎ 米財務省、3年債入札
6日
○07:45 ◎ 4-6月期ニュージーランド(NZ)失業率/就業者数増減
○13:30 ☆ インド中銀、金融政策決定会合
○15:00 ◎ 6月独製造業新規受注
○17:30 ◎ 7月英建設業PMI
○18:00 ◎ 6月ユーロ圏小売売上高
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○7日02:00 ◎ 米財務省、10年債入札
○7日03:00 ◎ 7月ブラジル貿易収支
○10:30 ◇ 6月豪貿易収支
○未定 ◎ 7月中国貿易収支
○15:00 ◎ 6月独鉱工業生産
○15:00 ◇ 6月独貿易収支
○15:00 ◎ 7月スウェーデンCPI
○15:45 ◇ 6月仏貿易収支
○15:45 ◇ 6月仏経常収支
○16:00 ◇ 7月スイス失業率(季節調整前)
○19:00 ◎ レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○20:00 ☆ 英中銀(BOE)、政策金利発表
○20:00 ☆ 英中銀MPC議事要旨
○21:00 ◎ 7月メキシコCPI
○21:30 ◇ 4-6月期米非農業部門労働生産性・速報値
○21:30 ◇ 4-6月期米単位労働コスト・速報値
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数
○23:00 ◇ 7月カナダIvey購買部協会景気指数
○23:00 ◇ 6月米卸売売上高
○23:00 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○8日02:00 ◎ 米財務省、30年債入札
○8日04:00 ◇ 6月米消費者信用残高
○8日04:00 ◎ メキシコ中銀、政策金利発表
8日
○16:00 ◇ 7月スイスSECO消費者信頼感指数
○21:30 ☆ 7月カナダ雇用統計
○23:20 ◎ ムサレム米セントルイス連銀総裁、講演
9日
○10:30 ◎ 7月中国CPI
○10:30 ◎ 7月中国PPI
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
◆豪ドル、日米金融政策を受けた動きに
◆豪ドル、4-6月期CPIの鈍化で利下げの可能性高まる
◆ZAR、SARBは0.25%の利下げを決定
予想レンジ
豪ドル円 94.00-98.00円
南ア・ランド円 8.00-8.40円
8月4日週の展望
豪ドルは上値の重い動きとなりそうだ。今週開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では市場予想通りの金利据え置きと2名の理事から反対票が投じられたことが明らかになったが、その後のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の定例記者会見は、市場では「タカ派」的な内容と受け止められた。日銀も予想通りの金利据え置きを決めたほか、植田日銀総裁の会見は利上げを急いでいないと印象付ける内容だった。日米の金融政策を手掛かりに、市場全般の方向性は円安・ドル高へと傾くと予想され、豪ドルも対ドル・対円で影響を受けることになるだろう。また、豪州では金利先安観が高まっており、しばらくは豪ドルが戻り売りに押されやすい展開となることも考慮しておきたい。
今週発表された注目の4-6月期消費者物価指数(CPI)は前年比2.1%の上昇と前期の2.4%からインフレ鈍化が確認されたほか、豪準備銀行(RBA)が重視しているトリム平均も前年比2.7%と2021年10-12月期以来の低水準となった。RBAのインフレ目標である2-3%の範囲内に2四半期連続で収まっており、市場では次回(8月11-12日)理事会での0.25%利下げが既定路線となりつつある。今後、RBAが金融緩和ペースを速めるかの判断は次回理事会での声明文を待つ必要があるが、当面は金利先安観が重しとして意識されやすい状況が続くだろう。
南アフリカ・ランド(ZAR)は伸び悩む展開となりそうだ。今週開催された南アフリカ準備銀行(SARB)の金融政策決定委員会(MPC)では全会一致で0.25%の利下げを決定。クガニャゴSARB総裁は会見で「現在のインフレ目標(3-6%)の下限を目指す」との見解を示した。SARBと財務省が検討中のインフレ目標引き下げは正式発表こそなかったものの、実質的にSARBのインフレ目標は3%になったと考えてもよい。SARB総裁は「これにより金融政策余地が拡大する」と説明しているが、市場では現状の緩和サイクルは終了が近いと見ており、今回の決定に対する反応が注目される。
なお、南アフリカと米国間では期日となる8月1日を迎えたが関税交渉は合意に至らず、南アフリカから米国向けの輸入品に対して30%の関税が賦課されることが発表された。両国間の関係が冷え込んでいたこともあって今回の結果はサプライズではないが、すでに今年の米国向け自動車輸出が前年比で5分の1程度まで急減したとの報道もあり、関税の影響がさらに顕在化した際にはZAR相場にとっても懸念材料となりそうだ。
7月28日週の回顧
豪ドルは対ドルで軟調に推移。FOMC 後は全般にドル買いが強まった影響もあり、週末にかけて0.64ドル台前半まで値を下げた。一方、対円ではドル円が上昇した影響も受けたため、方向感に乏しかった。ZARは対ドルで5月以来の水準まで売りに押され、対円でも8.2円台でやや上値の重さが目立つ動きとなった。
◆ポンド、BOEは0.25%利下げ見込みも議事要旨に着目
◆加ドル、米加関係は中東情勢も絡み依然として先行き不透明
◆加ドル、6月貿易収支や7月雇用統計に注目
予想レンジ
ポンド円 195.00-200.00円
加ドル円 107.00-111.00円
8月4日週の展望
来週のポンドは、7日に英中銀(BOE)が公表する金融政策委員会(MPC)の結果に注目。市場は現行4.25%の政策金利を4.00%に引き下げると予想している。見込み通りであれば2会合ぶりの利下げ、水準も2023年2月以来(当時は金融引き締め局面)の低さだ。1年前から始まった緩和フェーズにおける引き下げ幅は、125ベーシスポイント(bp)となる。最近のベイリーBOE総裁のハト派コメントからしても、市場の織り込み通り、金利についてサプライズはないだろう。
着目すべきはMPC委員の投票行動。据え置きを決めた前回6月の会合では、リスク評価を続けるとして9人中6人が支持。残り3人の委員が0.25%の利下げを主張した。今回は逆に、何人が据え置きに固執するかがポイントとなる。特に、利下げした5月会合で据え置きをアピールしたピル委員は英中銀チーフエコノミストでもあるため、その行動は他委員よりも市場の関心を引きそうだ。またMPC議事要旨では、全体の金利先安観の強弱を確かめる必要がある。
加ドルは、依然として貿易問題を巡るカナダと米国の関係に注視。トランプ米大統領は先日、「パレスチナ独立を支持したカナダとは、貿易協定締結は非常に困難」と発言した。民主的改革の推進を条件に、カーニー加首相が9月にもパレスチナを国家として承認する方針を表明。カナダの動きは英仏に続くものであり、トランプ大統領が反対圧力を高めても、カーニー首相は引き下がらないだろう。そうなると、米加の溝はさらに広がってしまうことになる。
カナダ経済指標では、まず6月貿易収支に注目。トランプ米政権が高関税で世界に圧力をかけ始めた2月以降、カナダ貿易は赤字が続いている。4月は70億ドル超と過去最大の赤字幅を記録し、前回5月は輸出先の多角化から赤字額は縮小したが、それでも59億ドルと高水準だ。遅行指標ではあるものの、6月貿易収支の結果次第では、実需の加ドル売りが意識されそうだ。
週末に発表される7月カナダ雇用統計では、前回の改善が本物かを見定めることになる。6月分の新規雇用者数は8万人超の増加と、±ゼロの予想から大幅に上振れた。失業率も7%台への悪化見込みから6.9%まで改善した。7月は、新規雇用の多くが非常勤だったことの反動が懸念材料となっている。2025年上半期の雇用者数は、新型コロナ禍を除くと2018年以来の低い伸び率だった。下半期のスタートが弱いとなれば、まだ不確定とされる「年末までにカナダ中銀(BOC)が追加利下げに踏み切る」ことへの思惑が、今後は高まることになりそうだ。
7月28日週の回顧
ポンド円は週初の199円前半から失速し、一時197円割れまで下落。ドル高進行で、ポンドドルが1.34ドル前半から1.32ドル割れまで売られた影響を受けた。もっとも、植田日銀総裁が追加利上げに慎重な姿勢を示すと199円半ばまで切り返した。
加ドルは対円で107円前半を底に109円手前まで反発。対ドルでは1.36加ドル後半から1.38加ドル半ばまで加ドル安が進んだ。BOCの政策金利据え置きや声明に対する反応は限られ、円相場・ドル相場の流れに追随した。
◆ドル円、短期的な日米金融スタンスが明確化し底堅い
◆来週は米指標予定少ないが、8日の自民党両院議員総会には注意
◆ユーロドル、欧州景気不安やドル先高観から上値重い
予想レンジ
ドル円 147.50-155.00円
ユーロドル 1.1050-1.1600ドル
8月4日週の展望
ドル円は、日米の金融政策決定会合を通過したことで底堅い地合いが継続しそうだ。米連邦公開市場委員会(FOMC)は2人のメンバーによる反対票はあったものの政策金利を据え置き、パウエル米連邦準備理事会(FRB)は「9月FOMCについては何も決定していない」と早期利下げについては言及しなかった。トランプ米大統領からは再三にわたって利下げ圧力が掛けられていたが、FRB議長は慎重な姿勢を保ったことでドルが大きく買われることとなった。
また、日銀は2025年の物価目標を引き上げたものの、現状の金融政策を維持。植田日銀総裁は会見で早期利上げを示唆することはなかった。それに加え、「足もとの為替の動き、物価見通しに直ちに影響あるとは見ていない」と発言したことが円安容認とも捉えられ、会見後は円売りが加速した。
今週の日米金融政策の決定内容や両首脳の会見などを受けて、短期的ながらも日米の金融政策スタンスが明らかになった。来週も円売り・ドル買いの流れか継続する可能性が高い。なお、米経済指標としては、5日に7月ISM非製造業指数、7日に4-6月期非農業部門労働生産性・速報値と予定は少なく、株価や米金利動向をしっかりと見極めていくことになりそうだ。
なお、日本国内では、参院選後の政局を引き続き注視。注目の石破首相の進退問題については、自民党内では意見がまとまっていない。1日召集の臨時国会が5日まで行われ、党の重要な意思決定機関である両院議員総会は8日に開催されることが決定している。仮に石破首相辞任という動きとなれば、次期政権を期待した日本株高による一段の円安の可能性にも留意しておきたい。
ユーロドルは、頭の重い展開が想定される。米国と欧州連合(EU)との通商協議が合意したものの、15%の関税が特に自動車業界に与える悪影響が計り知れないと指摘する専門家も多く、欧州の景気先行き懸念がユーロの重しとなるだろう。また、米早期利下げ観測が後退しドルの先高観が高まっていることも売り材料視されそうだ。一方で、欧州中央銀行(ECB)の利下げ観測も後退しており、短期金利市場では年内の金利据え置きの確率が50%程度まで上昇している。
7月28日週の回顧
ドル円は買い優勢。週半ばまでは148円台を中心に方向感のない動きが続いた。ただ、良好な米指標やFRB議長の利下げに慎重な姿勢を受けて買いが強まった。日銀総裁の会見で買いが加速すると一時150.88円まで上値を伸ばし、3月28日以来の高値を付けた。
ユーロドルは軟調。米EUの関税交渉が合意に至ったものの、欧州景気不透明感を背景に週明けから大幅に下落。FOMC後は全般ドル高が進んだ影響も受けて一時1.1401ドルと6月10日以来の安値を更新した。
8月に入り1日の日経平均は反落。終値は270円安の40799円。米国株安や東京エレクトロン<8035.T>の下方修正などを嫌気して下落スタート。小安く始まるも、売り気配で始まった多くの半導体株の値が付くにつれて、一気に下げ幅を400円超に広げた。40500円台に入り、東京エレクトロンがストップ安で寄り付いたところで売りが一巡。そこから40900円台まで値を戻したが、節目の41000円近辺では上値が重くなった。後場は動意が乏しくなったが、東京エレクトロンが改めて売られたことから、やや下げ幅を拡大。後場の安値圏で取引を終えた。一方、半導体株を除いては多くの銘柄が上昇しており、TOPIXはプラスで終えた
東証プライムの売買代金は概算で5兆6100億円。業種別では電気・ガス、陸運、建設などが上昇した一方、精密機器、電気機器、海運などが下落した。1Qが大幅な最終増益となった亀田製菓<2220.T>が後場急騰。半面、決算発表前に上場来高値圏で推移していた日立製作所<6501.T>は、1Qの増収増益着地は好感されず、8%を超える下落となった。本日派手に売られた東京エレクトロンは18%安となり、1銘柄で日経平均を約498円押し下げた。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1300/値下がり291。上方修正と増配を発表したJTが商いを伴って大幅高。東電HDは1Qの大幅最終赤字を受けて売りが先行したものの、プラス転換から上げ幅を広げて3%を超える上昇となった。富士電機やコナミグループが決算を材料に急伸。1Qが大幅増益となったテレビ東京や日本テレビが跳ねており、同業のテレビ朝日やTBSにも期待買いが入った。
一方、東京エレクトロンの急落が嫌気され、レーザーテック、ディスコ、SCREEN、KOKUSAIなど半導体株の多くが大幅安。商船三井は増配を発表したものの決算が嫌気されて後場に売られており、同業の日本郵船や川崎汽船も連れ安した。1Qが最終減益となった住友ファーマが、直近で強く買われていたこともあって6%を超える下落。1Qが減益となったデジタルアーツは、本日自己株取得を発表したものの、2桁の下落率となった。
日経平均は下落したが、東京エレクトロンの暴落を受けても常識的な下げにとどまった。安値の40588円は東京エレクトロンがストップ安で寄り付いた9時27分につけている。7月29日や30日も40500円台で下げ止まっており、底割れはしていない。何より、プライムでは1300銘柄が上昇している。東京エレクトロンが一時的とはいえストップ安まで売られたのはショッキングではあるが、優良銘柄とみられている同社が業績だけでなく配当見通しまで引き下げてくれば、売りが殺到するのは仕方ない。半導体株に関しては風向きが悪くなる可能性はあるものの、半導体株安を冷静に消化した日本株には期待が持てる。
【来週の見通し】
堅調か。日米ともにイベントや指標の発表は多くない中、日本では決算発表がラッシュとなる。三菱UFJ、トヨタ、ソフトバンクGなど注目度の高い企業の決算が連日で出てくるだけに、個別物色に全力投球の1週間となるだろう。決算で大きく下げる銘柄にもリバウンド狙いの押し目買いが入ることで、売買の活況が見込まれる。ある程度のボラティリティを許容しながら、楽観ムードの強い地合いが続くと予想する。なお、「森よりも木を見る」相場環境になると思われるだけに、指数に関してはガンガン上昇していくというよりは、弱材料に耐性を示しながら週間ではプラスとなるような展開を想定している。
今週の日経225先物は、ギャップダウンから調整一巡感が意識されてくる可能性はあるものの、決算発表がピークを迎えるなかで積極的なリバウンド狙いのロングを手控えさせそうだ。8月1日の米国市場では主要な株価指数が下落し、NYダウは5日続落で7月16日の直近安値を割り込み、6月下旬以来の水準まで売られた。
1日発表の7月の米雇用統計は非農業部門の雇用者数が前月比7万3000人増と、市場予想(10万人増程度)を下回った。さらに増加幅は6月が14万7000人から1万4000人、5月が14万4000人から1万9000人へとそれぞれ下方修正された。7月のISM製造業総合景況指数は48.0と市場予想(49.5程度)を下回り、6月(49.0)から低下した。雇用統計などの想定外の結果を受けてトランプ政権の通商政策が米労働市場や世界景気に与える影響への懸念が広がった。
日経225先物は1日の取引終了後のナイトセッションで急落し、3万9900円と節目の4万円を割り込んで終えている。一時3万9730円まで下げ幅を広げる場面もみられており、日米関税交渉の合意が好感された7月23日の急騰分を埋めつつある。
週明けは米株安の影響からインデックス売りが膨らみやすく、シカゴ日経平均先物清算値の4万円にサヤ寄せする形で、ギャップダウンから始まることになろう。ボリンジャーバンドの-1σ(3万9500円)が射程に入ってくるとみられ、いったんはリバウンド狙いのロングを誘うことになりそうだ。ただし、同バンドを明確に下回ってくるようだと、7月23日の急騰分を帳消しにする形になるため、ショートが膨らむ可能性がある。
また、7月30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見でパウエルFRB議長は早期利下げに慎重な見解を示し、不確実性は非常に多いと述べており、次回9月の利下げ期待が後退していた。ただし、米雇用統計の結果を受けて、再び早期利下げ観測が高まってきている。為替市場では日米の金融会合の結果を受けて、日米金利差を狙った動きから1ドル=150円台後半へ円安が進んだ。先週半ば以降は円安を手掛かりとした資金流入も観測されていたが、米国の早期利下げ観測の再燃によって現在は1ドル=147円台前半と円高に振れていることも手掛けにくくさせよう。
自民党は「参院選の総括と今後の党運営について」を議題に、8日に両院議員総会を開催する。参院選大敗の責任を追及するなかで石破茂首相の退陣圧力が強まっているが、辞任はないと考えられる。ただ、思惑的な動きから次期総裁への政策期待が高まる可能性があり、短期的なロングを誘う動きは意識しておきたい。
日経225先物は、ギャップスタート後は4万円を巡る攻防になりそうである。同水準での上値の重さが意識されるようだと、-1σに接近する場面もあると考えられ、まずは押し目狙いのロング対応に向かわせよう。下へのトレンドが強まる局面では、レバレッジ型ETFのヘッジ対応に伴うショートが下へのバイアスを強めてくる展開に注意しておきたい。
一目均衡表では、3万9000円~3万9300円に位置する雲上限を試す可能性もありそうだ。雲上限を支持線としたリバウンドが意識されるが、同水準まで下げてくると遅行スパンが実線を割り込んでくるため、テクニカルの下方シグナルを発生させる。シグナル悪化によって、4万円近辺では戻り待ち狙いのショートが入りやすくなりそうだ。そのため、オプション権利行使価格の3万9500円から4万0500円のレンジを想定。4万円での攻防が続くようだと、3万9000円から4万円のレンジに引き下げる。
1日の米VIX指数は20.38(7月31日は16.72)に上昇した。週間(7月25日は14.93)でも大幅な上昇となった。先週は29日につけた14.70をボトムに25日線で攻防をみせていたが、週末の急伸によって75日線(19.35)、200日線(19.41)を一気に上抜いている。26週線が位置する21.36を上回ってくると、上へのトレンドが出やすくなり、市場心理を神経質にさせそうだ。
先週末のNT倍率は先物中心限月で13.83倍に(31日は13.97倍)に低下した。週間(7月25日は14.02倍)でも下げている。週初に200日線(14.02倍)、75日線(14.03倍)を明確に割り込み、週末には一時-3σ(13.83倍)を割り込んで、75日線(13.79倍)水準まで下げている。75日線までの下げでいったんは反転が意識されそうだが、半導体株の明確な底入れからの反転を確認するまでは、NTショートに振れやすい需給状況となりそうだ。
7月第4週(7月22日-25日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では15週連続の買い越しであり、買い越し額は1兆2557億円(7月第3週は2411億円の買い越し)だった。なお、現物は6023億円の買い越し(同1875億円の買い越し)と17週連続の買い越し。先物は6533億円の買い越し(同536億円の買い越し)と3週連続の買い越しだった。個人は現物と先物の合算で1兆1687億円の売り越しと7週連続の売り越し。信託銀行は現物と先物の合算で2110億円の売り越しとなり、4週連続の売り越しだった。
主要スケジュールでは、4日に米国6月製造業新規受注、5日に日銀金融政策決定会合議事要旨(6月16・17日開催分)、中国7月財新サービス業PMI、米国6月貿易収支、米国7月ISM非製造業景気指数、6日に6月毎月勤労統計、7日に6月景気動向指数、米国による日本への相互関税15%発動、イングランド銀行(BOE)政策金利、米国4-6月期非農業部門労働生産性指数、米国6月卸売売上高、中国7月貿易収支、8日にオプションSQ、6月全世帯家計調査、日銀金融政策決定会合の主な意見(7月30日・31日開催分)、7月景気ウォッチャー調査、自民党両院議員総会などが予定されている。
サウジアラビアやロシアなどOPECプラスの有志8カ国は3日、オンラインで会合を開き、9月の原油の生産量を1日あたり54万7000バレル増やすと明らかにした。
米労働省労働統計局のマッケンターファー局長が、7月雇用統計をめぐる「政治的操作」批判を受け、トランプ大統領の指示で2日に解任された。同氏はバイデン前政権が任命し信頼されていた統計専門家で、多くの共和党議員も承認していたが、トランプ大統領は1日に発表された7月の就業者数の増加幅が鈍化し、過去のデータも大幅に下方修正されたことを受け、政治的意図で統計データを「操作」していると主張していた。
<国内>
○08:50 ◇ 7月マネタリーベース
<海外>
○15:30 ◎ 7月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.2%)
○16:00 ◎ 7月トルコCPI(予想:前月比2.50%/前年比34.10%)
○16:30 ◇ 7月スイス製造業購買担当者景気指数(PMI、予想:50.0)
○23:00 ◎ 6月米製造業新規受注(予想:前月比▲5.0%)
○カナダ(市民の祝日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
先週末の海外市場でドル円は、7月米雇用統計の非農業部門雇用者数が予想を下回り、過去2カ月分が下方修正されると米長期金利の大幅低下とともにドル売りが加速した。その後発表された7月米ISM製造業景況指数が予想を下回るとさらにドル売りが進み147.30円まで値を下げた。ユーロドルは一時1.14ドルを割り込んだが、全般ドル売りが優勢になると、1.1597ドルまで値を上げた。
本日の東京時間でのドル円は、日銀の金利引き上げ観測後退や、先週植田日銀総裁が現行の為替水準を容認したことで円売り要因はあるが、先週の金曜日の雇用統計ショックやニュース等で、市場の流れは一転米国からのドル売り要因が表面化し、ドルの上値が重い展開になりそうだ。
先週は30日発表の4-6月期国内総生産(GDP)が大幅(1-3月期の-0.5%から+3.0%)に改善し、31日の6月米個人消費支出(PCE)デフレーター、コアデフレーターともに前年比では市場予想を上振れた。6月米消費者物価指数(CPI)も前年比でヘッドラインとコア指数が前月よりも上振れるなど、調査対象やカバレッジも異なる両インフレ指標が立て続けに上昇基調をたどっていることが確認された。この結果を受けて、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、利下げ予想が9月から10月が優勢になり、10月の利下げも25ベーシスポイント(bp)の利下げが60%台にとどまった。
しかしながら、その流れが週末の7月雇用統計で一転した。特に市場が反応したのが非農業部門雇用者数の過去2カ月(5・6月)分の修正で、これまでの1.6万人増加が25.8万人減少と大幅に下方修正されたこと。市場では6月の州政府と地方自治体の雇用が7万3000人増加とされていたことが、兼ねてから疑問視されていたが、これほどの修正は想定の範囲を超えていた。先週の米連邦公開市場委員(FOMC)で据え置きに反対票を投じた、ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、ボウマンFRB副議長は、雇用統計発表直前の会見で「このままでは労働市場の急激な悪化リスクがある」「行動を遅らせることで労働市場の悪化や経済成長のさらなる減速というリスク」などと指摘したことがうなずける結果となった。ボウマン氏が今後のFRBは雇用維持に重点を置くべきとの見解を示したが、これまでインフレの低下が緩やかで、利下げに対して慎重姿勢となっていたほかのFRBメンバーが、FRBの2大責務(物価の安定と雇用の最大化)のうちに雇用を重視する傾向が進む可能性があり、ドルの上値を抑えることになりそうだ。なお、上述したFF金利に基づく利下げ予想は、9月の25bpの利下げ予想が再び9割弱になり、10月には更に25bp(9-10月の合計は50bp)の利下げが過半数を超えている。
また、米金利の低下をさらに促す要因としては、クーグラー理事が8月8日付で辞任する意向を示したと発表したこと。2026年1月末まで任期があった同理事だが、民主党支持者ということもあり、トランプ米大統領は任期後には自分の息のかかったハト派の人物を後任に充てると見込まれていた。ただ、半年以上も早くクーグラー氏が辞任することはサプライズだった。トランプ氏が後任にハト派を指名することは確実なことで、FRB内で利下げに慎重な理事に更に圧力がかかることも、ドルに重くのしかかることになるだろう。なお、パウエルFRB議長は、議長職は2026年5月15日まで、理事職は2028年1月末まである。ただ、これまで慣例としてFRB議長を退任した後は、理事に残ることはなかった。
更に、週末にトランプ大統領がマッケンターファー労働省労働統計局長を解任したこともドル売り要因。トランプ大統領はマッケンターファー氏が「カマラ(ハリス氏)の勝利の可能性を高めようとし雇用統計を偽造していた」とSNSで記載している。ただ、ノーベル経済学賞受賞者のクルーグマン氏が今後は統計局の数値を信じることができなくなると批判しているように、米経済指標の信頼性の低下が、米国の信頼性を失うこともドル売り要因になりそうだ。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 39900 -960 (-2.34%)
TOPIX先物 2893.5 -59.0 (-1.99%)
シカゴ日経平均先物 40000 -860
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
1日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落。7月の米雇用統計は非農業部門の雇用者数が前月比7万3000人増と、市場予想(10万人増程度)を下回った。さらに増加幅は6月が14万7000人から1万4000人、5月が14万4000人から1万9000人へとそれぞれ下方修正された。7月のISM製造業総合景況指数は48.0と市場予想(49.5程度)を下回り、6月(49.0)から低下した。雇用統計などの想定外の結果を受けてトランプ政権の通商政策が米労働市場や世界景気に与える影響への懸念が広がった。決算内容が嫌気されたアマゾン・ドット・コム<AMZN>が大幅に下落したことも、相場の押し下げ要因となった。
S&P500業種別指数は医薬品・バイオテクノロジー、食品・生活必需品小売、耐久消費財・アパレルが上昇した一方で、小売、銀行、テクノロジー・ハード・機器の弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、シャーウィン・ウィリアムズ<SHW>、ホーム・デポ<HD>、ジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ>、メルク<MRK>が買われた。半面、アマゾン・ドット・コムのほかユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、スリーエム<MMM>、セールスフォース<CRM>、アップル<AAPL>、エヌビディア<NVDA>が軟調。
シカゴ日経平均先物清算値は大阪比860円安の4万円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比170円安の4万0690円で始まった。寄り付きを高値に4万0440円~4万0600円辺りで保ち合いを続けるなかで、米国市場の取引開始直前にレンジを下抜けると、中盤にかけて3万9730円まで下落幅を広げた。売り一巡後は3万9900円~4万0140円辺りで推移し、3万9900円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、売り先行で始まることになろう。25日移動平均線(4万0190円)を下抜けたことで、ボリンジャーバンドの-1σ(3万9500円)が射程に入ってくるとみられる。売り一巡後は4万円の攻防になりそうだが、25日線が抵抗線して意識されてくると戻り待ち狙いのショートが入りやすく、-1σ水準に接近する局面には注視しておきたい。
また、ナイトセッションで日中比960円安となったが、7月23日の急騰時と同様、トレンドが大きく出てくる局面では、レバレッジ型ETFのヘッジ対応に伴う調整の動きが入りやすい。下へのバイアスが強まる局面では、ヘッジ対応のショートが膨らむ可能性があるだろう。まずは売り一巡後の底堅さを見極め、ショートを警戒しつつも4万円を支持線とした値動きをみせてくるかを確認したいところである。
そのため、オプション権利行使価格の4万円を中心とした上下の権利行使価格である3万9500円から4万0500円のレンジを想定する。
1日の米VIX指数は20.38に上昇した。先週は7月29日につけた14.70をボトムに25日線での攻防をみせていたが、週末の急伸によって75日線(19.35)、200日線(19.41)を一気に上抜いている。26週線が位置する21.36を上回ってくると、上へのトレンドが出やすくなり、市場心理を神経質にさせそうだ。
先週末のNT倍率は先物中心限月で13.83倍に低下した。週初に200日線(14.02倍)、75日線(14.03倍)を明確に割り込み、週末には一時-3σ(13.83倍)を割り込んで、75日線(13.79倍)水準まで下げている。75日線までの下げでいったんは反転が意識されそうだが、同線を明確に割り込んでくると、NTショートに振れやすい需給状況となろう。
東京市場は軟調か。先週末の米国株は下落。ダウ平均は542ドル安の43588ドルで取引を終えた。7月雇用統計では、非農業部門雇用者数が7.3万人増と市場予想の11.0万人増を下回った。さらに、6月分と5月分も大幅に下方修正されたことで、景気後退に対する警戒が強まる展開。アマゾンが決算を受けて大きく下落したことも嫌気され、リスクオフムードの強い1日となった。米10年債利回りは大きく低下しており、為替市場では円高(ドル安)が進行。ドル円は足元147円30銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが860円安の40000円、ドル建てが815円安の40045円で取引を終えた。
米国株安や円高進行を受けて、売りに押されると予想する。米国の雇用指標が弱ければ早期の利下げ期待も高まってくるが、きょうに関しては本日の米国株の反応を見定めたいだけに、押し目買いは期待しづらい。決算発表銘柄の反応も、買われる銘柄の上げが限定的となり、売られる銘柄の下げが大きくなる可能性がある。CME225先物は4万円近辺からのスタートを示唆している。大きく水準を切り下げて始まりそうな分、安値は早い時間につけるとみるが、売りが一巡しても戻りは緩慢となるだろう。日経平均の予想レンジは39000-40300円。
日経225先物は11時30分時点、前日比750円安の4万0110円(-1.83%)前後で推移。寄り付きは3万9870円と、シカゴ日経平均先物清算値(4万円)を下回る形から、売りが先行して始まった。現物の寄り付き時に3万9740円まで売られる場面もみられたが、ナイトセッションでつけた安値(3万9730円)は割り込まず、下げ止まりをみせている。売り一巡後は自律反発狙いのロングが入る形で4万円を回復。4万円を挟んでの保ち合いを継続するなか、終盤にかけて4万0130円まで下げ幅を縮めてきた。
日経225先物は4万円での攻防をみせるなか、終盤にかけてのリバウンドにより、25日移動平均線(4万0200円)を試す動きが意識されてきた。25日線接近では戻り待ち狙いのショートの圧力が強まりそうだが、同線を捉えてくるようだと短期筋のショートカバーを誘う形で下落幅を縮めそうである。反対に突破できないと終盤にかけては持ち高調整によるロングを解消する動きが警戒されやすく、再び4万円での攻防で落ち着く可能性はあるだろう。
NT倍率は先物中心限月で13.79倍に低下した。75日線(13.79倍)を割り込み、一時13.77倍に低下した。ボリンジャーバンドのバンドが拡大傾向にあるなかで、下へのトレンドが強まってきている。-3σ(13.77倍)に沿った形での低下であり、NTショートに振れやすいだろう。
中国政府は8日から国債や政策金融機関債の利子収入への課税(6%の付加価値税適用)を発表し、1990年代以来の税制優遇を撤廃する。対象は発行残高の約7割を占め、市場では投資コスト増や、既存債・新発債の利回り格差拡大への懸念が広がっている。税収基盤拡大の狙いだが、国内債券市場の投資家心理が一段と悪化する恐れも指摘されている。
本日のロンドン為替市場では、ユーロ圏では主だった要人発言や経済指標の発表は予定されていない中、ユーロドルは前週末の米雇用統計ショックの影響を見極めることになるか。
前週末は7月米雇用統計を始め弱めの指標結果が相次いだこと加え、クーグラー米連邦準備制度理事会(FRB)理事の突然の辞任をきっかけとして米連邦準備制度理事会(FRB)の独立性に対する不透明感が漂ったことも合わさり、ドル売り・米長期金利低下が進んだ。本日は急速に進んだドル安に対する調整が先行しているものの、大元のドル売り材料に変化がない以上、足元のドル安トレンドが早期に転換する公算は小さいと見る。時間外の米長期金利の動きにも注目しつつ、欧州市場でもドル売りの動きが続くか、見極めることなろう。
テクニカル面でも、前週のユーロドルは日足・一目均衡表の雲の下限を割り込むも一時的となると、前週末には雲の上限を突破して転換線を上抜けており、下げ一服のチャート形状となっている。前週末に上伸を阻んだ基準線は本日1.1611ドルに位置しており、同水準を上抜けると先月28日に割り込んでから一度も回復していない節目の1.17ドルを視野に入れた上値模索も想定される。
なお、トルコでは7月消費者物価指数(CPI)が発表予定。市場予想は前年比34.10%と、21年後半以来の低い伸びとなる見通し。インフレに苦しむトルコ経済にとっての伸び鈍化は好材料であり、高止まりしているドル/リラ相場に影響が出るようならば対円相場を動かす場面もあるだろう。
想定レンジ上限
・ユーロドル:日足・一目均衡表の基準線1.1611ドル。超えると心理的節目の1.1700ドル
・トルコリラ円:90日移動平均線3.70円
想定レンジ下限
・ユーロドル:心理的節目の1.1500ドル。割り込むと日足・一目均衡表の転換線1.1427ドル。
・トルコリラ円:ピボット・サポート2の3.56円
先週末はまさにNFPショック。ヘッドラインの7月NFPこそ、7.3万人と予想の10.4万人を下回るといった特別な反応を必要としない数字でしたが、5月の144,000人から19,000人、6月の147,000人から14,000人への、見たことがない大幅な下方修正を目の当たりにした市場は、一気にドル売りで反応。2カ月で258,000人ですから、何ともかんともと言った状況。米10年債利回りが4.4060%から4.2002%まで急低下。7月米ISM製造業景気指数も予想を大幅に下回ったことから一時147.50円まで急落。一旦は148.23円まで買戻されたものの、今度は7月FOMCを欠席していたクーグラーFRB理事が8日付で辞任の意向を表明したほか、トランプ米大統領が雇用統計を集計している米労働統計局(BLS)の局長を解任する暴挙に出ると、再び147.30円まで値を下げて週末の取引を終えています。
週明けのアジア市場では、東京勢の取引が始まると同時にSLを付ける動きとなると147.06円まで売り込まれる場面もみられましたが、その後は本邦実需の買いが断続的に持ち込まれたほか、米長期金利が上昇。寄付きから950円近い急落となった日経平均が40000円台を回復して下げ幅を半減させる動きとなるにつれて147.91円まで買戻されているといったところです。 いずれにしても、ドル円はNFPショックからの落ち着きどころを探る動きとなっていますが、早朝のSL以外では実需の買いが目立っているわけで、一目転換線の148.39円付近を意識した動きとなっています。
また、BLS局長解任についても、トランプ米大統領が対米貿易赤字国のブラジルに対してあり得ない50%関税を賦課したのと同様に、その理由が「俺に対する腹いせに数字を操作しているから」といった、これもまたあり得ない理由によるもの。更には、クーグラーFRB理事辞任についても、数日中に入れ替わりの理事、つまり、次期FRB議長含みの理事を指名することを表明していますが、米議会が9月2日まで戻ってこないことから、実質的にすぐにその影響力を発揮することも出来ないといった状況。
BLS局長の首がすげかえられ、仮に強い米雇用統計が出てきたとしても、今度はFRBの利下げ先送りの理由にもされてしまうといったジレンマ。とにもかくにも、めちゃくちゃな事態となっています。
ドル円:1ドル=147.77円(前営業日NY終値比△0.37円)
ユーロ円:1ユーロ=170.98円(△0.19円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1570ドル(▲0.0017ドル)
日経平均株価:40290.70円(前営業日比▲508.90円)
東証株価指数(TOPIX):2916.20(▲32.45)
債券先物9月物:138.55円(△0.47円)
新発10年物国債利回り:1.505%(▲0.045%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
7月マネタリーベース
前年同月比 ▲3.9% ▲3.5%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は強含み。前週末に大きく下げた後とあって、市場では「買い遅れていた本邦実需勢からの買いが断続的に観測された」との指摘があった。寄り付き直後に急落した日経平均株価が徐々に下げ幅を縮めたほか、時間外の米長期金利が上昇した影響もあり、一時147.91円まで値を上げた。
・ユーロ円も強含み。ドル円と同じく本邦勢の参入後に下値を切り上げる展開となり、171.15円まで上昇する場面があった。
・ユーロドルはもみ合い。円絡みの取引が中心となったこともあり、1.15ドル台後半での方向感を欠いた動きとなった。
・日経平均株価は続落。米雇用統計を受けて景気の不透明感が意識され、前週末の米国株式相場が大幅安となった流れを引き継いだ。外国為替市場で円高が進行したことも相場の重しとなり、指数は一時950円近く下落。節目の4万円を下回る場面も見られたが、下値では押し目買いも入ったため、その後は徐々に下げ幅を縮小した。
・債券先物相場は6日続伸。前週末に米国債券相場が大きく上昇し、週明けの国内債券相場にも買いが波及した。一時139円05銭まで上昇する場面があった。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券では、米7月雇用統計を受けてリポートしている。非農業部門雇用者数の7月の+7.3万人という水準と5・6月の大幅下方改定は、パウエルFRB議長からすれば「堅調」という評価を覆す「予期せぬ弱さ」になったと三菱UFJMSでは指摘。これらは議長がFOMC後にくり返し言及した労働市場の明白な下方リスクの現実化で、9月利下げに道を開くものと考えている。
「低調な7月の米雇用統計は、共和党と私の評判を落とすために不正に操作された」
(トランプ米大統領)
1.米非農業部門雇用者数の大幅下方修正の理由
トランプ米大統領は、米国雇用統計で雇用者の伸びがこの3カ月に大きく減速(月平均+3.5万人)したことで、バイデン政権が任命した米労働省労働統計局(BLS)のマッケンターファー局長を解任するように当局者らに指示した。
BLSは雇用統計調査に当たり企業を対象に3カ月かけてデータを収集して完全な全体像を把握している。速報値段階で70%程度、改定値段階で90%程度、確報値段階で100%の回答率となる。しかし、速報値段階での調査に回答する企業の割合は、いろいろな規制への対応により減少傾向にあり、調査人員の削減などにより、最近では回収率が60%を下回ることが繰り返されている。
2.米7月雇用統計
2025年7月の米国の失業率は4.2%(※4.2479%)となり、就業者が26.0万人減だったものの、失業者数が22.1万人増だったことで、6月の4.1%(※4.117%)から上昇した。
非農業部門雇用者数(NFP)は、前月比+7.3万人の増加となり、6月は速報値の+14.7万人から+1.4万人へ下方修正(▲13.3万人)され、5月は改定値の+14.4万人から+1.9万人へ下方修正(▲12.5万人)されたことから、合計で25.8万人の下方修正となった。過去3カ月間の雇用者数の伸びは月平均+3.5万人と、前年同期の+12.3万人から大きく減少した。
7月31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを主張していたボウマンFRB副議長とウォラーFRB理事は、雇用情勢への懸念の高まりを理由に挙げている。
政府効率化省(DOGE)が連邦政府職員の削減を進めていた中、連邦政府の雇用者数は1.2万人減となり、1-7月で8.4万人減少した。
「フェドウオッチ」によると、9月FOMCでの利下げ確率(▲0.25%)が上昇し、10月と12月と3回の利下げで、12月時点でのFF金利は3.50-75%と見込まれている。
2021年の非農業部門雇用者数は723.3万人の増加となり、年間ベースで過去最大の伸びを記録し、月平均は60.3万人の増加だった。2022年平均は+38.0万人、2023年平均は+21.6万人、2024年平均は+16.8万人、2025年平均は+8.5万人と減少傾向が続いている。
■家計調査:失業率を算出(※5.5万世帯)
7月の失業率は4.2%(※4.2479%)となり、6月の4.1%(※4.117%)から上昇した。労働参加率(就業者および求職者の合計である労働力人口の生産年齢人口に占める割合)は62.2%と、3カ月連続低下した結果、22年11月以来の水準に落ち込んだ。トランプ米大統領の移民排除政策が労働市場から外国生まれの労働者を締め出し、労働参加率を押し下げると同時に失業率の上昇を抑えている。経済の雇用創出能力の尺度とされる就業率は59.6%となり、5月、6月の59.7%から低下し、2021年12月以来の低水準に落ち込んだ。
失業者数は723.6万人となり、6月の701.5万人から22.1万人増加しており、2020年2月の570万人を依然として上回ったままとなっている。労働力人口(1億7034万人)は、パンデミック(世界的大流行)前の水準(1億6458万人)を約576万人上回っている。
・不完全雇用率(U6):7.9%(6月7.7%、5月7.8%、4月7.8%:2020年5月21.1%)
(フルタイム雇用を望みながらパートタイム職に就いている労働者を含む広義の失業率)
・労働参加率:62.2%(6月62.3%、5月62.4%、4月62.6%:2020年2月:63.4%)
・長期失業者(27週以上):182.6万人(6月164.7万人:2020年2月112.1万人)
・黒人の失業率:7.2%(6月6.8%、5月6.3%、4月6.2%、3月6.0%:2020年2月6.0%)
(※黒人の失業率は景気後退(リセッション)が近づく前に先行して上昇する傾向)
■事業所調査:非農業部門雇用者数(※12.2万の会社・政府機関)
7月の非農業部門雇用者数は、前月比+7.3万人の増加となり、55カ月連続での雇用拡大となった。民間就労者数は前月比+8.3万人と6月の+3.0万人から増加した。平均時給は前月比+0.3%で、6月の+0.2%から上昇し、前年同月比は+3.9%となり、6月の3.8%から上昇した。
民間部門の総賃金(雇用者数×週平均労働時間×時給)は、前月比+0.7%、前年比+5.3%だったが、不法移民の労働力人口の減少や採用抑制に伴う賃金上乗せなどが影響したと思われる。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
OPECプラス有志8ヶ国、自主減産を当初予定から1年前倒しで解消
9月も大幅増産で日量220万バレルの自主減産は解消へ、ロシア産原油の供給懸念もくすぶる
主要産油国の枠組みであるOPECプラスの有志8ヶ国(サウジアラビア、ロシア、イラク、アラブ首長国連邦、クウェート、カザフスタン、アルジェリア、オマーン)は、3日に開催したオンライン会合で昨年から続けてきた日量220万バレルの自主減産を当初より1年前倒しで9月に解消することで合意した。背景には、原油市場の安定や在庫が低水準で推移していること、そして、OPECプラスの市場シェアの低下懸念がある。一方、トランプ米政権はロシアへの制裁強化を示唆しており、ロシア産原油の供給減が懸念される。OPECプラス全体としては協調減産を2026年末まで継続する方針だが、今後は自主減産の見直しが議論される可能性もある。当面の原油価格はOPECプラスの増産圧力とロシアの供給不安の綱引きのなかで、底堅い推移が続くと予想される。
大阪9月限
日経225先物 40320 -540 (-1.32%)
TOPIX先物 2920.5 -32.0 (-1.08%)
日経225先物(9月限)は前日比540円安の4万0320円で取引を終了。寄り付きは3万9870円と、シカゴ日経平均先物清算値(4万円)を下回る形から、売りが先行して始まった。現物の寄り付き時に3万9740円まで売られる場面もみられたが、ナイトセッションでつけた安値(3万9730円)は割り込まず、下げ止まりをみせている。売り一巡後は自律反発狙いのロングが入る形で4万円を回復すると、4万円を挟んで保ち合い、前場終盤にかけて4万0100円水準まで下げ幅を縮めた。
後場に入りリバウンドの動きが強まり、25日移動平均線(4万0210円)を突破し、4万0300円を回復。その後は4万0150円~4万0220円辺りで25日線を挟んだ攻防が続き、終盤にかけて同線を明確に上抜き、引け間際には4万0330円まで下げ幅を縮めている。
7月の米雇用統計が市場予想を下回り、さらに5月、6月の非農業部門の雇用者数の増加幅を大幅に下方修正したことで、トランプ政権の通商政策が米労働市場や世界景気に与える影響への懸念が広がった。日経225先物はナイトセッションで4万円の大台を割り込んで終えたことで朝方はインデックスに絡んだ売りが膨らんだが、前場は4万円処の攻防となり、後場は25日線での推移から同線を上回って終えた。大幅に続落したものの、売り一巡後は底堅さがみられたことで冷静な動きだった。
また、先週末に一時ストップ安まで急落した東京エレクトロン<8035.T>[東証P]は一段安で始まったが、その後は下落幅を縮め、小幅ながらプラス圏を回復して終えた。同様に大きく売られたソシオネクスト<6526.T>[東証P]やHOYA<7741.T>[東証P]などがリバウンドをみせたことも、安心感につながろう。
日経225先物はボリンジャーバンドの-1σに接近した後の切り返しで、中心値である25日線を上回ってきた。同線が支持線として機能するようだと、いったんは調整一巡の見方に向かわせることで、+1σ(4万0890円)とのレンジに移行する可能性がありそうだ。そのため、オプション権利行使価格の4万0125円から4万0875円のレンジを想定。押し目狙いのロング対応に向かわせよう。
NT倍率は先物中心限月で13.80倍に低下した。75日線(13.79倍)を割り込み、一時13.77倍に低下した。ボリンジャーバンドが拡大傾向にあるなかで、下向きで推移する-3σ(13.78倍)に沿った形での低下をみせている。ただし、後場は75日線水準での推移が続くなかで同線を上回って終えている。トレンドは下向きながら、いったんNTショートを巻き戻す動きが入りやすいと考えられる。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が2万5653枚、ソシエテジェネラル証券が1万6786枚、サスケハナ・ホンコンが3296枚、モルガンMUFG証券が3176枚、SBI証券が2865枚、バークレイズ証券が2720枚、JPモルガン証券が2698枚、ゴールドマン証券が1645枚、日産証券が1368枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が2万5647枚、ソシエテジェネラル証券が2万4111枚、バークレイズ証券が5984枚、JPモルガン証券が4750枚、モルガンMUFG証券が4574枚、ゴールドマン証券が4453枚、ドイツ証券が4097枚、ビーオブエー証券が1546枚、みずほ証券が1451枚、シティグループ証券が1033枚だった。
週明けのダウ先物、時間外の米長期金利が上昇したことも支えに、先週末に急落したドル円は買戻しが入っており、欧州勢参入後は148円台を回復した。ただ、米早期利下げ思惑の台頭で大きな反発は期待できないか。
先週、注目の日米金融政策イベントはドル高・円安で反応し、ドル円は約4カ月ぶりの150円大台復帰を果たした。最近方向感に欠けていたドル円が短期的に上方向へのトレンドが形成したと思いきや、週末は予想比下振れの米雇用統計を受けて急落した。日米ともに金融政策見通しに不確実性が大きく、ドル円は再び方向感を探る動きに戻している。
本日のNYタイムで予定されている経済指標は6月米製造業新規受注程度と手掛かりは限定的。トランプ米大統領の言動に引き続き注目。先週末の米雇用統計の結果を発表した後、トランプ氏は米労働省労働統計局(BLS)のエリカ・マッケンターファー局長を解任した。雇用統計ではこの3カ月に雇用者の伸びが大きく減速したことが示された。雇用統計の結果は利下げを強める材料ではあるが、トランプ氏にとってご自身の政策を否定する結果とも言えるので決してうれしいことではないのだ。トランプ氏は、8日付で辞任した米連邦準備制度理事会(FRB)のクーグラー理事の後任と、BLSの新局長今後数日以内に指名する方針を明らかにした。今回指名されるFRB理事が来年5月に任期満了となるパウエル議長の後任に就任する可能性もある。
・想定レンジ上限
ドル円、日足一目均衡表・転換線148.39円や5日移動平均線148.82円近辺が上値めど。
・想定レンジ下限
ドル円、本日これまでの安値147.06円が下値めど。
今週のNY市場は関税問題と第2四半期決算発表に注目。先週はダウ平均が1313.34ドル安(-2.92%)と反落し、S&P500が2.36%安、ナスダック総合が2.17%安とともに3週ぶりに反落した。米連邦公開市場委員会(FOMC)で9月利下げ期待が後退したものの、マイクロソフトやメタ・プラットフォームズが好決算を発表したことで木曜日まで高安まちまちで推移したが、金曜日に発表された米7月雇用統計で非農業部門雇用者数(NFP)が予想を下回り、過去2カ月分の大幅に下方修正されたことに加え、7月ISM製造業購買担当者景気指数(PMI)も改善予想に反して悪化したことで関税による景気悪化懸念が強まった。トランプ米大統領が関税を回避するために積み替えられた製品には40%の関税を上乗せするとしたことで、関税問題も再び懸念材料となった。一方、金曜の経済指標の悪化で利下げ期待は再び強まった。CMEのフェドウォッチ・ツールの9月利下げ確率は木曜日の38%から金曜日に90%に上昇した。
今週は重要な経済イベントは少ないものの、中国などとの貿易交渉の行方に引き続き注目が集まるほか、高水準の発表が続く企業の第2四半期決算発表が焦点となりそうだ。中国との貿易交渉では、EVからデータセンターまで広範な産業で必要不可欠なレア・アースの輸出問題などがポイントで交渉の行方が注目される。第2四半期決算発表はハイテクのパランティア・テクノロジーズ、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)のほか、資本財のキャタピラー、消費関連のマクドナルド、ウォルト・ディズニーなどS&P500の約130銘柄が発表予定で、決算結果やガイダンスに注目が集まる。
今晩の米経済指標・イベントは、6月耐久財受注改定値、6月製造業新規受注など。企業決算は寄り前にタイソン・フーズ、引け後にサイモン・プロパティー、パランティア・テクノロジーズなどが発表予定。
日経平均株価は大幅続落。大きなマドを開けてのスタートとなり、下落幅を拡大する場面があった。一方、4万円割れでは買い戻しが優勢で、後場は下げ幅を縮小。25日移動平均線(40215円 8/4)上を維持して終えた。
RSI(9日)は前日の62.4%→55.8%(8/4)に低下。昨年7/11に形成したマド埋め(42102円)水準を意識して調整が入る格好となっているが、25日移動平均線や7月安値(39288円)などを維持しながら上昇基調を保てるかが焦点となる。一方、7月安値を割り込むと下落余地は拡大する公算が大きい。5月中旬~6月中旬にかけて形成したもみ合い上限の38500円前後までは想定する必要があろう。
上値メドは、10日移動平均線(40871円 同)、7/31高値(41151円)、7/24安値(41554円)、7/24高値(42065円)、昨年7/11安値(42102円)、昨年7/11高値(42426円)などがある。下値メドは、心理的節目の4万円、7/14安値(39288円)、心理的節目の39000円、6/18高値(38885円)、38500円前後、200日移動平均線(38272円 同)などがある。
(4日終値:5日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=146.96円(4日15時時点比▲0.81円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=170.08円(▲0.90円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1573ドル(△0.0003ドル)
FTSE100種総合株価指数:9128.30(前営業日比△59.72)
ドイツ株式指数(DAX):23757.69(△331.72)
10年物英国債利回り:4.509%(▲0.019%)
10年物独国債利回り:2.624%(▲0.055%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
7月スイス消費者物価指数(CPI)
前月比 0.0% 0.2%
7月スイス製造業購買担当者景気指数(PMI)
48.8 49.6
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は頭が重かった。欧州株相場や時間外のダウ先物が上昇すると、投資家のリスク志向改善を意識した円売り・ドル買いが先行。東京午前につけた147.91円を上抜けて一時148.09円まで上値を伸ばした。
ただ、日足一目均衡表転換線が位置する148.39円がレジスタンスとして意識されると上値が重くなった。前週末に発表された7月米雇用統計の弱さを受けて米早期利下げ観測が高まる中、次第にドルが売られる展開となった。23時30分前には一時146.87円と日通し安値を更新した。
その後、一目均衡表基準線146.80円がサポートとして意識されると下げ渋ったものの、戻りは限定的だった。
・ユーロドルはもみ合い。対円などでドル買いが進んだ影響を受けてユーロ売り・ドル買いが先行すると一時1.1550ドルと日通し安値を付けたものの、米長期金利が低下に転じるとユーロ買い・ドル売りが出た。新規材料が乏しく、米金利の動向を睨みながらの動きが続いた。欧州時間の高値は1.1588ドルで値幅は0.0038ドル程度だった。
・ユーロ円は上値が重かった。日本時間夕刻に一時171.16円と日通し高値を付けたものの、買い一巡後は徐々に弱含んだ。前週末の安値170.29円を下抜けて3時前には一時170.05円まで値を下げた。ドル円につれた動きとなった。
ユーロ円以外のクロス円も売りが目立った。ポンド円は一時195.19円、豪ドル円は94.97円、NZドル円は86.75円、カナダドル円は106.67円、スイスフラン円は181.89円まで値を下げた。
・ロンドン株式相場は3日ぶりに反発。前週末まで続落していた反動で、押し目買いなどが入った。米国株の反発も相場を下支えした。ロイズ・バンキング・グループやバークレイズなど金融株が買われたほか、セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株が値上がりした。
・フランクフルト株式相場は3日ぶりに反発。前週末まで続落していた反動で、押し目買いなどが優勢となった。個別ではコメルツ銀行(5.03%高)やシムライズ(3.53%高)、ラインメタル(3.37%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は上昇。米金利の先高観が後退する中、欧州債にも買いが入った。
4日の日経平均は大幅続落。終値は508円安の40290円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり473/値下がり1096。1Q決算が好感された任天堂が、場中に上げ幅を広げて5.1%高。半導体株は濃淡あったが、ソシオネクストが大きく上昇したほか、SCREENや東京エレクトロンが売りをこなしてプラスで終えた。三井不動産や三菱地所など不動産株は、米長期金利の低下が支援材料となって全般堅調。大規模な自己株取得を発表したコカコーラBJHや、上方修正を発表した大塚商会が急騰した。
一方、米長期金利の低下を嫌気して、三菱UFJやみずほなど銀行株が大幅安。ディスコやアドバンテストなど半導体株の一角が弱かった。トヨタ、SUBARU、三菱自動車など自動車株が円高進行を受けて全般軟調。ファーストリテイリングが3%近い下落となり、1銘柄で日経平均を約112円押し下げた。TDK、ヤマハ、カシオなどが決算を材料に大幅安。1Qが最終減益となった日東紡がストップ安まで売り込まれた。
日経平均は大幅安。ただ、開始直後に安値をつけた後は持ち直しており、場中にリスクオフムードが高まるような動きにはならなかった。売買代金上位銘柄には寄り付きからは水準を切り上げているものが多く、下値は冷静に拾われている。
8月1日の米国では長期金利が急低下する中でもナスダックの下げが大きくなったが、一般的には、長期金利の低下はグロース株の支援材料となる。本日の東京市場では、前週末に急落した東京エレクトロンがプラスで終えた。米雇用統計の反応がイレギュラーで、今後、それが修正されるのであれば、国内では本日嫌われた金融株や自動車株に見直し買いが入りやすくなる。米国株、為替、長期金利などに振り回されたとしても、どこかには資金が向かう要素がある。日経平均は終値(40290円)では4万円を大きく上回り、25日線(40215円、4日時点、以下同じ)も上回った。しっかり耐性は示しただけに、反転攻勢の展開に期待したい。
(4日終値)
ドル・円相場:1ドル=147.09円(前営業日比▲0.31円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=170.20円(▲0.59円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1571ドル(▲0.0016ドル)
ダウ工業株30種平均:44173.64ドル(△585.06ドル)
ナスダック総合株価指数:21053.58(△403.45)
10年物米国債利回り:4.19%(▲0.03%)
WTI原油先物9月限:1バレル=66.29ドル(▲1.04ドル)
金先物12月限:1トロイオンス=3426.4ドル(△26.6ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月米製造業新規受注
(前月比) ▲4.8% 8.3%・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は続落。欧州市場では一時148.09円まで値を上げたものの、日足一目均衡表転換線が位置する148.39円がレジスタンスとして意識されると失速した。前週末に発表された7月米雇用統計の弱さを受けて米早期利下げ観測が高まる中、次第にドル売りが優勢となり、23時30分前には一時146.87円と日通し安値を更新した。その後、一目均衡表基準線146.80円がサポートとして意識されると147.35円付近まで下げ渋る場面もあったが、戻りは鈍かった。
なお、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、次回9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利下げを予想する確率は1日の80.3%から93.9%に上昇した。
・ユーロドルは3日ぶりに反落。新規材料に乏しい中、米金利動向を睨みながらの狭いレンジ内での値動きに終始した。NY時間の安値は1.1557ドル、高値は1.1588ドルで値幅は0.0031ドル程度だった。
・ユーロ円は続落。欧州市場序盤に一時171.16円と日通し高値を付けたものの、買い一巡後は徐々に弱含んだ。前週末の安値170.29円を下抜けて4時前に一時169.91円まで値を下げた。ドル円につれた動きとなった。
ユーロ円以外のクロス円も軟調だった。ポンド円は一時195.04円、豪ドル円は94.91円、NZドル円は86.67円、カナダドル円は106.59円、スイスフラン円は181.79円まで値を下げた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は6日ぶりに反発。前週末まで5日続落していた反動で、押し目買いなどが入った。米労働市場の軟化で米連邦準備理事会(FRB)が9月に利下げを実施するとの見方が強まっていることも相場の支援材料。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は3日ぶりに反発した。
・米国債券相場で長期ゾーンは続伸。米労働市場の軟化でFRBが9月に利下げを実施するとの見方が強まる中、債券買いが優勢となった。
・原油先物相場は3日続落。石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の産油国で構成する「OPECプラス」の有志8カ国は、9月の増産を決めた。6カ月連続の増産となる今回の決定で、これまでの自主減産分が解消されることになった。供給過剰への懸念で売りが先行した原油先物は、一時65ドル半ばまで下げ幅を広げる場面があった。
・金先物相場は続伸。時間外では利益確定売りに押されたが、NY勢の本格参入後は再び買いが優勢となった。米長期金利が低下し、金利が付かない資産・金の相対的な投資妙味を上昇させた。一時3440ドルに迫る場面があった。
スイス政府は4日、スイスからの輸入品に対して39%の関税を課すと発表した米政府に対し、「現時点で対抗措置は何も検討してない」との見解を示した。また、米国に対してより魅力的な貿易上の提案を行う用意があるという。
4日05:39 トランプ米大統領
「(クーグラーFRB理事辞任)パウエル議長との不一致だと理解」
「クーグラー氏の後任はおそらく数日以内に発表する」
「関税収入からアメリカ人に配当金または資金の分配がある可能性がある」
4日23:54
「インドが支払う関税を大幅に引き上げる」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ☆ 6月16-17日分の日銀金融政策決定会合議事要旨
<海外>
○10:45 ◎ 7月Caixin中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI、予想:50.4)
○15:45 ◇ 6月仏鉱工業生産(予想:前月比0.6%)
○16:50 ◎ 7月仏サービス部門PMI改定値(予想:49.7)
○16:55 ◎ 7月独サービス部門PMI改定値(予想:50.1)
○17:00 ◎ 7月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:51.2)
○17:30 ◎ 7月英サービス部門PMI改定値(予想:51.2)
○18:00 ◎ 6月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.8%/前年比0.6%)
○21:30 ◇ 6月カナダ貿易収支(予想:63.0億カナダドルの赤字)
○21:30 ◎ 6月米貿易収支(予想:613億ドルの赤字)
○22:45 ◎ 7月米サービス部門PMI改定値(予想:55.2)
○22:45 ◎ 7月米総?⑰MI改定値(予想:54.6)
○23:00 ☆ 7月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:51.5)
○6日02:00 ◎ 米財務省、3年債入札
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
昨日の海外市場でドル円は、欧州市場では148.09円まで値を上げたものの、前週末に発表された7月米雇用統計の弱さを受けて米早期利下げ観測が高まる中、次第にドル売りが優勢となり一時146.87円と日通し安値を更新した。ユーロドルは新規材料に乏しい中、米金利動向を睨みながらの狭いレンジ内(1.15ドル半ばから後半の間)での値動きに終始した。
本日の東京時間でのドル円は、国内外からはイベントが少ないものの、先週末の雇用統計のダブルショック(大幅な下方修正と局長解任)で、引き続きドルの上値が限られるか。
本日は中国から7月のCaixinサービス部門購買担当者景気指数(PMI)が発表されるものの、市場への影響は限定的となるだろう。市場の注目は、先週発表された米雇用統計について米連邦準備理事会(FRB)関係者がどの程度、FRBの2大責務(物価の安定と雇用の最大化)のうちに雇用を重視する方向に傾くのかが注目される。しかし、アジア時間では発言が伝わる時間帯ではないことで相場の主導権が米国市場入り後になりやすそうだ。また、米政権による新たな人事(FRB理事と労働省労働統計局・Bureau of Labor Statistics=BLS局長)についての報道なども、市場を動意づける要因になるので警戒したい。
人事指名の1つ目は8日に辞任するクーグラーFRB理事の後任。昨日トランプ大統領は数日以内に候補を発表すると述べている。FRB理事は任期が14年もあることで、今後の米金融政策に大きな影響を与えることになる。すでに7名の理事のうち2名(ボウマンFRB副議長とウォラーFRB理事)はハト派だが、今回の後任もハト派理事が指名されることは確実で、これでFRB理事は3名がハト派になる見込み。来年5月にFRB議長の任期が満了するパウエルFRB議長が、議長退任とともに理事職も辞すれば過半数がハト派になる可能性が高まる。
2つ目は週末に解任されたマッケンターファーBLS局長の後任人事。ハセット米国家経済会議(NEC)委員長は「大統領は自分の部下をそこに置きたい」と主張しているように、政策立案や経済のさまざまな側面の指標として利用されている統計が政治化される可能性がある。ノーベル経済学賞受賞者のクルーグマン氏は、今後は統計局の数値を信じることができなくなると批判しているように、今後はBLSが発表する経済指標は透明性と信頼性を失いそうだ。BLSは雇用統計だけでなく、消費者物価指数(CPI)も発表することで、雇用指数は良好でもCPIは低下する結果になり、FRBに一層の利下げ圧力をかけることになりそうだ。なお、個人消費支出(PCE)は商務省経済分析局(Bureau of Economic Analysis=BEA)が発表することで、CPIとPCEの結果にかい離が生じる可能性も出てきそうだ。
なお、ブルームバーグの5日付の記事(インタビューは1日)で、三菱UFJフィナンシャル・グループの亀澤社長が、日銀が9月か10月の金融政策決定会合で次の利上げを決める可能性が「十分にある」との見解を示したと報じている。海外投資家が、このような記事で円買いを仕掛けることもあり注意しておきたい。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 40610 +290 (+0.71%)
TOPIX先物 2939.5 +19.0 (+0.65%)
シカゴ日経平均先物 40585 +265
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
4日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。NYダウは先週末まで5営業日続落で1300ドルあまり下げていたこともあり、主力株には値頃感から買いが入った。1日は7月の米雇用統計が市場予想を下回ったうえに、5月、6月分の大幅下方修正によって、トランプ政権の通商政策が米労働市場や世界景気に与える影響への懸念が広がったが、4日は雇用悪化を背景とした米連邦準備理事会(FRB)による早期利下げ観測が買いに向かわせた。FRBの金融政策を予想する「フェドウオッチ」では、次回9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を0.25%下げる確率が9割を超えた。
S&P500業種別指数は半導体・同製造装置、メディア、自動車・同部品、耐久消費財・アパレル、ソフトウエア・サービスの上昇が目立った。一方で、エネルギー、小売の2セクターが下落した。NYダウ構成銘柄では、エヌビディア<NVDA>、スリーエム<MMM>、ウォルト・ディズニー<DIS>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、ジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ>が買われた。半面、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、シェブロン<CVX>が軟調。
シカゴ日経平均先物清算値は大阪比265円高の4万0585円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比40円高の4万0360円で始まった。寄り付き直後に4万0450円まで買われた後は、4万0310円から4万0400円辺りで保ち合いを継続。米国市場の取引開始直後にレンジを上抜けると、終盤にかけてロング優勢の流れが続き4万0640円まで買われる場面もみられ、4万0610円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、買い先行で始まることになろう。前日の日経225先物は売り一巡後に下げ幅を縮め、25日移動平均線(4万0210円)を上回って終えた。ナイトセッションでも同線が支持線として機能する形であり、ボリンジャーバンドの+1σ(4万0900円)とのレンジが意識されやすいだろう。
4日の米国市場は大幅に反発し、エヌビディアなど半導体株の一角が買われたことで、大幅に調整している東京エレクトロン<8035.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株への見直し買いが強まるかが注目されそうだ。ハイテク株がリバウンドの動きを強めてくるようだと、先物市場でロングを誘うことになり、+1σに接近する場面もありそうだ。
一方で、9月のFOMCでの利下げ観測が強まったことで、為替市場では円相場が1ドル=146円台後半で推移している。足もとの急ピッチの円高によって日米金利差を狙ったポジションのリバランスが意識されやすい。また、日米ともに決算発表がピークを迎えている。米国ではパワー半導体を手掛けるオンセミコンダクター<ON>が、予想を下回る決算が嫌気されて15%超の急落となった。決算内容を見極めたいとするムードも強まりやすいだろう。
日経225先物は25日線と+1σを意識し、オプション権利行使価格の4万0375円から4万0875円のレンジを想定する。買い一巡後に利益確定に伴うロング解消が目立つ局面では25日線を支持線とした押し目狙いのロング対応に向かわせよう。寄り付き後に強い基調が続いたとしても、+1σ接近では短期的には戻り待ち狙いのショートが入りやすいと考えられる。
4日の米VIX指数は17.52(1日は20.38)に低下した。200日線(19.40)、75日線(19.14)を一気に割り込んでおり、先週末の上昇分をほぼ埋める形で下げている。今後は25日線(16.58)を明確に下回ってくるかを見極めたいところだろう。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.80倍に低下した。75日線(13.79倍)を割り込み、一時13.77倍に低下した。ボリンジャーバンドが拡大傾向にあるなかで、下向きで推移する-3σ(13.78倍)に沿った形で低下をみせている。ただし、75日線水準での攻防のなかで、いったんNTショートを巻き戻す動きが入りやすいと考えられる。
東京市場は堅調か。米国株は上昇。ダウ平均は585ドル高の44173ドルで取引を終えた。前週末は弱い7月雇用統計を嫌気して大きく下げたが、週明けは一転して買い戻しが入る展開。1日の下げ分(542ドル安)を取り戻した。ドル円は足元146円90銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが265円高の40585円、ドル建てが305円高の40625円で取引を終えた。
米国株高を好感した買いが入ると予想する。ダウ平均が大きく上昇したことで、米国の景気減速懸念を理由にグローバルマーケットが混乱するリスクは大きく低下した。きのうの日経平均は500円を超える下落となったが、900円超下げたところからは値を戻しており、押し目では冷静に買いが入っていた。きのうで当面のボトムをつけたとの見方が強まり、高く始まった後もしっかりとした動きが続くだろう。日経平均の予想レンジは40450-40800円。