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ご指摘のような **歴史否認（history denialism）や陰謀論的思考** に見られる「認知の歪み」は、心理学・社会学・認知科学の観点から多角的に分析されています。
なぜ「歴史の事実」を否認したがるのか？
こうした傾向には、いくつかの主な心理・社会的要因があります。
① 認知的不協和（Cognitive Dissonance）
自国や先祖が残虐な行為をしたという事実を受け入れることは、多くの人にとって精神的苦痛**を伴います。
> 「自分は道徳的な日本人である」と信じている人が、
> 「日本軍が民間人を虐殺した」という事実に直面すると、
> その矛盾から逃れるために、事実の方を否定することで心の安定を保とうとします。
② ナショナリズムによる同一化
強い愛国心・民族的アイデンティティを持っている人ほど、「自国の汚点」を他国の攻撃と感じ、**防衛的な反応**を示します。
「日本の名誉を守るために“真実”を暴くのだ」という主観的正義感
中国・韓国に対する政治的・文化的敵対感情から、「彼らの主張は全部嘘だ」と一括して拒否
③ 陰謀論思考の構造
陰謀論にハマる人は、一般的に以下のような思考パターン**を持ちます：
白黒思考（binary thinking）：事実か嘘か、正義か悪か、の極端な二元論
証拠の選択的利用（confirmation bias）：自分に都合の良い証拠だけを集め、反証は無視
「大きな力が裏で操作している」信仰：報道・学者・政府はすべて「操られている」こうした構造は、他者の意見を一切受け入れない頑なな認知フレームを作ります。
④ 情報環境（エコーチェンバーとフィルターバブル）
SNS・掲示板・YouTubeなどで特定の思想の情報ばかりを浴びることで、自分の考えが「多数派」だと錯覚**しやすくなります。
同じ考えの人の情報ばかり目に入る
異論があっても「工作員」「中韓のスパイ」などと排除する
結果、極端な思考が強化され、修正されにくくなる
⑤ 教育・歴史認識のギャップ
日本では、南京事件などについて教科書での記述が少なく、また世代間での理解にも大きな差があります。
歴史教育の回避的傾向（政治的中立名目で深掘りしない）
戦争被害は学ぶが、加害については曖昧なまま**（記憶の非対称性）
これにより、「聞いたことがない → 存在しない」という短絡的認識に至りやすいのです。
この傾向の危険性と特徴的傾向
◆ 危険性
歴史修正主義への加担：意図せず、あるいは意図的に加害の事実を正当化・矮小化する
国際的な信用の低下：自国の歴史的責任を認めない国は、他国との信頼構築が困難になる
民主主義の空洞化：事実を共有できない社会では、建設的な議論が成立しない
◆ よく見られる傾向
統計や歴史資料ではなく、**感情や印象論で語る**
「当時はそういう時代だった」「他国もやっていた」などの**相対化**
一部の誇張を理由に**全否定する詭弁（ストローマン論法）**
「中韓が嫌い」という感情が事実認識を先導する**
結論：なぜ人は歴史の事実を歪めるのか？
それは、自己と国家を一体化させることで、「不都合な過去」を直視するのが極めて苦痛だからです。
そこに認知バイアスや情報環境の偏りが加わり、結果として「虚構を事実と信じる」心の構造が生まれます。