DJゼッドの1stアルバム「Clarity」では、「If our love’s insanity, why are you my clarity?」(この愛が狂気なら、なぜあなたといると心が落ち着く(clarity)の?)と詠われた。 パウエルFRB議長は、トランプ関税の「不確実性(uncertainty)」からの「鎮静化(clarity)」を待つことを表明した。
5月7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、トランプ関税による「不確実性(uncertainty)」を理由に、3会合連続での政策金利の据え置き(4.25-50%)を全員一致で決定した。そして、関税スタグフレーション(higher unemployment and higher inflation)への警戒感を明記した。
2.マールアラーゴ合意(Mar-a-Lago Accord) 2024年11月、元財務省上級顧問でヘッジファンドのハドソン・ベイ・キャピタルに在籍していたミラン氏(現在:大統領経済諮問委員会CEA委員長)は、「A User’s Guide to Restructuring the Global Trading System」(国際貿易システム再構築のユーザーガイド)を公表した。論文では、「トリフィンのジレンマ(The Triffin dilemma)」をベースにして、「持続的なドル過大評価」に起因する経済的不均衡の解消と、国際貿易システム改革に向けロードマップを提示した。「経済的不均衡の原因は持続的なドルへの過大評価にあり、それが国際収支の均衡を妨げている」 2025年1月のトランプ政権で大統領経済諮問委員会CEA委員長に就任したミラン氏は、ベッセント米財務長官と協力して、米国の貿易赤字削減のために、緩和的な財政政策と金融政策というポリシー・ミックスで、ドル安誘導政策を目論んでいるのではないか、と警戒されていた。
トランプ米大統領は、「MAGA(Make America Great Again)(米国を再び偉大に)」のスローガンを標榜して、米国の製造業復活に向けて、トランプ関税を打ち出している。 しかし、トランプ関税による駆け引きの稚拙さにより、「TACO(タコ)」(Trump Always Chickens Out(トランプはいつもおじけづく)と揶揄されている。
■第899項「不公正な外国税に対する救済措置の執行」 (Enforcement of Remedies Against Unfair Foreign Taxes) この措置は対象国の投資家がアメリカで得る受動的収入(利息や配当など)に対して段階的な罰金税を課す。最初に5%引き上げ、その後毎年5%ずつ増加させ、法定税率の基本に対して最大20%まで達することができる。 また、METAなどの大手テクノロジー企業に対して、「デジタルサービス税」を課す国、(例:カナダ、イギリス、フランス、オーストラリア)を対象国としており、同時にグローバル最低法人税協定の条項を利用する国も対象としている。
2. 「国際貿易システム再構築のためのユーザーガイド」 「A User’s Guide to Restructuring the Global Trading System」 2024年11月、元財務省上級顧問でヘッジファンドのハドソン・ベイ・キャピタルに在籍していたミラン氏(現在:大統領経済諮問委員会CEA委員長)は、「A User’s Guide to Restructuring the Global Trading System」(国際貿易システム再構築のユーザーガイド)を公表した。論文では、「トリフィンのジレンマ(The Triffin dilemma)」をベースにして、「持続的なドル過大評価」に起因する経済的不均衡の解消と、国際貿易システム改革に向けロードマップを提示した。 「経済的不均衡の原因は持続的なドルへの過大評価にあり、それが国際収支の均衡を妨げている」 貿易赤字削減のために、各国が保有する米国債に課税することで売却を促してドル安に誘導する策(マールアラーゴ合意)、財政赤字削減のために、債務の金利上昇を抑えるべく各国の保有米国債を100年程度の超長期割引債に切り替える策が提示されている。
日経225先物オプション実況スレ2
https://talk.jp/boards/market/1741125467
ドル円は、先週23日にベッセント米財務長官が思惑だけが先行していた日米財務相会談での「為替議論」に対して、異例の事前通達を行ったほか、トランプ米大統領にも「パウエルFRB議長解任の意図はない」と発言させたところで、下サイドの動きに終わりを告げていたわけで、チャート上でも一目転換線を完全に上抜けるといった状態。先週末も米中関税の最高潮までに到達した緊張感は、もう既にこれ以上締める余裕はなく、後はお互いのメンツをつぶさないように、その紐をゆっくりとほどいていく動きしか選択肢はなくなったような状況に。日経平均の下げ止まりもまた、市場センチメントの転換を示しているといえます。
ドル円については、週末に一部大手新聞社が日米財務相会談についての明らかな「飛ばし記事」に対して、その直後から加藤財務相のSNS上での苦言や、先ほどの三村財務官による「100%事実無根」との飛ばしの事実を公表するなどの尻ぬぐいを余儀なくされるなか、目立った反応もなかったところをみても、市場が既に材料視していないことは明らか。そんな非生産的な話よりも、GW中とあって、本邦実需の買いが出た後は、仲値に向けては輸出の売りが持ち込まれるといった単純な需給のフローでレンジ相場となっているといったところです。
目先はNY時間安値の143.22円が下値の目処として意識されている一方、上値は先週末高値の144.03円や14日の高値144.31円、11日の高値144.64円が戻りの目処となっています。
日経225先物は11時30分時点、前日比150円高の3万5930円(+0.41%)前後で推移。寄り付きは3万5950円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万6000円)にサヤ寄せする形で、買い先行から始まった。開始直後につけた3万5900円を安値にリバウンドの動きが強まり、一時3万6100円まで買われた。買い一巡後は3万5900円~3万6040円辺りでの保ち合いが続き、終盤にかけて3万5890円まで上げ幅を縮める場面もみられた。
日経225先物は3万6100円まで買われた後に上げ幅を縮めている。買い気配から始まったアドバンテスト<6857.T>[東証P]が寄り付き直後に軟化したことで、短期筋のロング解消に向かわせた形だろう。ただし、3万5900円接近では底堅さがみられており、ショートは仕掛けづらい。底堅さを見極めつつ、押し目待ち狙いのロング対応に向かわせそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.51倍に低下。朝方に13.58倍をつける場面もみられたが、その後は25日移動平均線(13.54倍)を割り込んでの推移をみせている。アドバンテストの下げが日経平均型の重荷になった反面、メガバンクなど金融株や電力株、ガス株が買われており、相対的にTOPIX型の優位な状況である。
本日のロンドン為替市場では、ユーロ圏で主だった経済指標の発表が予定されていないこともあり、引き続きトランプ関税を意識した動きが見込まれる。前週末は米中貿易摩擦の緩和期待が高まると共にリスク回避ムードが和らいだことから、ドル買いが進んでユーロドルの上値を抑えた。
注意すべきは、期待が先行している点である。25日に中国外務省報道官が「中国と米国は関税に関する協議や交渉を行っていない」としたほか、トランプ米大統領からは「対中関税は何らかの譲歩がない限り引き下げない」「再度、関税を一時停止することはないだろう」などの発言が伝わっている。この日の市場の反応は限定的であったとはいえ、今後材料視されることがあればドル主導でユーロドル相場に影響が波及しそうだ。引き続き、関連報道には注意したい。
テクニカル面では、ユーロドルは23日に日足・一目均衡表の転換線を下抜けた後は1.13ドル台でのもみ合いとなっている。目先は1.13ドルを上下どちらにブレイクするか、レンジ内で方向感を模索する動きも想定される。
要人発言については、NY序盤になるが、共に中立派とされるレーン・フィンランド中銀総裁やデギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁の発言機会が予定されている。市場ではECBが年内に2-3回の利下げをすると見られており、今後の金融政策に関する発言があれば確認しておきたい。ただ、30日に1-3月期国内総生産(GDP)・速報値、5月2日に4月消費者物価指数(HICP)速報値の発表を控えていることもあり、材料視されにくいかもしれない。
想定レンジ上限
・ユーロドル:日足・一目均衡表の転換線1.1427ドル。
想定レンジ下限
・ユーロドル:15日安値1.1264ドル。
ドル円:1ドル=143.49円(前営業日NY終値比▲0.18円)
ユーロ円:1ユーロ=163.21円(▲0.09円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1374ドル(△0.0009ドル)
日経平均株価:35839.99円(前営業日比△134.25円)
東証株価指数(TOPIX):2650.61(△22.58)
債券先物6月物:140.63円(△0.20円)
新発10年物国債利回り:1.310%(▲0.020%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は神経質な値動き。米中貿易摩擦の緩和期待を手掛かりに朝方143.88円まで上昇する場面があったが、その後は時間外の米株先物などの下落を材料に上値が重くなった。14時過ぎには一時143.30円まで下押し。もっとも、一巡後は時間外の米10年債利回りが上昇に転じたことで下げ止まるなど、143円台半ばを挟んだ水準で方向感を欠いた。
・ユーロドルはもみ合い。1.1350ドル前後でのもみ合いから対円などでドル売りが進んだ場面では1.1380ドル台まで上昇したものの、早朝の高値1.1384ドル手前では買いも一服した。
・ユーロ円ももみ合い。163円台前半を中心としたレンジ内推移に終始した。
・日経平均株価は4日続伸。前週末の米国株式市場でハイテク株が上昇した流れを引き継いで、週明けの国内市場でも買いが先行。指数は一時3万6000円を上回る場面も見られた。もっとも、大台超え水準では戻り待ちの売りも入り、その後は伸び悩む展開に。今週に2回目の日米通商協議が控えていることも上値を抑制する要因となった。
・債券先物相場は反発。国内勢はすでに大型連休に入っている向きも多く、市場参加者の減少する中の取引となったが、後場に入ってやや債券買いが進んだ。
大和証券では為替に関するリポートの中で、足元のドル円が139円台をつけた後に反発したことに注目している。トランプ大統領の発言を受けて市場はFRBの独立性を疑いドル円は一時1ドル=139.89円まで下落したが、その後はパウエルFRB議長解任の可能性が低下したことなどから切り返した。昨年9月も139.58円でドル円の下落が止まっているとのこと。市場は139円台を下値として強く意識していそうで、テクニカル的には反発サインのダブルボトムを形成したように見えると大和ではコメントしている。
「ブレトンウッズ体制の再編が起きつつある。国際経済政策を私は生涯かけて研究してきたし、その再編に関与したい」(ベッセント氏:2014年講演)
ベッセント米財務長官の野望は、1944年のブレトンウッズ体制の再編であるらしいので、1985年の「プラザ合意」のような貿易赤字削減のためのドル安誘導としての「マールアラーゴ合意」が警戒されている。しかし、債務削減のための「ブレイディ債」のような「ベッセント債」にも警戒しておくべきかもしれない。
1.ミラン米CEA委員長(2024年11月)
「国際貿易システム再構築のためのユーザーガイド」では、貿易赤字と財政赤字削減のための方策が主張されている。
貿易赤字削減のために、各国が保有する米国債に課税することで売却を促してドル安に誘導する策(マールアラーゴ合意)、財政赤字削減のために、債務の金利上昇を抑えるべく各国の保有米国債を100年程度の超長期割引債に切り替える策(ミラン&ベッセント債)が提示されている。最大の米国債保有国の日本の場合、約15兆円の損失となるらしい。
2.ベッセント米財務長官の野望(4月23日)
ベッセント米財務長官は、4月23日の講演で、国際金融システムの枠組み変更を目指すと表明した。ブレトンウッズ体制で設立された国際通貨基金(IMF)や世界銀行が気候変動などに傾斜したと批判し、国際金融機関は支援の対象を絞り込み、経常収支の不均衡是正に集中するべきだと主張した。
米国は、ブレトンウッズ体制の下で率先して自国市場を開放し、民主主義陣営の経済発展を後押ししてきたが、強いドルと安全保障の傘の代償として巨額の貿易赤字と財政赤字を抱え続けており、機能不全に陥りつつある。
3.日米財務相会談(4月24日)
■米国財務省
「為替に関する問題について両者が緊密な協議を続ける意向を再確認した」
※ベッセント米財務長官「ドル安・円高が望ましい」
■日本財務省
・G-7声明の確認「為替レートは市場で決定され、過度な変動や無秩序な動きは経済や金融の安定に悪影響を与える」
・為替に関する問題について引き続き緊密かつ建設的に協議する
※加藤財務相「米国から為替水準の目標や枠組みの話は全くなかった」
大阪6月限
日経225先物 35910 +130 (+0.36%)
TOPIX先物 2653.5 +17.5 (+0.66%)
日経225先物(6月限)は前日比130円高の3万5910円で取引を終了。寄り付きは3万5950円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万6000円)にサヤ寄せする形で、買い先行で始まった。開始直後につけた3万5900円を安値にリバウンドが強まり、前場中盤にかけて一時3万6100円まで買われた。買い一巡後は3万5900円~3万6040円辺りで保ち合い、前場終盤にかけて3万5900円を割り込んだ。
ランチタイムで3万5850円まで上げ幅を縮めると、後場は3万5850円~3万5910円辺りの狭いレンジで推移。終盤にかけて3万5800円まで売られる場面もみられたが、後場のレンジ上限で終えた。
日経225先物は3万6100円まで買われた後に上げ幅を縮め、その後は3万5800円~3万5900円辺りでの推移が続いた。買い気配から始まったアドバンテスト<6857.T>[東証P]が寄り付き直後に軟化したことで、短期筋のロング解消を誘ったほか、日東電工<6988.T>[東証P]の下げも日経平均型の重荷となった。
だが、センチメントを大きく冷ます流れにはならなかった。30日に赤沢亮正経済再生担当相が訪米し、ベッセント米財務長官らと関税を巡る2回目の協議が予定されており、関税交渉の進展期待が高まっている。トランプ米大統領は就任からまもなく100日を迎えるが、トランプ氏の支持率が低下しているなかで、強硬姿勢は取りにくいとの見方も出てきそうだ。
為替市場では円相場が1ドル=143円後半と円安に振れて推移していたこともあり、輸出関連株の強い値動きが目立っていた。そのほか、建設、銀行、小売、海運などが買われており、相対的にTOPIX型が優位な状況であった。東証プライムの値上がり銘柄数は7割近くを占め、売買高は4月11日以来となる20億株超だった。ハイテク株の一角が重荷となったものの、リバランスに伴うカバーが入りやすい状況のようである。
祝日に入ることでナイトセッションの商いは限られるだろうが、トレンドとしてはボリンジャーバンドの+1σ(3万6310円)および75日移動平均線(3万7070円)が意識されるなかで、押し目狙いのロング対応に向かわせよう。
NT倍率は先物中心限月で13.53倍に低下。朝方に13.58倍をつける場面もみられたが、その後は25日線(13.54倍)を割り込んで推移している。ただし、一時13.49倍まで低下した後は25日線水準まで下げ渋る動きをみせており、TOPIX型へのシフトを想定したNTショートは見極めが必要だろう。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万3589枚、ソシエテジェネラル証券が1万0977枚、サスケハナ・ホンコンが3844枚、バークレイズ証券が2053枚、JPモルガン証券が1945枚、ゴールドマン証券が1002枚、日産証券が987枚、モルガンMUFG証券が986枚、ビーオブエー証券が885枚、SBI証券が875枚だった。
TOPIX先物は、ソシエテジェネラル証券が1万9737枚、ABNクリアリン証券が1万9169枚、バークレイズ証券が5818枚、ゴールドマン証券が5554枚、JPモルガン証券が4825枚、モルガンMUFG証券が4797枚、サスケハナ・ホンコンが3191枚、BNPパリバ証券が1945枚、野村証券が1573枚、シティグループ証券が1244枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、重要な経済指標や要人発言の予定がないことから、トランプ米大統領やベッセント米財務長官による円相場への見解に警戒する展開が予想される。
先週24日に行われた日米財務相会談の後、加藤財務相は「米国からは為替に関して目標やそれに対する枠組みの話は全くなかった」「具体的な為替レートについての話はなかったとした」と述べた。しかし、米財務省は「為替に関する問題について両者が緊密な協議を続ける意向を再確認した」と表明し、ベッセント米財務長官も「ドル安・円高が望ましい」と述べた、と報じられていた。しかし、三村財務官は、報道は100%事実無根、米側から円高ドル安が望ましいとの話はなかった、と否定しており、今後の関連ヘッドラインには警戒しておきたい。
今週に開催予定の第2回日米通商交渉に向けて、トランプ米政権によるドル安・円高への圧力が高まる可能性に警戒しておきたい。
第1回日米通商交渉の後の記者会見で、赤沢経済再生相は、「今回の協議で通貨政策が議題に上ったのか」との質問に対しては、「為替については出ませんでした」とわざわざ2回も否定していた。一部の市場筋は、赤沢経済再生相が為替協議を2回否定し、加藤財務相が為替協議を「建設的に続ける」と表明していたことで、なんらかの課題が俎上に上がったのではないか、と深読みする向きもあり、今後の交渉の進展に要注目となる。
IMM通貨先物の非商業(投機)部門取組の円のネット買い持ちポジションは、140円を割り込んだ22日の時点で+177,814枚(前週比+5,959枚)と過去最大を更新していた。
シカゴ筋は、ドル円が155円付近で円の売り持ちから買い持ちに転換し、152円付近で過去最大規模となり、140円割れでも円の買い持ちポジションを堅持していることになる。
ドル円が日米財務相会談の後に144円台まで買い戻された局面で、一部手仕舞われた可能性はあるものの、トランプ米政権の円安への対応策とともに、投機筋の動向にも注目しておきたい。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、144.31円(4/14高値)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、142.28円(4/24安値)
中国の国家統計局が27日に発表した統計によると、2025年1-3月の工業企業(年間売上高2000万元以上の企業)の税引き前利益は前年同期比0.8%増の1兆5093億6000万元だった。
業種別では、農産物加工が40.3%増、非鉄金属精錬・圧延加工が33.6%増、専用設備製造が14.2%増、汎用設備製造が9.5%増、電気機械・器材製造が7.5%増、紡織が7.1%増、電力・熱供給が6.1%増、コンピューター・通信・その他の電子設備製造が3.2%増となった。一方、化学原料・化学製品製造が0.4%減、石油・天然ガス採掘が3.1%減、自動車製造が6.2%減、非金属鉱物製品製造が14.2%減、石炭採掘・選炭が47.7%減、石油・石炭・その他の燃料加工は赤字縮小、鉄金属精錬・圧延加工は黒字転換した。
3月単月の税引き前利益は前年同月比2.6%増だった。
今週のNY市場はメガキャップの決算と経済指標に注目。先週はダウ平均が2.48%高、S&P500が4.59%高、ナスダック総合が6.73%高とそろって大幅反発した。週初21日は、トランプ米大統領がパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長を批判し、FRBの独立性への疑念が高まったことで「アメリカ売り」が強まり、大幅安でスタートしたが、スコット・べッセント財務長官が米中貿易戦争の緩和の可能性に言及したことで22日に大幅反発すると、トランプ大統領がパウエルFRB議長を解任するつもりはない、中国に対してより穏健な姿勢で臨む用意があるとしたことが好感され週末25日まで4日続伸した。貿易摩擦問題が最悪期を脱したとの見方から足もとで売られたハイテク・ジャイアントに買い戻しが強まったほか、アルファベットが予想を上回る決算を発表したこともセンチメントの改善につながった。投資家の不安心理を示すVIX指数は前週末の29.65ポイントから21日に一時35.75ポイントまで上昇したが、週末25日は24.84ポイントで終了した。
今週は発表がピークを迎える第1四半期決算と4月雇用統計などの経済指標に注目が集まる。決算発表はS&P500採用の180社以上が発表予定で、マイクロソフト、メタ(30日引け後)、アップル、アマゾン・ドット・コム(5月1日引け後)のほか、コカ・コーラ、ファイザー、ビザ、キャタピラー、クアルコム、イーライ・リリー、CVSヘルス、シェブロン、エクソン・モービルなどの決算結果やガイダンスに要注目となる。経済指標では金曜日の4月雇用統計のほか、火曜日に3月JOLTS 求人件数、水曜日に4月ADP民間部門雇用者数、1-3月期国内総生産(GDP)速報値、3月個人消費支出(PCE)価格指数、木曜日に4月ISM製造業購買担当者景気指数(PMI)など注目の経済指標の発表が続く。トランプ関税による景気減速懸念が強まっており、経済指標が予想以上に悪化すれば、リセッション懸念が高まることが警戒される。
今晩の米経済指標・イベントは4月ダラス連銀製造業景況指数など。企業決算は寄り前にスーパー・マイクロ、ドミノ・ピザ、引け後に NXPセミコンなどが発表予定。
日経平均株価は4日続伸。36000円の心理的節目や3/11安値(35987円)付近を意識して伸び悩む展開となった。一方、終値で36000円台を回復することはできなかったが、終日マイナス圏に沈むこともなく底堅く推移した。
RSI(9日)は前日の75.0%→73.9%(4/28)に低下。祝日明けは上昇しやすいタイミングとなり、短期的な相場の見方に大きな変化はない。直近高値更新が続いており、4/7安値(30792円)を起点とした目先波動は上昇継続の判断となる。次は50日移動平均線(36347円 4/28)や3/31の下落で形成したマド埋め(36864円 同)がターゲットになる。
一方、25日移動平均線(34860円 同)は依然として下向きが続いており、上方向には伸び悩む動きにつながりやすいほか、36000円の心理的節目を前に揺り戻しの調整シナリオも想定できる。
上値メドは、50日移動平均線、3/28安値(36864円)、心理的節目の37000円、75日移動平均線(37278円 同)、100日移動平均線(37770円 同)などがある。下値メドは、5日移動平均線(35134円 同)、25日移動平均線、心理的節目の34500円、4/22高値(34340円)、心理的節目の34000円、4/16安値(33658円)などがある。
(28日終値:29日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=142.36円(28日15時時点比▲1.13円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.31円(▲0.90円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1401ドル(△0.0027ドル)
FTSE100種総合株価指数:8417.34(前営業日比△2.09)
ドイツ株式指数(DAX):22271.67(△29.22)
10年物英国債利回り:4.509%(△0.030%)
10年物独国債利回り:2.521%(△0.052%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は頭が重かった。日本時間夕刻に一時143.89円と日通し高値を付けたものの、前週末の高値144.03円が目先レジスタンスとして意識されると徐々に上値が重くなった。一時は4.29%台まで上昇した米10年債利回りが4.21%台まで低下したこともドル売りを促した。
4月米ダラス連銀製造業景況感指数が▲35.8と前月の▲16.3から大幅に悪化し、2020年5月以来の低水準を記録すると全般ドル売りが活発化。前週末の安値142.59円を下抜けて一時142.13円まで値を下げた。
・ユーロドルは底堅い動き。アジア時間に一時1.1330ドルと日通し安値を付けたあとはじり高の展開に。米長期金利が低下に転じたことなどがユーロ買い・ドル売りを促し、前週末の高値1.1394ドルを上抜けると一時1.1422ドルまで上値を伸ばした。
なお、ベッセント米財務長官は「我々は強いドル政策を堅持している」と述べたほか、「欧州中央銀行(ECB)はユーロ押し下げのために利下げを行うだろう」と話し、足もとのユーロ高に言及した。
・ユーロ円は弱含み。ドル円の下落につれた円買い・ユーロ売りが入ると一時162.26円と日通し安値を付けた。一時は300ドル超上昇したダウ平均が失速し200ドル超下落したことも相場の重し。
・ロンドン株式相場は小幅ながら11日続伸。前週末の米国株相場の上昇を受けて、英株にも買いが先行した。ただ、足もとで相場上昇が続いているため、短期的な過熱感から利益確定目的の売りが出ると伸び悩んだ。アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株が買われた半面、リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株が売られた。
・フランクフルト株式相場は小幅ながら5日続伸。米政権が関税を巡り、対中強硬姿勢を緩めつつあるとの観測から投資家心理が改善。独株にも買いが入った。個別ではエアバス(2.63%高)やフレゼニウス・メディカル・ケア(2.26%高)、フレゼニウス(1.98%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は下落した。株高を受けた。
28日の日経平均は4日続伸。終値は134円高の35839円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1107/値下がり487。非公開化観測が報じられた豊田自動織機がストップ高比例配分。グループ再編期待からトヨタにも強い買いが入った。ファーストリテイリングが大幅上昇。1Q減益見通しも自己株取得が評価された信越化学が急伸した。トランプ政権が日本に軍民両用の造船を要請したとの観測を手がかりに、船舶用エンジンなどを手がける三井E&Sが人気化。良品計画、神戸物産、パルGHDなど先週大きく売られる場面があった小売株の一角に見直し買いが入った。
半面、今期の見通しが市場の期待に届かなかったアドバンテストが4.8%安。ディスコ、レーザーテック、SCREENなど半導体株の多くが連れ安した。フジクラや古河電工など電線株が軟調。今期の減収減益見通しを提示した日東電工や1Qが減益着地となった三菱鉛筆が急落した。第三者委員会の設置および1Q決算発表の延期を発表したオルツは、場中に値が付かずストップ安比例配分となった。
日経平均は4日続伸。上値は重かったが36000円を上回る場面があり、プライムでは多くの銘柄が上昇した。25日の米国ではナスダックが強かっただけにグロース優位になるかと思われたが、半導体株のほかリクルートやソニーGなども下落しており、日本のグロース株は案外。それでも指数は伸び悩む程度にとどまり、マイナス圏に沈むことはなかった。
東京市場はあすが休場で、休場明けの4月30日から5月1日の日程で日銀金融政策決定会合が開催される。本日の日本経済新聞1面でも据え置き観測が報じられており、今回は現状維持が濃厚。今回は植田総裁の会見が木曜の引け後だけに、会見で為替が大きく動いた場合でも4連休前に対処ができる。個別では好材料のあった銘柄には強い買いが入っており、通期見通し非開示で買われる銘柄もある。全体市場が大崩れするリスクは低下しており、4日続伸でもさほど過熱感は高まっていない。休場明けも良好な地合いが継続するだろう。
(28日終値)
ドル・円相場:1ドル=142.01円(前営業日比▲1.66円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.24円(▲1.06円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1420ドル(△0.0055ドル)
ダウ工業株30種平均:40227.59ドル(△114.09ドル)
ナスダック総合株価指数:17366.13(▲16.81)
10年物米国債利回り:4.21%(▲0.02%)
WTI原油先物6月限:1バレル=62.05ドル(▲0.97ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3347.7ドル(△49.3ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は反落。日本時間夕刻には一時143.89円まで値を上げたものの、前週末の高値144.03円が目先レジスタンスとして意識されると徐々に弱含んだ。一時は4.29%台まで上昇した米10年債利回りが4.20%台まで低下したこともドル売りを促した。4月米ダラス連銀製造業景況感指数が▲35.8と前月の▲16.3から大幅に悪化し、2020年5月以来の低水準を記録すると全般ドル売りが活発化し、前週末の安値142.59円を下抜けて一時141.99円まで値を下げた。
・ユーロドルは反発。米長期金利が低下に転じたことなどを手掛かりに全般ドル売りが優勢になると、前週末の高値1.1394ドルを上抜けて一時1.1425ドルまで上値を伸ばした。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時98.90まで低下した。
なお、ベッセント米財務長官は「我々は強いドル政策を堅持している」と述べたほか、「欧州中央銀行(ECB)はユーロ押し下げのために利下げを行うだろう」と話し、足もとのユーロ高に言及した。
・ユーロ円は4日ぶりに反落。ドル円の下落につれた円買い・ユーロ売りが入ったほか、一時300ドル超上昇したダウ平均が失速し200ドル超下落したことも相場の重しとなり、162.21円と日通し安値を付けた。もっとも、ダウ平均が再び上昇に転じると下げ止まった。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は5日続伸。前週の地合いの強さを引き継いで買いが先行すると一時300ドル超上昇したものの、買い一巡後は徐々に上値を切り下げて200ドル超下落した。ただ、引けにかけては再び上昇に転じた。今週は主要ハイテク企業を含む四半期決算の発表がピークとなるほか、米重要指標の発表が相次ぐ。イベントを前に様子見ムードが広がり、大きな方向感は出なかった。
一方、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は5日ぶりに小反落。
・米国債券相場で長期ゾーンは5日続伸。欧州債相場が下落すると、米国債にも売りが先行したものの、今週予定されている米重要指標の発表を前に持ち高調整目的の買いが入ると持ち直した。
・原油先物相場は3日ぶりに反落。4月米ダラス連銀製造業景況感指数の大幅悪化を受けてエネルギー需要減少への懸念が広がると、ロングの投げを巻き込みながら売り圧力が強まった。61ドル半ばまで下落幅を広げ、先週安値を下回ったところで売りが一服。もっとも石油輸出国機構(OPEC)プラスの増産懸念が重しとなり、戻りは62ドル前半までだった。
・金先物相場は反発。欧州株の上昇を受けて時間外で下値を試すも、先週の安値圏である3270ドル台が支えとなった。4月米ダラス連銀製造業景況感指数が大幅に悪化したことが分かると、リスク回避ムードの高まりから安全資産とされる金に買いが入った。為替でドル安が進行したことも、ドル建て金の上昇を後押しした。引け後には3360ドル超えまで上値を伸ばしている。
28日06:59 トランプ米大統領
「ゼレンスキー・ウクライナ大統領は以前より落ち着いており、合意を望んでいるように見える」
「プーチン露大統領には攻撃をやめて、合意に達することを望む」
28日08:59 三村財務官
「米側から円高・ドル安が望ましいとの話はなかった」
「米財務長官の発言に関する報道は100%事実無根」
28日11:53 中国人民銀行(PBOC)副総裁
「一部の対外貿易企業は米国の関税により困難に直面しており、一部の雇用に影響が出ている」
「中国には雇用を支援するための十分な政策手段がある」
「適切な時期に預金準備率と金利を引き下げる」
28日12:25 国家発展改革委員会(NDRC)の趙副主任
「中国はエネルギーと食料の安定供給を保証する」
「米国は中国のエネルギー輸入において小さなシェアしか占めていない」
「米国からの穀物を購入しなくても中国の食料供給に影響はない」
28日14:54 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「フランスやヨーロッパで景気後退は見込んでいないと改めて強調する」
「欧州にはまだ利下げの余地がある」
「欧州において追加的なインフレは見られない」
「トランプ政権の政策はうまく機能していない」
「現在は非常に大きな経済的不確実性の時期にある」
28日15:23 クノット・オランダ中銀総裁
「トランプ関税によるリスクが不透明なため、次回のECB理事会は複雑なものになる」
「トランプ関税の影響は、短期的には需要ショックが優勢となり、インフレ率が低下するのは100%明らかだ」
「ECBは中長期的なインフレリスクを注視している。長期的には、インフレリスクは明らかに上下の二面性がある」
「日米会談の詳細は調整中」
「一連の関税措置撤廃を強く求めるポジションには変わりない」
「関税以外に投資や経済的措置で折り合えないか探る」
28日21:08 ベッセント米財務長官
「我々は強いドル政策を堅持している」
「多くの国が、有効な提案をしてきている」
「欧州中央銀行(ECB)は、ユーロを下落させるために利下げを行うだろう」
「中国との通商交渉の過程はコメントできない」
「中国は、貿易摩擦を激化させたくないだろう」
「日本との通商交渉は実体のあるものだった」
「出来るだけ早く通商合意を締結したい。インドが最初の締結国になる見込み」
28日22:10 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「入手しているデータは、2025年第1四半期の緩やかな成長を示唆している」
「インフレ率は、我々の目標付近で推移する見通し」
「会合毎のアプローチが適切な金融政策を導き出す」
※時間は日本時間
<国内>
○昭和の日で休場
<海外>
○15:00 ◇ 5月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲26.0)
○16:00 ◇ 3月トルコ失業率
○16:00 ◎ チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○18:00 ◎ 4月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:94.5)
○18:00 ◎ 4月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲16.7)
○18:40 ◎ ラムスデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○21:30 ◇ 3月米卸売在庫(予想:前月比0.7%)
○22:00 ◇ 2月米住宅価格指数(予想:前月比0.3%)
○22:00 ◎ 2月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比4.7%)
○23:00 ◎ 3月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数(予想:748.0万件)
○23:00 ◎ 4月米消費者信頼感指数(予想:87.5)
○30日03:00 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
昨日の海外市場でドル円は、一時は4.29%台まで上昇した米10年債利回りが4.20%台まで低下したことがドル売りを促し、前週末の安値142.59円を下抜けて一時141.99円まで値を下げた。4月米ダラス連銀製造業景況感指数が▲35.8と前月の▲16.3から大幅に悪化し、2020年5月以来の低水準を記録したこともドル売り要因。ユーロドルは、1.1425ドルまで上値を伸ばした。
本日のアジア時間でドル円は、東京市場が昭和の日で休場ということもあり大きなトレンドを作るのは難しいだろうが、欧米時間で続いたドル売りの流れは変わらないか。ただ、二転三転とするトランプ米大統領の発言などで、相場が急転するリスクには常に注意をしておきたい。
米トリプル安の影響もあり、ハネムーン期間(大統領就任100日間)が終了したトランプ政権の支持率は下落している。ワシントン・ポスト、ABCニュース、イプソスが共同で行った世論調査では、米国成人の39%まで支持率は低下。他の支持率もCNN/SSRSの世論調査では米国成人の41%、NBCニュースのステイ・チューンド世論調査では米国成人の45%になるなど、70年以上ぶりの低水準となっている。支持率が下落基調をたどる中で、ベッセント米財務長官をはじめ、政権中枢要人がトリプル安を避けるように進言しているとのうわさもあり、関税圧力の緩和期待がドル買い・円売りの要因になる。
ただ、昨日ベッセント氏の2つの発言はドルの重しになりそうだ。1つ目は「貿易摩擦の緩和は中国次第だ」と発言したこと。中国政府は兼ねてから米国が圧力をかけている限りは交渉にも応じない姿勢を示していることで、米国が中国に対しての歩み寄りをみせない限りは両国間の交渉は前に進まないだろう。すでに中国は欧州連合(EU)、BRICS諸国などとの通商交渉を順調に進めるなど、関税問題に関して米国ほど焦りはない。先週に入り、あたかも中国が交渉に前向き姿勢を示したような発言をしていたトランプ米大統領だが、交渉に進展がないことが判明した場合は、先週のリスク回避の動きのメッキがすべてはげ落ちるリスクには警戒したい。
2つ目は、ベッセント氏が「欧州中央銀行(ECB)は、ユーロを下落させるために利下げを行うだろう」と昨日発言したこと。G7各国で金融政策を通貨政策に結び付けようとしている国はないと思われているが、トランプ政権は米国以外の国の低金利政策は、自国通貨安・ドル高に結び付けているとの認識を持っているようだ。この件に関しては低金利政策を長期間続けている日本に対しても当てはまる。明日から始まる日銀政策決定会合では、据え置き予想が多数を占めているが、先週の訪米時に植田日銀総裁や政府要人に、日本の低金利政策に対して米国が圧力をかけた可能性もある。表面上は「強いドル政策を堅持している」とのトランプ政権だが、前述のECBへの発言を含めドル高を危惧していることは明らかなことで、ドルの重しになるだろう。
なお、本日はカナダドルの値動きには要警戒となる。カナダの総選挙の投票が、日本時間10時半前後に終了する予定。その後の投票の結果次第で、カナダドルが動意づくことが予想される。
ウォールストリートジャーナル紙によると、トランプ米大統領は自動車関税の影響を和らげる方針だと関係者が明らかにした。具体的には、外国製自動車に課す関税が既に課されている他の関税と重複して課されることを防ぎ、米国内で自動車製造に使われる外国部品に対する関税も一部緩和する見込みだ。
この決定により、自動車メーカーはトランプ政権の自動車関税を支払っても、鉄鋼やアルミニウムに対する関税など他の関税を重ねて支払う必要がなくなる。さらに、この措置は遡及的に適用されるため、既に支払った関税についても返金される可能性があるという。
共和党のランド・ポール上院議員はトランプ大統領の関税措置を事実上阻止する決議案に十分な票が集まると見込んでいるという。しかし、ポール氏はこの決議案の採決を30日に予定している一方で、議長のジョンソン氏が決議案の阻止を図っていることを「不誠実」と批判している。一方で、トランプ大統領はこの決議に対して拒否権を行使する意向を示しており、関税問題を巡る米国内の政治的対立が続いている。
国産車で使用する外国製部品に課される関税の一部を緩和するほか、国外で製造された自動車に課す関税が他の関税に上乗せされないようにする。
2025年4月29日午前 9:02
トヨタとホンダは暴騰じゃないのか?
ダラス連銀の製造業調査コメントによると、米中関係悪化に伴う関税の影響で、複数の企業が中国向け売上の消滅や事業継続の危機を訴えている。「関税が続けば多くの中小企業が深刻な打撃を受け、米国回帰どころか産業が壊滅しかねない」との声や、「現状はコロナ禍以上にリスクが大きく不透明」との指摘もある。トランプ政権の予測不能な政策運営や、コスト転嫁による価格上昇、景気後退懸念、金利高など先行きへの不安が広がっている。
日本経済新聞が報じたところによると、日本の大手生命保険会社は2025年度に合計約1.3兆円(約91億ドル)分の日本国債(JGB)保有残高を削減する計画だという。新たな資本規制への対応を背景に、上位10社のうち4社が4月から始まった上期中にJGBの圧縮を予定。特に日本生命は、2016年度以来9年ぶりに日本国債の保有を減らす。これは低利回り債を売却し、より高利回りの債券への入れ替えを進める戦略転換の一環だ。
リーブス英財務相は6月の予算見直しで1000億ポンドの資本支出をインフラ整備と社会サービスの間で慎重に配分する必要があると一部通信社が伝えた。インフレや防衛費の増加、過去の投資不足を考慮すると、実際に使える資金は200億ポンド程度にとどまる可能性が高い。病床や刑務所の不足など喫緊の課題が山積する一方、学校や病院への投資は即効性があるものの、長期的な経済成長効果は限定的とされる。交通やエネルギーインフラへの投資はGDP成長を促進するが、社会的ニーズとのバランスが求められる。シンクタンクのリゾリューション財団は都市型住宅や成人医療など生産性向上に直結する社会投資を優先すべきだと提言している。
昨日の海外市場では、NY市場に入って米長期金利が大幅な低下。欧州時間にかけて4.2952%まで上昇していた米10年債利回りが4.2005%まで一転して大幅な低下に転じるにつれて、全般ドル安の流れとなっていきました。ドル円は欧州時間の高値143.89円から引けにかけては141.99円まで戻りらしい戻りもないなかでの下落。ただ、一目転換線の141.96円を前にして下げ止まると、東京勢不在のアジア市場では142.44円まで買戻されているといったところです。
いずれにしても、米長期金利の動きがドル全般の動きに影響するといった極めて正常な動きに戻ってきているともいえ、目先は再び一目転換線やNY時間の高値143.44円、昨日高値の143.89円が意識されています。
昨日もお伝えしたように、トランプ関税に対する市場の拒否感が米トリプル安を引き起こしたわけですが、方向性としては、既にその峠を越して、逆にどこまで緩和させることが出来るのかといった動きを追いかけているなか、ネタとしては恐らくポジティブな材料しか残っていないといった状況。市場は4月に入ってからの異常なリスクオフの状態から脱却して、ようやく正常な動きへと移行しつつあるのかもしれません。
本日の欧州時間のユーロドルは、トランプ政権の関税に関する報道と月末を控えた特殊玉、欧州の経済指標が相場を左右することになりそうだ。
先週23日から昨日にかけて、ユーロドルは1.13ドル前半から1.14ドル半ばで方向感なく上下している。先週21日に2021年11月以来の高値を更新して以後は、トランプ政権が中国に対する関税圧力緩和姿勢を見せたことで、ややドル売りの勢いが弱まった。ただ、昨日にベッセント米財務長官は「貿易摩擦の緩和は中国次第だ」と発言、一方で本日には中国も王毅・中国外相が「譲歩や後退はいじめる側をますます増長させるだけだ」と述べるなど、両国間の溝が埋まったようには見えない。脅せば多くの国がなびくと思っていたトランプ政権だが、相互関税は米国のトリプル安を招いただけになり、トランプ政権がより一層圧力の緩和姿勢を見せない限りは再び米国売りトレンドに戻る可能性が高そうだ。
また、昨日はニュース等がなかったのにも関わらず、月末が近づいていることもありポンドは対ドルで約3年2カ月ぶりの水準まで買われた。今日、明日もロンドンフィキシングを中心に、複数の通貨で月末玉が出る可能性が高いことで注意が必要になる。
経済指標では、ドイツやユーロ圏の消費者信頼感指数などが発表される。ここ最近は欧州の経済指標で市場が動意づくことは少ないが、昨日は米ダラス連銀製造業景況感指数が2020年5月以来の低水準になったことでドル売りが進んだ。通常は動意が薄い指標でも市場が予想以上に反応する可能性があるかもしれない。
・想定レンジ上限
ユーロドル:1.1440ドル近辺の日足一目均衡表・転換線を上抜ければ、4月22日高値1.1547ドル。
・想定レンジ下限
ユーロドル:4月28日安値1.1330ドル。
欧州連合(EU)の欧州委員会はこのほど、中国から輸入される一部の建設機械に最大66.7%の関税を課すと発表した。メーカーが不当な補助金を受け、人為的に低価格で販売しているとした。『信報』が29日、伝えた。
EUは域内のメーカーを保護するため、中国の移動アクセス設備(MAE)に対して20.6-66.7%の追加関税を課す方針で、EUのMAE市場規模は10億ユーロを超えている。中国メーカーは融資面での優遇措置や補助金を受け、市場価格を下回る価格で製品を投入し、シェアを伸ばしているとした。
EUは現在、ダンピング(不当廉売)や補助金などに関連し、80種類近い中国製品に関税を課している。
ドル円は、長期的には、「ドル高8年サイクル」により、2024年7月の高値161.95円から、2032年の高値175.50円に向けた過渡期に入りつつある。
中期的には、エリオット波動により、上昇第3波動(161.95円)の後の調整第4波動としての「三角保ち合い」(底辺:127.23円~161.95円)を形成しつつある。
短期的には、2024年7月の高値161.95円を頭とする「ヘッド・アンド・ショルダー」を形成中であり、月足ベースのネック・ライン(※140.25円~139.58円~4月:139.06円~5月138.98円)を窺う展開となっている。
1. ドル高8年サイクル
ドル・円相場は、8年サイクルで高値をつけている。
・1974年1月:304.90円
・1982年10月:278.50円(約8年10カ月)
・1990年4月:160.35円 (約7年6カ月)
・1998年8月:147.64円 約8年4カ月)
・2007年6月:124.14円 (約8年10カ月)
・2015年6月:125.86円 (約8年1カ月)
・2024年7月:161.95円 (約9年)
・2032年:175.50円??
■第1次トランプ米政権(2017年~2020年):2015年の高値からの下落途上
■第2次トランプ米政権(2025年~2028年):2024年の高値からの下落途上?
2.エリオット波動
・第1波動:75.32円-125.86円(+50.54円)
・第2波動:125.86円-101.19円(▲24.67円 半値押し)
・第3波動:101.19円~161.95円(+60.76円)
・第4波動:161.95円~126円(※第4波動と第1波動は重ならない)
※三角保ち合い(127.23円~161.95円)を形成中
A波動;161.95円~139.58円
B波動:139.58円~158.87円
C波動:158.87円~
・第5波動:126円~175.50円
■第1次トランプ米政権(2017年~2020年):第2調整波動
■第2次トランプ米政権(2025年~2028年):第4調整波動?
3.ヘッド・アンド・ショルダー
2024年7月の高値161.95円を頭とする「ヘッド・アンド・ショルダー」を形成中であり、月足ベースのネック・ライン(※140.25円~139.58円~4月:139.06円~5月138.98円)を窺う展開となっている。
ネック・ラインを下抜けてヘッド・アンド・ショルダーが完成した場合、三角保ち合いの起点である127.23円を目指す下落トレンドが予想される。
本日のNY為替市場のドル円は、米東部時間午前8時30分(日本時間21時30分)から予定されているベッセント米財務長官の記者会見を見極めた後は、4月米消費者信頼感指数や3月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数の発表を待つことになる。
ベッセント米財務長官の記者会見では、5月1日に予定されている第2回日米通商交渉や報道されている「ドル安・円高が望ましい」との発言への言及に注目しておきたい。
ベッセント米財務長官は、昨日、関税交渉で早ければ今週か、来週にも合意に達する国が出てくるという見通しを示し、交渉が進展すれば、トランプ米大統領が今週末にも最終的な判断を下す可能性がある、と述べていた。
また、「貿易摩擦の緩和は中国次第だ」と発言しており、交渉に進展がないことが判明した場合は、米中貿易戦争への警戒感が高まることになる。
そして、「欧州中央銀行(ECB)は、ユーロを下落させるために利下げを行うだろう」とも述べており、日銀金融政策決定会合への利上げ圧力を彷彿とさせていた。
23時に発表される4月米消費者信頼感指数は87.5と予想されており、4年ぶりの低水準に落ち込んだ3月の92.9からの悪化が見込まれている。3月の1年先のインフレ期待は、2年ぶりの高水準となる6.2%まで上昇しており、関税スタグフレーションへの警戒感を高めていた。
さらに、今後6カ月の見通しを示す期待指数は65.2と、12年ぶりの低水準となり、80以下のままでリセッション(景気後退)への警戒感を高めていた。
また、今週末発表される4月雇用統計に向けて労働市場格差(※3月:17.9)にも注目しておきたい。
3月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数は748.0万件と予想されており、2月の756.8万件からの減少が見込まれており、予想通りならば、トランプ関税への警戒感から労働需要の抑制が確認されることになる。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、143.89円(4/28高値)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、141.49円(4/23安値)
今晩はもみ合いか。昨日は貿易問題で大きな進展が無いなか、週内のアップル、マイクロソフトなどのメガキャップの決算、及び4月雇用統計、1-3月期GDP、3月個人消費支出(PCE)価格指数などの注目の経済指標の発表を控えてもみ合った。ダウ平均が114.09ドル高(+0.28%)、S&P500も0.06%高とわずかながらプラス圏で終了し、ともに5営業日続伸した一方、ハイテク株主体のナスダック総合は0.10%安とわずかにマイナス圏で終了し、5営業日ぶりの反落となった。
今晩の取引でも水曜日のメタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、木曜日のアップル、アマゾン・ドット・コムの決算発表や、水曜日の1-3月期GDP速報値、3月個人消費支出 (PCE) 価格指数、木曜日の4月ISM製造業購買担当者景気指数 (PMI)、金曜日の4月雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率・平均賃金)などの発表を前に、積極的な取引は控えられそうだ。貿易問題の進展や3月JOLTS求人件数などの経済指標、コカ・コーラ、ゼネラル・モーターズ(GM)、ファイザーなどの決算発表をにらんだ神経質な展開となりそうだ。
今晩の米経済指標は2月S&Pケースシラー住宅価格指数、4月消費者信頼感指数、3月JOLTS求人件数など。企業決算は寄り前にアメリカン・タワー、コカ・コーラ、GM、ファイザー、引け後にスターバックス、ビザなどなどが発表予定。
(29日終値:30日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=142.29円(29日15時時点比▲0.16円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.98円(▲0.19円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1385ドル(▲0.0001ドル)
FTSE100種総合株価指数:8463.46(前営業日比△46.12)
ドイツ株式指数(DAX):22425.83(△154.16)
10年物英国債利回り:4.480%(▲0.029%)
10年物独国債利回り:2.497%(▲0.024%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月独消費者信頼感指数(Gfk調査)
▲20.6 ▲24.3・改
4月ユーロ圏消費者信頼感指数
(確定値) ▲16.7 ▲16.7
4月ユーロ圏経済信頼感指数
93.6 95.0・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は頭が重かった。米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.24%台まで上昇すると円売り・ドル買いが先行。21時前に一時142.76円と日通し高値を更新した。
ただ、買い一巡後は上値が重くなった。3月米卸売在庫や2月米ケース・シラー住宅価格指数、3月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数、4月米消費者信頼感指数など、この日発表の米経済指標が軒並み予想を下回ると円買い・ドル売りが優勢となった。前日の安値141.99円を下抜けて一時141.97円まで値を下げた。米10年債利回りが4.16%台まで低下したことも相場の重し。
もっとも、一目均衡表転換線が位置する141.96円がサポートとして意識されると下げ渋った。ダウ平均が一時400ドル超上昇するなど、米国株相場が底堅く推移したことも相場を下支えした。
・ユーロドルは下値が堅かった。21時30分前に一時1.1370ドルと日通し安値を付けたものの、前日の安値1.1330ドルがサポートとして働くと徐々に下値を切り上げた。低調な米経済指標を手掛かりにユーロ買い・ドル売りが進むと1.1419ドル付近まで持ち直した。ただ、オセアニア時間に付けた日通し高値1.1422ドルが目先レジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。
なお、チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事は「トランプ関税の不確実性は2025年国内総生産(GDP)の低下要因」「米ドルの世界貿易や金融市場での役割が弱まる恐れ」などと述べたと伝わった。
・ユーロ円はさえない。日本時間夕刻に一時162.55円と本日高値を付けたものの、買い一巡後は徐々に弱含んだ。ドル円の下落につれた売りが出たほか、豪ドル円などオセアニアのクロス円が下落した影響を受けた。2時過ぎには一時161.89円と本日安値を更新した。
なお、ポンド円は一時190.40円、豪ドル円は90.59円、NZドル円は84.21円、カナダドル円は102.50円まで下落した。
・ロンドン株式相場は12日続伸。ベッセント米財務長官の発言を受けて、米関税政策を巡る協議が進展するとの期待が高まると買いが優勢となった。HSBCやバークレイズなど金融株が買われたほか、アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株が値上がりした。半面、原油先物相場の下落を背景にBPやシェルなどエネルギー株が売られた。
・フランクフルト株式相場は6日続伸。トランプ米政権の高関税政策を巡る各国との交渉が進展するとの期待から、独株にも買いが入った。個別ではラインメタル(8.51%高)やドイツ銀行(5.04%高)、コメルツ銀行(3.98%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は上昇した。
(29日終値)
ドル・円相場:1ドル=142.33円(前営業日比△0.32円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.08円(▲0.16円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1387ドル(▲0.0033ドル)
ダウ工業株30種平均:40527.62ドル(△300.03ドル)
ナスダック総合株価指数:17461.32(△95.19)
10年物米国債利回り:4.17%(▲0.04%)
WTI原油先物6月限:1バレル=60.42ドル(▲1.63ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3333.6ドル(▲14.1ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月米卸売在庫
(前月比) 0.5% 0.5%・改
2月米住宅価格指数
(前月比) 0.1% 0.3%・改
2月米ケース・シラー住宅価格指数
(前年比) 4.5% 4.7%
3月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数
719.2万件 748.0万件・改
4月米消費者信頼感指数
86.0 93.9・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は反発。米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.24%台まで上昇すると円売り・ドル買いが先行。21時前に一時142.76円と日通し高値を更新した。米関税交渉の進展期待もドル買いを誘った。
ただ、買い一巡後は上値が重くなった。3月米卸売在庫や2月米ケース・シラー住宅価格指数、3月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数、4月米消費者信頼感指数など、この日発表の米経済指標が軒並み予想を下回ると円買い・ドル売りが優勢に。前日の安値141.99円を下抜けて一時141.97円まで値を下げた。米10年債利回りが4.16%台まで低下したことも相場の重し。
もっとも、一目均衡表転換線が位置する141.96円付近がサポートとして意識されると持ち直した。ダウ平均が一時400ドル超上昇するなど、米国株相場が底堅く推移したことも相場を下支えした。
なお、ベッセント米財務長官は「貿易交渉を巡りインドとの取引成立が近づいている」「日本との交渉についても実質的な協議を進めている」と述べたほか、ラトニック米商務長官は「国名は明かさないが、承認待ちの貿易合意がある」と話した。
・ユーロドルは反落。21時30分前に一時1.1370ドルと日通し安値を付けたものの、前日の安値1.1330ドルがサポートとして働くと徐々に下値を切り上げた。低調な米経済指標を手掛かりにユーロ買い・ドル売りが進むと1.1419ドル付近まで持ち直した。ただ、オセアニア時間に付けた日通し高値1.1422ドルが目先レジスタンスとして意識されると失速。3時30分前には1.1376ドル付近まで押し戻された。
・ユーロ円は続落。ドル円の下落につれた売りが出たほか、豪ドル円などオセアニアのクロス円が下落した影響を受けた。ユーロドルの失速も相場の重しとなり、2時過ぎには一時161.89円と本日安値を更新した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は6日続伸。ベッセント米財務長官が「関税措置を巡る各国との交渉は順調に進んでいる」との認識を示したことを受けて、買いが優勢となった。なお、この日発表の米経済指標はいずれも低調な結果となったが、影響は限定的だった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は反発した。
・米国債券相場で長期ゾーンは6日続伸。3月米JOLTS求人件数や4月米消費者信頼感指数など低調な米経済指標が相次いだことを受けて、相対的に安全資産とされる米国債が買われた。
・原油先物相場は続落。この日発表された米経済指標が軒並み市場予想を下回り、経済活動の停滞によるエネルギー需要減への警戒感が高まった。石油輸出国機構(OPEC)プラスの増産懸念も相場の重しとなり、約2週間ぶりの安値圏となる60.20ドル台まで売り込まれた。
・金先物相場は反落。「トランプ関税を巡る米国と各国との交渉進展」に対する期待が高まり、リスク回避の巻き戻しによる売り戻しが時間外から先行。弱い米経済指標が相次いだことで下値を切り上げるも、一巡後は再び伸び悩んだ。
カナダの最大の民放テレビネットワークCTVによると、カーニー首相が率いる自由党が総選挙を勝利する見通しと報じている。
29日08:19 王毅・中国外相
「譲歩や後退はいじめる側をますます増長させるだけだ」
「対話こそが、意見の違いを解決する助けになる」
29日13:08 ザムラジロヴァ・チェコ中銀副総裁
「次回の利下げが最後になる可能性」
「チェコの金融政策は引き続き十分に厳格である必要がある」
29日14:39 カザークス・ラトビア中銀総裁
「世界経済には多くの不確実性が存在している」
「金利の動向はインフレに依存している」
29日16:20 チポローネECB専務理事
「トランプ関税の不確実性は、2025年の国内総生産(GDP)の低下要因」
「世界的な貿易の停滞は、投資意欲を低下させる」
「米ドルの世界貿易や金融市場での役割が弱まる恐れ」
「準備通貨としての米ドルの地位が脆弱化しつつある」
「トランプ関税は短期的にユーロ圏のデフレ圧力を強める」
29日21:49 ベッセント米財務長官
「今後数週間で17の貿易相手国と交渉する」
「トランプ関税は、中国にとって耐えられない重荷」
「トランプ関税は、中国の雇用を喪失させる」
「インドと韓国との通商合意の発表は近い」
「日本との通商交渉は有意義だった」
30日03:00 ラトニック米商務長官
「承認待ちの貿易ディールがある」
「合意間近の国名を明かさない」
「10%の関税は実質的に価格に影響を与えない」
「市場は関税の影響を誤解している」
30日03:28 トランプ米大統領
「国民の税負担を減らすつもりだ」
「豪首相と貿易について協議する予定」
「インドとの協議は順調に進んでいる」
※時間は日本時間
<国内>
○日銀金融政策決定会合(1日目)
○08:50 ◎ 3月鉱工業生産速報(予想:前月比▲0.4%/前年比0.8%)
○08:50 ◇ 3月商業販売統計速報(小売業販売額、予想:前年比3.5%)
○14:00 ◇ 3月新設住宅着工戸数(予想:前年比1.0%)
○14:00 ◇ 2月景気動向指数改定値
○19:00 ◇ 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○赤沢亮正経済再生相が訪米(2回目の日米関税協議)
<海外>
○10:00 ◇ 4月ANZ企業信頼感
○10:30 ◎ 3月豪消費者物価指数(CPI、予想:前年比2.2%)
○10:30 ◎ 1-3月期豪CPI(予想:前期比0.8%/前年同期比2.3%)
○10:30 ◎ 4月中国製造業購買担当者景気指数(PMI、予想:49.7)
○10:45 ◎ 4月Caixin中国製造業PMI(予想:49.7)
○14:30 ◎ 1-3月期仏国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比0.1%)
○14:30 ◇ 3月仏消費支出(予想:前月比0.1%)
○15:00 ◇ 4月独輸入物価指数(予想:前月比▲0.8%/前年比2.5%)
○15:00 ◎ 4月独小売売上高(予想:前月比▲0.4%/前年比2.4%)
○15:00 ◇ 4月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.1%)
○15:30 ◎ ミュラー・エストニア中銀総裁、講演
○15:45 ◇ 4月仏CPI速報値(予想:前月比0.4%/前年比0.7%)
○15:45 ◇ 3月仏卸売物価指数(PPI)
○16:00 ◇ 4月スイスKOF景気先行指数(予想:101.9)
○16:00 ◇ 3月トルコ貿易収支(予想:73.0億ドルの赤字)
○16:55 ◎ 4月独雇用統計(予想:失業率6.3%/失業者数変化1.50万人)
○17:00 ☆ 1-3月期独GDP速報値(季節調整済、予想:前期比0.2%/前年同期比▲0.2%)
○17:00 ☆ 1-3月期独GDP速報値(季節調整前、予想:前年同期比▲0.4%)
○18:00 ☆ 1-3月期ユーロ圏GDP速報値(予想:前期比0.2%/前年比1.1%)
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○21:00 ◎ 3月南アフリカ貿易収支(予想:149億ランドの黒字)
○21:00 ◎ 4月独CPI速報値(予想:前月比0.3%/前年比2.0%)
○21:00 ◎ 1-3月期メキシコGDP速報値(予想:前期比横ばい/前年比0.7%)
○21:15 ☆ 4月ADP全米雇用報告(予想:11.5万人)
○21:30 ☆ 2月カナダGDP(予想:前月比横ばい/前年比1.7%)
○21:30 ☆ 1-3月期米雇用コスト指数(予想:前期比0.9%)
○21:30 ☆ 1-3月期米GDP速報値(予想:前期比年率0.2%)
◎ 個人消費(速報値、予想:前期比年率1.2%)
◎ コアPCE(速報値、予想:前期比年率3.2%)
○22:45 ◎ 4月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:46.0)
○23:00 ◎ 3月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.6%)
◎ 3月米個人所得(予想:前月比0.4%)
☆ 3月米PCEデフレーター(予想:前年比2.2%)
☆ 3月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.1%/前年比2.6%)
○23:00 ◎ 3月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比1.0%/前年比▲5.7%)
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○1日00:30 ◎ ロンバルデリ英中銀(BOE)副総裁、講演
○1日00:30 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○1日01:00 ◎ 3月ロシア失業率(予想:2.4%)
○1日02:00 ◎ マクルーフ・アイルランド中銀総裁、講演
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
昨日の海外市場でドル円は、21時前に一時142.76円と日通し高値を更新したが、この日発表の米経済指標が軒並み予想を下回ると円買い・ドル売りが優勢になり141.97円まで値を下げた。米10年債利回りが4.16%台まで低下したことも相場の重し。ユーロドルは、ドル売りが進むと1.1419ドル付近まで持ち直したが、1.1376ドル付近まで押し戻された。
本日の東京時間でドル円は、引き続き米国の関税の進捗状況を見極めての取引となりそうだ。ただ、米中間の関税交渉が進まない恐れがあることはドルの上値を抑えることになるだろう。また、本日から始まる日銀政策決定会合の観測報道や豪中の経済指標の結果にも注目したい。
米国のトリプル安(債券安・株安・米ドル安)に対処するために、トランプ政権が対中関税圧力の緩和姿勢を見せ、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の解任を打ち消したことでトリプル安の流れが一時休止となっている。昨日もベッセント米財務長官やラトニック米商務長官が、関税交渉が進展していることを述べたことで、米株主要3指数は上昇し、米債も買われるなど過度のリスク回避の動きは弱まっている。ただし、トランプ大統領の支持率が就任100日間の期間としては70年以上ぶりの低水準となる中、トランプ政権が関税交渉に弱気の姿勢を見せ始めていることで、関税対象国が敢えて交渉合意を急がない可能性もあるだろう。
ドルの上値を抑える要因としては、米中間の関税交渉が進まない可能性があることが一因。今週に入りベッセント財務長官が「貿易摩擦の緩和は中国次第だ」と発言した一方で、昨日BRICS会議で演説した中国の王毅外相は「譲歩や後退はいじめる側をますます増長させるだけだ」と述べた。また、王毅外相はBRICS諸国に米国の関税脅威に断固として対抗するよう促し、屈服すれば米国を勢いづかせるだけだと警告した。
過去のようにBRICSはブラジル、ロシア、インド、南アと中国の5カ国だけではなく、昨年までにイラン、エジプト、アラブ首長国連邦、エチオピア、インドネシアが加盟、今年に入りタイ、マレーシア、ウズベキスタン、カザフスタン、ベラルーシ、ウガンダ、ボリビア、キューバ、ナイジェリアの計9カ国がパートナー国として加わるなど、米国よりも巨大な経済圏を形成している。更に中国は親米だった欧州連合(EU)とも通商関係で交渉を進めるなど、中国の方が関税交渉で優位なことで強気姿勢を崩すことはないだろう。トランプ政権が中国に対する関税圧力を更に緩和をしない限りは、2大経済大国の貿易戦争がドルの重しとなりそうだ。
また、本日から始まる日銀政策決定会合の観測報道などには警戒したい。ベッセント氏は28日に「欧州中央銀行(ECB)は、ユーロを下落させるために利下げを行うだろう」と発言している。ECBをはじめG7各国で金融政策を通貨政策に結び付けようとしている国はないと思われているが、トランプ政権は米国以外の国の低金利政策は、自国通貨安・ドル高に結び付けているとの認識を持っているようだ。この件に関しては低金利政策を長期間続けている日本に対しても当てはまる。
今回の日銀政策決定会合では据え置き予想が多数を占めているが、先週の訪米時に植田日銀総裁や政府要人に、日本の低金利政策に対して米国が圧力をかけた可能性もある。表面上は「強いドル政策を堅持している」とするトランプ政権だが、前述のECBへの発言を含めドル高を危惧していることは確実なことも、ドルの重しになるだろう。
なお、本日は複数の国から注目経済指標が発表される。その中では豪州からの1-3月期消費者物価指数(CPI)、中国の4月購買担当者景気指数(PMI)は市場が動意づく可能性が高そうだ。市場予想は豪CPIが前年比で2.4%から2.3%への低下、中国のPMIは景気判断の分岐点とされる50を割り込むと見られている。ここ最近は相互関税の影響を見極めたいことで経済指標への反応は鈍いが、警戒を怠らないようにしておきたい。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 36070 +160 (+0.44%)
TOPIX先物 2675.0 +21.5 (+0.81%)
シカゴ日経平均先物 36085 +175
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
29日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。貿易相手国との関税政策を巡り、ベッセント米財務長官が「交渉は順調に進んでいる」との認識を示したことで買い優勢の展開になった。トランプ米大統領は29日、自動車関税の負担を軽減する大統領令に署名した。トランプ政権の関税政策に関する強硬姿勢が和らいでいるとして、買い安心感につながった。4月の米消費者信頼感は86.0と前月(93.9)から悪化し、市場予想(88.0程度)を下回った。3月の米雇用動態調査(JOLTS)求人件数は719万2000件に減少し、昨年9月以来の低水準となったことが重荷になっている。
S&P500業種別指数は、自動車・同部品、各種金融、ソフトウエア・サービス、電気通信サービス、食品・生活必需品小売が上昇した一方で、エネルギー、半導体・同製造装置の2セクターが下落。NYダウ構成銘柄では、ハネウェル・インターナショナル<HON>、シャーウィン・ウィリアムズ<SHW>、アムジェン<AMGN>、メルク<MRK>が買われた。半面、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、マクドナルド<MCD>、シェブロン<CVX>が下落。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比175円高の3万6085円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッション(祝日取引を含む)は、日中比30円安の3万5880円で始まり、3万5710円まで売られた。その後はロング優勢となり一時3万6230円まで買われる場面もみられた。買い一巡後は軟化し3万5860円と下落に転じ、米国市場の取引開始後は3万5920円~3万6080円辺りでの保ち合いを継続。3万6070円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、買い先行で始まりそうだ。ナイトセッションで3万6230円まで買われる場面もみられ、ボリンジャーバンドの+1σ(3万6320円)に接近してきた。同バンドを捉えてくると、13週移動平均線(3万6510円)や75日線(3万7070円)が意識されてくる。そのため、オプション権利行使価格の3万5750円から3万6500円のレンジを想定。
赤沢亮正経済財政再生相はきょうから3日間の日程で訪米し、ベッセント米財務長官らと関税を巡る2回目の協議が予定されている。関税交渉の進展期待によりショートを仕掛けづらくさせるとともに、ポジションをニュートラルに近づけてくることでショートカバーが入りやすいと考えられる。
ただし、中国当局は習近平国家主席が最近トランプ大統領と会談した事実はなく、両国が関税を巡る合意の締結を目指している事実もないと、トランプ大統領の発言を否定している。米中対立の不透明感は根強く、積極的なロングは限られることから、押し目狙いのロング対応に向かわせよう。まずは3万6000円固めを意識した押し目を狙いたい。
29日の米VIX指数は24.17(28日は25.15)に低下した。20.00を上回っている状況であるが低下傾向が続いており、目先的には75日線が位置する22.25辺りが意識されている。楽観はできないものの、リスク選好に向かわせよう。
28日のNT倍率は先物中心限月で13.53倍に低下。13.58倍をつける場面もみられたが、その後は25日線(13.54倍)を割り込んで推移していた。ただし、一時13.49倍まで低下した後は25日線水準まで下げ渋る動きをみせており、同線が抵抗線として機能するようだと、NTショートに振れやすくなりそうだ。
東京市場は堅調か。休場の間の米国株は28日がまちまちで、29日は上昇した。ダウ平均は28日に114ドル高となり、29日は300ドル高の40527ドルで取引を終えた。28日は小動きでナスダックは小幅に下落したが、29日は関税交渉の進展期待を高めるニュースがいくつか出てきたことから、概ね堅調に推移した。ドル円は足元142円30銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて175円高の36085円、ドル建てが245円高の36155円で取引を終えた。
海外市場に特段の波乱はなく、ダウ平均とS&P500は6日続伸した。これらの動きを好感した買いが入ると予想する。週末には米雇用統計の発表があり、翌週には連休があることから、高くなれば目先の利益を確定させる売りが出てくるとみる。しかし、決算を材料に個別物色の盛り上がりが期待できる中、萎めば改めての買いが入りやすい。場中はプラス圏でしっかりした動きが続くと予想する。日経平均の予想レンジは35900円-36300円。
昨日の海外市場では、ドル円は米長期金利の動向に素直に左右される展開となりました。欧州時間は米10年債利回りが4.2428%まで上昇するにつれて前日からのショートカバーが先行。一時142.76円まで値を上げる場面もみられましたが、NY時間に入って3月米JOLTS求人件数や4月米消費者信頼感指数などが軒並み予想を下回る弱い数字となると米10年債利回りが4.1620%まで大幅な低下。つれるかたちで値を下げると前日28日の安値141.99円を下抜けて一時141.97円まで値を下げました。
ただ、一目転換線の141.96円が目先の下値目処として意識されるなか、株価が上げ幅をひろげたこともあり、引けにかけては142.45円まで買戻されるなど、あまり意志を持たない値動きを繰返すことになっています。流石に、月末のゴトー日でもある本日のアジア市場では、仲値に向けた本邦実需の買いが断続的に観測されており、一時142.51円まで買戻されているといったところです。
いずれにしても、市場が正常に戻ってきたことから、値動きは整合性のある分かり易い展開となっていますが、今後の連休を挟むイレギュラーな日程に惑わされることなく、市場としてはあくまでもレギュラーな展開がしばらく続いていくのかもしれません。
日経225先物は11時30分時点、前日比変わらずの3万5910円(±0.00%)前後で推移。寄り付きは3万6030円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万6085円)にサヤ寄せする形で、買い先行から始まった。開始直後につけた3万6040円を高値に軟化し、中盤にかけて3万5810円と、下落に転じる場面もみられた。ただし、下へのバイアスは強まらず、終盤にかけては3万5850円~3万5950円辺りでの、前日終値を挟んだ狭いレンジ推移を継続している。
日経225先物は小動きではあるが、朝高後に弱含む形となった。トランプ米政権による自動車関税の軽減措置発表で自動車株の動向に関心が集まるなか、トヨタ自動車 <7203.T> [東証P]は上昇で始まったものの、早い段階で下落に転じたことがロングを手控えさせた。一方で、赤沢亮正経済財政再生相はきょうから3日間の日程で訪米し、ベッセント米財務長官らと関税を巡る2回目の協議が予定されているため、交渉進展への期待からショートも仕掛けづらくさせた。
NT倍率は先物中心限月で13.50倍に低下。ファーストリテイリング <9983.T> [東証P]の下げが日経平均型の重荷になっている。銀行や医薬品株が堅調であり、相対的にTOPIX型の優位な状況だった。25日移動平均線(13.54倍)への戻りの鈍さが意識されるようだと、NTショートに振れやすくなりそうである。
本日のロンドン為替市場のユーロドルは、仏・独・ユーロ圏の国内総生産(GDP)・速報値を確認しながら、方向感を探ることになるか。
ユーロ圏では多数の経済指標の発表が予定されており、その中でも注目が集まりそうなのは、仏・独・ユーロ圏の1-3月期GDP・速報値だろう。市場予想は、前期比で仏はわずかにプラス転となるも、ユーロ圏は前期並みの伸び率だが前年比ではわずかに伸びが鈍化、独は前期比はプラス転予想も、前年比ではマイナスが見込まれている。トランプ関税の影響がこれから顕在化してゆくことを考慮すると、弱い予想を下回る結果が相次いだ場合は、欧州景気への懸念からユーロ売りの材料視される可能性がある。
ユーロドルは23日に1.1308ドルの安値をつけた後は概ね1.13ドル台前半から1.14ドル台前半でのレンジを形成しており、レンジを下抜ける動きとなれば下値模索の動きが先行する展開も想定される。
トランプ関税について、米中貿易摩擦の激化が懸念される局面ではドル売りという形でユーロドルを押し上げると、今月21日には2021年11月以来の高値1.1573ドルを付けた。足もとでは貿易摩擦の激化懸念が和らいでドル売りは一服しているものの、関税問題が続いている点を踏まえると警戒はしておきたいところ。貿易摩擦の激化懸念を想起させる発言、特に米中間に関するものが伝われば、短期的にはドル売りに作用することが予想される。
そのほか、NY序盤には米国で4月ADP雇用統計や1-3月期四半期GDP・速報値、3月PCEデフレーターなど重要指標の発表が相次いで予定されている。月末日という需給面での要因もあり、気の抜けない一日となりそうだ。
想定レンジ上限
・ユーロドル:日足・一目均衡表の転換線1.1441ドル。超えると心理的節目の1.1500ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル:23日安値1.1308ドル。割り込むと15日安値1.1264ドル。
ドル円:1ドル=142.50円(前営業日NY終値比△0.17円)
ユーロ円:1ユーロ=162.12円(△0.04円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1382ドル(▲0.0005ドル)
日経平均株価:36045.38円(前営業日比△205.39円)
東証株価指数(TOPIX):2667.29(△16.68)
債券先物6月物:140.65円(△0.02円)
新発10年物国債利回り:1.310%(横ばい)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月鉱工業生産・速報値
前月比 ▲1.1% 2.3%
前年同月比 ▲0.3% 0.1%
3月商業販売統計速報(小売業販売額)
前年同月比 3.1% 1.3%・改
3月新設住宅着工戸数
前年同月比 39.1% 2.4%
2月景気動向指数改定値
先行指数 107.9 107.9
一致指数 117.3 116.9
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は小高い。月末の5・10日(ゴトー日)ということもあって仲値にかけて本邦実需勢の買いが観測された。その後も日本株の底堅い動きを支えに上値を伸ばし、一時142.71円まで値を上げた。
・豪ドルは強含み。1-3月期豪消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ったことに豪ドル買いで反応した。対ドルでは0.6418ドル、対円でも91.53円まで買いが進んだ。
・ユーロドルは小安い。1.13ドル台後半のレンジ内推移が中心となったが、豪CPI後に対豪ドルなどでユーロ売りが進んだ場面では一時1.1355ドルまで下押しした。
・ユーロ円は下値が堅い。11時前に161.72円まで下落したものの、その後は株高やドル円の上昇などにつれて162.33円まで持ち直した。
・日経平均株価は5日続伸。前日の米国株式相場が堅調推移となった流れを引き継いだ。大型連休の谷間とあって積極的に買いを進める展開とはならなかったが、後場も底堅い地合いが継続。指数は210円超高まで上昇する場面も見られた。
・債券先物相場は小幅続伸。明日の日銀金融政策決定会合結果を見極めたいとの思惑から手控えムードが広がり、前営業日終値を挟んで方向感が出なかった。
中国の全国人民代表(国会に相当)大会常務委員会は4月30日、第15回会議で「民営経済促進法」を可決した。施行は2025年5月20日から。法律は全9章78条で、総則、公平競争、投資・融資促進、科学技術革新、経営規範、サービス保障、権益保護、法律責任、附則で構成される。『新華社』が同日伝えた。
民営経済に特化した初の基礎的な法律として、同法は発展環境の最適化、市場競争への公平な参加の保証、民営経済の健全な発展と関係者の成長支援を目指す。高度な社会主義市場経済体制の構築を促進し、民営経済が国民経済および社会発展で果たす重要な役割を一層強化する狙いがある。
SMBC日興証券では、2025年1-3月期の実質GDP成長率を前期比+0.0%、年率+0.1%と予想している。外需の寄与により高成長となった2024年10-12月期の前期比+0.6%、年率+2.2%からは大幅に減速するものの、辛うじてプラス成長を確保すると見込んでいる。これを踏まえて日本経済の見通しを見直しており、年度見通しは2025年度に+0.5%、2026年度に+0.4%、2027年度に+0.7%と、潜在ペースと考えられる+0.6%程度を幾分下回る拡大を想定している。
「日本は、夏の参院選前に米国との貿易協定の枠組みの策定を望んでいる」
(ベッセント米財務長官)
1.トランプ米大統領(4月20日)
トランプ米大統領は、4月20日午後(日本時間21日午前)、自身のソーシャルメディア・プラットフォーム「トゥルース・ソーシャル」に非関税貿易障壁のごまかし(Non-Tariff cheating)と題した投稿を行った。
1)為替操作
2)関税および輸出補助金として作用する付加価値税(VAT)
3)コストを下回るダンピング(不当廉売)
4)輸出補助金および他の政府補助金
5)保護的な農業基準
6)保護的な技術規格(ボーリングのボールを使った日本の検査)
7)偽造、著作権侵害、知的財産の窃盗
8)関税逃れのための積み替え
2. 第1回日米通商交渉(4月16日)
赤沢経済再生相は、ベッセント米財務長官、ラトニック米商務長官、グリア通商代表部(USTR)代表らと第1回日米通商交渉を行い、以下の合意に達した。
1)今月中に閣僚レベルで次回協議を行う方向で調整する
2)日米双方が率直かつ建設的な姿勢で協議に臨み、可能な限り早期に合意し、首脳間で発表できるよう目指す
3)事務レベルでの協議も継続する
赤沢経済再生相は、「今回の協議で通貨政策が議題に上ったのか?」との質問に対しては「為替については出ませんでした」と、なぜか2度も繰り返し否定した。
3. 第2回日米通商交渉(5月1日)
想定される協議内容は以下の通りとなる。
■米国
・輸入車に対する25%追加関税は続ける
・負担軽減策として、この関税を支払った自動車メーカーに対しては他の関税を免除して「二重取り」をなくす可能性
■日本
・米国産のコメの輸入拡大を検討。年間77万トン程度を無関税で輸入するミニマムアクセス(最低輸入量)の枠内で、6万トン程度を実質的に米国からの輸入枠とする案
・日本独自の電気自動車(EV)急速充電規格「CHAdeMO(チャデモ)」の見直し案
・米北部アラスカ州の液化天然ガス(LNG)開発プロジェクトへの日本勢の参画案
大阪6月限
日経225先物 36030 +120 (+0.33%)
TOPIX先物 2664.5 +11.0 (+0.41%)
日経225先物(6月限)は前日比120円高の3万6030円で取引を終了。寄り付きは3万6030円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万6085円)にサヤ寄せする形で、買い先行から始まった。開始直後につけた3万6040円を高値に軟化し、前場中盤に3万5810円と下落に転じる場面もみられた。前場終盤にかけては3万5840円~3万5960円辺りで、前日終値を挟んだ狭いレンジ推移を継続。後場中盤辺りにレンジを上抜け、終盤にかけて上へのバイアスを強め、引け間際には3万6080円まで買われた。
日経225先物は朝高後に弱含む場面がみられた。トランプ米政権による自動車関税の軽減措置発表で自動車株の動向に関心が集まるなか、トヨタ自動車 <7203.T> [東証P]が上昇で始まったものの、早い段階で下落に転じたことがロングを手控えさせた。一方、赤沢亮正経済財政再生相がきょうから3日間の日程で訪米。ベッセント米財務長官らと関税を巡る2回目の協議が予定されており、交渉進展への期待からショートも仕掛けづらくさせた。
後場中盤以降は、年金とみられる月末のドレッシングの買いが観測された。ボリンジャーバンドの+1σに接近するなか、同バンドはナイトセッションで3万6140円辺りに下がってくる。バンドが収斂するなか、+1σ突破から75日移動平均線が位置する3万7030円辺りが次のターゲットになりそうだ。週足では13週線が3万6510円に位置しているが、同線を明確に上放れてくるとトレンドが出やすいだろう。
明日は日銀の金融政策決定会合の結果が判明する。トランプ関税の影響の見極めで利上げは見送られるとの見方が大勢であり、無難に通過しそうだ。イベント通過によってロングが強まる可能性もあり、ショートカバーを誘う動きが意識されそうである。引き続き3万6000円固めから押し目狙いのロング対応とし、+1σ突破から13週線辺りを狙ったスタンスになりそうだ。そのため、オプション権利行使価格の3万6000円から3万6500円のレンジを想定しておきたい。
NT倍率は先物中心限月で13.52倍に低下。ファーストリテイリング <9983.T> [東証P]の下げが日経平均型の重荷になっている。銀行や医薬品株が堅調であり、相対的にTOPIX型優位の状況だった。ただし、一時13.46倍に低下した後は13.53倍と25日線(13.54倍)に接近する場面もみられた。今期大幅減益見通しを発表した商船三井<9104.T>[東証P]が急落し、他の海運株に売りが広がった影響と考えられ、NTショートによるスプレッド狙いも取りづらそうである。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万4720枚、ソシエテジェネラル証券が1万1648枚、サスケハナ・ホンコンが3457枚、JPモルガン証券が2786枚、モルガンMUFG証券が2156枚、野村証券が1715枚、バークレイズ証券が1481枚、ドイツ証券が1348枚、ビーオブエー証券が1031枚、ゴールドマン証券が913枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が2万5590枚、ソシエテジェネラル証券が2万3142枚、バークレイズ証券が8195枚、ゴールドマン証券が7875枚、JPモルガン証券が5423枚、モルガンMUFG証券が4094枚、サスケハナ・ホンコンが2951枚、ビーオブエー証券が2812枚、BNPパリバ証券が2449枚、シティグループ証券が1704枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、1-3月期米GDP速報値、4月ADP全米雇用報告、3月米PCEデフレーターなどを見極める展開となる。
1-3月期米GDP速報値は、前期比年率+0.2%と予想されており、前期の同比+2.4%からの大幅減速が見込まれている。4月29日時点のアトランタ連銀の予測モデル「GDPナウ」は▲2.9%となっており、マイナス成長に落ち込むネガティブサプライズに警戒しておきたい。
もし、米国の1-3月期GDPがマイナスとなり、4-6月期もマイナスだった場合、関税スタグフレーションからリセッション(景気後退)へ陥る可能性が高まることで、米連邦公開市場委員会(FOMC)での早期利下げ観測が高まることになる。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示している今年の追加利下げ時期は、6月米連邦公開市場委員会(FOMC)(▲0.25%=4.00-25%)と見込まれており、年内4回の利下げで12月のFF金利誘導目標は3.25-50%と見込まれている。
米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視しているPCEデフレーターの3月分は、前年比+2.2%と予想されており、2月の同比+2.5%からの伸び率鈍化が見込まれている。
予想通りに米国のインフレ率の低下が確認された場合、FOMCでの早期利下げ観測が高まることになる。
4月ADP全米雇用報告は、週末に発表される4月雇用統計の前哨戦となるため、要注目となる。
昨日発表された4月の消費者信頼感指数での労働市場格差に関する指数は15.1となり、3月の17.5から縮小し、4月の労働市場の悪化が示唆された。
また、本日は、米財務省が国債発行計画を公表することで、6月の米国債の大量償還や政府効率化省(DOGE)による歳出削減計画の影響などに注目しておきたい。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、143.89円(4/28高値)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、141.49円(4/23安値)
今晩は経済指標に注目。昨日はラトニック米商務長官やトランプ大統領などの発言を受けて貿易交渉進展期待が高まり主要3指数がそろって上昇。ダウ平均が300.03ドル高(+0.75%)、S&P500が0.58%高とともに6営業日続伸した。前日に5営業日ぶりに小幅反落したナスダック総合も0.55%高と反発した。4月2日にトランプ大統領が「相互関税」を発表して以来急落した米国株は足もとで下落幅を急速に縮小し、月初来ではダウ平均が3.51%安、S&P500が0.91%安となり、ナスダック総合は0.94%高とプラス圏となった。
今晩の取引では貿易問題で最悪期を脱したとの見方が引き続き支援となることが期待されるが、昨日までダウ平均とS&P500が6営業日続伸したことで、上値も重い展開か。トランプ関税による景気後退懸念が高まる中、昨日発表された4月消費者信頼感指数や3月JOLTS求人件数はともに前月から悪化し、市場予想も下回った。今晩は1-3月期GDP速報値が発表されるほか、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として注視する3月個人消費支出 (PCE)価格指数も発表予定で、足もとの景気動向や物価動向が焦点となりそうだ。
今晩の米経済指標は1-3月期GDP速報値、3月個人消費支出 (PCE)価格指数のほか、4月ADP 民間部門雇用者数、4月シカゴ地区購買部協会景気指数、3月中古住宅販売仮契約指数、EIA週間原油在庫など。企業決算は寄り前にキャタピラー、ウエスタン・デジタル、引け後にメタ、マイクロソフト、クアルコムなどが発表予定。
日経平均株価は5日続伸。高値と安値のレンジは限定的だったが、底堅く推移し終値で36000円台を回復した。
RSI(9日)は前日の73.9%→83.7%(4/30)に上昇。あすは上昇継続のハードルが高くなるが、短期的な相場の見方に大きな変化はない。直近高値更新が続いており、4/7安値(30792円)を起点とした目先波動は上昇継続の判断となる。
次は50日移動平均線(36285円 4/30)や3/31の下落で形成したマド埋め(36864円 同)がターゲットになる。
一方、25日移動平均線(34790円 同)は依然として下向きが続いており、上方向には伸び悩む動きにつながりやすいほか、心理的節目36000円前後からの揺り戻しの調整シナリオも想定できる。
上値メドは、50日移動平均線、3/28安値(36864円)、心理的節目の37000円、75日移動平均線(37226円 同)、100日移動平均線(37747円 同)などがある。下値メドは、5日移動平均線(35499円 同)、心理的節目の35000円、25日移動平均線、心理的節目の34500円、4/22高値(34340円)、心理的節目の34000円などがある。
(30日終値:1日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=142.84円(30日15時時点比△0.34円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.98円(▲0.14円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1345ドル(▲0.0037ドル)
FTSE100種総合株価指数:8494.85(前営業日比△31.39)
ドイツ株式指数(DAX):22496.98(△71.15)
10年物英国債利回り:4.441%(▲0.039%)
10年物独国債利回り:2.444%(▲0.053%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
1-3月期仏国内総生産(GDP)速報値
(前期比) 0.1% ▲0.1%
4月独輸入物価指数
(前月比) ▲1.0% 0.3%
4月独小売売上高
(前月比) ▲0.2% 0.2%・改
4月英ネーションワイド住宅価格
前月比 ▲0.6% 0.0%
4月仏消費者物価指数(CPI)速報値
(前月比) 0.5% 0.2%
1-3月期独国内総生産(GDP)速報値(季節調整済)
(前期比) 0.2% ▲0.2%
1-3月期ユーロ圏域内総生産(GDP)速報値
(前期比) 0.4% 0.2%
(前年比) 1.2% 1.2%
4月独消費者物価指数(CPI)速報値
(前月比) 0.4% 0.3%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は伸び悩み。英FTSE100指数が13日続伸したほか、独DAX指数が7日続伸するなど、欧州株相場が底堅く推移するとリスク・オンの円売り・ドル買いが先行。前日の高値142.76円を上抜けて一時143.15円まで上値を伸ばした。
ただ、NYの取引時間帯に入ると上値が重くなった。4月ADP全米雇用報告で政府部門を除く非農業部門雇用者数が6.2万人増と予想の11.5万人増を下回ったほか、1-3月期米国内総生産(GDP)速報値が年率換算で前期比0.3%減と予想の0.2%増を下回り、約3年ぶりにマイナス成長に陥ったことを受けた。月末のロンドン16時(日本時間24時)のフィキシングに絡んだドル売りのフローが観測されると一時142.52円付近まで下押しした。
なお、米経済活動の3分の2超を占める個人消費は前期比年率1.8%増と予想の1.2%増を上回り、米連邦準備理事会(FRB)が物価の目安として注目する食料とエネルギーを除くコア個人消費支出(PCE)指数は前期比年率3.5%上昇と予想の3.2%上昇を上回った。
・ユーロドルは上値の重さが目立った。16時前に1.1399ドルまで上昇したものの、節目の1.1400ドル手前で上昇は一服。NY市場に入ると低調な米経済指標を手掛かりにユーロ買い・ドル売りが入ったほか、ロンドン・フィキシングに絡んだドル売りのフローが観測されたものの、フィキシングを通過したあとは全般ユーロ売りが優勢となり、一時1.1324ドルと日通し安値を更新した
なお、ユーロ豪ドルは一時1.7708豪ドル、ユーロNZドルは1.9100NZドル、ユーロカナダドルは1.5646カナダドル、ユーロスイスフランは0.9330スイスフランまで下落した。
もっとも、24・25日の安値1.1316ドルがサポートとして働くと1.1365ドル付近まで下げ渋った。
・ユーロ円は頭が重かった。日本時間夕刻に一時162.65円と日通し高値を付けたものの、そのあとは弱含む展開に。ダウ平均が一時780ドル超下落するなど、米株式相場が軟調に推移するとリスク回避の円買い・ユーロ売りが先行。フィキシング通過後に全般ユーロ売りが強まると、一時161.71円と日通し安値を更新した。
・ロンドン株式相場は13日続伸。好業績を発表したグラクソスミスクラインなど医薬品株を中心に買いが入った。ユニリーバやブリティッシュ・アメリカン・タバコなど生活必需品株も買われた。ただ、足もとで相場上昇が続いているだけに、短期的な過熱感から利益確定目的の売りが出ると下げに転じる場面もあった。リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株が売られたことも相場の上値を抑えた。
・フランクフルト株式相場は7日続伸。米国株相場の下落につれた売りが出ると下げに転じる場面もあったが、月末を迎えて機関投資家のリバランス(資産配分の調整)に伴う買いが入ると持ち直した。個別ではドイツ証券取引所(3.73%高)やラインメタル(3.13%高)、ボノビア(2.81%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は上昇した。
30日の日経平均は5日続伸。終値は205円高の36045円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり923/値下がり650。3Dインベストメントの大量保有が判明したスクエニHDや、半導体子会社のスピンオフ上場検討観測が報じられたソニーGが急騰。コナミG、バンナムHD、任天堂なども強く、ゲーム株が買いを集めた。NEC、TDK、TOTO、SMSなどが決算を材料に大幅高。決算と併せて株主還元方針の変更を発表した小松ウオール工業は、買いが殺到してストップ高比例配分となった。
半面、日立、東京メトロ、OLCなどが決算を材料に大幅安。前期の業績と期末配当の見通しを引き下げたニコンが急落した。前期の減配を決定し、今期も減配の見通しを提示した中国電力が後場に崩れて10%を超える下落。休場の間にドル円がやや円高に振れたことから、トヨタやマツダなど自動車株が軟調となった。
日経平均は5日続伸。場中は強弱感が交錯したが、後場に入ると買いに勢いがついた。節目近辺でもたつくと天井感が意識されるだけに、終値で36000円を上回ったことはポジティブ。13週線(36650円、30日時点)が射程圏内に入ってきており、これを早々に上回ることができるかが目先の焦点となる。
あすは日銀金融政策決定会合の結果を消化する。現状維持が濃厚とみられているが、それでも発表前後の指数の振れ幅が大きくなる可能性がある点には留意したい。今回の注目は引け後の植田総裁の会見となる。今の時点で利上げ打ち止めを示唆することはないだろうが、当分利上げが難しそうとの見方が強まれば、金融株以外の銘柄にはプラスの影響が見込まれる。会合の結果そのものには大きなサプライズはないと思われるだけに、6日続伸に期待したい。
(30日終値)
ドル・円相場:1ドル=143.07円(前営業日比△0.74円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.01円(▲0.07円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1328ドル(▲0.0059ドル)
ダウ工業株30種平均:40669.36ドル(△141.74ドル)
ナスダック総合株価指数:17446.34(▲14.98)
10年物米国債利回り:4.16%(▲0.01%)
WTI原油先物6月限:1バレル=58.21ドル(▲2.21ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3319.1ドル(▲14.5ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
MBA住宅ローン申請指数
(前週比) ▲4.2% ▲12.7%
4月ADP全米雇用報告
6.2万人 14.7万人・改
1-3月期米雇用コスト指数
(前期比) 0.9% 0.9%
1-3月期米国内総生産(GDP)速報値
(前期比年率)▲0.3% 2.4%
個人消費速報値
(前期比年率) 1.8% 4.0%
コアPCE速報値
(前期比年率) 3.5% 2.6%
4月米シカゴ購買部協会景気指数
44.6 47.6
3月米個人所得
(前月比) 0.5% 0.7%・改
3月米個人消費支出(PCE)
(前月比) 0.7% 0.5%・改
3月PCEデフレーター
(前年比) 2.3% 2.7%・改
3月PCEコアデフレーター
(前月比) 0.0% 0.5%・改
(前年比) 2.6% 3.0%・改
3月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数)
(前月比) 6.1% 2.1%・改
(前年比) ▲0.1% ▲7.0%・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は続伸。英・独株価指数が約1カ月ぶりの高値を更新するなど、欧州株相場が底堅く推移する中、欧州市場序盤に一時143.15円まで上昇した。
NYの取引時間帯に入ると、4月ADP全米雇用報告や1-3月期米国内総生産(GDP)速報値、4月米シカゴ購買部協会景気指数が予想を下回ったことを受けて円買い・ドル売りが先行。月末のロンドン16時(日本時間24時)のフィキシングに絡んだドル売りのフローが観測されると一時142.52円付近まで下押しした。
ただ、「米国は関税問題を巡る交渉を目指し、様々なルートを通じて中国側に積極的に接触を図っている」との中国メディアの報道が伝わると買い戻しが優勢に。一時780ドル超下落したダウ平均が上昇に転じ、200ドル超上昇したことも相場を下支えし、5時30分過ぎには143.19円と日通し高値を付けた。
・ユーロドルは続落。低調な米経済指標が相次いだことを受けてユーロ買い・ドル売りが入ったほか、ロンドン・フィキシングに絡んだドル売りのフローが出たものの、上値は重かった。フィキシングを通過したあとは全般ユーロ売りが優勢となり、5時30分前に一時1.1317ドルと日通し安値を更新した。
なお、ユーロ豪ドルは一時1.7672豪ドル、ユーロNZドルは1.9060NZドル、ユーロカナダドルは1.5604カナダドル、ユーロスイスフランは0.9330スイスフランまで下落した。
・ユーロ円は小幅ながら3日続落。1-3月期米GDP速報値が約3年ぶりにマイナス成長に陥ったことを受けて米国株相場が下落するとリスク回避の円買い・ユーロ売りが先行。フィキシング通過後は全般ユーロ安が進んだ流れに沿って一時161.71円と日通し安値を更新した。ただ、ダウ平均が持ち直すなど、米国株相場が底堅く推移すると下げ止まった。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は7日続伸。4月ADP全米雇用報告や1-3月期米GDP速報値が予想を下回り、米経済の減速を懸念した売りが先行すると一時780ドル超下落した。ただ、米連邦準備理事会(FRB)による早期利下げ観測を背景に買いが入ると持ち直した。月末を迎えて機関投資家のリバランス(資産配分の調整)に伴う買いが入ると一時200ドル超上昇した。
一方、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は小反落した。
・米国債券相場で長期ゾーンは小幅ながら7日続伸。1-3月期米GDP速報値は予想を下回ったものの、食料とエネルギーを除くコア個人消費支出(PCE)指数が予想を上回ると売買が交錯。結局、前日終値付近での方向感に乏しい展開が続いた。
・原油先物相場は大幅に3日続落。1-3月期米GDP速報値が前期比年率で約3年ぶりのマイナスに沈み、エネルギー需要減を危惧する見方が広がった。上値重く推移していたなかで一部通信社が、「主要産油国であるサウジアラビアは、さらなる減産による相場の下支えを望まない」と報じた。これをきっかけとして売りに勢いがつき、一時58ドルを割り込む場面もあった。引け水準は、期近限月として2021年3月以来の低い水準を記録した。
・金先物相場は続落。トランプ米政権の貿易政策に対する過度な警戒感が後退するなか、安全資産とされる金への売り圧力が強まり、時間外では3280ドルを割り込む場面があった。その後、米国の経済指標の弱さが目立つと買い戻しが入り、3300ドル台を回復。もっとも、為替でドルが対ユーロなどで強含み、ドル建て金の伸びを鈍らせた。
一部通信社が報じたところによると、「欧州連合(EU)は来週、米国に対して貿易に関する提案を提示する」ようだ。
日経新聞が報じたところによると、「日銀は30-1日に開く金融政策決定会合で、米国の関税政策の影響を踏まえて、2025年度と26年度の実質国内総生産(GDP)の成長率を1月の見通しから下方修正する公算が大きい」ようだ。なお、政策金利は0.50%に据え置く方針。
一部通信社が関係者の話として報じたところによると、「米国とウクライナは天然資源の協定に署名する」ようだ。
30日07:48 トランプ米大統領
「私はFRB議長よりも知識がある」
「FRB議長は良い仕事をしていない」
「通商交渉があまりにも長引けば対価を設定するだけ」
「メディアは物価が上がったと主張しようとしている」
「アメリカの安全を確保するという私の使命を妨げるものは何もない」
30日22:41
「これはバイデン氏の株式市場であり、トランプ市場ではない」
「関税はまもなく発動され、記録的な数の企業が米国に進出し始めている」
「我が国は活況を呈するだろう」
「ただ、バイデン氏の重荷を取り除かなければならない。これにはしばらく時間がかかる」
1日02:39
「カナダとは素晴らしい関係を築けると思う」
「カーニー加首相と昨日電話会談し、合意を結ぼうと言った」
「カーニー加首相は来週、ホワイトハウスを訪れる」
30日10:19 赤沢経済再生相
(日米関税交渉について)
「米国側も納得するものにしないといけない」
「詳細な時間が決まったとの報告は受けていない」
「一歩でも二歩でも前進したい」
※時間は日本時間
<国内>
○未定 ☆ 日銀金融政策決定会合、終了後政策金利発表(予想:0.50%で据え置き)
○未定 ◎ 経済・物価情勢の展望(4月、基本的見解)
○14:00 ◇ 4月消費動向調査(消費者態度指数 一般世帯、予想:33.8)
○15:30 ☆ 植田和男日銀総裁、定例記者会見
<海外>
○10:30 ◇ 1-3月期豪輸入物価指数
○10:30 ◇ 3月豪貿易収支(予想:39.00億豪ドルの黒字)
○15:30 ◇ 3月スイス小売売上高
○17:30 ◎ 4月英製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値(予想:44.0)
○17:30 ◇ 3月英消費者信用残高(予想:12億ポンド)
○17:30 ◇ 3月英マネーサプライM4
○20:30 ◇ 4月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.4万件/186.4万人)
○22:45 ◎ 4月米製造業PMI改定値(予想:50.5)
○23:00 ☆ 4月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:48.0)
○23:00 ◇ 3月米建設支出(予想:前月比0.2%)
○英地方選
○2回目の日米関税協議
○中国(労働節)、香港、シンガポール、韓国、スイス、フランス、ドイツ、ノルウェー、スウェーデン、ポーランド、ロシア、トルコ、南アフリカ、ブラジル、メキシコ(レーバーデー)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
昨日の海外市場でドル円は、英・独株価指数が約1カ月ぶりの高値を更新するなど、欧州株相場が底堅く推移する中、欧州市場序盤に一時143.15円まで上昇した。ロンドンフィキシングに絡んだドル売りのフローが観測されると一時142.52円付近まで下押ししたが、一時780ドル超下落したダウ平均が上昇に転じ、200ドル超上昇したことも相場を下支えし 143.19円まで上値を伸ばした。ユーロドルは、一時1.1317ドルまで弱含んだ。
本日のドル円は、日銀政策決定会合の結果発表と、第2回目となる日米関税交渉が行われる予定となっており、一日を通して大相場になる可能性がある。また、本日は中国、香港、シンガポールなどの主なアジア諸国と、独、仏などの欧州諸国が休場となることで、市場流動性がさらに低下しボラタイルな動きになりやすい。
昨日から行われている日銀政策決定会合について、市場では金融政策などは据え置き予想となっている。植田日銀総裁は世界経済が足もとで不確実性が高まっていることで「情勢を見極め適切な政策運営に努めていく」と述べるなど、早急に金融政策の変更を行う姿勢を見せてはいない。
予想通り据え置きになった場合でも、本日は「展望レポート」も発表し、2027年度までの経済・物価について最新の見通しを示すことで、レポート内容で市場が動意づく可能性もある。本日の日経新聞電子版には「米国の関税政策の影響をふまえ、2025年度と26年度の実質国内総生産(GDP)の前年度比成長率を1月の見通しから下方修正する公算が大きい」と記載されている。更に、「25年度のCPI(除く生鮮食品)の上昇率も2%程度に下方修正する可能性」と報じている。報道の通りの内容になった場合は、次の利上げ観測時期が後退し、円安が進むかもしれない。ただ、警戒しなくてはならないのは、レポート発表後に日米関税交渉が控えていることだ。
28日にベッセント米財務長官は「欧州中央銀行(ECB)は、ユーロを下落させるために利下げを行うだろう」と発言している。ECBをはじめG7各国で金融政策を通貨政策に結び付けようとしている国はないと思われているが、トランプ政権は米国以外の国の低金利政策は自国通貨安・ドル高誘導に結び付けている。低金利政策を継続している日銀についても同様の考えで、レポートが低金利を維持する内容で、ドル高・円安が関税交渉前に進んだ場合は、米政権が日本(日銀)の対応に苦言を呈し、為替についても言及する可能性が高まるか。
日米関税交渉は日本時間2日未明から行うとされているが、過度の進展を期待するのは難しい。先週から米国のトリプル安(株安・債券安・米ドル安)への対応として、トランプ政権が関税に対して柔軟な姿勢を見せ始めている。日本は7月までに参議院選挙が予定されている中で、自民党政権は更なる支持率低下を避けるために、関税交渉を早期に合意決定するのは得策とは思わないだろう。一部では今回の交渉を下地に、6月にカナダで開催されるG7サミットで石破首相とトランプ米大統領が合意を発表するとの予想もあるが、選挙日程を考えると先延ばしになる可能性もありそうだ。ただ、進展がない場合でも、前述のように日銀政策決定会合についての米政権の反応には注意したい。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 36260 +230 (+0.63%)
TOPIX先物 2674.0 +9.5 (+0.35%)
シカゴ日経平均先物 36165 +135
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
30日の米国市場は、NYダウ、 S&P500が上昇した一方で、ナスダックは下落。2025年1~3月期の米実質国内総生産(GDP)速報値が3年ぶりにマイナス成長となったほか、4月のADP雇用統計で非農業部門の雇用者数が市場予想を下回ったことから売りが先行した。だが、GDPの結果を受けて米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が高まったほか、月末のドレッシング買いが入り、NYダウは終盤にかけて切り返した。FRBがインフレ指標として重視する3月の米個人消費支出(PCE)物価指数は予想と一致し、2月から減速している。1-3月期の業績予想を下方修正したスーパー・マイクロ・コンピューター<SMCI>が急落し、ハイテク株の一角に売りが波及した。
S&P500業種別指数は、電気通信サービス、商業サービス・用品、医薬品・バイオテクノロジーが上昇。自動車・同部品、エネルギー、耐久消費財・アパレルの弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>、マクドナルド<MCD>、シャーウィン・ウィリアムズ<SHW>、ウォルマート<WMT>が買われた。半面、シェブロン<CVX>、ナイキ<NKE>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、ハネウェル・インターナショナル<HON>が下落。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比135円高の3万6165円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは、日中比90円高の3万6120円で始まり、3万6050円~3万6160円辺りで保ち合いを継続。米国市場の開始直後に急落し、3万5630円まで売られる場面もみられた。その後は急速に切り返す形から中盤にかけてプラス圏を回復。終盤に上へのバイアスが強まり3万6310円まで上げ幅を広げ、3万6260円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、買い先行で始まりそうだ。ナイトセッションで3万5630円まで売られる場面もみられたが、その後の強い切り返しによりボリンジャーバンドの+1σ(3万6160円)を上抜いてきた。同バンドを捉えたことで、13週移動平均線(3万6520円)や75日線(3万7030円)が意識されてくる。買い一巡後は+1σ水準で強弱感が対立する可能性はあるが、3万6000円を支持線とした押し目狙いのロング対応に向かわせよう。そのため、オプション権利行使価格の3万6000円から3万6500円のレンジを想定。
米国では弱い経済指標の結果を受けて、FRBが早期に利下げを決めるとの観測が相場を支える形になった。日米の関税交渉の進展期待も高まりやすく、ショートを仕掛けづらくさせるとともに、ポジションをニュートラルに近づけてくることでショートカバーが入りやすいと考えられる。
ただし、決算発表が本格化するなか、商船三井 <9104.T> [東証P]が今期6割減益を見込むなど、トランプ関税による影響が表れてきた。三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306.T> [東証P]など上方修正を評価する流れとなればセンチメントを冷ますことはなさそうだが、決算に対する警戒感が高まってくるようだと、押し目狙いのロングも慎重にさせそうだ。
30日の米VIX指数は24.70(29日は24.17)に上昇した。一時28.17まで切り上がる場面もあったが、上ヒゲを残す形状になっている。目先的には75日線(22.35)と25日線(30.08)での推移が意識されよう。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.52倍に低下。銀行や医薬品株の上昇が目立ち、相対的にTOPIX型の優位な状況だった。ただし、一時13.46倍に低下した後は13.53倍と25日線(13.54倍)に接近する場面もみられた。本日は銀行株のほか関税交渉に対する期待から自動車株を買い戻す動きがみられるようだと、ややNTショートに振れやすくなりそうだ。
東京市場はしっかりか。米国株はまちまち。ダウ平均とS&P500が上昇し、ナスダックが下落した。ダウ平均は141ドル高の40669ドルで取引を終えた。序盤に大きく下げた後は持ち直す展開。1-3月期国内総生産(GDP)速報値がマイナス成長となったことを受けて一時700ドル超下落したが、下値では買いが入って終盤にかけて大きく水準を切り上げた。ドル円は足元143円00銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて135円高の36165円、ドル建てが205円高の36235円で取引を終えた。
米国株は3指数とも小動きであったが、引け味は良かった。日本株は売り急ぎが抑制されることで、やや強めの推移を予想する。本日は日銀金融政策決定会合の結果が発表されるが、現状維持が確実視されており、波乱の可能性は低い。結果発表直後は指数の値動きが荒くなる可能性はあるものの、上でも下でも振れ幅が大きくなれば修正が入るとみる。終盤にかけては植田総裁の会見を前に動意が限られるだろう。日経平均の予想レンジは35950円-36250円。
1日の香港株式市場はメーデーにつき休場。取引は明日2日から再開される。
1日(木)の本土市場は労働節の連休につき休場。取引は5月2日(金)から再開される。
日経225先物は11時30分時点、前日比240円高の3万6270円(+0.66%)前後で推移。寄り付きは3万6230円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万6165円)を上回る形で、買い先行から始まった。現物の寄り付き直後には3万6350円まで上げ幅を広げた。買い一巡後は利益確定に伴うロング解消や短期的なショートの動きが入り、中盤にかけて3万6070円まで上げ幅を縮める場面もみられた。ただし、3万6000円接近では押し目待ち狙いのロングが入るなか、終盤にかけてはショートカバーを誘う形によって切り返している。
日経225先物は一時3万6070円まで上げ幅を縮めたものの、その後の切り返しによりボリンジャーバンドの+1σ(3万6160円)を上回っての推移をみせているため、ショートを仕掛けづらくさせている。積極的なロングは限られるものの、朝方につけた3万6350円を捉えてくるようだと、ショートカバーを強めてくる可能性はありそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.57倍に上昇。25日移動平均線(13.54倍)を上回ってきた。不安定な値動きが続いていたアドバンテスト<6857.T>[東証P]が6%を超える上昇で日経平均型を牽引。一方で、海運株が引き続き弱い値動きのほか、銀行株の下げがTOPIX型の重荷になっている。
日銀金融政策決定会合がほぼほぼ市場が予想していた12時過ぎという時間帯に、市場予想通りに政策の据置きを決定。その事実自身には、前回と違って発表時間への配慮という市場との対話への努力が見受けられた以外の成果は何も見受けられませんでしたが、一方で、展望レポートに記されていた物価予想は、1月のそれからは約1年の目標達成時期の後ろ倒しとあって、当然のごとく、ドル円の買い戻しを余儀なくされているといったところです。
1月の展望レポートでは「2024年度に前年比2%台後半、2025年度に2%台半ば、2026年度に概ね2%に達する見込み」としていた物価見通しが、今回は「2025年度に2%台前半、2026年度は1%台後半、2027年度は2%程度と予想」という内容。いわゆるトランプ関税の今後の展開や影響を巡る「不確実性が極めて高い」という理由でしたが、「あわよくば利上げも」と期待していた向きにとっては、かなりの失望感を与えることになっています。
いずれにしても、ドル円については、何度もお伝えしている通り、市場のショートポジションの持高が史上最高をまだまだ更新中といった状況のなか、アンワインディングの大きなきっかけとなる可能性もあって、かかる後ろ倒しの理由などを見極めるべく、植田日銀総裁の発言を待つことになっています。
東海東京インテリジェンス・ラボでは金に関して、中長期的な価格上昇が続くと予想している。「トランプ関税」に対する過度な懸念が後退した後も、世界的な景気への影響が遅れて深刻化し、米国や中国などが利下げ再開に踏み切る可能性があると指摘。その場合、利息の付かない金の投資需要が高まる可能性があるとみている。また、各国の中央銀行による金需要が旺盛なことも、金価格上昇のサポート要因になる可能性が高いと考えている。
本日のロンドン為替市場では、独・仏などが休場のため市場参加者の減少が予想される中、序盤は植田日銀総裁の会見を眺めながら円相場中心の値動きとなりそうだ。
日銀は昨日から今日にかけて開催した金融政策決定会合で、市場予想通り政策金利を据え置いた。しかし、同時に発表された展望リポートでは、2025年のCPIやGDP見通しが1月時点より引き下げられた。直後の市場は円売りでの反応を示すと、ドル円やクロス円は上昇。他方、ユーロドルやポンドドルはドル買いの影響を受けて弱含んだ。
まずは、15時30分から始まる植田総裁の定例会見に注目したい。声明では「わが国企業の収益なども下押しされるもとで成長ペースは鈍化」「(リスク要因)とくに各国の通商政策等の今後の展開やその影響を受けた海外の経済・物価動向を巡り不確実性」などが明らかとなるも、「経済・物価の見通し実現なら、引き続き金利引き上げ」「現在の実質金利、極めて低い水準にある」ともしている。トランプ関税を受けた景気・金利見通しについてどのような見解を示すか、利上げスタンスを維持するかなど、大いに気になるところだ。利上げ見通しが後ろ倒しになるとの印象が強まる会見となれば、ドル円主導で欧州通貨が振り回される展開もあるだろう。
日銀総裁の会見を消化した後、欧州時間に予定されている経済イベントは英4月製造業購買担当者景気指数(PMI)くらいと少なめ。今回は改定値ということもあり、市場に与える影響は限られる見通し。また、主だった要人発言も予定されていないため、様子見ムードが漂うことも想定される。
そうした中、関税関連の発言、特に米中の貿易摩擦を想起させる発言などが伝われば、市場は過敏に反応することが予想される点には注意が必要だろう。その場合、ドル主導で欧州通貨が上下させられることも考えられる。
他方、NY市場では4月チャレンジャー人員削減数や新規失業保険申請件数など雇用関連をはじめ、4月ISM製造業景況指数といった重要指標の発表が相次ぐ。対円の視点では、日本時間2日未明から行うとされている日米関税交渉の行方も見逃せない。これらへの反応に備えておきたい。
想定レンジ上限
・ポンドドル:4月28日高値1.3444ドル
・ポンド円:4月25日高値191.73円
想定レンジ下限
・ポンドドル:4月23日安値1.3234ドル。
・ポンド円:21日移動平均線189.34円
ドル円:1ドル=144.05円(前営業日NY終値比△0.98円)
ユーロ円:1ユーロ=162.79円(△0.78円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1299ドル(▲0.0029ドル)
日経平均株価:36452.30円(前営業日比△406.92円)
東証株価指数(TOPIX):2679.44(△12.15)
債券先物6月物:141.17円(△0.52円)
新発10年物国債利回り:1.270%(▲0.040%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
日銀金融政策決定会合(日銀金融市場調節目標)
政策金利 0.50% 0.50%
4月消費動向調査(消費者態度指数、一般世帯)
31.2 34.1
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は堅調。朝方から143.00円を挟んだ水準で底堅く推移していたが、日銀金融政策決定会合の結果公表後に買いが強まった。日銀は政策金利を予想通りに0.50%で据え置いたが、同時に公表した4月の展望レポートで経済成長率や物価見通しを前回(1月)から下方修正した。日銀が早期の利上げには動かないとの見方から円売りが進み、一時144.29円まで値を上げた。
・ユーロ円も堅調。日銀の金融政策公表後に円売りが強まった流れに沿って、一時163.17円まで上値を伸ばした。
・ユーロドルは弱含み。対円や対豪ドルなどでユーロ売りが進んだ影響を受けた。14時30分過ぎには1.1288ドルまで下押す場面も見られた。
・日経平均株価は6日続伸。前日のダウ平均とS&P500の上昇を好感した買いが先行した。日銀がこの日公表した展望レポートで経済・物価見通しを引き下げたため、追加利上げが遠のいたとの思惑が広がったことも相場を下支え。指数は500円近く上昇する場面もあった。
・債券先物相場は3日続伸。日銀の早期利上げ観測が後退したことを受けて債券買いが進んだ。新発10年物国債利回りは一時1.260%まで低下した。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
市場は米中雪解け期待も、中国経済が直面するハードルは高い
市場は一段の内需喚起に期待するも、統計の信頼性や人民元相場を勘案すれば過度な期待は禁物
米トランプ政権の関税政策を巡る不透明感は世界経済と金融市場を揺るがすなか、米中間の貿易戦争は激化の様相をみせてきた。金融市場の混乱に加え、実体経済への悪影響が懸念されるなか、米国の対中姿勢に軟化の兆しがみられるほか、他国との個別協議が進展するとの期待も高まっている。こうした動きを受けて、足元の金融市場では最悪の事態が回避されるとの見方が広がりをみせている。
一方、足元の中国ではトランプ関税の影響が顕在化している。4月の製造業PMIは49.0に悪化しており、新規受注や生産の減少に加え、雇用調整の動きがみられる。財新製造業PMIは50.4と50を上回る水準を維持したが、内需下支え策が効果をみせるも、外需の悪化を完全に補うには至っていない。さらに、非製造業PMIも50.4と50を上回る水準を維持したが、内・外需ともに新規受注が大きく下振れしている。こうした状況を勘案すれば、足元の中国経済は総じて不透明感が急速に高まっていると捉えられる。
1-3月のGDPは堅調な動きが確認されたが、足元の企業マインドの悪化は景気への不透明感が急速に高まっていることを示唆している。金融市場は当局による景気下支え策を期待するも、統計の信頼性に対する懸念に加え、人民元相場の安定を目指すなかで大規模な金融緩和は期待しにくい。よって、中国経済の先行きに対して過度な期待を抱くことは難しいのが実情であろう。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
メキシコは景気後退回避も、トランプ関税に揺さぶられる展開は続く
製造業やサービス業を取り巻く環境は急速に悪化、ペソ相場の行方も見通しが立ちにくい展開
メキシコ経済は米国経済への依存度が高い特徴を有する。米トランプ政権は関税を材料に取引を持ち掛け、メキシコを標的に追加関税を課す姿勢をみせた。その後の両国の協議を通じてUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の対象財は追加関税の対象から除外されるなど、最悪の事態は回避されている。しかし、先月にはUSMCAの対象財以外や自動車、鉄鋼製品、アルミ製品に追加関税が課せられており、外需への悪影響は避けられない。
昨年末にかけてメキシコの景気にブレーキが掛かる動きがみられたが、1-3月の実質GDP成長率は前期比年率+0.63%となるなど景気後退局面入りは回避されている。しかし、トランプ関税の余波を受ける形で製造業の生産は低迷し、米国の雇用環境を巡る変化や金融環境の引き締まりも影響してサービス業の生産も頭打ちしている。結果、足元の景気は農林漁業や鉱業に支えられるなど不透明な状況にある。
先行きもトランプ関税が同国経済や物価に影響を与えることが懸念されるなか、中銀は難しい政策対応を迫られる展開が続くと見込まれる。足元のペソ相場は米ドル安を反映して底入れしているが、米ドル相場の動向に揺さぶられるとともに、円に対しては米ドル/円相場が上値を抑える可能性に注意が必要である。
「マイナス成長はバイデンのせいだ、トランプのせいではない。なぜなら私たちは1月に就任したばかりだからだ」(トランプ米大統領)
1.1-3月期国内総生産(GDP)速報値:前期比年率▲0.3%
米国の1-3月期GDP速報値は前期比年率▲0.3%となり、2022年以来のマイナス成長となった。
・個人消費:+1.8%(23年第2四半期以来の低い伸び)
・政府支出:-1.4%(連邦政府支出削減や国防支出8%減)
・貿易赤字:過去最大規模(GDP押し下げ効果4.83%)
・輸入:+41.3%(消費財と資本財の双方が増加)
・輸出:+1.8%
トランプ米大統領は、かつて「年内のリセッション入りを予想するのは嫌いだ。われわれが行っていることは非常に大きいので、過渡期がある」と述べ、米国経済が今年縮小してリセッション(景気後退)入りする可能性を排除しなかった。
2. 関税スタグフレーションのリスク
トランプ関税は、輸入品価格の高騰により、物価上昇圧力を高めることになる。
トランプ減税の延長は、購買力の高まりにより、物価上昇圧力を高めることになる。
米国のピーターソン国際経済研究所によれば、トランプ関税のコストは米国内総生産(GDP)の1.8%となり、第1次トランプ米政権での米中貿易戦争でのコスト0.4%を大幅に上回るとのことで、貿易戦争での勝者はいない。
米国の2025年1-3月期の国内総生産(GDP)は29.9776兆ドルだったので、コストは5400億ドル程度となる。
3.サーム・ルール(Sahm Rule)
米連邦準備理事会(FRB)の元エコノミストであるクローディア・サーム博士が提唱したもので、失業率の「3ヵ月移動平均」と「過去1年間の最低水準」の差が0.5%以上上昇した場合、1年以内にリセッション入りするとの説である。
1949年以来の12回のリセッションを的確に予告してきた。
2024年7月は0.53%へ上昇しており、景気後退入りの「炭鉱のカナリア」が鳴き止んだ。
サーム氏は7月雇用統計発表後に、「米国はリセッションに陥っていないが、良い方向には向かっていない」と述べた。しかし、2024年8月以降、0.50%を下回っている。
2024年7月から1年以内とは、2025年6月までのリセッション入りを警告していたことになる。
大阪6月限
日経225先物 36550 +520 (+1.44%)
TOPIX先物 2684.0 +19.5 (+0.73%)
日経225先物(6月限)は前日比520円高の3万6550円で取引を終了。寄り付きは3万6230円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万6165円)を上回る形で買い先行が先行し、現物の寄り付き直後には3万6350円まで上げ幅を広げた。買い一巡後は利益確定に伴うロング解消や短期的なショートが入り、前場中盤に3万6070円まで上げ幅を縮める場面もみられた。ただし、3万6000円接近では押し目待ち狙いのロングが入るなか、前場終盤にかけてはショートカバーを誘う形によって切り返している。
日銀はランチタイムに金融政策決定会合の結果と展望レポートを公表。政策金利は0.5%程度を維持し市場予想通りだった。一方で、2025年度の実質国内総生産(GDP)と消費者物価(CPI)の上昇率を引き下げたことで、利上げ時期が遠のくとの見方に向かわせた。
これを受け、為替市場では円相場が1ドル=144円台と円安に振れるなか、日経225先物は現物の後場の取引開始時に朝方につけた高値に顔合わせした。さらに同水準を上抜けるとショートカバーとみられる動きが強まり、終盤にかけて3万6570円まで上げ幅を広げた。
日経225先物は13週移動平均線(3万6550円)を捉えてきた。連休前で積極的なロングは入りにくいが、同線を終値で上回ってくると、ショートカバーがさらに強まりやすいだろう。75日線が位置する3万7000円が射程に入ってくる。
米国では30日の取引終了後に決算を発表したマイクロソフト<MSFT>やメタ・プラットフォームズ<META>が時間外取引で急伸している。東京市場では織り込み済みではあるが、米国市場で好感した動きが他のハイテク株に広がるようだと、改めてセンチメントを明るくさせそうだ。
赤沢亮正経済財政再生相は日本時間2日午前、ベッセント米財務長官らと関税を巡る2回目の協議を行う予定である。楽観は禁物だが、前回の協議では両国の良好な関係を確認している。交渉の進展に関心が集まり、関連する報道がアルゴリズム発動のトリガーになる可能性もありそうだ。そのため、ショート筋はポジションを圧縮しておきたいところであろう。
NT倍率は先物中心限月で13.61倍に上昇。25日線(13.55倍)を明確に上回ってきた。不安定な値動きが続いていたアドバンテスト<6857.T>[東証P]が6%を超える上昇で日経平均型を牽引。一方で、海運株が引き続き弱い値動きのほか、日銀会合の結果判明後は銀行株の弱さが目立ち、TOPIX型の重荷になっている。東証プライムの値下がり数は6割を占めており、日経平均型のインデックス買いのインパクトが大きい。NTショートを巻き戻す流れが強まる可能性はありそうだ。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万8619枚、ソシエテジェネラル証券が1万4342枚、モルガンMUFG証券が4566枚、サスケハナ・ホンコンが4074枚、ゴールドマン証券が2532枚、バークレイズ証券が2108枚、JPモルガン証券が2056枚、日産証券が1623枚、野村証券が1412枚、SBI証券が1393枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が2万2150枚、ソシエテジェネラル証券が1万9372枚、ゴールドマン証券が5969枚、バークレイズ証券が5117枚、モルガンMUFG証券が3865枚、JPモルガン証券が3048枚、ドイツ証券が2176枚、サスケハナ・ホンコンが1904枚、大和証券が1643枚、ビーオブエー証券が1586枚だった。
日銀は1日発表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、2025年度の消費者物価指数(CPI、除く生鮮食品)見通しを+2.2%(1月は+2.4%)、26年度を+1.7%(1月は+2.0%)、27年度を+1.9%とした。
また、2025年度の実質国内総生産(GDP)見通しを+0.5%(1月は+1.1%)、26年度を+0.7%(1月は+1.0%)、27年度を+1.0%とした。
当面の金融政策運営について
日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した (全員一致)。
無担保コールレート(オーバーナイト物) を、0.5%程度で推移するよう促す。
日銀HPより
【基本的見解】
●先行きのわが国経済を展望すると、各国の通商政策等の影響を受けて、海外経済が減速し、わが国企業の収益なども下押しされるもとで、緩和的な金融環境などが下支え要因として作用するものの、成長ペースは鈍化すると考えられる。その後については、海外経済が緩やかな成長経路に復していくもとで、成長率を高めていくと見込まれる。
●物価の先行きを展望すると、消費者物価 (除く生鮮食品) の前年比は、2025年度に2%台前半となったあと、2026年度は1%台後半、2027年度は2%程度となると予想される。これまで物価上昇率を押し上げてきた既往の輸入物価上昇やこのところの米などの食料品価格上昇の影響は減衰していくと考えられる。この間、消費者物価の基調的な上昇率は、成長ペース鈍化などの影響を受けて伸び悩むものの、その後は成長率が高まるもとで人手不足感が強まり、 中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。
●2026年度までの見通しを前回の見通しと比べると、 成長率については、2024年度は幾分上振れているが、 2025年度と2026年度は、各国の通商政策等の影響を受けて下振れている。消費者物価 (除く生鮮食品) の前年比については、2025年度と2026年度は、原油価格の下落や今後の成長ペース下振れの影響などから下振れている。
●リスク要因としては様々なものがあるが、とくに、各国の通商政策等の今後の展開やその影響を受けた海外の経済・物価動向を巡る不確実性はきわめて高く、その金融・ 為替 市場やわが国経済・物価への影響については、十分注視する必要がある。
●リスクバランスをみると、 経済の見通しについては、2025年度と2026年度は下振れリスクの方が大きい。 物価の見通しについても、 2025年度と2026年度は下振れリスクの方が大きい。
(日銀HPより抜粋)
本日のNY為替市場のドル円は、米国の経済指標(新規失業保険申請件数、4月米製造業PMI改定値、4月米ISM製造業景気指数)などを見極めた後は、第2回日米貿易交渉を待つ展開となる。
4月米企業の人員削減数、前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数、4月米製造業PMI改定値、4月米ISM製造業景気指数などでは、1-3月期国内総生産(GDP)がマイナス成長に陥った後の米国の景況感、物価、雇用情勢を見極めることになる。
最近の米国の経済指標は、雇用、景況感の悪化と物価の上昇という関税スタグフレーションへの警戒感を高めており、本日の経済指標でも4-6月期GDPが2期連続のマイナス成長となるのか否かを念頭に注視していくことになる。
関税スタグフレーションが確認された場合、2大責務を抱える米連邦準備理事会(FRB)は、インフレを抑制するのか、労働市場への影響を最小限に抑えるのか、トランプ米大統領による利下げ圧力の下での金融政策の舵取りが難しくなる。
第2回日米貿易交渉では、先日ベッセント米財務長官が「日本は、夏の参院選前に米国との貿易協定の枠組みの策定を望んでいる」と述べていたことで、7月9日に予定されている相互関税発動や7月20日に投開票が予定されている参議院選挙などの日程を睨んだ交渉が行われていくのかもしれない。
また、日銀に利上げを促していたベッセント米財務長官による、本日の据え置き決定へや円安基調への見解にも注目しておきたい。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示している今年の追加利下げ時期は、6月米連邦公開市場委員会(FOMC)(▲0.25%=4.00-25%)と見込まれており、7月、9月、12月と年内4回の利下げで12月のFF金利誘導目標は3.25-50%と見込まれている。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、145.55円(日足一目均衡表・基準線)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、141.96円(日足一目均衡表・転換線)
今晩はハイテク株を中心に堅調か。昨日は第1四半期の国内総生産(GDP)速報値が予想に反してマイナス成長となったことで景気後退懸念が強まり大幅安でスタートしたが、トランプ関税導入を前に輸入が急増したことがGDP減速の主因と捉えられたことで過度な警戒感が緩和し、取引終盤に買戻しが強まった。ダウ平均は2%近く急落後、141.74ドル高(+0.35%)で終了し、S&P500も2%超下落後、0.15%高で終了しともに、7営業日続伸となった。一方、ハイテク株主体のナスダック総合は2.87%安まで下落後、0.09%安とわずかにマイナス圏で終了した。4月月間ではダウ平均が1332.40ドル安(-3.17%)、S&P500が0.76%安とともに3カ月続落となった一方、ナスダック総合は0.85%高と3カ月ぶりに反落した。S&P500はトラン大統領が「相互関税」を発表した4月2日以降売りが強まり一時11%超下落し、2月に付けた史上最高値から20%近く下落したが、関税への過度な警戒感が後退し、下旬に下落幅を大幅に縮小した。引け後の動きでは、1-3月期の売上高と利益がともに市場予想を上回ったマイクロソフトが時間外で約7%上昇し、メタ・プラットフォームズも第1四半期決算が予想を上回ったほか、AI向けデータセンターのために通期の設備投資計画を引き上げたことも好感され時間外で5%超上昇した。メタの発表を受けてエヌビディアも時間外で約4%上昇した。
5月入りとなる今晩の取引ではマイクロソフト、メタ・プラットフォームズ、エヌビディアの大幅高が見込まれ、ハイテク株を中心に堅調な展開か。貿易問題で進展が期待されることも追い風となりそうだ。経済指標では週間新規失業保険申請件数や4月ISM製造業購買担当者景気指数 (PMI)が発表予定で、足もとの雇用や景況感に要注目となる。
今晩の米経済指標は新規失業保険申請件数、4月ISM製造業PMIのほか、4月チャレンジャー企業人員削減数、4月S&Pグローバル製造業PMI確定値など。企業決算は寄り前にマクドナルド、イーライ・リリー、CVSヘルス、モデルナ、引け後にアップル、アマゾンなどが発表予定。
日経平均株価は6日続伸。買い先行から上値を試す展開となり、一時は36500円を上回る場面があった。終値ベースで50日移動平均線(36231円 5/1)を上回る陽線を形成した。
RSI(9日)は前日の83.7%→83.5%(5/1)に横ばい。あすも上昇のハードルは高くなるが、短期的な相場の見方に大きな変化はない。直近高値更新が続いており、4/7安値(30792円)を起点とした目先波動は上昇継続の判断となる。
次は3/31の下落で形成したマド埋め(36864円 同)や75日移動平均線(37184円 同)がターゲットになる。
一方、25日移動平均線(34727円 同)は依然として下向きが続いているほか、あすから目先的に基準線(34506円 同)が下向きに変化するタイミングにくることで、上方向には伸び悩む動きにつながりやすいほか、揺り戻しの調整シナリオも想定できる。
上値メドは、3/28安値(36864円)、心理的節目の37000円、75日移動平均線、心理的節目の37500円、100日移動平均線(37730円 同)などがある。下値メドは、5日移動平均線(35816円 同)、10日移動平均線(35155円 同)、心理的節目の35000円、25日移動平均線、心理的節目の34500円、4/22高値(34340円)などがある。
(1日終値:2日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=145.54円(1日15時時点比△1.49円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=164.21円(△1.42円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1282ドル(▲0.0017ドル)
FTSE100種総合株価指数:8496.80(前営業日比△1.95)
ドイツ株式指数(DAX):休場
10年物英国債利回り:4.481%(△0.040%)
10年物独国債利回り:休場
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月スイス小売売上高 (前年同月比)
2.2% 1.2%・改
4月英製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値
45.4 44.0
3月英消費者信用残高
9億ポンド 13億ポンド・改
3月英マネーサプライM4
(前月比) 0.3% 0.2%
(前年比) 3.4% 3.9%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円はしっかり。ドイツやフランスなど欧州各国がレーバーデーで休場となる中、しばらくは144円台前半でのもみ合いが続いた。ただ、NYの取引時間帯に入ると上値を試す展開に。日銀金融政策決定会合の結果や植田和男日銀総裁の記者会見の内容を受けて、日銀が追加利上げに慎重との見方が広がる中、全般円売りが出やすい地合いとなった。4月米ISM製造業景況指数が48.7と予想の48.0を上回るとドル買いも活発化し、一時145.73円と4月10日以来の高値を付けた。ダウ平均が一時430ドル超上昇するなど、米国株相場が堅調に推移していることも相場の支援材料。
なお、ナイト・セッションの日経平均先物は大証終値比520円高の3万7070円まで上昇した。
・ユーロドルは上値が重かった。米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.11%台まで低下するとユーロ買い・ドル売りが先行。一時1.1341ドルと日通し高値を付けた。ただ、買い一巡後は徐々に弱含んだ。予想を上回る米ISM製造業景況指数をきっかけに全般ドル買いが進行すると一時1.1266ドルと日通し安値を更新した。米10年債利回りが4.23%台まで上昇したことも相場の重し。
ハセット米国家経済会議(NEC)委員長はこの日、「関税に関する何らかのニュースが本日中にあるだろう」と述べたほか、「中国との通商交渉は順調に進んでいる」などと発言。米国と貿易相手との関税を巡る交渉が進展するとの期待もドル買いを誘った。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時100.38まで上昇した。
・ユーロ円は堅調。日銀の早期利上げ観測の後退を背景に全般円売りが進行。関税を巡る交渉の進展期待や予想を上回る米指標などを受けて、日米株価指数が上昇したことも相場の押し上げ要因。3時過ぎには一時164.34円と本日高値を更新した。
ユーロ円以外のクロス円も堅調だった。ポンド円は一時193.37円、豪ドル円は92.89円、NZドル円は85.98円、カナダドル円は105.19円、南アフリカランド円は7.85円、メキシコペソ円は7.43円まで値を上げた。
・ロンドン株式相場は小幅ながら14日続伸。ロールス・ロイス・ホールディングスなど好業績を発表した銘柄を中心に買いが入った。セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株も値上がりした。ただ、足もとで相場上昇が続いているだけに、短期的な過熱感から利益確定目的の売りが出ると下げに転じる場面もあった。
・フランクフルト株式相場はレーバーデーのため休場となった。
・欧州債券相場で英国債は下落した。
5月1日の日経平均は大幅に6日続伸。終値は406円高の36452円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり590/値下がり988。米国で決算を発表したマイクロソフトやメタが時間外で買われたことを手がかりに、アドバンテストやディスコなど半導体株の多くが大幅上昇。フジクラ、日立、リクルート、任天堂などグロース系の銘柄に強い買いが入った。業績関連のリリースを材料にJR東海やHOYAが急伸。北海道電力やBIPROGYはストップ高まで買われており、配当性向の引き上げなどを発表したストライクはストップ高比例配分となった。
半面、半導体株の多くが買われる中、決算を発表した東京エレクトロンは小幅な下落。日銀会合の結果発表後に三菱UFJや三井住友など銀行株が売りに押された。商船三井が連日の大幅安となっており、海運株が全般軟調。業績関連のリリースで関西電力や大塚商会が大きく売られており、今期が大幅減益見込みとなった村田製作所が12.8%安と急落した。
日経平均は日銀会合を消化して大幅高。6日続伸かつ、そのいずれも3桁の上昇と強い動きが続いた。あすは米4月雇用統計の発表前で、東京市場は来週月曜と火曜が休場となる。それでも、6日続伸する中で2000円超水準を切り上げているだけに、売り急ぎは抑制されるだろう。日銀会合の結果が出て以降、ドル円が円安に振れている。この流れが継続するなら大型外需には支援材料となる。本日の米国でマイクロソフトやメタが上昇するであろうことは織り込みが進んでいるが、先回りで買われた半導体株が反動売りに押されなければ、連休前にもう一段上を試す展開も期待できる。
(1日終値)
ドル・円相場:1ドル=145.39円(前営業日比△2.32円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=164.18円(△2.17円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1290ドル(▲0.0038ドル)
ダウ工業株30種平均:40752.96ドル(△83.60ドル)
ナスダック総合株価指数:17710.74(△264.40)
10年物米国債利回り:4.22%(△0.06%)
WTI原油先物6月限:1バレル=59.24ドル(△1.03ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3222.2ドル(▲96.9ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月米企業の人員削減数
(前年比) 62.7% 204.8%
前週分の米新規失業保険申請件数
24.1万件 22.3万件・改
4月米製造業PMI改定値
50.2 50.7
4月米ISM製造業景況指数
48.7 49.0
3月米建設支出
(前月比) ▲0.5% 0.6%・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は大幅に3日続伸。日銀金融政策決定会合の結果や植田和男日銀総裁の記者会見の内容を受けて、日銀が追加利上げに慎重との見方が広がる中、NY市場に入っても円を売る動きが継続した。4月米ISM製造業景況指数が48.7と予想の48.0を上回ると全般ドル買いも優勢となり、一時145.73円と4月10日以来の高値を付けた。
ダウ平均が一時430ドル超上昇したほか、ナイト・セッションの日経平均先物が大証終値比520円高の3万7070円まで上昇したことも円売り・ドル買いを促した。
・ユーロドルは3日続落。20時30分前に一時1.1341ドルと日通し高値を付けたものの、買い一巡後は徐々に上値が重くなった。予想を上回る米ISM製造業景況指数をきっかけに全般ドル買いが進むと一時1.1266ドルと日通し安値を更新した。米10年債利回りが4.23%台まで上昇したことも相場の重し。
ハセット米国家経済会議(NEC)委員長はこの日、「関税に関する何らかのニュースが本日中にあるだろう」と述べたほか、「中国との通商交渉は順調に進んでいる」などと発言。米国と貿易相手との関税を巡る交渉が進展するとの期待もドル買いを誘った。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時100.38まで上昇した。
ただ、引けにかけては下げ渋った。ユーロ円の上昇につれた買いが入ったほか、4月15日の安値1.1264ドルが目先サポートとして意識された。
・ユーロ円は4日ぶりに大幅反発。日銀の早期利上げ観測の後退を背景に全般円売りが進行。米関税を巡る交渉の進展期待や予想を上回る米指標などを受けて、日米株価指数が上昇したことも相場の押し上げ要因。4時過ぎには一時164.46円と1月7日以来の高値を更新した。
ユーロ円以外のクロス円も堅調だった。ポンド円は一時193.46円、豪ドル円は93.06円、NZドル円は86.10円、カナダドル円は105.28円、南アフリカランド円は7.85円、メキシコペソ円は7.43円まで値を上げた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は8日続伸。四半期決算の内容が好感されたマイクロソフトやメタ・プラットフォームズなどが買われ、相場の押し上げ要因となった。4月米ISM製造業景況指数が予想を上回ったことも投資家心理の改善につながり、株買いを促した。指数は一時430ドル超上昇する場面があった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は大幅に反発した。
・米国債券相場で長期ゾーンは8日ぶりに反落。前週分の米新規失業保険申請件数が予想より弱い内容だったことが分かると買いが先行したものの、その後発表の4月米ISM製造業景況指数が予想を上回ったことが伝わると一転売りが優勢となった。
・原油先物相場は4日ぶりに反発。昨日の「サウジアラビアは追加減産に否定的」という報道が時間外でも重しとなり、ロングの投げを巻き込みながら一時56ドル台で大きく下値を広げた。もっとも、ニューヨーク勢の本格参入後からは買い戻しが優勢に。足もとで下落が続いた反動や金融市場全般のリスクオン、またトランプ米大統領がイラン産石油の購入者に二次的な制裁を課す考えを示したことなどが相場を押し上げた。
・金先物相場は大幅に3日続落。トランプ関税を巡る米中協議が本格化するとの期待感、また米・ウクライナが鉱物資源協定に署名したことはロシアに対して一定の抑止力になるとの思惑、米ハイテク企業の好調な決算などリスク志向に繋がる材料は多かった。為替でドル高が進んだ影響もドル建て金の重しとなり、下げ幅は一時110ドル近くまで広がった。
1日06:42 トランプ米大統領
「金利は低下すべきだ」
「金利に関してパウエル議長より私の方が詳しい」
「FRB当局者のことはあまり好きではない」
1日07:48 グリア米通商代表部(USTR)代表
「一部の国との関税合意は数週間以内と見込む」
「中国とは正式な協議はしていない」
1日12:16 日本銀行声明
「各国の通商政策等の影響を受けて、海外経済が減速」
「わが国企業の収益なども下押しされるもとで成長ペースは鈍化」
「(リスク要因)とくに各国の通商政策等の今後の展開やその影響を受けた海外の経済・物価動向を巡り不確実性」
「その金融・為替市場やわが国経済・物価への影響につい十分注視する必要」
「消費者物価、伸び悩むものの、見通し期間後半には『物価安定の目標』と整合的な水準へ」
「経済・物価の見通し実現なら、引き続き金利引き上げ」
「現在の実質金利、極めて低い水準にある」
1日15:34 植田日銀総裁
「トランプ関税による不確実性は極めて高い」
「各国の通商政策の帰趨などで、経済・物価見通しは大きく変化しうる」
「中心的な見通しを巡る不確実性は従来以上に大きい」
「見通し実現なら政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整」
「見通しが実現していくか予断を持たずに判断していくことが重要」
「見通し期間内に基調物価が目標と整合的水準になるのは不変」
「基調的な物価は、いったん伸び悩んだ後に徐々に高まる」
「関税の影響で成長率は下振れ、物価も伸び悩みの状態に入る」
「賃金と物価の好循環は継続していく」
「基調物価2%推移の時期はやや後ずれしている姿」
「関税政策で大きな動きがあれば、中心的見通しは変わり得る」
「足元までは、経済と物価は概ねオントラック」
「金融政策としての対応は短期金利操作を中心に行う」
「どこで見通しの実現確度に自信が持てるか、何とも言いにくい」
「スタグフレーションへの対応、現時点で決め打ちするのは難しい」
「関税政策の見極めは、90日間の猶予期間が一つのポイント」
「関税の経済への影響は、これまでにない規模で不確実性大きい」
「次の利上げのタイミングは、見通し変更の有無などで前後する」
「2%到達時期と利上げのペースの後ずれ、必ずしも同じではない」
「基調的な物価上昇率は、これまでのところゆっくりとした上昇」
「政策維持の背景は、通商政策や内外経済を巡る不確実性が極めて高いこと」
「見通し期間内に物価目標到達が見通せるため、利上げ方針は維持する」
「日本のこれまでの経済指標は、堅調を維持している」
「関税の影響が一巡すれば、人手不足対応の設備投資が経済を牽引する」
「関税政策の影響は、現時点で過大評価することもあってはならない」
「去年半ば過ぎからの食料価格の上昇はやや誤算だった」
「実質賃金の上昇が個人消費を支える見通し」
「サービス価格への波及が思ったほどではない」
「関税90日の猶予期間で、ある程度不確実性が低下するとみている」
「関税の中立金利への影響は、言い難い」
「為替はファンダメンタルズに沿って安定推移することが望ましい」
「基調的物価が伸び悩んでいる時に無理に利上げはしない」
「中国との関税合戦では段階的な緩和が必要」
「中国がまず高関税を引き下げる必要がある」
「ウクライナとの鉱物資源協定はロシアへの強いシグナル」
「本日、日本との通商協議を行う」
「私は、欧州連合(EU)との通商協議には関与していない」
「第1四半期国内総生産(GDP)は改善されると予想している」
「我々の政策は、インフレを鎮静化させる」
1日21:22 ハセット米国家経済会議(NEC)委員長
「中国との通商交渉は順調に進んでいる」
※時間は日本時間
<国内>
○08:30 ◎ 3月完全失業率(予想:2.4%)
○08:30 ◎ 3月有効求人倍率(予想:1.25倍)
○08:50 ◇ 4月マネタリーベース
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
<海外>
○07:45 ◎ 3月ニュージーランド(NZ)住宅建設許可件数
○10:30 ◎ 1-3月期豪卸売物価指数(PPI)
○10:30 ◎ 3月豪小売売上高(予想:前月比0.4%)
○16:00 ◇ 4月トルコ製造業購買担当者景気指数(PMI)
○16:30 ◇ 4月スイス製造業PMI(予想:48.6)
○16:50 ◎ 4月仏製造業PMI改定値(予想:48.2)
○16:55 ◎ 4月独製造業PMI改定値(予想:48.0)
○17:00 ◎ 4月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:48.7)
○17:30 ◎ 1-3月期香港域内総生産(GDP)速報値(予想:前期比1.3%/前年比2.0%)
○18:00 ☆ 4月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比2.1%)
○18:00 ☆ 4月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比2.5%)
○18:00 ◎ 3月ユーロ圏失業率(予想:6.1%)
○21:30 ☆ 4月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化13.0万人/失業率4.2%/平均時給、前月比0.3%/前年比3.9%)
○23:00 ◎ 3月米製造業新規受注(予想:前月比4.5%)
○24:00 ◇ 4月メキシコ製造業PMI
○中国(労働節)、ロシア(振替休日)、休場
○3日 豪総選挙
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
昨日の海外市場でドル円は、日銀金融政策決定会合の結果や植田和男日銀総裁の記者会見の内容を受けて、日銀が追加利上げに慎重との見方が広がる中、NY市場に入っても円を売る動きが継続した。4月米ISM製造業景況指数が48.7と予想の48.0を上回ると全般ドル買いも優勢となり、一時145.73円と4月10日以来の高値を付けた。ユーロドルは、一時1.1266ドルまで弱含んだ。
本日の東京時間でドル円は、現在進行形と思われる日米関税交渉の結果次第の動きになりそうだ。結果次第で日銀金融政策決定会合のドル円の上昇基調が続くのか、もしくは昨日の上げ幅を帳消しにするかになる。
支持率が急落しているトランプ政権にとっては、関税交渉で何某らかの前向きな結果を示したい。今回の交渉を下地に、6月にカナダで開催されるG7サミットで石破首相とトランプ米大統領が合意を発表する道筋を立てたいだろう。一方で、同じく支持率が低い石破政権は、7月までに行われる参議院選挙で国民の支持率の更なる低下につながるような同意は避けたく、合意結果は参議院選挙後に判明するようにしたいと思われる。
本邦の報道によると、交渉カードの1つ目は自動車に関する規制について、2つ目は農産物の輸入となっている。このこともあってか、昨日石破首相はトヨタ自動車の豊田会長と会談している。石破首相が高校・大学の同窓でもある豊田会長に、日本の自動車企業の米国への多額投資をさらに促すことを依頼した可能性もある。ただ、自動車や農産物だけでトランプ政権が満足できるとも思えず、交渉が前に進まないかもしれない。
更に、警戒しなくてはならないのは、昨日日銀が政策金利を据え置き、円安が進んでいることである。先月28日にベッセント米財務長官は「欧州中央銀行(ECB)は、ユーロを下落させるために利下げを行うだろう」と発言したように、トランプ政権は米国以外の国の低金利政策は「自国通貨安・ドル高に結び付けている」との認識を持っているようだ。早朝に加藤財務相は先の日米財務相会談で「為替の水準のあるべき議論は全くなかった」と改めて言及した。ただ、日本の交渉カードが少ない中で、為替がカードの1つになる可能性も依然としてあることは念頭に入れておきたい。
なお、本日は本邦からは3月の完全失業率等の経済指標が発表されるが、市場の注目はNY時間午前の4月の米雇用統計になる。東京時間では引き続きボラタイルな値動きになりそうだが、米雇用統計後には全く違った相場展開にもなりかねないことも注意したい。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 36760 +210 (+0.57%)
TOPIX先物 2694.0 +10.0 (+0.37%)
シカゴ日経平均先物 36845 +295
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
1日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。前日夕に予想を上回る決算を発表したマイクロソフト<MSFT>が大幅高となり、NYダウを押し上げた。同じく決算評価からメタプラットフォームズ<META>も大幅に上昇するなか、他のハイテク株に買いが広がった。4月の米ISM製造業総合景況指数は0.3ポイント低下の48.7だった。5カ月ぶりの低水準となったものの、市場予想を上回ったことでセンチメントを支えた。
S&P500業種別指数は、ソフトウエア・サービス、メディア、小売、半導体・同製造装置が上昇。一方で医薬品・バイオテクノロジー、家庭用品・パーソナル用品、保険、食品・飲料・タバコの下げが目立った。NYダウ構成銘柄では、マイクロソフトのほか、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、エヌビディア<NVDA>、キャタピラー<CAT>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、JPモルガン・チェース<JPM>が買われた。半面、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、アムジェン<AMGN>、メルク<MRK>が下落。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比295円高の3万6845円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは、日中比50円高の3万6600円で始まり、上げ幅を広げ3万6670円~3万6860円辺りでの保ち合いを継続。米国市場の開始後にレンジを上抜け、3万7070円まで買われる場面もみられた。終盤にかけてはロング解消の動きから上げ幅を縮め、3万6760円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、買い先行で始まることになりそうだ。ナイトセッションで3万7070円まで買われる場面もみられ、75日移動平均線(3万7000円)を捉えてきたことで、ショートカバーの動きが強まりやすいだろう。節目の3万7000円回復でいったんは達成感が意識されやすい面はありそうだが、13週線(3万6560円)を支持線とした押し目狙いのロング対応に向かわせよう。
米国ではマイクロソフトやメタプラットフォームズの上昇が好感された。これについては前日の時間外取引で急伸していたこともあり、織り込まれている。1日の取引終了後にはアップル<AAPL>とアマゾン・ドット・コムが決算を発表したが、いずれも時間外取引では弱い値動きで推移しているため、積極的なロングを手控えさせそうだ。
赤沢亮正経済財政再生相は日本時間朝、ベッセント米財務長官らと関税を巡る2回目の協議を始めた。楽観は禁物であるが、前回の協議では両国の良好な関係を確認している。関連する報道がアルゴリズム発動のトリガーになる可能性もあるため、ショートは避けておきたいところである。
為替市場では円相場が1ドル=145円台で推移している。日銀は前日の金融政策決定会合で、今年度の経済成長率の見通しを下方修正し、利上げは後ずれするとの見方が高まった。円安の動きもショートを仕掛けづらくさせるだろう。
そのため、オプション権利行使価格の3万6500円から3万7000円のレンジを想定する。75日線を明確に上抜けてくる局面においては、200日線が位置する3万7680円辺りにレンジ上限が切り上がる。
1日の米VIX指数は24.60(30日は24.70)に低下した。75日線(22.47)が支持線として意識されているなかで小動きでの推移だった。25日線(30.34)辺りを上抜けてくるまでは、リスク選好に向かわせそうだ。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.61倍に上昇。25日線(13.55倍)を明確に上回ってきた。アドバンテスト<6857.T>[東証P]が6%を超える上昇で日経平均型を牽引。一方で、日銀会合の結果判明後は銀行株の弱さが目立ち、TOPIX型の重荷になっていた。本日は連休前で手掛けづらいところだが、リバランスの動きからNTショートを巻き戻す流れが強まる可能性はありそうだ。
東京市場は堅調か。米国株は上昇。ダウ平均は83ドル高の40752ドルで取引を終えた。決算を発表したマイクロソフトとメタが大きく上昇したことで、全体でも買いが優勢となった。終盤には値を消したものの3指数がそろって上昇し、ダウ平均とS&P500は8日続伸している。ドル円は足元145円30銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて295円高の36845円、ドル建てが365円高の36915円で取引を終えた。
マイクロソフトとメタの上昇に関しては、東京市場ではきのうの時間外の動きで先んじて織り込んでいる。決算を発表したアップルとアマゾンが時間外で下落しており、日本のハイテク株への好影響は限られるだろう。それでも、米国株の上昇が続いている点は安心材料。ドル円の145円台乗せも日本株をサポートする。本日は米国で4月雇用統計が発表されるが、結果次第ではもう一段円安が進む可能性もある。連休前でも売りは手控えられ、高く始まって強い基調が続くと予想する。なお、日米で2回目の関税交渉が行われており、関連ニュースに振らされる可能性がある点には留意したい。日経平均の予想レンジは36550円-37050円。
昨日のドル円は、植田日銀総裁の定例記者会見中に144.74円まで上昇。会見後の利食い売りや米新規失業保険申請件数が予想を下回る弱い数字となったことを受けて米長期金利が低下幅をひろげたことから144.15円まで下押す場面もみられましたが、4月米ISM製造業景気指数が予想を上回る強い結果となると、米10年債利回りが一転して4.2388%まで急騰。つれるかたちで145.73円まで買い上げられました。
アジア時間に入ってからも、4連休前の週末とあって本邦実需の買いが断続的に観測されるなか、中国商務省が「米との通商協議の可能性を現在評価している」ことを表明。仲値にかけては一時145.92円まで高値を更新することになりました。昨日の安値からは3円以上の大幅な上昇となっていますが、4月からのトランプ関税相場における4円の乱高下を経験している市場にとっては、さもありなんといったところです。
ところで、昨日日銀が公表した展望レポートや植田日銀総裁の発言をみてもわかるように、今回のトランプ関税が引き起こしている「不確実性(uncertainty)」の影響の大きさは想像を絶するものがあります。あれだけ「目標実現の確度が高くなっている」との見解を繰り返していた植田総裁でさえも、実現時期を1年後ろ倒しせざるを得ない状況となっているわけで、パウエルFRB議長にしても、3月FOMCの会見で何度このuncertaintyとの言葉を繰り返していたか。日米の金融政策の方向性は違えど、その実現に向けた障壁という意味では、最大限の非関税障壁をトランプ政権自身が作り上げてしまっているといえます。
また、一昨日の4月末に公表された1-3月期米GDP速報値においても、トランプ米大統領は「バイデン政権のものだ」と我関せずといったところでしたが、この内訳をみれば一目瞭然。米国民が関税前に駆け込みで輸入車など高額の商品を買い漁っていたからでしょうか、輸入額の50%を超える急増に伴う貿易赤字。GDPへの寄与度が▲4.830%になったことが真の理由となっています。逆にコアPCEや個人所得といった部分は予想を超える上昇幅となっていたわけで、米10年債利回りがGDP発表直後に急騰したこととも無関係ではありません。
いずれにしても、何度もお伝えしている通り、市場は既にトランプ関税に対しての嫌悪感や拒否感を米トリプル安という最大限のリスクオフで示してしまっている以上、そしてトランプ政権がこのトリプル安を絶対阻止する姿勢を示している以上、残された道はそれらを緩和させていく方向しかないわけで、ドル円は個別に抱えてしまった史上最高水準の円ロングポジションの解消へと舵を切っているといえます。
日経225先物は11時30分時点、前日比200円高の3万6750円(+0.54%)前後で推移。寄り付きは3万6730円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万6845円)にサヤ寄せする形で、買い先行から始まった。現物の寄り付き直前につけた3万6650円を安値にロング優勢の動きが強まり、中盤にかけて3万7010円まで買われる場面もみられた。買い一巡後は上げ幅を縮め、終盤にかけては3万6700円近辺での推移をみせている。
日経225先物は3万7000円を回復した後は上げ幅を縮めているが、13週移動平均線(3万6560円)が支持線として意識されている。赤沢亮正経済財政再生相はベッセント米財務長官らと関税を巡る2回目の協議を終え、貿易拡大などで具体的な議論を行ったとし、次回協議は5月中旬で調整すると述べた。詳細は明らかにされなかったこともあり、手掛かり材料難から中盤以降はロング解消の動きもあったようだ。ただし、中国商務省は米国との通商協議の可能性を検討しており、米中協議への期待から押し目狙いのロング対応に向かわせよう。
NT倍率は先物中心限月で13.67倍に上昇。前日に25日線突破からボリンジャーバンドの+1σ(13.63倍)を捉え、本日は+2σ(13.70倍)水準まで切り上がってきた。4月以降の-1σと+1σでのレンジを上抜けてきたことで、NTショートを巻き戻す動きが強まりそうだ。
本日のロンドン為替市場では、欧州で発表される経済指標を確認しつつ、NY序盤の米3月雇用統計を待つ展開となるか。
経済指標で気になるのは、ユーロ圏4月消費者物価指数(HICP)速報値だろう。市場予想は前年比が+2.1%、コア・前年比は+2.5%(3月は前年比+2.2%、コア・前年比+2.4%)となっている。先月30日に仏・独で発表された消費者物価指数(CPI)はいずれも前年比で予想を上回る伸びとなった。本日のHICPは、コアはともかく前年比で伸び鈍化予想となっており、予想外に上振れこともあり得る。
とはいえ、仮に上振れてもユーロ相場を大きく動かす動きにはつながりにくいかもしれない。なぜなら、市場では次回6月の欧州中銀(ECB)理事会での0.25%利下げが見込まれており、予想比で多少の上下程度ならば市場の金利見通しに与える影響は限定的となると予想されるため。また、市場の関心がトランプ関税の行方や日銀の利上げ後ずれ観測、米景気後退に集まりやすいこともあり、ユーロ主導の展開にはなりにくいとみる。
そのほか、仏・独・ユーロ圏で4月製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表予定。ただ、こちらは改定値のため、予想外の結果が相次がないとユーロ相場への影響は限られる見通し。なお、本日は主だった要人発言は予定されていない。
これらを消化すると、NY序盤に発表が予定されている米4月雇用統計を前に、結果を見極めたいとして相場全体に手控えムードが広がることが予想される。
想定レンジ上限
・ユーロドル:日足一目均衡表・転換線1.1407ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル:日足一目均衡表・基準線1.1169ドル
■各社予想 4月米非農業部門雇用者数
JPモルガン +12.5万人
第一生命経済研究所 +16.6万人
ドイツ証券 +12.5万人
バークレイズ・キャピタル +12.5万人
BNPパリバ +13.5万人
HSBC +7.5万人
モルガン・スタンレー +13.5万人
市場コンセンサス +13.0万人
前回 +22.8万人
■各社予想 4月米失業率
JPモルガン 4.2%
第一生命経済研究所 4.2%
ドイツ証券 4.2%
バークレイズ・キャピタル 4.2%
BNPパリバ 4.2%
HSBC 4.2%
モルガン・スタンレー 4.2%
市場コンセンサス 4.2%
前回 4.2%
■各社予想 4月米平均時給(前月比)
JPモルガン +0.3%
第一生命経済研究所 +0.3%
ドイツ証券 +0.3%
バークレイズ・キャピタル +0.3%
BNPパリバ +0.3%
HSBC +0.3%
モルガン・スタンレー +0.3%
市場コンセンサス +0.3%
前回 +0.3%
■各社予想 4月米平均時給(前年比)
JPモルガン +3.9%
第一生命経済研究所 +3.9%
バークレイズ・キャピタル +3.9%
BNPパリバ +3.9%
HSBC +3.9%
モルガン・スタンレー +3.9%
市場コンセンサス +3.9%
前回 +3.8%
SMBC日興証券では、日銀会合で追加利上げが見送られたことを受けて、適正な政策金利の水準について考察している。現在の日本経済・物価の実力にあった政策金利は、自然利子率を-0.5%、基調的インフレ率を+1.4%とすると+0.9%となるとのこと。今後、基調的インフレ率が低下しなければ、1回の追加利上げが妥当になるとしている。日銀は年内の利上げを見送り、トランプ関税のショックが一服し、かつ、来年の春闘賃上げ率が引き続き良好であれば、来年3月頃に追加利上げを行うのでないかとSMBC日興ではコメントしている。
ドル円:1ドル=145.25円(前営業日NY終値比▲0.14円)
ユーロ円:1ユーロ=164.26円(△0.08円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1307ドル(△0.0017ドル)
日経平均株価:36830.69円(前営業日比△378.39円)
東証株価指数(TOPIX):2687.78(△8.34)
債券先物6月物:141.19円(△0.02円)
新発10年物国債利回り:1.265%(▲0.005%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月完全失業率
2.5% 2.4%
3月有効求人倍率
1.26倍 1.24倍
4月マネタリーベース
前年同月比 ▲4.8% ▲3.1%
対外対内証券売買契約等の状況(前週)
対外中長期債
4352億円の取得超 2182億円の所得超・改
対内株式
2783億円の取得超 7056億円の所得超
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は上値が重い。中国商務省が「米国との貿易協議の可能性を検討する」との見解を示したことを受け、米中貿易摩擦を巡る懸念が緩和。赤沢経済再生相が「為替や安全保障については議論にならなかった」などと発言したことも相場の支えとなり、一時145.92円まで値を上げた。ただ、節目の146.00円手前で上値の重さが意識されると、今晩の米雇用統計などを見極めたいとの思惑もあり、一巡後は持ち高調整目的の売りが優勢に。東京午後には145.05円まで押し戻された。
・ユーロドルは小高い。特段の手掛かり材料は伝わらなかったが、昨日安値の1.1266ドル手前で下値の堅さを確認すると、対円などドル売りが進んだ流れに沿って1.1329ドルまで買い戻された。
・ユーロ円はもみ合い。日本株高やドル円の上昇につれて164.63円まで買われる場面があったものの、一巡後は164円台前半でのもみ合いに転じた。
・日経平均株価は7日続伸。前日の米国株式相場が上昇した流れを引き継いだ。外国為替市場で円安が進行したことを受けて自動車など輸出関連株を中心に買いが集まり、指数は一時520円超高まで上昇。ただ、連休前とあって節目の3万7000円手前では利益確定目的の売りが入り、上値を抑制した。
・債券先物相場は小幅に4日続伸。米中貿易摩擦の緩和期待から安全資産とされる債券には売りが出た。もっとも、本日実施された流動性供給入札が「強めの結果だった」と受け止められると買い戻しが入った。
中国商務部は2日、中米経済貿易協議の進展に関し、記者会見の形式をとった談話をウェブサイト上で公表した。
―― 記者 最近、米国側は中国側と経済・貿易問題について交渉を行っており、合意に達するとの発言を繰り返している。これについて商務部として何か新たな情報やコメントはあるか。
報道官 中国側は、米国の高官が繰り返し、中国側と関税問題について交渉を望んでいるとの意向を示していることに留意している。同時に、米国側は最近、関係ルートを通じてたびたび中国側に意思を伝えており、交渉を望んできている。これに対して中国側は現在、評価を行っている。
中国側の立場は一貫しており、戦うのであれば、最後まで付き合う。話し合うのであれば、門は開かれている。関税戦争や貿易戦争は米国側が一方的に始めたものであり、米国側が交渉を望むならば、誠意を示すべきである。誤ったやり方の是正、そして一方的な追加関税の撤回といった問題に対し、準備と具体的な行動をとる必要がある。われわれは、米国側が最近、関税措置の調整に関する情報を流していることにも注目している。
中国側が強調したいのは、今後あり得るいかなる対話や会談においても、米国側が誤った一方的関税措置を是正しないのであれば、それは誠意がまったくないことを意味し、双方の相互信頼をさらに損なうことになるという点だ。言うこととやることが異なり、さらには対話を口実に脅迫や恐喝を行おうとするならば、それは中国側には通用しない。
「基調物価の2%目標達成の後ずれは、利上げ時期の後ずれを必ずしも意味しない」
(植田日銀総裁)
2024年7月の日銀金融政策決定会合で0.25%への利上げを決定した時、植田日銀総裁は「0.5%が壁になるとは認識していない」とタカ派宣言をした。
2025年5月の日銀金融政策決定会合では、植田日銀総裁はハト派的据え置きを決定し、市場では0.5%の壁での打ち止め観測が高まっている。
1.2025年7月の予定
・4日:トランプ減税成立期限(ベッセント米財務長官)
・9日:トランプ相互関税発動(90日間の猶予切れ)
・20日:参議院選挙投開票(予定)
・30-31:日銀金融政策決定会合
2.日銀金融政策決定会合(4/30-5/1):ハト派的据え置き
5月1日の日銀金融政策決定会合では、政策金利の無担保コール翌日物金利を0.5%程度に据え置くことを全員一致で決定された。そして、トランプ関税を受けて高まる世界経済の不確実性を踏まえて、2%の物価安定目標の実現時期を従来の想定よりも1年程度先送りした。しかし、日銀の経済・物価見通しが実現していけば、利上げで金融緩和度合いを調整するという従来の方針は維持した。
■経済・物価情勢の展望(展望リポート)
・基調的な物価上昇率が物価目標とおおむね整合的な水準で推移する時期を、2025-27年度の「見通し期間後半」と記述。1月リポートでは、2024-26年度だった。
【経済・物価見通し】25年度と26年度は下振れリスクの方が大きい
《実質国内総生産(GDP)》 《コアCPI(生鮮食品を除く)》
2025年度:+0.5%(前回+1.1%) +2.2%(前回+2.4%)
2026年度:+0.7%(前回+1.0%) +1.7%(前回+2.0%)
2027年度:+1.0% +1.9%
3.植田日銀総裁
■タカ派
・新たな見通しの実現に自信がかなり持てれば、利上げになる可能性は十分にある
・現在の実質金利は極めて低い水準にあり、日銀の見通しが実現していくとすれば経済・物価情勢の改善に応じて利上げしていくことになる
・基調的な物価上昇率が2%に到達する可能性が高いと判断すれば利上げする
■ハト派
・経済・物価の中心的見通しの確度はこれほどまでには高くない
・各国の通商政策を巡る不確実性は極めて高く、見通しが実現していくか予断を持たずに判断していく
大阪6月限
日経225先物 36810 +260 (+0.71%)
TOPIX先物 2687.0 +3.0 (+0.11%)
日経225先物(6月限)は前日比260円高の3万6810円で取引を終了。寄り付きは3万6730円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万6845円)にサヤ寄せする形で買いが先行した。現物の寄り付き直前につけた3万6650円を安値にロングが強まり、前場中盤に3万7010円まで買われる場面もみられた。買い一巡後は上げ幅を縮め、前場終盤にかけては3万6650円~3万6750円処で推移。現物の後場開始後にレンジを上抜け、終盤に3万6950円まで切り返したが、3万7000円には届かず、引けにかけては持ち高調整のロング解消により上げ幅を縮めた。
日経225先物は3万7000円を回復した後は上げ幅を縮めているが、13週移動平均線(3万6570円)が支持線として意識された。同線を上回って終わるのは、1月3週(1月20日-24日)以来となる。赤沢亮正経済財政再生相はベッセント米財務長官らと関税を巡る2回目の協議を終えた。貿易拡大などで具体的な議論を行ったとし、次回協議は5月中旬で調整する。詳細は明らかにされなかったこともあり、報道が伝えられた後はロング解消の動きとなったようだ。ただし、中国商務省は米国との通商協議の可能性を検討しており、米中協議への期待からショートは仕掛けづらく、押し目狙いのロング対応に向かわせている。
日銀の利上げ時期が遠のくとの見方により、為替市場で円相場が1ドル=145円台と円安に振れて推移していたことも安心感につながったとみられる。13週線を下回ったとしても、ボリンジャーバンドの+1σ(3万6100円)と75日線(3万6990円)でのレンジが意識されやすいだろう。楽観は禁物だが、日本の連休期間中に米中対立が和らぐようだと、連休明け後に上のバイアスが強まる可能性がありそうだ。
昨年11月以降は3万8000円~4万円辺りのレンジでの推移が続いたが、トランプ政権による相互関税への警戒が強まり、2月下旬辺りからレンジを切り下げていた。3万8000円処が意識されてくるようだと、これまで積み上がっていたショートポジションを圧縮させる動きが加速するとみておきたい。
NT倍率は先物中心限月で13.69倍に上昇。前日に25日線突破からボリンジャーバンドの+1σ(13.63倍)を捉え、本日は+2σ(13.70倍)水準まで切り上がってきた。週足では1月下旬以降は13週線に上値を抑えられる形状である。同線は13.74倍辺りまで下がってきたため、同線を上抜いてくると、NTショートを巻き戻す動きが強まりそうだ。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が2万0028枚、ソシエテジェネラル証券が1万4484枚、サスケハナ・ホンコンが4817枚、バークレイズ証券が2837枚、JPモルガン証券が2615枚、日産証券が1886枚、ゴールドマン証券が1864枚、モルガンMUFG証券が1797枚、SBI証券が1744枚、野村証券が1536枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が2万3040枚、ソシエテジェネラル証券が2万2538枚、モルガンMUFG証券が5373枚、バークレイズ証券が4572枚、JPモルガン証券が4523枚、ゴールドマン証券が3565枚、サスケハナ・ホンコンが2605枚、ビーオブエー証券が1449枚、みずほ証券が1214枚、野村証券が1022枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、米4月の雇用統計を見極めながら、トランプ米大統領の突発的な発言に警戒していく展開となる。
ドル円のテクニカル分析では、3/28の高値151.21円から4/22の安値139.89円までの下落幅の半値戻し145.55円(=日足一目均衡表・基準線)に到達しており、「半値戻しは全値戻し」を念頭に米4月雇用統計を見極めることになる。
米4月の雇用統計の予想は、失業率が4.2%で、3月と変わらず、非農業部門雇用者数は前月比+13.0万人で3月の+22.8万人からの増加幅の減少が見込まれている。
非農業部門雇用者数が最大予想の+16万人に近い数字だった場合は、ドル円は続伸が予想されることで、史上最大規模に膨れ上がっていたIMMシカゴ筋の円の買い持ちポジションが手仕舞われる可能性に警戒することになる。
最小予想の+8万人に近い数字だった場合は、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ観測が高まることで、利下げを要請しているトランプ米大統領やベッセント米財務長官の発言に警戒することになる。
また、本日の加藤財務相の発言「日本が保有する米国債は、関税交渉のカードとしてはあるが、切るのか切らないのかは別の判断だ」に対するベッセント米財務長官の見解にも警戒しておきたい。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」は、来週のFOMCでは据え置きが予想されているが、6月FOMCでは利下げ再開(▲0.25%=4.00-25%)と見込まれており、9月、10月、12月と年内4回の利下げで12月のFF金利誘導目標は3.25-50%と見込まれている。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、146.54円(3/11安値)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、143.89円(4/28高値)
日経新聞が報じたところによると、米国は関税で「合意枠組み案」を提示したようだ。車や鉄は交渉外の意向だという。これに対して日本側は反発していると伝わっている。
今晩は米中貿易交渉進展期待で堅調か。昨日は好決算を発表したマイクロソフトとメタ・プラットフォームズが大幅に上昇し、AIラリーが復活。ナスダック総合が一時2.73%高まで上昇後、1.52%高で終了し、S&P500が0.63%高、ダウ平均が83.6ドル高(+0.21%)とともに8営業日続伸した。引け後の動きでは、アップルが時間外で約4%下落。1-3月期決算で、投資家が注目するサービス収入が予想を下回ったことや、関税の影響で9億ドルのコスト増を見込むとしたことが嫌気された。アマゾン・ドット・コムも当四半期の営業利益見通しが予想を下回り、株価は時間外で3%超下落した。
今晩の取引ではアップルやアマゾンの下落が見込まれることが相場の重しとなることが懸念されるものの、アジア時間で中国が、米国が求める関税交渉について「評価中」と表明したことで米中貿易協議の進展期待が相場の支援となりそうだ。経済指標では4月雇用統計が注目される。非農業部門雇用者数(NFP)の市場予想は13.0万人増と、前月分の22.8万人増から減少が予想されており、失業率は4.2%と前月から横ばいが見込まれている。弱い雇用統計は利下げ期待を高める可能性があるものの、景気後退懸念が強まることも予想され、結果や市場の反応に要注目となる。
今晩の米経済指標は4月雇用統計のほか、3月耐久財受注改定値、3月製造業新規受注など。企業決算は寄り前にデュポン、シェブロン、エクソン・モービルなどが発表予定。
日経平均株価は7日続伸。マド開けを伴う買い先行から上値を伸ばす堅調な展開となった。心理的節目である37000円をつけることはできなかったが、連休前に大きくだれることなく陽線を形成して終えた。
RSI(9日)は前日の83.5%→83.6%(5/2)に横ばい。連休明けは上昇しやすいタイミングとなり、短期的な相場の見方に変化はない。直近高値更新が続いており、4/7安値(30792円)を起点とした目先波動は上昇継続の判断となる。
3/31の下落で形成したマド埋め(36864円)を達成し、次は75日移動平均線(37152円 5/2)や一目均衡表の雲下限(37592円 同)がターゲットになる。
一方、25日移動平均線(34688円 同)はまもなく下向きが横ばいに変化する可能性はあるが、同線との離れが株価の上値を抑える要因になるほか、基準線(34325円 同)の下向きが続くことで、揺り戻しの調整シナリオも想定できる。
上値メドは、心理的節目の37000円、75日移動平均線、心理的節目の37500円、100日移動平均線(37713円 同)、200日移動平均線(38003円 同)などがある。下値メドは、5日移動平均線(36174円 同)、10日移動平均線(35401円 同)、心理的節目の35000円、25日移動平均線、心理的節目の34500円、4/22高値(34340円)などがある。
(2日終値:3日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=144.71円(2日15時時点比▲0.54円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.61円(▲0.65円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1304ドル(▲0.0003ドル)
FTSE100種総合株価指数:8596.35(前営業日比△99.55)
ドイツ株式指数(DAX):23086.65(△589.67)
10年物英国債利回り:4.508%(△0.027%)
10年物独国債利回り:2.533%(△0.089%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月スイス製造業PMI
45.8 48.9
4月仏製造業PMI改定値
48.7 48.2
4月独製造業PMI改定値
48.4 48.0
4月ユーロ圏製造業PMI改定値
49.0 48.7
4月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値
(前年比) 2.2% 2.2%
4月ユーロ圏HICPコア速報値
(前年比) 2.7% 2.4%
3月ユーロ圏失業率
6.2% 6.2%・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は下値が堅かった。アジア時間に一時145.92円と4月10日以来の高値を更新したあとだけに、欧州勢参入後は短期的に膨らんだ円売りポジションを減らす動きが先行した。NY市場に入り、4月米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比17.7万人増と予想の13.0万人増を上回ったことが分かるとドル買いが入ったものの、前月の数値が下方修正されたうえ、平均時給が予想を下回ったことから、ドル買いでの反応は一時的だった。市場では「日本や英国の連休を控えた週末のポジション調整目的の売りが出た」との声も聞かれ、23時過ぎに一時143.73円と日通し安値を更新した。
ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢に。「中国は米国との通商協議開始に向けてフェンタニルに関する提案を検討している」との報道が伝わり、米中の関税交渉が進展するとの見方からダウ平均が一時600ドル超上昇。投資家が運用リスクを取る姿勢を強め、円売り・ドル買いが進んだ。日銀の早期利上げ観測の後退を背景に円売り・ドル買いが出やすい面もあり、1時過ぎには144.79円付近まで下げ渋った。
・ユーロドルは上値が重かった。米雇用統計発表直後こそドル買いが入ったものの、そのあとは一転ドル売りが優勢に。23時前には一時1.1381ドルと日通し高値を付けた。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時99.40まで低下した。
ただ、週末のロンドン16時(日本時間24時)のフィキシングを通過すると、流動性が低下する中でドルを買う動きが再び優勢となった。米中貿易協議の進展期待がドル買いを後押しした面もあり、一時1.1299ドル付近まで下押しした。米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.32%台まで上昇したことも相場の重し。
・ユーロ円は弱含み。アジア時間に一時164.63円と年初来高値を更新したあとだけに、欧米市場に入ると利益確定目的の売りが目立った。ドル円の下落につれた売りが出ると、22時30分過ぎに一時163.46円と日通し安値を付けた。ただ、ドル円の下げ渋りにつれた買いが入ると163.97円付近まで下げ幅を縮めた。
・ロンドン株式相場は15日続伸。米中貿易摩擦が緩和するとの期待感から投資家心理が改善し、買いが優勢となった。ハルマやセイジ・グループなど情報技術セクターが値上がりしたほか、ロールス・ロイス・ホールディングスやBAEシステムズなど資本財サービス株が買われた。
・フランクフルト株式相場は8日続伸。米国の関税政策を巡って、米中間の協議が進むとの観測が投資家心理の改善につながり株買いを誘った。個別ではシーメンス・エナジー(7.49%高)やエアバス(5.33%高)などの上昇が目立ち、ミュンヘン再保険(3.72%安)などを除く37銘柄が上昇した。
・欧州債券相場で下落した。株高を受けた。
米ウォールストリートジャーナル(WSJ)紙が報じたところによると、「中国は米国との通商協議開始に向けてフェンタニルに関する提案を検討している」ようだ。
一部通信社が報じたところによると、「カーニー加首相は来週6日にトランプ米大統領とホワイトハウスで会談する」ようだ。
(2日終値)
ドル・円相場:1ドル=144.96円(前営業日比▲0.43円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.80円(▲0.38円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1297ドル(△0.0007ドル)
ダウ工業株30種平均:41317.43ドル(△564.47ドル)
ナスダック総合株価指数:17977.73(△266.99)
10年物米国債利回り:4.31%(△0.09%)
WTI原油先物6月限:1バレル=58.29ドル(▲0.95ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3243.3ドル(△21.1ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月米雇用統計
失業率 4.2% 4.2%
非農業部門雇用者数変化
17.7万人 18.5万人・改
平均時給
(前月比) 0.2% 0.3%
(前年比) 3.8% 3.8%
3月米製造業新規受注
(前月比) 4.3% 0.5%・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は4日ぶりに反落。米労働省が発表した4月米雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比17.7万人増と予想の13.0万人増を上回ったものの、前月の数値が下方修正されたうえ、平均時給が予想を下回った。指標発表直後はドル買いが入ったものの、反応は一時的。市場では「日本や英国の連休を控えた週末のポジション調整目的の売りが出た」との声も聞かれ、23時過ぎに一時143.73円と日通し安値を更新した。
ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢に。「中国は米国との通商協議開始に向けてフェンタニルに関する提案を検討している」との報道が伝わると、米中の関税交渉が進展するとの期待からダウ平均が一時630ドル超上昇。投資家が運用リスクを取る姿勢を強め、円売り・ドル買いが進んだ。日銀の早期利上げ観測の後退を背景とした円売り・ドル買いも出やすく、3時30分過ぎには145.08円付近まで下げ渋った。
・ユーロドルは4日ぶりに小反発。米雇用統計発表直後こそドル買いが入ったものの、そのあとは一転ドル売りが優勢に。23時前には一時1.1381ドルと日通し高値を付けた。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時99.40まで低下した。
ただ、週末のロンドン16時(日本時間24時)のフィキシングを通過すると、流動性が低下する中でドルを買う動きが再び優勢となった。米中貿易協議の進展期待がドル買いを後押しした面もあり、一時1.1293ドル付近まで下押しした。米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.32%台まで上昇したことも相場の重し。
・ユーロ円は反落。アジア時間に一時164.63円と年初来高値を更新したあとだけに、欧米市場に入ると利益確定目的の売りが優勢となった。ドル円の下落につれた売りが出ると、22時30分過ぎに一時163.46円と日通し安値を付けた。ただ、ドル円の下げ渋りにつれた買いが入ると164.02円付近まで下値を切り上げた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は9日続伸。米関税政策を巡る米中協議が進展するとの期待から、買いが優勢となった。4月米雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を上回ったことも投資家心理の改善につながり株買いを誘った。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は続伸。テスラやメタ・プラットフォームズが堅調だった。
・米国債券相場で長期ゾーンは続落。米関税政策を巡る米中協議が進み、米中貿易摩擦が緩和に向かうとの期待が高まると、相対的に安全資産とされる米国債に売りが出た。4月米雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を上回ったことも債券売りを促した。
・原油先物相場は反落。時間外に59ドル後半まで上昇したが、一巡後は売り圧力が再び強まると58ドルを割り込む場面もあった。サウジアラビアやUAE、ロシアなどを含む「石油輸出国機構(OPEC)プラス」の有志8カ国は、来月の産油量に関する会合を3日に開くことが伝わった。当初、会合開催は5日予定されていた。前回会合で8カ国は今月の生産拡大に合意しており、6月生産計画についても一部から増産の提案が出ることが予想されている。
・金先物相場は4日ぶりに反発。前日の大幅安の反動で買い戻しが時間外から強まると、一時3275ドル超えまで上昇。もっとも、ニューヨーク勢の参入後からは伸び悩む展開に。米中通商協議への期待感を背景にリスク志向の動きが広がり、安全資産とされる金の上値が圧迫された。米金利が大幅に上昇したことも、金利を生まない資産である金の魅力を薄めた。
2日06:29 加藤財務相
(先の日米財務相会談で)
「為替に関しては引き続きベッセント米財務長官との間で協議」
「為替は市場において決まるもの」
「(米債の売却について)交渉のカードとしてはあるが、切るかどうかは別の判断」
2日18:19
「第2プラザ合意の話は、米国との協議で出ていない」
「為替管理は日米通商協議の一部とはなっていない」
2日08:47 赤沢経済再生相
「日米関税協議は130分間、突っ込んだ話が出来た」
「日米関税協議、具体的な議論進めることが出来た」
「両国間の貿易拡大、非関税障壁、安保面の協力など具体的に議論」
「日米関税協議、閣僚間協議は5月中旬以降集中的に実施」
「為替や安全保障については議論にならなかった」
2日09:24 中国商務省
「米との通商協議の可能性を現在評価している」
2日21:49 トランプ米大統領
「米連邦準備理事会(FRB)は金利を引き下げるべき」
「我々は現在、過渡期にある」
「関税のお陰でたくさんのお金が入ってくる」
3日02:41 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「域内のインフレ率を目標の2%に戻すことに自信」
「不確実性は経済にとってマイナス」
※時間は日本時間
5日
○こどもの日の祝日で休場
6日
○みどりの日の振替休日で休場
8日
○08:50 ☆ 3月18-19日分の日銀金融政策決定会合議事要旨
9日
○08:30 ◇ 3月家計調査(消費支出)
○08:30 ◇ 3月毎月勤労統計(現金給与総額)
○14:00 ◇ 3月景気動向指数速報値
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
3日
○豪総選挙
○シンガポール総選挙
5日
○15:30 ◎ 4月スイス消費者物価指数(CPI)
○16:00 ◎ 4月トルコCPI
○22:45 ◎ 4月米サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値
○22:45 ◎ 4月米総?⑰MI改定値
○23:00 ☆ 4月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数
○6日02:00 ◎ 米財務省、3年債入札
○中国(労働節)、香港、韓国(灌仏会)、英国(アーリーメイバンクホリデー)、休場
6日
○10:30 ◎ 3月豪住宅建設許可件数
○10:45 ◎ 4月Caixin中国サービス部門PMI
○14:45 ◇ 4月スイス失業率(季節調整前)
○15:45 ◇ 3月仏鉱工業生産
○16:50 ◎ 4月仏サービス部門PMI改定値
○16:55 ◎ 4月独サービス部門PMI改定値
○17:00 ◎ 4月ユーロ圏サービス部門PMI改定値
○17:30 ◎ 4月英サービス部門PMI改定値
○18:00 ◎ 3月ユーロ圏卸売物価指数(PPI)
○21:30 ◇ 3月カナダ貿易収支
○21:30 ◎ 3月米貿易収支
○23:00 ◇ 4月カナダIvey購買部協会景気指数
○7日02:00 ◎ 米財務省、10年債入札
○独首相指名選挙
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
○韓国(こどもの日の振替休日)、休場
○07:45 ◎ 1-3月期ニュージーランド(NZ)失業率/就業者数増減
○15:00 ◎ 3月独製造業新規受注
○15:00 ◎ 4月スウェーデンCPI
○15:45 ◇ 3月仏貿易収支
○15:45 ◇ 3月仏経常収支
○17:30 ◎ 4月英建設業PMI
○18:00 ◎ 3月ユーロ圏小売売上高
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○未定 ◎ ポーランド中銀、政策金利発表
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○8日03:00 ◎ 4月ブラジル貿易収支
○8日03:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表
○8日03:30 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○8日04:00 ◇ 3月米消費者信用残高
○8日06:30 ☆ ブラジル中銀、政策金利発表
8日
○08:01 ◇ 4月英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格
○15:00 ◎ 3月独鉱工業生産
○15:00 ◇ 3月独貿易収支
○16:30 ◎ スウェーデン中銀、政策金利発表
○17:00 ◎ ノルウェー中銀、政策金利発表
○20:00 ☆ 英中銀(BOE)、政策金利発表
○20:00 ☆ 英中銀MPC議事要旨
○21:00 ◎ 4月メキシコCPI
○21:30 ◇ 1-3月期米非農業部門労働生産性・速報値
○21:30 ◇ 1-3月期米単位労働コスト・速報値
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数
○23:00 ◇ 3月米卸売売上高
○9日02:00 ◎ 米財務省、30年債入札
○ロシア(祖国防衛者の日の振替休日)、休場
9日
○未定 ◎ 4月中国貿易収支
○15:00 ◎ 4月ノルウェーCPI
○15:00 ◎ レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○16:00 ◇ 3月トルコ鉱工業生産
○16:00 ◇ 4月スイスSECO消費者信頼感指数
○17:40 ◎ ベイリーBOE総裁、講演
○19:15 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、あいさつ
○19:45 ◎ バー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○20:15 ◎ ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演
○21:00 ◎ 4月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA)
○21:30 ☆ 4月カナダ雇用統計
○21:30 ◎ クーグラーFRB理事、講演
○22:10 ◎ シムカス・リトアニア中銀総裁、講演
○23:00 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、あいさつ
○ロシア(戦勝記念日)、休場
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
◆豪ドル、週末の豪総選挙に注目
◆豪ドル、米中関税交渉の進展で上下も
◆ZAR、VAT引き上げ撤回で750億ZARの税収不足の解消策に注目
予想レンジ
豪ドル円 90.00-95.00円
南ア・ランド円 7.60-7.95円
5月5日週の展望
豪ドルは、国内要因では総選挙、国外要因では引き続き米国の関税政策に注目。明日3日に行われる豪州総選挙の世論調査では、アルバニージ首相率いる中道左派の与党・労働党の優位が伝わっている。3年にわたる持続的なインフレや高金利、住宅危機による生活費高騰への懸念が最大の争点となっている。ただ、野党を率いるダットン自由党党首が、トランプ米大統領寄りの姿勢を見せていることが自由党の支持率を押し下げる結果になっている。与党の優位は変わらないだろうが、2019年に行われた総選挙では劣勢が伝わっていた自由党が「奇跡」と言われる勝利を収めたこともあり予断は許さない。また、有権者が第3政党に分散するという混乱要因が起きる可能性もある。与党が勝利を収めた場合でも、単独過半数を獲得できるかに注目が集まる。
トランプ政権の関税については、引き続き二転三転していることで、来週も豪ドルをかく乱する要因だ。豪州は対米赤字を計上していることもあり、米国からの圧力は弱い。ただ、豪ドルはリスクセンチメントに敏感なことから、米中の関税交渉の動向に連れて動意づくことになりそうだ。トランプ米大統領がトリプル安を避け、対中関税引き下げを示唆しているが、中国は完全に追加関税が撤廃されるまでは交渉のテーブルにつかない可能性が高い。中国は欧州連合(EU)やBRICS諸国との通商交渉が進んでいるが、米国の交渉は難航している。チキンレースという意味では、米国が圧倒的な不利な状況下でトランプ政権がどのような対応をとるかが注目だろう。
来週は豪州国内では、6日に3月住宅許可件数が発表される。ニュージーランドからは7日に1-3月期雇用統計、8日にNZ政府による9カ月ファイナンシャルレポートが公表予定。
南アフリカ・ランド(ZAR)はレンジ取引になりそうだ。国内情勢では付加価値税(VAT)引き上げの撤回により生じた750億ZARの予算不足をどのように埋められるのかが注目。VAT引き上げ撤回で民主同盟(DA)の国民統一政府(GNU)脱退は回避されたが、予算不足を解決するのは容易ではない。ゴドンワナ南ア財務相は21日に新たな予算案を発表する予定だが、事前に詳細が出ることもあり、来週から注意が必要だ。国外要因では引き続き関税交渉に注目。南アと米国間では交渉が進展することはないだろうが、米中間の交渉進展次第ではZARも影響を受けるだろう。なお、王毅中国外相はBRICS諸国に対し、米国の関税脅威に断固として対抗するよう促し、屈服すれば米国を勢いづかせるだけだと警告している。
4月28日週の回顧
豪ドルは対円では堅調、対ドルでは横ばいだった。1-3月期の豪消費者物価指数(CPI)がトリム平均値を含め市場予想を上回ると豪ドルが支えられる場面もあった。ただ、米国の関税政策が不透明なこともあり、大きなトレンドを作る動きにはならなかった。ZARは月末を前に実需の動きでドル売り・ZAR買いが進行。週後半は日銀の低金利政策維持で対円では7.85円まで上昇した。
◆対円、円ロングポジション解消の加速に警戒
◆ポンド、8日の英中銀会合での利下げはほぼ織り込み済み
◆加ドル、米加首脳会談に注目
予想レンジ
ポンド円 191.00-196.00円
加ドル円 103.00-107.00円
5月5日週の展望
米関税の霧は晴れず、世界経済見通しも悲観的で警戒感は続くものの、関税に動揺する相場はひとまず落ち着いてきている。日銀は今週の金融政策決定会合で経済・物価の見通しを引き下げ、さらに「下振れリスクが大きい」と指摘した。市場では利上げ期待が後退し、円が急落したが、来週も膨らんでいる円ロングポジションの解消が一段と進む可能性はある。
8日にイングランド銀行(英中銀、BOE)の政策金利発表を控えているが、市場は0.25%の利下げをほぼ織り込んでいる。金融政策決定を控えるなか、国際通貨基金(IMF)はトランプ米大統領の関税・通商政策の影響で今年の世界と英国の成長率が急激に下振れるリスクを指摘し、ベイリーBOE総裁は「経済成長に対するリスクを極めて重大に受け止めなければならない」と述べた。
英国では4月から家計向けの光熱費と水道料金が値上がりした。加えて社会保障費の雇用主負担の増加、賃金上昇もインフレ押し上げ要因となる。インフレ高への警戒感が残されるなか、トランプ関税のインフレへの影響や不確実性も極めて高く、BOEは難しい舵取りを迫られている。今後、英政府と米国が関税合戦になればインフレの押上げ懸念が高まるが、他国からの輸入が米国からの輸入障壁回避のために再配分された場合は、逆にインフレが低下する可能性もある。
加ドルは上値の重い動きとなりそうだ。今週発表の2月GDPは前月比-0.2%、前年比1.6%と前月から予想以上に伸びが鈍化した。9日には4月雇用データの発表が予定されており、低調な結果となれば、カナダ中銀(BOC)が次回6月会合で利下げを再開し、0.50%の大幅利下げに踏み切るとの思惑が高まる可能性がある。BOCは関税による不透明感を要因に利下げを見送っているが、「景気悪化の懸念が強まれば素早く対応する」と強調している。
また、4月28日のカナダ総選挙で「反トランプ」を強調したカーニー首相が率いる与党・自由党が勝利し、米加の関税合戦がエスカレートする可能性も加ドルの重しとなる。総選挙ではカーニー政権の対米報復関税など「米国に屈しない」姿勢が評価されたこととなり、今後もトランプ関税との戦いに強気で向かっていきそうだ。来週、カーニー加首相は米国を訪問する予定で、米加首脳会談が注目される。トランプ米大統領は今週、「カナダとは素晴らしい関係を築けると思う」「カーニー加首相と昨日電話会談し、合意を結ぼうと言った」と述べたが、発言の信用性は低い。会談がうまくいかなかっ場合には、またすぐにも攻撃に走ると予想される。
4月28日週の回顧
関税不安を背景としたドル売りが一服し、ポンドドルは1.34ドル半ばを頭に1.32ドル台に押し戻された。加ドルは総選挙で与党の議席が過半数には届かないとの報道を受けてやや売りが入る場面もあったが、トランプ米大統領がカナダとのディールに前向きな発言をしたことを受けて買いが入り、ドル/加ドルは一時1.37加ドル台まで加ドル高が進んだ。対円では、日銀の金融政策イベント後に円が急落。ポンド円は193円台、加ドル円は105円台まで急伸した。
◆ドル円、FOMCやパウエルFRB議長会見に注目
◆ドル円、為替報告書、四半期定例入札にも注意
◆ユーロドル、難航している欧米貿易交渉に注目
予想レンジ
ドル円 142.00-148.00円
ユーロドル 1.1000-1.1500ドル
5月5日週の展望
ドル円は、米1-3月期国内総生産(GDP)速報値が前期比年率▲0.3%に落ち込んだことを受けた米連邦公開市場委員会(FOMC)での議論やパウエルFRB議長の見解に注目する展開となる。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、5月のFOMCは据え置きで、6月FOMCで0.25%の利下げ開始が予想されており、7月、9月、12月と年内4回の利下げで12月のFF金利誘導目標は3.25-50%と見込まれている。トランプ米大統領に加えてベッセント米財務長官もFRBに利下げを要請しており、関税スタグフレーションへの警戒感が高まる中で、6‐7日開催のFOMCの議論を確認したいところだ。
ドル円は、1日に公表された展望レポートにおける物価見通しの下方修正や植田日銀総裁がトランプ関税の不確実性を理由に追加利上げに慎重なスタンスを示したことで145円台後半まで急伸したが、投機筋の円のネットの買い持ちポジションが過去最大規模まで膨らんでおり、手仕舞いが続くことにも注意が必要だろう。
また、トランプ米政権の相互関税発動が米トリプル安を引き起こしたこともあり、米国債の四半期定例入札1250億ドル(5日:3年債580億ドル、6日:10年債420億ドル、8日:30年債250億ドル)にも警戒しておきたい。国債発行計画では、入札規模を今後数四半期にわたって据え置く見通しが示され、買い戻しプログラムの強化を検討していることが明らかにされている。
更に、毎年4月と10月頃に米財務省が公表している「為替報告書」にも注意。昨年は6月に公表され、日本は対米貿易黒字と経常黒字が基準に抵触したことで、為替操作の監視対象リストに追加された。トランプ米政権は、日米貿易不均衡是正に向けて、ドル安・円高の圧力を仄めかしながら日米通商交渉を行っており、対米貿易黒字への言及が予想される。
ユーロドルは、難航している欧米貿易交渉の行方に注目する展開となる。欧州連合(EU)は、米国との貿易協議を再始動させるための提案をまとめた文書をトランプ政権に提示する方針であり、文書には、貿易および非関税障壁の低減や対米投資の拡大、米国産の液化天然ガス(LNG)の購入などが盛り込まれる見通しとなっている。
4月28日週の回顧
ドル円は、週初から米長期金利の低下を受けて一時141.97円まで値を下げたものの、日銀が物価見通しの下方修正を伴うハト派的な金利据え置きを決定したことから、一気に145円後半まで急伸した。米国1-3月期GDP速報値は、前期比年率▲0.3%だったものの、トランプ関税に対する駆け込み輸入増によるものとして影響は限定的となっている。ユーロドルは、全般ドルの買い戻しが進むなか、1.1425ドルから1.1266ドルまで戻り売りに押されている。
2日の日経平均は大幅に7日続伸。終値は378円高の36830円。
日経平均は大幅上昇。米雇用統計の発表を控えた大型連休前で買いを手控える要素はあったが、きのうまでの動きがかなり強かったことから、売りは手控えられた。4月前半に全体市場が大きく崩れ、そこから立ち直るタイミングで決算発表を迎えることができた上に、ここにきてドル円が円安に傾斜しているだけに、日本株には資金が入りやすくなっている。
ダウ平均とS&P500が5月1日まで8日続伸と、米国株が強いことも大きな安心材料となっている。ただ、米国株に関しては、一足先に主力どころの決算発表がほぼ出そろう。来週は米企業の決算発表が少なくなるだけに、米国株の動向には注意を払っておきたい。仮に米国株の上昇にブレーキがかかったとしても、日本はまだ決算発表が多いだけに、ネガティブな影響は限定的と考える。ただし、国内も月前半で決算発表は概ね一巡することから、後半には調整が入る展開も想定される。決算発表が一巡した後の米国株が大崩れしなければ、日本株の失速に対する懸念も杞憂に終わると思われる。米国株の上昇基調が続く展開に期待したい。
【来週の見通し】
堅調か。月曜と火曜が休場で立ち合いは3日。国内では引き続き決算発表が多く、トヨタ、任天堂、IHIなど売買代金上位の常連銘柄が発表を予定している。個別物色が活況となることで、楽観ムードの強い地合いが続くだろう。イベントとしてはFOMC(5/6~5/7)が注目されるが、今回は政策金利の据え置きが濃厚とみられている。直近でトランプ大統領のFRB批判がトーンダウンしていることもあり、FOMCは大きな波乱なく通過する公算が大きい。日経平均は5月2日まで7日続伸しており、反動には一定の警戒を払う必要があるものの、下げたとしても初押しになるだけに、直近の上昇に乗り遅れた投資家からの買いが入りやすい。円安期待も高まる中、売りをこなしながらもう一段上を試す展開を予想する。
【今週を振り返る】 大幅高となった。米国株の動きが良くなり、日本株もこれと歩調を合わせて水準を切り上げた。週明けの4月28日の日経平均は前週末の米国株高を追い風に3桁の上昇。休場を挟んで30日も3桁の上昇となり、終値で36000円を上回った。5月に入り1日は上昇して始まった後、日銀金融政策決定会合の結果を受けて後場に入って一段高。追加利上げのハードルが高いとの見方が強まり、為替市場で円安が進んだことが株価を押し上げた。2日も米国株高や円安を好感して大幅上昇。5月2日まで7日続伸となり、この7日間全てで3桁の上昇となった。日経平均は週間では1124円の上昇となり、週足では4週連続で陽線を形成した。
3日投開票された豪総選挙でアルバニージー首相率いる与党・労働党が単独過半数を獲得し、政権を維持する見通しとなった。
石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成する「OPECプラス」は3日、自主減産を実施しているサウジアラビアなど8カ国がオンライン会議を開き、減産規模の縮小を加速させる方針を決めた。
<国内>
○こどもの日の祝日で休場
<海外>
○15:30 ◎ 4月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%)
○16:00 ◎ 4月トルコCPI(予想:前月比3.10%/前年比38.00%)
○22:45 ◎ 4月米サービス部門PMI改定値(予想:51.0)
○22:45 ◎ 4月米総?⑰MI改定値
○23:00 ☆ 4月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:50.2)
○6日02:00 ◎ 米財務省、3年債入札
○中国(労働節)、香港、韓国(灌仏会)、英国(アーリーメイバンクホリデー)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
2日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、4月米雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比17.7万人増だったものの、前月の数値が下方修正されたうえ、平均時給が予想を下回ったことで143.73円まで下落した。しかし、「中国は米国との通商協議開始に向けてフェンタニルに関する提案を検討している」との報道で、ダウ平均が一時630ドル超上昇し、145.08円付近まで反発した。ユーロドルは1.1381ドルまで上昇した後、1.1293ドル付近まで下押しした。
本日のアジア外国為替市場のドル円は、東京・上海・香港市場が休場のため動きづらい展開の中、先週の日銀のハト派的据え置き、6月米連邦公開市場委員会(FOMC)での据え置き観測の台頭、米中関税交渉への期待感などから底堅い展開が予想される。
米中の関税交渉が進展するのではないかとの期待感が高まっている。
中国商務省報道官は2日、米国との通商協議の可能性を現在検討していると述べ、「誠意」を示すよう米国に促した。
また、中国は、約400億ドルの米国製品について、公式発表なしに関税の適用除外を開始した。
さらに、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、中国が通商交渉の開始に向けて、米国側に合成麻薬フェンタニルに関して提案を行うことを検討していると報じた。
本日は、トランプ米大統領による見解に注目しておきたい。
先週末に発表された米4月の雇用統計では、失業率は4.2%で3月と変わらずだったが、非農業部門雇用者数が前月比+17.7万人と予想を上回った。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、5月FOMCの据え置き見通しは変わらずだが、6月FOMCでの0.25%の追加利下げ見通しが据え置きに変わり、追加利下げの回数も、先週末の年4回から7月、9月、10月の3回となり、12月時点では3.50-75%と見込まれている。
注目されているIMM通貨先物の非商業(投機)部門取組の円のネット買い持ちポジションは、4月29日時点(※NY終値:142.33円)で179,212枚(前週比+1,398枚)で過去最大を更新していた。
その後、ドル円は、5月1日の日銀金融政策決定会合でのハト派的据え置きで、145円台後半まで上昇しており、一部手仕舞われた可能性があるため、今週末の商品先物取引委員会(CFTC)の発表を待ちたい。
加藤財務相は4日、日中韓ASEAN(東南アジア諸国連合)財務相・中央銀行総裁会議後に記者団の取材に応じ、日米関税交渉について「米国債の売却を日米(関税)交渉の手段とは考えていない」と述べた。財務相は2日のテレビで「交渉カードとしてはある」と発言していただけに、軌道修正した格好となっている。
米国が買えば儲かるし、安全保障が高まる
トランプ大統領はデンマーク自治領グリーンランドの支配獲得について「軍事力行使も排除しない」と明言し、同地が米国の国際安全保障上「非常に必要だ」と強調した。グリーンランドは北極圏の戦略拠点であり、米軍基地やミサイル警戒システムが存在するほか、レアアースなどの資源も豊富。デンマークやグリーンランド自治政府は強く反発しており、NATOやEU諸国との緊張が高まっている。
カーニー加首相は4日、自身SNSにて「EUとの自由貿易関係をさらに発展させる用意がある」「双方とも経済安全保障を強化し、防衛分野の改善に取り組む用意がある」などと投稿した。
トランプ政権は米陸軍の装備を約360億ドルをかけて大規模刷新し、次世代戦車やヘリなどを導入する「世代交代」を進めていると一部通信社が伝えた。陸軍の大規模近代化は1970-80年代の「ビッグファイブ」導入以来で、背景には中国の軍事的台頭への危機感がある。ペンタゴンは中国を「長期的な脅威」と位置づけ、米軍の影響力維持へ抜本的な装備更新を急いでいる。
ニュージーランド政府は老朽化した海軍ヘリコプターの更新に約12億ドルを2025年度予算で計上する。新型ヘリ導入によりフリゲート艦の監視・戦闘能力を強化し、インド太平洋での緊張や中国の海洋進出など安全保障環境の変化に対応。今後4年間で防衛費を約50億ドル増額し、2032-33年までにGDP比2%への引き上げも目指す。
5日の香港株式市場は灌仏会につき休場。
5日(月)の中国本土の株式市場は労働節につき休場。
先週末の海外市場では、ドル円は米雇用統計を前にポジション調整の売りが先行。4月米雇用統計はNFPが市場予想を上回ったものの、過去2カ月分の修正が▲5.8万人だったこともあり、反応も144.95円までの買戻しにとどまると、その後は143.73円まで値を下げることになりました。ただ、「中国が米国との交渉でフェンタニルに関する提案を用意している」と一部で報じられるとダウ平均が630ドルを超える上昇。つれるかたちで145.08円まで買戻されたといったところです。
週明けのアジア市場では、東京のほか、香港市場も休場とあって、早朝の145.00円を頭に調整売り。ダウ先物の下落につれた動きとなっています。
いずれにしても、先週から市場センチメントや前提が変わっているのは、日銀が物価目標達成の目処を1年も先送りさせたことによる、早期利上げ観測の大幅な後退と、強い米雇用統計を受けた米追加利下げ期待の明らかな後退。
Fedwatchによる6月FOMCでの据え置き観測の台頭から、市場の年内利下げ回数の認識も4回から3回へとドットチャートへのさや寄せが行われています。
米債券市場での前提の見直しによる全体的な利回りの急上昇をみても、その状況を確認することが出来ます。為替市場でも今後、この新たな前提をメインシナリオとしたポジション調整が進んでいくことになりそうです。
ベッセント米財務長官は週末のウォール・ストリート・ジャーナル紙で、アメリカの労働者階級復活を掲げた経済ビジョンを発表した。内容は1.関税による貿易再交渉、2.恒久的な減税、3.大規模な規制緩和の3本柱でトランプ政権の経済政策を正当化するもの。しかし、関税の消費者物価上昇や減税による財政赤字拡大、規制緩和だけで産業再興できる根拠の乏しさなど、具体的な課題や副作用には触れていない。「経済安全保障こそ国家安全保障」「エネルギー覇権」などスローガンは多いものの、実効性やデータの裏付けは弱く、2017年型のトリクルダウン政策の焼き直しとの批判も出ている。
ルーマニア大統領選が4日に行われ、極右・反EUのジョージ・シミオン氏が約40%の得票で首位となり、5月18日の決選投票進出を確実にした。中道のニクショル・ダン氏が20.9%で2位となり、伝統的与党候補アントネスク氏を抑えて決選進出を果たしました。シミオン氏はトランプ米大統領支持を公言し、ウクライナ支援やEU主導に批判的な立場。決選投票では、ナショナリズム路線と親欧米路線の対決となり、欧州やNATOの注目が集まっている。
フィナンシャル・タイムズ紙が報じたところによると、中国の輸出業者が米国のトランプ政権による高関税を回避するため、自国製品を第三国経由で「洗浄(ウォッシング)」し、原産地を隠して輸出する手法に光を当てている。この「第三国洗い」は以前から知られていたものの、近年ベトナムやメキシコ、マレーシアなどを経由するケースが増加し、米国当局も調査や摘発を強化。ただし、最新の研究では、この手法が広範囲に及んでいる証拠は限定的で、特定分野や一部企業で顕著に見られる傾向だと指摘されている。
「インフレはない。米連邦準備理事会(FRB)は金利を引き下げるべきだ!」
(トランプ米大統領)
2025年4月の米国の失業率は4.2%(※4.19%)となり、3月の4.2%(※4.15%)と変わらずとなり、就業者数は前月比43.6万人増加し、労働力に加わった51.8万人の大部分を吸収した。
非農業部門雇用者数は、前月比+17.7万人の増加となり、3月は速報値の+22.8万人から+18.5万人へ下方修正(▲4.3万人)され、2月は改定値の+11.7万人から+10.2万人へ下方修正(▲1.5万人)されたことから、合計で5.8万人の下方修正となった。
政府効率化省(DOGE)が連邦職員の削減計画を進めていることで、連邦政府職員は9000人減少して、2022年以降で初めて3カ月連続の減少(1月以降では2.6万人減少)となった。労働統計局は、有給で仕事を休んでいる職員や退職手当を受け取っている職員については雇用状態にあると見なしている。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、5月と6月FOMCでは据え置き見通しで、追加利下げの時期は7月、9月、10月の3回となり、12月時点では3.50-75%と見込まれている。
2021年の非農業部門雇用者数は723.3万人の増加となり、年間ベースで過去最大の伸びを記録し、月平均は60.3万人の増加だった。2022年平均は+38.0万人、2023年平均は+21.6万人、2024年平均は+16.8万人、2025年平均は+14.4万人と減少傾向が続いている。
1.家計調査(Household survey):失業率を算出(※6万世帯)
4月の失業率は4.2%(※4.19%)となり、3月の4.2%(※4.15%)から0.04%上昇した。労働参加率(就業者および求職者の合計である労働力人口の生産年齢人口に占める割合)は62.6%となり、3月の62.5%から上昇した。就業率は3月と変わらずの60.0%のままで、2024年11月以来の60%台を維持している。
失業者数は716.5万人となり、3月の708.3万人から8.2万人増加し、2020年2月の570万人を依然として上回ったままとなっている。労働力人口(1億7110万人)は、パンデミック(世界的大流行)前の水準(1億6458万人)を約652万人上回っている。
・不完全雇用率(U6):7.9%(3月8.0%、2月8.0%、1月7.5%:2020年5月21.1%)
(フルタイム雇用を望みながらパートタイム職に就いている労働者を含む広義の失業率)
・労働参加率:62.6%(3月62.5%、2月62.4%、1月62.6%:2020年2月:63.4%)
・長期失業者(27週以上):167.4万人(3月149.5万人:2020年2月112.1万人)
・黒人の失業率:6.3%(3月6.2%、2月6.0%、1月6.2%:2020年2月6.0%)
(※黒人の失業率は景気後退(リセッション)が近づく前に先行して上昇する傾向)
2.事業所調査(Establishment survey):非農業部門雇用者数(Non-Farm Payroll)(※12.2万の会社・政府機関)
4月の非農業部門雇用者数は、前月比+17.7万人の増加となり、52カ月連続での雇用拡大となった。平均時給は前月比+0.2%で、3月の+0.3%を下回り、前年同月比は+3.8%となり、3月から変わらずとなり、当面は消費支出と経済を支えるのに十分な水準となった。
民間部門の総賃金(雇用者数×週平均労働時間×時給)は前月比+0.2%で、3月の+0.7%を下回り、前年比は+5.3%となり、2024年3月以来の高い伸び率となった。
本日のロンドン為替市場のユーロドルは、ロンドン市場がアーリーメイバンクホリデーの休場で閑散取引が予想される中、欧米貿易交渉関連のヘッドラインに注目することになる。
今週、欧州連合(EU)は、米国との貿易協議を再始動させるための提案をまとめた文書をトランプ政権に提示する方針であり、文書には、貿易および非関税障壁の低減や対米投資の拡大、米国産の液化天然ガス(LNG)の購入などが盛り込まれる見通しとなっている。
EU側からの歩み寄りが窺える内容となっており、難航してきた欧米貿易交渉が合意に向けて前進するのか否か、関連ヘッドラインに注目しておきたい。
また、今週は、明日から欧州中央銀行(ECB)理事会の特別会合が開催される。通常の特別会合では、金融政策の協議は行われないが、ベッセント米財務長官がECBの追加利下げに言及していたことで、ECB高官の反応には警戒しておきたい。
市場では、年内2-3回程度の利下げが予想されている。
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1353ドル(日足一目均衡表・転換線)
・ユーロ円:164.63円(5/2高値)
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.1176ドル(日足一目均衡表・基準線)
・ユーロ円:162.91円(日足一目均衡表・転換線)
一部報道が伝えたところによると、欧州連合(EU)は2027年末までにロシアからのガス輸入を禁止する提案を計画しているようだ。
本日のNY為替市場のドル円は、米国の貿易交渉に関する報道に注意しつつ、米指標に注目することになろう。
米国では複数の指標発表が予定されているが、メインはやはり4月米ISM非製造業景況指数だろう。市場予想は50.2と前月50.8を下回る見通し。今後トランプ関税による景気への影響が懸念される中、好不況の分岐点とされる50を割り込むようならば、ドル売り材料となる可能性がある。反対に、前月を上回るなど予想外の結果となればドル買いでの反応も見込まれるが、トランプ関税による景気後退が懸念される中とあっては、前週2日の米4月雇用統計の様に一時的な反応に留まる恐れもあろう。
また、4月米サービス部門購買担当者景気指数(PMI)の発表もあるが、こちらは改定値のためよほど速報値から外れない限りインパクトは小さいと見る。そのほか主だった要人発言が予定されていない。
経済指標以外にも、米国の貿易交渉に関する報道にも、引き続き注意が必要である。先週は米中貿易摩擦の緩和期待を背景に、市場はリスクオンの流れとなった。現時点では両国間で何か合意に至ったわけではないため、発言一つでムードが変わる恐れがあることは念頭に置いた上で取引に臨みたい。
トランプ政権は3日に、輸入されるエンジンなど主要な自動車部品に対して25%の追加関税を課す措置を発動。日本や欧州などへの影響が懸念される。続いて4日にはトランプ大統領は「外国製作の映画に100%の関税課す方針」とするなど、火種は絶えない。米中に限らず、ひとたび関税戦争の激化を想起させる内容が伝われば、リスク回避ムードに戻される恐れがある点は注意したい。
想定レンジ上限
・ドル円は、現時点での本日高値145.00円
想定レンジ下限
・ドル円は、1日安値142.88円
今週のNY市場は貿易交渉の進捗に引き続き注目。先週はダウ平均が1203.93ドル高(+3.00%)、S&P500が2.92%高、ナスダック総合が3.42%高と主要3指数がそろって大幅に2週続伸した。マイクロソフトとメタ・プラットフォームズが好決算を発表し、AIラリーへの期待が再び高まったことに加え、関税問題について中国が米国との交渉のテーブルに戻る用意があることを示したことや、4月雇用統計で非農業部門雇用者数が市場予想を上回ったことで景気後退懸念が和らいだことが安心感につながった。S&P500は4月22日から週末2日まで9営業日続伸し、2004年11月以来、20年ぶりの長期連騰を記録。トランプ米大統領が4月2日に「相互関税」を発表して以来の下落幅を全て回復し、木曜日に全値戻しとなったナスダック総合に続いた。
今週は主要国との貿易交渉の進展具合が引き続き焦点となりそうだ。中国の動向が最大の注目点となるほか、カナダ、メキシコ、日本、EUなどとの貿易交渉での進展の有無がセンチメントに影響しそうだ。経済イベントでは、水曜日に結果が公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)が注目される。FOMCでは政策金利の据え置きが確実視されているが、年内の利下げ見通しを巡り、声明文やパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見が注目される。このほかの経済指標は4月ISM非製造業PMI、3月貿易収支、新規失業保険申請件数など。第1四半期決算はS&P500採用の約100銘柄が発表予定で、フォード、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ、ウォルト・ディズニー、オキシデンタル・ペトロリアムなどの結果やガイダンスに酔注目となる。
今晩の米経済指標・イベントは4月ISM非製造業PMIなど。企業決算は寄り前にオン・セミコンダクター、タイソン・フーズ、引け後にバーテックス・ファーマシューティカルズ、パランティア・テクノロジーズ、フォード・モーターなどが発表予定。
米財務省によると、3年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが3.824%、応札倍率(カバー)が2.56倍となった。
(5日終値:6日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=144.09円(5日15時時点比▲0.09円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.83円(▲0.58円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1299ドル(▲0.0034ドル)
FTSE100種総合株価指数:休場
ドイツ株式指数(DAX):23344.54(前営業日比△257.89)
10年物英国債利回り:休場
10年物独国債利回り:2.517%(▲0.016%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月スイス消費者物価指数(CPI)
前月比 0.0% 0.0%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は下値が堅かった。トランプ米大統領が海外製作の映画に100%の関税を課すと表明したことが嫌気されると、時間外のダウ先物が下落。欧州勢参入後もドル売りの流れが続いた。NY市場に入ってもドル売りが継続し、前週末の安値143.73円を下抜けると一時143.54円まで値を下げた。
ただ、一目均衡表転換線が位置する143.71円がサポートとして意識されると下げ渋った。23時発表の4月米ISM非製造業指数が51.6と予想の50.2を上回るとドルを買い戻す動きが活発化し、一時144.24円付近まで値を戻した。一時250ドル超下落したダウ平均が上げに転じたことも相場を下支えした。
・ユーロドルは上値が重かった。英国がアーリーメイバンクホリデーで休場のため、市場参加者が少ない中、全般ドル売りが先行。22時過ぎに一時1.1365ドルと日通し高値を付けた。ただ、前週末の高値1.1381ドルが目先レジスタンスとして意識されると失速した。予想を上回る米ISM非製造業指数も相場の重しとなり、3時過ぎには1.1297ドル付近まで下押しした。
なお、ベッセント米財務長官は「関税、減税、規制緩和は長期投資を促進する鍵」「(中国との交渉について)今後数週間で進展が見られる可能性」「貿易に関するいくつかの取引成立が非常に近い」などと述べたと伝わったが、相場の反応は限られた。
・ユーロ円は弱含み。ドル絡みの取引が中心となったこともあり、しばらくは163円台前半でのもみ合いが続いたものの、24時過ぎには一時162.78円と日通し安値を更新した。ドル円の下げ渋りにつれた買いが入った半面、ユーロドルの失速に伴う売りが出た。
・ロンドン株式相場はアーリーメイバンクホリデーのため休場となった。
・フランクフルト株式相場は9日続伸。米関税政策を巡る協議が進展するとの期待から独株にも買いが入った。2日発表された米雇用統計を受けて米経済の下振れ懸念が後退したことも投資家心理の改善につながった。個別ではラインメタル(3.24%高)やコメルツ銀行(2.92%高)、ミュンヘン再保険(2.73%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場で独国債が上昇した。
(5日終値)
ドル・円相場:1ドル=143.70円(前営業日比▲1.26円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.61円(▲1.19円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1315ドル(△0.0018ドル)
ダウ工業株30種平均:41218.83ドル(▲98.60ドル)
ナスダック総合株価指数:17844.24(▲133.49)
10年物米国債利回り:4.34%(△0.03%)
WTI原油先物6月限:1バレル=57.13ドル(▲1.16ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3322.3ドル(△79.0ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月米サービス部門PMI改定値
50.8 51.4
4月米総?⑰MI改定値
50.6 51.2
4月米ISM非製造業指数
51.6 50.8
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は続落。NY勢参入後もドル売りが継続し、前週末の安値143.73円を下抜けると一時143.54円まで値を下げた。
ただ、23時発表の4月米ISM非製造業指数が51.6と予想の50.2を上回るとドルを買い戻す動きが活発化し、1時30分過ぎに144.24円付近まで下げ幅を縮めた。一時250ドル超下落したダウ平均が上げに転じたことも相場を下支えした。
もっとも、ダウ平均が再び下げに転じるとドル円も頭が重くなった。5時過ぎには143.66円付近まで押し戻された。
・ユーロドルは小幅ながら続伸。英国市場が休場で市場参加者が少ない中、全般ドル売りが先行。22時過ぎに一時1.1365ドルと日通し高値を付けた。ただ、前週末の高値1.1381ドルが目先レジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。予想を上回る米ISM非製造業指数も相場の重しとなり、3時過ぎには1.1297ドル付近まで下押しした。
もっとも、週明け早朝取引で付けた日通し安値1.1295ドルが目先サポートとして働くと1.13ドル台前半まで持ち直した。
なお、ベッセント米財務長官は「関税、減税、規制緩和は長期投資を促進する鍵」「(中国との交渉について)今後数週間で進展が見られる可能性」「貿易に関するいくつかの取引成立が非常に近い」などと述べたと伝わったが、相場の反応は限られた。
・ユーロ円は続落。ドル円の下落につれた売りが出たほか、米国株安に伴う売りが出た。取引終了間際には一時162.58円と日通し安値を更新した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は10日ぶりに反落。トランプ米大統領が「海外製作の映画に100%の関税を課す」と表明したことが嫌気されて売りが先行すると一時250ドル超下落した。ただ、4月米ISM非製造業指数が予想を上回ると買い戻しが優勢となり、指数は上げに転じる場面もあった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は3日ぶりに反落した。
・米国債券相場で長期ゾーンは3日続落。4月米ISM非製造業指数が予想を上回ると債券売りが優勢となった。
・原油先物相場は続落。OPECと非加盟国のサウジアラビアなどが3日に、6月に日量41万1000バレルの追加増産を行うことで合意したことが報じられたことで、55ドル台まで下がるなど大幅安で始まった。ただ、ドル安により割安感で買い戻しも入り、下げ幅を縮めて引けている。
・金先物相場は続伸。対円を中心にドル安が進行すると、ドルで取引される金先物はアジア時間から割安感で買いが集まった。9日続伸していたダウ平均やS&P500が反落して始まると、更に上値を広げる場面もあったが、ダウ平均がプラス圏を回復したこともあり伸び悩んだ。
5日08:24 トランプ米大統領
「海外で製作された全ての映画に100%の関税を計画」
「今週、習主席と話す予定はない」
「中国と米国当局は異なることについて協議中」
「(今週の貿易協議について):成立する可能性は十分にある」
「今週にも貿易合意が成立する可能性がある」
「中国と公正な取引を望むが、中国は米国を食い物にしている」
5日17:48 台湾中央銀行
「台湾は為替レートを操作していない」
「米国は台湾ドルの切り上げを求めていない」
「近年、台湾の対米貿易黒字は拡大しているが、これは為替レート要因よりもむしろ、主に台湾の情報通信技術に対する米国の需要増加によるもの」
5日18:00 パネッタ伊中銀総裁
「保護主義によって景気が弱まる可能性がある」
6日00:07 ベッセント米財務長官
「関税、減税、規制緩和は長期投資を促進する鍵」
「税制改革により、中小企業向け減税が恒久化され、メインストリートの増税が阻止される」
「米国は世界資本の帰結点としての地位を固める」
「(中国との交渉について)今後数週間で進展が見られる可能性がある」
「貿易に関するいくつかの取引が非常に近い」
※時間は日本時間
<国内>
○みどりの日の振替休日で休場
<海外>
○10:30 ◎ 3月豪住宅建設許可件数(予想:前月比▲1.5%)
○10:45 ◎ 4月Caixin中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI、予想:51.8)
○14:45 ◇ 4月スイス失業率(季節調整前、予想:2.9%)
○15:45 ◇ 3月仏鉱工業生産(予想:前月比0.3%)
○16:00 ◎ パネッタ伊中銀総裁、講演
○16:50 ◎ 4月仏サービス部門PMI改定値(予想:46.8)
○16:55 ◎ 4月独サービス部門PMI改定値(予想:48.8)
○17:00 ◎ 4月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:49.7)
○17:30 ◎ 4月英サービス部門PMI改定値(予想:48.9)
○18:00 ◎ 3月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比▲1.4%/前年比2.5%)
○21:30 ◇ 3月カナダ貿易収支(予想:16.0億カナダドルの赤字)
○21:30 ◎ 3月米貿易収支(予想:1369億ドルの赤字)
○23:00 ◇ 4月カナダIvey購買部協会景気指数
○7日02:00 ◎ 米財務省、10年債入札
○独首相指名選挙
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
○韓国(こどもの日の振替休日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
5日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、143.54円まで続落した後、4月米ISM非製造業指数が51.6と予想の50.2を上回ったことで144.24円付近まで下げ幅を縮めた。ユーロドルは1.1365ドルまで上昇した後、予想を上回る4月米ISM非製造業指数を受けて1.1297ドル付近まで下押しした。
本日のアジア外国為替市場のドル円は、東京市場が休場のため動きづらい展開の中、昨日同様に台湾ドル(TWD)の動向を注視しながら、今夜からの米連邦公開市場委員会(FOMC)を待つ展開が予想される。
昨日は、東京、中国、香港市場が休場で閑散取引の中、台湾ドル(TWD)が米国との通商交渉での通貨協定(米ドル安・台湾ドル高)への警戒感から5%強上昇し、円買いに波及したことで本日も警戒しておきたい。
FOMCでは、米4月雇用統計(非農業部門雇用者数+17.7万人、失業率4.2%)を受けて、ほぼ政策金利の据え置きが見込まれ、さらに、6月のFOMCでも雇用統計発表前の利下げ観測が後退している。
IMMシカゴ筋は、今年1月にドル円が155円付近で推移していた頃、円の売り持ちポジションから買い持ちポジションに転換し、152円付近では過去最大規模に拡大して、先週4月29日時点(※NY終値:142.33円)では179,212枚まで過去最大を更新していた。その後、ドル円は、5月1日の日銀金融政策決定会合でのハト派的据え置きで、145円台後半まで上昇しており、一部手仕舞われた可能性があるため、今週末の商品先物取引委員会(CFTC)の発表を待ちたい。
シカゴ筋がドル売り・円買いのポジションに傾いた背景は以下の通りと思われるが、現状は、材料としてはやや弱まっている。
1)日銀の追加利上げ観測
2)FOMCでの追加利下げ観測
3)トランプ米政権によるドル安・円高誘導策(プラザ合意II、マールアラーゴ合意)
1)は、先週の日銀金融政策決定会合で、物価見通しが下方修正され、「賃金と物価の好循環」という文言が削除というハト派的な据え置きとなったことで、後退している。
2)は、米4月雇用統計を受けて、年4回の利下げ見通しが3回程度まで減っていることで、やや後退している。
3)は、トランプ米大統領やベッセント米財務長官は円安を牽制する発言を繰り返しているものの、7月8日に90日間の猶予期間が切れる相互関税交渉の結果待ちとなっている。
また、米中の関税交渉が進展するのではないかとの期待感も円安要因となっており、本日も関連ヘッドラインに警戒しておきたい。
5月2日の時点では、中国商務省報道官が、米国との通商協議の可能性を現在検討している、と述べ、「誠意」を示すよう米国に促した。また、中国は、約400億ドルの米国製品について、公式発表なしに関税の適用除外を開始した。さらに、米紙ウォールストリート・ジャーナルは、中国が通商交渉の開始に向けて、米国側に合成麻薬フェンタニルに関して提案を行うことを検討していると報じた。
しかし、昨日は、トランプ米大統領が「中国に関する最優先事項は公正な取引を確保すること」と述べつつも、「中国は米国を食い物にしている」と述べたことで、中国側が求めていた「誠意」が示されなかったことが米中関税交渉への警戒感を高めた。
昨日のドル円は週明け早朝の145.00円からポジション調整の売りが先行。アジア時間では、東京や香港、中国が休場となるなか、台湾ドルが対ドルで5%の急騰となるなど、流動性のないなかで全般ドル安が進むことになりました。
欧州時間は144円台半ばまで買戻される場面もみられましたが、その後はダウ先物が下落するにつれて先週末の安値143.73円を下抜けて一時143.54円まで値を下げました。NY時間に入ってからは4月米ISM非製造業指数が予想を上回る強い数字となると144.24円まで買戻されたものの、引けにかけてはダウ平均が下落に転じたこともあり143.66円まで再び戻り売りに押されたといったところです。
GW最終日のアジア市場では、東京勢不在のなか下値を試しましたが、昨日安値を下抜けることが出来ず買戻されていますが、いずれにしても、大きな方向感は出ないままとなっています。
昨日は、トランプ米大統領が「外国で制作された映画に100%関税をかける」と表明したり、「中国は米国を食い物にしている」などと誠意を示さない態度をとったことから、トランプ関税絡みでは市場としてはネガティブな反応が多かったわけですが、今後も発言に一喜一憂しながらも、最悪のリスクオフからの緩和を見守っていくことになります。
それよりも、今週は本日予定されている米10年債入札や明日のFOMCを経て、8日には米30年債入札が実施されるわけで、ただでさえ大型の起債が相次ぐなかで需給関係の緩みが意識されることになりそうです。ドル円は目先、一目転換線が位置する143.95円を意識する展開となっています。
香港金融管理局(HKMA)は3日、465億3900万HKドルの香港ドル売り・米ドル買いを実施したと発表した。為替相場がペッグ制の上限(1米ドル=7.75HKドル)に達したため、香港ドル高の進行を抑える為替介入を実施した。『香港経済日報』によると香港ドル売り介入は2020月10月以来およそ4年半ぶり。HKMAは5日にも95億3200万HKドル規模の香港ドル売り介入を行った。
2度の介入により計560億7100万HKドルが市場に供給され、民間銀行がHKMAに保有する決済性預金口座残高は7日に1008億4100万HKドルへ増加する。
香港ドルはペッグ制を採用しており、1米ドル=7.75-7.85香港ドルの範囲で米ドルに連動する。外国為替市場で香港ドル相場が下限か上限に達すると、香港の中央銀行にあたるHKMAが市場介入する。
1997年、橋本首相(当時)は米通商代表部(USTR)との自動車交渉が難航していた時、
「何回か財務省証券を売りたいという誘惑にかられたことがある」と述べた。
2025年5月2日、加藤財務相は、米国との関税交渉が難航している時、日本が保有する米国債について、「関税交渉のカードとしてはある」と述べた。しかし、5月4日には、「米国債の売却を日米関税交渉の手段とは考えていない」と撤回している。
1. 橋本首相の米国債売却発言(1997年6月23日)
橋本首相(当時)は、アメリカのコロンビア大学での講演を終えた後の質疑応答で、米国債のショートポジションで苦しんでいたヘッジファンド筋による誘導質問「米国債を売る誘惑にかられたことはありませんか?」に対して、「本当のことを申し上げれば、大量の米国債を売却しようという誘惑にかられたことは、幾度かあります」と述べた。
ドル円は115円台から114円台へ下落、ダウ平均は190ドル超の下落、米国債も下落し、米国債の売り持ちポジションで苦しんでいたヘッジファンドは、手仕舞うことができた。
橋本氏「この場には、アメリカ連邦政府の職員の方はいらっしゃいませんでしょうね。
本当のことを申し上げれば、われわれは、大量の米国債を売却しようとする気になったことは、幾度かあります。たとえば、ミッキー・カンターさんとやりあった時とか、アメリカが国際準備通貨としてのドルの役割を維持しようとしなかった時とかですね。米国債を保有することは、われわれにとって唯一の選択肢ではないのです。むしろ、米国債を売却して、金を購入することも、もうひとつの選択肢なのです。でも、日本がいったんそのようなことをしようとなれば、アメリカ経済に計り知れない衝撃を与えることになりますよね。そうじゃないですか?
多くの国が、米国債を、外貨準備高として、保有しています。 これらの国は、ドルが下落しても、米国債を買い続けるでしょうし、そのことは、アメリカ経済にとって、かなりの支えになるはずです。私は、そうなることを願っているのですが、アメリカが為替レートの安定性の維持に努力し、協力するであろうことは、かなり、明白なはずです。 ですから、われわれは、米国債を売却し、外貨準備を金に変えようとしたい誘惑に、屈服することはないでしょう。」
2.加藤財務相(2025年5月2日)
加藤財務相は、テレビの報道番組で、今後の関税交渉の中で米国債を安易に売らないと明言することは日本の手段の一つになり得るかどうかを問われ、「日本が保有する米国債は関税交渉のカードとしてはあるが、切るのか切らないのかは別の判断だ。日本政府による保有は米国を支援するために持っているわけではない」と述べた。
また、国会で米関税措置などに対応する財源として米国債を売却してはどうかと問われ、「外貨準備を取り崩して円貨に変えるのは円買い・外貨売りの介入と実質的に変わらず、慎重に考えていかなければならない。外貨資産は将来の為替介入に備えて十分な流動性確保が目的で、米国との関係で売却できないということはない」と述べた。
5月4日、加藤財務相は、日中韓ASEAN財務相・中央銀行総裁会議後に、日米関税交渉について「米国債の売却を日米関税交渉の手段とは考えていない」と述べている。
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日本の方がずっと移民がひどい。
東京大学の大学院の4割が中国人なので、2030年までに日本の官僚や議員や裁判官や医師などの日本の上級国民の4割が中国人になってるよ。
テレビ新聞は報道しない自由を使ってきたので、日本人は中国人に侵略支配されてきたことに何も気づいていないけど。
本日のロンドン為替市場のユーロドルは、欧米貿易交渉関連のヘッドラインに警戒しながら、パネッタ伊中銀総裁の講演や4月の欧独仏のサービス部門PMI改定値を見極めていく展開が予想される。
本日から明日にかけて欧州中央銀行(ECB)理事会の特別会合が開催される。通常の特別会合では、金融政策の協議は行われないが、ベッセント米財務長官がECBの追加利下げに言及していたことで、パネッタ伊中銀総裁の講演には注目しておきたい。
また、今週、欧州連合(EU)は、米国との貿易協議を再始動させるための提案をまとめた文書をトランプ政権に提示する方針であり、文書には、貿易および非関税障壁の低減や対米投資の拡大、米国産の液化天然ガス(LNG)の購入などが盛り込まれる見通しとなっている。
EU側からの歩み寄りが窺える内容となっており、難航してきた欧米貿易交渉が合意に向けて前進するのか否か、関連ヘッドラインに注目しておきたい。
4月のユーロ圏、独、仏のサービス部門PMI改定値では、トランプ関税による景況感の悪化が警戒される中、下方修正には警戒しておきたい。
4月の英サービス部門PMI改定値に関しても、8日のイングランド銀行金融政策委員会(MPC)を控えて、下方修正には警戒しておきたい。
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1399ドル(4/30高値)
・ユーロ円:164.63円(5/2高値)
・ポンドドル:1.3444ドル(4/29高値)
・ポンド円:192.92円(日足一目均衡表・雲の上限)
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.1176ドル(日足一目均衡表・基準線)
・ユーロ円:161.47円(日足一目均衡表・基準線)
・ポンドドル:1.3077ドル(日足一目均衡表・基準線)
・ポンド円:190.00円(4/30安値)
今週の日経225先物はトランプ関税の影響は警戒されるが、順調なリバウンドを継続するなかでショートカバーが入りやすい需給状況が見込まれる。5月2日に一時3万7000円を回復し、同水準に位置する75日移動平均線(3万7000円)を捉えた。祝日取引では3万7350円まで上昇する場面もみられ、同線を上抜いてきた。75日線での攻防を意識しつつも、ボリンジャーバンドの+2σ(3万7550円)と200日線(3万7660円)を射程に捉えてきた。3月26日につけた戻り高値の3万7970円が次第に意識されてくるとみられ、カバーの動きが強まりやすい。
日経平均株価は4月23日から5月2日まで7営業日続伸し、2600円あまり上昇した。その間、東証プライムの出来高が20億株を上回ったのは4月28日と30日の2日間のみであり、この両日は月末のドレッシング買いの影響であろう。それ以外はロングが指数を押し上げたというよりは、積極的な売買が手控えられるなかでショーカバーが中心だったことが窺える。
日経225先物は先週の上昇で13週線(3万6570円)を突破し、2日の取引終了後のナイトセッションで3万6670円まで売られる場面はあったものの、同線が支持線として機能していた。13週線と26週線(3万7670円)によるレンジが意識され、26週線を捉えてくるようだと52週線(3万7880円)が射程に入ってくる。2月第4週(25~28日)に26週、52週線を割り込んだ後は両線に上値を抑えられていただけに、これらを捉えてくるとショートカバーが本格化するとともに、新たなロングの動きが強まることになりそうだ。
トランプ米大統領は4日、製品の大半に145%の関税を課している対中関税について「どこかの時点で引き下げるだろう」と述べていた。一方で、自身のSNSで米国外で製作する全ての映画に100%の関税を課す方針を示しており、関税の影響がエンタメ市場にも広がりをみせてきた。5日の米国市場では、ネットフリックス<NFLX>やウォルト・ディズニー<DIS>、パラマウント・グローバル<PARA>、ワーナー・ブラザーズ・ディスカバリー<WBD>が売られ、NYダウ、S&P500指数は10営業日ぶりに下落した。トランプ大統領によるSNS投稿はアルゴリズム発動のトリガーになる可能性がある点には注意しておきたい。
6~7日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。政策金利は据え置きがコンセンサスであるが、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の記者会見などを見極めたいとするムードも強く、積極的なロングは入りにくいだろう。国内では8日にトヨタ自動車<7203.T>[東証P]、任天堂<7974.T>[東証P]、コナミグループ<9766.T>[東証P]、9日にリクルートホールディングス<6098.T>[東証P]、三井不動産<8801.T>[東証P]などの決算発表が予定されている。今週末から来週に決算発表のピークを迎えることから、様子見姿勢が強まると、利益確定に伴うロング解消の動きが勢いを増す可能性もある。
そのため、日経225先物は75日線水準での攻防を意識しつつ、200日線とのレンジになりそうだ。オプション権利行使価格では3万6625円から3万7625円のレンジを想定する。3万7000円処での底堅さが意識される局面では、52週線を意識した3万7000円から3万8000円へとレンジが引き上げられよう。
先週末のNT倍率は先物中心限月で13.69倍(1日は13.61倍)に上昇した。ボリンジャーバンドの+1σ突破から+2σ(13.70倍)水準まで切り上がってきている。週足では1月下旬以降、上値を抑えられていた13週線(13.74倍)に接近してきた。同線を上抜けてくるようだと、NTショートを巻き戻す動きが強まりそうだ。
4月第4週(4月21日-25日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では2週連続の買い越しであり、買い越し額は5242億円(4月第3週は3452億円の買い越し)だった。なお、現物は2881億円の買い越し(同1503億円の買い越し)と4週連続の買い越しであり、先物は2360億円の買い越し(同1948億円の買い越し)と2週連続の買い越し。個人は現物と先物の合算で4710億円の売り越しと3週連続の売り越し。信託銀行は現物と先物の合算で1865億円の売り越しとなり、3週ぶりの売り越しだった。
主要スケジュールでは、6日に中国4月財新サービス業PMI、米国3月貿易収支、7日にFOMC終了後に政策金利、パウエルFRB議長記者会見、8日に日銀金融政策決定会合議事要旨(3月18・19日開催分)、イングランド銀行政策金利、米国1-3月期非農業部門労働生産性指数、9日にオプションSQ、3月全世帯家計調査、3月景気動向指数、中国4月貿易収支などが予定されている。
本日のニューヨーク為替市場では、トランプ関税を巡る市場全般のリスクセンチメントを測りながらの取引か。またカナダドルは、ホワイトハウスで行われる予定の米加首脳会談が注目される。
昨日もベッセント米財務長官が、中国との貿易協議について「今後数週間で進展が見られる可能性」と言及したものの相場の反応は限られた。それよりも、米中首脳会談を否定したトランプ米大統領が「中国は米国を食い物にしている」と述べたことが嫌気されたもよう。一時高まった米中貿易摩擦の緩和期待がしぼみ、先週進んだリスク志向の動きが後退した。
トランプ大統領の発言はこれまでも二転三転しているため、さすがに相場もその都度反応することに疲れてきたもよう。このところ通商合意に期待を持たせる言葉も多かったため、逆に梯子を外されたときの失望は大きいかもしれない。なお同大統領は昨日、海外で製作された映画に100%関税を課すと述べ、こちらも相場を困惑させている。
ドル円は欧州前半に1日安値142.88円に迫る水準まで下落した。同日は日銀会合の結果公表や植田日銀総裁の会見を経て早期利上げ観測が後退し、ドル高円安が大きく進んだ日だ。その上げ幅をほぼ吐き出したことになる。
円高が進行した要因の1つは、台湾ドルを始めとするアジア通貨高にもありそうだ。本日は台湾ドル買いが一服したものの、月初来では対ドルで5%超上昇した水準にいる。香港ドルも香港金融管理局(HKMA)の大規模な香港ドル売り介入にもかかわらず、許容変動幅の上限付近から脱出できていない。暫くはアジア通貨に絡んだニュースを注視する必要があるだろう。
本日はカーニー加首相がホワイトハウスを訪れて、トランプ米大統領と会談する。先のカナダ総選挙でカーニー首相率いる自由党が勝利した大きな要因は、米大統領に対する加首相の断固たる態度とされている。そのため、両首脳が簡単に歩みよることはなさそうであり、本日の大きな進展は期待できそうにない。しかしながら、同盟国・隣国、重要な貿易相手国として新たな関係を構築すべきという考えもあるだろう。関係改善の兆しが見えれば、ひとまずカナダドルにとってポジティブと受けとめられるのではないか。
想定レンジ上限
・ドル円、本日高値144.28円
・カナダドル円、ピボット・レジスタンス1の104.65円
想定レンジ下限
・ドル円、4月29日安値141.97円
・カナダドル円、4月29日安値102.50円
ドイツ議会は、2回目の投票でメルツ氏を首相に選出した。
日経平均株価は7日続伸。マド開けを伴う買い先行から上値を伸ばす堅調な展開となった。心理的節目である37000円をつけることはできなかったが、連休前に大きくだれることなく陽線を形成して終えた。
RSI(9日)は前日の83.5%→83.6%(5/2)に横ばい。連休明けは上昇しやすいタイミングとなり、短期的な相場の見方に変化はない。直近高値更新が続いており、4/7安値(30792円)を起点とした目先波動は上昇継続の判断となる。
3/31の下落で形成したマド埋め(36864円)を達成し、次は75日移動平均線(37152円 5/2)や一目均衡表の雲下限(37592円 同)がターゲットになる。
一方、25日移動平均線(34688円 同)はまもなく下向きが横ばいに変化する可能性はあるが、同線との離れが株価の上値を抑える要因になるほか、基準線(34325円 同)の下向きが続くことで、揺り戻しの調整シナリオも想定できる。
上値メドは、心理的節目の37000円、75日移動平均線、心理的節目の37500円、100日移動平均線(37713円 同)、200日移動平均線(38003円 同)などがある。下値メドは、5日移動平均線(36174円 同)、10日移動平均線(35401円 同)、心理的節目の35000円、25日移動平均線、心理的節目の34500円、4/22高値(34340円)などがある。
米財務省によると、10年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが4.342%、応札倍率(カバー)が2.60倍となった。
(6日終値:7日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=142.51円(6日15時時点比▲1.28円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.95円(▲0.79円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1364ドル(△0.0046ドル)
FTSE100種総合株価指数:8597.42(前営業日比△1.07)
ドイツ株式指数(DAX):23249.65(前営業日比▲94.89)
10年物英国債利回り:4.514%(△0.006%)
10年物独国債利回り:2.540%(△0.023%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月スイス失業率
2.8% 2.9%
3月仏鉱工業生産
(前月比) 0.2% 1.0%・改
4月仏サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値
47.3 46.8
4月独サービス部門PMI改定値
49.0 48.8
4月ユーロ圏サービス部門PMI改定値
50.1 49.7
4月英サービス部門PMI改定値
49.0 48.9
3月ユーロ圏卸売物価指数(PPI)
(前月比) ▲1.6% 0.2%
(前年比) 1.9% 3.0%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ユーロドルは底堅い動き。ドイツ連邦議会ではこの日、首相就任を目指していた「キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)」のメルツ氏が1回目の投票で選ばれない異例の事態となった。独政治の先行き不透明感が意識されて、一時1.1305ドル付近まで下押しする場面があった。
ただ、2回目の投票でメルツ氏が首相に選出されたことが伝わると、独政局不安が後退しユーロ買いで反応。カナダドルやメキシコペソなど北米の2通貨に対してドル安が進んだ影響も受けて、一時1.1370ドルと日通し高値を更新した。
・カナダドルやメキシコペソは強含み。トランプ米大統領がカーニー加首相との会談後に開いた記者会見で「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の再交渉が始まる可能性」「カナダと友好関係を築くだろう」などと述べたことを受けた。カナダドルは対米ドルで一時1.3751カナダドルまで買われ、昨年10月中旬以来の高値を更新。また、メキシコペソは対ドルで一時19.6219ペソまで買われた。
・ドル円は下げ渋り。米関税政策への警戒感が根強い中、欧州株相場や時間外のダウ先物が下落するとリスク・オフの円買い・ドル売りが先行。現物のダウ平均が一時450ドル超下落するなど、米国株相場が軟調に推移したことも相場の重しとなり、23時前に一時142.36円と日通し安値を更新した。
ただ、4月30日の安値142.17円が目先サポートとして意識されると下げ渋った。ダウ平均が50ドル安程度まで下げ幅を縮めたことも相場を下支えした。
・ユーロ円は弱含み。ドル円の下落につれた円買い・ユーロ売りが先行すると、22時過ぎに一時161.60円と本日安値を付けた。ただ、ドル円の下げ渋りにつれた買いが入ると162.14円付近まで下げ幅を縮めた。
・ロンドン株式相場は小幅ながら16日続伸。7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)や8日の英中銀金融政策委員会(MPC)を控えて様子見ムードが強く、大きな方向感は出なかった。コンパス・グループやネクストなど一般消費財サービスが買われたほか、セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株が値上がりした。
・フランクフルト株式相場は10日ぶりに反落。米関税政策への警戒感が根強い中、売りが優勢となった。足もとで相場上昇が続いていただけに、利益確定目的の売りも出やすかった。個別ではバイヤスドルフ(4.14%安)やザランド(3.35%安)、インフィニオン・テクノロジーズ(2.46%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は下落した。
【来週の見通し】
堅調か。月曜と火曜が休場で立ち合いは3日。国内では引き続き決算発表が多く、トヨタ、任天堂、IHIなど売買代金上位の常連銘柄が発表を予定している。個別物色が活況となることで、楽観ムードの強い地合いが続くだろう。イベントとしてはFOMC(5/6~5/7)が注目されるが、今回は政策金利の据え置きが濃厚とみられている。直近でトランプ大統領のFRB批判がトーンダウンしていることもあり、FOMCは大きな波乱なく通過する公算が大きい。日経平均は5月2日まで7日続伸しており、反動には一定の警戒を払う必要があるものの、下げたとしても初押しになるだけに、直近の上昇に乗り遅れた投資家からの買いが入りやすい。円安期待も高まる中、売りをこなしながらもう一段上を試す展開を予想する。
【今週を振り返る】 大幅高となった。米国株の動きが良くなり、日本株もこれと歩調を合わせて水準を切り上げた。週明けの4月28日の日経平均は前週末の米国株高を追い風に3桁の上昇。休場を挟んで30日も3桁の上昇となり、終値で36000円を上回った。5月に入り1日は上昇して始まった後、日銀金融政策決定会合の結果を受けて後場に入って一段高。追加利上げのハードルが高いとの見方が強まり、為替市場で円安が進んだことが株価を押し上げた。2日も米国株高や円安を好感して大幅上昇。5月2日まで7日続伸となり、この7日間全てで3桁の上昇となった。日経平均は週間では1124円の上昇となり、週足では4週連続で陽線を形成した。
(6日終値)
ドル・円相場:1ドル=142.45円(前営業日比▲1.25円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.98円(▲0.63円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1370ドル(△0.0055ドル)
ダウ工業株30種平均:40829.00ドル(▲389.83ドル)
ナスダック総合株価指数:17689.66(▲154.58)
10年物米国債利回り:4.29%(▲0.05%)
WTI原油先物6月限:1バレル=59.09ドル(△1.96ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3422.8ドル(△100.5ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月米貿易収支
1405億ドルの赤字 1232億ドルの赤字・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は3日続落。米関税政策への警戒感が根強い中、ダウ平均が一時450ドル超下落するとリスク回避の円買い・ドル売りが先行。23時前に一時142.36円と日通し安値を更新した。
ただ、4月30日の安値142.17円が目先サポートとして意識されると下げ渋った。ダウ平均が50ドル安程度まで下げ幅を縮めたことも相場を下支えし、一時143.03円付近まで値を戻した。
もっとも、ダウ平均が再び弱含むとドル円の上値も重くなった。好調な米10年債入札をきっかけに米長期金利が低下に転じたことも相場の重しとなり、4時30分過ぎには142.36円付近まで押し戻された。
・ユーロドルは3日続伸。ドイツ議会の第2回首相指名投票で「キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)」のメルツ氏が首相に選出されると、独政局不安が後退しユーロ買いが先行。米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りも入り、一時1.1381ドルと日通し高値を更新した。
主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時99.17まで低下した。
・カナダドルやメキシコペソは上昇。トランプ米大統領がカーニー加首相との会談後に開いた記者会見で「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の再交渉が始まる可能性」「カナダと友好関係を築くだろう」と発言したことなどを受けた。カナダドルは対米ドルで一時1.3751カナダドルまで買われ、昨年10月中旬以来の高値を更新。また、メキシコペソは対ドルで一時19.6219ペソまで買われた。
・ユーロ円は3日続落。ドル円の下落につれた売りが出ると、22時過ぎに一時161.60円と本日安値を付けた。ただ、そのあとはドル相場となったことで162.00円を挟んだもみ合いに終始した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は続落。トランプ米政権の高関税政策への懸念が根強い中、売りが優勢となった。明日7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)結果公表を前に持ち高調整目的の売りも出た。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も続落。決算発表をきっかけに売りが強まったパランティア・テクノロジーズが12%超の急落となった。
・米国債券相場で長期ゾーンは4日ぶりに反発。しばらくはもみ合いの展開が続いていたが、10年債入札が「堅調」だったことが分かると買いが優勢となった。
・原油先物相場は3日ぶり反発。OPECプラスの追加増産で大幅に続落した後だったこともあり、本日は調整の買い戻しが優勢となった。また、多くの通貨でドル売りが進んだことで、ドルで取引される原油先物は割安感からも買いが集まりやすかった。
・金先物相場は大幅に3日続伸。遅々として進まない米中通商協議への不安感や、明日結果が発表されるFOMCを前にリスク回避の動きで金先物は3日続伸した。ドルが多くの通貨で軟調な動きをみせたことで、ドルで取引される金先物に割安感が出たことも相場を支えた。
一部通信社が報じたところによると、「インドはパキスタンのテロ組織キャンプへの攻撃を実施した」ようだ。
6日08:28 ジョンソン米下院議長
「トランプ米大統領の税制改革法案の26日前後の可決を目指す」
6日16:47 シュレーゲル・スイス国立銀行(スイス中銀、SNB)総裁
「現在の最大の課題は不確実性」
「物価安定という我々の使命に引き続きコミットしている」
「必要であれば為替市場に介入する準備はできている」
「マイナス金利を排除せず」
「誰もマイナス金利を好まないが、もし必要であれば再び実施する用意がある」
「不確実性のため、スイス成長が鈍化する可能性」
「暗号資産は、外貨準備としては価格変動が大きすぎる」
6日16:59 香港金融管理局(HKMA)
「米国債保有のデュレーション(期間)を縮小している」
「香港の為替基金は、米ドル以外の資産への分散を進めている」
「投資ポートフォリオにおける通貨エクスポージャーの分散を進め、リスク管理を行っている」
6日23:20 ベッセント米財務長官
「中国との交渉はまだ、多数国から良いオファーがある」
「貿易協定は早ければ今週中に締結される可能性がある」
「データには米国が景気後退に陥っていることを示すものは何もない」
7日01:12 トランプ米大統領
「月曜の(中東への)出発前に重大発表 を行う」
「発表はこの上なく大きなものだ」
「中国経済は米国との貿易停滞で苦しんでいる」
「米国の対中赤字は関税で変わりつつある」
「中国は交渉を望んでおり、我々は適切な時期に会うことになるだろう」
「自動車産業のビジネスを守りたい」
「膨大な数の企業が米国に進出している」
「USMCAは依然として非常に効果的」
「USMCAは移行措置だった」
「カナダが51番目の州になれば、大幅な減税と軍事費の免除が実現するだろう。カナダにとって、はるかに良いことだと思う」
「今後数日間の発表は必ずしも貿易に関するものではない」
※時間は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○07:45 ◎ 1-3月期ニュージーランド(NZ)失業率(予想:5.3%)
◎ 就業者数増減(予想:前期比0.1%/前年比▲0.5%)
○15:00 ◎ 3月独製造業新規受注(予想:前月比1.3%/前年同月比1.2%)
○15:00 ◎ 4月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.3%/前年比0.5%)
コア指数(予想:前月比0.4%/前年比2.5%)
○15:45 ◇ 3月仏貿易収支
○15:45 ◇ 3月仏経常収支
○17:30 ◎ 4月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:45.8)
○18:00 ◎ 3月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比横ばい/前年比1.6%)
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○未定 ◎ ポーランド中銀、政策金利発表(予想:5.25%に引き下げ)
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○8日03:00 ◎ 4月ブラジル貿易収支(予想:82.96億ドルの黒字)
○8日03:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表(予想:4.25-4.50%で据え置き)
○8日03:30 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○8日04:00 ◇ 3月米消費者信用残高(予想:95.0億ドル)
○8日06:30 ☆ ブラジル中銀、政策金利発表(予想:14.75%に引き上げ)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
一部報道によると、ベッセント米財務長官とグリア米通商代表部(USTR)代表は貿易交渉開始に向け中国当局者と会談すると報じられた。
昨日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3日続落した。ダウ平均が一時450ドル超下落するとリスク回避の円買い・ドル売りが先行し一時142.36円と日通し安値を更新した。ユーロドルはドイツ議会の第2回首相指名投票で「キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)」のメルツ氏が首相に選出されると、独政局不安が後退しユーロ買いが先行した。米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りも入り、一時1.1381ドルと日通し高値を更新した。ユーロ円はドル円の下げにつられ161.60円まで下押した。
東京タイムでは主な指標発表や注目のイベントは予定されておらず、ドル円は連休明けの日本株の動向を睨んだ動きになりそうだ。連休中に米株は続落し、ドル安・円高に振れたこともあり、日本株の軟調な動きが見込まれる。また、週明けから不安定な推移になっているアジア通貨の動きにも注目。市場では中国が米国との貿易交渉の一環として人民元相場の上昇を容認するとの臆測や、米国が2カ国間の貿易協議で東アジアでの通貨高を促す可能性があるとの観測も出ている。本日の東京早朝には一部報道で、ベッセント米財務長官とグリア米通商代表部(USTR)代表は貿易交渉開始に向け中国当局者と会談すると報じられ、中国外務省も中国の何副首相がベッセント米財務長官と会談すると明らかにし、いよいよ米中交渉が本格的に始まりそうだ。
4月末に日銀の金融政策決定会合や植田日銀総裁の会見を受けて日銀の利上げ期待は大きく後退し、これまで円高を支えた大きな要因が薄れたが、ドル円の下方向への圧力が強く、どれだけドル売り圧力が強いかを示唆している。米債・米株売りは一巡するも、ドル安地合いは続いており、ドルの信認が低下していることが示されている。金融市場全体を動かしている最大の要因は引き続き「関税の不確実性」であり、トランプ関税関連の短期的なニュースや推測によって神経質な動きは続くだろう。関税関連のヘッドラインに左右される相場が続いているが、一部ではトランプ米政権が7日にも半導体関税を発表するとの観測も出ている。
本日の注目イベントは米連邦公開市場委員会(FOMC)である。「相互関税」発動後初のFOMCとなるが、トランプ米政権の高関税政策が雇用や物価に与える影響を慎重に見極めるため、3会合連続で政策金利を据え置くことが見込まれている。米景気の先行きに対する不透明感は強まっているものの、4月の米雇用統計で非農業部門の就業者数は前月比17.7万人増と市場予想を上回り、失業率も4.2%と低水準を維持するなど、現時点で利下げを急ぐ材料は乏しい。トランプ米大統領は米連邦準備理事会(FRB)に繰り返し利下げを求め、パウエルFRB議長を「遅すぎる男」と痛烈に批判しており、FOMCの結果やパウエルFRB議長の会見内容次第では再び解任をちらつかせることもあり得るか。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 36710 -100 (-0.27%)
TOPIX先物 2682.5 -4.5 (-0.16%)
シカゴ日経平均先物 36750 -60
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
6日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落。トランプ米大統領が5日、医薬品の関税に関し2週間以内に発表すると述べた。また、中国との貿易交渉に具体的な進展がみられないほか、カナダとの首脳会談では関税については何も決定されなかったと明らかにするなど、米国の貿易政策を巡る不透明感が重荷になった。米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表を翌日に控えていることも、持ち高調整の売りに向かわせた。
S&P500業種別指数は、電気通信サービス、公益事業、保険が上昇した一方で、医薬品・バイオテクノロジー、耐久消費財・アパレル、自動車・同部品の下げが目立った。NYダウ構成銘柄では、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>、マクドナルド<MCD>、セールスフォース<CRM>が買われた。半面、メルク<MRK>、アムジェン<AMGN>、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、シャーウィン・ウィリアムズ<SHW>、ハネウェル・インターナショナル<HON>が下落。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比60円安の3万6750円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは日中比50円高の3万6860円で始まり、上げ幅を広げ3万7350円まで買われる場面もみられた。買い一巡後は3万7050円~3万7200円処で保ち合いを継続。その後、レンジを切り下げ、3万6750円~3万7020円辺りで推移したが、終盤にかけて3万6640円まで売られ、3万6710円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや売り先行で始まりそうだ。祝日取引で3万7350円まで買われ、75日移動平均線(3万6990円)を上回ったが、同線をキープできなかった。75日線が抵抗線として意識される可能性があり、3万7000円辺りでは戻り待ち狙いのショートが入りやすいだろう。
ただし、週足では前週の上昇で13週線を突破しており、同線が位置する3万6420円辺りが支持線として機能することが見込まれる。そのため、オプション権利行使価格の3万6500円から3万7000円のレンジを想定。トランプ関税を巡る不確実性により積極的なロングは手控えられるものの、押し目狙いのロング対応に向かわせそうだ。75日線を捉えてくる局面ではショートカバーの動きが強まりやすいと考えられる。
3万7000円を捉えてくると、200日線(3万7660円)とのレンジに移行する可能性もありそうだ。週足では13週線と26週線(3万7670円)によるレンジが意識され、26週線クリアを試すようだと52週線(3万7880円)が射程に入ってくるとみておきたい。
6日の米VIX指数は24.76(5日は23.64)に上昇した。ただし、2日に一時22.34まで下げており、75日線(22.55)を下回る場面もみられていたため、いったんはリバウンドが意識されやすいところだろう。トランプ関税の影響を警戒しつつも、同線を明確に割り込んでくると、25日線(19.59)が射程に入ってくるとみられ、リスク後退にはつながらない。
先週末のNT倍率は先物中心限月で13.69倍(1日は13.61倍)に上昇した。ボリンジャーバンドの+1σ突破から+2σ(13.70倍)水準まで切り上がってきている。週足では1月下旬以降、上値を抑えられていた13週線(13.74倍)に接近してきた。同線を上抜けてくると、NTショートの巻き戻しが強まりそうである。
東京市場は堅調か。休場の間の米国株は、2日は大幅高となった一方、5日と6日は下落した。ダウ平均は2日に564ドル高、5日に98ドル安となり、6日は389ドル安の40829ドルで取引を終えた。2日は市場予想を上回る4月雇用統計を受けて景気後退懸念が和らぎ、強い買いが入った。一方、関税交渉を巡る不透明感から、5日と6日は売りが優勢となった。ドル円は足元143円10銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて60円安の36750円、ドル建てが10円高の36820円で取引を終えた。
ダウ平均は1日の終値40752ドルとの比較ではややプラス。6日の下げの度合いは大きいものの、休場前の水準から大きく変化しておらず、ネガティブな影響は限定的とみる。ドル円は先週末との比較では円高に振れているが、本日の朝方にはベッセント米財務長官とグリア米通商代表部(USTR)代表が中国当局者と会談するとの報道が出てきており、142円台で推移していたところからは円安に傾斜している。休場前の日経平均は7日続伸と強い動きが続いており、米中交渉進展期待を好感した買いが入るだろう。引き続き決算を材料に個別物色の活況が見込まれる中、場中も売り急ぎが手控えられて、しっかりとした動きになると予想する。日経平均の予想レンジは36700円-37300円。
昨日の海外市場では、ドル円は欧州株やダウ先物の下落につれて戻り売りが先行。欧州時間に入って143.35円まで買戻される場面もみられましたが、現物のダウ平均が450ドルを超える下落となると1日の安値142.88円を下抜けて一時142.36円まで下落。株価が下げ幅を消す動きとなるにつれて143.03円まで値を戻したものの、NY時間午後に入って米10年債入札が海外勢の引き合いが非常に強く、結局1.2bpのストップスルーとなると米10年債利回りが4.2946%まで急低下。引けにかけては再び142.36円の安値まで値を下げました。
GW明けの東京市場では、早朝に米中の貿易協議が週末のスイスで開催されることが判明。一気に143.31円まで買い上げられることになりましたが、仲値以降は目立ったフローも観測されないなか143.00円を挟んだもみ合いに終始しているといったところです。
いずれにしても、昨日もお伝えしたように、トランプ関税にかかる市場の反応は、米トリプル安という最大限の拒否反応を既に示しているわけで、これらの再現を最も恐れているトランプ政権にあっては、市場が予想している以上に緊張緩和方向に舵を切っている可能性が高く、市場としてもいたずらにリスクオフを煽ったところで、あくまでも超短期的な反応を除いては、既にその合理性を見いだせないでいるのかもしれません。ドル円は目先、欧州時間の高値143.35円を意識しつつ、一目転換線の位置する143.95円がポイントとなっています。
日経225先物は11時30分時点、前日比30円高の3万6840円(+0.08%)前後で推移。寄り付きは3万7100円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万6750円)を上回り、買い先行から始まった。ただし、寄り付きを高値に軟化し、中盤にかけて3万6760円まで売られる場面もみられた。売り一巡後は再びプラス圏を回復するなど、終盤にかけては3万6800円~3万6850円辺りでの推移をみせている。
ベッセント米財務長官とグリア通商代表が10日と11日にスイスで中国側の代表と貿易問題について協議すると報じられるなか、ロング優勢で始まった。ただし、トランプ米大統領は外国で制作される映画に100%の関税を課す方針を示したほか、今後2週間以内に医薬品への関税について発表すると述べており、関税を巡る不透明感から積極的なロングは限られている。
日経225先物は寄り付きで75日移動平均線(3万6990円)を上回ったが、同線をキープできず、3万7000円近辺で短期的なショートが入りやすい。もっとも、ショートを仕掛けてくる動きも限定的であり、米中協議への期待から押し目狙いのロング対応に向かわせよう。
NT倍率は先物中心限月で13.47倍に低下。13.70倍と小幅に上昇して始まったが、その後は前週末の安値水準まで下げてきた。ボリンジャーバンドの+1σ(13.64倍)と+2σ(13.71倍)でのレンジで推移しており、+1σまで下げたことで、NTショートを巻き戻す動きが意識されそうだ。
「日本は、夏の参院選前に米国との貿易協定の枠組みの策定を望んでいる」
(ベッセント米財務長官)
1.トランプ米大統領(4月20日)
トランプ米大統領は、4月20日午後(日本時間21日午前)、自身のソーシャルメディア・プラットフォーム「トゥルース・ソーシャル」に非関税貿易障壁のごまかし(Non-Tariff cheating)と題した投稿を行った。
1)為替操作
2)関税および輸出補助金として作用する付加価値税(VAT)
3)コストを下回るダンピング(不当廉売)
4)輸出補助金および他の政府補助金
5)保護的な農業基準
6)保護的な技術規格(ボーリングのボールを使った日本の検査)
7)偽造、著作権侵害、知的財産の窃盗
8)関税逃れのための積み替え
2. 第1回日米通商交渉(4月16日)
赤沢経済再生相は、ベッセント米財務長官、ラトニック米商務長官、グリア通商代表部(USTR)代表らと第1回日米通商交渉を行い、以下の合意に達した。
1)今月中に閣僚レベルで次回協議を行う方向で調整する
2)日米双方が率直かつ建設的な姿勢で協議に臨み、可能な限り早期に合意し、首脳間で発表できるよう目指す
3)事務レベルでの協議も継続する
赤沢経済再生相は、「今回の協議で通貨政策が議題に上ったのか?」との質問に対しては「為替については出ませんでした」と、なぜか2度も繰り返し否定した。
3. 第2回日米通商交渉(5月1日)
赤沢経済再生相は、米国との2回目の関税協議後に記者会見し、「両国間の貿易拡大、非関税措置、経済安全保障面の協力など具体的な議論を進めた」と語った。3日から事務レベルの協議を始め、5月中旬以降に次回の閣僚協議を開くとの見通しを示した。
・自動車、自動車部品、鉄鋼、アルミニウムに対する追加関税措置の撤廃を求めた
・日米両国とも守るべき国益があり、事務方で詰める、積み上げることがある
米国は、交渉対象は相互関税(日本24%)のうち一律適用(10%)を除いた追加分の14%で、関税で「合意枠組み案」を提示し、自動車や鉄鋼は交渉外の意向、と報じられている。
ロンドンタイムは、序盤の3月独製造業新規受注ほか欧州経済指標の発表はいくつかあるものの、動意材料になりにくいだろう。市場の視線はNYタイムに控える米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表に向きがちとみる。
中国人民銀行(PBOC)が7日物リバースレポ金利を1.5%から1.4%に引き下げ、預金準備率の0.5ポイント引き下げると発表したため、中国の流動性拡大策が参入してくる欧州勢の動き出しへどのように影響するかには一応留意したい。中国経済の行方に影響を受けやすい欧州、特に中国への輸出依存度が大きいとされる独製造業の輸出動向に関する思惑を刺激する可能性がある。
独経済の動向はユーロ圏の全体的な成長の行方を見定める際の重要な要素となる。欧州勢を中心とした市場参加者の連想がどこまで通貨ユーロなど欧州関連資産の動向に波及するかは不確かだが、FOMCを控えて手控え感もある市場で、欧州通貨買いで参入する向きのフローが強まる展開などの有無を確認したい。
想定レンジ上限
・ユーロドル:4月23日高値1.1440ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル:4月11日安値1.1191ドル。
ドル円:1ドル=143.05円(前営業日NY終値比△0.60円)
ユーロ円:1ユーロ=162.58円(△0.60円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1365ドル(▲0.0005ドル)
日経平均株価:36779.66円(前営業日比▲51.03円)
東証株価指数(TOPIX):2696.16(△8.38)
債券先物6月物:140.81円(▲0.38円)
新発10年物国債利回り:1.295%(△0.035%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は強含み。米中が週末に貿易問題を巡ってスイスで閣僚級会議を開くとの発表を受け、米中貿易摩擦が緩和に向かうとの期待から143.31円まで買いが先行した。その後は143.00円を挟んだ水準でのもみ合いとなっていたが、14時前には143.33円までわずかに本日高値を更新。もっとも、今晩の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて積極的に上値を試す動きにはならなかった。
・ユーロ円も強含み。朝方からドル円の上昇につれて円売り・ユーロ買いが入った。その後もドル円の高止まりにくわえ、次第にユーロドルが下値を切り上げた影響から底堅い地合いを維持し、一時162.63円まで上値を伸ばした。
・ユーロドルは下げ渋り。朝方に米中通商協議への期待感からドル買いが強まった場面では1.1326ドルまで下振れた。ただ、1.13ドル台前半で下値の堅さを確認すると徐々に買い戻しが入り、15時過ぎには1.1373ドル前後まで下値を切り上げた。
・日経平均株価は8営業日ぶりに小反落。前日の米国株式相場が下落した影響を受けたほか、連休中の外国為替市場が円高方向に振れたことで輸出関連株に買いが入りづらかったことも相場を重くした。一方で、米中貿易摩擦の緩和期待が投資家心理の改善に寄与。結果的に指数は前週末終値を挟んだ水準で方向感が出にくかった。
・債券先物相場は5営業日ぶりに反落。米中貿易摩擦の緩和期待から安全資産とされる債券には売りが出た。また、日銀の国債買い入れオペでは超長期債の需給の緩みが示され、長期債にも売り圧力が波及した。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
オーストラリア総選挙、与党・労働党勝利でアルバニージー政権継続
保守連合の「トランプ流」への反発も追い風、経済や安全保障で政策継続もエネルギー政策に課題
オーストラリアでは3日に総選挙が行われ、アルバニージー政権を支える与党・労働党が勝利を収めた。今回の総選挙では、物価高や住宅価格の高騰など経済政策が争点となるなか、当初は労働党の苦戦が予想されていた。しかし、最大野党の保守連合は当初米トランプ政権と類似した公約を掲げるも撤回を余儀なくされ、その後も「トランプ流」が反発を招くなど逆風に晒された。結果、保守連合は最終盤で支持を大きく落とし、総選挙で議席を減らすとともに、連合を率いる保守党のダットン党首も落選するなど惨敗を喫した。アルバニージー政権は経済政策の継続や安全保障面では太平洋島諸国での影響力向上を目指す中国への対抗を目的とする米英との軍事同盟のAUKUS(オーカス)や日米豪印4ヶ国による枠組みのQuad(クアッド)の取り組みを維持すると見込まれる。他方、エネルギー政策面では課題も浮上しており、政権2期目には克服が求められる。豪ドル相場は米ドル相場の影響を受ける展開が続くほか、日本円に対しては米ドル/円相場の行方に注意が必要と言える。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・田中 理氏
英地方選で右派ポピュリストが大躍進 英国の二大政党制は曲がり角に
5月1日に行われた英国の地方選挙では、右派ポピュリスト政党・リフォームUKが大幅に躍進。昨年の総選挙で14年振りに政権を奪還した与党・労働党、最大野党・保守党の二大政党を遥かに上回る議席を獲得した。長年の保守党政権からの変化を求めて誕生した労働党政権だが、政権発足後の経済低迷、増税、福祉予算削減、移民流入増加などで失望が広がっている。次の選挙は2029年とまだ先だが、このままの勢いを保てば、リフォームUKの政権奪取も視野に入る
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
シンガポール総選挙、与党得票率上昇でウォン政権は信任を得たか
政治的安定を確保し、外的環境による経済的課題が山積するなか、これからが正念場に
シンガポールで3日に実施された総選挙は、独立以来政権を担ったリー一族が政治の表舞台を去るとともに、昨年発足したウォン政権の下で初めて行われた。同国の選挙制度は与党PAPに有利な一方、ここ数年は党勢の衰えがみられるなか、ウォン政権の下で党勢回復が喫緊の課題となっている。今回の総選挙でPAPは87議席を獲得して圧勝するとともに、得票率も上昇した。しかし、野党の候補者擁立が限られていたこともPAPの得票率向上を促した可能性もある。足下の経済情勢は極めて不透明ななか、実績と安定感がPAPの得票率向上に寄与した可能性はあるが、ウォン政権の生活費高騰や住宅不足などの課題への対応は未知数である。リー一族不在というなか、政治的な安定を維持しつつ、経済を巡る不透明感の高まりに立ち向かえるか、ウォン政権にとってはこれからが本当の意味で正念場になると捉えることができる。
中国政府は7日、米中貿易交渉に関して「貿易を巡る会談は米国側の要請で行われる」「米国との対話には常にオープンな姿勢をとってきた」「米国との協議では自国の利益を守る方針」などの見解を示した。
大阪6月限
日経225先物 36780 -30 (-0.08%)
TOPIX先物 2692.0 +5.0 (+0.18%)
日経225先物(6月限)は前日比30円安の3万6780円で取引を終了。寄り付きは3万7100円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万6750円)を上回り、買いが先行した。ただし、寄り付きを高値に軟化し、前場中盤にかけて3万6760円まで売られる場面もみられた。売り一巡後は再びプラス圏を回復するなど、前場終盤にかけては3万6800円~3万6850円辺りで推移。後場の取引時間帯でリバウンドの動きをみせ、3万6860円~3万6930円処のレンジに切り上がった。終盤にかけては持ち高調整に伴うロング解消が入り、3万6750円まで売られる場面もみられた。
ベッセント米財務長官とグリア通商代表が10日と11日にスイスで中国側の代表と貿易問題について協議すると報じられるなか、ロング優勢で始まった。しかし、トランプ米大統領が外国で制作される映画に100%の関税を課す方針を示したほか、2週間以内に医薬品の関税について発表すると述べており、関税を巡る不透明感が警戒されて積極的なロングは限られた。為替市場で円相場が1ドル=142円台と連休前の水準から円高に振れて推移していたことも、重荷になったのだろう。
日経225先物は寄り付きで75日移動平均線(3万6990円)を上回ったが、同線をキープできず、現物の寄り付き時には3万7000円を割り込んでいた。売り一巡後にリバウンドをみせたが、75日線を上回ることができなかったことで、短期的なショートが入りやすい状況。もっとも、ショートを仕掛けてくる動きも限定的であり、米中協議への期待から押し目狙いのロング対応に向かわせていた。
ナイトセッションで75日線は、3万6970円近辺で推移している。同線を突破してくるようだと、200日線とボリンジャーバンドの+2σが位置する3万7630円辺りを試す動きになるだろう。一方で、75日線が抵抗線として機能すると、13週線が位置する3万6430円辺りまでの調整は想定しておきたい。
国内では今週末から決算発表がピークを迎えるため、ロングは積み上がっていないと考えられる。7日の米国では米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が判明する。政策金利の据え置きがコンセンサスであり、無難に通過してくるようだと、ややロング優勢になりそうだ。週末には米中協議を見極めたいとのムードが強まりやすいが、ショート筋がポジションをニュートラルに近づけてくるとみられ、押し目狙いのロング対応となろう。
NT倍率は先物中心限月で13.66倍に低下。13.70倍と小幅に上昇して始まったが、+2σ(13.71倍)に抑えられた。前場終盤にかけて13.62倍まで低下する場面もあったが、+1σ(13.64倍)を下回ったことで、後場はNTショートを巻き戻す動きが入っており、+1σと+2σによるレンジを継続している。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万7778枚、ソシエテジェネラル証券が1万2266枚、サスケハナ・ホンコンが4397枚、バークレイズ証券が1900枚、日産証券が1680枚、モルガンMUFG証券が1542枚、シティグループ証券が1375枚、野村証券が1225枚、JPモルガン証券が1112枚、ゴールドマン証券が895枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が2万3996枚、ソシエテジェネラル証券が1万8959枚、バークレイズ証券が6341枚、JPモルガン証券が4551枚、ゴールドマン証券が3768枚、モルガンMUFG証券が3501枚、サスケハナ・ホンコンが2879枚、ビーオブエー証券が2284枚、シティグループ証券が1506枚、UBS証券が1139枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、米連邦公開市場委員会(FOMC)を念頭に置いた動きが予想される。トランプ米政権の高関税政策が雇用や物価に与える影響を慎重に見極めるため、市場予想は政策金利の据え置きがコンセンサスとなっている。
市場の関心はその際に出される声明や、その後に行われるパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見に集まっている。声明では前回3月に「経済活動が引き続き堅調なペースで拡大している」としたが、直近で発表された1-3月期米国内総生産(GDP)速報値が前期比年率で2022年以来のマイナスとなっており、変化があるか確認しておきたいところ。
また、トランプ米大統領に加えてベッセント米財務長官もFRBに利下げを要請しており、関税スタグフレーションへの警戒感が高まる中、パウエルFRB議長が会見でどのような見解を示すか注目される。
金利先物市場では次回6月FOMCでの利下げ確率が8割弱となるも、内訳は0.25%の利下げ確率が6割弱に達し、0.50%利下げ確率は2割に留まっている。前週の0.50%利下げ確率が6割弱だった時点と比べ、金利先安観はやや後退。前週の4月米雇用統計が強めの結果となったことで大幅利下げ観測が後退している。そうした中、FRB議長は会見で利下げを急がない姿勢を保ち続けることも考えられる。その場合、トランプ米大統領がFRB議長の解任を再びちらつかせる恐れがある点には注意したい。
他方、米中の貿易摩擦の緩和期待が続くかも注目したい。朝方に、「ベッセント米財務長官とグリア米通商代表部(USTR)代表は、貿易交渉開始に向け中国当局者と会談する」との一部報道を受けてリスク回避の動きが和らぐと、ドル円は安値から約1円上昇した。FOMC前であっても、関連報道が伝われば株価を始めとして過敏に反応することも考えられる。
想定レンジ上限
・ドル円は、日足・一目均衡表の転換線143.95円。超えると基準線145.19円
想定レンジ下限
・ドル円は、6日安値142.36円。割り込むと心理的節目の141.00円
①3会議連続で政策金利を据え置き
②FRBはインフレ率が「やや高水準」にとどまっていると指摘
③見通しに関する不確実性が「さらに高まった」
④失業率とインフレ率の上昇リスクが高まっている
⑤FRBは雇用の最大化と物価の安定におけるリスクに注意を払っている
⑥FRBはスタグフレーションのリスクが今後高まると見ている
今晩は貿易交渉進展期待で堅調か。昨日はトランプ米大統領がカナダのカーニー首相と会談したが、「必ずしも合意に至る必要はない」としたことで貿易交渉の不透明感が強まり主要3指数がそろって下落。ダウ平均が389.83ドル安(-0.95%)、S&P500が0.77%安、ナスダック総合が0.87%安とそろって2日続落した。引け後の動きではベッセント米財務長官とグリア米通商代表部(USTR)代表が今週スイスで中国側と貿易問題で協議をすると発表された。
今晩の取引では米中が今週スイスで貿易協議を正式に開始することで、貿易問題の進展期待が相場の支援となりそうだ。米中協議開始のニュースを受けてアジア時間ではダウ平均先物など指数先物がそろって上昇しており、3日ぶりの反発が期待できそうだ。取引時間午後には米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が公表される。今FOMCでは政策金利の据え置きがほほ確実視されているが、会合後のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見で、利下げや経済動向を巡るパウエルFRB議長発言に要注目となる。
今晩の米経済指標・イベントはFOMC結果公表、パウエルFRB議長記者会見のほか、MBA住宅ローン申請指数、EIA週間原油在庫、3月消費者信用残高など。企業決算は寄り前にウォルト・ディズニー、ウーバー・テクノロジーズ、引け後にオキシデンタル・ペトロリアム、スカイワークス・ソリューションズなどが発表予定。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・田中 理氏
綱渡りのドイツ新政権誕生 初回の首相指名投票はまさかの否決
ドイツでメルツ首相が率いる二大政党による連立政権が誕生した。二大政党内からの造反により、初回の首相指名投票がまさかの否決となったが、直後に二回目の投票を行い、政権発足に漕ぎ着けた。政権発足の遅れや政治混乱の長期化は回避されたが、新政権は一枚岩でないことを露呈し、政策遂行能力に早くも疑問符が付いた。2月の前倒し連邦議会選挙後、極右政党の支持が一段と高まり、一部の世論調査で最多の支持を集める。新政権を取り巻く政治環境は極めて不透明だ。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
OPECプラス、有志8ヶ国は6月も大幅増産、原油価格は一段調整も
「調整役」であるサウジが「自国中心主義」の様相を強めるなかで原油価格の行方に不透明感も
主要産油国の枠組みであるOPECプラスの有志8ヶ国は3日にオンライン会合を開催し、6月の自主減産枠を日量41.1万バレル縮小する事実上の増産を決定した。有志8ヶ国は5月にも自主減産枠を日量41.1万バレル縮小させており、当初は18ヶ月かけて段階的な縮小を計画していたが、わずか3ヶ月で4割超が回復する格好となる。この決定についてOPECは市場の基礎的条件の健全さや前向きな見通しを反映したとするが、足元では米中貿易摩擦などによる世界経済の減速懸念を理由に原油価格は頭打ちの動きを強めている。こうした状況にもかかわらず、有志8ヶ国は一段の大幅増産を決定し、先行きも上値の重い手買いが続く可能性は高い。
一方、OPECは加盟国による生産割り当て枠の適合の徹底を求める考えを強調しており、サウジアラビアなどが減産目標を遵守しないカザフスタンやイラクなどへの不満を強めているとみられる。他方、これまでサウジアラビアは「調整役」として価格維持や市場安定を重視する動きをみせてきたが、脱原油を目指すなかでそうした役割を甘受することが困難になっているとみられる。結果、サウジは自国の経済改革と市場支配の両立を図る「自国中心主義」の様相を強めている可能性がある。こうした状況は、OPECプラスの枠組み維持や原油価格の行方を巡る不安定要因とみられ、今後の動向にはより注意が必要になっている。
連休明け7日の日経平均は8日ぶり反落。終値は51円安の36779円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1035/値下がり550。丸紅、三菱商事、住友商事など商社株が大幅上昇。ウォーレン・バフェット氏がバークシャー・ハザウェイのCEOを2025年末に退任する意向を示したが、日本の商社株については超長期の投資であるとのコメントがあったことから、目先の売却リスクが大きく後退した。決算や自己株取得・消却が好感されたJR西日本が買いを集めた。今期が大幅営業増益見込みとなったTOAや、累進配当の導入などを発表した矢作建設が急騰。塩野義製薬による買収観測が報じられた鳥居薬品が、後場に急伸して売買停止となった。
半面、塩野義製薬は4%を超える下落。薬品株が全般弱く、エーザイ、住友ファーマ、小野薬品なども大きく売られた。円高を嫌気してトヨタやホンダなど自動車株が全般軟調。トランプ米大統領が外国で製作された映画に100%の関税を課す方針を表明したことから、ソニーGや東映アニメなどが警戒売りに押された。
日経平均は8日ぶり反落。5月2日と同様に37000円近辺では買いが続かなかったことから、上値追いには慎重姿勢が見られた。ただ、個別を見るとプライムでは値上がり銘柄が1000を超えている。2桁の下落率となっている銘柄はプライムではゼロで、全市場でも2銘柄のみとなっており、今は売りを出しづらい地合いが醸成されている。
本日の米国ではFOMCの結果が発表される。政策金利は据え置きが濃厚とみられているが、パウエルFRB議長の会見などから今後についての新たな手がかりが得られるかどうかが注目される。なお、トランプ大統領は利下げを強く望んでいるため、据え置きの場合には再びFRBやパウエル議長を強く非難してくる可能性がある。その際に米債券市場が不安定になるようだと、株式市場にもネガティブな影響が及びかねない点には注意を要する。
国内ではあすの取引時間中にトヨタの決算を消化する予定。見通しを出すか出さないか、株主還元などプラスアルファの材料が出てくるかといった点が注目される。FOMCの結果発表直後だけにドル円にも動きが出てくると思われるが、円安+好材料の多い決算であれば全体にもプラスの影響が見込まれる一方、円高+失望決算であれば逆の反応も想定される。日経平均が37000円を通過点とするには、あすは上を試しにいってほしいところ。トヨタの決算が投資家心理を強気に傾ける展開に期待したい。
(7日終値:8日2時時点)
ドル・円相場:1ドル=143.41円(7日15時時点比△0.36円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.76円(△0.18円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1349ドル(▲0.0016ドル)
FTSE100種総合株価指数:8559.33(前営業日比▲38.09)
ドイツ株式指数(DAX):23115.96(前営業日比▲133.69)
10年物英国債利回り:4.460%(▲0.054%)
10年物独国債利回り:2.475%(▲0.065%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月独製造業新規受注
(前月比) 3.6% 0.0%
(前年比) 3.8% ▲0.2%
4月スウェーデン消費者物価指数(CPI)
(前月比) 0.1% ▲0.7%
(前年同月比) 0.3% 0.5%
CPIコア指数
(前月比) 0.2% ▲0.5%
(前年同月比) 2.3% 2.3%
3月仏貿易収支
62.48億ユーロの赤字 77.00億ユーロの赤字・改
3月仏経常収支
14億ユーロの黒字 16億ユーロの赤字・改
4月英建設業購買担当者景気指数(PMI)
46.6 46.4
3月ユーロ圏小売売上高
(前月比) ▲0.1% 0.2%・改
(前年比) 1.5% 1.9%・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は強含み。「ベッセント米財務長官とグリア米通商代表部(USTR)代表は今週末、中国と貿易問題を巡る協議を行う」と伝わると、米中の関税交渉が進展するとの期待が高まった。時間外のダウ先物の上昇を背景に、投資家のリスク志向が改善すると円売り・ドル買いがじわりと強まった。1時30分前には一時143.59円と日通し高値を更新した。
ただ、本日の米連邦公開市場委員会(FOMC)結果公表を前に様子見ムードも強く、一本調子で上昇する展開にはならなかった。
・ユーロドルは小安い。米中の貿易協議進展への期待を背景にユーロ売り・ドル買いが出ると一時1.1337ドル付近まで値を下げた。ただ、東京時間に付けた日通し安値1.1326ドルが目先サポートとして意識されたため、下押しは限定的だった。本日予定されている米重要イベントを控えて様子見ムードも広がっており、方向感が出にくい面もあった。
・ユーロ円は買い先行後、もみ合い。17時30分過ぎに一時163.02円と日通し高値を付けたものの、買い一巡後は162円台後半でのもみ合いに転じた。
・ロンドン株式相場は17日ぶりに反落。米関税政策を巡る先行き不透明感が根強い中、売りが優勢となった。前日までに16日続伸したあとだけに利益確定目的の売りも出やすかった。アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株が売られたほか、セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株が値下がりした。
・フランクフルト株式相場は続落。米関税政策への警戒感が根強い中、売りが優勢となった。足もとで相場上昇が続いていただけに、利益確定目的の売りも出やすかった。個別ではザルトリウス(3.46%安)やザランド(3.31%安)、シーメンス・エナジー(2.66%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は上昇した。
(7日終値)
ドル・円相場:1ドル=143.83円(前営業日比△1.38円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.55円(△0.57円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1301ドル(▲0.0069ドル)
ダウ工業株30種平均:41113.97ドル(△284.97ドル)
ナスダック総合株価指数:17738.16(△48.50)
10年物米国債利回り:4.27%(▲0.03%)
WTI原油先物6月限:1バレル=58.07ドル(▲1.02ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3391.9ドル(▲30.9ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
MBA住宅ローン申請指数
(前週比) 11.0% ▲4.2%
米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利
4.25-4.50%で据え置き 4.25-4.50%
3月米消費者信用残高
101.7億ドル ▲6.1億ドル・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は4日ぶりに反発。米連邦公開市場委員会(FOMC)結果公表を前に、しばらくは方向感に乏しい展開が続いた。ただ、FOMC公表直前にトランプ米大統領が「中国を交渉のテーブルにつかせるために関税を引き下げることはない」と述べたと伝わると、株価の失速とともに売りが優勢となり一時142.91円付近まで下押しした。
ただ、そのあとはドルを買い戻す動きが広がった。米連邦準備理事会(FRB)は今日まで開いたFOMCで市場予想通り政策金利を4.25-4.50%で据え置くことを決めたと発表。声明では「経済の見通しを巡る不確実性はさらに増した」と強調し、「失業率とインフレ率の上昇リスクが高まった」と指摘した。また、パウエルFRB議長は会見で「経済は依然として堅調」「当面は明確化を待つのに有利な立場にある」「金利調整を急ぐ必要がない」と述べ、改めて早期利下げに慎重な見方を示した。パウエル氏の発言をきっかけに全般ドル買いが活発化すると、5時30分前に一時144.00円と日通し高値を更新した。FOMCを無難に通過したことで、株価が持ち直したことも相場を下支えした。
・ユーロドルは4日ぶりに反落。米重要イベントを控えてしばらくはもみ合いの展開が続いていたが、パウエルFRB議長が早期利下げに慎重な姿勢を示すと全般ドル買いが優勢となった。5時30分前に一時1.1292ドルと日通し安値を更新した。
・ユーロ円は4日ぶりに反発。ただ、NY市場に限ればもみ合いの展開になった。ドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、相場は大きな方向感が出なかった。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反発。米中関税交渉が進展するとの期待が高まる中、買いが先行。「トランプ米大統領は中国を交渉の場に引き出すための関税引き下げに消極的」と伝わると伸び悩む場面もあったが、終盤持ち直した。FOMCを無難に通過したことで、買い安心感が広がった面もあった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も3日ぶりに反発。「トランプ米大統領はバイデン政権時代のAI半導体輸出規制を撤廃する」との一部報道が伝わると買いが強まった。
・米国債券相場で長期ゾーンは上昇。「トランプ米大統領は中国を交渉の場に引き出すための関税引き下げに消極的」と伝わると買いが入った。ただ、パウエルFRB議長が早期利下げに慎重な姿勢を示すと売りが出たため上値は限定的だった。
・原油先物相場は反落。週末に行われるとされる米中通商協議への期待で強含む場面もあった。ただ、トランプ米大統領が「中国を交渉のテーブルにつかせるために関税を引き下げることはない」と発言したことや、この日発表された米エネルギー省(EIA)週間石油在庫のガソリン在庫が、予想外の積み増しとなったことで反落して引けた。
・金先物相場は4日ぶりに反落。連日大幅に続伸したこともあり、ポジション調整の売りが入り4日ぶりに反落した。為替市場でドルが小高く推移したことで、ドルで取引される金先物に割高感が出たことも上値を抑えた。
一部通信社が報じたところによると、「トランプ米大統領はバイデン政権時代のAI半導体輸出規制を撤廃する」ようだ。
7日07:23 中国商務省
「米国と合意のために原則的な立場を犠牲にするつもりはない」
7日08:09 ベッセント米財務長官
「中国側と10・11日に会談予定」
「中国との現行の関税は持続不可能」
「全てが議題に上る」
「前進するにはまず緊張の緩和が必要」
「可能な限り最良の貿易協定を締結するよう努める」
7日23:48
「中国との協議は10日に開始」
「米財務省は国債に関して非常に大規模な政策手段を保有している」
「FRBは国債に関しても大規模な政策手段を保有している」
7日10:14 潘功勝・中国人民銀行(PBOC)総裁
「7日物リバースレポ金利を1.5%から1.4%に引き下げ」
「預金準備率を0.5ポイント引き下げ」
8日02:56 トランプ米大統領
「中国への関税撤回の可能性を否定」
「(中東における停戦の可能性)今後24時間以内に分かる」
8日03:03 米連邦公開市場委員会(FOMC)声明
「純輸出の変動がデータに影響を与えているものの、最近の指標は経済活動が引き続き堅調なペースで拡大していることを示している」
「失業率はここ数カ月間、低水準で安定しており、労働市場の状況は引き続き堅調だ」
「インフレ率は依然やや高止まりしている」
「委員会は雇用最大化と長期的な2%のインフレ率の達成を目指す」
「経済の見通しを巡る不確実性はさらに増している」
「委員会は2つの使命の両面に対するリスクを注視しており、失業率の上昇とインフレ率の上昇のリスクが高まっていると判断」
「目標を支援するため、委員会はFF金利の目標誘導レンジを4.25-4.50%に維持することを決定した」
「FF金利の目標誘導レンジに対する追加調整の程度と時期を検討するに当たり、委員会は今後もたらされるデータ、変化する見通し、リスクのバランスを慎重に評価する」
「委員会は引き続き国債、政府機関債、およびエージェンシーローン担保証券の削減を続ける」
「委員会は雇用最大化を支援し、インフレ率を2%の目標に戻すことに強く取り組む」
「金融政策の適切な姿勢を評価するに当たり、委員会は今後もたらされる経済見通しに関する情報の意味を引き続き監視する」
「もしも委員会の目標の達成を妨げる可能性があるリスクが生じた場合、委員会は金融政策の姿勢を適切に調整する準備がある」
「委員会の評価は、労働市場の状況、インフレ圧力、インフレ期待、金融と世界の動向を含む幅広い情報を考慮する」
「今回の金融政策決定は全会一致」
「カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁は今回代理で投票」
「労働市場は最大雇用、もしくはそれに近い水準」
「経済は依然として堅調」
「インフレ率は大幅に低下」
「失業率上昇とインフレ率上昇のリスクが高まっている」
「現在のスタンスで良好な状況を維持」
「賃金上昇は引き続き緩やか」
「労働市場の状況は依然として堅調」
「第1四半期のGDPの落ち込みは貿易の異例の変動を反映」
「指標は労働市場が概ね均衡していることを示唆」
「短期的なインフレ期待は上昇」
「指標は関税がインフレ期待を押し上げていることを示唆」
「FRBの2つの使命の目標が逼迫する可能性」
「関税の継続はインフレ率の上昇を招く可能性が高い」
「当面は明確化を待つのに有利な立場にある」
「政策金利は最終的に適切な水準にあると考えている」
「物価安定なしには、長期にわたる力強い労働市場は実現できない」
「関税については、この状況がどのような方向へ転じるかは予測できない」
「金利調整を急ぐ必要はないと考えている」
「政策は適度に引き締め的」
「関税が維持されれば、今年は目標への進展はないだろう」
「今は予防的になれる状況ではない」
「経済軌道の不確実性は極端に高まっている」
「トランプ氏発言は我々の仕事に何ら影響しない」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ☆ 3月18-19日分の日銀金融政策決定会合議事要旨
<海外>
○08:01 ◇ 4月英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格(予想:▲4)
○15:00 ◎ 3月独鉱工業生産(予想:前月比1.0%/前年同月比▲2.7%)
○15:00 ◇ 3月独貿易収支(予想:191億ユーロの黒字)
○16:30 ◎ スウェーデン中銀、政策金利発表(予想:2.25%で据え置き)
○17:00 ◎ ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:4.50%で据え置き)
○20:02 ☆ 英中銀(BOE)、政策金利発表(予想:4.25%に引き下げ)
○20:02 ☆ 英中銀MPC議事要旨
○21:00 ◎ 4月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前年比3.90%)
○21:30 ◇ 1-3月期米非農業部門労働生産性・速報値(予想:前期比▲0.7%)
○21:30 ◇ 1-3月期米単位労働コスト・速報値(予想:前期比5.1%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.0万件/188.6万人)
○23:00 ◇ 3月米卸売売上高(予想:前月比1.9%)
○24:00 ◎ マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁、記者会見
○9日02:00 ◎ 米財務省、30年債入札
○ロシア(祖国防衛の日の振替休日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
7日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、トランプ米大統領の発言「中国を交渉のテーブルにつかせるために関税を引き下げることはない」で142.91円付近まで下押しした後、パウエルFRB議長の発言「金利調整を急ぐ必要がない」で144.00円まで上昇した。ユーロドルは、パウエルFRB議長が早期利下げに慎重な姿勢を示したことで1.1292ドルまで下落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、今週末に開催される米中貿易交渉への期待感から底堅い展開が予想される。
ドル円は、米連邦公開市場委員会(FOMC)での予想通りの政策金利据え置きと週末の米中貿易交渉を控えて、過去9日間の中心値である日足一目均衡表・転換線の143.95円付近で推移しており、米中貿易交渉の結果待ちとなっている。
今週末10-11日にスイスで開催予定の米中貿易交渉の米国側の代表であるベッセント米財務長官は、「今回は大きな貿易合意についてではなく、緊張緩和に関するものになるだろう。前進する前に緊張を緩和しなければならない」と述べている。
中国側の代表は、何立峰副首相で、中国商務省報道官は「世界的な期待、中国の利益、米国の産業界と消費者の訴えを十分に考慮した上で、中国は米国と改めて関与することを決定した。もし米国の言動と行動が違ったり、あるいは協議を口実に威圧と脅迫を続けようとしたりすれば、中国は決して同意しない」と述べている。
トランプ米大統領は、先日「中国はこれまで米国経済を搾取してきた」と主張し、昨日は「中国を交渉のテーブルにつかせるために関税を引き下げることはない」と述べており、米中貿易交渉の難航が警戒されている。
FOMCでは、トランプ米大統領やベッセント米財務長官による利下げ圧力にも関わらず、トランプ関税の不確実性(uncertainty)を理由に、3会合連続で全員一致での政策金利の据え置きが決定された。声明では、「失業率とインフレ率の上昇のリスクが高まっていると判断した」と関税スタグフレーションが明記され、政策担当者らは、経済成長の減速と最終的なインフレの低下を背景に、年内の50ベーシスポイント(=2回×0.25%)の利下げ見通しを依然として示した。
パウエルFRB議長は、記者会見で「関税について大きな不確実性があり、大規模な関税が継続すれば、インフレ高進と雇用減につながる見通し」と関税スタグフレーションへの警戒感に言及し、年内2回の利下げ予測に関しては、「現時点では予測できないため6月まで待つ。トランプ大統領の利下げ要求はわれわれの仕事に全く影響しない」などと述べている。
ミラン米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長は、FOMC声明での米国のインフレ率が再び上昇するという懸念について、トランプ政権はそのような事態にはならないと考えている、と反論している。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、利下げ開始時期は6月FOMCの据え置きの後の7月FOMCと予想されており、9月、10月の3回の利下げにより、12月時点では3.50-75%と見込まれている。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 36960 +180 (+0.48%)
TOPIX先物 2694.5 +2.5 (+0.09%)
シカゴ日経平均先物 36960 +180
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
7日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。ベッセント米財務長官とグリア通商代表が10日と11日にスイスで中国側の代表と貿易問題で協議すると報じられ、米中関税交渉の進展への期待が高まった。トランプ大統領が対中交渉のために関税を引き下げる用意はないとの考えを示し伸び悩む場面はあったが、バイデン政権時代のAI(人工知能)半導体輸出規制を撤廃するとの報道が伝わると、エヌビディア<NVDA>などの半導体株に買いが強まった。
米連邦準備理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置いた。パウエルFRB議長は会見で利下げに慎重な見方を改めて示したが、ほぼ予想通りの内容であり、FOMCを無難に通過したことで買い安心感が広がった。
S&P500業種別指数は、半導体・同製造装置、耐久消費財・アパレル、小売が上昇。一方でメディア、テクノロジー・ハード・機器、電気通信サービスの弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、ウォルト・ディズニー<DIS>やエヌビディア、ナイキ<NKE>、ハネウェル・インターナショナル<HON>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>が買われた。半面、アップル<AAPL>、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>が下落。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比180円高の3万6960円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは、日中比60円高の3万6840円で始まり、3万6930円まで買われた後はショート優勢となり、米国市場の取引開始直後には3万6630円まで売られた。その後3万6880円まで切り返したが中盤にかけて軟化し、3万6590円まで下げ幅を広げる場面もみられた。ただし、終盤にかけて切り返すと3万7070円まで買われ、3万6960円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形で、買い先行で始まりそうだ。FOMCを無難に通過したほか、バイデン前政権が導入したAI向け半導体の輸出規制案を、トランプ大統領が撤廃を検討しているとの報道が支援材料になりそうである。指数インパクトの大きい値がさハイテクが日経平均型を牽引する展開が期待されよう。
日経225先物はナイトセッションで一時3万7070円まで買われ、75日移動平均線(3万6970円)を上回る場面もみられた。3万7000円処では強弱感が対立するとみられるが、ハイテク株主導の上昇が見込まれ押し目待ち狙いのロング対応となりそうである。米中協議を週末に控えてショートポジションを圧縮する動きも入りやすく、75日線を明確に上抜けてくるとショートカバーが強まりそうだ。
そのため、3万7000円を中心としたオプション権利行使価格の3万6500円から3万7500円のレンジを想定。75日線突破から同線が支持線として機能するようだと、200日線(3万7640円)や26週線(3万7660円)、52週線(3万7870円)などが次のターゲットとして意識されてくる可能性がある。
7日の米VIX指数は23.55(6日は24.76)に低下した。一時25.62まで上昇する場面もあったが、その後の下げで75日線(22.88)に接近している。トランプ関税の影響を警戒しつつも、同線を明確に割り込んでくると200日線(19.66)が射程に入り、リスク選好に向かわせよう。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.66倍に低下。13.70倍と小幅に上昇して始まったが、ボリンジャーバンドの+2σ(13.71倍)に抑えられた。その後13.62倍まで低下する場面もあったが、+1σ(13.64倍)を下回った水準ではNTショートを巻き戻す動きが入っていた。ナイトセッションでも+1σを下回る局面ではNTショートの巻き戻しがみられている。ハイテク株主導の上昇が見込まれるなか、+2σを意識してのNTロングに振れやすくなりそうだ。
東京市場は堅調か。米国株は上昇。ダウ平均は284ドル高の41113ドルで取引を終えた。FOMCでは大方の予想通り政策金利は据え置きとなった。発表後にやや振れ幅が大きくなったものの、プラスを確保。マイナス圏で推移する場面があったS&P500やナスダックもプラスで終えた。ドル円は足元143円80銭近辺と円安(ドル高)に振れている。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて180円高の36960円、ドル建てが250円高の37030円で取引を終えた。
FOMCを消化して米3指数がそろって上昇したことから、日本株も連れ高すると予想する。円安が進んだことも好材料。本日は取引時間中にトヨタ<7203.T>が決算発表を予定しており、反応が良ければ全体にも好影響が見込まれる。日経平均はここ数日37000円近辺では上値が重くなっており、高くなれば利益確定売りは出てくるとみる。それでも、国内では個別物色の活況が続く中、プラス圏でしっかりとした動きが続くだろう。日経平均の予想レンジは36850円-37150円。
フィナンシャル・タイムズ(FT)紙によると、中国の習近平国家主席はロシアのプーチン大統領との首脳会談を前に米国の「覇権主義」を厳しく批判したという。
トランプ米大統領は8日に英国との貿易合意を発表する見通しであるとニューヨークタイムズ紙が報じた。
日経225先物は11時30分時点、前日比220円高の3万7000円(+0.59%)前後で推移。寄り付きは3万6840円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万6960円)にサヤ寄せする形から、買い先行で始まった。現物の寄り付き時に3万7020円まで買われたが、中盤にかけて軟化し、3万6700円まで下げる場面もみられた。ただし、終盤にかけて再びロング優勢のなかでショートカバーが強まり、終盤には3万7030円まで上げ幅を広げた。
日経225先物は75日移動平均線(3万6970円)での攻防のなか、終盤にかけて再び強含みの展開をみせており、ショートカバーを誘うことになりそうだ。トランプ米大統領は8日(日本時間午後11時)に貿易合意を巡り記者会見を行うと、自身のSNSに投稿した。相手国の詳細は明らかにしていないが、英国とみられている。ショートポジションを圧縮する動きが意識されよう。
NT倍率は先物中心限月で13.73倍に上昇。NTT<9432.T>[東証P]が完全子会社化すると発表したNTTデータグループ<9613.T>[東証P]がストップ高となったほか、アドバンテスト<6857.T>[東証P]や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]の強い動きが日経平均型を押し上げた。ボリンジャーバンドの+2σ(13.73倍)を捉えており、同バンドを上回ってくるようだと、NTショートを巻き戻す動きが強まりそうだ。
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昨日のNY市場では、FOMCが予想通りにFF金利の誘導目標を据置き。全くのノーイベントとなったわけですが、声明文では「失業率の上昇とインフレ率の上昇リスクが高まっている」ことに言及したほか、先の1-3月期米GDP速報値がマイナスに転じたことに対して「純輸出の変動がデータに影響を与えているが、最近の経済活動は引き続き堅調なペースで拡大していることを示している」と一蹴。
更には、パウエルFRB議長が定例記者会見において「金利調整を急ぐ必要がない」ことを改めて強調したほか、その理由として「関税が維持されれば今年は目標への進展がない。今は予防的な状況ではない。当面は明確化(clarity)を待つ立場にある」と、トランプ関税が及ぼす不確実性(uncertainty)を克服できない限り、利下げへの道が遠ざかっていることを示唆しました。市場では「かなり頑固なタカ派的見解」であるとの声も聞かれています。
市場には、まるで世界的アーティストであるZEDDのデビュー曲「clarity」が日本時間3時30分からずっと繰返し流されているかのような雰囲気。
「if our rate is tragedy, why are you my clarity?」
いずれにしても、ドル円はFOMC直後の142.91円までの下押しを最後に買戻しの動き。一時144.00円まで値を上げています。アジア時間に入ってからは、トランプ米大統領の自作自演の誇大化されたアナウンスに付き合わされて上下に振らされているところですが、日米の金融政策の方向性は当面、かかる不確実性が意識されていくことがはっきりしたわけで、ポジションの巻き戻しの動きが続いていきそうです。
「台湾は、米国の半導体ビジネスを全て奪った。台湾は米国に何ももたらさない」
(トランプ米大統領)
台湾ドル(TWD)は、対ドルで5月2日に約3%、5日に約5%急騰し、台湾と米国との通商交渉で、ドル安・台湾ドル高の通貨協定「マールアラーゴ合意」が締結されたのではないか、との憶測が流れた。楊金龍・台湾中銀総裁は、「米国が台湾ドル高を要請した事実はない」と否定している。
2024年の米国の貿易赤字国は、台湾が739億ドル(6位)で相互関税は32%、日本は685億ドル(7位)で相互関税は24%となっている。そして、日本と台湾は、米財務省が公表している「為替報告書」で、為替操作監視対象リストに入っている。
2025年2月時点の米国債保有額は、日本は1位で1兆1259億ドル、台湾は10位で2948億ドルとなっている。
1985年、レーガン政権は、対米貿易黒字が世界最大の日本に対して、「プラザ合意」というドル安・円高誘導を打ち出し、日本の輸出産業を叩きのめし、世界シェア50%を占めていた日本に対して、「日米半導体協定」を打ち出して、半導体産業を叩きのめした。
2025年、トランプ政権は、対米貿易黒字国で半導体の世界シェア60%を占めている台湾に対して、ドル安・台湾ドル高を打ち出すのだろうか。
1.対米貿易黒字国(2024年:1兆2117億ドル)
1位:中国 :2954億ドル
2位:メキシコ:1718億ドル
3位:ベトナム:1235億ドル
4位:アイルランド:867億ドル
5位:ドイツ:848億ドル
6位:台湾:739億ドル(相互関税:32%)
7位:日本:685億ドル(相互関税:24%)
8位:韓国:660億ドル
9位:カナダ:633億ドル
2.為替報告書:「2015年貿易円滑化・貿易執行法」
2015年に、外国政府の為替政策に対する監視体制を強化するために成立した通商法である。米国財務省は、2016年から、「2015年貿易円滑化・貿易執行法」に依って、為替操作国認定のための数値基準を設定し、為替操作国に対する報復措置としての行動計画の策定等を義務付けた。為替操作国の認定を行うに当たり、3つの基準を満たした場合は、「為替操作国」と認定し、2つに抵触した場合、「監視対象国リスト」に認定している。
【為替操作国・監視対象国の判断基準】
1)財の対米貿易黒字:150億ドル以上
2)経常黒字額:対国内総生産(GDP)比3%以上
3)過去12カ月の外貨購入(介入):対GDP比2%以上
2024年秋の為替報告書での監視リスト(Monitoring List)には、7カ国・地域(日本、中国、ドイツ、韓国、シンガポール、台湾、ベトナム)が入っている。
本日のロンドン為替市場のポンドドルは、利下げが見込まれているイングランド銀行金融政策委員会(MPC)の議事要旨や英米貿易合意内容に注目し、ユーロドルは欧州連合(EU)による対米報復関税リストに対するトランプ米政権の反応に注目する展開となる。
イングランド銀行MPCに関しては、市場は、政策金利0.25%の利下げをほぼ織り込んでいるため、昨日の米連邦公開市場委員会(FOMC)のように「不確実性(uncertainty)」を理由に据え置きだった場合は、サプライズとなる。
英国では4月から家計向けの光熱費と水道料金が値上がりしており、社会保障費の雇用主負担の増加や賃金上昇もインフレ押し上げ要因となる。さらに、トランプ関税による物価上昇への警戒感もあり、BOEは難しい対応を迫られている。
しかし、国際通貨基金(IMF)が、トランプ関税の影響で今年の英国の成長率が急激に下振れるリスクを指摘し、ベイリーBOE総裁は「経済成長に対するリスクを極めて重大に受け止めなければならない」と述べていたことで、利下げはほぼ既定路線だと思われる。
MPC議事要旨やベイリーBOE総裁の会見で、今後のBOEの金融政策を見極めていくことになる。
また、ニューヨーク・タイムズ紙は、米国が英国との貿易協定を発表すると報じており、要注目となる。
欧州委員会は週内の協議再開を目指し、米側に貿易・非関税障壁の削減や米国への投資促進などが含まれた提案文書を提示する予定と報じられている。
EUは、米国との貿易摩擦緩和を目指す協議が失敗に終わった場合、米ボーイング製の航空機や米国製自動車に関税を課す提案を行う方針だが、本日、報復関税の対象となる物品のリストを公開する予定、と報じられている。
EUの報復関税リストの内容次第では、欧米通商協議が難航する可能性が高まるため、トランプ米政権の反応にも警戒しておきたい。
トランプ米大統領は、本日記者会見を開き、トレード・ディールに関する報告を予定している。
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1399ドル(4/30高値)
・ユーロ円:163.12円(日足一目均衡表・転換線)
・ポンドドル:1.3402ドル(5/6高値)
・ポンド円:192.70円(日足一目均衡表・雲の上限)
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.1189ドル(日足一目均衡表・基準線)
・ユーロ円:161.47円(日足一目均衡表・基準線)
・ポンドドル:1.3077ドル(日足一目均衡表・基準線)
・ポンド円:190.00円(4/30安値)
ドル円:1ドル=143.92円(前営業日NY終値比△0.09円)
ユーロ円:1ユーロ=162.67円(△0.12円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1303ドル(△0.0002ドル)
日経平均株価:36928.63円(前営業日比△148.97円)
東証株価指数(TOPIX):2698.72(△2.56)
債券先物6月物:140.62円(▲0.19円)
新発10年物国債利回り:1.320%(△0.025%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は下値が堅い。トランプ米大統領が「明日午前10時(日本時間8日23時)に大きな記者会見を行う」「非常に大きく、非常に高く評価されている国との主要な貿易協定について発表」などの見解を示すと買いが入ったが、反応は一時的だった。一部報道で「トランプ米大統領は8日に英国との貿易合意を発表する見通し」と報じると、対ポンドでドル売りが進んだ影響もあり、143.45円まで下押し。もっとも、一巡後は日経平均株価や米10年債利回りの上昇などを支えに再度買いが入り、昨日高値の144.00円を上抜けて144.35円まで値を上げた。
・ユーロドルは上値が重い。対ポンドを中心にドル売りが進んだ場面では1.1336ドルまで上昇する場面があったものの、その後は米長期金利の上昇などが重しとなって1.1281ドルまで押し戻された。ポンドドルも一時1.3356ドルまで上げた後、1.3285ドルまで失速している。
・ユーロ円はもみ合い。朝方からドル絡みの取引が中心となったこともあり、162円台後半でのレンジ内推移に終始した。
・日経平均株価は反発。前日の米国株高を受けて買いが先行した。その後は失速してマイナス圏に沈む場面も見られたが、米関税交渉を巡る期待感などから再びプラス圏に浮上。半導体関連株の上昇も指数を押し上げ、一時200円近く値を上げた。
・債券先物相場は続落。小幅安で始まった後、いったんはプラス圏に浮上する場面もあったが、10年物国債の入札後は再び売りに押された。この日実施された10年債入札では投資家からの需要の弱さが意識される低調な結果となった。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
中国人民銀行が本格緩和、貿易協議を前に景気下支えを模索か
米中に「雪解け」の兆しはあるが過度な期待は禁物、こう着状態が長期化する可能性にも要注
中国人民銀行は、米中貿易摩擦の経済への悪影響に対応すべく、預金準備率や政策金利などを引き下げる全面的な金融緩和を発表した。これは、トランプ関税により中国経済の減速懸念が高まるなか、内需喚起の必要性が高まっていることを反映している。他方、過去の米ドル高に伴う人民元安局面では資本流出懸念を理由に、中銀は金融緩和に慎重な姿勢をみせてきた。しかし、足元では金融市場での「米国売り」を受けて人民元安への警戒感が低下しており、結果的に今回の緩和決定を後押しした可能性が考えられる。
米中摩擦は激化の一途を辿ってきたが、米国の対中姿勢に軟化の兆しが出ており、中国側にも変化の兆しがみられた。両国による貿易協議が予定されるなか、今回の金融緩和決定は中国が協議での安易な妥協をせず、国内経済の下支えに注力する姿勢を示している可能性がある。ただし、中国経済の根本的な問題は需要不足にあるなか、金融緩和の効果は未知数である。足元では雇用不安による個人消費の低迷に加え、不動産市況の低迷によるデフレ圧力も残る。今回の金融緩和は、米中協議の長期化を見据えた一時的な措置に過ぎず、中国経済の本格的な回復には繋がらない可能性があり、過度な期待は禁物である。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
ブラジル中銀、6連続利上げで政策金利は14.75%と約19年ぶり高水準に
レアル安一服で引き締め度合い後退も引き締めは長期化、ルラ政権には厳しい状況が続くか
ブラジル中銀は6会合連続の利上げを決定し、政策金利は2006年以来の高水準となる14.75%に達する。これは国内における根強いインフレ圧力に対応しており、直近のインフレ率は中銀目標を大きく上回る伸びが続く。世界的には金融緩和の動きが広がるが、ブラジル中銀は別の方向を向いていると捉えられる。
一方、トランプ関税が世界経済や国際金融市場に不透明感をもたらす展開が続き、米中間では報復の応酬がみられたものの、足元では直接協議が行われるなど事態悪化懸念はやや後退している。しかし、状況が早期に好転するとは見通しにくく、金融市場は引き続き不安定な展開が続くことは避けられない。
米国の相互関税によるブラジル経済への直接的影響は限定的と見込まれるが、鉄鋼やアルミへの追加関税や中国経済への依存度の高さを勘案すれば、様々な形で影響は免れない。中銀は景気減速やインフレの高止まりを指摘した上で、今後の金融政策には慎重な対応が必要としている。今後も引き締め政策は続くと見込まれるが、効果発現に時間を要するほか、ルラ政権にとっても厳しい状況が続くと見込まれる。
大阪6月限
日経225先物 37140 +360 (+0.97%)
TOPIX先物 2703.5 +11.5 (+0.42%)
日経225先物(6月限)は前日比360円高の3万7140円で取引を終了。寄り付きは3万6840円とシカゴ日経平均先物清算値(3万6960円)にサヤ寄せする形で買いが先行した。現物の寄り付き時に3万7020円まで買われたが、前場中盤に軟化し3万6700円まで下げる場面もみられた。ただし、前場終盤にかけてショートカバーが強まり3万7000円台を回復。ランチタイムで3万7120円まで上げ幅を広げた後は3万6990円~3万7090円処で保ち合い、引けでレンジを上抜け、3万7140円と本日の高値をつけた。
日経225先物は75日移動平均線(3万6970円)処での攻防のなか、前場終盤にかけて再び強含み、後場は同線を上回っての推移となった。トランプ米大統領は8日午前10時(日本時間午後11時)に貿易合意を巡り記者会見を行うと、自身のSNSに投稿した。相手国の詳細は明らかにしていないが、英国とみられている。この報道をきっかけに、為替市場では円相場が1ドル=144円台と円安に振れており、ショートカバーに向かわせたようである。
3万7000円処では強弱感が対立するとみられるが、75日線が支持線として機能するようであれば、200日線(3万7620円)とボリンジャーバンドの+2σ(3万7880円)が目先のターゲットになりそうだ。週足では13週線(3万6460円)を上回って週末の取引を終える可能性が高まったとみられ、週足の+1σ(3万8010円)が意識されてくるだろう。
トランプ大統領の貿易合意に関する記者会見のほか、週末には貿易摩擦を巡って米中協議が行われる。トランプ大統領は通商交渉のために対中関税率を引き下げることはないとの姿勢を示しており、貿易合意への期待は高まっていないだろう。しかし、貿易交渉のテーブルにつくことが貿易戦争の解決に向けた第一歩であり、今後も協議を続けていくことが確認できれば、ショートポジションを圧縮する動きにつながりやすい。
積極的なロングは入れにくいだろうが、3万7000円固めから200日線や+2σ辺りを意識した押し目狙いのロングに向かわせよう。ボリンジャーバンドは拡大をみせており、バンドに沿ったリバウンド基調を継続することで、3月27日の戻り高値である3万7970円も射程に入る。
NT倍率は先物中心限月で13.73倍に上昇。NTT<9432.T>[東証P]が完全子会社化すると発表したNTTデータグループ<9613.T>[東証P]がストップ高となったほか、アドバンテスト<6857.T>[東証P]や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]など、指数インパクトの大きい値がさハイテク株の強い動きが日経平均型を押し上げた。+1σ(13.65倍)と+2σ(13.73倍)によるレンジだが、+2σを上回ってくると、NTショートを巻き戻す動きが強まり、NTロングによるスプレッド狙いに向かわせよう。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が2万0736枚、ソシエテジェネラル証券が1万3728枚、サスケハナ・ホンコンが3896枚、バークレイズ証券が2050枚、SBI証券が1814枚、日産証券が1645枚、JPモルガン証券が1443枚、モルガンMUFG証券が1365枚、みずほ証券が1129枚、野村証券が1050枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が2万7160枚、ソシエテジェネラル証券が1万9060枚、バークレイズ証券が6265枚、JPモルガン証券が3934枚、モルガンMUFG証券が3500枚、ゴールドマン証券が3450枚、サスケハナ・ホンコンが2153枚、ビーオブエー証券が1747枚、みずほ証券が1300枚、日産証券が945枚だった。
本日のニューヨーク為替市場では、依然として米国を中心とした貿易関連のニュースに注意しながらの値動きか。経済指標は1-3月期米単位労働コストや新規失業保険申請件数などが予定されている。また、米30年国債の入札もNY午後に行われる。
トランプ米大統領は昨日7日、明日10時(日本時間8日23時)に重要な貿易協定を発表することを明らかにした。米ニューヨークタイムズ紙によれば、この相手国は英国のもよう。既に今週初に英フィナンシャル・タイムズ紙が、英国側はIT大手に課す非関税障壁から米国を除外し、引き換えに米国はアルミニウムや自動車などに課す25%関税を軽減または免除する可能性を報じていた。
トランプ大統領は今日の発表を「第1弾」と述べていることからも、今後も別な国との通商合意が期待される。米国と交渉が始まっている国「インド、韓国、そして日本」などにも適用できる内容なのか、本日の発表を見極めることになるだろう。また、昨日NY市場の終盤に伝わった「トランプ政権がAI半導体の輸出規制を撤廃する方針」についても、続報を気にしておきたい。
NY序盤に発表される1-3月期米単位労働コスト・速報値は前期比5.1%と前回から上振れし、約2年ぶりの水準が予想されている。賃金の上昇が主な要因だとしたら(生産性の低下という場合もある)、早期利下げに慎重なパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長のスタンスを後押しすることになるだろう。他、前週分の米新規失業保険申請件数は、前回から1万件ほど改善した23万件が市場予想。この辺りはドルにとってポジティブとなりそうだ。
6日実施された米10年債入札は好調な結果となり、米国債への需要が依然として旺盛であることが示された。本日の30年債への期待も高そうだが、逆に梯子を外されるようだと相場の波乱要因となりそうだ。
想定レンジ上限
・ドル円、5日高値145円を超えると2日高値145.92円
想定レンジ下限
・ドル円、本日安値143.45円
今晩は貿易交渉進展期待で引き続き堅調か。昨日は米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利が予想通り据え置かれ、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が関税によるスタグフレーションの可能性に言及したものの、今週行われる米中貿易交渉への期待や、トランプ政権がAI半導体の輸出規制を撤廃することを検討しているとの報道が好感され主要3指数がそろって上昇。ダウ平均が284.97ドル高(+0.70%)、S&P500が0.43%高、ナスダック総合が0.27%高と、そろって3日ぶりに反発した。
今晩の取引では週末にスイスで行われる米中貿易協議や、米政権のAI半導体の輸出規制を撤廃検討報道を追い風に引き続き堅調な展開か。昨日のFOMCではパウエルFRB議長がスタグフレーションの可能性に言及したものの、足もとの米経済は堅調だとの見方を示した。今晩は寄り前に新規失業保険申請件数が発表予定で、前週発表分の24.1万件から23.0万件に減少が見込まれている。予想通りの強い内容となれば安心感が広がりそうだ。
今晩の米経済指標・イベントは新規失業保険申請件数のほか、3月卸売在庫、米30年債入札など。企業決算は寄り前にケンビュー、タペストリー、コノコ・フィリップス、ワーナー・ブロス・ディスカバリー、引け後にパラマウント・グローバル、ニューズ・コーポレーション、アカマイ・テクノロジーズなどが発表予定。
日経平均株価は反発。75日移動平均線(37109円 5/8)を前に伸び悩む展開となったが、5日移動平均線(36607円 同)上で底堅く陽線を形成して終えた。
RSI(9日)は前日の95.9%→98.1%(5/8)に上昇。あすは上昇のハードルは高くなるが、短期的な相場の見方に変化はない。4/7安値(30792円)を起点とした目先波動は上昇継続の判断となる。
次は75日移動平均線や100日移動平均線(37665円 同)、200日移動平均線(37960円 同)がターゲットになる。75日移動平均線は一目均衡表の雲下限の水準にも近く、強い上値抵抗になる。終値で上回れば一段高に期待できそうだ。
一方、4/7安値から20日が経過した。昨年8月安値から20日経過した後に反落調整に入っており、日柄面では変化日に近いと判断できる。あすは基準線(33885円 同)が下向きから横ばいに転じるが、目先の調整入りのシナリオも想定できる。
上値メドは、75日移動平均線、100日移動平均線、200日移動平均線、心理的節目の38500円などがある。下値メドは、5日移動平均線、心理的節目の36000円、10日移動平均線(35871円 同)、心理的節目の35000円、25日移動平均線(34727円 同)などがある。
米財務省によると、30年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが4.819%、応札倍率(カバー)が2.31倍となった。
(8日終値:9日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=145.71円(8日15時時点比△1.79円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.58円(△0.91円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1226ドル(▲0.0077ドル)
FTSE100種総合株価指数:8531.61(前営業日比▲27.72)
ドイツ株式指数(DAX):23352.69(前営業日比△236.73)
10年物英国債利回り:4.546%(△0.086%)
10年物独国債利回り:2.535%(△0.060%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月独鉱工業生産
(前月比) 3.0% ▲1.3%
(前年比) ▲0.2% ▲4.1%・改
3月独貿易収支
211億ユーロの黒字 180億ユーロの黒字・改
スウェーデン中銀、政策金利
2.25%で据え置き 2.25%
ノルウェー中銀、政策金利
4.50%で据え置き 4.50%
英中銀(BOE)、政策金利
4.25%に引き下げ 4.50%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円はしっかり。トランプ米大統領はこの日、英国との貿易協定で合意したと発表。米関税措置を巡る貿易相手国との交渉で初の合意が好感されると、ダウ平均は一時650ドル超上昇。米国株高によるリスク・オンの円売り・ドル買いが優勢になると、一時145.95円まで値を上げた。市場では「米英貿易合意が今後の貿易相手国との協定について指針となる可能性があり、注目が集まっていた。週末にスイスで開かれる予定の米中貿易協議への期待も高まった」との声が聞かれた。なお、トランプ大統領は「交渉がうまくいけば、対中関税を引き下げる可能性」「今すぐ株を買った方がいい」とも発言した。
また、前日にはパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で早期利下げに慎重な姿勢を示唆。米早期利下げ観測が後退する中、米長期金利の上昇とともにドル買いが入りやすい面もあった。
・ポンドは荒い値動き。20時頃に一時1.3243ドルと日通し安値を付けたものの、23時過ぎには1.3345ドル付近まで上昇。ただ、2時30分前には1.3252ドル付近まで押し戻された。
英中銀(BOE)はこの日、市場予想通り0.25%の利下げを発表したものの、同時に公表された議事要旨で2人が据え置きを主張していたことが明らかに。市場が見込んでいたほど利下げに前向きではないことが意識されるとポンド買い・ドル売りが入った。ただ、NY市場では米金利上昇に伴うドル買いが優勢となったため、戻りは鈍かった。
・ユーロドルは頭が重かった。21時30分過ぎに一時1.1320ドル付近まで値を戻したものの、アジア時間に付けた日通し高値1.1336ドルが目先レジスタンスとして意識されると上値が重くなった。トランプ米大統領が英貿易合意を発表し、米株買いを促すと米国株相場の上昇とともにドル買いが活発化。米長期金利の上昇も相場の重しとなり、一時1.1213ドルと日通し安値を更新した。
・ユーロ円は堅調。米国株相場や日経平均先物の上昇を背景に投資家のリスク志向が改善すると円売り・ユーロ買いが優勢となった。一時163.73円と本日高値を更新した。
なお、ナイト・セッションの日経平均先物は大証終値比530円高の3万7670円まで上昇した。
・ロンドン株式相場は続落。関税交渉の進展を期待する買いが先行したものの、英中銀金融政策委員会(MPC)結果公表後に失速した。
BOEはこの日、市場予想通り0.25%の利下げを発表したものの、同時に公表された議事要旨で2人が据え置きを主張していたことが明らかになると、追加利下げ観測が後退。英長期金利の上昇とともに株売りが優勢となった。
・フランクフルト株式相場は3日ぶりに反発。米関税政策を巡る協議が進展するとの期待から独株にも買いが広がった。個別ではハイデルベルク・マテリアルズ(4.80%高)やザランド(4.49%高)、ラインメタル(4.13%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は下落。BOEが利下げを慎重に進めるとの見方が英国債の売りを促した。
8日の日経平均は反発。終値は148円高の36928円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり875/値下がり688。米国で半導体株が買われた流れを受けて、ディスコ、アドバンテスト、レーザーテックなどが人気化した。海運大手の日本郵船と川崎汽船が大幅上昇。いずれも今期は大幅減益見通しであったが、株主還元を強化する姿勢が評価された。決算を材料にメルカリや横河電機が大幅高となり、OKIがストップ高。NTTによる完全子会社化観測が報じられたNTTデータGがストップ高比例配分となった。
一方、NTTは2%を超える下落。今期の減収減益見通しを提示したバンナムHDが後場に入って大きく値を崩しており、任天堂やコナミGなど引け後に決算発表を控えたゲーム株に警戒売りが広がった。一部メディアで金融庁の行政処分観測が報じられたネクステージとFPパートナーが大幅安。HENNGEは上方修正や自己株取得を発表して高く始まったものの、買いが続かず急失速して10%を超える下落となった。
日経平均は反発。前場は方向感が定まらなかったが、後場はプラス圏で値動きが落ち着いた。トヨタの決算反応は案外となったものの、それで全体が大きく崩れることはなかった。ただ、後場にポジティブな動きが見られたにもかかわらず、高値は36977円までで、37000円には届かなかった。
37000円に迫りながら超えられない日が3日続いており、あすの動きが大きく注目される。ここで大きく下げてしまうようだと、4月7日の安値30792円からの戻りに一服感が出てくる。まだ決算発表は多いものの、来週には概ね出そろう。月後半の市場エネルギーの低下を見越して、この辺りで上値が重くなっても不思議はない。
一方、そういった警戒も強まっているだけに、難なく37000円を超えられるようなら、売り方の買い戻しを巻き込んだ踏み上げ的な上昇も期待できる。このケースでは大型株が上昇の先導役になると思われる。あすは売買代金上位銘柄に強い動きが見られるかどうかを注視しておきたい。
(8日終値)
ドル・円相場:1ドル=145.91円(前営業日比△2.08円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.82円(△1.27円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1228ドル(▲0.0073ドル)
ダウ工業株30種平均:41368.45ドル(△254.48ドル)
ナスダック総合株価指数:17928.14(△189.98)
10年物米国債利回り:4.38%(△0.11%)
WTI原油先物6月限:1バレル=59.91ドル(△1.84ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3306.0ドル(▲85.9ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
1-3月期米非農業部門労働生産性速報値
(前期比年率)▲0.8% 1.7%・改
1-3月期米単位労働コスト・速報値
(前期比年率) 5.7% 2.0%・改
前週分の米新規失業保険申請件数
22.8万件 24.1万件
3月米卸売売上高
(前月比) 0.6% 2.0%・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は続伸。米英両政府はこの日、貿易協定を締結することで合意したと発表。週末に米中高官による通商協議を控える中、中国との交渉進展への期待もあり、ダウ平均は一時650ドル超上昇した。米国株高によるリスク・オンの円売り・ドル買いが優勢になると、4時30分前に一時146.18円まで値を上げた。トランプ大統領が「今すぐ株を買った方がいい」と発言したことも株高とドル高につながった。
また、前日にはパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で早期利下げに慎重な姿勢を示唆。米早期利下げ観測が後退する中、米長期金利が大幅に上昇したこともドル買いを促した。
・ユーロドルは続落。21時30分過ぎに一時1.1320ドル付近まで値を上げたものの、アジア時間に付けた日通し高値1.1336ドルが目先レジスタンスとして意識されると失速した。米英間の貿易協定が締結したことや週末に予定されている米中通商交渉への期待から、米国株相場が上昇したこともドル買いを促した。米長期金利の大幅上昇も相場の重しとなり、4時30分過ぎには一時1.1212ドルと日通し安値を更新した。
・ユーロ円は続伸。米関税政策を巡る協議が進展するとの期待から米国株相場が上昇すると、投資家のリスク志向が改善し円売り・ユーロ買いが広がった。4時30分前には一時163.91円と本日高値を更新した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は続伸。米英貿易協定が締結したことや米中関税交渉が進展するとの期待感から買いが先行。トランプ大統領が「今すぐ株を買った方がいい」と発言すると一時650ドル超上昇した。ただ、「トランプ米大統領は所得250万ドル以上の富裕層に増税を求める」との一部報道が伝わると、急速に伸び悩んだ。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も続伸した。
・米国債券相場で長期ゾーンは大幅反落。米英貿易協定が締結したことや米中関税交渉が進展するとの期待感から米国株相場が上昇すると、相対的に安全資産とされる米国債に売りが出た。30年債入札が「低調」と受け止められたことも相場の重し。
・原油先物相場は大幅反発。米英間の貿易協定が締結したことや、週末に予定されている米中通商交渉への期待感から原油先物に買いが集まり大幅に反発した。
・金先物相場は大幅続落。米英間の貿易協定が締結したことや、週末に予定されている米中通商交渉への期待感から過度のリスク回避の動きが和らぎ金先物は大幅に続落した。また、対円でドルが2円50銭上昇するなど、ドルが多くの通貨でドル買いが進み、ドルで取引される金先物の割高感も上値を抑えた。
一部報道が伝えたところによると、米英の貿易合意では米国の一律関税(10%)は残る見通しだという。
欧州連合(EU)は8日、950億ユーロ規模の対米関税リストを公表した。航空機や自動車、バーボンなどが対象となり、対米交渉が決裂した場合に賦課されるという。
8日08:26 ハセット米国家経済会議(NEC)委員長
「政策についてFRB議長に常に同意するとは限らない」
「米連邦準備制度の独立性を尊重する」
8日10:00 トランプ米大統領
「明日午前10時(日本時間8日23時)に大きな記者会見を行う」
「非常に大きく、非常に高く評価されている国との主要な貿易協定について発表」
8日19:14
「英国との合意は完全かつ包括的」
8日23:53
「英国と素晴らしい合意に達した」
「米英合意により、米国産輸出品の市場アクセスが拡大」
9日00:24
「中国と非常に良好な関係を築けると期待」
「交渉がうまくいけば、対中関税を引き下げる可能性」
「パウエルFRB議長は非常に遅い」
「今すぐ株を買った方がいい」
8日10:30 楊金龍・台湾中銀総裁
「米国が台湾ドル高を要請した事実はない」
8日10:33 植田日銀総裁
「物価2%超え継続、国民生活にマイナスの影響」
「基調的物価、見通し期間後半に2%に向けて歩み再開」
「経済動向は不確実性が高く、丁寧にみていきたい」
「食料価格上昇、基調的インフレ率への影響を注視」
「デフレ脱却、政府が総合的に判断」
8日10:50 中村日銀審議委員
「緩和環境を維持し、引き続き経済活動をサポート」
「経済見通しが達成されれば利上げを行う」
8日16:36 リクスバンク(スウェーデン中銀)声明
「スウェーデンの経済見通しは3月の予測よりも若干弱まった」
「経済見通しの弱さは短期的にインフレ率が低下することを示唆」
「金融政策は現在バランスが取れており、経済活動とインフレの見通しをより明確にするためには、更なる情報を待つことが賢明である」
「インフレ率が3月の予測より高くなる可能性よりも、低くなる可能性の方がやや高いと評価。これは今後、金融政策が若干緩和されることを示唆している可能性がある」
「現在の見通しでは政策金利は今年中に引き下げられる可能性が高い」
「見通しをめぐる不確実性は通常よりも大きく、政策金利の今後の動向は経済情勢に左右される」
「インフレ率はピークから大幅に低下したが依然として目標の2%を上回っている」
8日20:38 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
「MPCは5人が0.25%引き下げ支持、2人は0.50%引き下げ、2人が据え置き主張」
「インフレの持続リスクと、経済における総需給のバランスについて引き続き注意深く監視」
「中期的にインフレが2%の目標に持続的に戻るリスクがさらに解消されるまで、金融政策は十分に長く抑制的な状態を維持する必要がある」
「インフレの中期的見通しに関する見解が変化している」
「更なる引き締め解除に向けては、段階的かつ慎重なアプローチが引き続き適切」
「ディングラ委員とテイラー委員が0.50%引き下げを支持」
「マン委員とピル委員が据え置きを主張」
「国内の物価・賃金圧力のデフレーションは概ね継続」
「英国の基調的なGDP成長は24年半ばから鈍化し、労働市場は緩和を続けている」
「世界経済の成長見通しは弱まっているが、英経済成長とインフレに対するマイナスの影響は小さくなる可能性」
「1年後のCPI予測は+2.4%(前回は2.6%)」
「2年後のCPIは+1.9%(前回は2.2%)」
「3年後のCPIは+1.9%」
「2026年GDP予測は+1.3%(前回は+1.5%)」
「2027年GDP予測は+1.5%(前回は+1.4%)」
8日20:38 ベイリー英中銀(BOE)総裁
「英国のディスインフレは継続している」
「政策金利は自動操縦ではない」
「インフレ圧力は徐々に緩和する見込み」
9日00:06 ラトニック米商務長官
「英国に対する10%関税は残る」
「英国との合意は米農産物と機械にアクセス解放」
9日00:33 マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁
「米加貿易協定が締結すれば経済への最も直接的なリスクを取り除くだろう」
「関税は撤廃されたとしても、永続的な影響をもたらす」
※時間は日本時間
<国内>
○08:30 ◇ 3月毎月勤労統計(現金給与総額、予想:前年比2.5%)
○08:30 ◇ 3月家計調査(消費支出、予想:前年比0.2%)
○08:50 ◇ 4月外貨準備高
○14:00 ◇ 3月景気動向指数速報値(予想:先行107.5/一致115.9)
<海外>
○未定 ◎ 4月中国貿易収支(予想:890.0億ドルの黒字)
○15:00 ◎ 4月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.6%/前年比2.5%)
○15:00 ◎ レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○16:00 ◇ 4月スイスSECO消費者信頼感指数(予想:▲33.0)
○16:00 ◇ 3月トルコ鉱工業生産
○17:40 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○18:55 ◎ バー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○19:45 ◎ クーグラーFRB理事、講演
○20:15 ◎ ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演
○21:00 ◎ 4月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比5.52%)
○21:30 ☆ 4月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化0.50万人/失業率6.8%)
○21:30 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、あいさつ
○21:30 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、イベントに参加
○22:10 ◎ シムカス・リトアニア中銀総裁、講演
○23:00 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、あいさつ
○10日00:30 ◎ ウォラーFRB理事、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、パネルディスカッションに参加
○ロシア(戦勝記念日)、休場
○10日 米中高官、貿易問題を巡る協議(スイス)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
8日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米英貿易協定の締結合意や週末に予定されている米中通商交渉への期待感、トランプ大統領の発言「今すぐ株を買った方がいい」などを受けて146.18円まで上昇した。ユーロドルは米英貿易協定の締結や米長期金利の大幅上昇を受けて1.1212ドルまで下落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、3月の実質賃金を見極めた後は、今週末に開催される米中通商交渉への期待感から堅調推移が予想される。
トランプ米大統領が英国との貿易協定合意を発表し、対中関税が引き下げられる可能性にも言及したことで、10-11日に開催される米中通商交渉への期待感が高まっている。
ニューヨーク市場のドル円は146.18円まで上昇したが、IMMシカゴ筋の過去最大規模の円のネット買い持ちポジションが手仕舞われるタイミングに警戒しておきたい。
IMMシカゴ筋は、今年1月にドル円が155円付近で推移していた頃、円の売り持ちポジションから買い持ちポジションに転換し、152円付近では過去最大規模に拡大して、先週4月29日時点(※NY終値:142.33円)では179,212枚まで過去最大を更新していた。
シカゴ筋がドル売り・円買いのポジションに傾いた背景には、日銀の追加利上げ観測、米連邦準備理事会(FRB)の追加利下げ観測、米国の貿易赤字削減に向けたトランプ関税によるドル下落観測などがあったと思われる。
しかし、日銀金融政策決定会合では、トランプ関税の「不確実性」を理由にハト派的な据え置きとなり、米連邦公開市場委員会(FOMC)でも「不確実性」を理由に、タカ派的な据え置きとなっており、米英貿易協定の締結合意や米中通商交渉への期待感などから、ドル売り・円買いのベクトルが後退しつつある。
米中通商交渉では、ベッセント米財務長官の発言「今回は大きな貿易合意についてではなく、緊張緩和に関するものになるだろう。前進する前に緊張を緩和しなければならない」のように米中間の緊張が緩和される内容だった場合は、来週のドル円は、雲の下限147.91円や200日移動平均線149.68円に向けた上昇基調が予想される。
逆に、米中間の緊張が緩和されなければ、ドル円は失速することになる。
8時30分に発表される3月毎月勤労統計(現金給与総額)では、実質賃金に注目することになる。2月の現金給与総額は、前の年の同じ月と比べて3.1%増えたものの、物価の上昇に賃金の伸びが追いつかず、実質賃金は1.2%減少し、2カ月連続のマイナスだった。
日銀は1日の金融政策決定会合で現状の金融政策の維持を決定し、トランプ関税によって世界経済の不確実性が一段の増す中で、経済・物価見通しを下方修正するとともに、2%の物価安定目標の実現時期を1年程度先送りした。そして、「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の中核である基本的見解から、日銀の利上げ路線の根幹を成してきた「賃金と物価の好循環」という文言が消滅した。
3月の実質賃金が3カ月連続のマイナスだった場合は、日銀のハト派的な据え置きを裏付けることになる。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 37490 +350 (+0.94%)
TOPIX先物 2731.0 +27.5 (+1.01%)
シカゴ日経平均先物 37470 +330
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
8日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。トランプ米大統領は、関税措置をめぐる交渉で英国と合意したと発表した。米国と各国の交渉で初めての合意となり、買いが先行した。ベッセント米財務長官らと中国高官が週末にスイスで行う協議についても、交渉が進展するとの期待が高まった。さらにトランプ大統領が「今すぐ株を買った方がいい」と発言すると、NYダウの上げ幅は一時650ドルを超える場面もあった。ただ、トランプ大統領は「所得250万ドル以上の富裕層に増税を求める」との一部報道を受け、終盤にかけて急速に伸び悩んだ。
S&P500業種別指数は、自動車・自動車部品、耐久消費財・アパレル、銀行が上昇した一方で、電気通信サービス、医薬品・バイオテク、公益事業が下げた。NYダウ構成銘柄では、ボーイング<BA>、ウォルト・ディズニー・カンパニー<DIS>、アメリカン・エキスプレス<AXP>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、スリーエム<MMM>が買われた。半面、メルク<MRK>、コカ・コーラ<KO>、マクドナルド<MCD>が下落。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比330円高の3万7470円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは、日中比20円高の3万7160円で始まり、直後につけた3万7140円を安値にロング優勢の流れとなり、3万7450円まで上昇。買い一巡後は3万7180円まで上げ幅を縮めたが、米国市場の取引開始後に上へのバイアスが強まり、3万7680円まで上げ幅を広げた。終盤にかけてはロング解消の動きがみられ、3万7490円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、買い先行で始まることになりそうだ。米国と英国が貿易交渉で合意したことで、協議を進めている日本においても期待が高まりやすい。為替市場では1ドル=145円後半と円安に振れて推移しており、リスク選好の流れに向かわせよう。
日経225先物はナイトセッションで3万7680円まで買われ、200日移動平均線(3万7620円)を上回る場面もあった。同線では強弱感が対立する可能性はありそうだが、米中協議を控えるなか、ショートポジションをニュートラルに近づける動きが入りやすいと考えられる。上向きで推移するボリンジャーバンドの+2σ(3万7930円)に沿ったトレンドが意識されやすいほか、52週線(3万7880円)が射程に入ってきており、ショートカバーが強まることになりそうだ。
そのため、オプション権利行使価格3万7500円を中心とした3万7250円から3万7750円辺りでのレンジを想定。200日線を支持線に変えてくる局面においては、3万7500円から3万8000円のレンジに切り上がることになろう。
8日の米VIX指数は22.48(7日は23.55)に低下した。支持線として機能していた75日線(22.98)を割り込んでおり、200日線(19.69)が射程に入ってきた。週末の米中協議で進展がみられるようだと大きく低下する可能性もあるなかで、リスク選好に向かわせよう。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.73倍に上昇。NTTデータグループ<9613.T>[東証P]がストップ高となったほか、アドバンテスト<6857.T>[東証P]や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株の強い動きが日経平均型を押し上げた。+1σ(13.65倍)と+2σ(13.73倍)でのレンジであるが、NTTデータグループはTOB価格にサヤ寄せすることで日経平均型優位になるとみられ、NTロングによるスプレッド狙いに向かわせそうだ。
東京市場は堅調か。米国株は上昇。ダウ平均は254ドル高の41368ドルで取引を終えた。米国と英国で貿易交渉が大枠で合意に至ったほか、トランプ大統領から米中の交渉に関しても楽観的な見方が示されたことが好感された。ドル円は足元145円80銭近辺と大きく円安(ドル高)に傾いている。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて330円高の37470円、ドル建てが395円高の37535円で取引を終えた。
米国株高や円安進行を好感した買いが入ると予想する。CME225先物からは節目の37000円を大きく上回るスタートが想定される。ここ数日の日経平均は37000円近辺では上値が重くなっていただけに、同水準を明確に超えてくれば買いに勢いがつきやすい。米中交渉でも進展が見られれば、さらなる株高も期待できる。円安に大型外需株が好反応を示して、下げづらく上げやすい地合いが続くだろう。日経平均の予想レンジは37200円-37700円。
昨日はNY市場に入ってドル全面高となったわけですが、トランプ米大統領が米英の貿易合意を発表した後、週末の中国代表団との通商協議が「実質的な交渉となり、上手くいけば対中関税を引き下げる可能性がある」ことに言及。加えて「今すぐに株を買った方がいい」とのかなりダイレクトな発言となると、株価の急伸と米長期金利の急騰とともにドル買いが加速することになりました。
ドル円は、アジア時間には「重大な発表」の相手国が英国だと判明すると、逆に拍子抜けしたことから143.45円の安値まで下押ししたわけですが、市場では、東京時間ランチタイムから観測されたHF勢による日経先物へのまとまった買いが観測されたことをきっかけに、ドル円もじりじりと下値を切り上げる展開に。日銀金融政策決定会合を経て、FOMCではパウエルFRB議長が「明確化(clarity)を待つ立場」を強調したことによるメインシナリオの変更を余儀なくされたわけで、その決断が昨日のランチタイムから明確化したのであれば、昨日の踏み上げ相場もかなり整合性の取れる動きだったと言えます。
いずれにしても、週末の米中通商協議を見極めることになりますが、昨日のNYポストでは「対中関税を145%から50%まで引き下げる」ことが報じられているほか、WSJでは既に2週間前に「50-65%への引き下げを検討している」との記事も掲載されています。ドル円は目先、NYレンジのフィボナッチ61.8%水準である145.52円手前で調整も終わり、下げ止まっているところですが、上値は50日MAの位置する146.35円や一目雲下限の147.91円を意識した動きとなっていきそうです。
日経225先物は11時30分時点、前日比360円高の3万7500円(+0.96%)前後で推移。寄り付きは3万7400円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7470円)にサヤ寄せする形から、買い先行から始まった。現物の寄り付き時に3万7540円まで買われたが、中盤にかけて利益確定に伴うロング解消の動きもあり、3万7290円まで上げ幅を縮める場面もみられた。ただし、終盤にかけて再びロング優勢のなかでショートカバーを誘う形から3万7500円を回復している。
日経225先物は200日移動平均線(3万7620円)が心理的な抵抗線として意識されており、買い一巡後は利食いに向かわせた。為替市場では朝方に1ドル=146円台に乗せた後は、やや円高に振れる場面もみられたことで、ロング解消が入りやすかったと考えられる。米中協議を週末に控えるなかで持ち高調整に伴うショートカバーが入りやすい需給状況のなか、押し目待ち狙いの買い意欲は強い。5月のSQ値(3万7572.13円)を下回って推移しているが、日経平均株価がSQ値に接近する局面をみせてくるようだと、ショートカバーを強めてきそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.68倍に低下。買い先行で始まったアドバンテスト<6857.T>[東証P]や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株は、買い一巡後に上げ幅を縮めたこともあり、ボリンジャーバンドの+2σ(13.72倍)に抑えられる形になった。
「当面は『鎮静化(clarity)』を待つことになる」(パウエルFRB議長)
DJゼッドの1stアルバム「Clarity」では、「If our love’s insanity, why are you my clarity?」(この愛が狂気なら、なぜあなたといると心が落ち着く(clarity)の?)と詠われた。
パウエルFRB議長は、トランプ関税の「不確実性(uncertainty)」からの「鎮静化(clarity)」を待つことを表明した。
5月7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、トランプ関税による「不確実性(uncertainty)」を理由に、3会合連続での政策金利の据え置き(4.25-50%)を全員一致で決定した。そして、関税スタグフレーション(higher unemployment and higher inflation)への警戒感を明記した。
1. FOMCの金融緩和(2024年~)
【FF金利誘導目標】 【CPI】 【PCE】
・2024年9月:4.75%~5.00%(第1次利下げ)▲0.50% +2.5% +2.5%
・2024年11月:4.50%~4.75%(第2次利下げ)▲0.25% +2.4% +2.1%
・2024年12月:4.25%~4.50%(第3次利下げ)▲0.25% +2.7% +2.3%
・2025年1月:4.25%~4.50%(据え置き)
・2025年3月:4.25%~4.50%(据え置き)
・2025年5月:4.25%~4.50%(据え置き)
2. FOMC声明:関税スタグフレーションへの警戒感
・「失業増加とインフレ加速のリスクは高まった」(higher unemployment and inflation)
・「トランプ政権の関税の影響に対応する中で、経済見通しが一段と不透明になっている」
・「目標達成を妨げる可能性のあるリスクが出現した場合、必要に応じて金融政策スタンスを調整する用意がある」
・「労働市場の状況、インフレ圧力やインフレ期待を示す各指標のほか、金融・国際情勢などを幅広く考慮して判断する」
3.パウエルFRB議長:利下げ急ぐ必要ない(wait-and-see approach)
「金融政策スタンスが景気を抑制する度合いは以前より大幅に弱まっており、経済は強さを維持していることから、政策スタンスの調整を急ぐ必要はない」
「経済の動向次第で、見通しには利下げまたは金利据え置きが含まれる可能性がある」
「貿易政策が依然として不確実性の源であり、FRBが様子見姿勢(wait-and-see approach)を取る必要があることを裏付けている」
「発表された大規模な関税が継続すれば、インフレ高進と雇用減につながる」
「関税について大きな不確実性(uncertainty)がある。当面は鎮静化(clarity)を待つ立場にある」
4.トランプ米政権
・トランプ米大統領「FRBは利下げをするべきだ」
・ベッセント米財務長官
「2年債利回りは現在FF金利を下回っている。これは市場がFOMCに対し、利下げを促すシグナルを送っているということだ」
・ミラン米大統領経済諮問委員会CEA委員長
FOMC声明での米国のインフレ率が再び上昇するという懸念について、「トランプ政権はそのような事態にはならないと考えている」
・ハセット米国家経済会議(NEC)委員長
「トランプ政権の関税措置が経済に悪影響を与えるというモデルをFRBが示したことに落胆している」
本日のロンドン為替市場のポンドドルは、米英貿易協定の締結合意発表前に0.25%の利下げを決定していたイングランド銀行金融政策委員会(MPC)のベイリー英中銀(BOE)総裁とピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員の講演に注目する展開となる。
イングランド銀行MPCでは、8日の金融政策発表の前日に投票が行われるが、英国にとって最大のリスクは米国のトランプ関税がもたらす影響だとの見解により、5名が0.25%の利下げ、2名が0.50%の利下げ、2名が据え置きに投じた。
8日には、トランプ米大統領が英国との貿易協定合意を発表している。
本日は、0.25%の利下げに投じたベイリーBOE総裁と、据え置きに投じたピル英中銀MPC委員の講演で、英米貿易協定合意を受けての見解に注目することになる。
金融政策報告に盛り込まれた経済見通しは、年末までに3回の追加利下げが行われ、金利が3.5%(※ターミナルレート)に達するという市場の予測を事実上追認している。
ピル委員は、据え置きに理由として、3月以降、金融市場の借り入れコストが40bp低下するなど、金融環境が緩やかになっていること、英国の構造的な供給制約によるインフレ持続リスクなどを挙げている。
ユーロドルは、欧州と米国との通商協議に関するヘッドラインに警戒しておきたい。欧州連合(EU)は、今週、米側に貿易・非関税障壁の削減や米国への投資促進などが含まれた提案文書を提示する予定と報じられていた。
EUは8日、航空機や自動車、バーボンなどを対象に950億ユーロ規模の対米関税リストを公表しており、米政権との貿易交渉に失敗した場合に発動される。
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1317ドル(日足一目均衡表・転換線)
・ユーロ円:164.63円(5/2高値)
・ポンドドル:1.3341ドル(日足一目均衡表・転換線)
・ポンド円:194.12円(4/3高値)
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.1095ドル(4/9高値)
・ユーロ円:163.12円(日足一目均衡表・転換線)
・ポンドドル:1.3077ドル(日足一目均衡表・基準線)
・ポンド円:191.87円(日足一目均衡表・転換線)
ドル円:1ドル=145.42円(前営業日NY終値比▲0.49円)
ユーロ円:1ユーロ=163.38円(▲0.44円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1234ドル(△0.0006ドル)
日経平均株価:37503.33円(前営業日比△574.70円)
東証株価指数(TOPIX):2733.49(△34.77)
債券先物6月物:140.35円(▲0.27円)
新発10年物国債利回り:1.355%(△0.035%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月家計調査(消費支出)
前年同月比 2.1% ▲0.5%
3月毎月勤労統計(現金給与総額)
前年同月比 2.1% 2.7%・改
4月外貨準備高
1兆2982億ドル 1兆2725億ドル
3月景気動向指数速報値
先行指数 107.7 107.9
一致指数 116.0 117.3
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は上値が重い。日経平均株価の上昇などを手掛かりにした買いが先行し、昨日高値の146.18円をわずかに上抜けて、一時146.19円まで値を上げた。ただ、その後は伸び悩む展開に。昨日からの大幅上昇の反動もあり、146円台で上値の重さを確認すると145.33円まで反落した。
・ユーロドルは売りが一服。ドル円に一時買い戻しが入った局面では1.1197ドルと4月11日以来の安値をつけたものの、その後は1.1242ドルまで反発。対円などでドルの売り戻しが進んだ影響を受けた。
・ユーロ円は上値が重い。朝方に163.94円の高値をつけた後はドル円の下げにつれて徐々に上値を切り下げた。日本株の上昇も支えとはならず、14時過ぎには163.31円まで失速した。
・日経平均株価は大幅続伸。米中関税交渉の進展期待などによって投資家心理が改善した。外国為替市場で円安・ドル高が進んだことを手掛かりに自動車など輸出関連株が買われ、指数は一時630円近く上昇した。
・債券先物相場は3日続落。米関税交渉を巡る過度な警戒感が後退するなか、昨日の米国債券相場が下落した流れを引き継いで売りが出た。一時140円15銭まで下落する場面があった。
大阪6月限
日経225先物 37520 +380 (+1.02%)
TOPIX先物 2736.0 +32.5 (+1.20%)
日経225先物(6月限)は前日比380円高の3万7520円で取引を終了。寄り付きは3万7400円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7470円)にサヤ寄せする形で買いが先行した。現物の寄り付き時に3万7540円まで買われたが、前場中盤にかけて利益確定に伴うロングの解消もあり、3万7290円まで上げ幅を縮める場面もみられた。だが、前場終盤に再びロング優勢となりショートカバーを誘う形から3万7500円を回復。後場は3万7410円~3万7550円辺りで保ち合い、終盤にかけて3万7590円まで買われる場面もみられた。
日経225先物は200日移動平均線(3万7620円)が心理的な抵抗線として意識されており、買い一巡後は利食いが入ったものの、下値の堅さもみられていた。75日線(3万6960円)と200日線によるレンジ推移であり、200日線に接近する形で終えた点はセンチメントを明るくさせよう。週末要因で仕掛け的なトレードは限られ、米中協議を週末に控えて持ち高調整に伴うショートカバーが入りやすい需給状況だった。
週足では13週線(3万6480円)が支持線として機能するなかで、26週線(3万7680円)に接近してきた。26週線や52週線(3万7880円)が抵抗線として意識されそうだが、同線を上抜いてくると、ショートカバーが一段と強まる可能性があり、ピーク感によるショートへのシフトは避けておきたい。
米国と各国の貿易交渉は90日の期限とされる7月上旬まで続くため、今後も合意が成立する国が表れよう。そのため、200日線や26週線、52週線といった節目では強弱感が対立するとみられるが、押し目狙いのロングで対応したいところであろう。
NT倍率は先物中心限月で13.71倍に低下。ボリンジャーバンドの+2σ(13.72倍)に抑えられる形になった。ただし、一時13.67倍まで下げる場面もみられたが、+1σ(13.66倍)が支持線として機能しており、+1σと+2σによるレンジが続いている。バンドが緩やかながら上向きで推移していることもあり、NTロングに振れやすいとみておきたい。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万7729枚、ソシエテジェネラル証券が1万2342枚、サスケハナ・ホンコンが4292枚、JPモルガン証券が2470枚、SBI証券が2450枚、バークレイズ証券が2086枚、野村証券が1928枚、モルガンMUFG証券が1721枚、日産証券が1463枚、みずほ証券が1386枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が1万8425枚、ソシエテジェネラル証券が1万7177枚、JPモルガン証券が5899枚、バークレイズ証券が4398枚、ビーオブエー証券が2687枚、モルガンMUFG証券が2502枚、ゴールドマン証券が2422枚、サスケハナ・ホンコンが1930枚、大和証券が1458枚、みずほ証券が855枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、週末の米中通商交渉を前に、複数の米金融当局者の発言内容を確認しつつ、貿易関連の報道に注意する展開が見込まれる。
NY市場では主だった米経済指標の発表は予定されていないが、複数の米要人発言が予定されている。NY午前にウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁とバーキン米リッチモンド連銀総裁、グールズビー米シカゴ連銀総裁が、NY午後にはウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事とウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁の発言機会が予定されている。グールズビー総裁は今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)投票権を有している。
7日のFOMC後、パウエルFRB議長は会見で利下げを急がない姿勢を示したことで、米金利先安観は後退。金利先物市場での利下げ開始時期は7月に後退している。トランプ政権の関税政策に対する不透明感が高まると共に、米経済に「スタグフレーション」の影がちらつく中、今後の景気や金利見通しについて言及があれば材料視される可能性がある。
本日に限った事ではないが、米貿易関連の報道に対する備えも怠らないようにしたい。週末に米中通商交渉を控える中、交渉への期待が高まる発言が伝わればリスクオンの流れを後押しすることが予想される反面、会談に対する悲観的発言が伝わるとリスク回避ムードに傾く展開もあり得る。交渉前ではあるが発言一つで市場のセンチメントが変わる恐れがある局面だけに、関係者からの発言には注意したい。
そのほか引き続き、トランプ米大統領の発言にも警戒が必要だ。昨日は「今すぐ株を買った方がいい」と発言したことで、米株が上昇してリスクオンの地合いになると、ドル円は146円台に上昇した。週末に米中通商交渉を控えていることもあり、ひとたび発言が伝わると相場かく乱要因となる恐れは十分にあるといえる。
他方、カナダでは4月雇用統計が発表される。市場予想は失業率が前月より0.1%悪化して6.8%、新規雇用者数は前月の減少に反して0.50万人増となっている。普段は同時刻に米経済指標と重複することが多く、ドルの動きも注視する必要があるが、今回は同時刻に米指標の発表が予定されていないため、指標結果に対して素直な反応が見込まれる。
想定レンジ上限
・ドル円は、現時点での本日高値146.19円。超えると1月10日から4月22日の下落幅に対する38.2%戻し147.14円
・カナダドル円は、90日移動平均線105.33円
想定レンジ下限
・ドル円は、日足・一目均衡表の転換線・基準線144.08円。割り込むと21日移動平均線143.20円
・カナダドル円は、日足・一目均衡表の基準線103.34円
今晩は底堅い展開か。昨日は週末に行われる米中の貿易協議への期待が続く中、米国と英国の貿易交渉が大枠で合意に至り、初めて貿易協議の具体的進展が見られたことで主要3指数がそろって続伸。週末の米中協議を巡っては、トランプ米大統領が「良い週末」を迎えると予想すると述べたことも貿易交渉進展期待を高めた。ダウ平均はトランプ発言を好感し、一時659ドル高まで上昇し、254.48ドル高(+0.62%)で終了。S&P500とナスダック総合もそれぞれ0.58%高1.07%高で終了した。週初来ではS&P500が0.40%安、ナスダック総合が0.28%安とともに3週ぶりの反落ペースとなった一方、ダウ平均は0.12%高と小幅に3週続伸ペースとなった。
今晩は週末の取引となるが、週末にスイスで行われる米中貿易交渉の進展期待を背景に底堅い展開か。トランプ米大統領は4月2日に発表した「相互関税」をその後90日間延期するとしたが、中国に対しては145%の関税を据え置いた。トランプ米大統領は米中協議について「良い週末」になるだろうと楽観を示しており、関税率の大幅引き下げ期待などが引き続き米株の支援となりそうだ。
今晩は重要な米経済指標や企業決算の発表はないが、バー米連邦準備理事会(FRB)理事、クーグラーFRB理事、ウォラーFRB理事、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、バーキン米リッチモンド連銀総裁、グールズビー米シカゴ連銀総裁、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁などFRB高官の講演などが多数予定されている。
日経平均株価は続伸。75日移動平均線(37095円 5/9)を上回り、100日移動平均線(37646円 同)に接近する陽線を形成して終えた。
RSI(9日)は前日の98.1%→98.1%(5/9)と横ばい。週明けも上昇のハードルは高くなるが、短期的な相場の見方に変化はない。4/7安値(30792円)を起点とした目先波動は上昇継続の判断となる。
75日移動平均線と一目均衡表の雲下限が重複するフシを上回り、100日移動平均線や200日移動平均線(37938円 同)、終値ベースで3/26につけた急落前の戻り高値(38027円)なども射程圏に入ってきた。
一方、4/7安値から20営業日目が5/7に経過した。昨年8月安値から20日経過した後に反落調整に入っており、日柄面では変化日に近いと判断できる。来週は一目均衡表の雲の水準が急速に切り下がるタイミングに入ることで、目先の調整入りのシナリオも想定できる。
上値メドは、100日移動平均線、200日移動平均線、心理的節目の38500円や39000円などがある。下値メドは、5日移動平均線(36898円 同)、10日移動平均線(36199円 同)、心理的節目の36000円や35500円、25日移動平均線(34802円 同)などがある。
(9日終値:10日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=145.23円(9日15時時点比▲0.19円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.56円(△0.18円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1262ドル(△0.0028ドル)
FTSE100種総合株価指数:8554.80(前営業日比△23.19)
ドイツ株式指数(DAX):23499.32(前営業日比△146.63)
10年物英国債利回り:4.567%(△0.021%)
10年物独国債利回り:2.562%(△0.027%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月ノルウェー消費者物価指数(CPI)
(前月比) 0.7% ▲0.7%
(前年比) 2.5% 2.6%
4月スイスSECO消費者信頼感指数
▲42.4 ▲34.8
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は弱含み。東京午後からの持ち高調整と見られるドル売りの流れが欧州市場でも継続した。心理的節目の145.00円が目先サポートとして意識されると下げ渋る場面もあったが、トランプ米大統領が「中国に対しては80%の関税が適切」などと発言すると再び弱含む展開となった。NY市場に入ると、米長期金利の低下に伴う円買い・ドル売りが進行。高く始まった米国株相場が下げに転じたことも相場の重しとなり、23時30分前に一時144.83円と日通し安値を更新した。
ただ、売りはあくまでポジション調整の域を出ず長続きしなかった。2時30分前には145.35円付近まで下値を切り上げた。
・ユーロドルは強含み。米長期金利の低下を手掛かりにユーロ買い・ドル売りが先行。23時30分前に一時1.1293ドルと日通し高値を更新した。ただ、売り一巡後は伸び悩む展開に。2時30分前には1.1253ドル付近まで上値を切り下げた。
なお、クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事は「現在の政策は中程度に引き締め的」「労働市場は安定しており、底堅い動きを見せている」と述べたほか、バーFRB理事は「様子見の姿勢が必要」「関税をめぐる不確実性がインフレ上昇と成長低下のリスクを高めていると言っても過言ではない」などと発言。また、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁は「政策は良い状況にあり、FRBには時間的余裕がある」「金融政策は現在、やや引き締め的である」などと話した。
・ユーロ円は小高い。20時30分前に一時163.16円と日通し安値を付けたものの、1時前には163.64円付近までじり高となった。ドル円の下落につれた売りが出た半面、ユーロドルの上昇につれた買いが入った。
・ロンドン株式相場は3日ぶりに反発。米関税を巡る協議が進展するとの期待が相場を押し上げた。市場では「米政権の関税政策が世界経済の大幅な下振れにつながるとの警戒感が薄れている」との声が聞かれた。
・フランクフルト株式相場は続伸。米関税政策を巡る協議が進展するとの期待から独株にも買いが広がった。個別ではコメルツ銀行(4.36%高)やバイエル(2.67%高)、ダイムラー・トラック・ホールディング(2.49%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は下落。貿易問題を巡る米国と相手国との協議が進展するとの期待から欧州株相場が上昇すると、相対的に安全資産とされる国債に売りが出た。
(9日終値)
ドル・円相場:1ドル=145.37円(前営業日比▲0.54円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.53円(▲0.29円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1250ドル(△0.0022ドル)
ダウ工業株30種平均:41249.38ドル(▲119.07ドル)
ナスダック総合株価指数:17928.92(△0.78)
10年物米国債利回り:4.38%(横ばい)
WTI原油先物6月限:1バレル=61.02ドル(△1.11ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3344.0ドル(△38.0ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は3日ぶりに反落。アジア時間に一時146.19円と4月10日以来約1カ月ぶりの高値を付けたあとだけに、海外市場では週末を控えたポジション調整目的の売りが出た。トランプ米大統領が「中国に対しては80%の関税が適切」と発言したことや、米10年債利回りが4.34%台まで低下したことも相場の重しとなり、23時30分前に一時144.83円と日通し安値を更新した。
ただ、売りはあくまでポジション調整の域を出ず長続きしなかった。米10年債利回りが4.38%台まで上昇したことも相場を下支えし、5時30分過ぎには145.38円付近まで下値を切り上げた。市場では「日銀の早期利上げ観測は後退している一方、米早期利下げ観測は後退しており、円売り・ドル買いが出やすい地合いだ」との声も聞かれた。
・ユーロドルは3日ぶりに反発。米長期金利の低下を手掛かりにユーロ買い・ドル売りが先行すると一時1.1293ドルと日通し高値を付けたものの、米長期金利が上昇に転じると伸び悩んだ。取引終了間際には1.1247ドル付近まで下押しした。
・ユーロ円は3日ぶりに反落。アジア市場では一時163.94円まで値を上げたものの、欧州市場では163.16円まで下落した。ただ、NY市場に限ればもみ合いの展開に。ドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、相場は大きな方向感が出なかった。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反落。米関税を巡る協議が進展するとの期待から買いが先行したものの、10日から始まる米中貿易協議を前に持ち高調整目的の売りが出ると下げに転じた。
一方、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は小幅ながら3日続伸した。
・米国債券相場で長期ゾーンは横ばい。10日から始まる米中貿易協議を前に様子見ムードが強く、相場は方向感に乏しい展開となった。
・原油先物相場は続伸。週末に予定されている米中通商交渉で両国間の摩擦が緩和し、エネルギー需要が高まるとの期待感が引き続き下値を支えた。また、ドルがほぼ全面安となったことで、ドルで取引される原油先物は割安感からも買いが集まった。
・金先物相場は3日ぶりに反発。週末に予定されている米中通商交渉への期待感から、過度なリスク選好の動きが和らぎ金先物は弱含む場面があった。ただ、週末を前に為替市場でドル高の調整が入り、ドル売りが進むとドルで取引される金先物は割安感から3日ぶりに反発して引けた。
9日06:13 ラトニック米商務長官
「日本と韓国との交渉締結は早くはないだろう」
「最初の取引は他国の雛形となりうる」
9日08:46 加藤財務相
「政府は新たな経済対策を検討していない」
「消費税の引き下げは適切ではない」
「財政余力を確保することが重要」
9日09:42 赤沢経済再生相
「一連の関税措置見直し求める日本のポジションに変わりはない」
「政府一丸となって最優先勝つ全力で対米交渉に取り組む」
9日10:02 アマドール・メキシコ財務相
「メキシコ経済は依然として堅調であり、企業にとって投資環境は良好」
9日10:40 シェインバウム・メキシコ大統領
「メキシコ経済は世界情勢にうまく対応している」
「メキシコのGDP成長率はもっと高くしたい」
「メキシコのインフレ率は制御下にある」
「最低賃金の引き上げが経済の発展に寄与した」
「メキシコは今年、福祉プログラムに400億ドルを投じる」
9日15:54 レーン・フィンランド中央銀行総裁
「ディスインフレは軌道に乗っている」
「成長見通しは弱まっている」
「3月に定めたリスクは大きく顕在化した」
「予測が裏付けられれば6月の利下げは正しい動きとなる」
「レアアースやガリウムの輸出規制を強化」
「戦略鉱物の密輸や輸出を取り締まるための特別作戦を展開する」
9日17:29 シムカス・リトアニア中銀総裁
「ECBは6月に金利を引き下げる必要がある」
「6月の利下げ後、次の利下げが7月になるか9月になるかは不明」
「ECBの金利に関する中心的なシナリオは存在しない」
9日17:53 ベイリー英中銀(BOE)総裁
「2%のインフレ目標へのコミットメントは揺るぎない」
「MPCについて多様な見解があるのは良いこと」
「スタッフの提案に基づき、MPCの大多数が合理的な基準と認めるベースライン予測を維持」
「ベースラインを取り巻くリスクを探り、委員会内の意見の相違に対応するために、シナリオを手段として用いる」
「BOEの最新のシナリオの選択は、インフレリスクが一方向に偏っていることを意味しない」
「シナリオは金融政策の軌道の歪みを示唆するものではない」
「世界経済の環境は、過去と比較して、引き続き困難で予測が難しくなる可能性が高い」
9日19:42 バー米連邦準備理事会(FRB)理事
「様子見の姿勢が必要」
「関税をめぐる不確実性がインフレ上昇と成長低下のリスクを高めていると言っても過言ではない」
「これまでのデータは、米国経済が好調で失業率が低いことを示している」
「第1四半期のGDPには異常なデータがあった」
9日19:55 クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「労働市場は安定し、最大雇用に近い状態」
「現在の政策は中程度に引き締め的」
「労働市場は安定しており、底堅い動きを見せている」
「第1四半期のGDPは経済の実体面が底堅いことを示した」
9日20:30 トランプ米大統領
「中国に対しては80%の関税が適切」
「対中関税はベッセント財務長官次第」
9日20:50 ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト
「慎重な利下げは、将来の経済変化に警戒し、機敏に対応することを意味すると理解されるべき」
「関税発表後も英国経済に劇的な変化は見られない」
「関税への経済的反応が限定的なのは、部分的にはBOEの金融緩和政策への期待を反映」
「賃金上昇による長期的なインフレ圧力を無視すべきではない」
9日21:37 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「現在は大きな不確実性と変化の時期」
「中央銀行の独立性はより良い結果をもたらす」
「政策は良い状況にあり、FRBには時間的余裕がある」
「労働市場は底堅いことが証明されている」
「関税政策がどうなるか見極めたい」
「経済が予想以上に弱体化すれば、利下げが必要となる」
「金融政策は現在、やや引き締め的である」
10日02:25 レビット米ホワイトハウス報道官
「トランプ大統領は10%の基本関税導入を約束している」
「中国への80%関税はトランプ大統領が提示した数字」
「米国は中国から譲歩を得る必要がある」
「対中関税の一方的な引き下げはしない」
※時間は日本時間
12日
○08:50 ◎ 3月国際収支速報
○14:00 ◇ 4月景気ウオッチャー調査
13日
○08:50 ◇ 4月マネーストックM2
○08:50 ◇ 日銀金融政策決定会合における主な意見(4月30-5月1日分)
14日
○08:50 ◇ 4月企業物価指数
15日
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース、2週分)
16日
○08:50 ☆ 1-3月期実質国内総生産(GDP)速報値
○13:00 ◇ 中村豊明日銀審議委員、講演
○13:30 ◇ 3月鉱工業生産確報
○13:30 ◇ 3月設備稼働率
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
10日
○米中高官、貿易問題を巡る協議(スイス)
12日
○17:00 ◎ ロンバルデリ英中銀(BOE)副総裁、講演
○19:30 ◎ グリーン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○21:00 ◇ 3月メキシコ鉱工業生産
○21:50 ◎ マン英中銀MPC委員、講演
○23:25 ◎ クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○13日03:00 ◎ 4月米月次財政収支
○シンガポール(べサックデー)、インド(釈迦生誕日)、休場
13日
○08:01 ◇ 4月英小売連合(BRC)小売売上高調査
○09:30 ◇ 5月豪ウエストパック消費者信頼感指数
○10:30 ◇ 4月豪NAB企業景況感指数
○15:00 ◎ 4月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○15:00 ◎ 1-3月英失業率(ILO方式)
○16:00 ◎ エスクリバ・スペイン中銀総裁、講演
○16:00 ◇ 3月トルコ経常収支
○17:00 ◎ マクルーフ・アイルランド中銀総裁、講演
○17:45 ◎ ピル英中銀MPC委員兼チーフエコノミスト、講演
○18:00 ◎ 5月独ZEW景況感指数
○18:00 ◎ 5月ユーロ圏ZEW景況感指数
○18:30 ◎ 1-3月期南アフリカ失業率
○19:30 ◎ 4月インド消費者物価指数(CPI)
○21:30 ☆ 4月米CPI
☆ エネルギーと食品を除くコア指数
○24:00 ◎ ベイリーBOE総裁、クノット・オランダ中銀総裁、講演
○トランプ米大統領、中東歴訪
14日
○10:30 ◎ 1-3月期豪賃金指数
○15:00 ◎ 4月独CPI改定値
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○21:30 ◇ 3月カナダ住宅建設許可件数
○23:00 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○06:40 ◎ デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○10:30 ◎ 4月豪雇用統計(失業率/新規雇用者数)
○15:00 ☆ 3月英国内総生産(GDP)
○15:00 ☆ 1-3月期英GDP速報値
○15:00 ◎ 3月英鉱工業生産/製造業生産高
○15:00 ◇ 3月英商品貿易収支/英貿易収支
○15:00 ◎ 1-3月期ノルウェーGDP
○15:30 ◇ 4月スイス生産者輸入価格
○15:45 ◇ 4月仏CPI改定値
○16:05 ◎ チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○18:00 ☆ 1-3月期ユーロ圏GDP改定値
○18:00 ◎ 3月ユーロ圏鉱工業生産
○19:15 ◎ デギンドスECB副総裁、講演
○21:00 ◎ 3月ブラジル小売売上高
○21:15 ◇ 4月カナダ住宅着工件数
○21:30 ◇ 3月カナダ製造業出荷
○21:30 ◇ 3月カナダ卸売売上高
○21:30 ◎ 4月米卸売物価指数(PPI)
◎ 食品とエネルギーを除くコア指数
○21:30 ☆ 4月米小売売上高
○21:30 ◎ 5月米ニューヨーク連銀製造業景気指数
○21:30 ◎ 5月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数
○21:40 ☆ パウエルFRB議長、あいさつ
○22:15 ◎ 4月米鉱工業生産
◇ 設備稼働率
○23:00 ◎ ディングラ英中銀MPC委員、講演
○23:00 ◇ 3月米企業在庫
○23:00 ◎ 5月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数
○16日04:00 ◎ メキシコ中銀、政策金利発表
16日
○17:30 ◎ 1-3月期香港GDP確定値
○18:00 ◇ 3月ユーロ圏貿易収支
○21:30 ◇ 3月対カナダ証券投資
○21:30 ◎ 4月米住宅着工件数
◎ 建設許可件数
○21:30 ◇ 4月米輸入物価指数
○23:00 ◎ 5月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値)
○24:00 ◎ レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、ロンバルデリBOE副総裁、講演
○17日01:00 ☆ 1-3月期ロシアGDP速報値
○17日01:00 ◎ 4月ロシアCPI
○17日05:00 ◎ 3月対米証券投資動向
18日
○ポルトガル総選挙
○ポーランド大統領選
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
◆豪ドル、米中貿易交渉の行方に注意
◆豪ドル、与党の単独過半数確保で豪政局は安定へ
◆ZAR、21日公表の2025年度第3次予算に注目
予想レンジ
豪ドル円 91.00-96.00円
南ア・ランド円 7.70-8.20円
5月12日週の展望
豪ドルは下値の堅い動きが予想される。豪州を巡る内外の状況は好転しつつあり、目先の豪ドル相場を下支えすることになりそうだ。なお、来週は1-3月期賃金指数や4月雇用統計の発表が予定されており、豪経済の状況を改めて確認するとともに相場の反応にも注目しておきたい。
豪州では3日に総選挙が実施され、アルバニージ首相率いる中道左派の与党・労働党が勝利。下院150議席のうち86議席を獲得し、労働党単独での過半数を確保した。事前の世論調査でも労働党の優勢は伝わっていたが、単独での過半数獲得は微妙との声もあったため、市場が懸念していた「ハング・パーラメント」を避けられたことが好感されている。
また、国外情勢でも豪ドルをサポートする内容が目立った。今週7日には週末10・11日にスイスで米中の閣僚級会議が開催され、貿易問題について議論されることが明らかになった。また、7日には中国準備銀行(中央銀行)が政策金利や預金準備率の引き下げなど金融緩和策を発表。市場では米中貿易摩擦の緩和期待が高まっているほか、中銀の金融緩和措置によって中国景気の下押し懸念も和らいでおり、中国が最大の貿易相手国である豪州経済にもプラスに働くとの思惑が広がっている。
もっとも、米中貿易協議の行方については先行き不透明感も根強い。トランプ米政権としては中国側からの譲歩を引き出したいところだが、中国政府は貿易協議の開催が明らかになった後も「貿易を巡る会談は米国側の要請で行われる」「米国との協議では自国の利益を守る方針」と強硬な姿勢を示している。面子を守りたい両国の協議で妥協案などが提示されなければ、現在の市場がリスクオンムードへと傾いているだけに失望が広がることも考えられる。交渉決裂には至らないとしても、週明けから為替相場が急変動するリスクがあることは留意しておきたい。
南アフリカ・ランド(ZAR)は国内情勢や米関税政策の行方などをにらんだ動きとなりそうだ。南ア国内では付加価値税(VAT)引き上げ撤回によって、国民統一政府(GNU)から民主同盟(DA)の脱退は回避されたが、依然として対立の火種はくすぶっており、前週末には「100人以上の国会議員がGNUに対してDAを排除するように要求した」との報道も伝わっている。また、VAT引き上げの撤回によって生じる750億ZARの歳入不足についても懸念材料。南アフリカ財務省は21日に2025年度の第3次予算を提出する予定となっているが、内容次第では南ア経済およびZAR相場の重しとして意識される可能性もありそうだ。
5月5日週の回顧
豪ドルは対円で横ばい。対ドルでは買い先行となっていたが、米連邦準備理事会(FRB)が改めて早期の利下げに慎重な姿勢を示すとやや売りに押された。ZARは対ドル・対円でともに底堅く推移。国営電力会社であるエスコムが「今年の冬(今後4カ月)は停電を回避できる見込み」との見解を示したことを好感した買いが入った。
◆ポンド、英米通商合意の影響を見定め、詳細は今後も交渉
◆ポンド、英中銀は予想通り利下げも、MPCメンバーの意見分かれる
◆加ドル、米加関係の行方を注視
予想レンジ
ポンド円 191.00-196.00円
加ドル円 102.50-106.50円
5月12日週の展望
英国と米国は8日、貿易協定の合意を発表した。10%の基準関税は維持されるものの、英自動車メーカーはトランプ米大統領が他国に課した税率25%よりも低い関税で米国に輸出できる。協定の詳細については交渉が続くとされ、今後も内容を見定めながらの取引となるだろう。
イングランド銀行(英中銀、BOE)は8日、政策金利の4.5%から4.25%に引き下げを公表。2会合ぶりの利下げや下げ幅は市場の予想通りであり、声明内容にも大きな変更はなかった。ただ、金融政策委員会(MPC)メンバー内で意見が分かれたのは予想外だった。ディングラ委員とテイラー委員の0.50%引き下げ主張は想定内としても、マン委員とピル委員(中銀チーフエコノミスト)が据え置きを主張したのはサプライズ。英中銀が緩和ペースを加速する可能性も高まっていただけに、この時点で2人も利下げ慎重派がいることはベイリーBOE総裁の舵取りを難しくさせそうだ。なおマン委員は、0.25%利下げした2月会合では0.50%の大幅利下げを主張していた。
英米の貿易関係は最悪な展開が避けられたため、英中銀の次の一手を探るうえでは経済データを1つずつ確認していく必要があるだろう。来週13日の雇用データでは賃金上昇圧力の強さを注視。15日には1-3月期国内総生産(GDP)速報値や3月鉱工業生産が発表予定となっている。
加ドルは、米加関係の行方に左右されそうだ。カーニー加首相は6日、ホワイトハウスでトランプ米大統領と会談した。その後の記者会見でトランプ米大統領が「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の再交渉が始まる可能性」と述べ、これが好感されて加ドル買いが強まる場面もあった。もっとも米大統領は、カナダに課した関税について撤回する考えはないことを強調。さらに、カナダ国民を怒らせている「カナダは米国の51番目の州になるべき」という持論を改めて示した。米加首脳会談は、重要な貿易問題についても平行線のまま終了。しかしながら、両首脳ともに「話し合いは建設的だった」と述べており、協議継続にも前向きな姿勢を見せた。
米国にとって、カナダはメキシコに次ぐ第2の貿易相手国であり、米製品にとっては最大の輸出市場。さすがにトランプ大統領も、強気一辺倒では交渉が進まないことに気付き始めている。カナダにとっても貿易戦争の長期化は同国経済にとって脅威であり、カーニー加首相もなるべく早いうちに落ち着き処を見つけたいだろう。米加首脳は今後、6月中旬にカナダ西部カナナスキスで開かれる主要7カ国(G7)首脳会議で再会する。
5月5日週の回顧
週前半に全般円高が進み、対円でポンドは190円前半、加ドルは103円前半まで下落した。ただ、その後は米中貿易摩擦の緩和期待や英米通商合意の報道を背景にリスク志向ムードが広がると、ポンド円は193円半ばまで反発。加ドル円も105円手前まで切り返した。また、ポンドドルは買い先行も1.34ドル付近では上値を抑えられ、1.32ドル前半まで戻り売りに押された。加ドルは対ドルで1.37加ドル半ばから1.39加ドル前半まで売りが強まった。
◆ドル円、米利下げ観測後退で下値堅いも米関税政策の行方に引き続き注目
◆ドル円、米CPIなど重要指標が発表予定
◆ユーロドル、欧米関税政策の行方に警戒
予想レンジ
ドル円 143.00-148.50円
ユーロドル 1.0900-1.1400ドル
5月12日週の展望
ドル円は、6-7日に行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が「利下げを急いでいない」姿勢を示したことを受けて早期利下げ観測が後退。ドルはしばらく底堅く推移しそうだ。米関税政策を巡る不確実性が拭えない限り利下げを見送る格好となったが、これに対してトランプ米大統領が圧力を掛けてくるかどうかが警戒される。米大統領がFRB議長解任を否定したため、中銀の独立性は保たれたが、二転三転する米大統領の発言に引き続き振り回されることになるだろう。
また、米国と各国との通商交渉の行方にも注目だ。週末の10-11日にはスイスに訪問中の何立峰・中国副首相とベッセント米財務長官が会談を行うことになっており、米中交渉の進展期待が高まっている。ただ、中国側は「いかなる協議も相互尊重の下、対等で互恵的な前提で実施されなくてはならない」と一貫した態度を示しており、米国が誠意を示したうえで中国側と向き合うことが必要であることを訴えている。トランプ米大統領は「交渉がうまくいけば、対中関税を引き下げる可能性」と柔軟な姿勢を示してはいるが、楽観視することは出来ない。
米国の経済指標としては、13日に4月消費者物価指数(CPI)、15日に4月卸売物価指数(PPI)や4月小売売上高、5月NY連銀およびフィラデルフィア連銀製造業景気指数、16日に5月ミシガン大消費者態度指数・速報値など、重要指標が多く発表される。
ユーロドルは、欧州連合(EU)と米国との関税交渉の行方次第となりそうだ。英国が一足先に米国との貿易合意に至ったが、もともと厳しい関税を課していない英国との交渉は容易であった一方、対米輸出品のうち現時点で関税の対象が70%を占めるEUは交渉が難航している。なお、EUは8日、航空機や自動車、バーボンなどを対象に950億ユーロ規模の対米関税リストを公表。米政権との貿易交渉に失敗した場合に発動される。
5月5日週の回顧
ドル円は底堅い動きとなった。米関税政策に対する先行き不透明感を背景に週明けから売られる展開となった。米国株安や米長期金利の低下とともに一時142.36円まで売り込まれた。ただ、米中交渉に関する報道が伝わると反発。FOMC後にパウエルFRB議長がタカ派的発言を繰返したほか、米英貿易協定合意で買いが加速すると146.18円まで買い上げられた。
ユーロドルは上値の重い展開。良好な米ISM非製造業指数を受けて週明けは売りが強まり、一時1.1280ドルまで値を下げた。独首相にメルツ氏が選出されたことが伝わると1.1381ドルまで反発したが、その後はドル全面高となるなか1.1212ドルまで再び値を下げている。
9日の日経平均は大幅続伸。終値は574円高の37503円。
日経平均は500円を超える上昇。前場も後場も後半の動きが良く、37000円や37500円の節目を上回った。きのうまで37000円を前に足踏みが続いていただけに、これを明確に超えてきたことは力強い。75日線(37095円、9日時点、以下同じ)も上回っており、目先は同水準や5日線(36898円)がサポートになると期待できる。
今週は、(1)ウォーレン・バフェット氏の発言から、日本の大手商社株が改めて強く買われる場面があったこと、(2)NTTによるNTTデータG完全子会社化など「親子上場解消」が改めて株式市場のテーマとして意識されたこと、(3)自社株買いの発表、減益見通しでも増配計画など、株主還元を意識したリリースが多く見られたこと―など、日本株の再評価機運を高める材料が多かった。決算発表が一巡した後も、日本株からは資金が逃げない可能性がある。来週以降は、高水準の売買代金が続くかどうかと日経平均が陽線で終える日が多いかどうかに注意を払っておきたい。
【来週の見通し】
堅調か。決算発表は終盤戦となるが、ソフトバンクGやメガバンクなど注目度の高い企業の発表はまだまだ多い。日本株はここまで多くの企業の本決算を確認しながら強い基調が続いており、買いが入りやすい地合いを予想する。米国では4月の消費者物価指数(CPI)や小売売上高など、注目の指標がいくつか出てくる。ただ、FOMCを消化したばかりで次回の利下げ期待も高まっていないだけに、結果に対する反応はそれほど大きくならないと思われる。日米ともに好材料には強く反応し、弱材料には耐性を示すことで、しっかりとした動きが続くだろう。
【今週を振り返る】
堅調となった。月曜と火曜が休場で立ち合いは3日。連休明け7日の日経平均はプラス圏とマイナス圏を行き来する不安定な動きとなり、小幅に下落した。FOMCは大方の予想通り政策金利が据え置きとなり、結果を消化した米国株がプラスで終えたことから、これを受けた8日は上昇した。9日は500円を超える大幅上昇。米国と英国が貿易交渉で大枠合意に至り、米中交渉に対する期待が高まったことや、為替市場で円安(ドル高)が進行したことが支援材料となった。日経平均は週間では672円の上昇となり、週足では5週連続で陽線を形成した。
2025年5月9日
中国共産党は歴史歪曲している。
第二次世界大戦の抗日戦に勝利したのは「蒋介石率いる中華民国(=現在の台湾の中華民国)」であり、「中国共産党の中華人民共和国」はまだ建国されていない。
だから、
国連憲章に記載されている戦勝国は、中華人民共和国ではなく「中華民国」になっている。
htt○ps://jp.reuters.com/world/taiwan/BQ3COAMWBBIDTHFDKRR3QP5QOI-2025-05-09
htt○ps://i.imgur.com/XlbymC9.jpeg
今週の日経225先物は、10日、11日にスイスで行われた関税を巡る米中閣僚級協議の初動反応として、ボラティリティの高まりが想定される。週初は協議内容がアルゴリズム発動のトリガーとなる可能性があろう。
先週の東京市場は、大型連休明けで3日間の立ち合いだった。8日には、トランプ米政権がすべての貿易相手国を対象に行う「相互関税」において、米英が貿易協定を結ぶことで合意した。これにより米中貿易交渉への期待が高まり、9日の日経平均株価は3月27日以来となる3万7500円を回復。75日移動平均線(3万6950円)で攻防をみせていた日経225先物は同線を突破し、200日線(3万7620円)を捉えてきた。
9日の取引終了後のナイトセッションでは、米中協議の結果を見極めたいとのムードが強まったことで、3万7600円に下がった200日線での攻防となり、持ち高調整に伴うロングの解消が優勢だった。米中協議で進展がみられるようだと同線をクリアし、ショートカバーを中心に3月26日につけた戻り高値3万7970円の突破が意識されやすい。一方で、物別れに終わると、改めてショートポジションを積み増す動きが強まり、75日線までの調整が警戒されやすい。
ボリンジャーバンドでは、上向きで推移する+1σ(3万6530円)と+2σ(3万8150円)によるレンジ内で推移している。5月1日に+1σを突破した後は、+2σに沿ったリバウンドを継続。米中協議が失望を招けば、75日線から+1σ水準までの調整を警戒しておきたい。ただし、米英間の関税合意によって、5月中旬以降に3回目の閣僚級協議を調整している日米交渉についても進展期待が高まりやすい。75日線や+1σ水準までの調整があるようならば、押し目狙いのロングで対応したいところである。
先週はトランプ大統領の発言が大きく市場に影響を与えた。「中国側に譲歩する意向がある」「今すぐ株を買った方がいい」「所得250万ドル以上の富裕層に増税を求める」「対中関税は80%が適切だろう」などと自身のSNSに投稿し、これら発言がアルゴリズム発動のトリガーになっている。米中協議を受けたSNSでの発言が一段と活発化する可能性もあるため、スキャルピング中心のトレードに向かわせやすい面はありそうだ。
今週は決算発表がピークを迎え、週を通じて2000社ほどの企業の発表が予定されている。決算内容を見極めたいとするムードが強まりやすいほか、ソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさ株の影響を受けやすい点には注意が必要だ。
米中協議を受けた週初以降は、決算の影響を受けやすいほか、米国では13日に4月消費者物価指数(CPI)、15日に4月生産者物価指数(PPI)が発表される。米連邦準備制度理事会(FRB)は当面様子見の姿勢を保っているが、注意を要することになろう。
9日の米VIX指数は21.90(8日は22.48)に低下した。直近で支持線として意識されていた25日線を割り込んでいる。200日線が位置する19.71が射程に入っており、判断の分かれ目となる20.00割れが射程に入ってきたことで、リスク選好に向かわせそうだ。米中協議が進展するようなら、3月26日の直近安値である16.97辺りが意識されそうであり、ショートカバーが強まりやすいだろう。
先週末のNT倍率は先物中心限月で13.71倍に低下しており、+2σ(13.72倍)に抑えられる形になった。ただし、一時13.67倍まで下げる場面もみられたが、+1σ(13.66倍)が支持線として機能しているため、+1σと+2σによるレンジを継続。バンドが緩やかながら上向きで推移していることもあり、NTロングに振れやすいとみておきたい。
5月第1週(4月28日-5月2日)の投資部門別売買動向は12日の引け後に発表され、5月第2週(7日- 9日)については15日に発表される。4月第4週時点で海外投資家は現物と先物の合算では2週連続で買い越している。日経平均株価は4月25日の3万5705円から5月9日には3万7503円と1800円近く上昇しているため、海外投資家の買い越し基調が継続しているとみられる。現物、先物いずれも3月26日の戻り高値が射程に入るなか、ショートカバーが本格化する可能性があろう。
主要スケジュールでは、12日に3月国際収支、4月景気ウォッチャー調査、米国4月月次財政収支、13日に金融政策決定会合の主な意見(4月30日~5月1日分)、米国4月消費者物価指数、トランプ米大統領・中東歴訪(~16日)、14日に4月国内企業物価、15日に米国4月小売売上高、米国4月生産者物価指数、米国4月鉱工業生産指数、16日に1-3月期GDP、米国4月住宅着工件数、米国4月輸出入物価指数などが予定されている。
9日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、トランプ米大統領が「中国に対しては80%の関税が適切」と発言したことや米10年債利回りが4.34%台まで低下したことなどで144.83円まで下落後、145.38円付近まで買い戻された。ユーロドルは米長期金利の低下を受けて1.1293ドルまで上昇した後、1.1247ドル付近まで下押しした。
本日の東京外国為替市場のドル円は、週末にスイスで開催された米中貿易協議で米中の貿易戦争の緩和に向けて「著しい進展(substantial progress)」があったと報じられていることで堅調推移が予想される。
週明けオセアニア市場でドル円は146円台に上昇しており、目先の上値の目処としては「雲の下限147.91円」や「200日移動平均線149.69円」などが挙げられる。
米国側代表のベッセント米財務長官は「非常に重要な貿易協議において『著しい進展』があったことを報告できて嬉しい」と述べ、トランプ米大統領に協議の進捗状況を報告し、12日に詳細を説明すると述べた。
中国側代表の何立峰副首相は「『著しい進展』があり、今後の協議に向けた枠組みを設けることで両国が一致した」と述べ、共同声明の発表を約束した。
英米貿易協定合意や米中貿易協議の進展を受けて、IMMシカゴ筋の過去最大規模の円のネット買い持ちポジションに代表されるドル円のショートポジションが手仕舞われる可能性が高まりつつある。
IMMシカゴ筋は、今年1月にドル円が155円付近で推移していた頃、円の売り持ちポジションから買い持ちポジションに転換し、152円付近では過去最大規模に拡大して、4月29日時点(※NY終値:142.33円)では179,212枚まで過去最大を更新していた。5月6日時点(※NY終値:142.45円)では、若干減って176,859枚(-2,353枚)となっていたが、先週末の146円台までの上昇でどの程度減っているのかは、今週末の発表待ちとなる。
シカゴ筋がドル売り・円買いのポジションに傾いた背景には、日銀の追加利上げ観測、米連邦準備理事会(FRB)の追加利下げ観測、トランプ関税を巡るドル下落観測などがあったと思われる。
しかし、日銀金融政策決定会合では、トランプ関税の「不確実性」を理由にハト派的な据え置きとなり、米連邦公開市場委員会(FOMC)でも「不確実性」を理由に、タカ派的な据え置きとなっており、米英貿易協定の締結合意や米中貿易協議での進展を受けて、ドル売り・円買いのベクトルが後退しつつある。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 37460 -60 (-0.15%)
TOPIX先物 2729.0 -7.0 (-0.25%)
シカゴ日経平均先物 37470 -50
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
9日の米国市場は、NYダウ、 S&P500が下落した一方で、ナスダックは上昇。関税交渉の進展期待から買いが先行したものの、10日から始まる米中貿易協議を前に持ち高調整の売りが出て下落に転じた。トランプ米大統領が中国からの輸入品にかける累計145%の追加関税について「対中関税は80%が適切だろう」と自身のSNSに投稿したことも重荷になった。
S&P500業種別指数は、自動車・同部品、エネルギー、不動産が上昇した半面、医薬品・バイオテクノロジー、耐久消費財・アパレル、食品・飲料・タバコが下げた。NYダウ構成銘柄では、ボーイング<BA>、シェブロン<CVX>、スリーエム<MMM>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、アップル<AAPL>が買われた。一方でアムジェン<AMGN>、メルク<MRK>、IBM<IBM>、セールスフォース<CRM>が下落。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比50円安の3万7470円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは日中比30円高の3万7550円で始まり、3万7380円まで売られた後にロング優勢の流れとなり、3万7670円まで上昇。買い一巡後は軟化し中盤にかけて3万7310円まで売られる場面もみられた。ただし、終盤にかけて持ち直し3万7400円~3万7500円辺りでの保ち合いを継続。3万7460円でナイトセッションの取引を終えた。
10日、11日にスイスで行われた米中閣僚級協議では、貿易協議の枠組みを設置することで合意したと明らかにした。両国とも具体的な点を明らかにしていないが、12日に共同声明を発表するとしており、東京市場が初動反応として注目される。為替市場ではドル円が一時1ドル=146円台と急速に円安に振れており、日経225先物は買い先行で始まることが期待される。
日経225先物は先週の上昇で75日移動平均線を突破し、200日線(3万7600円)を捉えてきた。9日の取引終了後のナイトセッションでは同線に上値を抑えられる形だったが、米中協議の進展を受け、200日線突破から3月26日の戻り高値である3万7970円を意識したスタンスに向かわせそうだ。
トランプ大統領は11日、「まもなく重大発表」と自信のSNSで予告した。具体的な発表の内容には触れておらず、貿易に関する話ではなさそうだが、ショートカバーを誘う可能性がある。足もとで海外勢は買い越し基調が継続しているとみられ、3月の戻り高値を捉えてくるトレンド形成をみせてくるようだと、ショートカバーが本格化しそうである。そのため、200日線水準での攻防が続く局面では、押し目狙いのロングで対応したい。
一方で、トランプ政権は海外から輸入する航空機やエンジン、部品などを対象に追加関税の導入に向け、国家安全保障に与える影響について調査を始めたことを明らかにした。三菱重工業<7011.T>[東証P]など関連する企業が不安定な値動きをみせてくるようだと、慎重姿勢が強まる可能性はありそうだ。国内企業の決算発表がピークを迎え、結果を見極めたいとするムードも強まりやすく、買い一巡後は次第に膠着感が強まる展開も意識されよう。
そのため、オプション権利行使価格の3万7500から3万8000円のレンジを想定する。200日線での底堅さがみられる局面では、ボリンジャーバンドの+2σ(3万8150円)が射程に入ってくる。週足では26週線(3万7640円)、52週線(3万7870円)、+1σ(3万7820円)を明確に突破してくると、次のターゲットは+2σの3万9260円になるとみておきたい。
9日の米VIX指数は21.90(8日は22.48)に低下した。直近で支持線として機能していた25日線を割り込んだことで、200日線が位置する19.71が射程に入ってきている。判断の分かれ目となる20.00割れが意識されてきたことで、リスク選好に向かわせそうだ。
先週末のNT倍率は先物中心限月で13.71倍に低下しており、+2σ(13.72倍)に抑えられる形になった。ただし、一時13.67倍まで下げる場面もみられたが、+1σ(13.66倍)が支持線として機能しているため、+1σと+2σによるレンジを継続。バンドが緩やかながら上向きで推移していることもあり、NTロングに振れやすいとみておきたい。
東京市場は一進一退か。先週末の米国株はまちまち。ダウ平均とS&P500が下落し、ナスダックが上昇した。ダウ平均は119ドル安の41249ドルで取引を終えた。3指数とも小高く始まったが、場中の上値は重かった。ドル円は足元145円80銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて50円安の37470円、ドル建てが10円高の37530円で取引を終えた。
米国株は方向感なく、3指数とも小動きであった。週末に米中協議が開催されており、具体的な内容は現時点では伝わっていないものの、中国側からは進展があった旨のアナウンスが出てきている。トランプ大統領も自身のSNSで大きな進展があったと投稿した。続報が出てくれば、ヘッドラインに指数が大きく反応する可能性がある。ただ、先週の時点で進展を期待した買いは入っているだけに、高くなれば利益確定売りは出てきやすい。一方、進展があったのであれば、下値は堅いだろう。本日の米国株の反応を見極めたい状況でもあり、振れ幅が大きくなればそれを修正する動きが出てきて、終値ベースでは水準はそれほど変化しないと予想する。日経平均の予想レンジは37300円-37700円。
米国は対中関税を145%→30%に
中国は対米関税を125%→10%に
2025年5月12日16:09
日経225先物は11時30分時点、前日比40円高の3万7560円(+0.10%)前後で推移。寄り付きは3万7760円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7470円)を大きく上回る形から、買い先行で始まった。直後に3万7840円まで上げ幅を広げた後は持ち高調整とみられるロング解消とみられる動きが優勢となり、終盤にかけて3万7550円まで上げ幅を縮めた。
米中両政府がスイスで開いた閣僚級協議で一定の進展があったとの見方からショートカバーの動きが強まり、日経225先物は200日移動平均線(3万7600円)を上回って始まった。ただし、買い一巡後はロング解消の動きが優勢となり、200日線を挟んでの攻防をみせている。
トランプ大統領は、「まもなく重大発表」と自身のSNSで予告していたが、米国での医薬品価格を大幅に引き下げる大統領令に署名すると明らかにした。これを受けて武田薬品<4502.T>[東証P]やアステラス製薬<4503.T>[東証P]が下落したことも、ややセンチメントを冷ます形になったようだ。ただし、グローベックスの米株先物は強含みで推移しており、週明けの米国市場の上昇が期待されるため、200日線を下回る局面では押し目狙いのロング対応に向かわせよう。
NT倍率は先物中心限月で13.75倍に上昇。医薬品株や鉄鋼株の弱い値動きがTOPIX型の重荷になっており、相対的に日経平均型が優位の状況である。ボリンジャーバンドの+2σ(13.74倍)水準まで上昇してきたことで、同バンドを上回ってくるかを見極めたいところだ。
先週末の海外市場では、米中通商協議を控えて神経質な展開。米長期金利の低下につれてドル円は144.83円まで下押す場面もみられましたが、NY時間に入ってからは米10年債利回りが低下幅を消す動きとなると145.38円まで買戻されて取引を終えました。
そして、この週末にスイスのジュネーブで開催された米中協議は「著しい進展があった」ことをベッセント米財務長官やグリア米USTR代表が表明。中国の交渉団からも前向きな発言が聞かれているなか、週明け早朝のオセアニア市場から窓を空けて上昇。先週末の高値146.19円を上抜けて一時146.27円まで値を上げました。東京勢参入と同時に利食い売りから145.70円まで下押ししたものの、その後は仲値に向けた本邦実需の買いが観測されたほか、米長期金利の上昇などにつれて再び146.28円まで値を上げています。ただ、日経平均が上げ幅を消す動きとなると再び145.72円まで下押すなど、米中共同声明を待つなかで、神経質な展開が繰り返されています。
いずれにしても、米株の指数はともかく、週明けの日経平均だけが「素直にリスクオンとして買っていけない」状況となっていますが、週末の米中協議に対しては、米国サイドからだけではなく、中国サイドからも同様のポジティブな表明となっているわけで、現在事務方が作成中の米中共同声明についても、結果としてはトランプ関税がもたらす極度の緊張感を緩める方向しか選択肢はないといったところ。
日米の金融政策が、uncertaintyとclarityの2つのワードによって説明できるように、かかるトランプ関税もまた、アジア時間の不確実性への不安は、ある種の希望を持ち備えた光へと変わっていくのかもしれません。ドル円は目先、早朝の安値145.70円やNY時間の高値145.38円が下押しの目処となっていますが、上値は50日MAの146.27円や一目雲下限が位置する147.91円、更には4月9日の高値148.27円がレジスタンスレベルとして意識されています。
「今後6週間かそのくらいの期間に多くのことが起こるだろう。全ての会合に自分は極めてオープンな姿勢で、全ての会合がライブだ」(ベイリーBOE総裁)
5月8日に英米貿易協定合意が発表される前日の7日に行われたイングランド銀行金融政策委員会(MPC)の投票では、英国にとっての最大のリスクは、米国の関税がもたらす世界的影響だとの見方から、5名が0.25%の利下げ、2名が0.50%の利下げ、そして2名が据え置きに投じた。金融政策報告に盛り込まれた経済見通しは、年末までに3回の追加利下げが行われ、金利が3.5%(※ターミナルレート)に達するという市場の予測を追認した。
1.イングランド銀行金融政策委員会(MPC)
MPCの9名の委員の棲み分けは、タカ派2名、中立派3名、ハト派4名に分類できる。
【MPC】 【2024/9/18】【11/7】【12/19】【2025/2/6】【3/20】【5/8】
■ハト派
・ベイリー総裁:5.00% 4.75% 4.75% 4.50% 4.50% 4.25%
・ラムスデン副総裁:5.00% 4.75% 4.50% 4.50% 4.50% 4.25%
・ディングラ委員: 4.75% 4.75% 4.50% 4.25% 4.25% 4.00%
・マン委員: 5.00% 5.00% 4.75% 4.25% 4.50% 4.50%
■中立派
・ロンバルデリ副総裁:5.00% 4.75% 4.75% 4.50% 4.50% 4.25%
・ブリーデン副総裁:5.00% 4.75% 4.75% 4.50% 4.50% 4.25%
・テイラー委員: 5.00% 4.75% 4.50% 4.50% 4.50% 4.00%
■タカ派
・ピル委員: 5.00% 4.75% 4.75% 4.50% 4.50% 4.50%
・グリーン委員:5.00% 4.75% 4.75% 4.50% 4.50% 4.25%
2.2024年8月1日MPC(5対4):5.25%から5.00%に引き下げ
利下げに賛成した5人「インフレが持続するリスクの緩和に一定の進展があった」
利下げに反対した4人「基調的なインフレが予想より根強く、成長率も予想以上」
3.2024年9月18日MPC(8対1)5.00%に据え置き
ディングラ委員が4.75%への追加利下げを主張した。
4.2024年11月7日MPC(8対1)4.75%に引き下げ
マン委員が5.00%での据え置きを主張した。
ベイリーBOE総裁は、予算はBOEの利下げパスに大きな影響を与えないだろう。インフレ率はBOEが利下げした際の予想より低い。サービスインフレは依然として目標と一致していない」と述べた。
5.2024年12月19日MPC(6対3)4.75%に据え置き
議事要旨では、弱い成長シグナルと根強い国内物価上昇圧力を挙げ、両方向のインフレリスクを指摘した。第4四半期の成長率予測は11月時点の+0.3%成長からゼロ成長に引き下げられ、スタグフレーションへの警戒感が示された。
6.2025年2月6日MPC(7対2)4.50%に引き下げ
2名(マン委員&ディングラ委員)は4.25%への引き下げを主張した。タカ派寄りからハト派寄りへと見解を変えたマン委員は、その理由として、消費者が支出を抑える中で企業は価格引き上げに苦戦すると考えたからだと述べた。
金融政策報告は、経済予測の前提となる金利軌道では向こう3年間に2回の追加利下げしか想定されず、今年についてはあと1回しか想定していないことで、タカ派的だった。
タカ派のグリーン委員は、利下げに慎重な姿勢で臨むべきだと主張した。
7. 2025年3月20日MPC(8対1)4.50%で据え置き
4名のハト派の内、ラムズデン副総裁、テイラー委員、マン委員は据え置きに票を投じた。
最もハト派的なディングラ委員は、0.25ポイント利下げを主張した。
8. 2025年5月8日MPC(5対2対2)4.25%に引き下げ
・5名:▲0.25%
・2名:▲0.50%(ディングラ委員・テイラー委員)
・2名:据え置き(ピル委員・マン委員)
本日のロンドン為替市場では、週末にスイスで行われた閣僚級の米中貿易協議を受けたリスクセンチメントを眺めながらの取引か。また、ロシアとウクライナの和平交渉に関する報道にも注目しておきたい。ポンドは、複数の金融当局者の講演内容を見極めることになる。
米中交渉の終了後、ベッセント米財務長官は「確かな進展があった」と述べ、グリア米通商代表部(USTR)代表も「2日間の協議は非常に建設的だった」と語った。中国側も何副首相が「重要なコンセンサスに達した」と発言している。合意内容の詳細は本日12日に公表され、それまでは市場の期待が膨らみ続けそうだ。しかしながらその期待が行き過ぎてしまうと、内容次第では材料出尽くし感という動きもあり得る。
プーチン露大統領は11日、ウクライナとの停戦交渉について、露ウの大統領がトルコで直接協議することをウクライナ側に提案。これに対し、ゼレンスキー大統領は「15日にトルコで待つ」と応じる姿勢を見せた。早朝に緩んだユーロスイスフランも、交渉開始を評価してか0.93フラン後半と先週高値圏まで持ち直している。ただし、プーチン大統領はウクライナ側が要求する無条件の停戦に後ろ向きであり、和平への楽観論は高まりづらいかもしれない。
イングランド銀行(英中銀、BOE)金融政策委員会(MPC)メンバーの講演は、ロンバルデリ副総裁とグリーン委員が欧州午前、マン委員とテイラー委員が欧州午後に予定されている。前者2人は、先週の英MPCで決定された0.25%利下げを支持、後者はそれぞれ据え置きと0.50%利下げを主張した。このなかではタカ派とされるグリーン氏や、2月は決定以上の利下げ幅に投票し、今回は逆に利下げに反対したマン氏の見解が注目されそうだ。
グリーン氏は先月の講演で、トランプ関税はディスインフレリスクを示唆と述べた。英国は米国に対して追加関税を課さなかったことで、アジアや欧州から安価な製品が流れこんでくるというのがその理由だ。英米貿易協定が結ばれた後でもあり、新たな見解が同氏から示されるかに注視したい。マン氏は、同じく据え置きに投票したピルMPC委員と同様に「賃金上昇率への警戒感」を示すかがポイントの1つか。
想定レンジ上限
・ユーロドル、9日高値であり日足一目均衡表・転換線も位置する1.1293ドル
・ユーロスイスフラン、4月25日高値0.9447フラン
・ポンドドル、6日高値1.3402ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、ピボット・サポート2の1.1151ドル
・ユーロスイスフラン、6日安値0.9297フラン
・ポンドドル、4月17日安値1.3203ドル
クルド人武装組織「クルディスタン労働者党(PKK)」はトルコとの40年にわたる武力闘争を終結させるべく、即時停戦と武装解除に向けた意思を表明したと一部通信社が伝えた。
ドル円:1ドル=146.01円(前営業日NY終値比△0.64円)
ユーロ円:1ユーロ=163.86円(△0.33円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1222ドル(▲0.0028ドル)
日経平均株価:37644.26円(前営業日比△140.93円)
東証株価指数(TOPIX):2742.08(△8.59)
債券先物6月物:140.03円(▲0.32円)
新発10年物国債利回り:1.390%(△0.040%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月国際収支速報
経常収支(季節調整済)
2兆7231億円の黒字 2兆9062億円の黒字・改
経常収支(季節調整前)
3兆6781億円の黒字 4兆607億円の黒字
貿易収支
5165億円の黒字 7129億円の黒字
4月景気ウオッチャー調査
現状判断指数 42.6 45.1
先行き判断指数 42.7 45.2
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は強含み。週末に開催された閣僚級の米中貿易協議では双方から「著しい進展があった」との発表があったほか、「12日に共同声明を発表する予定」との報道が伝わると米中貿易摩擦の緩和期待から買いが先行。先週末高値の146.19円を上抜けて146.27円まで値を上げた。その後は145.70円台まで戻り売りに押されたものの、ダウ先物などの堅調地合いを支えに146.28円まで再び強含んだ。一方、一本調子で上昇する動きにもならず、その後は146円挟みで推移した。
なお、日本時間16時からベッセント米財務長官が米中貿易協議の合意内容が発表される予定となっている。
・ユーロ円も強含み。米中協議の進展期待から円安が進むと一時164.21円まで買い上げられた。もっとも、ドル円の買いが一服したためユーロ円も164円を割り込んだ。
・ユーロドルは下げ渋り。ドル円が早朝に大きく上昇した影響から1.1186ドルまで下げたが、ユーロ円が底堅く推移したためすぐに1.1240ドル台まで切り返すなど下値は堅かった。
・日経平均株価は3日続伸。米中協議の進展期待から200円超上昇した後、戻り待ちの売りに押される形で次第に伸び悩み。マイナス圏に沈む場面もあったが、引けにかけては再び強含んだ。なお、東証株価指数(TOPIX)は12日続伸し、2017年10月に記録した12日続伸に並んだ。
・債券先物相場は4日続落。米中貿易摩擦の緩和期待を背景に、相対的に安全資産とされる債券は売りが優勢となった。
一部報道が伝えたところによると、ベッセント米財務長官が対中協議を巡りジュネーブ時間の午前9時(日本時間午後4時)に説明すると報じられた。
週末に行われた米中通商協議の内容が公表され、米国は中国製品への関税を90日間145%から30%へ引き下げ、中国は同期間125%から10%へ引き下げると公表された。
大阪6月限
日経225先物 37700 +180 (+0.47%)
TOPIX先物 2745.0 +9.0 (+0.32%)
日経225先物(6月限)は前日比180円高の3万7700円で取引を終了。米中両政府がスイスで開いた閣僚級協議で一定の進展があったとの見方からショートカバーが強まり、寄り付きは3万7760円とシカゴ日経平均先物清算値(3万7470円)を大きく上回る形から、買い先行で始まった。直後に3万7840円まで上げ幅を広げた後は持ち高調整とみられるロングの解消が優勢となり、前場終盤にかけて上げ幅を縮め、現物の後場開始直後に3万7440円と下落に転じる場面もみられた。
ただし、米中の共同声明の発表を控えるほか、グローベックスの米株先物が強含みで推移するなかでショートは仕掛けづらく、売り一巡後は200日移動平均線(3万7600円)水準での攻防を継続。引けにかけては、同線を上回っての推移となった。
米中両国は日本時間12日午後4時に共同声明を発表した。米国は中国に対する関税率を145%から30%に引き下げる。中国は米国産品に対する関税率を125%から10%に引き下げ、90日間の交渉期間に入ることで合意したことを明らかにした。
この発表を受けて為替市場では1ドル=148円台に円安が進んでおり、日経225先物のナイトセッションは、日中比500円高の3万8200円で始まった。一気に3月26日の戻り高値3万7970円を突破してきたことで、ショートカバーが一段と強まりやすくなったと考えられる。
ボリンジャーバンドの+2σは上向きで推移しており、現時点で3万8570円まで切り上がってきた。短期的な過熱感が警戒されてくる可能性はあるものの、バンドに沿ったトレンド形成が意識されるなかでは、押し目狙いのロング対応に向かわせよう。
グローベックスのナスダック100先物の上昇率は3%を超えて推移している。週明けの米国市場がハイテク株主導による上昇をみせてくるようだと、指数インパクトの大きい値がさハイテク株が日経平均型を牽引する展開が期待されそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.73倍に上昇。医薬品株や鉄鋼株の弱い値動きがTOPIX型の重荷になっており、相対的に日経平均型が優位の状況だった。ただし、一時13.75倍をつける場面もみられたが、+2σ(13.74倍)水準では上値を抑えられる形だった。同バンドを上回ってくるかを見極めたいところであろう。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万4894枚、ソシエテジェネラル証券が1万2423枚、サスケハナ・ホンコンが3927枚、SBI証券が1862枚、JPモルガン証券が1807枚、バークレイズ証券が1572枚、野村証券が1517枚、日産証券が1391枚、ドイツ証券が1294枚、モルガンMUFG証券が1226枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が1万6577枚、ソシエテジェネラル証券が1万6047枚、バークレイズ証券が6734枚、ゴールドマン証券が4335枚、JPモルガン証券が3602枚、モルガンMUFG証券が2639枚、サスケハナ・ホンコンが1618枚、BNPパリバ証券が1597枚、ビーオブエー証券が1172枚、日産証券が1114枚だった。
米中両国がお互いに関税を大幅に引き下げたことを受けてリスク選好の動きが強まり、ドル円は一時4月9日以来の148円台を回復した。二大経済大国の貿易戦争の激化懸念が後退したことはいったん市場に安心感を与えることになったのは確かだ。
スイスで10・11日の米中閣僚級の協議を終えて、米国は中国製品への関税を90日間145%から30%へ、中国は米製品への関税を125%から10%へ大幅に引き下げると合意した。この協議に当たり、トランプ米大統領は「中国への関税は80%が妥当」と述べていたが、それを大きく下回ることになった。正直、関税のどの水準が妥当なのかはトランプ氏本人も知らないだろう。世界経済に大きな影響を与える二大国の緊張感の緩和は喜ばしいことだが、トランプ政権が発足して以来関税の乱発と修正を繰り返しており、世間にトランプ氏の「軽挙妄動」の印象を一層強めている。
これからまだトランプ米大統領の自画自賛の発言が伝わりそうだが、結局は中国に大きく譲歩したことになる。トランプ氏が政権を発足した後、対中関税の引き上げは中国からの譲歩を引き出すための脅しであったが、得られたものは何もない。関税の引き下げはすんなり行ったが、米国と中国は過去数十年に労働基準やダンピング(不当廉売)、環境規制、資本管理を含む多種多様な非関税障壁を巡って対立を続けており、トランプ米大統領はこの問題を解決しようとしているが、極めて難しいことである。中国の徹底抗戦、4月中旬の「米国売り」がトランプ政権に脅威を与え対中方針を修正したが、これからも両国の貿易摩擦は続くことになる。米国とほかの国との交渉も残されており、関税をめぐる不確実性は払しょくされていない。
米中両国の貿易摩擦への過度な警戒感が緩んだだけであり、払しょくされたわけではない。この材料でドル円のトレンドが変わるほどではない。この先も関税関連のヘッドラインに神経質な動きが続きそうだ。本日のNYタイムでは注目の指標発表は予定されておらず、ドル円は米株・米金利の動向や要人発言などを眺めながらの動きとなるも、本日これまで大きく上昇し、その反動が見られる可能性がある。
・想定レンジ上限
ドル円、4月9日高値148.27円や4月3日高値149.28円が上値めど。
・想定レンジ下限
ドル円、節目の147.00円や先週末9日の高値146.19円が下値めど。
2025年5月12日21:12
SMBC日興証券では賃金に関するリポートの中で、連合が5月8日に公表した平均賃上げ率が+5.32%と、昨年同時期の結果を+0.15ppt上回ったことを指摘している。春闘による影響は統計上、5月から8月頃にかけて現れることから、7月公表の5月分の賃金がどの程度の伸びになるかに注目している。一方で、労働組合が組織されていない中小企業を中心に、賃上げの動きが弱まっている可能性があるとコメント。統計上は昨年度は5月以降の平均で名目賃金が前年同月比+2.9%となっていたが、今年度はこれが+2.5%程度にとどまる可能性があるとみている。
今週のNY市場は米中貿易協議の詳細と物価指標に注目。先週はダウ平均が68.05ドル安(-0.16%)、S&P500が0.47%安、ナスダック総合が0.27%安とそろって3週ぶりに反落した。前週まで大幅に2週続伸した米国株は、週前半は貿易交渉を巡る不透明感を嫌気され軟調に推移したが、水曜日に結果が公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)がおおむね想定内の内容だったことや、トランプ政権がバイデン政権時代のAI半導体の輸出規制を撤廃することを検討しているとの報道や、米国と英国の貿易交渉が大枠で合意に至り、初めて貿易協議の具体的進展が見られたことが好感されたことが相場の下支えとなった。週末にスイスで行われる米中貿易交渉への期待も続いたが、トランプ米大統領が「対中関税は80%が適切だろう」とSNSに投稿し、事前に報道された60%以下を上回る関税率を示したことが重しとなった。
今週は週末に行われた米中貿易交渉の詳細に注目が集まる。10日、11日に行われた米中閣僚級協議では米国側がベッセント財務長官とグリア米通商代表部(USTR)代表が、中国からは経済政策担当の何立峰副首相が出席した。ベッセント米財務長官は「確かな進展があった。協議は生産的だった」と語ったが、詳細はNY時間月曜日の朝(日本時間月曜日夜)に発表されるとした。米国株は貿易交渉の進展期待を相当程度織り込んでいるため、米中協議で具体的なポジティブ・サプライズの有無が焦点となりそうだ。経済指標では火曜日の4月消費者物価指数のほか、木曜日に4月生産者物価指数と4月小売売上高が発表され、足もとのインフレ動向や消費動向への関税の影響が注目される。
今晩の米経済指標・イベントは4月財政収支など。企業決算はフォックス、NRGエナジー、引け後にサイモン・プロパティーなどが発表予定。
日経平均株価は3日続伸。終日伸び悩む動きが目立ったが、終値で100日移動平均線(37631円 5/12)を上回って終えた。
RSI(9日)は前日の98.1%→98.1%(5/12)に横ばい。あすも上昇のハードルは高くなるが、短期的な相場の見方に変化はない。4/7安値(30792円)を起点とした目先波動は上昇継続の判断となる。
100日移動平均線を上回り、200日移動平均線(37915円 同)や終値ベースで3/26につけた急落前の戻り高値(38027円)などが射程圏に入った。
一方、今週は一目均衡表の雲の水準が急速に切り下がるタイミングに入ることで、目先の調整入りのシナリオも想定できる。
上値メドは、200日移動平均線、心理的節目の38500円や38500円、39000円などがある。下値メドは、5日移動平均線(37137円 同)、10日移動平均線(36476円 同)、心理的節目の36000円や35500円、25日移動平均線(34879円 同)などがある。
(12日終値:13日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=148.49円(12日15時時点比△2.48円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=164.52円(△0.66円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1079ドル(▲0.0143ドル)
FTSE100種総合株価指数:8604.98(前営業日比△50.18)
ドイツ株式指数(DAX):23566.54(前営業日比△67.22)
10年物英国債利回り:4.643%(△0.076%)
10年物独国債利回り:2.648%(△0.086%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は急伸。米中両国が関税の大幅な引き下げで合意したことを受けて、貿易摩擦が世界経済に悪影響を及ぼすとの懸念が後退すると、時間外のダウ先物や日経平均先物が急伸。投資家のリスク志向が改善し、円売り・ドル買いが優勢となった。米長期金利の上昇に伴う円売り・ドル買いも出て、2時30分過ぎに一時148.63円と4月3日以来の高値を更新した。市場では「今回の米中協議で決まった関税率の引き下げ幅は予想よりも大きかった」との声が聞かれた。
なお、米株式市場でダウ平均は一時1100ドル超上昇したほか、ナイト・セッションの日経平均先物は大証終値比1090円高の3万8790円まで上げた。
・ユーロドルは軟調。米中両政府はこの日、互いに課した高関税を90日間大幅に引き下げることで合意したと発表。市場の期待を上回る内容との見方が広がり、幅広い通貨に対してドル高が進んだ。20時前には一時1.1072ドルまで値を下げた。
急ピッチで下落した反動で22時30分過ぎには1.1135ドル付近まで下げ渋る場面もあったが戻りは鈍く、買い戻しが一巡すると再び弱含む展開に。3時過ぎには一時1.1070ドルと4月10日以来の安値を更新した。
なお、トランプ米大統領は「中国は非金融障壁の全面撤廃に同意した」「対中関税を145%に戻すことはない」などと述べた。
・ユーロ円はしっかり。米中貿易戦争激化に対する懸念が緩和すると、欧米株相場や日経平均先物が大幅に上昇。リスク・オンの円売り・ユーロ買いが優勢となり、23時過ぎに一時164.92円と昨年11月15日以来約半年ぶりの高値を付けた。
・ロンドン株式相場は続伸。米中両国が関税の大幅な引き下げで合意したことを受けて、貿易摩擦が世界経済に悪影響を及ぼすとの懸念が後退。米国株相場が急伸すると英株にも買いが波及した。リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株が買われたほか、HSBCやバークレイズなど金融株が値上がりした。
・フランクフルト株式相場は3日続伸。貿易を巡る米中対立が緩和に向かうとの期待や米株価指数先物の上昇を背景に、独株にも買いが広がった。個別ではインフィニオン・テクノロジーズ(8.19%高)やダイムラー・トラック・ホールディング(5.17%高)、DHLグループ(4.75%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は下落。米中の貿易摩擦を巡る懸念が後退すると、株式などリスク資産に買いが入る一方、相対的に安全資産とされる国債に売りが出た。
12日の日経平均は3日続伸。終値は140円高の37644円。前週末の米国株は3指数がまちまちかつ小動きであったが、米中協議終了後に双方から進展があった旨のアナウンスがあったことを好感して、3桁上昇スタート。開始直後には上げ幅を200円超に広げた。
高く始まった後は伸び悩み、しばらく値を消す流れが続いた。上げ幅を2桁に縮めると、前場は安値引け。後場はマイナス圏からのスタートとなった。ただ、深押しすることはなく、下値の堅さを確認するとほどなくプラス転換。再び上げ幅を3桁に広げると、14時以降は37600円近辺で値動きが落ち着いた。前引けでは下落していたTOPIXも後場には持ち直してプラスで終了。12日続伸となった。
東証プライムの売買代金は概算で4兆8500億円。業種別では倉庫・運輸、証券・商品先物、海運などが上昇した一方、医薬品、サービス、その他製品などが下落した。株主還元の方針を変更し、今期の大幅増配計画を提示した秋田銀行<8343.T>が、後場に買いを集めてストップ高。半面、今期の減益見通しを提示したツムラ<4540.T>が、後場に入って一時ストップ安となるなど急落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1116/値下がり476。アドバンテスト、ディスコ、レーザーテックなど半導体株の多くが大幅上昇。川崎重工が4.6%高と人気化し、売買代金は全市場でトップとなった。株主還元方針の変更を発表したマツキヨココカラが急騰。今期減益見通しながら大幅増配見通しを提示したアネスト岩田がストップ高と、株主還元拡充に関するリリースがあった銘柄に強い買いが入った。
一方、第一三共、武田、塩野義製薬など薬品株の多くが大幅下落。トランプ大統領が処方薬の価格引き下げに関する大統領令に署名すると自身のSNSで投稿したことが警戒材料となっており、中外製薬は2桁の下落率となった。前期は大幅営業黒字を達成したものの、高い市場の期待には届かなかったDeNAが商いを伴って急落。今期の減益・減配見通しが嫌気された日本製鉄が売りに押された。1Qが大幅減益となった日本ホスピスは、場中に値が付かずストップ安比例配分となった。
日経平均は3日続伸。マイナス圏に沈む場面もあったが、下げたところで大崩れしなかったことから、足元の地合いの良さが改めて印象づけられた。TOPIXがきょうで12日続伸と息の長い上昇となっているだけに、今は場中に上値が重くなることは仕方ない。さえない動きが出てきた時に下げ渋るかが重要で、きょうはまさに安くなったところで押し目買い意欲の強さが確認できた。きょうの終値は37644円。上に控えた26週線(37825円、12日時点、以下同じ)や52週線(38153円)を早々に上回ることができるかが目先の焦点となる。
(12日終値)
ドル・円相場:1ドル=148.46円(前営業日比△3.09円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=164.59円(△1.06円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1087ドル(▲0.0163ドル)
ダウ工業株30種平均:42410.10ドル(△1160.72ドル)
ナスダック総合株価指数:18708.34(△779.42)
10年物米国債利回り:4.47%(△0.09%)
WTI原油先物6月限:1バレル=61.95ドル(△0.93ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3228.0ドル(▲116.0ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月米財政収支
2584億ドルの黒字 1605億ドルの赤字
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は大幅に反発。米中両国が関税の大幅な引き下げで合意したことを受けて、貿易摩擦が世界経済に悪影響を及ぼすとの懸念が後退すると、ダウ平均が1100ドル超上昇するなど、米国株相場が堅調に推移。投資家のリスク志向が改善し、円売り・ドル買いが優勢となった。米長期金利の上昇に伴うドル買いも入り、3時30分前に一時148.65円と4月3日以来の高値を更新した。市場では「今回の米中協議で決まった関税率の引き下げ幅は予想よりも大きかった」との声が聞かれた。
主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時101.98と4月10日以来の高値を付けた。
・ユーロドルは反落。米中両政府はこの日、互いに課した高関税を90日間大幅に引き下げることで合意したと発表。市場の期待を上回る内容との見方が広がり、幅広い通貨に対してドル高が進んだ。急ピッチで下落した反動などが出て、22時30分過ぎには1.1135ドル付近まで下げ渋る場面もあったが戻りは鈍く、3時30分過ぎに一時1.1065ドルと4月10日以来の安値を付けた。
なお、トランプ米大統領は「中国は非金融障壁の全面撤廃に同意した」「対中関税を145%に戻すことはない」などと述べた。
・ユーロ円は反発。米中貿易戦争激化に対する懸念が緩和すると、日米株価指数が大幅に上昇。リスク・オンの円売り・ユーロ買いが優勢となり、23時過ぎに一時164.92円と昨年11月15日以来約半年ぶりの高値を付けた。
なお、ナイト・セッションの日経平均先物は大証終値比1090円高の3万8790円まで上昇した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は大幅に反発。米中両政府はこの日、互いに課した追加関税を大幅に引き下げることで合意したと発表。貿易摩擦の激化で経済が急速に悪化するとの懸念が後退すると、幅広い銘柄に買いが広がった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は大幅に4日続伸した。
・米国債券相場で長期ゾーンは下落。米中の貿易摩擦を巡る懸念が後退すると、米株式などリスク資産に買いが入った一方、相対的に安全資産とされる米国債に売りが出た。
・原油先物相場は3日続伸。米中の関税大幅引き下げ合意により貿易戦争激化の懸念が薄れ、エネルギー需要が弱まるとの観測が後退。4月28日以来の高値63.61ドルまで上振れた。ただ、ドル高がドル建て原油相場の換算値押し下げに効き、上昇幅を縮小した。
・金先物相場は大幅に反落。米中の関税大幅引き下げ合意を受け、貿易紛争悪化の懸念が後退。リスク回避資産とされる金を売る動きが進んだ。株高によるリスク回避姿勢後退も金の売りを後押し。米金利上昇・ドル高が、金利の付かない資産である金の相対的な投資妙味低下や、ドル建て金相場の押し下げ要因になった面もあった。
中国商務部の報道官は12日、スイス・ジュネーブで行われた中米高官のよる関税協議を受けて談話を発表し、「実質的な進展があった」と評価した。中国側の何立峰副首相、米国側のベッセント財務長官と米通商代表部(USTR)のグリア代表が10-11日にかけて対面協議を行い、共同声明を発表。双方は対立の原因となっていた関税の大幅な引き下げで合意した。
談話では、米国が2025年4月以降、一方的に中国製品に対する追加関税を強化し、「相互関税」と称して税率を最大125%まで引き上げたことを改めて批判。これに対し中国は正当な対抗措置を講じたとし、米側の高関税政策は「両国間の正常な貿易往来と国際経済秩序を著しく損なう」と主張した。
今回の合意では、米国が2025年4月8日と9日に発出した第14259号および第14266号の大統領令に基づき課していた関税のうち91%を撤廃し、4月2日の第14257号大統領令に基づく34%の相互関税のうち24%を90日間停止、10%を維持するとした。これに対応して中国も、同等の報復関税を撤廃・停止し、非関税措置も一部解除する。
また両国は、新たに中米経済貿易協議メカニズムを設け、今後も定期・不定期に協議を継続する。開催地は中国、米国、または合意による第三国とし、必要に応じて実務レベルの協議も行う方針。
報道官は、今回の措置が「両国の生産者・消費者の期待に応えるものであり、世界経済にも安定と確実性をもたらす」と強調。米国側に対し、今回の合意を機に一方的な追加課税を是正し、互恵協力を強化していくよう期待を示した。
12日10:21 石破首相
「(対米関税交渉について)自動車関税除いた合意のめない」
12日16:19 ベッセント米財務長官
「中国が米国製品にもっと開放的になることを望んでいる」
「どちらの側もデカップリング(経済分断)は望んでいない」
「5-6つのサプライチェーン上の脆弱性を特定した」
「買い付け契約の可能性も想定している」
「今回の協議では為替についての議論はなかった」
「関税の引き下げにはセクター別の関税は含まれない」
「国々が前向きに関与すれば、我々は前進可能」
「夏半ばまでに大きくて素晴らしい法案を可決する予定」
12日20:58
「対中関税が10%未満になるのは考え難い」
12日16:25 グリア米通商代表部(USTR)代表
「この合意の本質は相互関税に関するものだ」
「中国とのフェンタニル関税協議は前向きな進展」
12日17:10 ロンバルデリ・イングランド銀行(英中銀、BOE)副総裁
「賃金上昇率は目標インフレ率を達成するには依然として高すぎる 」
「現在の政策スタンスはバランスしている」
「緩やかで慎重な利下げアプローチを継続するのが賢明 」
「デフレーションを見るとき、賃金に注目する」
「緩やかなデフレの進展と貿易動向により、25ベーシスポイントの利下げが適切となった」
12日19:45 グリーン英中銀金融政策委員会(MPC)委員
「中期的なインフレ期待が上昇し始めていることをやや懸念している」
「ディスインフレが進行中」
12日23:01 トランプ米大統領
「中国は非金融障壁の全面撤廃に同意した」
「中国はフェンタニルの流通を阻止することに同意」
「中国の言葉をそのまま信じる」
「対中関税を145%に戻すことはない」
「関税は依然として経済に著しく影響しそうだ」
「関税は成長鈍化とインフレ率上昇につながる可能性が高い」
「政策スタンスはやや抑制的だが、適切な位置にある」
「関税をめぐる不確実性はすでに経済に影響を与えている」
13日01:41 テイラー英中銀金融政策委員会(MPC)委員
「貿易問題が進展すれば利下げを再考する可能性」
13日02:50 カザークス・ラトビア中銀総裁
「CPIが2%に収束すれば、段階的な利下げを予想」
「追加利下げの根拠はあるものの、慎重な対応が必要」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 4月マネーストックM2
○08:50 ◇ 日銀金融政策決定会合における主な意見(4月30-5月1日分)
<海外>
○08:01 ◇ 4月英小売連合(BRC)小売売上高調査(予想:前年同月比2.3%)
○09:30 ◇ 5月豪ウエストパック消費者信頼感指数
○10:30 ◇ 4月豪NAB企業景況感指数
○15:00 ◎ 4月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○15:00 ◎ 1-3月英失業率(ILO方式、予想:4.5%)
○16:00 ◎ エスクリバ・スペイン中銀総裁、講演
○16:00 ◇ 3月トルコ経常収支(予想:40.0億ドルの赤字)
○17:00 ◎ マクルーフ・アイルランド中銀総裁、講演
○17:45 ◎ ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演
○18:00 ◎ 5月独ZEW景況感指数(予想:11.9)
○18:00 ◎ 5月ユーロ圏ZEW景況感指数
○18:30 ◎ 1-3月期南アフリカ失業率
○19:30 ◎ 4月インド消費者物価指数(CPI、予想:前年比3.27%)
○21:30 ☆ 4月米CPI(予想:前月比0.3%/前年比2.4%)
☆ エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.3%/前年比2.8%)
○23:10 ◎ ベイリーBOE総裁、クノット・オランダ中銀総裁、講演
○トランプ米大統領、中東歴訪
〇中国・中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)閣僚級会議(北京)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 38730 +1030 (+2.73%)
TOPIX先物 2813.0 +68.0 (+2.47%)
シカゴ日経平均先物 38760 +1060
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
12日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が大幅に上昇。米中両政府が互いに課した追加関税を大幅に引き下げることで合意したと発表。米国は中国に対する関税率を145%から30%に、中国は米国産品に対する関税率を125%から10%に引き下げ、90日間の交渉期間に入る。米中貿易摩擦の緩和に向けた動きを好感した買いが幅広い銘柄に広がった。
トランプ米大統領は今回の合意を受け、今週中に習近平国家主席と話す可能性が高いとの認識を示した。今後90日間で合意できなかったとしても、関税を再び145%に引き上げることはないと述べたことも好感された。
S&P500業種別指数は、自動車・同部品、小売、運輸、半導体・同製造装置が上昇した一方で、電気通信サービス、食品・飲料・タバコ、公益事業が下げた。NYダウ構成銘柄では、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、ナイキ<NKE>、アップル<AAPL>、メルク<MRK>、エヌビディア<NVDA>が買われた半面、コカ・コーラ<KO>、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>、トラベラーズ<TRV>が下落。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比1060円高の3万8760円だった。米中の共同声明は日本時間12日午後4時に発表されたことで、日経225先物(6月限)のナイトセッションはギャップアップとなり、日中比500円高の3万8200円で始まった。直後につけた3万8150円を安値にショートカバーが強まり、一気に3万8600円台を回復。その後は3万8370円まで上げ幅を縮めたものの、米国市場の取引開始後に上へのバイアスが強まった。終盤にかけて3万8790円まで上げ幅を広げる場面もみられ、3万8730円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はナイトセッションで200日移動平均線(3万7590円)、3月26日の戻り高値3万7970円を上抜けた。ボリンジャーバンドの+2σ(3万8670円)を上回ってきており、短期的な過熱感が警戒されやすいが、バンドが上向きで推移しているため、買い一巡後の戻り待ち狙いのショートは避けておきたい。週足では26週線(3万7680円)、52週線(3万7890円)、+1σ(3万8030円)を明確に突破している。週足の+1σが支持線として意識されやすく、+2σ(3万9580円)とのレンジに移行することになろう。
3月の戻り高値を上抜いてきたことで、次のターゲットは1月27日につけた4万0380円になる。5月第1週(4月28日-5月2日)の投資部門別売買動向では、海外投資家が現物と先物合計で3週連続の買い越しだった。海外投資家の買い戻しが一段と強まると考えられ、買い一巡後に過熱を冷ます動きがあれば、押し目狙いのロング対応に向かわせよう。
12日の米VIX指数は18.39(9日は21.90)に低下した。200日線(19.72)を下抜け、判断の分かれ目となる20.00を割り込んできたことで、リスク選好に向かわせそうだ。3月26日につけた16.97が射程に入ってきている。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.73倍に上昇。医薬品株や鉄鋼株の弱い値動きがTOPIX型の重荷になっており、相対的に日経平均型が優位の状況。ただし、+2σ(13.74倍)水準では上値を抑えられる形だった。本日は全面高のなかで指数インパクトの大きい値がさハイテク株のインパクトが強まりやすく、同バンドを上回ってくることが見込まれる。
12日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米中両国が関税の大幅な引き下げで合意したことを受けて、貿易摩擦が世界経済に悪影響を及ぼすとの懸念が後退し、ダウ平均が1100ドル超上昇したことなどで148.65円まで上昇した。ユーロドルは1.1065ドルまで下落した。ユーロ円は米中貿易戦争激化に対する懸念が緩和し、日米株価指数が大幅に上昇したことで164.92円まで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、米中貿易協定を受けて底堅い展開が予想される。
ドル円の上値の注目水準は、1月10日高値158.87円から4月22日安値139.89円までの下落幅の半値戻し149.38円や、200日移動平均線の149.72円となる。
ベッセント米財務長官と中国の何立峰副首相は、10-11日の米中貿易協議の後の12日に90日間の米中貿易協定を締結し、115%の関税引き下げを決定した。米国と中国は、今後90日間の猶予期間を設けて、米国は中国に対する関税率を145%から30%に引き下げ、中国は米国産品に対する関税率を125%から10%に引き下げることで合意した。
第1次トランプ米政権では、2018年に貿易交渉後に対立を一時停止することで合意したものの、米国が合意から離脱し、1年半余りにわたって関税賦課と協議が続き、最終的に2020年1月の第1段階米中貿易合意の署名に至った。第2次トランプ米政権でも、2025年5月に90日間の米中貿易協定で合意したが、3カ月後に、対中貿易赤字を削減できる最終的な合意に至れるのかは、依然として不明ではある。
今後の注目ポイントは、週末に予定されている米中首脳会談や第1次トランプ米政権の二の舞になる可能性などとなる。
ドル円が148円台まで上昇していることで、過去最大規模に拡大していたIMMシカゴ筋の円の買い持ちポジションに代表されるドル円のショートポジションが、手仕舞われつつあるのかもしれない。
シカゴ筋がドル売り・円買いのポジションに傾いた背景には、日銀の追加利上げ観測、米連邦準備理事会(FRB)の追加利下げ観測、トランプ関税を巡るドル下落観測などがあったと思われる。しかし、日銀金融政策決定会合では、トランプ関税の「不確実性」を理由にハト派的な据え置きとなり、米連邦公開市場委員会(FOMC)でも「不確実性」を理由に、タカ派的な据え置きとなっており、米英貿易協定の締結合意や米中貿易協定を受けて、手仕舞いを余儀なくされつつある。
4月30日-5月1日開催の日銀金融政策決定会合における『主な意見』では、ハト派的な据え置きの背景を見極めることになる。
日銀金融政策決定会合では、トランプ関税によって世界経済の不確実性が一段と増す中で、経済・物価見通しを下方修正するとともに、2%の物価安定目標の実現時期を1年程度先送りした。そして、「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の中核である基本的見解から、日銀の利上げ路線の根幹を成してきた「賃金と物価の好循環」という文言が消滅した。『主な意見』の順序は、多数派である植田日銀総裁、内田日銀副総裁、氷見野日銀副総裁、そして少数派となっており、ハト派とタカ派の多少を見極めることになる。
また、今回の米中貿易協定により、不確実性が減退したことで、6月日銀金融政策決定会合に向けた利上げ観測が高まることには警戒しておきたい。
東京市場は大幅高か。米国株は上昇。ダウ平均は1160ドル高の42410ドルと4桁の上昇となった。米中貿易協議では双方が「相互関税」を115%引き下げ、米国の対中関税を30%に、中国の対米関税を10%に引き下げることで合意。一部に関しては90日間停止することでも合意に至った。これらを受けてリスクオンの様相が強まる展開。ナスダックは4%を超える上昇となった。為替市場では円安(ドル高)が進行しており、ドル円は足元148円30銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて1060円高の38760円、ドル建てが1120円高の38820円で取引を終えた。
きのうの日本株も米中協議の進展を材料に上昇してはいるが、中身に関しては伝わっていなかった。かなり踏み込んだ内容であったことや、米国株に著しく強い反応が見られたことはポジティブサプライズ。CME225先物は大幅な上振れを示唆しており、全面高の展開が想定される。一気に水準を切り上げると思われる分、買い一巡後は早い時間に値動きが落ち着くとみるが、売りを出しづらい地合いの中、終日高い位置を維持するだろう。日経平均の予想レンジは38200円-38900円。
日経225先物は11時30分時点、前日比580円高の3万8280円(+1.53%)前後で推移。寄り付きは3万8600円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万8760円)にサヤ寄せする形から、買い先行で始まった。ただし、短期的な過熱感が警戒される中、直後につけた3万8660円を高値に、利益確定に伴うロング解消の動きが優勢となった。終盤にかけて3万8250円まで上げ幅を縮めている。
日経225先物はボリンジャーバンドの+2σ(3万8590円)を突破して始まったが、現物の寄り付き後には同バンドを下回っての推移となり、ロング解消に向かわせたようである。ナイトセッションで1000円を超える上昇で一気に3月26日の戻り高値を上抜けたことで、利食いは入りやすいところであろう。ただし、ピーク感はなく、上向きで推移するバンドに沿った上昇が意識されやすいため、押し目狙いのロングでの対応に向かわせよう。
NT倍率は先物中心限月で13.80倍に上昇。+2σ(13.76倍)を上回り、75日移動平均線(13.81倍)に接近してきた。同線を突破してくるようだと、上向きで推移する+2σと+3σ(13.84倍)に沿ったトレンドが意識されやすいと考えられ、NTロングに振れやすい。
昨日の海外市場では、サプライズの米中共同声明を受けてドル全面高。株価の急騰や米長期金利の急騰を伴う、いわゆるリスクオンの動きとなりました。先週末の協議を受けて、米国側の一方的な見解ではなく、中国側からも「世界経済にとって大きなものとなる」との表明があった時点で、既にその内容の方向性は決定的だったわけで、昨日のドル円の踏み上げ相場は、このところ難しい相場が続いているなかにあって、稀に見るイージーな相場展開だったと言えます。
一部のHF勢は既に先週までの日米中銀によるメインシナリオの変更をきっかけに、かかるリスクオフポジションをアンワインディングし始めていたのは明白。市場では、米国の解放の日に公表された中国への課税率54%(相互関税34%+フェンタニル関税20%)前後への引き戻しとの認識だったなかでの、90日間の限定とは言え、一気に両国ともに115%の引き下げが合意されるという予想外の結果は、ドル円を一目雲の中に突入させる3円の急騰を引き起こすには十分過ぎる数字となりました。
ベッセント米財務長官が言っていたように、実質的な貿易封鎖状態を解除させて、両国ともデカップリングを避けたいという、極めてコモンセンスな対応。現在のトランプ米政権でのキーパーソンとしての力量を証明することになっています。
いずれにしても、ドル円は東京時間はポジション調整が中心。目先は147.76円まで下押ししていますが、一目雲下限の147.89円やNY時間の安値147.82円、更には欧州時間の急伸後の下押しレベルである147.63円や明日以降の一目雲下限のレベルである147.61円付近が意識されて下値を確認したようなかたち。解放の日の高値149.28円や200日MAの149.72円、一目雲上限の150.40円や4月2日の高値150.49円などが現実的な戻りの目処として意識されています。
「連邦政府の現金と特別措置が、議会が休会を予定している8月に枯渇する可能性が十分にある。米国の十分な信頼と信用を守るため、予定されている休会前の7月半ばまでに債務上限を引き上げるか、適用を停止すべき。債務上限撤廃案は微妙な問題だが、トランプ大統領が望むなら議会と協力して撤廃する」(ベッセント米財務長官)
1. 2025会計年度(24年10月-25年9月)財政赤字:1兆487.30億ドル
米財務省は、2025会計年度(24年10月~25年9月)の4月の財政収支が、2584.00億ドルの黒字だったと発表した。2024年4月は2095.29億ドルの黒字だったことで、黒字幅は488.71億ドル(+23%)増加した。歳出は5917.69億ドル、歳入は好調な税収と関税徴収額の急増で8501.69億ドルだった。
2025会計年度(24年10月-25年9月)累計の財政赤字は、前年同期比23%増(2420億ドル)の1兆487.30億ドル、歳入は3兆1104.72億ドル、歳出は4兆1592.02億ドルとなり、4月としては過去最高を記録した。
国債利回りの上昇を受けて、政府のコスト負担が大きく膨らんでおり、2024年度の連邦政府の公的債務利子が累計で初めて1兆ドルを超え、1.2兆ドルとなった。
2025年の借り換え債は9.2兆ドル、今後3年間で発行されている国債の50%が満期を迎えるため、現状の米中長期債利回りの高止まりが続いた場合、利払い額は、2倍の2兆ドルに達することが警戒されている。
ベッセント米財務長官は、米中長期債利回りの抑制を最重要課題に掲げている。
【財政赤字と対GDP比】
・2020会計年度:3兆1319億ドル(対GDP比15.0%)※過去最大
・2021会計年度:2兆7721.79億ドル(対GDP比12.4%)※過去2番目
・2022会計年度:1兆3754.81億ドル
・2023会計年度:1兆6952.40億ドル(対GDP比6.2%)
・2024会計年度:1兆8328.16億ドル(対GDP比6.4%)
2.2025年4月末債務残高:36兆2143億ドル(※米国債:29兆ドル)
米国の2025年4月末時点での債務残高は36.2143兆ドルで、2025年第1四半期国内総生産(GDP) 29.9776兆ドルの約123%となっている。
純関税歳入は、1月が73.4億ドル、2月は72.5億ドル、3月は87.5億ドル、4月は過去最高の160億ドル、2025会計年度では630億ドルと前年同期の480億ドルから増加した。トランプ米大統領は、関税によって1日当たり20億ドルの収入を得ていると述べていたが、4月は5億ドルに過ぎず、誇張であることも示唆された。
米財務省に国債発行について助言する借り入れ諮問委員会(TBAC)は連邦債務上限の撤廃を提言した。国債返済コストを増加させて市場の変動を高め、ドルの基軸通貨としての地位を損ないかねないためだとしている。そして、債務上限は「財政規律を向上させるどころか米国の信用格付けを損なっており、米国の準備資産という地位に影響しかねない」として、「政府の義務を果たすのに必要なだけの資金を借り入れる幅広い権限を、議会は政権に委ねる」のが望ましいとの意見を表明した。
ウォーレン・バフェット氏は、「アメリカの財政赤字は長期的には持続不可能だ。長期というのが2年か20年かは分からないが」と警鐘を鳴らしている。
本日のロンドン為替市場のユーロドルは、5月の独・ユーロ圏ZEW景況感指数を見極めつつ、欧州連合(EU)と米国の貿易交渉に関するヘッドラインに警戒する展開となる。
ユーロドルは、米英貿易協定や米中貿易協定の合意を受けたドル買い戻しで、一時1.10ドル台まで下落している。5月独ZEW景況感指数(予想:11.9)や5月ユーロ圏ZEW景況感指数(前回:-18.5)では、ユーロ下落基調の中で、予想や前回を下回るネガティブサプライズに警戒しておきたい。
また、エスクリバ・スペイン中銀総裁やマクルーフ・アイルランド中銀総裁の講演では、6月の欧州中央銀行(ECB)理事会に向けた金融政策への言及に注目しておきたい。
現在、米国はEUからの輸入品の大部分に20%の関税をかけ、鉄鋼とアルミニウム、自動車・部品には25%の関税を課すと表明しており、7月8日を交渉期限にしてEU側と貿易交渉を進めている。そして欧州委員会は、米国による関税強化が交渉で撤廃されない場合、最大で950億ユーロ(1070億ドル)相当の米国からの輸入品に報復関税を課すことを提案しており、欧米の貿易交渉に関するヘッドラインに警戒していくことになる。
ポンドドルは、4月英雇用統計や1-3月英失業率を見極めることになるが、5月8日に米英貿易協定が締結合意され、イングランド銀行金融政策委員会(MPC)では、ターミナルレート3.5%に向けた追加利下げの見通しが示されたことで、予想の範囲内ならば、ポンドへの影響は軽微だと思われる。
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1223ドル(日足一目均衡表・転換線)
・ユーロ円:165.43円(2024/11/8高値)
・ポンドドル:1.3271ドル(日足一目均衡表・転換線)
・ポンド円:197.48円(ピボット・レジスタンス2)
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.0943ドル(4/10安値)
・ユーロ円:163.26円(日足一目均衡表・転換線)
・ポンドドル:1.3083ドル(日足一目均衡表・基準線)
・ポンド円:193.06円(日足一目均衡表・転換線)
ドル円:1ドル=147.81円(前営業日NY終値比▲0.65円)
ユーロ円:1ユーロ=164.24円(▲0.35円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1111ドル(△0.0024ドル)
日経平均株価:38183.26円(前営業日比△539.00円)
東証株価指数(TOPIX):2772.14(△30.06)
債券先物6月物:139.39円(▲0.64円)
新発10年物国債利回り:1.445%(△0.060%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月マネーストックM2
前年同月比 0.5% 0.8%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は軟調。前日に約3円急騰した後とあって持ち高調整目的の売りが強まった。時間外の米10年債利回りが低下したほか、加藤財務相が「ベッセント米財務長官と来週のG7会合の場で為替協議を検討」と発言したことも重しとなった面があり、一時147.65円まで下落。一巡後はやや下げ渋ったが、戻りは鈍い。
・ユーロ円も弱含み。ドル円の下落につれる形で売られる展開となった。ユーロ円は一時164.13円まで値を下げる場面があった。
・ユーロドルは小高い。昨日の大幅下落に対する反動から調整買いが散見され、一時1.1120ドルまで値を上げた。
・日経平均株価は4日続伸。終値で3万8000円を上回るのは3月26日以来、約1か月半ぶり。米中関税引き下げにより米中対立を巡る警戒感が後退し株式市場には買い安心感が広がった。なお、東証株価指数(TOPIX)は2009年8月以来の13連騰を記録した。
・債券先物相場は5日続落。米中貿易摩擦の緩和期待を背景に、相対的に安全資産とされる債券は売りが先行し、一時139.08円まで値を下げた。
中国商務部の王文濤部長は12日、貿易会社や輸出入業界団体、専門家らと円卓会議を開き、貿易を巡る状況や支援策について意見を交わした。商務部国際貿易交渉副代表の李詠ソウ氏も同席した。
王氏は、党中央が輸出入政策を重視していると強調。今年に入り外部環境の不確実性が増すなかでも、中国の対外貿易は全体として安定を維持し、強靱(きょうじん)性を示していると述べた。
米国が中国製品に対して一方的に高関税を課したことに対しては、中国側が断固とした対抗措置を講じ、自国の利益と国際的な公正を守ったと説明。こうした対応が国際社会からの評価を得たとした。中米間の経済・貿易分野の高官協議では、重要な共通認識に達し、実質的な進展もあったと明かし、「協力の深化に向けた土台が築かれた」との認識を示した。
今後は党中央の方針に沿って、国内経済の運営と対外経済関係を一体的に進めるとし、商務部が3つの重要任務(内需拡大、対外開放、経済安全保障)を軸に、関係部門と連携して輸出企業の経営課題に対応し、支援を強化するとした。
会合には財政部や人力資源社会保障部、市場監督管理総局、金融監督総局の代表も出席し、企業側からの要望や提案に対して回答した。出席した企業や業界団体の代表は、外部環境の変化に柔軟に対応し、事業の安定成長を目指す姿勢を示した。
中国政府がレアアース(希土類)を含む戦略鉱物の輸出規制について、米中貿易摩擦の一時的な緩和を受けて一部の米企業に対する手続きを柔軟に運用する可能性が出てきた。ただ、規制自体を全面的に撤廃する考えは乏しいもようだ。ロイター通信が13日、事情に詳しい複数の関係者の話として伝えた。
報道によれば、中国の商務部は理論上45日かかる審査プロセスを加速させ、一部の米国企業に対し早期に輸出許可を発行する可能性がある。ただ、中国は戦略的鉱物の管理を強化する一環として輸出規制を維持する方針であり、この措置は今後も続くとみられる。
中国は世界の戦略的鉱物供給において主要な役割を果たしており、2023年以降、半導体製造やエネルギー転換、防衛関連産業に不可欠な鉱物の輸出制限を導入してきた。今年4月には、米国の関税措置への対抗策として、7種類のレアアース関連物資を新たに輸出規制リストに加えた。この決定により、輸出業者は国外販売に当たり許可申請が必要となった。規制はすべての国に適用されるが、貿易戦争下では、米国側が許可を得る可能性は極めて低いとされていた。
第一生命経済研究所では、16日に公表される2025年1-3月期の実質GDP成長率を前期比年率-1.1%(前期比-0.3%)と予測している。4月30日の段階では前期比年率-0.7%(前期比-0.2%)と予想していたが、その後に公表された経済指標の結果を反映して、予測値を下方修正している。輸出が足踏みとなる中、輸入が大きく増加したことで外需寄与度が大幅マイナスとなり、成長率を押し下げたと予想している。
大阪6月限
日経225先物 38200 +500 (+1.32%)
TOPIX先物 2773.5 +28.5 (+1.03%)
日経225先物(6月限)は前日比500円高の3万8200円で取引を終了。寄り付きは3万8600円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万8760円)にサヤ寄せする形から、買い先行で始まった。ただし、短期的な過熱感が警戒され、直後につけた3万8660円を高値に、利益確定に伴うロング解消が優勢となった。前場終盤にかけて3万8250円まで上げ幅を縮め、その後は3万8250円~3万8400円辺りで保ち合いを継続。取引終了間際にレンジを割り込み、3万8200円と本日の安値で終えた。
日経225先物はボリンジャーバンドの+2σ(3万8590円)を突破して始まったが、現物の寄り付き後には同バンドを下回っての推移となり、ロング解消に向かわせたようである。ナイトセッションで1000円を超える上昇で一気に3月26日の戻り高値を上抜けたことで、利食いが入りやすいところだったと考えられる。
目先的には3万8000円固めが意識されそうであり、3月の戻り高値水準が支持線として機能するかを見極めたい。同水準を下回ってくるようだと、200日移動平均線(3万7570円)辺りまでの調整はありそうだが、結果的には窓埋めとともに過熱感を冷ます形であろう。+2σはナイトセッションで3万8900円まで切り上がってきており、同バンドに沿ったトレンドを形成するなかでは、押し目狙いのロングスタンスに向かわせよう。
決算発表がピークを迎えており、14日、15日は連日で600社ほどの発表が予定されている。決算発表がピークを通過するまでは機関投資家も積極的には動けず、ロングの動きも限られるだろう。そのため、ショートカバーにより買い先行で始まったとしても、その後は短期的なロング筋の利益確定に伴うロング解消が優勢になりやすいとみられる。
NT倍率は先物中心限月で13.77倍に上昇。一時13.81倍まで切り上がり、+2σ(13.76倍)を上回って75日線(13.81倍)を捉えてきた。同線を突破してくると、上向きで推移する+2σと+3σ(13.83倍)に沿ったトレンドが意識され、NTロングに振れやすい。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万7700枚、ソシエテジェネラル証券が1万5179枚、サスケハナ・ホンコンが4209枚、JPモルガン証券が2471枚、バークレイズ証券が2273枚、モルガンMUFG証券が1935枚、野村証券が1799枚、ビーオブエー証券が1522枚、みずほ証券が1391枚、SBI証券が1029枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が1万9870枚、ソシエテジェネラル証券が1万8609枚、JPモルガン証券が5070枚、バークレイズ証券が4610枚、モルガンMUFG証券が3755枚、ゴールドマン証券が3146枚、ビーオブエー証券が3103枚、サスケハナ・ホンコンが2547枚、シティグループ証券が1577枚、野村証券が1384枚だった。
本日のNY時間では、引き続き関税に関する報道や発言で上下することになりそうだ。また、経済指標では4月の消費者物価指数(CPI)に注目が集まる。
昨日の日本時間16時に、米中の共同声明で両国が大幅な関税引き下げ(米国は中国製品への関税を90日間145%から30%へ、中国は米製品への関税を125%から10%へ)に合意したことが伝わって以後、ドルは堅調に推移している。米国にとって本丸と言われる巨額貿易赤字を記録している中国に対して、いとも簡単に関税を大幅に引き下げたことは市場にとってはサプライズだったことで、ドルの買い遅れている市場参加者が下落局面では買い支えることになるだろう。
この関税引き下げについて、中国ソーシャルメディアは「大勝利」と報じているが、ホワイトハウスも声明で「この貿易協定は米国にとっての勝利であり、米国民に利益をもたらす協定を確保する上でトランプ大統領の比類のない専門知識を証明するものだ」と述べた。
ただ、今回の合意では米国の対中赤字減少や、トランプ大統領が目指す「米国への製造業回帰」などの目標は達成することはできず、トランプ大統領がこの結果を納得しているのかは懐疑的だ。米トリプル安を懸念したベッセント米財務長官などの政権良識派が手打ちにしただけの可能性もあり、大統領の今後の見解が注目される。また、関税の圧力よりも為替による貿易不均衡解消を狙うとの予想もあり、その場合は本日加藤財務相が「来週のG7会合の場で為替協議を検討」と発言したことで、20日から22日に行われるカナダでのG7がより注目されることになりそうだ。
経済指標では、4月の米CPIに注目。3月はヘッドラインCPIは前年比で昨年9月以来となる2.4%へ、前月比では-0.1%となり2020年5月以来の低い水準となった。4月はそれぞれ+2.4%と+0.3%予想となっている。低位安定した結果になった場合はトランプ大統領から再び米連邦準備理事会(FRB)へ利下げを催促するような発言が出てくる可能性がありそうだ。なお、コア指数は前年比+2.8%と前月比+0.3%予想になっている。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、12日高値148.65円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値は、昨日の米中関税引き下げ発表前の高値146.28円。
米国はサウジアラビアや新興AI企業Humain社など湾岸諸国への米国製AIチップのアクセス拡大について協議を進めているとワシントンポスト紙が伝えた。トランプ大統領の中東歴訪に合わせて、鉱物や半導体分野での大型取引を目指す動きの一環とのこと。
南アフリカの国営電力会社エスコムは発電設備の故障や復旧の遅れにより、15日夜まで段階的な計画停電(ロードシェディング)を行うと発表した。今回の措置は3,120メガワット分の発電ユニットの復旧遅延や新たな故障による発電能力の低下が背景。
今晩は物価指標に注目。昨日は週末の米中貿易交渉で、双方が関税の90日間の一時停止と「相互関税」の大幅引き下げで合意したことがポジティブ・サプライズとなり、主要3指数がそろって急伸した。ダウ平均が1160.72ドル高(+2.81%)、S&P500が3.26%高、ナスダック総合が4.35%高となり、ともに「相互関税」の90日間停止が発表された4月9日以来の急騰となった。年初来ではダウ平均が0.32%安、S&P500が0.64%安と昨年末水準に接近し、ナスダック総合は3.12%安と下落率を大きく縮小した。
今晩の取引で昨日の急騰の反動で上値の重い展開が予想されるが、年内の利下げ見通しを巡って寄り前に発表される米4月消費者物価指数(CPI)が焦点となりそうだ。4月CPIの市場予想は前年比+2.4%と3月から横ばいが見込まれ、変動の大きい食品、エネルギーを除くコアCPIも+2.8%と前月から横ばいが予想されている。市場では年内3~4回(0.75-1.00%)だった利下げ見通しが、足もとでは2回(0.50%)程度まで低下しており、4月CPIが強い結果となれば利下げ期待の一段の後退が相場の重しとなることが警戒される。
今晩の米経済指標・イベントは4月CPIのほか、4月NFIB中小企業楽観度指数、4月クリーブランド連銀CPIなど。主要な企業の決算発表はなし。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・田中 理氏
トランプ大統領の次の標的はEU EUは交渉を優先するも、報復の準備を進める
米国と中国が高関税の引き下げで合意した直後、トランプ大統領は欧州連合(EU)への攻撃を強めている。EUは米国にとって中国に次ぐ貿易赤字相手先。米国との交渉妥結を目指すが、米国が関税引き下げに応じない場合、報復措置も辞さない姿勢を示唆している。EUの米国向け輸出品目の上位には、トランプ大統領が問題視する医薬品や自動車などが並ぶ。EUが先に合意した英国同様の軽減措置を勝ち取ることは容易でない。
日経平均株価は4日続伸。マドを開けて強い寄り付きとなり上値を伸ばす場面があった。一方、38500円水準を前に伸び悩む展開となり、日足ローソク足は短い陽線を形成して終えた。
RSI(9日)は前日の98.1%→98.0%(5/13)に横ばい。あすも上昇のハードルは高くなるが、短期的な相場の見方に変化はない。4/7安値(30792円)を起点とした目先波動は上昇継続の判断となる。
200日移動平均線(37900円 5/13)を上回り、終値ベースで3/26につけた急落前の戻り高値(38027円)を更新した。パターン分析では4月前半の安値を先端に「スパイクボトム(V字)」を確認した。短期的な下押し場面も想定されるが、当面は意外高の想定も必要になってくる。
今週は一目均衡表の雲の水準が急速に切り下がるタイミングに入っており、目先の調整にいつ入っても不思議ではない。
上値メドは、心理的節目の38500円や39000円、2/13高値(39581円)、心理的節目の4万円、1/24高値(40279円)などがある。下値メドは、200日移動平均線、5日移動平均線(37407円 同)、心理的節目の37000円、10日移動平均線(36791円 同)、心理的節目の36000円や35500円、25日移動平均線(35017円 同)などがある。
(13日終値:14日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=147.61円(13日15時時点比▲0.20円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=164.98円(△0.74円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1176ドル(△0.0065ドル)
FTSE100種総合株価指数:8602.92(前営業日比▲2.06)
ドイツ株式指数(DAX):23638.56(前営業日比△72.02)
10年物英国債利回り:4.670%(△0.027%)
10年物独国債利回り:2.680%(△0.032%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月英雇用統計
失業率 4.5% 4.5%・改
失業保険申請件数
0.52万件 ▲1.69万件・改
1-3月英失業率
(ILO方式) 4.5% 4.4%
5月独ZEW景況感指数
25.2 ▲14.0
5月ユーロ圏ZEW景況感指数
11.6 ▲18.5
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ユーロドルは堅調。しばらくは1.11ドル台前半でのもみ合いが続いていたが、NYの取引時間帯に入り4月米消費者物価指数(CPI)が予想より弱い内容となったことが分かると、ユーロ買い・ドル売りが優勢になった。1時30分過ぎに一時1.1182ドルと日通し高値を付けた。
主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時101.04まで低下した。
・ドル円は頭が重かった。米CPIの発表を前に買い戻しが先行すると一時148.27円付近までじり高となった。ただ、米インフレの落ち着きを示す経済指標の発表を受けて全般ドル売りが優勢になると、アジア時間に付けた147.65円を下抜けて一時147.46円まで値を下げた。
加藤勝信財務相はこの日、「ベッセント米財務長官と引き続き為替を議論する」などと発言。市場では「米国側から円安是正が要請されるとの警戒感がくすぶる」との声も聞かれた。
・ユーロ円はしっかり。ナスダック総合が1.7%超上昇するなど米国株相場が底堅く推移するとリスク・オンの円売り・ユーロ買いが優勢となった。0時30分前に一時165.21円と昨年11月8日以来約半年ぶりの高値を付けた。
・南アフリカランドは下落。南ア国営電力会社エスコムが「15日まで計画停電を実施する」と発表したことが嫌気された。対ドルでは一時18.4698ランド、対円では8.01円までランド安に振れた。
・ロンドン株式相場は3日ぶりに小反落。米中貿易戦争激化に対する懸念が緩和する中、この日も買いが入ったものの、前日までに上昇した反動から利益確定目的の売りも出たため上値は重かった。セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株が売られたほか、アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株が値下がりした。
・フランクフルト株式相場は4日続伸。貿易を巡る米中対立が緩和に向かうとの期待や米ハイテク株の上昇を背景に、独株にも買いが入った。個別ではフォルクスワーゲン(3.76%高)やアディダス(3.09%高)、BMW(3.02%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は下落。米中の貿易摩擦を巡る懸念が後退する中、株式などリスク資産に買いが入った一方、相対的に安全資産とされる国債に売りが出た。
13日の日経平均は大幅に4日続伸。終値は539円高の38183円。貿易協議で米国と中国に歩み寄りが見られたことから、12日の米国市場ではダウ平均が4桁の上昇。為替市場で円安(ドル高)が進んだことも支援材料となり、寄り付きから500円を超える上昇となった。
38100円台からスタートして、38400円台までは一気に駆け上がった。38500円は超えられず、買い一巡後は上げ幅を縮小。38200円辺りでは値動きが落ち着き、10時以降は動意が乏しくなった。後場もこう着感の強い地合いが続いたが、終盤にかけてはやや上げ幅を縮小。500円を超える上昇となったものの、大引けが後場の安値となった。
東証プライムの売買代金は概算で6兆0100億円。大きな動きが出てくる中で商いは膨らんだ。業種別では海運、医薬品、倉庫・運輸などが上昇した一方、水産・農林、建設、石油・石炭などが下落した。前期の大幅増益着地や今期の2桁営業増益計画が好感された古河電気工業<5801.T>が後場急騰。ストップ高まで買われる場面もあった。半面、今期の減収減益見通しが嫌気されたフジクラ<5803.T>が、後場に入って大きく売られた。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり734/値下がり849と、日経平均は大幅高となったものの下落銘柄は多かった。円安進行を追い風にトヨタ、日産自、三菱自など自動車株が軒並み大幅高。米中の歩み寄りを受けて、商船三井など海運株や安川電機などFA関連に見直し買いが入った。日米で長期金利が上昇したことから、三菱UFJや三井住友など銀行株が全般堅調。決算が好感された楽天銀行はストップ高となった。ほか、前期の利益が計画を上振れた三井E&Sやミマキエンジニアリングが急騰した。
一方、アドバンテストや三菱重工は上昇して始まったものの、買いが続かずマイナス圏に沈んだ。前日に決算を材料に急落したDeNAは売りが止まらず大幅安。住友ファーマは前場では薬品株に見直し買いが入る中で大幅高となったが、後場には自身の決算が売り材料となり、5%を超える下落となった。今期の減収減益計画を提示した大成建設と大林組が大幅安となっており、同業の鹿島や清水建設も連れ安。今期は大幅な最終減益を見込むシャープが急落した。
日経平均は大幅高。グローバル市場の懸念材料であった米中対立に対する過度な警戒が後退したことから、難なく38000円の節目を超えてきた。プライムでは値下がり銘柄が多く、そろそろ買い疲れ感が出てくるタイミングではある。ただ、米国株の動きも良くなっている上に為替も株高を後押ししており、売りを出す理由に乏しい。きょうは相場の主役になるかと思われた半導体株は案外であったが、銀行株が大きく上昇した。今の日本株は特定の銘柄や業種に依存することなく水準を切り上げているだけに、まだしばらくは強い基調が続く公算が大きい。
(13日終値)
ドル・円相場:1ドル=147.48円(前営業日比▲0.98円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=164.96円(△0.37円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1185ドル(△0.0098ドル)
ダウ工業株30種平均:42140.43ドル(▲269.67ドル)
ナスダック総合株価指数:19010.09(△301.75)
10年物米国債利回り:4.46%(▲0.01%)
WTI原油先物6月限:1バレル=63.67ドル(△1.72ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3247.8ドル(△19.8ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月米消費者物価指数(CPI)
(前月比) 0.2% ▲0.1%
(前年同月比) 2.3% 2.4%
エネルギーと食品を除くコア指数
(前月比) 0.2% 0.1%
(前年同月比) 2.8% 2.8%
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ユーロドルは反発。米労働省が発表した4月米消費者物価指数(CPI)が予想より弱い内容となったことが分かると全般ドル売りが先行。5時30分過ぎに一時1.1195ドルと日通し高値を付けた。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時100.91まで低下した。
ただ、市場では「関税の影響を背景にインフレ見通しは引き続き不透明。米連邦準備理事会(FRB)が夏終盤まで利下げを再開しないという見通しを変えるには至らない」との声が聞かれた。
なお、クノット・オランダ中銀総裁は「不確実性は短期的にインフレと成長の両方にとってマイナス」と述べたほか、ビルロワドガロー仏中銀総裁は「夏までに追加利下げの可能性」「トランプ関税は欧州ではなく米国のインフレを加速させる」などと語った。
・ドル円は反落。米CPIの発表を前に買い戻しが先行すると148.27円付近までじり高となったが、アジア時間に付けた日通し高値148.48円を上抜けることは出来なった。米CPIの下振れを受けて全般ドル売りが優勢になると、アジア時間に付けた147.65円を下抜けて一時147.38円まで値を下げた。
なお、トランプ米大統領は自身のSNSに「インフレはなく、ガソリンやエネルギー、食料品、ほぼすべての価格は下落している。FRBは欧州や中国のように利下げをするべき」と投稿した。
・ユーロ円は続伸。ナスダック総合が1.6%超上昇するなど米国株相場が底堅く推移するとリスク・オンの円売り・ユーロ買いが優勢となった。0時30分前に一時165.21円と昨年11月8日以来約半年ぶりの高値を付けた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は反落。前日に米中両国が大幅な関税引き下げで合意したことを受けて、この日も買いが続いた。ただ、最高経営責任者(CEO)交代とあわせて、4月中旬に公表した利益見通しを取り下げたユナイテッドヘルス・グループが急落し、1銘柄でダウ平均を340ドルほど押し下げたため、ダウ平均はマイナス圏で推移した。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は5日続伸した。
・米国債券相場で長期ゾーンは小反発。4月米CPIはヘッドラインが予想を下回ったものの、変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数は前年比で2.8%上昇と市場予想に一致。相場は方向感に乏しい展開となった。利回りは一時4.5026%前後と4月11日以来の高水準を付ける場面もあった。市場では「パウエルFRB議長が述べたように米経済は良い位置にあり、FRBが利下げを急ぐ必要はないとの見方が確認できた」との声も聞かれた。
・原油先物相場は4日続伸。米中の関税大幅引き下げ合意が世界経済の懸念を後退させ、エネルギー需要に好影響を与えるとの見方からの買いが続いた。63.90ドルまで4月28日以来の高値を更新したところで上昇は一服も、プラス圏を維持して引けた。
・金先物相場は反発。前日に米中の関税引き下げ合意を好感して急激に進んだドル高が一服するなか、4月米CPIが予想より弱かったことも重しとなりドルが軟化。ドル建て金相場の割安感につながり、金が買われた。米金利が上昇したことは金利がつかない資産である金の上値を重くしたものの、前日比プラスの水準を維持して引けた。
中国外交部は13日に開かれた記者会見で国内外の記者の質問に答えた。
―― AFP通信記者 中米貿易交渉の次の段階について詳しく説明してもらいたい。どのような議題が話し合われるのか。米国側がフェンタニル問題を理由に対中関税として20%を維持していることを踏まえ、双方はこの問題についてどのように交渉する計画か。
報道官 中米間の経済・貿易に関する高官会談については、中国側の主管部門がすでに情報を発表している。
フェンタニル問題については、中国側は繰り返し表明してきたように、フェンタニルは米国自身の問題であり、中国の問題ではない。責任は米国にある。米側は中国の善意を顧みず、一方的に中国に対してフェンタニル関連の関税を課しており、これは中米間の違法薬物対策分野における対話と協力を著しく損ない、中国側の利益にも深刻な損害を与えている。米側が本気で中国側と協力したいのであれば、中国を中傷したり責任転嫁したりするのをやめ、平等・尊重・互恵の姿勢で中国側と対話すべきだ。
サウジアラビアは対米投資を1兆ドルに増強する方向で取り組んでいると表明した。
中国国務院関税税則委員会は13日、米国産輸入品に対する追加関税の引き下げを正式発表した。現地時間5月14日午後0時1分から適用する。
今回の措置は、中国と米国の経済・貿易高官協議での重要な共通認識を実行に移すもので、関税法や税関法、対外貿易法などの国内法および国際法の基本原則に基づき、国務院の承認を得て実施される。
第4号公告で定められた追加関税率は、従来の34%から10%に引き下げられる。また、今後90日間にわたり、対米追加関税率24%の適用が一時停止される。あわせて、第5号および第6号公告で定めた追加関税措置も停止される。
関税税則委員会は今回の措置について、中米両国の生産者と消費者の期待に応えるもので、両国の経済・貿易関係の促進や世界経済にも資するとしている。
13日08:50 日銀金融政策決定会合における主な意見(4月30-5月1日分)
「これまでの見通しは、米国の関税政策によって、大きく揺るがされている。米国の関税引き上げは、わが国の経済と物価を下押しする」
「米国の関税政策の着地とそれへの企業の対応は二重の意味で流動的であり、現時点での見通しは仮置きに止まる。今後の推移次第で、見通しには大きな修正があり得る」
「米国の関税政策の展開がある程度落ち着くまでは様子見モードを続けざるを得ない」
「米国経済減速から利上げの一時休止局面となるが、米国の政策転換次第で追加的な利上げを行うなど、過度な悲観に陥ることなく、自由度を高めた柔軟かつ機動的な金融政策運営が求められる」
13日09:41 加藤財務相
「ベッセント米財務長官と来週のG7会合の場で為替協議を検討」
「為替動向について具体的なコメントは控える」
「G-7会合にあわせて、日米財務相会談を実施することも検討」
13日10:46 内田日銀副総裁
「米関税は日本経済の下押し要因になる」
「米関税政策の物価への影響は上下両方ある」
「需給ギャップは2027年度までの見通し期間終盤にかけて再び改善」
「各国通商政策の為替への影響は不確実性が高い」
「基調的物価は関税政策の影響でいったん伸び悩む」
「見通しが実現すれば政策金利の引き上げで緩和を調整」
13日11:51 習・中国国家主席
「関税戦争や貿易戦争に勝者はいない」
「中国は多国間貿易体制を支持する」
「いじめや覇権主義は孤立を招くだけだ」
13日20:20 グリア米通商代表部(USTR)代表
「中国との非関税障壁の解消には時間がかかる」
「米国は中国以外の主要貿易相手国とも並行して様々な取引や合意の可能性を探っている」
「米国は重要物資について、いかなる貿易相手国にも依存していない」
「世界共通の10%関税は貿易赤字削減への強力なインセンティブとなる」
13日23:48 クノット・オランダ中銀総裁
「不確実性は短期的にインフレと成長の両方にとってマイナス」
14日02:06 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「夏までに追加利下げの可能性」
「トランプ関税は欧州ではなく米国のインフレを加速させる」
14日02:53 トランプ米大統領
「FRBは欧州や中国のように利下げをする必要ある」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 4月企業物価指数(予想:前月比0.3%/前年比4.0%)
<海外>
○10:30 ◎ 1-3月期豪賃金指数(予想:前期比0.8%)
○15:00 ◎ 4月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.4%/前年比2.1%)
○16:15 ◎ ブリーデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○17:00 ◎ エスクリバ・スペイン中銀総裁、ナーゲル独連銀総裁、講演
○18:15 ◎ ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○21:30 ◇ 3月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲1.2%)
○22:00 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○22:10 ◎ ジェファーソンFRB理事、講演
○23:00 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
〇NATO非公式外相会合(トルコ、15日まで)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
13日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米4月消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことで、148.27円付近から147.38円まで値を下げた。ユーロドルは4月CPIを受けて1.1195ドルまで上昇した。ユーロ円は米国株相場が底堅く推移したことで165.21円まで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、週末に予定されている米中首脳会談や来週の日米財務相会談への警戒感から伸び悩む展開が予想される。
ドル円は、12日に米中貿易協定を受けて148.65円まで上昇して一目均衡表・雲の中へ入ったものの、現状は、今週末に予定されている米中首脳会談や来週の日米財務相会談での為替協議への警戒感から、雲の下限147.61円付近で伸び悩む展開となっている。
米4月消費者物価指数(CPI)は前年比+2.3%だったものの、トランプ関税の不確実性は払拭されず、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示している今年の利下げ回数は9月と12月の2回となっている。
明日発表される米4月卸売物価指数(PPI)では、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視しているPCEデフレーターの手掛かりを確認できるため、30日発表の4月PCEデフレーターに向けて、4月の米国の物価動向を見極めて行くことになる。
8時50分に発表される4月企業物価指数は前年比+4.0%と予想されており、5カ月連続での4.0%台が見込まれている。また、輸入物価指数は2月、3月と2カ月連続で前年比マイナスに落ち込んでおり、ドル円相場が昨年同期比で円高気味に推移していることが下押し要因となっている。
昨日公表された日銀金融政策決定会合(4/30-5/1)の「主な意見」の冒頭には、「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる。こうした見通しが実現していくかは、不確実性がきわめて高いことを踏まえ、予断を持たずに判断していくことが重要である」との意見が示された。
今後は6月16-17日の日銀金融政策決定会合に向けて、英米貿易協定や米中貿易協定の合意を受けて、「不確実性」がどの程度減退しているのかを見極めていくことになる。
また、加藤財務相は、来週20-22日にカナダで開催予定のG-7財務相・中央銀行総裁会議で、日米財務相会談をセッティングして、ベッセント米財務長官と為替協議を行う、と述べている。米国と英国、及び中国との通商協議では為替協議への言及がなかったため、注目しておきたい。
ベッセント米財務長官のドル円相場に関する発言は以下の通りとなっている。
4月9日「最近の円高ドル安傾向について懸念していない」
4月26日「加藤財務相との会談は建設的であり、為替協議も継続していきたい」
米中貿易協定の締結を受けて、トランプ米大統領は、今週末に習中国国家主席との会談の可能性を示唆している。トランプ米大統領は「ジュネーブで生産的な交渉が行われ、中国との関係は完全にリセットされた。今週末に習主席と話をすることになるかもしれない」と述べた。習・中国国家主席は、「関税戦争や貿易戦争に勝者はいない。いじめや覇権主義は孤立を招くだけだ」と述べている。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 38300 +100 (+0.26%)
TOPIX先物 2770.5 -3.0 (-0.10%)
シカゴ日経平均先物 38370 +170
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
13日の米国市場はNYダウが下落した一方で、 S&P500、ナスダックは上昇。ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>が18%近く急落し、NYダウはマイナス圏での推移になった。最高経営責任者(CEO)の交代と、医療費支払いが想定以上に増えているとして2025年12月期通期の利益見通しを撤回したことが嫌気された。その他は米中両国が大幅な関税引き下げで合意したことを受けた買いが継続した。
S&P500業種別指数は、半導体・同製造装置、自動車・同部品、メディアが上昇した半面、ヘルスケア機器・サービス、医薬品・バイオテクノロジー、食品・生活必需品小売の弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、エヌビディア<NVDA>、キャタピラー<CAT>、ボーイング<BA>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、IBM<IBM>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>が買われた。一方で、ユナイテッドヘルス・グループのほか、メルク<MRK>、ジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ>、アムジェン<AMGN>が下落。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比170円高の3万8370円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは日中比10円安の3万8190円で始まった。直後につけた3万8020円を安値にショートカバーが強まり、米国市場の取引開始時にはプラス圏を回復。その後も上げ幅を広げ、3万8510円まで買われる場面もみられた。終盤にかけてはロング解消とみられる動きにより上げ幅を縮めており、3万8300円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、買い先行で始まりそうだ。NYダウは下落したものの、ユナイテッドヘルス・グループの影響が大きかった。エヌビディアなど半導体株の一角は買われているため、指数インパクトの大きい値がさハイテク株への資金流入が日経平均型を支える形になりそうだ。昨夕に決算を発表したソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]が、ADR(米預託証券)で4%超上昇していることも支援材料になろう。
昨日の日経225先物はボリンジャーバンドの+2σ(3万8570円)を突破して始まったが、現物の寄り付き後には同バンドを下回っての推移となり、ロング解消に向かわせた。もっとも、一気に3月26日の戻り高値を上抜いたことで、利食いは入りやすいところだったと考えられる。
国内でも決算発表がピークを迎えているため、膠着感が強まりやすいだろう。ただし、上向きで推移する+2σに沿ったトレンドを形成するなか、同バンドは3万8930円まで上昇してきている。ナイトセッションで3万8000円処での底堅さがみられており、押し目狙いのロングで対応したいところだ。
そのため、オプション権利行使価格の3万8000円から3万8500円のレンジを想定。レンジ上限を上回ってくる局面では3万8500円から3万9000円のレンジに切り上がりそうである。
13日の米VIX指数は18.22(12日は18.39)に低下した。200日線(19.72)を下回っての推移を継続しており、3月26日につけた16.97を射程に入れるなかでリスク選好に傾きそうだ。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.77倍に上昇。一時13.81倍まで切り上がり、+2σ(13.76倍)を上回って、75日線(13.81倍)を捉えてきた。同線を突破してくると、上向きで推移する+2σと+3σ(13.83倍)に沿ったトレンドが意識されて、NTロングに振れやすいとみておきたい。
東京市場は堅調か。米国株はまちまち。ダウ平均が下落した一方、S&P500とナスダックは上昇した。ダウ平均は269ドル安の42140ドルで取引を終えた。4月の消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回り、早期の利下げ期待が台頭。グロース株を中心に買いが入った。ダウ平均に関しては、構成銘柄のユナイテッドヘルスが通期見通しの取り下げを受けて急落した影響を大きく受けた。ドル円は足元147円40銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて170円高の38370円、ドル建てが210円高の38410円で取引を終えた。
ダウ平均は個社要因が大きく、米国株は全体としては概ね堅調であった。日本株はナスダックやS&P500の上昇を好感した買いが入ると予想する。サウジアラビアがAIチップを大量に購入するとのニュースが伝わったことでエヌビディアが大幅高となっており、マイクロンやAMDなど多くの半導体株に買いが入った。ナスダックが1.6%高と相対的に強く、ハイテク向きの地合いが想定される。外需大型株がしっかりとした動きを見せることで、場中はプラス圏で落ち着いた動きが続くだろう。日経平均の予想レンジは38200円-38600円。
日経225先物は11時30分時点、前日比240円安の3万7960円(-0.62%)前後で推移。寄り付きは3万8300円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万8370円)にサヤ寄せする形から、買い先行で始まった。直後に3万8400円まで買われた後は持ち高調整とみられる動きから軟化し、中盤にかけて3万7890円まで売られる場面もみられた。
ソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]が決算評価から買われたほか、アドバンテスト<6857.T>[東証P]が強い動きで日経平均株価を支えたものの、東証プライムの8割超の銘柄が下げるなかで、ショートが入りやすいようである。3月26日の戻り高値3万7970円を下回ってきたことも、ショートを誘う形だろう。ただし、過熱を冷ます調整であり、前日の上昇で空けた窓埋めとなる3万7840円辺りまで下げてくるようだと、その後のリバウンド狙いのロングが入りそうである。
NT倍率は先物中心限月で13.83倍に上昇。75日移動平均線(13.80倍)を上回ってきた。上向きで推移するボリンジャーバンドの+2σ(13.79倍)と+3σ(13.87倍)に沿ったトレンドが意識されやすいと考えられ、NTロングでのスプレッド狙いに向かわせよう。
昨日の海外市場では、全般にポジション調整が中心。欧州時間はアジア時間安値からの買い戻しが先行したものの、4月米CPI直前に148.27円までの戻りに止まると、予想を下回る弱い数字に反応して下落。米10年債利回りは指標直後に4.4197%まで低下した後、一転して4.5026%まで上昇に転じる場面もみられましたが、ドル円は3円急騰後の調整売りが強まることに。引けにかけては147.38円まで値を下げてNY市場を終えています。
アジア時間に入ってからは、昨日安値の147.38円を下抜けて一時147.31円まで下落。その後は147.67円まで買い戻されたものの、仲値にかけては輸出の売りが散見されたほか、日経平均が軟調な展開となるなか147.01円まで再び下値を試す動きとなりました。その後は147円台前半でのもみ合いが続いています。
いずれにしても、市場では「大きなイベントが終わり、目先は全く材料がない」との声も聞かれるなか、「東京ではほとんどやる事がない」状況。仲値を処理した後の凪相場が続いています。ただ、今月に入ってからの市場のメインシナリオの変更は明らかなわけで、方向性としてはしっかりとした展開が続いていきそうです。目先は50日MAの146.24円と一目雲下限の147.61円を両サイドで意識しながらの材料待ちとなっています。
「関税戦争や貿易戦争に勝者はいない」(習・中国国家主席)
第1次トランプ米政権では、2018年に貿易交渉後に対立を一時停止することで合意したものの、米国が合意から離脱し、1年半余りにわたって関税賦課と協議が続き、最終的に2020年1月の第1段階米中貿易合意の署名に至った。
しかし、2020年に世界を席巻したコロナ禍が雲散霧消させた。
第2次トランプ米政権でも、2025年5月10-11日に90日間の米中貿易協定(Trade Deal)で合意したが、3カ月後に、対中貿易赤字を削減できる最終的な合意に至れるのかは、依然として不明ではある。
1.第1次米中貿易戦争(トランプ第1次政権)
【米対象金額・関税率】 【中国対象金額・関税率】
・対中関税第1弾(2018年7月6日)340億ドル(25%) 340億ドル(25%)
・対中関税第2弾(2018年8月23日)160億ドル(25%) 160億ドル(25%)
・対中関税第3弾(2018年9月24日)2000億ドル(10%~25%) 600億ドル(25%)
・対中関税第4弾(2019年9月1日)1200億ドル(15%) 750億ドル(10%~30%)
2. 第2次米中貿易戦争(トランプ第2次政権)
・2025年2月4日:対中追加関税10%
中国:報復関税(石炭と液化天然ガス:15%、原油:10%)
・3月4日:対中追加関税10%上乗せ=20%
中国:報復関税(大豆・牛肉・豚肉:10%、小麦・トウモロコシ:15%)
・4月3日:対中相互関税34%上乗せ=54%
中国:報復関税34%
・4月9日:対中相互関税50%上乗せ=104%
中国:報復関税50%上乗せ=84%
・4月10日:対中相互関税=145%(他国分は90日間停止)
中国:報復関税=125%(※これ以上の関税引き上げは意味がないとして行わない)
・4月10日:電子機器20品目を適用除外して「半導体関税」へ
・4月15日:特定品目に245%の課税
・5月10-11日:米中貿易協定(Trade Deal)・・関税率115%引き下げ
米国:145%⇒30%
中国:125%⇒10%
※自動車、鉄鋼、アルミニウムなどの分野別関税は含まれていない
本日のロンドン為替市場では、経済指標は4月独消費者物価指数(CPI)の改定値が発表される程度。独インフレを確認した後は、週前半に相場を動かした材料「米中貿易協議」に関する続報には注意しながら、複数の金融当局者の講演内容を見定めて取引することになるだろう。
4月独CPI改定値は速報値と同じ前年比2.1%上昇というのが大方の見込み。予想通りであれば、6カ月ぶりの低い水準が確定する。欧州では依然としてトランプ関税による不確実性が懸念されており、インフレよりも景気減速を懸念する声は根強い。
独CPI発表の約2時間後にはナーゲル独連銀総裁が講演予定。欧州中央銀行(ECB)の追加利下げ観測が燻るなか、足もとのインフレを含めた同総裁の見解が注目される。タカ派として知られるナーゲル氏が利下げ休止に言及してもサプライズではなく、逆に緩和スタンスを容認するようであればユーロにとって重しとなりそうだ。なお、独連銀総裁と同じ頃にエスクリバ・スペイン中銀総裁の講演も予定されている。
日本時間16時過ぎには、前回のイングランド銀行(英中銀、BOE)会合で決定された「0.25%利下げ」を支持したブリーデンBOE副総裁が講演する。なお12日には、ロンバルデリ副総裁が「金融政策スタンスは均衡がとれている」と述べながらも、「目標インフレ率の達成には現状の賃金上昇率は高過ぎる」との懸念を示した。
昨日発表された英雇用データでは、1-3月週平均賃金は5%台で高止まりしていた。先週の金融政策委員会(MPC)で据え置き主張のピル委員(中銀のチーフ・アナリスト)も、賃金上昇率を警戒している。一方、英失業率(ILO方式)は改善には至らず、そのため短期金融市場は年末まで2回の利下げを織り込んだ状態だ。ブリーデン副総裁が、市場の思惑についてどのような見解を示すかにも注目したい。
想定レンジ上限
・ユーロドル、12日高値で日足一目均衡表・基準線も位置する1.1244ドル
・ポンドドル、6日高値1.3402ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、ピボット・サポート1の1.1115ドル
・ポンドドル、ピボット・サポート1の1.3212ドル
ドル円:1ドル=147.07円(前営業日NY終値比▲0.41円)
ユーロ円:1ユーロ=164.50円(▲0.46円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1186ドル(△0.0001ドル)
日経平均株価:38128.13円(前営業日比▲55.13円)
東証株価指数(TOPIX):2763.29(▲8.85)
債券先物6月物:139.46円(△0.07円)
新発10年物国債利回り:1.450%(△0.005%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月企業物価指数
前月比 0.2% 0.4%
前年同月比 4.0% 4.3%・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は上値が重い。本邦勢が参入すると147.67円まで上昇したものの、東京仲値にかけては本邦輸出企業の売りが観測され失速。日経平均株価の下落も売りを後押しする形で一時146.84円まで下げ、その後の戻りも鈍かった。
・ユーロ円も頭が重い。朝方に165.16円まで上昇した後はドル円と同様に一転して売られる展開に。一時164.31円まで下値を広げた。
・ユーロドルは小幅高。昨日高値の1.1195ドルを上抜けて1.1200ドルまで値を上げているが、値幅は21pipsと狭い。
・日経平均株価は5営業日ぶりに反落。前日の米ハイテク株高を受けて小高く始まったが、足もとの続伸に対する持ち高調整の売りが優勢に。外国為替市場の円高でトヨタなど自動車株の売りが目立った。
・債券先物相場は6営業日ぶりに反発。米中の貿易摩擦懸念が後退し、リスク回避ムードが和らいでいることが債券相場の重しとなる一方、日経平均の軟調推移が債券相場を下支えするなど、前日終値付近で方向感が定まらなかった。
SMBC日興証券では物価に関するリポートの中で、過去には輸入物価と企業物価は連動して推移する傾向があったが、ここ数年はその関係性に変化が見られると指摘している。輸入物価は2022年半ばをピークに頭打ちとなっている一方、その間に企業物価は4%程度上昇し、CPI財(除く生鮮食品)は8%程度上昇しているとのこと。企業は輸入コストが落ち着いているにも関わらず価格転嫁を進めており、過剰な値上げは家計を直撃していると言えるとSMBC日興では指摘している。
中国国務院関税税則委員会は13日、米国産輸入品に対する追加関税の引き下げを正式発表した。現地時間5月14日午後0時1分から適用する。
今回の措置は、中国と米国の経済・貿易高官協議での重要な共通認識を実行に移すもので、関税法や税関法、対外貿易法などの国内法および国際法の基本原則に基づき、国務院の承認を得て実施される。
第4号公告で定められた追加関税率は、従来の34%から10%に引き下げられる。また、今後90日間にわたり、対米追加関税率24%の適用が一時停止される。あわせて、第5号および第6号公告で定めた追加関税措置も停止される。
関税税則委員会は今回の措置について、中米両国の生産者と消費者の期待に応えるもので、両国の経済・貿易関係の促進や世界経済にも資するとしている。
第一生命経済研究所では、米国と中国が高関税の引き下げで合意した直後に、トランプ大統領がEUへの攻撃を強めていることを指摘している。EUは米国との交渉妥結を目指すが、米国が関税引下げに応じない場合には、報復措置も辞さない姿勢を示唆している。EUは米国にとって中国に次ぐ貿易赤字の相手先で、EUの米国向け輸出品目の上位には、トランプ大統領が問題視する医薬品や自動車などが並ぶ。第一生命では、EUが先に合意した英国同様の軽減措置を勝ち取ることは容易でないと考えている。
大阪6月限
日経225先物 38140 -60 (-0.15%)
TOPIX先物 2761.5 -12.0 (-0.43%)
日経225先物(6月限)は前日比60円安の3万8140円で取引を終了。寄り付きは3万8300円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万8370円)にサヤ寄せする形から、買いが先行した。直後に3万8400円まで買われた後は、持ち高調整により軟化。前場中盤にかけて3万8000円を割り込み、ランチタイムで3万7860円まで下げ幅を広げる場面もあった。ただし、52週移動平均線(3万7880円)水準での底堅さがみられ、終盤にかけてショートカバーが優勢となり、3万8000円を上回って終えている。
ソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]が決算評価により買われたほか、アドバンテスト<6857.T>[東証P]が強い動きで日経平均株価を支えたが、東証プライムの6割超の銘柄が下げるなかで、ショートが入りやすかったとみられる。3月26日の戻り高値3万7970円を下回ったことでショートを仕掛けやすくさせたほか、為替市場では円相場が1ドル=146円台前半と円高に振れて推移していたことも影響したのだろう。
ただし、過熱を冷ます形での調整であり、前日の上昇で空けた窓埋めとなる3万7840円辺りまで下げてきたことで、リバウンド狙いのロングが入りやすくなった。200日線(3万7560円)辺りを試してくる可能性はありそうだが、目先的には3万8000円処での底堅さを見極めつつ、押し目狙いのロング対応に向かわせそうだ。
ボリンジャーバンドの+1σ(3万7210円)と+2σ(3万8910円)によるレンジ内で推移しているが、3万8000円辺りで膠着が続くようだと、バンドが次第に収斂してくる可能性がある。200日線近辺まで下げてくるようだと、パラボリックはSAR値にタッチすることで、陰転シグナルを発生させてくるだろう。一目均衡表では転換線を支持線としたトレンドのなかで「雲」を上抜いており、+1σ水準に位置する転換線を下抜けてくると、ショートが強まりやすいとみておきたい。
もっとも、+1σ水準までの調整があれば、値幅調整は一巡との見方も浮上しそうだ。決算発表は明日でピークを通過するため、来週からは機関投資家も動きやすくなるとみられ、ショートに傾けてのオーバーウィークは避けたいところだろう。
NT倍率は先物中心限月で13.81倍に上昇。75日線(13.80倍)を突破し、一時13.86倍まで切り上がってきた。上向きで推移する+2σ(13.79倍)と+3σ(13.87倍)に沿ったトレンドが意識されている。4月7日の戻り高値13.91倍も射程に入ってきたことで、NTロングでのスプレッド狙いに向かわせよう。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万4804枚、ソシエテジェネラル証券が1万0112枚、サスケハナ・ホンコンが3643枚、バークレイズ証券が2196枚、SBI証券が2102枚、JPモルガン証券が1318枚、日産証券が1307枚、モルガンMUFG証券が1084枚、野村証券が1037枚、松井証券が794枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が1万9986枚、ソシエテジェネラル証券が1万7487枚、モルガンMUFG証券が6563枚、JPモルガン証券が4490枚、バークレイズ証券が4305枚、ゴールドマン証券が3777枚、SMBC日興證券が2207枚、サスケハナ・ホンコン証券が1949枚、ビーオブエー証券が1738枚、シティグループ証券が1594枚だった。
欧州勢参入後にドル売りが見られ、ドル円は146円割れまで下げ足を強めた。米韓通商交渉で為替について協議したことが明らかになり、日米協議でも円安是正が議題に上ることへの警戒感が高まっていることもドル円の重し。
来週に日米財務相会談を控えているが、これまでの日米協議では為替についての話は出なかった。ただ、自動車関税などで日米の交渉は難航が見込まれる。トランプ米大統領は中国との合意を自画自賛しているが、世間では「中国に完敗」との見方が強く心は穏やかではないだろう。トランプ米大統領が貿易赤字国に対しての関税政策の成果をアピールするために「話がしやすい」日本に強気で当たる可能性がある。関税の協議がうまくいかないと、為替を議題に上げる可能性は十分あり得る。
このほかにドル円の上値圧迫要因となるのは、米中貿易摩擦の激化懸念が後退したことで日銀の利上げ期待が再燃していることや、根強い米景気減速懸念とトランプ米大統領のしつこい利下げ要求などが取り上げられる。一方で、トランプ米政権の関税政策への過度な警戒感が緩んでいることや、連邦準備制度理事会(FRB)が追加利下げに慎重姿勢を示していることが下支えとなる。
結局は「関税次第」の相場に変化はない。今後の日米金融政策、米中関係の一段の改善などは引き続きトランプ米政権の関税方針に関わっているが、その関税の先行きに対する不確実性は依然として払しょくされていない。関税関連のヘッドラインに一喜一憂する相場は続きそうだ。
本日のNY市場では注目の指標発表はなく、ジェファーソンFRB理事の講演が予定されている。同理事を含めた、要人らの発言に注目も突発的な材料がなければ、ドル円は上値が重いも145円台で下げが一服し、146円台に持ち直しての動きを見込む。
・想定レンジ上限
ドル円、5日移動平均線146.62円近辺や、節目の147.00円が上値めど。
・想定レンジ下限
ドル円、日足一目均衡表・転換線145.51円近辺や節目の145.00円が下値めど。
中国商務部は14日、戦略鉱物資源の輸出管理強化に関し、記者会見の形式をとった談話をウェブサイト上で公表した。
―― 記者 国家輸出管理業務協調機制弁公室が、戦略鉱物資源の輸出管理強化に向けた取り組みを展開していると報じられている。管理強化の狙いは何か、また今後重点的に進める取り組みについて聞きたい。
報道官 戦略鉱物資源の輸出管理は国家の安全と発展利益に関わるものであり、違法な国外流出を防ぐには、生産供給チェーンのあらゆる段階での管理強化が必要だ。国家輸出管理業務協調機制弁公室は5月12日、湖南省長沙市で会議を開き、商務部、工業情報化部など10部門および内モンゴル自治区や江西省など7つの地方主管部門に対し、包括的な業務配置を行った。
戦略鉱物資源の管理は、採掘、精錬、加工、輸送、製造、販売、輸出といった全工程にわたり強化する必要があり、これにより違法な国外流出を効果的に防止できる。各部門は役割分担の下で協力し、日常的な監督管理を徹底し、リスクや潜在的危険を早期に発見する必要がある。無謀な行為やあからさまな違反については、発見次第厳正に取り締まる。各地方は、地域ごとの監督責任を果たし、関連する事業者の実態把握と流通状況の精査を進め、企業のコンプライアンス意識と能力向上を図るよう指導し、戦略鉱物資源管理措置が確実に実施されるようにする。
各部門は、戦略鉱物資源に対する全工程管理が極めて重要との認識を共有しており、それぞれの職責に基づき監督と法執行の責任を果たし、情報追跡と常態化管理の仕組みを整備していく。各段階での管理に抜けや漏れが生じないよう徹底し、違法行為に対しては厳正に処罰し、監督と法執行の威嚇力を強化し続ける。関係する地方主管部門は、地域内の戦略鉱物資源関連企業の登録・台帳作成を加速させるほか、管理政策の周知、輸出リスクの注意喚起、監督検査などの取り組みを継続的に展開し、管理措置の確実な履行を通じて、国家の安全と発展利益の確保に努めていくつもりだ。
今晩は引き続き堅調か。昨日はユナイテッドヘルスが急落したことでダウ平均が269.67ドル安(-0.64%)と反落したものの、サウジアラビア企業がエヌビディアの最先端AIチップを大量に購入するとのニュースを受けてエヌビディアが5.63%高となりハイテク株の上昇をけん引。S&P500が0.72%高と2日続伸し、ハイテク株主体のナスダック総合は1.61%高と大幅に5営業日続伸した。S&P500は年初来で0.08%高とプラス圏を回復した。先週末に米中が関税の90日間停止などで合意したことでセンチメントは改善。投資家の不安心理を示すVIX指数は18.22ポイントと3月25日以来の水準に低下した。
今晩の取引では貿易問題での米中の緊張緩和やセンチメントの改善を背景に引き続き堅調な展開が期待できそうだ。ただ、ナスダック総合が5営業日続伸し、週初来でも6.03%高となったほか、アップルが4日続伸、アマゾン・ドット・コムとゴールドマン・サックスが5日続伸、ウォルト・ディズニーは6日続伸となっており、上値では利益確定売り圧力も高まりそうだ。
今晩の米経済指標・イベントはMBA住宅ローン申請指数、EIA週間原油在庫など。企業決算は引け後にコパート、シスコ・システムズなど発表予定。
日経平均株価は反落。38500円付近を上値で意識し、前日同様に伸び悩む展開が続いた。一方、下値は200日移動平均線(37884円 5/14)をサポートに底堅く推移し、13日の上昇で形成したマドを完全に埋め戻すことはなかった。
RSI(9日)は前日の98.0%→95.7%(5/14)に低下。あすも上昇のハードルは高くなるが、短期的な相場の見方に変化はない。4/7安値(30792円)を起点とした目先波動は上昇継続の判断となる。
前日は終値ベースで3/26につけた急落前の戻り高値(38027円)を更新。パターン分析では4月前半の安値を先端に「スパイクボトム(V字)」を確認した。
きょうは5日ぶりの下落となったものの200日移動平均線上を保った。短期的な下押し場面も想定されるが、意外高の想定も必要になってくる。
上値メドは、心理的節目の38500円や39000円、2/13高値(39581円)、心理的節目の4万円、1/24高値(40279円)などがある。下値メドは、200日移動平均線、5日移動平均線(37407円 同)、10日移動平均線(37033円 同)、心理的節目の36500円や36000円、25日移動平均線(35191円 同)などがある。
(14日終値:15日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=146.57円(14日15時時点比▲0.50円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=164.00円(▲0.50円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1189ドル(△0.0003ドル)
FTSE100種総合株価指数:8585.01(前営業日比▲17.91)
ドイツ株式指数(DAX):23527.01(前営業日比▲111.55)
10年物英国債利回り:4.713%(△0.043%)
10年物独国債利回り:2.699%(△0.019%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月独消費者物価指数(CPI)改定値
(前月比) 0.4% 0.4%
(前年同月比) 2.1% 2.1%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は下値が堅かった。韓国政府当局者はこの日、「同国の企画財政省次官が米財務省のロバート・カプロス次官補と5日に会談し、ウォン相場について協議した」と明らかにした。米韓高官が為替について協議したと伝わったことを受けて、関税政策に関連して米国が日本の通貨安に是正を求める可能性が意識されると円買い・ドル売りが優勢となった。18時30分過ぎに一時145.61円と日通し安値を更新した。
ただ、一目均衡表転換線が位置する145.51円がサポートとして意識されると買い戻しが優勢に。米長期金利の上昇に伴う円売り・ドル買いも相場を下支えした。「米政府は貿易交渉の一部としてドル安を模索してはいない」との一部報道が伝わるとドルを買い戻すが動きが広がり、1時30分過ぎには147.11円付近まで持ち直した。
・ユーロドルは頭が重かった。欧州勢がドル売りで参入したほか、ドル円の下落をきっかけに対ユーロでもドル安が進行。19時前に一時1.1266ドルと日通し高値を更新した。
ただ、米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが出ると徐々に上値が重くなった。「米当局者は世界各国と貿易交渉を行っているが、その一部に通貨政策の約束を盛り込もうとはしていない」との一部報道を手掛かりにドル買い戻しが加速すると、一時1.1176ドルと日通し安値を更新した。
・ユーロ円はさえない。「米韓政府高官は今月5日に為替について協議した」との報道が伝わると、日米交渉での円安是正議論への思惑につながり、全般円買いが優勢となった。23時過ぎに一時163.74円と本日安値を付けた。また、ポンド円は194.25円、豪ドル円は94.19円、NZドル円は86.53円、カナダドル円は104.49円まで値を下げた。
ただ、「米政府は貿易交渉の一部としてドル安を模索せず」との報道が伝わると、ドル円の持ち直しとともにユーロ円も164.43円付近まで下げ渋った。
・ロンドン株式相場は続落。足もとで相場上昇が続いたあとだけに利益確定目的の売りが出やすかった。アストラゼネカやヘイリオンなど医薬品株が売られたほか、コンパス・グループやパーシモンなど一般消費財サービスが値下がりした。
・フランクフルト株式相場は5日ぶりに反落。米中の貿易協議が進展するとの期待から買いが継続し、前日には史上最高値を更新した。ただ、本日は利食い売りなどが優勢となったため、反落した。個別ではバイエル(10.39%安)やキアゲン(2.62%安)、ザランド(2.11%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は下落。米債安につれた。
14日の日経平均は5日ぶり反落。終値は55円安の38128円。まちまちの米国株を受けて小高く始まり、一時上げ幅を3桁に広げたものの、早々に失速してマイナス転換。半導体株を中心に大型グロース株は強かった一方、それ以外の多くの銘柄は弱く、しばらく下値模索が続いた。300円超下げて37800円台に入ったところで売りは一巡。後場に入って13時を過ぎた辺りからは下げ幅を縮めた。終盤には前日終値近辺まで値を戻す場面もあり、38000円を上回って取引を終了。TOPIXは14日ぶりに反落した。
東証プライムの売買代金は概算で5兆4400億円。業種別では銀行、証券・商品先物、鉱業などが上昇した一方、輸送用機器、医薬品、精密機器などが下落した。決算と併せて株主還元方針の変更や中期経営計画を発表したグンゼ<3002.T>が後場に買いを集めてストップ高。半面、今期の大幅減収減益計画を提示した西武ホールディングス<9024.T>が、後場に入って急落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり570/値下がり1033。米半導体株の大幅高を手がかりに、ディスコ、アドバンテスト、レーザーテックなどが人気化。決算を材料に前日は大きく売られたフジクラに見直し買いが入った。前期は大幅最終黒字となったソフトバンクGが3.9%高。決算と併せて自己株取得・消却を発表した丸井Gや三越伊勢丹が買いを集めた。12時に決算を発表したソニーGは、前引け時点では3%を超える下落であったが、後場は一転して買いが入り、3%を超える上昇で取引を終えた。
一方、トヨタなど自動車株が軒並み安。ドル円が円高に振れたことが嫌気された上に、SUBARUやホンダなどは自身の決算も売り材料となった。川崎重工や三菱重工など防衛関連の一角が軟調。カバー、メイコー、メニコンなどが決算を受けて急落した。MSCIの構成銘柄から除外されたエプソンや安川電機が下落。サンリオは採用が決まったものの、自身の決算が市場の期待に届かず下落した。
日経平均は5日ぶりに反落。ただ、後場には値を戻しており、引け味は悪くなかった。一時300円超下げたものの、安値(37851円)でも5日線(37677円、14日時点)は割り込んでいない。全市場の売買代金トップとなったディスコ<6146.T>は、全体が下を試した際にも崩れるどころか上げ幅を広げており、11.1%高と急騰した。米国では4月に15000pを割り込んだナスダックが、きのう13日には19000p台を回復しており、グロース株に流れがきている。きょうは半導体株が買われても全体への好影響は限られたが、強い動きが継続するようなら日経平均は上昇しやすくなるだろう。
(14日終値)
ドル・円相場:1ドル=146.75円(前営業日比▲0.73円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.99円(▲0.97円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1175ドル(▲0.0010ドル)
ダウ工業株30種平均:42051.06ドル(▲89.37ドル)
ナスダック総合株価指数:19146.81(△136.73)
10年物米国債利回り:4.54%(△0.07%)
WTI原油先物6月限:1バレル=63.15ドル(▲0.52ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3188.3ドル(▲59.5ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
MBA住宅ローン申請指数
(前週比) 1.1% 11.0%
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は続落。米韓高官が為替について協議したとの報道を受けて、日米貿易交渉での円安是正議論への思惑が高まる中、欧州市場では一時145.61円まで下落した。
ただ、NY市場では下値の堅さが目立った。一目均衡表転換線が位置する145.51円がサポートとして意識されたほか、米長期金利の上昇に伴う円売り・ドル買いが出て相場を下支えした。「米政府は貿易交渉の一部としてドル安を模索してはいない」との一部報道が伝わるとドルを買い戻すが動きが広がり、1時30分過ぎには147.11円付近まで値を戻した。
なお、米長期金利の指標となる米10年債利回りは4.5443%前後と4月11日以来約1カ月ぶりの高水準を付けた。
・ユーロドルは小反落。欧州市場では一時1.1266ドルと日通し高値を付けたものの、NY市場では米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが出たため軟調に推移した。「米当局者は世界各国と貿易交渉を行っているが、その一部に通貨政策の約束を盛り込もうとはしていない」との一部報道を手掛かりにドル買いが活発化すると、5時過ぎに一時1.1165ドルと日通し安値を更新した。
なお、ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)副議長は「最近のインフレ指標は2%目標に向けて継続的に進展している」との認識を示した一方、「米関税措置が物価を押し上げる可能性があり、見通しは不透明」との見方を示した。
・ユーロ円は3日ぶりに反落。「米韓政府高官は今月5日に為替について協議した」との報道が伝わると、日米交渉での円安是正議論への思惑につながり、全般円買いが優勢となった。23時過ぎに一時163.74円と本日安値を付けた。
ただ、「米国は各国との関税交渉でドル安を模索していない」との報道が伝わると、ドル円の持ち直しとともにユーロ円も164.43円付近まで下げ渋った。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は続落。投資判断が引き下げられたメルクを始め、アムジェンやスリーエム、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどが売られ、相場の重しとなった。半面、半導体やハイテク株の一角が買われ、相場を下支えした。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は6日続伸した。
・米国債券相場で長期ゾーンは反落。新規材料に乏しい中、米政権の関税措置によるインフレ再燃への懸念が債券売りにつながった。ジェファーソンFRB副議長は「関税引き上げは今年のインフレ率上昇につながる可能性」などと発言した。なお、利回りは一時4.5443%前後と4月11日以来約1カ月ぶりの高水準を付けた。
・原油先物相場は5日ぶりに小幅な反落。米エネルギー省(EIA)週間石油在庫(5/9時点)で原油在庫が+345.4万バレル(前週 -203.2万バレル)と積み増しに転じた。発表直後の反応は鈍かったが原油相場は重く推移。ただ、原油受け渡し地点オクラホマ州クッシングの在庫は-106.9万バレル (前週 -74.0万バレル)と取り崩しが続き、ガソリン在庫は-102.2万バレル(前週 +18.8万バレル)と取り崩しへ転じるなど内容は様々。原油相場に強い方向感は出なかった。
・金先物相場は大幅に反落。米中貿易戦争回避の見方へ傾くなか、市場のリスクセンチメント改善を受けて安全資産である金への買いが強まりにくかった。金利上昇もあって、金利がつかない資産である金の相対的な投資妙味低下が重しに。ドル高で、ドル建て金相場に割高感が生じたいことも売り材料となり4月10日以来、1カ月ぶり以上となる安値をつけた。
一部通信社が報じたところによると、「世界各国で貿易協定の交渉を進めている米国当局者は、協定に通貨政策の公約を盛り込む作業を行っていない」ようだ。
14日10:18 トランプ米大統領
「我々は中国の門戸開放に努めている」
「対中関係は非常に良好」
14日17:18
「私はイランと合意したい」
「イランがテロ支援をやめ、核兵器を保有しないことが条件」
「私は平和で繁栄した中東を望んでいる」
「シリア新政権との関係正常化を模索中」
「対シリア制裁を解除するつもり」
15日04:07
「ベッセント米財務長官とラトニック米商務長官は素晴らしい」
「ベッセント氏がテレビに出るとすべてが上がる」
「ベッセント氏は市場を理解している」
「(カタール首長に対して)我々を頼りにしてほしい」
「イラン情勢について協力してほしい」
「カタールの支援に報いる」
14日15:59 マン英MPC(金融政策委員会)委員
「英国の労働市場が予想以上に底堅く推移している」
「家計のインフレ期待が上昇していることに強い懸念」
14日17:14 独経済省
「今年後半もインフレ率が2%前後で推移する見通し」
「年内に再び経済が弱含む可能性は否定できない」
「輸出主導型の製造業分野では、企業の業況見通しが依然として厳しい状況が続いている」
14日17:22 シムシェキ・トルコ財務相
「米国との関係が改善しており大きな成長余地がある」
「経済構造改革プログラムは順調に進んでいる」
「インフレは想定通りの軌道にある」
14日17:26 ナーゲル独連銀総裁
「2%のインフレ目標に到達する十分な確率がある」
「依然として不確実性が高いことから、過度な楽観視には注意が必要」
14日18:04
「今後数年でユーロは準備通貨としての役割を強めるだろう」
「米ドルが依然として世界金融システムにとって非常に重要」
「米国との為替協議が行われたことを確認」
14日22:12 ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)副議長
「関税引き上げは今年のインフレ率上昇につながる可能性」
「2025年の成長率予測は引き下げたものの、依然として景気拡大を予測」
「政府の政策効果はしばらく不透明になる可能性が高い」
「インフレ率が今年上昇するかどうかは不透明」
「FRBの責務の両面におけるリスクの増大を認識」
「FRBの政策はタイムリーに対応できる態勢」
14日23:13 米ホワイトハウス
「カタールはボーイング160機の購入に同意」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース、2週分)
<海外>
○06:40 ◎ デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○10:30 ◎ 4月豪雇用統計(予想:失業率4.1%/新規雇用者数2.25万人)
○15:00 ◇ 4月独卸売物価指数(WPI)
○15:00 ☆ 3月英国内総生産(GDP、予想:前月比横ばい)
○15:00 ☆ 1-3月期英GDP速報値(予想:前期比0.6%/前年比1.2%)
○15:00 ◎ 3月英鉱工業生産(予想:前月比▲0.5%/前年比▲0.8%)
○15:00 ◎ 3月英製造業生産高(予想:前月比▲0.7%)
○15:00 ◇ 3月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:190.00億ポンドの赤字/19.50億ポンドの赤字)
○15:00 ◎ 1-3月期ノルウェーGDP
○15:30 ◇ 4月スイス生産者輸入価格
○15:45 ◇ 4月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.5%/前年比0.8%)
○16:00 ◎ チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○18:00 ☆ 1-3月期ユーロ圏GDP改定値(予想:前期比0.4%/前年比1.2%)
○18:00 ◎ 3月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比2.0%/前年比2.5%)
○19:15 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○21:00 ◎ 3月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比▲0.7%)
○21:15 ◇ 4月カナダ住宅着工件数(予想:22.62万件)
○21:30 ◇ 3月カナダ製造業出荷(予想:前月比▲1.9%)
○21:30 ◇ 3月カナダ卸売売上高(予想:前月比▲0.3%)
○21:30 ◎ 4月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比2.5%)
◎ 食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.3%/前年比3.1%)
○21:30 ☆ 4月米小売売上高(予想:前月比横ばい/自動車を除く前月比0.3%)
○21:30 ◎ 5月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:▲8.0)
○21:30 ◎ 5月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:▲11.2)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.8万件/189.0万人)
○21:40 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、講演
○22:15 ◎ 4月米鉱工業生産(予想:前月比0.1%)
◇ 設備稼働率(予想:77.8%)
○23:00 ◎ ディングラ英中銀MPC委員、講演
○23:00 ◇ 3月米企業在庫(予想:前月比0.2%)
○23:00 ◎ 5月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:40)
○16日03:05 ◎ バーFRB理事、あいさつ
○16日04:00 ◎ メキシコ中銀、政策金利発表(予想:8.50%に引き下げ)
〇NATO非公式外相会合(トルコ、最終日)
〇ウクライナとロシアが直接協議(トルコ)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
14日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、欧州市場でつけた145.61円を下値に一時147.11円付近まで買い戻された。「米政府は貿易交渉の一部としてドル安を模索してはいない」との報道を受けてドル買い戻しが強まった。ユーロドルは、欧州市場の高値1.1266ドルから1.1165ドルまで下落した。ユーロ円は欧州市場の安値163.74円から164.43円付近まで下げ渋った。
本日の東京外国為替市場のドル円は、来週の日米財務相会談での為替協議への警戒感から上値が重い展開が予想される。
昨日は、「米韓政府高官は今月5日に為替について協議した」との報道を受けて韓国ウォンが対ドルで急騰し、ドル円は145.61円まで下落した。5月5日には「米国と台湾が為替協議をした」との噂から台湾ドルが対ドルで急騰し、ドル円も143.54円まで下落した。
加藤財務相は、来週20-22日にカナダで開催されるG-7財務相・中央銀行総裁会議で、日米財務相会談をセッティングして、ベッセント米財務長官と為替協議を行う、と述べている。
先月開催された日米財務相会談では、為替に関する協議はなかった、とのことだが、新聞報道では、ベッセント財務長官が「ドル安・円高が望ましい」と述べ、トランプ米大統領の意向に沿って為替水準への強い懸念を表明した模様、と報じられた。加藤財務相と三村財務官は新聞報道を否定したものの、ベッセント米財務長官は「加藤財務相との会談は建設的であり、為替協議も継続していきたい」と述べていた。
関係者によると、トランプ政権の経済チームで為替問題への対応を担っているのはベッセント財務長官ただ1人で、貿易相手国・地域との通貨政策の協議を他の政権高官に委ねることはしていない。為替問題はベッセント氏が出席する場でのみ交渉される、とのことである。来週の日米財務相会談では、加藤財務相がベッセント米財務長官と為替協議を示唆していることで、今後の関連ヘッドラインに警戒しておきたい。
10時30分に発表される4月豪雇用統計では、失業率は予想4.1%で3月から変わらず、新規雇用者数は+2.25万人で3月+3.22万人から減少が見込み。なお、昨日発表された1-3月期豪賃金指数は前期比0.9%の上昇だった。
先週までは、5月19-20日の豪準備銀行(RBA)理事会での0.25%の利下げが織り込まれ、年内には5-6回の利下げが見込まれていたが、先週末に米中貿易合意が締結されたことで、現時点では2-3回程度に留まっている。
RBA理事会議事要旨(3月31-4月1日開催分)では、「5月の会合はインフレや賃金、労働市場、経済活動の動向に関する追加データ、最新の経済予測、そして世界貿易政策の今後の展開に関する追加情報を得た上で、金融政策設定を見直す適切なタイミング」と言及されていた。
この「世界貿易政策の今後の展開に関する追加情報」である米中貿易合意を受けて、豪準備銀行は、本日の4月雇用統計などに集中できることになった。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 37640 -500 (-1.31%)
TOPIX先物 2727.5 -34.0 (-1.23%)
シカゴ日経平均先物 37720 -420
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
14日の米国市場は、NYダウが下落した一方で、 S&P500、ナスダックは上昇。米長期金利が約1カ月ぶりの高水準をつける場面があり、持ち高調整の売りが優勢だった。投資判断の引き下げが伝わったメルク<MRK>の下げが目立ったほか、アムジェン<AMGN>、スリーエム<MMM>、ジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ>、シャーウィン・ウィリアムズ<SHW>、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>などが売られ、相場の重荷になった。半面、サウジアラビアの政府系ファンドの傘下企業にAI(人工知能)向け画像処理半導体(GPU)を提供すると13日に発表したエヌビディア<NVDA>は、この日も上昇するなどハイテク株の一角への買いが相場を支えた。
S&P500業種別指数は、自動車・同部品、半導体・同製造装置、メディアが上昇。医薬品・バイオテクノロジー、耐久消費財・アパレル、保険の下げが目立った。NYダウ構成銘柄ではエヌビディアのほか、ウォルトディズニー<DIS>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、JPモルガン・チェース<JPM>、マクロソフト<MSFT>が買われた。なお、取引終了後に決算を発表したシスコシステムズ<CSCO>は、予想を上回る見通しが好感され、時間外取引で上昇している。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比420円安の3万7720円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは日中比30円高の3万8170円で始まった。直後につけた3万8200円を高値にショートが優勢となり、米国市場の取引開始時には節目の3万8000円を割り込んだ。その後も下げ幅を広げ、3万7600円まで売られる場面もみられた。終盤にかけては3万7640円~3万7740円辺りで保ち合い、3万7640円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、売り先行で始まりそうだ。ただし、200日移動平均線(3万7560円)水準まで下げてきたことで、過熱を冷ます調整としては一巡感が出てきそうだ。上向きで推移するボリンジャーバンドの+1σ(3万7170円)と+2σ(3万8840円)によるレンジ内で推移しており、押し目待ち狙いのロングが入りやすいだろう。
決算発表は本日で一巡する。明日以降は積極的な売買を手控えていた国内機関投資家も動きやすくなるため、足もとの調整局面ではロングに向かわせそうだ。そのため、200日線を挟んだオプション権利行使価格の3万7250円から3万8250円のレンジを想定する。
14日の米VIX指数は18.62(13日は18.22)に上昇した。ただし、判断の分かれ目となる20.00のほか、200日線(19.69)を下回っての推移を継続している。3月26日につけた16.97が射程に入るなかで、リスク選好に傾きそうだ。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.81倍に上昇。75日線(13.80倍)を突破し、一時13.86倍まで切り上がってきた。上向きで推移する+2σ(13.79倍)と+3σ(13.87倍)に沿ったトレンドが意識されている。75日線突破でいったんはNTロングを巻き戻す動きもあろうが、米国市場ではエヌビディアなどハイテク株が買われており、指数インパクトの大きい値がさハイテク株の底堅い値動きが日経平均型を支えよう。膠着感が強まる局面では、ヘッジを考慮したNTロングでのスプレッド狙いが入りやすいとみられる。
東京市場は軟調か。米国株はまちまち。ダウ平均が下落した一方、S&P500とナスダックは上昇した。ダウ平均は89ドル安の42051ドルで取引を終えた。前日に続いてエヌビディアやAMDなど半導体株には買いが入ったが、他の業態には売られるものも多く、ダウ平均やS&P500は上値が重かった。ドル円は足元146円60銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて420円安の37720円、ドル建てが375円安の37765円で取引を終えた。
きのうの日経平均は半導体株にかなり強い動きが見られたものの、下落で終えた。円高が嫌気されたと思われるが、ドル円はきのうの取引時間中と比べて一段と円高に振れており、日本株にはネガティブな影響が及ぶと予想する。CME225先物は大幅な下振れスタートを示唆しており、きょうは半導体株もきのうほど買われるような流れにはならないかもしれない。4月中旬以降の上昇に対する利益確定の売りに押され、下押し圧力の強い地合いが続くだろう。日経平均の予想レンジは37600円-37900円。
日経225先物は11時30分時点、前日比430円安の3万7710円(-1.12%)前後で推移。寄り付きは3万7680円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7720円)にサヤ寄せする形から、売り先行で始まった。現物の寄り付き直後には3万7880円まで下げ幅を縮める場面もあったが、為替市場ではドル円が1ドル=146円台前半と円高に振れて推移するなか、持ち高調整の動きが優勢だった。終盤にかけては3万7660円まで下げている。
日経225先物はナイトセッションで一時3万7600円まで売られる場面もみられたが、200日移動平均線(3万7560円)が支持線として意識されている。下値の堅さがみられるなか、200日線までの下げで調整一巡との見方に向かうようだと、短期的なリバウンドを狙ったロングが入りやすいだろう。
NT倍率は先物中心限月で13.78倍に低下。前日の上昇で75日線(13.80倍)を上抜けてきたことで、リバランスの動きとみられる。ボリンジャーバンドの+2σ(13.80倍)を下回ったことも、NTロングを巻き戻す動きに向かわせたようだ。ただし、トレンドは上向きで推移しているため、押し目ではNTロングでのスプレッド狙いに向かわせよう。
昨日は欧州時間入り際、147円台前半でのもみ合いが続いていたドル円がいきなり急落。12日の安値145.70円を下抜けて一時145.61円まで売り込まれたわけですが、韓国企画財政省報道官が「5日に米財務次官補とウォン相場について協議した」と発言したことがきっかけ。前日には加藤財務相が「来週のG7で米国と為替議論する予定」との見解を示していただけに、先月のG20前同様に「ドル安誘導」への思惑が台頭した模様。
ただ、NY時間に入って「米政府は貿易交渉の一部としてドル安を模索しておらず、貿易協定に通貨政策の公約などを盛込む作業は行っていない」との関係筋の話が伝わると、結局、行って来いとなって慌ただしい1日を終えています。市場はまさに、先月のG20時での「為替議論」騒動を再現してしまったわけですが、何度もお伝えしている通り、G7で為替議論があるのは当然の話であって、特別な議題ではなく、かかる議論というのは2017年5月のコミットメント
「為替レートは市場において決定されること、そして為替市場における行動に関して緊密に協議することという我々の既存の為替相場のコミットメントを再確認する。我々は、我々の財政・金融政策が、国内の手段を用いてそれぞれの国内目的を達成することに向けられてきていること、今後もそうしていくこと、そして我々は競争力のために為替レートを目標にはしないことを再確認する。我々は、全ての国が通貨の競争的な切下げを回避することの重要性を強調する。我々は、為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得ることを再確認する」であることは明らか。
いずれにしても、ドル円はアジアでは日経平均の異様な弱さにつれて戻り売りとなっていますが、昨日の海外市場では「一目転換線を前にした整合性を伴う買い場を与えた」に過ぎないわけで、この後は4.5%を超えて上昇している米10年債利回りなどを慎重に見極めていくことになりそうです。
「英国と進歩的な貿易合意に達することができ、うれしく思う。この協定で、米国の輸出品の市場アクセスが数十億ドル拡大する。特に農業分野は、米国の牛肉、エタノールなど、優れた米国農家が生産するほぼすべての製品のアクセスが、劇的に拡大する」(トランプ米大統領)
5月8日、トランプ米大統領とスターマー英首相は、電話会談で、関税を巡る交渉で「画期的な合意」に到達した。米国の追加関税措置を受けた貿易相手国・地域と、米国との一連の関税交渉の中で、最初の合意案件となった。
米国が英国から輸入する自動車と鉄鋼に対する関税を引き下げ、双方が農業市場へのアクセスを改善することなどで合意した。
しかし、内容は、第1次トランプ米政権で目指した(第1次)米英自由貿易協定に劣る米英自由貿易協定となった。トランプ関税は、米国の貿易赤字の削減を目論んだものだが、英国との貿易収支は黒字であり、米英貿易協定は玉虫色に染められている。
英国は、最大の貿易相手国である米国との関係において、従来よりも経済的に不利な立場に置かれる可能性が高くなっており、スターマー英首相にとっては、野党勢力などから攻撃材料にされる恐れがある。
1. 米英貿易協定
■自動車関税:27.5%⇒10%
米国が英国から輸入する年間10万台の乗用車への関税は、2.5%の関税分と25%の追加関税分を合わせた27.5%から、10%に下がる。
一方、メキシコやカナダ、その他ほとんどの国からの輸入には25%の関税が課されている。
※米自動車政策評議会(AAPC)の批判
米国部品をほとんど含まない英国車の方が、USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)に準拠し半分が米国製部品で構成されるメキシコやカナダからの車両よりも安く輸入できるようになるため、米国の自動車メーカー、部品供給業者、自動車労働者に損害を与える、と批判している。
■鉄鋼・アルミニウムの関税:25%⇒ゼロ
■牛肉などの農産物:米英両国が互いに関税を引き下げる。
■相互関税:今後も交渉を続けるとしている。
2.米国と英国の貿易不均衡
【対英貿易黒字】 【対日貿易赤字】 【米国の貿易赤字】
・2024年:150億ドル ▲642億ドル ▲9178億ドル
・2023年:144億ドル ▲661億ドル ▲7848億ドル
・2022年:193億ドル ▲689億ドル ▲9447億ドル
・2021年:98億ドル ▲554億ドル ▲8415億ドル
・2020年:148億ドル ▲504億ドル ▲6539億ドル
新規雇用者数増減
2025/04 +8.90万人
2025/03 +3.64万人 (前月発表値 +3.22万人)
失業率
2025/04 4.1%
2025/03 4.1% (前月発表値 4.1%)
常勤雇用者数
2025/04 +5.95万人
2025/03 +1.22万人 (前月発表値 +1.50万人)
非常勤雇用者数
2025/04 +2.95万人
2025/03 +2.42万人 (前月発表値 +1.72万人)
労働参加率
2025/04 67.1%
2025/03 66.8% (前月発表値 66.8%)
本日のロンドン為替市場では、序盤は英国の経済指標を受けたポンド相場が中心の動きか。ユーロについては、欧州金融当局者の講演や3月ユーロ圏鉱工業生産で上下する場面があるかもしれない。また、トルコで予定されているウクライナとロシアの協議内容にも目を向けておきたい。
英国からは、1-3月期や3月の国内総生産(GDP)速報値や3月鉱工業生産が発表予定。(評価は分かれるものの)英米貿易協定が結ばれたことで、英経済に対する悲観的な見方は後退しつつある。本日のデータに対する予測はまちまちだが、前回から上振れ予想の1-3月期GDP(前期比)のプラス幅や、下振れ見込みの3月鉱工業生産のマイナス幅がポイントとなりそうだ。
ポンド相場では、対ユーロの動きに注目。今週に入りユーロポンドは4月初旬以来の安値を更新したものの、0.84ポンド手前では下げ止まっている。0.8410ポンド台には90日移動平均線が位置し、0.8390ポンド付近には200日移動平均線も控えており、長期線を巡る攻防が暫く続きそうだ。
ユーロ圏からも1-3月期GDPが発表されるがこちらは改定値であり、相場インパクトは弱いだろう。3月鉱工業生産については、前月比・前年比ともに2%台の上昇が見込まれている。ほか、欧州中央銀行(ECB)のチポローネ専務理事とデギンドス副総裁が講演予定。前者は、これまでのスタンス通りにハト派を維持しそうだ。どちらかというとハト派と捉えられる後者の発言内容を確かめたい。
トルコのイスタンブールで開催予定のウクライナとロシアの協議には、最初に言い出したプーチン露大統領は欠席するもよう。後ろ盾となることを期待されたトランプ米大統領も不参加が報じられた。和平の向けての進展はそれほど望めない状況で、両者の要求内容がまずは注目となる。なお、ゼレンスキー・ウクライナ大統領はトルコに向かっているが、イスタンブールではなく首都アンカラとされている。
想定レンジ上限
・ユーロドル、昨日高値1.1266ドル
・ポンドドル、昨日高値1.3360ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、ピボット・サポート2の1.1101ドル
・ポンドドル、12日安値1.3140ドル
ドル円:1ドル=145.98円(前営業日NY終値比▲0.77円)
ユーロ円:1ユーロ=163.40円(▲0.59円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1193ドル(△0.0018ドル)
日経平均株価:37755.51円(前営業日比▲372.62円)
東証株価指数(TOPIX):2738.96(▲24.33)
債券先物6月物:139.18円(▲0.28円)
新発10年物国債利回り:1.475%(△0.025%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
対外対内証券売買契約等の状況(前週)
対外中長期債
1兆9232億円の取得超 5412億円の処分超
対内株式
4390億円の取得超 9680億円の取得超
対外対内証券売買契約等の状況(前々週)
対外中長期債
5412億円の処分超 4384億円の取得超・改
対内株式
9680億円の取得超 2808億円の取得超・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は弱含み。日経平均株価が軟調推移となったこともあり、リスク回避目的の売りに押された。来週に開催見込みの日米財務相会談で円安是正が議論されるとの思惑も相場の重しとして意識され、一時145.72円まで値を下げた。
・ユーロ円はさえない。ドル円や日本株の下落につれて円買い・ユーロ売りが進んだ。昨日安値の163.74円を下抜けて、一時163.34円まで売りに押される場面があった。
・ユーロドルは小高い。対円などでドル売りが進んだ影響もあり、1.1214ドルまでやや値を上げた。
・日経平均株価は続落。外国為替市場で円高が進んだことに伴い、海外短期筋などからの売りが観測された株価指数先物主導で下げ幅を拡大した。円高を手掛かりに自動車株が軒並み安となるなか、利益確定目的の売りなども重なり、指数は一時500円近く下落した。
・債券先物相場は反落。昨日の米国債券相場が下落し、本日の国内債にも売りが波及した。日経平均株価が下落したことで安全資産としての債券需要が意識され、いったんは買い戻しが入る場面もあったが、5年債入札が「弱め」の結果に終わると再び売りが出た。
米中が互いに課した相互関税の大幅な引き下げで合意した後、中国から米国向けのコンテナ輸送予約が急増している。米貨物追跡サービスのビジョンによると、14日までの1週間の20フィート標準コンテナの平均予約数は2万1530個に達し、前週の5709個の3.77倍に達した。『信報』が15日伝えた。
また、ドイツの物流会社ハパックロイドは、今週前半の米中間の輸送予約が前週比で50%増えたと明らかにし、今後さらなる増加を見込むとしている。
米国は4月以降、各国からの輸入品に対して相互関税を上乗せし、中国製品には最大145%の関税を課していた。これを受けて米輸入業者による発注が急減していたが、12日に米中両国が90日間の関税引き下げで合意したと発表したことを受け、米国の輸入貿易が再び動き始めた。
中国人民銀行(中央銀行)が14日発表した金融統計によると、2025年1-4月の社会融資総量は16兆3400億元で、前年同期比3兆6100億元増えた。1-3月の社会融資総量(15兆1800億元)を差し引くと4月は1兆1600億元となり、市場予想(1兆2180億元)から下振れした。1-4月の社会融資総量のうち、実体経済向けの人民元建て貸付は9兆7800億元で、前年同月比3397億元増えた。
社会融資総量は実体経済が一定期間に金融システムから得た資金額を指し、流動性の目安とされている。
東海東京インテリジェンス・ラボでは、足元で日銀の追加利上げ期待が再燃しつつあるものの、日本の長期金利(10年国債利回り)の上昇は限定的になると考えている。16日発表の1-3月期実質GDP成長率は4半期ぶりにマイナス成長が見込まれるだけに、日銀の利上げは仮にあったとしても年内1回と考えている。日銀の継続利上げに賭けた長期金利上昇の持続性は疑問視されるとみており、長期金利は当面1.2~1.6%を中心としたレンジ取引が続くと予想している。
大阪6月限
日経225先物 37710 -430 (-1.12%)
TOPIX先物 2733.0 -28.5 (-1.03%)
日経225先物(6月限)は前日比430円安の3万7710円で取引を終了。寄り付きは3万7680円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7720円)にサヤ寄せする形で売りが先行した。現物の寄り付き直後には3万7880円まで下げ幅を縮める場面もあったが、為替市場で円相場が一時1ドル=145円台と円高に振れて推移するなか、持ち高調整の動きが優勢だった。
前場終盤にかけて下げ幅を広げ、現物の後場の取引開始時には3万7640円まで売られた。ただし、下へのバイアスは強まらず、中盤に3万7840円まで持ち直し、終盤にかけては3万7720円~3万7820円辺りで保ち合いを継続。
日経225先物は続落したものの、200日移動平均線(3万7560円)が支持線として意識されていた。下値の堅さがみられるなか、同線が支持線として機能してくるようだと、調整一巡との見方につながりそうである。ただし、トヨタ自動車<7203.T>[東証P]など輸出関連株の弱い値動きが目立っており、ショートが入っているとみられる。
為替市場では、米国と韓国が為替政策を協議したことを受け、日本に対しても円安是正観測が高まったことがショートに向かわせていた。来週に加藤勝信財務相とベッセント米財務長官との会談が予定されており、無難に通過するかを見極めたいところでもあろう。
日経225先物は200日線での底堅さを見極める形になるが、一方で週足では52週線(3万7870円)を下回ってきており、26週線(3万7640円)辺りで攻防をみせている。週末の終値で26週線を明確に割り込んでくると、両線が抵抗線として意識されてくる可能性がある。一方で、26週、52週線を明確に上回ってくると、ショートカバーを誘う形となるだろう。決算発表がピークを通過したことで、国内の機関投資家は動きやすくなると考えられる。
5月第2週(5月7日-9日)の投資部門別売買動向では、海外投資家が現物、先物合算で4週連続の買い越しだった。海外投資家の買い戻しが継続するなか、短期的な調整局面では押し目狙いのロング対応に向かわせよう。
NT倍率は先物中心限月で13.79倍に低下。前日の上昇で75日線(13.80倍)を上抜けてきたことで、リバランスの動きとみられる。ボリンジャーバンドの+2σ(13.80倍)を下回ったことも、NTロングの巻き戻しを誘ったようだ。ただし、トレンドは上向きで推移しているため、+2σを挟んだ+1σ(13.71倍)と+3σ(13.89倍)辺りでのレンジを想定、押し目ではNTロングでのスプレッド狙いとなりそうだ。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万3001枚、ソシエテジェネラル証券が8888枚、サスケハナ・ホンコンが3307枚、バークレイズ証券が1907枚、JPモルガン証券が1502枚、SBI証券が1449枚、野村証券が1433枚、ドイツ証券が1342枚、モルガンMUFG証券が1256枚、みずほ証券が964枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が1万5572枚、ソシエテジェネラル証券が1万4218枚、バークレイズ証券が5349枚、JPモルガン証券が3864枚、ゴールドマン証券が3216枚、モルガンMUFG証券が2591枚、シティグループ証券が1775枚、サスケハナ・ホンコンが1684枚、ビーオブエー証券が1471枚、野村証券が827枚だった。
来週に日米財務相協議を控えるなか円安是正への警戒感が再燃し、ドル円の重い動きが続いている。トランプ米政権がアジア諸国を中心に対米貿易黒字国への為替是正を求めるのではないかとの懸念が根強いなか、昨日は「米国と韓国が5月初めに為替政策について協議を実施」したことが明らかになり、円買い圧力が高まっている。
ドル円に売り圧力が強いなか、本日はNYタイムで4月米卸売物価指数(PPI)や4月米小売売上高など複数の注目指標の発表が予定されている。ドル円はいったん日足一目均衡表・転換線(本日 145.51円)近辺で下げ渋っているが、結果次第ではドル円が下げ基調を加速させる可能性がある。PPIと小売売上高は低調な内容になると見込まれているが、予想以上に弱い結果となれば、米景気減速への警戒感が強まりそうだ。米中合意で市場の悲観的見方は緩んだが、トランプ米政権の関税策は成長の減速、インフレの上昇につながると消費者や企業の警戒感は強い。
なお、NYタイムではパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長やバーFRB理事らに発言機会があり、その内容にも注目したい。トランプ米大統領による利下げ要請のトーンが強まっているなか、パウエルFRB議長が追加利下げに慎重な姿勢を改めて示すかどうかに注目。
本日もトランプ米大統領の「インドは米国に関税ゼロの取引を提案した」との発言が伝わったが、市場の反応は鈍い。成果をアピールしようとしているが、市場は冷静で関税の不確実性への警戒感は根強い。また、トランプ氏の発言の信憑性が低く、市場は半信半疑の目線で見ている。前日も同氏の「中国は完全に市場を開放した」との発言が伝わっているが、そんな話を誰も信用しないだろう。トランプ大統領は関税方針を簡単に諦めることはないと想定され、関税をめぐる不確実性が続く限り市場のリスクオンムードが一気に高まることは望めないか。
・想定レンジ上限
ドル円、本日これまでの高値146.75円や昨日NYタイムでの戻り高値147.11円近辺が上値めど。
・想定レンジ下限
ドル円、本日これまでの安値145.49円や9日の安値144.83円が下値めど。
今晩は上値の重い展開か。昨日はコミュニケーション、IT株などが上昇した一方、ヘルスケア株が大幅に続落したほか、素材、不動産、エネルギーなども下落。S&P500採用の503銘柄は148銘柄が上昇し、352銘柄が下落した。ナスダック総合が0.72%高と6営業日続伸し、S&P500も0.10%高と小幅ながら3日続伸した一方、ダウ平均は89.37ドル安(-0.21%)と2日続落した。
今晩の取引では貿易問題での米中の緊張緩和や、ハイテク株のモメンタムが復活したことが支援となることが期待される一方、ナスダック総合が6日続伸したことや、足もとで米10年債利回りが上昇していることなどで上値の重い展開か。経済指標では寄り前に新規失業保険申請件数や4月生産者物価指数(PPI)が発表予定で、足もとの労働市場や物価動向、それを受けた米10年債利回りの動向が焦点となりそうだ。消費動向を巡っては、寄り前に発表されるウォルマートの決算やガイダンスにも要注目となる。
今晩の米経済指標・イベントは新規失業保険申請件数、4月生産者物価指数(PPI)のほか、5月NY連銀製造業業況指数、5月フィラデルフィア連銀業況指数、4月鉱工業生産、5月NAHB住宅市場指数など。企業決算は寄り前にディア、ウォルマート、引け後にアプライド・マテリアルズ、テイクツー・インタラクティブが発表予定。
日経平均株価は続落。売り先行となったが下値は限定的となり、100日移動平均線(37593円 5/15)付近を意識して底堅い展開となった。
RSI(9日)は前日の95.7%→82.0%(5/15)に低下。あすも上昇のハードルは高くなるが、短期的な相場の見方に変化はない。4/7安値(30792円)を起点とした目先波動は上昇継続の判断となる。終値ベースで3/26につけた急落前の戻り高値(38027円)を更新したことで、パターン分析では4月前半の安値を先端に「スパイクボトム(V字)」を確認した。短期的な下押しは想定内としながらも、意外高の想定も必要になってくる。
足元は伸び悩む格好となっているが、短期の10日移動平均線(37225円 同)上を維持しており、ドテン売りシグナルの発生はみられない。
上値メドは、心理的節目の38500円や39000円、2/13高値(39581円)、心理的節目の4万円、1/24高値(40279円)などがある。下値メドは、100日移動平均線、10日移動平均線、75日移動平均線(37038円 同)、心理的節目の36500円や36000円、25日移動平均線(35456円 同)などがある。
(15日終値:16日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=145.75円(15日15時時点比▲0.23円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.82円(▲0.58円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1171ドル(▲0.0022ドル)
FTSE100種総合株価指数:8633.75(前営業日比△48.74)
ドイツ株式指数(DAX):23695.59(前営業日比△168.58)
10年物英国債利回り:4.660%(▲0.053%)
10年物独国債利回り:2.622%(▲0.077%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月独卸売物価指数(WPI)
(前月比) ▲0.1% ▲0.2%
3月英国内総生産(GDP)
(前月比) 0.2% 0.5%
1-3月期英GDP速報値
(前期比) 0.7% 0.1%
(前年同期比) 1.3% 1.5%
3月英鉱工業生産
(前月比) ▲0.7% 1.7%・改
(前年同月比) ▲0.7% 0.4%・改
3月英製造業生産指数
(前月比) ▲0.8% 2.4%・改
3月英商品貿易収支
198.69億ポンドの赤字 209.64億ポンドの赤字・改
3月英貿易収支
36.96億ポンドの赤字 48.56億ポンドの赤字・改
4月仏消費者物価指数(CPI)改定値
(前月比) 0.6% 0.5%
(前年同月比) 0.8% 0.8%
1-3月期ユーロ圏域内総生産(GDP)改定値
(前期比) 0.3% 0.4%
(前年比) 1.2% 1.2%
3月ユーロ圏鉱工業生産
(前月比) 2.6% 1.1%
(前年比) 3.6% 1.0%・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は一進一退。欧州勢が本格参入すると円買い・ドル売りが進行。前日の安値145.61円を下抜けると目先のストップロスを巻き込みながら一時145.49円まで値を下げた。来週予定されている日米貿易交渉での円安是正議論への思惑も相場の重し。なお、米関税措置を巡る3回目の日米交渉に向けて、赤沢経済再生相は来週後半にも訪米する方向で調整していると伝わった。
NY市場に入ると、売買が交錯した。5月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数や4月米小売売上高が予想を上回ると一時146.25円付近まで値を上げたものの、すぐに失速。4月米卸売物価指数(PPI)が予想より弱い結果となり、米長期金利が低下したことが相場の重し。23時過ぎに一時145.42円と日通し安値を更新した。
ただ、一目均衡表転換線が位置する145.51円がサポートとして意識されると146円台前半まで持ち直すなど、相場は大きな方向感が出なかった。
・ユーロドルは頭が重かった。市場の関心が高い米関税政策に関する目新しい材料が出ていないこともあり、しばらくは狭い範囲でのもみ合いが続いた。NY市場に入ると、4月米PPIや4月米鉱工業生産が予想より弱い内容だったことが伝わり一時1.1224ドル付近まで値を上げたものの、日本時間夕刻に付けた日通し高値1.1228ドルが目先レジスタンスとして働くと失速した。2時30分過ぎには一時1.1170ドルと日通し安値を更新した。
・ユーロ円は軟調。日米交渉での円安是正議論への思惑から円買い・ユーロ売りが先行。安く始まった米国株相場が持ち直したことも支えにならず、ユーロドルのさえない動きが相場の重しにとなった。1時30分前に一時162.75円と日通し安値を更新した。
・ロンドン株式相場は3日ぶりに反発し、4月1日以来約1カ月半ぶりの高値で取引を終えた。売り先行で始まったものの、1-3月期英GDP速報値が予想を上回ったことなどが好感されると徐々に買い戻しが優勢となり上げに転じた。ナショナル・グリッドやSSEなど公共事業株が買われたほか、アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株が値上がりした。
・フランクフルト株式相場は反発し、史上最高値を更新した。続落して始まったものの、売り一巡後は買い戻しが優勢となり上げに転じた。個別ではラインメタル(5.65%高)やバイエル(3.13%高)、シーメンス・エナジー(2.92%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は上昇。米債高につれた。
15日の日経平均は大幅続落。終値は372円安の37755円。米国株はまちまちも円高進行を嫌気して、寄り付きから300円近い下落。主力大型株が弱く、前場では安く始まった後も下押し圧力の強い地合いが続いた。後場のスタート直後に500円近く下げたところで売り圧力は和らいだ。しかし、下げ止まっても戻りは緩慢。300円を超える下落で取引を終えた。大型株が嫌われた一方で、新興銘柄には資金が向かった。グロース250指数は小幅安スタートから早々にプラス転換すると、後場に入って上げ幅を拡大。1%を超える上昇となり、高値圏で終了した。
東証プライムの売買代金は概算で4兆7700億円。業種別では海運、繊維、陸運などが上昇した一方、輸送用機器、その他製品、証券・商品先物などが下落した。1Q決算や自己株取得の発表が好感されたマネジメントソリューションズ<7033.T>が後場急騰。ストップ高まで買われる場面もあった。半面、アシックス<7936.T>は1Qが前年同期比で大幅増益となったものの、好感した買いは一時的にとどまり、発表後に下げ幅を拡大。8%を超える下落となった。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり489/値下がり1098。商船三井、日本郵船、川崎汽船の海運大手3社がそろって上昇。すかいらーく、力の源、パンパシHDなど小売株に決算で強く買われるものが散見された。1:3の株式分割を発表したスクエニHDが2.4%高。グロース銘柄の注目度が高まる中、決算を材料にRettyやSynspectiveがストップ高となった。
一方、円高進行を受けて、トヨタ、ホンダ、日産自など自動車株が軒並み大幅安。フジクラ、ソニーG、リクルートなどグロース系の銘柄が弱かった。三井住友は決算を受けて前日と同値からスタートしたものの、次第に下方向に勢いがつき、3%を超える下落。1Qが大幅最終赤字となった楽天Gが急落した。今期の減益見通しが嫌気されたシンクロフードはストップ安となった。
日経平均は大幅安。後場は下げ幅拡大とはならなかったものの、きのうのように大きく戻すことはできなかった。円高くらいしか売り材料がない割には値幅を伴った下げとなっており、楽観ムードが急速に冷え込んでいる。グロース250指数が強いだけにリスクオフではないが、今週で決算発表がほぼ一巡するだけに、大型株を敬遠して中小型株にシフトする動きはこれまで以上に強まるかもしれない。
本日の米国では4月の小売売上高や生産者物価指数(PPI)など注目度の高い指標を消化する。米長期金利やドル円にも大きな動きが出てくる可能性がある。15日16時時点でドル円は145円60銭近辺で推移している。現状では円高に振れてしまうと日本株は買いづらくなるだけに、145円割れを回避できるかに注目したい。
(15日終値)
ドル・円相場:1ドル=145.67円(前営業日比▲1.08円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.97円(▲1.02円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1187ドル(△0.0012ドル)
ダウ工業株30種平均:42322.75ドル(△271.69ドル)
ナスダック総合株価指数:19112.32(▲34.49)
10年物米国債利回り:4.43%(▲0.11%)
WTI原油先物6月限:1バレル=61.62ドル(▲1.53ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3226.6ドル(△38.3ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月米卸売物価指数(PPI)
(前月比) ▲0.5% 0.0%・改
(前年比) 2.4% 3.4%
食品とエネルギーを除くコア指数
(前月比) ▲0.4% 0.4%・改
(前年比) 3.1% 4.0%・改
4月米小売売上高
(前月比) 0.1% 1.7%・改
(除く自動車) 0.1% 0.8%・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は3日続落。5月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数や4月米小売売上高が予想を上回ると一時146.25円付近まで値を上げたものの、戻りは鈍かった。4月米卸売物価指数(PPI)が予想より弱い結果となり、米長期金利が低下したことがドル売りを誘った。23時過ぎに一時145.42円と日通し安値を更新した。来週予定されている日米貿易交渉での円安是正議論への思惑も相場の重し。
なお、米関税措置を巡る3回目の日米交渉に向けて、赤沢経済再生相は来週後半にも訪米する方向で調整していると伝わった。
一目均衡表転換線が位置する145.51円がサポートとして意識されると146円台前半まで下げ渋る場面もあったが、引けにかけては145円台半ばまで再び押し戻された。
・ユーロドルは小反発。4月米PPIや4月米鉱工業生産が予想より弱い内容だったことが伝わり一時1.1224ドル付近まで値を上げたものの、日本時間夕刻に付けた日通し高値1.1228ドルが目先レジスタンスとして働くと失速。2時30分過ぎには一時1.1170ドルと日通し安値を更新した。ただ、米金利低下に伴うユーロ買い・ドル売りが入ったため、下押しは限定的だった。
・ユーロ円は続落。日米交渉での円安是正議論への思惑から円買い・ユーロ売りが出たほか、ユーロドルのさえない動きが相場の重しとなった。1時30分前には162.75円と日通し安値を更新した。
・メキシコペソは軟調。ドルペソは一時19.5183ペソ、ペソ円は7.46円までペソ安に振れた。WTI原油先物価格が一時4%超下落したことを背景に産油国通貨とされるメキシコの通貨ペソに売りが出た。
なお、メキシコ中銀はこの日、市場予想通り政策金利を現行の9.00%から8.50%へ引き下げることを決めたと発表。声明では「今後も金融政策のスタンスを継続し、同様の規模の調整を検討する可能性がある」「物価環境は利下げサイクル継続を許容」と指摘し、追加利下げの可能性を示唆した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反発。米長期金利が低下し、株式の相対的な割高感が薄れたことが相場の支援材料となった。なお、不正行為の疑いで米当局の捜査対象になっていると報じられたユナイテッドヘルス・グループは11%近く急落し、1銘柄でダウ平均を184ドルほど押し下げた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は7日ぶりに反落。足もとで相場上昇が続いたあとだけに利益確定目的の売りなどが出た。
・米国債券相場で長期ゾーンは大幅反発。4月米PPIが予想より弱い内容となったことを受け、債券買いが優勢となった。
・原油先物相場は続落。米・イラン核合意へとの観測が中東の緊張緩和を意識させ、同地域からの原油供給が活発化するとの期待を高めた。原油の需給改善を想定した売りが入った。
・金先物相場は反発。前日の大幅反落に続き、本日も時間外取引で3123.3ドルまで下値を広げる動きになった。しかし4月10日以来の安値水準から折り返した。米金利低下が、金利の付かない資産である金の投資妙味改善を意識させた。ドル軟化もドル建て金相場の換算値押し上げに寄与。ドル安は、ドルの代替資産とされる側面もある金の相対的な価値を高める方向にも作用し、金の支援材料となった。
15日12:13 台湾財政部長
「米国との協議で為替には触れず」
15日16:09 トランプ米大統領
「インドは米国に関税ゼロの取引を提案した」
15日16:23 ベッセント米財務長官
「今後90日間で、我々(米国と中国)は多くのことを成し遂げることができる」
16日04:00 メキシコ中銀声明
「インフレ率は2026年第3四半期に目標の3%に収束すると予測」
「今後、同様の規模の調整を行う可能性」
「メキシコ経済は2025年第1四半期に弱さを示した」
「物価環境は利下げサイクル継続を許容」
「不確実性と貿易摩擦は経済の下振れリスクを示唆」
「貿易摩擦は重大な下振れリスク」
「CPI予測は短期的に上方修正」
「インフレリスクは引き続き上向き」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ☆ 1-3月期実質国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比▲0.1%/前期比年率▲0.3%)
○13:00 ◇ 中村豊明日銀審議委員、講演
○13:30 ◇ 3月鉱工業生産確報
○13:30 ◇ 3月設備稼働率
<海外>
○15:30 ◇ 1-3月期スイス鉱工業生産
○17:30 ◎ 1-3月期香港域内総生産(GDP)確定値(予想:前期比2.0%/前年比3.1%)
○18:00 ◇ 3月ユーロ圏貿易収支
○21:30 ◇ 3月対カナダ証券投資
○21:30 ◎ 4月米住宅着工件数(予想:136.5万件、前月比3.1%)
◎ 建設許可件数(予想:145.0万件、前月比▲1.2%)
○21:30 ◇ 4月米輸入物価指数(予想:前月比▲0.3%)
○23:00 ◎ 5月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:53.4)
○24:00 ◎ レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、ロンバルデリ英中銀(BOE)副総裁、講演
○17日01:00 ☆ 1-3月期ロシア国内総生産(GDP)速報値(予想:前年比1.7%)
○17日01:00 ◎ 4月ロシア消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.5%)
○17日05:00 ◎ 3月対米証券投資動向
○18日 ポルトガル総選挙
○18日 ポーランド大統領選
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
15日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、予想を上回った5月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数や4月米小売売上高を受けて146.25円付近まで上昇した後、弱い4月米卸売物価指数(PPI)で米長期金利が低下したことで145.42円まで反落した。ユーロドルは1.1224ドル付近から1.1170ドルまで下落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、1-3月期実質国内総生産(GDP)速報値が予想通りにマイナス成長だった場合は、日銀のハト派的据え置きが裏付けられることで下げ渋る展開が予想される。しかしながら、ドル円の上値は、来週の日米財務相会談での為替協議や第3回日米通商交渉への警戒感から限定的ではないか。
昨日発表された米4月卸売物価指数(PPI)は、前月比-0.5%だった。月末に発表される米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視しているPCEデフレーターに反映されるPPI項目も低迷していたことで、4月のインフレ鈍化による米連邦公開市場委員会(FOMC)への影響に注目することになる。
8時50分に発表される1-3月期GDP速報値は、前期比-0.1%、前期比年率-0.3%と予想されており、4四半期ぶりにマイナス成長に陥った可能性が見込まれている。背景には、個人消費の低迷や前期に成長を牽引した外需が押し下げ方向、すなわち輸入の反動増が見込まれている。
植田日銀総裁は5月1日のハト派的据え置きを決定した日銀金融政策決定会合の後の記者会見で「海外経済・物価を巡る不確実性は極めて高い」と指摘した。そして、2%の物価安定目標の実現時期を1年程度先送りし、2025年度の実質GDP見通しを1.1%から0.5%に引き下げた。さらに、「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の中核である基本的見解から、日銀の利上げ路線の旗印だった「賃金と物価の好循環」という文言が消滅した。
4-6月期は内需が力強さを欠き、輸出や国内生産の減少が成長を下押しすることが警戒されている。2四半期連続でのマイナス成長によるリセッション(景気後退)入りへの可能性が高まった場合、日銀は利上げではなく、利下げを余儀なくされる可能性に警戒しておきたい。
本日は植田日銀総裁が9時30分から衆院財務金融委員会に出席し、13時から最もハト派と見なされている中村日銀審議委員の講演が予定されている。来月の任期満了を控えて、最後の日銀金融政策決定会合でハト派的据え置きが決定されたことに対する総括が予想される中、利下げに言及する可能性には警戒しておきたい。
来週20-22日にカナダで開催されるG-7財務相・中央銀行総裁会議にあわせて予定されている日米財務相会談では、加藤財務相は、ベッセント米財務長官と為替協議を行うと述べている。また、赤沢経済再生相は、22日に渡米して、ベッセント米財務長官と第3回日米通商交渉を行う予定だが、自動車関税の撤廃に向けて、米国で生産された日本ブランド車の逆輸入案を提案すると報じられている。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 37800 +90 (+0.23%)
TOPIX先物 2748.0 +15.0 (+0.54%)
シカゴ日経平均先物 37755 +45
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
15日の米国市場は、NYダウ、 S&P500が上昇した一方で、ナスダックは下落。4月の米卸売物価指数(PPI)は前月比0.5%低下となり、市場予想(0.2%上昇)に反して落ち込んだ。食品とエネルギーを除くベースでは、2015年以来の大幅な低下だった。この結果を受けて利下げ観測が強まり、米長期金利の低下が材料視された。
S&P500業種別指数は、電気通信サービス、食品・飲料・タバコ、家庭用品・パーソナル用品が上昇した半面、自動車・同部品、小売、メディアが下げた。NYダウ構成銘柄では、前日に予想を上回る決算を発表したシスコシステムズ<CSCO>の上昇率が4%を超えたほか、アムジェン<AMGN>、コカ・コーラ<KO>、IBM<IBM>、トラベラーズ<TRV>が買われた。一方で、米当局が不正の疑いで捜査をしているとの報道を受けてユナイテッドヘルス・グループ<UNH>が大幅に下落したほか、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、ウォルトディズニー<DIS>、ウォルマート<WMT>が売られた。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比45円高の3万7755円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは日中比30円安の3万7680円で始まった。直後につけた3万7590円を安値に持ち直しており、3万7640円~3万7750円辺りでの保ち合いを継続し、中盤にかけて3万7840円まで買われた。終盤にかけて軟化する場面もあったが、3万7800円とプラス圏でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや買い先行で始まりそうだ。ナイトセッションの開始直後に3万7590円まで下げたが、200日移動平均線(3万7550円)が支持線として機能している。上向きで推移するボリンジャーバンドの+1σ(3万7350円)と+2σ(3万9010円)とのレンジ内での推移を継続しており、200日線近辺では押し目待ち狙いのロングが入りやすいだろう。
週足では26週線(3万7650円)が支持線として意識されやすく、+1σと52週線が位置する3万7870円辺りでは強弱感が対立しそうである。ただし、3万7870円処を明確に上回ってくるようだと、ショートカバーを誘う動きが強まる展開が期待されよう。来週以降、+1σと+2σ(3万9330円)とのレンジに移行する可能性も出てきそうだ。
決算発表がピークを通過したことで、積極的な売買を手控えていた国内機関投資家においても動きやすくなるため、足もとの調整局面ではロングに向かわせよう。そのため、オプション権利行使価格の3万7625円から3万8375円でのレンジを想定する。
15日の米VIX指数は17.83(14日は18.62)に低下した。判断の分かれ目となる20.00のほか、200日線(19.59)を下回っての推移を継続している。3月26日につけた16.97を射程に入れるなかで、リスク選好に向かわせそうだ。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.79倍に低下。前日の上昇で75日線(13.80倍)を上抜けてきたことで、リバランスの動きが入ったとみられる。ボリンジャーバンドの+2σ(13.80倍)を下回ったことも、NTロングを巻き戻す形になったようだ。ただし、+2σを挟んだ+1σ(13.71倍)と+3σ(13.89倍)辺りでのレンジを想定し、+1σに接近する局面では、その後のリバウンドを狙ったNTロングでのスプレッド狙いに向かわせよう。
東京市場は小動きか。米国株はまちまち。ダウ平均とS&P500が上昇した一方、ナスダックは下落した。ダウ平均は271ドル高の42322ドルで取引を終えた。4月の生産者物価指数(PPI)が市場予想を下回り、10年債利回りが低下したことで株式には資金が向かった。ただ、直近で買われていたグロース株は利益確定売りに押されており、ナスダックは小幅ながら下落した。ドル円は足元145円50銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて45円高の37755円、ドル建てが100円高の37810円で取引を終えた。
まちまちの米国株を受けて、日本株は方向感に欠ける展開を予想する。ダウ平均が3日ぶりに反発した点は相場を下支えするとみる。米10年債利回りが低下してもドル円が大きくドル安(円高)に振れなかった点は安心材料。ただ、日経平均は連日で下落して、きのうは372円安(37755円)とやや大きめの下げとなったことから、上値追いには慎重となるだろう。場中は強気にも弱気にも傾きづらい中、前日終値近辺での一進一退が続くと予想する。日経平均の予想レンジは37550円-37950円。
中国製の太陽光パネルから情報が盗まれる。送電網カットのリスクも。
立憲・原口議員「政府はガラクタのオスプレイとかを買い込むんじゃなく、内なる安全保障をやっていただきたい」
5/16(金)16:46
「中国は今年までにソーラーパネルの世界のシェア95%。日本では大規模ソーラーがあちこちに出ており、今日も長崎の人と話をしたが、なんとそのソーラーの中にですね、不正通信が入っている。不正通信になるとどういうことになるかというと、我が国グリッドに繋がってる場合は送電網をカットされてしまう。もしくはそこから情報を盗まれてしまう。様々なことがあるわけで、政府は、ガラクタのオスプレイとかを買い込むんじゃなく、内なる安全保障をやっていただきたいと心から願う」
https://news.yahoo.co.jp/articles/21ae0c96576b065dd5c9bd0baa812306b67a0c2b
https://i.imgur.com/hmQAB4m.jpeg
日経225先物は11時30分時点、前日比60円安の3万7650円(-0.15%)前後で推移。寄り付きは3万7790円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7755円)を上回る形から、買い先行で始まった。直後につけた3万7820円を高値に軟化し、中盤にかけて3万7490円まで下落幅を広げる場面もあった。ただし、終盤にかけては押し目待ち狙いのロングがショートカバーを誘う流れとなり、下げ幅を縮めている。
東京エレクトロン<8035.T>[東証P]やアドバンテスト<6857.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株が下落したほか、為替市場では円相場が1ドル=145円台前半と円高に振れて推移していることが重荷になった。ただし、日経225先物は一時3万7490円まで下げたものの、その後は切り返しており、200日移動平均線(3万7550円)を上回って推移している。同水準のほかボリンジャーバンドの+1σ(3万7340円)が支持線として意識されやすい。
NT倍率は先物中心限月で13.78倍に低下。一時13.72倍に低下する場面もあったが、+1σ(13.72倍)まで下げた後に切り返す動きになった。+2σ(13.82倍)を中心とした+1σと+3σ(13.91倍)とのレンジが意識されるなか、押し目ではNTロングでのスプレッド狙いに向かわせている。
昨日のドル円は、NY時にこれでもかと言うほどまとめて公表された米経済指標に上下の反応となったわけですが、米10年債利回りが結局、10bpの低下となるにつれて戻りの鈍い動きとなりました。そしてアジア市場に入ってからは、昨日安値の145.42円を下抜けたところで目先のSLを付ける動きとなると下げ足を速め一時144.97円まで値を下げました。ただ、その後は一転して買戻しの動きとなっています。
台湾政府が「米国との貿易協議には為替は含まれていない」との発言が伝わっているわけですが、今月に入ってからの「為替議論」騒動のきっかけを作ったのも台湾ドルの暴騰。GW真っ只中の5日のアジア市場でのドル台湾ドルの暴落は尋常ではなく、ドル円に対しての売り圧力につながったのは記憶に新しいところです。そして、この為替議論騒動に更に油を注いだのが韓国の「5日に為替を協議」との発言。時間軸に整合性を与えることになっています。
ただ、実際には、恐らく、来週20‐22日のカナダG7でも行われる日米財務相会談しかり、G7自身の会議しかり、「為替誘導」なるフロート通貨としての資格を根本的に失うような議論が予定されているはずもなく、あくまでもこれまでのG7コミットメントに沿った為替議論が取り交わされるはず。
メインシナリオとしては、一連の貿易協議において、「為替事項が盛り込まれることはない」とのベースラインがあれば、市場で台頭する様々な思惑がいかに恣意的なものであるのかが分かるというもの。ドル円は週末のポジション調整を中心に、一目転換線の145.51円や50日MAの位置する146.13円などを意識した動きとなっていきそうです。
「トランプ政権の経済チームで為替問題への対応を担っているのはベッセント財務長官ただ1人で、貿易相手国・地域との通貨政策の協議を他の政権高官に委ねることはしていない。為替問題はベッセント氏が出席する場でのみ交渉される」(トランプ政権関係者)
1.アジアの監視リスト
2024年秋の為替報告書での監視リスト(Monitoring List)には、7カ国・地域(日本、中国、ドイツ、韓国、シンガポール、台湾、ベトナム)が入っている。
■対米貿易黒字国(2024年:1兆2117億ドル)
1位:中国 :2954億ドル
6位:台湾:739億ドル(相互関税:32%)
7位:日本:685億ドル(相互関税:24%)
8位:韓国:660億ドル(相互関税:25%)
2.台湾・韓国との通貨協定?
■台湾ドル(TWD)
対ドルで5月2日に約3%、5日に約5%急騰し、ドル円も143円台まで下落した。
背景には、台湾と米国との通商交渉で、ドル安・台湾ドル高の通貨協定「マールアラーゴ合意」が締結されたのではないか、すなわち、「米国との関税交渉で台湾当局が通貨切り上げに合意した」のではないかとの憶測が流れた。頼清徳・台湾総統は「台湾と米国の貿易赤字の原因は為替レートとは全く関係がなく、交渉で為替レート問題が取り上げられることは当然ない」と事態鎮静化に向けて緊急の声明を公表した。
楊金龍・台湾中銀総裁も「米国が台湾ドル高を要請した事実はない外国為替市場について無責任な投機を行わないよう厳粛に要請する」と否定している。
■韓国ウォン
5月14日、「米韓政府高官は今月5日に為替について協議した」との報道を受けて、対ドルで急騰し、ドル円も145円台まで下落した。
5月5日、企画財政部のチェ・ジヨン国際経済管理官(次官補)が、アジア開発銀行(ADB)年次総会が開かれたイタリアのミラノで、カプロス米財務次官補と、為替相場関連の実務交渉を進めた、と報じられている。米政府は「貿易不均衡を解消するために対ドルのウォン相場を切り上げるべき」という趣旨の主張をしたという。
3.為替報告書:「2015年貿易円滑化・貿易執行法」
2015年に、外国政府の為替政策に対する監視体制を強化するために成立した通商法である。米国財務省は、2016年から、「2015年貿易円滑化・貿易執行法」に依って、為替操作国認定のための数値基準を設定し、為替操作国に対する報復措置としての行動計画の策定等を義務付けた。為替操作国の認定を行うに当たり、3つの基準を満たした場合は、「為替操作国」と認定し、2つに抵触した場合、「監視対象国リスト」に認定している。
【為替操作国・監視対象国の判断基準】
1)財の対米貿易黒字:150億ドル以上
2)経常黒字額:対国内総生産(GDP)比3%以上
3)過去12カ月の外貨購入(介入):対GDP比2%以上
本日はユーロ圏から3月貿易収支が発表される程度であり、ロンドン市場でもユーロドルは、昨日ニューヨーク市場でも見られた米長期金利の動向に上下させられそうだ。なお欧州夕刻には、レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミストの講演が予定されている。またトルコ・イスタンブールでは、延期されたウクライナとロシアの直接協議が始まる予定。
昨日は4月米卸売物価指数(PPI)の弱い結果を受けて、週明けから4.4%台に乗せて上昇基調を強めてきた米10年債利回りが大幅に低下。本日はNY前半に5月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値)の発表を控えているため、もう暫く金利低下方向に調整が続いてもおかしくはない。そうなると、ユーロドルが強含む場面もありそうだ。
レーンECB専務理事の講演は、日本時間24時から開始予定。ECBのチーフ・エコノミストでもあり、利下げについて言及したとしても「データを見極めながら」という言葉は付いてくるだろう。もしインフレが目標を上回って定着するリスクを指摘するようであれば、流動性が薄くなる時間帯でユーロ相場が神経質に上下するかもしれない。
戦争中のウクライナとロシアは、それぞれ交渉団をイスタンブールに送り、予定より1日遅れで直接協議が行われるもよう。しかしながら、期待された両国トップ会談は実現せず、停戦に向けて大きな進展はそれほど望めないとの見方が広がっている。交渉決裂となれば、地政学リスクの高まりが意識されることになる。
なお18日には、ポルトガルで総選挙、ポーランドで大統領選が実施される。ポルトガルでは、中道右派連合が支持率でリードしているものの「過半数には届かず」との予想。いずれにせよ、政情不安は続くと見られている。ポーランドではどの候補も50%の得票率に届かず、上位2名による決選投票に進む可能性が高い。ただ、リベラル派(国会で多数派)の候補が優勢のもよう。結果は、欧州連合(EU)との関係性や対ウクライナ政策にも影響してきそうだ。
想定レンジ上限
・ユーロドル、14日高値1.1266ドルを超えると日足一目均衡表・基準線1.1319ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、14日安値1.1165ドルを割り込むと13日安値1.1085ドル
ドル円:1ドル=145.21円(前営業日NY終値比▲0.46円)
ユーロ円:1ユーロ=162.87円(▲0.10円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1215ドル(△0.0028ドル)
日経平均株価:37753.72円(前営業日比▲1.79円)
東証株価指数(TOPIX):2740.45(△1.49)
債券先物6月物:139.53円(△0.35円)
新発10年物国債利回り:1.450%(▲0.025%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
1-3月期実質国内総生産(GDP)速報値
前期比 ▲0.2% 0.6%
前期比年率 ▲0.7% 2.4%・改
3月鉱工業生産・確報値
前月比 0.2% ▲1.1%
前年同月比 1.0% ▲0.3%
3月設備稼働率
前月比 ▲2.4% ▲1.1%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は弱含み。昨日安値145.42円の下抜けを狙った仕掛け的な売りが先行。時間外の米10年債利回りが低下したことも嫌気され、一時144.97円まで値を下げた。145円割れでは押し目買いが入ったほか、台湾政府高官が「米国との貿易協議には、為替は含まれていない」と発言したことも支えに145.46円まで持ち直したが、戻りも限定的。その後は145円台前半での推移となった。
・ユーロドルは強含み。ドル円の下落や米長期金利の低下に伴ってユーロ買い・ドル売りが先行。一時1.1220ドルまでじり高となった。
・ユーロ円は下げ渋り。ドル円が下落した場面では162.46円まで下げたが、ユーロドルが底堅く推移したこともあり下値は限られた。
・日経平均株価は3日続落。昨日の米ハイテク株が下落した影響から半導体関連株に売りが広がった。外国為替市場での円高も重しに一時250円超下落した。ただ、下値では押し目買いが入り後場には上昇に転じる場面も見られた。
・債券先物相場は反発。昨日の米債券相場が上昇した影響から総じて底堅く推移し、一時139.55円まで値を上げた。
大和証券では、22日に各国のS&PグローバルPMIの5月速報値が発表されることに注目している。回答期間から8日の米英合意をフルに、かつ、12日の米中合意をほぼ反映した回答になるとみている。ドイツのZEW景気期待指数が急回復しており、PMIも改善する可能性があると大和では考えている。また、こうした統計の改善が各国に拡大していくことで、株価の支えにもなると考えている。
ロイター通信は16日、事情に詳しい関係者の話として、米商務省が事実上の禁輸リストである「エンティティーリスト」に中国企業を追加することを検討中だと伝えた。収載対象として、DRAM大手の長キン存儲技術(CXMT)などが挙がっているほか、すでにリスト入りしている半導体製造受託のSMIC(00981)、NAND型フラッシュメモリーの長江存儲科技(YMTC)の子会社も追加される可能性があるという。
英紙『フィナンシャル・タイムズ』によると、米商務省が同リストに入れる中国半導体メーカーを拡大する時期を見定めるのは難しくなっている。米国と中国が前週末、互いに課している高率の関税を90日間停止した上で、貿易協議の枠組みを設けることに合意したためだ。トランプ米政権の高官は先ごろ、エンティティーリストを使った輸出規制を実施すれば、進行中の米中協議に悪影響が及びかねないとの懸念を示した。
大阪6月限
日経225先物 37770 +60 (+0.15%)
TOPIX先物 2743.5 +10.5 (+0.38%)
日経225先物(6月限)は前日比60円高の3万7770円で取引を終了。寄り付きは3万7790円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7755円)を上回る形から、買い先行で始まった。直後につけた3万7820円を高値に軟化し、前場中盤にかけて3万7490円まで下落幅を広げる場面もあった。ただし、その後は200日移動平均線(3万7550円)を上回っての推移を継続。
同線のほかボリンジャーバンドの+1σ(3万7340円)が支持線として意識されるなかで、押し目待ち狙いのロングが入りやすく、後場は利食いを交えながらのリバウンド基調が続き、中盤にかけて3万7800円まで切り返す場面もみられた。
週間形状では52週線(3万7870円)は超えられなかったものの、26週線(3万7650円)を上回って終えた。下値の堅さが意識されるなかでショートを仕掛けづらくさせそうだ。52週線突破を試す展開が見込まれるなかで、押し目待ち狙いのロングにおいてもエントリータイミングを引き上げてくる可能性はあるだろう。
4月7日に3万0650円まで急落し、その後は5週連続で陽線を形成している。これといった調整がないままでの上昇によりショートカバーが強まりやすいほか、決算発表シーズンのなかで積極的な売買を手控えていたため、ロングも積み上がっていないと考えられ、52週線突破からの一段高が意識されやすいと考えられる。
週足の+1σ(3万7740円)を上回ってきたことで、+2σ(3万9140円)とのレンジに移行する可能性が高まってきただろう。
NT倍率は先物中心限月で13.76倍に低下。一時13.72倍に低下する場面もあったが、+1σ(13.72倍)まで下げた後に切り返す動きになった。上値は75日線(13.79倍)に抑えられる形だったが、東京エレクトロン<8035.T>[東証P]やアドバンテスト<6857.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株が下落するなかでも、それほどNTショートには傾かなかったようである。バンドは上向きで推移しており、+1σ水準に接近する局面においては、NTロングでのスプレッド狙いに向かわせよう。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万0720枚、ソシエテジェネラル証券が7832枚、サスケハナ・ホンコンが2579枚、SBI証券が2414枚、バークレイズ証券が1207枚、JPモルガン証券が1110枚、ゴールドマン証券が847枚、シティグループ証券が807枚、日産証券が685枚、松井証券が632枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が1万2473枚、ソシエテジェネラル証券が1万1198枚、バークレイズ証券が4304枚、JPモルガン証券が3811枚、ゴールドマン証券が3260枚、モルガンMUFG証券が1837枚、ビーオブエー証券が1416枚、サスケハナ・ホンコンが1054枚、SMBC日興証券が752枚、みずほ証券が546枚だった。
ドル円は来週の日米協議での円安是正への警戒感がから3日連続で下値を広げる動きとなっている。米中の関税の大幅引き下げを好感した上昇幅を全部吐き出し、週末の本日は下げが一段落する可能性はあるが、戻りの鈍い動きが見込まれる。
来週の20-22日にカナダで主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議を開く予定で、個別会談があるとすれば 22日以降になりそうだ。それまでは円買い圧力がかかりやすい。加藤財務相はG7でベッセント財務長官との個別会談実施で調整していることを明らかにし、為替について協議する意向を示している。
今週、前半米中協議の進展を好感する動きとなるも、ドル高に振れる動きは限られた。米中協議の進展から米国のスタグフレーション懸念はやや和らぎ、早期の利下げ期待も後退したが、米景気減速への懸念が根強いことも一因か。今週、米国では4月の消費者物価指数(CPI)、卸売物価指数(PPI)、小売売上高などが発表された。一部の関税が発動され、インフレ加速の兆候が現れることも予想されたが、物価統計はともにインフレ減速が確認された。また、消費も駆け込みがあった自動車や、ガソリンを除いたものでは伸び悩みが確認され、低調な製造業景況感や雇用情勢が示された。本日のNYタイムでは4月の住宅データや5月ミシガン大学消費者態度指数・速報値などの発表が予定されている。さえない結果となれば、米経済の先行きへの不安でドルに売り圧力が強まる可能性がある。
・想定レンジ上限
ドル円、日足一目均衡表・雲の下限146.46円近辺が上値めど。
・想定レンジ下限
ドル円、9日安値144.83円や日足一目均衡表・基準線144.27円近辺が下値めど。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券では、25年1-3月期GDP1次速報を受けてリポートしている。実質GDPは前期比年率-0.7%と4四半期ぶりに減少した。三菱UFJMSでは、前四半期の反動などによる輸入増加が主な背景と指摘。輸入の低下が目立った前期24年4Q、そして今回25年1QのGDP成長率を均すと年率でおよそ+0.9%となり、潜在成長率をやや上回る程度の成長と解釈可能と捉えている。また、日銀の利上げストーリーが今回のデータで追加的に後退するわけではないと考えている。
今晩は底堅い展開か。昨日は先週末に米中が関税を90日間停止することで合意したことを好感する流れが続く中、米4月生産者物価指数(PPI)が予想に反して前月比で低下したことを受けて米10年債利回りが低下したことも追い風となりS&P500が0.41%高と4日続伸し、ダウ平均も271.69ドル高(+0.65%)と3日ぶりに反発した。一方、足もとで大きく上昇したハイテク株の一角が利益確定売りに押されナスダック総合が0.18%安と7営業日ぶりに反落した。
今晩の取引では貿易問題での米中の緊張緩和や、インフレ低下を受けた米10年債利回りの低下を背景に引き続き底堅い展開が期待されるが、ダウ平均が週初から1073.37ドル高(+2.60%)、S&P500が4.54%高、ナスダック総合が6.60%高とそろって大幅に上昇したことで、週末を控えた持ち高調整の動きが上値の圧迫要因となりそうだ。経済指標では4月住宅着工件数、5月ミシガン大消費者信頼感指数速報値が発表され、足もとの景気動向が注目されるほか、インフレ見通しを巡ってはミシガン大が併せて発表する1年先・5年先期待インフレ率速報値にも要注目となる。
今晩の米経済指標・イベントは4月建設許可件数、4月住宅着工件数、4月輸入物価、5月ミシガン大消費者信頼感指数速報値、同1年先・5年先期待インフレ率速報値など。主要な企業の決算発表はなし。
日経平均株価は小幅安。売り優勢の時間帯が続いたが前場終盤から下げ幅を縮小する展開となり、ほぼ横ばいで終える格好となった。前日同様、100日移動平均線(37572円 5/16)をサポートに底堅い動きが続いた。
RSI(9日)は前日の82.0%→78.7%(5/16)に低下。来週初も上昇のハードルは高くなるが、短期的な相場の見方に変化はない。短期の10日移動平均線(37395円 同)上を維持しながら微調整の範ちゅうにとどまっており、4/7安値(30792円)を起点とした目先波動は上昇継続の判断となる。
終値ベースで3/26につけた急落前の戻り高値(38027円)を更新したことで、パターン分析では4月前半の安値を先端に「スパイクボトム(V字)」を確認した。短期的な下押しは想定内としながらも、意外高の想定も必要になってくる。
上値メドは、心理的節目の38500円や39000円、2/13高値(39581円)、心理的節目の4万円、1/24高値(40279円)などがある。下値メドは、100日移動平均線、10日移動平均線、75日移動平均線(37008円 同)、心理的節目の36500円や36000円、25日移動平均線(35645円 同)などがある。
(16日終値:17日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=145.91円(16日15時時点比△0.70円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.62円(▲0.25円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1145ドル(▲0.0070ドル)
FTSE100種総合株価指数:8684.56(前営業日比△50.81)
ドイツ株式指数(DAX):23767.43(前営業日比△71.84)
10年物英国債利回り:4.649%(▲0.011%)
10年物独国債利回り:2.590%(▲0.032%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
1-3月期スイス鉱工業生産
(前年同期比) 8.5% 2.1%・改
3月ユーロ圏貿易収支
(季調済)279億ユーロの黒字 227億ユーロの黒字・改
(季調前)368億ユーロの黒字 240億ユーロの黒字
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は底堅い動き。米関税措置を巡る3回目の日米交渉を来週に控え、円安是正議論への思惑が広がる中、欧州勢が円買い・ドル売りで参入すると一時144.92円と日通し安値を付けた。ただ、9日の安値144.83円がサポートとして働くと買い戻しが優勢に。独DAXが史上最高値を更新するなど、欧州株相場が堅調に推移したことも相場を下支えした。
NYの取引時間帯に入ると一段と買いが強まった。23時発表の5月米ミシガン大学消費者態度指数速報値は50.8と予想の53.4を下回ったものの、同時に発表された1年先の期待インフレ率が7.3%、5-10年先が4.6%といずれも予想を上回ると全般ドル買いが活発化。アジア時間に付けた145.72円を上抜けて、1時過ぎに一時146.10円まで上値を伸ばした。
なお、主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時101.26まで上昇した。
・ユーロドルはさえない。市場の関心が高い米関税政策に関する目新しい材料が出ていないこともあり、しばらくは狭い範囲でのもみ合いが続いた。NY市場に入ると、米ミシガン大学が発表した期待インフレ率が予想を上回ったことを受けて全般ドル買いが優勢に。米長期金利が上昇に転じたこともドル買いを促し、前日の安値1.1170ドルを下抜けて一時1.1131ドルまで値を下げた。
・ユーロ円は上値が重かった。欧州株相場の上昇を背景にリスク・オンの円売り・ユーロ買いが出ると一時163.11円と日通し高値を付けたものの、ユーロドルの下落につれた売りが出ると162.55円付近まで下押しした。
・ロンドン株式相場は続伸し、3月26日以来の高値で取引を終えた。前日の米長期金利の低下などを受け、英株にも買い安心感が広がった。このところ株価水準が切り下がっていたアストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株に値ごろ感からの買いが入った。ユニリーバやブリティッシュ・アメリカン・タバコなど生活必需品株も値上がりした。
・フランクフルト株式相場は続伸し、史上最高値を更新した。前日の米長期金利の低下などが好感されて買いが優勢となった。英国やフランスなど欧州の他の主要な株式相場が上昇したことも相場の支援材料。個別ではラインメタル(2.44%高)やドイツ証券取引所(1.50%高)、ボノビア(1.44%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は上昇。
(16日終値)
ドル・円相場:1ドル=145.70円(前営業日比△0.03円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.64円(▲0.33円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1163ドル(▲0.0024ドル)
ダウ工業株30種平均:42654.74ドル(△331.99ドル)
ナスダック総合株価指数:19211.10(△98.78)
10年物米国債利回り:4.48%(△0.05%)
WTI原油先物6月限:1バレル=62.49ドル(△0.87ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3187.2ドル(▲39.4ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月米住宅着工件数
136.1万件 133.9万件・改
建設許可件数
141.2万件 148.1万件・改
4月米輸入物価指数
(前月比) 0.1% ▲0.4%・改
5月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値)
50.8 52.2
3月対米証券投資動向
短期債を含む 2543億ドル 2489億ドル・改
短期債を除く 1618億ドル 1129億ドル・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は4日ぶりに小反発。5月米ミシガン大学消費者態度指数速報値は50.8と予想の53.4を下回ったものの、同時に発表された1年先の期待インフレ率が7.3%上昇、5-10年先が4.6%上昇といずれも予想を上回ったことから全般ドル買いが先行した。アジア時間に付けた145.72円を上抜けると、1時過ぎに一時146.10円まで上値を伸ばした。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時101.26まで上昇した。
ただ、引けにかけては伸び悩む展開に。米関税措置を巡る3回目の日米交渉を来週に控えて、円安是正議論への思惑が広がる中、146円台では戻り売りなどが出たようだ。米格付け会社ムーディーズが米国の信用格付けを「AAA」から「AA1」に引き下げたことも相場の重し。
・ユーロドルは反落。米ミシガン大学が発表した期待インフレ率が予想を上回ったことを受けて全般ドル買いが優勢となった。米長期金利が上昇に転じたこともドル買いを促し、前日の安値1.1170ドルを下抜けて一時1.1131ドルまで値を下げた。
ただ、引けにかけては1.1166ドル付近まで下げ渋った。ムーディーズによる米国格下げがドル売りを促した。
・ユーロ円は続落。独DAXが史上最高値を更新するなど、欧州株相場が堅調に推移したことを受けて、欧州市場では一時163.11円と日通し高値を付けた。ただ、NY市場に入るとユーロドルの下落につれた売りが出たため、162.53円付近まで下押しした。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は続伸。米関税を巡る交渉が進展し、世界経済が悪化するとの懸念が後退する中、買いが優勢となった。足もとで急落していたユナイテッドヘルス・グループが反発し、1銘柄でダウ平均を100ドル超押し上げた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は反発した。
・米国債券相場で長期ゾーンは反落。米ミシガン大学が発表した期待インフレ率が予想を上回ったことを受けて売りが先行。米格付け会社ムーディーズが米国の信用格付けを「AAA」から「AA1」に引き下げたことが伝わると売りが加速した。
・原油先物相場は3日ぶりに反発。昨日は米・イラン核合意の観測が中東の緊張緩和を意識させ、同地域からの原油供給活発の期待を高めた。しかし米・イランの関係性に依然として不透明感があり、週引けを前に昨日の下落に対する見直しの動きが小幅に進んだ。
・金先物相場は反落。貿易摩擦激化への懸念が緩和するなか、安全資産とされる金は売られやすかった。米金利上昇・ドル買いの動きも、金利がつかない資産である金の相対的な投資妙味低下や、ドル建て金相場の換算値押し下げにつながった。
SMBC日興証券では、日本工作機械工業会が発表した4月の工作機械受注速報を受けてリポートしている。内需は5カ月連続で前年同月比プラスであったが4月にマイナスに転じており、自動車を中心に再度需要が弱含んでいるとSMBC日興では考えている。外需は7カ月連続で前年同月比プラス。
(1)中国では引き続き更新投資への補助金効果で需要が押し上がっていること、
(2)米国は引き続き航空機中心に改善傾向であること、
(3)欧州は力強さに欠けるもボトム圏であること
―の3点が背景にあるとSMBC日興では推測している。
米格付け会社ムーディーズは16日、米国の信用格付けを「AAA」から「AA1」に引き下げたと発表した。なお、見通しは「安定的」とした。
16日08:44 加藤財務相
「米韓協議についてはノーコメント」
「前回の協議で合意した点に基づき、ベッセント米財務相と為替問題について協議」
16日09:45 植田日銀総裁
「中央銀行の独立性は、物価安定実現のため重要」
「利上げ過程で赤字が発生しても、長期的には収益が出てくる」
16日10:39 赤沢経済再生相
「米国との次回閣僚協議の準備を進めている」
「昨日の関税タスクフォース会合では今後の交渉進め方を議論した」
「農業を犠牲にした米国との通商合意はあり得ない」
「米関税措置、今後も新しいもの出てくること想定される状況」
「1-3月期個人消費には米関税措置の影響出ているようにはみえない、今後統計など幅広く注意していく」
「米の日米貿易協定見直し報道、承知しているがコメントしない」
「米関税措置、日米貿易協定との整合性に重大な懸念があるとは従来から申し上げている」
16日11:43 台湾行政院副院長
「米国との貿易協議には、為替は含まれていない」
16日13:07 中村日銀審議委員
「金融政策については、当面は現状維持が適当」
「現時点では米国の関税政策の影響が広く懸念され、企業業績や設備投資、賃上げの状況等を丁寧に把握していく必要がある」
「不確実性が極めて高くなっているので、経済の回復状況に応じた慎重な金融政策運営が適当である」
16日14:16 カザークス・ラトビア中銀総裁
「利下げを急ぐ必要はない」
「次回会合を巡る市場の織り込みは比較的適切」
「見通し通りならば、中立金利に接近していく」
「貿易を巡る緊張度合いは、緩和していく見通し」
「浅く短いリセッション(景気後退)に陥るリスクは残されている」
16日15:02 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「通貨戦争に陥っているとは思わない」
16日15:17 鄭仁教・韓国通商交渉本部長
「グリア米通商代表部(USTR)代表との協議で為替は取り上げられなかった」
16日16:21 ベッセント米財務長官
「対米直接投資誘致で異例の成果」
16日20:23 シュレーゲル・スイス国立銀行(SNB)総裁
「スイスでリセッションは予想していない」
「我々は物価の安定を脅かすフランの過大評価を抑えるためだけに行動した」
「スイスは為替操作国ではない」
16日21:51 トランプ米大統領
「今後数週間で関税率を設定する」
※時間は日本時間
19日
○13:30 ◇ 3月第三次産業活動指数
21日
○08:50 ◎ 4月貿易統計(通関ベース)
22日
○08:50 ◎ 3月機械受注
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○10:30 ◇ 野口旭日銀審議委員、あいさつ
23日
○08:30 ☆ 4月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合)
○08:30 ☆ 4月全国CPI(生鮮食料品・エネルギー除く)
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
18日
○ポルトガル総選挙
○ポーランド大統領選
19日
○06:20 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、あいさつ
○07:45 ◎ 1-3月期ニュージーランド(NZ)卸売物価指数(PPI)
○11:00 ◎ 4月中国鉱工業生産
○11:00 ◎ 4月中国小売売上高
○18:00 ☆ 4月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値
○18:00 ☆ 4月ユーロ圏HICPコア改定値
○21:30 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、あいさつ
○21:45 ◎ ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)副議長、討論会に参加
○23:00 ◎ 4月米景気先行指標総合指数
○20日02:15 ◎ ローガン米ダラス連銀総裁、討論会に参加
○トルコ(青年とスポーツの日)、カナダ(ビクトリア・デー)、休場
20日
○13:30 ☆ 豪準備銀行(RBA)政策金利発表
○15:00 ◇ 4月独生産者物価指数(PPI)
○15:55 ◎ ウンシュ・ベルギー中銀総裁、講演
○17:00 ◇ 3月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
○17:00 ◎ ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演
○18:00 ◇ 3月ユーロ圏建設支出
○21:30 ◎ 4月カナダ消費者物価指数(CPI)
○23:00 ◎ 5月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値)
○21日02:00 ◎ ムサレム米セントルイス連銀総裁、講演
○主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議(カナダ・バンフ、22日まで)
○07:45 ◎ 4月NZ貿易収支
○08:00 ◎ ハマック米クリーブランド連銀総裁、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○15:00 ◎ 4月英CPI
○15:00 ◎ CPIコア指数
◇ 小売物価指数(RPI)
○17:00 ◎ 4月南アフリカCPI
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○20:00 ◇ 3月南アフリカ小売売上高
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○22日01:00 ◎ レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○22日02:00 ◎ 米財務省、20年債入札
22日
○09:00 ◎ 1-3月期シンガポール国内総生産(GDP)確定値
○15:45 ◇ 5月仏企業景況感指数
○16:00 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○16:15 ◎ 5月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値
○16:15 ◎ 5月仏サービス部門PMI速報値
○16:30 ◎ 5月独製造業PMI速報値
○16:30 ◎ 5月独サービス部門PMI速報値
○17:00 ◎ 5月独Ifo企業景況感指数
○17:00 ◎ 5月ユーロ圏製造業PMI速報値
○17:00 ◎ 5月ユーロ圏サービス部門PMI速報値
○17:20 ◎ ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○17:30 ◎ 4月香港CPI
○17:30 ◎ 5月英製造業PMI速報値
○17:30 ◎ 5月英サービス部門PMI速報値
○19:50 ◎ ブリーデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○20:00 ◎ ディングラ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○20:30 ☆ ECB理事会議事要旨(4月17日分)
○21:00 ◎ 1-3月期メキシコGDP確定値
○21:30 ◇ 4月カナダ鉱工業製品価格
○21:30 ◇ 4月カナダ原料価格指数
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数
○22:45 ◎ 5月米製造業PMI速報値
○22:45 ◎ 5月米サービス部門PMI速報値
○22:45 ◎ 5月米総?⑰MI速報値
○23:00 ◎ 4月米中古住宅販売件数
○23日03:30 ◎ マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁、会見
23日
○07:45 ◎ 1-3月期NZ小売売上高
○08:01 ◇ 5月英消費者信頼感指数(Gfk調査)
○14:00 ◎ 4月シンガポールCPI
○15:00 ☆ 1-3月期独GDP改定値
○15:00 ◎ 4月英小売売上高
○15:45 ◇ 5月仏消費者信頼感指数
○21:00 ◇ 4月メキシコ貿易収支
○21:30 ◎ 3月カナダ小売売上高
○23:00 ☆ 4月米新築住宅販売件数
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
◆豪ドル、RBAの金融政策に注目
◆豪ドル、金利先物市場では金利先安観が後退
◆ZAR、米・南ア首脳会談に注意
予想レンジ
豪ドル円 91.00-96.00円
南ア・ランド円 7.80-8.30円
5月19日週の展望
豪ドルは神経質な動きが予想される。来週の注目イベントは19-20日に予定されている豪準備銀行(RBA)の政策決定理事会。直近で発表された1-3月期消費者物価指数(CPI)は前年比2.4%と市場予想(2.3%)をわずかに上回ったものの、RBAのインフレ目標(2-3%)内には収まった。コア指数も前年比2.9%と同じくインフレ目標内で落ち着いており、市場では2月以来の0.25%利下げが実施されるとの見方が優勢となっている。
注目となるのは今後の金融政策方針。金利先物市場では今回も含めて年内に計3回程度の利下げ(合計0.75%分)を織り込んでいる状況だが、前週までは計4回以上の利下げを織り込んでいた。これまでは米中貿易摩擦の影響で豪経済が減速するとの思惑が広がっていたが、米中貿易協議で90日間の関税大幅引き下げが合意に至ったため、金利先物市場でもシナリオの修正を迫られた格好だ。こうした外部環境の変化や国内のインフレ見通しなどに関して、RBAがどのような見解を示すか注意してみていく必要があるだろう。
また、豪ドル円も含めたクロス円全般の動向を左右する材料として、日米財務相会談にも注意が必要だ。今週は韓国が「米国との為替協議が行われたことを確認」と言及したことから、日米交渉での円安是正議論への思惑が高まり、円買いへとつながる場面があった。ここまでの流れから考慮すると、米国側がはっきりと円安ドル高の是正を求める可能性は決して高くないと思われるが、思惑的な動きも含めて円相場全般が振らされるリスクには警戒しておきたい。
隣国のニュージーランド(NZ)では19日に1-3月期卸売物価指数(PPI)、21日に4月貿易収支、23日に1-3月期小売売上高の発表が予定されている。いずれもNZドル相場への影響は限られる見込みだが、翌週(28日)にNZ準備銀行(RBNZ)の金融政策公表が控えていることもあり、1-3月期 PPIで直前のインフレ動向は確認しておきたい。
また、南アフリカ・ランド(ZAR)は荒い値動きに注意。来週は米ワシントンでラマポーザ南ア大統領とトランプ米大統領による首脳会談が予定されており、注目を集めそうだ。南アと米国間では現在、南ア国内の白人農業者の扱いを巡って対立が深まっている。米国による関税問題も絡んだ会談は今後の南ア政治・経済状況にも大きな影響を及ぼす可能性が高く、成功裏に終わらなければZAR売り材料となる可能性が高いだろう。なお、来週は南アから21日に4月CPIや3月小売売上高などの発表も予定されている。
5月12日週の回顧
豪ドルは対円で買いが先行。13日には3月中旬以来の高値を更新する場面があったが、その後はドル円の失速に伴って上値が重くなった。ZARは底堅く推移。国営電力会社エスコムが発電所の故障で計画停電を実施したことから弱含む場面も見られたが、南ア準備銀行(SARB)と財務省がインフレ目標フレームの変更を近々行うと報じられると買い戻しが入った。
◆ポンド、英インフレや景気指標に注目
◆加ドル、CPIと小売売上高が相場の材料に
◆日米財務相会談、「円安是正」についての議論されるかに注視
予想レンジ
ポンド円 191.00-196.00円
加ドル円 102.50-106.50円
5月19日週の展望
来週は20日から22日までカナダ西部バンフで先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議が開催される。そこで加藤財務相がベッセント米財務長官と会談する見込みとされ、市場に思惑が燻る「円安是正についての議論」が実際に行われるのかが、クロス円にも影響するだろう。
英国内からは、週半ば以降に発表されるインフレデータや景気指標が材料視されそうだ。英消費者物価指数(CPI)は前年比2%台で減速基調が続いていたが、21日発表の4月分は「電気・ガス・水道料金の値上げと雇用主への増税」で加速が見込まれている。今週発表された英雇用データでは1-3月の週平均賃金が減速したものの、伸び率は5%台で高止まりしていた。5月の英中銀会合後、複数の当局者から「賃金上昇率の高止まり」を指摘する声が聞かれている。インフレ期待の上昇も警戒されつつあるなか、今回のCPIが想定以上に上振れすれば、「年末までに英中銀は2回の追加利下げ」という市場の織り込み度が後退するだろう。
22日には英製造業とサービス部門の5月購買担当者景気指数(PMI)速報値が発表予定。前月分の製造業PMIは改定値で上方修正され、底打ち感が出始めた。4月サービス部門改定値も景況判断の境目50に迫っている。今回で、英米貿易協定を受けたセンチメント改善の流れが強化されるか注目したい。また週末には、前回強かった英小売売上高の4月分が発表される。
カナダでは、カーニー首相が先月の総選挙勝利を受けて新内閣を立ち上げた。閣僚の半数以上が初入閣だったものの、重要ポストである財務相はシャンパーニュが続投、国際貿易相として対米交渉を担っていたルブラン氏は、カナダ・米国貿易担当相に就任した。新内閣が今後、トランプ政権とどのような関係性を構築していくのかが注視される。カナダ経済が、隣国であり世界最大の経済大国である米国への依存から脱却できるか、カーニー首相の手腕が問われている。
カナダは来週、19日がビクトリアデーで祝日、経済指標は20日に4月CPI、23日には3月小売売上高が発表予定。前月のCPIは前年比で予想を下回り、2.3%まで減速した。もっとも、カナダ中銀が注視するCPI中央値やトリムは高止まり傾向。市場は、来月の中銀会合で0.25%利下げを見込んでいるが、コア指数の結果次第では市場の気迷いに繋がるかもしれない。3月小売売上高は、総合で2カ月続いた前月比マイナスから抜け出せるかがポイントとなるだろう。
5月12日週の回顧
ポンドや加ドルは対円で買い先行。スイスで行われた閣僚級の米中貿易交渉が合意に達し、リスク志向ムードが広がった。ポンド円は1月初旬以来の高値196.41円、加ドル円が106円前半まで値を上げた。もっとも、一巡後はドル円の失速につれて売り戻しが優勢となり、それぞれ193円半ばと104円前後まで週の上げ幅を消す動きとなった。
一方で対ドルでは売り優勢で始まり、ポンドは1.31ドル半ば、加ドルが1.40加ドル前半までドル高に傾いた。ただ一巡後に切り返すと、それぞれ1.33ドル半ば、1.39加ドル付近まで値を戻す場面があった。
◆ドル円、日米財務相会談での円安是正議論への思惑高まる
◆ドル円、日米貿易協定の見直しにも警戒
◆ユーロドル、欧米交渉の続報やユーロ圏指標に注目
予想レンジ
ドル円 143.00-148.50円
ユーロドル 1.0900-1.1300ドル
5月19日週の展望
ドル円は、日米通商交渉を控えて神経質な展開となるだろう。「第3回目となる日米関税交渉を行うため、赤沢経済再生相が来週後半にも訪米を検討している」との報道が伝わっており、同時に加藤財務相もベッセント財務長官と会談する予定となっている。「5日に米財務次官補とウォン相場について協議した」と韓国企画財政省報道官が14日に明らかにしたことで、日米財務相会談で「円安是正について議論されるのでは」との思惑が広がっている。そのため、週後半までドル円は上値が重くなることが想定される。ただ、思惑が先行しているだけに、踏み込んだ議論がされていないことが分かれば、逆に大きく買い戻されるリスクがあることには十分警戒すべきだろう。
為替についての議論の他にも注意すべき点としては、米国側が日米貿易協定の見直しを視野に入れている可能性があることだろう。第1次トランプ政権時だった2020年1月に牛肉など米国産農産品の関税が引き下げられたが、米国側はこの点について見直しを要求する必要性を示しているという。現時点で日本側は協定見直しについては想定しておらず、事実ならば協議が難航しそうだ。
来週は米国では22日に5月購買担当者景気指数(PMI)速報値や4月中古住宅販売件数、23日に4月新築住宅販売件数と指標自体は少ないが、PMI速報値については直近の景況指数の為、予想と乖離すればドルは反応しやすいだろう。
ユーロドルは今週、欧米関税交渉に関する新たな情報は伝わっておらず、新規の手掛かり材料に乏しいことから方向感が定まらなかった。欧米交渉に絡んだ続報を待ちつつ、経済指標としては、22日に各国の5月PMI速報値や5月IFO企業景況感指数の結果を見極めたい。足元ではユーロ圏の成長鈍化が指摘されており、指標内容次第では6月・7月会合での利下げ観測が一段と高まりそうだ。
5月12日週の回顧
ドル円は上値が重い。週末に開催された閣僚級の米中貿易協議で進展があったことを受けて買いが先行。「米中両国が関税の大幅な引き下げで合意」との共同声明が明らかになると148.65円まで急伸した。ただ、一巡後は戻り売りが優勢に。日米交渉で円安是正議論への思惑が浮上したことも嫌気され一時145.26円まで売り込まれた。
ユーロドルは一進一退。ドル円の急騰に伴って1.1065ドルまで下げたが、ドル円が反落すると1.1266ドルまで反発。一方で、一段と買い上げる材料にも乏しく、上値は限られるなど方向感が定まらなかった。
16日の日経平均は小幅に3日続落。終値は1円安の37753円。まちまちの米国株を受けて、寄り付きは1桁の下落。大型グロース株が弱く、序盤は下を試しにいった。下げ幅を200円超に広げて37500円を割り込んだところで売りが一巡。10時以降は緩やかに値を戻し、前場は2桁の下落で終えた。下値不安が和らいだことで、後場にはプラス圏に浮上する場面もあった。ただ、戻し切った後にさらに上を追う動きにはならなかった。終盤にかけては前日終値近辺でのもみ合いが続き、ほぼ横ばいながら下落で終えた。TOPIX、グロース250指数は上昇した。
東証プライムの売買代金は概算で4兆4700億円。業種別では繊維、海運、金属製品などが上昇した一方、サービス、鉱業、電気機器などが下落した。前期は営業黒字を達成し、今期は大幅増益を見込んでいるコンヴァノ<6574.T>に買いが殺到。場中は値が付かずストップ高比例配分となった。半面、株主優待の廃止を決定したラックランド<9612.T>が急落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり858/値下がり705。サンリオが商いを伴って急伸。決算を発表した三菱UFJが高寄り後は伸び悩んだもののプラスで終え、売買代金は全市場でトップとなった。中期経営計画の数値を引き上げた東和薬品や、上期が大幅増益となったサイバーエージェントが急騰。Jフロント、松屋、高島屋など百貨店株に非常に強い動きが見られた。
一方、レーザーテック、東京エレクトロン、ディスコなど半導体株の多くが下落。米国で決算を発表したアプライド・マテリアルズが時間外で大幅安となったことが嫌気されたもよう。ナスダック安を受けて、リクルートやソニーGなどグロース系の銘柄が弱かった。決算が失望材料となった野村マイクロやチェンジHDが急落。通期の見通しを大幅に引き下げたSchooがストップ安比例配分となった。
今週、日経平均は週間で0.7%高、TOPIXは0.3%高となった。それに対して、グロース250指数は4.3%高と大幅上昇。年初来高値を更新し、今週は負けなしで16日まで6日続伸した。16日の終値は713.84p。700pを突破した後に上昇に弾みがついている。TOPIXの連続上昇は14日に途切れたが、受け継ぐかのようにグロース250指数の動きが良くなってきた。サイバーセキュリティ、ドローン、生成AI、宇宙関連などテーマ性のある新興銘柄は、きっかけ一つでいつ人気化しても不思議はない。東証スタンダード指数も1300p台を回復して、3月につけた上場来高値の1319.68pに接近してきた。目先はこれらの指数の動きに注目しておきたい。
【来週の見通し】
不安定な展開か。決算発表が概ね出そろい、個別の材料は少なくなる。20~22日にカナダでG7財務大臣・中央銀行総裁会議が開催されるが、これ以降に日米の3回目の協議が調整されていると伝わっており、大型株は手がけづらくなると思われる。ドル円動向にも神経質となりそうで、関連ニュースに振らされながら強弱感が交錯した状態が続くと予想する。
今週の日経225先物は、目先は過熱を冷ます調整が意識されやすいが、押し目待ち狙いのロングが入りやすく、底堅い相場展開が見込まれる。先週は週初に米国と中国が互いの追加関税引き下げで合意し、米中貿易摩擦に対する警戒感が後退。トランプ米大統領は今後90日間の交渉期間で合意できなかったとしても、関税を再び145%に引き上げることはないと述べた。今後の協議進展への期待が高まり、日経225先物は5月13日には3万8790円(ナイトセッションを含む)まで買われる場面があった。
ただし、3月26日につけた直近の戻り高値(3万7970円)をギャップアップで一気に突破し、2月下旬以来の水準を回復してきたことで短期的な過熱感も強まった。為替市場で円相場が一時1ドル=144円台と円高に振れて推移していたことも重荷となり、週半ば以降は利益確定に伴うロング解消の動きが優勢だった。
日経225先物は週後半にかけての調整で3万8000円を割り込んだが、200日移動平均線(3万7440円)が支持線として意識されている。ボリンジャーバンドは上向きで推移しているが、5月に入ってからは+1σと+2σによるレンジに沿った形でリバウンドをみせていた。13日に+2σを突破した後の調整で+1σ(3万7430円)水準まで下げてきたが、+1σと200日線が支持線となるため、押し目待ち狙いのロングを誘う可能性がある。
一方、米格付け会社ムーディーズ・レーティングスは16日、米国の信用格付けを最上位の「Aaa」から「Aa1」に1段階引き下げたと発表。また、同日発表された5月の米ミシガン大学消費者信頼感指数は50.8と市場予想(53.4程度)を下回り、2022年6月以来の低水準だった。1年先の予想インフレ率は7.3%と4月(6.5%)から上昇するなど、トランプ政権の関税政策やインフレ圧力の高まりが警戒されやすい。
トランプ大統領は、今後2~3週間のうちに貿易相手国に対し新たな関税率を一方的に通知する考えを示したと報じられている。多くの国が合意締結を望んでおり、全ての国と協議するだけの時間がないことを理由に挙げている。日本は協議を進めることで合意しているため問題はないものの、積極的な売買を手控えさせる一因となる可能性がある。どの国が対象となるかは不明であり、トランプ氏のSNS投稿などを受けたアルゴリズム発動によるショートには注意しておく必要があろう。
もっとも、先週で決算発表が一巡したことにより、売買を手控えていた国内の機関投資家も動きやすくなったとみられる。決算発表が本格化した4月半ば以降、日経225先物は3万4200円水準から5月13日の3万8790円へと、これといった押し目を作らずに上昇してきた。週間形状では5週連続で陽線を形成し、52週線を一時突破してきたため、買い遅れている機関投資家による押し目狙いのロングが意識される。
週後半には、赤沢亮正経済再生担当大臣が米関税措置を巡り、ワシントンで3回目の閣僚協議を行う予定である。前週に米国と英国が貿易協定の締結で合意したことで、協議進展への期待が高まっている。交渉に進展がみられるようだと、ロングの動きが強まる可能性がある。そのほか、22日には米国や欧州各国では5月の製造業・サービス部門購買担当者景気指数(PMI)の発表が予定されており、結果を受けた為替動向には注意しておきたい。
16日の米VIX指数は17.24(15日は17.83)に低下した。先週は米中関税合意を受けて、9日の21.90から週明け12日には200日線を下抜け、18.39と判断の分かれ目となる20.00を一気に割り込んだ。その後も200日線が抵抗線として機能する形での推移を継続。3月26日の直近安値である16.97が射程に入るなかで、リスク選好の状況が続きそうだ。
先週末のNT倍率は先物中心限月で13.76倍(15日は13.79倍)に低下。14日に一時13.86倍まで上昇し、75日線を突破する場面もみられた。その後は短期的な過熱感から東京エレクトロン<8035.T>[東証P]やアドバンテスト<6857.T>[東証P]など、指数インパクトの大きい値がさハイテク株の一角が利食いに押され、低下傾向となった。+2σ(13.82倍)を挟んだ+1σ(13.72倍)と+3σ(13.91倍)とのレンジのなかで、週末に一時13.72倍と+1σ水準まで下げてきたことで、リバランスを想定したNTロングでのスプレッド狙いが入りやすいところだろう。
5月第2週(5月7日-9日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では4週連続の買い越しであり、買い越し額は5830億円(5月第1週は2192億円の買い越し)だった。なお、現物は3570億円の買い越し(同3946億円の買い越し)と6週連続の買い越しであり、先物は2259億円の買い越し(同1753億円の売り越し)と2週ぶりの買い越し。個人は現物と先物の合算で4089億円の売り越しと5週連続の売り越し。信託銀行は現物と先物の合算で3505億円の売り越しとなり、3週連続の売り越しだった。
主要スケジュールでは、19日に中国4月鉱工業生産指数、中国4月小売売上高、米国4月コンファレンス・ボード景気先行指数、エヌビディアのジェンスン・フアンCEOが「COMPUTEX 2025」基調講演、20日にG7財務相・中央銀行総裁会議(~22日)、21日に4月貿易収支、国会で党首討論、22日に3月機械受注、米国5月製造業PMI、23日に4月全国消費者物価指数、米国4月新築住宅販売件数などが予定されている。
<国内>
○13:30 ◇ 3月第三次産業活動指数(予想:前月比▲0.2%)
<海外>
○07:45 ◎ 1-3月期ニュージーランド(NZ)卸売物価指数(PPI)
○11:00 ◎ 4月中国鉱工業生産(予想:前年比5.7%)
○11:00 ◎ 4月中国小売売上高(予想:前年比5.9%)
○18:00 ☆ 4月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比2.2%)
○18:00 ☆ 4月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比2.7%)
○18:30 ◎ ミュラー・エストニア中銀総裁、講演
○21:30 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、あいさつ
○21:45 ◎ ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)副議長、討論会に参加
○21:45 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○23:00 ◎ 4月米景気先行指標総合指数(予想:前月比▲1.0%)
○20日02:15 ◎ ローガン米ダラス連銀総裁、討論会に参加
○20日02:30 ◎ カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、質疑応答
○トルコ(青年とスポーツの日)、カナダ(ビクトリア・デー)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 37800 +30 (+0.07%)
TOPIX先物 2747.0 +3.5 (+0.12%)
シカゴ日経平均先物 37995 +225
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
16日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。足もとで下落基調が続いていたユナイテッドヘルス・グループ<UNH>が9日ぶりに買われ、NYダウを押し上げる形になった。米国と欧州連合(EU)が関税交渉で膠着状態から脱却したとの一部報道が材料視された。ただし、5月の米ミシガン大学消費者信頼感指数は50.8と市場予想(53.4程度)を下回り、2022年6月以来の低水準だった。1年先の予想インフレ率は7.3%と4月(6.5%)から上昇するなど、トランプ政権の関税政策やインフレ圧力の高まりが警戒され、上値の重さも意識された。
S&P500業種別指数は、ヘルスケア機器・サービス、自動車・同部品、医薬品・バイオテクノロジー、食品・生活必需品小売、公益事業が上昇。一方で、エネルギー、半導体・同製造装置の2セクターが小幅に下落した。NYダウ構成銘柄では、ユナイテッドヘルス・グループのほか、スリーエム<MMM>、ウォルマート<WMT>、メルク<MRK>、マクドナルド<MCD>、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>が買われた。半面、シスコシステムズ<CSCO>、ボーイング<BA>、シェブロン<CVX>、アップル<AAPL>が弱い。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比225円高の3万7995円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは日中比60円高の3万7830円で始まった。3万7940円まで買われた後は軟化し、米国市場の取引開始直後には3万7740円まで売られる場面もあった。その後はロング優勢の流れとなり、終盤にかけて3万8000円まで上昇。引け間際に弱含み、3万7800円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや買い先行で始まりそうだ。米格付け会社ムーディーズ・レーティングスは16日、米国の信用格付けを最上位の「Aaa」から「Aa1」に1段階引き下げたと発表。また、トランプ米大統領は、今後2~3週間のうちに貿易相手国に対し新たな関税率を一方的に通知する考えを示したと報じられている。日本は協議を進めることで合意しているため問題はないものの、積極的な売買を手控えさせる一因となろう。
ただし、週後半には、赤沢亮正経済再生担当大臣が米関税措置を巡り、ワシントンで3回目の閣僚協議を行う予定である。前週に米国と英国が貿易協定の締結で合意したことで、協議進展への期待が高まっているため、押し目待ち狙いのロングは入りやすい。先週で決算発表が一巡したことにより、売買を手控えていた国内の機関投資家も動きやすくなったとみられる。
日経225先物は200日移動平均線(3万7440円)が支持線として意識されている。ボリンジャーバンドは上向きで推移しているが、5月に入ってからは+1σと+2σによるレンジに沿った形でリバウンドを継続。13日に+2σを突破した後の調整で+1σ(3万7430円)水準まで下げてきたが、+1σと200日線が支持線となるため、押し目待ち狙いのロングを誘う可能性があるだろう。
そのため、オプション権利行使価格の3万7500円から3万8000円でのレンジを想定。200日線までの調整を経てリバウンド機運が高まる局面では、3万7750円から3万8250円辺りのレンジに移行するとみておきたい。
16日の米VIX指数は17.24(15日は17.83)に低下した。200日線が抵抗線として機能する形での推移を継続し、判断の分かれ目となる20.00を割り込んでの推移が続いている。3月26日の直近安値である16.97が射程に入るなかで、リスク選好の状況が続きそうだ。
先週末のNT倍率は先物中心限月で13.76倍(15日は13.79倍)に低下。短期的な過熱感から指数インパクトの大きい値がさハイテク株の一角が利食いに押され、14日の13.86倍を戻り高値に低下傾向となった。+2σ(13.82倍)を挟んだ+1σ(13.72倍)と+3σ(13.91倍)とのレンジのなかで、週末に一時13.72倍と+1σ水準まで下げてきたことで、リバランスを想定したNTロングでのスプレッド狙いが入りやすいところだろう。
先週末の海外市場でドル円は、5月米ミシガン大学消費者態度指数速報値の期待インフレ率が予想を上回ったことから全般ドル買いが先行し、146.10円まで上値を伸ばした。ただ、円安是正議論への思惑が広がる中、米格付け会社ムーディーズが米国の信用格付けを引き下げたことも相場の重しになり上値が抑えられた。ユーロドルは、一時1.1131ドルまで弱含んだ後は下げ渋った。
本日の東京時間でドル円は、引き続き上値が重い展開になると予想される。先週は、ドル高・円安是正議論への思惑が高まると、ドル円の上値が重くなった。その後、「米政府は貿易交渉の一部としてドル安を模索してはいない」との一部報道が伝わると、ドルを買い戻すが動きがあったものの値動きは限定的だった。更に16日には、台湾政府高官が「米国との貿易協議には、為替は含まれていない」と発言、鄭仁教・韓国通商交渉本部長も「グリア米通商代表部(USTR)代表との協議で為替は取り上げられなかった」と述べた。日本とともにドル高・自国通貨安是正が考えられる台湾・韓国両国が、為替協議を否定したのにもかかわらず、ドル円は買いで反応することもほぼなく、上値の重いセンチメントが示されている。
今週市場が注目するのは、20-22日にカナダのバンフで開かれる主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議。加藤財務相が「ベッセント米財務長官と来週のG7会合の場で為替協議を検討」と発言したことで、より注目度が増している。ただ、仮にドル高是正などについて話し合いが持たれた場合でも、日米両財務相が公式にドル高是正を発表するのは時期尚早か。
先週に韓国企画財政部の報道官が「米韓通商交渉で為替について協議した」とも発言したが、前述のように韓国通商交渉本部長はUSTR代表との為替についての協議は否定した。基軸通貨としてのドルの権威が失墜しないように、ドル高是正が行われる場合も慎重に期す必要がある。ドル高是正を公表する場合は、日米両国間だけでの発表ではなく、他国とも歩調を合わせて発表される可能性が高そうだ。なお、本日から日経新聞ではプラザ合意40年の特集記事がはじまっている。同紙の特集がドル高是正への地ならしという側面があるとの憶測もあり、今週のG7財務相・中央銀行総裁会議だけでなく、6月15-17日にカナダ・カナナスキスで予定されているG7サミットへ向けて、ドル高是正への思惑は拭えないだろう。
他の注目点としては、先週末のNY引けを前に米格付け会社ムーディーズが米国の信用格付けを「AAA」から「AA1」に引き下げたことの影響を見定める必要がある。格付け会社の発表は、これまでも金曜日のNY引け間際ということもあり、発表された時間はサプライズではなかった。ただ、週末を前に流動性が枯渇していることで、パニック的な動きにならないように、敢えて反応を控えた債券市場参加者もいることが予想される。為替市場は早朝のオセアニア市場で小幅にドル安が進んだが、本日の時間外相場で米債を売ることになるのかを確認する必要がありそうだ。
円以外では、ユーロの値動きにも注目。週末に行われた東欧ルーマニアでの、やり直しとなった大統領選の決選投票では、親EU、親北大西洋条約機構(NATO)路線のダン候補の当選が確実になりつつある。第1回投票では1位だった野党の極右政党、ルーマニア人統一同盟のシミオン党首が敗北を認めれば、欧州圏の安定につながることでユーロの支えになりそうだ。
東京市場は堅調か。先週末の米国株は上昇。ダウ平均は331ドル高の42654ドルで取引を終えた。小高く始まり序盤にはマイナス圏に沈む場面もあったが、中盤以降は強く、終盤に上げ幅を広げて高値圏で終了。直近で売り込まれていたユナイテッドヘルスが大きく上昇し、指数の押し上げにも貢献した。ドル円は足元145円10銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて225円高の37995円、ドル建てが265円高の38035円で取引を終えた。
米国株の引け味が良く、日本株も連れ高すると予想する。ただ、国内は決算発表が先週までで概ね一巡しており、上値を追いには慎重になるだろう。米国ではムーディーズが米国債の格付けを引き下げており、グローバルマーケットの不安要素も出てきている。日経平均は16日まで3日続落しており値ごろ感が出てきている分、買いが優勢になるとみるものの、場中は様子見姿勢の強い動きが続くと予想する。日経平均の予想レンジは37700円-38000円。
米紙『ニューヨーク・タイムズ』は17日、米アップルがアリババ集団(09988)と共同開発した人工知能(AI)を中国市場用のスマートフォン「iPhone」に搭載する計画について、米ホワイトハウスや米議会が数カ月前から調査しているようだと報じた。事情に詳しい関係者によると、両社の提携を通じて中国企業がAI能力を向上させ、中国の検閲を受ける生成AIの利用が拡大する一方、アップルが中国の検閲・データ共有のルールに縛られるリスクを米側は警戒している。
アップルにとって中国市場は売上高の約5分の1を占めるだけに、仮にアリババ集団との提携が破談になれば痛手は大きい見通し。世界で最も規制と競争が厳しい市場である中国でAI機能をiPhoneに組み込むには、中国テック企業の協力が欠かせない状況にある。『ニューヨーク・タイムズ』は、アリババとの提携がなければiPhoneは華為技術(ファーウェイ)や小米集団(01810)の競合機種に後れを取る見通しだと伝えた。
関係者によれば、米ホワイトハウスと米下院中国特別委員会はワシントンでアップル幹部との会合を開き、アリババ集団との提携条件や共有するデータの範囲、中国当局に対する責務の有無などについて問い質した、3月に行われた中国特別委員会でアップルの幹部はほとんどの質問に答えられなかったという。
日経225先物は11時30分時点、前日比140円安の3万7630円(-0.37%)前後で推移。寄り付きは3万7610円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7995円)を下回る形から、売り先行で始まった。直後につけた3万7670円を高値にショート優勢となり、現物の寄り付き直後には3万7510円まで下落幅を広げる場面もあった。ただし、その後は3万7550円~3万7650円辺りでの保ち合いを継続している。
米格付け会社ムーディーズ・レーティングスが米国の信用格付けを引き下げたほか、為替市場ではシカゴ日経平均先物が1ドル=145円台前半と円高に振れて推移していることが重荷となり、ショートが先行した。グローベックスのナスダック100先物が1.0%超の下落で推移していることも神経質にさせたようである。ただし、200日移動平均線(3万7540円)やボリンジャーバンドの+1σ(3万7420円)が支持線として意識されており、底堅さがみられてくる局面においては、押し目待ち狙いのロングを誘う動きが入りやすいだろう。
NT倍率は先物中心限月で13.70倍に低下。一時13.77倍に上昇する場面もあったが、下向きで推移する75日線(13.77倍)に抑えられる形となるなかで、NTショートに振れている。+1σ(13.73倍)を割り込んでおり、25日線(13.63倍)辺りまでの下げが意識されてきそうだ。
中国の国家統計局が19日発表した2025年4月の住宅価格統計によると、主要70都市のうち、新築分譲住宅価格(保障性住宅を除く)が前月比で下落したのは45都市となり、前月から4都市増えた。上昇は22都市で2都市減少。横ばいは3都市だった(前月は5都市)。前年同月比では、下落は67都市と前月から1都市減った。上昇は3都市で前月から1都市増加。横ばいの都市はなかった(前月もなし)。
中国国家統計局の統計に基づいてロイターが算出した4月の主要70都市の新築住宅価格指数は前年同月比4.0%下落し、下げ幅は6カ月連続で縮小した。前月比では同指数は変わらずだった。
規模別では、「一線都市」(北京、上海、広州、深セン)の新築分譲住宅価格は前月比0.1%上昇した(前月も0.1%上昇)。これに次ぐ規模の「二線都市」(31都市)は前月比横ばい(前月も横ばい)。「三線都市」(35都市)は0.2%下落した(前月も0.2%下落)。前年同月比では、一線都市が2.1%下落(前月は2.8%下落)。二線都市は3.9%下落(前月は4.4%下落)、三線都市は5.4%下落(前月は5.7%下落)となった。
先週末のドル円は、アジアと欧州時間に2度145.00円割れをトライしたものの、実需のビッドが厚かったほか、株価の堅調な推移につれて次第に下値を切り上げる展開に。一時145.69円まで買戻されました。アジア時間の高値145.72円が目先の目処として意識されたほか、NY時間に入って5月米ミシガン大消費者態度指数速報値が予想を下回る弱い数字となると145.40円まで下押ししたものの、同時に公表された消費者の期待インフレ率が1年先で7.3%、5‐10年先で4.6%と、あまり目にしたことがないほどの高い数字だったことから、一転して米長期金利が上昇。つれるかたちで146.10円まで値を上げることになりました。ただ、週末の取引が終わる直前になってMDYが米国の格下げを発表。145.57円まで下押ししてNY市場を終えています。
週明け早朝のオセアニア市場では145.55円を高値に下落。仲値にかけて輸出の売りが目立つことになると先週末安値の144.92円や9日の安値144.83円を下抜けて一時144.81円まで売り込まれたわけですが、その後はすぐにも145.30円まで買戻されるなど、神経質な動きが続いています。
いずれにしても、米国格下げについては、市場では「早朝の売り仕掛けだけで大した材料になっていない」との声も聞かれているわけで、現在のトランプ米政権で鍵を握るベッセント米財務長官が「遅行指標である」との見解を示して「全く問題視していない様子」だったところをみても、ダウ平均が先週末の上げ幅を先物で消している以外、目立った反応は見られていないといったところ。米10年債利回りもアジア時間に4.51%台まで上昇してはいるものの、トリプル安というまでの動きとはいえず、あくまでも週明けの需給関係を反映した動きと認識したいところです。目先は一目転換線の位置する145.54円や早朝の高値145.55円がポイントとして意識されています。
週明け早朝から、先週末のNY引けを前に米格付け会社ムーディーズが米国の信用格付けを「AAA」から「AA1」に引き下げたことを背景としたドル売りが先行した。欧州勢参入後もこの動きが蒸し返されるかどうかに注目。米中の関税合戦が緩み、市場の過度な警戒感は緩んだものの、トランプ米政権の関税政策の先行き不透明感が払しょくされていないことや、トランプ関税に市場の悲観的な見方が強いことを鑑みると、「米国売り」再燃の警戒感は残されている。
欧州タイムでは、4月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)の発表が予定されているが、改定値の発表であり、反応は限られそうだ。同速報値は前年比+2.2%と低下予想に反して伸び率は3月と同じとなり、同コアは+2.7%と3月の+2.4%から予想以上に伸びが加速した。関税が今後のインフレ率に大きく影響を与えるだけに、欧州連合(EU)と米政権との通商交渉が注目されるが、交渉に関してEUが米国への提案内容をより具体化する方向で見直しているとの報道もあり、協議関連の報道に注意を払いたい。
また、ミュラー・エストニア中銀総裁の講演が予定されているが、4月に同総裁は貿易を巡る不確実性が経済成長に一段と深刻な影響をもたらすことが判明した場合、景気を刺激する水準まで金利を引き下げる必要があるとの認識を示した一方で、次回6月の政策決定会合では関税交渉やその時点のデータに基づいて判断するとした。関税の不確実性から欧州中央銀行(ECB)理事会で追加利下げをめぐり見解が分かれている。
・想定レンジ上限
ユーロドルの上値めどは、日足一目均衡表・転換線1.1222ドルや同基準線1.1319ドル。ユーロ円は日足一目均衡表・基準線163.10円や15日高値164.07円。
・想定レンジ下限
ユーロドルの下値めどは、先週末16日の安値1.1131ドルや13日安値1.1085ドル。ユーロ円は7日安値161.94円や日足一目均衡表・雲の上限161.24円。
ドル円:1ドル=145.17円(前営業日NY終値比▲0.53円)
ユーロ円:1ユーロ=162.36円(▲0.28円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1184ドル(△0.0021ドル)
日経平均株価:37498.63円(前営業日比▲255.09円)
東証株価指数(TOPIX):2738.39(▲2.06)
債券先物6月物:139.25円(▲0.28円)
新発10年物国債利回り:1.480%(△0.030%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月第三次産業活動指数
前月比 ▲0.3% 0.0%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は弱含み。前週末に米格付け会社ムーディーズが米格付けを引き下げたことを受け、週明けから時間外のダウ先物が下落。ドル円もつれる形で売りが先行した。日経平均株価の下げも売りを促し、先週末安値の144.92円を下抜けて144.81円まで値を下げた。一巡後は145.30円台まで下げ渋る場面も見られたが、戻りは限られた。
・ユーロドルは強含み。ムーディーズによる米格下げを受けてドル安が進んだ流れに沿った。ユーロドルは1.1212ドルまで上昇したほか、ポンドドルは1.3321ドルまでつれ高となっている。
・ユーロ円は方向感がない。ドル円が下落したことにつれる形で一時162.15円まで値を下げた。ただ、ユーロドルが上昇した影響も受けたため下値も堅く162円台半ばまで持ち直した。
・日経平均株価は4日続落。米国格下げにより米株先物が下落したことが投資家心理の悪化につながった。アジア株安も重しとなり、下げ幅は一時300円を超えた。
・債券先物相場は反落。前週末の米国債格下げ報道などを受けて米国債が売られた流れを引き継いで売りが優勢となった。
ポーランド大統領選の第1回投票で、中道与党「市民プラットフォーム(PO)」を支持基盤とするラファウ・トシャコフスキ ワルシャワ氏が31.36%の得票率で首位となり、民族主義野党「法と正義(PiS)」系のカロル・ナヴロツキ氏が29.54%で続いた。いずれも過半数には届かなかったため、6月1日に決選投票(決選ラウンド)が行われる。
「私は、米政府の債務の状況が引き返せない地点に近づいていると判断している」
(レイ・ダリオ氏)
トランプ米政権は、2つの赤字、貿易赤字と財政赤字の削減を標榜している。対外的赤字の貿易赤字は、関税の引き上げ、そしてドル安誘導による削減が目論まれている。対内的赤字の財政赤字は、関税による歳入増加、政府効率化省(DOGE)による歳出削減が目論まれ、利払い抑制のための米国債利回りの抑制が目論まれている。
しかし、米国債が最上位「トリプルA」の格付けを失ったことは、米国債売りによる米国離れ、金利上昇に繋がる可能性が高まったことになる。
トランプ米大統領とベッセント米財務長官は、10年物国債の金利を重要視する、と言い続けている。
1. 格付け会社ムーディーズ(Aa1)2025年 トランプ米政権
2025年5月16日、米格付け会社ムーディーズ・レーティングスは、米国の長期発行体格付けと無担保優先債格付けを、最上位の「Aaa(トリプルA相当)」から「Aa1(ダブルAクラス)」に1段階引き下げたと発表した。世界で最も信用力の高い国債発行国の信認に一石を投じる象徴的な動きとなり、米国は、フィッチ・レーティングスとS&Pグローバル・レーティングに続き、「トリプルA格付け」を失った。
米国の債務と財政赤字の急増により、国際資本の投資先としての優位が損なわれ、政府の借り入れコストが増大するとの不安が格下げの動きに反映された。
格下げの理由について「歴代の米政権と議会は、巨額の年間財政赤字と金利負担の増加傾向を反転させる措置で合意できなかった。米国が持つ経済・財政の著しい強さは認識しているが、これらの強みだけで財政指標の悪化をもはや完全に埋め合わせることはできない」との認識が示された。
ベッセント米財務長官は「ムーディーズは遅行指標だ。 それが格付け会社に対する一般的な見方だ」と一蹴している。
2. フィッチ・レーティングス(AA+)2023年 バイデン政権
2023年8月1日、大手格付け会社のフィッチ・レーティングスは、米国債の格付け〔長期外貨建て発行体デフォルト格付け(IDR)〕を最上位の「AAA」から「AA+」に1段階引き下げると発表した。格下げ理由として、以下の3点を挙げた。
1)今後3年間に予想される財政悪化:2022年3.7%、23年6.3%、24年6.6%、25年6.9%
2)高水準かつ増大する一般政府債務残高(※「AAA」格付けの他国=39.3%)
3)度重なる債務上限問題での膠着と土壇場での解決に反映されている、過去20年間の「AAA」格付けの他国と比較したガバナンスの低下
3. スタンダード&プアーズ(AA+)2011年 オバマ政権
2011年8月5日、格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)は、米国の財政赤字削減計画が債務の安定化には不十分との見方から、米国の長期発行体格付けを「AAA」から「AA+」に引き下げた。
5月、債務残高が上限(14兆2900億ドル)に到達したことで、米財務省は8月2日までの「異例の措置」を採用した。オバマケア(公的医療保険)の見直しや歳出の削減を求める共和党議会とオバマ大統領との交渉が難航したものの、7月31日に米議会は債務上限引き上げを承認したことで、米国のデフォルトは回避された。
しかし、8月5日の米国債格下げショックが市場を襲った。
・ダウ平均株価:8日は前日比634.76ドル安の10809.85ドルへ下落
・日経平均株価:9500円台から9000円割れへ下落
・ドル円相場:79円台から76円台へ下落
欧州委員会は19日、ユーロ圏の2025年実質GDP成長率を+0.9%(前回予測+1.1%)、2026年を+1.2%(同+1.3%)に下方修正した。主因は米中貿易戦争の波及効果と気候変動関連災害の頻発とのこと。
一部報道によると、米上院は今夜、ドルなど資産に連動した暗号資産「ステーブルコイン」の規制枠組みを定める法案の採決を再び行う予定だという。これは、前回の採決が失敗に終わったことを受けた再挑戦となる。
大阪6月限
日経225先物 37390 -380 (-1.00%)
TOPIX先物 2732.5 -11.0 (-0.40%)
日経225先物(6月限)は前日比380円安の3万7390円で取引を終了。寄り付きは3万7610円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7995円)を下回る形から、売り先行で始まった。直後につけた3万7670円を高値にショート優勢となり、現物の寄り付き直後には3万7510円まで下落幅を広げた。売り一巡後は3万7550円~3万7650円辺りでの保ち合いを継続したが、現物の後場取引開始直後にレンジを割り込むと、3万7460円~3万7540円辺りでの推移になった。終盤はロング解消の動きが強まり、3万7390円と本日の安値で終えた。
米格付け会社ムーディーズ・レーティングスが米国の信用格付けを引き下げたほか、為替市場では円相場が1ドル=144円台と円高に振れて推移していることが重荷となった。売り一巡後は200日移動平均線(3万7540円)を支持線とした底堅さがみられたものの、午後の取引で同線を割り込んだことで、ロング解消に向かわせたようである。
ただし、東証プライムの売買高は16億7000万株となり、4月下旬以来の低水準だった。グローベックスの米株先物が弱含みで推移するなかで、改めて週明けの米国市場の反応を見極めたいとする様子見姿勢に向かわせた。そのため、日経225先物は200日線を下回ったものの、積極的なショートの動きも限られ、狭いレンジでの推移が目立った。
200日線のほか上向きで推移しているボリンジャーバンドの+1σは3万7510円に切り上がっており、早い段階で突破できないと抵抗線に変わり、75日線(3万6830円)水準が意識されてくる可能性がある。週足では52週線(3万7850円)、26週線(3万7630円)、+1σ(3万7670円)が抵抗線に変わるようだと、13週線(3万7310円)が射程に入ってくるだろう。
NT倍率は先物中心限月で13.68倍に低下。13.77倍に上昇する場面もあったが、下向きで推移する75日線(13.77倍)に抑えられる形となるなかで、NTショートに振れている。+1σ(13.73倍)を割り込んできたことで、25日線(13.63倍)辺りまでの低下が意識されよう。同線を下抜けてくると、-1σ(13.54倍)に向けてNTショートによるスプレッド狙いの動きが強まりそうだ。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万3020枚、ソシエテジェネラル証券が9249枚、サスケハナ・ホンコンが2948枚、SBI証券が1756枚、バークレイズ証券が1680枚、みずほ証券が1588枚、JPモルガン証券が1362枚、日産証券が1346枚、野村証券が1304枚、モルガンMUFG証券が1053枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が1万2628枚、ソシエテジェネラル証券が1万1769枚、バークレイズ証券が4216枚、JPモルガン証券が2908枚、モルガンMUFG証券が2151枚、ゴールドマン証券が1566枚、BNPパリバ証券が1481枚、ビーオブエー証券が1083枚、サスケハナ・ホンコンが1054枚、みずほ証券が1004枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、米国債格下げを受けたトリプル安に警戒しながら、米4月の米景気先行指標総合指数や複数の米連邦準備理事会(FRB)高官による「不確実性」や米国債格下げに関する見解に注目していく展開となる。
4月米景気先行指標総合指数は前月比-1.0%と予想されており、3月の同比-0.7%からの悪化が見込まれている。トランプ関税への警戒感から景気の先行きに対する見通しが悪化することが見込まれており、ネガティブサプライズに警戒しておきたい。
米国と中国による貿易協定の締結により、「不確実性(uncertainty)」がやや後退したものの、米国債の格下げという不透明要因が加わったことで、ボスティック米アトランタ連銀総裁、ジェファーソンFRB副議長、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、ローガン米ダラス連銀総裁、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁などによる利下げへの言及には注目しておきたい。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」での利下げ時期は、9月FOMC(▲0.25%=4.00-25%)と予想されており、12月FOMCの年内2回の利下げで12月時点のFF金利誘導目標は3.75-00%と見込まれている。
また、先週末の米格付け会社ムーディーズ・レーティングスによる、米国債格付下げによる米国債市場への影響やトリプル安となるにか否かにも注目しておきたい。
トランプ米政権は、2つの赤字、貿易赤字と財政赤字の削減を標榜している。対外的赤字の貿易赤字は、関税の引き上げ、そしてドル安誘導による削減が目論まれている。対内的赤字の財政赤字は、関税による歳入増加、政府効率化省(DOGE)による歳出削減が目論まれ、利払い抑制のための米国債利回りの抑制が目論まれている。
しかし、米国債が最上位「トリプルA」の格付けを失ったことは、米国債売りによる米国離れ、金利上昇に繋がる可能性が高まったことになる。
トランプ米大統領とベッセント米財務長官は、10年物国債の金利を重要視する、と述べており、米国債の売り材料への見解にも注目しておきたい。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、146.46円(日足一目均衡表・雲の下限)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、144.27円(日足一目均衡表・基準線)
今週のNY市場は貿易問題や小売株の決算、米債利回りに注目。先週はダウ平均が1405.36ドル高(+3.41%)、S&P500が5.27%高、ナスダック総合が7.15%高とそろって反発した。3指数ともに4月11日週以来の週間上昇率を記録した。米中が先週末に関税の90日間の一時停止で合意したことがポジティブ・サプライズとなったほか、トランプ大統領は金曜日に、今後2-3週間以内に各国に対し関税を巡る書簡を送付すると述べ、韓国、インド、日本との合意も近い将来に実現する可能性を示唆した。S&P500は火曜日に昨年末水準を回復すると、週末まで5日続伸し、年初来上昇率を1.30%に拡大して終了し、ダウ平均も金曜日に昨年末水準を回復した。5月月初来ではダウ平均が4.88%高、S&P500が6.99%高となり、ナスダック総合は10.12%高と2桁の上昇となった。センチメントは大きく改善。投資家の不安心理を示すVIX指数は前週末の21.90ポイントから17.24ポイントに低下し、3月25日以来の低水準となった。
今週は貿易交渉の進展に引き続き注目が集まるほか、消費動向を巡り、火曜日発表のホーム・デポ、水曜日発表のターゲット、TJXなどの決算発表が注目される。先週決算を発表した小売大手のウォルマートは関税の影響で早ければ今月下旬にも値上げが始まるとしており、今週発表される小売株の決算やガイダンスに要注目となる。米経済指標では4月景気先行指数、5月S&Pグローバル製造業・サービス業PMI速報値、4月中古住宅販売件数などが発表されるほか、議会では数兆ドル規模の巨額減税措置を含む法案が審議されている。米10年債利回りは前週末の4.37%台から先週一時4.55%まで上昇しており、経済指標や巨額減税法案などによる米債利回りの上昇にも要警戒となる。
今晩の米経済指標・イベントは4月景気先行指数など。主要な企業の決算発表はなし。
一部通信社の話によると、米国と日本の貿易協定の枠組みは「負担分担」(日本が在日米軍の維持や中国の脅威からの防衛のために拠出すべき金額)をめぐる交渉が一因となり、遅れが生じているという。
日経平均株価は続落。弱いスタートとなったが、10日移動平均線(37500円 5/19)や100日移動平均線(37552円 同)を意識して底堅く小動きにとどまった。
RSI(9日)は前日の78.7%→65.6%(5/19)に低下。短期的な相場の見方に変化はない。10日移動平均線付近を維持しながら微調整の範ちゅうにとどまっており、4/7安値(30792円)を起点とした目先波動は上昇継続の判断となる。
先週、終値ベースで3/26につけた急落前の戻り高値(38027円)を更新したことで、パターン分析では4月前半の安値を先端に「スパイクボトム(V字)」を確認した。短期的な下押しは想定内としながらも、調整一巡後の意外高の想定も必要になってくる。
上値メドは、心理的節目の38000円、5/13高値(38494円)、心理的節目の39000円、2/13高値(39581円)、心理的節目の4万円、1/24高値(40279円)などがある。下値メドは、75日移動平均線(36976円 同)、心理的節目の36500円や36000円、25日移動平均線(35877円 同)、心理的節目の35500円などがある。
(19日終値:20日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=145.04円(19日15時時点比▲0.13円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.88円(△0.52円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1230ドル(△0.0046ドル)
FTSE100種総合株価指数:8699.31(前営業日比△14.75)
ドイツ株式指数(DAX):23934.98(△167.55)
10年物英国債利回り:4.664%(△0.015%)
10年物独国債利回り:2.588%(▲0.002%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値
(前年比) 2.2% 2.2%
4月ユーロ圏HICPコア改定値
(前年比) 2.7% 2.7%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ユーロドルは伸び悩み。前週末に米格付け会社ムーディーズが米国の格付けを引き下げたことを受けて、時間外のダウ先物や米国債が下落すると、「米トリプル安」が意識されてドルも売りが先行した。独長期金利が上昇したこともユーロ買いを促し、20時前に一時1.1288ドルと日通し高値を更新した。
ただ、9日の高値1.1293ドルがレジスタンスとして意識されると失速した。NY市場に入り、現物のダウ平均が上げに転じたほか、米国債が下げ渋るとドルを買い戻す動きが活発化。独長期金利が低下に転じたことも相場の重しとなり、2時30分前には1.1225ドル付近まで下押しした。
・ドル円は下値が堅かった。週明けの欧州勢がドル売りで参入すると、東京午前に付けた144.81円を下抜けて一時144.67円まで下げ足を速めた。ただ、一目均衡表基準線が位置する144.27円がサポートとして意識されると下げ渋った。米国株や米国債相場が底堅く推移するとドルを買い戻す動きが広がり、145円台前半まで下値を切り上げた。
なお、ボスティック米アトランタ連銀総裁は「米国債格下げは経済全体に波及効果をもたらす可能性。不確実性の見極めには、3-6カ月待つ必要がある。2大責務の内、インフレを警戒している」などと述べた。
・ユーロ円は上値が重かった。20時30分過ぎに一時163.38円と日通し高値を付けたものの、買い一巡後はじりじりと上値を切り下げた。ユーロドルの伸び悩みにつれた売りも出て、2時過ぎに162.84円付近まで下押しした。
・ロンドン株式相場は3日続伸し、3月20日以来約2カ月ぶりの高値で取引を終えた。時間外のダウ先物の下落が相場の重しとなり、売り先行で始まったものの、終盤持ち直した。ナショナル・グリッドやSSEなど公共事業株が買われたほか、ユニリーバやブリティッシュ・アメリカン・タバコなど生活必需品株が値上がりした。
・フランクフルト株式相場は3日続伸し、史上最高値を更新した。米格付け会社ムーディーズによる米国債格下げを受けて時間外のダウ先物が下落すると、独株にも売りが出た。ただ、現物の米国株相場が底堅く推移すると独株にも買いが集まり、終盤強含んだ。
・欧州債券相場は英国債が下落した一方、独国債が上昇した。
19日の日経平均は4日続落。終値は255円安の37498円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり826/値下がり750と、値上がり銘柄の方が多かった。円高進行が警戒される中でも、トヨタ、スズキ、日産自動車など自動車株が軒並み高。三菱重工や川崎重工など防衛株に資金が向かった。フジメディアは決算を受けて売りが先行したものの、早々に切り返して7.2%高。証券会社が投資評価を引き上げたワークマンが買いを集め、連日で年初来高値を更新した。株主優待の導入を発表したJETが急伸。メタプラネットが商いを伴って9.6%高と値を飛ばした。
一方、半導体株が弱く、レーザーテックやアドバンテストが大幅安。指数寄与度の大きいファーストリテイリングやソフトバンクGが弱かった。商船三井など海運株が全般軟調。決算を材料にムサシや佐藤食品工業が大きく売られた。Schooは下方修正を嫌気した売りが止まらず、連日のストップ安比例配分となった。
日経平均は3桁の下落。日経平均が0.7%安、TOPIXが0.1%安とパフォーマンスに開きがあり、グロース250指数は0.4%高と7日続伸。プライムでは後場に入って値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を上回った。日経平均の指数として弱さが目立っており、こういった動きが出てくると大型株は手がけづらくなる。ドル円が円高(ドル安)に振れていることも大型外需にはアゲインストの流れ。目先の日経平均は反発しても戻り売りに押されやすくなると思われるだけに、中小型株が資金の受け皿となり続けることができるかがカギを握る。
(19日終値)
ドル・円相場:1ドル=144.86円(前営業日比▲0.84円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.82円(△0.18円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1240ドル(△0.0077ドル)
ダウ工業株30種平均:42792.07ドル(△137.33ドル)
ナスダック総合株価指数:19215.46(△4.36)
10年物米国債利回り:4.45%(▲0.03%)
WTI原油先物6月限:1バレル=62.69ドル(△0.20ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3233.5ドル(△46.3ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月米景気先行指標総合指数
(前月比) ▲1.0% ▲0.8%・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ユーロドルは反発。前週末に米格付け会社ムーディーズが米国の格付けを引き下げたことを受けて、時間外のダウ先物や米国債が下落すると、「米トリプル安」が意識されてドルも売りが先行。20時前に一時1.1288ドルと日通し高値を更新した。
ただ、9日の高値1.1293ドルがレジスタンスとして意識されると上値が重くなった。米格下げについて市場では冷静な受け止めが多く、現物のダウ平均や米長期債が上げに転じるとドルを買い戻す動きも広がった。ユーロ豪ドルやユーロNZドルなど、一部ユーロクロスが下落した影響も受け、2時30分前に1.1224ドル付近まで下押しした。
なお、ユーロ豪ドルは一時1.7390豪ドル、ユーロNZドルは1.8954NZドルまで値を下げた。
・ドル円は反落。日本時間夕刻に一時144.67円と日通し安値を付けたものの、NY市場では下げ渋る展開に。米国株や米国債相場が持ち直すとドルを買い戻す動きが広がり、145円台前半まで下げ渋る場面があった。
なお、トランプ米大統領とプーチン露大統領はこの日、電話会談を実施した。終了後、プーチン氏はウクライナと和平に関する覚書をまとめる用意を示したほか、トランプ氏は「電話会談は非常にうまくいった」「ロシアとウクライナは停戦に向け交渉を始める」と明らかにした。
・ユーロ円は3日ぶりに小反発。20時30分過ぎに一時163.38円と日通し高値を付けたものの、買い一巡後はじりじりと上値を切り下げ、5時過ぎには162.77円付近まで下押しした。ユーロドルにつれた動きとなった。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸。米格付け会社ムーディーズによる米格下げを受けて売りが先行すると、一時310ドル超下落した。ただ、米長期金利が低下に転じると米株にも買い戻しが入り上げに転じた。前週末に続きユナイテッドヘルス・グループが上昇したことも相場を押し上げた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は小幅ながら続伸した。
・米国債券相場で長期ゾーンは反発。米格付け会社ムーディーズによる米格下げを受けて売りが先行すると、利回りは一時4.5624%前後と4月11日以来の高水準を付けた。ただ、格下げについて市場では冷静な受け止めが多く、次第に買い戻しが優勢になると上げに転じた。
・原油先物相場は続伸。格付け会社ムーディーズの米格下げ決定に対し、週明け時間外取引では売りで反応。もっとも、ニューヨーク勢の本格参入後は米経済への過度な警戒感が緩み、61ドル半ばから63ドル台まで切り返した。ただその後、トランプ米大統領の発言「ロシアとウクライナは停戦に向け交渉を始める」が伝わると上値を切り下げる展開に。停戦に向けてロシアへの制裁が解除されれば、同国産原油の市場への供給が増えるとの思惑が相場の重しとなった。
・金先物相場は反発。大手格付け会社ムーディーズが先週末に発表した「米国債の格下げ」を受け、安全資産とされる金は週明けから買いが先行。為替でドル安が進んだ影響も受け、ドル建て金先物は一時3250ドル超えまで上昇した。もっともニューヨーク勢の本格参入後は、米株の底堅さやドル買い戻しにもつれて上げ幅を縮小した。
一部通信社が報じたところによると、「ロシアは将来の和平合意についてウクライナと協力の用意がある」ようだ。なお、米露首脳会談後にプーチン露大統領は「トランプ米大統領との電話会談は有用だった」「ウクライナとの覚書に停戦条件も盛り込む可能性」「特定の合意が成立すれば停戦は可能」との認識を示したもよう。
19日10:37 内田日銀副総裁
「金融政策は見通しが実現すれば引き続き利上げで緩和を調整」
「見通し通りに経済・物価が推移していくか予断を持たずに判断」
「物価上昇はコメを含むコストプッシュの要因が大きい」
「各国通商政策の展開や影響を巡る不確実性は極めて高い」
19日18:32 ドムブロフスキス欧州委員会副委員長
「ユーロの上昇は、両刃の刃」
19日20:26 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「関税の移行期間が長引けば、消費者行動に影響が出る可能性」
「不透明感がどう落ち着くかを見るには3-6カ月待つ必要」
「米国債の格下げは経済全体に波及効果をもたらす可能性」
19日21:02 スターマー英首相
「英EU安保協定締結により、英国はEU市場への前例のないアクセスを得ることが可能」
「今回の合意は、我々の関係における新たな時代の到来を告げるものであり、双方にとってwin-winの関係となる」
19日21:11 ミューラー・エストニア中銀総裁
「追加利下げには明確な理由が必要」
「一段の利下げは排除できない」
19日21:39 欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長
「英国が数週間以内にEU防衛基金へアクセスできるようになると見ている」
19日21:45 ハセット米国家経済会議(NEC)委員長
「米国債は世界で最も安全な投資先」
「米国の債務上限はいずれ引き上げられる」
「ムーディーズの判断は後ろ向き」
「今週さらなる貿易合意がまとまっても驚きでない」
19日21:50 ウィリアムズ米NY連銀総裁
「米国経済は完全雇用に近づいている」
「世界の投資家は依然として米国を投資先と見なしている」
「米国債への投資家の関心に大きな変化は見られない」
「FRBのバランスシート縮小は市場価格に影響を与えていない」
「一部の先行指標は懸念を示している」
「金融政策は良い位置にある」
「経済のキーワードは不確実性」
「インフレ率は緩やかに低下し続けている」
「関税がFRBの責務に与える影響が最重要」
「雇用とインフレの両方にリスクがあるが、不確実性を考えると正しい決定を下すまで様子を見るのが適切」
「インフレ期待が安定し続けるよう、政策を維持」
「政権の政策が労働市場にどのような影響を与えるかを判断するのは時期尚早」
20日02:12 シュレーゲル・スイス国立銀行(中央銀行、SNB)総裁
「SNBは、短期的にはマイナスのインフレ率を容認するだろう」
「不確実性の高い時、スイスフランは安全な逃避先とされることが多い」
「政策金利が主な手段だが、必要であれば外為市場に介入することもできる」
20日02:35 トランプ米大統領
「ロシアとウクライナは停戦に向け交渉を始める」
「停戦は両国間で交渉される」
「ロシアは米国との大規模貿易を望んでいる」
※時間は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○13:30 ☆ 豪準備銀行(RBA)政策金利発表(予想:3.85%に引き下げ)
○15:00 ◇ 4月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比▲0.3%)
○15:55 ◎ ウンシュ・ベルギー中銀総裁、講演
○17:00 ◇ 3月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
○17:00 ◎ ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演
○18:00 ◇ 3月ユーロ圏建設支出
○19:00 ◎ クノット・オランダ中銀総裁、講演
○19:00 ◎ チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○21:30 ◎ 4月カナダ消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.2%/前年比1.6%)
○22:00 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、あいさつ
○22:00 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○22:30 ◎ コリンズ米ボストン連銀総裁、講演
○23:00 ◎ 5月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲16.0)
○21日02:00 ◎ ムサレム米セントルイス連銀総裁、講演
○21日06:00 ◎ クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議(カナダ・バンフ、22日まで)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
昨日の海外市場でドル円は、日本時間夕刻に一時144.67円と日通し安値を付けたものの、米国株や米国債相場が持ち直すとドルを買い戻す動きが広がり、145円台前半まで下げ渋る場面があった。ユーロドルは、一時1.1288ドルと日通し高値を更新したが、ユーロクロスが下落した影響も受け、1.1224ドル付近まで下押しした。
本日の東京時間でドル円は、引き続き上値が重い展開になると予想される。本日から22日までカナダのバンフで主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議が開催される。加藤財務相は16日の閣議後の記者会見でベッセント米財務長官と個別に「協議の場を追求していきたい」と述べている。一部ではドル高是正を期待する声があるものの、仮に話し合いが持たれた場合でも4月24日に行われた日米財務相会談のように「為替水準の目標やそれを管理する枠組みの話は全くなかった」と述べると思われる。先週、台湾政府高官が「米国との貿易協議には、為替は含まれていない」と発言、鄭仁教・韓国通商交渉本部長も「グリア米通商代表部(USTR)代表との協議で為替は取り上げられなかった」と述べるなど、日本とともにドル高・自国通貨安是正が考えられる台湾・韓国両国が、為替協議を否定した。仮にドル高是正を進める場合でも一国だけの合意ではなく、アジア諸国数カ国が足並みをそろえて是正に合意するとの声が多い。
もっとも、トランプ米大統領が猶予を設けた90日間の関税賦課までの日数が徐々に少なくなる中で、ドル高是正が話しあわれる可能性は拭いされない。可能性は低いとはいえ、G7での為替政策に関する文言の微調整などには気を付けたい。なお、今回何も合意が得られない場合でも、6月15-17日にカナダ・カナナスキスで予定されているG7サミットへ向けての土台作りが行われ、水面下では動いている可能性もありそうだ。また、日韓の選挙が終わった7月17-18日のG20財務大臣・中央銀行総裁会議が開かれるが、トランプ政権が南アで開催されるG20をボイコットするとの報道もある。
円以外では、豪ドルの値動きに注目。昨日から開かれている豪準備銀行(RBA)理事会で、本日政策金利が公表される。先月30日に発表された豪州の1-3月期消費者物価指数(CPI)は、前年比で+2.4%となり、前(10-12月)期の+2.4%から横ばいとなった。また、RBAが重要視するトリム平均値は+2.9%となり、前期で修正された+3.3%よりも低下した。市場予想よりも小幅に上回ったことや、今後の米国による関税引き上げによるインフレ懸念はあるものの、市場予想ではRBAの目標バンドにヘッドラインとトリム値が収まっていることで、25ベーシスポイントの政策金利を引き下げるとの予想する声が多い。市場予想通り利下げが行われた場合でも、RBAが今後の利下げペースをどのように見ているかによって、市場は動意づくことになるだろう。なお、直近の金利先物市場では今回を含め今年は計3回の利下げ予想になっていたが、更に利下げ予想を高めるか否かが注目される。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 37570 +180 (+0.48%)
TOPIX先物 2741.5 +9.0 (+0.32%)
シカゴ日経平均先物 37605 +215
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
19日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。米格付け会社ムーディーズ・レーティングスによる米国債の格下げを受けて売り優勢で始まり、NYダウは300ドルあまり下落する場面もみられた。ただし、約1カ月ぶりの高水準をつけた米長期金利が低下に転じたことで、買い戻しが強まり上げに転じた。ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>が前週末に続いて買われたことも、NYダウを押し上げる形になった。
S&P500業種別指数は、ヘルスケア機器・サービス、電気通信サービス、商業サービス・用品が上昇した一方で、自動車・同部品、エネルギー、テクノロジー・ハード・機器の弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、ユナイテッドヘルス・グループのほか、メルク<MRK>、アムジェン<AMGN>、マイクロソフト<MSFT>、ハネウェル・インターナショナル<HON>が買われた。半面、ナイキ<NKE>、シェブロン<CVX>、セールスフォース<CRM>、アップル<AAPL>が下落した。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比215円高の3万7605円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは日中比20円高の3万7410円で始まった。その後軟化し、3万7240円まで下げ幅を広げる場面もみられた。ただし、米国市場の取引開始後に切り返してプラス圏を回復すると、中盤にかけて3万7610円まで買われた。買い一巡後は3万7470円~3万7600円辺りで推移し、3万7570円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや買い先行で始まりそうだ。一時3万7240円まで下落したが、その後の切り返しで200日移動平均線(3万7530円)およびボリンジャーバンドの+1(3万7530円)を上回ってきており、同水準での底堅さがみられるかが注目される。米国市場でムーディーズによる米国債格下げの影響が限られたことは、安心感につながりそうだ。
+1σを上回って推移するようだと+2σ(3万9030円)とのレンジが意識されやすく、3万7500円水準では押し目待ち狙いのロングを誘う形になろう。まずは3万7500円を中心としたオプション権利行使価格の3万7250円から3万7750円のレンジを想定するが、+1σが支持線として意識される局面では3万7500円から3万8000円のレンジに移行するとみておきたい。
週足では前日の下落で52週線(3万7860円)、26週線(3万7640円)、+1σ(3万7690円)を下回った。抵抗線として機能するようだと、短期的なショートを誘う可能性はありそうだ。G7財務相・中央銀行総裁会議の際に、加藤勝信財務相とベッセント米財務長官が為替協議を行う可能性があり、為替動向にも注意する必要があるだろう。
19日の米VIX指数は18.14(16日は17.24)に上昇した。19.92まで切り上がり200日線(19.49)を上回る場面もあった。その後の低下により同線が抵抗線として意識されるほか、判断の分かれ目となる20.00を割り込んで推移していることで、リスク選好の状況が続きそうだ。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.68倍に低下。13.77倍に上昇する場面もあったが、下向きで推移する75日線(13.77倍)に抑えられる形となるなかで、NTショートに振れた。+1σ(13.73倍)を割り込んできたため、25日線(13.63倍)辺りまでの低下を想定しておきたいところである。ただし、同線が支持線として機能する可能性からリバランスの動きも入りやすいとみられ、いったんNTロングでのスプレッド狙いの動きがあろう。
東京市場は小動きか。米国株は上昇。ダウ平均は137ドル高の42792ドルで取引を終えた。ムーディーズによる米国債の格下げを嫌気して安く始まり、序盤には300ドル超下落した。しかし、早い時間に安値をつけて切り返し、プラス圏に浮上した。ドル円は足元144円90銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて215円高の37605円、ドル建てが245円高の37635円で取引を終えた。
米国株の上昇は安心材料。ただ、ドル円は円高気味に推移しており、大型株の手がけづらさが意識されそう。上昇スタートが見込まれるものの、上値は重いだろう。グロース250指数が足元強く、中小型株には良好な地合いが想定される。一方、本日の日本経済新聞では1面で半導体の新設4工場が未稼働であることを報じており、足元さえない半導体株には腰の入った買いが期待しづらい。全体では強気にも弱気にも傾きづらく、方向感に欠けるが続くと予想する。日経平均の予想レンジは37350円-37700円。
中国の全国銀行間同業折借中心が20日に発表した2025年5月の最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)は、1年物を3.00%、5年物も3.50%と、ともに0.10%引き下げた。
昨日の海外市場では、先週末の取引終了間際に発表されたMDYによる米格下げの影響を見極めることになったわけですが、欧州時間こそ株安、米債券安、ドル安の、いわゆるトリプル安の動きが見受けられたものの、NY時間に入ってからは、一転してアンワインディングの動きに。ダウ平均は360ドルを超える下落から上昇に転じたほか、米10年債利回りは4.5624%の上昇から4.4434%への低下。つれるかたちで全般ドルの買戻しにつながっていきました。
そして、本日のアジア市場では、米格下げの影響を見極めるべく買い控えていた本邦実需の買いが、ゴトー日ということもあり仲値にかけて断続的に観測されるとNY時間の高値145.22円を上抜けて一時145.51円まで上昇。ただ、昨日高値の145.55円が戻りの目処として意識されたほか、加藤財務相が「G7ではベッセント米財務長官と為替を含め諸問題を議論する」と発言すると、一転して144.73円まで値を下げるなど、落着きのない動きとなっています。
いずれにしても、何度も登場している「為替議論」なる言葉に対しての反応は、もはや、「アルゴの自動的な反応」というしか整合性がとれないような値動き。「加藤」「為替議論」には「ドル円の売り」というプログラムが発動しているわけで、加藤財務相が「これまで確認した為替原則をベースに議論する」と、敢えて、G7コミットメントの確認という、通常の議論であることを説明している事実はプログラムされていないといったところ。
この辺りのさじ加減や温度差といったアルゴの限界を超えた領域に対しての市場心理の掌握は、日々変化が著しい市場へのフレキシブルな対応を可能にするのかもしれません。 ドル円は目先、昨日安値の144.67円や一目基準線の位置する144.27円を意識しつつ、上値は昨日高値の145.55円や50日MAの146.03円、一目転換線の146.05円、16日の高値146.10円、そして、一目雲下限の146.16円がポイントとなっています。
日経225先物は11時30分時点、前日比310円高の3万7700円(+0.82%)前後で推移。寄り付きは3万7660円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7605円)を上回り、買い先行で始まった。寄り付きを安値にショートカバーを誘う形となり、中盤にかけて3万7940円まで上げ幅を広げた。ただし、3万8000円接近では利食いに伴うロング解消の動きも入りやすく、買い一巡後は寄り付き水準まで上げ幅を縮め、終盤にかけては3万7700円を挟んだ狭いレンジ内での推移となった。
米格付け会社ムーディーズ・レーティングスによる米国債格下げの影響が限定的だったとして、ショートカバーの動きが先行した。200日移動平均線(3万7530円)やボリンジャーバンドの+1σ(3万7540円)を上回っての推移により、押し目待ち狙いのロングも入りやすいところだろう。週足では52週線(3万7860円)をキープできなかったが、26週線(3万7650円)が支持線として意識されるようだと、ロングの動きが強まりそうである。
NT倍率は先物中心限月で13.72倍に上昇。一時13.74倍まで上昇する場面もあったが、前日の下げに対するリバランスの動きにとどまっており、下向きで推移する75日線(13.77倍)が抵抗線として意識されやすいところだろう。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券では米国の4月小売売上高に関して、総合は前月比+0.1%と底堅さを保った格好となったが、自動車・ガソリン・建築資材・外食を除くコアは同-0.2%と減速したことを指摘している。品目別では衣料品や家電などの伸びが減速しており、3月の駆け込み買いの反動がみられるとのこと。米小売大手ウォルマートが値上げ開始の見通しを明らかにしたこともあり、関税が消費に与える影響を物価動向とともに今後も注視する必要があると考えている。
本日、ユーロ圏では4月独生産者物価指数(PPI)、3月ユーロ圏経常収支や5月ユーロ圏消費者信頼感などの発表が予定されている。また、トランプ関税の影響は鮮明にはなっていないものの、ユーロ圏でも景気拡大への期待が大幅に後退したのは確かである。
欧州委員会が昨日に公表した春季経済見通しで、ユーロ圏の消費者物価指数(CPI)は今年半ばまでに目標の2%に低下し、来年は1.7%程度になると予想した。要因としてはエネルギーコストの低下や中国製品の流入増加、ユーロ高などの物価下押し効果などを取り上げた。ユーロ圏のGDP成長率は今年が0.9%、来年は1.4%との見通しを示し、4月の国際通貨基金(IMF)見通しに比べるとやや楽観的であった。
欧州中央銀行(ECB)の次回理事会は6月5日に予定され、政策判断と合わせ、スタッフによる四半期経済見通しが発表される予定だ。関税の不確実性で政策が今後どう展開するかをめぐる不確実性は高く、理事会内の見解の相違が浮き彫りになっているが、現状では米関税が物価に下押し圧力をかけるとの見方を示し、利下げを支持するメンバーが多い。
米政権と欧州連合(EU)の関税交渉のヘッドラインに注視しつつ、ロシアとウクライナ停戦交渉にも注目。トランプ米大統領は昨日にプーチン露大統領と電話会談を実施し、「ロシアとウクライナは停戦に向け交渉を始める」と明らかにした。一方、欧州諸国は米ロ首脳の電話会談で、プーチン大統領がウクライナでの無条件の停戦に応じなかったことを受け、対ロ追加制裁に踏み切る構えを示した。EUは20-22日の主要7カ国(G7)でロシア産原油の取引価格上限を現行の1バレル=60ドルから引き下げるように提案する方針を固めており、50ドル案が有力視されている。
トランプ関税の不確実性が続いていることで、全般ドルの上値が重く、ユーロドルは底堅い動きが見込まれる。ただ、米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げ期待が後退している一方で、ECBの追加利下げ思惑が根強いことで、政策見通しの格差が上値を圧迫する要因となる。
・想定レンジ上限
ユーロドルは昨日の高値1.1288ドル、日足一目均衡表・基準線1.1319ドル。ユーロ円は日足一目均衡表・転換線163.68円や15日高値164.07円。
・想定レンジ下限
ユーロドルは昨日の安値1.1157ドルや日足一目均衡表・雲の上限1.1121ドル。ユーロ円は7日安値161.94円や日足一目均衡表・雲の上限161.09円。
ドル円:1ドル=144.38円(前営業日NY終値比▲0.48円)
ユーロ円:1ユーロ=162.49円(▲0.33円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1254ドル(△0.0014ドル)
日経平均株価:37529.49円(前営業日比△30.86円)
東証株価指数(TOPIX):2738.83(△0.44)
債券先物6月物:139.15円(▲0.10円)
新発10年物国債利回り:1.515%(△0.035%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は上値が重い。東京勢が買いで参入すると昨日の欧米時間高値145.22円を上抜け145.51円まで値を上げた。加藤財務相が「ベッセント米財務長官との会談で、為替含め2カ国間の諸問題を議論」と発言すると144.70円台まで失速したが、「23日に開催で調整している日米関税交渉にベッセント米財務長官が欠席の見通し」との報道が伝わると145.20円台まで再び上昇した。
もっとも、買いは続かず、20年債入札が極めて不調な結果だったことが分かると、本邦長期金利の上昇とともに円買い・ドル売りが優勢に。一時144.31円まで下げ足を速めた。
・ユーロ円も上値が重い。総じてドル円と同様の展開となり、朝方に163.28円まで上昇したものの、その後は一転下落。本邦金利上昇で円高が加速すると一時162.42円まで売り込まれた。
・豪ドルは売り優勢。豪準備銀行(RBA)は予想通り政策金利を0.25%引き下げることを決定。声明で「インフレ率は大幅に低下している」「インフレの上振れリスクは減少している」などの見解が示されると売りで反応し、対ドルで0.6408米ドル、対円で92.53円まで値を下げた。
・ユーロドルは下値が堅い。ドル円が上昇したタイミングで1.1218ドルまで下げたが、ドル円が反落すると一転して1.1262ドルまで下値を切り上げている。
・日経平均株価は5営業日ぶりに反発。昨日の米国株高を好感して序盤には一時400円超上昇した。ただ、一巡後は戻り売りに押される展開に。本邦長期金利の上昇が相場の重しとなりマイナス圏に沈む場面も見られた。
・債券先物相場は続落。前日に米国債が買われた流れを引き継ぎ小幅高で始まるも、38年ぶりの不調となった20年債入札をきっかけに一転して138.78円まで急落した。一方、急ピッチで下げた反動から一巡後は139円台を回復した。
日銀が債券市場参加者向け会合で公表した資料によると、テーパリングによって国債市場の機能が改善傾向にあるとの声がある一方、超長期債市場の流動性低下による利回りの歪みを指摘する意見もあった。テーパリング計画については、2年かけて実施すべき、1年計画後に維持すべき、2026年度以降は加速すべきなど様々な意見が出された。また、超長期債の需給悪化は投資家需要の不足など構造的要因であり、日銀だけで解決できないとの見方も示された。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・田中 理氏
揺らぐ米国債の安全神話 主要格付け3社が米国債を最上位から格下げ
ムーディーズは16日、米国の長期国債格付けを最上位から1ノッチ引き下げ。これにより、米国債は大手格付け3社の何れも最上位格付けを失ったことになる。過去2回の国債格付け時には、株式市場が調整、ドル安が進行したが、安全資産である米国債に資金が流入し、金利は低下した。今回は小幅ながら国債利回りが上昇。大型減税などが意識されたものとみられるが、米国債の安全神話が揺らいでいる証左と捉えることもできる。中国の米国債の保有額が減少傾向にあり、3月末時点の最新数値では、英国に抜かれて第三位に転落した。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
米中摩擦に変化の兆しも、中国経済の構造問題克服は困難な展開
供給サイドがけん引役となるなか、過剰生産能力や不動産在庫など問題山積の状況は変わらず
世界経済や国際金融市場は、米トランプ政権の関税政策に揺さぶられている。米国は貿易赤字の削減を目的に、中国をはじめとする国・地域に高関税を課す方針を示した。なお、中国は報復措置に動いたため、米中間で関税の応酬が続いて貿易戦争に発展した。しかし、今月の直接協議を経て、米中双方は一部関税を撤廃したほか、上乗せ分も90日間停止して協議を行うことで合意するなど、最悪の事態は回避された。
足元の中国経済は、内需喚起策や輸出先の多様化の動きが下支え役となっている。なお、4月の鉱工業生産は前年比+6.1%、小売売上高も同+5.1%、固定資本投資も年初来前年比+4.0%といずれも伸びが鈍化するなど、底入れの動きに一服感が出ている。耐久消費財や設備投資の動きに陰りがみえつつある。さらに、不動産市場は依然低迷が続くほか、国有企業と民間企業の投資動向も対照的な動きをみせている。
足元の中国景気は引き続き供給サイドをけん引役に安定した動きをみせる。他方、過剰生産能力による輸出多様化の動きは「デフレの輸出」を招くなど、世界的に新たな軋轢を生む可能性がある。その意味では、米中摩擦の緩和による中国経済の安定は望ましい一方、その動向に注意を払う必要性は高まっている。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・田中 理氏
EUの未来を占う東欧の2つの大統領選
親EU派が勝利、ルーマニアは親ロシア政権の誕生を回避
18日に行われた東欧2ヶ国の大統領選挙は、何れも親EU派が勝利した。親EU派と欧州懐疑派の一騎打ちとなったルーマニアの大統領選挙は、初回投票でリードした極右政党党首が敗れ、独立派のブカレスト市長が勝利した。事前の世論調査は拮抗し、極右候補が勝利していれば、ロシアの選挙介入などで無効となった昨年11月の大統領選挙で最多票を獲得した親ロシア候補を首相に任命していた可能性があった。全会一致を原則とするウクライナ支援やロシア制裁でのEUの団結にひびが入る事態は回避された。巨額の財政赤字を抱えるルーマニアは、投機的な水準への格下げリスクに晒されており、次期首相がどのような経済・財政運営を行うかにも注目が集まる。
ポーランドの大統領選挙の初回投票では、2023年の議会選挙で政権を奪取した親EU会派の候補が最多票を獲得し、前政権を率いたEUに懐疑的なナショナリスト政党の候補とともに、6月1日に行われる決選投票に進んだ模様。このまま親EU候補が大統領の座を掴めば、ポーランドの親EU路線への転換がより確実なものとなる。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
RBAの追加利下げで金利は2年ぶりの水準に、豪ドル相場の行方は
豪ドルは米ドルに対して動意が乏しい一方、日本円には政策の方向性の違いが意識される可能性も
オーストラリア準備銀行(RBA)は、19~20日に開催した定例会合で政策金利(OCR)を25bp引き下げ3.85%とする決定を行った。OCRの水準は2年ぶりの低水準となり、今次利下げ局面で2回目の利下げとなる。
RBAは先月の前回会合でOCRを据え置くも、景気の不透明感を考慮して追加利下げに含みを持たせていた。米トランプ政権の関税政策や米中摩擦が世界経済に悪影響を与える懸念が高まるなか、オーストラリア経済にも不透明感が強まっている。他方、商品市況の一服やアルバニージー政権による物価抑制策の効果もあり、足元のインフレはRBAが定める目標域(2~3%)に収束するなど落ち着きを取り戻している。
労働市場は依然堅調な推移をみせるが、トランプ関税の影響などをはじめとする外的要因による景気への悪影響が懸念される。RBAの声明では、インフレは目標域で推移するとしつつ、景気の不確実性の高さを強調するなど、ハト派に傾いている様子がうかがえる。今回の利下げで金融政策はやや緩和的になるとしつつ、今後の政策運営について慎重な姿勢を維持する考えをみせた。他方、RBAのブロック総裁は市場見通しを否定しつつ、追加利下げに含みを持たせる姿勢をみせる。豪ドルの対米ドル相場は上下双方に動意の乏しい展開が見込まれる一方、日本円には政策運営の方向性の違いが上値を抑える可能性があろう。
ハンガリー議会は20日、国際刑事裁判所(ICC)からの離脱手続きを開始する法案を可決した。これにより、ハンガリーは今後1年間かけてICCから正式に脱退するプロセスに入る。この動きはICCがイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に対して逮捕状を発行した直後、ネタニヤフ氏がハンガリーを公式訪問した際に発表されたことで注目を集めていた。
オルバン首相は「近年ICCはもはや公平で規則に基づく裁判所ではなく、政治的な道具となってしまった」と述べ、ICCへの信頼を失ったことを強調。ハンガリーはICC創設時からの加盟国ですが、今回の決定により欧州連合(EU)加盟国として初めてICCから離脱する国となる。この決定は欧州議会や人権団体から強い批判を受けており、EUの法の支配や人権擁護の枠組みに反するものだと指摘されている。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・田中 理氏
崩れるポルトガルの政治安定 二大政党の求心力低下と極右台頭で、安定政権の樹立が困難に
過去3年で3回目となるポルトガルの総選挙では、現政権を率いる中道右派会派が勝利したが、単独での過半数に届かなかった。前回同様に非多数派政権が誕生する可能性が高い。二大政党の求心力低下と極右の台頭により、安定政権の樹立が困難となっている。来年度の予算審議の行方や改革の遂行能力が不安材料となるが、今のところ良好な経済パフォーマンスを脅かす事態に発展するリスクは限定的と考える。
「為替を操作するようなことはしていない」加藤財務相
加藤財務相だけでなく、歴代の日本の財務相は、「日本は円安誘導という為替操作はしていない」と言い続けてきた。
しかし、日本は、円売り・ドル買いの為替介入で米国国債を購入し、円資金を大量に供給して日本国債を購入することで、円の購買力を棄損、すなわち、円安誘導を行ってきている。
米国以外で唯一1兆ドルを超している米国債保有残高は、過去、ドル円が100円を割り込んだ時に断行した「ドル買い・円売り介入」という直接的な円安為替操作の結果である。
また、日本銀行は、2013年からのアベノミクスの下で、円高デフレからの脱却という旗印の下、量的金融緩和政策やイールドカーブコントロールなどで、日本国債を大量に購入して、円資金を市場に供給するという間接的な円安為替操作の結果を残している。
1.日本国債買い・円売り:イールドカーブコントロール(約590兆円)
米国財務省が毎年4月と10月頃に議会に提出する「為替報告書」では、為替操作国の認定を行うに当たり、3つの基準を満たした場合は、「為替操作国」と認定し、2つに抵触した場合、「監視対象国リスト」に認定している。
【為替操作国・監視対象国の判断基準】
1)財の対米貿易黒字:150億ドル以上
2)経常黒字額:対国内総生産(GDP)比3%以上
3)過去12カ月の外貨購入(介入):対GDP比2%以上
そして、日本に関しては、日銀の量的金融緩和政策が円安の要因であると指摘し続けており、2024年秋の時点で「監視対象国リスト」に入れている。
2.米国債買い・円売り:ドル買い・円売り介入(約1兆1259億ドル)
2025年3月時点での米国債保有残高は、日本が1兆1308億ドルで1位、2位は英国の7793億ドル、3位は中国の7654億ドルとなっている。
ドル円は、これまで、1995年の79.75円、2008年の87円台、2009年の84円台、2010年の80円台、2011年の75.32円など、幾度か100円割れの円買いの嵐に襲われてきたが、その都度、本邦通貨当局は、ドル買い・円売り介入で対応してきた。
そして購入した米ドルを米国債で運用しているわけだが、幾度かのドル売り・円買い介入にも関わらず、1兆ドルを超えており、持ち値は100円程度と言われている。
すなわち、ドル円150円では、50兆円超の埋蔵金となっている。
「マールアラーゴ合意」では、利払いを回避するために永久国債へ強制転換させることが目論まれており、試算では15兆円程度の損失となるらしい。
大阪6月限
日経225先物 37530 +140 (+0.37%)
TOPIX先物 2737.5 +5.0 (+0.18%)
日経225先物(6月限)は前日比140円高の3万7530円で取引を終了。寄り付きは3万7660円とシカゴ日経平均先物清算値(3万7605円)を上回り、買い先行で始まった。その後の強い値動きがショートカバーを誘う形となり、前場中盤にかけて3万7940円まで上げ幅を広げた。ただし、3万8000円接近では利食いに伴うロング解消の動きも入りやすく、前場終盤にかけては3万7700円を挟んだ狭いレンジ内での推移となった。
ランチタイムで寄り付きの水準を割り込み、後場終盤には持ち高調整に伴うロング解消が優勢となり、3万7470円まで上げ幅を縮めた。ただ、200日移動平均線やボリンジャーバンドの+1σが位置する3万7530円を下回る局面では、押し目狙いのロングが意識された。
米格付け会社ムーディーズ・レーティングスによる米国債格下げの影響が限定的だったとして、ショートカバーが先行した。200日線や+1σを上回って始まったが、早い段階でショートカバーが一巡すると、その後は膠着感が強まり、ロング解消に向かわせた形だった。
もっとも、終盤にかけて弱含みとはなったものの、概ね200日線や+1σ水準では底堅さがみられた。支持線としてこれらが意識されるなか、G7財務相・中央銀行総裁会議に合わせて行われる日米の為替協議の結果待ちといった動きであろう。為替市場で朝方は1ドル=145円半ばとやや円安に振れる場面もあったが、その後は144円台前半での推移だったことも手掛けづらくさせたようだ。
赤沢亮正経済再生担当相は23日に訪米し、24日にも3回目の日米関税協議を行う方針で調整していると報じられている。ポジションを傾けにくい状況であり、引き続き200日線や+1σを支持線とした押し目狙いのロング対応に向かわせそうである。+1σ水準で底堅さがみられるようだと、+2σ(3万9060円)とのレンジが意識されやすいだろう。
NT倍率は先物中心限月で13.70倍に上昇。一時13.74倍まで上昇する場面もあったが、前日の下げに対するリバランスにとどまっており、+1σ(13.73倍)のほか、下向きで推移する75日線(13.77倍)が抵抗線として意識された。一方で、25日線(13.64倍)が支持線となる可能性はありそうだ。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万4695枚、ソシエテジェネラル証券が1万0723枚、サスケハナ・ホンコンが3467枚、JPモルガン証券が2527枚、モルガンMUFG証券が1548枚、日産証券が1470枚、バークレイズ証券が1291枚、野村証券が1031枚、SBI証券が903枚、BNPパリバ証券が852枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が1万7349枚、ソシエテジェネラル証券が1万4500枚、JPモルガン証券が5914枚、バークレイズ証券が3494枚、モルガンMUFG証券が2665枚、ビーオブエー証券が2306枚、シティグループ証券が2184枚、ゴールドマン証券が1948枚、サスケハナ・ホンコンが1501枚、野村証券が745枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、複数の米連邦準備理事会(FRB)高官による「不確実性」や利下げ時期への言及を見極めつつ、G7会議や日米財務相会談への警戒感から上値が重い展開が予想される。
本日から22日にかけてカナダでG-7財務相・中央銀行総裁会議が開催され、加藤財務相は、日米財務相会談でベッセント米財務長官と「為替含め2カ国間の諸問題を議論」する、と述べている。
米財務省は、ベッセント米財務長官は、G-7参加国の日本、カナダ、英国、フランス、イタリア、ドイツに対して、中国などの非市場経済国による「世界経済の不均衡の原因となっている不公正な経済政策に対処するよう働きかける」との見通しを示した。
そして、いかなる貿易交渉の合意も発表されるとは考えておらず、米国の利益に資するものでない限り会議の共同声明には同意しない姿勢が示された。
リスクシナリオは、貿易赤字の削減を目論んでいる米国の意向に沿って、為替政策に関する文言が変更される可能性となる。すなわち、貿易不均衡の是正に向けて、ドルに対して他通貨が秩序立って上昇することを促す可能性などが警戒されている。
また、今週末には第3回日米通商交渉が予定されているが、赤沢経済再生相は、19日から米国ワシントンで事務レベル協議を実施していることを明らかにしている。
すなわち、ベッセント米財務長官は、日米財務相会談で加藤財務相と為替協議を行い、日米通商交渉で赤沢経済再生相と関税などの協議を行うことで、ドル円は様子見の展開とならざるを得ない。一部報道では、ベッセント米財務長官が第3回日米通商交渉には参加しない、とのことで、事務レベル協議でほぼ合意に至っている可能性には警戒しておきたい。
4月カナダ消費者物価指数(CPI)は、前年比+1.6%と予想されており、3月の同比+2.3%からの伸び率鈍化が見込まれている。しかし、3月CPIでは、カナダ中銀が注視しているCPI中央値やトリムは高止まりしていたため、4月CPIのコア指数に注目しておきたい。
来月のカナダ中銀金融政策決定会合での0.25%利下げが予想されているが、コア指数次第では利下げ観測が後退する可能性に警戒しておきたい。
・想定レンジ上値目処(めど)
ドル円: 146.05円(日足一目均衡表・転換線)
加ドル円:104.85円(日足一目均衡表・雲の上限)
・想定レンジ下値目処(めど)
ドル円: 143.45円(5/8安値)
加ドル円:102.50円(4/29安値)
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・田中 理氏
英EU関係再構築の第一歩 離脱協定の部分的な見直しで合意
英国がEUを離脱してから約5年。英国とEUは19日の首脳会談で、漁業アクセス、農産品輸出、防衛協力、人的交流、パスポート検査の簡素化、エネルギー市場などの分野で、離脱協定を部分的に見直すことで合意した。今回の合意による英国の輸出拡大などの経済効果は限定的だが、英EU間の関係改善に向けた第一歩となる。今後、両者は合意内容の具体化を進めるとともに、更
なる関係改善や離脱協定の見直しに向けた検討を重ねる。
大和証券では、2025年度末の10年金利見通しを1.65%に改定している。従来は1.5%を想定していたが、米中貿易関係の急展開を受けた市場環境の変化を反映して上方修正した。金利上昇の主因として、
(1)トランプ関税発表後に低下していた日銀のターミナル金利到達確率が米中協議の進展により再び高まったこと、
(2)タームプレミアムの拡大―を挙げている。
今晩はホーム・デポの決算や要人発言に注目。昨日はムーディーズが米国債格付けを引き下げたことで下落してスタートしたものの、格下げを受けて売られた米国債が下落幅を縮小したことや、貿易交渉の進展期待などで主要3指数がそろってプラス圏で終了した。ダウ平均は朝方に317ドル安まで下落後、137.33ドル高(+0.32%)と3営業日続伸して終了し、S&P500は0.09%高と小幅に6営業日続伸した。ナスダック総合も0.02%高とわずかにプラス圏で終了し、2営業日続伸した。
今晩の取引では貿易交渉の進展期待を背景に引き続き底堅い展開が期待されるが、米国の個人消費動向を巡り、寄り前に発表されるホームセンター大手のホーム・デポの決算発表に注目が集まる。先週決算を発表した小売大手のウォルマートは関税の影響で早ければ今月下旬にも値上げが始まるとしており、ホーム・デポの決算やガイダンスに要注目となる。金融政策を巡っては、ムサレム米セントルイス連銀総裁など米連邦準備理事会(FRB)高官の講演などが多数予定されており、利下げを巡る要人発言にも要注目となる。
今晩は主要な米経済指標の発表はないが、ムサレム米セントルイス連銀総裁のほか、ボスティック米アトランタ連銀総裁、バーキン米リッチモンド連銀総裁、コリンズ米ボストン連銀総裁などの講演や発言が多数予定されている。企業決算は寄り前にホーム・デポ、ウィリアムズ・ソノマ、引け後にキーサイト・テクノロジーズ、パロ・アルト・ネットワークスなどが発表予定。
フィナンシャルタイムズ紙が報じたところによると、EU(欧州連合)は主に中国から輸入される小型のオンライン注文品に対し、一律2ユーロの手数料(フラットタックス)を課す方針だという。この新制度は年間数十億個規模の小包が対象となり、EU域外からの電子商取引の急増と税収確保、税務コンプライアンス強化を目的としている。
日経平均株価は小幅反発。買い先行から一時は200日移動平均線(37832円 5/20)を上回る場面があったが、心理的節目の38000円を意識して伸び悩む展開となった。
RSI(9日)は前日の65.6%→67.6%(5/20)に上昇。短期的な相場の見方に変化はない。10日移動平均線(37570円 同)付近を維持しながら微調整の範ちゅうにとどまっており、4/7安値(30792円)を起点とした目先波動は上昇継続の判断となる。
先週、終値ベースで3/26につけた急落前の戻り高値(38027円)を更新したことで、パターン分析では4月前半の安値を先端に「スパイクボトム(V字)」を確認した。短期的な下押しは想定内としながらも、調整一巡後の意外高の想定も必要になってくる。
上値メドは、心理的節目の38000円、5/13高値(38494円)、心理的節目の39000円、2/13高値(39581円)、心理的節目の4万円、1/24高値(40279円)などがある。下値メドは、75日移動平均線(36949円 同)、心理的節目の36500円、25日移動平均線(35994円 同)、心理的節目の35500円などがある。
(20日終値:21日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=144.63円(20日15時時点比△0.25円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.06円(△0.57円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1274ドル(△0.0020ドル)
FTSE100種総合株価指数:8781.12(前営業日比△81.81)
ドイツ株式指数(DAX):24036.11(△101.13)
10年物英国債利回り:4.703%(△0.039%)
10年物独国債利回り:2.606%(△0.018%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月独生産者物価指数(PPI)
(前月比) ▲0.6% ▲0.7%
3月ユーロ圏経常収支(季調済)
509億ユーロの黒字 406億ユーロの黒字・改
3月ユーロ圏建設支出
(前月比) 0.1% ▲1.2%・改
(前年比) ▲1.1% ▲0.6%・改
5月ユーロ圏消費者信頼感指数
(速報値) ▲15.2 ▲16.6・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は下値が堅かった。円高・ドル安が進んだ東京市場の流れを引き継いで、欧州勢が円買い・ドル売りで参入。時間外の米10年債利回りが低下したことも相場の重しとなり、一時144.10円まで値を下げた。
ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢に。米10年債利回りが上昇に転じたことなどが相場の支援材料となり、23時前には144.97円付近まで持ち直した。独DAXが連日で史上最高値を更新するなど、欧州株相場が底堅く推移したことも相場を下支えした。
・ユーロドルは一進一退。米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りが先行すると一時1.1278ドルと日通し高値を付けたものの、買い一巡後は失速。米長期金利が上昇に転じたことなどが相場の重しとなり、21時30分前に一時1.1224ドル付近まで売られた。ただ、東京午前に付けた日通し安値1.1218ドルが目先サポートとして意識されると買い戻しが優勢に。2時30分過ぎには1.1275ドル付近まで持ち直した。
なお、この日発表の5月ユーロ圏消費者信頼感速報値は▲15.2と予想の▲16.0を上回った。
・ユーロ円は底堅い動き。東京午後に一時162.42円まで値を下げたものの、欧米市場では買い戻しが優勢となった。欧州株相場や日経平均先物の上昇を背景に円売り・ユーロ買いが進み、3時前には163.15円付近まで値を上げた。
・ロンドン株式相場は4日続伸し、3月3日以来約2カ月半ぶりの高値で取引を終えた。米格下げを受けた米株式市場の反応が限定的となったことから、英株にも買いが入った。BTグループやボーダフォン・グループなど電気通信サービス株が買われたほか、アングロ・アメリカンやグレンコアなど素材株が値上がりした。
・フランクフルト株式相場は4日続伸し、史上最高値を更新した。米格下げを受けた米株式市場の反応が限定的となったことで、独株にも買いが入りやすかった。個別ではフレゼニウス・メディカル・ケア(3.87%高)やRWE(3.06%高)、バイエル(2.25%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は下落した。米債安につれた。
20日の日経平均は5日ぶり反発。終値は30円高の37529円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり344/値下がり1245と、値下がり銘柄が圧倒的に多かった。サンリオが商いを伴って9%を超える上昇。フジクラや古河電工など電線株が買いを集めた。買収に関する観測を手がかりに豊田自動織機が8.6%高。証券会社が投資判断を引き上げた安川電機やSMCが急伸した。グロース銘柄の強い動きが続く中、サンバイオがストップ高まで買われる場面もあるなど人気化した。
一方、川崎重工やIHIなど防衛株の一角が軟調。リスクオンではなかったもののディフェンシブ系のセクターが弱く、東電HDや関西電力など電力株が軒並み安となった。京成電鉄や東京メトロなど鉄道株も多くが下落。プライムからスタンダードへの市場変更を発表したPEGASUSや、前期が営業赤字となった相模ゴムが急落した。
日経平均は5日ぶり反発。ただ、400円超上昇したところから一時下げに転じるなど不安定な動きとなった。3桁高で推移していた前場でもプライムでは値下がり銘柄が多く、久々の上昇でも当面の売りが出尽くした感じはない。高値は37921円まででわかりやすく38000円近辺で上値が重くなっており、終値(37529円)では5日線(37733円、20日時点、以下同じ)を下回った。今は流れが良くないだけに、現状水準で踏みとどまることができるかが重要。75日線(36949円)を割り込んだ場合、25日線(35994円)辺りまで調整が続く可能性がある。37500円より上をキープできるかに注目したい。
(20日終値)
ドル・円相場:1ドル=144.51円(前営業日比▲0.35円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.05円(△0.23円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1283ドル(△0.0043ドル)
ダウ工業株30種平均:42677.24ドル(▲114.83ドル)
ナスダック総合株価指数:19142.71(▲72.75)
10年物米国債利回り:4.49%(△0.04%)
WTI原油先物6月限:1バレル=62.56ドル(▲0.13ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3284.6ドル(△51.1ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は続落。米10年債利回りの上昇などが相場の支援材料となり、23時前に144.97円付近まで上げたものの、米10年債利回りが上昇幅を縮めると144.43円付近まで押し戻された。米国株相場の下落も相場の重しとなった。
もっとも、主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議にあわせて行われる予定の日米財務相会談や、3回目の日米関税交渉を前に様子見ムードも広がり、大きな方向感は出なかった。NY市場に限れば狭い範囲内での推移にとどまった。
・ユーロドルは続伸。21時30分前に一時1.1224ドル付近まで売られたものの、東京午前に付けた日通し安値1.1218ドルが目先サポートとして意識されると買い戻しが優勢に。取引終了間際には1.1286ドルと日通し高値を付けた。米長期金利が上昇幅を縮めたことも相場の支援材料。
なお、米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するムサレム米セントルイス連銀総裁は「金融政策は現在、良好な状態」「インフレ期待が不安定になった場合、FRBは物価安定を優先すべき」などと発言した。
・ユーロ円は小幅ながら続伸。ドル円の下落につれた売りが出たものの、ユーロドルの上昇につれた買いが入ると一時163.15円付近まで値を上げた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は4日ぶりに反落。足もとで相場上昇が続いたあとだけに利益確定目的の売りが出た。米長期金利の上昇や米減税法案を巡る不透明感も相場の重し。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は3日ぶりに反落した。
・米国債券相場で長期ゾーンは反落。米財政悪化への懸念から売りが出た。
・原油先物相場は3日ぶりに小幅な反落。前日引けにかけて上げ幅を縮小した流れが続き、62ドル前半まで下押す場面があった。もっとも、一巡後は下値を切り上げる展開に。米イランの核問題を巡る協議について、イランの最高指導者が米国を非難。核合意への期待が後退し、対イラン制裁が継続されるとの思惑が相場の支えとなった。
・金先物相場は続伸。先週末の米格下げの影響で、安全資産の金は引き続き底堅い動きが続いた。為替でドルが対ユーロなどで弱含むと、ドル建て金に割安感が生じたことも支えとなった。前日に伸び悩んだ水準3250ドル台を超えると投機的な買いを呼び込み、上昇に勢いが付いて一時3289ドル手前まで上げ幅を広げた。
20日10:02 赤沢再生相
「日米関税交渉、19日から事務レベルの協議行っている」
「早期合意を優先するあまり国益損なうことになってはならない」
20日10:06 加藤財務相
「ベッセント米財務長官との会談で、為替含め2カ国間の諸問題を議論」
「G7では米関税措置を含め各国と率直な意見交換したい」
「日米協議、これまで確認した為替原則ベースに議論」
20日13:30 オーストラリア準備銀行(RBA)声明
「インフレ率は目標レンジ内にあり、国際情勢が経済の重しとなることが予想されるため、上振れリスクは減少している」
「理事会は今回の会合での金融政策緩和は適切と判断」
「見通しについては引き続き慎重な姿勢を維持」
「理事会は意思決定の指針としてデータとリスク評価の進展に注視」
「理事会は物価安定と完全雇用の実現という使命に注力し、その達成に必要な措置を講じる」
「関税の最終的な規模や他国の政策対応については依然として大きな不確実性がある」
「インフレ率は大幅に低下している」
「1-3月期のインフレデータはインフレが引き続き緩和していることを改めて裏付けている」
「基調インフレ率は目標バンドの中間付近にとどまると予想される」
20日14:40 ブロックRBA(豪準備銀行)総裁
「インフレを抑えなければならない今、われわれのペースはそうなっている」
「必要であれば、さらなる金融政策の変更をとる準備がある」
「これは正しい利下げであり、さらなる調整も可能」
20日15:46 シュナーベルECB専務理事
「トランプ関税は、短期的にはディスインフレ要因だが、中期的にはインフレ上昇要因」
「強いユーロは、国際的な地位の向上に資する」
20日17:12 ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト
「金利は低すぎる水準で横ばいとなっており、今後は慎重な利下げが必要」
「価格や賃金決定の構造的変化により、英国のインフレ過程の根本的な持続性が高まっている」
「基調的なデフレ傾向は続いている」
「昨夏以降、四半期ごとに0.25%ずつ利下げしてきたペースは、インフレ見通しを踏まえると速すぎる」
20日17:31 イランの最高指導者ハメネイ師
「米国との核協議は成功しないだろう」
「米国のウラン濃縮停止要求は非常識」
「米国は交渉で無意味な発言を避けるべきだ」
「6月の利下げが必要かどうか判断するには、中期的なインフレ見通しが不透明すぎる」
「ECBの予測では、今年と来年のインフレ率は低下する見通しだが、より長期的には不確実性が残るだろう」
20日23:08 ウンシュ・ベルギー中銀総裁
「市場の金利見通しは妥当」
「金利はやや支援的になる必要」
21日02:16 ムサレム米セントルイス連銀総裁
「金融政策は現在、良好な状態」
「インフレ期待が不安定になった場合、FRBは物価安定を優先すべき」
「関税はインフレに対して、一時的だけでなく永続的な影響も与える可能性がある」
「経済政策の不確実性が異常に高まっている」
21日04:20 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「米経済活動は減速するだろうが、それがどのように展開するかは予想が難しい」
「米国の関税水準は依然として高いため、何が起こるか予測するのは困難」
「国債市場のさらなる不安定化は不確実性を高めるだろう」
「政策転換をどうすべきかは、FRBは見通しについてより確信を持つ必要がある」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◎ 4月貿易統計(通関ベース、予想:季節調整前2153億円の黒字、季節調整済2256億円の赤字)
<海外>
○07:45 ◎ 4月ニュージーランド(NZ)貿易収支
○08:00 ◎ ハマック米クリーブランド連銀総裁、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○15:00 ◎ 4月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比1.0%/前年比3.3%)
○15:00 ◎ CPIコア指数(予想:前年比3.6%)
◇ 小売物価指数(RPI、予想:前月比1.4%/前年比4.2%)
○17:00 ◎ 4月南アフリカCPI(予想:前月比0.2%/前年比2.7%)
○17:00 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○19:00 ◎ センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○20:00 ◇ 3月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比3.2%)
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○22日01:00 ◎ レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○22日01:15 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○22日02:00 ◎ 米財務省、20年債入札
○22日02:30 ◎ エスクリバ・スペイン中銀総裁、講演
○主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議(カナダ・バンフ、22日まで)
○米・南アフリカ首脳会談(ワシントン)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
昨日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続落した。23時前に144.97円付近まで上げたものの、米10年債利回りが上昇幅を縮めると144.43円付近まで押し戻された。ユーロドルは取引終了間際に1.1286ドルと日通し高値を付けるなど続伸した。また、ユーロ円はドル円の下落につれた売りが出たものの、ユーロドルの上昇につれた買いが入ると一時163.15円付近まで値を上げた。
本日の東京タイムでドル円は、日本株や日米債の動向を睨んだ動きとなるも、主要7カ国(G7)と日米関税交渉待ちムードが強いだろう。22日まで開催されるG7財務相・中央銀行総裁会議で日米の財務相は2回目の会談を行う予定だ。また、日米関税交渉は19日から事務レベルの協議が行われており、閣僚協議は米東部時間23日(日本時間24日)に開かれる見通しだ。赤沢経済再生担当相が訪米し、米通商代表部(USTR)のグリア代表と米商務省のラトニック長官と協議を行う。ベッセント米財務長官は現時点で、参加が難しいとみられている。
昨日も加藤財務相が今週の日米協議で「為替を含め2カ国間の諸問題を議論する」と述べると円高に傾いたように、日米協議での「円安是正の議論」への警戒感が根強く、協議の内容を見極めるまでは円高圧力が残される。ただ、ドル円の下げも一服感があり、イベント待ちムードが広がりそうだ。今後の協議次第では円安是正が議論に上る可能性は十分あるものの、今の段階では前回同様に「日米両国で為替相場は市場で決まるとの原則を確認し、引き続き協議することで一致」とのことにとどまる可能性が高いと見ている。
先週末の米格付け会社ムーディーズによる米信用の格下げはドル売りで反応したが、米株・米債が下げ渋り、「米国売り」再燃への警戒感は緩んだ。ただ、トランプ関税の不確実性による市場の混乱が続いており、全般ドルの上値は重い。ベッセント米財務長官は、貿易相手国が通商協議で「誠意ある」交渉を行わなければ、米国は先月に警告した税率で関税を課すことになると述べている。米政権と貿易相手国で個別の交渉が続いているが、中国には通用しなかった脅かし作戦は変わっていないようだ。今のところ、報復措置を掲げながら「対峙」している欧州連合(EU)やカナダなどを筆頭に中国のように徹底抗戦を示す国が増えると、トランプ米政権は「米国の信頼喪失」という大きな代償を払わなければならない可能性がある。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 37590 +60 (+0.15%)
TOPIX先物 2747.0 +9.5 (+0.34%)
シカゴ日経平均先物 37620 +90
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
20日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落。多くの機関投資家がベンチマークとするS&P500指数が前日まで6日続伸し、2月下旬以来の高値水準まで上昇していたこともあり、短期過熱感から持ち高調整や利益確定の売りが広がった。米セントルイス連銀のムサレム総裁が、関税が経済成長と労働市場を軟化させるとの見解を示したと伝わったほか、米長期金利が上昇したことも重荷となった。
S&P500業種別指数は、家庭用品・パーソナル用品、自動車・同部品、医薬品・バイオテクノロジーが上昇した。一方で、エネルギー、消費者サービス、運輸の下げが目立った。NYダウ構成銘柄では、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、ボーイング<BA>、メルク<MRK>が買われた。半面、アメリカン・エキスプレス<AXP>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、アップル<AAPL>、エヌビディア<NVDA>が売られた。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比90円高の3万7620円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは日中比70円安の3万7460円で始まった。直後につけた3万7450円を安値に持ち直し、3万7500円~3万7550円辺りで保ち合いを継続。米国市場の取引開始後にレンジを切り上げ、3万7550円~3万7670円での推移から、中盤に3万7710円まで買われる場面もみられた。買い一巡後は3万7480円まで軟化する場面もあったが、終盤にかけてショートカバーが入り、3万7590円とプラス圏を回復してナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや買い先行で始まりそうだ。ナイトセッションの開始直後に3万7450円まで下落したが、その後は200日移動平均線(3万7520円)とボリンジャーバンドの+1σ(3万7620円)での攻防が続いた。米国市場で主力ハイテク株を中心に売られたことで、アドバンテスト<6857.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株が日経平均型の重荷になる可能性がある。ただし、200日線水準で底堅さがみられる局面では、ショートを仕掛けづらくさせそうだ。
G7財務相・中央銀行総裁会議に合わせて行われる日米の為替協議や3回目の日米関税協議の行方に注目が集まるなか、為替市場を睨んでの展開となりやすい。円相場は大きく振れやすい状況にあり、短期的な売買を誘い込む可能性がある。
積極的にポジションを傾けてくる動きは限られ、200日線を割り込む局面では押し目狙いのロング対応に向かわせよう。そのため、3万7500円を中心としたオプション権利行使価格の3万7375円から3万7875円のレンジを想定する。+1σを上回って推移する局面では、ショートカバーが入りやすいと思われ、3万8000円を試す展開も意識しておきたい。
20日の米VIX指数は18.09(19日は18.14)に低下した。18.68まで切り上がる場面もあったが、200日線(19.49)を下回っての推移となった。同線が抵抗線として機能しているほか、判断の分かれ目となる20.00を割り込んで推移するなかで、リスク選好の状況が続いている。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.70倍(19日は13.68倍)に上昇。一時13.74倍まで上げる場面もあったが、前日の下げに対するリバランスの動きにとどまっていた。+1σ(13.73倍)のほか、下向きで推移する75日線(13.77倍)が抵抗線として意識されている。いったんは支持線となる25日線(13.64倍)を試す可能性がありそうだ。
東京市場は軟調か。米国株は下落。ダウ平均は114ドル安の42677ドルで取引を終えた。直近の上昇に対する利益確定売りが優勢となり、軟調に推移した。ドル円は足元144円40銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて90円高の37620円、ドル建てが120円高の37650円で取引を終えた。
米国株が下落して為替は円高(ドル安)に振れていることから、日本株は売りに押されると予想する。CME225先物は弱くはなく、プラスで推移する場面はあるかもしれないが、外部環境がアゲインストの中では腰の入った買いは入りづらい。売り買いの材料に乏しい中、場中は方向感に欠ける動きが続くだろう。日経平均の予想レンジは37300円-37600円。
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昨日のドル円は、東京時間に日米財務相会談ネタと日米関税協議ネタに振り回された後は、20年国債入札の不調から超長期国債市場が「壊れた」状況となったことに反応せざるを得なく、市場としてもお腹一杯だったからか、海外市場に入ってからは、米長期金利の動向につれて主体性のない動きに終始したわけですが、本日はアジア時間早朝にCNNが報じた「イスラエルがイランの核施設攻撃を計画している」ことを意識した展開。株価はそれほど反応していないものの、為替市場では、ドルスイスフランの下落を筆頭に、ユーロドルが1.13ドルに上抜け。全般ドル安の流れとなるなか、ドル円も143.85円まで値を下げているといったところです。
いずれにしても、昨日のアジア市場では東京ネタ。そして、本日は中東ネタ。日替わりで矢継ぎ早に変化する情勢に対して、市場の視線がどこに向いているのかを判断しながらの動きとなっていきそうです。中東ネタも当然のことながら、今夜はG7ネタも再び海外市場で浮上してくるかもしれず、米20年債入札などとも合わせて、この後は米長期金利や株価を睨む動きとなっていきそうです。
日経225先物は11時30分時点、前日比30円安の3万7500円(-0.07%)前後で推移。寄り付きは3万7600円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7620円)にサヤ寄せする形から、買い先行で始まった。ただし、現物の寄り付き直後につけた3万7670円を高値に軟化し、中盤にかけて3万7430円まで下げ幅を広げた。中盤以降は3万7450円~3万7500円辺りでの保ち合いを継続している。
G7財務相・中央銀行総裁会議に合わせて行われる日米の為替協議や3回目の日米関税協議の行方に注目が集まるなか、為替市場では円相場が一時1ドル=143円台後半と円高に振れて推移していることが重荷になった。そのほか、イスラエルがイランの核施設への攻撃を準備していると米メディアが報じるなか、グローベックスの米株先物が弱含みで推移していることも神経質にさせている。日経225先物は200日移動平均線(3万7520円)を挟んでの推移をみせており、同線を下回る局面では押し目狙いのロングに向かわせそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.66倍に低下。一時13.63倍まで下げる場面もみられ、25日線(13.64倍)を下回ってきた。同線が支持線として意識されやすく、いったんはNTショートを巻き戻す動きが入るタイミングになりそうである。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券では、5月のRBA(オーストラリア準備銀行)理事会で、RBAが世界的な不確実性上昇を背景にハト派へ急転換したと指摘している。ブロック総裁が利下げの有無だけでなく、その幅(25bpか50bp)も検討したと記者会見で明かしたことは驚きであったと三菱UFJMSではコメント。次回の追加利下げは8月12日の理事会の可能性が高いとみているが、利下げのハードルが下がっているだけに7月8日の理事会の可能性も否めないとしており、次回の利下げ時期は流動的とみておきたいとコメントしている。
ポンドは4月の英物価データに注目。4月消費者物価指数(CPI)は前年比で3月の+2.6%から+3.3%程度に、同コアは3月の+3.4%から+3.6%程度に伸びが加速すると見込まれている。3月CPIは3カ月ぶりの低水準となったが、4月からガス、電気、水道料金など公共料金が値上がりし、雇用主に対する増税でインフレ率が3%台半ばに上昇することが織り込まれている。
イングランド銀行(英中銀、BOE)は今月の8日に政策金利を4.50%から4.25%に引き下げた。今年に入って2度目の利下げとなった。BOEは4月以降第3四半期までインフレ率は3.5%に上昇し、その後は低下すると見込んでいる。ただ、トランプ関税と通商政策の不確実性は世界経済への新たなリスクとなり、関税が世界の経済活動を抑制する方向に働くとし、英国ではインフレ率を押し下げる可能性が高いとしているが、不確実性が高まり成長に対するリスクは「やや下向き」である一方で、インフレに対するリスクは「両方向」との認識も示した。
BOEの5月会合後、次回6月会合での追加利下げ観測は後退している。4月CPIの結果が6月会合での政策思惑につながる可能性はある。ポンドドルは4月下旬に2022年2月以来の高値となる1.3444ドルまで上昇した後に買いが一巡するも、下押しを1.31ドル台にとどめると1.34ドル台に切り返している。トランプ関税の不確実性による市場の混乱が続いており、全般ドルの上値が重く上方向への動きが再燃する可能性が高まっている。
・想定レンジ上限
ポンドドルは4月28・29日の高値1.3444ドル、心理的節目の1.3500ドルを上抜けると2022年2月24日高値1.3550ドルが視野に。ポンド円は日足一目均衡表・転換線194.38円や節目の195.00円。
・想定レンジ下限
ポンドドルは21日移動平均線1.3315ドルや19日安値1.3245ドル。ポンド円は21日移動平均線192.53円や日足一目均衡表・基準線191.94円。
ドル円:1ドル=143.57円(前営業日NY終値比▲0.94円)
ユーロ円:1ユーロ=162.69円(▲0.36円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1332ドル(△0.0049ドル)
日経平均株価:37298.98円(前営業日比▲230.51円)
東証株価指数(TOPIX):2732.88(▲5.95)
債券先物6月物:139.14円(▲0.01円)
新発10年物国債利回り:1.515%(横ばい)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月貿易統計(通関ベース)
季節調整済 4089億円の赤字 2917億円の赤字・改
季節調整前 1158億円の赤字 5594億円の黒字・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は売り優勢。「イスラエルがイランの核施設攻撃を計画している」との報道が伝わると売りが先行。逃避通貨としてのスイスフランが対ドルで買われたことで相対的にドルが弱含んだ影響を受けたうえ、新発30年物・40年物国債利回りが過去最高水準を記録するなど、本邦長期金利の上昇も嫌気された。一時143.46円まで下値を広げる場面も見られた。
・ユーロドルは強含み。ドル円の下落に伴う買いが入ったうえ、対スイスフランでのドル売りが波及した面もあり、堅調に推移。一時1.1353ドルまで値を上げた。また、ドルスイスフランは一時0.8210フランまで下落している。
・ユーロ円は小幅安。ドル円の下落や本邦長期金利の上昇を受けて162.67円まで下げる場面があったが、ユーロドルが堅調に推移したことで下値も限られた。
・日経平均株価は反落。上昇して始まったものの、外国為替市場での円高・ドル安を受けて自動車関連株を中心に売りが優勢に。本邦金利上昇も引き続き重しとなり、結局安値引けとなった。
・債券先物相場は3日続落。前日の極めて不調な結果となった20年債入札を受けて超長期債の需給不安が意識されると上値の重い展開となり、一時138.96円まで値を下げた。ただ、一巡すると押し目買いが入りプラス圏を回復する場面もあった。
南アフリカ政府は鉱業分野の投資促進と規制の明確化を目的とした鉱業法改正案を発表し、8月13日までのパブリックコメントを募集している。新法案では、許認可手続きの簡素化や鉱業利益の公正な分配、現地加工・製造産業の推進が盛り込まれている。また、違法採掘対策として小規模・零細鉱山向けの新たなライセンス制度を導入し、規制強化と経済成長の両立を図る。併せて、プラチナ・マンガン・鉄鉱石・石炭・クロム鉱石の5鉱物を最重要資源と位置付ける「重要鉱物戦略」も策定。鉱業協会は、過度な規制が投資や雇用に悪影響を与えてきたと指摘し、さらなる手続き簡素化とインフラ改善の必要性を訴えている。
国際通貨基金(IMF)のギータ・ゴピナート第一副専務理事は米国の財政赤字が過大であり、「増え続ける債務問題に真剣に取り組むべきだ」と警告した。米国はトランプ政権による対中関税の一部撤廃や英米経済協定の進展など前向きな動きがある一方、依然として高い貿易政策の不透明感に直面している。IMFは4月、米国の成長見通しを関税の影響で下方修正し、今後さらなる貿易摩擦が成長を一段と鈍化させると指摘。さらにトランプ大統領が2017年の減税延長や新たな減税策を提案する中、米国の債務残高は36兆ドルを突破。ムーディーズは財政赤字拡大と利払い増大への対応が不十分として、米国債の格付けを引き下げた。
メキシコのエブラルド経済相は米国向けに輸出されるメキシコ製自動車の関税が平均15%になると発表した。これは、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に基づく優遇措置により、米国産部品の使用割合に応じて関税が割引されるため。米国は2025年4月から原則25%の関税を導入したが、USMCA加盟国のメーカーは車両ごとに米国産部品の割合を証明することで、非米国産部分のみに25%が適用され、全体の関税負担が軽減される。認証は6カ月ごとに必要で、虚偽申告が発覚した場合は遡って25%の関税が課される可能性もある。メキシコは米国向け自動車輸出の主要拠点であり、今回の優遇措置は他国と比べ大きな競争優位となっている。
ブラジル中央銀行のガリーポロ総裁はインフレ期待の高止まりや経済活動の底堅さを背景に、金融政策を長期間引き締め的に維持する方針を改めて強調した。第1四半期GDPは農業主導で予想を上回る伸び(前期比+1.3%、前年比+3.7%)を記録し、インフレ率も4月時点で5.53%と高止まりしている。政府は一時的な歳出削減策で財政目標の達成を目指すものの、抜本的な財政改革は先送りされる見通し。今後も高金利(政策金利は14.75%)が続く見込みで、2026年第2四半期までは緩和に転じにくい状況が続くとみられる。
IMMシカゴ筋は、今年1月にドル円が155円付近で推移していた頃、円の売り持ちポジションから買い持ちポジションに転換し、152円付近では過去最大規模に拡大して、4月29日時点(※NY終値:142.33円)では179,212枚まで過去最大を更新していた。
5月6日時点(※NY終値:142.45円)では若干減り(-2,353枚)176,859枚だった。
5月13日時点(※NY終値:147.48円)でも若干減り(-4,591枚)172,268枚だった。
ドル円は、5月12日にスイスのジュネーブでの米中貿易交渉で、米中貿易合意が締結されたことで、148.65円まで上昇したものの、IMMシカゴ筋は依然として過去最大規模の円の買い持ちポジションを堅持している。
1.ドル安・円高の相場観
シカゴ筋がドル売り・円買いのポジションに傾いた背景には、日銀の追加利上げ観測、米連邦準備理事会(FRB)の追加利下げ観測、トランプ関税を巡るドル下落観測などがあったと思われる。
しかし、5月1日の日銀金融政策決定会合では、トランプ関税の「不確実性」を理由にハト派的な据え置きとなり、円安要因が剥落した。
5月7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でも「不確実性」を理由に、タカ派的な据え置きとなり、年内の利下げ見通しも、4回から2回に減ったことで、ドル安要因が剥落した。
5月8日の米英貿易協定の締結合意や5月12日の米中貿易協定の合意を受けて、ドル売り要因が剥落した。
2.マールアラーゴ合意(Mar-a-Lago Accord)
2024年11月、元ヘッジファンド業界(Hudson Bay Capital Management )で財務省上級顧問のミラン氏(現在:大統領経済諮問委員会CEA委員長)は、「トリフィンのジレンマ(The Triffin dilemma)」をベースにして、「持続的なドル過大評価」に起因する経済的不均衡の解消と、国際貿易システム改革に向けロードマップを提示した。
【トリフィンのジレンマ(The Triffin dilemma)】
米国ドルを国際準備通貨にするには、外貨準備の世界需要を満たすようにドルの供給をしなければならないため、米国の貿易収支・経常収支は赤字にならざるをえない。
米国の貿易赤字を削減するには、1971年のニクソン・ショックや1985年のプラザ合意のように、ドル安に誘導せざるを得ない。
2025年1月、トランプ米政権に大統領経済諮問委員会CEA委員長として参画したミラン氏が唱える米国の貿易赤字と財政赤字の削減を標榜する論文は、元ヘッジファンド業界(Soros Fund Management)のベッセント米財務長官の共感を呼んだらしい。
ヘッジファンドのポジションが垣間見えるIMMシカゴ筋は、「プラザ合意II」としての「マールアラーゴ合意」を夢想しているのだろうか。
モルガン・スタンレーMUFG証券ではTOPIXに関して、基本ケースでは2026年6月末に、現在値より6%高い2900ptを想定している。不確実性は高いとみており、強気ケースでは19%高い3250pt、弱気ケースでは23%低い2100ptを想定している。内需型非製造業を「オーバーウエート」、シクリカル性の強い外需業種を「アンダーウエート」とするスタンスは維持している。また、米関税政策を巡る情報発信に機動的に対応しつつ、同時多発的に起きるカバナンスイベントに備えたポジショニングを推奨している。
SMBC日興証券では、7月の参院選を前に消費税引き下げの議論が出てきていることを受けて、その影響について考察している。内閣府のマクロ計量モデルに基づけば、消費税率が1%pt引き下げられた場合、短期的には実質GDPは0.2%pt、消費は0.5%pt押し上げられると計算されるとのこと。大部分が貯蓄に回ってしまうと指摘される現金給付と比べて、消費への影響は大きいとSMBC日興では指摘している。ただし、今回の消費税引き下げは実現したとしても時限的な措置となる公算が大きい。そのため、消費の長期的な水準を高めるには至らず、あくまで短期的な消費押し上げと、駆け込み消費とその反動の発生にとどまるとSMBC日興では考えている。
大和証券では、為替を取り巻く環境が複雑でテーマも多岐にわたる中、6月も「対米交渉」が最重要テーマになると考えている。日米の連携が円安を示唆しないのは明確だが、ドル安は米国のインフレをもたらしかねない。日米当局は円安警戒感を持ちつつも、両国の基調的物価目標のために円高も望まないと考えられる。これらの点から大和では、貿易交渉の帰結として、為替以外での解決策を求めていくのがメーンシナリオになると考えている。ドル円に関しては、しばらく140円台半ばでレンジ推移を続けると想定している。
参議院は21日、元三菱商事常務の増一行氏を日銀審議委員に起用する政府の同意人事案を承認した。増一行氏は6月30日に任期満了を迎える中村豊明審議委員の後任で、衆議院では22日に採決が行われる予定となっている。
大阪6月限
日経225先物 37260 -270 (-0.71%)
TOPIX先物 2730.5 -7.0 (-0.25%)
日経225先物(6月限)は前日比270円安の3万7260円で取引を終了。寄り付きは3万7600円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7620円)にサヤ寄せする形から、買い先行で始まった。ただし、現物の寄り付き直後につけた3万7670円を高値に軟化し、前場中盤にかけて3万7430円まで下げ幅を広げた。中盤以降は3万7430円~3万7510円辺りで保ち合いを継続。後場中盤にレンジを割り込むと、終盤にかけて下落幅を広げ、3万7260円と本日の安値で終えた。
G7財務相・中央銀行総裁会議に合わせて行われる日米の為替協議や3回目の日米関税協議の行方に注目が集まるなか、為替市場では円相場が一時1ドル=143円台と円高に振れて推移していることが重荷になった。イスラエルがイランの核施設への攻撃を準備していると米メディアが報じたことも投資家心理を神経質にさせたのだろう。
さらに、半導体製品メーカーのウルフスピード<WOLF>が今後数週間以内に破産申請を進めていると報じられ、時間外取引で60%を超える急落となった。アドバンテスト<6857.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株への売りにつながったことも、ショートを仕掛けやすくさせたとみられる。
ただし、グローベックスの米株先物は弱含みで推移しているものの、ナスダック100先物は0.5%ほどの下げにとどまっている。ウルフスピードについては2021年11月にピークをつけた後は、長期的な下落基調が続いていたこともあり、ヘッジを強める形でプット買いが積み上がっていたとみられ、予想されていた面はあったと考えられる。そのため、改めてショートを仕掛けてくる動きは限られるだろう。
日経225先物は200日移動平均線(3万7520円)やボリンジャーバンドの+1σ(3万7600円)に上値を抑えられる形となった。日米の為替協議を受けた円相場の影響を受けやすい状況であるが、米国側から円安是正を求められるとの思惑で先回り的な動きが入ったとみられ、協議を無難に通過するようだと、リバランスが入りやすい。
200日線や+1σを早い段階でクリアできないと、目先的には75日線(3万6790円)辺りが意識されてくる可能性があり、日米の為替協議や通商協議の内容を見極めたいところだろう。
NT倍率は先物中心限月で13.64倍に低下。一時13.63倍まで下げる場面もみられ、25日線(13.64倍)を下回ってきた。米ハイテク株の動向次第の面はあるが、同線が支持線として意識されやすいく、いったんはNTショートを巻き戻す動きが入るタイミングになる可能性はありそうだ。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万0743枚、ソシエテジェネラル証券が8445枚、サスケハナ・ホンコンが2743枚、野村証券が1459枚、JPモルガン証券が1430枚、バークレイズ証券が992枚、モルガンMUFG証券が936枚、日産証券が933枚、みずほ証券が671枚、SBI証券が667枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が1万5233枚、ソシエテジェネラル証券が1万3582枚、JPモルガン証券が4570枚、バークレイズ証券が3272枚、モルガンMUFG証券が2745枚、ゴールドマン証券が1953枚、みずほ証券が1832枚、シティグループ証券が1168枚、ビーオブエー証券が1015枚、サスケハナ・ホンコンが920枚だった。
NYタイムは、22日まで開催のG7財務相・中央銀行総裁会議や、2回目の日米財務相会談に関する報道や思惑で上下する展開か。円安是正議論を意識させる内容などに神経質になると考えられるが「為替相場は市場で決まるとの原則を確認」といったことの追認にとどまるとの見方がある。本日、石破首相も「為替の水準についてあれこれ言うべきではない」と述べ、市場の動きに任せる姿勢を示していた。
G7に関連した動意がなければ、特段の経済指標発表などがないため、限られたレンジで上下しやすいとみる。手控え感が強まる可能性もあり、ある程度のまとまったフローが入ると振れてしまうことも想定できるが、高値を掴んでしまったり、安値を売り込んでしまったりと、不利なポジションメイクや手仕舞いにつながってしまうリスクに注意したい。
本日の米連邦準備理事会(FRB)高官講演のうち、投票権のあるボウマンFRB理事の発言内容には一応留意しておきたい。同理事はタカ派と目されているが、今春に入ってからはインフレ率の低下などにも言及している。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、本日早朝高値144.61円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値めどは、1日安値142.88円
今晩は小売株の決算に注目。昨日は足もとで株価の上昇が続いたことで利益確定売りが強まり主要3指数がそろって下落した。貿易交渉を巡る具体的な進展が無かったことや、トランプ米大統領の大型減税法案に対して与党共和党の主要議員が反対していることなども重しとなった。ダウ平均は114.83ドル安(-0.27%)と4営業日ぶりに反落し、S&P500も0.39%安と7営業日ぶりに反落。ナスダック総合も0.38%と3営業日ぶりの反落となった。
今晩の取引でも昨日同様に上値の重い展開か。主要3指数はそろってトランプ米大統領が「相互関税」を発表した4月2日以前の水準を回復した。年初来ではダウ平均が0.31%高、S&P500が1.00%高とプラス圏を回復し、ナスダック総合は下落率を0.87%に縮小した。景気動向やインフレ見通しを巡る不透明感が引き続き意識される中、貿易交渉の進展などの好材料待ちの展開となりそうだ。企業決算では寄り前にロウズ、ターゲット、TJXなど小売り株が決算発表予定で決算内容やガイダンスに要注目となる。
今晩の米経済指標・イベントはMBA住宅ローン申請指数、EIA週間原油在庫、米20年債入札など。企業決算は寄り前にメドトロニック、ロウズ、ターゲット、TJXが発表予定。
南アフリカ財務省は2025年のGDP成長率を前回3月の+1.9%から+1.4%、2026年を+1.7%から+1.6%へそれぞれ下方修正した。また、付加価値税(VAT)率引き上げの撤回や経済見通しの修正により、中期的な税収見通しを619億ランドに引き下げた。また、2025/26年度の統合財政赤字をGDP比+4.8%とし、前回3月の+4.6%から引き上げた。
日経平均株価は反落。後場に向けてじり安の展開となり、安値で取引を終える格好となった。
RSI(9日)は前日の67.6%→58.4%(5/21)に低下。短期的な相場の見方に変化はなく、4/7安値(30792円)を起点とした目先波動は上昇継続の判断となる。ただ、75日移動平均線(36926円 5/21)上などで日柄調整が長引く可能性が高くなったといえる。
先週、終値ベースで3/26につけた急落前の戻り高値(38027円)を更新したことで、パターン分析では4月前半の安値を先端に「スパイクボトム(V字)」を確認した。短期的な下押しは想定内としながらも、調整一巡後の意外高の想定は継続である。
上値メドは、心理的節目の38000円、5/13高値(38494円)、心理的節目の39000円、2/13高値(39581円)、心理的節目の4万円、1/24高値(40279円)などがある。下値メドは、75日移動平均線、心理的節目の36500円、25日移動平均線(36142円 同)、心理的節目の36000円や35500円などがある。
米財務省によると、20年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが5.047%、応札倍率(カバー)が2.46倍となった。
(21日終値:22日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=143.48円(21日15時時点比▲0.09円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.82円(△0.13円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1348ドル(△0.0016ドル)
FTSE100種総合株価指数:8786.46(前営業日比△5.34)
ドイツ株式指数(DAX):24122.40(△86.29)
10年物英国債利回り:4.757%(△0.054%)
10年物独国債利回り:2.646%(△0.040%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月英消費者物価指数(CPI)
(前月比) 1.2% 0.3%
(前年比) 3.5% 2.6%
CPIコア指数
(前年比) 3.8% 3.4%
4月英小売物価指数(RPI)
(前月比) 1.7% 0.3%
(前年比) 4.5% 3.2%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は戻りが鈍かった。東京午後に一時143.46円まで下落したものの、8日の安値143.45円がサポートとして意識されると買い戻しが優勢に。18時前に144.19円付近まで持ち直した。ただ、欧州勢の本格参入後は米長期金利の上昇や時間外のダウ先物の下落を受けて、「米国資産売り」を意識したドル売りが進んだ。
「米国は米韓協議でウォン高に向けた対策を要求した」との一部報道を受けて、市場では「主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議にあわせて開催が見込まれている日米財務相会談で、日本が円安是正を求められる」との思惑が拡大。円買い・ドル売りを誘った面もあった。
NY午後に入ると、米20年債入札が「低調」と受け止められ、米長期金利が大幅に上昇し、米国株相場が軟調に推移。リスク回避の円買い・ドル売りも入った。2時30分前には一時143.29円と7日以来の安値を更新した。
・ユーロドルは強含み。欧米市場では米国の「トリプル安(株安・債券安・通貨安)」を意識したドル売りが目立った。低調な米20年債入札を受けて、米国債や米国株が下落するとドル売りが進み、一時1.1363ドルと日通し高値を更新した。
なお、米10年債利回りは一時4.6025%前後と2月13日以来の高水準を付けたほか、米株式市場でダウ平均は一時840ドル超下落。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時99.34まで低下した。
・ポンドドルは一時1.3469ドルと2022年2月以来約3年3カ月ぶりの高値を更新した。4月英消費者物価指数(CPI)が予想を上回ったことを受けた。
・ユーロ円は伸び悩み。ユーロドルの上昇につれた買いが先行すると一時163.31円と日通し高値を付けたものの、ドル円の下落につれた売りが出ると上値が重くなった。21時30分過ぎには162.70円付近まで下押しした。
・ロンドン株式相場は小幅ながら5日続伸し、3月3日以来約2カ月半ぶりの高値で取引を終えた。4月英CPIの上振れが嫌気されて売りが先行したものの、下押しは限定的だった。引けにかけてはやや強含み、上げに転じた。アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株が買われた半面、BPやシェルなどエネルギー株が売られた。
・フランクフルト株式相場は5日続伸し、史上最高値を更新した。独長期金利の上昇や時間外のダウ先物の下落が投資家心理を冷やし、売りが先行した。ただ、売り一巡後は徐々に買い戻しが優勢となり、上げに転じた。個別ではインフィニオン・テクノロジーズ(2.26%高)やドイツテレコム(1.81%高)、コメルツ銀行(1.43%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は下落した。米債安につれた。
21日の日経平均は反落。終値は230円安の37298円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり747/値下がり816。三菱重工、川崎重工、IHIの防衛大手3社がそろって大幅上昇。決算説明会が評価されたみずほが買いを集め、全市場の売買代金トップ10入りするなど商いも膨らんだ。円高に対する警戒が強まったものの、ホンダ、日産自動車、三菱自動車など自動車株には上昇する銘柄が多かった。グロース250指数の連騰はストップしたものの新興銘柄の物色は引き続き旺盛で、QPS研究所やispaceなど宇宙関連の動きが良かった。
一方、アドバンテストやディスコなど半導体株の一角が大幅安。任天堂、DeNA、ブシロード、バンクオブイノベーションなど、ゲーム関連に大きく売られるものが散見された。決算が失望を誘ったSOMPOが7.1%安。株式の売り出しを発表したグローバルリンクやヴィッツが急落した。
日経平均は反落。前引けは37円安(37491円)と小安い程度であったが、後場に入って下押し圧力が強まった。先週で決算発表がほぼ出そろって一気に材料難となる中、日米交渉を先に控えて為替市場では円高が進行と、買いを手控えたくなる要素が多い。日米の3回目の閣僚協議は日本時間24日の予定と伝わっており、今週いっぱいは不安定な動きが続くとみておくべきか。きょうの終値は37298円。あす大きく下げるようだと、金曜23日もリスク回避の売りに押されやすくなる。37000円割れを回避できるかが注目される。
(21日終値)
ドル・円相場:1ドル=143.68円(前営業日比▲0.83円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.79円(▲0.26円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1331ドル(△0.0048ドル)
ダウ工業株30種平均:41860.44ドル(▲816.80ドル)
ナスダック総合株価指数:18872.64(▲270.07)
10年物米国債利回り:4.60%(△0.11%)
WTI原油先物7月限:1バレル=61.57ドル(▲0.46ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3313.5ドル(△28.9ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
MBA住宅ローン申請指数
(前週比) ▲5.1% 1.1%
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は3日続落。「米国は米韓協議でウォン高に向けた対策を要求した」との一部報道を受けて、主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議にあわせて開催される日米財務相会談や米関税措置を巡る3回目の日米交渉を前に、円安是正議論への思惑が高まり、円買い・ドル売りが先行した。
NY午後に入り、米財務省が実施した20年債入札が「低調」と受け止められると、米長期金利が一段と上昇し、米国株相場がさらに下落。リスク回避の円買い・ドル売りも入り、2時30分前に一時143.29円と7日以来の安値を更新した。
なお、加藤財務相は本日、カナダ・バンフでベッセント米財務長官と会談したと伝わった。また、赤沢経済財政・再生相は23日に訪米し、3回目の日米関税交渉に臨む予定となっている。
・ユーロドルは3日続伸。米長期金利の上昇や米国株相場の下落を受けて、米国の「トリプル安(株安・債券安・通貨安)」を意識したドル売りが進んだ。低調な米20年債入札をきっかけに米トリプル安の様相がさらに強まると、2時30分前に一時1.1363ドルと日通し高値を更新した。
なお、米10年債利回りは一時4.6025%前後と2月13日以来の高水準を付けたほか、米株式市場でダウ平均は一時890ドル超下落した。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時99.34まで低下した。
・ユーロ円は3日ぶりに反落。ユーロドルの上昇につれた買いが入ると一時163.31円と日通し高値を付けたものの、ドル円の下落につれた売りが出ると上値が重くなった。米国株相場の下落に伴うリスク・オフの円買い・ユーロ売りも入ると、5時前に一時162.63円と日通し安値を更新した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は続落。米財政悪化を巡る懸念から米長期金利が上昇すると、株式の相対的な割高感が意識されて売りが先行。低調な米20年債入札をきっかけに米長期金利が一段と上昇すると、株売りが加速し一時890ドル超下落した。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も続落。プラス圏で推移する場面もあったが、低調な米20年債入札をきっかけに売りが強まると下げに転じた。
・米国債券相場で長期ゾーンは続落。米財政悪化への懸念から売りが先行。20年債入札が「低調」と受け止められると売りが加速し、利回りは一時4.6025%前後と2月13日以来の高水準を付けた。
・原油先物相場は続落。一部報道が「イスラエルがイラン核施設への攻撃を準備している」と報じ、中東情勢の悪化から原油供給の混乱が懸念された。これを受けて時間外では64ドル前半まで急騰するも、買いの勢いは続かなかった。米エネルギー省(EIA)がこの日発表した週間在庫統計では、一部で取り崩し予想の原油が積み増しとなり、需給の緩みを意識した売りがでた。
・金先物相場は3日続伸。「イスラエルがイランの核施設攻撃を計画」という一部報道を受け、中東の地政学リスクの高まりが意識されると時間外から3300ドル台で強含んだ。NY勢の本格参入後は持ち高調整の売りに押されるも、低調な米20年債入札をきっかけに米トリプル安(株安・債券安・通貨安)の様相となり、安全資産とされる金は底堅さを取り戻して終えた。
加藤財務相は本日、カナダ・バンフでベッセント米財務長官と会談したようだ。会談は4月に続いて2回目で、為替について再び協議するという。
21日08:23 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁
「FRBの政策はよいポジションにある」
「インフレリスクに対して非常に感度を高めている」
21日08:26 ハマック米クリーブランド連銀総裁
「経済に関するセンチメントデータは懸念される」
「FRBがインフレと失業の両方で試されることになれば、それは困難な選択となるだろう」
21日08:30 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「リセッションは見込んでいない」
「米企業と家計に対しては静観の姿勢を維持」
21日15:32 石破首相
「為替の水準についてあれこれ言うべきではない」
「消費税下げることだけが物価高対策とは思っていない」
21日20:46 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「一時的な要因がユーロ圏の第1四半期GDPを押し上げた」
「エネルギーコストとユーロ高がインフレ率を押し下げる見通し」
「物価上昇率2%の目標はそう遠くない将来に達成できるだろう」
「市場にとって財政リスクに対して楽観視はできない」
22日01:34 ラマポーザ・南アフリカ大統領
「重要な鉱物資源の問題について議論する必要がある」
「南アと米国の関係を再調整したい」
「米国とは長年のパートナーであり、貿易を促進したい」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◎ 3月機械受注(予想:船舶・電力除く民需 前月比▲1.6%/前年比▲1.8%)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○10:30 ◇ 野口旭日銀審議委員、あいさつ
○未定 ◇ 5月月例経済報告
<海外>
○09:00 ◎ 1-3月期シンガポール国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比▲1.0%)
○15:45 ◇ 5月仏企業景況感指数(予想:97)
○16:00 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○16:15 ◎ 5月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:48.9)
○16:15 ◎ 5月仏サービス部門PMI速報値(予想:47.7)
○16:30 ◎ 5月独製造業PMI速報値(予想:48.8)
○16:30 ◎ 5月独サービス部門PMI速報値(予想:49.5)
○17:00 ◎ 5月独Ifo企業景況感指数(予想:87.3)
○17:00 ◎ 5月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:49.2)
○17:00 ◎ 5月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:50.5)
○17:20 ◎ ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○17:30 ◎ 4月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比1.6%)
○17:30 ◎ 5月英製造業PMI速報値(予想:46.1)
○17:30 ◎ 5月英サービス部門PMI速報値(予想:50.0)
○19:50 ◎ ブリーデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○20:00 ◎ ディングラ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○20:30 ☆ 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(4月17日分)
○21:00 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○21:00 ◎ 1-3月期メキシコGDP確定値(予想:前期比0.2%/前年同期比0.8%)
○21:30 ◇ 4月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比▲0.5%)
○21:30 ◇ 4月カナダ原料価格指数(予想:前月比▲2.3%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.0万件/188.3万人)
○21:30 ◎ ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演
○22:30 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○22:45 ◎ 5月米製造業PMI速報値(予想:49.9)
○22:45 ◎ 5月米サービス部門PMI速報値(予想:51.0)
○22:45 ◎ 5月米総?⑰MI速報値(予想:50.3)
○23:00 ◎ 4月米中古住宅販売件数(予想:前月比2.0%/年率換算410万件)
○24:00 ◎ エルダーソンECB専務理事、講演
○24:00 ◎ デギンドスECB副総裁、講演
○23日03:00 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○23日03:30 ◎ マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁、会見
○主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議(カナダ・バンフ、最終日)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
昨日の海外市場でドル円は、「米国は米韓協議でウォン高に向けた対策を要求した」との一部報道を受けて、主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議にあわせて開催される日米財務相会談や米関税措置を巡る3回目の日米交渉を前に、円安是正議論への思惑が高まり、円買い・ドル売りが先行し一時143.29円と7日以来の安値を更新した。ユーロドルは、低調な米20年債入札をきっかけに米トリプル安の様相がさらに強まると、一時1.1363ドルと日通し高値を更新した。
本日の東京時間でドル円は、ドルの上値は限定的になりそうだ。日米財務相会談後に両財務省は、「前回の会談と同様に為替の水準については議論されなかった」「現時点でのドル円はファンダメンタルズを反映しているとの認識を再確認」「為替レートは市場で決定されるべきとの共通認識を再確認」などと声明で発表された。この発表を受けて、ドル円は144円台まで買い戻されている。ただ、市場では水面下でのドル高是正については話し合いが行われているという疑念が消えることはなく、買い戻しは限定的になると思われる。
ドル高是正の思惑が続いているのは、他のアジア諸国に対してもドル高について話し合いが持たれている可能性が高いことだ。昨日も米国が米韓協議で「ウォン高に向けた対策を要求した」との報道が流れたが、それ以前にも韓国企画財政部の報道官が「米国との為替協議が行われたことを確認」と述べている。ただ。これらの報道が伝わる度に否定され、鄭仁教・韓国通商交渉本部長も「グリア米通商代表部(USTR)代表との協議で為替は取り上げられなかった」と述べている。市場では米国は日本、韓国、そして台湾などの一部アジア諸国と足並みをそろえてドル高是正を求め、同時に発表するまでは為替については正式な発表を控えているとの予想がある。よって、今回も為替についての発言は従来通りだったが、言葉を額面通りに受け止める市場参加者は少なく、ドル円の買い戻しは限られるだろう。
また、ドルの上値を抑えるのは、米国で再びトリプル安を懸念した声が高まっていることが挙げられる。昨日は米東部時間午後1時に行われた20年債入札の低調な結果が、利回りをこの日の高値に押し上げるきっかけとなった。ただ、入札以外にもトランプ米大統領による大型の税制・歳出法案(トランプ氏曰く「big, beautiful bill」)が一両日中に下院で採決される可能性が高まっていることも、米債売りの背景にある。これまでは安全資産とみなされていた米債だが、米国の財政問題をさらに悪化させる可能性が高いことで、徐々に安全資産とはみなされなくなっている。一部ではダムの崩壊が始まっているとの指摘があり、本格的な米債売りがさらに始まるリスクがあることが、ドルの重しになりそうだ。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 36840 -420 (-1.12%)
TOPIX先物 2708.0 -22.5 (-0.82%)
シカゴ日経平均先物 36920 -340
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
21日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落。米財務省が実施した20年債入札の結果が振るわず、これをきっかけに米長期金利が上昇。財政悪化の懸念が高まり、株式市場でもリスク回避の動きが強まった。小売りのターゲット<TGT>が発表した2025年2~4月期決算は売上高などが市場予想を下回った。トランプ米政権の関税政策が消費の落ち込みにつながっているとの見方も重荷になった。
S&P500業種別指数は、メディアのみが上昇した。一方で、耐久消費財・アパレル、運輸、銀行、自動車・同部品、ヘルスケア機器・サービスの下げが目立った。NYダウ構成銘柄では、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、ナイキ<NKE>、アメリカン・エキスプレス<AXP>、スリーエム<MMM>、ビザ<V>、アップル<AAPL>が売られた半面、コカ・コーラ<KO>のみが上昇。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比340円安の3万6920円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは日中比80円高の3万7340円で始まった。直後につけた3万7360円を高値に軟化し、3万7140円まで売られた。その後は持ち直し、米国市場の取引開始後に3万7360円とプラス圏を回復する場面もみられた。しかし、中盤以降に急落し3万6830円まで下げ幅を広げ、3万6840円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、売り先行で始まりそうだ。ナイトセッションで3万6830円まで売られ、一気に75日移動平均線(3万6780円)に接近してきた。朝方はインデックス売りが集中しやすいとみられるが、同線が支持線として機能するかを見極めたい。75日線を割り込むようだと、25日線が位置する3万6280円が射程に入り、短期的なショートを誘い込みやすい。
まずは75日線を支持線とした押し目狙いのロング対応に向かわせよう。戻りの鈍さが意識されてくる局面ではショートが入りやすく、スキャルピング中心での売買になりそうだ。下へのバイアスが強まったとしても、25日線水準には13週線も位置しているため強いサポートとなるほか、過熱感も解消されることになろう。
米国市場の弱い値動きに対して、相対的に出遅れている日本株にはリバランスの買いが意識されてくる可能性はある。G7財務相・中央銀行総裁会議の際に行われる日米の為替協議や3回目の日米関税協議の行方に注目が集まるなか、基本的には押し目狙いのロング対応を想定しておきたい。
21日の米VIX指数は20.87(20日は18.09)に上昇した。足もとで上値抵抗として機能していた200日線(19.49)を上回り、判断の分かれ目となる20.00を越えてきた。市場心理を神経質にさせる可能性はあるが、依然としてボトム圏での推移であり、リスク回避姿勢はそれほど強まらないだろう。
昨日、NT倍率は先物中心限月で13.64倍に低下。一時13.63倍まで下げる場面もみられ、25日線(13.64倍)を下回ってきた。いったんはNTショートを巻き戻す動きが入るタイミングだが、同線を明確に割り込んでくると、ボリンジャーバンド-1σが位置する13.54倍辺りを意識したNTショートに振れやすくなりそうだ。
東京市場は軟調か。米国株は下落。ダウ平均は816ドル安の41860ドルで取引を終えた。20年債入札の不調を受けて長期金利が上昇。10年債利回りは4.6%台に乗せた。「悪い金利上昇」が意識されて株式からは資金が離散。3指数とも終盤にかけて下げ幅を広げた。ドル円は足元144円00銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて340円安の36920円、ドル建てが305円安の36955円で取引を終えた。
ダウ平均が値幅を伴った下げとなったことから、日本株も警戒売りに押されると予想する。ただ、朝方に加藤財務相とベッセント米財務長官の会談において為替が議論にならなかったことが伝わっており、これを受けてドル円が円安に振れている。このニュースが伝わる手前では143円台半ばで推移していた。足元では円高が日本株の重荷となっていただけに、一定の安心材料にはなるだろう。売り一巡後は下げ渋り、様子見姿勢が強まると予想する。日経平均の予想レンジは36900円-37300円。
昨日の海外市場では、NY市場に入って米20年債入札が1.2bpのテールが発生する「かなり悪い結果」となって米長期金利が急騰。ダウ平均の890ドルを超える急落とともに、再び米トリプル安の様相となると、為替市場でもドル売りが強まる展開。ドル円も143.29円まで売り込まれることになりました。
アジア時間に入ってからは、日米財務相会談で「為替相場は市場で決定され、ドル円はファンダメンタルズ反映していることを再確認した」ことが表明されると一気に買戻しが加速。一時144.40円まで買い上げられましたが、昨日高値の144.61円が目先の目処として意識されたほか、日経平均が寄付きから420円を超える下落となると戻り売りが強まる展開に。ユーロドルが底堅く推移するなど、全般ドル売りの状況となるなか一時143.29円と昨日安値に面合わせしました。仲値に向けては143.64円まで買戻されたものの戻りも限定的。再び143.20円まで安値を更新しています。
いずれにしても、市場は日米の長期債の動向をかなり意識している模様。どちらも「壊れた状況」となっているなか、その落ち着きどころを探ることになりそうです。東京市場の参加者からは「ロスリミットが付いてしまって、長期債の投げが続いている」との声も聞かれているわけですが、金融市場が落ち着きを見せるまでの間、しばらくは神経質な動きが続いていくのかもしれません。
日経225先物は11時30分時点、前日比280円安の3万6980円(-0.75%)前後で推移。寄り付きは3万6930円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万6920円)にサヤ寄せする形から、売り先行で始まった。現物の寄り付き直後に3万6830円とナイトセッションでつけた安値水準まで下げ幅を広げたが、中盤にかけてカバーの動きをみせており、3万7110円まで下落幅を縮める場面もあった。
米株安の流れから売り先行となったが、ナイトセッションの安値は割り込まず、75日移動平均線(3万6780円)が支持線として意識されている。同線を割り込んでくるようだと、25日線が位置する3万6280円辺りがターゲットになりそうだが、積極的にショートを仕掛けてくる動きは限られている。為替市場では円相場が一時1ドル=143円台前半と円高に振れて推移しており、143円を割り込んでくるようだとショートを誘うものの、75日線キープならリバウンド狙いが意識されよう。
NT倍率は先物中心限月で13.61倍に低下。一時13.57倍まで下げる場面もみられ、ボリンジャーバンドの-1σ(13.54倍)に接近してきた。4月半ば以降は-1σが支持線として機能していたこともあり、いったんはNTショートを巻き戻す動きが入るタイミングになりそうである。
本日、ロンドン市場ではユーロ圏と主要国の5月景気指数(PMI)速報値の発表が予定されている。4月はトランプ関税による貿易関連の不確実性やサービス業の縮小が響き予想以上に悪化したが、関税問題に幾分進展がみられたことや米中貿易戦争の激化懸念が和らいだことで5月は4月を上回る結果が見込まれている。
欧州連合(EU)、ドイツの財政拡張で域内景気に回復期待が高まっていたが、トランプ米政権の関税政策で影を落としており、EUと米政権の関税交渉が大きなカギとなる。EUは今週、米政権に貿易協定案の修正版を提示したと伝わっている。今回の修正版には、新たなに国際的な労働権や環境基準、経済安全保障といった米国の関心事項を考慮した内容が含まれていると関係筋が明らかにしている。欧米の合意実現に関して依然として懐疑的な見方が多いが、今回の修正版はトランプ米政権との交渉に弾みをつけられるかどうか注目される。交渉が決裂した場合、EUの報復措置が警戒される。
ユーロドルは4月に1.15ドル台後半と2021年11月以来の高値をつけた後、5月に入って1.10ドル台まで押し戻されたが、足もとでは1.13ドルを回復している。ユーロに買い材料があると言うよりドルの地合いが弱いからである。エスクリバ・スペイン中銀総裁は「最近のドル安・ユーロ高は通常では見られない反応で、われわれも驚かされている」と述べた。最近のドル安は「ドルの信認低下」の影響が大きく、ユーロがドル売りの受け皿にもなっている。トランプ政権の減税・歳出法案をめぐり財政赤字の拡大懸念が高まっており、4月に起きた「米国売り」が再燃し加速することも警戒される。
・想定レンジ上限
ユーロドルは6日高値1.1381ドル、4月23日高値1.1440ドル。ユーロ円は日足一目均衡表・転換線163.68円、15日高値164.07円。
・想定レンジ下限
ユーロドルは5日移動平均線1.1270ドル、日足一目均衡表・転換線1.1214ドル。ユーロ円は200日移動平均線161.47円、4月22日安値160.99円。
ドル円:1ドル=143.34円(前営業日NY終値比▲0.34円)
ユーロ円:1ユーロ=162.47円(▲0.32円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1334ドル(△0.0003ドル)
日経平均株価:36985.87円(前営業日比▲313.11円)
東証株価指数(TOPIX):2717.09(▲15.79)
債券先物6月物:138.65円(▲0.49円)
新発10年物国債利回り:1.565%(△0.050%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月機械受注(船舶・電力除く民需)
前月比 13.0% 4.3%
前年同月比 8.4% 1.5%
対外対内証券売買契約等の状況(前週)
対外中長期債
2兆8246億円の取得超 1兆9287億円の取得超・改
対内株式
7149億円の取得超 4394億円の取得超・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は一転下落。米財務省が日米財務相会談後に「前回の会談と同様に為替の水準については議論されなかった」との声明を発表し、円安是正の議論について踏み込んだ話が伝わらなかったことを受けて買いが先行。一時144.40円まで急伸したが、昨日高値の144.61円が目先のレジスタンスとして意識されると失速した。市場では「円安是正に関する警戒感が根強く残っている」との声が聞かれるなか、昨日安値の143.29円を下抜けて143.10円まで売り込まれた。
・ユーロ円も一転下落。米財務省による声明が発表されると一時163.41円まで急速に値を上げたが、ドル円と同様にその後は一転して戻り売りが優勢に。一時162.28円まで下落した。
・ユーロドルは小高い。円絡みの取引が中心となったため動き自体は鈍かったが、1.1345ドルまで緩やかに値を上げた。
・日経平均株価は続落。昨日の米国株が下落したことが嫌気されて売りが強まった。外国為替市場での円高も輸出関連株の売りにつながり、指数は一時400円超下落した。
・債券先物相場は4日続落。前日の米国債が下落した流れを引き継いで売りが先行。超長期債が高止まりしていることも重しとなり、一時138.63円まで下げ幅を広げた。
トルコ中銀は22日、2025年末のインフレ率見通しを24%で据え置いたが、市場予想(30.4%)よりも低い水準だった。2026年末は12%と従来予想を維持。金融引き締めの影響で上場企業の約半数が第1四半期に赤字となるなど、実体経済への負担が強まっている。インフレ率は4月時点で37.9%と依然高水準だが、物価上昇ペースは鈍化傾向にある。通貨リラの急落や政治リスクを背景に、中央銀行は政策金利を46%まで引き上げ、今後も高金利を維持する方針。インフレ抑制への信頼回復が進まない限り、金利の高止まりが続く見通しだ。
「第三次世界大戦がどのような戦いになるのかなんて、私には分からない。
しかし、第四次大戦なら分かる。石と棒で戦うだろう」(アインシュタイン)
インドとパキスタンは、第二次大戦後の1947年の分離独立以降、三度戦火を交えている。
宗主国だったイギリスが、中東を三枚舌外交で混迷に陥れたように、民族対立と宗教対立により混迷に陥れたことが背景にある。
2025年、核保有国であるインドとパキスタンの軍事衝突が激化しつつあり、南アジアの地政学リスクが緊迫の度合いを高めつつある。
1.インドとパキスタンの戦争
世界で6番目(1974年)の核保有国インドと7番目(1998年)の核保有国パキスタンは、1947年のイギリスから独立して以来、3度の戦争と1度の紛争を行ってきた。
《兵力》 《戦闘機》《戦車》《砲台・ロケット発射台》《核弾頭》
・インド: 130万人 2185台 4426台 4614 140
・パキスタン:63万人 1281台 2182台 1691 150
第一次世界大戦後、「インド国民会議」のマハトマ・ガンディーは、ヒンズー教徒とイスラム教徒で一つの国家として独立を目論んだ。しかし、「全インド・ムスリム連盟」はイスラム教徒の国を建国することを決議し、第二次世界大戦後の1947年、インドとパキスタンに分離して独立した。
1)第1次印パ戦争(1947年-1949年)
1948年.カシミール地方の領有を巡って武力衝突に発展したが、国連の仲裁によって停戦し、カシミール地方は分割(3分の2:インド支配=人口約1000万人・3分の1:パキスタン支配=人口約300万人)された。
2)第2次印パ戦争(1965年-1966年)
1965年、カシミール地方の領有を巡って武力衝突に発展したが、1966年に国連の仲裁で停戦した。
3)第3次印パ戦争(1971年)
1971年、インドは東パキスタンによる西パキスタンからの独立運動に軍事介入し、インドが勝利した。東パキスタンはバングラデシュとして独立した。
4)カールギル紛争(1999年)
1999年、カシミールのカールギル地区で、パキスタン軍が「管理ライン(LOC)」を超えてインド軍の駐屯地を占領したことで、両軍が衝突した。
2. 第4次印パ戦争???
■2019年
2月14日、カシミール地方で、イスラム過激派集団「ジェイシモハメド」がインドの治安部隊を乗せたバスに対する自爆テロ攻撃を行い、40人が死亡した。
2月26日、インド軍は、テロへの報復として、イスラム過激派集団「ジェイシモハメド」の拠点を空爆した。
2月27日、パキスタン軍は、カシミール地方に空爆し、インド空軍機2機を撃墜した。
■2025年
4月22日、カシミール地方のインド支配地域で、イスラム過激派組織(うち2人はパキスタン人と判明)が民間人26人を殺害した。
インドは、パキスタンのテロリスト拠点への軍事攻撃を開始した。
そして、インドのモディ首相は、下流のパキスタンにインダス川水系の80%以上の水へのアクセスを認めるという、世界で最も寛大な水資源協定であるインダス水協定(IWT)を停止した。
パキスタンは、IWTの停止は「戦争行為」に等しいと主張し、平和的な紛争解決を定めた1972年のシムラ協定を含む全ての2国間協定を停止することで報復した。
5月7日、インドは「Operation Sindoor」と名付けたミサイル攻撃を実施した。
5月10日、インドとパキスタンは、互いに攻撃を即時停止し、停戦することで合意した。
SMBC日興証券では、2025年1-3月期GDP1次速報を受けて、経済見通しを改定している。実質GDP成長率は25年度を前年比+0.7%、26年度を同+1.0%としており、前回3月11日の予想から25年度を0.6ppt下方修正している。民間消費の基調の弱さやトランプ関税による輸出の影響を織り込んだとしている。一方、今後の日本経済に関しては、所得分配のゆがみが修正されることで、秋口以降に景気が持ち直していくとSMBC日興では考えている。
東海東京インテリジェンス・ラボでは為替に関するリポートの中で、シカゴ投機筋、いわゆるIMM通貨先物市場では、依然として「史上最大規模の円ロング(円買いポジション)」が積み上がった状況にあることを指摘している。ただし、4月29日の17万9212枚から2週続けてネット円ロングが減少しており、さすがに現状からの円ロング積み増しは困難とみている。投機のポジションである以上、円ロングはいずれポジションの解消が入るはずで、その場合の急激な円売りリスクには要警戒とコメントしている。
大阪6月限
日経225先物 37020 -240 (-0.64%)
TOPIX先物 2720.5 -10.0 (-0.36%)
日経225先物(6月限)は前日比240円安の3万7020円で取引を終了。寄り付きは3万6930円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万6920円)にサヤ寄せする形から、売り先行で始まった。現物の寄り付き直後に3万6830円とナイトセッションでつけた安値水準まで下げ幅を広げたが、前場中盤にかけてカバーの動きをみせ、3万7110円まで下落幅を縮める場面もあった。
ただし、積極的なリバウンド狙いのロングは限られ、前場終了間際には再び3万7000円を割り込み、後場中盤には3万6860円まで下げた。終盤にかけては持ち高調整とみられるショートカバーにより辛うじて3万7000円を回復している。
米株安の流れから売り先行となったが、ナイトセッションの安値は割り込まず、75日移動平均線(3万6780円)が支持線として意識された。3万7000円を割り込んでも同線に接近する局面では押し目待ち狙いのロングが観測されており、底堅さがみられていた。
注目された日米財務相会談において、円安是正の発言はなかった。この発表を受けて為替市場では朝方に一時1ドル=144円台半ばと円高が一服する場面もあった。しかし、この流れも続かず、米財政悪化が懸念されるなかで1ドル=143円台前半で推移したこともあり、市場心理を神経質にさせた。
日経225先物はひとまず75日線が支持線として機能していることで、同線に接近する局面ではロングを誘うことになろう。同線を割り込んでくると、25日線が位置する3万6390円辺りをターゲットとしてショートが強まる可能性はあるものの、一方で、ボリンジャーバンドでは13日につけた3万8790円で+2σを突破し、その後の調整によって中心値(25日)に接近してきたため、懸念されていた過熱感は後退することになる。
米国市場の先行き不透明感が強まるなか、米国に集中していた資金はリバランスによって欧州や日本にシフトしてくる可能性もあろう。円相場が1ドル=142円台に突入してきたことで、日経225先物は22日の取引終了後のナイトセッションで3万6840円辺りまで下げる場面もあった。75日線が支持線として機能するようであれば、ロングを誘う形になりそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.60倍に低下。一時13.57倍まで下げる場面もみられ、ボリンジャーバンドの-1σ(13.54倍)に接近してきた。4月下旬につけた13.46倍辺りが意識されてきそうだが、4月半ば以降は-1σが支持線として機能していた。そのため、いったんはNTショートを巻き戻す動きが入るタイミングでもある。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万4716枚、ソシエテジェネラル証券が1万1208枚、サスケハナ・ホンコンが3197枚、JPモルガン証券が1994枚、バークレイズ証券が1686枚、SBI証券が1489枚、みずほ証券が1052枚、日産証券が1047枚、野村証券が1022枚、ビーオブエー証券が996枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が1万5574枚、ソシエテジェネラル証券が1万5027枚、JPモルガン証券が4482枚、バークレイズ証券が4363枚、モルガンMUFG証券が2753枚、ゴールドマン証券が2606枚、みずほ証券が1556枚、ビーオブエー証券が1109枚、サスケハナ・ホンコンが1107枚、野村証券が939枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、G7声明での為替文言変更への警戒感や10 年物インフレ連動債入札への警戒感から上値が重い展開が予想される。
本日は、前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.0万件/188.3万人)や5月米製造業・サービス部門PMI速報値が発表される。
トランプ関税による景気後退(リセッション)懸念が払拭されない中、5月の米国の雇用情勢や景況感を確認しながら、トランプ関税による「不確実性(uncertainty)」の度合いを見極めていくことになる。
また本日は米・10 年物インフレ連動債入札が予定されており、昨日の20年債入札が不調だったことで、警戒しておきたい。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」での利下げ時期は、9月FOMC(▲0.25%=4.00-25%)と予想されており、12月FOMCの年内2回の利下げで12月時点のFF金利誘導目標は3.75-00%と見込まれている。
日米財務相会談では、「前回の会談と同様に為替の水準については議論されなかった」「現時点でのドル円はファンダメンタルズを反映しているとの認識を再確認」「為替レートは市場で決定されるべきとの共通認識を再確認」などと声明で発表された。
また三村財務官も「日米間で為替水準の議論はしていない」「為替相場はマーケットによって決定される」「過度の変動や無秩序な動きは望ましくないとの認識を再確認」と述べていることで、懸念されていたようなドル安・円高を指向する為替協議はなかったと思われる。
G-7財務相・中央銀行総裁会議の声明では、米国の貿易赤字削減に向けた為替文言の微修正、すなわち、米国の貿易赤字を削減するためにドルの緩やかな下落基調を要因するのではないか、との警戒感は残っているものの、トリプル安に拍車をかけることになるため、従来通りのG-7声明に落ち着くのではないだろうか。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、144.61円(5/21高値)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、142.36円 (5/6 安値)
大和証券では、独自の試算から21日の米長期金利(10年債利回り)4.60%は、妥当レンジの3.5~4.5%を超えていると判断している。2023年10月頃、2024年4月頃、2025年1月頃にも米長期金利が妥当レンジを上回り、その間はS&P500が一時的に下落するという動きがみられたとのこと。大和では、米長期金利が妥当レンジを上回った時の一時的な株価下落は押し目買いの好機をもたらすとみており、今回も同様となる可能性が高いと考えている。
今晩は上値の重い展開か。昨日は大型減税法案による財政赤字拡大懸念や弱い米20年債入札結果を受けて長期金利が上昇したことで、ダウ平均が816.8ドル安(-1.91%)、S&P500が1.61%、ナスダック総合が1.41%安と、主要3指数がそろって大幅に2日続落した。米10年債利回りは前日の4.481%から一時4.600%台に上昇し、米30年債利回りは一時2023年10月以来となる5.09%台まで上昇した。
今晩の取引では財政赤字の拡大懸念やそれを受けた米長期債利回りの上昇が引き続き相場の重しとなることが予想される。ただ、主要3指数がそろって週初来で2%近く下落したことで、押し目買いが下値支援となることも期待される。足もとではトランプ関税による景気後退(リセッション)懸念も強まっており、5月S&Pグローバル製造業・サービス業PMI速報値や4月中古住宅販売件数などの経済指標にも要注目となる。
今晩の米経済指標・イベントは5月S&Pグローバル製造業・サービス業PMI速報値、4月中古住宅販売件数、5月カンザスシティー連銀製造業活動指数など。企業決算は寄り前にアナログ・デバイセズ、ラルフ・ローレン、引け後にデッカーズ・アウトドア、コパート、ロス・ストアーズ、インテュイット、オートデスクなどが発表予定。
日経平均株価は続落。前日終値からマドを開けて弱気のスタートとなったが、75日移動平均線(36893円 5/22)どころを下値支持として意識し、下げ幅拡大の動きは回避した。
RSI(9日)は前日の58.4%→36.6%(5/22)に低下。4/7安値(30792円)を起点とした目先波動は上昇継続の判断となるが、75日移動平均線上などで日柄調整が長引く可能性が高くなったといえる。上昇基調にある25日移動平均線(36262円 同)とのかい離が次第に縮小してきており、短期的には同線との接近を意識して切り返すことができるかが焦点となる。
先週、終値ベースで3/26につけた急落前の戻り高値(38027円)を更新したことで、パターン分析では4月前半の安値を先端に「スパイクボトム(V字)」を確認した。短期的な下押しは想定内としながらも、調整一巡後の意外高の想定は継続である。
上値メドは、10日移動平均線(37628円 同)、心理的節目の38000円、5/13高値(38494円)、心理的節目の39000円、2/13高値(39581円)などがある。下値メドは、心理的節目の36500円、25日移動平均線、心理的節目の36000円や35500円、35000円などがある。
(22日終値:23日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=144.21円(22日15時時点比△0.87円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.50円(△0.03円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1268ドル(▲0.0066ドル)
FTSE100種総合株価指数:8739.26(前営業日比▲47.20)
ドイツ株式指数(DAX):23999.17(▲123.23)
10年物英国債利回り:4.751%(▲0.006%)
10年物独国債利回り:2.643%(▲0.003%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月仏企業景況感指数
96 97・改
5月仏製造業PMI速報値
49.5 48.7
5月仏サービス部門PMI速報値
47.4 47.3
5月独製造業PMI速報値
48.8 48.4
5月独サービス部門PMI速報値
47.2 49.0
5月独Ifo企業景況感指数
87.5 86.9
5月ユーロ圏製造業PMI速報値
49.4 49.0
5月ユーロ圏サービス部門PMI速報値
48.9 50.1
5月英製造業PMI速報値
45.1 45.4
5月英サービス部門PMI速報値
50.2 49.0
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ユーロドルは軟調。5月の仏・独・ユーロ圏サービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値が予想を下回ったことを受けて、ユーロ圏景気の不透明感が意識されるとユーロ売り・ドル買いが先行。NYの取引時間帯に入ると、足もとで進んでいた米国の「トリプル安(株安・債券安・通貨安)」を巻き戻す動きが活発化し、2時30分前に一時1.1256ドルと日通し安値を更新した。
米議会下院はこの日、トランプ米大統領の看板政策である大型減税を盛り込んだ法案を可決。米財政悪化を巡る懸念から米長期金利は一段と上昇したものの、米上院での審議を待ちたいとの思惑もあり、そのあとは低下に転じた。
米長期金利の指標となる米10年債利回りは一時4.6247%前後と2月12日以来の高水準を付けたものの、NY午後には4.53%台まで低下。また、米株式市場でダウ平均は安く始まったあと持ち直し、主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは100.12まで上昇した。
・ドル円は底堅い動き。ユーロ円の下落につれた円買い・ドル売りが先行すると一時142.81円と7日以来の安値を付けたものの、同日の安値142.42円や6日の安値142.36円がサポートとして働くと買い戻しが進んだ。21日(日本時間22日)の日米財務相会談で「為替水準に関する議論」が見送られたことを受けて、円安是正の思惑が後退したことも相場を下支えした。
NY市場では5月米PMI速報値が予想より強い内容だったことが伝わり、円売り・ドル買いが活発化。米国株相場や米国債相場の持ち直しとともにドル買い戻しも優勢となり、2時30分前に一時144.33円付近まで値を上げた。
・ユーロ円は下げ渋り。日本時間夕刻に一時161.81円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後はじりじりと下値を切り上げた。ドル円の持ち直しに伴う円売り・ユーロ買いが出ると、3時過ぎに162.55円付近まで値を戻した。
・ロンドン株式相場は6日ぶりに反落。前日に約2カ月半ぶりの高値を更新したあとだけに利益確定目的の売りが出た。5月英製造業PMI速報値が予想を下回ったことも相場の重し。原油先物価格の下落を背景にBPやシェルなどエネルギー株が売られたほか、セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株が値下がりした。
・フランクフルト株式相場は6日ぶりに反落。連日で史上最高値を更新したあとだけに利益確定目的の売りが優勢となった。前日の米国株相場が大幅に下落したことも投資家心理を冷やした。個別ではポルシェ(4.31%安)やメルク(2.93%安)、ハイデルベルク・マテリアルズ(2.41%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は上昇。米債高につれた。
22日の日経平均は大幅続落。終値は313円安の36985円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり510/値下がり1067。中期経営計画に関する説明会を材料に古河電工が11.3%高。ソシオネクスト、ローム、西武HDなどに非常に強い動きが見られた。暗号資産関連が人気化しており、マネックスGやセレスが急騰。gumiがストップ高となり、メタプラネットやリミックスポイントはストップ高比例配分となった。
一方、アドバンテストや東京エレクトロンなど半導体株の一角が大幅安。円高進行を嫌気して、日産自動車、SUBARU、マツダなど自動車株が弱かった。4月の訪日客データは良好であったが、JAL、ANAの空運大手2社はそろって下落。原油安を受けてINPEX、出光興産、コスモエネルギー、住友商事などエネルギー関連が売りに押された。今期の減益計画が嫌気された京成電鉄が10.9%安と急落した。
日経平均は連日の大幅安。加藤財務相とベッセント米財務長官の会談では為替が議題にならなかったことが伝わったが、場中は前日同様に円高基調が続いただけに、終日軟調に推移した。あすは米国で23日(日本時間では24日)に開催予定の日米閣僚協議を前に、様子見姿勢が強まると思われる。終値(36985円)が75日線(36893円、22日時点、以下同じ)に近いだけに下げ止まりに期待したいが、今週ここまでの流れは悪い。一段と円高が進むようであれば、リスク回避の売りが強めに出てくるとみておいた方が良い。75日線で下げ止まらなかった場合、13週線(36366円)や25日線(36262円)が下値のメドとなる。深押しして36500円を割り込むような場面があれば、そこでは打診買いを推奨したい。
(22日終値)
ドル・円相場:1ドル=144.01円(前営業日比△0.33円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.45円(▲0.34円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1281ドル(▲0.0050ドル)
ダウ工業株30種平均:41859.09ドル(▲1.35ドル)
ナスダック総合株価指数:18925.73(△53.09)
10年物米国債利回り:4.53%(▲0.07%)
WTI原油先物7月限:1バレル=61.20ドル(▲0.37ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3295.0ドル(▲18.5ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月米製造業PMI速報値
52.3 50.2
5月米サービス部門PMI速報値
52.3 50.8
5月米総?⑰MI速報値
52.1 50.6
4月米中古住宅販売件数
(年率換算件数)400万件 402万件
(各市場の動き)
・ユーロドルは4日ぶりに反落。欧州時間発表の5月の仏・独・ユーロ圏サービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値が予想を下回ったことを受けてユーロ売り・ドル買いが進行。NYの取引時間帯に入ると、足もとで進んでいた米国の「トリプル安(株安・債券安・通貨安)」を巻き戻す動きが活発化し、2時30分前に一時1.1256ドルと日通し安値を更新した。
米議会下院はこの日、トランプ米大統領の看板政策である大型減税を盛り込んだ法案を可決。米財政悪化を巡る懸念から米長期金利の指標となる米10年債利回りは一時4.6247%前後と2月12日以来の高水準を付けたものの、NY終盤には4.52%台まで低下した。
・ドル円は4日ぶりに反発。日本時間夕刻に一時142.81円と7日以来の安値を付けたものの、同日の安値142.42円や6日の安値142.36円がサポートとして働くと買い戻しが進んだ。21日(日本時間22日)の日米財務相会談で「為替水準に関する議論」が見送られたことを受けて、円安是正の思惑が後退したことも相場を下支えした。
NY市場では5月米PMI速報値が予想より強い内容だったことが伝わり、円売り・ドル買いが優勢に。米国株相場や米国債相場の持ち直しとともにドル買い戻しも優勢となり、2時30分前に一時144.33円付近まで値を上げた。もっとも、東京時間につけた日通し高値144.40円がレジスタンスとして意識されると143.90円付近まで押し戻された。
なお、主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議はこの日、「不確実性の高まりが世界経済や金融に影響を与えるとの認識を共有」「2017年5月の為替相場コミットメントを再確認」とした共同声明を採択して閉幕した。
・ユーロ円は続落。日本時間夕刻に一時161.81円まで売られた影響が残ったものの、NY市場に限れば下値の堅さが目立った。ドル円の持ち直しに伴う円売り・ユーロ買いが出て、4時30分前に162.60円付近まで下げ幅を縮めた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は小幅ながら3日続落。米財政悪化を巡る懸念から売りが先行したものの、5月米PMI速報値が予想より強い内容だったことが分かると買い戻しが優勢に。一時220ドル超上昇した。ただ、引けにかけては再び売りが強まり下げに転じた。
一方、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は3日ぶりに反発。米債券相場が反発したことが安心感につながった。
・米国債券相場で長期ゾーンは3日ぶりに反発。米議会下院はこの日、トランプ米大統領の看板政策である大型減税を盛り込んだ法案を可決。米財政悪化を巡る懸念から売りが先行し、利回りは一時4.6247%前後と2月12日以来の高水準を付けた。ただ、米上院での審議を待ちたいとの思惑もあり、そのあとは買い戻しが優勢となった。
・原油先物相場は3日続落。一部通信社が関係者の話として、石油輸出国機構(OPEC)プラスが「7月に原油生産の拡大の可能性」を協議していると報じた。これを受けて時間外から売り圧力が強まると、一時60ドル前半まで下落した。もっとも、ニューヨーク勢の参入後は下値を切り上げる動きに。米国の景気指標が予想より強く、エネルギー需要拡大を期待した買いが支えとなった。
・金先物相場は4日ぶりに反落。時間外から持ち高調整の売りが優勢だった。5月購買担当者景気指数(PMI)が総じて予想より強く、安全資産とされる金の重しとなった。為替でドルが対ユーロで強含むと、割高感が生じたドル建て金は一時3280ドル割れまで売り圧力が強まった。
米メディアが報じたところによると、「パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は6月24日に米下院委員会で議会証言を行う」ようだ。
22日06:21 ジョンソン米下院議長
「トランプ税制改革法案は本日21日夜または明日22日午前に採決」
「メモリアルデー前に税制改革法案は成立すると確信」
22日07:08 米財務省
「前回の会談と同様に為替の水準については議論されなかった」
「現時点でのドル円はファンダメンタルズを反映しているとの認識を再確認」
「為替レートは市場で決定されるべきとの共通認識を再確認」
22日08:28 加藤財務相
「G7では米関税措置の不確実性を減らしていくことなどを議論」
「米財務長官との協議では為替は市場で決まることを確認」
「為替の過度な変動は経済に悪影響との認識も共有」
「米財務長官と為替水準については議論していない」
22日10:35 野口日銀審議委員
「今後も物価の基調が2%近傍で安定しつつあることを慎重に見極めつつ、政策金利を調整していく」
「その調整においては、ほふく前進的なアプローチが重要と考える」
「政策金利を一段階引き上げるごとに相応の時間をかけてその経済への影響を確認」
「2026年4月以降の国債購入方針はより長期的な視点から検討する必要」
「バランスシートの縮小は十分な時間をかけて進めていくことが可能であり、それが市場の安定にとっても望ましい」
「金融政策運営の基本スタンスは『上下リスクを含む経済状況の進展を注意深く確認しつつ、慎重に政策調整を進めていく』というものになるはず」
22日14:51
「国債買い入れの規模縮小は、ある程度当然」
「来年度以降の国債購入は、従来計画と大きく変えることはおそらくない」
「しばらくはむやみに動かず現状注視していくのが基本」
「(経済・物価の見通し)思っていやより早く元の軌道に戻る可能性もある」
22日12:52 三村財務官
「日米間で為替水準の議論はしていない」
「為替相場はマーケットによって決定される」
「過度の変動や無秩序な動きは望ましくないとの認識を再確認」
22日16:21 ヴァルガ・ハンガリー中銀総裁
「関税交渉は依然として大きな不確実性に包まれている」
「外部環境は、ハンガリーのGDP成長鈍化とインフレ率のより穏やかな推移を示唆」
「労働市場の逼迫感が徐々に緩和し始めている」
「インフレとの闘いはまだ終わっていない」
「インフレ目標を達成するには、インフレ期待をしっかりと固定する必要」
22日17:36 カラハン・トルコ中銀総裁
「主要な政策手段は1週間レポ金利であり、必要に応じてバンドも活用」
「現在インフレリスクは上向き」
「中銀は政策金利を上回る資金供給も柔軟に実施可能」
「最近の金融引き締めは利下げサイクル中に実施されたため、効果はより大きくなる」
「金融引き締めの影響で今後経済成長の減速がより顕著になる見通し」
「成長鈍化はインフレ抑制を後押しする」
「年末のインフレ率は30%前後になるだろう」
「インフレは我々の想定通りに低下する見込み」
22日17:37 アクチャイ・トルコ中銀副総裁
「外貨準備は最近の市場の混乱後、落ち着いた時期に増加し始めており、今後も積み増しを続ける見通し」
「金融緩和への転換はデータ重視で判断し、速さについては断言できない」
※時間は日本時間
22日17:42 ブイチッチ・クロアチア中銀総裁
「ユーロ圏の成長はプラスだが低水準」
「2025年末にはインフレ目標の2%近くに到達する見通し」
22日17:45 ハウザー豪準備銀行(RBA)副総裁
「豪輸出業者は中国の需要の強さに引き続き自信を持っている」
「中国企業による値引きでオーストラリア国内での競争が一層激化する可能性」
22日20:15 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(4月17日分)
「今回の会合で利下げを行うと前倒しと受け取られる可能性があると指摘」
「ユーロ高や原油・ガス価格の下落、不確実性の高まりは短期的なインフレ見通しをさらに下押しする要因」
「中長期的にはインフレに対する上振れリスクも指摘」
「貿易ショックが短期を超えてインフレ要因となる可能性が高いとする意見」
「インフレ率が中期的に目標へ戻るとの自信が高まっているものの、政策判断は経済・金融データに基づき慎重に進める姿勢が強調」
「メンバーは、中期的にインフレ率が目標水準に戻るとの自信を強めた」
「短期的にはディスインフレ圧力が優勢となる見通し」
「一部のメンバーは0.50%の利下げでも安心できたと指摘」
「現行サイクルの最終地点が中立金利水準だと受け止められることは避けたいと考えていた」
「ユーロは安全資産通貨へと変化しつつあるようだ」
22日20:32 赤沢再生相
「日米協議で23-25日にワシントンを訪問する」
「引き続き一連の関税措置の見直し求める」
「米側の出席閣僚は現在調整中」
「4回目の閣僚協議含め進め方については予断もたない」
22日21:40 トランプ米大統領
「ビッグ・ビューティフル・ビル(Big Beautiful Bill)がまもなく私のデスクに届けられるだろう」
23日02:20 レビット米ホワイトハウス報道官
「トランプ米大統領はカナダでのG7会合に出席する」
「ガソリン価格は引き続き下落すると予想」
23日04:12 マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁
「G7の議論、関税に関する対話改善に焦点を当てた」
「G7の話し合いは総じて建設的だった」
※時間は日本時間
<国内>
○08:30 ☆ 4月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合、予想:前年比3.4%)
○08:30 ☆ 4月全国CPI(生鮮食料品・エネルギー除く、予想:前年比3.0%)
○赤沢亮正経済再生相が訪米(3回目の日米関税協議)
<海外>
○07:45 ◎ 1-3月期ニュージーランド(NZ)小売売上高(予想:前期比横ばい)
○08:01 ◇ 5月英消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲22)
○14:00 ◎ 4月シンガポールCPI(予想:前年比0.8%)
○15:00 ☆ 1-3月期独国内総生産(GDP)改定値(季節調整済、予想:前期比0.2%/前年同期比▲0.2%)
○15:00 ☆ 1-3月期独GDP改定値(季節調整前、予想:前年同期比▲0.4%)
○15:00 ◎ 4月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比0.3%/前年比4.5%)
○15:00 ◎ 4月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比0.1%/前年比4.4%)
○15:45 ◇ 5月仏消費者信頼感指数(予想:93)
○17:30 ◎ レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○21:00 ◇ 4月メキシコ貿易収支(予想:1.15億ドルの黒字)
○21:30 ◎ 3月カナダ小売売上高(予想:前月比0.7%/自動車を除く前月比▲0.1%)
○22:35 ◎ ムサレム米セントルイス連銀総裁、シュミッド米カンザスシティ連銀総裁、講演
○23:00 ☆ 4月米新築住宅販売件数(予想:前月比▲4.0%/69.5万件)
○24日01:00 ◎ クック米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○米債券市場は短縮取引(メモリアルデーの前営業日)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 37150 +130 (+0.35%)
TOPIX先物 2724.5 +4.0 (+0.14%)
シカゴ日経平均先物 37040 +20
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
22日の米国市場は、NYダウ、 S&P500が小幅に下落した一方で、ナスダックは上昇。米連邦議会下院は、トランプ米大統領が掲げる減税策を盛り込んだ税制・歳出法案を可決した。財政赤字の拡大が意識されるなかで、米長期金利は2月上旬以来の水準に上昇する場面もあった。
その後、米長期金利の上昇が一服するなかで、5月の米総合購買担当者景気指数(PMI)速報値が52.1と市場予想(50.3程度)を上回ったほか、米新規失業保険申請件数が前週比2000件減の22.7万件と、4週間ぶりの低水準となったことで、NYダウは上昇に転じる場面もみられた。ただし、米財政悪化による米長期金利上昇への警戒は根強く、終盤にかけて再び売りが強まった。
S&P500業種別指数は、自動車・同部品、耐久消費財・アパレル、メディアが上昇した半面、ヘルスケア機器・サービス、公益事業、電気通信サービスの弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、ナイキ<NKE>、メルク<MRK>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>が買われた。一方で、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>、ホームデポ<HD>、IBM<IBM>が下落。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比20円高の3万7040円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは日中比100円安の3万6920円で始まった。その後も下へのバイアスが強まり、3万6710円まで下げ幅を広げた。ただし、米国市場の取引開始後にリバウンド基調が強まりプラス圏を回復すると、終盤にかけて3万7210円まで買われる場面もあった。引け間際に上げ幅を縮めたものの、3万7150円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや買い先行で始まりそうだ。ナイトセッションで3万6710円まで売られたが、その後の切り返しで75日移動平均線(3万6760円)を上回ったことで、同線が支持線として意識されそうである。週末には3回目の日米関税交渉を控えていることもあり、直近の調整に対するリバランスの動きが入りやすいだろう。
3万7000円割れの水準では、押し目待ち狙いのロングに向かわせそうだ。一方、上値は200日線(3万7510円)やボリンジャーバンドの+1σ(3万7730円)接近では戻り待ち狙いのショートが入りやすいと考えられる。そのため、オプション権利行使価格の3万6875円から3万7375円辺りでのレンジを想定する。3万7000円を上回っての推移が続くようだと、200日線を捉えてくる可能性はありそうだ。
22日の米VIX指数は20.28(21日は20.87)に低下した。一時22.07まで上昇したが、その後は低下をみせている。前日に上回ってきた200日線(19.46)が支持線として意識されやすいが、ボトム圏での推移であるため、リスク選好に向かわせやすいだろう。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.60倍に低下。一時13.57倍まで下げる場面もみられ、ボリンジャーバンドの-1σ(13.54倍)に接近してきた。4月下旬につけた13.46倍辺りが意識されるものの、4月半ば以降は-1σが支持線として機能していた。そのため、いったんはNTショートを巻き戻す動きが入るタイミングでもある。
昨日の海外市場でドル円は、日本時間夕刻に一時142.81円と7日以来の安値を付けたものの、5月米PMI速報値が予想より強い内容だったことが伝わり、円売り・ドル買いが優勢に。米国株相場や米国債相場の持ち直しとともにドル買い戻しも優勢となり、144.33円付近まで値を上げた。ユーロドルは、足もとで進んでいた米国の「トリプル安(株安・債券安・通貨安)」を巻き戻す動きが活発化し、一時1.1256ドルまで弱含んだ。
本日の東京時間でドル円は、中長期的なドル売りトレンドは継続されるものの、昨日の下げ幅をすべて取り戻したことで、週末を前にした調整相場になりやすそうだ。ただ、政治的イベントを控えていることもあり、報道次第で再び急激に相場展開が変わるリスクがあることには警戒したい。
昨日は日米財務相会談で「為替水準に関する議論」が見送られたことで、一定のドル買い・円売りが出た。ただ、米国が貿易不均衡解消を目指しているなかで、日本だけでなく韓国、台湾などは交渉のもち札が少なく、不均衡解消を為替で行う(ドル高是正)という考えを拭い去ることはできないだろう。仮に、一国の通貨だけでのドル高是正を行う場合でも、他通貨へ波及するなど問題が複雑化することで、アジア数カ国の間で同時に是正を発表する可能性が高い。
また、ドル高是正を進める場合でも、現行の米トリプル安を促すのはタイミングが悪いこと、日本は7月に参議院選挙、韓国は6月3日に大統領選挙を控えていることで、トリプル安に歯止めがかかり、両国の選挙が終わるまで、もしくはある程度の見通しがつくまでは、ドル高是正の公表を棚上げするのかもしれない。一部では参院選前にはなるが、6月15-17日にカナダ・カナナスキスで予定されているG7サミットで合意されるとの憶測もある。
日本時間の24日に行われる第3回目の日米関税協議だが、赤沢経済再生相は「早期に合意することを優先するあまり日本の国益を損なうものであってはならない」と述べ、ラトニック米商務長官も「日本と韓国との交渉締結は早くはないだろう」と発言していることで、週末に合意を期待するのは難しそうだ。ただ、警戒は怠らないようにしたい。市場では、先週の米韓関税交渉では、鄭仁教・韓国通商交渉本部長が「グリア米通商代表部(USTR)代表との協議で為替は取り上げられなかった」と述べたこともあるように、赤沢氏も同様のコメントを述べることになるとの予想が多い。
なお、昨日はトリプル安の巻き戻しが入ったとはいうものの、引き続き米債の動きには注目したい。トランプ米大統領による大型の税制・歳出法案(「big, beautiful bill」)が昨日下院で共和党議員2人が民主党議員とともに反対したが、賛成215票、反対214票で可決された。今後上院に送られ、上院は法案の条項を承認または変更する機会を得ることになる。この法案が通過すれば、米国の債務は5.2兆ドル増加し、来年度には財政赤字が約6000億ドル増加すると推定されている。同法案が今後の米債市場の動向に否が応でも影響を与えることになるだろう。
本日は本邦から経済指標では、4月の全国消費者物価指数(CPI)が公表される。通常は、インフレ指標の中でも最も注目度の高い同指標だが、トランプ関税の影響が今後のインフレ率に急激な変化をもたらす可能性があることで、同月の指標での市場の反応は限られるか。昨日野口日銀審議委員が「しばらくはむやみに動かず現状注視していくのが基本」と講演で述べたように、今後のインフレ進行度合いを見定めるまでは、日銀の政策変更も難しいだろう。
東京市場は小動きか。米国株はまちまち。ダウ平均とS&P500が下落した一方、ナスダックは上昇した。ダウ平均は1ドル安の41859ドルで取引を終えた。プラス圏とマイナス圏を行き来して、終日方向感が定まらなかった。ドル円は足元143円90銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて20円高の37040円、ドル建てが55円高の37075円で取引を終えた。
3指数のうち最も値幅が出たナスダックでも0.3%高と、米3指数はそろって小動き。日本株も米国株同様に動意が限られると予想する。米10年債利回りが低下しており、ドル安(円高)には一服感が出てきている。このことは日本株の売り急ぎを抑制する材料になると期待できる。場中は模様眺めムードが強まり、前日終値近辺でのもみ合いが続くだろう。日経平均の予想レンジは36800円-37200円。
日経225先物は11時30分時点、前日比250円高の3万7270円(+0.67%)前後で推移。寄り付きは3万7070円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7040円)を上回り、買い先行で始まった。直後につけた3万7040円を安値にロング優勢の流れとなり、中盤にかけて3万7380円まで上げ幅を広げた。終盤にかけては利食いの動きとなったが、3万7250円~3万7300円辺りでの底堅さがみられている。
米国市場ではナスダック指数が3日ぶりに反発となったことで、指数インパクトの大きい値がさハイテク株の一角が日経平均株価を牽引。週末に3回目の日米関税交渉を控えていることもあって、直近の調整に対するリバランスの動きが入りやすいようだ。ナイトセッションで75日移動平均線(3万6760円)が支持線として機能したこともあって、上値抵抗の200日線(3万7510円)が意識されてきた。
NT倍率は先物中心限月で13.61倍と横ばい圏で推移。ファーストリテイリング<9983.T>[東証P]やアドバンテスト<6857.T>[東証P]などが日経平均型を牽引する形だが、東証プライムの7割超の銘柄が上昇しており、TOPIX型の資金が断続的に流入しているとみられる。
NYとLDNが3連休前の実質ゴトー日でもある週末の東京市場にあって、ドル円は戻りの鈍い動きに終始しています。昨日は早朝に144.40円まで急伸したものの、材料出尽くしとなるなか、市場の視線が米トリプル安といった方向に向いているからこその値動き。欧州時間は米長期債が売られる、つまり米長期金利が上昇するにつれて142.81円まで値を下げた後、NY時間に入ってからは米長期債が買い戻される、つまり、米長期金利が低下に転じるにつれて144.33円まで買い戻されるといった光景。
本日の東京市場では、仲値にかけては実需のフローも観測されたものの、その後は目立ったフローがないなか、再び143.42円まで下押ししているところです。
いずれにしても、市場では「ドル円はしばらく方向感が出にくい」との声も聞かれているなか、チャート上での細かなポイントなどを意識する動きとなっていきそうです。目先ではNY時間の安値143.27円がサポートレベル。上値は一目基準線の144.27円を終値ベースで上回ることが出来るのかどうか。昨日、ようやく久しぶりの下ひげを残した陽線が出現。慎重に動向を見極めていくことになりそうです。
昨日のユーロドルは独・ユーロ圏の弱い景気指数が重しとなり、4日ぶりに反落した。昨日に発表された独・ユーロ圏の5月購買担当者景気指数(PMI)速報値は、製造業には引き続き安定化の兆しが見られたものの、サービス部門PMIは需要の落ち込みで予想を大幅に下回る結果となった。
また、6会合連続で利下げを決定した4月の欧州中央銀行(ECB)理事会の議事要旨によると、当局者はインフレ率が中期的に目標値に戻り、インフレを巡る衝撃との闘いはほぼ終わったとの確信を強めたとし、短期的にはディスインフレの圧力が優勢になる可能性を指摘したことが明らかになった。また、一部の当局者は世界的な貿易戦争が将来的に物価上昇につながる可能性があると指摘したが、大多数の当局者は金融市場が過度の変動性を示しているときに予定されていた利下げを前倒しすることで必要な安定性が提供できるとの見解が示された。市場ではECBが6月5日の次回会合で追加利下げが決定されるとほぼ織り込んでいる。
本日、ドイツで1-3月期GDPの発表が予定されているが、改定値の発表であり、速報値との振れが大きくなければユーロの反応は鈍いだろう。米政権と欧州連合(EU)の関税交渉関連のヘッドラインには引き続き注目。EUの欧州委員会は、米国との関税交渉が決裂した場合、最大950億ユーロ相当の米国からの輸入品に対抗措置を課すことを提案しているが、報復関税よりも交渉による解決を望むと繰り返している。一部報道によると、EUはトランプ米大統領が表明した関税を撤廃するための総合的な対策の一環として、米国産ロブスターの関税免除を延長することを検討していると伝わった。
ユーロ独自に買い材料が乏しいが、依然としてドルに売り圧力が強く、ユーロドルは底堅い動きが見込まれる。昨日は米国の「トリプル安(株安・債券安・通貨安)」を巻き戻す動きが見られたが、トランプ政策に市場は厳しい目線が向けられている。トランプ米大統領の大型減税を盛り込んだ法案は下院では僅差で可決され上院に送られた。「米史上最大の減税」により経済成長の加速を狙うが、税収減による政府債務の膨張は不可避とみられる。米債の動き次第では「米国売り」の再燃が警戒される。ドル安地合いは変わらず、ユーロドルの支えとなる。
・想定レンジ上限
ユーロドルは21日高値1.1363ドル、4月23日高値1.1440ドル。ユーロ円は日足一目均衡表・転換線163.51円、15日高値164.07円。
・想定レンジ下限
ユーロドルは22日安値1.1256ドル、日足一目均衡表・転換線1.1224ドル。ユーロ円は22日安値161.81円、4月22日安値160.99円。
ドル円:1ドル=143.43円(前営業日NY終値比▲0.58円)
ユーロ円:1ユーロ=162.38円(▲0.07円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1321ドル(△0.0040ドル)
日経平均株価:37160.47円(前営業日比△174.60円)
東証株価指数(TOPIX):2735.52(△18.43)
債券先物6月物:138.74円(△0.09円)
新発10年物国債利回り:1.540%(▲0.020%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合)
前年同月比 3.5% 3.2%
4月全国CPI、生鮮食料品・エネルギー除く
前年同月比 3.0% 2.9%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は軟調。トランプ政権による大型減税を背景に米財政悪化懸念が一段と高まるなか、全般ドル売りが先行。目立った戻りも見られないまま、午後には一時143.34円まで下げ幅を広げた。米国市場が3連休前とあって持ち高を調整するドル売りも観測された模様。
・ユーロドルは強含み。米財政悪化懸念を背景としたドル売りが進んだ流れに沿った。一時1.1327ドルまで値を上げた。また、ポンドドルは4月英小売売上高が良好な内容だったことも買いを促し、一時1.3462ドルまで買い上げられた。
・ユーロ円はもみ合い。ドル絡みの取引が中心となったため、ユーロ円自体に方向感はなく162円台前半から半ばで推移した。
・日経平均株価は3営業日ぶりに反発。昨日の米ハイテク株高を受けて半導体関連株に買いが入り指数は一時380円超上昇した。もっとも、週末を前に持ち高調整の売りが出るなど引けにかけては伸び悩んだ。
・債券先物相場は5営業日ぶりに反発。足元で債券安が続いていた反動からショートカバーが先行し、一時138.89円まで値を上げた。
2025年5月22日に公表されたG-7財務相・中央銀行総裁会議の共同声明では、世界経済における「過度な不均衡」に対応すると確約され、為替文言は2017年5月のG-7声明が再確認された。
1. 2025年5月22日G-7声明(財務省の仮訳)
「我々は、我々の経済安全保障および強靭性を支え、全ての市民がその成長から恩恵を受けられるような、均衡がとれた成長を志向するマクロ経済のポリシーミックスを協力して達成することにコミットする。我々は、金融市場がよく機能することにコミットする。
我々は、不確実性の高まりが経済と金融安定に影響を及ぼし得ることを認識する。
我々は、引き続きこれらの問題に関して監視し、緊密に協議を行う。
我々の中央銀行は引き続き、それぞれのマンデートに沿って、物価の安定を確保することに強くコミットしている。
我々は、2017年5月の為替相場についてのコミットメントを再確認する」
2. 2017年5月G-7声明
「我々は、為替レートは市場において決定されること、そして為替市場における行動に関して緊密に協議することという我々の既存の為替相場のコミットメントを再確認する。
我々は、我々の財政・金融政策が、国内の手段を用いてそれぞれの国内目的を達成することに向けられてきていること、今後もそうしていくこと、そして我々は競争力のために為替レートを目標にはしないことを再確認する。
我々は、全ての国が通貨の競争的な切下げを回避することの重要性を強調する。
我々は、為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得ることを再確認する」
3.日米財務相会談(2025年5月21日)
カナダで開催されたG7会議の合間の約30分間、加藤財務相とベッセント米財務長官は個別に会談した。
加藤財務相は「為替政策の基本的認識について議論をさらに深めることができた。ベッセント財務長官とは緊密かつ建設的に協議を続けることで一致した」と述べ、アメリカの関税措置について極めて遺憾で一連の措置を見直すよう改めて伝えたとのことである。
・為替相場は市場で決定されるべきとする原則を再確認した
・為替の水準に関しては議論は行われなかった
・現時点でドル/円相場はファンダメンタルズを反映しているとの共通認識を再確認した
本日のNY為替市場のドル円は、昨日4.625%まで上昇した米10年債利回りの動向を睨みながらの展開が予想される。
昨日、米議会下院がトランプ米大統領の看板政策である大型税制・歳出法案を可決したことで、米財政悪化を巡る懸念から米10年債利回りは一時4.6247%前後まで上昇した。
米国債券市場は、膨張する米国債の購入を期待されているが、20年債入札が不調となり、30年債利回りが5%台に乗せており、債券自警団は米国の財政赤字拡大に対して警鐘を鳴らし始めている。(※債券自警団とは、財政・金融運営の規律が緩みインフレ懸念が出てきた時、国債を売却して警告を発する債券投資家のこと)
S&Pグローバルの「Capital IQ」モデルでは、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場の価格に基づき、米国債格付けを現行水準より6段階低い「BBB+(トリプルBプラス)」に相当する、すなわち、かろうじて投資適格級にとどまる水準だと示唆している。
米国債券市場発の「トリプル安」は、先月のトランプ相互関税発動を一時停止に追い込んでおり、今回のトランプ税制法案に対しても同様の「トリプル安」懸念が警戒されており、メモリアルデー前で短縮取引となる米債券市場の動向には警戒しておきたい。
ウォラーFRB理事は、「市場はもう幾ばくかの財政規律を求めている」と減税による財政悪化に懸念を示しており、本日講演が予定されているムサレム米セントルイス連銀総裁、シュミッド米カンザスシティ連銀総裁、クックFRB理事の見解にも注目しておきたい。
本日は、米関税措置を巡る3回目の閣僚級協議が開催されるが、赤沢経済再生相は「引き続き米国による一連の関税措置の見直しを強く求めるポジションは変わっていない。可能な限り早期に日米双方にとって利益となるような合意を実現できるよう、率直かつ建設的な姿勢で協議に臨む」と述べている。
しかし、一部新聞報道で、赤沢経済再生相が30日を軸に再訪米し、ベッセント米財務長官と4回目の閣僚級協議に臨む予定、と報じられたことで、第3回日米関税交渉でも進展が見られない可能性が高まっている。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、144.61円(5/21高値)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、142.81円 (5/22 安値)
SMBC日興証券では、2025年4月の全国消費者物価指数(CPI)を受けてリポートしている。4月の全国CPI前年比伸び率は、総合が3月から変わらずで、コアとコアコアが拡大。全国的に高校授業料の実質無償化が開始されたものの、新年度入り後の価格改定期に食料などで値上げが広がり、コアCPIやコアコアCPIの伸び率を押し上げた。トランプ政権による関税政策の悪影響を見極める必要があるため、日銀は追加利上げを急ぐ環境にはない。ただし、賃金・物価情勢を踏まえれば、2025年度中に追加利上げが講じられる可能性が引き続き高いとSMBC日興では考えている。
中国外務省は23日、「中国外務次官がランドー米国務副長官と電話会談を行い、中国と米国はコミュニケーションの維持で合意した」などの声明を発表した。
大阪6月限
日経225先物 37190 +170 (+0.45%)
TOPIX先物 2744.5 +8.0 (+0.29%)
日経225先物(6月限)は前日比170円高の3万7190円で取引を終了。寄り付きは3万7070円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7040円)を上回り、買い先行で始まった。直後につけた3万7040円を安値にロング優勢となり、前場中盤にかけて3万7380円まで上げ幅を広げた。ただし、買い一巡後は持ち高調整とみられるロング解消の動きが入り、後場終盤に3万7110円まで上げ幅を縮める場面もあった。
米国市場ではナスダック指数が3日ぶりに反発したことで、指数インパクトの大きい値がさハイテク株の一角が日経平均株価を牽引。週末に3回目の日米関税交渉を控えることもあって、直近の調整に対するリバランスが入りやすかったようだ。
ただ、リバランスの動きは前場中盤で一巡し、その後は膠着感の強い相場展開だった。東証プライムの値上がり数は全体の7割近くを占めていたが、売買高は15億株台と、4月22日以来の薄商いだった。指数インパクトの大きいアドバンテスト<6857.T>[東証P]や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]は反発したものの、前場半ばに日中の高値を付け、その後は上げ幅を縮めていた。
為替市場では円相場は朝方こそ1ドル=144円台で推移していたが、その後は143円台前半での推移をみせていたことも手掛けづらくさせた。日経225先物は3万7380円まで買われた後は弱含んだが、上値抵抗の200日移動平均線(3万7510円)に接近したことで、ロング解消の動きが入りやすかったとみられる。とはいえ、75日線を支持線としたリバウンドをみせたことは安心感につながろう。
週明け26日の米国市場はメモリアルデーで祝日となるため、週初は海外勢のフローが限られ、スキャルピング中心のトレードになりそうだ。日米関税交渉については、ベッセント米財務長官が欠席する見通しであり、市場の期待は高まっていないようだ。ただ、赤沢亮生経済再生相が30日を軸に再訪米してベッセント氏と協議を行う方針と報じられており、週を通じてショートを仕掛けづらくさせそうだ。
そのため、200日線を捉えてくる可能性も考えられ、押し目狙いのロング対応に向かわせよう。そのほか、エヌビディア<NVDA>の決算も予定されているため、決算期待が高まっていない分、決算通過後はショートカバーを誘う展開も意識しておきたい。
NT倍率は先物中心限月で13.59倍に低下した。一時13.63倍に上昇する場面もみられたが、25日線(13.63倍)に上値を抑えられる形だった。一方で、13.56倍まで下げる動きをみせており、ボリンジャーバンドの-1σ(13.54倍)辺りが意識されていそうだ。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万2050枚、ソシエテジェネラル証券が8759枚、サスケハナ・ホンコンが2702枚、バークレイズ証券が1374枚、SBI証券が1328枚、JPモルガン証券が1263枚、日産証券が1173枚、モルガンMUFG証券が1127枚、三菱UFJ証券が1083枚、野村証券が1035枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が1万1879枚、ソシエテジェネラル証券が1万0951枚、バークレイズ証券が3813枚、モルガンMUFG証券が2940枚、JPモルガン証券が2844枚、ゴールドマン証券が1764枚、野村証券が830枚、サスケハナ・ホンコンが822枚、ビーオブエー証券が759枚、みずほ証券が563枚だった。
今晩はもみ合いか。昨日は財政赤字拡大懸念を背景に米長期債利回りが上昇したことが重しとなり売りが優勢となったが、その後利回りの上昇が一服したことで買い直された。ダウ平均は146ドル安まで下落後、1.35ドル安(0.00%)とほぼ横ばいで終了し、S&P500も0.32%安まで下落後、0.04%安とわずかながら3日続落して終了。ハイテク株主体のナスダック総合は0.69%安まで下落後、0.28%高と3日ぶりに反発して終了した。週初来ではダウ平均が1.87%安、S&P500が1.95%安、ナスダック総合が1.49%安とそろって反落ペースとなった。
週末の取引となる今晩は財政赤字の拡大懸念やそれを受けた米長期債利回りの上昇が引き続き相場の重しとなりそうだ。米下院は22日、大型減税や軍事費拡大を含む法案を可決し、法案が上院に送られた。減税法案の成立は株式市場の追い風となる一方、昨日の取引では米3年債利回りが一時5.161%と2023年10月以来の水準まで上昇し、米10年債利回りも一時4.629%と2月12日以来の水準まで上昇した。今晩の取引でも米長期債利回りをにらんだ神経質な展開が予想される。また、来週月曜日がメモリアルデーの祝日で、3連休前の取引となることで様子見姿勢も強まりそうだ。
今晩の米経済指標・イベントは4月建設許可件数改定値、4月新築住宅販売件数など。主要な企業の決算発表はなし。
日経平均株価は反発。前日の下落で形成したマドを埋め戻す展開となったが、終値では5日移動平均線(37294円 5/23)に上値を抑えられた。
RSI(9日)は前日の36.6%→37.7%(5/23)に上昇。4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇継続の判断となるが、目先的には75日移動平均線(36862円 同)上などで日柄調整が長引く可能性が高い。
一方、上昇基調にある25日移動平均線(36378円 同)とのかい離が次第に縮小してきており、来週は同線との接近を意識して切り返すことができるかが焦点となる。
すでに、終値ベースでは3/26につけた急落前の戻り高値(38027円)を更新し、パターン分析では4月前半の安値を先端に「スパイクボトム(V字)」を確認した。調整一巡後の意外高の想定はしておきたい。
上値メドは、10日移動平均線(37593円 同)、200日移動平均線(37807円 同)、心理的節目の38000円、5/13高値(38494円)、心理的節目の39000円、2/13高値(39581円)などがある。
下値メドは、75日移動平均線、心理的節目の36500円、25日移動平均線(36378円 同)、心理的節目の36000円や35500円などがある。
(23日終値:24日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=142.59円(23日15時時点比▲0.84円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.99円(▲0.39円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1360ドル(△0.0039ドル)
FTSE100種総合株価指数:8717.97(前営業日比▲21.29)
ドイツ株式指数(DAX):23629.58(▲369.59)
10年物英国債利回り:4.681%(▲0.070%)
10年物独国債利回り:2.567%(▲0.076%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
1-3月期独国内総生産(GDP)改定値(季節調整済)
(前期比) 0.4% 0.2%
(前年同期比) 0.0% ▲0.2%
1-3月期独国内総生産(GDP)改定値(季節調整前)
(前年同期比) ▲0.2% ▲0.4%
4月英小売売上高(自動車燃料含む)
(前月比) 1.2% 0.1%・改
(前年比) 5.0% 1.9%・改
4月英小売売上高(自動車燃料除く)
(前月比) 1.3% 0.2%・改
(前年比) 5.3% 2.6%・改
5月仏消費者信頼感指数
88 91・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ユーロドルは底堅い動き。欧州株相場の上昇を背景に欧州勢がドル売りで参入すると一時1.1375ドルと7日以来の高値を更新した。
ただ、トランプ米大統領が自身のSNSに「6月1日から欧州連合(EU)に50%の関税を課すことを提案する」と投稿すると、欧州株相場が急落。欧州債利回りも低下しユーロ売りを促した。21時過ぎに一時1.1298ドル付近まで下押しした。
もっとも、アジア時間に付けた日通し安値1.1279ドルが目先サポートとして意識されると買い戻しが優勢に。欧米株相場の下げ渋りとともにユーロ買い戻しが進むと1.1367ドル付近まで持ち直した。
なお、ベッセント米財務長官は「ドルが下げているのではなく他国通貨が上昇している」との考えを示した。
・ドル円は下落。しばらくは143円台前半でのもみ合いが続いていたが、トランプ米大統領のSNS投稿をきっかけに欧米株価指数が急落するとリスク・オフの円買い・ドル売りが優勢に。22時前に一時142.45円と7日以来の安値を付けた。なお、トランプ米大統領は来月からEUに関税50%の方針を示したほか、「米アップルがiPhoneを米国内で生産しなければ、少なくとも25%の関税を払うことになる」と表明した。
7日の安値142.42円や6日の安値142.36円がサポートとして意識されたほか、ベッセント米財務長官が「トランプ米大統領の50%関税示唆はEUのペースに対する反応」との見解を示すと、いったんは下げ渋ったものの戻りは鈍かった。対欧州・オセアニア通貨中心にドル売りが進んだ影響も受けた。
・ユーロ円は下げ渋り。トランプ米大統領のSNS投稿をきっかけに株価が急落するとリスク回避の円買い・ユーロ売りが先行。21時過ぎに一時161.09円と日通し安値を更新した。
ただ、売り一巡後は徐々に下値を切り上げた。ベッセント米財務長官が貿易交渉を巡り、「今後数週間で複数の大型合意が発表される」との見通しを示したほか、中国と対面での交渉再開に言及。貿易摩擦激化への警戒が和らぐと株価の下げ渋りとともにユーロ円にも買い戻しが入った。2時前には162.06円付近まで下げ幅を縮めた。
・ロンドン株式相場は続落。4月英小売売上高が予想を上回り、買い先行で始まったものの、「トランプ米大統領はEUに50%の関税を提案」と伝わると一転下落した。ハルマやセイジ・グループなど情報技術セクターが売られたほか、HSBCやバークレイズなど金融株が値下がりした。
・フランクフルト株式相場は続落。反発して始まったものの、トランプ米大統領が「EUに50%の関税を勧告する」と表明すると一転下落した。個別ではブレンターク(4.18%安)やドイツ銀行(4.16%安)、メルセデス・ベンツグループ(3.99%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は上昇。株安を受けた。
(23日終値)
ドル・円相場:1ドル=142.56円(前営業日比▲1.45円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.91円(▲0.54円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1362ドル(△0.0081ドル)
ダウ工業株30種平均:41603.07ドル(▲256.02ドル)
ナスダック総合株価指数:18737.21(▲188.52)
10年物米国債利回り:4.51%(▲0.02%)
WTI原油先物7月限:1バレル=61.53ドル(△0.33ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3365.8ドル(△70.8ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月米新築住宅販売件数
(前月比) 10.9% 2.6%・改
(件数) 74.3万件 67.0万件・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ユーロドルは反発。20時30分過ぎに一時1.1375ドルと7日以来の高値を付けたものの、その後失速した。トランプ米大統領が自身のSNSに「6月1日から欧州連合(EU)に50%の関税を課すことを提案する」と投稿すると、欧米株相場が急落。欧州債利回りも低下しユーロ売りが広がった。21時過ぎに一時1.1298ドル付近まで下押しした。
ただ、アジア時間に付けた日通し安値1.1279ドルが目先サポートとして意識されると買い戻しが優勢に。欧米株相場の下げ渋りとともにユーロ買い戻しが進むと1.1369ドル付近まで持ち直した。なお、市場では「貿易摩擦の激化は米欧双方の経済に悪影響をもたらす。最終的には合意に至るだろう」との予想が聞かれ、比較的落ち着いた値動きとなった。英国や米国の3連休を前に大きな方向感が出にくい面もあったようだ。
・ドル円は反落。トランプ米大統領が来月からEUに関税50%の方針を示したほか、「米アップルがiPhoneを米国内で生産しなければ、少なくとも25%の関税を払うことになる」と表明すると、米国株相場が下落。リスク・オフの円買い・ドル売りが優勢となった。
ベッセント米財務長官が「トランプ米大統領の50%関税示唆はEUのペースに対する反応」との見解を示すと、いったんは下げ渋ったものの戻りは鈍かった。NY午後に入り、対欧州・オセアニア通貨中心にドル売りが強まると、円に対してもドル売りが出て一時142.42円と7日の安値に面合わせした。
なお、主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時99.05まで低下した。
・ユーロ円は3日続落。トランプ米大統領のSNS投稿をきっかけに株価が急落するとリスク回避の円買い・ユーロ売りが先行。21時過ぎに一時161.09円と日通し安値を更新した。
ただ、売り一巡後は下げ渋る展開に。ベッセント米財務長官が貿易交渉を巡り、「今後数週間で複数の大型合意が発表される」との見通しを示したほか、中国と対面での交渉再開に言及。貿易摩擦激化への警戒が和らぐと株価の下げ渋りとともにユーロ円にも買い戻しが入った。2時前には162.06円付近まで下げ幅を縮めた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は4日続落。トランプ米大統領がEUに対して50%の関税をかけると表明すると、米関税政策の不透明感が再び強まり売りが先行。寄り付き直後に500ドル超下げた。ただ、そのあとは買い戻しが優勢となり下げ幅を縮めた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は反落した。
・米国債券相場で長期ゾーンは続伸。トランプ米大統領のSNS投稿をきっかけに米関税政策の不透明感が高まると、投資家のリスク回避姿勢が強まり債券買いが進んだ。なお、この日はメモリアルデーの前営業日で短縮取引だった。
・原油先物相場は4日ぶりに反発。トランプ米大統領がEUへの50%関税賦課を示唆すると、貿易摩擦の激化による経済減速への懸念から原油相場は売りで反応。しかしながら60ドル割れに失敗すると、一転して買い戻しが優勢となった。米国とイランはこの日、イランの核開発を巡る高官協議を行った。交渉が合意に至らない可能性が警戒され、3連休前ということもあり、持ち高調整の動きが強まったもよう。
・金先物相場は大幅に反発。トランプ米大統領が、EUが貿易交渉で譲歩しなければ来月から50%の関税を課すべきとの考えを示した。貿易摩擦の激化懸念が再び高まると、安全資産とされる金に資金が向かった。為替でドル安が進行したこともドル建て金の上昇を後押して、3366ドル台まで上値を伸ばし、そのまま週の高値圏で引けた。
米格付け会社ムーディーズは23日、イタリアの格付け見通しを「安定的」から「ポジティブ」に引き上げたと発表した。
一部通信社が内閣官房の話として報じたところによると、「赤沢経済再生相はラトニック米商務長官と会談し、関税措置の見直しを改めて強く申し入れた」ようだ。また、率直で建設的な議論を継続していくことを確認したもよう。
23日05:21 植田日銀総裁
「市場の動向はよく注意してみていく」
「短期的な金利の動向にはコメント差し控える」
23日05:21 加藤財務相
「G7では課題に関してかなり突っ込んだ議論ができた」
「共同声明にある以上の議論があったわけではない」
「G7は2017年の為替コミットメントを再確認」
23日12:36 石破首相(日米首脳電話会談後に)
「関税を巡る日米協議に関してなど幅広く意見交換」
「日本の関税撤廃要求について米大統領から具体的な言及はなかった」
23日15:16 ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁
「6月の利下げ後は一時停止が見込まれる」
23日15:17 レーン・フィンランド中銀総裁
「データに裏付けられれば6月の利下げは適切」
23日19:13 レーンECB専務理事兼主任エコノミスト
「ユーロ圏のサービスインフレが鎮静化すると確信している」
23日20:25 トランプ米大統領
「私は以前からアップルのティム・クックに対し、アメリカで販売されるiPhoneはアメリカ国内で製造・組み立てられるべきだと伝えてきた」
「インドや他の国で作られる場合、アップルはアメリカに少なくとも25%の関税を支払わなければならない」
「6月1日から、欧州連合(EU)に50%の関税賦課を発動したい」
24日03:29
「米国外で製造された韓国サムスン製品に25%の関税を課す」
「6月末までにアップルとサムスンに関税賦課」
23日21:41 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「トランプ関税は企業にとって重荷」
「金融政策は、上方向にも下方向にも課題がある」
「利下げは、10-16カ月の期間内には、依然として可能性を残している」
23日22:24 ベッセント米財務長官
「トランプ米大統領の50%関税示唆はEUのペースに対する反応」
「トランプ米大統領はEUの提案を他国の提案ほど良くないと見ている」
「4月2日の90日間の関税一時停止は誠意ある協議に基づいていた」
「EUを除いて、ほとんどの国は誠意を持って交渉している」
「アジア諸国の多くは非常に良い条件を提示してきた」
「インドとは貿易交渉はかなり進んでいる」
24日00:38
「今後数週間で幾つかの大型合意を発表する予定」
「中国とは再び対面で交渉することになるだろう」
「ドルが下げているのではなく他国通貨が上昇している」
「補完的レバレッジ比率を夏にかけて見直す可能性」
※時間は日本時間
26日
○14:00 ◇ 3月景気動向指数改定値
27日
○08:50 ◇ 4月企業向けサービス価格指数
○09:00 ◎ 植田和男日銀総裁、あいさつ(日本銀行金融研究所主催国際コンファランス)
29日
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○14:00 ◇ 5月消費動向調査(消費者態度指数 一般世帯)
30日
○08:30 ◎ 4月完全失業率
○08:30 ◎ 4月有効求人倍率
○08:30 ◎ 5月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合)
○08:50 ◎ 4月鉱工業生産速報
○08:50 ◇ 4月商業販売統計速報(小売業販売額)
○14:00 ◇ 4月新設住宅着工戸数
○19:00 ◇ 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
26日
○22:30 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○23:30 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○英国(スプリング・バンク・ホリデー)、米国(メモリアルデー)、休場
27日
○15:00 ◇ 6月独消費者信頼感指数(Gfk調査)
○15:45 ◇ 5月仏消費者物価指数(CPI)速報値
○16:00 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○17:00 ◎ カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○18:00 ◎ 5月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値)
○18:00 ◎ 5月ユーロ圏経済信頼感指数
○21:30 ◎ 4月米耐久財受注額
○22:00 ◇ 3月米住宅価格指数
◇ 1-3月期米住宅価格指数
○22:00 ◎ 3月米ケース・シラー住宅価格指数
○23:00 ◎ 5月米消費者信頼感指数
○28日01:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○28日02:00 ◎ 米財務省、2年債入札
28日
○09:00 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、討論会に参加
○10:30 ◎ 4月豪CPI
○11:00 ☆ ニュージーランド準備銀行(RBNZ)、政策金利発表
○15:45 ◇ 4月仏消費支出
○15:45 ◎ 1-3月期仏国内総生産(GDP)改定値
○15:45 ◇ 5月仏卸売物価指数(PPI)
○16:55 ◎ 5月独雇用統計
○19:30 ◎ 4月インド鉱工業生産
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○23:00 ◎ 5月米リッチモンド連銀製造業景気指数
○29日02:00 ◎ 米財務省、5年債入札
○29日03:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(5月6日-7日分)
○石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国による「OPECプラス」閣僚級会合
○10:00 ◇ 5月ANZ企業信頼感
○10:30 ◇ 1-3月期豪民間設備投資
○未定 ◎ 韓国中銀、政策金利発表
○16:00 ◇ 4月トルコ貿易収支
○18:30 ◇ 4月南アフリカPPI
○21:30 ◇ 1-3月期カナダ経常収支
○21:30 ☆ 1-3月期米GDP改定値
◎ 米個人消費/コアPCE改定値
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数
○21:30 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○未定 ☆ 南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表
○23:00 ◎ 4月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数)
○23:40 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、質疑応答
○30日01:00 ◇ EIA週間在庫統計
○30日02:00 ◎ 米財務省、7年債入札
○30日05:00 ◎ デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○スイス、ノルウェー、スウェーデン(キリスト昇天祭)、休場
30日
○07:45 ◎ 4月ニュージーランド(NZ)住宅建設許可件数
○09:25 ◎ ローガン米ダラス連銀総裁、あいさつ
○10:30 ◎ 4月豪小売売上高
○10:30 ◎ 4月豪住宅建設許可件数
○15:00 ◎ 1-3月期スウェーデンGDP
○16:00 ◇ 5月スイスKOF景気先行指数
○16:00 ◇ 4月トルコ失業率
○16:00 ◎ 1-3月期トルコGDP
○17:30 ◎ パネッタ伊中銀総裁、講演
○21:00 ◎ 4月南アフリカ貿易収支
○21:00 ◎ 5月独CPI速報値
○21:00 ☆ 1-3月期ブラジルGDP
○21:00 ◇ 4月メキシコ失業率
○21:30 ☆ 3月カナダGDP
☆ 1-3月期カナダGDP
○21:30 ◇ 4月米卸売在庫
○21:30 ◎ 4月米個人消費支出(PCE)
◎ 4月米個人所得
☆ 4月米PCEデフレーター
☆ 4月米PCEコアデフレーター
○22:45 ◎ 5月米シカゴ購買部協会景気指数
○23:00 ◎ 5月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値)
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
◆豪ドル、RBAのタカ派姿勢に変化
◆NZドル、RBNZの金融政策に注目
◆ZAR、首脳会談では友好の糸口掴めず
予想レンジ
豪ドル円 90.00-94.00円
南ア・ランド円 7.70-8.20円
5月26日週の展望
豪ドルは、上値の重い動きが予想される。今週(19-20日)に開催された豪準備銀行(RBA)の政策決定理事会では、予想通り政策金利の0.25%引き下げが決定された。声明文では「インフレ率は目標レンジ内にあり、上振れリスクは減少している」と言及。ブロック総裁は状況が変化したとして「インフレの低下が続くようであればさらに金利を引き下げる余地がある」などの見解を示し、これまでタカ派姿勢を維持してきたRBAの姿勢に変化が見られた。なお、RBAの姿勢変化が手掛かりとなり、金利先物市場では年内に3回(0.75%程度)の追加利下げを見込んでいる。
来週の注目は28日に予定されている4月消費者物価指数(CPI)だろう。RBAが今回の声明文で見通しに関して「不確実性」という文言を繰り返し使用していたように、現在は米国の関税政策などに絡んで先行きの経済・物価・金利を見通しにくい状況となっている。これまではRBAが四半期ベースでのインフレ動向を重要視している影響もあって、単月のCPIに対する注目は高くなかったが、今後は追加の利下げ余地を探るうえでもより丁寧に確認していく必要がありそうだ。その他では30日に4月住宅建設許可件数や4月小売売上高などの発表が予定されている。
隣国のニュージーランド(NZ)では28日に予定されているNZ準備銀行(RBNZ)の金融政策決定会合に注目。前回(4月9日)の声明文では「必要に応じてさらなる金利引き下げを行う余地がある」との見解が示されていたが、市場では今回の会合でも6会合連続となる利下げが実施されるとの予想となっている。ただ、利下げ幅に関しては前回から0.25%へと縮小されており、そろそろ現在の緩和サイクルが一段落する可能性もある。金利先物市場では今回も含めて3回(0.75%程度)の利下げを織り込んでいる状況だが、声明文などで今後の緩和余地に関して確認しておきたいところだ。
南アフリカ・ランド(ZAR)は伸び悩む展開か。注目されていたラマポーザ南ア大統領とトランプ米大統領の首脳会談では、米大統領がほぼ一方的に南アで白人農民を標的とした「ジェノサイド」が行われているとの主張を展開。南ア大統領は否定したものの、およそ友好的と言えないまま終了した。多くの欧米メディアが虚偽だとしている米大統領の主張はともかくとして、米国と南ア間の対立に改善の兆しが見えないことは、米国が中国に次ぐ貿易相手国である南ア経済にとってマイナス材料と言えるだろう。なお、来週は南ア準備銀行(SARB)の金融政策決定委員会(MPC)を29日に控えており、同国の金融政策についても注目しておく必要がありそうだ。
5月19日週の回顧
豪ドルは対円で軟調に推移。RBAの金融政策公表後に豪ドル売りが出たほか、ドル円がさえない動きとなった影響もあり、92円割れ水準まで弱含んだ。ZARは全般にドル売りが進んだ流れに沿って、対ドルでは昨年12月以来のZAR高水準を更新。一方、対円ではドル円が下落した影響でやや上値の重さが目立った。
◆ポンド、4月のインフレが想定以上に加速し早期利下げ観測が後退
◆ポンド、英EU首脳会談での関係再構築はプラス材料に
◆加ドル、コアCPI上振れで判断難しいなかBOC会合に対する思惑で上下
予想レンジ
ポンド円 191.50-196.50円
加ドル円 102.50-106.50円
5月26日週の展望
英国は週明け26日がスプリング・バンク・ホリデーで休場であり、その後も重要な経済指標は予定されていない。そのためポンドは、今週の材料を再確認しながらの取引となるだろう。
21日発表の4月消費者物価指数(CPI)は総じて想定以上の上昇となった。総合が前年比3.5%と2024年1月以来、コアも3.8%と1年ぶりの高い水準を記録。4月に引き上げられた「電気・ガス・水道料金」や「社会保障料の事業者負担」の影響は予想より強かった。英中銀が基調的な指標として注視するサービス価格インフレ率も5.4%と見込み以上に上昇した。これらを受け、市場では、年末までの0.25%追加利下げ回数について、2回から1回との予想に変更している。暫くは、早期利下げ観測の後退がポンドの下値を支えることになりそうだ。
一方、翌22日に発表された5月購買担当者景気指数(PMI)速報値はまちまちな結果に。サービス部門は50.2と予想や前回から上振れたが、製造業が45.1と予想より弱く、更に前回値も下回った。この辺りが積極的にポンドの上値を追えない要因となっている。
なお、ロンドンでは今週、英・欧州連合(EU)首脳会合が開かれた。2020年に英国がEUを離脱して以降、初めての首脳会合となったが、「防衛・安全保障、漁業、食品輸出および渡航規制の緩和」に関する合意に達した。国内から批判はあるものの、英国にとって最大の貿易相手であるEUとの関係再構築はポンドに対してはポジティブな材料だろう。
加ドルは、来月4日のカナダ中銀会合に対する思惑で上下する展開を予想している。20日の4月CPIは前年比1.7%と予想を僅かに上回ったが、前回の2.3%からの減速は確認できた。市場が気にしたのは、コアCPIの加速。中央値は3.2%と前回から0.4ポイント上昇し、トリムも3.1%と1年1カ月ぶりの高水準を記録した。短期金融市場では、これまで60%以上だった6月会合の利下げ確率が30%弱まで低下。中銀の判断が難しくなるなか、早期利下げに踏み切るには景気減速を裏付けるデータが必要だろう。そうなると、来週30日に発表される1-3月期国内総生産(GDP)の結果がこれまで以上に重視されそうだ。
なお、円相場で警戒されているのが28日に実施される本邦40年債の入札。今週の20年債入札は「衝撃的な弱さ」と言われ、超長期債への売り圧力を強めた(金利は上昇)。来週も入札を挟んで債券市場は神経質に動くことが予想され、為替にも影響を及ぼす可能性が高い。
5月19日週の回顧
ポンド円は週明け売りが先行も、株式市場の底堅さを背景に194円前半まで切り返した。その後、本邦長期金利の大幅上昇や米トリプル安への警戒感などで一時192円割れまで下落する場面があった。ポンドドルはCPIの加速も後押しに、2022年2月以来の高値1.3469ドルまで上昇した。加ドルは、対円では戻り鈍いまま103円前半まで下落したが、週後半にかけて104円台まで持ち直した。コアCPIの強さも手伝い、対ドルでは1.38加ドル前半まで加ドル高に振れた。
◆ドル円、40年国債入札を巡る本邦長期金利の動向に警戒
◆ドル円、米財政悪化を背景としたトリプル安に注意
◆ユーロドル、ドル安支えも欧州景気先行き懸念が重し
予想レンジ
ドル円 140.00-145.50円
ユーロドル 1.1050-1.1450ドル
5月26日週の展望
ドル円は、本邦長期金利の上昇懸念や米財政問題を背景に上値の重い動きとなりそうだ。まず、来週の注目は28日に財務省が実施する40年国債入札だろう。20日に行われた20年債入札では、平均落札価格と最低落札価格の差(テール)が1987年以来の大きさとなったうえ、応札倍率が2012年以来の低水準となるなど、歴史的な弱い結果となったことで本邦長期金利が急上昇。30年債・40年債利回りが過去最高水準を付けて、ドル円下落のきっかけとなった。日銀の金融緩和縮小により国債の買い入れが減少するなかで、ただでさえ需要の乏しい40年債の入札への警戒感は一段と高まっている。21日に機関投資家を対象とした債券市場参加者会合でも一部から超長期債の需給軟化を懸念する声が上がった。40年債入札の弱い結果を見越して本邦金利が一段と上昇すれば、ドル円の上値は重くなるだろう。
また、ドル円の売り材料となりそうなのが米財政問題。大型減税を盛り込んだ税制・歳出法案が可決される見通しであり、議会予算局によると今後10年間で連邦債務が3兆8000億ドル程度増える可能性があるという。先日、米国を格下げした格付け会社ムーディーズが指摘していたように、財政赤字拡大への懸念は一段と高まっており、超長期債である米30年債の利回りが大きく上昇している。財政懸念を背景とした債券売り・株売り・ドル売りの米トリプル安には警戒しておきたいところだ。
なお、来週は27日に5月消費者信頼感指数、28日に米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨、29日に1-3月期四半期実質国内総生産(GDP、改定値)、30日に4月個人消費支出(PCEコア・デフレーター)が発表される。
ユーロドルは神経質な動きとなりそうだ。足元で進んでいるドル売りは下値を支えそうだが、懸念されるのは欧州経済状況だろう。5月は世界的に米関税交渉で進展があったため改善が見込まれていたが、22日に発表された5月独サービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値が2022年11月以来の水準まで悪化した。欧州の景気先行き懸念から積極的にユーロを買う動きも限られそうだ。
5月19日週の回顧
ドル円は軟調。週前半は145円を挟んで方向感がなかったが、記録的な低調となった20年債入札をきっかけに売りが優勢に。中東情勢の悪化でドル安・スイスフラン高が進んだほか、円安是正議論に対する根強い警戒感も重なって週後半には一時142.81円まで売り込まれた。
ユーロドルは堅調。ドル円の下落や対スイスフランでのドル売りも追い風となり、一時1.1363ドルまで上値を伸ばした。
23日の日経平均は3日ぶり反発。終値は174円高の37160円。
日経平均は3日ぶり反発。米国株が小動きであった割には強かった。ただ、前場で上げ幅を広げながらも、買いが買いを呼ぶような動きにはならなかった。前日の下げ分(313円安)も埋めきれていない。今週は5日線(37294円、23日時点)近辺では戻り売りに押されており、きょうも同水準を一時上回ったものの終値では下回った。抵抗となり続けるようだと、値持ちの良かった銘柄が売られやすくなる。来週は早々に5日線を上回ることができるかが注目される。
【来週の見通し】
一進一退か。月曜26日の米国はメモリアルデーにより休場。国内は材料に乏しく、米国株や米長期金利、ドル円に神経質となる状況が続くだろう。米国では注目度の高い経済指標の発表がいくつかあるほか、5月開催のFOMC議事要旨の公表もあり、米長期金利の振れ幅は大きくなりやすい。また、28日にはエヌビディアが決算発表を予定しており、グローバルで半導体株の値動きが大きくなると思われる。各種材料に一喜一憂が続き、方向感が定まらないと予想する。
【今週を振り返る】 軟調となった。決算発表が一巡して手がかり難となる中、米国株の上昇一服や円高進行が日本株の重荷となった。週明け19日の日経平均は、米国株高を好感できず3桁の下落。20日は上昇したものの、高く始まった後は上げ幅を縮めた。21日は円高に対する警戒が強まり、200円を超える下落で安値引け。21日の米国ではダウ平均が800円を超える下落となっており、これを受けた22日は連日で3桁の下落となった。24日は主力株が奮起して3桁の上昇。37000円は上回って週を終えた。日経平均は週間では593円の下落となり、週足では7週ぶりに陰線を形成した。
2025/5/25 - 共同通信
https://nordot.app/1299268628214136988
https://i.imgur.com/OV4zg3F.jpeg
次期首相トップは高市氏、3割が支持 ロイターの企業調査 石破政権に「期待外れ」9割
https://news.yahoo.co.jp/articles/1c10dae4df1c0fad58ad4a6f639e5ee39668a06f
https://i.imgur.com/VZafMry.jpeg
■次の総理にふさわしい人
①高市早苗21.5%
②小泉進次郎15.9%
③玉木雄一郎9.3%
④石破茂7.3%
■高市早苗の政策(一部)
「責任ある積極財政」
「消費減税」
「スパイ禁止法の実現」
「実現可能なエネルギー政策」
「責任ある安全保障」
https://i.imgur.com/YxHUsCx.png
https://i.imgur.com/ZKUcCbA.jpeg
赤沢経済再生相は米国との3回目の関税交渉を終え25日に帰国した。次回の交渉日程について「先方と都合が合ったタイミングで協議を進めていきたい」と発言した。報道では、30日にも再びワシントンを訪問し、今回は欠席していたベッセント財務長官と交渉を行うことになっている。
ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長が日本と米国の両政府が共同で政府系ファンド(SWF)を創設する構想を提案していることが明らかになったと英フィナンシャル・タイムズ紙が報じた。孫氏はベッセント米財務長官とこの構想を協議しており、米国のテクノロジーやインフラ分野への大規模投資を目指しているとのこと。ファンドは日米財務省が共同で所有・運営し、初期資本は約3000億ドル(約43兆円)規模を想定。将来的には両国の個人投資家にも開放される可能性がある。正式提案には至っていないが、増税を伴わずに政府収入を確保する新たなモデルとして注目されている。
<国内>
○14:00 ◇ 3月景気動向指数改定値
<海外>
○22:30 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○23:30 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○英国(スプリング・バンク・ホリデー)、米国(メモリアルデー)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
23日のニューヨーク外国為替市場のドル円は、トランプ米大統領が来月からEUに関税50%の方針を示し、米アップルがiPhoneを米国内で生産しなければ、少なくとも25%の関税を払うことになる、と表明したことで、リスク・オフの円買い・ドル売りが優勢となり一時142.42円まで下落した。ユーロドルは、1.1375ドルから1.1298ドル付近まで下押ししたものの、欧米株相場の下げ渋りとともに1.1369ドル付近まで持ち直した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、ロンドン市場がスプリング・バンク・ホリデー、ニューヨーク市場がメモリアルデーのため休場で動きづらい展開が予想される中、引き続きトランプ米大統領の突発的なSNSへの投稿に警戒していくことになる。
先週末にトランプ米大統領が欧州連合(EU)に50%、米アップルに25%の関税賦課を突発的に警告したものの、今朝は、EUへの50%関税期限をこれまで通りに7月9日に戻しており、リスク・オン地合いとなっている。
赤沢経済再生相は、第3回日米通商交渉の後、「前回以上に率直かつ突っ込んだやり取りを行うことができた。関税措置の見直しを改めて強く申し入れた」と述べつつも、詳細は明らかにしなかった。そして、今週末の30日あたりに、ベッセント米財務長官との第4回日米通商交渉を予定しており、6月15-17日のG7サミットに合わせた日米首脳会談で「何らかの合意ができていれば、それは大変望ましいことだ」と述べた。そして、石破首相も、6月のトップ会談が交渉の節目になるとの認識を示している、と報じられている。
IMMシカゴ筋は、今年1月にドル円が155円付近で推移していた頃、円の売り持ちポジションから買い持ちポジションに転換し、152円付近では過去最大規模に拡大して、4月29日時点(※NY市場終値:142.33円)では179,212枚まで過去最大を更新していた。
5月6日時点(※NY終値142.45円)では、若干(-2,353枚)減って176,859枚。
5月13日時点(※NY終値147.48円)では、若干(-4,591枚)減って172,268枚。
5月20日時点(※NY終値144.51円)では、若干(-4,938枚)減って167,330枚。
シカゴ筋がドル売り・円買いのポジションに傾いた背景には、日銀の追加利上げ観測、米連邦準備理事会(FRB)の追加利下げ観測、トランプ関税を巡るドル下落観測や「マールアラーゴ合意」などのドル安誘導への思惑などがあったと思われる。
しかし、日銀金融政策決定会合では、トランプ関税の「不確実性」を理由にハト派的な据え置きとなり、米連邦公開市場委員会(FOMC)でも「不確実性」を理由に、タカ派的な据え置きとなっており、米英貿易協定の締結合意や米中貿易協議での進展を受けて、ドル売り・円買いのベクトルが後退しつつある。
さらに、G7財務相・中央銀行総裁会議や日米財務相会談では、2017年5月のG7声明が再確認され、「マールアラーゴ合意」の提唱者だったミラン米CEA委員長も、トランプ米政権によるドル安誘導を否定している。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 36830 -360 (-0.96%)
TOPIX先物 2716.0 -20.5 (-0.74%)
シカゴ日経平均先物 36855 -335
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
23日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落。トランプ米大統領が欧州連合(EU)との交渉に不満を示し、EUからの輸入品に6月1日から50%の関税を課す考えを示した。また、国外で生産され米国で販売されるアップル<AAPL>の「iPhone」に少なくとも25%の関税を課すと表明。トランプ関税による貿易摩擦への懸念が再燃し、主力株を中心に売りが広がった。
S&P500業種別指数は、公益事業、家庭用品・パーソナル用品、電気通信サービスが上昇した一方で、耐久消費財・アパレル、テクノロジー・ハード・機器、小売、メディア、半導体・同製造装置の下げが目立った。NYダウ構成銘柄では、シェブロン<CVX>、コカ・コーラ<KO>、プロクター・アンド・ギャンブル<PG>、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>が買われた。半面、セールスフォース<CRM>、アップル<AAPL>、ナイキ<NKE>、スリーエム<MMM>が下落。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比335円安の3万6855円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは日中比20円高の3万7210円で始まった。直後につけた3万7310円を高値に軟化し、3万6450円まで下げ幅を広げる場面もみられた。米国市場の取引開始後にリバウンドの動きから下落幅を縮め、3万6830円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形で、売り先行で始まりそうだ。ナイトセッションで3万6450円まで売られ、一時25日移動平均線(3万6520円)を割り込んだが、その後の切り返しで75日線(3万6720円)を上回って終えており、いったんは調整一巡感が意識されてくる可能性はあるだろう。テクニカル面での過熱感も和らいだと考えられる。
売り一巡後は底堅さを見極めつつ、押し目狙いのロング対応に向かわせそうだ。ただし、26日の米国市場はメモリアルデーの祝日で休場のため、海外勢のフローは限られている。トランプ大統領の関税を巡る発言が再び活発化してきたことでリバウンド機運は高まりにくく、戻りの鈍さが意識されてくるようだと短期的なショートを誘う形になりそうだ。
赤澤亮生経済再生相は3回目の関税交渉を行った。ベッセント財務長官が欠席したことで、今週末にも訪米することで調整しており、ポジションを傾けにくい状況である。G7サミットが6月半ばに開催される予定であり、その時点でトランプ関税の動向がみえてくると考えられるため、しばらくはスキャルピング中心の売買を余儀なくされよう。
日経225先物は75日線を上回って終えたこともあり、まずは同線をキープできるかが注目されそうだ。そのため、オプション権利行使価格の3万6750円を中心とした上下の権利行使加価格である3万6500円から3万7000円のレンジを想定する。75日線を上回って推移するようだと、200日線が位置する3万7500円辺りを試す可能性がありそうだ。
23日の米VIX指数は22.29(22日は20.28)に上昇した。一時25.53まで切り上がる場面もみられ、25日線(22.87)や75日線(23.41)を上回っている。依然としてボトム圏での推移ではあるものの、やや慎重姿勢に向かわせそうである。
先週末のNT倍率は先物中心限月で13.59倍に低下した。一時13.63倍に上昇する場面もみられたが、25日線(13.63倍)に上値を抑えられる形だった。一方で、13.56倍まで下げる動きをみせており、ボリンジャーバンドの-1σ(13.54倍)辺りが意識されていそうだ。
なお、今週はエヌビディア<NVDA>の決算を控えているが、同社は中国向けに新たな人工知能(AI)半導体を発売する計画と海外メディアが報じている。指数インパクトの大きい値がさハイテク株に影響を与える可能性もあり、NTロングへの転換も想定しておきたいところである。
東京市場は軟調か。先週末の米国株は下落。ダウ平均は256ドル安の41603ドルで取引を終えた。トランプ大統領が自身のSNSでEUとアップルに高率の関税を課す意向を表明したことを受けて、リスク回避ムードが強まった。ドル円は足元142円70銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて335円安の36855円、ドル建てが300円安の36890円で取引を終えた。
トランプ大統領はEUには6月1日から50%の関税を発動したいとし、アップルに関しては海外生産分は25%の関税を払うべきと主張している。アップル株は3%安となった。一方で、日本製鉄<5401.T>のUSスチール買収を承認したことが伝わっており、USスチール株は急騰している。
日本株は「トランプ関税リスク」の再燃を嫌気した売りが優勢になると予想する。鉄鋼株には見直し買いも期待できるが、電子部品株にはネガティブな影響が想定される。全体では外需の買いづらさが強く意識されそう。本日の米国はメモリアルデーにより休場で、あすは材料難が予想される。反転期待が高まりづらい中、安く始まり、下押し圧力の強い地合いが続くだろう。日経平均の予想レンジは36600円-36900円。
英国がバンクホリデー、米国がメモリアルデーの祝日でいずれも休場となっている週明けの東京市場では、先週末から続くドル売りの流れとなっています。トランプ米大統領が週末にフォンデアライエン欧州委員長と電話会談を行ったうえで、「6月1日からの50%関税は7月9日まで延期する」ことを表明。ドル円は先週末のかかる関税報道に対してリスクオフで反応していたわけで、当然のごとく買戻しの反応となったものの、143.08円まで値を上げた後は再び戻り売りに押される展開に。先週末の安値142.42円や6日の安値142.36円を下抜けて一時142.23円まで値を下げることになりました。
市場では度重なるトランプ発言に対して「かなりの疲労感や倦怠感が漂っている」との声も聞かれていますが、「やる、延期する、やっぱりやる」との脅しとも受け取れる発言が繰り返される度に、市場での米大統領に対する信認、ひいては、ドルに対する信認を失っているといったところ。海外勢がロングウィークエンドとなっている、本来であれば、全く動く要素がないアジア市場でのユーロドルの上抜けなどが、市場のセンチメントを物語っています。
いずれにしても、ドル円は、実需勢のドル買いが断続的に観測されてはいるものの、そして、投機筋の円ロングポジションは史上最大水準から「ほとんど減少していない」状況が続いてはいるものの、不確実性といった得体のしれない不安感のなかで、ただただ彷徨っているように見えます。
日経225先物は11時30分時点、前日比160円高の3万7350円(+0.43%)前後で推移。寄り付きは3万7200円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万6855円)を上回り、小幅ながら買い先行で始まった。直後につけた3万7170円を安値にロング優勢の流れとなり、中盤にかけて3万7510円まで上げ幅を広げた。終盤にかけては利食いの動きとなったが、3万7350円辺りでの底堅さがみられている。
トランプ米大統領が欧州委員会のフォンデアライエン委員長との電話会談後、欧州連合(EU)に対する50%の関税発動期限を7月9日まで延長すると報じられた。この報道を受けてグローベックスの米株先物が上昇。東京市場においても買いが先行する形になった。中盤にかけて200日移動平均線(3万7510円)まで上げ幅を広げたが、26日の米国市場は休場で市場参加者が限られるなかにおいては、短期的には達成感が意識されやすいだろう。同線突破を仕掛けてくる動きは期待しにくいと考えられ、持ち高調整の動きになりそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.60倍に上昇して推移。一時13.55倍まで下げる場面もあったが、ボリンジャーバンドの+1σ(13.54倍)が支持線として機能した。ただし、その後13.62倍まで切り返したが、上値は25日線(13.63倍)に抑えられているため、スプレッドは狙いにくいだろう。
「政治家の仕事は、勇気と真心をもって真実を語ることだ」(石破首相)
米(コメ)の価格が過去最高水準まで上昇している折、江藤農林水産大臣は、2025年5月18日の講演で、「私はコメは買ったことがない。支援者の方々がたくさんコメをくださり、売るほどある」と発言した。
米国債や日本国債の利回りが上昇(価格は下落)している折、石破首相は、5月19日の参院予算委員会で「わが国の財政状況は間違いなく、極めてよろしくない。ギリシャよりもよろしくないという状況だ」と発言した。
1.「東京渡辺銀行が経営破綻した」片岡大蔵大臣(1927年3月14日)
1927年3月14日の帝国議会予算委員会で、片岡大蔵大臣は「東京渡辺銀行が経営破綻した」と誤って発言した。その翌日、東京渡辺銀行は支払いを停止し、金融不安が一気に広がり、各地の銀行で取り付け騒ぎが発生し、昭和金融恐慌の直接の引き金となった。
2025年5月19日の参院予算委員会で、石破首相は「わが国の財政状況は間違いなく、極めてよろしくない。ギリシャよりもよろしくないという状況だ」と強調した上で、「税収は増えているが、社会保障費も増えている。減税して財源は国債で賄うとの考えに賛同できない」と述べた。
5月16日には米格付け会社ムーディーズ・レーティングスが米国の信用格付けを「AAA(トリプルA)」から引き下げており、米国債が売られてトリプル安となっていた。このタイミングで、日本国債に新たに売り圧力をかけかねない発言に批判が殺到した。
2024年の各国政府の総債務残高(対GDP比)ランキングでは、日本は2位で約236%、ギリシャは6位で約150%となっている。
5月20日、財務省が実施した日本国債の入札で需要が弱かったことで、長期金利の代表的な指標となっている10年物国債の利回りが1.530%まで上昇し、30年物国債の利回りは過去最高の3.185%まで上昇した。
2.「貧乏人は麦を食え」池田大蔵大臣(1950年12月7日)
1950年12月7日。池田勇人蔵相は、緊縮財政下の不況の上、米価が高騰していた時、参議院予算委員会で「所得の少ない方は麦、所得の多い方はコメを食うというような経済原則に沿ったほうへ持っていきたい」と答弁した。これが「貧乏人は麦を食え」と報道され、翌日、翌日に大蔵大臣を辞任させられた。
2025年2月7日の衆院予算委員会で、江藤農水相は、れいわ新選組の櫛渕共同代表から「『貧乏人は麦を食え』と言ったのは誰か?」と問われ、「不勉強で知識がない」と答えられない一幕があった。
その後、江藤農水相は「コメを買ったことがない」との失言の責任をとり、辞表を提出して受理された。
本日のロンドン為替市場のユーロドルは、ロンドン市場がスプリング・バンク・ホリデー、ニューヨーク市場がメモリアルデーのため休場となるため、動きづらい展開が予想される中、欧米通商交渉に関するヘッドラインに警戒する展開となる。
先週末、トランプ米大統領は、トゥルース・ソーシャルで、EUとの通商協議に進展の見込みが全くなく対処が難しい、と書き込み、6月1日から50%の関税を課す意向を示した。
トランプ米大統領は、4月にEUに対して一律10%の基本税率に20%の上乗せを加えた合計30%の追加関税を打ち出したものの、トリプル安などにより、90日間は10%の関税にとどめ、上乗せ分の導入は停止すると発表していた。
しかし、本日、トランプ米大統領は、6月1日からの関税発動を撤回して、7月9日までの延長に戻しており、本日もSNS投稿や関連ヘッドラインに警戒していくことになる。
フォンデアライエン欧州委員長は、「トランプ米大統領と良好な電話協議を行った」「EUには協議を速やかかつ決定的に前進させる用意がある」「EUは良い合意に達するために7月9日まで時間が必要」などと述べ、欧米通商交渉に対する楽観的な見方を裏付けている。
一方で、ベッセント米財務長官は先週末に「トランプ米大統領はEUの提案を他国の提案ほど良くないと見ている」とやや悲観的な見解を示していた。
また、本日は、ナーゲル独連銀総裁とラガルドECB総裁の講演が予定されており、6月の欧州中央銀行(ECB)理事会に向けた追加利下げへの言及に注目しておきたい。
ナーゲル独連銀総裁は、先日、「7回の利下げを経て、ECBの預金金利は2.25%になっており、この水準はもはや引き締め的とはいえない。不確実性が高い状況が続いていることを踏まえると、金融政策運営で引き続き慎重な姿勢を維持しなくてはならない」と、利下げ停止を示唆していた。
ラガルドECB総裁は、「国際貿易が二度と元に戻らないことは明白だが、さらなる交渉が行われることも明らかだ」と述べ、欧米貿易交渉への期待感を示していた。
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1573ドル(4/21高値)
・ユーロ円:163.41円(5/22高値)
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.1218ドル(5/20安値)
・ユーロ円:160.99円(4/22安値)
ドル円:1ドル=142.51円(前営業日NY終値比▲0.05円)
ユーロ円:1ユーロ=162.70円(△0.79円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1417ドル(△0.0055ドル)
日経平均株価:3753153円(前営業日比△371.06円)
東証株価指数(TOPIX):2751.91(△16.39)
債券先物6月物:139.10円(△0.36円)
新発10年物国債利回り:1.515%(▲0.030%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月景気動向指数改定値
先行指数 108.1 107.7
一致指数 115.9 116.0
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ユーロドルは強含み。トランプ米大統領が「EUへの50%関税の7月9日までの延長に同意」と発言すると買いが優勢に。その後も全般ドル安の流れが継続した流れに沿って一時1.1419ドルまで上値を伸ばした。また、豪ドル米ドルは0.6537ドル、NZドル米ドルは0.6032ドルまでつれ高となった。
・ドル円は一進一退。米大統領が対EU関税の延期を発表すると初動は買いで反応し一時143.08円まで値を上げた。ただ、次第にドル売り圧力が高まると失速。先週末安値の142.42円を下抜けて142.23円まで下押しした。一方で、日経平均株価が堅調に推移するなかで一巡後は142.70円台まで持ち直した。
・ユーロ円は堅調。米EUの関税を巡る警戒感がいったん後退したことを受けて円売り・ユーロ買いが優勢に。日本株高も支えにその後も強い地合いを保ち、一時162.82円まで上値を伸ばした。
・日経平均株価は続伸。米大統領の発言を好感して時間外の欧米株価指数先物が上昇したため、日本株もつれ高の展開となった。その後も堅調に推移し、結局高値引けとなった。
・債券先物相場は続伸。先週末の米債券相場が上昇した流れを引き継いで買いが先行。財務省が実施した流動性供給入札が需要の引き締まりを示す結果となったことも支えとなった。
SMBC日興証券では、カナダで行われたG7財務大臣・中央銀行総裁会議を受けてリポートしている。米国の関税政策に関する議論も行われたもようだが、共同声明には盛り込まれなかった。SMBC日興では、個別に交渉が行われている下で、踏み込めない状況が浮き彫りとなったと指摘。直後にトランプ大統領がEUに対する50%関税を示唆したことを踏まえると、G7財務大臣・中央銀行総裁会議が機能しているとは言い難いとコメントしている。
大阪6月限
日経225先物 37590 +400 (+1.07%)
TOPIX先物 2756.0 +19.5 (+0.71%)
日経225先物(6月限)は前日比400円高の3万7590円で取引を終了。寄り付きは3万7200円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万6855円)を上回り、小幅ながら買い先行で始まった。直後につけた3万7170円を安値にロング優勢となり、前場中盤にかけて3万7510円まで上げ幅を広げた。買い一巡後は利食いによりランチタイムで3万7270円まで下げたが、その後は再びロング優勢の流れが強まり、午後の取引中盤にかけて3万7500円を回復。終盤にかけても強い基調が続き、本日の高値で取引を終えた。
トランプ米大統領が欧州委員会のフォンデアライエン委員長との電話会談後、欧州連合(EU)に対する50%の関税発動期限を7月9日まで延長すると報じられた。この報道を受けて、グローベックスの米株先物が上昇。東京市場でも買いが先行する形になった。前場中盤にかけて200日移動平均線(3万7510円)まで上げ幅を広げ、いったんは短期的な達成感から利食いを誘う形になったが、その後も強い値動きが続いたことで短期筋のショートカバーを誘う形になった。
26日の米国市場は休場で市場参加者が限られ、ヘッジファンドによる仕掛け的な売買も膨らみにくいため、ロングを入れやすかったようだ。米国市場は休場でEUに対する関税発動時期の延長を織り込めず、祝日明けの大幅上昇が期待されるなかでは、短期的な売買が中心とはいえロング優勢になりやすかったのだろう。
海外投資家のフローが限られるなかで、東証プライムの売買高は4月22日以来の14億株台と低水準だった。そのため、よりインデックスに絡んだ商いのインパクトが大きかったようである。トランプ大統領のSNS投稿で下押しする局面は、押し目狙いのタイミングとするアノマリーが意識されてきた。
日経225先物は200日線を明確に上抜けてくるようだと、ボリンジャーバンドの+1σ(3万7860円)突破を試す形になりそうだ。また、パラボリックのSAR値が3万8020円辺りに位置しているため、SAR値タッチによるシグナル好転への期待でロングが入りやすくなるとともに、ショートカバーの動きが強まる可能性がある。
エヌビディア<NVDA>の決算発表が近づくなかで、アドバンテスト<6857.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株の買い戻しも意識されやすいだろう。楽観視はできないものの、まずは200日線での底堅さを見極めつつ、ロング対応に向かわせよう。
NT倍率は先物中心限月で13.63倍に上昇した。一時13.55倍まで下げる場面もあったが、ボリンジャーバンドの+1σ(13.54倍)が支持線として機能した。その後の切り返しで25日線(13.63倍)を捉えており、同水準を上抜けてくると、75日線(13.74倍)を目先的なターゲットとしたNTロングでのスプレッド狙いが入りそうだ。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万2945枚、ソシエテジェネラル証券が9151枚、SBI証券が3057枚、サスケハナ・ホンコンが2745枚、バークレイズ証券が2086枚、JPモルガン証券が1830枚、日産証券が1402枚、野村証券が1212枚、ドイツ証券が1055枚、ゴールドマン証券が849枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が1万3221枚、ソシエテジェネラル証券が1万3031枚、JPモルガン証券が3347枚、バークレイズ証券が3073枚、モルガンMUFG証券が2582枚、ゴールドマン証券が2263枚、大和証券が1431枚、サスケハナ・ホンコンが1008枚、SBI証券が878枚、野村証券が873枚だった。
本日の米国はメモリアルデーで祝日であり、カナダ勢が居るとはいえ北米市場は閑散な取引となるだろう。薄商いのなか、やはり注意すべきはトランプ米大統領の貿易に関する発言となる。また、ロシアを巡る欧州・地政学リスクの高まりにも注意しておきたい。
一部報道が米財務省のデータとして報じたところによると、米国の5月関税収入は223億を超えたもよう。トランプ米政権による一律完全が初めて反映され、月間ベースでは過去最高額となった。しかしながらトランプ大統領が目指す1日当たりの関税収入20億ドルには、現在の関税率では届かないと見られている。
トランプ大統領は先週末、欧州連合(EU)が譲歩しないならば6月から50%の関税を課す考えを示したものの、米国25日には「発動期限の7月9日まで延長」を表明した。もっとも、関税収入は大統領が推す大規模な減税法案の財源の1つとされ、もし収入が伸び悩むとなれば、いつまたトランプ氏の物言いが変わってもおかしくはない。先週末のリスクオフ、週明けのリスクオンの流れのきっかけはトランプ大統領の発言であり、まだ暫くは右往左往させられることになるだろう。
トランプ米大統領がウ・露仲介の離脱を示唆したことを受け、ロシア軍のウクライナへの攻撃が激化している。トランプは対露制裁の再検討を明らかにしたものの、どの程度の抑止効果があるかは分からない。ロシアへの警戒感が一層高まるなか、ドイツ軍はロシアの侵攻に備えるため、リトアニアに常駐部隊を派遣した。ドイツが単独で外国に部隊を常駐させるのは、第2次世界大戦後で初めてだ。
ロシアを巡る欧州の地政学リスクは、想像している以上に高まっているのかもしれない。今後は北大西洋条約機構(NATO)とロシアの対立に、これまで以上の警戒が必要となりそうだ。
想定レンジ上限
・ドル円、ピボット・レジスタンス1の143.66円を超えると26日高値144.14円
想定レンジ下限
ドル円、4月29日安値141.97円を割り込むと同月23日安値141.49円
今晩はメモリアルデーの祝日のためNY株式市場が休場となります。明朝の株式市場に関するニュース等は休信となります。
今週のNY市場は貿易問題、米長期金利、エヌビディアの決算に注目。先週はダウ平均が2.47%安、S&P500が2.61%安、ナスダック総合が2.47%安と3指数がそろって大幅反落。年初来ではダウ平均が2.21%安、S&P500が1.34%安、ナスダック総合が2.97%安となり、ダウ平均とS&P500は再びマイナス圏に沈んだ。米下院で大型減税や軍事費拡大を含む法案が可決し、財政赤字拡大懸念を背景に米長期債利回りが上昇したことが重しとなったほか、金曜日にトランプ米大統領がアップルとEUに対して高率の関税を課す考えを示したことで貿易摩擦懸念が再び強まった。トランプ米大統領は自身のSNSに国外で生産され米国で販売されるiPhoneについては、アップルが25%の関税を払うべきだとし、EUについては6月1日から50%の関税を発動したいと発言した。
今週は月曜日がメモリアルデーの祝日のため、4日間の取引となるが、トランプ関税問題や長期金利の動向、エヌビディアの決算発表が焦点となりそうだ。トランプ米大統領は先週金曜日にEUとアップルに対して高率の関税を課す方針を示した。トランプ発言はこれまで同様にディールのための発言と受け止められているものの、大統領の発言や貿易相手国の反応をにらんだ神経質な展開が予想される。先週、一時2023年10月以来の水準まで上昇した米30年債利回りの動向にも引き続き要警戒となる。大型減税法案による財政赤字拡大懸念のほか、今週は金曜日に4月個人消費支出(PCE)価格指数の発表もあり、長期債利回りの動向に要注目となる。決算発表では28日水曜日引け後に発表されるエヌビディアの決算発表に注目が集まる。AIラリーの持続性を巡り、米政権の対中半導体輸出規制の影響や今後の先端AI半導体の出荷見通しが焦点となりそうだ。このほか、個人消費動向を巡り、ペストバイ、コストコ・ホールセールなどの決算やガイダンスにも要注目となる。
日経平均株価は続伸。前日終値を意識したスタートから上げ幅を拡大する展開となり、終値で5日移動平均線(37301円 5/26)上を回復した。
RSI(9日)は前日の37.7%→31.9%(5/26)に低下。4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇継続の判断となる。75日移動平均線(36835円 同)上で日柄調整が続く可能性が高いが、あすは200日移動平均線(37806円 同)超えまで上昇できるかが注目ポイントとなる。上昇基調にある25日移動平均線(36522円 同)とのかい離が次第に縮小してきており、今週は同線との接近を意識して切り返すことができるかが焦点となる。
すでに、終値ベースでは3/26につけた急落前の戻り高値(38027円)を更新し、パターン分析では4月前半の安値を先端に「スパイクボトム(V字)」を確認している。調整一巡後の意外高のシナリオは引き続き想定しておきたい。
上値メドは、200日移動平均線、心理的節目の38000円、5/13高値(38494円)、心理的節目の39000円、2/13高値(39581円)などがある。下値メドは、75日移動平均線、25日移動平均線、心理的節目の36000円や35500円などがある。
(26日終値:27日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=142.76円(27日15時時点比△0.25円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.47円(▲0.23円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1380ドル(▲0.0037ドル)
FTSE100種総合株価指数:休場
ドイツ株式指数(DAX):24027.65(前営業日比△398.07)
10年物英国債利回り:休場
10年物独国債利回り:2.560%(▲0.007%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は小高い。アジア時間の午前に約1カ月ぶりの水準まで下落すると、本日は英米市場が休場ということもあって持ち高調整や利益確定目的の円売り・ドル買いが出た。欧州株式相場や時間外の米株先物が底堅く推移したことも相場の支えとなり、22時前には143.03円付近まで上昇。もっとも、東京時間の朝方につけた高値143.08円手前で上値の重さを確認すると、その後は142.70円台まで上値を切り下げた。
・ユーロドルは小安い。欧米間の貿易摩擦が緩和するとの思惑を手掛かりにした買いが一巡し、欧州時間に入ると1.13ドル台後半までやや売りに押された。ただ、本日は英国がスプリング・バンク・ホリデー、米国がメモリアルデーの祝日で取引参加者が減少したこともあり、次第に動意は乏しくなった。
なお、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁は「基軸通貨としての米ドルの優位性についてさえ不確実性が存在する」「ユーロが将来、国際舞台でより大きな役割を果たす機会をもたらす可能性がある」などの見解を示したほか、ナーゲル独連銀総裁は「関税は米国経済にさらに大きな打撃を与えるだろう」などと言及した。
・ユーロ円は上値が重い。15時過ぎに162.98円まで本日高値を更新したが、その後はユーロドルの下落やドル円の伸び悩みなどに伴い、162.40円台まで上値を切り下げた。
・ロンドン株式相場はスプリング・バンク・ホリデーのため休場となった。
・フランクフルト株式相場は3営業日ぶりに反発。トランプ米大統領が「欧州連合(EU)への50%関税の発動を7月9日まで延期する」と表明したことを好感した買いが入った。個別ではラインメタル(3.28%高)やシーメンス(2.99%高)などの上昇が目立ち、ポルシェ・オートモービル・ホールディング(3.26%安)などを除く38銘柄が上昇した。
・欧州債券相場は上昇。
26日の日経平均は大幅続伸。終値は371円高の37531円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1085/値下がり482。レーザーテック、アドバンテスト、ソシオネクストなど半導体株の多くが大幅上昇。USスチールの買収をトランプ大統領が承認したと伝わった日本製鉄が伸び悩んだものの2%超上昇し、鉄鋼株に資金を呼び込んだ。リミックスポイントやgumiが急伸し、メタプラネットがストップ高となるなど暗号資産関連が人気化。株式の売り出し中止を発表したGMOインターネットが買いを集めた。
一方、ドル円が円高に振れたことから、トヨタ、ホンダ、SUBARUなど自動車株が軟調。23日の米国で関税強化が警戒されたアップルが大幅安となったことから、TDKなど電子部品株が売りに押された。三井物産や住友商事など商社株が下落。子会社GMOインターネットの売り出し中止を決定したGMOインターネットグループが、7.1%安と大きく値を崩した。
トランプ大統領に翻弄されながらも日経平均は大幅高。本日の米国が休場で、あすはネガティブな材料が出てくる懸念が少ないということが、値幅を伴った上昇につながったと考えられる。節目の37500円を難なく超えてきたのは強い動き。先週は抵抗となっていた5日線(37301円、26日時点)も大きく上回ってきた。物色を見ても半導体株が賑わったほか、グロース250指数が年初来高値を更新しており、積極的にリスクを取りにいっている。あすは手掛かり難が予想されるが、大きく下げることがなければ先週までで調整売りが一巡したとの期待が高まる。37500円近辺で値を固めることができるかに注目したい。
26日06:02 フォンデアライエン欧州委員長
「トランプ米大統領と良好な電話協議を行った」
「EUには協議を速やかかつ決定的に前進させる用意がある」
「EUは良い合意に達するために7月9日まで時間が必要」
26日07:09 トランプ米大統領
「EUへの50%関税の7月9日までの延長に同意」
「イランとは非常に良い話し合いができた」
「私はプーチン露大統領のやっていることが全く気に入らない」
26日16:12 赤沢経済再生相
「米国と第三国の協議を意識し過ぎないようにする」
26日16:57 シムカス・リトアニア中銀総裁
「ECBは6月の追加利下げに向けた余地がある」
26日22:28 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「これまでの世界秩序は現在、その根幹から揺さぶられている」
「基軸通貨としての米ドルの優位性についてさえ、不確実性が存在」
「激動の時代は、ユーロが将来、国際舞台でより大きな役割を果たす機会をもたらす可能性がある」
「世界貿易の減少や経済ブロックへの分断につながる国際秩序の変化は、我々の経済に悪影響を及ぼすだろう」
26日22:39 ナーゲル独連銀総裁
「関税は米国経済にさらに大きな打撃を与えるだろう」
「不確実性はおそらく新たな常態となるだろう」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 4月企業向けサービス価格指数(予想:前年比3.0%)
○09:00 ◎ 植田和男日銀総裁、あいさつ
<海外>
○15:00 ◇ 6月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲19.8)
○15:45 ◇ 5月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.1%/前年比0.9%)
○16:00 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○17:00 ◎ カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○18:00 ◎ 5月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲15.2)
○18:00 ◎ 5月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:94.0)
○21:30 ◎ 4月米耐久財受注額(予想:前月比▲7.9%/輸送用機器を除く前月比▲0.1%)
○22:00 ◇ 3月米住宅価格指数(予想:前月比0.1%)
◇ 1-3月期米住宅価格指数
○22:00 ◎ 3月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比4.5%)
○23:00 ◎ 5月米消費者信頼感指数(予想:87.2)
○28日01:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○28日02:00 ◎ 米財務省、2年債入札
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
26日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、英国がスプリング・バンク・ホリデー、米国がメモリアルデーの祝日で取引参加者が減少する中、欧州株式相場や時間外の米株先物が底堅く推移したことで143.03円付近まで上昇した後、142円台後半でのもみ合いに終始した。ユーロドルは、「欧州連合(EU)は米国との貿易交渉を迅速化する方針」などの報道が伝わったものの、1.13ドル台後半での狭いレンジ内推移に終始した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、4月企業向けサービス価格指数や基調的なインフレ率を捕捉するための指標、そして植田日銀総裁の発言などから、日銀の追加利上げの時期を見極めていくことになる。
8時50分に発表される4月企業向けサービス価格指数は前年比+3.0%と予想されており、3月の同比+3.1%、2月の同比+3.2%からの低下傾向が見込まれている。しかしながら、予想通りだと7カ月連続での3%台となり、人件費が価格に転嫁する動きが続いていることが確認できることになる。
9時からの植田日銀総裁の日本銀行金融研究所主催国際コンファランスでのあいさつでは、トランプ関税の不確実性の緩和や日本の4月のコアCPI(生鮮食品を除く)が前年比+3.5%上昇していたことを受けての追加利上げ時期への言及に注目しておきたい。
植田日銀総裁は「基調的な物価上昇率が2%に高まれば、利上げで緩和を調整する」と述べていたことで、14時に発表される4月の基調的なインフレ率を捕捉するための指標にも注目しておきたい。3月分は、「刈り込み平均値」は前年比+2.2%だったが、「加重中央値」と「最頻値」は同比+1.4%となり、2%を大幅に下回ったままだった。
また、本日も引き続きトランプ米大統領のSNSへの投稿には警戒しておきたい。
米中通商交渉に関しては、90日間の関税率引き下げで合意しているものの休戦状態に過ぎず、第1次トランプ米政権の時は、米国サイドが合意を破棄して関税報復合戦が始まった。
米欧通商交渉は、23日に6月1日から50%関税発動、25日には7月9日まで延期など関税政策のアドバルーンの上げ下げが繰り返されており、交渉が難航した場合は、期限前に関税が発動される可能性もあるため、不確実性を払拭できない状態が続くことになる。
日米通商交渉も、先週の第3回交渉に続き、今週末には第4回交渉の可能性が示されているが、石破首相は6月のG7サミットでの日米首脳会談が交渉の節目になるとの認識を示している、と報じられている。
23日の日米首脳電話協議では、トランプ米大統領が力を込めたのは、米国製戦闘機の売り込みだった、と報じられている。
ウクライナや中東での米国の地政学的な影響力が後退しつつある中、関税政策でも袋小路に入りつつあるのかもしれない。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 37610 +20 (+0.05%)
TOPIX先物 2754.5 -1.5 (-0.05%)
シカゴ日経平均先物 36855(23日)
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
26日の米国市場は、メモリアルデーの祝日で休場。グローベックスのS&P500指数先物とナスダック100先物はいずれも1%余り上昇している。欧州市場はドイツDAXが1.68%、フランスCAC40は1.21%、ストックス欧州600指数は0.98%の上昇となり、すべての業種が上昇した。英国はバンクホリデーのため休場だった。
日経225先物(6月限)のナイトセッションは日中比10円安の3万7580円で始まった。その後はロング優勢の状況から中盤にかけて3万7660円まで買われる場面もみられた。市場参加者が限られるなかで3万7520円と下落に転じる場面もあったが、終盤にかけては3万7520円~3万7650円辺りで保ち合い、3万7610円でナイトセッションの取引を終えた。
トランプ米大統領が欧州からの輸入品に50%の関税を課す計画を後退させ、欧州連合(EU)との交渉期限を7月9日に延長したことを受けて急激な経済減速への懸念が和らぎ、欧州市場も買いが優勢となった。ただし、トランプ大統領は関税を課しては緩和するといった戦術を繰り返しており、通商政策は不安定な状態が続くとの見方からポジションを傾けにくいだろう。
日経225先物は前日の上昇で抵抗線として意識されていた200日移動平均線(3万7510円)を突破し、ナイトセッションでも小動きながら同線を上回っての推移となった。まずは200日線での底堅さを見極めつつ、押し目狙いのロング対応に向かわせよう。休場明けの米国市場の動向待ちとなるなかで、同線を割り込んでくると、持ち高調整によるロング解消が強まる展開には注意しておきたい。
一方で、200日線水準が支持線として機能すると、ボリンジャーバンドの+1σ(3万7860円)および節目の3万8000円が射程に入ってくるとみられ、ショートカバーを誘う流れが強まる可能性はあるだろう。そのため、オプション権利行使価格の3万7500円から3万8000円のレンジを想定する。
海外勢のフローが限られ、本日も商いは膨らみにくく、スキャルピング中心の売買を余儀なくされそうだ。ただし、今後は3月期決算企業の期末配当金の支払いが本格化することが需給面での下支えになると考えられ、ショートを仕掛けづらくさせるだろう。
エヌビディア<NVDA>の決算を控えていることで、アドバンテスト<6857.T>[東証P]や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株には、決算を前に買い戻しの動きが強まることも考えられる。日経平均型優位の展開が見込まれることで、ショートカバーを誘う流れが意識されやすいとみておきたい。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.63倍に上昇した。一時13.55倍まで下げる場面もあったが、+1σ(13.54倍)が支持線として機能した。その後の切り返しで25日線(13.63倍)を捉えており、同水準を明確に上抜いてくると、75日線(13.74倍)を目先的なターゲットとしたNTロングでのスプレッド狙いに向かわせよう。
東京市場は小動きか。米国株はメモリアルデーにより休場。欧州株はイギリスは休場で、ドイツDAXやフランスCAC40は上昇した。トランプ大統領がEUへの関税発動延期を表明したことを好感した買いが入った。ドル円は足元142円60銭近辺で推移している。夜間の日経平均先物は日中比20円高の37610円で取引を終えた。
新たな材料には乏しく、動意薄の展開を予想する。ただ、欧州株が堅調であった上に、本日の米国株もEUへの関税発動延期を受けて上昇が見込まれるだけに、売りは手控えられる公算が大きい。日経平均はきのう300円を超える上昇となっている分、値幅は限られるとみるが、プラス圏で落ち着いた動きが続くだろう。日経平均の予想レンジは37450円-37700円。
イギリス政府は建設、医療、工学、デジタル技術などの分野で12万人分の新たな職業訓練枠を創出するため、30億ポンド(約6000億円)を投資すると発表した。これは人手不足解消と移民依存の低減を目指すもので、反移民を掲げるリフォームUK党の台頭や世論の圧力を受けた対応。スターマー首相は「オープンボーダーの時代は終わった」と強調し、ビザや市民権の要件も厳格化する方針だ。さらに、移民スキルチャージの32%引き上げで最大4万5000人分の追加訓練枠も確保する。経済界からは移民規制強化による経済への悪影響を懸念する声もあるが、政府は地元人材の育成で需要に応えるとしている。
ドル円は、昨日もお伝えしたように、まさに「彷徨えるオランダ人」、いや、もとい、「さまよえる日本人」といったところ。昨日も東京時間にトランプ米大統領のEUへの関税50%の延期を受けて143.08円まで急伸したものの、その後は全般ドル売りの流れとなるなかで142.23円まで下落。海外市場では、英米市場が休場とあって、純粋にショートカバーから143.03円まで買戻されて行って来いに終わりました。
そして、本日の東京市場では、植田日銀総裁が「特に目新しい発言ではなかったが、利上げに言及したこと自体に反応」して142.12円まで下落。ただ、その後は長期国債の利回りが急低下していることもあって、142.46円まで買戻されるなど、ふらふらとレンジの中で浮き沈みしているような動きが続いています。
いずれにしても、本日は、財務省が市場参加者に対して「国債需給に対するアンケート」を実施したようで、この異例のアンケートが「長期国債減額」への思惑を呼んでいる模様。市場の焦点が日米の長期金利に向いているなか、植田日銀総裁の聞き飽きた利上げに対する発言よりも重要視しなければならない動きに注意していきたいところ。ドル円がまさに、この彷徨える幽霊船から抜け出すきっかけをつかむことが出来るのかを見極めていくことになります。
日経225先物は11時30分時点、前日比140円安の3万7450円(-0.37%)前後で推移。寄り付きは3万7540円と、ナイトセッションの終値を下回り、売り先行で始まった。直後につけた3万7560円を高値に持ち高調整とみられるロング解消の売りが入り、3万7410円まで下げ幅を広げる場面もみられた。売り一巡後は中盤にかけて3万7560円まで下げ幅を縮めたもののプラス圏を回復できず、終盤にかけては3万7450円を挟んだ保ち合いを継続している。
グローベックスのS&P500指数先物とナスダック100先物はいずれもプラス圏での推移であるが、前日から上げ幅を縮めていることもあり、ロングを入れにくいところであろう。一方で200日移動平均線(3万7510円)を挟んでの推移をみせているため、ショートも仕掛けづらくさせている。為替市場では円相場が1ドル=142円台前半と、やや円高に振れて推移していることも神経質にさせよう。もっとも、休場明けの米国株高が見込まれるなかでは下へのバイアスは強まらないと考えられ、200日線を下回った水準では、押し目狙いのロング対応になりそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.59倍に低下して推移。一時13.65倍まで上げる場面もあったが、25日線(13.63倍)が抵抗線として意識されている。東京エレクトロン<8035.T>[東証P]やファーストリテイリング<9983.T>[東証P]の弱い値動きが日経平均型の重荷になっているため、株価動向にらみの展開である。
「債券市場を恐れるべきだ。状況は急速に変化している。今後3年間、われわれは手に負えないそうした危機的状況にある」(著名投資家レイ・ダリオ氏)
1. 債券自警団(bond vigilantes)
1984年、ヤルデニ・リサーチの社長兼投資戦略責任者エド・ヤルデニ氏は、レーガン第40代米大統領のインフレを招くような金融財政政策に対して財政健全化を要求しながら、債券売りで抗議する投資家を「債券自警団(bond vigilantes)」と命名した。
2024年10月、11月5日の米国大統領選挙を控えて、エド・ヤルデニ氏は、「債務に対処するために、また政府の純利払い費用に対処するために財政赤字削減策を講じるという議論は、いずれの候補者からも一切聞かれていない」と述べ、迫り来る米国の選挙は市場の債券自警団の復活を予兆している可能性があると警告していた。そして、「債券利回りが5%に上昇することに私が過度な期待感を抱くことはないだろうが、数週間前よりも現実味を帯びてきているのは確かだ」と述べた。
2.米国債「トリプルA」剥奪でトリプル安
2025年5月16日、S&Pグローバルが米国債の格付けを「AAA(トリプルA)」から引き下げて「米国債ショック」で市場を震撼させて14年、格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが米国に残されていた最後の「AAA(トリプルA)」格付けを剥奪した。
S&Pグローバルの「Capital IQ」モデルでは、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場の価格に基づき、米国債格付けを現行水準より6段階低い「BBB+(トリプルBプラス)」に相当する、すなわち、かろうじて投資適格級にとどまる水準だと示唆している。
3. 2025年8月暑い夏
米議会下院は、トランプ大統領が推進する大型の税制・歳出法案(「ビッグ・ビューティフル・ビル(Big, Beautiful Bill)」)の修正案を賛成215票に対し、反対214票の僅差(※共和党員2人反対票、1人棄権)で可決した。法案は上院に送付され、8月までに採決が行われる。
年末の増税を回避する数兆ドル規模のパッケージが成立に向けて前進したが、来年度のアメリカの債務は5兆2000億ドル、財政赤字は6000億ドル増加すると推計されている。
また、議会予算局(CBO)は、減税案が実施されれば、2026年から2034年までに財政赤字が3兆8000億ドル増加するとの試算を発表した。
修正案には米国の債務上限を4兆ドル引き上げる条項も盛り込まれており、引き上げられなければ、財務省は8月か9月にもデフォルト(債務不履行)を強いられる恐れもあると警告している。
米連邦債務は今年1月に36兆1000億ドルの法定上限の適用が再開された。財務省は特別措置を用いて連邦政府の債務不履行を回避しているが、ベッセント米財務長官は、連邦債務が法定上限を上回らないようにするための特別措置について、8月に使い果たす可能性があると議員らに伝えている。
一部通信社が関係者の話として伝えたところによると、財務省は2025年度の国債発行計画見直しを検討しているという。
本日のロンドン為替市場のユーロドルは、欧米通商交渉関連のヘッドラインに警戒しながら、ユーロ圏の経済指標を見極めていく展開となる。
先週末から週初にかけての欧米通商交渉に関する出来事は以下の通りとなる。
23日、トランプ米大統領は、EUとの通商協議に進展の見込みが全くなく対処が難しい、と書き込み、6月1日から50%の関税を課す意向を示した。
同日、セフショビチ欧州委員(通商担当)がグリア米通商代表部(USTR)代表と電話会談をして、新たな貿易提案を提示したものの、合意には至らなかった。
25日、トランプ米大統領は、フォンデアライエン欧州委員長との電話会談後、EUに対する50%の関税発動期限を7月9日まで延長すると表明した。
26日、シェフチョビッチ欧州委員(貿易・経済安全保障担当)は、ラトニック米商務長官とグリア米通商代表部(USTR)代表と電話会談を行い、「有意義な話し合いができた」と述べた。
フォルケンダー米財務副長官は、米国は関税に関してEU全体と交渉する一方で、非関税障壁の多くは欧州各国と個別に対応するという「同時進行の課題」に直面しており、「交渉の問題」が生じていると述べている。
本日発表される経済指標(6月独消費者信頼感指数、5月仏CPI、5月ユーロ圏消費者信頼感指数、5月ユーロ圏経済信頼感指数)は重要なものはないものの、ユーロ圏の景況感を見極めていきたい。
また、本日は、夏までに2%までの追加利下げを主張しているハト派のビルロワドガロー仏中銀総裁の講演が予定されている。
昨日は、ハト派のムカス・リトアニア中銀総裁が、米国との貿易摩擦やユーロ高によりインフレ率が目標の2%を下回るリスクがあるとして、6月理事会での追加利下げの可能性に言及していた。
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1547ドル(4/22高値)
・ユーロ円:163.41円(5/22高値)
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.1306ドル(日足一目均衡表・基準線)
・ユーロ円:161.73円(日足一目均衡表・雲の上限)
ドル円:1ドル=143.26円(前営業日NY終値比△0.43円)
ユーロ円:1ユーロ=163.01円(△0.40円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1378ドル(▲0.0008ドル)
日経平均株価:37724.11円(前営業日比△192.58円)
東証株価指数(TOPIX):2769.49(△17.58)
債券先物6月物:139.45円(△0.35円)
新発10年物国債利回り:1.465%(▲0.040%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月企業向けサービス価格指数
前年同月比 3.1% 3.3%・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は一転上昇。早朝のオセアニア市場から売りが先行。植田日銀総裁が「経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と発言すると売りが加速し、昨日安値の142.23円を下抜けて142.12円まで下げ足を速めた。
ただ、4月29日安値の141.97円が目先のサポートとして意識されると下げ渋り。「財務省が国債発行額のアンケートを行い、投資家含め幅広く意見聴取」「2025年度の国債発行計画見直しを検討へ」などの報道が伝わり、20年債や40年債利回りが大きく低下すると一気に買い戻しが強まり、一時143.44円まで買い上げられた。
・ユーロ円も一転上昇。総じてドル円と同様の展開となり、日銀総裁の発言で162.09円まで下げる場面があったが、ドル円が買い戻されると163.09円まで反発した。
・ユーロドルは頭が重い。ドル円の下落に伴ってユーロ買い・ドル売りが散見され、一時1.1407ドルまで値を上げた。もっとも、ドル円が反発すると1.1367ドルまで反落した。
・日経平均株価は3日続伸。前日終値を挟んだもみ合いが続いていたが、東京午後に外国為替市場で円安が進むと上昇。引けにかけて230円超高まで上げ幅を広げた。
・債券先物相場は3日続伸。昨日に実施された流動性供給入札が強い内容となったことを受けて、明日の40年債入札への過度な警戒感がいったん後退するなか、買いが先行。日議員総裁のタカ派発言で失速する場面も見られたが、午後に超長期債が一段と買われたため再び上昇した。
大和総研では、2025年1-3月期GDP1次速報の公表を受けて、経済見通しを改訂している。メーンシナリオにおける実質GDP成長率は2025年度+0.7%、2026年度+0.9%(暦年ベースでは2025年+0.9%、2026年+0.9%)と見込んでいる。不確実性は大きいものの、春闘での高水準の賃上げ継続や物価上昇率の低下などにより、実質賃金は前年比プラス圏で推移すると予想。CPI上昇率の基調は同+2%程度で安定すると見込んでいる。ただし、トランプ関税の動向や、それが国内外の経済活動に及ぼす影響などには引き続き警戒が必要と指摘している。
東海東京インテリジェンス・ラボでは、年初からの欧州株市場の好調が継続していることに注目している。ドイツDAX指数は先週も連日で最高値を更新。従来の財政緊縮路線からの「パラダイムシフト」が持続的な資金流入につながっていると東海東京では分析している。また、経済成長率が先進国の中で突出した伸びとなっているスペインでは、IBEX35指数が年初来でDAXを上回るパフォーマンスとなっているとのこと。ECBによる利下げ継続見通しなど欧州固有の好材料が存在する中、欧州株は他の主要株式市場比で今後も相対的に底堅く推移すると東海東京では考えている。
SMBC日興証券では、世界のインフレ率についてリポートしている。世界のヘッドラインCPI(消費者物価指数)の前年比は、2024年7月に+4.8%と+5%を割り込み、2025年2月以降は+4%割れと低下の動きが加速。ただ、コロナ禍前の+3%台前半にはなお届いていない。世界のコアCPIの前年比は2025年1月まで5カ月連続で+4.0%の後、2月に+3.7%まで低下するも、3月+3.8%、4月+3.9%と上昇した。ともに低下基調にはあるものの、足元で低下の動きが停滞しているとSMBC日興では指摘している。
大阪6月限
日経225先物 37820 +230 (+0.61%)
TOPIX先物 2777.5 +21.5 (+0.78%)
日経225先物(6月限)は前日比230円高の3万7820円で取引を終了。寄り付きは3万7540円と、ナイトセッションの終値を下回り、売り先行で始まった。直後につけた3万7560円を高値に持ち高調整とみられるロング解消の売りが入り、3万7410円まで下げ幅を広げる場面もみられた。
売り一巡後は前場中盤にかけて3万7560円まで下げ幅を縮めたもののプラス圏を回復できず、前場終盤は3万7430円~3万7500円辺りでの保ち合いが続いた。ただし、後場中盤辺りからロングが強まり、一気にプラス圏を回復。終盤にかけて上へのバイアスが強まり、3万7820円と連日で高値引けになった。
後場半ばからの強い上昇については、長期金利の低下に伴い、為替市場で円相場が1ドル=143円台半ばと、朝方から1円超円安に振れたことが背景にある。財務省が国債市場参加者を対象に、国債発行額についてアンケート聴取を行っていることが分かった。これを受けて発行減額観測が浮上、40年、30年の超長期金利が大幅に低下したことがトリガーになったようである。
昨日同様、後場に入ってからの強い値動きによって短期のショートカバーも入ったと考えられる。日経225先物は200日移動平均線(3万7510円)水準での底堅さがみられるなか、同線を明確に上抜けてきた。これによりボリンジャーバンドの+1σ(3万7870円)が射程に入ってきたことで、節目の3万8000円のほか+2σ(3万9060円)が意識されてきた。
市場参加者が限られるなかでのインデックスに絡んだ商いのため、小さなエネルギーでもトレンドが出やすい面はあった。祝日明けの米国市場の上昇を先取りした動きでもあるため、+1σ水準から再び200日線での攻防になる可能性はあるだろう。ただし、結果的には、連日で後場半ばから断続的なインデックス買いの動きが観測されていた。3月期決算企業の期末配当金の支払いが本格化することで配当再投資への思惑も高まりやすく、ショートカバーの動きが強まりそうである。
グローベックスのS&P500指数先物とナスダック100先物はいずれもプラス圏で推移しており、米国市場の上昇は織り込まれている。翌日にはエヌビディア<NVDA>の決算発表が控えているため、指数インパクトの大きい値がさハイテク株などへの買い戻しの動きが期待され、これが日経平均型を押し上げることになりそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.61倍に低下した。一時13.65倍まで上げる場面もあったが、25日線(13.64倍)が抵抗線として意識されていた。しかし、その後13.59倍まで低下したものの、後場半ばからのソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]の強い上昇が日経平均型を牽引する形になったことで下げ幅を縮めた。エヌビディアの決算を控えた買い戻しが意識されて、再度25日線を試す可能性はあるだろう。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万0438枚、ソシエテジェネラル証券が7542枚、サスケハナ・ホンコンが2702枚、JPモルガン証券が2017枚、バークレイズ証券が1210枚、日産証券が1042枚、野村証券が878枚、ゴールドマン証券が685枚、モルガンMUFG証券が580枚、松井証券が579枚だった。
TOPIX先物はソシエテジェネラル証券が1万2971枚、ABNクリアリン証券が1万2600枚、バークレイズ証券が3776枚、JPモルガン証券が3074枚、ゴールドマン証券が2956枚、野村証券が2331枚、モルガンMUFG証券が2279枚、ビーオブエー証券が1381枚、みずほ証券が828枚、大和証券が436枚だった。
本日のニューヨーク為替市場では、通常であれば朝方に投稿されることが多いトランプ米大統領のSNSアカウントに気を付け、複数の経済指標を確かめながらの取引か。東京時間に注目された本邦の超長期債に絡んだニュースに対し、米国投資家がどのような反応を見せるかも注視したい。
トランプ米大統領の投稿については、貿易に関する内容には依然として要警戒。また、同大統領がロシアのウクライナ攻撃を強く非難したことに対し、相手にしなかったロシア大統領府に対する反応も興味深い。トランプ氏の性格上、更に強い口調でロシアを責める可能性はある。
米国の経済指標では、耐久財受注額は上下に振れやすいデータであり、今回の4月分も景況判断が難しそうだ。住宅価格指数は3月分のため、よほど予想から離れない限り相場インパクトは弱いか。材料視されるのは、前回から改善見込みの5月消費者信頼感指数(予想 87.2)。同指数は5カ月連続で低下しており、4月86.0は2020年以来の低い水準だった。底打ち感がでるような結果であれば、リスクオン地合いを後押しすることになるだろう。
本日の東京昼過ぎ、財務省が長期債の需給を気にしていることを示す報道が伝わった。超長期債への売り圧力が強まり、明日には40年債入札を控えていることもあり、当局も警戒感を強めたようだ。報道を受けて超長期金利が低下に転じ、活発化した円売りは欧州前半まで続いている。
先週末に米国の商品先物取引委員会(CFTC)が発表した20日時点の投機筋動向では、円のネットロングは前週から縮小したものの、16万7000万枚台と依然として高水準だった。執筆時点で米長期金利は先週末から低下しているが、大型減税で財政不安が燻るなか米金利が上昇に転じるようだと、投機筋の円ロングの投げが加速するかもしれない。
想定レンジ上限
・ドル円、日足一目均衡表・雲の下限144.72円
想定レンジ下限
・ドル円、15時過ぎの下押し水準142.98円
今週のNY市場は貿易問題、米長期金利、エヌビディアの決算に注目。先週はダウ平均が2.47%安、S&P500が2.61%安、ナスダック総合が2.47%安と3指数がそろって大幅反落。年初来ではダウ平均が2.21%安、S&P500が1.34%安、ナスダック総合が2.97%安となり、ダウ平均とS&P500は再びマイナス圏に沈んだ。米下院で大型減税や軍事費拡大を含む法案が可決し、財政赤字拡大懸念を背景に米長期債利回りが上昇したことが重しとなったほか、金曜日にトランプ米大統領がアップルとEUに対して高率の関税を課す考えを示したことで貿易摩擦懸念が再び強まった。トランプ米大統領は自身のSNSに国外で生産され米国で販売されるiPhoneについては、アップルが25%の関税を払うべきだとし、EUについては6月1日から50%の関税を発動したいと発言した。
今週は月曜日がメモリアルデーの祝日のため、4日間の取引となるが、トランプ関税問題や長期金利の動向、エヌビディアの決算発表が焦点となりそうだ。トランプ米大統領は先週金曜日にEUとアップルに対して高率の関税を課す方針を示した。その後、EUへの関税発動が7月9日まで延期することが発表されたたものの、引き続き関税を巡るトランプ米大統領の発言をにらんだ神経質な展開が予想される。
先週、一時2023年10月以来の水準まで上昇した米30年債利回りの動向にも引き続き要警戒となる。大型減税法案による財政赤字拡大懸念のほか、今週は金曜日に4月個人消費支出(PCE)価格指数の発表もあり、長期債利回りの動向に要注目となる。
決算発表では28日水曜日引け後に発表されるエヌビディアの決算発表に注目が集まる。AIラリーの持続性を巡り、米政権の対中半導体輸出規制の影響や今後の先端AI半導体の出荷見通しが焦点となりそうだ。このほか、個人消費動向を巡り、ペストバイ、コストコ・ホールセールなどの決算やガイダンスにも要注目となる。
今晩の米経済指標・イベントは4月耐久財受注、3月月次住宅価格、3月S&Pケースシラー住宅価格指数、5月消費者信頼感指数、5月ダラス連銀製造業景況指数など。企業決算は寄り前にオートゾーンが発表予定。
日経平均株価は3日続伸。一時はマイナスに転じる場面もあったが、底堅く推移した後に後場は上値を伸ばす展開となった。連日で陽線を形成し、200日移動平均線(37802円 5/27)に迫る動きとなった。
RSI(9日)は前日の31.9%→39.6%(5/27)に上昇。あすも上昇しやすいタイミングとなり、4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇継続の判断となる。75日移動平均線(36824円 同)上で日柄調整が続く可能性も高いが、あすは200日移動平均線超えまで上昇できるかが注目ポイントとなる。上昇基調にある25日移動平均線(36656円 同)とのかい離縮小が一巡し、切り返しが継続するかが焦点となる。
すでに、終値ベースでは3/26につけた急落前の戻り高値(38027円)を更新し、パターン分析では4月前半の安値を先端に「スパイクボトム(V字)」を確認している。終値ベースで5/13高値(38183円)更新後の意外高のシナリオは引き続き想定しておきたい。
上値メドは、200日移動平均線、心理的節目の38000円、5/13高値(38494円)、心理的節目の39000円、2/13高値(39581円)などがある。下値メドは、心理的節目の37000円、75日移動平均線、25日移動平均線、心理的節目の36000円や35500円などがある。
米財務省によると、2年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが3.955%、応札倍率(カバー)が2.57倍となった。
(27日終値:28日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=144.31円(27日15時時点比△1.05円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.55円(△0.54円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1333ドル(▲0.0045ドル)
FTSE100種総合株価指数:8778.05(前営業日比△60.08)
ドイツ株式指数(DAX):24226.49(△198.84)
10年物英国債利回り:4.666%(▲0.015%)
10年物独国債利回り:2.532%(▲0.028%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月独消費者信頼感指数(Gfk調査)
▲19.9 ▲20.8・改
5月仏消費者物価指数(CPI)速報値
(前月比) ▲0.1% 0.6%
(前年比) 0.7% 0.8%
5月ユーロ圏消費者信頼感指数
(確定値) ▲15.2 ▲15.2
5月ユーロ圏経済信頼感指数
94.8 93.8・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は堅調。財務省が国債の発行計画を見直すとの観測から、アジア時間には本邦長期金利に低下圧力がかかった。欧州時間に入っても円売り・ドル買いの流れが継続。ドル売りポジションを巻き戻す動きが続いたほか、欧米株式相場が堅調に推移したことも相場を下支えした。5月米消費者信頼感指数が98.0と市場予想の87.2を大きく上回ったことを受けたドル買いも入り、一時144.45円まで値を上げた。
・ユーロドルはさえない。全般にドルの売り持ち高解消の動きが進むなか、次第に上値を切り下げた。5月仏消費者物価指数(CPI)速報値が予想を下回る結果となったほか、強い米経済指標もユーロ売り・ドル買いを促し、1時前には1.1324ドルまで下押しした。
なお、レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼主任エコノミストは「為替レートの変動の影響を検討する必要」「ECBでは誰も劇的な利下げについて検討していない」などの見解を示した。
・ユーロ円は強含み。ドル円の上昇につれた円売り・ユーロ買いが優勢となった。ユーロドルがさえない動きとなった影響も受けたものの、株高を支えに総じて底堅い地合いとなり、一時163.94円まで上値を伸ばした。
・ロンドン株式相場は3営業日ぶりに反発。連休中にトランプ米大統領が欧州連合(EU)への50%関税の発動を7月9日まで延期したことが伝わり、投資家心理の改善につながった。セグロなど不動産株が買われたほか、セイジ・グループなど情報技術セクターも値上がりした。
・フランクフルト株式相場は続伸。欧米間の貿易摩擦を巡る懸念が後退するなか、この日も終日底堅い動きとなった。個別ではザランド(5.03%高)やキアゲン(2.70%高)、シーメンス・エナジー(2.59%高)などの上げが目立った。
・欧州債券相場は上昇。米債券高につれた。
27日の日経平均は3日続伸。終値は192円高の37724円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1115/値下がり437。サンリオが5.8%高と大幅上昇。川崎重工や三菱重工など防衛関連が買いを集めたほか、古河電工やフジクラなど電線株の動きが良かった。ジーエヌアイやメタプラネットが大商いとなって値を飛ばしており、メタプラネットはストップ高。1:3の株式分割を発表したダイトーケミックスが急伸した。
一方、ディスコ、東京エレクトロン、レーザーテックなど、前日に強く買われた半導体株が軟調。大成建設や清水建設などゼネコン株が軒並み安となった。4月の月次で既存店売上高が前年割れしたパルGHDが下落。有価証券報告書の提出期限延長申請を検討していると発表したコレックHDが急落した。
日経平均は3日続伸。後場に入って動きが動きが良くなったが、下げていた前場でも値上がり銘柄は多かった。超長期金利が低下して相場の雰囲気がガラッと変わるというのは珍しいケースではあるが、今はプラスの材料に反応しやすくなっているということなのだろう。実際、ドル円は大きく円安に振れているだけに、ここで円高に一服感が出てくるようなら、日本株の下値不安は大きく後退する。
きのうときょうは休場明けの米国株が上昇するであろうことを見越して買われているだけに、あすは利益確定売りが出やすくなるとみておいた方が良い。ただ、米国株の場中の動きが非常に良く、併せてリスクオンの円安(ドル高)が進行するようなら、売り方の手じまいを巻き込んで上を試す展開も期待できる。27日16時45分時点のドル円は143円70銭近辺で推移している。144円台を目指す動きが見られるかに注目したい。
(27日終値)
ドル・円相場:1ドル=144.33円(前営業日比△1.50円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.54円(△0.93円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1328ドル(▲0.0058ドル)
ダウ工業株30種平均:42343.65ドル(△740.58ドル)
ナスダック総合株価指数:19199.16(△461.95)
10年物米国債利回り:4.44%(▲0.07%)
WTI原油先物7月限:1バレル=60.89ドル(▲0.64ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3300.4ドル(▲65.4ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月米耐久財受注額
(前月比) ▲6.3% 7.6%・改
輸送用機器を除く
(前月比) 0.2% ▲0.2%・改
1-3月期米住宅価格指数
(前期比) 0.7% 1.4%
3月米住宅価格指数
(前月比) ▲0.1% 0.0%・改
3月米ケース・シラー住宅価格指数
(前年比) 4.1% 4.5%
5月米消費者信頼感指数
98.0 85.7・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は続伸。海外勢の参入後も本邦長期金利の低下を手掛かりにした円売り・ドル買いの流れが継続。これまでのドル売りポジションを巻き戻す動きが続いたほか、欧米株式相場が堅調に推移したことも相場を下支えした。5月米消費者信頼感指数が98.0と市場予想の87.2を大きく上回ったことを受けたドル買いも入り、一時144.45円まで値を上げた。ただ、市場では「日足・一目均衡表の転換線(144.44円)や雲下限(144.72円)などが目先のレジスタンスとして意識されている」との指摘もあり、144円台半ばでは買いも一服。その後は144円台前半でのもみ合いに転じた。
・ユーロドルは3営業日ぶりに反落。全般にドルの売り持ち高解消の動きが進むなか、次第に上値を切り下げた。5月仏消費者物価指数(CPI)速報値が予想を下回る結果となったほか、強い米経済指標もユーロ売り・ドル買いを促し、1時前には1.1324ドルまで下押し。引けにかけても1.13ドル台前半で戻りの鈍い動きが続いた。
・ユーロ円は続伸。ドル円の上昇につれた円売り・ユーロ買いが優勢となった。ユーロドルがさえない動きとなった影響も受けたものの、株高を支えに総じて底堅い地合いとなり、一時163.94円まで上昇。その後はドル円やユーロドルの動意が乏しくなったため、163円台半ばで値動きが細った。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに大幅反発。トランプ米大統領は連休中に欧州連合(EU)に対する関税の発動を7月9日まで延期すると表明。欧米貿易摩擦への過度な警戒感が後退したほか、この日発表された消費者信頼感指数などの改善も相場を後押しした。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も大幅に反発した。
・米国債券相場で長期ゾーンは3日続伸。日本の財務省が国債の発行計画を見直すとの観測を背景に需給が引き締まるとの見方が広がると、連休明けの米国債にも買いが波及した。
・原油先物相場は反落。28日に予定されている「OPECプラス」の閣僚級会合を前に、原油供給が一段と拡大するとの観測から売り優勢の展開となった。
・金先物相場は反落。EUとの貿易摩擦懸念が和らぐ中、安全資産としての金の需要が後退して売りが優勢となった。全般的にドル買いの流れとなった事も、ドル建てで取引される金の重しとなった。
27日09:06 植田日銀総裁
「見通し実現していけば、2%目標持続達成へ引き続き利上げ」
「通商政策等の不確実性がきわめて高い状況にあることを踏まえ、予断を持たずに判断」
「足もとの物価上昇、ユーロ圏や米国より高くなっている」
27日09:43 赤沢経済再生相
「日米協議、国益害することないよう、ゆっくり急ぐ」
「4回目の日米閣僚級協議は調整中」
27日10:12 加藤財務相
「ベッセント米財務長官と為替水準について全く議論していない」
「日米財務相会談、為替政策の基本的な考えを確認」
「足もとの為替動向のコメントは控える」
27日16:20 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「ユーロ圏の政策正常化はおそらく完了しておらず、来週の理事会でも分かるだろう」
「フランスのインフレは前向き(ポジティブ)な指標」
26日17:09 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁
「関税めぐり明確になるまで金利維持を支持」
「貿易協議がまとまるまで数カ月または数年要する公算」
「FRBの現在の政策、恐らくやや景気抑制的にすぎない」
27日22:41 バーキン米リッチモンド連銀総裁
「インフレと雇用の動向を見守る」
「公表されたデータによると、経済が過去1~2年と同じ軌道に乗っている」
「政府の支出削減は、特にワシントンD.C.地域の雇用や求人に影響を及ぼしている」
「消費者はインフレを予想しており、それが消費者心理に悪影響を与えている。しかし、それが支出の減少につながっているという証拠はまだない」
28日01:14 レーンECB専務理事兼主任エコノミスト
「関税の影響は中期的なインフレに影響を与える可能性がある」
「為替レートの変動の影響を検討する必要」
「ECBでは誰も劇的な利下げについて検討していない」
「インフレ率はコロナ以前の低い水準には戻らない」
「サービスインフレは依然として高すぎる」
「インフレ率は今後数カ月で2%近辺に留まる」
28日01:36 シュレーゲル・スイス国立銀行(中央銀行、SNB)総裁
「我々の焦点は現在のインフレ率ではなく、中期的な物価安定にある」
「今後数カ月でスイスのインフレ率がマイナスになる可能性も否定できない」
「物価安定こそが、中央銀行が果たし得る最も重要な貢献」
「米国の関税に関連する貿易の不確実性は非常に大きい」
「SNBの政策金利は主要な手段だが、為替市場介入のような追加的措置も検討」
※時間は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○09:00 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、討論会に参加
○10:30 ◎ 4月豪消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比2.3%)
○11:00 ☆ ニュージーランド準備銀行(RBNZ)、政策金利発表(予想:3.25%に引き下げ)
○12:00 ◎ ホークスビーRBNZ総裁、記者会見
○15:00 ◇ 4月独輸入物価指数(予想:前月比▲1.4%/前年比0.1%)
○15:45 ◎ 1-3月期仏国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.1%)
○15:45 ◇ 4月仏卸売物価指数(PPI)
○15:45 ◇ 4月仏消費支出(予想:前月比0.8%)
○16:55 ◎ 5月独雇用統計(予想:失業率6.3%/失業者数変化1.00万人)
○17:00 ◎ カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○19:30 ◎ 4月インド鉱工業生産(予想:前年同月比1.0%)
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○23:00 ◎ 5月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:▲9)
○24:00 ◎ ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演
○29日02:00 ◎ 米財務省、5年債入札
○29日03:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(5月6日-7日分)
○石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国による「OPECプラス」閣僚級会合
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 38300 +480 (+1.26%)
TOPIX先物 2817.5 +40.0 (+1.44%)
シカゴ日経平均先物 38350 +530
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
27日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が大幅に上昇。トランプ米大統領が欧州からの輸入品に50%の関税を課す計画を後退させ、欧州連合(EU)との交渉期限を7月9日に延長したことを受けて、欧米貿易摩擦への過度な警戒感が後退したことが好感された。朝方発表の5月の米消費者信頼感指数は98.0と、市場予想を大きく上回り、4年ぶりの大幅上昇となったことも買いを後押しした。
S&P500業種別指数は、すべてのセクターが上昇しており、自動車・同部品、耐久消費財・アパレル、半導体・同製造装置、メディア、テクノロジー・ハード・機器の上げが目立った。NYダウ構成銘柄では、ナイキ<NKE>、エヌビディア<NVDA>、アメリカン・エキスプレス<AXP>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、アムジェン<AMGN>、アップル<AAPL>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>が買われた。半面、ボーイング<BA>、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>が小幅に下落。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比530円高の3万8350円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは日中比70円高の3万7890円で始まった。直後につけた3万7860円を安値にロング優勢の流れが強まり、米国市場の取引開始時には節目の3万8000円を回復。米国株の上昇を追い風に終盤にかけて上げ幅を広げ、3万8380円まで買われる場面もみられた。引け間際に利食いが入ったものの、3万8300円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、買い先行で始まることになろう。米国市場の上昇の要因は織り込まれているものの、節目の3万8000円を明確に上抜けてきたことで、ショートカバーを誘う流れに向かわせそうだ。前日の上昇で200日移動平均線(3万7510円)を支持線に変え、ナイトセッションでボリンジャーバンドの+1σ(3万7990円)を突破している。
買い一巡後は3万8000円での底堅さを見極める動きが見込まれるが、+1σでの底堅さが意識されてくるようであれば、+2σ(3万9160円)とのレンジに移行することになりそうだ。5月13日につけた戻り高値の3万8790円が射程に入ってくることで、ショートカバーのほか、押し目待ち狙いのロングにおいても、エントリータイミングを引き上げてくることになりそうである。トランプ大統領の発言に振らされやすい状況により慎重姿勢は崩せないものの、レンジが切り上がってきたことでヘッジ対応のロングも入りやすくなった。
28日に決算発表を控えたエヌビディアは3.2%高だった。中国向けの新しい人工知能(AI)半導体の発売を計画していると伝わったことが材料視されている。これについても織り込まれているが、調整が続いているアドバンテスト<6857.T>[東証P]や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株には、エヌビディアの決算発表を前に買い戻しの動きが意識され、日経平均型を牽引する形になろう。
週末には赤澤亮正経済再生相が3回目の通商協議で会談できなかったベッセント米財務長官と協議を行う予定のほか、需給面では3月期決算企業の期末配当金の支払いが本格化することが下支えになると考えられ、ショートを仕掛けづらくさせよう。底堅さを見極めつつ、ロング優勢の相場展開になりそうだ。そのため、オプション権利行使価格の3万8000円から3万9000円でのレンジを想定する。
27日の米VIX指数は18.96(26日は20.57)に低下した。再び200日線(19.52)を割り込み、判断の分かれ目となる20.00を下回ったことで、リスク選好に向かわせよう。エヌビディアの決算を受けた、一段の低下が期待されそうだ。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.61倍に低下した。一時13.65倍まで上げる場面もあったが、25日線(13.64倍)が抵抗線として意識されていた。しかし、その後13.59倍まで低下したものの、後場半ばからのソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]の強い上昇が日経平均型を牽引する形で下げ幅を縮めていた。本日はインデックスに絡んで幅広い銘柄が買われることでスプレッドは狙いにくいだろうが、ハイテク株次第ではNTロングに振れる可能性はあるだろう。
27日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、本邦長期金利の低下や欧米株式相場の堅調推移、5月米消費者信頼感指数が予想を大きく上回ったことなどを受けて144.45円まで上昇した。ユーロドルは、予想を下回った5月仏消費者物価指数(CPI)速報値や予想を上回った米経済指標の結果などを受けて1.1324ドルまで下落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、日本国債の供給減少の思惑から楽観的な見方が強まっている40年物国債入札状況を見極めることになる。豪ドルは、4月豪消費者物価指数(CPI)で豪準備銀行(RBA)の追加利下げの可能性を見極め、NZドルは、利下げが予想されているニュージーランド準備銀行(RBNZ)の声明文で追加利下げの可能性を見極めることになる。
10時30分に発表される4月豪CPIは、前年同月比+2.3%と予想されており、3月の同比+2.4%からの伸び率鈍化が見込まれている。予想通りだった場合、ブロック総裁が「インフレの低下が続くようであればさらに金利を引き下げる余地がある」と述べたように、RBAの追加利下げ観測が高まることになる。
11時に発表されるRBNZの政策金利は、6会合連続での3.25%への引き下げが予想されている。しかし、前回の利下げ幅が0.25%へと縮小されており、現在の緩和サイクルが一段落する可能性もあることで、声明文やホークスビーRBNZ総裁の会見などで今後の緩和余地を見極めることになる。
12時35分に行われる40年物国債入札は、財務省が2025年度の国債発行計画見直しを検討との報道や利回り水準の高さなどから順調に消化されるとの期待が高まっている。しかし、財政赤字のファイナンスを巡る懸念を解消できるわけではないため、過去最高水準まで上昇した利回りの下での債券市場の審判を見極めることになる。
5月16日、格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが米国債の「AAA(トリプルA)」格付けを剥奪したことで、財政健全化を求める債券自警団による債券の売り圧力が強まりつつある。S&Pグローバルの「Capital IQ」モデルでは、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場の価格に基づき、米国債格付けを現行水準より6段階低い「BBB+(トリプルBプラス)」に相当する、すなわち、かろうじて投資適格級にとどまる水準だと示唆している。
5月19日、石破首相が「日本の財政状況がギリシャの債務危機時よりも深刻である」と警告したことで、日本の債券市場も売り圧力に晒されつつある。
5月20日、日本の20年国債入札は2012年以来の最低の入札率となり、30年物国債と40年物国債の利回りが過去最高水準まで上昇(債券価格は下落)した。
本日の40年物国債入札は、以下のような逆風下で実施されるために要警戒となる。
日銀による量的金融緩和政策による国債購入が減少する中、債券投資家が日本国債への需要を減らし、財政の持続可能性に疑問を持ち始めている。そして、需要低下により利回りが上昇し、政府の借入コストが増加することで、財政状況がさらに悪化する悪循環が警戒されている。さらに、日本の債券市場の動揺が、格下げを受けた米国債市場に悪影響を及ぼしつつあり、トランプ関税の不確実性とともに、グローバルな金融市場に混乱をもたらす可能性が高まっている。
日本の国債市場の利回り上昇、すなわち、日本国債売りは、米国債売りによる「トリプル安」という当該通貨のドル売りではなく、日本の長期金利上昇による当該通貨の円買い要因と見なされている。
3月末時点の米国債発行残高28兆5,825億ドルに対する海外勢の保有残高は9兆500億ドルと約32%を占めるが、海外投資家の日本国債保有率は約12%程度(※長期債:6%)であるため、日本国債発のトリプル安(円安)の震度は低いのではないだろうか。
東京市場は堅調か。休場明けの米国株は上昇。ダウ平均は740ドル高の42343ドルで取引を終えた。トランプ大統領がEUへの関税発動延期を表明したことを好感した買いが入った。5月の消費者信頼感指数が市場予想を上回り、景気後退に対する警戒が後退したことも株高を後押しし、3指数がそろって高値圏で終了。ナスダックとS&P500は2%台の上昇となった。為替市場では一段と円安が進行しており、ドル円は足元144円20銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて530円高の38350円、ドル建てが555円高の38375円で取引を終えた。
日本株は休場明けの米国株が強いであろうことを織り込んで月曜、火曜と上昇している。それでも、ダウ平均が23日の下げ分(256ドル安)を大きく上回る上げ幅となったことや円安進行を追い風に、一段と水準を切り上げると予想する。CME225先物からは、スタートから38000円を上回る展開が想定される。寄った後は目先の利益を確定させる売りも出てくるとみるが、地合いが大きく改善する中、萎めば改めての買いが入ることで強い基調が続くと予想する。日経平均の予想レンジは38000円-38500円。
昨日の海外市場では、ドル円は踏み上げ相場といったところ。アジア時間早朝から、財務省が市場参加者に長期国債需給に関するアンケートを実施したことを受けて、債券市場では超長期国債の利回りが急低下していたわけですが、為替市場では目先の植田日銀総裁の挨拶にフォーカスしてしまったがゆえの売り仕掛け。前日の安値142.23円を下回ったまではよかったものの、その後は次第に下値を切り上げる展開に。流石に超長期金利の急低下が意識されるなかで買戻しが進むことになりました。
午後になって「財務省が超長期債の減額を検討している」ことが報じられると、一気に買いが加速。市場のポジションが史上最高水準の円ロングを維持している状況にあっては、昨日の踏み上げは、ある意味、当然の帰結だったといったところです。
いずれにしても、市場では「日本の債券市場がグローバルな市場での主戦場となるのは稀」との声も聞かれていますが、本日も12時35分に予定されている40年国債入札に注目が集まっています。本邦機関投資家の含み損が膨らんでいることが取り沙汰されているなか、20年債入札の歴史的失敗が世界中の超長期債市場混乱のきっかけとなってしまった以上、財務省のメンツをかけても、再びその失敗を繰り返すわけにはいかないはず。
ドル円は、当然のように早朝から利食い売りが先行。植田日銀総裁の衆院での答弁が始まるのを合図に143.85円まで利食い売りで下押ししたものの、一目雲下限が位置する143.91円やNY時間安値の143.88円付近を意識した買い意欲も強く、仲値にかけての実需勢の買いにつれて144.75円まで再び高値を更新しています。
「基調的な物価上昇率が2%に高まれば、利上げで緩和を調整する」
(植田日銀総裁:2025年4月18日)
5月27日、2%の物価安定目標の実現を目指す日銀が公表した4月の「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」は、3指標ともそれぞれ3月から上昇率が拡大し、いずれも1年超ぶりの伸びの大きさとなった。各種コストの上昇分を価格転嫁する動きなどから、幅広い品目の価格が上昇している。
4月の上昇品目の比率は80.3%と、3月の80.5%を下回ったものの、依然として高水準を維持している。下落品目は14.2%で、3月と同水準だった。
1. 基調的なインフレ率を捕捉するための指標
物価動向の分析にあたっては、現実に観測される「消費者物価」の動きから、様々な一時的要因の影響を取り除いた、基調的なインフレ率(「コア指標」)が利用されている。
生鮮食品を除いた「コアCPI」や生鮮食品およびエネルギーを除いたコアコアCPIの他に、様々なコア指標を総合的にみていくことによって、基調的な物価変動をより的確に把握できると思われる。
日本銀行調査統計局では、毎月の全国消費者物価指数の公表に合わせて、上昇・下落品目比率、刈込平均値、最頻値、加重中央値を試算し、原則として、全国消費者物価指数の公表日の2営業日後の14時を目途に公表している。
2.4月の「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」(※コア3指標)
■刈り込み平均値:前年比+2.4%
・24年1月以来の上昇率(3月+2.2%、2月+2.2%、1月+2.2%、12月+1.9%、11月+1.7%)
・価格変動が大きい上下10%の品目を異常値として機械的に除き算出する
■加重中央値:前年比+1.7%
・24年1月以来の上昇率(3月+1.4%、2月+1.4%、1月+1.4%、12月+1.0%、11月+0.9%)
・価格上昇率の高い順にウエートを累積して50%付近にある価格変化率
■最頻値:前年比+1.8%(※2020年基準)
・24年3月以来の上昇率(3月+1.4%、2月+1.2%、1月+1.3%、12月+1.1、11月+1.1%)
・品目別価格変動分布で最も頻度の高い価格変化率
3.4月の消費者物価指数(CPI)
■消費者物価指数(CPI):+3.6%(3月+3.6%、2月+3.7%、1月+4.0%、12月+3.6%)
■コアCPI(生鮮食品を除く):+3.5%(3月+3.2%、2月+3.0%、1月+3.2%、12月+3.0%)
■コアコアCPI(生鮮食品・エネルギーを除く):+3.0%(3月+2.9%、2月+2.6%)
4月コアCPIは前年比+3.5%で、伸び率の拡大は2カ月連続で、2023年1月以来の高水準を記録した。3%台は5カ月連続で、日本銀行の目標の2%を上回るのは37カ月連続となった。
エネルギー価格は+9.3%、生鮮を除く食料は+7.0%上昇した。電気代は13.5%上昇、都市ガス代は4.7%上昇でいずれも3月から伸びが拡大した。政府の電気・ガス料金負担軽減支援事業で、総合指数は0.17%押し下げられたが、3月の0.33%を下回った。
生鮮を除く食料は7.0%上昇し、3月の伸び率6.2%を上回り、9カ月連続で伸びが拡大した。コメの価格高騰が続き、コメ類は98.4%上昇して1971年1月以降で最大の伸び率を更新した。一方、「教育」の授業料では公立の高等学校で94.1%下落した。
財務相が実施した40年債入札で応札倍率は2.21%と2024年7月以来の低さとなった。なお、落札利回りは3.135%と市場予想(3.07-11%)をやや上回った。
日経225先物は11時30分時点、前日比100円高の3万7920円(+0.26%)前後で推移。寄り付きは3万8220円と、シカゴ日経平均先物(3万8350円)にサヤ寄せする形から、買い先行で始まった。ただし、直後につけた3万8290円を高値に利益確定に伴うロング解消の流れとなり、中盤に節目の3万8000円を割り込むと、終盤にかけて3万7910円まで上げ幅を縮めている。
日経225先物は節目の3万8000円を回復したことで、いったんは達成感が意識されやすい。連休明けの米国市場の上昇は織り込まれていたこともあり、利益確定に伴うロング解消の動きが入りやすいだろう。ただし、買い一巡後はこれといったリバウンドがないまま、中盤にかけて上げ幅を縮めていたこともあり、ロング解消の動きは一巡したとみられる。
ボリンジャーバンドの+1σ(3万7960円)を挟んだ推移のなかで、同バンドを上回っての推移をみせてくるようだと、再びロングの動きが強まる可能性がありそうだ。また、直近では連日で後場中盤辺りから動意を見せてきており、本日もインデックスに絡んだ資金流入が意識されそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.62倍に上昇して推移。一時13.66倍まで上げる場面もあったが、引き続き25日線(13.64倍)を抵抗線としており、上値を抑えられる形だった。
本日のロンドン為替市場のユーロドルは、ユーロ圏の経済指標を見極めながら、欧米通商交渉の関連ヘッドラインに注目していく展開が予想される。
昨日、トランプ米大統領は、欧州連合(EU)から貿易協議の日程を早急に設定するよう要請があったとして、前向きな兆候であり、欧米の貿易の門戸を開くことを期待すると述べた。しかし、「合意に至らない、もしくはわれわれが不当な扱いを受ければ、私に米国との貿易を巡るディールを成立させる権限があることを忘れてはならない」とも警告している。
欧米通商交渉が合意されないままでは、6月5日の欧州中央銀行(ECB)理事会では、米関税政策をめぐる不確実性の高止まりを理由に据え置く可能性と、ユーロ圏の総?⑰MIが5カ月振りに50を割り込んだことなどを理由に追加利下げの可能性が入り混じったままとなる。
レーンECB専務理事兼主任エコノミストは、ユーロ圏のインフレ率の低下継続を示す要因が大半である一方、欧米通商交渉の決裂リスクなどの他の要因がインフレ率を押し上げる可能性があるとの見方を示しており、金利政策の中道を模索する必要がある、との見解を示している。
レーンECB専務理事は、「インフレが一段と低下する兆候が見られれば、追加利下げで対応する」と述べていることで、本日発表される4月独輸入物価指数や4月仏卸売物価指数(PPI)などを見極めることになる。
また、5月の独ifo景況指数は、今後6カ月の期待指数の改善により前月から改善しており、本日発表される5月独雇用統計(予想:失業率6.3%/失業者数変化1.00万人)にも注目しておきたい。
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1419ドル(5/26高値)
・ユーロ円:165.21円(5/13高値)
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.1256ドル(5/22安値)
・ユーロ円:162.52円(日足一目均衡表・転換線)
ドル円:1ドル=144.28円(前営業日NY終値比▲0.05円)
ユーロ円:1ユーロ=163.24円(▲0.30円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1314ドル(▲0.0014ドル)
日経平均株価:37722.40円(前営業日比▲1.71円)
東証株価指数(TOPIX):2769.51(△0.02)
債券先物6月物:138.85円(▲0.60円)
新発10年物国債利回り:1.510%(△0.050%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は一進一退。昨日の大幅上昇に対する反動から利食い売りが先行し、一時143.85円まで値を下げた。ただ、東京仲値にかけては買いが観測されていたほか、40年債入札の結果直後には一時144.77円まで上昇した。ただ、40年債入札は応札倍率が2024年7月以来の低さとなるなど低調な結果となり、40年債利回りをはじめ超長期金利が上昇するとドル円の上値も重くなり144.20円台まで押し戻された。
・NZドル米ドルは荒い値動き。NZ準備銀行(RBNZ)の金融政策発表を前に思惑的な売りが先行し、一時0.5924米ドルまで下落した。ただ、予想通り0.25%利下げだったことが判明すると反発。コンウェイNZ準備銀行(RBNZ)チーフエコノミストが「政策金利が3.25%となり、中立ゾーンに入った」と発言すると一時0.5980米ドルまで買い上げられた。一方で、一巡後は0.59米ドル台半ばまで伸び悩むなど一進一退の動きとなった。
・ユーロ円は上値が重い。東京仲値前後でドル円が上昇したタイミングで163.83円までつれ高となったが、昨日高値の163.94円がレジスタンスとして意識されると失速。本邦長期金利の上昇で徐々に円買い圧力が高まった影響もあり163.16円まで押し戻された。
・ユーロドルは上値が重い。午前に1.1345ドルまで小幅に上げたものの、その後は時間外の米10年債利回りが上昇したことなどから1.1296ドルまで上値を切り下げた。
・日経平均株価は4営業日ぶりに反落。前日の米ハイテク株高を受けて半導体関連株に買いが集まると指数は約2週間ぶりに3万8000円を上回る場面があった。ただ、一巡後は戻り売りが優勢となり午後には下げに転じた。
・債券先物相場は4営業日ぶりに反落。午後に実施される40年物国債入札への警戒感から債券を売る動きが活発化。入札結果が弱かったことが分かると一段安となった。
大和証券では、財務省が26日に投資家向けアンケートを送付し、25年度国債発行計画の年限構成の見直しを検討していることが明らかになったことを受けてリポートしている。従来のプライマリーディーラー懇談会メンバーに加えて、国債投資家懇談会メンバーやその他機関投資家まで対象を拡大している点で異例な対応と大和ではコメント。質問内容も各年限の適切な発行額から現在の市場状況まで幅広く、財務省の危機感の強さを物語っていると指摘している。大和では独自の分析をもとに、財務省の超長期債減額により、30年金利は2.5~2.7%程度まで低下する可能性があると考えている。
モルガン・スタンレーでは、政策不確実性の高まりにもかかわらず、いまだプラス成長の世界経済と、規制緩和および市場が予想する以上の利下げを加味すると、米国のリスク資産とリスクフリー資産の魅力は他の地域のそれを上回ると考えている。主要資産クラス別配分方針は、株式ではグローバル株を「イコールウエート」、米国株を「オーバーウエート」、債券ではコア債券を「オーバーウエート」、その他の債券を「アンダーウエート」、コモディティを「アンダーウエート」、現金を「イコールウエート」としている。
中国の国家統計局が27日に発表した統計によると、2025年1-4月の工業企業(年間売上高2000万元以上の企業)の税引き前利益は前年同期比1.4%増の2兆1170億2000万元だった。
業種別では、農副食品加工が45.6%増、非鉄金属精錬・圧延加工が24.5%増、電気機械・器材製造が15.4%増、専用設備製造が13.2%増、汎用設備製造が11.7%増、コンピューター・通信・その他の電子設備製造が11.6%増、電力・熱供給が5.6%増、紡織が3.7%増となった。一方、非金属鉱物製品製造が1.6%減、化学原料・化学製品製造が4.4%減、自動車製造が5.1%減、石油・天然ガス採掘が6.9%減、石炭採掘・選炭が48.9%減、石油・石炭・その他の燃料加工は赤字拡大、鉄金属精錬・圧延加工は黒字転換した。
4月単月の税引き前利益は前年同月比3.0%増だった。
大阪6月限
日経225先物 37700 -120 (-0.31%)
TOPIX先物 2770.5 -7.0 (-0.25%)
日経225先物(6月限)は前日比120円安の3万7700円で取引を終了。寄り付きは3万8220円と、シカゴ日経平均先物(3万8350円)にサヤ寄せする形から、買い先行で始まった。ただし、直後につけた3万8290円を高値に利益確定に伴うロング解消の流れとなり、前場中盤に節目の3万8000円を割り込むと、終盤にかけて3万7910円まで上げ幅を縮めた。
その後、ランチタイムで3万8020円まで切り返す場面もみられたが、後場中盤にかけてショート優勢となり下落に転じた。終盤にかけて前日の終値を挟んだ保ち合いを継続するなかで、引け間際にロング解消の動きが強まった形である。今週は連日で高値引けだったが、本日は一変して安値引けになった。
日経225先物は節目の3万8000円を回復したことで、いったんは達成感が意識された。連休明けの米国市場の上昇は織り込まれていたこともあり、利益確定に伴うロング解消の動きが入りやすいところであった。前場はこれといったリバウンドもなく3万8000円を割り込んでいる。直近では後場中盤辺りから動意を見せてきていたため、本日もインデックスに絡んだ資金流入への期待はあっただろう。
ただし、ランチタイムで3万8000円を回復したものの、後場中盤にやや下へのバイアスが強まった。財務省が実施した40年物国債入札は「低調」な結果だったとして超長期債の需給不安が改めて高まり、長期金利が上昇したことが、スキャルピング中心の売買において、トリガーになったようである。グローベックスの米株先物が小幅ながらマイナス圏で推移していたほか、エヌビディア<NVDA>の決算を控えていることも、ロングを手控えさせたようだ。
日経225先物はボリンジャーバンドの+1σ(3万7940円)をキープできなかったことで、+2σ(3万9080円)とのレンジに移行することはできなかった。ただし、200日移動平均線(3万7510円)が支持線として機能しているため、同線に接近する局面においては、押し目狙いのロング対応に向かわせよう。
週足では13週線(3万6360円)を支持線としたリバウンドにより、26週線(3万7610円)、52週線(3万7840円)、+1σ(3万7760円)辺りで強弱感が対立している。週末の終値でこれらをクリアし、3万8000円を回復して終えるようだと、上へのバイアスが強まる可能性がありそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.60倍に低下した。一時13.66倍まで上げる場面もあったが、引き続き25日線(13.64倍)を抵抗線としており、上値を抑えられる形だった。-1σ(13.55倍)とのレンジが続きそうだが、エヌビディアの決算がポジティブに評価されるようだと、NTロングに振れる可能性はあるだろう。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万6622枚、ソシエテジェネラル証券が1万0873枚、サスケハナ・ホンコンが2979枚、バークレイズ証券が2383枚、JPモルガン証券が2170枚、SBI証券が1500枚、みずほ証券が1438枚、野村証券が1219枚、日産証券が946枚、松井証券が736枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が2万0860枚、ソシエテジェネラル証券が1万8166枚、バークレイズ証券が5697枚、JPモルガン証券が5348枚、モルガンMUFG証券が3791枚、ゴールドマン証券が3473枚、ビーオブエー証券が1859枚、野村証券が1630枚、シティグループ証券が1556枚、サスケハナ・ホンコンが1026枚だった。
本日のニューヨーク為替市場では、まず米指標で足もとの景気動向を確かめながらの取引か。また、NY午後には、米5年債入札や米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨も注目となる。
昨日の5月米消費者信頼感指数は予想を大きく上回り、98.0と2月以来の水準を記録した。前月からの上昇幅も12ポイントと強かった。大幅改善の要因は、調査締め切りの約1週間前に米中貿易交渉で関税の一時引き下げが合意に至ったこと。指標結果を受けて、ドル買いが強まる場面があった。
本日は、5月米リッチモンド連銀製造業景気指数が発表予定。こちらの指標は、調査対象の州がバージニア州やメリーランド州など複数に限られている。しかしながら、昨日の強い消費者信頼感の後でもあり、また本日は他に目立った経済データも他にないため、結果次第ではNY前半の動意に繋がるのではないか。予想は-9と前回から4ポイント改善見込み。
日本時間29日2時には、米財務省が5年債入札を実施する。前回4月の同年債入札では、トランプ関税への警戒感が高まっていた時期でもあり、海外(外国中銀や機関投資家)からの需要は弱かったもよう。貿易摩擦による混乱は一時より後退してはいるものの、警戒感はまだ拭えない。結果を受けた中期金利の動きには目を向けておきたい。
FOMC議事要旨は、予想通りに政策金利の据え置き(4.25-4.50%)を決定した今月6-7日分。声明では、「経済の見通しを巡る不確実性がさらに増した」ことが指摘され、「失業率とインフレ率の上昇リスクが高まった」とも述べられた。その後の会見では、パウエルFRB議長が早期利下げに慎重な姿勢を見せていた。議事要旨では、他のFOMCメンバーがどの程度までパウエル氏に賛同しているかを確認したい。
想定レンジ上限
・ドル円、本日高値144.77円を超えると20日高値145.51円
想定レンジ下限
・ドル円、本日安値143.85円を下抜けると昨日安値から本日高値までの半値押し143.45円。
今晩は様子見か。3連休明けの昨日はトランプ米大統領がEUに対する50%関税の発動を7月9日まで延期すると発表したことが好感され主要3指数がそろって大幅高。ダウ平均が740.58ドル高(+1.78%)、S&P500が2.05%高と、ともに5営業日ぶりに反発し、ナスダック総合も2.47%高と大幅反発した。投資家の不安心理を示すVIX指数は先週末の22.29ポイントから18.96ポイントに大幅低下するなど、センチメントは大きく改善した。
今晩はセンチメントの改善を受けて底堅い展開が期待されるものの、昨日に大幅高となったことや、引け後のエヌビディアの決算発表を控えた様子見姿勢が強まることも予想され、上値の重い展開か。エヌビディアの2-4月期決算は大幅増収増益が見込まれているものの、AIラリーの持続性を巡り、米政権の対中半導体輸出規制の影響や今後の先端AI半導体の出荷見通しが焦点となりそうだ。このほか、取引時間午後に5月6-7日開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が公表され、年内の利下げ見通しを巡る議論の内容に要注目となる。
今晩の米経済指標・イベントはFOMC議事要旨のほか、MBA住宅ローン申請指数、5月リッチモンド連銀製造業総合指数、5月ダラス連銀 サービス部門景況指数など。企業決算は引け後にエヌビディア、HP、セールスフォースなどが発表予定。
日経平均株価は小反落。寄り付き付近で強い買いが一巡した後は上げ幅を縮小する展開とななり、比較的長い陰線を形成して終えた。
RSI(9日)は前日の39.6%→48.9%(5/28)に上昇。4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇継続の判断となる。75日移動平均線(36810円 5/28)上で日柄調整が続く可能性も高いが、あすは200日移動平均線(37798円 同)を超えて終えられるかが注目ポイントとなる。上昇基調にある25日移動平均線(36776円 同)とのかい離縮小が一巡し、切り返しが継続するかが焦点となる。
すでに、終値ベースでは3/26につけた急落前の戻り高値(38027円)を更新し、パターン分析では4月前半の安値を先端に「スパイクボトム(V字)」を確認している。終値ベースで5/13高値(38183円)更新後の意外高のシナリオは引き続き想定しておきたい。
上値メドは、200日移動平均線、心理的節目の38000円、5/13高値(38494円)、心理的節目の39000円、2/13高値(39581円)などがある。下値メドは、5日移動平均線(37424円 同)、心理的節目の37000円、25日移動平均線、心理的節目の36500円や36000円などがある。
米財務省によると、5年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが4.071%、応札倍率(カバー)が2.39倍となった。
(28日終値:29日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=144.87円(28日15時時点比△0.59円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.58円(△0.34円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1291ドル(▲0.0023ドル)
FTSE100種総合株価指数:8726.01(前営業日比▲52.04)
ドイツ株式指数(DAX):24038.19(▲188.30)
10年物英国債利回り:4.727%(△0.061%)
10年物独国債利回り:2.554%(△0.022%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月独輸入物価指数
(前月比) ▲1.7% ▲1.0%
(前年比) ▲0.4% 2.1%
1-3月期仏国内総生産(GDP)改定値
(前期比) 0.1% 0.1%
4月仏卸売物価指数(PPI)
(前月比) ▲4.3% ▲0.5%・改
4月仏消費支出
(前月比) 0.3% ▲1.1%・改
5月独雇用統計
失業率 6.3% 6.3%
失業者数変化 3.40万人 0.60万人・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は強含み。日本時間夕刻に144.00円付近まで弱含む場面があったが、同水準で下値の堅さを確認すると下値を切り上げた。昨日に公表された米経済指標が良好な結果となったこともあり、米景気減速への過度な不安が和らぐ中で次第にドル買いが優勢に。米長期金利の上昇も相場の後押しとなり、1時前には145.08円と20日以来の高値を更新した。
なお、この日発表された米経済指標は少なく、5月米リッチモンド連銀製造業指数は市場予想通りの結果となったため、相場への影響も限定的だった。
・ユーロドルは上値が重い。19時過ぎに1.1341ドル付近まで上昇したものの、アジア時間につけたこの日高値1.1345ドルが目先のレジスタンスとして意識されると徐々に上値が重くなった。全般にドル買いが強まったこともあり、一時1.1284ドルまで本日安値を更新した。
・ユーロ円は強含み。ドル円の上昇につれた円売り・ユーロ買いが進み、一時163.91円まで値を上げた。もっとも、ユーロドルが下落した影響も同時に受けたため、一方的に上昇する展開とはならず、昨日高値の163.94円手前では伸び悩んだ。
・ロンドン株式相場は反落。米半導体大手エヌビディアの決算を見極めたいとの思惑からしばらくは様子見ムードが広がっていたが、次第に米国株式相場の下げにつれて上値を切り下げた。アングロ・アメリカンやリオ・ティントなど素材株の下げが目立ったほか、セイジ・グループなど情報技術セクターも下落した。
・フランクフルト株式相場は3営業日ぶりに反落。米国との貿易交渉の行方を見極めたいとの見方が相場の上値を抑制した。個別ではダイムラー・トラック・ホールディング(4.21%安)やザランド(3.16%安)、ハイデルベルク・マテリアルズ(2.46%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は下落。米債券安につれた。
28日の日経平均は4日ぶり小幅反落。終値は1円安の37722円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり792/値下がり763。レーザーテックやソシオネクストなど半導体株の一角が大幅上昇。買収に関する観測報道を材料に牧野フライスが値を飛ばした。メタプラネットが商いを伴って急伸。証券会社が投資判断を引き上げたQPS研究所がストップ高まで買い進まれた。
一方、足元で日々の振れ幅が大きくなっているサンリオが5.6%安。三菱重工、川崎重工、IHIの防衛大手3社がそろって終盤に崩れて下落した。「IR Day」の説明会資料を公表した三菱電機が大幅安。ニューホライズンキャピタルによるTOBが不成立となったシンワワイズが急落した。
日経平均は大幅高スタートとなったものの下落で終了。狙ったように引けにかけてマイナスとなった。ただ、米国株の買い材料を先取りして月曜、火曜と大きく上昇していただけに、きょうの失速が投資家心理の悪化につながる可能性は低い。一時的とはいえ38000円の節目を上回ったことで、5月13日につけた直近高値の38494円も射程圏内に入ってきた。
本日、米国ではエヌビディアが決算発表を予定しており、時間外の反応があすの国内半導体株を大きく刺激すると思われる。日経平均は今週に入って動きが良くなっているだけに、ここで半導体株に強い買いが入れば上昇加速も期待できる。一方、半導体株が売られるようなら、38000円より上での買いづらさが意識される。このケースでは5日線(37424円、28日時点)上を維持できるかどうかが焦点となる。このところは防衛株や電線株に押され気味の感がある半導体株が、相場の主役に返り咲くことができるかどうか、あすの動向が大きく注目される。
(28日終値)
ドル・円相場:1ドル=144.84円(前営業日比△0.51円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.55円(△0.01円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1292ドル(▲0.0036ドル)
ダウ工業株30種平均:42098.70ドル(▲244.95ドル)
ナスダック総合株価指数:19100.94(▲98.22)
10年物米国債利回り:4.48%(△0.04%)
WTI原油先物7月限:1バレル=61.84ドル(△0.95ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3322.4ドル(▲5.9ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
MBA住宅ローン申請指数
(前週比) ▲1.2% ▲5.1%
5月米リッチモンド連銀製造業景気指数
▲9 ▲13
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は3日続伸。昨日に公表された米経済指標が良好な結果となったこともあり、米景気減速への過度な不安が和らぐ中でドル買いが進んだ。欧州時間に144.00円付近で下値の堅さを確認すると、米長期金利の上昇も相場の後押しとなり、1時前には145.08円と20日以来の高値を更新。その後も高値圏で底堅く推移した。
なお、5月6日-7日開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、貿易・関税政策による不確実性やインフレの上振れリスクに言及したうえで、「インフレと経済活動の見通しがより明確になるまで待つのが適切」との見解が示された。ただ、目新しさを欠いたこともあって相場への影響は限られた。
・ユーロドルは続落。全般にドル買いが強まった流れに沿って、1時前には1.1284ドルまで売りに押された。引けにかけても戻りの鈍い動きが続き、1.1290ドル前後でのもみ合いとなった。
・ユーロ円は小幅に3日続伸。ドル円の上昇につれた円売り・ユーロ買いが進み、一時163.91円まで値を上げた。もっとも、ユーロドルが下落した影響も同時に受けたため、一方的に上昇する展開とはならず、昨日高値の163.94円手前では伸び悩んだ。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は反落。半導体大手エヌビディアの決算発表を控えて持ち高調整売りが出た。この日公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で利下げに慎重な姿勢が改めて示されたことも相場の重しとなった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も反落した。
・米国債券相場で長期ゾーンは4営業日ぶりに反落。足もとで買いが続いていたことから、持ち高調整目的の売りが優勢となった。
・原油先物相場は反発。米国がシェブロンに認めていたベネズエラでの操業許可が27日で期限切れとなり、同国産の原油供給を巡る不透明感を背景に買いが優勢となった。OPECプラスの閣僚級会合で現行の産油政策の維持が決定されたことも、上昇を後押しした。
・金先物相場は下落。ドル高の流れの中、ドル建てで取引される金の割高感が意識されて売りが出た模様である。
28日09:01 植田日銀総裁(衆議院財務金融委員会)
「米中関税の合意は前向きな動き」
「関税政策が内外経済に及ぼす影響、様々な不確実性残る」
「日米間含めて通商交渉は進行中、引き続き不確実性高い」
「超長期金利の上昇は、注意してみていきたい」
「経済への影響は、超長期より中期・短期の変動が大きい」
「超長期金利の上昇が中期金利に及ぶ可能性に留意」
28日09:08 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「非常に持続的なインフレを容認したくない」
「インフレが目標から乖離し始めた際には、比較的強力に対応することがそれを防ぐ方法だ」
「インフレ期待がしっかりと抑えられていることが極めて重要だ」
28日09:17 加藤財務相
「最近の国債利回り上昇の背後にある市場の懸念を認識している」
「債券市場の動向を注視している」
28日11:00 ニュージーランド準備銀行(RBNZ)声明
「コアインフレ率は低下している」
「金利見通し、今後少なくとも0.25%の利下げがあることを示唆」
「インフレ率は目標レンジ内にあり、委員会は中期的な物価安定を維持するため、国内外の動向に十分対応できる体制」
「現状はインフレ率が中期的に1~3%の目標レンジの中央値に戻ることを支持する環境」
「輸出価格の見通しに下振れリスクがあると指摘」
「米国による関税引き上げにより経済成長の回復が鈍化する見通し」
「関税政策がニュージーランド経済にどのような影響を及ぼすかについて不確実性が高い」
28日12:19 ホークスビー・ニュージーランド準備銀行(RBNZ)総裁
「政策金利は大幅に引き下げてきており、その効果はまだ経済全体に十分に浸透していないと認識」
「今後の金融政策については、経済指標や状況の変化に応じて判断する方針」
「次回会合での方向性に明確なバイアスは持っていない」
「世界経済や貿易政策の不透明感が高い中、リスクを慎重に見極めていく必要」
28日12:28 コンウェイNZ準備銀行(RBNZ)チーフエコノミスト
「政策金利が3.25%となり、中立ゾーンに入った」
「3月末の国債評価損は28兆6246億円、昨年3月末は9兆4337億円」
「保有国債の評価損、2004年度以降で最大」
「3月末のETF評価益は32兆8712億円、昨年3月末は37兆3120億円」
「24年度の為替差損は908億円、23年度は1兆3021億円の差益」
29日00:56 クノット・オランダ中銀総裁
「短期の成長・インフレには下向きのリスクがある」
「中期的なインフレ見通しはより不透明になっている」
29日03:00 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(5月6日-7日分)
「スタッフのインフレ予測は、3月の会合で準備された予測よりも高くなった」
「経済活動は引き続き堅調なペースで拡大し、労働市場も引き続き堅調」
「インフレ率はやや高止まりしていることを示している」
「これまでに発表された関税引き上げは予想よりも大幅に規模が大きく、範囲も広範であったと評価」
「貿易政策の進展ならびに関連する経済効果の規模、範囲、時期、持続性について、相当な不確実性が存在する」
「主に関税引き上げの潜在的な影響を反映して、雇用と経済活動に対する下振れリスク、およびインフレに対する上振れリスクが高まっていると判断」
「インフレ率は2022年のピーク以降大幅に緩和したものの、委員会の2%の長期目標と比較すると依然としてやや高い水準にある」
「インフレと経済活動の見通しがより明確になるまで待つのが適切」
「一連の政府政策変更の純経済効果がより明確になるまでは、慎重なアプローチを取ることが適切であるとの認識で一致」
「今後入手するデータ、変化する見通し、そしてリスクのバランスを慎重に評価することで合意」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○14:00 ◇ 5月消費動向調査(消費者態度指数 一般世帯、予想:31.8)
<海外>
○未定 ◎ 韓国中銀、政策金利発表(予想:2.50%に引き下げ)
○10:00 ◇ 5月ANZ企業信頼感
○10:30 ◇ 1-3月期豪民間設備投資(予想:前期比0.5%)
○16:00 ◇ 4月トルコ貿易収支(予想:120億ドルの赤字)
○18:30 ◇ 4月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比横ばい)
○21:30 ◇ 1-3月期カナダ経常収支(予想:32.5億カナダドルの赤字)
○21:30 ☆ 1-3月期米国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比年率▲0.3%)
○21:30 ◎ 1-3月期米個人消費(改定値、予想:前期比1.7%)
○21:30 ◎ 1-3月期米コアPCE(改定値、予想:前期比3.5%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.0万件/189.4万人)
○21:30 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○未定 ☆ 南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:7.25%に引き下げ)
○23:00 ◎ 4月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比▲1.0%/前年比2.6%)
○23:40 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、質疑応答
○30日01:00 ◇ EIA週間在庫統計
○30日02:00 ◎ 米財務省、7年債入札
○30日03:00 ◎ クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○30日04:00 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○30日05:00 ◎ デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○赤沢経済再生相が訪米(6月1日まで)
○スイス、ノルウェー、スウェーデン(キリスト昇天祭)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
28日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米長期金利の上昇などを受けて145.08円まで上昇した。ユーロドルは全般にドル買いが強まった流れに沿って、1.1284ドルまで下落した。ユーロ円はドル円の上昇につれた円売り・ユーロ買いで163.91円まで値を上げた。
本日の東京外国為替市場のドル円は、日米10年債利回りを見極めながら上値を模索する展開が予想される。
ニューヨーク市場のドル円は、米10年債利回りの上昇を受けて145円台まで上値を広げている。
本日は、米中が追加関税115%引き下げ合意を受けた12日の高値148.65円から27日の安値142.12円までの下落幅の半値戻し145.39円や一目均衡表・基準線145.31円を念頭に置きながら買い戻しの射程を見極めることになる。
米10年債利回り上昇の背景としては、昨日、ウィリアムズ米NY連銀総裁が東京での講演で「インフレが目標から乖離し始めた際に中央銀行は、比較的強力に対応しなければならない」と述べたこと、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、トランプ関税によりインフレが予想以上に持続するリスクが警戒されていたことなどが挙げられる。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、年内の利下げは9月と12月の2回となっているが、明日はFRBがインフレ指標として注視している4月のPCEデフレーターが発表される。
本邦10年物国債の利回りも高止まりしているが、背景には、昨日実施された40年利付国債入札で、応札倍率2.21倍が2024年7月以来の低水準になるなど低調だったことが挙げられる。トランプ関税を巡る不確実性や参議院選に向けた政府支出拡張懸念など、市場の警戒感は消えていない。
昨日公表された日本銀行の2024年度決算では、保有する国債を時価でみた評価損が過去最大の28兆6246億円だった。植田日銀総裁は、かつて、「金利全般が1%上昇した場合、日銀が保有する国債の評価損は約40兆円程度発生する」と述べていた。国債価格の下落は、約半分を保有する日銀だけでなく、機関投資家の含み損を拡大させていくことになる。
不確実性の源泉となっている通商交渉に関するイベントとしては、本日は、欧州連合(EU)のシェフチョビッチ欧州委員(貿易・経済安全保障担当)と、ラトニック米商務長官およびグリア通商代表部(USTR)代表が通商協議を行い、明日は、赤沢経済再生相とベッセント米財務長官が第4回日米通商交渉を行うことになっている。
米国とEU、日本との通商交渉に向けて、トランプ米大統領がSNSなどに、交渉が決裂した場合の関税発動前倒しなどを投稿する可能性には警戒しておきたい。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 37940 +240 (+0.63%)
TOPIX先物 2785.5 +15.0 (+0.54%)
シカゴ日経平均先物 37870 +170
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
28日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落。米連邦準備理事会(FRB)が公表した米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、トランプ政権の関税政策の影響により経済を巡る不確実性が高まっているとして、金融政策の判断には慎重に取り組むのが適切とした。FRBの利下げに慎重な姿勢が改めて示されたことで、NYダウの下落幅は300ドルを超す場面もみられた。
取引終了後にエヌビディア<NVDA>の決算を控え、持ち高調整の売りが主力株に広がった。トランプ政権が半導体設計ソフトを手掛ける企業に対し、中国への販売を停止するよう求める書簡を送付したと米メディアが報じたことも重荷になった。
S&P500業種別指数は、不動産のみが上昇した一方で、耐久消費財・アパレル、自動車・同部品、公益事業、素材、エネルギーの弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、ボーイング<BA>、ビザ<V>、アップル<AAPL>が買われた。半面、メルク<MRK>、ナイキ<NKE>、シェブロン<CVX>、シャーウィン・ウィリアムズ<SHW>が下落。
なお、取引終了後に2025年2~4月期決算を発表したエヌビディアは、人工知能(AI)関連の堅調な需要が引き続き追い風となり、売上高は市場予想を上回った。5~7月期見通しは輸出規制で中国売上高が約80億ドル落ち込むとして予想には届かなかったが、時間外取引で買われている。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比170円高の3万7870円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは日中比50円高の3万7750円で始まった。直後につけた3万7660円を安値にロング優勢の流れが強まり、米国市場の取引開始時には3万7990円まで買われる場面もみられた。買い一巡後は膠着感が強まり、3万7790円~3万7940円辺りで保ち合い、3万7940円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、買い先行で始まることになろう。エヌビディアは時間外取引で一時5%を超える上昇となり、安心感につながりそうである。日経225先物はナイトセッションで3万8000円を回復することはできず、ボリンジャーバンドの+1σ(3万7980円)水準での攻防となったが、エヌビディアの決算評価によって同水準を突破してくるかが注目される。
3万8000円を回復して始まり、その後も+1σ水準で底堅さがみられるようだと、改めて+2σ(3万9020円)とのレンジが意識されるため、ショートカバーを誘い込みやすいだろう。一方で、+1σに抑えられる形になると次第に膠着感が強まるとみられるが、200日移動平均線(3万7510円)を上回っての推移により、同線が支持線として意識されやすい。+1σ水準での値動きを見極めつつ、押し目狙いのロング対応に向かわせよう。
そのため、オプション権利行使価格の3万8000円を中心とした上下の権利行使価格である3万7500円から3万8500円のレンジを想定する。週末には赤澤亮正経済再生相が3回目の通商協議で会談できなかったベッセント米財務長官と協議を行う予定であるほか、需給面では3月期決算企業の期末配当金の支払いが本格化することが下支えとなり、ショートを仕掛けづらくさせそうである。上値の重さにより短期的にショートが優勢になる局面では、売り一巡後のリバウンド狙いを意識しておきたい。
28日の米VIX指数は19.31(27日は18.96)に上昇した。一時19.43まで上昇する場面もみられたが、200日線(19.54)が抵抗線として意識されており、判断の分かれ目となる20.00を下回っての値動きだった。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.60倍に低下した。一時13.66倍まで上げる場面もあったが、引き続き25日線(13.64倍)に上値を抑えられる形だった。-1σ(13.55倍)とのレンジが続きそうだが、エヌビディアの決算を受けて、指数インパクトの大きい値がさハイテク株に買いが入りやすく、ややNTロングに振れる可能性はあるだろう。ただし、25日線に上値を抑えられる状況が続くようだと、NTショートでのスプレッド狙いに向かいそうである。
東京市場は堅調か。米国株は下落。ダウ平均は244ドル安の42098ドルで取引を終えた。小高く始まるもエヌビディアの決算発表を前に様子見ムードが強く、早々にマイナス転換。5月のFOMC議事要旨を受けて早期の利下げ期待が後退したことも売りを誘い、安値圏で終了した。ドル円は足元144円80銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて170円高の37870円、ドル建てが185円高の37885円で取引を終えた。
引け後に発表されたエヌビディアの決算は市場予想を上回り、時間外の株価は大きく上昇している。本日の米国株にもプラスの影響が見込まれるだけに、日本株はこちらの動きを好感した買いが入るだろう。ドル円が円安に傾斜している点も安心材料。半導体株や電線株など生成AI需要の恩恵を受ける銘柄が上昇をけん引し、場中はしっかりとした動きが続くと予想する。日経平均の予想レンジは37600-38200円。
米連邦裁判所は28日、トランプ米大統領の「解放の日」関税を差し止めたと複数の通信社が伝えた。
昨日のドル円は、東京時間に実施された40年国債の入札に注目が集まったわけですが、市場が懸念していた先週の20年債入札のようなカオスにはならず、悪いながらもなんとかこなしたといった結果を受けて、144.00円までの下押しを確認した市場は再び戻りを試す動きとなりました。
NY時間に入ってからは米長期金利の上昇につれて一時145.08円まで上昇。その後の下押しも144.76円までにとどまり、高値圏でのもみ合いとなって取引を終えました。結果的には一目雲の中にしっかりと入り込むかたちとなったわけで、本日も一目雲下限と転換線が143.83円に重なって位置しています。
いずれにしても、市場では大きくポジション調整に舵を切るきっかけをつかんだわけで、アジア時間に入ってからもすぐに、NVIDIAの好決算を受けてダウ先物や日経平均先物が大幅な上昇となるなか、米国際貿易裁判所が解放の日に発表した相互関税について差し止めの判決を下したことが判明するなど、いつでもそうであるように、この市場センチメントの一転した変化に合わせて、まるで予定調和的な、かつ、極めて奇妙な、偶然の必然性に遭遇しています。
目先は146.00円に設定されているオプションなどが意識されてか146.00円を挟んだもみ合いが続いていますが、史上最大規模に膨れ上がっている円ロングポジションの巻き戻しの動きがようやく始まろうとしています。
日経225先物は11時30分時点、前日比650円高の3万8350円(+1.72%)前後で推移。寄り付きは3万8250円と、シカゴ日経平均先物(3万7870円)を大きく上回る形から、買い先行で始まった。現物の取引開始直後につけた3万8120円を安値に上げ幅を広げており、終盤にかけて3万8400円まで買われた。
エヌビディア<NVDA>が決算評価から時間外取引で5%近く上昇したことが安心感につながるなか、取引開始直前には「トランプ米大統領の関税措置を巡り、米国際貿易裁判所が違法の判断を下した」との一報が伝わった。為替市場では円相場が1ドル=145円台後半と円安に振れたことで、これがトリガーになる形でアルゴリズムが発動したとみられ、ショートカバーの動きが強まった。
ボリンジャーバンドの+1σ(3万8020円)を上抜ける形となり、+2σ(3万9080円)とのレンジが意識されてきた。週足では52週移動平均線(3万7850円)や+1σ(3万7870円)を突破したことで一段のリバウンドが意識されやすいだろう。
NT倍率は先物中心限月で13.65倍に上昇して推移。足もとで上値を抑えられていた25日線(13.64倍)を上回ってきたことで、NTショートを巻き戻す動きが入りやすくなったとみられる。
「(国際的なドル安協定を)我々が密かに進めているという事実はない。まったく根拠のない話だ」(ミランCEA委員長)
2025年5月22日、ミラン米大統領経済諮問委員会CEA委員長は、「米国は強いドル政策を維持している」と述べ、米国政府が密かにドル安誘導の国際的取り決めを画策しているとの見方を否定した。
1.ミラノでの密約(2.25年5月5日)
トランプ米大統領は、貿易相手国が対米通商を有利にするために意図的に為替レートを操作しているとの非難を繰り返している。そして、尊敬するレーガン第40代米大統領によるドル安政策「プラザ合意」のようなドル安誘導策「プラザ合意II」(マールアラーゴ合意)を画策しているのではないか、と警戒されてきた。すなわち、米国の貿易相手国が貿易不均衡を是正する措置の一つとして自国通貨を対ドルで押し上げることに同意する可能性が、市場では警戒されてきた。
5月5日、アジア開発銀行(ADB)年次総会が開かれたイタリアのミラノで、韓国企画財政部のチェ・ジヨン国際経済管理官(次官補)が、カプロス米財務次官補と、為替相場関連の実務交渉を進めた、と報じられた。米政府は「貿易不均衡を解消するために対ドルのウォン相場を切り上げるべき」という趣旨の主張をしたという。
さらに、台湾と米国との通商交渉で、ドル安・台湾ドル高の通貨協定「マールアラーゴ合意」が締結されたのではないか、すなわち、「米国との関税交渉で台湾当局が通貨切り上げに合意した」のではないかとの憶測が流れていた。
2.マールアラーゴ合意(Mar-a-Lago Accord)
2024年11月、元財務省上級顧問でヘッジファンドのハドソン・ベイ・キャピタルに在籍していたミラン氏(現在:大統領経済諮問委員会CEA委員長)は、「A User’s Guide to Restructuring the Global Trading System」(国際貿易システム再構築のユーザーガイド)を公表した。論文では、「トリフィンのジレンマ(The Triffin dilemma)」をベースにして、「持続的なドル過大評価」に起因する経済的不均衡の解消と、国際貿易システム改革に向けロードマップを提示した。「経済的不均衡の原因は持続的なドルへの過大評価にあり、それが国際収支の均衡を妨げている」
2025年1月のトランプ政権で大統領経済諮問委員会CEA委員長に就任したミラン氏は、ベッセント米財務長官と協力して、米国の貿易赤字削減のために、緩和的な財政政策と金融政策というポリシー・ミックスで、ドル安誘導政策を目論んでいるのではないか、と警戒されていた。
本日のロンドン為替市場のユーロドルは、米国際貿易裁判所によるトランプ関税差し止めを受けた欧米通商交渉に関するヘッドラインに注目していく展開が予想される。
ユーロドルのテクニカル分析では、攻防の分岐点である日足一目均衡表・転換線1.1288ドルや雲の上限1.1286ドルを下回っており、下値リスクが高まりつつある。
本日は、米国際貿易裁判所がトランプ米大統領の『解放の日』関税を差し止め、トランプ政権が控訴を申し立てた、と報じられており、通商交渉への影響にも注目しておきたい。
国際貿易裁判所による差し止めの範囲は、トランプ関税措置の大部分(貿易相手国・地域に対する一律関税、中国などに対する高率関税、中国およびカナダ、メキシコに対する合成麻薬フェンタニルに関連した関税)となるが、適用外は、通商拡大法232条や通商法301条など異なる権限に基づいて鉄鋼・アルミニウム、自動車に賦課された関税となる。
本日、欧州連合(EU)のシェフチョビッチ欧州委員(貿易・経済安全保障担当)は、ラトニック米商務長官およびグリア通商代表部(USTR)代表と協議を行う予定となっている。そして、シェフチョビッチ氏は、ラトニック、グリア両氏と1日おきに協議することで合意したと述べており、米国による上乗せ関税発動期限である7月9日より前に通商交渉をまとめる意向が窺える展開となっている。
さらに、ドイツの3大自動車メーカー(BMWとメルセデス、フォルクスワーゲン)が関税問題でラトニック商務長官と集中協議を行っており、合意成立に近づいている、とも報じられており、欧米通商合意の可能性が高まりつつある。
一昨日、トランプ米大統領は、欧州連合(EU)から貿易協議の日程を早急に設定するよう要請があったとして、前向きな兆候であり、欧米の貿易の門戸を開くことを期待すると述べていた。
しかし、トランプ米大統領は、「合意に至らない、もしくはわれわれが不当な扱いを受ければ、私に米国との貿易を巡るディールを成立させる権限があることを忘れてはならない」とも警告しており、交渉が難航するリスクにも警戒しておきたい。
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1345ドル(5/28高値)
・ユーロ円:165.21円(5/13高値)
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.1131ドル(5/16安値)
・ユーロ円:162.52円(日足一目均衡表・転換線)
ドル円:1ドル=145.93円(前営業日NY終値比△1.09円)
ユーロ円:1ユーロ=164.08円(△0.53円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1244ドル(▲0.0048ドル)
日経平均株価:38432.98円(前営業日比△710.58円)
東証株価指数(TOPIX):2812.02(△42.51)
債券先物6月物:138.95円(△0.10円)
新発10年物国債利回り:1.520%(△0.005%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
対外対内証券売買契約等の状況(前週)
対外中長期債
920億円の取得超 2兆8339億円の所得超・改
対内株式
3093億円の取得超 7153億円の所得超・改
5月消費動向調査(消費者態度指数、一般世帯)
32.8 31.2
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は買い優勢。昨日の米株式終了後に発表されたエヌビディアの決算が売上高・一株利益ともに市場予想を上回り、日米株価指数先物が上昇したことを背景に買いが先行。「米連邦裁判所がトランプ大統領の『解放の日』関税を差し止めた」との報道が伝わると買いが加速し、一時146.28円まで急伸した。もっとも、一巡すると利食い売りに押される形で145円台半ばまで伸び悩む場面もあった。
・ユーロ円は強含み。米裁判所の判決で関税政策を巡る警戒感が後退し、株高と円売りが活発化。ユーロ円は164.26円まで上昇した。もっとも、ユーロドルが下落したため、ドル円ほどの値幅は出なかった。
・ユーロドルは軟調。対円主導でドル高が進んだ流れに沿って一時1.1210ドルまで値を下げた。その後は欧州勢の本格参入を前に1.12ドル台半ばでのもみ合いが続いた。
・日経平均株価は大幅反発。エヌビディアの好決算で半導体関連株が買われたほか、米関税政策を巡る懸念後退も買いを後押し。引けにかけても強い地合いを維持したままだった。
・債券先物相場は反発。株高を背景に安全資産とされる債券需要の低下が意識され一時138.58円まで売りが先行した。ただ、一巡後は押し目買いが優勢となり139.08円まで反発した。
米紙『ニューヨーク・タイムズ』は28日、米政府が中国への一部の重要技術輸出を停止したと報じた。中国の国産旅客機「C919」を製造する中国商用飛機(COMAC)へのジェットエンジンの供給も含まれるという。
報道によると、事情に詳しい2人の関係者が、この措置は中国が最近、米国向け重要鉱物の輸出を制限したことへの対抗だと明かした。米商務省は、米企業が中国商用飛機のC919開発向けに製品や技術を提供することを認めた一部の輸出許可を停止した。
C919は中国で開発されたものの、多くの部品は海外製で、米GEエアロスペースと仏サフランが共同開発したLEAPエンジンが採用されている。
大和証券では、40年国債入札が低調な結果となり、超長期金利が上昇したことを受けてリポートしている。この入札結果に対する一次的(表層的)思考は、需要減退が改めて確認された超長期債市場のボラティリティが再び高まり、金利も上昇するというものになりがちであるが、投資においては二次的思考が重要と大和ではコメント。大和では、今回の低調な入札結果は今年度の国債発行計画における超長期債の減額幅を拡大する方向に作用する可能性があるとみており、少し長い目で見れば、超長期金利にとって低下方向に作用する要因にもなると考えている。
SMBC日興証券では、名目賃金の上昇率を2025年度が+1.5%程度、2026年度が+2.0%程度と予想している。26年度は輸入物価の下落から企業のマージン・収益が拡大し、賃上げ率が高まっていくと想定している。インフレ率については、コモディティ価格の下落や円高による輸入物価の下落を背景に、2025年度のコアCPIを前年比+2.1%、2026年度を+1.4%と減速していくと予想。これらを前提に実質賃金は2026年4-6月期頃からプラスに転じるとみており、個人消費は2026年度から上向いていくと予想している。
英紙『フィナンシャル・タイムズ』(FT)28日、消息筋の話として、トランプ米政権が一部米企業に対し、半導体設計技術に関するソフトウエアの対中輸出を停止するよう要請する方針を報じた。措置は米商務省傘下の産業安全局(BIS)が発出する見通しだという。
対象となるのは、電子設計自動化(EDA)技術を有する大手企業で、Cadence、Synopsys、Siemens EDAの3社が含まれる。これらの企業は合計で中国のEDA市場の約8割を占めている。報道時点では、他のEDA関連企業が同様の指令を受けているかどうかは明らかになっていない。
米政府高官の1人は、少なくとも1社が既に指示を受けており、対応を検討していると述べた。米商務省および対象とされる3社は、報道機関の問い合わせに応じていない。
大阪6月限
日経225先物 38410 +710 (+1.88%)
TOPIX先物 2808.0 +37.5 (+1.35%)
日経225先物(6月限)は前日比710円高の3万8410円で取引を終了。寄り付きは3万8250円と、シカゴ日経平均先物(3万7870円)を大きく上回る形から買い先行で始まった。現物の取引開始直後につけた3万8120円を安値に上げ幅を広げ、前場終盤にかけて3万8400円を回復。ランチタイムでは3万8340円~3万8420円辺りで保ち合い、後場中盤にかけて3万8280円まで利食いに押される場面もあった。ただし、終盤にヘッジ対応とみられるロングが強まり、一時3万8470円まで上げ幅を広げた。
エヌビディア<NVDA>が決算評価から時間外取引で5%近く上昇したことが安心感につながるなか、取引開始直前には「トランプ米大統領の関税措置を巡り、米国際貿易裁判所が違法の判断を下した」との一報が伝わった。為替市場では円相場が一時1ドル=146円台に乗せるなど急速に円安に振れたことで、これがトリガーになる形でアルゴリズムが発動したとみられ、ショートカバーが強まった。
日経225先物はボリンジャーバンドの+1σ(3万8020円)を上抜ける形で始まり、+2σ(3万9080円)とのレンジが意識されてきた。5月13日の直近戻り高値である3万8790円が射程に入ってきたが、この時は+2σ突破でいったんピークをつける形だった。目先的には反動安も意識されやすいが、直近戻り高値水準は通過点になる可能性があるだろう。
トランプ関税を巡る米国際貿易裁判所の判断に対して、米政権側は直ちに控訴しており、輸入関税が維持されるかどうかを巡る争いは長期化する可能性がありそうだ。一方で、メルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲンのドイツ自動車大手3社は、米国側と関税緩和に向けた協議を行っていると報じられている。緩和の見返りとして、各社が多額の対米投資を約束することが条件のようだ。
週末には赤澤亮正経済再生相が3回目の通商協議で会談できなかったベッセント米財務長官と協議を行う予定であり、ショートを仕掛けづらくさせよう。そのほか、需給面では3月期決算企業の期末配当金の支払いが本格化することが下支えになるとみられ、+1σ辺りまで調整する場面では押し目狙いのロング対応に向かわせよう。
NT倍率は先物中心限月で13.67倍に上昇した。足もとで上値を抑えられていた25日移動平均線(13.64倍)を上回ってきたことで、NTショートを巻き戻す動きが入りやすくなったとみられる。75日線(13.71倍)が抵抗線として意識されやすく、同線を上抜けてくるかを見極めたいとこである。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が2万5280枚、ソシエテジェネラル証券が1万7337枚、サスケハナ・ホンコンが4734枚、JPモルガン証券が3240枚、野村証券が2826枚、バークレイズ証券が2704枚、SBI証券が2466枚、ゴールドマン証券が1960枚、日産証券が1609枚、みずほ証券が1546枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が2万6368枚、ソシエテジェネラル証券が2万1456枚、JPモルガン証券が7756枚、バークレイズ証券が7690枚、モルガンMUFG証券が3681枚、野村証券が3239枚、ゴールドマン証券が3111枚、ビーオブエー証券が2331枚、シティグループ証券が2009枚、サスケハナ・ホンコンが1294枚だった。
本日のニューヨーク為替市場では、いつも以上にトランプ米大統領の発言に警戒が必要か。経済指標では1-3月期米GDPやコアPCE、週間の失業率データが発表予定。また、複数名の米金融当局者の講演が序盤から終盤まで予定されている。
東京午前にドル買い円売りの勢いを強めたのは、米・国際貿易裁判所がトランプ大統領の「解放の日」関税を差し止め、との報道が伝わったこと。裁判所は、輸入品への全面的な課税は大統領権限を逸脱していると判断。トランプ関税の大部分が停止されることで、世界経済の減速懸念が一気に後退し、リスク志向ムードが広がった。
もっとも、異なる権限に基づいてトランプ大統領が賦課した「鉄鋼・アルミニウム、そして自動車」への関税には影響がないもよう。そうなると、たとえ今回の裁定が実行されたとしても、日本などは手放しで喜べない。
トランプ政権は既に国際貿易裁判の判断を控訴しており、最終的な司法決定は連邦高裁を経て連邦最高裁までもつれ込みそうだ。関税はトランプ大統領が政策の核としてきたものであり、今回の件で相当プライドを傷つけられた感じているだろう。大統領の怒りはかなりのものと予想され、今後は司法に対して厳しい圧力をかけてくるのではないか。
時間外では米株先物指数は堅調に推移したものの、トランプ大統領の出方次第では国内の混乱が拡大する恐れはある。新たな関税策を打ち出してくるかもしれず、単純にリスクオンという流れにはならないかもしれない。
経済指標については、1-3月期GDPなどは改定値であり、速報値から大きく振れない限り相場インパクトは弱そうだ。ただし、速報値でGDP(前期比年率)は小幅なプラス予想からマイナスに沈んだ。この辺りの結果には目を向けておきたい。
なお、予定されている金融当局者の発言は、バーキン米リッチモンド連銀総裁から始まり、グールズビー米シカゴ連銀総裁、クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁まで続く。
想定レンジ上限
・ドル円、本日高値146.28円を超えると15日高値146.75円。
想定レンジ下限
・ドル円、本日安値144.76円を割り込むと日足一目均衡表・雲の下限143.83円。
米連邦裁判所がトランプ関税を違法と判断したことを受けて、トランプ政権は控訴を申し立てたと一部通信社が報じている。
今晩は堅調か。昨日は引け後のエヌビディアの決算発表を控えて様子見姿勢が強まる中、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で目先の利下げに慎重な姿勢が示されたことや、米30年債利回りが一時5.0%超まで上昇したことも重しとなり主要3指数が下落。ダウ平均が244.95ドル安(-0.58%)、S&P500が0.56%安、ナスダック総合が0.51%安とそろって反落した。
引け後に決算を発表したエヌビディアは予想を上回る2-4月期決算やデータセンター事業が前年同期比73%の大幅増収となったことが好感され時間外で約5%高となった。また、関税問題では米国際貿易裁判所が、トランプ米大統領が大統領権限で発動した「相互関税」などを違憲だとして差し止めを命じた。
今晩の取引ではエヌビディアの大幅高が見込まれハイテク株を中心に堅調な展開が期待されるほか、裁判所が「相互関税」の差し止めを命じたことで貿易摩擦への警戒感が和らぐことも期待されることで、リスク選好の高まりを背景に堅調な展開が期待できそうだ。経済指標では、寄り前に発表される1-3月期国内総生産(GDP)改定値や新規失業保険申請件数が注目される。4月下旬に発表された1-3月期GDP速報値は予想に反してマイナス成長となったことで景気後退懸念を強めたが、改定値が一段の悪化となれば、景気後退懸念が強まることに要警戒となる。
今晩の米経済指標・イベントは1-3月期GDP改定値、新規失業保険申請件数のほか、4月中古住宅販売仮契約指数、EIA週間原油在庫など。企業決算は寄り前にベストバイ、ホーメル・フーズ、引け後にコストコ・ホールセール、アルタ・ビューティー、デル・テクノロジーズなどが発表予定。
日経平均株価は大幅反発。高寄りのあとも上値を試す展開となり、前日陰線を逆上がりする陽線を形成した。ほぼ高値引けとなり、5/13につけた終値ベースの直近高値(38183円)を上回って終えた。
RSI(9日)は前日の48.9%→64.9%(5/29)に上昇。4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇継続の判断となる。75日移動平均線(36804円 5/28)が依然として下落基調にあることで株価の上値を限定的にする要因になるが、きょうで200日移動平均線(37795円 同)を上回った。目先的には5日移動平均線(37714円 同)の強い上昇を支えに上値を試す展開が想定される。
5月前半には、終値ベースで3/26につけた急落前の戻り高値(38027円)を更新し、4月前半の安値を先端とした「スパイクボトム(V字)」が完成した。その後、微調整にとどまりながら直近高値を超えてきたことで、意外高のシナリオも想定しておきたい。
上値メドは、心理的節目の39000円、心理的節目の39500円、2/13高値(39581円)、心理的節目の4万円、1/24高値(40279円)などがある。下値メドは、5日移動平均線、心理的節目37500円、25日移動平均線(36942円 同)、心理的節目の36500円や36000円などがある。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は29日、トランプ米大統領とホワイトハウスで会談を行った。成長や雇用、インフレなどが議題となり、FRB議長は「政策設定は客観的な分析にのみ基づく」「政策軌道は最新のデータと見通し次第」などと説明したようだ。
米財務省によると、7年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが4.194%、応札倍率(カバー)が2.69倍となった。
(29日終値:30日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=144.04円(29日15時時点比▲1.89円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.88円(▲0.20円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1376ドル(△0.0132ドル)
FTSE100種総合株価指数:8716.45(前営業日比▲9.56)
ドイツ株式指数(DAX):23933.23(▲104.96)
10年物英国債利回り:4.648%(▲0.079%)
10年物独国債利回り:2.508%(▲0.046%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月トルコ貿易収支
120.9億ドルの赤字 71.9億ドルの赤字・改
4月南アフリカ卸売物価指数(PPI)
(前月比) 0.5% 0.6%
(前年比) 0.5% 0.5%
南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利
7.25%に引き下げ 7.50%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は売り優勢。米関税政策の先行きに関しては不透明感が根強いこともあり、アジア時間に進んだドル買いの動きが巻き戻された。この日発表された米経済指標が全般にさえない結果となり、米長期金利の低下とともに一時143.97円まで本日安値を更新した。
なお、米国際貿易裁判所によるトランプ関税の一部差し止め命令について、米ホワイトハウス報道官は「司法の行き過ぎの例だ」と述べて、この問題が最高裁に持ち込まれた場合は「最高裁は米大統領に有利な判断を下さなければならない」との考えを示した。
・ユーロドルは堅調。全般にドルの売り戻しが強まった流れに沿って、2時30分過ぎには1.1384ドルまで値を上げた。NY時間にはパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がトランプ米大統領と会談を行ったとの報道が伝わったが、FRB議長が「政策軌道は最新のデータと見通し次第」と説明したことに対し、米大統領は「金利を引き下げないのは間違い」と従来の主張を繰り返したようだ。
・ユーロ円は神経質な値動き。15時過ぎに164.26円まで上昇する場面があったものの、その後はドル円の失速につれて163.35円まで売りに押された。売りが一巡すると163円台後半まで買い戻しが入るなど、163円台後半を中心としたレンジ内で神経質に上下した。
・ロンドン株式相場は小幅続落。トランプ関税の違法判断を受けて、貿易摩擦が世界経済を下押すとの懸念が和らいだ。投資家心理の改善で寄り付き直後は買いが入ったものの、米関税関連の報道を材料視する向きは限定的だった。公共事業やコミュニケーション・サービスセクターなどが下落し、相場の重しとなった。
・フランクフルト株式相場は続落。小高く始まったものの、他の欧州株やダウ平均などの下落につれて終盤に下げに転じた。個別ではシーメンス(2.25%安)やザランド(2.25%安)、ハイデルベルク・マテリアルズ(2.10%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は上昇。米債券高につれた。
29日の日経平均は大幅反発。終値は710円高の38432円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1117/値下がり437。エヌビディアの好決算を受けて、アドバンテスト、東京エレクトロン、ディスコなど半導体株が大幅上昇。フジクラや住友電工など電線株にも強い動きが見られた。円安進行を追い風にトヨタや日産自動車など自動車株が軒並み高。自動車保険料値上げ観測を受けて、東京海上やMS&ADなど損保株に資金が向かった。政府の下水道更新工事に関する観測記事を材料に、日本ヒュームや日本鋳鉄管が関連銘柄として値を飛ばした。
一方、円高メリット銘柄とみられている神戸物産やニトリHDが、円安進行を嫌気して強めの下落。住友不動産や野村不動産など不動産株が弱かった。大型株優位の地合いの中、メタプラネットやフィスコなど中小型の暗号資産関連が大幅安。タマホームや東武住販など5月決算銘柄が、権利落ちの影響で大きく水準を切り下げた。
注目の米エヌビディアの決算を好感して、日経平均は大幅上昇。半導体株や電線株が大きく上昇し、半導体株以外にも強い動きが見られた。きのうは38000円より上では買いが続かなかったが、きょうは安値が38035円で、終日38000円より上で推移した。スタンダード指数が史上最高値を更新しており、TOPIXも3月につけた今年の高値に接近。日本株全体で水準が切り上がっている。本日の米国株が上昇するであろうことは織り込み済みであるだけに、あす一段高となるハードルは高い。ただ、下げたとしても利益確定売りの範ちゅうにとどまり、地合いが悪化することはないだろう。プラスで推移する展開も十分期待できるだけに、今週のうちに5月13日につけた直近高値の38494円を上回ることができるかに注目したい。
(29日終値)
ドル・円相場:1ドル=144.21円(前営業日比▲0.63円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.92円(△0.37円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1370ドル(△0.0078ドル)
ダウ工業株30種平均:42215.73ドル(△117.03ドル)
ナスダック総合株価指数:19175.87(△74.93)
10年物米国債利回り:4.42%(▲0.06%)
WTI原油先物7月限:1バレル=60.94ドル(▲0.90ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3343.9ドル(△21.5ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
1-3月期米国内総生産(GDP)改定値
(前期比年率) ▲0.2% ▲0.3%
個人消費改定値
(前期比年率) 1.2% 1.8%
コアPCE改定値
(前期比年率) 3.4% 3.5%
前週分の米新規失業保険申請件数
24.0万件 22.6万件・改
4月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数)
(前月比) ▲6.3% 5.5%・改
(前年比) ▲3.5% ▲0.7%・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は4営業日ぶりに反落。米関税政策の先行きに関して不透明感が根強いこともあり、アジア時間に進んだドル買いの動きが巻き戻された。この日発表された米経済指標が全般にさえない結果となったことも相場の重しとなり、米長期金利の低下とともに3時過ぎには143.96円まで下押しした。
なお、トランプ米政権は米国際貿易裁判所によるトランプ関税の一部差し止め命令に対して即日控訴。NY時間の午後には連邦巡回控訴裁判所がトランプ政権の申請を受けて、米国際貿易裁判所の差し止め命令を一時停止する判断を下したと伝わった。
・ユーロドルは3営業日ぶりに反発。全般にドルの売り戻しが強まった流れに沿って、一時1.1385ドルまで上値を伸ばした。また、NY時間にはパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がトランプ米大統領と会談を行ったとの報道が伝わったが、FRB議長が「政策軌道は最新のデータと見通し次第」と説明したことに対し、米大統領は「金利を引き下げないのは間違い」と従来の主張を繰り返したようだ。
・ユーロ円は4日続伸。ドル円の失速につれて163.35円まで売りに押される場面があったものの、ユーロドルが上昇した影響も受けたため、その後は164.03円付近まで反発。もっとも、164円台の定着に失敗すると163円台後半でのもみ合いに転じた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は反発。半導体大手エヌビディアの決算が予想を上回る増収増益となったこと、米裁判所がトランプ関税の一部差し止めを命じたことなどを好感した買いが入った。ただ、米関税政策については不透明感も根強く、積極的に上値を試す展開にはならなかった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も反発した。
・米国債券相場で長期ゾーンは反発。この日発表された米経済指標が全般にさえない結果となったことが債券買いを誘ったほか、7年債入札が「好調」と受け止められたことも相場を下支えした。
・原油先物相場は反落。この日発表された米経済指標が全般にさえない結果となったほか、国際エネルギー機関(IEA)のビロル事務局長が中国の石油需要はかなり弱いとの見解を示したことから、需給の緩みが懸念されて売りが優勢となった。
・金先物相場は上昇。この日発表された米経済指標が全般にさえない結果となり、米景気の先行き懸念が広がるとドルが全般的に売られた。これを受け、ドル建てで取引される金の投資妙味が高まり買いが優勢となった。米関税政策については不透明感が根強いことも、金の上昇を後押ししたもよう。
米高裁は29日、トランプ関税の当面の効力を認めた。一部報道が伝えた。
29日07:01 ホークスビー・ニュージーランド準備銀行(RBNZ)総裁
「変化に対応する体制は整っている」
「金利は中立水準に近い」
29日14:31 加藤財務相
「足下の市場で超長期金利が大きく上昇した」
「市場を意識した財政運営が求められている」
「経済の再生を図りながら、財政の健全化を目指す」
「G-7会議では、関税に関して建設的な議論が行われた」
「ベッセント米財務長官と為替水準に関して議論しなかった」
29日14:45 赤沢経済再生相
「日米双方の利益となる合意実現に向けて協議する」
「引き続き米関税措置の見直しを求める」
「米裁判所の判断の協議への影響は予断を持って答えることは控える」
29日21:21 ハセット米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長
「関税に関する裁判所の決定は覆されるだろう」
「トランプ政権は関税について様々な選択肢を持っている」
「関税への裁判所判断は貿易協定に影響しない」
「今後数週間でさらなる貿易協定の締結を見込む」
29日22:17 南アフリカ準備銀行(SARB、中央銀行)声明
「2025年のCPIは3.2%と予測、前回の3.6%から下方修正」
「基礎的なインフレは抑制されている」
「ランドを巡る環境は3月から落ち着いた」
「1人のメンバーが50bpの利下げを主張」
29日22:38 石破首相(日米首脳電話会談後に)
「米国の関税措置に関する日米協議について意見交換」
「必要ならサミット前に訪米する可能性も」
29日23:54 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「合意などによって関税が回避されれば、金利が下がる状況に戻る可能性がある」
30日00:04 ベイリー英中銀(BOE)総裁
「貿易と金融サービスにおけるEUとのより緊密な連携を期待」
「非関税障壁の削減によって、我が国の金融市場の開放性を高めることにはメリットがある」
「マネー・マーケット・ファンドの耐性強化に向けて、英国とEUの中央銀行間の緊密な協力が継続されることを期待」
「英国とEU間の貿易再建に向けた現英国政府の取り組みは歓迎すべき一歩」
30日02:37 レビット米ホワイトハウス報道官
「トランプ米大統領は、パウエル米FRB議長に対し金利を引き下げないのは間違いだと言った」
「貿易政策のほかの手段を検討中」
「大統領は関税に関してほかの権限を持っている」
「米国の貿易政策は継続する」
※時間は日本時間
<国内>
○08:30 ◎ 4月完全失業率(予想:2.5%)
○08:30 ◎ 4月有効求人倍率(予想:1.26倍)
○08:30 ◎ 5月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合、予想:前年比3.5%)
○08:50 ◎ 4月鉱工業生産速報(予想:前月比▲1.4%/前年比0.1%)
○08:50 ◇ 4月商業販売統計速報(小売業販売額、予想:前年比3.1%)
○14:00 ◇ 4月新設住宅着工戸数(予想:前年比▲18.3%)
○19:00 ◇ 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
<海外>
○07:45 ◎ 4月ニュージーランド(NZ)住宅建設許可件数
○09:25 ◎ ローガン米ダラス連銀総裁、あいさつ
○10:30 ◎ 4月豪小売売上高(予想:前月比0.3%)
○10:30 ◎ 4月豪住宅建設許可件数(予想:前月比3.0%)
○15:00 ◎ 4月独小売売上高(予想:前月比0.2%/前年比▲1.8%)
○15:00 ◎ 1-3月期スウェーデン国内総生産(GDP、予想:前期比0.1%)
○16:00 ◇ 5月スイスKOF景気先行指数(予想:98.4)
○16:00 ◎ 1-3月期トルコGDP(予想:前年比2.3%)
○16:00 ◇ 4月トルコ失業率
○16:30 ◎ ミュラー・エストニア中銀総裁、講演
○17:30 ◎ パネッタ伊中銀総裁、講演
○19:30 ☆ 1-3月期インドGDP(予想:前年同期比6.7%)
○21:00 ◎ 5月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.1%/前年比2.0%)
○21:00 ◎ 4月南アフリカ貿易収支(予想:178億ランドの黒字)
○21:00 ☆ 1-3月期ブラジルGDP(予想:前期比1.4%/前年同期比3.2%)
○21:00 ◇ 4月メキシコ失業率(季節調整前、予想:2.55%)
○21:30 ☆ 3月カナダGDP(予想:前月比0.1%/前年比1.6%)
☆ 1-3月期カナダGDP(予想:前期比1.7%)
○21:30 ◎ 4月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.2%)
◎ 4月米個人所得(予想:前月比0.3%)
☆ 4月米PCEデフレーター(予想:前年比2.2%)
☆ 4月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.1%/前年比2.5%)
○21:30 ◇ 4月米卸売在庫(予想:前月比0.4%)
○22:45 ◎ 5月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:45.0)
○23:00 ◎ 5月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:51.0)
○31日05:45 ◎ デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
29日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米経済指標が全般にさえない結果となり、米長期金利の低下とともに143.96円まで下押しした。ユーロドルは、全般にドルの売り戻しが強まった流れに沿って、1.1385ドルまで上値を伸ばした。ユーロ円は、ドル円の失速につれて163.35円まで下落後、ユーロドルの上昇を受けて164.03円付近まで反発した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、全国5月の消費者物価指数の先行指標となる5月東京都区部CPIを見極め、今夜発表される米4月PCEデフレーターを待つ展開となる。
昨日のドル円は、米国際貿易裁判所(共和党政権指名判事3名対民主党政権6名)によるトランプ関税の一部差し止め命令を受けて146.28円まで上昇したが、トランプ米政権が即日控訴し、連邦巡回控訴裁判所が差し止め命令を一時停止する判断を下したことなどで、144円割れまで反落している。今後もトランプ関税に関するヘッドラインに警戒しておきたい。
差し止め命令に関しては、連邦最高裁判所(共和党政権指名6名対民主党政権3名)の判断に委ねられることも考えられる。
8時30分に発表される5月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合)は、前年比+3.5%と予想されており、4月の同比+3.4%からの上昇が見込まれている。全国5月のコアCPI(生鮮食品を除く)の先行指標となるため、予想通りに上昇していた場合は、日銀の早期利上げ観測が高まることになる。
翌日物金利スワップ(OIS)市場が織り込む日銀の追加利上げ時期は、先日の日銀金融政策決定会合でのハト派的据え置きを受けて、今年10月以降まで先延ばしされている。
昨日、トランプ米大統領が就任後初めてパウエルFRB議長と会談し、改めて利下げを要請した。先日、植田日銀総裁は「足もとの物価上昇、ユーロ圏や米国より高くなっている」と述べたが、日本のインフレ率は最高で、政策金利は最低となっている。
《総合消費者物価指数》 《政策金利》
・日本銀行(BOJ):+3.5% 0.50%
・米連邦準備理事会(FRB):+2.3% 4.25-50%
・欧州中央銀行(ECB): +2.2% 2.40%
・イングランド銀行(BOE):+3.5% 4.25%
・カナダ銀行(BOC):+1.7% 2.75%
・豪準備銀行(RBA):+2.4% 3.85%
・NZ準備銀行(RBNZ):+2.5%(Q4) 3.25%
ちなみに、今夜発表される4月の米PCEデフレーターは前年比+2.2%と予想されており、3月の同比+2.3%からの伸び率の鈍化が見込まれている。米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している指標がインフレ目標2%に接近しつつあることで、明朝に予定されているデイリー米サンフランシスコ連銀総裁の講演での言及に注目することになる。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 37900 -510 (-1.32%)
TOPIX先物 2778.5 -29.5 (-1.05%)
シカゴ日経平均先物 37915 -495
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
29日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。前日の取引終了後に良好な四半期決算を発表したエヌビディア<NVDA>が買われ、相場を支える形になった。トランプ米大統領の関税措置を巡り、米国際貿易裁判所が違法の判断を下したことで、米関税引き上げへの警戒感が和らいだとの見方もあった。ただし、米政権側は直ちに控訴しており、輸入関税が維持されるかどうかを巡る争いは長期化するとの見方など不透明感は根強く、上値の重さが意識された。
S&P500業種別指数は、半導体・同製造装置、医薬品・バイオテクノロジー、不動産が上昇した一方で、運輸、テクノロジー・ハード・機器、メディアが下げた。NYダウ構成銘柄では、エヌビディア、ボーイング<BA>、アムジェン<AMGN>、シェブロン<CVX>、ジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ>が買われた。半面、セールスフォース<CRM>、IBM<IBM>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、ナイキ<NKE>が軟調。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比495円安の3万7915円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは日中比40円安の3万8370円で始まった。直後につけた3万8390円を高値にショート優勢の流れが強まり、米国市場の取引開始時には3万8000円を割り込んで3万7720円まで売られる場面もみられた。売り一巡後は膠着感が強まり、終盤にかけては3万7720円~3万7960円辺りでの保ち合いが続き、3万7900円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、売り先行で始まることになろう。エヌビディアは3%超の上昇となったが、前日の時間外取引で一時5%を超える上昇をみせていたこともあり、利食いに向かわせやすいだろう。昨日は米裁判所がトランプ関税の一部差し止めを命じたことがアルゴ発動につながり、日経225先物は700円を超える上昇となったが、米連邦巡回控訴裁判所が29日午後に米国際貿易裁判所の差し止め命令を一時停止する判断を下したと報じられており、前日の上昇に対する反動安が意識されやすい。
まずは売り一巡後の底堅さを見極めることになりそうである。ナイトセッションで一時3万7720円まで売られており、再びボリンジャーバンドの+1σ(3万8030円)を下回った。200日移動平均線(3万7510円)が支持線として意識されるため、同線に接近する局面では押し目待ち狙いのロングが入りやすい。+1σ水準での攻防になりそうであるが、同バンドと200日線とのレンジ内においては、ロングでの対応を意識しておきたい。
週足では26週線が3万7620円、52週線は3万7840円辺りに位置しており、終値で両線を上回ってくるかが注目される。クリアしてくるようだと、週足ベースにおいても来週以降は+1σ(3万7780円)と+2σ(3万9190円)とのレンジに移行する可能性が高まる。一方で、抵抗線として意識されるようだと、26週・52週線水準での戻り待ち狙いのショートが強まるだろう。
そのため、オプション権利行使価格の3万8000円を中心とした上下の権利行使価格となる3万7500円から3万8500円でのレンジを想定する。
29日の米VIX指数は19.18(28日は19.31)に低下した。一時20.20まで上昇する場面もみられたが、その後は200日線(19.57)が抵抗線として機能する形となり、判断の分かれ目となる20.00を下回っての値動きだった。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.67倍(28日は13.60倍)に上昇した。足もとで上値を抑えられていた25日線(13.64倍)を上回ってきたことで、NTショートを巻き戻す動きが入りやすくなったとみられる。本日は前日の上昇に対するリバランスが入りやすく、25日線をキープできるかが注目される。
東京市場は軟調か。米国株は上昇。ダウ平均は117ドル高の42215ドルで取引を終えた。エヌビディアの好決算を受けて買いが優勢となったが、下げに転じる場面もあるなど、場中の動きは不安定となった。米国際貿易裁判所がトランプ大統領の「相互関税」を違法として差し止めを命じたが、トランプ政権が控訴したことで差し止め判決が一時停止となり、関税を巡る不透明感が強まった。ドル円は急速に円高(ドル安)が進んでおり、足元143円90銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて495円安の37915円、ドル建てが470円安の37940円で取引を終えた。
決算を受けたエヌビディアは3%を超える上昇となったが、時間外の動きとの比較では物足りなさもある。日本株は米国株が上昇することを見越してきのう先回りで強く買われていただけに、きょうは米国株高は好感できず、円高を嫌気して大きく売られると予想する。CME225先物からは、38000円割れからのスタートも想定される。場中は円高に一服感が出てくるようなら押し目買いが入るとみるが、円高が続くようなら買い手控えムードが強まりやすい。きのうの反動が大きく出て、下押し圧力の強い地合いが続くだろう。日経平均の予想レンジは37800-38100円。
昨日の海外市場では、米長期金利が一転して急低下。ドルが全面的に戻り売りに押される展開となりました。ドル円は146円台の戻りの鈍さを確認すると利食い売りが先行。東京時間高値からの下押しレベルとして意識されていた145.60円を下抜けると下げ足を速めて下値を試す展開に。NY時間に入ってからは1‐3月期米GDP改定値がヘッドラインこそ予想を上回ったものの、内訳の個人消費やコアPCEが予想を下回る弱い数字となると米10年債利回りが4.5370%から一気に4.4121%まで急激な低下。米控訴裁判所が米相互関税を審議中の一時的復活を認めたことも戻り売りを後押し。一時143.96円まで値を下げることになりました。
アジア時間に入ってからは、5月東京都区部CPIが予想を上回ると143.59円まで下落。月末とあって仲値にかけては本邦実需の買いが観測されると144.04円まで買戻される場面もみられましたが、WSJが「トランプ政権は15%関税を150日間賦課出来るプランを検討している」と報じたことを受けて再び143.44円まで値を下げることになりました。ただ、その後は143.99円まで買戻されるなど、神経質な動きを続けています。
いずれにしても、ドル円は週末の終値ベースで一目雲下限の143.76円を維持出来るかどうかがポイントとなっていますが、あくまでも買戻しモードに入っているという認識のもとで考えていきたいところ。相変わらず、トランプ関税絡みのネタで振り回されてはいるものの、市場ではしっかりとした実需のビッドが引いていないなか、方向性をしっかりと捉えていくことになります。それにしても、上下に激しく振らされた、市場参加者の体力も気力も根こそぎ削ぎ落す難しい5月相場が終わろうとしています。
日経225先物は11時30分時点、前日比500円安の3万7910円(-1.30%)前後で推移。寄り付きは3万7850円と、シカゴ日経平均先物(3万7915円)にサヤ寄せする形から、売り先行で始まった。現物の取引開始後ほどなくして、3万7750円まで下げ幅を広げた。ただし、ナイトセッションでつけた安値(3万7720円)は割り込まず、終盤にかけては3万7950円まで下げ幅を縮めている。
売り一巡後は下げ幅をやや縮めたものの、リバウンド狙いのロングの動きは限られ、200日移動平均線(3万7510円)とボリンジャーバンドの+1σ(3万8030円)での狭いレンジ内で推移している。膠着ながらもこのレンジの上限近辺で推移しているため、+1σの突破を試す動きは意識されそうだ。朝方の下げで前日の急伸に対する持ち高調整の動きは一巡したと考えられ、仕切り直しによるロングの動きを見極めたいところであろう。
NT倍率は先物中心限月で13.57倍に低下して推移。前日に突破していた25日線(13.64倍)を割り込んで始まると、その後は-1σ(13.56倍)まで下げてきた。リバランスも一巡したとみられるなか、反転をみせてくる可能性はありそうだ。
「国家の緊急事態への適切な対処を判断するのは選挙で選ばれたわけでない判事の仕事ではない」(ホワイトハウスのデサイ報道官)
5月28日、米国際貿易裁判所(共和党政権3名対民主党政権6名)は、トランプ大統領の世界的な関税措置を巡り、その多くの部分について違法だとして阻止する判断を下し、米政権側に10日以内に関税を止めるための行政命令を出すよう求めた。
トランプ米政権は、判断を不服として連邦巡回控訴裁判所に控訴し、差し止め命令が一時停止する判断が下された。最終的には連邦最高裁判所(共和党政権6名対民主党政権3名)の判断に委ねられることも考えられる。
トランプ米大統領は「米連邦最高裁が米国際貿易裁判所の判断を覆すと期待している」と述べている。
1.トランプ米政権の準拠法「国際緊急経済権限法」
2025年4月2日、トランプ米大統領は、貿易相手国に対する相互関税を課すと発表した。全ての輸入品に対し一律10%の関税を課した上で、各国の関税および非関税障壁を考慮し、国・地域別に税率を上乗せする。トランプ米大統領は「これはわれわれの独立宣言だ。われわれはついに米国を第一にする。貿易赤字はもはや単なる経済問題ではない。国家緊急事態だ」と宣言した。関税引き上げの法的根拠には、緊急事態の宣言により、関税に関する広範な権限を大統領に与える「国際緊急経済権限法(IEEPA)」を挙げた。IEEPAは、特定の緊急事態下でさまざまな金銭取引に関する権限を大統領に付与する。
トランプ米大統領は、米国が抱える「大幅で持続的な」貿易赤字が国家安全保障および経済に対する「異例かつ並外れた脅威」に当たるとして、同法を用いて関税を導入することが許されると主張している。
■国際緊急経済権限法(IEEPA:International Emergency Economic Powers Act)
1977年10月28日より施行された米国の法律であり、国家の非常時において米国大統領に輸入管理の権限を与えている。
・目的:国家安全保障や外交政策に対する異例かつ重大な脅威に対応することである。
・権限:攻撃を企む外国の組織もしくは外国人の資産没収(米国の司法権の対象となる資産)、外国為替取引・通貨及び有価証券の輸出入の規制・禁止。
2. 米国際貿易裁判所(Court of International Trade)
国際貿易裁判所の3人の判事から成るパネルは、米憲法上、関税引き上げは連邦議会の権限であり、トランプ米大統領が関税措置を正当化するために国際緊急経済権限法を適用したのは不適切だとする民主党主導の州や中小企業グループの主張を支持した。
9名の判事は、3人がトランプ第45代米大統領、4名がオバマ第44代米大統領、2名がバイデン第46代米大統領によって指名されており、今回の決定は、民主党政権で指名された3名の判断だと思われる。
■適用範囲
・トランプ関税措置の大部分(貿易相手国・地域に対する一律関税、中国などに対する高率関税、中国およびカナダ、メキシコに対する合成麻薬フェンタニルに関連した関税)
■適用外
・通商拡大法232条や通商法301条など異なる権限に基づいて鉄鋼・アルミニウム、自動車に賦課された関税
本日のロンドン為替市場のユーロドルは、5月独消費者物価指数(CPI)速報値を見極めた後は、月末のロンドンフィキシングに向けたフローや欧米通商交渉関連のヘッドラインに警戒していく展開が予想される。
5月ユーロ圏の消費者物価指数(HICP)の先行指標としての5月独CPI速報値は、前月比+0.1%、前年比+2.0%と予想されている。先日発表された5月仏CPI速報値は前年比+0.7%だった。
来週6月3日にユーロ圏5月の消費者物価指数(HICP)速報値が発表され、4-5日に欧州中央銀行(ECB)理事会が開催される。
ユーロ圏5月HICPが4月の前年比+2.2%からさらに伸び率が鈍化して、ECBのインフレ目標2%に接近した場合、ECB理事会での追加利下げ観測が高まることになる。
28日に、欧州連合(EU)欧州委員会のセフコビッチ委員(通商担当)は、ラトニック米商務長官と航空宇宙、鉄鋼、半導体、重要鉱物などの分野で協力する可能性について協議し、29日も関税を制限する取引を模索するために電話で協議した、と報じられている。
ベッセント米財務長官は、EUとの通商交渉が難航している要因として、「欧州の一部諸国は不公平なデジタルサービス税を米国に対して課している」ことを挙げていた。
トランプ米大統領は、「合意に至らない、もしくはわれわれが不当な扱いを受ければ、私に米国との貿易を巡るディールを成立させる権限があることを忘れてはならない」と警告しており、交渉が難航して、決裂するリスクにも警戒しておきたい。
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1440ドル(4/23高値)
・ユーロ円:165.21円(5/13高値)
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.1210ドル(5/29安値)
・ユーロ円:162.68円(日足一目均衡表・転換線)
ドル円:1ドル=143.82円(前営業日NY終値比▲0.39円)
ユーロ円:1ユーロ=163.25円(▲0.67円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1350ドル(▲0.0020ドル)
日経平均株価:37965.10円(前営業日比▲467.88円)
東証株価指数(TOPIX):2801.57(▲10.45)
債券先物6月物:139.09円(△0.14円)
新発10年物国債利回り:1.500%(▲0.015%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月完全失業率
2.5% 2.5%
4月有効求人倍率
1.26 1.26倍
5月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合)
前年同月比 3.6% 3.4%
4月鉱工業生産・速報値
前月比 ▲0.9% 0.2%
前年同月比 0.7% 1.0%
4月商業販売統計速報(小売業販売額)
前年同月比 3.3% 3.1%
4月新設住宅着工戸数
前年同月比 ▲26.6% 39.1%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は弱含み。米関税政策を巡る根強い不透明感から昨日の海外市場で円買い・ドル売りが活発化した流れを引き継いだ。5月の東京都区部CPI(生鮮食料品除く総合)が市場予想を上回ったことや、日経平均株価が軟調な動きとなったことが重しとなったほか、月末、5・10日(ゴトー日)の仲値にかけては一部金融機関で余剰(金融機関のドル売り)になると一時143.44円まで下落。WSJが「トランプ政権は15%関税を150日間賦課出来るプランを検討している」と報じたことも嫌気された。一巡後は143円台後半を中心としたもみ合いとなった。
・ユーロ円も弱含み。ドル円の下落や日本株安を受けて円高・ユーロ安が進み、一時163.11円まで値を下げた。また、ポンド円は193.63円、豪ドル円は92.37円、NZドル円は85.74円まで下げるなどクロス円は総じて弱かった。
・ユーロドルは頭が重い。ドル円の下落を受けて1.1390ドルまで買いが先行したものの、その後はユーロ円の下げに引きずられ1.1339ドルまで売りに押された。
・日経平均株価は反落。米関税政策を巡る不透明感が投資家心理の悪化につながった。外国為替市場での円高も嫌気され、指数は一時680円超下落した。もっとも、一巡後は押し目買いが入るなど下げ渋った。
・債券先物相場は続伸。昨日の米国債券相場が上昇した影響から買いが先行し、一時139.35円まで値を上げた。もっとも、一巡後は持ち高調整の売りが出て139円を割り込む場面も見られた。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
南ア・ランドはなぜか強いが、不安要因山積で中銀は利下げ再開
金価格の上昇や投資妙味の高さが影響も、実体経済やファンダメンタルズの脆弱さには課題が多い
南アフリカ準備銀行(SARB)は、29日の定例会合で政策金利を25bp引き下げ7.25%とする決定を行った。昨年後半以降の利下げ局面で4回目、累計100bpの利下げとなる。インフレがSARBの定める目標の下限近傍で推移している上、足元のランド相場が底入れしていることも利下げを後押ししている。他方、慢性的な電力不足やトランプ関税など外部環境を巡る不透明感が実体経済の足かせとなっている。
SARBは、声明文で成長率とインフレ見通しをともに下方修正し、政策金利のさらなる引き下げ余地も示唆した。なお、実体経済を巡る不透明要因が山積しているにもかかわらずランド相場は堅調に推移しており、金価格の上昇や実質金利の高さによる投資妙味の高さが影響している可能性がある。しかし、近年は金の産出量が減少しており、金価格との連動性には限界がある。SARBは今後も慎重な政策運営を維持する見通しだが、実体経済の不透明さやファンダメンタルズの脆弱さが南アランドの足かせになるであろう。
モルガン・スタンレーは最新リポートで、中国本土における自動車価格の競争激化が、需給不均衡によるデフレの悪化を浮き彫りにしていると指摘した。経済の再均衡の必要性を訴える声は強まっているが、旧来の供給主導モデルがなお根強く残っており、再インフレの実現は引き続き難しいとの見方を示した。『インフォキャスト』が29日伝えた。
中国では昨年末以降、「内巻化(限られた資源・機会を巡る過度な競争)」に反対する論調が政策当局や国営メディアを通じて発信されている。製造業向け融資の鈍化、過剰生産分野への投資減速、工業利益の小幅な改善などが再均衡の初期的な進展とされる中、ある中国の有力電気自動車(EV)メーカーが今月27日に大幅値下げを実施。市場の混乱を招くとともに、中国経済の成長や物価回復の見通しを巡る議論が再燃している。
モルスタは、工業利益の統計を精査すれば、構造的な需給不均衡が依然として物価上昇を阻んでいることがわかると指摘。かつてのような債務主導型の景気刺激策はすでに終焉を迎えており、再均衡と再インフレは現在、社会保障の改善、債務再編、税制改革、成長を促す規制環境の整備など、構造的取り組みとほぼ同義になっているとした。こうした改革は実施の難度が高く、短期的な再インフレの実現は困難で、長期的にも険しい道のりになると予想した。
大和証券では5月の日本株を振り返り、6月について考察している。5月(29日まで)のセクター動向は、好調な業績などから非鉄金属、機械、個別に材料があった倉庫・運輸関連がそれぞれアウトパフォームする一方、燃料コストの上昇などから電気・ガス、原燃料価格の高騰などからパルプ・紙、利益率の低下懸念などから鉄鋼が、それぞれアンダーパフォームしたとのこと。大和では、6月のTOPIXはやや上値の重い展開となる可能性があると考えている。セクターでは、金融業、ITシステム、電気機器、精密機器などのアウトパフォームを予想している。
ベッセント米財務長官は29日、米国と中国の貿易協議が「やや停滞している(a bit stalled)」と述べた。米『FOXニュース』のインタビューで、合意成立にはトランプ米大統領が中国の習近平国家主席が直接関与する必要があるとして、両国首脳の電話会談が「いつかは」実現する見通しを示した。
米国と中国は10-11日にスイスで行った高官協議で、相互に発動した高率の関税を90日間停止し、経済・貿易協議の枠組みを構築することで合意した。ベッセント氏は、その後の協議は想定していたほど進展していないと認めたものの、「米中首脳の関係は非常に良好で、トランプ大統領が自身の意向を示せば、中国側は交渉の席に着くと確信している」と述べた。
大阪6月限
日経225先物 37960 -450 (-1.17%)
TOPIX先物 2797.5 -10.5 (-0.37%)
日経225先物(6月限)は前日比450円安の3万7960円で取引を終了。寄り付きは3万7850円と、シカゴ日経平均先物(3万7915円)にサヤ寄せする形から、売り先行で始まった。現物の取引開始後ほどなくして3万7750円まで下げ幅を広げた。
ただし、ナイトセッションでつけた安値(3万7720円)は割り込まず、前場終盤にかけては3万7950円まで下げ幅を縮めた。その後は3万7830円~3万7950円辺りでの保ち合いを継続。後場中盤辺りからリバウンドをみせると、終盤にかけて3万8110円まで戻す場面もみられた。もっとも、引け間際に持ち高調整とみられるロング解消の動きが入り、3万8000円はキープできなかった。
売り一巡後は下げ幅をやや縮めたものの、リバウンド狙いのロングの動きは限られた。200日移動平均線(3万7510円)が支持線として意識されて、後場中盤にはボリンジャーバンドの+1σ(3万8030円)に接近する場面もあったが、これを捉えることができなかったこともあり、引けにかけてポジション調整の売りに押された格好だったとみられる。
昨日はトランプ関税を巡り米国際貿易裁判所が違法の判断を下したことがアルゴ発動につながり大幅に上昇したが、米政権側は直ちに控訴し、米連邦巡回控訴裁判所が米国際貿易裁判所の差し止め命令を一時停止する判断を下したとも伝わった。関税政策を巡る不透明感がかえって強まったとの見方により、前日の上昇分をほぼ帳消しにした。
ただし、25日線を上回っての推移が続き、概ね+1σ近辺での値動きであり、朝方の早い時点でポジション整理は一巡した形だろう。膠着感の強い展開ながら、終値では52週線(3万7840円)を上回っている。同線が支持線として機能してくると、4万円の大台回復がターゲットとして意識されてくるだろう。そのため、3万8000円辺りでの底固めを想定した、押し目狙いのロング対応に向かわせよう。
日足のボリンジャーバンドは収斂してきており、煮詰まり感が出てきている。一方で、週足のバンドは拡大傾向にある。短期的に煮詰まり感がみられるなか、上向きで推移する週足の+1σ(3万7960円)と+2σ(3万9440円)によるレンジが意識されそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.56倍に低下した。前日に突破していた25日線(13.64倍)を割り込んで始まると、その後は一時13.54倍と-1σ(13.55倍)を下回る場面もみられた。4月以降は-1σがサポートとして機能していたこともあり、リバランスの動きが入るかを見極めたいところだろう。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が2万0532枚、ソシエテジェネラル証券が1万3548枚、サスケハナ・ホンコンが2944枚、SBI証券が2921枚、バークレイズ証券が2479枚、モルガンMUFG証券が2476枚、JPモルガン証券が2029枚、野村証券が1906枚、日産証券が1096枚、ゴールドマン証券が1043枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が2万8051枚、ソシエテジェネラル証券が2万2993枚、バークレイズ証券が1万0925枚、JPモルガン証券が8608枚、モルガンMUFG証券が7539枚、ゴールドマン証券が4421枚、シティグループ証券が4304枚、ビーオブエー証券が2895枚、みずほ証券が2762枚、SBI証券が2002枚だった。
本日のニューヨーク為替市場では、序盤に発表される4月米個人消費支出(PCE)デフレーターの結果をまず確かめることになる。市場予想は前年比2.2%と前回から0.1ポイントの減速が見込まれ、見込み通りであれば7カ月ぶりに低い水準となる。またPCEコアデフレータ-(前年比)が2.5%と、2021年3月以来の水準まで低下予想だ。
昨日発表された1-3月期個人消費やコアPCEの改定値は速報値を下回り、ドルの重さに繋がった。その後なだけに、本日の米連邦準備理事会(FRB)が注視するインフレ指標について、弱い結果に対して市場はより敏感な反応を示すのではないか。また、トランプ大統領は昨日、パウエルFRB議長に「利下げを行わないのは間違いだ」と訴えており、結果次第では大統領の要求が一層強まることになるだろう。
なおFRB声明によれば、昨日の会合でパウエルFRB議長は、「自身の政策見通し」に関して大統領と議論しなかったもよう。パウエル議長は、「金融政策の道筋は今後のデータ次第」とする従来からの考えを示し、依然として米大統領とFRB議長の言い分は平行線のままということが明らかとされた。トランプ関税の影響をまだ暫く見定める必要があるため、トランプ氏の言うことにパウエル氏は耳を貸さず、という状況がまだ続くだろう。
他、米国からは5月シカゴ購買部協会景気指数と同月消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値)が発表予定。前者は前回値、後者は速報値から若干の改善が見込まれている。
カナダからは、国内総生産(GDP)が3月分だけではなく1-3月期分も発表される。前期比年率は1.7%と前回2.6%から大幅な減速予想。4月カナダ消費者物価指数(CPI)のコア指数が上振れたことで、カナダ中銀(BOC)の追加利下げ観測が大きく後退している。しかしながら、トランプ関税による経済低迷が顕著となれば、早めの利下げに対する思惑が再び持ち上がってくるかもしれない。
想定レンジ上限
・ドル円、21日移動平均線144.76円
・加ドル円、日足一目均衡表・雲の上限104.79円
想定レンジ下限
・ドル円、東京午前につけた本日安値143.44円
・加ドル円、23日安値103.01円
原口一博議員
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今晩は貿易関連報道やインフレ・データに注目。昨日は好決算を発表したエヌビディアが大幅に上昇し相場をけん引したものの、貿易政策を巡る混乱が上値の圧迫要因となった。米国際貿易裁判所が水曜日引け後に「相互関税」の差し止めを命じたことに対しトランプ政権が控訴し、二審が差し止め判決の一時停止を命じたことで関税問題の不透明感が強まった。ダウ平均は上昇してスタート後、一時270ドル安まで反落したが117.03ドル高(+0.28%)と反発して終了し、S&P500は一時0.93%高まで上昇後、0.40%高と上昇幅を縮小して終了。ハイテク株主体のナスダック総合は1.51%高まで上昇後、0.39%高で終了した。週初来ではダウ平均が612.66ドル高(+1.47%)、S&P500が1.88%高、ナスダック総合が2.34%高とそろって反発ペースとなり、5月月初来ではダウ平均が3.80%高、S&P500が6.16%高とそろって4カ月ぶりの反発ペースとなり、ナスダック総合は9.91%高と大幅に2カ月続伸ペースとなった。
今晩の取引は週末、月末の取引となるが、引き続きトランプ関税を巡る報道に要注目となるほか、インフレ動向を巡り、4月個人消費支出(PCE)価格指数などの経済指標に注目する展開か。4月PCE価格指数の市場予想は前年比+2.2%と3月分の+2.3%から鈍化が見込まれ、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視するコアPCE価格指数も前年比+2.5%と3月分の+2.6%から鈍化が予想されている。コアPCE価格指数が予想通りの鈍化となれば、利下げ期待の高まりが相場の支援となりそうだ。
今晩の米経済指標・イベントは4月PCE価格指数のほか、5月シカゴ地区購買部協会景気指数(PMI)、5月ミシガン大 消費者信頼感指数確報値、同1年先・5年先期待インフレ率確報値など。主要な企業の決算発表はなし。
日経平均株価は大幅反落。200日移動平均線(37794円 5/30)を下値で意識し、終値では5日移動平均線(37875円 同)上を保つ陽線を形成した。
RSI(9日)は前日の64.9%→53.9%(5/30)に低下。4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇継続の判断となる。前日に5/13につけた終値ベースの直近高値(38183円)を上回ったことも上昇継続の確度を高める要因となる。
75日移動平均線(36790円 同)が依然として下落基調にあることが株価の上値を限定的にする要因になりえるが、200日移動平均線を上回っており、目先的には5日移動平均線の強い上昇を支えに上値を試す展開が想定される。
5月前半には、終値ベースで3/26につけた急落前の戻り高値(38027円)を更新し、4月前半の安値を先端とした「スパイクボトム(V字)」が完成した。その後、微調整にとどまりながら直近高値を超えてきたことで、意外高のシナリオも想定しておきたい。
上値メドは、5/29高値(38454円)、心理的節目の39000円、心理的節目の39500円、2/13高値(39581円)、心理的節目の4万円、1/24高値(40279円)などがある。下値メドは、10日移動平均線(37584円 同)、25日移動平均線(37092円 同)、75日移動平均線、心理的節目の36500円や36000円などがある。
(30日終値:31日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=143.87円(30日15時時点比△0.05円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.40円(△0.15円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1357ドル(△0.0007ドル)
FTSE100種総合株価指数:8772.38(前営業日比△55.93)
ドイツ株式指数(DAX):23997.48(△64.25)
10年物英国債利回り:4.647%(▲0.001%)
10年物独国債利回り:2.500%(▲0.008%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月独小売売上高
(前月比) ▲1.1% 0.9%・改
(前年比) 4.0% 1.3%・改
1-3月期スウェーデン国内総生産(GDP)
(前期比) ▲0.2% 0.5%・改
5月スイスKOF景気先行指数
98.5 97.1
1-3月期トルコ国内総生産(GDP)
(前年比) 2.0% 3.0%
4月トルコ失業率
8.6% 8.0%・改
5月独消費者物価指数(CPI)速報値
(前月比) 0.1% 0.4%
(前年比) 2.1% 2.1%
4月南アフリカ貿易収支
141億ランドの黒字 226億ランドの黒字・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は一進一退。欧州勢の参入後はしばらく144.00円を挟んだ水準でのもみ合いとなっていたが、トランプ米大統領が「中国は米国との合意に違反した」と発言すると、米中貿易摩擦への懸念が再び意識されて143.48円付近まで弱含んだ。ただ、アジア時間につけた安値143.44円の手前で下値の堅さを確認すると次第に買い戻しが強まり、24時前には144.44円まで一転して上昇。米10年債利回りが4.39%台から4.43%台まで上昇したことも相場の支えとなったが、米長期金利の上昇は続かなかったため、24時以降は再び143.70円台まで押し戻された。米政権の関税政策に対する不透明感が根強いこともあり、一時プラス圏に浮上したダウ平均が再び下落したことも相場の重しとなった。
・ユーロドルは下げ渋り。トランプ米大統領の発言を受けてドル売りが一時進んだ場面では1.1350ドル台まで上昇。その後にいったんは1.1313ドルの本日安値をつけたが、米政策の先行き不透明感を手掛かりにしたドル売りが相場を支え、2時30分過ぎには1.1367ドル付近まで切り返した。
・ユーロ円は下値が堅い。アジア時間からリスクオフの流れが続き、米大統領の発言が伝わった直後には162.81円まで下押しした。ただ、その後はドル円と同じく一転して買い戻しが優勢となり、163.80円台まで反発。24時以降は163.20円台まで再び押し戻されるなど荒い値動きとなった。
・ロンドン株式相場は3営業日ぶりに反発。昨日までの下落の反動から週末を前に買い戻しが入った。アストラゼネカなど医薬品株を中心にヘルスケアが買われたほか、公共事業セクターも上昇し、指数を下支えした。
・フランクフルト株式相場は3営業日ぶりに反発。前日までの下げの反動で買い戻しが先行したが、引けにかけては上値も重くなった。個別ではザランド(1.98%高)やフレゼニウス(1.89%高)などが上昇した一方、ザルトリウス(3.30%安)などは下げが目立った。
・欧州債券相場は上昇。
(30日終値)
ドル・円相場:1ドル=144.02円(前営業日比▲0.19円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.46円(▲0.46円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1347ドル(▲0.0023ドル)
ダウ工業株30種平均:42270.07ドル(△54.34ドル)
ナスダック総合株価指数:19113.77(▲62.10)
10年物米国債利回り:4.40%(▲0.02%)
WTI原油先物7月限:1バレル=60.79ドル(▲0.15ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3315.4ドル(▲28.5ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月米個人所得
(前月比) 0.8% 0.7%・改
4月米個人消費支出(PCE)
(前月比) 0.2% 0.7%
4月PCEデフレーター
(前年比) 2.1% 2.3%
4月PCEコアデフレーター
(前月比) 0.1% 0.1%・改
(前年比) 2.5% 2.7%・改
4月米卸売在庫
(前月比) 0.0% 0.3%・改
5月米シカゴ購買部協会景気指数
40.5 44.6
5月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値)
52.2 50.8
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は続落。トランプ米大統領が「中国は米国との合意に違反した」と発言し、中国に対して厳しい措置を取る可能性を示唆すると、米中貿易摩擦が再燃するとの懸念から143.48円付近まで売りに押された。ただ、アジア時間につけた安値143.44円が目先のサポートとして意識されると次第に買い戻しが強まり、24時前には144.44円まで反発。その後は米10年債利回りの上昇が続かなかったほか、米政権の関税政策に対する不透明感が根強いこともあって再び伸び悩み、143円台後半から144.00円近辺でのもみ合いに転じた。
なお、トランプ米大統領は中国が合意にどのように違反したのか、中国に対してどのような措置を取るのかなどの詳細については言及していない。
・ユーロドルは反落。トランプ米大統領の発言を受けてドル売りが一時進んだ場面では1.1350ドル台まで上昇。その後にいったんは1.1313ドルの本日安値をつけたが、米政策の先行き不透明感を手掛かりにしたドル売りが相場を支え、2時30分過ぎには1.1367ドル付近まで切り返した。
・ユーロ円は5営業日ぶりに反落。アジア時間からリスクオフの流れが続き、米大統領の発言が伝わった直後には162.81円まで下押しした。ただ、その後はドル円と同じく一転して買い戻しが優勢となり、163.80円台まで反発。24時以降は163.20円台まで再び押し戻されるなど荒い値動きとなった。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は続伸。4月米個人消費支出(PCE)デフレーターが予想をわずかに下回ったほか、5月米ミシガン大学消費者態度指数・確報値で1年先と長期のインフレ予想が下方修正され、インフレ懸念の後退を手掛かりにした買いが入った。一方で、米中貿易摩擦に対する懸念が相場の重しとして意識されたことから、指数は一時300ドル超下げる場面もあった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は反落した。
・米国債券相場で長期ゾーンは続伸。トランプ米大統領が「中国は米国との合意に違反した」と非難したことを受けて、米中貿易摩擦が再燃するとの懸念から安全資産とされる債券に買いが入った。
・原油先物相場は続落。OPECプラスでの増産観測から需給が緩む可能性が意識されたほか、米中貿易摩擦の激化懸念も重しとなった。
・金先物相場は反落。トランプ米大統領のSNS投稿「中国は米国との合意に違反した」を受けて米中の貿易摩擦の激化が懸念され、相対的に安全資産とされる金を買う動きが見られたが一時的となり、その後は利益確定の売りに押されて下げに転じた。ドルが買われたことも、ドル建てで取引される金の割高感につながり、下落を後押ししたもよう。
日本政府が発表したところによると、赤沢経済再生相はベッセント米財務長官、ラトニック米商務長官と協議を行い、合意に向けた議論が進展していることを確認したという。また、6月のサミット前に再び協議を行うことで一致したようだ。
30日07:09 ベッセント米財務長官
「日本の代表団が明日私のオフィスを訪れる」
「中国との通商交渉は停滞しているが、今後数週間に進展を見込んでいる」
「欧州連合(EU)との交渉進展も見込んでいる」
「今年度の財政赤字は昨年度よりも縮小する見通し」
「2028年までに、米債務のGDP比での安定を見込む」
「財政規律重視のタカ派に共感している」
30日08:24 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁
「インフレ抑制を継続するには、緩やかに制限的な金融引き締め政策が必要」
「労働市場が堅調を維持しインフレが低下すれば、今年2回の利下げは理にかなっているだろうが、起こり得るリスクの範囲は広い」
「雇用市場の弱体化も懸念している」
30日09:07 植田日銀総裁
「企業による積極的な賃金・価格設定行動が続いていることを認識」
「物価見通しの下方修正は、関税の景気への影響などを織り込む」
30日09:20 植田日銀総裁
「国債市場の動向は、しっかり点検して6月中間評価に繋げたい」
「短期金利操作は、目標達成のために行う」
「保有国債の含み損は収益には影響与えない」
30日09:32 植田日銀総裁
「ETF、複数の原則満たすような処分方法を見つける」
「ETFの分配金収入、利上げに伴う収益のマイナスを打ち消す1つの要素」
「ETF分配金収入なければ日銀財務は下押される」
「財務状況によって、日銀の政策が左右されることはない」
30日09:11 トランプ米大統領
「米連邦最高裁が米国際貿易裁判所の判断を覆すと期待している」
30日09:27 トランプ米大統領
「米国際貿易裁は、切実に必要な関税を巡り米国に不利な判決下した」
「米国際貿易裁の判決は非常に間違っており、非常に政治的だ」
「米大統領は、経済的・財政的損害を与えている者から米国を守る権限を与えられるべき」
30日21:11 トランプ米大統領
「中国は米国との合意に違反した」
「関税は少なくとも一時的にインフレ押上げの可能性」
「高いインフレ期待が定着すれば、是正にコストがかかる」
30日10:22 赤沢再生相
「ベセント財務長官などと関税に関して協議することになる」
「これまでの協議や経済安保上の協力協議することになる」
「一連の関税措置は遺憾であるとの立場守りながら一致点を見いだしたい」
「2週連続の電話会談で石破トランプ両首脳の信頼関係積みあがってきているのを念頭に協議」
「米判決、日本と同様三審制の国なので確定的な裁判でない」
「サミット前の日米首脳会談、可能性ゼロでないが時間的には相当タイト」
30日13:06 テイラー英中銀金融政策委員会(MPC)委員
「より緩和的な金融政策路線を取る必要があった」
「急速なインフレ一時的な要因によるもの」
「リスクは下振れシナリオに積み上がっている」
「経済見通しについてかなり懸念している」
「米国の関税が輸入に与える影響は2025年を通じて拡大する」
※時間は日本時間
6月2日
○08:50 ◇ 1-3月期の法人企業統計調査(法人季報、ソフトウェアを含む設備投資額)
3日
○08:50 ◇ 5月マネタリーベース
○16:50 ◎ 植田日銀総裁、講演
5日
○08:30 ◇ 4月毎月勤労統計(現金給与総額)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
6日
○08:30 ◇ 4月家計調査(消費支出)
○14:00 ◇ 4月景気動向指数速報値
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
6月2日
○09:00 ◎ ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○15:00 ◇ 5月英ネーションワイド住宅価格指数
○15:30 ◇ 4月スイス小売売上高
○16:00 ◎ 1-3月期スイス国内総生産(GDP)
○16:00 ◇ 5月トルコ製造業購買担当者景気指数(PMI)
○16:30 ◇ 5月スイス製造業PMI
○16:50 ◎ 5月仏製造業PMI改定値
○16:55 ◎ 5月独製造業PMI改定値
○17:00 ◎ 5月ユーロ圏製造業PMI改定値
○17:30 ◎ 5月英製造業PMI改定値
○17:30 ◇ 4月英消費者信用残高
○17:30 ◇ 4月英マネーサプライM4
○22:45 ◎ 5月米製造業PMI改定値
○23:00 ☆ 5月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数
○23:00 ◇ 4月米建設支出
○23:15 ◎ ローガン米ダラス連銀総裁、講演
○24:00 ◇ 5月メキシコ製造業PMI
○3日01:45 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、講演
○3日02:00 ◎ パウエルFRB議長、講演
○ニュージーランド(国王誕生日)、中国(端午節)、休場
3日
○06:30 ◎ マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○10:30 ◎ 豪準備銀行(RBA)理事会議事要旨(5月19日-20日分)
○10:30 ◇ 1-3月期豪経常収支
○10:45 ◎ 5月Caixin中国製造業PMI
○15:30 ◎ 5月スイス消費者物価指数(CPI)
○16:00 ◎ 5月トルコCPI
○18:00 ☆ 5月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値
○18:00 ☆ 5月ユーロ圏HICPコア速報値
○18:00 ◎ 4月ユーロ圏失業率
○18:30 ◎ 1-3月期南アフリカGDP
○23:00 ◎ 4月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数
○23:00 ◎ 4月米製造業新規受注
○4日01:45 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、講演
○4日02:00 ◎ クックFRB理事、講演
○4日04:30 ◎ ローガン米ダラス連銀総裁、講演
○韓国(大統領選挙日)、休場
○10:30 ☆ 1-3月期豪GDP
○16:50 ◎ 5月仏サービス部門PMI改定値
○16:55 ◎ 5月独サービス部門PMI改定値
○17:00 ◎ 5月ユーロ圏サービス部門PMI改定値
○17:30 ◎ 5月英サービス部門PMI改定値
○19:00 ◇ 4-6月期南アフリカ経済研究所(BER)企業信頼感指数
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○21:15 ☆ 5月ADP全米雇用報告
○21:30 ◇ 1-3月期カナダ労働生産性指数
○21:30 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、クックFRB理事、講演
○未定 ◎ ポーランド中銀、政策金利発表
○22:45 ☆ カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表
○22:45 ◎ 5月米サービス部門PMI改定値
○22:45 ◎ 5月米総?⑰MI改定値
○23:00 ☆ 5月米ISM非製造業指数
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○5日01:00 ◎ 4月ロシア失業率
○5日03:00 ◎ 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
6月5日
○10:30 ◇ 4月豪貿易収支
○10:45 ◎ 5月Caixin中国サービス部門PMI
○14:45 ◇ 5月スイス失業率(季節調整前)
○15:00 ◎ 4月独製造業新規受注
○15:00 ◎ 5月スウェーデンCPI
○16:45 ◎ グリーン英MPC委員、講演
○17:30 ◎ 5月英建設業PMI
○17:30 ◎ ブリーデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○18:00 ◎ 4月ユーロ圏卸売物価指数(PPI)
○18:00 ◎ 1-3月期南アフリカ経常収支
○20:30 ◇ 5月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:15 ☆ 欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表
○21:30 ◇ 4月カナダ貿易収支
○21:30 ◎ 4月米貿易収支
○21:30 ◇ 1-3月期米非農業部門労働生産性・改定値
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数
○21:45 ☆ ラガルドECB総裁、定例記者会見
○23:00 ◇ 5月カナダIvey購買部協会景気指数
○6日01:00 ◎ クーグラーFRB理事、講演
○6日02:30 ◎ ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○6日03:00 ◎ 5月ブラジル貿易収支
6日
○13:30 ☆ インド中銀、金融政策決定会合
○15:00 ◎ 4月独鉱工業生産
○15:00 ◇ 4月独貿易収支
○15:45 ◇ 4月仏鉱工業生産
○15:45 ◇ 4月仏貿易収支
○15:45 ◇ 4月仏経常収支
○17:00 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○18:00 ☆ 1-3月期ユーロ圏GDP確定値
○18:00 ◎ 4月ユーロ圏小売売上高
○19:30 ◎ ロシア中銀、政策金利発表
○20:00 ◎ センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○21:30 ☆ 5月カナダ雇用統計
○21:30 ☆ 5月米雇用統計
○7日04:00 ◇ 4月米消費者信用残高
○韓国(戦没者慰霊日)、スウェーデン(建国記念日)、休場
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
◆豪ドル、外部要因次第の展開が継続
◆NZドル、RBNZ総裁は追加利下げに慎重姿勢
◆ZAR、SARBは新たなインフレ目標を検討
予想レンジ
豪ドル円 91.00-96.00円
南ア・ランド円 7.90-8.35円
6月2日週の展望
豪ドルは神経質な動きが予想される。来週は6月3日に1-3月期経常収支や5月19-20日開催分の豪準備銀行(RBA)理事会議事要旨が公表されるほか、6月4日に1-3月期国内総生産(GDP)、6月5日に4月貿易収支の発表が予定されている。RBA議事要旨や四半期GDPなどの重要イベントが控えているものの、足もとの豪ドル相場は豪ドル独自の材料で動くことは少なく、米関税政策などを巡る市場全般のリスク志向に左右されている。来週も基本的には外部要因に振らされることになるだろう。また、クロス円に関しては本邦財務省による国債発行計画の行方や長期金利の動向にも注目が集まっており、円相場を動意づける材料として引き続き注意しておきたい。
隣国のニュージーランド(NZ)では、NZ準備銀行(RBNZ)が市場予想通りに0.25%の利下げを決定。RBNZが示したフォワードガイダンスによると、年末までに金利は2.92%まで低下する見通しとなっており、2月時点の3.14%から下方修正された。新たな予測に基づくとRBNZは年内にあと1回の利下げ余地を残していることになる。
ただ、ホークスビーRBNZ総裁はその後の会見で「政策当局は必ずしも更なる引き下げに傾いているわけではなく、次回会合での方向性に明確なバイアスは持っていない」「金利は中立水準に近い」などと述べており、追加利下げについては慎重な見方を示している。RBNZによる金融緩和サイクルの終わりが近づいているのかどうか、今後は当局者の発言や経済指標の動向などを確認しながら注意深く見極めていく必要があるだろう。
南アフリカ・ランド(ZAR)も神経質な動きが予想される。米関税政策を巡る不透明感から市場全般のリスク選好の行方も定まっていないため、ZARは来週以降も関連報道などに振らされる不安定な展開となるだろう。
なお、南ア準備銀行(SARB)は今週の金融政策決定委員会(MPC)で0.25%の利下げを決定した。SARBは成長・インフレ見通しを下方修正したほか、インフレ目標に関して現在の3-6%は「高すぎると同時に範囲が広すぎる」として、現在の目標レンジ下限に相当する3%のインフレ目標を掲げるシナリオも検討したことが明らかになった。このシナリオでは政策金利は現状のベースラインのように7%を上回る水準を維持するのではなく6%弱に低下するとしており、今後設定される新たなインフレ目標の下で追加緩和が進む可能性もありそうだ。
5月26日週の回顧
豪ドルは対ドル・対円でともに方向感を欠いた。ドルや円相場など外部要因に振らされる展開となったが、週を通じて方向感は定まらず、神経質に上下に振れた。ZARは底堅い展開となり、対ドルでは昨年12月以来のZAR高水準を更新。対円でも値幅は限られたものの、徐々に下値を切り上げる動きとなった。
◆ポンド、貿易協定に関する英米協議を注視
◆加ドル、BOC会合や5月雇用統計に注目
◆加ドル、裁判所判断へのトランプ政権の対応に注意
予想レンジ
ポンド円 192.00-197.00円
加ドル円 102.50-106.50円
6月2日週の展望
ポンドは、英米貿易協定に関する報道を注視しながらの取引となりそうだ。来週前半にパリで経済協力開発機構(OECD)の閣僚級会合が開かれる。英国からはレイノルズ・ビジネス貿易相が出席し、米国側代表と関税削減の発効時期について話し合うもよう。今月初めに英米が締結した協定では、英国製自動車の輸出について、年間10万台までの関税を27.5%から10%に引き下げるとされた。また米国は、英国からの鉄鋼・アルミニウムに対する25%関税の撤廃も約束。しかし実際に発効はされておらず、英自動車、鉄鋼メーカーは混乱している状況だ。
英国側の懸念材料としては、米国内の事情で協定通りの恩恵を受けられるか不透明感が高まってきたこと。米国の国際貿易裁判所は今週、トランプ関税の多くの部分を違法と判定し、大統領権限を越えたと判断した関税の差し止めを命じた。ただし、この裁定は別の通商法で課された「自動車や鉄鋼・アルミニウム」への関税には影響しない。トランプ米大統領が推す大規模な減税法案は、その財源の1つとして関税収入が念頭に置かれている。司法判断を巡るトランプ政権の対応は今後注目だが、裁判所命令の範囲外の「自動車などへの関税」は、財源確保のために維持しておきたいところ。レイノルズ貿易相の交渉は難しくなることが予想される。
なお、英国からの経済指標は5月購買担当者景気指数(PMI)が予定されているものの、改定値であるため、速報値から大きく振れない限りは相場の動意に繋がらないだろう。
加ドルも、前述した米国際貿易裁判所の決定を受けたトランプ政権の動きに注意を払っておきたい。薬物の流入を理由とした中国やメキシコ、カナダへの追加関税の差し止め命令は、加ドルにとってポジティブ。だが、政策の核としてきた関税を停止させられたトランプ米大統領が、次に何を言い出すか分からないという不安は市場に根強く存在している。
6月4日のカナダ中銀(BOC)会合も注目材料。4月消費者物価指数(CPI)のコア指数が加速したことで、早期利下げ見込みが大きく後退。短期金融市場では、BOCは0.25%追加利下げを9月まで待つ(6、7月会合は据え置き)という見方も広まってきた。市場予想が分かれており、結果に対する加ドルの動きも値幅を伴った荒い動きとなりそうだ。また週末の6月6日には、5月雇用統計が発表予定。こちらは前回6.9%まで悪化した失業率の動向がポイントの1つとなる。
5月26日週の回顧
ポンド円は192円半ばを底に買いが先行し、196円前半まで上昇。財務省の国債発行見直し検討報道やトランプ関税の差し止めが伝わると上値を伸ばした。ただ、一巡後は194円前半まで上げ幅を縮めた。加ドル円も103円半ばから105円半ばまで上昇後、104円台で伸び悩んだ。
ポンドドルは2022年2月以来の高値を週初に更新するも、1.36ドルの手前で頭を抑えられた。トランプ関税への裁判所判断でドル高が全般進んだ場面では、1.34ドル前半まで下押した。加ドルは対ドルで、1.36加ドル後半から1.38加ドル半ばまで加ドル安に振れた。
◆ドル円、トランプ関税を巡る不透明感から上値重い
◆ドル円、米雇用統計など重要指標相次ぐ
◆ユーロドル、方向感なくドルに振らされる展開
予想レンジ
ドル円 141.00-146.00円
ユーロドル 1.1150-1.1600ドル
6月2日週の展望
ドル円は、米関税政策を巡る不透明感が根強いことから上値の重い展開が想定される。米国際貿易裁判所が4月2日の「解放の日」にトランプ米大統領が発表した相互関税を差し止めたことを受けて、29日の東京市場では株高・ドル高が進んだが、海外時間に入ると一転してドル売りが優勢となった。トランプ政権が即日に控訴するなど一歩も引かない姿勢を示しており、最終的には連邦最高裁判所の判断に委ねられる可能性があるが、判決が下されるまでには相当時間がかかりそうだ。また、裁判所の差し止めにどの程度まで拘束力があるのかどうかは現時点では不透明であるうえ、鉄鋼・アルミニウム、自動車に賦課された関税には影響が及ばないため、仮に差し止めとなったとしても関税問題を巡る懸念が払しょくされず、ドルを積極的に買いづらいだろう。
ドル円の上値を抑える要因としては、日銀の利上げ観測が再び意識されていることもある。日銀が発表した4月の全国消費者物価指数(CPI)に基づく基調的なインフレ率を捕捉するための指標は刈込平均値・加重平均値・最頻値ともに前月から上昇する結果となった。植田日銀総裁が見通し実現を前提に「継続して政策金利を引き上げる」と改めて述べたこともあり、再び日銀の早期利上げ観測を囃す声が出始めているのは確かだ。
来週は6月2日に5月ISM製造業景況指数、6月3日に4月JOLTS求人件数、6月4日に5月ADP雇用統計や5月ISM非製造業景況指数、6月6日には5月雇用統計など米重要指標が相次ぐ。今週は弱い指標が目立ったこともあり、指標結果には警戒が必要だろう。
ユーロドルは引き続き神経質な動きとなるだろう。根強いドル先安観が引き続き下値を支えることになるが、欧州連合(EU)と米国との関税協議を巡る不透明感も根強く、上値も限られそうだ。米雇用統計をはじめ米重要指標の結果を受けたドルに振らされる展開が想定される。米指標の他にも来週は6月2日に欧州各国の5月製造業PMI改定値、6月3日に5月ユーロ圏HICP速報値、6月5日に5月サービス部門PMI改定値の発表が予定されている。
5月26日週の回顧
ドル円は荒い値動き。週前半に日銀総裁のタカ派発言を受けて142.12円まで下げる場面があったが、財務省が国債発行計画を見直すとの思惑から本邦金利が低下すると買い戻しが優勢に。米裁判所が米相互関税を違憲と判断すると買いが加速。一時146.28円まで買い上げられた。ただ、不透明感も根強く一巡後は一転して143.44円まで売り込まれている。
ユーロドルは一進一退。米大統領がEUへの50%関税賦課を従来通り7月9日までに期限を戻したことで一時1.1419ドルまで上げたが、ドル円が買い戻されると一転して売りが優勢に。一時1.1210ドルまで下げる場面があったが、その後は再び1.1390ドルまで値を上げている。
30日の日経平均は大幅反落。終値は467円安の37965円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり939/値下がり632。三菱重工や川崎重工が軟調相場の中でも上昇。トヨタは円高を警戒して大幅安スタートとなったものの、切り返してプラスで終えた。三菱UFJや三井住友など銀行株が全般堅調。NTTドコモによるTOBに賛同の意を示した住信SBIネット銀行は連日のストップ高比例配分となった。精米機需要が高まるとの思惑から井関農機が急伸。住友生命保険との資本業務提携を発表したカラダノートがストップ高比例配分となった。
一方、任天堂、ソニーG、リクルート、ソフトバンクGなど、大型グロース株が大幅安。新興グロースもメタプラネット、リミックスポイント、フィスコなど暗号資産関連が弱かった。「アクーゴ」の出荷解除に関する条件が達成されたことを発表したサンバイオは買いが先行して一時15%超上昇したものの、急失速して引けでは11.7%安と乱高下。電気自動車用次世代パワー半導体の生産を断念したと日本経済新聞で報じられたルネサスが大幅安となった。
日経平均は大幅安。ただ、前日の710円高を打ち消すほどの下げにはならなかった。円高が進んで400円を超える下落となったにもかかわらず、プライムで値上がり銘柄が多かったことは特筆される。きのうまでの上昇により、投資家が株価下落局面を押し目買いの好機と捉えていることが見て取れる。終値(37965円)では38000円を下回ったものの、5日線(37875円、30日時点、以下同じ)を上回っており、ローソク足では陽線を形成した。今週は5営業日中、4営業日で陽線を形成している。場中に強い動きが見られるうちは、日本株は底堅く推移するだろう。
【来週の見通し】
堅調か。6月相場に突入し、金曜6日の米国で発表される5月雇用統計に注目が集まる。米国では雇用統計の前にも経済指標の発表が多く、日本では植田日銀総裁の講演が予定されており、欧州ではECB理事会が開催される。各種材料を消化しながら、長期金利や為替に神経質となる状況が続くだろう。ただ、足元では日本株の動きが良くなっている。金利が低下すればグロース株、上昇すれば金融株、円安が進めば外需株、円高が進めば内需株や中小型株といったように、その日の中で強く買われる銘柄が出てくる公算が大きい。米雇用統計の発表前で様子見姿勢は強まるとみるものの、弱材料に耐性を示すことで、週間では水準を切り上げると予想する。
【今週を振り返る】
堅調となった。日経平均は26日、27日と連日で3桁の上昇。EUに対して高関税を課すことを示唆したトランプ大統領が早々に発動延期を表明したことで、リスク選好ムードが強まった。28日は大幅高スタートから失速して小幅に下落したが、29日は決算を発表した米エヌビディアの時間外の大幅高や円安進行を好感して、700円を超える上昇。節目の38000円を上回り、38400円台まで水準を切り上げた。30日は円高進行を受けて400円を超える下落となり、週末値では38000円を下回ったものの、日経平均は週間では約804円の上昇。週足では陽線を形成した。
今週の日経225先物は、引き続きトランプ大統領の関税を巡る発言の影響を受けやすいほか、米雇用統計などの重要な経済指標の発表を控えて為替を睨んだ展開となりそうだ。先週は5月25日にトランプ大統領が欧州連合(EU)への50%関税発動を7月9日まで延期すると表明したことで、米欧の貿易摩擦激化への警戒感が和らぎ、3万7500円を回復して始まった。
その後はエヌビディア<NVDA>の良好な決算が、指数インパクトの大きい値がさハイテク株への支援材料となったことに加え、米国際貿易裁判所がトランプ大統領の関税措置などを「違法」と判断し「一部差し止め」を命じたことが材料視され、29日には3万8470円まで上昇した。だが、トランプ政権は即日控訴。米連邦巡回控訴裁判所が米国際貿易裁判所の差し止め命令を一時停止する判断を下したことで、翌30日は3万7720円まで売られる場面もあった。
米国と中国は5月半ばに相互に発動した関税率の115%引き下げと90日間の停止で合意したが、トランプ大統領は週末に「中国は合意を破った」とSNSに投稿し、貿易戦争を再燃させる構えをみせている。また、USスチールの製鉄所で演説を行い、輸入される鉄鋼とアルミニウムに課す追加関税を25%から50%に引き上げる計画を表明。演説後には6月4日から適用されるとSNSに投稿しており、これに対しEUは対抗措置の用意があると表明している。
5月30日取引終了後の日経225先物はナイトセッションを日中比280円安の3万7680円で終えており、一時3万7390円まで売られる場面もあった。支持線として機能していた200日移動平均線(3万7520円)を一時割り込んでおり、再び同線が支持線として機能するかを見極める必要があるほか、上向きで推移する25日線(3万7220円)辺りまでの調整が意識されそうである。
5月30日発表の5月のミシガン大学消費者態度指数(確報値)は52.2と速報値(50.8)から上方修正された。1年先のインフレ予想は6.6%、5-10年先は4.2%とそれぞれ速報値から下方修正された。4月の米個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比で2.1%上昇と、市場予想(2.2%上昇程度)を下回った。市場では「インフレの減速傾向が続いていることを示した」と受け止められた。
今週の米国では発表が予定される重要統計が多く、政策判断への影響が注目されよう。6月2日のISM製造業景況指数、4日のISM非製造業景気指数、ADP雇用統計、6日の雇用統計などが景気に先行性のあるセンチメント指標として注目され、その内容によっては市場の利下げ観測が前倒しされる可能性がある。
先週の日経225先物の終値は3万7960円と3万8000円をキープできなかったが、52週線(3万7840円)を上回って終えた。ただし、ナイトセッションで同線を割り込み、26週線(3万7620円)を下回っており、両線での攻防が意識されそうである。
まずは25日線を支持線としたボリンジャーバンドの+1σ(3万8030円)とのレンジより、オプション権利行使価格の3万7250円から3万8000円での推移を想定。200日線水準で底堅さがみられる局面では3万7500円から3万8500円にレンジを引き上げたい。
30日の米VIX指数は18.57(29日は19.18)に低下した。週間でも調整をみせている(23日は22.29)。先週は27日に200日線(19.52)を割り込んでおり、その後は同線での攻防になった。抵抗線に変わりつつあり、ややリスク選好に傾きやすいだろう。
先週のNT倍率は先物中心限月で13.56倍に低下した。29日には一時13.68倍に上昇し、足もとで上値を抑えられていた25日線(13.64倍)を上抜いたが、週末は13.54倍と-1σ(13.55倍)を下回る場面もみられた。4月以降は-1σがサポートとして機能していたこともあり、リバランスの動きが入るかを見極めたいところだろう。
5月第4週(5月19日-23日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では6週連続の買い越しであり、買い越し額は1093億円(5月第3週は6722億円の買い越し)だった。なお、現物は2850億円の買い越し(同6232億円の買い越し)と8週連続の買い越しであり、先物は1756億円の売り越し(同490億円の買い越し)と3週ぶりの売り越し。個人は現物と先物の合算で301億円の売り越しと7週連続の売り越し。信託銀行は現物と先物の合算で2232億円の売り越しとなり、5週連続の売り越しだった。
主要スケジュールでは、6月2日に1-3月期法人企業統計調査、米国5月ISM製造業景気指数、パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長講演、3日に中国5月財新製造業PMI、韓国大統領選挙、4日に米国5月ADP雇用統計、米国5月ISM非製造業景気指数、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、5日にECB(欧州中央銀行)政策金利、米国4月貿易収支、ラガルドECB総裁記者会見、6日に4月全世帯家計調査、4月景気動向指数、米国5月雇用統計などが予定されている。
<国内>
○08:50 ◇ 1-3月期の法人企業統計調査(法人季報、ソフトウェアを含む設備投資額、予想:前年比3.8%)
<海外>
○09:00 ◎ ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○15:00 ◇ 5月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比横ばい)
○15:30 ◇ 4月スイス小売売上高
○16:00 ◎ 1-3月期スイス国内総生産(GDP、予想:前期比0.3%/前年比1.6%)
○16:00 ◇ 5月トルコ製造業購買担当者景気指数(PMI)
○16:30 ◇ 5月スイス製造業PMI(予想:48.0)
○16:50 ◎ 5月仏製造業PMI改定値(予想:49.5)
○16:55 ◎ 5月独製造業PMI改定値(予想:48.8)
○17:00 ◎ 5月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:49.4)
○17:30 ◎ 5月英製造業PMI改定値(予想:45.1)
○17:30 ◇ 4月英消費者信用残高(予想:11億ポンド)
○17:30 ◇ 4月英マネーサプライM4
○22:45 ◎ 5月米製造業PMI改定値(予想:52.2)
○23:00 ☆ 5月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:49.3)
○23:00 ◇ 4月米建設支出(予想:前月比0.3%)
○23:15 ◎ ローガン米ダラス連銀総裁、講演
○24:00 ◇ 5月メキシコ製造業PMI
○3日01:45 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、講演
○3日02:00 ◎ パウエルFRB議長、講演
○ニュージーランド(国王誕生日)、中国(端午節)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 37680 -280 (-0.73%)
TOPIX先物 2779.5 -18.0 (-0.64%)
シカゴ日経平均先物 37705 -255
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
5月30日の米国市場は、NYダウが上昇した一方で、 S&P500、ナスダックは下落。4月の米個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比で2.1%上昇と、市場予想(2.2%上昇程度)を下回った。市場では「インフレの減速傾向が続いていることを示した」と受け止められ、主力株の一角が買われた。半面、トランプ大統領は「中国は合意を破った」とSNSに投稿し、貿易戦争を再燃させる構えをみせた。さらに、米政権は中国のハイテク部門に対する規制を拡大する計画と報じられたことが重荷となり、NYダウは一時300ドルあまり下落する場面もあった。
S&P500業種別指数は、食品・生活必需品小売、電気通信サービス、保険が上昇した一方で、自動車・同部品、半導体・同製造装置、エネルギーの下げが目立った。NYダウ構成銘柄では、ウォルマート<WMT>、アムジェン<AMGN>、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>が上昇。半面、エヌビディア<NVDA>、ナイキ<NKE>、キャタピラー<CAT>、シェブロン<CVX>が売られた。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比255円安の3万7705円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは日中比40円高の3万8000円で始まった。直後につけた3万8040円を高値にショート優勢となり、米国市場の取引開始後には3万7390円まで売られる場面もみられた。売り一巡後は終盤にかけてショートカバーとみられる動きにより下落幅を縮め、3万7680円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや売り先行で始まることになろう。ナイトセッションで一時3万7390円まで売られ、支持線として機能していた200日移動平均線(3万7520円)を割り込む場面もあった。終盤にかけて持ち直したことで終値では同線を上回ったが、支持線として機能するかを見極める動きになりそうだ。割り込んでくるようだと、上向きで推移する25日線(3万7220円)辺りまでの調整が意識されそうであり、短期的にショートを誘う形になろう。
売り一巡後の底堅さを見極めつつ、押し目待ち狙いのロング対応に向かわせそうだ。米中間の貿易を巡る緊張感は相場の重荷となろうが、トランプ大統領は大幅な関税を発動し、その後緩和する動きを繰り返しており、これに市場は翻弄されている。ただし、これまでも大統領の発言で売られる局面は、目先的な底になっていたこともあり、発言に対する耐性ができたとみられる。下へのバイアスが強まる局面では、冷静に押し目を狙いたいところだ。
一方で、上値はボリンジャーバンドの+1σ(3万8030円)辺りで強弱感が対立する可能性はありそうだ。オプション権利行使価格の3万7250円から3万8250円辺りのレンジを想定する。
30日の米VIX指数は18.57(29日は19.18)に低下した。先週は27日に200日線(19.52)を割り込んでおり、その後は同線での攻防になった。200日線が抵抗線に変わりつつあり、ややリスク選好に傾きやすいだろう。
30日のNT倍率は先物中心限月で13.56倍に低下した。前日に突破した25日線(13.64倍)を割り込み、-1σ(13.55倍)を下回る場面もみられた。ただし、4月以降は-1σがサポートとして機能していたこともあり、リバランスの動きが入るかを見極めたいところである。
先週末のニューヨーク外国為替市場でドル円は底堅い動き。米中貿易摩擦が再燃するとの懸念から一時143.48円付近まで下押したが、アジア時間につけた安値143.44円を前に下げ渋ると144.44円まで反発した。ただ、米政権の関税政策に対する不透明感が根強いこともあって伸び悩んだ。ユーロドルは1.1313ドルまで安値をつけたが、米政策の先行き不透明感を手掛かりにしたドル売り圧力が強く1.13ドル半ばを中心に下値の堅い動きとなった。ユーロ円はドル円につれて神経質な動きと162.81円まで下押し後に163.80円台まで切り返すも、上値は重く5営業日ぶりの反落となった。
本日の東京市場ではドル円の動意につながりそうな経済指標の発表や注目のイベントは予定されておらず、日本株や日米長期金利の動向に睨んだ動きが見込まれる。
なお、ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事の講演が予定されているが、講演内容が相場の動きに影響を与える可能性は低いか。同氏は4月下旬にインタビューで、関税が7月より前に経済に大きな影響を与えるとは考えていないと強調し、トランプ米政権の関税政策によるインフレへの影響は一時的なものにとどまる可能性が高いとの見解を示している。
東京タイムで注目材料は乏しいが、トランプ米政権の政策に対する不安で、ドル円は上値の重い動きを予想する。トランプ米大統領は先週末に輸入される鉄鋼とアルミニウムに課す追加関税を2倍の50%に引き上げる計画を表明し、4日から実施されると見込み。鉄鋼関税の引き上げは貿易戦争をさらに激化させる可能性がある。
また、トランプ大統領は中国が相互関税引き下げのほか重要鉱物の取引に関する合意に違反したと主張し、中国に厳しい措置を取る可能性を示唆。トランプ氏は投稿で、自身が中国に一時課した超高率の追加関税によって「中国は深刻な経済危機に陥った」と指摘し、中国を「救済」するために大幅に関税を引き下げたと説明した。未だに信用力の発言を繰り返しており、トランプ米政権の信認は大きく低下している。
先月末に4回目の日米関税交渉が行われ、赤沢再生相は「合意に向けた議論が進展している」と語ったが、「進展」の具体的な中身については言及せず、6月中旬に予定される日米首脳会談の前に改めて閣僚間で協議する意向を明らかにした。日米協議での円安是正への警戒感が払しょくされていないこともドル円の重し。ただ、ドルにも売り疲れも出ているもようで、一途にドル売りが加速する地合いにもなりにくく、ドル円の神経質な動きが続くか。
東京市場は軟調か。先週末の米国株はまちまち。ダウ平均が上昇し、S&P500とナスダックが下落した。ダウ平均は54ドル高の42270ドルで取引を終えた。トランプ大統領が自身のSNSで、中国が米国との現行の貿易協定に「違反している」と発言したことから上値の重い展開。一方、4月個人消費支出(PCE)価格指数など、この日発表された経済指標はインフレへの警戒を和らげる材料となったことから下値も堅く、値幅はあまり出なかった。ドル円は足元143円90銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて255円安の37705円、ドル建てが235円安の37725円で取引を終えた。
トランプ大統領は5月30日に、鉄鋼とアルミニウムに関する追加関税を25%から50%に引き上げると発表。6月4日から実施するとしている。「トランプ関税」リスクが高まったことを受けて、日本株は売りに押されると予想する。5月30日の米国では、エヌビディアなど半導体株が弱かった。外需を中心に主力大型株は手がけづらい。一方、足元の動きが良い中小型株は、海外の影響を受けづらいという点で資金の受け皿になると見込まれる。売り一巡後は模様眺めムードが強まり、方向感に欠ける動きが続くだろう。日経平均の予想レンジは37500-37900円。
2日の中国株式市場は端午節につき休場。取引は3日から再開される。
一部通信社によれば、赤沢経済再生相は日米閣僚級の関税交渉のため、5日から4日間の日程で訪米する方向で調整しているもよう。
米国家経済会議(NEC)のハセット委員長は1日、関税を巡ってトランプ米大統領が中国の習近平国家主席と週内にも、電話会談する見通しを明らかにした。米ABCテレビの番組で「トランプ大統領が今週、貿易交渉について習近平国家主席とすばらしい会話を交わすと期待している」と語った。具体的な日程は明示していない。
米国と中国は5月10-11日にスイスで行った高官協議で、相互に発動した高率の関税を90日間停止し、経済・貿易協議の枠組みを構築することで合意している。ただ、トランプ氏は同月30日、自身のSNSに「中国が我々との合意を完全に破っている」と投稿した。ハセット委員長はABCのインタビューで「米通商代表部(USTR)のグリア代表が率いるチームと習氏のチームが連日の話し合いで、案件を前進させようとしている」と述べた。
1日に行われたポーランド大統領選の決選投票で、愛国主義的な保守野党「法と正義」が推す反欧州連合(EU)のナブロツキ氏が勝利したと伝わっている。
先週末もトランプ米大統領が朝令暮改振りを発揮。為替市場は既に「もはや付き合いきれない」との認識が強くなっているからか、かかる反応もまたレンジ相場の中での想定内の動きに終始したといったところ。週明けのアジア市場では、ドル円は日経平均の大幅な下落につれて先週末の安値143.44円を下抜けて一時143.33円まで値を下げる場面もみられましたが、その後は143.63円まで買戻されるなど、全般確たる意思を持たない値動きのなかで彷徨っています。
いずれにしても、今週は、週末の5月米雇用統計まで、米ISMや米雇用関連指標が目白押し。引き続き米長期金利などの動向を見極めていくことになりそうですが、米国が鉄鋼、アルミへの関税を25%から50%に倍増させるのと同時に、日本製鉄のUSスチール子会社化も認めたわけで、為替の需給からみれば、2兆円以上の円売りの可能性が現実的になってきたということ。
財務省が超長期国債減額を検討しているとの一部報道でドル円が急伸した5月27日時点でさえ、CFTCが公表した投機筋の円ロングポジションは依然として164012枚と史上最高水準での推移を維持しているなか、本日も下値では月初の実需勢の買いが断続的に観測されています。
トランプ米大統領の一言一句に振り回される相場を無視することは出来ませんが、市場自身がそれらに対して自戒的になり始めていることは確か。目先は一目雲下限が位置する143.76円を意識した展開となっています。
日経225先物は11時30分時点、前日比530円安の3万7430円(-1.39%)前後で推移。寄り付きは3万7610円と、シカゴ日経平均先物(3万7705円)にサヤ寄せする形から、売り先行で始まった。直後につけた3万7640円を高値にショート優勢の流れとなり、中盤にかけて3万7450円まで下落。売り一巡後は3万7550円まで下げ渋る動きをみせたが、終盤にかけて再びショートの動きが強まり3万7390円まで下げ幅を広げた。
売り先行で始まり、中盤にかけて200日移動平均線(3万7520円)を割り込んできた。同線を挟んでの攻防もみられたが、終盤にかけてナイトセッションでつけた安値に顔合わせした。200日線水準への戻りの鈍さが意識されてくるようだと、25日線(3万7210円)水準を仕掛けてくる動きが意識されてきそうだ。同線に接近する局面では、仕切り直しによるロングの動きを見極めたいところであろう。
NT倍率は先物中心限月で13.49倍に低下して推移。ボリンジャーバンドの-1σ(13.55倍)を割り込んで始まると、-2σ(13.46倍)に接近してきた。リバランスが入りやすい水準であるが、短期的に-3σ(13.37倍)辺りに接近する形で、NTショートに振れる場面もありそうだ。
大和証券ではドル円相場に関して、今週は数円程度動くボラティリティの高い展開を予想している。米国では、5月のISM製造業景況指数(2日)、同非製造業指数(4日)、雇用統計(6日)と、複数の重要な経済指標の公表を控える。貿易政策に対する米国内での緊張感の高まりやこれらの指標の公表を踏まえ、目先の振れ幅は大きくなるとみていう。一方、政策不確実性を背景とした「米国売り」の一服が継続すると大和では考えており、少し長い目で見れば、ボラティリティは落ち着くと予想している。
本日のロンドン為替市場では、トランプ関税を巡る報道に注意しながらの取引は変わらずか。欧州の経済指標では、改定値ではあるものの5月製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表予定。またポーランド大統領選の結果を受けた動きも注視したい。
トランプ米大統領は先週末、鉄鋼とアルミニウムに関する追加関税を25%から50%に引き上げると発表した。6月4日から実施するとしている。先週、トランプ大統領が対EU50%関税の延期を発表後、欧州連合(EU)と米国高官が鉄鋼を含めた複数の分野で協力する可能性を協議し、関税についても話し合ったことが報じられた。EUが振り回される展開ではあるが、今回の鉄鋼アルミ追加課税についてEUがどこまで強気で立ち向かうことができるかが注目される。
なお明日から2日間の予定で、経済協力開発機構(OECD)の閣僚級理事会がパリで開催予定。その場で米国側と各国・地域が貿易問題についても協議することが予想され、本日は会合を前にした高官発言には注意しておきたい。
5月製造業PMI改定値は、仏49.5/独48.8/ユーロ圏49.4,そして英が45.1の予想。速報値では仏とユーロ圏が予想より強かったものの、改善見込みだった英が逆に弱い結果だった。トランプ関税への警戒感が5月前半には緩んだものの、月末にかけて再び不透明感が高まったこともあり、予想からの下振れは念頭に入れておいたほうが良さそうだ。
他、ポーランド大統領選の結果も気にかけておくべきか。1日に行われた決選投票は大接戦となったが、愛国主義的な保守野党「法と正義」が推す反・欧州連合(EU)のナブロツキ氏が勝利と報じられた。対立候補のチャスコフスキ・ワルシャワ市長は、親EUで中道の政権与党「市民プラットフォーム」が支持母体。経済成長が著しく、また欧州の安全保障の面でも重要な役割を担うポーランドの大統領選への関心は高く、相場全般のリスクセンチメントに影響するかもしれない。
想定レンジ上限
・ユーロドル、4月23日高値1.1440ドル
・ユーロスイスフラン、5月14日高値0.9421フラン
想定レンジ下限
・ユーロドル、ピボット・サポート2の1.1273
・ユーロスイスフラン、4月17日安値0.9263フラン
ドル円:1ドル=143.35円(前営業日NY終値比▲0.67円)
ユーロ円:1ユーロ=163.11円(▲0.35円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1379ドル(△0.0032ドル)
日経平均株価:37470.67円(前営業日比▲494.43円)
東証株価指数(TOPIX):2777.29(▲24.28)
債券先物6月物:139.02円(▲0.07円)
新発10年物国債利回り:1.505%(△0.005)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
1-3月期法人企業統計調査・ソフトウェア含む全産業設備投資額
前年同期比 6.4% ▲0.2%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は下落。週末にトランプ米大統領が「輸入される鉄鋼製品などに課している追加関税を2倍の50%に引き上げる」と明らかにしたほか、米中の貿易摩擦の激化懸念が重しとなり、143.33円まで下落。その後の戻りも143.60円台と限られると、15時半前には143.21円まで日通し安値を更新した。
・ユーロ円は弱含み。ドル円や日経平均の軟調推移をながめ、163.06円まで下値を広げた。アジア株安もまた重しとなった。
・ユーロドルは上昇。トランプ米政権の政策懸念で全般ドルの上値が重いなか強含みで推移すると、15時半前には1.1392ドルまで上昇して先月27日に付けた直近高値1.1407ドルに迫った。
・日経平均株価は続落。米中貿易摩擦への警戒感から売りが先行すると、後場に入り下げ幅は600円超に達した。半導体関連などで下落する銘柄が目立った。
・債券先物相場は3営業日ぶりに反落。先週末の夜間取引の流れを受けて高寄りしたものの、一巡後は売り戻しが優勢となった。
「今言ったことは二度と言わないように。意地の悪い質問だ。私にとっては、最もひどい質問だ」(トランプ米大統領)
トランプ米大統領は、「MAGA(Make America Great Again)(米国を再び偉大に)」のスローガンを標榜して、米国の製造業復活に向けて、トランプ関税を打ち出している。
しかし、トランプ関税による駆け引きの稚拙さにより、「TACO(タコ)」(Trump Always Chickens Out(トランプはいつもおじけづく)と揶揄されている。
1.映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』での「腰抜け(chicken)」
『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』での主人公の宿敵ビフ・ハワード・タネンのモデルは、トランプ米大統領である。孫のグリフが主人公に対して「腰抜け(chicken)」と罵ったことで、短気で臆病な主人公を激昂させたが、「chicken」という言葉は、短気で臆病な人物に対しては禁句なのかもしれない。
ちなみに、1946年生まれの3人の米国大統領(ブッシュ第41代大統領、クリントン第42代大統領、トランプ第45・47代大統領)は、ベトナム戦争への徴兵を逃れた臆病者だが、大統領として好戦的だったことで、「チキン・ホーク」と揶揄されている。
2.トランプ米大統領の「MAGA」を巡る朝令暮改
■相互関税
・4月2日:相互関税を発表⇒トリプル安
・4月2日:90日間(7月8日)延期
■対中関税
・5月8日:トランプ米大統領「中国への関税撤回の可能性を否定」
・5月9日:トランプ米大統領「今すぐ株を買った方がいい」
・5月12日:対中関税率を90日間115%引き下げる⇒NY株上昇
・5月30日:中国は貿易合意に違反した
■対欧州連合(EU)関税
・5月23日:6月1日から50%の関税を課す⇒NY株下落
・5月25日:関税賦課を7月9日まで延期する⇒NY株上昇
3.TACO(Trump Always Chickens Out)
5月28日ホワイトハウスで開かれた記者会見で、記者の一人がトランプ米大統領に質問した。
・記者「ウォール街のアナリストたちが『TACO取引』という新たな言葉を作りました。彼らは『Trump Always Chickens Out』、だから今週は市場が上昇していると言っています。それについてどうお考えですか?」
・トランプ米大統領「私がおじけづいているだって?そんなの聞いたことない。
中国に対して145%と言ったのを100に下げて、さらに別の数字にしたから?
私はEUに50%の関税をかけて、彼らは電話してきて、『お願いだ今すぐ会いましょう、頼む今すぐ会いましょう』って言ってきたから……それを“おじけづく”って言うのですか?」
「しかし、今言ったことは二度と言わないように。意地の悪い質問だ。私にとっては、最もひどい質問だ」
大阪6月限
日経225先物 37490 -470 (-1.23%)
TOPIX先物 2778.5 -19.0 (-0.67%)
日経225先物(6月限)は前日比470円安の3万7490円で取引を終了。寄り付きは3万7610円と、シカゴ日経平均先物(3万7705円)にサヤ寄せする形から、売り先行で始まった。直後につけた3万7640円を高値にショート優勢となり、前場中盤にかけて3万7450円まで下落。
売り一巡後は3万7550円まで下げ渋る動きをみせたが、前場終盤にかけて再びショートが強まり、ランチタイムで3万7330円まで下げ幅を広げた。その後は下げ渋る動きをみせたものの、後場中盤以降は3万7450円~3万7500円処で保ち合いが続いた。
日経225先物は売り先行で始まり、前場中盤にかけて200日移動平均線(3万7520円)を割り込んだ。ただし、ランチタイムで3万7330円まで売られ、25日線(3万7210円)に接近する場面もみられたが、積極的にショートを仕掛けてくる動きは限られた。
後場中盤以降は200日線近辺での保ち合いであり、グローベックスのS&P500、ナスダック100先物はマイナス圏での推移が続いていたほか、台湾加権指数、香港ハンセン指数なども下落するなかで、模様眺めムードが強まったようである。
25日線は上向きで推移しており、ナイトセッションでは3万7310円に上昇してきた。同線が支持線として機能するかを見極めつつ、200日線突破を想定した押し目狙いのロング対応を意識しておきたい。
25日線と200日線とのゴールデンクロスが接近しており、底堅さをみせたいところであろう。一方で、25日線を割り込んでくるようだと、75日線(3万6670円)が射程に入ってくるため、ショートを誘う可能性がありそうだ。
ボリンジャーバンドは足もとで収斂しており、中心値(25日)をキープできれば、+1σが位置する3万8000円および+2σの3万8660円へのトレンドに向かわせよう。一方で、-1σは75日線水準で推移している。
NT倍率は先物中心限月で13.49倍に低下した。ボリンジャーバンドの-1σ(13.55倍)を割り込んで始まると、-2σ(13.46倍)に接近してきた。-2σまで下げてきたことでリバランスが入りやすい水準である。ただし、短期的に-3σ(13.37倍)辺りに接近する形で、NTショートに振れる場面はありそうだ。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万6028枚、ソシエテジェネラル証券が1万0138枚、サスケハナ・ホンコンが3498枚、バークレイズ証券が2941枚、JPモルガン証券が1536枚、野村証券が1309枚、モルガンMUFG証券が1148枚、ゴールドマン証券が1108枚、日産証券が937枚、SBI証券が841枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が1万8753枚、ソシエテジェネラル証券が1万8433枚、JPモルガン証券が5444枚、バークレイズ証券が4235枚、ゴールドマン証券が2967枚、モルガンMUFG証券が2813枚、ドイツ証券が2659枚、みずほ証券が2657枚、ビーオブエー証券が1884枚、野村証券が1235枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、トランプ米大統領の突発的な発言に警戒しつつ、5月米製造業PMI改定値や5月米ISM製造業景気指数を見極めつつ、パウエルFRB議長の講演に注目する展開が予想される。
先週末、トランプ米大統領は中国が関税を巡る休戦合意に違反したと非難し、中国商務省は本日、貿易を巡る最近のコンセンサスに米国が違反したと非難しており、ジュネーブで締結された米中貿易協定が破棄されそうな状況となっている。
第1次トランプ米政権でも、当初は米中貿易協定が締結されたものの、米国が破棄して、米中貿易戦争が勃発しており、今回も同様の展開になる可能性に警戒しておきたい。
また、トランプ米大統領は、鉄鋼・アルミニウム製品の関税率を25%から50%に倍増するとも述べており、ウォール街で揶揄されているトランプ米大統領の朝令暮改「TACO(タコ)」(Trump Always Chickens Outトランプはいつもおじけづく)なのか否かを見極めていくことになる。
先週、トランプ米大統領が対EU50%関税の延期を発表した後、鉄鋼を含めた複数の分野で協力する可能性を協議することが報じられていた。
今回のトランプ米大統領の50%関税発言に対するEUの報復措置などには警戒しておきたい。
5月米製造業PMI改定値は52.2と予想され、5月米ISM製造業景気指数は49.3と予想されており、今週末に発表される米5月雇用統計に向けて、パウエルFRB議長、ローガン米ダラス連銀総裁、グールズビー米シカゴ連銀総裁の講演で利下げ時期への言及に注目していくことになる。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、144.44円(5/30高値)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、142.12円 (5/27 安値)
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
米中電撃合意も中国企業のマインドは「薄曇り」の模様
需要を伴わない生産拡大が景気底入れを促すか、米中関係や世界経済には不透明要因が山積
米中摩擦の行方は世界経済と国際金融を揺るがしている。先月の米中協議を経て報復関税は撤廃されるなど関係改善の兆しはみられたが、依然として米中関係の行方は見通せない状況が続く。世界の二大経済大国の関係を巡る不透明感は、世界貿易の停滞を通じて世界経済の足かせとなることが懸念される。
関係改善の兆しがみられたが、5月の製造業PMIは49.5と好不況の分かれ目を下回るなど依然厳しい状況にある。生産活動はわずかに回復するも、内・外需双方で受注は低迷するなど需要の回復は遅れている。ディスインフレ圧力の根強さや雇用回復の遅れもみられるなど、個人消費の低迷が続く可能性は高い。一方、非製造業PMIは50.3と50を上回るも前月からわずかに低下しており、不動産不況が建設業の足かせとなる展開が続く。サービス業はわずかに回復するも、先行きの需要回復は見通せない状況が続く。ディスインフレ圧力の根強さや雇用回復の遅れが個人消費の低迷を示唆する動きも確認されている。
5月の総?⑰MIは底打ちしているが、これは需要を伴わない生産拡大がけん引役となっている可能性がある。中国経済の構造的な問題の根強さに加え、ディスインフレ圧力の深刻化、世界への「デフレの輸出」といった混乱を招く可能性はくすぶる。その結果、米中関係の改善は見通せないとともに、世界経済の混乱が長期化していく可能性にも引き続き警戒が必要になると捉えられる。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
OPECプラス有志8ヶ国は7月も大幅増産、減産縮小は大きく前倒し
4ヶ月で自主減産枠の6割強が縮小へ、シェア重視で価格は上値の重い展開が続くか
主要産油国の枠組みであるOPECプラスは、5月28日のオンライン閣僚会合において2026年末までの日量366万バレルの協調減産の継続を確認し、2027年以降の生産に向けて生産能力評価の枠組み策定を進めることで合意した。一方、有志8ヶ国は4月から自主減産を段階的に縮小し、5月と6月には予定を前倒しして実質増産に動いてきた。これは、OPECの影響力低下、サウジの戦略変更、過剰生産国への対抗姿勢などが影響している。
こうしたなか、有志8ヶ国は5月31日にオンライン会合を開催し、7月の自主減産枠をさらに日量41.1万バレル縮小することで合意した。OPECは健全な市場のファンダメンタルズと世界経済の回復を理由に挙げる一方、今後も生産調整に柔軟に対応する構えを示している。この決定を受けて、7月までの4ヶ月間で自主減産枠の6割以上が回復するなど、大きく前倒しされることになる。
米中貿易協議を巡る不透明感や世界経済の先行きにも不透明感がくすぶるなか、足元の国際原油価格は上値の重い展開が続いている。今回の決定は有志国が市場シェアを重視していることを示唆しており、先行きについても国際原油価格は上昇しにくい状況が続くと見込まれている。
今週のNY市場は貿易問題、財政赤字問題、5月雇用統計などの経済指標に注目。先週はダウ平均が667.00ドル高(+1.60%)、S&P500が1.88%高、ナスダック総合が2.01%高と3指数がそろって反発した。トランプ米大統領が6月1日発動予定のEUに対する50%関税を7月9日まで延期すると発表したことが好感されたほか、エヌビディアの好決算を受けたハイテク株の上昇も相場を押し上げた。ただ、トランプ関税を巡る司法判断が分かれ、不透明感を強めたほか、金曜日にトランプ米大統領が、中国が貿易協定に違反していると発言し、米中貿易交渉の先行き懸念が強まったことが上値の重しとなった。
今週は中国との貿易摩擦問題が引き続き注目されるほか、大型減税策を含む法案の上院での審議や、景気動向を巡って米5月雇用統計などの経済指標が焦点となりそうだ。米下院で5月下旬に大型減税や軍事費拡大を含む法案が可決したことで、財政赤字拡大懸念から米長期債利回りが上昇したことが相場の重しとなったが、今週は上院での審議の行方や米債利回りの動向が注目させる。経済指標では金曜日に発表される5月雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率・平均賃金)が焦点となる。非農業部門雇用者数は前月の17.7万人増から5月は13.0万人増に減少が見込まれており、予想以上の減少となれば関税による景気減速懸念が強まることが警戒される。このほか5月ISM製造業PMI(月曜日)、4月製造業新規受注、4月JOLTS 求人件数(火曜日)、5月ADP民間部門雇用者数、5月ISM非製造業PMI(水曜日)、新規失業保険申請件数(木曜日)など注目度の高い指標の発表が多い。
今晩の米経済指標・イベントは5月ISM製造業PMIなど。企業決算は寄り前にキャンベル・スープが発表予定。
JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOはFOXとのインタビューの中で、米国の財政赤字と債務について「非常に大きな問題だ」と指摘した。ダイモン氏はこれにより債券市場は厳しい状況に直面し、スプレッドが大きく拡大する可能性があると警告。市場は現状に対して楽観的すぎるとの懸念も示した。
日経平均株価は大幅続落。寄り付きから下げ幅を拡大する展開となった。25日移動平均線(37196円 6/2)に近づく場面があったが、終値ベースでは100日移動平均線(37385円 同)上を意識して終えた。
RSI(9日)は前日の59.3%→49.0%(6/2)に低下。4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇継続の判断となる。
5月前半には終値ベースで3/26につけた急落前の戻り高値(38027円)を更新し、4月前半の安値を先端とした「スパイクボトム(V字)」が完成。その後、微調整にとどまりながら、5/13につけた終値ベースの直近高値(38183円)を上回り、上昇継続の確度を高める要因となった。
75日移動平均線(36772円 同)が依然として下落基調にあることが株価の上値を限定的にし、25日移動平均線上などでのもみ合いを長引かせる要因になりえる。
上値メドは、5/29高値(38454円)、心理的節目の39000円、心理的節目の39500円、2/13高値(39581円)、心理的節目の4万円などがある。下値メドは、25日移動平均線、心理的節目の37000円、75日移動平均線、心理的節目の36500円や36000円などがある。
ウクライナの国防相は6月末までに進展を図るためのロシアとの会談開催を提案したと明らかにした。一方、ウクライナ外務次官は「ロシア側の提案は本日受け取ったばかりで、即座に反応できなかった」と説明している。両国は2日、トルコ・イスタンブールで直接協議を行い、停戦や捕虜交換、拉致された子どもの返還などを議題としたが、交渉は難航している。
メキシコのロドリゲス内務大臣は1日に実施された司法選挙での市民の積極的な参加を称賛した。2日の記者会見で「歴史的な選挙だった」と述べ、平穏な環境の中で高い投票率が見られたことを民主主義への意識の高さと評価。また、選挙結果の発表日程も公表され、2日に最高裁判事、4日に司法懲戒裁判所の判事、5日に連邦選挙裁判所上級部の判事、6日に同地方部の判事、8日に巡回裁判所の判事、10日に地方裁判所の裁判官の結果が順次発表される予定だ。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は国際金融部門75周年記念会議での冒頭あいさつで金融政策や経済見通しについてはコメントしなかった。
(2日終値:3日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=142.97円(2日15時時点比▲0.38円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.29円(△0.18円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1421ドル(△0.0042ドル)
FTSE100種総合株価指数:8774.26(前営業日比△1.88)
ドイツ株式指数(DAX):23930.67(▲66.81)
10年物英国債利回り:4.667%(△0.020%)
10年物独国債利回り:2.524%(△0.024%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月英ネーションワイド住宅価格
前月比 0.5% ▲0.6%
4月スイス小売売上高
(前年同月比) 1.3% 2.1%・改
1-3月期スイス国内総生産(GDP)
(前期比) 0.5% 0.3%・改
(前年比) 2.0% 1.6%・改
5月スイス製造業PMI
42.1 45.8
5月仏製造業PMI改定値
49.8 49.5
5月独製造業PMI改定値
48.3 48.8
5月ユーロ圏製造業PMI改定値
49.4 49.4
5月英製造業PMI改定値
46.4 45.1
4月英消費者信用残高
16億ポンド 11億ポンド・改
4月英マネーサプライM4
(前月比) 0.0% 0.3%
(前年比) 3.2% 3.4%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ユーロドルは底堅い動き。トランプ米大統領は前週末に鉄鋼・アルミニウムに課す追加関税を50%に引き上げる方針を表明したほか、「中国が米国との合意に完全に違反した」と主張し、中国に対し厳しい措置を取る可能性を示唆。貿易摩擦激化への懸念が再燃する中、主要通貨に対してドル売りが優勢となった。
NYの取引時間帯に入ると、5月米ISM製造業景況指数や4月米建設支出が予想より弱い内容だったことが伝わり、全般ドル売りが活発化。23時30分過ぎに一時1.1450ドルと4月22日以来の高値を付けた。
・ドル円は下落。米関税政策を巡る不透明感や米中関係が再び緊張するとの警戒感などから円買い・ドル売りが先行。低調な米経済指標をきっかけに全般ドル売りが強まると一時142.54円と日通し安値を更新した。ただ、5月27日の安値142.12円がサポートとして働くと下げ渋った。
なお、ローガン米ダラス連銀総裁は「不確実性や金融市場の変動があるものの、米国経済は依然として強靭」「金融政策は現状、待機し忍耐強く対応できる体制が整っている」と述べたほか、グールズビー米シカゴ連銀総裁は「これまでのところ、インフレ指標は非常に良好」「関税の直接的な影響も驚くほど小さいが、今後1-2カ月もこの状況が続くかは分からない」などと話した。
・ユーロ円は下値が堅かった。20時30分過ぎに一時162.84円と本日安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢となり163.32円付近まで持ち直した。ドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、相場は大きな方向感が出なかった。
・ロンドン株式相場は小幅ながら続伸。米中貿易摩擦の激化懸念が再燃し、売りが先行したものの、下値は限定的だった。引けにかけては買いが強まり上げに転じた。アングロ・アメリカンやグレンコアなど素材株が買われたほか、BPやシェルなどエネルギー株が値上がりした。半面、セグロなど不動産株が値下がりした。
・フランクフルト株式相場は反落。米関税政策や世界経済の先行きへの不透明感から売りが先行したものの、下値は限られた。個別ではラインメタル(3.50%安)やダイムラー・トラック・ホールディング(3.48%安)、ザルトリウス(2.84%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は下落。米債安につれた。
6月に入り2日の日経平均は大幅続落。終値は494円安の37470円。トランプ大統領が鉄鋼とアルミニウムに関する追加関税を25%から50%に引き上げると発表するなど「関税リスク」が改めて意識されたことから、300円超下げて始まった。寄り付きを高値にしばらく下を試す動きが続き、前場のうちに節目の37500円を下回った。後場はスタートから600円を超える下落。ただ、37300円台に入ったところで売りが一巡すると、12時台後半からは緩やかに値を戻した。終盤には37500円に接近する場面もあり、大幅安ではあったものの、後場の高値圏で取引を終了。大型株が嫌われる中でも新興銘柄には資金が向かっており、グロース250指数はプラスで終えた。
東証プライムの売買代金は概算で3兆8400億円。業種別では倉庫・運輸、建設、保険などが上昇した一方、ゴム製品、輸送用機器、精密機器などが下落した。上方修正と増配を発表した新光商事<8141.T>が大幅上昇。半面、上期が最終減益となったナトコ<4627.T>が急落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり562/値下がり1012。サンリオが全市場の売買代金トップとなる大商いで3.4%高。IHI、富士通、楽天Gなどに強い動きが見られた。NJSや日本ヒュームなど下水道関連が政策期待から派手に上昇。提携に関するリリースを材料に住友ファーマが買いを集めた。PostPrimeは通期見通しを下方修正したが、子会社の取引プラットフォームサービス開始に関するリリースが好感されてストップ高となった。
一方、先週末の米国市場でエヌビディアなど半導体株が弱かったことから、アドバンテスト、レーザーテック、SCREENなどが大幅安。トヨタ、ホンダ、マツダなど自動車株が弱かったほか、ブリヂストンや住友ゴムなどタイヤ株も大きめの下落となっており、自動車関連が嫌われた。上期決算発表の延期を検討していると公表したパーク24が大幅安。トランプ大統領から、USスチールの「素晴らしいパートナー」になるとのコメントがあった日本製鉄は、高く始まったものの失速してマイナス圏に沈んだ。
6月初日の日経平均は「トランプリスク」が意識されて、値幅を伴った下げとなった。関税の大幅引き上げはトランプ大統領にとってはディールの材料であったとしても、企業業績には直接的な悪影響が懸念される。それだけに、売り反応が出てくることは仕方ない。目先は米国関連のニュースに振り回されることになるだろう。ただ、連日の大幅安で短期的な過熱感は払しょくされた。ここから下には25日線(37196円、2日時点、以下同じ)や75日線(36772円)が控えており、一段安になるとしても下げ方はマイルドになると思われる。弱いながらも後場には若干持ち直しただけに、25日線辺りまでで下げ止まる展開に期待したい。
(2日終値)
ドル・円相場:1ドル=142.71円(前営業日比▲1.31円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.28円(▲0.18円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1441ドル(△0.0094ドル)
ダウ工業株30種平均:42305.48ドル(△35.41ドル)
ナスダック総合株価指数:19242.61(△128.84)
10年物米国債利回り:4.44%(△0.04%)
WTI原油先物7月限:1バレル=62.52ドル(△1.73ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3397.2ドル(△81.8ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月米製造業PMI改定値
52.0 52.3
5月米ISM製造業景況指数
48.5 48.7
4月米建設支出
(前月比) ▲0.4% ▲0.8%・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は3日続落。トランプ米大統領は前週末に鉄鋼・アルミニウムに課す追加関税を50%に引き上げる方針を表明したほか、「中国が米国との合意に完全に違反した」と主張し、中国に対し厳しい措置を取る可能性を示唆。貿易摩擦激化への懸念が再燃する中、主要通貨に対してドル売りが先行した。5月米ISM製造業景況指数や4月米建設支出が予想より弱い内容だったことが分かると全般ドル売りが活発化し、23時過ぎに一時142.54円と日通し安値を更新した。
ただ、5月27日の安値142.12円がサポートとして働くと下げ渋った。一時410ドル超下落したダウ平均が上げに転じるなど、米国株相場が底堅く推移したことも相場を下支えした。レビット米ホワイトハウス報道官が「トランプ米大統領と習・中国国家主席は今週協議する可能性が高い」と明らかにすると、貿易交渉が進むとの期待からドル買い戻しを誘った面もある。なお、取引終盤には「米政府は一部の中国製品に対する関税適用停止措置を8月31日まで延長する」との一部報道が伝わった。
・ユーロドルは反発。米関税政策を巡る不透明感や米中関係が再び緊張するとの警戒感などから全般ドル売りが先行。低調な米経済指標をきっかけにドル売りが強まると23時30分過ぎに一時1.1450ドルと4月22日以来の高値を付けた。その後の下押しも1.1412ドル付近にとどまった。
・ユーロ円は小幅続落。20時30分過ぎに一時162.84円と本日安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢となり163.42円付近まで持ち直した。ドル円の下落につれた売りが出た半面、ユーロドルの上昇につれた買いが入った。米国株相場の持ち直しも相場を下支えした。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸。米関税政策を巡る不透明感や米中関係が再び緊張するとの警戒感などから売りが先行。指数は一時410ドル超下げた。ただ、レビット米ホワイトハウス報道官が「トランプ米大統領と習・中国国家主席は今週協議する可能性が高い」と明らかにすると、貿易交渉が進むとの期待から買い戻しが優勢となった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は反発した。
・米国債券相場で長期ゾーンは3日ぶりに反落。米関税政策を巡る不透明感や米中関係が再び緊張するとの警戒感などから米資産を売る動きが先行した。ただ、貿易交渉の進展期待が高まると買い戻しが入り、引けにかけて下げ渋った。
・原油先物相場は3日ぶりに反発。OPECプラスが先月末に増産で合意したが、予想ほどの増産ではなかったことで供給過剰懸念が後退し買いが強まり、一時64ドルに迫る場面があった。もっとも、一巡後は利食い売りなどが持ち込まれるなど伸び悩んだ。
・金先物相場は反発。米中貿易摩擦の激化などを警戒して安全資産とされる金の需要が急速に高まった。終値ベースで4月下旬以来の高値を付けた。
一部通信社が報じたところによると、「米政府は一部の中国製品に対する関税適用停止措置を8月31日まで延長する」ようだ。
2日09:15 ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「関税は一時的な物価上昇をもたらす可能性」
「年内の利下げは可能、インフレが緩和し関税の範囲が下限であることが前提」
「経済と雇用市場に下方リスク、インフレには上方リスク」
「関税が失業を加速させ、影響が長引く可能性」
「関税は今年インフレの主因となる」
「関税のインフレへの影響、今年後半に最大となる見込み」
「貿易政策の先行きには依然として大きな不確実性」
「インフレ率が目標に近い場合、政策は経済の実体面に着目すべき」
「FRBはインフレ目標達成に近づいている」
2日16:20 日銀債券市場参加者会合議事要旨
「適正な国債保有残高の見極めは困難で一定の慎重さ必要、減額幅を2000億円程度に縮小が望ましい」
「望ましい月間買い入れ額を示した上で、当該水準までは現行ペースで減額継続が望ましい」
「買い入れ額が1.5-2兆円程度になるまで現行の減額ペース継続が望ましい」
「超長期ゾーンの年限統合を行えば、より需給環境に応じた買い入れがなされるようになる」
2日23:24 ローガン米ダラス連銀総裁
「不確実性や金融市場の変動があるものの、米国経済は依然として強靭」
「労働市場は安定」
「インフレ率は依然として目標をやや上回っている」
「市場の変動や不確実性が高まれば、家計や企業が消費や投資を控える可能性」
「金融政策は現状、待機し忍耐強く対応できる体制が整っている」
「リスクが顕在化した場合には迅速に対応できる準備ができている」
3日02:08 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「これまでのところ、インフレ指標は非常に良好」
「関税の直接的な影響も驚くほど小さいが、今後1-2カ月もこの状況が続くかは分からない」
「今後12-18カ月で金利は下げられる余地があると考える」
3日02:16 マン英金融政策委員会(MPC)委員
「金利引き下げが進む中、量的引き締め(QT)の影響がこれまで以上に重要な課題」
「9月のQT方針決定前にMPCで議論されるだろう」
「QTによる影響を補うために短期金利を追加で引き下げることは英国の労働市場や製品市場に残る構造的な硬直性を解消する必要性と相反する可能性」
3日02:22 レビット米ホワイトハウス報道官
「トランプ米大統領と習・中国国家主席は今週話す可能性が高い」
「EUとの貿易協定に楽観的」
「EUはトランプ大統領の関税引き上げの脅威のおかげで交渉のテーブルについた」
3日03:03 トゥスク・ポーランド首相
「近いうちに議会で信任投票を求める」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 5月マネタリーベース
○16:50 ◎ 植田和男日銀総裁、講演
<海外>
○06:30 ◎ マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○10:30 ◎ 豪準備銀行(RBA)理事会議事要旨(5月19日-20日分)
○10:30 ◇ 1-3月期豪経常収支(予想:125億豪ドルの赤字)
○10:45 ◎ 5月Caixin中国製造業購買担当者景気指数(PMI、予想:50.7)
○15:30 ◎ 5月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%)
○16:00 ◎ 5月トルコCPI(予想:前月比2.00%/前年比36.00%)
○18:00 ☆ 5月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比2.0%)
○18:00 ☆ 5月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比2.4%)
○18:00 ◎ 4月ユーロ圏失業率(予想:6.2%)
○18:30 ◎ 1-3月期南アフリカ国内総生産(GDP、予想:前期比▲0.1%/前年同期比0.7%)
○23:00 ◎ 4月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数(予想:710.0万件)
○23:00 ◎ 4月米製造業新規受注(予想:前月比▲3.2%)
○4日01:45 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、質疑応答
○4日02:00 ◎ クック米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○4日04:30 ◎ ローガン米ダラス連銀総裁、あいさつ
○韓国(大統領選挙日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
昨日のニューヨーク為替市場でドル円は一時142.54円まで下落。トランプ米大統領が表明した鉄鋼・アルミニウム追加関税や、米中貿易摩擦への懸念が重しとなった。5月米ISM製造業景況指数が予想より弱かったこともドル売りを強めた。一巡後の戻しも限られた。弱い米経済指標にも後押しされて、ユーロドルは1.1450ドルまで反発した。
本日の東京為替市場でドル円は、米国を巡る貿易問題に関する報道に注意しながらの取引は変わらず。トランプ関税への警戒感が燻っているうちは、積極的にドルの上値を追うのは難しいか。本日からパリで経済協力開発機構(OECD)の閣僚級理事会が開かれる。米国側の代表と通商交渉を予定している国もあり、それに臨む各国高官の発言も気を付けておきたい。
日米関税交渉については、赤沢経済再生相は1日、4回目の閣僚級協議を米ワシントンで終えて帰国した。「日米双方の立場について認識が深まった」とし、「合意に向けて議論が進展したこと」を石破首相に報告。ただ具体的な内容は明らかにされず、市場のセンチメント改善には繋がっていない。
赤沢再生相は、5回目となる閣僚級の関税交渉のために5日から4日間の予定で訪米するもよう。6月中旬にカナダで開かれる主要7カ国(G7)首脳会議(サミット)の場で米国との通商合意を目指すようであれば、次回の協議は非常に重要となる。
国内の材料としては本日、財務省が10年国債の入札を行う。国債の超長期ゾーンは一時期の不安定さから落ち着きを取り戻しつつあるものの、5日の30年国債入札への警戒感は高まったままだ。先週実施された40年国債の入札も結果は低調だった。基本的に10年債への需要は高いとはいえ、機関投資家が慎重な姿勢を見せるようであれば、金融相場全般の波乱要因となるだろう。
また東京17時前になるが、内外情勢調査会で植田日銀総裁が「最近の経済・物価情勢と金融政策運営」というタイトルで講演予定。昨日のドル円で、サポートとして意識されたのが「5月27日安値142.12円」。このとき売られたきっかけは、植田日銀総裁の発言「経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」だった。本日の講演内容は言葉を選びながら慎重な物言いとなりそうだが、ドル円の水準的にも総裁発言は注目される。
ほか本日は、豪準備銀行(RBA)理事会議事要旨(5月19日-20日分)が公表予定。政策金利0.25%引き下げを予想通りに決定したRBA理事会では、声明の「インフレ率は大幅に低下している」「インフレの上振れリスクは減少している」などに反応し、豪ドル売りが強まる場面があった。短期金融市場は次回7月会合の追加利下げを織り込みつつあり、本日の議事要旨が市場の予測を後押しすることになるか確かめたい。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 37770 +280 (+0.74%)
TOPIX先物 2793.0 +14.5 (+0.52%)
シカゴ日経平均先物 37805 +315
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
2日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。トランプ政権の鉄鋼・アルミニウム製品の関税引き上げ計画に対し、欧州連合(EU)が対抗措置を講じる用意があると表明するなど、米関税政策を巡る不透明感や、米中関係の緊張再燃が警戒されて売りが先行。NYダウは一時400ドル超下落する場面もあった。ただ、レビット大統領報道官が「トランプ大統領と中国の習近平国家主席が週内にも協議する可能性が高い」と明らかにすると、貿易交渉の進展期待から買い戻しが強まり、上昇に転じた。
S&P500業種別指数は、半導体・同製造装置、エネルギー、食品・生活必需品小売が上昇した一方で、自動車・同部品、家庭用品・パーソナル用品、運輸の下げが目立った。NYダウ構成銘柄では、ナイキ<NKE>、ボーイング<BA>、IBM<IBM>、エヌビディア<NVDA>、シスコシステムズ<CSCO>が買われた。半面、セールスフォース<CRM>、スリーエム<MMM>、プロクター・アンド・ギャンブル<PG>、キャタピラー<CAT>が下落。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比315円高の3万7805円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは日中比100円安の3万7390円で始まった。その後は3万7440円~3万7560円と日中終値を挟んで保ち合いを継続。米国市場の取引開始後には下へのバイアスが強まり、3万7280円まで下落幅を広げた。ただし、売り一巡後はショートカバーによりプラス圏を回復すると、終盤にかけて上げ幅を広げて3万7840円まで買われる場面もみられ、3万7770円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや買い先行で始まることになろう。ナイトセッションで一時3万7280円まで売られ、支持線として意識されていた25日移動平均線(3万7320円)を割り込む場面もあった。ただし、その後のリバウンドによって終値では200日線(3万7560円)を上回っている。5月26日の下落場面でも25日線までの調整を経てリバウンドをみせており、調整一巡感が意識されそうである。
トランプ大統領と習主席が週内にも協議する見通しであることがショートカバーにつながったが、会談内容を見極めたいとするムードも高まりそうであり、ショートカバーが一巡した後は、次第に膠着感が強まるだろう。日経225先物は25日線からのリバウンドで200日線を突破したことでセンチメントを明るくさせそうだが、ボリンジャーバンドの+1σ(3万8000円)接近では強弱感が対立しやすいとみておきたい。
まずは200日線水準での底固めを見極めつつ、押し目狙いのロング対応に向かわせそうだ。同線を上回っての推移するようだと、+1σ水準を試す動きが意識されやすいとみられる。そのため、オプション権利行使価格の3万7500円から3万8000円のレンジを想定する。
2日の米VIX指数は18.36(30日は18.57)に低下した。一時20.45まで上昇して200日線(19.59)を突破し、25日線(20.69)に接近する場面もあったが、その後は下げに転じていた。足もとでは判断の分かれ目となる20.00を挟んで推移しているが、終値では20.00を下回っているため、リスク選好に傾きやすいだろう。
NT倍率は先物中心限月で13.49倍に低下した。ボリンジャーバンドの-1σ(13.55倍)を割り込んで始まると、一時-2σ(13.47倍)まで下げている。2か月ぶりに-2σまで下げており、いったんはリバランスが入りやすい水準である。
東京市場は堅調か。米国株は上昇。ダウ平均は35ドル高の42305ドルで取引を終えた。関税リスクの高まりを受けて売りが先行し、序盤には400ドル超下げる場面もあった。しかし、売り一巡後は米中交渉に対する期待から値を戻し、プラスを確保して取引を終えた。鉄鋼株や半導体株に強い動きが見られた。ドル円は足元142円60銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて315円高の37805円、ドル建てが335円高の37825円で取引を終えた。
米国株が売りをこなして上昇したことから、「トランプ関税」に対する過度な警戒が後退すると思われる。きのうの日経平均は494円安(37470円)と大きく下げており、きょうは買い戻しが入ると予想する。米国動向から、きのう弱かった半導体株が戻りの先導役になると見込まれる。ただ、ドル円が円高に振れている点は上値を抑える要素となる。買い一巡後は伸び悩み、様子見姿勢が強まるだろう。日経平均の予想レンジは37600-37900円。
日経225先物は11時30分時点、前日比80円高の3万7570円(+0.21%)前後で推移。寄り付きは3万7720円と、シカゴ日経平均先物(3万7805円)にサヤ寄せする形から、買い先行で始まった。買い一巡後はショート優勢の流れとなり、現物の寄り付き直後には3万7510円まで上げ幅を縮めた。ただ、プラス圏をキープしたことでショートカバーを誘う形となり、3万7740円と寄り付き水準を上回る場面もあった。しかし、積極的なロングも限られており、終盤にかけて再び上げ幅を縮めた。
日経225先物は買い先行で始まったが、シカゴ先物の清算値には届かなかったことで、寄り付き後はショートに向かわせたようである。ただし、200日移動平均線(3万7560円)を割り込む場面では押し目待ち狙いのロングも入りやすく、オプション権利行使価格の3万7500円から3万7750円辺りでの狭いレンジで推移。200日線割れからのショートを仕掛けてくる動きも限られ、同線を挟んでの膠着が続きそうである。
NT倍率は先物中心限月で13.53倍に上昇して推移している。前日にボリンジャーバンドの-2σ(13.47倍)まで下げたこともあり、リバランスが入りやすい水準であろう。もっとも、-1σ(13.55倍)に抑えられているため、同バンドを上回ってくるかを見極めたところであり、スプレッドは狙いにくいだろう。
先週末から市場ではトランプ米大統領の朝令暮改に振り回されているところですが、金融業界からはスタンレーフィッシャー、日本の野球界からは長嶋茂雄を失うことになりました。両氏のご冥福をお祈りいたします。
スタンレーフィッシャーに師事した植田日銀総裁は、これまで経験したことがない非伝統的手法による超金融緩和政策からの正常化の過程において、コロナやトランプ関税といった、予期せぬ障害と戦ってきているわけですが、貨幣の中立性などの金融経済学では解決できない、市場とのコミュニケーション手段の最適化に苦慮しているのが現状。本日の国会での答弁でもそうであったように、その発言が「同じ内容であっても市場の反応に一貫性がない」ことからも明らかです。
いずれにしても、ドル円はアジア時間に入ってから下値を試したものの、株式市場が始まる9時を合図に本邦実需の買いが断続的に観測されたわけで、需給のフローに左右されているといったところ。目先は昨日東京時間午後の戻り高値である143.64円付近が意識されています。週末のトランプ発言に対するミニトリプル安と、弱い米指標を受けたドル売りの流れに一区切りつけたなかで、底堅い動きとなっていきそうです。
ロンドンタイムは、5月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値の発表が予定されている。総じて米中を中心とした通商交渉の行方をにらんだ展開となりやすいが、同問題の決着がつくまで方向感が定まりにくく、ドル安が強まる場面があっても調整を挟みやすい。
東京タイムはユーロ安・ドル高方向へ次第に傾いたが、HICPはさらなる後押しや、その巻き返しの材料になる可能性がある。事前予想ではヘッドラインの数値は前年比+2.0%(4月+2.2%)、コアが+2.4%(同+2.7%)と、前回より伸びが鈍化するとの見方。まずは予想比での強弱に反応しそうだ。
マーケットでは欧州中央銀行(ECB)が中銀預金金利を2.25%まで引き下げたことに着目し、1.75%から2.25%の間にあるとしている中立金利のレンジ上限に達したとみる向きがある。中立ゾーンに差し掛かってきた金利水準に影響を与える有力な材料として、HICPを注視するマーケット参加者は多い。
想定レンジ上限
・ユーロドル:4月22日高値1.1547ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル:6月2日安値1.1341ドル。
ドル円:1ドル=142.95円(前営業日NY終値比△0.24円)
ユーロ円:1ユーロ=163.26円(▲0.02円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1421ドル(▲0.0020ドル)
日経平均株価:37446.81円(前営業日比▲23.86円)
東証株価指数(TOPIX):2771.11(▲6.18)
債券先物6月物:139.16円(△0.14円)
新発10年物国債利回り:1.480%(▲0.025%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月マネタリーベース
前年同月比 ▲3.4% ▲4.8%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は上昇一服。仲値公示にかけてドルが買われたほか、その勢いは仲値後も続くと、143円台を回復。本邦10年債入札が好調な結果となり、債券買いが優勢となると本邦長期金利の低下と共に143.27円まで上値を伸ばした。その後は下押すも142.80円台で下げ渋った。
なお、植田日銀総裁から、先行きの成長鈍化の可能性や「利上げを決め打ちしているつもりない」ことなどへの言及も伝わっている。
・ユーロ円は上昇するも一時的。ドル円に連れて163.71円まで上昇するも、その後はユーロドルが失速した影響を受けて163.10円台まで押し戻された。日経平均の伸び悩みや時間外の米株先物の下落も重しとなったもよう。
・ユーロドルは上値が重い。ドル円でのドル高の影響を受けてじり安の流れとなる中、1.1412ドルまで売りに押された。
・日経平均株価は3営業日続落。前日の米株高の影響を受けて高く始まるも、勢いは続かず失速。利益確定や持ち高調整の売りが重しとなったとの声も聞かれる。
・債券先物相場は反発。前日の米国債相場が下落した影響を引き継いで安く始まると、10年物国債入札を控えた持ち高調整売りも重なり軟調に推移。しかし、この日行われた入札は応札倍率が約1年ぶりの高さとなるなど、「強い結果」となったことから買い戻しが優勢となった。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
トルコ景気は表面的に底入れも、実感との乖離、物価に新たなリスク
リラ相場はジリ安が続くなか、今後もファンダメンタルズの脆弱さが重石となる懸念はくすぶる
足元の世界経済や国際金融市場は米トランプ政権の関税政策に翻弄されている。米国は貿易赤字の削減を目的に関税政策を強化する動きをみせる。中国との間では貿易戦争に発展したが、その後の米中協議を経て報復関税が撤廃されるなど最悪の事態は回避されている。しかし、その後の米中協議は難航している模様の上、米国は鉄鋼・アルミ製品への追加関税を大幅に引き上げるなど不透明感がくすぶる。
トルコ経済への相互関税による直接的な影響は限定的と見込まれる。ただし、関係が深いEU景気の行方などを通じた間接的な影響は免れない。一方、トランプ関税の発動前の駆け込み輸出の動きに加え、昨年以降のインフレ鈍化や中銀の利下げは景気を下支えするとみられた。1-3月の実質GDP成長率は前期比年率+4.01%と2四半期連続のプラス成長となり、足元の景気は底入れしている。しかし、個人消費や設備投資は弱含むなど民間需要は力強さを欠く一方、公的需要への依存を強める動きが確認されている。よって、足元の景気実感は数字と乖離している可能性に留意する必要があると捉えられる。
国際金融市場では、米トランプ政権の政策の不透明感が米ドル安を招き、多くの新興国通貨で底入れが確認されている。しかし、トルコリラは政治的混乱をきっかけに下落が続いている。中銀はリラ防衛のために利上げに追い込まれたが、その後もリラ相場はジリ安の展開が続いている。経済のファンダメンタルズは極めて脆弱ななか、先行きもリラ相場を取り巻く環境が大きく好転する事態は見通しにくい展開が続くであろう。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・田中 理氏
ポーランド大統領選挙で反EU候補が勝利
親EU路線への転向は一筋縄ではいかない
親EU派と反EU派の一騎打ちとなったポーランド大統領選挙の決選投票は、反EU候補が逆転で勝利した。同国では2023年の議会選挙で、トゥスク前EU大統領が率いる親EU会派が政権を奪還したが、右派ナショナリスト政党出身の大統領が度々拒否権を発動し、親EU路線への転向が難航している。大統領の拒否権を覆すには議会の5分の3以上の議決が必要で、現政権はこれを持たない。反EU大統領が再び誕生したことで、トゥスク政権が進める親EU路線への転向の歩みが遅くなる。同国では政権交代後も親EU派と反EU派の支持が拮抗しており、昨年の統一地方選挙では反EU派が、欧州議会選挙では親EU派がそれぞれ勝利した。2027年に控える議会選挙の世論調査は、反EU派が僅かにリードしており、反EU路線に回帰する恐れもある。
大阪6月限
日経225先物 37510 +20 (+0.05%)
TOPIX先物 2773.0 -5.5 (-0.19%)
日経225先物(6月限)は前日比20円高の3万7510円で取引を終了。寄り付きは3万7720円と、シカゴ日経平均先物(3万7805円)にサヤ寄せする形から、買い先行で始まった。買い一巡後はショート優勢となり、現物の寄り付き直後には3万7510円まで上げ幅を縮めた。ただ、プラス圏をキープしたことでショートカバーを誘い、3万7740円と寄り付き水準を上回る場面もあった。
しかし、積極的なロングは限られ、前場終盤にかけて再び上げ幅を縮め、ランチタイムでは3万7510円から3万7550円辺りの狭いレンジで推移。後場は3万7480円から3万7530円と前日の終値を挟んで保ち合い、引け間際には3万7430円まで下押す場面もみられた。
日経225先物は買い先行で始まったが、シカゴ先物の清算値に届かなかったことで、寄り付き後はショートに向かわせたようである。ただし、200日移動平均線(3万7560円)を割り込む場面では押し目待ち狙いのロングも入りやすく、オプション権利行使価格の3万7500円から3万7750円の狭いレンジで推移。終盤にかけてレンジ下限を割り込んだものの、上向きで推移する25日線(3万7310円)が支持線として意識されており、概ねレンジ下限での小動きである。
トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が週内にも協議する見通しとあって、ポジションを傾けてくる動きは限られ、狭いレンジのなかでスキャルピング中心のトレードだったようだ。米中交渉の進展期待からアドバンテスト<6857.T>[東証P]など半導体株の一角に買い戻しの動きが入ったとみられるが、一方で東京エレクトロン<8035.T>[東証P]はマイナス圏での推移を継続しており、リバランスの動きも限定的だったようだ。
日経225先物は25日線がナイトセッションで3万7380円まで上昇してきた。同線が支持線として機能するようだと、200日線との攻防が続く可能性はあるだろう。ただ、両線のスプレッドは200円ほどであり、狭いレンジでの値動きが続きそうだ。25日線を明確に割り込んでくると、ボリンジャーバンドの-1σ(3万6780円)が意識され、反対に200日線を突破してくると+1σ(3万7980円)が射程に入ってくるだろう。
NT倍率は先物中心限月で13.52倍に上昇した。前日にボリンジャーバンドの-2σ(13.47倍)まで下げたこともあり、リバランスが入りやすい水準であった。一時13.55倍に上昇する場面もあったが、-1σ(13.55倍)に抑えられているため、スプレッドは狙いにくいだろう。-1σと-2σによるレンジが意識されやすくなりそうだ。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万5010枚、ソシエテジェネラル証券が9840枚、サスケハナ・ホンコンが2893枚、JPモルガン証券が2658枚、バークレイズ証券が1579枚、モルガンMUFG証券が1365枚、SBI証券が1334枚、ドイツ証券が1189枚、ビーオブエー証券が1059枚、楽天証券が985枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が1万6389枚、ソシエテジェネラル証券が1万5701枚、バークレイズ証券が5069枚、JPモルガン証券が3118枚、ゴールドマン証券が2500枚、モルガンMUFG証券が2494枚、ビーオブエー証券が1575枚、みずほ証券が1304枚、サスケハナ・ホンコン証券が952枚、SMBC日興証券が904枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、引き続きトランプ米大統領の突発的な発言に警戒しつつ、4月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数を見極めながら、NY株式・債券市場の動向を注視していく展開が予想される。
ドル円の一目均衡表によるテクニカル分析では、雲の下限(143.76円)が攻防の分岐点となっており、本日も、念頭に置きながら臨んでいくことになる。
4月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数の予想は710.0万件で、3月の719.2万件からの減少が見込まれている。4月の数字なので、今週末発表される米5月雇用統計との関連性はないものの、トランプ関税による米雇用情勢の悪化が警戒される中、予想を下回るネガティブサプライズには警戒しておきたい。
昨日発表された5月ISM製造業景況指数は48.5で、4月の48.7から低下していたものの、雇用指数は46.8で、4月の46.5から改善していた。一方で、5月消費者信頼感指数は98.0で、4月の85.7から改善していたものの、労働市場格差は、13.2で4月の13.7から悪化していた。
5月の調査は、12日に発表された米中通商協定(※追加関税115%引き下げと90日間の関税賦課停止)を受けたものであり、現時点では、米中貿易摩擦が再燃する可能性が高まっているため、5月12日週が調査対象週である5月雇用統計も含めて、割り引いて受け止めなければならないのかもしれない。
今週末、トランプ米大統領(1946年6月14日生まれ)と習・中国国家主席(1953年6月15日生まれ)が電話会談を行う予定となっており、それぞれの誕生日を控えて前向きな会談となるのか否か、注目していくことになる。
中国外務省報道官は、「米中首脳会談に関して共有できる情報はない」と述べている。
また、グールズビー米シカゴ連銀総裁、クック米連邦準備理事会(FRB)理事、ローガン米ダラス連銀総裁らのトランプ関税による不確実性や利下げ時期への言及にも注目しておきたい。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、144.44円(5/30高値)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、142.12円(5/27安値)
「トランプ予算案(大きくて美しい法案)は米国の財政健全化に寄与せず、財政引き締めを主導する政府効率部の成果を損なうものだ。予算案は大きくなることも、美しくなることもできるが、両方を兼ね備えることはできない」(イーロン・マスク氏)
トランプ米大統領が政権1期目で導入した大型所得減税の恒久化を柱とする税制・歳出法案「大きくて美しい法案(big beautiful tax and spending bill)」には、「報復税」(revenge tax)が盛り込まれている。
ホワイトハウスの中庭ローズガーデンに咲いている「美しいバラ」に潜んでいるトゲは、ミラン米大統領経済諮問委員会CEA委員長の論文から移植されたものである。
1. トランプ税制・歳出法案(貿易戦争から資本戦争へ)
包括的な税制・歳出法案には、税制が「差別的」と見なす国・地域の個人・企業を対象に税率の引き上げを求める「不公正な外国税に対する救済措置の執行」と題する第899項が盛り込まれている。
外国人投資家課税強化策には、米国資産を保有する外国人投資家に対する利子、配当、ロイヤルティー収入などパッシブインカム(受動的所得)への課税強化が盛り込まれている。
議会予算局(CBO)の試算によると、この法案が上院でも可決されて成立した場合、外国人投資家への課税強化で向こう10年間に1160億ドルの税収が見込まれている。一方で、この予算案が施行されれば、今後10年間で米連邦の財政赤字が3兆8000億ドル増加するらしい。
米共和党のスーン上院院内総務は、大型税制・歳出法案に盛り込まれた「報復」課税条項について、上院採決前に精査する、と述べた。
■第899項「不公正な外国税に対する救済措置の執行」
(Enforcement of Remedies Against Unfair Foreign Taxes)
この措置は対象国の投資家がアメリカで得る受動的収入(利息や配当など)に対して段階的な罰金税を課す。最初に5%引き上げ、その後毎年5%ずつ増加させ、法定税率の基本に対して最大20%まで達することができる。
また、METAなどの大手テクノロジー企業に対して、「デジタルサービス税」を課す国、(例:カナダ、イギリス、フランス、オーストラリア)を対象国としており、同時にグローバル最低法人税協定の条項を利用する国も対象としている。
2. 「国際貿易システム再構築のためのユーザーガイド」
「A User’s Guide to Restructuring the Global Trading System」
2024年11月、元財務省上級顧問でヘッジファンドのハドソン・ベイ・キャピタルに在籍していたミラン氏(現在:大統領経済諮問委員会CEA委員長)は、「A User’s Guide to Restructuring the Global Trading System」(国際貿易システム再構築のユーザーガイド)を公表した。論文では、「トリフィンのジレンマ(The Triffin dilemma)」をベースにして、「持続的なドル過大評価」に起因する経済的不均衡の解消と、国際貿易システム改革に向けロードマップを提示した。
「経済的不均衡の原因は持続的なドルへの過大評価にあり、それが国際収支の均衡を妨げている」
貿易赤字削減のために、各国が保有する米国債に課税することで売却を促してドル安に誘導する策(マールアラーゴ合意)、財政赤字削減のために、債務の金利上昇を抑えるべく各国の保有米国債を100年程度の超長期割引債に切り替える策が提示されている。
今晩は貿易交渉や経済指標に注目。昨日は中国やEUとの貿易摩擦懸念が重しとなり下落してスタートしたものの、ホワイトハウスが、米中国両首脳が今週中にも協議する可能性が高いと述べたことが安心感につながり主要3指数がそろって上昇して終了した。ダウ平均は朝方に416ドル安まで下落したが、35.41ドル高(+0.08%)と小幅ながら3営業日続伸して終了し、S&P500も0.85%安まで下落後、0.41%高で終了。5月に9.56%高と急伸したナスダック総合は0.67%高で終了した。
今晩は引き続き貿易交渉の進展をにらんだ神経質な展開か。今週は景気動向や先行きの利下げ見通しを巡り金曜日に発表される5月雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率・平均賃金)に注目が集まるが、今晩も4月JOLTS求人件数や4月製造業新規受注などが発表予定で、足もとの雇用情勢や製造業の景気動向などが注目される。弱い指標結果は景気後退懸念を強める一方、利下げ期待を高めることも予想され、指標結果を受けた利下げ見通しや米国債利回りなどに要注目となる。
今晩の米経済指標・イベントは4月製造業新規受注、4月JOLTS求人件数のほか、4月耐久財受注改定値など。企業決算は寄り前にダラー・ゼネラル、引け後にヒューレット・パッカード・エンタープライズ、クラウドストライクなどが発表予定。
オランダのスホーフ首相が辞任を表明し、政府は暫定体制へ移行すると発表した。
韓国大統領選で李在明候補が当選確実と地元メディアが報じた。
ウォールストリートジャーナル紙が報じたところによると、中国の何立峰副首相が米中通商交渉で前任の劉鶴氏よりもはるかに強硬な姿勢を示しているという。市場は摩擦の緩和を期待しているが、何氏の強い交渉姿勢が不透明感を強めている。中国は2018-19年の貿易戦争時より自立性を高め、今回は譲歩に慎重。米中首脳会談の可能性も浮上する中、「第1段階合意」の再現も模索されているが、中国側は必ず見返りを要求する構えだ。
日経平均株価は3日続落。5日移動平均線(37807円 6/3)を上値で意識し、上昇し切れずの展開となった。25日移動平均線(37292円 同)上は維持したものの、前日の陰線に並ぶ陰線を形成して終えた。
RSI(9日)は前日の49.0%→52.6%(6/3)に上昇。あすも上昇しやすいタイミングとなる。引き続き、4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇継続の判断となる。
5月前半には終値ベースで3/26につけた急落前の戻り高値(38027円)を更新し、4月前半の安値を先端とした「スパイクボトム(V字)」が完成。その後、微調整にとどまりながら、5/13につけた終値ベースの直近高値(38183円)を上回り、上昇継続の確度を高める要因となった。
一方、75日移動平均線(36754円 同)が依然として下落基調にあることが株価の上値を限定的にし、25日移動平均線上などでのもみ合いを長引かせる要因になりえる。
上値メドは、5/29高値(38454円)、心理的節目の39000円、心理的節目の39500円、2/13高値(39581円)、心理的節目の4万円などがある。下値メドは、25日移動平均線、心理的節目の37000円、75日移動平均線、心理的節目の36500円や36000円などがある。
オランダのスホーフ首相率いる4党連立政権が移民・難民政策をめぐる対立から崩壊した。極右・自由党(PVV)のウィルダース党首は、求めていた厳格な難民抑制策が受け入れられなかったとして連立からの離脱を表明。これによりスホーフ首相は辞任を発表し、政府は暫定体制に移行する。今後、議会で新たな多数派を模索するか、解散総選挙が行われる見通し。ウィルダース氏は「オランダを再びオランダに戻す」と強調し、移民問題への強硬姿勢を貫いている。ヨーロッパ各国でも右派の台頭が続いており、今後の政局の行方が注目されている。
OECD(経済協力開発機構)はトランプ政権の貿易戦争の影響で世界経済の成長が予想以上に減速していると発表した。2025年と2026年の世界成長率見通しは2.9%と、3月時点の予測(2025年3.1%、2026年3.0%)から下方修正した。米国経済の成長率も2025年は1.6%、2026年は1.5%と大幅に引き下げられている。保護主義の強まりや関税引き上げが続けば、インフレやサプライチェーン混乱、金融市場の不安定化がさらに進み、成長率はさらに低下する恐れがあると警告。OECDは「建設的な対話による貿易摩擦の根本的解決が不可欠」と強調している。中国経済は政府の補助金政策などで影響を一部緩和し、成長率は4.7%と小幅な下方修正にとどまった。ユーロ圏は労働市場の底堅さや利下げの効果で、成長率見通しは1.0-1.2%と据え置かれた。
(3日終値:4日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=143.84円(3日15時時点比△0.89円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.67円(△0.41円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1378ドル(▲0.0043ドル)
FTSE100種総合株価指数:8787.02(前営業日比△12.76)
ドイツ株式指数(DAX):24091.62(△160.95)
10年物英国債利回り:4.638%(▲0.029%)
10年物独国債利回り:2.525%(△0.001%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月スイス消費者物価指数(CPI)
前月比 0.1% 0.0%
5月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値
(前年比) 1.9% 2.2%
5月ユーロ圏HICPコア速報値
(前年比) 2.3% 2.7%
4月ユーロ圏失業率
6.2% 6.3%・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は底堅い動き。時間外の米10年債利回りの低下や米株指数先物の下落が相場の重しになると一時142.61円付近まで下げたものの、アジア時間に付けた日通し安値142.38円が目先サポートとして意識されると一転買い戻しが優勢となった。対欧州・オセアニア通貨中心にドル買いが進んだ影響も受けた。
NYの取引時間帯に入ると、4月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数が739.1万件と予想の710.0万件を上回ったことが伝わり全般ドル買いが活発化。米10年債利回りが上昇に転じたことも相場の支援材料となり、1時30分過ぎに一時144.11円と日通し高値を更新した。
・ユーロドルは頭が重かった。5月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が予想を下回ったことが分かるとユーロ売り・ドル買いが先行。NY市場に入り、良好な米雇用指標をきっかけに全般ドル買いが強まると一時1.1364ドルと日通し安値を更新した。ただ、前日の安値1.1341ドルが目先サポートとして意識されると下げ渋った。
・ポンドドルは下値が堅かった。ベイリー英中銀(BOE)総裁が「インフレ率が目標を下回る恐れがあれば利下げを加速する必要」などと発言するとポンド売り・ドル買いが優勢となり、一時1.3492ドルと日通し安値を付けた。ただ、前日の安値1.3452ドルがサポートとして働くと下げ幅を縮めた。
・ユーロ円は底堅い。欧州株相場や米株指数先物の下落が相場の重しになると一時162.80円と本日安値を付けたものの、NY市場に入ると一転上昇した。欧州株相場が持ち直したほか、現物の米国株相場が上昇したことを受けて円売り・ユーロ買いが優勢となった。1時30分過ぎには一時163.87円と本日高値を更新した。
・ロンドン株式相場は3日続伸。米関税政策を巡る貿易交渉の進展期待が投資家心理の支えとなり、株買いを誘った。BPやシェルなどエネルギー株が買われたほか、ロールス・ロイス・ホールディングスやBAEシステムズなど資本財サービス株が値上がりした。半面、リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株が売られ、相場の上値を抑えた。
・フランクフルト株式相場は反発。米関税政策を巡る貿易交渉の進展期待から独株にも買いが入った。個別ではエアバス(2.32%高)やシーメンス・エナジー(2.02%高)、SAP(1.99%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は上昇。5月ユーロ圏HICP速報値が市場予想や欧州中央銀行(ECB)が目標とする2%を下回ったことを受けた。ただ、引けにかけては米債安につれた売りが出た。
3日の日経平均は3日続落。終値は23円安の37446円。米国株高を受けて、3桁上昇スタート。前場では上を試す動きが見られ、10時台には上げ幅を200円超に広げた。しかし、37700円台に乗せたところで上値が重くなり、前引けにかけては急失速した。前場では37500円は割り込まなかったが、後場は37500円を割り込み、前日終値に接近。小幅なプラスでクロージングオークションに突入し、大引けでマイナス圏に沈んで安値引けとなった。一方、グロース250指数は開始直後には下げに転じたものの、切り返した後の動きは強く、後場に入って一段高。高値圏で終了しており、日経平均とは対照的な動きとなった。
東証プライムの売買代金は概算で4兆0100億円。業種別では鉱業、機械、海運などが上昇した一方、電気・ガス、医薬品、卸売などが下落した。メタプラネット<3350.T>が14.9%高と急騰。値幅が出て商いも活況となる中、売買代金は全市場でトップとなった。半面、上期の見通しが失望を誘ったピープル<7865.T>が急落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり568/値下がり997。ソシオネクストやアドバンテストなど半導体株の一角が大幅上昇。防衛大手のIHIと川崎重工が買いを集めた。決算が好感された伊藤園や内田洋行が急伸。新規の事業を始めることを発表したイシンやミライロがストップ高となった。
一方、フジクラや住友電工など電線株が軟調。メガバンクの三菱UFJ、三井住友、みずほFGがそろって下落した。トヨタやホンダなど自動車株が弱く、スズキは4%を超える下落。月次がさえなかった松屋が大幅安となった。直近で下水道関連として騰勢を強めていた日本ヒュームが急落。ストップ高が続いていたヘリオスが一転ストップ安まで売り込まれた。
日経平均は3日続落。失速しても取引時間中はマイナス圏入りを回避したが、クロージングオークションで下げに転じて安値引けとなった。一方、グロース250指数は1.4%高と強い上昇で年初来高値を更新。スタンダード指数も上昇して上場来高値を更新している。スタンダード銘柄のメタプラネットが全市場の売買代金トップとなっており、日本株の中で中小型株の存在感が一段と高まってきた。できれば大型株と中小型株がそろって上昇してほしいところだが、トランプ政権に関するニュースに振り回される状況が続くようなら、大型株を嫌って中小型株へのシフトが加速していく可能性が高い。
(3日終値)
ドル・円相場:1ドル=143.97円(前営業日比△1.26円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.74円(△0.46円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1372ドル(▲0.0069ドル)
ダウ工業株30種平均:42519.64ドル(△214.16ドル)
ナスダック総合株価指数:19398.96(△156.35)
10年物米国債利回り:4.45%(△0.01%)
WTI原油先物7月限:1バレル=63.41ドル(△0.89ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3377.1ドル(▲20.1ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数
739.1万件 720.0万件・改
4月米製造業新規受注
(前月比) ▲3.7% 3.4%・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は4日ぶりに反発。全般ドル買いが進んだ欧州市場の流れを引き継いでNY勢参入後もドル買いが先行。4月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数が739.1万件と予想の710.0万件を上回ったことが分かるとドル買いが加速し、一時144.11円まで上値を伸ばした。米10年債利回りが上昇に転じたことも相場の支援材料。
なお、クック米連邦準備理事会(FRB)理事は「現在のFRBの金融政策スタンスはさまざまな展開に対応するのに十分な状態にある」と述べたうえで、金利見通しについては「米関税がどのように作用するか分からないため、あらゆるシナリオが考えられる」と語った。
・ユーロドルは反落。欧州時間発表の5月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が予想を下回ったことを受けてユーロ売り・ドル買いが先行。市場予想を上回る米雇用関連指標を材料にドル買いが強まると一時1.1364ドルと日通し安値を更新した。
前日の安値1.1341ドルが目先サポートとして意識されると下げ渋ったものの、戻りは鈍かった。
・ユーロ円は3日ぶりに反発。日本時間夕刻に一時162.80円と本日安値を付けたものの、NY市場に入ると一転上昇した。欧州株相場が持ち直したほか、現物の米国株相場が上昇したことを受けて円売り・ユーロ買いが優勢となった。1時30分過ぎには一時163.87円と本日高値を更新した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は4日続伸。米関税政策を巡る貿易交渉の進展期待が投資家心理の支えとなり、株買いを誘った。ジェフリーズがエヌビディアを「最有力の買い銘柄」に挙げたことで、エヌビディア株が3%近く上昇した。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は続伸した。
・米国債券相場で長期ゾーンは続落。市場予想を上回る米雇用関連指標を材料に売りが優勢となった。
・原油先物相場は続伸。ウクライナとロシアの交戦が続く中で地政学リスクを意識した買いが強まった。一方で、供給過剰懸念が後退していることから上値も限られた。
・金先物相場は反落。前日に1カ月半ぶりの高値を付けた反動から利益確定売りが優勢となった。外国為替市場でドル高が進むと、ドル建てで取引される金に割高感が生じた面もあった。
3日10:10 植田日銀総裁
「景気は一部に弱めの動き見られるが、緩やかに回復」
「先行きは各国通商政策などの影響受けて成長は鈍化する」
「賃金上昇の転嫁やコメなど食料品価格上昇で物価は3%半ば」
「金融・為替市場や日本経済・物価への影響を十分注視」
「現在の実質金利は極めて低水準にある」
「利上げを決め打ちしているつもりない」
「為替レートを特定の水準に誘導する政策はしていない」
「為替相場はファンダメンタルズ反映し、安定推移が重要」
3日16:58
「米国が打ち出した関税政策、事前予想大きく上回る規模だった」
「経済・物価巡る環境、複雑さ増している」
「一部で報復措置あり通商政策巡る不確実性示す指数、急速に高まっている」
「基調物価が2%に向けて高まっていく姿実現していけば、経済・物価の改善に応じて引き続き政策金利引き上げ」
「基調的な物価上昇率、2%に向け徐々に高まる方向感は変わりない」
「各国の通商政策の今後やその影響巡る不確実性、極めて高い」
「見通しが実現していくか、内外の経済・物価情勢や市場動向を丁寧に点検し予断持たずに判断」
「通商政策の金融為替市場や経済・物価への影響、十分注視必要」
「これまでの国債買い入れ減額、市場の機能度回復という所期の効果発揮している」
「来年3月までの現在の減額計画の修正求める声は限られている」
「通商政策は事前の想定上回るインパクトだが、2%達成の「芽」は育ち続けている」
「26年4月以降の買い入れ計画検討の際には、引き続き予見可能性と柔軟性のバランスが重要」
「市場参加者からは、26年4月以降も国債買い入れ額を減らしていくのが適切との声多く聞かれた」
「26年4月以降、具体的な減額ペースは様々な意見あった」
「関税政策の影響下でも、企業の積極的な賃金設定行動は維持される」
「様々なデータや情報を丁寧に確認、予断持たず経済・物価の見通しやリスク・見通し実現の確度を点検」
「2%目標実現の観点から、引き続き適切に金融政策を運営していく」
「賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズム途切れることはない」
「関税巡る米中合意は市場でサプライズに受け止められたが、不透明感強い状況続いている」
「不確実性の高まりによる需要減、より早い段階で日本経済の下押しに働く可能性」
3日10:34 豪準備銀行(RBA)理事会議事要旨(5月19日-20日開催分)
「前回会合以降の世界経済の動向は金利引き下げの必要性を強固なものにした」
「現在のインフレ率とスタッフによる余剰生産能力の評価を踏まえると、もはやこれほど引き締める必要はないという点で一致」
「前回会合以降の国際情勢から生じた下振れリスクへの対応としても金利の引き下げが適切であると判断」
「今後の決定は入手可能なデータとリスク評価の進展に基づいて行われることを確認」
「今回の会合で50ベーシスポイントの引き下げを行うのに十分であるとは考えられない」
「金融政策を拡張的スタンスに移行する時期ではないと判断」
「CPIインフレ率は政府のエネルギー補助金の影響で変動が大きくなり、2026年初頭に一時的に目標レンジを超えると予測される」
「基調インフレ率は予測期間全体を通じて目標レンジ内で推移する見込み」
3日11:17 中村康治・日銀理事
「企業の積極的な賃金・価格設定がさらに広がり、予想物価上昇率は緩やかに上昇していく」
3日15:21 中国外務省報道官
「米中首脳会談に関して共有できる情報はない」
3日16:50 OECD(経済協力開発機構)経済予測
「2025年の世界成長率予想は2.9%(前回3月は3.1%)、26年は2.9%(同3.0%)」
「2025年の米成長率予想は1.6%(同2.2%)、26年は1.5%(同1.6%)」
「2025年の中国成長率予測は4.7%(同4.8%)、26年は4.3%(同4.4%)
※時間は日本時間
3日18:27 マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員
「労働市場が2月に予想したほど緩和しなかったため、5月は金利据え置きに投票」
「サービス価格のインフレ率は、CPIを目標水準に戻すことと整合していると考えている」
3日18:28 ブリーデン英中銀(BOE)副総裁
「ディスインフレのプロセスは着実に進んでいると確信」
「今後の政策決定には、インフレが軌道に乗っているという確信が求められる」
「労働市場の余裕が政策の指針となる」
「関税が英国経済に与える影響は小さいと予想」
3日18:37 ベイリー英中銀(BOE)総裁
「5月の金利決定の主要因は関税ではなく国内情勢」
「特段のインフレのサプライズは見られなかった」
「労働市場はやや緩和」
「賃金上昇率は2%のインフレ目標と一致する水準を上回っているが、2月に予想された水準よりは低い」
「金利については引き続き「漸進的かつ慎重な」アプローチを指針とする」
「6月の金利決定について予測はしない」
「金利は引き続き低下傾向」
「金利がどの程度、どのくらいの速さで低下するかは、はるかに不確実性に包まれている」
「不確実性は国際情勢を反映」
「インフレ率が目標を下回る恐れがあれば利下げを加速する必要」
3日23:05 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「貿易の不確実性がなければFRBが利下げをしていたかどうか判断するのは難しい」
「利下げに踏み切ることには非常に慎重」
「現時点で最善の金融政策は忍耐強く様子を見ること」
3日23:31 ルラ・ブラジル大統領
「私たちは米国政府と関税について交渉を続けてきた」
「もし合意に至らなければ、WTOへの提訴や報復措置も検討する可能性」
4日00:19 王毅・中国外相
「米中関係の前提条件として相互の尊重が不可欠」
「米国が最近一連の否定的な措置を講じたことは遺憾」
「両国関係を正しい軌道に戻すために必要な条件を米国が整えるべき」
「現在の米中関係は重大な岐路にある」
「圧力や強制は中国との正しい関わり方ではない」
4日00:21 ベッセント米財務長官
「中国はもっと消費主導型経済になるべき」
「中国が信頼できるパートナーになりたいのかどうかは中国自身の選択だ」
「バイデン政権は暗号資産(仮想通貨)を事実上絶滅の道へと追いやった」
4日02:03 クック米連邦準備理事会(FRB)理事
「貿易政策が経済に影響を与え始めている証拠がある」
「関税による価格上昇は短期的なインフレ進展を困難にする可能性」
「関税は雇用市場の冷え込みやインフレの上昇を招く可能性」
「力強い労働市場の実現には物価安定が不可欠」
「経済は依然として堅調だが、不確実性は高まっている」
「現在の金融政策のスタンスは適切」
4日02:54 レビット米ホワイトハウス報道官
「トランプ米大統領は本日、鉄鋼・アルミニウム関税発動命令に署名する予定」
「鉄鋼・アルミニウム輸入関税50%は明日発効」
※時間は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○10:30 ☆ 1-3月期豪国内総生産(GDP、予想:前期比0.4%/前年比1.5%)
○16:50 ◎ 5月仏サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値(予想:47.4)
○16:55 ◎ 5月独サービス部門PMI改定値(予想:47.2)
○17:00 ◎ 5月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:48.9)
○17:30 ◎ 5月英サービス部門PMI改定値(予想:50.2)
○19:00 ◇ 4-6月期南アフリカ経済研究所(BER)企業信頼感指数
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○21:15 ☆ 5月ADP全米雇用報告(予想:11.2万人)
○21:30 ◇ 1-3月期カナダ労働生産性指数(予想:前期比0.1%)
○21:30 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、クック米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○未定 ◎ ポーランド中銀、政策金利発表(予想:5.25%で据え置き)
○22:45 ☆ カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:2.75%で据え置き)
○22:45 ◎ 5月米サービス部門PMI改定値(予想:52.3)
○22:45 ◎ 5月米総?⑰MI改定値(予想:52.1)
○23:00 ☆ 5月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:52.0)
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○5日01:00 ◎ 4月ロシア失業率(予想:2.3%)
○5日03:00 ◎ 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
昨日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、4月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数が予想を上回ったことも後押しに一時144.11円まで反発した。ユーロドルは5月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が予想を下回ったことやドル高を重しに1.1364ドルまで弱含んだ。また、ユーロ円は欧米株高も支えに163.87円まで上昇した。
本日の東京タイムではドル円の動意につながりそうな指標発表などは乏しく、日本株や日米長期金利の動向を睨んだ動きが想定されるが、トランプ関税への不安で上値の重い地合いが続くと見込まれる。なお、午前には1-3月期豪GDPの発表が予定されており、豪準備銀行(RBA)が次回7月会合で追加利下げに踏み切るとの市場の見方を後押しする結果になるかどうかに注目。
トランプ米大統領は4日から鉄鋼・アルミニウムに課す追加関税を25%から50%に引き上げると表明しており、関連のヘッドラインに注目。トランプ米政権が貿易相手国に4日までに最善の貿易交渉案を提示するよう求めたとの報道もあり、朝令暮改が日常茶飯事になっているトランプ米大統領が関税の発動を再び先延ばししても驚くことではないだろう。
先週末にトランプ米大統領が鉄鋼関税の引き上げを示唆した後にドル安が進み、米株・米債も売りが入る場面があった。しかしながら株と債券の反応は限られ、「米国売り」再燃への懸念が大きく膨らむことはなかった。ただし、関税による米経済・インフレへの不安は根強いだけに警戒感は残されている。
今週中にも米中首脳が電話会談を行う可能性が報じられ、いったん米中の緊張感の高まりを嫌気した動きも一服しているが、両国が今後報復措置を強化する可能性もある。また、米政権の鉄鋼関税引き上げ方針に欧州連合(EU)は貿易摩擦解消の取り組みを損なうものだと主張し、報復措置を前倒しする可能性があると警告した。進行中の米・EU交渉が難航することも念頭に置きたい。米政権と中国・EUの摩擦がエスカレートすれば、トランプ米大統領の政策への不信感からドル売りと対米投資を見直す動きが加速することが警戒される。
トランプ関税に絡んだリスクオフの動きが強まらない限り、足もとで円高に振れる手がかりは乏しい。昨日、植田日銀総裁は経済・物価がいったん足踏みする可能性に言及し、「経済・物価情勢の改善が見込めないなかで無理に利上げすることはない」と述べ若干ハト派寄りの印象を与えた。ほか、本邦10年国債入札が順調な結果となり長期金利が低下した。トランプ関税をめぐる不安が高まらなければ、ドル円はいったん買いに傾くことも念頭に置きたい。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 37720 +210 (+0.55%)
TOPIX先物 2786.5 +13.5 (+0.48%)
シカゴ日経平均先物 37760 +250
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
3日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。OECD(経済協力開発機構)が発表した経済見通しは、トランプ関税を反映し2025年の米成長率予想を前回の2.2%から1.6%に引き下げた一方、25年のインフレ率見通しを2.8%から3.2%へ上方修正したことが重荷になる場面もあった。
ただし、ジェフリーズがエヌビディア<NVDA>を「最有力の買い銘柄」に挙げたほか、メタプラットフォームズ<META>がデータセンター向けに電力会社と20年の電力購入契約を結んだと伝わり、人工知能(AI)需要が底堅いとの見方から半導体株を中心に買われた。トランプ米大統領と中国の習近平国家主席による直接対話への期待や4月の米雇用動態調査(JOLTS)で求人件数が予想を上回ったことも材料視された。
S&P500業種別指数は、半導体・同製造装置、耐久消費財・アパレル、エネルギーが上昇した一方で、家庭用品・パーソナル用品、メディア、不動産が下げた。NYダウ構成銘柄では、エヌビディアのほかホーム・デポ<HD>、キャタピラー<CAT>、ナイキ<NKE>、シェブロン<CVX>が買われた。半面、コカ・コーラ<KO>、ユナイテッドヘルス・グループ<UHN>、ジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ>、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>が下落。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比250円高の3万7760円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは日中比60円安の3万7450円で始まった。直後につけた3万7390円を安値にロング優勢となり、ほどなくしてプラス圏を回復。米国市場の取引開始後に上へのバイアスが強まり、中盤にかけて3万7790円まで買われる場面もみられた。終盤にかけては3万7700円~3万7790円辺りで保ち合い、3万7720円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形で、やや買い先行で始まることになろう。ナイトセッションでは開始直後に3万7390円まで売られたが、25日移動平均線(3万7390円)が支持線として機能する形でリバウンドをみせており、200日線(3万7580円)を上回って終えた。200日線水準での底堅さを見極めつつ、押し目狙いのロング対応に向かわせそうである。
米国市場ではエヌビディアなど半導体株の一角が買われたことで、アドバンテスト<6857.T>など指数インパクトの大きい値がさハイテク株の支援材料になりそうだ。為替市場ではドドル・円が朝方に1ドル=144円台をつけるなど、前日から円安に振れて推移していることも材料視されやすいだろう。
米中首脳会談が週内に実現するかは不透明ながら、ショートは仕掛けづらくさせると考えられ、200日線を支持線としたリバウンドが意識されやすい。まずはボリンジャーバンドの+1σ(3万7990円)辺りがターゲットになりそうだ。そのため、オプション権利行使価格の3万7500円から3万8000円のレンジを想定する。
3日の米VIX指数は17.69(2日は18.36)に低下した。18.00を下回るのは5月16日以来となる。200日線(19.59)や25日線(20.43)が抵抗線として意識されており、リスク選好に傾きやすいだろう。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.52倍に上昇した。前日にボリンジャーバンドの-2σ(13.47倍)まで下げたこともあり、リバランスが入りやすい水準であった。もっとも、13.55倍に上昇する場面もあったが、-1σ(13.55倍)に抑えられている。指数インパクトの大きい値がさハイテク株が日経平均型を牽引する形で同バンドを突破してくるようだと、ややNTロングに振れやすくなる可能性はありそうだ。
東京市場は堅調か。米国株は上昇。ダウ平均は214ドル高の42519ドルで取引を終えた。序盤では下げる場面もあったが、早々に切り返した後は上げ幅を拡大。米中交渉に対する期待が下支えとなる中、エヌビディアなど半導体株に強い買いが入った。ドル円は足元144円00銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて250円高の37760円、ドル建てが265円高の37775円で取引を終えた。
きのうの日経平均は高く始まったものの下落で終えたが、ドル円が円安に振れているだけに、きょうは米国株高を素直に好感した買いが入るだろう。きのうもさえないながら37500円近辺では踏みとどまっていただけに、下値不安が後退することで全体の底上げが期待できる。ただ、週末に米雇用統計の発表を控えているだけに、高くなればリスク回避の売りは出やすい。上は5日線(37807円、3日時点)辺りまでと予想する。日経平均の予想レンジは37550-37800円。
為替市場では、週明けのドル全面安からは一転、昨日はその反動からかドル全面高といったところ。4月米JOLTS求人件数の数字が予想を大幅に上回る強い数字となったことを受けて、米長期金利が上昇。ドル円は一時144.11円まで買い上げられることになりました。日足のチャートをみるに、前日2日とほぼ同じ形のローソク足。売った分を買い戻すといった、結果的には行って来いのような展開となっています。
アジア時間に入ってからも、目先材料不足のなかにあって、仲値に向けた本邦実需の買いが観測されると昨日高値や2日の高値144.17円、更には一目転換線の144.20円を上抜けて一時144.28円まで値を上げたものの、その後は143.67円まで下押すなど、相変わらずの展開に。目先では一目雲下限の143.76円と一目転換線の144.20円を挟む神経質な動きが続いています。
いずれにしても、隣国韓国では新大統領が誕生して、政権交代。日本では参院選を控えて、そして、可能性は低いものの、内閣不信任案提出からの総選挙も想定した選挙モードに入りつつあるなかにあっても、政策への期待感なるものは全く浮上してきていない異常な情景となっています。
目に入ってくるものといえば、南海トラフ臨時情報が発動された昨年8月8日以降、数カ月間手に入らなかったコメ騒動の落とし前を付ける政治的動きのみ。臨時情報が撤回されてからの異常な需給関係をならす政策をとっていれば、今回のコメ騒動にはつながらなかったものの、政権与党の票田への固執が引き起こした価格の倍増という、もはや、政権維持の限界点を超える異常値の発生が、ようやく今回の大規模コメ売り介入につながったわけで、市場価格を完全に無視した異常なオファーを被せてコメ売り介入が実施されています。
アラビカコーヒー豆の先物価格を、ロブスタコーヒーの値段まで無理やり下げさせるような今回のコメ売り介入。そして、オプションのタイムバリューを最初からゼロにしてまでの強引なオファーに、コメロングの投げ売りが始まることになるのかもしれず、まるで、市場最高水準まで達している円ロングと重ね合わせるような状態となりつつあります。
日経225先物は11時30分時点、前日比280円高の3万7790円(+0.74%)前後で推移。寄り付きは3万7730円と、シカゴ日経平均先物(3万7760円)にサヤ寄せする形から、買い先行で始まった。開始直後につけた3万7680円を安値にロングの動きが強まり、現物の寄り付き直後には3万7870円まで買われた。買い一巡後は中盤にかけて寄り付き水準まで上げ幅を縮め、その後は3万7720円~3万7820円辺りでの保ち合いを継続している。
日経225先物は200日移動平均線(3万7580円)を上回っての推移が続いており、中盤以降は徐々に下値を切り上げている。ボリンジャーバンドの+1σ(3万8000円)水準の突破を狙ったロングは期待しづらいが、同バンドに接近する動きは意識されそうだ。オプション権利行使価格の3万7750円から3万7875円での推移が意識されるなかで、レンジ上限を捉えてくるようだと、ショートカバーを誘う動きに向かわせよう。
NT倍率は先物中心限月で13.55倍に上昇して推移している。指数インパクトの大きい値がさハイテク株の一角が買われて日経平均型を牽引する形になった。ただし、一時13.57倍まで上昇する場面もみられたものの、その後はボリンジャーバンドの-1σ(13.55倍)水準での攻防となり、スプレッドは狙いにくい。
本日のロンドン為替市場でユーロドルは、明日の欧州中央銀行(ECB)理事会を控えて上値の重い展開が続くか。経済指標は、改定値だが各国の5月サービス部門・購買担当者景気指数(PMI)が発表予定。
昨日発表された5月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は、前年比1.9%と市場予想を0.1ポイント下回った。前回4月は2.2%だった。ECBのインフレ目標2.0%を割り込み、明日のECB理事会で0.25%追加利下げを予想する市場参加者を後押しする結果となった。なお5月HICPの前年比コアも、予想比下振れとなる2.3%を記録している。
ユーロ圏のインフレ鈍化基調が確認された後、ユーロドルはじり安となった。もっともここからは、明日のECB理事会の決定を見極めるまで一気に下値を試すということも考えづらい。ただし強い買い戻す材料もこれといって見当たらず、少なくとも5月米雇用統計の前哨戦とされる5月ADP全米雇用報告の発表までは、戻り鈍く推移するのではないか。
なお昨日、経済協力開発機構(OECD)が発表した経済見通しでは、世界成長率は2025年2.9%/26年も同値とされ、それぞれ3月時点より0.2ポイント/0.1ポイント引き下げられた。トランプ関税の影響で米国や中国の成長率も下方修正されたが、ユーロ圏の水準は低いものの25年1.0%/26年1.2%と前回から据え置かれた。
5月サービス部門PMIだが、速報値では仏・独・ユーロ圏ともに予想より弱かった。特にユーロ圏PMIは、景況判断の境目50超え予想から48.9まで下振れ。改定値でそれほどサプライズはないだろうが、ユーロ圏の方向性には気にかけておきたい。
想定レンジ上限
・ユーロドル、3日高値1.1455ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、日足一目均衡表・雲の上限1.1297ドル
ドル円:1ドル=144.21円(前営業日NY終値比△0.24円)
ユーロ円:1ユーロ=163.85円(△0.11円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1362ドル(▲0.0010ドル)
日経平均株価:37747.45円(前営業日比△300.64円)
東証株価指数(TOPIX):2785.13(△14.02)
債券先物6月物:138.95円(▲0.21円)
新発10年物国債利回り:1.500%(△0.020%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は強含み。仲値公示に絡んで144.28円まで買われた後の下押しを143.67円までに留めると、日経平均や時間外の米10年債利回りの堅調推移もあり、144.38円まで一段と上昇。もっとも、15時過ぎにトランプ米大統領の「(中国との)ディールは非常に困難」との発言が伝わると144円を割り込む場面も見られた。
・ユーロ円はもみ合い。ドル円の上昇に連れて10時過ぎに164.08円まで上昇するも一時的。その後の下押しを163.60円台に留めると、14時過ぎに本邦株高をながめて再び164円台に乗せるもすぐに押し戻されるなど、主に163円台後半でのもみ合いが続いた。
・ユーロドルは弱含み。一時1.1393ドルまで値を上げるも心理的節目の1.14ドルを前に上値が重かった。全般ドル買いの流れとなる中で昨日安値1.1364ドルを下抜けると、1.1357ドルまで下押した。
・日経平均株価は4営業日ぶり反発。前日の米株高を好感して高く始まると、上げ幅は一時400円超となった。ただ、その後は利益確定売りも出て伸び悩んだ。
・債券先物相場は反落。昨日発表された米雇用関連指標が良好な結果となり、米国債券相場が下落した流れを引き継ぎ、売りが先行。日経平均の堅調推移も債券相場の重しとなった。明日の30年債入札への警戒感から持ち高調整の売りが出たとの声も聞かれた。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・田中 理氏
オランダの極右政党が連立を離脱
移民政策を争点化し、次の総選挙での支持拡大を目指す
オランダの極右政党が連立を離脱した。連立組み換えで議会の過半数を確保することは難しく、秋にも前倒しの総選挙が行われる可能性が高い。最近の世論調査では、極右政党の支持が急落しており、中道右派政党や中道左派政党に肉薄されている。移民政策を争点化し、支持率の回復と次期政権を主導するのが極右の狙いとみられる。今回の連立離脱が党利党略を優先した無責任な行動と受け止められるのか、極右政党の支持回復につながるか、今後の世論調査に注目する。少数政党が乱立するオランダでは、安定政権の樹立が困難な状況にあり、更なる政策停滞が避けられない。
「足もとの物価上昇、ユーロ圏や米国より高くなっている」(植田日銀総裁)
日本銀行と米連邦準備理事会(FRB)のインフレ目標は2%に設定されている。
そして、5月の金融政策決定会合では、トランプ関税の「不確実性(uncertainty)」を理由に、日銀はハト派的据え置き、米連邦公開市場委員会(FOMC)はタカ派的据え置きを決定している。
日銀は、『コアCPI』を指針としているが、4月は前年比+3.2%だった。
FRBは、『PCEデフレーター』を指針としているが、4月は前年比+2.1%だった。
1.主要国のインフレ率と政策金利
《総合消費者物価指数》 《政策金利》
・日本銀行(BOJ):+3.5% 0.50%
・米連邦準備理事会(FRB):+2.3% 4.25-50%
・欧州中央銀行(ECB): +1.9%(5月) 2.25%(※中銀預金金利)
・イングランド銀行(BOE):+3.5% 4.25%
・カナダ銀行(BOC):+1.7% 2.75%
・豪準備銀行(RBA):+2.4% 3.85%
・NZ準備銀行(RBNZ):+2.5%(Q4) 3.25%
2.4月の日本の物価指数
■政策金利(無担保コールレート):0.50%
■インフレ目標2%:コアCPI(生鮮食品を除く)=+3.5%
・総合消費者物価指数(CPI):+3.6%
・コアCPI(生鮮食品を除く):+3.5%
※基調的なインフレ率を捕捉するための指標
・刈り込み平均値:+2.4%
・加重中央値:+1.7%
・最頻値:+1.8%
2.4月の米国の物価指数
■政策金利(FF金利誘導目標):4.25-50%
■インフレ目標2%:PCEデフレーター=+2.1%
・消費者物価指数(CPI):+2.3%
・コアCPI:+2.8%
・卸売物価指数(PPI):+2.4%
・コアPPI:+3.1%
・PCEデフレーター:+2.1%
・コアPCEデフレーター:+2.5%
大阪6月限
日経225先物 37780 +270 (+0.71%)
TOPIX先物 2786.5 +13.5 (+0.48%)
日経225先物(6月限)は前日比270円高の3万7780円で取引を終了。寄り付きは3万7730円と、シカゴ日経平均先物(3万7760円)にサヤ寄せする形から買い先行で始まった。開始直後につけた3万7680円を安値にロングが強まり、現物の寄り付き直後には3万7870円まで買われた。買い一巡後は前場中盤にかけて寄り付き水準まで上げ幅を縮め、その後は3万7720円~3万7820円辺りでの保ち合いが終日続いた。
日経225先物は200日移動平均線(3万7580円)を上回って推移したこともあり、押し目待ち狙いのロングが入ったほか、ショートカバーを誘う形になったようだ。ただし、ボリンジャーバンドの+1σ(3万8000円)水準の突破を狙ったロングは期待できず、概ねオプション権利行使価格の3万7750円から3万7875円でのスキャルピングを中心とした値動きだった。
トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が今週にも電話会談を行う可能性があると伝えられているが、実現する可能性は低いとも報じられている。米中間の緊張が改めて警戒される可能性もあるため、積極的な売買は手控えられやすいだろう。
電話会談が実現しないと、ショートを仕掛けてくる動きに向かわせそうだ。現時点でグローベックスのS&P500先物、ナスダック100先物ともに小幅に上昇しているほか、為替市場ではドル・円が1ドル=143円台後半で推移している。これといった反応はみせていないが、投資家心理を神経質にさせそうだ。
日経225先物は200日線および25日線が支持線として意識されており、両線のスプレッドは130円程度に縮小している。ゴールデンクロスの示現が射程に入ってきたことで、上向きで推移する25日線をサポートにリバウンド基調をみせてくると、+1σを捉えてくることが期待される。
バンドが収斂していることもあり、タイミングとしてはトレンドが出やすいところであろう。週末の米雇用統計の結果を受けた動意が意識されるなか、ロングが強まる局面では+2σ(3万8530円)辺りがターゲットになろう。一方で、25日線を明確に割り込むようだと、-1σ(3万6940円)が意識されそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.55倍に上昇した。指数インパクトの大きい値がさハイテク株の一角が買われて日経平均型を牽引する形になった。ただし、一時13.57倍まで上昇する場面もみられたものの、その後はボリンジャーバンドの-1σ(13.55倍)水準での攻防となり、スプレッドは狙いにくい状況である。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万2713枚、ソシエテジェネラル証券が9052枚、サスケハナ・ホンコンが2506枚、日産証券が1640枚、JPモルガン証券が1544枚、バークレイズ証券が1483枚、モルガンMUFG証券が1234枚、野村証券が977枚、SBI証券が936枚、ドイツ証券が747枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が1万4526枚、ソシエテジェネラル証券が1万2245枚、みずほ証券が3954枚、バークレイズ証券が3218枚、JPモルガン証券が3163枚、ゴールドマン証券が2536枚、ビーオブエー証券が2279枚、モルガンMUFG証券が2226枚、野村証券が1036枚、サスケハナ・ホンコン証券が940枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、週末の5月米雇用統計を念頭に置きつつ、発表される経済指標を確認してゆく展開が見込まれる。
経済指標について、本日は多数の発表予定がある中、まずは5月ADP全米雇用報告に注目したい。市場予想は11.2万人増と前月の6.2万人増から増加見込み。その後、5月ISM非製造業景況指数の発表を控えており、市場予想は52.0と前月51.6を上回る見通し。合わせて雇用関連指標にも注目であり、前月は49.0と2カ月連続で好不況の分岐点とされる50を下回った。いずれも雇用統計の思惑につながりやすく、ドル円はこれらの結果に神経質な反応となる可能性がある。そのほか、NY午後には米地区連銀経済報告(ベージュブック)の発表も控えている。
また、要人講演では、ボスティック米アトランタ連銀総裁やクック米連邦準備理事会(FRB)理事の講演が予定されている。今後の金融政策や、インフレ・景気見通しについて言及があれば相場を動かす手掛かり材料になり得る。発言が伝われば内容を確認しておきたいところ。
テクニカル面から見ると、昨日は抵抗と見られていた一目均衡表の雲の下限143.76円を上抜けたほか、前日の陰線を包む陽線が出現して抱き線となっていることからも、目先は142円台での底堅さを確認した格好となっている。雇用統計への期待が高まる指標結果が相次ぐようならば、基準線145.39円に向けての上伸もあるだろう。
他方、カナダでは金融政策が発表予定。市場予想は3会合連続の金利据え置きとなっている。4月消費者物価指数がコアの伸びが加速したことで早期利下げ観測が後退しているもよう。前回の声明では、関税の影響で景気が後退する可能性に言及していた。今回の声明や総裁会見でどのような見解が示されるか確認しておきたい。
想定レンジ上限
・ドル円は、日足・一目均衡表の基準線145.39円
・カナダドル円は、先月12・13日高値106.26円
想定レンジ下限
・ドル円は、ピボット・サポート1の142.86円
・カナダドル円は、日足・一目均衡表の転換線104.29円
トランプ大統領「ADPの数字が出た!『遅すぎる』パウエルは今すぐ金利を引き下げなければならない。彼は信じられない!欧州はすでに9回も利下げしている」
→正論です
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-06-04/SXBZWPT1UM0W00
今晩は底堅い展開か。昨日は貿易交渉で米中首脳が週内に直接対話を行うことへの期待が引き続き支援となる中、業績好調見通しを背景にエヌビディアなどの半導体株が上昇したことや、4月JOLTS求人件数が予想以上に増加したことで景気減速懸念が和らいだことなどで主要3指数がそろって上昇。ダウ平均が214.16ドル高(+0.51%)と4営業日続伸し、S&P500が0.58%高、ナスダック総合が0.81%高とともに2日続伸した。センチメントは引き続き改善し、投資家の不安心理を示すVIX指数は前日の18.36ポイントから17.69ポイントに低下した。
今晩は週内の米中首脳の直接対話予定が引き続き支援となることが期待されることやセンチメントの改善を背景に底堅い展開か。ただ、ダウ平均が4日続伸し、S&P500とナスダック総合も2日続伸となったことで、上値では利益確定売り圧力も強まりそうだ。今週は金曜日発表の米5月雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率・平均賃金)に注目が集まるが、今晩も雇用統計の前哨戦となる5月ADP民間部門雇用者数が発表されるほか、5月ISM非製造業PMIの発表もあり、指標結果やそれを受けた米長期債利回りの動向にも要注目となる。
今晩の米経済指標・イベントは5月ADP民間部門雇用者数、5月ISM非製造業PMIのほか、MBA住宅ローン申請指数、5月S&Pグローバルサービス業PMI確定値・総?⑰MI確定値、米地区連銀経済報告(ベージュブック)など。企業決算は寄り前にダラー・ツリーが発表予定。
ロシア・ウクライナ協議団のメジンスキー団長はウクライナ側が30-60日間の無条件停戦を求めていると明らかにした。また、首脳会談の可能性についてもプーチン露大統領に伝え、「そのための準備が必要」と述べた。さらに、捕虜交換については双方約1,200人規模での実施が検討されていることも報告。今後、停戦や捕虜交換を含む和平協議の進展が注目される。
一部通信社によると、メキシコは米国による鉄鋼・アルミニウムの50%への関税引き上げを受け、来週にも対抗措置を発表する予定だという。
トルコのギュレル国防相は、「NATO加盟国は防衛費をもっと多く、そして賢く使うべきだ」と一部通信者とのインタビューで述べ、防衛協力の強化を訴えた。また「トルコは欧州の“開かれた姿勢”の同盟国と、ドローン、防空システム、装甲車両、弾薬、ロケット分野で連携を深めている」と明かした。
ギュレル国防相はトルコがNATOの重要な一員として責任を果たし、同盟国との連帯強化を最優先にしていると強調。特に防衛産業の自立化や、欧州諸国との共同開発・生産を積極的に進めており、最近ではイタリアのレオナルド社との無人機(ドローン)共同開発や、ドイツ主導の欧州スカイシールド・イニシアチブへの参加など、欧州との防衛協力が加速している。
また、トルコはウクライナへのドローン供給や弾薬生産でも欧米と連携を強化し、地域の安全保障やNATOの防衛力向上に貢献している。ギュレル国防相は「NATOが備えと決意、強さを持つことが重要だ」と述べ、今後も欧州諸国とオープンマインドで協力を進める姿勢を示した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は今週末にもロシアとの捕虜交換が実現する可能性があると明らかにした。一方で、ロシアからの提案文書は「最後通牒」であり、ウクライナ側の覚書には返答がなかったと批判。首脳会談までの停戦を提案し「いつでも会談に応じる用意がある」と述べたが、ロシアの提案は「実行不可能」と指摘した。また、ロシア機への攻撃は、事前に停戦が成立していれば起きなかったとも主張。ウクライナ代表団は米国で武器購入や対ロ制裁、鉱物取引などについて協議予定だ。さらに、イスタンブールでの協議が決定につながらない現状にも不満を示した。
中国政府はAI産業発展と新産業化の加速を重要政策と位置づけ、財政・税制面での支援強化や民間資本の誘導を通じてAI分野への投資拡大を図っている。また、国際協力も積極的に推進し、AI技術と産業のグローバル展開を目指している。各地方政府もAI関連プロジェクトへの資金提供や産業基金の設立など具体的な施策を相次いで発表。深セン市は100億元規模のAI・ロボット産業基金を設立し、武漢市や東莞市、四川省なども大型補助金や投資を実施している。こうした政策は、AIを中核とした「中国製造2025」計画の一環であり、AI技術による製造業の高度化と経済成長の新たなエンジン創出を狙っている。
欧州連合(EU)のシェフチョビッチ副委員長はパリでの貿易協議で「多国間関係への強い支持とルール重視の体制維持」を主要メッセージとして発信したと表明した。WTO事務局長への全面的な支援でも合意。オーストラリアとのFTA交渉再開で「年内に大きな進展が期待できる」と述べ、中国の商務相とは7月のEU・中国サミットに向けて課題解決に取り組む方針を確認した。インドとは農業分野の協議を進め、実質的な前進があったとしている。今後も各国との建設的な対話を継続する方針だ。
日経平均株価は反発。取引時間中の値幅は大きくはなかったが、5日移動平均線(37812円 6/4)付近に上値を抑えられながらも3日ぶりの陽線を形成して終えた。
RSI(9日)は前日の52.6%→63.9%(6/4)に上昇。引き続き、4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇継続の判断となる。
5月前半には終値ベースで3/26につけた急落前の戻り高値(38027円)を更新し、4月前半の安値を先端とした「スパイクボトム(V字)」が完成。その後、微調整にとどまりながら、5/13につけた終値ベースの直近高値(38183円)を上回り、上昇継続の確度を高める要因となった。
一方、75日移動平均線(36738円 同)が依然として下落基調にあることが株価の上値を限定的にし、25日移動平均線(37374円 同)上などでのもみ合いを長引かせる要因になりえる。
上値メドは、5/29高値(38454円)、心理的節目の39000円、心理的節目の39500円、2/13高値(39581円)、心理的節目の4万円などがある。下値メドは、25日移動平均線、心理的節目の37000円、75日移動平均線、心理的節目の36500円や36000円などがある。
(4日終値:5日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=142.77円(4日15時時点比▲1.44円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.11円(▲0.74円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1424ドル(△0.0062ドル)
FTSE100種総合株価指数:8801.29(前営業日比△14.27)
ドイツ株式指数(DAX):24276.48(△184.86)
10年物英国債利回り:4.606%(▲0.032%)
10年物独国債利回り:2.528%(△0.003%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月仏サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値
48.9 47.4
5月独サービス部門PMI改定値
47.1 47.2
5月ユーロ圏サービス部門PMI改定値
49.7 48.9
5月英サービス部門PMI改定値
50.9 50.2
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は軟調。トランプ米大統領がSNSに「私は中国の習主席が好きだし、これまでも、そしてこれからも好きだが、彼は非常にタフで、取引するのが非常に難しい」と投稿すると、米中協議の先行き不透明感が改めて意識されて円買い・ドル売りが先行した。
NY市場に入ると、5月ADP全米雇用報告で政府部門を除く非農業部門雇用者数が3.7万人増と予想の11.2万人増を大幅に下回ったうえ、5月米ISM非製造業景況指数が49.9と予想の52.0や好不調の境目とされる50を下回り、米長期金利が大幅に低下。全般ドル売りが活発化し、2時前に一時142.61円と日通し安値を更新した。
・ユーロドルは堅調。低調な米経済指標が相次いだことで、米長期金利が大きく低下。全般ドル売りが優勢となり、2時前に一時1.1435ドルと日通し高値を付けた。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時98.67まで低下した。
・ユーロ円は頭が重かった。ユーロドルの上昇につれた買いが入ると一時164.24円と本日高値を付けたものの、ドル円の急落をきっかけに円買い・ユーロ売りが強まると一時163.04円と本日安値を付けた。
・ロンドン株式相場は4日続伸。前日の米国株や本日のアジア株相場が上昇したことを受けて英株にも買いが波及した。アングロ・アメリカンやグレンコアなど素材株が買われたほか、アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株が値上がりした。半面、BPやシェルなどエネルギー株が売られた。
・フランクフルト株式相場は続伸。前日の米国株や本日のアジア株相場が上昇したことを受けて独株にも買いが入った。個別ではインフィニオン・テクノロジーズ(4.21%高)やエアバス(2.32%高)、DHLグループ(1.97%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は英国債が上昇した一方、独国債が下落した。
4日の日経平均は4日ぶり大幅反発。終値は300円高の37747円。米国株高を受けて、寄り付きから200円を超える上昇。開始直後には上げ幅を400円超に広げた。買い一巡後は伸び悩んだものの、終日高い位置をキープ。序盤で売り買いをこなした後は、狭いレンジでもみ合う時間が長かった。
東証プライムの売買代金は概算で4兆0800億円。業種別ではその他製品、石油・石炭、パルプ・紙などが上昇した一方、ゴム製品、不動産、金属製品などが下落した。5月度の月次が良好であったTOKYO BASE<3415.T>が急騰。半面、前期は大幅増益を達成したものの、今期の最終減益見通しや減配計画が嫌気されたダイサン<4750.T>が急落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1018/値下がり536。サンリオ、IHI、古河電工などが大幅上昇。米半導体株の上昇を手がかりにアドバンテストやSCREENに資金が向かった。三井E&Sや名村造船など船舶関連が物色されており、ジャパンエンジンがストップ高。人事異動を発表した資生堂が急伸した。グロース銘柄ではQPS研究所やサンバイオが人気化したほか、データセクションがストップ高となった。
一方、前日終値を下回るTOB価格が提示された豊田自動織機が急落。前日商いを伴って強く買われたメタプラネットが売りに押された。半導体株は全面高ではなく、レーザーテックやソシオネクストが下落。証券会社が投資判断を引き下げたM&A総研が大幅安となった。
日経平均は300円高。ただ、序盤で勢いよく上昇したものの高値は37868円までで、5日線(37812円、4日時点、以下同じ)を超えたところで上値が重くなった。明確に超えてくれば追随買いが入る展開も期待できたが、分かりやすく押し戻されてしまっただけに、目先は同水準より上では売りが出やすくなるだろう。一方、節目の37500円を大きく上回ってきたことは安心材料。25日線(37374円)割れを回避して切り返しただけに、下値は堅くなるとみる。金曜6日に米国で5月雇用統計が発表されるだけに、週後半は様子見姿勢が強まりやすい。25日線と5日線の間で一進一退が続きそうだ。
(4日終値)
ドル・円相場:1ドル=142.77円(前営業日比▲1.20円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.01円(▲0.73円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1417ドル(△0.0045ドル)
ダウ工業株30種平均:42427.74ドル(▲91.90ドル)
ナスダック総合株価指数:19460.49(△61.53)
10年物米国債利回り:4.35%(▲0.10%)
WTI原油先物7月限:1バレル=62.85ドル(▲0.56ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3399.2ドル(△22.1ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
MBA住宅ローン申請指数
(前週比) ▲3.9% ▲1.2%
5月ADP全米雇用報告
3.7万人 6.0万人・改
5月米サービス部門PMI改定値
53.7 52.3
5月米総?⑰MI改定値
53.0 52.1
5月米ISM非製造業指数
49.9 51.6
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は反落。5月ADP全米雇用報告で政府部門を除く非農業部門雇用者数が3.7万人増と予想の11.2万人増を大幅に下回ったうえ、5月米ISM非製造業景況指数が49.9と予想の52.0や好不調の境目とされる50を下回ると、米長期金利が大幅に低下。全般ドル売りが活発化し、2時前に一時142.61円と日通し安値を更新した。
なお、米長期金利の指標となる米10年債利回りは一時4.3473%前後まで低下し、約1カ月ぶりの低水準を付けた。
・ユーロドルは反発。低調な米経済指標が相次いだことで、米長期金利が大きく低下すると、全般ドル売りが優勢となった。2時前に一時1.1435ドルと日通し高値を更新した。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時98.67まで低下した。
・ユーロ円は反落。ユーロドルの上昇につれた買いが入ると一時164.24円と本日高値を付けたものの、ドル円の下落をきっかけに円買い・ユーロ売りが強まると一時162.99円と本日安値を付けた。
・米ドルカナダドルは弱含み。カナダ中銀(BOC)はこの日、市場の大方の予想通り政策金利を現行の2.75%に据え置くことを決めたと発表。市場の一部では0.25%の利下げを予想する向きもあっただけに、カナダドル買いが優勢となった。全般米ドル安が進んだ影響も受けて、2時30分過ぎには一時1.3653カナダドルまで値を下げた。
なお、BOC声明では「米国の貿易政策とその影響に関するさらなる情報が得られるまで、政策金利を据え置くことを決定した」「カナダ経済が直面するリスクと不確実性に特に注意を払いながら、慎重に政策を進めていく」との見解が示された。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は5日ぶりに反落。5月ADP全米雇用報告や5月米ISM非製造業景況指数が予想を下回ると米景気先行き懸念が高まり、株売りが優勢となった。
一方、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は3日続伸。米長期金利の低下で高PER(株価収益率)のハイテク株に買いが入った。
・米国債券相場で長期ゾーンは3日ぶりに反発。5月ADP全米雇用報告や5月米ISM非製造業景況指数が予想を下回ると米景気先行き懸念が高まり、相対的に安全資産とされる米国債に買いが集まった。
・原油先物相場は3日ぶりに反落。EIA週間在庫統計でガソリン在庫が予想を大きく上回ったことを受けて売りが強まった。一方で、外国為替市場でドル安が進んだため、ドル建てで取引される原油の割安感から買われる場面も見られた。
・金先物相場は反発。予想を下回る米経済指標が相次いだことでドル安が進むと、ドル建てで取引される金の割安感が生じ買いが優勢となった。
4日11:05 林官房長官
「関税交渉めぐる米通商代表部(USTR)の書簡、現時点で受け取っていない」
4日11:33 李・韓国新大統領
「実利的な外交を追求する」
「新しい政権は市場を重視」
4日15:22 トランプ米大統領
「中国国家主席とのディールは非常に困難」
「習主席のことは好きだが、交渉相手としてはタフだ」
5日00:12
「パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は今すぐ利下げすべき。彼は信じられない」
「ヨーロッパはすでに9回も利下げしている」
5日01:44
「プーチン露大統領と1時間15分話した」
「プーチン露大統領との会話は和平に結びつくものではない」
4日22:44 グリア米通商代表部(USTR)代表
「今回の会談はEUが米国と協力し、互恵的な貿易の具体的な道筋を見つけようという意思を示している」
「パリでのEUのセフチョビッチ通商担当との会談は非常に建設的だった」
「EUとの交渉は迅速に進展しており、貿易分野で前向きな対話が続いている」
4日22:49 カナダ銀行(BOC、カナダ中央銀行)声明
「4月の金融政策報告書以降、米政権は様々な関税の増減を繰り返してきた」
「中国と米国は極めて高い関税を撤回し、多くの国と二国間貿易交渉を開始した」
「しかし、これらの交渉の結果は非常に不透明で、関税率は2025年初頭の水準をはるかに上回っており、新たな貿易措置の脅威も依然として存在。不確実性は依然として高いまま」
「世界経済はここ数カ月、底堅さを見せているが、これは関税を回避しようと一時的に経済活動が活発化したことを反映」
「4月の金融市場の混乱以降、リスク資産は概ね回復し、ボラティリティは低下しているが、市場は依然として米国の政策発表に敏感」
「カナダでは、第1四半期の経済成長率は2.2%と予想を若干上回ったが、GDP成長率の構成は概ね予想通り」
「第2四半期は輸出と在庫の強さが反転し、最終国内需要が低迷する中、経済は大幅に弱まると予想」
「最近の調査によると、家計は引き続き関税による物価上昇を予想しており、多くの企業は関税引き上げによるコストを転嫁する意向を示唆」
「中銀はインフレ圧力がどのように変化しているかを把握するため、これらの指標を注視していく」
「米関税をめぐる不確実性は依然として高く、カナダ経済は軟調ではあるものの急激な落ち込みはなく、最近のインフレ指標には予想外の堅調さが見られることから、理事会は、米国の貿易政策とその影響に関するさらなる情報が得られるまで、政策金利を据え置くことを決定した」
「景気減速によるインフレ下押し圧力と、コスト上昇によるインフレ上昇圧力の双方について、その時期と強さを引き続き評価しく」
「理事会は、カナダ経済が直面するリスクと不確実性に特に注意を払いながら、慎重に政策を進めていく」
※時間は日本時間
4日23:17 プーチン露大統領
「テロに賭ける者と誰が交渉するのか」
「キーウは平和を全く望んでいない。平和は権力の喪失を意味するからだ」
「攻撃が続く中でウクライナとの首脳会談や停戦の可能性には懐疑的」
4日23:34 ラトニック米商務長官
「他国も協力し、関税交渉に応じることを期待している」
「米国の航空宇宙産業を守る」
4日23:52 マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁
「将来的な利下げの必要性についての発言はフォワードガイダンスではない」
「インフレには基調的な変動性があるため、1カ月分のデータに過度に注目したくはない」
「今後発表される2回のCPIを慎重に見極める方針」
「現在のカナダ経済は4月に示した複数のシナリオの中間に位置している」
4日23:52 ロジャース・カナダ銀行(中央銀行、BOC)上級副総裁
「最近のカナダドル高がインフレに一定の影響を及ぼしている」
4日23:54 シェインバウム・メキシコ大統領
「米国産鉄鋼への関税は製品価格の上昇につながる可能性」
「米国鉄鋼への関税導入を排除しない」
5日03:00 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
「米経済活動は前回の報告からわずかに縮小した」
「半数の地区は活動がわずかに縮小したと報告し、3地区は横ばい、3地区はわずかに拡大した」
「すべての地区で経済と政策の不確実性が高まっており、これが企業や家計の意思決定に対するためらいと慎重な姿勢につながっている」
「製造業活動はわずかに低下した」
「消費支出に関する報告はまちまち」
「全体として、見通しは前回報告と変わらず、わずかに悲観的で不確実性が高い状態が続いている」
「一部の地区の報告では見通しが悪化した、他のいくつかの地区では見通しが改善したと報告」
「雇用は前回の報告からほとんど変わらなかった」
「賃金は引き続き緩やかなペースで伸びたが、多くの地区は賃金圧力が全般的に緩和していると報告」
「前回の報告以降、物価は緩やかなペースで上昇している」
「今後、コストと物価上昇ペースが加速すると予想する担当者が多数いるという報告があった」
「すべての地区の報告において、関税引き上げがコストと価格に上昇圧力をかけていることが示された」
※時間は日本時間
<国内>
○08:30 ◇ 4月毎月勤労統計(現金給与総額、予想:前年比2.6%)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
<海外>
○10:30 ◇ 4月豪貿易収支(予想:60.00億豪ドルの黒字)
○10:45 ◎ 5月Caixin中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI、予想:51.0)
○14:45 ◇ 5月スイス失業率(季節調整前、予想:2.8%)
○15:00 ◎ 4月独製造業新規受注(予想:前月比▲1.5%/前年同月比3.9%)
○15:00 ◎ 5月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%/前年比0.4%)
コア指数(予想:前月比0.3%/前年比2.5%)
○16:45 ◎ グリーン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○17:30 ◎ 5月英建設業PMI(予想:47.3)
○17:30 ◎ ブリーデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○18:00 ◎ 4月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比▲2.1%/前年比1.1%)
○18:00 ◎ 1-3月期南アフリカ経常収支(予想:500億ランドの赤字)
○20:30 ◇ 5月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:15 ☆ 欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:2.15%に引き下げ)
○21:30 ◇ 4月カナダ貿易収支(予想:15.0億カナダドルの赤字)
○21:30 ◎ 4月米貿易収支(予想:700億ドルの赤字)
○21:30 ◇ 1-3月期米非農業部門労働生産性・改定値(予想:前期比▲0.8%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.5万件/191.0万人)
○21:45 ☆ ラガルドECB総裁、定例記者会見
○23:00 ◇ 5月カナダIvey購買部協会景気指数
○6日01:00 ◎ クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○6日02:30 ◎ ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○6日02:30 ◎ シュミッド米カンザスシティー連銀総裁、講演
○6日03:00 ◎ 5月ブラジル貿易収支(予想:83.00億ドルの黒字)
○米独首脳会談(ワシントン)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 37520 -260 (-0.68%)
TOPIX先物 2766.0 -20.5 (-0.73%)
シカゴ日経平均先物 37580 -200
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
4日の米国市場は、NYダウが下落した一方で、 S&P500、ナスダックは上昇。5月の米ADP雇用統計は非農業部門の雇用者数が2年ぶりの低い伸びだった。5月の米ISM非製造業指数は49.9と好不況の境目とされる50を割り込んだ。いずれも市場予想に届かず、関税の引き上げが景気に悪影響を及ぼす懸念を強める内容と受け止められ、景気敏感株を中心に売られた。6日に発表される5月の米雇用統計の結果を見極めたいとする買い手控えに加え、米地区連銀経済報告(ベージュブック)が、前回の報告から経済活動が「わずかに減速した」と指摘したことも重荷になった。
S&P500業種別指数は、メディア、耐久消費財・アパレル、半導体・同製造装置が上昇した半面、自動車・同部品、エネルギー、公益事業の弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、メルク<MRK>、シャーウィン・ウィリアムズ<SHW>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、ナイキ<NKE>、エヌビディア<NVDA>が買われた。一方で、シェブロン<CVX>、トラベラーズ<TRV>、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>、スリーエム<MMM>が下落。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比200円安の3万7580円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは日中比70円高の3万7850円で始まった。直後につけた3万7860円を高値に3万7760円~3万7860円処で保ち合いを継続。米国市場の取引開始後に下へのバイアスが強まり、中盤に3万7480円まで売られる場面もみられた。終盤にかけては若干持ち直し、3万7520円~3万7610円辺りの狭いレンジで推移し、3万7520円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや売り先行で始まることになろう。ナイトセッションでは一時3万7480円まで下げる場面もみられたが、25日移動平均線(3万7460円)が支持線として機能していた。200日線(3万7600円)はキープできなかったものの、25日線での底堅さがみられたことで、緩やかなリバウンド基調は継続しているとの見方に向かわせそうである。
米国では予想を下回る経済指標の発表を受け、トランプ米大統領はパウエルFRB議長に利下げを要求するコメントを自身のSNSに投稿した。為替市場ではドル・円が1ドル=142円台後半と円高に振れており、手掛けにくくさせそうだ。そのほか、トランプ大統領はロシアのプーチン大統領と電話会談を行い、「ウクライナによるドローン攻撃にロシアは報復する」と警告を受けたと述べており、地政学リスクも警戒される。
一方で、トランプ大統領と中国の習近平国家主席による電話会談が週末に行われる予定である。実現するかは不透明ながら、貿易摩擦の悪化懸念を和らげるとの期待から、ショートは仕掛けにくくさせそうだ。日経225先物は瞬間的に25日線を割り込む場面があっても、押し目狙いのロング対応に向かわせよう。そのため、オプション権利行使価格の3万7375円から3万7875円のレンジを想定する。
4日の米VIX指数は17.61(3日は17.69)に低下した。小動きではあるが、200日線(19.60)や25日線(20.15)から下放れてきており、リスク選好に傾きやすいだろう。目先的には5月16日につけた直近安値の17.15辺りが意識されそうだ。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.55倍に上昇した。指数インパクトの大きい値がさハイテク株の一角が買われて日経平均型を牽引する形になった。ただし、13.57倍まで上昇する場面もみられたが、その後はボリンジャーバンドの-1σ(13.55倍)水準での攻防となり、スプレッドは狙いにくい状況だった。本日も-1σ水準での攻防になりそうだが、米中首脳会談を控えてハイテク株にはショートカバーが入りやすいと考えられるため、ややNTロングに振れる可能性はあるだろう。
昨日の海外市場でドル円は142.61円まで下落。低調な米経済データが続き、米長期金利の低下とともにドル売りが進んだ。ユーロドルも1.1435ドルまでユーロ高ドル安に傾いた。ドル/カナダドル(CAD)もまた1.36CAD半ばまで弱含み。ドル安の流れに沿った他、カナダ中銀が政策金利を据え置いた影響も受けた。
本日の東京為替市場でドル円は、昨日強まった米経済の減速懸念を背景とした上値の重さが継続か。また引き続き、トランプ関税に絡んだ報道には注意しておきたい。くわえて、本邦金利動向も目を向けておく必要がありそうだ。その材料としては朝方に発表される4月賃金データと、昼過ぎに明らかになる30年国債の入札結果となる。なお、本日はゴトー日(5・10日)であり、通常以上に実需勢のフローに振らされる場面もありそうだ。
昨日の5月ADP全米雇用報告の弱さを受けて、明日発表の同月米雇用統計への警戒感が高まっている。ただADPと労働省調べの非農業部門雇用者数について、今年に入ってからの結果と予想の乖離を比較すると、必ずしもリンクしているわけではなく、過度に危惧する必要はないかもしれない。しかしながら、米ISM非製造業景況指数が11カ月ぶりに50を割り込んだことも鑑みると、本日についてはドルの反発力は強まりづらいか。
弱い雇用データを受けて、トランプ米大統領がパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長に再び利下げを要求した。この辺りに対する金融当局者の反応も気を付けておくべきだろう。なお、CMEのフェドウォッチでは、米連邦公開市場委員会(FOMC)の次回0.25%利下げは9月会合と見ており、年内には更に0.25%利下げを織り込みつつある。
8時30分に発表される4月毎月勤労統計(現金給与総額)は、前年比予想が2.6%と修正された前回値から0.3ポイント上昇見込み。2%割れまで低下した1月分を底に持ち直し基調を確認することになりそうだ。ただし、より注目されるのが実質賃金(前年比)だろう。
実質賃金は労働者の生活水準や購買力を把握する上で重要とされ、名目賃金から消費者物価指数(CPI)などを参考にし、物価上昇分の影響を差し引いて算出。前回3月分は上方修正されたものの1.8%減と3カ月連続のマイナスを記録した。今回もマイナスが確実視されており、3日に植田日銀総裁が述べた「経済・物価情勢の改善が見込めない中で、無理に政策金利を引き上げる考えはない」を裏付けることになるか。
3日に財務省が実施した10年国債の入札は予想以上に強い結果となった。ただ需要動向の不透明感が深まっている超長期債の入札を控え、債券市場は警戒感を強めているもよう。先月の20年と40年国債の入札が不調だっただけに、本日の30年国債が想定以上に悪いとなれば、再び超長期ゾーンの金利が不安定な動きに陥るだろう。そうなると、円相場も右往左往させられる場面がありそうだ。
米上院はボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事のFRB副議長指名を承認した。
東京市場は軟調か。米国株はまちまち。ダウ平均が下落してナスダックが上昇し、S&P500はほぼ横ばいとなった。ダウ平均は91ドル安の42427ドルで取引を終えた。プラスで推移する場面もあったが経済指標に弱い内容のものが多く、終盤に崩れて安値引け。大型グロース株にはしっかりとした動きが見られたことから、ナスダックは概ね堅調に推移した。弱い指標を受けて米10年債利回りが大きく低下しており、ドル円は足元142円70銭近辺とドル安(円高)が進んでいる。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて200円安の37580円、ドル建てが190円安の37590円で取引を終えた。
米3指数はいずれも小動きで、ドル円が円高に振れたことが日本株にはネガティブに作用すると予想する。ただ、米長期金利の低下やナスダックの上昇はハイテク株には支援材料となることから、下値は限定的と考える。やや弱めに始まった後はあすの米雇用統計の発表を前に様子見姿勢が強まり、方向感に欠ける動きが続くだろう。日経平均の予想レンジは37450-37800円。
「再エネ5割」超の再エネの安定性を問題視する声が上がり始めた。風力や太陽光に恵まれた立地だが、電力政策のあり方を問い直すきっかけとなっている。
→石破政策も「再エネ5割」なので、日本も大停電が増えそうですね
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR281BR0Y5A520C2000000
日経225先物は11時30分時点、前日比130円安の3万7650円(-0.34%)前後で推移。寄り付きは3万7530円と、シカゴ日経平均先物(3万7580円)にサヤ寄せする形から、売り先行で始まった。開始直後につけた3万7510円を安値に中盤にかけて持ち直し、3万7730円まで下げ幅を縮める場面もみられた。ただ、プラス圏は回復できず、終盤にかけては3万7650円辺りで推移している。
4日の米国市場で米景気悪化を示す経済統計の発表が相次ぎ、為替市場では円相場が1ドル=142円台後半と円高・ドル安に振れたことが重荷になった。日経225先物は朝方に3万7510円まで下げたが、25日移動平均線(3万7460円)が支持線として意識され、その後は200日線(3万7600円)を上回っての推移を続けている。後場は200日線での攻防になりそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.62倍に上昇して推移している。トランプ米大統領と中国の習近平国家主席による電話会談が週末に行われる予定である。米中貿易摩擦の悪化懸念を和らげるとの期待から指数インパクトの大きい値がさハイテク株の一角が買われ、日経平均型を牽引する形になった。前日に上値を抑えられたボリンジャーバンドの-1σ(13.56倍)を突破しており、NTロングに振れやすい。
ロンドンタイムは、欧州中央銀行(ECB)政策金利の発表イベントが控えている。事前予想では政策金利(主要リファイナンス・オペ金利)が現行の2.40%から、25bp(ベーシスポイント、1bp=0.01%)引き下げられ、2.15%になるとの見方だ。
3日から4日かけては、1.14ドル台から1.13ドル半ばまでのいったん振るい落としを掛けたような売りフローがでた。これで、利下げを相当程度は織り込んだことも考えられる。大きな動きにつながらない可能性もあるが、再び1.14ドルまで戻している足もとの上昇幅を縮小する動きで、昨日安値1.1357ドルやテクニカル面での節目である日足一目均衡表・転換線1.1333ドルといった水準を見据えた調整が進むリスクにも一応留意しておきたい。
基本的には、金融政策声明やラガルドECB総裁の会見を受けた今後の政策見通しの振れに上下する展開か。トランプ関税を巡る交渉が最終決着に行きついていないなか、予断を持たせないような内容が示される無難な対応が想定しやすい。
ECBはここまで連続利下げを実施してきたが、今回の利下げ後の7月は金利引き下げをいったん休止すると見られている。トランプ関税の内容次第ではあるが、景気支援を意識した追加利下げがあるとしても、次回のスタッフ経済見通し公表と合わせて9月、さらに利下げするにしても、やはりその次のスタッフ見通しを確認しつつ12月との見方がある。
マーケット参加者には、現状で主要な政策金利の1つとされている中銀預金金利2.25%が、すでにECBが1.75%から2.25%の間にあるとしている中立金利水準のレンジ上限に達していることに注視。今回の利下げで、同レンジ中程である中立金利ジャストとも推測できるところに達することに注目している向きもあるようだ。
中立金利に達したかどうかの会見質疑応答も注視したい。そしてトランプ関税の影響次第で、9月や12月といった今後の利下げによって中立金利レンジを下回るところまで中銀預金金利などの水準を誘導することになるのか、といった示唆を探ることになる。
想定レンジ上限
・ユーロドル:本日NYカット分を含む大きめなオプションが観測される節目1.1500ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル:日足一目均衡表・転換線1.1333ドル
為替市場では、今週に入ってからは日替わり相場を繰返しているといったところ。ドル円は142円台半ばから144円台半ばのレンジを連日同じように行って来い。昨日も米指標が予想を下回ったことから米10年債利回りが10bpを超える急激な低下となると一時142.61円まで売り込まれることになりました。
本日のアジア市場では、朝方こそ昨日安値を下抜けたことから一時142.53円まで下値を試す展開となったものの、4月毎月勤労統計の賃金指数が予想を下回ったことから買戻しが先行。ゴトー日とあって本邦実需の買いが断続的に観測されると143.15円までショートカバーが進んでいるといったところです。
いずれにしても、本日もNY市場に入ってからの米労働関連指標に左右されることになるわけで、明日の米雇用統計という一大イベントを前にして方向感にかける動き。目先は引き続き一目雲下限の144.18円や一目転換線の位置する144.20円、昨日高値の144.38円や5月30日の高値144.44円を意識しながらの動きとなっていきそうです。
ドル円:1ドル=143.15円(前営業日NY終値比△0.38円)
ユーロ円:1ユーロ=163.27円(△0.26円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1406ドル(▲0.0011ドル)
日経平均株価:37554.49円(前営業日比▲192.96円)
東証株価指数(TOPIX):2756.47(▲28.66)
債券先物6月物:139.35円(△0.40円)
新発10年物国債利回り:1.460%(▲0.040%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月毎月勤労統計(現金給与総額)
前年同月比 2.3% 2.3%・改
対外対内証券売買契約等の状況(前週)
対外中長期債
1180億円の処分超 1004億円の取得超・改
対内株式
3361億円の取得超 3091億円の取得超・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は下げ渋り。昨日の米経済指標が低調な結果が相次いだことでドルが売られた流れを引き継ぎ、朝方に142.53円まで下落。その後は4月毎月勤労統計が予想より弱い結果となったことで円が売られたほか、時間外の米10年債利回りが4.37%台まで上昇したこともドル買いを後押し。30年債入札が不調な結果となり、入札に絡んだ円高警戒感が緩むと、143.17円まで上値を広げた。
・ユーロ円も下げ渋り。162.90円まで下落後に163.33円まで切り返すなど、ドル円に連れた動きとなった。
・ユーロドルは上値が重い。一時1.1435ドルまで値を上げて前日高値に並ぶも、米長期金利の上昇する中で1.1405ドルまでじり安となった。ドル円でのドル高も重しとなった。
・日経平均株価は反落。円高警戒を背景に軟調に推移し、自動車など外需関連株の多くがさえない動きとなった。ただ、アドバンテストなど半導体株が大きく上昇したこともあり、下げ渋る場面も見られた。
・債券先物相場は反発。前日に米国債が買われた流れを引き継ぎ、買いが先行。30年債入札が「低調な結果」となるも、市場では財務省が今後需給悪化への対応として超長期債の発行を減らすのではとの思惑が広がったため、入札後は債券買いが入り139円44銭まで上昇する場面が見られた。
「保有国債は、金利全般が1%上昇した場合の評価損は約40兆円程度発生する」
「保有ETFは、日経平均が1000円下落すれば、評価益は約1兆8000億円程度減少する」
(植田日銀総裁)
日本銀行の2024年度決算では、最終利益に当たる当期剰余金が前年度並みの2兆7922億円となった。利上げに伴う日銀当座預金への支払い利息は1兆2517億円、市場金利の上昇を受けて国債の受け取り利息は2兆774億円となった。
また、保有する国債を時価でみた評価損が28兆6246億円となり、前年の約3倍に膨んで過去最大を記録した。昨年3月に大規模な金融緩和策を転換して以降、金利が上昇して、国債の市場価格が下がったことが背景にある。
日銀は保有国債には償却原価法、ETFには原価法を採用しており、評価損益の変動は決算上の損益に影響しない。
ちなみに、米連邦準備理事会(FRB)の2024年末の保有国債の含み損は、1兆600億ドルだった。
1.植田日銀総裁の弁明
植田日銀総裁は、日銀の金融政策の目的は物価の安定であり、日銀の財務への配慮のために必要な政策の遂行が妨げられることはない、と述べている。
さらに、日銀のバランスシートに関連し、短期的な調整は短期の資産と負債のやりくりで十分柔軟に対応できていると説明し、大量保有している長期国債はただちに市場で売却できないため、買い入れペースを抑制することで少しずつ削減しているところだと語った。
また、「通貨の信認は、適切な金融政策運営により物価の安定を図ることを通じて確保される。適切な政策運営を行う能力は財務が赤字になったり、一時的に債務超過になっても支障を生じない。短期金利の調整を行うことで物価の安定を実現することが中長期的にはできていく」との見解を示した。
2.2025年3月31日時点=4.2兆円の評価益
・日経平均株価:35617円
・新発10年物国債利回り:1.49%
・日銀株価:26100円
・保有国債の評価損:28兆6246億円(前年度:9兆4337億円)
※時価:547兆3062億円
※簿価:575兆9308億円
・ETFの評価益:32兆8712億円(日経平均株価に連動したとの前提)
■合計:4.2兆円の評価益
3.2024年度上期末時点:19兆4107億円の評価益
・日経平均株価:37919円
・新発10年物国債利回り:0.861%
・日銀株価:28800円
・保有国債(582兆9910億円)の評価損:13兆6604億円
・ETFの評価益:33兆0711億円
■合計:19兆4107億円の評価益
大阪6月限
日経225先物 37520 -260 (-0.68%)
TOPIX先物 2753.5 -33.0 (-1.18%)
日経225先物(6月限)は前日比260円安の3万7520円で取引を終了。寄り付きは3万7530円と、シカゴ日経平均先物(3万7580円)にサヤ寄せする形から売り先行で始まった。開始直後につけた3万7510円を安値に前場中盤にかけて持ち直し、3万7730円まで下げ幅を縮める場面もみられた。だが、プラス圏は回復できず、前場終盤にかけてショート優勢となり、ランチタイムでは3万7600円を下回って推移。後場は3万7530円辺りで底堅さがみられた一方、上値は3万7650円で抑えられており、狭いレンジでの推移が続いた。
4日の米国市場で景気悪化を示す経済統計の発表が相次ぎ、為替市場では円相場が1ドル=142円台後半と円高・ドル安に振れたことが重荷になった。日経225先物は朝方に3万7510円まで下げたが、25日移動平均線(3万7460円)が支持線として機能し、その後も同線を上回っての推移となった。一方で、前場中盤以降は200日線(3万7600円)での攻防が続き、25日線、200日線によるレンジでの値動きであり、スキャルピンが中心だったとみられる。
両線のカイ離が縮小しているが、ナイトセッションでは25日線が3万7520円、200日線は3万7620円と100円ほどのスプレッドになった。25日線が支持線として機能しているとはいえ、狭いレンジでの推移で煮詰まり感が意識されてきたほか、ボリンジャーバンドも収斂していることで、テクニカル面ではトレンドが出やすいタイミングであろう。
米国では6日に5月の米雇用統計が発表される。4日に発表されたADP雇用統計やISM非製造業景況指数が予想を下回ったことで景気減速が警戒されたこともあり、雇用統計の発表を前に積極的なトレードは手控えられよう。また、週末にはトランプ大統領と中国の習近平国家主席による電話会談が行われる予定であり、様子見姿勢が強まりやすい。
来週末には6月限の先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)が控えている。米雇用統計や米中会談をきっかけにトレンドが出てくるようだと、ヘッジ対応の動きが加速する可能性がありそうだ。オプション権利行使価格の3万7500円を中心に+2σの3万8390円、-2σの3万6650円辺りが意識されそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.62倍に上昇した。米中首脳会談が週末に行われる予定のなかで、米中貿易摩擦の悪化懸念が和らぐとの期待から指数インパクトの大きい値がさハイテク株の一角が買われ、日経平均型を牽引する形になった。一方で、中国によるレアアースの輸出規制を受けて、スズキ<7269.T>[東証P]が一部車種の生産を停止したと伝わり、自動車メーカー各社が軟調。相対的に日経平均型優位になった。上値を抑えられたボリンジャーバンドの-1σ(13.56倍)を突破しており、NTロングに振れやすい。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万4786枚、ソシエテジェネラル証券が9536枚、JPモルガン証券が2158枚、サスケハナ・ホンコンが2113枚、バークレイズ証券が1316枚、SBI証券が1194枚、モルガンMUFG証券が1140枚、ビーオブエー証券が928枚、野村証券が905枚、みずほ証券が806枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が1万6886枚、ソシエテジェネラル証券が1万4928枚、JPモルガン証券が4173枚、バークレイズ証券が4143枚、ゴールドマン証券が3195枚、モルガンMUFG証券が2632枚、ビーオブエー証券が1616枚、シティグループ証券が1415枚、サスケハナ・ホンコン証券が1110枚、UBS証券が843枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、引き続きトランプ米大統領の突発的な発言に警戒しつつ、明日発表の5月雇用統計に向けて米国の雇用関連指標を見極めながら、NY株式・債券市場の動向を注視していく展開が予想される。
5月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)、前週分の米新規失業保険申請件数や失業保険継続受給者数では、5月の雇用情勢を確認しながら、明日の5月の非農業部門雇用者数(予想:前月比+12.5万人)との整合性を見極めることになる。
5月ISM製造業雇用指数は46.8で、4月の46.5から改善し、ISM非製造業雇用指数は50.7で、4月の49.0から改善していた。一方で、5月消費者信頼感指数での労働市場格差は、13.2で4月の13.7から悪化しており、5月全米雇用報告も前月比+3.7万人と、23年3月以来、2年2カ月ぶりの低い伸び率だった。
また、4月米貿易収支(予想:700億ドルの赤字)では、トランプ米政権と日本、欧州連合(EU)、そして中国との通商交渉が続いていることで、それぞれの国、地域に対する貿易赤字の増減を確認しておきたい。
欧州中央銀行(ECB)定例理事会では、政策金利が0.25%引き下げられることが見込まれており、注目ポイントは、声明文やラガルドECB総裁の会見での次回の利下げに関する言及となる。
市場の見方では、9月にも0.25%引き下げられ、トランプ関税次第では、年末に向けてさらなる利下げが予想されている。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、144.18円(日足一目均衡表・雲の下限)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、142.12円 (5/27 安値)
今晩は様子見か。昨日は弱い経済指標を受けて景気減速懸念が強まったことが重しとなった一方、半導体株やメタ・プラットフォームズなどが上昇し相場を支えた。ダウ平均が91.9ドル安(-0.22%)と5営業日ぶりに反落した一方、S&P500は0.01%高とほぼ横ばいで終了し、ハイテク株主体のナスダック総合は0.32%高と3日続伸した。週初来ではダウ平均が157.67ドル高(+0.37%)、S&P500が1.00%高、ナスダック総合が1.81%高と3指数がそろって2週続伸ペースとなった。
今晩は翌日の米5月雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率・平均賃金)の発表を控え、様子見姿勢が強まることが予想されるが、新規失業保険申請件数などの経済指標や貿易交渉関連の報道などに注目する展開か。昨日発表された5月ADP民間部門雇用者数が予想を大幅に下回る増加にとどまったほか、5月ISM非製造業PMIも改善予想に反して悪化し、好不況の分かれ目の50を下回った。今晩の新規失業保険申請件数は23.5万件と前週分の24.0万件から減少が見込まれているが、予想以上の増加(悪化)となれば、翌日の雇用統計の下振れ懸念が相場の重しとなりそうだ。
今晩の米経済指標・イベントは新規失業保険申請件数のほか5月チャレンジャー企業人員削減数、4月貿易収支など。企業決算は寄り前にブラウン・フォーマン、引け後にルルレモン・アスレティカ、ブロードコムが発表予定。
米国のヘグセス国防長官はNATO加盟国がトランプ大統領の要求する防衛費GDP比5%への引き上げに合意するとの見通しを示した。現行目標の2%から大幅な増額となり、6月24-25日の首脳会議までに合意を目指す。新基準は「防衛3.5%+安全保障関連1.5%」の構成案が有力で、欧州各国も米国の関与維持のため増額に前向き。ただしスペインなど一部は慎重姿勢を崩しておらず、詳細や達成時期はサミット直前まで協議が続く見通しだ。
欧州中央銀行(ECB)当局者の話として一部通信社が伝えたところによると、7月のECB会合で利下げ休止を見込んでいるという。
アフリカ連合委員会は米国政府がアフリカ諸国を含む複数国の国民に対し新たな渡航制限を課したことに遺憾の意を表明した。米政府に対し、当事国との協議や建設的な対話、透明性のある情報共有、必要に応じた協力的な対応を求めた。
日経平均株価は反落。売り優勢のスタートとなったが、前日終値付近まで戻る場面もあった。取引時間中は10日移動平均線(37675円 6/5)を上回ったものの、終値ベースでは5日移動平均線(37636円 同)下に押し戻される格好となった。
RSI(9日)は前日の63.9%→57.1%(6/5)に低下。下向きに転じた5日移動平均線に上値を抑えられるのは想定内の動きであり、引き続き見方は変わらず。4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇継続の判断となる。
一方、75日移動平均線(36712円 同)が依然として下落基調にあることが株価の上値を限定的にし、もみ合いを長引かせる要因になる。
上値メドは、5/29高値(38454円)、心理的節目の39000円、心理的節目の39500円、2/13高値(39581円)、心理的節目の4万円などがある。下値メドは、100日移動平均線(37319円 同)、心理的節目の37000円、75日移動平均線、心理的節目の36500円や36000円などがある。
フィリピンと米国の軍隊は南シナ海で7回目となる合同海上演習を実施した。今回の演習は西ミンドロ州とザンバレス州沖で行われ、沿岸作戦や火力支援などが含まれた。フィリピン軍は「国際法に基づく協力強化の意思表示」と強調。最新鋭フリゲート艦「ミゲル・マルバル」も参加した。マルコス大統領就任後、両国の軍事協力は強化されており、中国の南シナ海進出をけん制する狙いもある。
5日の銀先物価格は急騰し、1トロイオンス=36ドル超と2012年以来13年ぶりの高値を記録した。2025年の銀は年初来20%超の上昇と好調で、同期間に25%上昇した金に迫る勢い。銀は太陽光パネルなどの工業用途に加え、防衛的な資産としても注目されており、2024年は需要が供給を約15%上回り、2025年も供給不足が予想されている。
(5日終値:6日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=143.67円(5日15時時点比△0.52円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=164.41円(△1.14円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1443ドル(△0.0037ドル)
FTSE100種総合株価指数:8811.04(前営業日比△9.75)
ドイツ株式指数(DAX):24323.58(△47.10)
10年物英国債利回り:4.616%(△0.010%)
10年物独国債利回り:2.582%(△0.054%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月スイス失業率
2.8% 2.8%
4月独製造業新規受注
(前月比) 0.6% 3.4%・改
(前年比) 4.8% 3.7%・改
5月英建設業購買担当者景気指数(PMI)
47.9 46.6
4月ユーロ圏卸売物価指数(PPI)
(前月比) ▲2.2% ▲1.7%・改
(前年比) 0.7% 1.9%
欧州中央銀行(ECB)、政策金利
2.15%に引き下げ 2.40%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ユーロドルは伸び悩み。欧州中央銀行(ECB)はこの日、市場予想通り政策金利を0.25%引き下げることを決めたと発表。声明では「インフレ率は現在、理事会の中期目標である2%前後」「今後数カ月の間に貿易摩擦がさらに激化すれば、成長率とインフレ率はベースライン予測を下回ることになる」との見解が示された。
ラガルドECB総裁が理事会後の記者会見で「調査データは短期的な見通しの弱さを示唆」「成長リスクは下方に傾いている」としながらも、「長期的なインフレ期待は概ね2%付近で推移」「本日の利下げで金融緩和サイクルの終了に近づいた」との見解を示すと全般ユーロ買いが活発化。22時30分前に一時1.1495ドルと4月22日以来の高値を更新した。なお、ECB当局者の話として「7月の理事会では利下げ休止が見込まれる」との報道が伝わった。
ただ、節目の1.1500ドルが目先レジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。米中貿易摩擦が緩和するとの期待から、米長期金利が上昇に転じたことも相場の重し。
・ドル円は底堅い動き。前週分の米新規失業保険申請件数が予想より弱い内容だったことが分かると円買い・ドル売りが先行。21時30分過ぎに一時142.78円付近まで値を下げた。
ただ、アジア時間に付けた日通し安値142.53円が目先サポートとして意識されると買い戻しが優勢に。トランプ米大統領と習近平中国国家主席が電話協議を実施したと伝わると、米中貿易摩擦が緩和するとの期待から円売り・ドル買いがさらに進んだ。1時前には一時143.97円と日通し高値を更新した。
なお、習主席は「米国は中国へのネガティブな措置を解除するべき」「中国はジュネーブ合意履行したとトランプ米大統領に話した」と述べたほか、トランプ大統領は「習主席と約1時間半にわたり会談し、両国にとって非常に前向きな結論に至った」「中国を訪問する意向」などと語った。
・ユーロ円はしっかり。ECBによる追加利下げ観測の後退を背景にユーロ買いが入ったほか、ドル円の上昇につれた円売り・ユーロ買いが出た。1時前には一時164.67円と本日高値を付けた。
・ロンドン株式相場は小幅ながら5日続伸し、3月3日以来約3カ月ぶりの高値で取引を終えた。米中貿易摩擦が緩和するとの期待感から投資家心理が改善し買いが入ったものの、上値は限定的だった。リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株が買われた半面、セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株が売られた。
・フランクフルト株式相場は3日続伸し、史上最高値を更新した。米中首脳電話協議が実施されたと伝わると、両国の貿易交渉が進みやすくなるとの期待から買いが入った。欧州中央銀行(ECB)が利下げを実施したことも相場を下支えした。個別ではバイエル(4.38%高)やコメルツ銀行(3.48%高)、ハイデルベルク・マテリアルズ(3.12%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は下落。ECBによる追加利下げ観測の後退を背景に売りが出た。
5日の日経平均は反落。終値は192円安の37554円。米国株は3指数がまちまちとなったが、円高進行が嫌気されて3桁下落スタート。下げ幅を200円超に広げた後、前場ではいったん急速に戻して前日終値に接近した。アドバンテスト<6857.T>など半導体株に非常に強い動きが見られた。ただ、半導体株以外は総じて弱く、プラス圏には浮上できなかった。前引けにかけて売り直されると、後場は再び200円超下げる場面もあるなど3桁安の状態が定着。節目の37500円は割り込まなかったものの、安値圏で取引を終えた。
東証プライムの売買代金は概算で4兆2100億円。業種別では金属製品、陸運、非鉄金属などが上昇した一方、海運、輸送用機器、石油・石炭などが下落した。株主優待の新設を発表したテクノロジーズ<5248.T>が一時ストップ高となるなど後場急騰。半面、1Qが営業減益となった積水ハウス<1928.T>が後場マイナス転換から下げ幅を広げた。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり567/値下がり995。レーザーテックが5.6%高、アドバンテストが4.6%高、東京エレクトロンが3.8%高と、軟調相場の中で半導体株が奮起した。グロース銘柄ではデータセクション、スタンダード銘柄ではメタプラネットが商いを伴って買いを集めた。セルシードやサイネックスがリリースを材料に大幅上昇。ダルトン・インベストメンツの大量保有が判明したセンコーGHDが急騰した。
一方、円高を嫌気してトヨタ、SUBARU、マツダなど自動車株が大幅安。中国によるレアアースの輸出規制を受けて、スズキが「スイフト」の生産を停止しているとのニュースが伝わったことも売り材料となった。IHIなど防衛株や川崎汽船など海運株の弱さが目立った。本日が「スイッチ2」の発売日であった任天堂は2%安。不適切点呼が問題となった傘下の日本郵便に関して、国交省が自動車貨物運送の事業許可を取り消す方針を固めたと多くのメディアで報じられた日本郵政が4%を超える下落となった。
日経平均は反落。半導体株が強く買われて急速に下げ幅を縮める場面もあったが、プラス圏には浮上できず大きめの下落となった。為替が円高に振れてくると、日本株には買いが入りづらくなる。あすも米5月雇用統計の発表を前に、為替動向には神経質となるだろう。きょうの終値は37554円。25日線(37442円、5日時点)を明確に割り込んでしまうとリスク回避の動きが強まりやすくなる。きょうは円高を警戒して売られはしたものの、東京時間ではそれほど円高が進んだわけではなかった。143円近辺で円高に一服感が出てくるかに注目したい。
米財務省は5日、半期ごとの外国為替政策報告書を公表した。為替操作をしていないかを注視する「監視リスト」にアイルランドとスイスを加えられ、日本や中国を含めた9カ国となった。なお、「為替操作国」に認定した国はなかった。
(5日終値)
ドル・円相場:1ドル=143.53円(前営業日比△0.76円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=164.29円(△1.28円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1445ドル(△0.0028ドル)
ダウ工業株30種平均:42319.74ドル(▲108.00ドル)
ナスダック総合株価指数:19298.45(▲162.04)
10年物米国債利回り:4.39%(△0.04%)
WTI原油先物7月限:1バレル=63.37ドル(△0.52ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3375.1ドル(▲24.1ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
(前年比) 47.0% 62.7%
4月米貿易収支
616億ドルの赤字 1383億ドルの赤字・改
1-3月期米非農業部門労働生産性改定値
(前期比) ▲1.5% ▲0.8%
前週分の米新規失業保険申請件数
24.7万件 23.9万件・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は反発。前週分の米新規失業保険申請件数が予想より弱い内容だったことが分かると円買い・ドル売りが先行。21時30分過ぎに一時142.78円付近まで値を下げた。
ただ、アジア時間に付けた日通し安値142.53円が目先サポートとして意識されると買い戻しが優勢に。米中首脳が電話会談を行い、前向きな話し合いができたことが伝わると、米中貿易摩擦が緩和するとの期待から円売り・ドル買いがさらに進んだ。1時前には一時143.97円と日通し高値を更新した。
なお、習近平中国国家主席は「米国は中国へのネガティブな措置を解除するべき」「中国はジュネーブ合意履行したとトランプ米大統領に話した」と述べたほか、トランプ米大統領は「習主席と約1時間半にわたり会談し、両国にとって非常に前向きな結論に至った」「中国を訪問する意向」などと語った。
・ユーロドルは続伸。欧州中央銀行(ECB)はこの日、市場予想通り政策金利を0.25%引き下げたものの、ラガルドECB総裁が理事会後の記者会見で「長期的なインフレ期待は概ね2%付近で推移」「本日の利下げで金融緩和サイクルの終了に近づいた」との見解を示すと全般ユーロ買いが広がった。22時30分前に一時1.1495ドルと4月22日以来の高値を更新した。なお、ECB当局者の話として「7月の理事会では利下げ休止が見込まれる」との報道が伝わった。
ただ、節目の1.1500ドルが目先レジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。米中貿易摩擦が緩和するとの期待から、米長期金利が上昇に転じたことも相場の重し。
・ユーロ円は反発。ECBによる追加利下げ観測の後退を背景にユーロ買いが入ったほか、ドル円の上昇につれた円売り・ユーロ買いが出た。1時前には一時164.67円と本日高値を付けた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は続落。米中貿易交渉の進展期待から買いが入ったものの、上値は重かった。トランプ米大統領とテスラの最高経営責任者(CEO)を務めるイーロン・マスク氏の関係悪化が表面化したことでテスラ株が急落。投資家心理が悪化した。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は4日ぶりに反落した。
・米国債券相場で長期ゾーンは反落。トランプ米大統領と習近平中国国家主席が電話協議を実施したと伝わると、米中貿易摩擦が緩和するとの期待から売りが優勢となった。
・原油先物相場は反発。米中貿易交渉の進展期待から買いが強まった。外国為替市場で対ユーロでドルが下落したため、ドル建てで取引される原油の割安感も意識された。
・金先物相場は反落。米中首脳が電話会談を行い、前向きな話し合いができたことが分かると、米中貿易摩擦への過度な警戒感が後退し売りが優勢となった。
中国メディアが報じたところによると、「米中首脳は可及的速やかに新たな交渉ラウンドを開始することで合意した」ようだ。
5日08:21 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁
「依然として2%のインフレ目標水準には戻っていない」
「労働市場は減速の兆候を一部示している」
「経済が不確実性に直面する中でFRBは様子を見る必要がある」
5日21:24 欧州中央銀行(ECB)声明
「インフレ率は現在、理事会の中期目標である2%前後」
「今後数カ月の間に貿易摩擦がさらに激化すれば、成長率とインフレ率はベースライン予測を下回ることになる」
「貿易摩擦が穏やかな結果で解決された場合、成長率とインフレ率はベースライン予測よりも高くなるだろう」
「不確実性が高い中、スタッフは様々な貿易政策が成長率に影響を与えうるメカニズムの一部も評価した」
「実質所得の増加と堅調な労働市場により、家計はより多くの支出を可能にする」
「2025年のインフレ見通しは2.0%、2026年は1.6%、2027年2.0%」
「2025年はコアインフレ見通しは2.4%、2026年と2027年は1.9%」
「成長率見通しは2025年に0.9%、2026年に1.1%、2027年に1.3%」
5日21:57 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「調査データは短期的な見通しの弱さを示唆」
「関税の引き上げとユーロ高が輸出を困難にする」
「サービス部門は減速している」
「成長リスクは下方に傾いている」
「長期的なインフレ期待は概ね2%付近で推移」
「賃金動向は2025年にかけてさらに緩やかになる兆し」
「コアインフレの多くの指標は、インフレが目標水準で安定することを示唆」
「インフレ見通しは通常よりも不確実性が高い」
「防衛やインフラ投資の拡大は中期的にインフレを押し上げる可能性」
「今後の不確実な状況にも対応できる良い立ち位置にある」
「今回の決定はほぼ全会一致であり、反対は1名だけ」
「ECBでの任期を最後まで全うする決意」
「成長見通しについて、今後さらに上方修正する可能性も排除しない」
「本日の利下げで金融緩和サイクルの終わりに近づいている」
5日23:15 赤沢経済再生相
「関税措置の見直しを強く求め続けている」
「誰とどんな日程で会うかは協議中」
「米中首脳電話会談について内容が分かれば情報分析し適切に対応」
「米中関係は今後も緊張感を持って注視していく」
5日23:40 習・中国国家主席
「米国は中国へのネガティブな措置を解除するべき」
5日23:49 トランプ米大統領
「習近平国家主席と約1時間半にわたり会談し、両国にとって非常に前向きな結論に至った」
「レアアース製品の複雑さについて、もはや疑問の余地はないはずだ」
「習近平国家主席から妻とともに訪中の招待を受けた」
「中国を訪問する意向」
「中国人留学生を歓迎する」
「中国と貿易協定については非常に良好な状態にあると思う」
6日01:53 クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「雇用よりもインフレを大きなリスクと見ている」
「関税が価格に及ぼす影響の全容はまだ見えていない」
「関税が経済に与える影響の詳細は待たなければならない」
「FRBが物価上昇や失業に直面する可能性はあるが、確実ではない」
「米経済は依然として底堅いものの、いくつかのストレス要因が見られる」
「重要な金融政策は外的影響を受けない」
6日02:35 シュミッド米カンザスシティー連銀総裁
「関税は物価を押し上げる可能性が高いが、どの程度かは不明」
「経済活動は持続可能と楽観的」
「FRBは二つの使命を両立させるため、政策は機敏に行う必要」
「インフレと雇用のデータは目標値に近づいている」
※時間は日本時間
<国内>
○08:30 ◇ 4月家計調査(消費支出、予想:前年比1.4%)
○08:50 ◇ 5月外貨準備高
○14:00 ◇ 4月景気動向指数速報値(予想:先行103.9/一致115.4)
<海外>
○13:30 ☆ インド中銀、金融政策決定会合(予想:5.75%に引き下げ)
○15:00 ◎ 4月独鉱工業生産(予想:前月比▲1.0%/前年同月比▲1.0%)
○15:00 ◇ 4月独貿易収支(予想:200億ユーロの黒字)
○15:45 ◇ 4月仏鉱工業生産(予想:前月比0.2%)
○15:45 ◇ 4月仏貿易収支
○15:45 ◇ 4月仏経常収支
○17:00 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○17:30 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○17:45 ◎ シムカス・リトアニア中銀総裁、講演
○18:00 ☆ 1-3月期ユーロ圏域内総生産(GDP)確定値(予想:前期比0.4%/前年比1.2%)
○18:00 ◎ 4月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比0.1%/前年比1.3%)
○19:00 ◎ センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○19:30 ◎ ロシア中銀、政策金利発表(予想:21.00%で据え置きと20.00%への引き下げで拮抗)
○21:30 ☆ 5月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化▲1.25万人/失業率7.0%)
○21:30 ☆ 5月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化13.0万人/失業率4.2%/平均時給、前月比0.3%/前年比3.7%)
○23:00 ◎ ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○7日04:00 ◇ 4月米消費者信用残高(予想:100.0億ドル)
○韓国(戦没者慰霊日)、トルコ(犠牲祭)、スウェーデン(建国記念日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 37440 -80 (-0.21%)
TOPIX先物 2757.0 +3.5 (+0.12%)
シカゴ日経平均先物 37485 -35
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
5日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落。トランプ米大統領は5日、中国の習近平国家主席と電話で協議した。貿易交渉の安定化を目指して近く閣僚級協議を開くことで合意したことで、米中貿易交渉の進展期待から買いが入る場面もみられた。ただし、週間の新規失業保険申請件数が予想を上回り、前日のADP雇用統計に続いて労働市場の軟化を示す内容だったと受け止められ、米景気の先行き不安が強まった。トランプ大統領とテスラ<TSLA>のイーロン・マスクCEOの関係悪化が表面化し、これを受けてテスラ株が急落したこともセンチメントを冷ます形になった。
S&P500業種別指数は、電気通信サービス、ソフトウエア・サービス、小売が上昇した。一方で、自動車・同部品、食品・生活必需品小売、家庭用品・パーソナル用品の下げが目立った。NYダウ構成銘柄では、セールスフォース<CRM>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、マイクロソフト<MSFT>、IBM<IBM>、シスコシステムズ<CSCO>が買われた。半面、プロクター・アンド・ギャンブル<PG>、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、ウォルマート<WMT>、ボーイング<BA>、エヌビディア<NVDA>が下落。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比35円安の3万7485円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは日中比120円高の3万7640円で始まった。直後につけた3万7650円を高値に軟化し、米国市場の取引開始後に3万7310円まで売られた。売り一巡後は3万7650円とプラス圏を回復する場面もみられたが、終盤にかけて弱含んでおり、3万7440円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや売り先行で始まることになろう。ナイトセッションでは200日移動平均線(3万7620円)を上回って始まったが、中盤にかけて同線を割り込み、支持線として意識されていた25日線(3万7510円)を割り込んで終えた。ただし、概ね両線を挟んでの推移だったこともあり、ショートの動きはそれほど強まらないだろう。
米国では6日に5月の雇用統計の発表を控え、様子見姿勢は強まりそうだ。積極的なロングの動きも限られるため、25日、200日線水準での攻防が意識されそうである。米国株安は重荷になるだろうが、テスラが14%超の下落となったことが投資家心理に影響を与えたと考えられ、東京市場に与える影響は限られそうである。米国市場への反応は限られていたが、米中首脳による電話会談が行われ、閣僚級協議を開くことで合意したことは安心感につながることで、押し目狙いのロング対応に向かわせよう。
詳細は不明だが、自動車などの産業に必要不可欠なレアアースの輸出問題を取り上げたようであり、レアアース不足で生産停止の影響が出てきた自動車メーカーへの買い戻しの動きがみられるようだと、センチメント改善に向かわせそうだ。
日経225先物は25日線水準での攻防から、オプション権利行使価格の3万7250円から3万7750円でのレンジを想定する。このレンジを突破してくるようだと、ボリンジャーバンドの-1σ(3万7080円)と+1σ(3万7950円)での推移になろう。
5日の米VIX指数は18.48(4日は17.61)に上昇した。ただ、200日線(19.61)や25日線(19.90)を下回っての推移であり、リスク選好に傾きやすい状況は続いている。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.62倍に上昇した。指数インパクトの大きい値がさハイテク株の一角が買われた半面、自動車メーカー各社が軟調だったことで、相対的に日経平均型優位になった。上値抵抗線として意識される25日線(13.64倍)、75日線(13.67倍)に接近してきたことで、リバランスの動きが入る可能性はありそうだ。
昨日のニューヨーク外国為替市場でドル円は143.97円まで高値を更新した。米中首脳が電話会談を行い、前向きな話し合いができたことが伝わったことが支えとなった。ユーロドルは一時1.1495ドルまで上昇。欧州中央銀行(ECB)は予想通りに政策金利を0.25%引き下げたが、ラガルドECB総裁は「本日の利下げで金融緩和サイクルの終了に近づいた」との見解を示した。ユーロ円はユーロ高とリスクオンの円売りを後押しに164.67円まで強含んだ。
本日の東京市場では、4月全世帯家計調査・消費支出と4月景気動向指数(CI)速報値の発表が予定されている。指標の結果がドル円の動意につながる可能性は低いが、ともに前月を下回る見込みだ。3月の消費支出は前年比+2.1%と2月のマイナスから上昇に転じたが、実収入は減少しており、同月の消費支出の増加は決してポジティブなものと言えない。
昨日の海外市場でドル円は、米中貿易摩擦が緩和するとの期待から上昇した。その流れを引き継ぎ東京タイムでは底堅さを維持し、関税関連のヘッドラインに注視しつつ、徐々に今晩の米雇用統計に視線が向けられそうだ。
先週末から米中による貿易協議の停滞をめぐり両国が非難を強めたが、昨日に米中首脳の電話協議が行われた。トランプ米大統領は「両国にとって非常に前向きな結論となった」と協議内容を評価し、近く米中が閣僚級の会議を開くとの見通しと中国を訪問する意向を示した。今後の米中協議は引き続き難航が予想されるも、いったん両国の緊張感の高まりへの警戒感は和らいだ。
4日にトランプ米政権は鉄鋼・アルミニウムの関税を50%に引き上げたが、貿易相手国との個別交渉が注目されていることもあり、市場はわりと落ち着いた反応を示している。ただし、複数の貿易相手国は交渉が上手くいかなかった場合は報復措置を取るとしており、関税をめぐる不安は続く。
5月米雇用統計の予想は、非農業部門雇用者数が13万人増と4月からの鈍化、失業率は前月と変わらず4.2%が見込まれている。市場では、トランプ関税で「雇用の最大化」と「物価の安定」という2大責務の両方に対するリスクが高まったとの見方が多い。今月17-18日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利の据え置きが織り込まれているが、連邦準備制度理事会(FRB)のメンバーからは「雇用最大化」の優先を主張する声も聞かれている。労働市場の悪化が懸念されているなか、雇用統計が予想以上に低調な結果となれば、ドル安・円高に大きく傾く可能性がある。
4日の5月ADP全米雇用報告の弱い結果にトランプ米大統領はすぐさま反応し、再びパウエルFRB議長に「今すぐの利下げ」を求めた。雇用統計が弱い結果となれば、トランプ氏のFRBへの圧力と攻撃が一層高まることは避けられないだろう。
東京市場は軟調か。米国株は下落。ダウ平均は108ドル安の42319ドルで取引を終えた。買われる場面もあったが上値が重く、終盤はマイナス圏で推移した。新規失業保険申請件数が予想以上に増加したことで、本日発表される米5月雇用統計の下振れが警戒された。また、イーロン・マスク氏とトランプ大統領がSNSでお互いを非難しており、これを受けてテスラ株が14%を超える下落となったことも相場を冷やした。ドル円は足元143円50銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて35円安の37485円、ドル建てが25円安の37495円で取引を終えた。
米雇用統計の発表前で、基本的には様子見姿勢の強い地合いになるとみる。ただ、米国株の引け味が悪かったことや、雇用統計の発表直前に雇用の悪化を示す指標が出てきたことなどから、買いの方がより手控えられると考える。テスラ株の急落も印象が悪い。雇用統計が米国株の買い材料となる可能性もあるだけに大崩れは想定しないものの、場中はやや弱めで方向感に欠ける動きが続くと予想する。日経平均の予想レンジは37300-37650円。
日経225先物は11時30分時点、前日比220円高の3万7740円(+0.58%)前後で推移。寄り付きは3万7550円と、シカゴ日経平均先物(3万7485円)を上回り、買い先行で始まった。開始直後につけた3万7510円を安値に中盤にかけて上へのバイアスが強まり、3万7760円まで買われる場面もみられた。買い一巡後は3万7660円~3万7760円辺りでの推移を続けている。
5日の米国市場が下落するなかで、シカゴ先物にサヤ寄せする形で売りが先行するかとみられていたが、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が電話で協議し、貿易交渉の安定化を目指して近く閣僚級協議を開くことで合意しており、米中交渉の進展期待からロングに向かわせたようだ。
為替市場ではドル・円が1ドル=143円台後半と、前日から円安に振れていることも安心感につながっている。25日移動平均線(3万7520円)が支持線として意識されるなかで200日線を上回ってきたため、ショートカバーを誘う形にもなったようだ。ボリンジャーバンドの+1σが3万7960円辺りに位置しており、同水準を捉えてくるかが注目される。
NT倍率は先物中心限月で13.60倍に低下して推移している。前日の上昇で抵抗線として意識される25日線に接近してきたこともあり、いったんはNTロングを巻き戻す形でのリバランスが入りやすいところだろう。
昨日のドル円は、今週に入ってからの日替わり相場の順番通りにドル買いとなりました。米新規失業保険申請件数が予想よりも弱い数字だったことから142.78円まで下押したものの、その後に米中首脳電話会談が行われたことが中国の新華社から報じられると143.68円まで急伸。直後に142.90円まで下押すも、前向きな会談内容が伝わると再び143.97円まで高値を更新するといった荒い値動きとなりました。引けにかけては143.48円まで下押ししてNY市場を終えています。
一方、ユーロドルはECB理事会が予想通り0.25%の利下げを決定。その後のラガルドECB総裁の定例記者会見において、「金融緩和サイクルの終了が近づいた」ことに言及すると1.1495ドルまで買い上げられる動きとなりました。
週末のアジア市場では、ドル円は143.45円まで下押しした後、本邦実需の買いが観測されると次第に下値を切り上げる展開に。20年や40年と言った超長期国債の利回りが大幅な低下となっていることも買いを後押ししています。市場では「欧州系を中心に日本国債にまとまった買いが観測されている」との声も聞かれているわけで、財務省が超長期国債の減額を検討しているなか、底値を拾う動きが加速しているといったところです。
いずれにしても、今夜の米雇用統計待ちであることは明らかですが、NY勢からは「昨日は、相場云々というよりも、トランプとイーロンマスクの大喧嘩で大騒ぎだった」とのこと。マスクから言わせれば、「俺が大統領に当選させてあげたようなものなのに、恩を仇で返すようなことをしやがって。もう我慢ならん。エプスタインリストにも載っていたよな、お前。早く大統領の首をバンスに挿げ替えなければ」と捨てセリフ。
トランプも「欲しくもないEVを押し付けやがって。こんな車はいらないんだよ。お前のほうが狂ってるぞ」と応戦。本日6日にも電話で落とし前を付ける予定とあって、月一のビッグイベントも何とも影を潜めてしまうかもしれず、市場のバイアスが弱めの数字に傾いているなか、リスクとしては明らかに上サイド。この無制限金網デスマッチよりも大きなインパクトを与える結果となるのか見ものです。
ロンドンタイムは、米雇用統計発表まで様子見姿勢が続きやすいか。昨日は欧州中央銀行(ECB)が予想通りの政策金利引き下げを発表。ラガルドECB総裁の「本日の利下げで金融緩和サイクルの終了に近づいた」との見解や、ECB当局者の「7月の理事会では利下げ休止が見込まれる」との話が伝わりユーロドルは上振れるもほどなく失速。足もとでは1.14ドル前半から半ばでもみ合っている。
ECBは7月に休止を挟んだとしても、9月のスタッフ経済見通しと合わせ、トランプ関税の影響を鑑みた上で再び利下げに動く可能性もあり、いったんECBイベントのインパクトを織り込んで動意を落ち着かせつつある格好。米関税交渉の行方が大きく影響することになるが、足もとでは米中貿易交渉の継続をポジティブに捉えたドル買い戻しが進みやすくなっている感がある。
また、米雇用統計の結果次第だが、同指標は強かった欧州PMIのように、関税発動停止中の駆け込み的な生産や輸出ほか企業活動の活発化がポジティブサプライズを誘うなど、かく乱要因を抱えている点にも注意。予断を許さない米雇用統計を待つ様相が強まりやすいとみる。
想定レンジ上限
・ユーロドル:ピボット・レジスタンス2・1.1538ドルや4月22日高値1.1547も位置する1.1540ドル付近。
想定レンジ下限
・ユーロドル:日足一目均衡表・転換線1.1353ドル。
■各社予想 5月米非農業部門雇用者数
JPモルガン +12.5万人
第一生命経済研究所 +16.4万人
ドイツ証券 +12.5万人
バークレイズ・キャピタル +15.0万人
BNPパリバ +12.5万人
HSBC +13.0万人
モルガン・スタンレー +12.5万人
市場コンセンサス +13.0万人
前回 +17.7万人
■各社予想 5月米失業率
JPモルガン 4.2%
第一生命経済研究所 4.2%
ドイツ証券 4.3%
バークレイズ・キャピタル 4.2%
BNPパリバ 4.2%
HSBC 4.2%
モルガン・スタンレー 4.2%
市場コンセンサス 4.2%
前回 4.2%
■各社予想 5月米平均時給(前月比)
JPモルガン +0.2%
第一生命経済研究所 +0.3%
ドイツ証券 +0.3%
バークレイズ・キャピタル +0.2%
BNPパリバ +0.3%
HSBC +0.3%
モルガン・スタンレー +0.3%
市場コンセンサス +0.3%
前回 +0.2%
■各社予想 5月米平均時給(前年比)
JPモルガン +3.6%
第一生命経済研究所 +3.7%
BNPパリバ +3.7%
HSBC +3.8%
市場コンセンサス +3.7%
前回 +3.8%
ドル円:1ドル=143.86円(前営業日NY終値比△0.33円)
ユーロ円:1ユーロ=164.51円(△0.22円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1435ドル(▲0.0010ドル)
日経平均株価:37741.61円(前営業日比△187.12円)
東証株価指数(TOPIX):2769.33(△12.86)
債券先物6月物:139.35円(横ばい)
新発10年物国債利回り:1.455%(▲0.005%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月家計調査(消費支出)
前年同月比 ▲0.1% 2.1%
5月外貨準備高
1兆2981億ドル 1兆2982億ドル
4月景気動向指数速報値
先行指数 103.4 107.6・改
一致指数 115.5 115.8・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は堅調。小高く始まった後で一時200円超上昇するなど、堅調に推移する日経平均をながめてじり高の展開。米中貿易交渉の継続を背景としたドル買い戻しが意識されていることも追い風となり、15時過ぎに144.06円まで上値を広げた。ただ、今晩に米雇用統計を控えていることもあり、その後は伸び悩んだ。
・ユーロ円は伸び悩み。日経平均やドル円が上昇する中で164.64円まで値を上げるも、前日高値164.67円が目先の抵抗として意識されると伸び悩んだ。
・ユーロドルは上値が重い。9時過ぎに1.1457ドルまで買われるも一時的となり、その後はドル円でのドル高の影響を受けて1.1431ドルまで下押した。
・日経平均株価は反発。米中交渉の進展期待を背景に、小高く始まった後は一時200円超の上げ幅となった。ただ、今晩の米雇用統計を前に積極的に上値を追う動きは限られた。
・債券先物相場は小幅反落。前日の欧米債相場が下落した影響を受けて売りが波及した。一方で、国内の超長期債入札で低調な結果が続いていることから、財務省が今後は国債発行の減額に動くとの思惑が引き続き相場を支えた。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
メキシコ裁判官選挙、司法も与党支配で三権分立はいよいよ崩壊へ
ロペス=オブラドール前大統領の悲願達成、一方で司法への責任転嫁が困難になる可能性も
メキシコでは1日、裁判官を国民投票で選出する公選制による選挙が初めて行われた。これは最大与党のMORENAが主導した憲法改正により導入されたものである。司法制度改革が行われた背景には、前政権の政策が連邦裁判所により違法と判断される場面が相次ぎ、司法が行政の障害と見做されたことがある。
司法制度改革では、最高裁判事の数を減らした上で、行政、立法、司法が推薦する候補者を国民投票で選ぶとされた。しかし、与党は議会で安定多数を占めるなか、推薦候補に政権・与党の意向が反映されやすくなるなど、司法の独立性が損なわれることが懸念された。実際、政権寄りの人物が当選し、司法府推薦候補は落選した。投票率も低い上、問題のある人物が立候補するなど、制度の妥当性にも疑問が残る。
選挙の結果として、三権分立の機能が弱まり、政権の権限が強化されることで、国家資本主義的な政策推進のほか、軍の民間活動への関与が進む可能性がある。また、民主主義の後退や麻薬カルテルの影響拡大、USMCAの義務軽視などのリスクも懸念される。一方、今後はMORENAが政策運営の失敗を司法に責任転嫁することが困難になるため、政権の成果がこれまで以上に問われることにも要注意と言える。
「今回の利下げで金融緩和サイクルの終着点に到達」(ラガルドECB総裁)
2025年6月5日に開催された欧州中央銀行(ECB)理事会では、予想通りに中銀預金金利の0.25%の利下げがほぼ全会一致(反対:ホルツマン・オーストリア中銀総裁)で決定された。ECBはこれまで金利の中立水準を1.75-2.25%としてきており、今回の利下げで中間点2.00%に到達した。
短期金融市場では追加利下げへの期待が後退し、0.25%の追加利下げはもはや確実視されていない。
1.欧州中央銀行(ECB)の金融政策正常化(※中銀預金金利)
■2025年6月5日: 2.00%(第8次利下げ)▲0.25%
・限界貸出金利 :2.40%(2.65%)
・リファイナンス金利:2.15%(2.40%)
・中銀預金金利 :2.00%(2.25%)
■2025年4月17日:2.25%(第7次利下げ)▲0.25%
■2025年3月6日:2.50%(第6次利下げ)▲0.25%
■2025年1月30日:2.75%(第5次利下げ)▲0.25%
■2024年12月12日:3.00%(第4次利下げ)▲0.25%
■2024年10月17日:3.25%(第3次利下げ)▲0.25%
■2024年9月12日:3.50%(第2次利下げ)▲0.25%
■2024年7月18日:3.75%(据え置き)
■2024年6月6日:3.75%(第1次利下げ)▲0.25%
2.声明文
「インフレ率は現在、理事会の中期目標である2%前後」
「貿易を巡る不確実性が企業の投資や輸出を押し下げる一方、防衛やインフラ分野への政府支出が今後の成長を支える」
「今後数カ月の間に貿易摩擦がさらに激化すれば、成長率とインフレ率はベースライン予測を下回ることになる」
「貿易摩擦が穏やかな結果で解決された場合、成長率とインフレ率はベースライン予測よりも高くなるだろう」
「特定の金利の道筋について事前にコミットしない。現在のような異例の不確実性が高い状況ではデータ次第で会合ごとのアプローチをとる」
「今後の経済・金融データ、基調的インフレ動向、金融政策の伝達力を考慮したインフレ見通しの評価に基づいて金利を決定する」
■見通し 【2025年】 【2026年】 【2027】
・インフレ: 2.0% 1.6% 2.0%
・コアインフレ:2.4% 1.9% 1.9%
・成長率: 0.9% 1.1% 1.3%
3.ラガルドECB総裁
「今回の利下げで金融緩和サイクルの終着点に到達へ」
「新型コロナウイルス、ウクライナでの不当な戦争、エネルギー危機といった複合的な衝撃に対応してきた金融政策サイクルの終わりに差し掛かっているところだ」
「現在の金利水準は、今後直面する不透明な状況を乗り切る上で適切な位置にある」
・インフレ抑制
「エネルギー価格の下落やユーロ高が短期的にはインフレを抑制するものの、インフレ率は27年に目標水準に戻る見込み」
「米国の関税引き上げでユーロ圏輸出の需要が減る一方、過剰生産分が欧州に振り向けられれば、この影響はさらに強まる可能性がある」
・インフレ再燃
「世界的なサプライチェーンの途絶は輸入価格を押し上げ、域内経済の生産能力の制約を増大させることでインフレを加速させる可能性がある」
大阪6月限
日経225先物 37770 +250 (+0.66%)
TOPIX先物 2773.5 +20.0 (+0.72%)
日経225先物(6月限)は前日比250円高の3万7770円で取引を終了。寄り付きは3万7550円と、シカゴ日経平均先物(3万7485円)を上回り、買い先行で始まった。開始直後につけた3万7510円を安値に前場中盤にかけて上へのバイアスが強まり、3万7760円まで買われ、200日移動平均線(3万7620円)を突破。ランチタイム以降は3万7640円~3万7760円辺りと200日線を上回って推移。引けにかけてレンジを上抜け、3万7800円まで上げ幅を広げる場面もみられた。
5日の米国市場が下落し、シカゴ先物にサヤ寄せする形で売りが先行するかとみられていたが、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が電話で協議し、貿易交渉の安定化を目指して近く閣僚級協議を開くことで合意しており、米中交渉の進展期待からロングに向かわせたようだ。為替市場ではドル・円が1ドル=143円台後半と、前日から円安に振れていることも安心感につながった。
25日線(3万7520円)が支持線として意識されるなかで200日線を上回ってきたため、終盤にかけてショートカバーを誘う形にもなったようだ。上向きで推移する25日線に沿ったトレンドを継続する一方で、ボリンジャーバンドの+1σ(3万7960円)に上値を抑えられる状況が続いている。バンドが収斂するなかで煮詰まり感が意識されており、週足でも5月半ば以降は概ね26週線(3万7580円)、52週線(3万7830円)水準での攻防をみせている。
6月限の先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)を来週末に控えて、限月交代に伴うロールオーバーが中心になろうが、狭いレンジでの保ち合いを放れてくるようだと、放れた方向へのヘッジ対応の動きが強まる可能性がある。
米中貿易摩擦に対する過度な懸念が和らいだほか、日米交渉もG7サミットに合わせて開かれる日米首脳会談までに、一定の着地点がまとまる可能性もあるとみられ、ショートポジションを圧縮させる動きに向かわせそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.61倍に低下した。前日の上昇で抵抗線として意識される25日線に接近してきたため、いったんはNTロングを巻き戻す形でのリバランスが入りやすかった。ただし、-1σ(13.57倍)が支持線として意識されるなかで、25日線と+1σ(13.73倍)を捉えてくるようだと、NTロングに転換する可能性が高まろう。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万3426枚、ソシエテジェネラル証券が8533枚、JPモルガン証券が3013枚、サスケハナ・ホンコンが2240枚、ビーオブエー証券が1765枚、バークレイズ証券が1545枚、日産証券が1479枚、ゴールドマン証券が1196枚、UBS証券が1176枚、野村証券が1074枚だった。
TOPIX先物はソシエテジェネラル証券が1万4176枚、ABNクリアリン証券が1万3581枚、モルガンMUFG証券が8532枚、JPモルガン証券が6967枚、バークレイズ証券が4174枚、みずほ証券が4159枚、ゴールドマン証券が3710枚、野村証券が3586枚、ビーオブエー証券が3088枚、BNPパリバ証券が1876枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、トランプ米大統領の突発的な発言に警戒しながら、5月米雇用統計を見極める展開が予想される。
昨日は、テスラ株がマスク最高経営責任者(CEO)とトランプ米大統領の関係悪化を受けて14%超下落しており、本日は和解の兆しがあるとの報道もあり、両者の発言には警戒しておきたい。
5月米雇用統計の予想は非農業部門雇用者数が前月比+13.0万人で4月の同比+17.7万人から増加幅の減少、失業率は4.2%で4月と変わらず、平均時給は前月比+0.3%で4月の+0.2%から上昇、前年比+3.7%で4月の+3.8%からの低下が見込まれている。
米国5月の雇用関連指標は、改善しているのは、ISM非製造業雇用指数(50.7)、ISM製造業雇用指数(46.8)、チャレンジャー人員削減予定数、シカゴ購買部協会雇用指数となっている。
悪化しているのは、ADP全国雇用者数、消費者信頼感指数(労働市場格差指数)、新規失業保険申請件数、失業保険継続受給者数となっており、まちまちとなっている。
ドル円の一目均衡表での注目水準は、転換線が144.20円、雲の下限が144.23円、その上には、基準線が145.39円、雲の上限が145.69円にあり、ドル円のポジションがショート気味であることから、ポジティブサプライズの場合の抵抗帯として念頭に置いておきたい。
また、米財務省が昨日公表した「外国為替報告書」では、円安の要因として、主に日米金利差と金融政策への期待を反映していると言及しており、ベッセント米財務長官やトランプ米大統領による円安牽制発言にも警戒しておきたい。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、145.39円(日足一目均衡表・基準線)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、142.53円 (6/5 安値)
一部通信社が、日銀が来年4月より国債の買い入れ減額幅の圧縮を検討していると報じた。
今晩は米雇用統計に注目。昨日は新規失業保険申請件数が予想以上に悪化したことで翌日発表の5月雇用統計の下振れ懸念が強まったことが重しとなったほか、トランプ米大統領とテスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の関係悪化を受けてテスラ株が急落したこともセンチメントの悪化につながった。ダウ平均が108ドル安(-0.25%)と2日続落し、S&P500が0.53%安、ナスダック総合が0.83%安とともに4日ぶりに反落した。投資家の不安心理を示すVIX指数は前日の17.61ポイントから18.48ポイントに上昇した。
今晩の取引では寄り前に発表される米5月雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率・平均賃金)に注目が集まる。今週発表された経済指標は5月ISM非製造業PMIが改善予想に反して悪化し、好不況の分かれ目の50を下回ったほか、雇用指標では5月ADP民間部門雇用者数や新規失業保険申請件数が軒並み予想以上に悪化した。トランプ関税による景気減速懸念、景気後退懸念が強まっており、今晩の雇用統計も弱い結果となれば、景気後退懸念が一段と強まることが警戒される。雇用統計の市場予想は非農業部門雇用者数が13.0万人増と4月の17.7万人増から減少が見込まれ、失業率は4.2%と前月から横ばいが見込まれている。
今晩の米経済指標・イベントは5月雇用統計のほか4月消費者信用残高など。主要な企業の決算発表はなし。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・田中 理氏
ECBの利下げサイクルは終わりに近づく
関税協議が決着すれば、7月の追加利下げは見送りへ
欧州中央銀行(ECB)は6月の理事会で25bpの追加利下げを決定した。利下げ後の政策金利(ECBが現在主たる政策金利に用いている預金ファシリティ金利・下限の政策金利))は2.0%と、ECBが考える中立金利(1.75~2.25%)の中間に位置する。関税協議を巡る不確実性が高く、今後もデータに基づいて理事会毎に政策を判断する従来のガイダンスを維持した。だが、同時にラガルド総裁は「利下げサイクルが終わりに近づいている」と指摘したほか、「先行きの不透明な状況を乗り切るのに十分な態勢がある」と述べるなど、利下げ打ち止めの地均しを始めるとともに、関税ショックの克服に自信も覗かせた。
今後の利下げは7月9日に期限を迎える米EU間の関税協議次第だが、7月に追加利下げを見送った後、関税引き上げの悪影響をデータで確認したうえで、9月に追加利下げをすると予想する。7月9日までに関税協議がまとまらずに延長戦に入る場合、いったん7月に追加利下げを行い、9月理事会までに継続協議がまとまれば、9月の追加利下げは見送り、まとまらない場合には、9月の連続利下げで政策金利を中立金利未満に誘導するとみる。つまり、政策金利は秋までに1.75%まで引き下げられるのがメインシナリオ、1.5%まで引き下げられるのがサブシナリオとなる。
米財務省は6日、イランの資金調達を断つため、イラン国内外の個人9名と企業30社以上を新たに制裁リストに追加した。対象にはイランやUAE、香港、中国などの金融・貿易関連企業や多国籍の個人が含まれる。これにより米国内資産の凍結や米国人との取引が禁止され、イランの国際金融ネットワークへの圧力が一段と強まる。
ドイツ銀行は米経済の注目点は雇用よりも移民減少だと指摘した。移民流入は今年、2022年1月-2024年6月平均から90%以上減少し、労働力人口の年成長率が200万人以上鈍化する見通しだ。昨年は高い移民流入が雇用拡大と低賃金を両立させていたが、今後は逆転現象が起こる可能性が高いと分析。貿易や財政赤字も加わり、米経済の構造変化が進んでいる。
スイス政府はUBSを中心とする大手銀行に対し、最大180億ドルの資本要件引き上げや、経営陣の責任強化(不正時のボーナス返還)、金融監督当局FINMAの権限拡大などの新規制案を発表した。海外子会社の持分評価や危機時の資産評価も厳格化される。新規制は2027年に政令レベル、2028年以降に法制化される見通しで、短期的にはUBSの自社株買い減少も予想される。
日経平均株価は反発。やや買い優勢のスタートから上値を伸ばす展開となった。直近のレンジ内の動きにとどまったものの、5日移動平均線(37592円 6/6)や10日移動平均線(37733円 同)上を回復して終えた。
RSI(9日)は前日の57.1%→54.0%(6/6)に低下。引き続き見方は変わらず、4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇継続の判断となる。
一方、75日移動平均線(36694円 同)や100日移動平均線(37297円 同)などが依然として下落基調にあることが株価の上値を限定的にし、もみ合いを長引かせる要因になる。
来週は週足の一目均衡表で転換線が大きく上昇するタイミングとなるため、変動が大きくなる場面も想定される。
上値メドは、5/29高値(38454円)、心理的節目の39000円、心理的節目の39500円、2/13高値(39581円)、心理的節目の4万円などがある。下値メドは、100日移動平均線、心理的節目の37000円、75日移動平均線、心理的節目の36500円や36000円などがある。
欧州連合(EU)農業担当委員は米国との貿易交渉でワインや肥料の関税引き下げ、ホルモンフリー牛肉の輸入拡大について協議する用意があると表明した。一方で、食品安全基準の引き下げには応じない方針。また、米国によるICC判事への制裁に関してもEUは影響を注視し、追加措置を検討中だ。
(6日終値:7日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=144.86円(6日15時時点比△1.00円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=165.05円(△0.54円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1393ドル(▲0.0042ドル)
FTSE100種総合株価指数:8837.91(前営業日比△26.87)
ドイツ株式指数(DAX):24304.46(▲19.12)
10年物英国債利回り:4.644%(△0.028%)
10年物独国債利回り:2.576%(▲0.006%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月独鉱工業生産
(前月比) ▲1.4% 2.3%・改
(前年比) ▲1.8% ▲0.7%・改
4月独貿易収支
146億ユーロの黒字 213億ユーロの黒字・改
4月仏鉱工業生産
(前月比) ▲1.4% 0.1%・改
4月仏貿易収支
79.68億ユーロの赤字 62.72億ユーロの赤字・改
4月仏経常収支
41億ユーロの赤字 10億ユーロの黒字・改
1-3月期ユーロ圏域内総生産(GDP)確定値
(前期比) 0.6% 0.3%
(前年同期比) 1.5% 1.2%
4月ユーロ圏小売売上高
(前月比) 0.1% 0.4%・改
(前年比) 2.3% 1.9%・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は底堅い動き。米中首脳電話会談を受けて、貿易摩擦が激化するとの懸念が和らぐ中、円売り・ドル買いが先行。NY市場に入り、5月米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比13.9万人増と予想の13.0万人増を上回ったことが分かると、米長期金利の上昇とともに全般ドル買いが加速した。24時過ぎには一時145.09円と日通し高値を更新した。平均時給が前月比0.4%/前年比3.9%と予想の前月比0.3%/前年比3.7%を上回ったことも相場の支援材料。市場では「前日までに発表された米雇用指標を受けて下振れリスクが意識されていただけに、まずまずの内容だった」との声が聞かれた。
なお、トランプ米大統領は「米連邦準備理事会(FRB)の対応が遅すぎるのは大惨事だ」と述べ、パウエルFRB議長を改めて非難。加えて、政策金利の1%引き下げを要求した。
・ユーロドルは頭が重かった。米雇用統計の結果を受けて全般ドル買いが優勢になると一時1.1372ドルと日通し安値を更新した。ただ、4日の安値1.1357ドルが目先サポートとして意識されると下げ渋った。ユーロ円の上昇につれた買いも相場を下支えした。
・ユーロ円はしっかり。ドル円の上昇や米国株高を手掛かりに円売り・ユーロ買いが強まると一時165.29円と日通し高値を更新した。
・ロンドン株式相場は6日続伸し、3月3日以来約3カ月ぶりの高値で取引を終えた。米中首脳電話会談を受けて、貿易摩擦が激化するとの懸念が和らぐと、英株にも買いが入った。ただ、足もとで相場上昇が続いているだけに、短期的な過熱感も意識されて上値は限られた。HSBCやバークレイズなど金融株が買われたほか、BPやシェルなどエネルギー株が値上がりした。
・フランクフルト株式相場は4日ぶりに小反落。米中貿易摩擦が激化するとの懸念が和らぎ、独株にも買いが入ったものの、週末を控えたポジション調整目的の売りが出ると下げに転じた。前日に史上最高値を更新したあとだけに利益確定目的の売りも出やすかった。個別ではラインメタル(4.99%安)やフォルクスワーゲン(1.72%安)、ポルシェ(1.46%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は英国債が下落した一方、独国債が上昇した。
(6日終値)
ドル・円相場:1ドル=144.85円(前営業日比△1.32円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=165.06円(△0.77円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1397ドル(△0.0048ドル)
ダウ工業株30種平均:42762.87ドル(△443.13ドル)
ナスダック総合株価指数:19529.95(△231.50)
10年物米国債利回り:4.51%(△0.12%)
WTI原油先物7月限:1バレル=64.58ドル(△1.21ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3346.6ドル(▲28.5ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月米雇用統計
失業率 4.2% 4.2%
非農業部門雇用者数変化
13.9万人 14.7万人・改
平均時給
(前月比) 0.4% 0.2%
(前年比) 3.9% 3.9%・改
4月米消費者信用残高
178.7億ドル 86.0億ドル・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は続伸。5日に実施された米中首脳電話会談を受けて、貿易摩擦が激化するとの懸念が和らぐ中、円売り・ドル買いが先行した。米労働省が発表した5月米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比13.9万人増と予想の13.0万人増を上回り、平均時給が前月比0.4%/前年比3.9%と予想の前月比0.3%/前年比3.7%より強い内容だったことが分かると、米長期金利の上昇とともに全般ドル買いが加速。24時過ぎに一時145.09円と日通し高値を更新した。その後の下押しも144.77円付近にとどまった。
なお、市場では米雇用統計について「前日までに発表された米雇用指標を受けて下振れリスクが意識されていただけに、まずまずの内容だった」との声が聞かれた。
・ユーロドルは3日ぶりに反落。米雇用統計の結果を受けて全般ドル買いが優勢になると一時1.1372ドルと日通し安値を更新した。ただ、4日の安値1.1357ドルが目先サポートとして意識されると下げ渋った。ユーロ円の上昇につれた買いも相場を下支えした。
なお、トランプ米大統領は「米連邦準備理事会(FRB)の対応が遅すぎるのは大惨事だ」と述べ、パウエルFRB議長を改めて非難。加えて、政策金利の1%引き下げを要求した。
・ユーロ円は続伸。ドル円の上昇や米国株高を手掛かりに円売り・ユーロ買いが強まると一時165.29円と日通し高値を更新した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反発。5月米雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を上回ると、米雇用市場は引き続き底堅さを維持しているとの見方から株買いが広がった。指数は一時600ドル超上昇した。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も反発。トランプ米大統領とテスラの最高経営責任者(CEO)を務めるイーロン・マスク氏との批判の応酬がいったん収まったことから、テスラ株が反発した。
・米国債券相場で長期ゾーンは大幅続落。5月米雇用統計で非農業部門雇用者数と平均時給が予想を上回ると、FRBによる早期利下げ観測が後退し売りが優勢となった。
・原油先物相場は続伸。良好な米雇用統計を受けて米景気の底堅さが意識され、原油需要増への期待感から買いが強まった。
・金先物相場は続落。5月米雇用統計が強い結果となり、米長期金利が大幅に上昇すると、利子のつかない金の投資妙味が後退し売りが優勢となった。
一部通信社が報じたところによると、「中国政府は一部の米自動車サプライヤーにレアアースの輸出を許可した」ようだ。
6日09:41 加藤財務相
「市場参加者との丁寧な対話行いながら適切な国債管理政策に努める-超長期金利上昇を受け」
「米国を含め、他国政府の見解について立ち入ったコメントは差し控えたい-米為替報告書について」
6日14:15 ミューラー・エストニア中銀総裁
「サイクルはほぼ終わったとするラガルドECB総裁の見解に同意」
「次の金利措置は経済の進展次第となる」
6日15:33 シムカス・リトアニア中銀総裁
「政策金利は、現在、中立水準にある」
「柔軟に対応することが重要」
6日16:37 ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁
「欧州中央銀行(ECB)はソフトランディングを達成した」
「ECBの利下げサイクルはほぼ終了した」
「ECBは景況感が悪化し、インフレがさらに低下した場合は、利下げを再開する」
「ユーロ圏の景気減速の可能性は残されている」
「ECBは見通しに自信を持っている」
「ドルの基軸通貨としての地位が弱体化することを危惧している」
6日17:07 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「欧州中央銀行(ECB)はインフレとの戦いに勝利した」
「デフレーションは脅威ではなく、対処する術を持ち合わせている」
6日17:40 ホルツマン・オーストリア中銀総裁
「昨日の欧州中央銀行(ECB)理事会では、利下げに反対した」
6日17:53 レーン・フィンランド中銀総裁
「欧州中央銀行(ECB)は、会合毎に判断するという選択肢は持ち続けている」
6日19:27 センテノ・ポルトガル中銀総裁
「金融政策は、緩和サイクルの途上にある」
「あらゆるデータが、2025年の金融緩和サイクルの継続を示唆している」
6日22:45 トランプ米大統領
「FRBの対応が遅すぎるのは大惨事だ」
「ヨーロッパはすでに10回も利下げしているのに、我々は一度もしていない」
「1%の利下げを実施すべき、ロケット燃料だ」
7日03:36
「次回の米中貿易協議は6月9日にロンドンで開催」
「ベッセント財務長官、ラトニック商務長官、グリア通商代表が6月9日の会議に出席予定」
6日23:07 ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事
(金融政策について言及せず)
「銀行に対する独立した監督、規制の枠組みを検討中」
※時間は日本時間
9日
○08:50 ☆ 1-3月期実質国内総生産(GDP)改定値
○08:50 ◎ 4月国際収支速報
○14:00 ◇ 5月景気ウオッチャー調査
10日
○08:50 ◇ 5月マネーストックM2
11日
○08:50 ◇ 5月企業物価指数
12日
○08:50 ◇ 4-6月期法人企業景気予測調査
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
13日
○13:30 ◇ 4月鉱工業生産確報
○13:30 ◇ 4月設備稼働率
○13:30 ◇ 4月第三次産業活動指数
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
9日
○07:45 ◇ 1-3月期ニュージーランド(NZ)製造業売上高
○10:30 ◎ 5月中国消費者物価指数(CPI)
○10:30 ◎ 5月中国生産者物価指数(PPI)
○未定 ◎ 5月中国貿易収支
○21:00 ◎ 5月メキシコCPI
○23:00 ◇ 4月米卸売売上高
○オーストラリア(国王誕生日)、トルコ(犠牲祭)、ノルウェー、スイス(聖霊降臨祭月曜日)、休場
10日
○08:01 ◇ 5月英小売連合(BRC)小売売上高調査
○09:30 ◇ 6月豪ウエストパック消費者信頼感指数
○10:30 ◇ 5月豪NAB企業景況感指数
○15:00 ◎ 5月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○15:00 ◎ 2-4月英失業率(ILO方式)
○15:00 ◎ 5月ノルウェーCPI
○16:00 ◇ 5月スイスSECO消費者信頼感指数
○16:10 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○17:00 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○21:00 ◎ 5月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA)
○11日02:00 ◎ 米財務省、3年債入札
11日
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○21:00 ◇ 4月メキシコ鉱工業生産
○21:30 ◇ 4月カナダ住宅建設許可件数
○21:30 ☆ 5月米CPI
☆ エネルギーと食品を除くコア指数
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○12日02:00 ◎ 米財務省、10年債入札
○12日03:00 ◎ 5月米月次財政収支
○08:01 ◇ 5月英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格
○15:00 ☆ 4月英GDP
○15:00 ◎ 4月英鉱工業生産/製造業生産高
○15:00 ◇ 4月英商品貿易収支/英貿易収支
○16:00 ◇ 4月トルコ鉱工業生産
○16:00 ◎ ミュラー・エストニア中銀総裁、講演
○19:30 ◎ 5月インドCPI
○21:00 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○21:00 ◎ 4月ブラジル小売売上高
○21:20 ◎ シュナーベルECB専務理事、講演
○21:30 ◎ 5月米卸売物価指数(PPI)
◎ 食品とエネルギーを除くコア指数
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数
○13日02:00 ◎ 米財務省、30年債入札
○ロシア(ロシアの日)、休場
13日
○15:00 ◎ 5月独CPI改定値
○15:45 ◇ 5月仏CPI改定値
○18:00 ◎ 4月ユーロ圏鉱工業生産
○18:00 ◇ 4月ユーロ圏貿易収支
○21:30 ◇ 4月カナダ製造業出荷
○21:30 ◇ 4月カナダ卸売売上高
○21:30 ◇ 1-3月期カナダ設備稼働率
○23:00 ◎ 6月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値)
○ロシア(振替休日)、休場
15日
○主要7カ国(G7)首脳会議(G7サミット、カナダ・アルバータ州、17日まで)
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
◆豪ドル、米中通商摩擦再燃には警戒
◆豪ドル、週末のG7サミット前後の首脳会談で急変リスクも
◆ZAR、インフレ目標引き下げが支えも高関税賦課や電力不足が重しに
予想レンジ
豪ドル円 91.00-96.00円
南ア・ランド円 7.90-8.20円
6月9日週の展望
豪ドルは来週もレンジ相場が予想される。トランプ関税の影響や米財政赤字拡大の懸念で、再び米債安・米株安・ドル安の米トリプル安に市場が傾く可能性はあるが、朝令暮改を繰り返すトランプ米大統領の動向などを受けて、豪ドルは一方的な動きにはなりにくい。株安などでドル売りが進む場面では、豪ドルが買われる場面もあるが、一方でリスク回避の動きに敏感なこともあり、株安は逆に豪ドルの上値を抑える要因にもなっている。対ドルでの豪ドル相場は5月に入ってからは0.63ドル半ばを底に0.65ドル前半までの狭いレンジ内での取引が続いている。また、豪州は対米貿易赤字を計上していることから、トランプ政権の関税政策への直接的な影響は少ない。他通貨と比較すると動きが鈍くなっている。
ただ、警戒しなくてはならないのが、米国と中国の通商摩擦が再燃した場合。米中は電話による首脳会談を5日に行ったが、両国間のディールの進展は未知数のまま。豪州にとっては米国だけではなく中国とも経済的な結びつきが強く、米中間の緊張感が高まり、両国間が報復関税措置の強化となれば豪ドルの重しになるだろう。
来週は10日に6月ウエストパック消費者信頼感、5月NAB企業信頼感・景況感が発表される程度で、市場が注目する経済指標の発表予定はない。ただ、15日から主要7カ国首脳会議(G7サミット)が開催されることから、サミット前後に行われる各国の首脳会談次第で相場が急変するリスクがある。リスクセンチメントに敏感な豪ドルが大きく動意づくこともありそうだ。
南アフリカ・ランド(ZAR)も方向感が定めにくい。先週には対ドルで昨年12月以来のZAR高水準まで強含んだが、今週も対ドルでは堅調な動きをみせた。南ア準備銀行(SARB)のインフレ目標の引き下げ予定により、海外投資家が債券利回りの上昇を期待している。先日行われた南ア債の入札でも3カ月ぶりとなる強い需要になった。クガニャゴSARB総裁はインフレ目標の引き下げは政策金利の維持にはつながらないと主張しているが、投資家は実質金利の上昇を期待しており、ZARの支えになっている。
ただ、ZARの潜在的な売り要因による相場の急変には警戒が必要。米国の南アに対する高関税賦課が迫っていることや、これから冬季を迎える南アでの電力不足懸念で、すでに国営電力会社エスコムが負荷制限を示唆していることなどが重しになりそうだ。なお、来週は市場を動意づけるような経済指標の発表は予定されていない。
6月2日週の回顧
豪ドルは対ドル・対円でともに方向感を欠いた。関税交渉などで目立った進展もなかったことで、日替わりで上下を繰り返した。豪州の1-3月期国内総生産(GDP)は予想を下回ったが、市場の反応は限られた。
ZARは底堅く、対ドルでは年初来高値水準を維持した。今週発表された1-3月期国内総生産(GDP)では、農業が上昇の勢いの大部分を牽引し、市場予想を上回ったことも支えになった。対円では8円前後でもみ合いだった。
◆ポンド、他国に比べ関税の影響は薄く堅調な動きが続く
◆ポンド、2-4月賃金データに注目
◆加ドル、米・加協議の動向に注目
予想レンジ
ポンド円 192.00-197.00円
加ドル円 102.50-106.50円
6月9日週の展望
金融相場全体が関税をめぐるトランプ米大統領の言動に振り回される相場展開が続いており、ポンドは独自の材料で動意づく場面が少なくなっている。ただ、関税がドルの上値圧迫要因となっていることや、米政権と貿易相手国との協議がなかなかスムーズに進まない中で英国は既に合意に達しており、相対的に関税不安が緩いことを鑑みるとポンドの堅調地合いが続く可能性が高い。トランプ米政権は4日から鉄鋼・アルミニウム関税を50%に引き上げたが、英国に対しては25%に据え置いた。また、米英交渉の合意に従って7月9日以降に税率を調整し、一定の英国製の鉄・アルミ製品に限り25%より低い税率での受け入れを決める可能性があるとしている。なお、現在も医薬品など5月合意時に盛り込まれなかった分野についての協議が続けられている。
来週、英国内では2-4月雇用・賃金データや4月GDP・鉱工業生産などの指標発表が予定されている。1-3月の週平均賃金(除賞与)は前年比5.6%とやや伸びが鈍化した。依然として高い水準ではあるが、賃金上昇圧力の緩和が続くとの見方が強い。
イングランド銀行(英中銀、BOE)のベイリー総裁は今週、「金利の方向は依然として下向きだと考える」としながらも、利下げのペースや金利の最終到達点に関しては、「これまで以上に不確実性が高くなっている」と述べた。これまでよく使っていた「不確実性」に「予測不能」という言葉も付け加えている。また、「賃金上昇の鈍化が追加利下げの決定的な条件になる」と強調した。
加ドルは、来週、カナダ国内で動意につながりそうな経済指標の発表や注目イベントは予定されておらず、関税関連のヘッドラインやドルの動きに左右されそうだ。トランプ関税はカナダの経済に大きな逆風となっているが、ドル安を支えに加ドルは底堅い動きが続いている。カーニー加首相は、トランプ米政権の関税措置の撤廃に向けた交渉が成功しなかった場合に備え、「対抗措置を準備している」と述べた。隣国のカナダに対しては、トランプ米大統領はかなり厳しい目線を向けており、今後貿易摩擦の激化も警戒される。
カナダ中銀(BOC)は今週の会合で政策金利を2.75%で据え置いた。据え置きは2会合連続で、「米貿易政策の影響を見極める必要がある」とした。ただ、「関税の影響で経済が弱体化した場合は追加利下げが必要になる可能性」と、先行きの利下げに含みを持たせた。次回7月会合での利下げ予想は5割程度。年末の政策金利は2%前後と今年あと2-3回の利下げが見込まれている。
6月2日週の回顧
週初は米中の貿易摩擦再燃懸念やトランプ米政権の鉄鋼・アルミニウム関税引き上げ方針を背景にリスク回避の円買いが先行したが、米中首脳会談を好感して切り返すなど方向感は出ていない。ポンド円は192円後半、加ドル円は103円後半で下げ渋った。関税懸念によるドルの重い地合いは変わらず、ポンドドルは2022年2月以来の1.36ドル台復帰を果たした。また、BOCの政策金利据え置きも加ドルの支えに、ドル/加ドルは1.36加ドル前半まで加ドル高に振れた。
◆ドル円、G7首脳会談に向けて米通商交渉を見極めていく展開
◆米5月CPI、PPI、米財政収支などにも注目
◆ユーロドル、ECBは利下げ休止を示唆
予想レンジ
ドル円 141.00-146.00円
ユーロドル 1.1200-1.1600ドル
6月9日週の展望
ドル円は、引き続きトランプ関税政策を巡る不確実性が上値を抑える展開が想定される。15-17日に開催されるG7首脳会議に向けて、米国と日本及び中国との通商合意への期待感が高まっているなか、関連ヘッドラインには警戒しておきたい。トランプ米大統領(6月14日生まれ)と習中国国家主席(6月15日生まれ)が5日に電話会談を行ったが、両首脳の誕生日に向けた通商合意への期待感が高まっている。
また、トランプ米大統領がパウエルFRB議長に対して、インフレ鈍化を理由に利下げ圧力をかけ続けていることもあり、11日の5月消費者物価指数(CPI)や12日の5月卸売物価指数(PPI)では、インフレの伸び率鈍化傾向が続いているのか否かを見極めることになる。
11日に発表される5月財政収支では、米国の財政状況やトランプ関税の税収を確認したい。更に、米国債入札では、米国債がトリプルA格付けを失い、トランプ税制・歳出法案に米国債保有に対する報復課税が盛り込まれている中での米国債への需要を見極めることになるだろう。
5日に米財務省が公表した「外国為替報告書」では、為替操作国の認定が見送られたものの、中国の「透明性の欠如」により、為替操作国として認定する可能性を警告した。5月には、米国が為替操作の監視リストに指定している台湾や韓国との間で、対米貿易黒字削減のためのドル安誘導という通貨協定の噂が流れ、ドル売り・円買いに波及した局面があったが、通貨協定に関する噂などには引き続き注意が必要だ。
また、日本では今週、植田日銀総裁が見通し実現を前提に「継続して政策金利を引き上げる」と述べている。日銀の早期利上げ観測がドル円の上値を抑えており、日銀当局者の見解にも注目しておきたい。
ユーロドルは、ラガルドECB総裁が理事会後の会見で金融緩和サイクルの終了を示唆したほか、ECB当局者が7月理事会での利下げ休止を示唆したことで底堅い展開が予想される。ただ、難航しているEUと米国との関税協議を巡る不確実性から上値は限定的だと思われる。トランプ米大統領が6月末のNATO首脳会談に出席して、「防衛費増を求める」と報じられており、欧米通商交渉と安全保障、更にはウクライナ情勢と絡めて、関連ヘッドラインには警戒。
6月2日週の回顧
ドル円は、4月米JOLTS求人件数が予想を上回ったことを受けて144.38円まで上昇した後、5月ADP全米雇用報告や新規失業保険申請件数が労働市場の悪化を示したことで、142円台半ばまで反落した。ただ、米中首脳電話会談の前向きな結果が報じられると、143.97円まで反発するなど、方向感のない動きが週初から続いた。
ユーロドルはECBが0.25%利下げを決定したものの、ラガルドECB総裁が金融緩和サイクルの終了を示唆したことから一時1.1495ドルまで上昇した。
6日の日経平均は反発。終値は187円高の37741円。米国株安はネガティブ視されず、小幅高スタート。すぐに上げ幅を3桁に広げて37700円台まで水準を切り上げた。買い一巡後は本日の米雇用統計の発表を前に動意が乏しくなり、37000円近辺でのもみ合いが続いた。上げ幅を200円超に広げると上値が重くなったが、幅広い業種に買いが入ったことで大きな失速もなく推移し、3桁の上昇で取引を終えた。グロース250指数は注目度の高いアイスペース<9348.T>に売りが殺到したことが警戒材料となり、2.1%安と大きめの下げとなった。
東証プライムの売買代金は概算で3兆6000億円。業種別では鉄鋼、建設、機械などの動きが良く、下落は水産・農林、ガラス・土石、繊維の3業種のみとなった。証券会社が投資判断を引き上げたビー・エム・エル<4694.T>が急騰。半面、証券会社が目標株価を引き下げたフリー<4478.T>が急落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり861/値下がり710。三菱重工、川崎重工、IHIの防衛大手3社がそろって大幅上昇。JERAとデータセンター新設に向けた基本合意書を締結したと発表したさくらネットが買いを集めた。証券会社が目標株価を引き上げたメルカリが4.4%高。ダルトンの大株主浮上が判明したトーセイが急伸した。
一方、サンリオ、レーザーテック、古河電工などが軟調。月面着陸がかなわなかったアイスペースがストップ安比例配分となっており、宇宙ビジネスを手がけるSynspectiveに警戒売りが波及した。上期の決算を発表したクミアイ化学が後場に入って大幅安。前期の着地が計画を下振れたアインHDや月次が失望材料となったインターメスティックが急落した。
日経平均は反発。きのうの下げ分を全戻しすることはできなかったが、終日37500円より上で推移し、終値(37741円)では25日線(37510円、6日時点、以下同じ)や5日線(37592円)を上回った。今週は5営業日中、3営業日で陰線を形成しており、場中の動きは強くはなかった。それでも25日線に接近したところでは、これを割り込むことなく推移した。来週も25日線より上をキープできるかが注目される。
来週は米国で消費者物価指数(CPI)などの物価指標を確認するほか、10年債や30年債の国債入札が予定されている。米国の長期金利(10年債利回り)には大きな動きが出てくる可能性がある。米国の長期金利が落ち着いた動きで低下するような流れとなれば、米国株や日本株には安心材料となる。今週は国内半導体株が米金利の低下に好反応を示す場面があっただけに、このケースでは半導体株の動きが良くなると見込まれる。
ただし、米国の長期金利が低下した場合でも、低下の度合いが急になってしまうと、米国の景気悪化が強く意識される。米金利が急低下すると為替市場ではドル安(円高)が進みやすくもなる。円高が加速してしまうと日本株にはネガティブな反応が出てくると思われる。米長期金利とともに、為替動向にも注意を払っておく必要がある。
【来週の見通し】
不安定か。米国で発表される5月の消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)が注目を集める。ただ、翌週を見渡すと、16日~17日に日銀金融政策決定会合、17日~18日にFOMCがあり、15日~17日にはカナダでG7サミットが開催される。先に重要イベントを多く消化することになるだけに、強弱感は交錯しやすい。中盤まで上下どちらかに傾いたとしても、週末に逆の反応が出てくるといった展開も想定される。中央銀行関連のニュースのほか、長期金利や為替動向にも神経質となりやすく、大幅高もあれば大幅安もあるといったような落ち着かない動きが続くだろう。
「共生は大事でありますが、そのためには日本のルールをしっかり守ってもらう必要があります。違法外国人ゼロに向けた取り組みを進め、国民の安心安全をより確かなものとしていきたい」
→当然。
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石破が中国製「再エネ5割」を推進しているから、いつでも大停電にできる習近平が「楽しい日本」に変わってきた。
<国内>
○08:50 ☆ 1-3月期実質国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比▲0.2%/前期比年率▲0.7%)
○08:50 ◎ 4月国際収支速報
◇ 経常収支(予想:季節調整前2兆5733億円の黒字/季節調整済2兆5891億円の黒字)
◎ 貿易収支(予想:1748億円の赤字)
○14:00 ◇ 5月景気ウオッチャー調査(予想:現状判断指数43.9/先行き判断指数44.0)
<海外>
○07:45 ◇ 1-3月期ニュージーランド(NZ)製造業売上高
○10:30 ◎ 5月中国消費者物価指数(CPI、予想:前年比▲0.2%)
○10:30 ◎ 5月中国生産者物価指数(PPI、予想:前年比▲3.1%)
○未定 ◎ 5月中国貿易収支(予想:1010.5億ドルの黒字)
○18:00 ◎ エルダーソン欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○21:00 ◎ 5月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前年比4.38%)
○23:00 ◇ 4月米卸売売上高(予想:前月比0.3%)
○米中貿易協議(ロンドン)
○オーストラリア(国王誕生日)、トルコ(犠牲祭)、ノルウェー、スイス(聖霊降臨祭月曜日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
今週の日経225先物は、ロング優勢の相場展開が見込まれる。赤沢亮生経済再生相は6日、5回目の日米関税交渉でベッセント米財務長官、米ラトニック商務長官と個別に交渉を行った。赤沢大臣は会見で双方の主張には依然として隔たりがあるとの認識を示しているが、6月15日~17日の主要7カ国首脳会議(G7サミット)での合意を視野に入れており、交渉進展への思惑がショートを手控えさせそうだ。
週末13日は6月の先物・オプション特別清算指数算出日(メジャーSQ)となる。そのため、週半ば以降は限月交代に伴うロールオーバーが中心になり、基本的には大きなトレンドは出にくい需給状況である。ただし、積極的な売買は手控えられるものの、G7サミットを前にショートポジションを圧縮する動きが意識されて、上へのバイアスが強まる可能性はあるだろう。
日経225先物は5月13日につけた3万8790円をピークに調整を継続するなかで、5月26日の3万6450円を直近安値に、75日移動平均線を支持線とする形でリバウンドをみせた。その後は200日線を突破したが、同線を支持線とした3万7500円~3万8500円辺りでの推移となった。先週は3万7250円~3万7850円処の狭いレンジで推移しており、煮詰まり感が意識されている。
先週は200日線を挟んでの値動きが続き、方向感の定まらない状況であったが、上向きで推移する25日線が支持線として機能している。この25日線(3万7580円)と200日線(3万7640円)との乖離はナイトセッションで60円程度まで縮小してきた。今週にも両線がゴールデンクロスを示現する可能性があり、25日線を支持線としたトレンドが継続するようだと、リバウンド基調の強まりも期待されよう。
SQ週のためロールオーバーが中心になるが、トレンドが出てくるとヘッジ対応の動きが活発になり、バイアスが強まる可能性がある。ボリンジャーバンドは収斂しており、ナイトセッションで+1σ(3万7980円)を上回ってきた。そのため、-1σ(3万7180円)から+2σ(3万8380円)のレンジを想定。上へのバイアスが強まった場合、+3σ(3万8780円)辺りまでのブレイクがありそうだが、ピーク形成には注意しておきたい。
トランプ米大統領は5日、中国の習近平国家主席と電話で協議し、近く閣僚級による通商協議を開くことで合意した。これにより米中貿易摩擦を巡る警戒感が後退する形となったが、トランプ大統領は6日、習主席がレアアースの供給再開に同意したと自身のSNSに投稿した。さらに、米中の通商交渉担当者がロンドンで9日に再開する通商協議の準備を進めていると伝えられている。米中貿易摩擦が和らぐとの期待が支援材料となろう。
6日の米VIX指数は16.77(5日は18.48)に低下した。週間(5月30日は18.57)でも調整をみせている。25日線を抵抗に200日線での攻防が続くなか、両線から下放れる形状となり、5月16日の直近安値(17.15)と3月26日につけた16.97を割り込んだ。これにより相互関税が警戒されて急伸する前の水準まで下がってきた。目先的には下向きで推移する25日線が抵抗線として意識されてくるとみられ、リスク選好に向かわせやすいだろう。
先週のNT倍率は先物中心限月で13.61倍に低下した。先週は6月2日の13.49倍から上昇が続き、5日には一時13.64倍まで上げた。抵抗線として意識される25日線を捉えてきたことで、いったんはNTロングを巻き戻す形でのリバランスが入りやすいところだった。ただし、25日線(13.65倍)や75日線(13.66倍)を明確に上抜けてくるようだと、NTロングでのスプレッド狙いの動きが強まりそうだ。
5月第5週(5月26日-30日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では7週連続の買い越しであり、買い越し額は6360億円(5月第4週は1093億円の買い越し)だった。なお、現物は6165億円の買い越し(同2850億円の買い越し)と9週連続の買い越しであり、先物は195億円の買い越し(同1756億円の売り越し)と2週ぶりの買い越し。個人は現物と先物の合算で3037億円の売り越しと8週連続の売り越し。信託銀行は現物と先物の合算で1744億円の売り越しとなり、6週連続の売り越しだった。
主要スケジュールでは、9日に1-3月期GDP改定値、4月国際収支、5月景気ウォッチャー調査、中国5月消費者物価指数、中国5月生産者物価指数、中国5月貿易収支、11日に5月国内企業物価、米国5月消費者物価指数、12日に4-6月期法人企業景気予測調査、米国5月生産者物価指数、13日にメジャーSQ、4月鉱工業生産確報値、米国6月ミシガン大学消費者信頼感指数などが予定されている。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 38020 +250 (+0.66%)
TOPIX先物 2793.0 +19.5 (+0.70%)
シカゴ日経平均先物 37990 +220
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
6日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。5月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比13万9000人増と、市場予想(12万6000人増程度)を上回った。前日までに発表された5月の米ADP雇用統計や新規失業保険申請件数が労働市場の伸びの鈍化を示す内容だったため、予想を上回る雇用統計の結果を受けて雇用悪化を巡る過度な懸念が後退した。
トランプ米大統領は6日、中国の習近平国家主席がレアアースの供給再開に同意したと自身のSNSに投稿。さらに、米中の通商交渉担当者がロンドンで9日に再開する通商協議の準備を進めていると伝えられ、米中貿易摩擦が和らぐとの期待が相場を支える形にもなった。
S&P500業種別指数は、自動車・同部品、メディア、エネルギー、小売、銀行が上昇。一方で、耐久消費財・アパレル、半導体・同製造装置の2セクターが下げている。NYダウ構成銘柄では、セールスフォース<CRM>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、シェブロン<CVX>が買われた。半面、ホームデポ<HD>、マクドナルド<MCD>、スリーエム<MMM>、ウォルマート<WMT>が下落。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比220円高の3万7990円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは日中比30円安の3万7740円で始まった。直後につけた3万7730円を安値にロング優勢の動きが強まり、米国市場の取引開始直後には3万8170円まで買われた。買い一巡後は3万7920円まで上げ幅を縮める場面もみられたが、終盤にかけて強含んでおり、3万8020円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや買い先行で始まることになろう。ナイトセッションでは25日移動平均線(3万7580円)、200日線(3万7640円)を上回り、節目の3万8000円を回復した。3万8170円まで上げ幅を広げ、ボリンジャーバンドの+1σ(3万7980円)を突破してきたことで、ロング優勢の展開が期待される。バンドは収斂し煮詰まり感が意識されているなかで、+2σ(3万8380円)辺りが意識されそうである。
上向きで推移する25日線が支持線として機能しているが、この25日線と200日線とのカイリはナイトセッションで60円程度まで縮小してきた。今週にも両線がゴールデンクロスを示現する可能性があり、25日線を支持線としたトレンドが継続するようだと、リバウンド基調の強まりも期待されよう。
週末13日は6月の先物・オプション特別清算指数算出日(メジャーSQ)となる。限月交代に伴うロールオーバーが中心になり、基本的には大きなトレンドは出にくい需給状況である。ただし、トレンドが出てくるとヘッジ対応の動きが活発になり、バイアスが強まる可能性がある。そのため、オプション権利行使価格の3万7875円から3万8375円のレンジを想定。+1σ水準での攻防になりそうだが、3万8000円を下回る水準では押し目狙いのロング対応に向かわせそうだ。
6日の米VIX指数は16.77(5日は18.48)に低下した。5月16日の直近安値(17.15)と3月26日につけた16.97を割り込んできたことで、リスク選好に傾きやすいだろう。
週末6日のNT倍率は先物中心限月で13.61倍に低下した。5日には一時13.64倍まで上げて抵抗線として意識される25日線を捉えてきたことで、いったんはNTロングを巻き戻す形でのリバランスが入りやすいところだった。ただし、25日線(13.65倍)や75日線(13.66倍)を明確に上抜けてくるようだと、NTロングでのスプレッド狙いの動きが強まりそうだ。
先週末の海外市場でドル円は、米中首脳電話会談を受けて、貿易摩擦が激化するとの懸念が和らぐ中、円売り・ドル買いが先行した。5月米雇用統計で非農業部門雇用者数や平均時給が強い内容だったことが分かると、米長期金利の上昇とともに全般ドル買いが加速し一時145.09円まで上昇した。ユーロドルは1.1372ドルまで弱含んだ。
本日の東京時間でのドル円は、先週後半のドルの買い戻しの流れが続き、底堅さを維持するか。特に、本日行われる米中閣僚級協議に対する期待感がドル円を支えることになりそうだ。
本日ロンドンで行われる予定となっている米中閣僚級協議は、ベッセント米財務長官をはじめラトニック米商務長官、グリア通商代表部(USTR)代表がそれぞれ参加する予定。また、中国からは経済政策を担当する何副首相が出席する見通し。トランプ大統領は5月末には「中国は米国との合意に違反した」と発言していたが、6月に入ると習近平国家主席のことを「これまでも、そしてこれからも好き」と発言し、トランプ氏から周主席に電話会談を申し込むなど、TACO(Trump Always Chickens Out=トランプはいつもびびって退く)と批判される通りの動きになっている。
トランプ政権にとっては、ロシアとのウクライナ和平交渉を進め、ウクライナに埋蔵されているレアアース(希土類)を獲得というシナリオがあったが、プーチン露大統領が和平交渉には全く興味を示さないことで、トランプ政権の目論見がはずれたようだ。よって、中国によるレアアースの輸出規制の問題解決を早急に進めようというトランプ政権の弱腰姿勢が垣間見られ、閣僚級会談終了後には何某らかの前向きな報道が伝わる可能性が高く、ドルの支えになるか。
本来であれば、本日は先週末に行われた(赤沢経済再生相とベッセント財務長官及びラトニック商務長官の)日米閣僚級会談が市場の注目点になるはずだった。しかし、「合意の一致点は見いだせていない」と赤沢経済再生相が述べていることもあり、市場の注目度がやや低下している。今週15-17日に行われるカナダ・カナナスキスでの主要7カ国首脳会議(G7サミット)前後に、石破首相はトランプ米大統領との首脳会談を希望し、首脳会談で関税についての合意の実現を目指しているとも報じられている。ただ、米国にとって日本との交渉の重要度の低下は否めず、日本の参議院選などを考慮すると、7月9日の相互関税賦課開始まで交渉が進まないリスクには備えおきたい。
また、本日はドル買い材料だけではなく、ドル売り材料もあることには注意が必要になる。先週6日には米中閣僚級会談以外にも、トランプ大統領は米連邦準備理事会(FRB)の次期議長について早期指名することを示唆した。ベッセント米財務長官も昨年末に同様の発言をし、批判を浴びて発言を撤回した経緯がある。トランプ政権の経済問題を担う二人が、FRBの独立性を軽視している考えを持っていることは明らかで、米債券・米株売りからのドル売りにつながるトリプル安の再燃には要警戒になる。
他にも、移民抗議行動に対応するためカリフォルニア州にトランプ大統領が州兵を派遣したことにも注目。ニューサム・カリフォルニア知事の反対を押し切って派遣に踏み切ったが、抗議活動がカリフォルニア州から他州へ拡大することもあり得、経済活動の停滞に結び付くリスクには警戒したい。
なお、本日のアジア時間での経済指標では本邦から1-3月期の実質国内総生産(GDP)改定値などの複数指標、中国からは5月の消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)、貿易収支などが発表される。通常は市場の反応が見られる指標だが、政治相場になりつつあることで、本日に限ればこれらの指標での反応は限定的になる可能性が高そうだ。
東京市場は堅調か。先週末の米国株は上昇。ダウ平均は443ドル高の42762ドルで取引を終えた。5月雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を上回る増加となったことを好感した買いが入った。為替市場ではドルが買われており、ドル円は足元144円70銭近辺と円安・ドル高に振れている。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて220円高の37990円、ドル建てが230円高の38000円で取引を終えた。
米国株が雇用統計に強い反応を見せたことから、日本株も連れ高すると予想する。円安が進んだ点も日本株には追い風となる。一方、日米の関税交渉では、一致点を見い出せていないといった報道が流れている。日経平均の過去の値動きを見ると、節目の38000円より上では買いが続かなくなることも多い。米国株高や円安を好感するものの、高く始まった後は上値追いに慎重となって伸び悩むと予想する。日経平均の予想レンジは37800-38100円。
先週末の海外市場では、5月米雇用統計でNFPが予想を上回る強い数字。4日に公表されていたADPの数字が3.7万人とかなりの少数の増加にとどまっていたほか、その他の労働関連指標もJOLTS求人件数を除いては全滅。市場のバイアスが「かなり下方向」に傾いていたなかとあって、前月分が下方修正されていたことを受けてドル円は一旦は下押す場面もみられましたが、米10年債利回りの10bpを超える急騰につれて145円台まで買い上げられることになりました。終値ベースでもしっかりと一目雲の中に入り込んで取引を終えました。週明けのアジア市場では、当然のように利食い売りなどが先行。仲値にかけての実需の買いがひと段落した後は144.35円まで下押ししているといったところです。
いずれにしても、ドル円は先週1週間かけて142円台半ばから144円台半ばでの日替わりレンジ相場を連日繰り返しつつ、下値を固めるような動きとなっているわけで、このもみ合いの中であったからこそ、市場の円ロングポジションは十分なポジション調整も出来ないままでの上抜け。先週末の値動きからは踏み上げ相場的な動きとはなりませんでしたが、センチメントは既に買戻しモードとなっているなか下値を切り上げていくのかもしれません。目先は一目雲下限が位置する144.45円や一目転換線の144.33円が意識される展開となっています。
本日開催される予定の米中貿易協議ですが、市場では「これまでの関税率の問題から、明らかにレアアースを中心とした輸出規制などに焦点が移ってきている」との声も聞かれています。また、イーロンマスクという最大のスポンサーをケンカ別れして失ったトランプ米大統領にあって、異常なまでの熱狂的支持層の離反の可能性も意識しなければならず、今後のトランプ米大統領の神通力の低下に伴う市場の反応もまた、これまでとは異なるものになっていくはず。
週末のWSJでは、ニックティミラオス記者が「米国は不安な夏を迎えようとしているが、どうなるのかはトランプが次に何をするかにかかっている。ただ、トランプ自身もまた、次に何をするのかを分かっていない」と端的に現状を伝えています。
日経225先物は11時30分時点、前日比360円高の3万8130円(+0.95%)前後で推移。寄り付きは3万7970円と、シカゴ日経平均先物(3万7990円)にサヤ寄せする形から、買い先行で始まった。開始直後につけた3万7960円を安値にロング優勢の流れとなり、中盤にかけて3万8180円まで買われる場面もみられた。買い一巡後は3万8060円~3万8120円辺りでの推移を続けている。
米雇用統計を好感した6日の米国市場の上昇のほか、国内では1~3月期の国内総生産(GDP)改定値が上方修正されたことが材料視された。日経225先物は寄り付き後ほどなくしてボリンジャーバンドの+1σ(3万7990円)を突破し、その後は同バンドを上回っての推移を継続。+2σ(3万8390円)とのレンジが意識されてショートを仕掛けにくくさせているため、+1σ近辺では押し目狙いのロング対応に向かわせそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.68倍に上昇している。抵抗線として意識される25日移動平均線(13.65倍)、75日線(13.66倍)を突破してきた。両線が支持線に変わるようだと、+1σが位置する13.73倍辺りを意識したNTロングに振れやすいだろう。
本日のロンドン為替市場では、重要指標の発表予定はなく、金融当局者の講演もエルダーソン欧州中央銀行(ECB)専務理事のみというなか、注目はロンドンで開かれる閣僚級の米中貿易協議となる。
トランプ米大統領のSNS投稿によると、貿易交渉に米国サイドからは「ベッセント財務長官やラトニック商務長官、グリア通商代表部(USTR)代表」が参加予定。中国からは、何・副首相(経済政策担当)を始めとした5月のジュネーブ会談に出席した閣僚が交渉の場に臨む。中国側によれば会談は最長で13日まで行われ、関税やレアアースだけでなく、留学生のビザや台湾問題まで話し合われるとされている。
米中協議の焦点は、中国がレアアースの輸出規制をどの程度まで緩めるか、また対米貿易黒字をどこまで減らす気があるのかだろう。世界経済の二大国が歩み寄る姿勢を見せれば、先週末に進んだリスクオンの流れが素直に継続されるだろう。もちろん二転三転しやすい米中関係なだけに、会談の合間にもれ伝わる内容が悪いとなれば、思惑先行からあっさりとリスクオフということもあり得る。
なお一部メディアが英政府筋の話として報じたところによると、リーブス英財務相も中国で経済政策を担当する何・副首相と会談するもよう。両者が会談するのは、1月にリーブス氏が訪中した時以来となる。もし英中関係が悪化となれば、市場は神経質に反応するだろうが、基本はサプライズなしの話し合いに終わりそうだ。
講演予定のエルダーソンECB専務理事の金融政策スタンスは、ラガルドECB総裁と変わらないと見られている。本日は、ローマのイタリア憲法裁判所にて「法の支配」に関する基調講演であり、金融市場へのインパクトは小さいだろう。
想定レンジ上限
・ユーロドル、5日高値1.1495ドル
・ポンドドル、5日高値1.3616ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、2日安値1.1341ドル
・ポンドドル、3日安値1.3492ドル
ドル円:1ドル=144.41円(前営業日NY終値比▲0.44円)
ユーロ円:1ユーロ=164.95円(▲0.11円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1422ドル(△0.0025ドル)
日経平均株価:38088.57円(前営業日比△346.96円)
東証株価指数(TOPIX):2785.41(△16.08)
債券先物6月物:139.17円(▲0.18円)
新発10年物国債利回り:1.470%(△0.015%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
1-3月期実質国内総生産(GDP)改定値
前期比 0.0% ▲0.2%
前期比年率 ▲0.2% ▲0.7%
4月国際収支速報
経常収支(季節調整前)
2兆2580億円の黒字 3兆6781億円の黒字
経常収支(季節調整済)
2兆3068億円の黒字 2兆7231億円の黒字
貿易収支
328億円の赤字 5165億円の黒字
5月景気ウオッチャー調査
現状判断指数 44.4 42.6
先行き判断指数 44.8 42.7
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は上値が重い。東京仲値にかけて買いが観測されて144.95円まで上げる場面があったが、145円乗せにはならず、その後は失速。先週末に上昇した反動から利益確定売りが出やすい面もあり、一時144.25円まで売りに押された。
・ユーロ円は弱含み。ドル円が下落したことにつれる形で円買い・ユーロ売りが進行。ユーロ円は一時164.75円まで下落したほか、ポンド円は195.60円、豪ドル円は93.95円まで下げるなど、クロス円は総じて弱い。
・ユーロドルは小高い。ドル円の下落に伴って買いが散見され、一時1.1425ドルまで上げている。もっとも、欧州勢の本格参入を前に上値も限られている。
・日経平均株価は続伸。先週末の米国株が上昇した流れを引き継いで週明けの日本株は買われた。値がさのグロース株を中心に買いが入り、指数は400円超上昇した。
・債券先物相場は下落。前週末の米債券価格が下落した流れを引き継ぎ、売りが先行。日経平均株価が堅調に推移したことも重しとなった。
イランの情報相はイスラエルの核施設や国際関係に関する極めて機密性の高い文書を大量に入手したと発表した。これらの文書は「宝の山」と形容され、数千点に及ぶとされるが、入手経路や昨年のイスラエル核施設へのサイバー攻撃との関連は明らかにされていない。イラン側は近く文書の一部を公開する可能性も示唆。米国がイランにウラン濃縮停止を求める中、核問題を巡る緊張が高まっており、トランプ前大統領がイスラエルによる軍事攻撃を外交優先で阻止したとの報道も出ている。
中国税関当局の発表によると、2025年5月の大豆輸入量は前月比128.9%増の1,392万トンと大幅に増加した。一方、原油(4806万トン、前月比3%減)、石炭(3604万トン、同4.73%減)、鉄鉱石(9813万トン、同4.9%減)、銅(42.7万トン、同2.5%減)の輸入はいずれも減少。輸出は前年同月比4.8%増、輸入は3.4%減と、米中間の貿易摩擦が続く中で市場予想(輸出5.0%増、輸入0.9%減)を下回る結果となった。アナリストは大豆の輸入増加は通関の正常化や圧搾工場の稼働率上昇が要因と指摘。鉄鉱石は5月連休前の前倒し通関が影響したと分析されている。
日本政府は低金利で発行した超長期国債の一部買い戻しを検討していると一部通信社が伝えた。これは最近の利回り急騰を受けた超長期債の発行抑制策と並行して進められる見通し。財務省は日銀とも連携し、日銀の来年以降のテーパリング計画見直しにも対応する構えだが、巨額の国債残高削減には政府の財政運営方針も不可欠となる。
中国では積極的な財政政策や地方政府債の発行加速、大型プロジェクトの集中着工により、2025年もインフラ投資が堅調に推移している。5月には地方政府の新規特別債発行が4,400億元を超え、建設業の活動指数も拡大基調を維持。しかし、鉄鋼やセメント、アスファルトといった基建関連の高頻度データや、建設現場の資金到位率は依然として弱く、投資拡大の勢いが十分に発揮されていない状況だ。特に、サンプル建設現場の資金到位率は59.13%と、通常の施工基準値60%を下回り、非住宅プロジェクトと住宅プロジェクトで格差も見られる。地方政府の債務圧力や財政資金の遅配も一因で、これがプロジェクト進捗に影響を与えている。
一方で、電力インフラなど一部分野では高頻度指標との連動性が弱く、実際の投資動向を反映しきれていない面も指摘されている。今後は、特別国債の発行や地方債のさらなる投入でインフラ投資の下支えが強まる見通しだが、資金到位率の改善や不動産市場の安定が重要なカギとなる。専門家は、今年の広義基建投資成長率を7.2%、狭義基建で4.8%と予想し、インフラ投資による経済下支えの必要性が一段と高まっていると分析している。
「欧州は利下げを10回実施したが、われわれは一度も行っていない。1ポイント利下げを実施せよ、ロケット燃料になる!」(トランプ米大統領)
2025年5月の米国の失業率は、62.5万人が労働力から離脱したことで4.2%(※4.244%)となり、4月の4.2%(※4.187%)と変わらずとなり、就業者数は前月比69.6万人減少し、非農業部門雇用者数の13.9万人増加と乖離した。
非農業部門雇用者数(NFP)は、前月比+13.9万人の増加となり、4月は速報値の+17.7万人から+14.7万人へ下方修正(▲3.0万人)され、3月は改定値の+18.5万人から+12.0万人へ下方修正(▲6.5万人)されたことから、合計で9.5万人の下方修正となった。
政府効率化省(DOGE)が連邦政府職員の削減を進めるなか、連邦政府は2.2万人減と、20年11月以来の落ち込みとなった。労働統計局は、有給で仕事を休んでいる職員や退職手当を受け取っている職員については雇用状態にあると見なしている。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、5月、6月、7月FOMCでは据え置き見通しで、追加利下げの時期は9月(▲0.25%)、12月(▲0.25%)の2回となり、12月時点では3.75-4.00%と見込まれている。
2021年の非農業部門雇用者数は723.3万人の増加となり、年間ベースで過去最大の伸びを記録し、月平均は60.3万人の増加だった。2022年平均は+38.0万人、2023年平均は+21.6万人、2024年平均は+16.8万人、2025年平均は+12.4万人と減少傾向が続いている。
1.家計調査(Household survey):失業率を算出(※6万世帯)
5月の失業率は4.2%(※4.244%)となり、4月の4.2%(※4.187%)から変わらずだが、厳密には0.057%上昇した。労働参加率(就業者および求職者の合計である労働力人口の生産年齢人口に占める割合)は62.4%となり、4月の62.6%から3カ月ぶりの水準へ低下した。経済の雇用創出能力の尺度とされる就業率は、3月と4月の60.0%から59.7%へ低下し、2022年1月以来の水準に低下した。
失業者数は723.7万人となり、4月の716.6万人から7.1万人増加し、2020年2月の570万人を依然として上回ったままとなっている。労働力人口(1億7051万人)は、パンデミック(世界的大流行)前の水準(1億6458万人)を約593万人上回っている。
・不完全雇用率(U6):7.8%(4月7.8%、3月8.0%、2月8.0%:2020年5月21.1%)
(フルタイム雇用を望みながらパートタイム職に就いている労働者を含む広義の失業率)
・労働参加率:62.4%(4月62.6%、3月62.5%、2月62.4%:2020年2月:63.4%)
・長期失業者(27週以上):145.7万人(4月167.5万人:2020年2月112.1万人)
・黒人の失業率:6.0%(4月6.3%、3月6.2%、2月6.0%、1月6.2%:2020年2月6.0%)
(※黒人の失業率は景気後退(リセッション)が近づく前に先行して上昇する傾向)
2.事業所調査(Establishment survey):非農業部門雇用者数(Non-Farm Payroll)(※12.2万の会社・政府機関)
5月の非農業部門雇用者数は、前月比+13.9万人の増加となり、53カ月連続での雇用拡大となった。平均時給は前月比+0.4%で、4月の+0.2%を上回り、前年同月比は+3.9%となり、4月の3.9%(3.8%から上方修正)から変わらずとなり、当面は消費支出と経済を支えるのに十分な水準となった。
民間部門の総賃金(雇用者数×週平均労働時間×時給)は前月比+0.5%で、4月の+0.3%を上回り、前年比は+5.0%となり、2024年3月以来の高い伸び率となった4月の+5.3%を下回った。
米国商工会議所ハノイ支部はアップルなど大手企業のベトナム子会社を代表し、米政府に対しベトナムとの貿易赤字をトランプ米大統領のサプライチェーン多様化政策の成果と見なすよう要請した。米中貿易摩擦の激化で米企業もコスト回避のため「原産地洗浄」としてベトナム経由の調達を強化。しかし、ベトナム製品への46%の高関税が導入されれば、こうした戦略は大きな打撃となる。90日間の猶予期間終了後の動向や、米中貿易合意への企業の信頼感の低さも指摘されている。
中国政府は国民生活の改善と社会的懸念解消に向けた新たな指針を発表した。就業地での社会保険加入に関する戸籍(戸口)制限を全面撤廃し、出産手当の直接支給や最低賃金の合理的な引き上げも後押しする。また、基本医療保険の薬品目録調整メカニズムの見直しや、商業医療保険向けの革新的医薬品リストの発表も予定されている。
大阪6月限
日経225先物 38110 +340 (+0.90%)
TOPIX先物 2788.0 +14.5 (+0.52%)
日経225先物(6月限)は前日比340円高の3万8110円で取引を終了。寄り付きは3万7970円と、シカゴ日経平均先物(3万7990円)にサヤ寄せする形で買い先行で始まった。開始直後につけた3万7960円を安値にロング優勢となり、前場中盤にかけて3万8180円まで買われる場面もみられた。買い一巡後は3万8060円まで上げ幅を縮めたものの、同水準での底堅さが意識され、ランチタイム以降は3万8060円~3万8180円辺処での推移が続いた。
米雇用統計を好感した6日の米国市場の上昇のほか、国内では1-3月期の国内総生産(GDP)改定値が上方修正されたことが材料視された。日経225先物は寄り付き後ほどなくしてボリンジャーバンドの+1σ(3万7990円)を突破。積極的な上値追いの動きは限られたが、同バンドを上回って推移するなかでショートを仕掛けにくくさせていた。
ナイトセッションで+1σは3万8020円に上昇しており、3万8000円固めの動きが続きそうである。+2σ(3万8400円)とのレンジに移行する展開も意識されやすく、リバウンド基調が強まる可能性がある。収斂していたバンドも今後は拡大をみせてくることも考えられるため、+1σ水準では押し目狙いのロング対応に向かわせよう。
東証プライム市場の売買高は13億株台と、5月27日以来の薄商いだった。米中の通商交渉担当者が9日にロンドンで通商協議を再開するため、協議内容を見極めたいとするムードが強かった。週末には6月限の先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)を控えていることもあり、限月交代に伴うロールオーバーが中心になることで、仕掛け的な売買も入りにくかったとみられる。
ただし、米中通商協議に関する報道がアルゴリズム発動のトリガーになる可能性はあろう。通商協議の内容や、これを受けたトランプ米大統領のSNS投稿に振らされる荒い値動きには注意しておきたい。
NT倍率は先物中心限月で13.66倍に上昇した。一時13.69倍をつけており、抵抗線として意識されていた25日移動平均線(13.65倍)、75日線(13.66倍)を突破してきた。両線を明確に上放れてくると、+1σが位置する13.73倍辺りを意識したNTロングに振れやすいとみておきたい。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万8744枚、ソシエテジェネラル証券が1万6794枚、JPモルガン証券が7476枚、野村証券が5703枚、ビーオブエー証券が4771枚、ゴールドマン証券が3803枚、バークレイズ証券が3525枚、モルガンMUFG証券が3225枚、サスケハナ・ホンコンが2213枚、日産証券が1553枚だった。
TOPIX先物はみずほ証券が3万8071枚、ソシエテジェネラル証券が2万7750枚、ABNクリアリン証券が1万8282枚、UBS証券が1万5431枚、バークレイズ証券が1万3847枚、JPモルガン証券が1万2134枚、ビーオブエー証券が1万1812枚、モルガンMUFG証券が1万0660枚、ゴールドマン証券が9650枚、野村証券が8363枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、本日ロンドンで開催されている米中閣僚級通商協議に関するヘッドライン、そして、トランプ米大統領の突発的な発言に警戒していく展開が予想される。
ロンドンでの米中通商協議には、米国からベッセント財務長官、ラトニック商務長官、グリア通商代表部(USTR)代表が出席し、中国側は何立峰副首相らが参加する。
米国側は、電気自動車(EV)や防衛システムに不可欠なレアアース磁石の供給減少に懸念を示す一方、中国は人工知能(AI)用半導体の制限強化、先端技術へのアクセス制限などに懸念を示している。
米中両国は5月10-11日にスイスのジュネーブで行われた通商協議で貿易戦争の緩和に向けて90日間の停戦合意に至ったものの、その後互いに相手方が合意条件に違反していると非難し合い、関係は悪化していた。
トランプ米政権にとっては、ウクライナでのレアアース確保の可能性が低下しているため、ハセット国家経済会議(NEC)委員長の発言「レアアースや磁石が、4月初旬以前と同じように流通することを望んでいる」に代表されるように、譲歩する可能性が高まっている。
トランプ米大統領は、ウォール街では「TACO」(Trump Always Chickens Out(トランプはいつもおじけづく)と見透かされており、中国側も同様のシナリオで協議に臨むのかもしれない。
リスクシナリオとして、ドル円が5月12日の米中通商協定の締結により148.65円まで上昇した局面の再現を念頭に置きながら、関連ヘッドラインに警戒しておきたい。
投機筋のポジションを示唆しているIMM通貨先物の非商業(投機)部門取組の円のネット買い持ちポジションは、6/3時点で151,149枚となっている。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、145.60円(日足一目均衡表・雲の上限)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、143.45円 (6/6 安値)
小泉劇場2.0効果だろうか。
最近まで「解雇自由化」「エンジン車禁止」「原発ゼロ」「プラ禁止」「農協解体」を訴えてきた世襲プリンスなので、再び「夫婦別姓(戸籍廃止)」で日本社会をぶっ壊さないか心配です。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250609/k10014829781000.html
https://i.imgur.com/OasbaMS.jpeg
https://i.imgur.com/kjE7yvJ.jpeg
今週のNY市場は物価指標に注目。先週はダウ平均が1.17%高、S&P500が1.50%高、ナスダック総合が2.18%高と主要3指数がそろって2週続伸した。米中の貿易交渉進展期待が支えとなる中、ハイテク株の上昇が相場をけん引した。経済指標では5月ISM非製造業PMI のほか5月ADP民間部門雇用者数、新規失業保険申請件数などの労働指標が予想より弱い結果となったものの、金曜日に発表された5月雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を上回る増加となったことも安心感につながった。主要3指数は4月上旬の急落からの反発が続いた。S&P500は2月中旬に付けた史上最高値まで2.34%に迫り、ナスダック総合とダウ平均も最高値までそれぞれ3.19%、5.00%に迫った。
今週はトランプ関税の影響が表れることが予想される5月消費者物価指数(CPI)や5月生産者物価指数(PPI)などのインフレ指標に注目が集まる。水曜日に発表される5月CPIは前月比+0.2%と前月から横ばいが見込まれているが、変動の大きい食品、エネルギーを除くコアCPIは前月比+0.3%と4月の+0.2%から上昇が見込まれ、前年比でも4月の+2.8%から5月は+2.9%に上昇が見込まれている。CPIが予想を上回る伸びとなれば関税による物価上昇懸念が相場の重しとなることが警戒される、このほか、火曜日に5月NFIB中小企業楽観度指数が発表され、景気動向に敏感な中小企業の景況感にも要注目となる。また、今週開催のアップルの世界開発者会議「WWDC25」にも注目が集まる。海外で生産され米国で販売されるiPhoneについてトランプ米大統領が25%の関税を課すべきだと発言し、株価に逆風が強まっているが、開発者会議を受けた株価動向が注目される。
今晩の米経済指標・イベントは5月雇用傾向指数、4月卸売在庫など。主要な企業の決算発表はなし。
ネットニュースAxiosによると、トランプ米大統領が今朝、ネタニヤフ・イスラエル首相と会談する予定だという。
日経平均株価は続伸。先週末からマドを開けて強い寄り付きとなり、堅調な展開が続いた。200日移動平均線(37889円 6/9)上を回復し、7日ぶりに38000円台を回復して終えた。
RSI(9日)は前日の54.0%→56.6%(6/9)に上昇。引き続き見方は変わらず、4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇継続の判断となる。短期的には、5/13高値(38494円)と5/29高値(38454円)をつないで延長した上値抵抗線を超えられるかが焦点となる。
一方、75日移動平均線(36679円 同)や100日移動平均線(37282円 同)などが依然として下落基調にあることが株価の上値を限定的にし、もみ合いを長引かせる要因になる。
今週は週足の一目均衡表で転換線が大きく上昇するタイミングとなるため、変動が大きくなる場面も想定される。
上値メドは、5/29高値(38454円)、心理的節目の39000円、心理的節目の39500円、2/13高値(39581円)、心理的節目の4万円などがある。下値メドは、25日移動平均線(37576円 同)、100日移動平均線、心理的節目の37000円、75日移動平均線、心理的節目の36500円などがある。
SMBC日興証券ではテクニカルリポートの中で、米国株について考察している。米株指数は4月8日に下げが一巡して以来、反騰が拡大。ただ、昨年8月の安値をいったん下回ったことから、現在の反騰波動で最高値を上回る可能性は低いとSMBC日興では考えている。S&P500は5990~6040pt処、ナスダックは19700~20150pt処が当面の上値抵抗となる公算が大きいとコメント。10年米国債利回りが5月22日の4.6247%を上抜くと一時的に4.94%処まで上振れる可能性があるとみており、米株指数も最高値を上回るまでには至らず、二番天井を打って再び大きく押し戻されると予想している。
(9日終値:10日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=144.46円(9日15時時点比△0.05円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=165.00円(△0.05円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1422ドル(横ばい)
FTSE100種総合株価指数:8832.28(前営業日比▲5.63)
ドイツ株式指数(DAX):24174.32(▲130.14)
10年物英国債利回り:4.632%(▲0.012%)
10年物独国債利回り:2.567%(▲0.009%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は方向感に乏しい展開だった。東京市場からの売りの流れが継続し、18時30分前に一時143.98円まで下落。前週末の5月米雇用統計をきっかけに上昇した分を全て吐き出す格好となった。
ただ、144円割れの水準では押し目買いなどが入り、下げ渋る展開に。米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.51%台まで上昇したことも相場を下支えし、22時30分前に一時144.77円付近まで値を戻した。
もっとも、アジア時間に付けた日通し高値144.95円が目先レジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。NY連銀が公表した期待インフレ率の低下を受けて米10年債利回りが4.46%台まで低下したことも相場の重し。
そのあとはロンドンで開催される米中貿易協議の成り行きを見極めたいとの思惑から、徐々に値動きが鈍った。
なお、ハセット米国家経済会議(NEC)委員長は「米中協議が順調に進めば、米国は輸出規制を解除する。米中協議での進展を間違いなく期待している」などと述べた。
・ユーロドルは一進一退。18時30分前に一時1.1439ドルと日通し高値を付けたものの、買い一巡後は徐々に弱含む展開に。米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが出て22時30分前には一時1.1387ドルと日通し安値を付けた。
ただ、前週末の安値1.1372ドルが目先サポートとして意識されると下げ渋った。米長期金利が低下に転じたことも相場を下支えし、1.1426ドル付近まで値を戻した。
・ユーロ円は下値が堅かった。19時30分過ぎに一時164.55円と本日安値を付けたものの、前週末の安値164.15円が目先サポートとして意識されると下げ渋った。2時30分過ぎには165.02円付近まで持ち直した。
・ロンドン株式相場は7日ぶりに小反落。米中貿易交渉の進展期待が投資家心理を支え、小幅ながら続伸して始まった。ただ、指数は約3カ月ぶりの高値水準をつけており、短期的な過熱感から利益確定目的の売りが出ると下げに転じた。
・フランクフルト株式相場は続落。ロンドンで開催される米中貿易協議の成り行きを見極めたいとの思惑から、積極的な買いは手控えられた。個別ではシーメンス・エナジー(2.86%安)やSAP(1.74%安)、バイヤスドルフ(1.34%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は上昇。株安を受けた。
9日の日経平均は大幅続伸。終値は346円高の38088円。6日の米国株が良好な5月雇用統計を受けて大きく上昇したことを好感して、寄り付きから200円を超える上昇。節目の38000円を上回った。場中は38100円台に乗せて上げ幅を400円超に広げると上値が重くなった一方、大きく失速することはなく、300円程度高い水準でもみ合う時間が長かった。後場は値幅が100円程度と一段とこう着感が強まったが、300円を超える上昇かつ、38000円を上回って取引を終えた。
東証プライムの売買代金は概算で3兆4600億円。業種別では医薬品、その他製品、銀行などが上昇した一方、パルプ・紙、鉄鋼、金属製品などが下落した。証券会社が目標株価を引き上げたセイコーグループ<8050.T>が大幅上昇。半面、上期の決算発表を延期すると発表したREVOLUTION<8894.T>が大幅に下落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり814/値下がり738。米国で大型グロース株が買われた流れを受けて、アドバンテストやソシオネクストなど半導体株が大幅上昇。ソフトバンクGが5%近い上昇と強い動きを見せた。業績関連のリリースを材料にエターナルホスピタリティやエイチームHDが急騰。ファイナンスを実施してビットコインを購入する意向を示したメタプラネットが、一時ストップ高となるなど値を飛ばした。
一方、日本製鉄やJFEHDなど鉄鋼株が全般軟調。トヨタ、ホンダ、日産自動車など自動車株に下落銘柄が多く、「関税リスク」を抱えている業種が弱かった。業績関連のリリースを材料にみらいワークスやアイルが大幅安。アイスペースが連日でストップ安比例配分と売りが止まらず、宇宙関連のSynspectiveも連日で大きく売られた。
日経平均は大幅上昇。寄り付きから38000円を上回り、場中も38000円を下回ることなく推移した。直近で38000円を終値で上回った局面を振り返ると、3月26日の1営業日、5月13日~14日の2営業日、5月29日の1営業日となっており、長続きしていない。あすにあっさり38000円を割り込んでしまうようだと、「またこの辺りが天井か」という見方が強まる一方、38000円より上をキープし続けることができれば、「今回は違う」といった期待が高まってくる。米国株や為替次第ではあるものの、あすは節目の38000円を意識した動きが見られるかが注目される。
(9日終値)
ドル・円相場:1ドル=144.57円(前営業日比▲0.28円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=165.12円(△0.06円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1422ドル(△0.0025ドル)
ダウ工業株30種平均:42761.76ドル(▲1.11ドル)
ナスダック総合株価指数:19591.24(△61.29)
10年物米国債利回り:4.47%(▲0.04%)
WTI原油先物7月限:1バレル=65.29ドル(△0.71ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3354.9ドル(△8.3ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月米卸売売上高
(前月比) 0.1% 0.8%・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は3日ぶりに反落。米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.51%台まで上昇すると円売り・ドル買いが先行。22時30分前に一時144.77円付近まで値を上げた。
ただ、アジア時間に付けた日通し高値144.95円が目先レジスタンスとして意識されると上値が重くなった。NY連銀が公表した5月消費者調査で、1年先の期待インフレ率が3.2%と前月の3.6%から低下し、3年・5年先の期待インフレ率も前回から低下したことが分かると米10年債利回りが4.46%台まで低下。相場の重しとなった。
そのあとはロンドンで開催されている米中貿易協議の成り行きを見極めたいとの思惑から、徐々に値動きが鈍った。なお、米中両政府は貿易協議を10日も継続する見通し。
・ユーロドルは反発。米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが先行すると、22時30分前に一時1.1387ドルと日通し安値を付けたものの、前週末の安値1.1372ドルが目先サポートとして意識されると買い戻しが優勢に。米長期金利が低下に転じたことも相場を下支えし、1.1431ドル付近まで持ち直した。
なお、ベッセント米財務長官は「米中交渉、良い話し合いができた」と述べたほか、ラトニック米商務長官は「米中で実りある協議ができた」などと話した。また、トランプ米大統領は「中国との協議は継続中。近く協議に加わる予定」と発言した。
・ユーロ円は小幅ながら3日続伸。19時30分過ぎに一時164.55円と本日安値を付けたものの、前週末の安値164.15円が目先サポートとして意識されると買い戻しが進んだ。4時前には165.21円付近まで持ち直した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均はほぼ横ばい。ロンドンで開催された米中貿易協議の成り行きを見極めたいとの思惑から、相場は方向感が出なかった。なお、米中協議は明日10日も継続して行われる見通し。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は続伸し、2月20日以来約4カ月ぶりの高値で取引を終えた。米長期金利の低下が高PER(株価収益率)のハイテク株の支えとなった。
・米国債券相場で長期ゾーンは3日ぶりに反発。NY連銀が公表した期待インフレ率の低下を受けて、債券買いが優勢となった。
・原油先物相場は3日続伸。ロンドンで始まった米中協議で双方の歩み寄りが期待され、エネルギー需要の拡大を睨んだ買いが入り65ドル台を回復した。米中協議は10日も続くと報じられている。
・金先物相場は反発。金融市場全般の視線が米中協議に向けられ、金先物も値動きは限られたが、NY連銀が公表した期待インフレ率の低下を受けて米長期金利が低下し、金利を生まない金はやや買いが優勢となった。
一部通信社が報じたところによると、「米中両政府はロンドンでの貿易協議を10日も継続する」ようだ。
ニューヨーク連銀の最新調査によると、1年後のインフレ期待は5月に3.2%と前回の3.6%から低下した。また、3年後のインフレ期待も3.0%と前回の3.2%から低下。5年後のインフレ期待も2.6%と前回の2.7%から低下した。
米ウォールストリートジャーナル(WSJ)紙が報じたところによると、「トランプ米大統領は対中交渉チームに輸出規制の解除検討を容認した」ようだ。
9日16:31 ルッテNATO(北大西洋条約機構)事務総長
「同盟は防空・ミサイル防衛能力を400%増強する必要」
9日17:35 カジミール・スロバキア中銀総裁
「欧州中央銀行(ECB)、6月の利下げで、金利は中立的な領域に達した」
「現行の利下げサイクルはほぼ終了した」
「夏の間はデータを検証して若干の政策微調整が必要か判断する必要がある」
「経済成長が予想を下回る可能性はあるが、ECBが最も重視するインフレ率が上昇するリスクを無視するのは間違い」
9日20:46 ハセット米国家経済会議(NEC)委員長
「米中協議が順調に進めば、米国は輸出規制を解除する」
「米中協議での進展を間違いなく期待している」
10日04:27 ベッセント米財務長官
「米中交渉、良い話し合いができた」
10日04:28 ラトニック米商務長官
「米中で実りある協議ができた」
10日04:44 トランプ米大統領
「中国との協議は継続中。近く協議に加わる予定」
「中国とはうまくやっているが、容易ではない」
「中国を開放したい」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 5月マネーストックM2
<海外>
○08:01 ◇ 5月英小売連合(BRC)小売売上高調査(予想:前年同月比2.6%)
○09:30 ◇ 6月豪ウエストパック消費者信頼感指数
○10:30 ◇ 5月豪NAB企業景況感指数
○15:00 ◎ 5月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○15:00 ◎ 2-4月英失業率(ILO方式、予想:4.6%)
○15:00 ◎ 5月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%/前年比2.7%)
○16:00 ◇ 5月スイスSECO消費者信頼感指数(予想:▲38.0)
○16:10 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○17:00 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○21:00 ◎ 5月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比5.40%)
○11日02:00 ◎ 米財務省、3年債入札
○米中貿易協議(ロンドン)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
石破が決めた中国製「再エネ5割」は「再エネ5重投資」なので、無駄投資で日本を自滅させるimgur.com/9h1hL0v.jpeg
昨日の海外市場でドル円は、一時144.77円付近まで値を上げたが上値は重かった。米中貿易協議の成り行きを見極めたいとの思惑から値動きが鈍った。ユーロドルは1.1387ドルまで弱含んだが、米長期金利が低下に転じたことも相場を下支えし1.1431ドル付近まで持ち直した。
本日の東京時間でのドル円も、引き続き米中閣僚級協議の進展を控えて動きにくい展開になりそうだ。協議が行われている場所が英ロンドンということもあり、東京時間の午前中に会談の追加報道やトランプ米大統領のSNSが伝わらない場合は、欧州入り後までは「待ちの時間」になるだろう。中国の貿易交渉官である何中国副首相は13日まで英国に滞在し、「中米・経済貿易メカニズム」会議に出席すると週末に公表している。15日から始まるカナダでのG7サミットまでぎりぎりの交渉が行われるとみられる。
中国国営・新華社通信によると、習主席はトランプ大統領に対し、「中国に対して取ってきた否定的な措置を撤回するべきだ」と語ったという。一方で、米国はウクライナからのレアアース(希土類)を獲得というシナリオが頓挫したことで、レアアースの獲得を目指していると伝わっている。
G7サミット前に交渉が少しでも前向きな結果になったことを示し、トランプ政権はEU諸国や日本などに交渉成立の圧力をかけたいとの思惑もあるのだろう。よって、TACO(Trump Always Chickens Out=トランプはいつもびびって退く)の米国サイドが交渉に焦りを感じているとも伝わっている。交渉の進展を確認するのは難しいものの、仮にわずかな進展が見られた場合でも、大げさなトランプ米大統領が成果を強調し、市場が瞬間的にドル買いに傾く動きには警戒したい。
市場への影響は現時点では限定的だが、カリフォルニア州にトランプ大統領が州兵を派遣したことが、米国では更に問題視されている。日本時間早朝にニューサム・カリフォルニア州知事は「トランプが関与するまでは問題はなかった。これは州主権の重大な侵害であり、緊張を煽っている」とXに投稿している。また、合衆国憲法違反の越権行為と主張し、州知事はトランプ政権を提訴することも発表している。トランプ政権の内憂外患が継続すれば、米国売りが再開するリスクもあるか。
なお、本日は本邦とオセアニアからは複数の経済指標が発表されるものの、市場を動意づけるような重要指標はない。ただ、5・10日(ゴトー日)ということもあり、東京仲値の値決めなどでは神経質な動きになりそうだ。
東京市場は小動きか。米国株はまちまち。ダウ平均が下落し、S&P500とナスダックが上昇した。ダウ平均は1ドル安の42761ドルで取引を終えた。米中貿易交渉の進展期待を背景に買われる場面もあったが、上値の重い展開。強弱感が定まらず、3指数とも小動きとなった。ドル円は足元144円60銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて115円高の38225円、ドル建てが120円高の38230円で取引を終えた。
ダウ平均はほぼ横ばいで、日本株も方向感に欠ける展開を予想する。米国では半導体株にしっかりとした動きが見られており、国内半導体株にも好影響が見込まれる。その分、日経平均は気持ち強めでは推移しそう。ただ、あすに米5月消費者物価指数の発表を控えており、様子見姿勢は強まりやすい。半導体株以外の多くの銘柄は手がけづらく、高く始まったとしても上値追いには慎重となるだろう。日経平均の予想レンジは37950-38250円。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 38240 +130 (+0.34%)
TOPIX先物 2788.5 +0.5 (+0.01%)
シカゴ日経平均先物 38225 +115
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
9日の米国市場は、NYダウが小幅に下落した一方で、 S&P500、ナスダックは上昇。9日午後に英ロンドンで貿易問題を巡る米中の通商協議が始まった。中国のレアアース規制や米国の半導体製品に対する輸出規制などが議論の対象になったとみられ、協議は10日も継続する。協議進展への期待から買われる場面もあったが、結果を見極めたいとのムードは強く、方向感に欠ける展開だった。
S&P500業種別指数は、自動車・同部品、半導体・同製造装置、小売が上昇した半面、保険、商業サービス・用品、電気通信サービスの下げが目立った。NYダウ構成銘柄では、ボーイング<BA>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、ウォルトディズニー<DIS>、キャタピラー<CAT>、IBM<IBM>が買われ、トラベラーズ<TRV>、ナイキ<NKE>、アップル<AAPL>、ビザ<V>が下落。
ナスダック指数は2月20日以来の水準を回復しており、テスラ<TSLA>やアルファベット<GOOG>が上昇。アドバンスト・マイクロ・デバイセズ<AMD>など半導体株の一角への買いも目立った。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比115円高の3万8225円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは日中比10円安の3万8100円で始まった。直後につけた3万8080円を安値にロング優勢の動きが強まり、米国市場の取引開始直後には3万8330円まで買われた。買い一巡後は3万8180円まで上げ幅を縮める場面もみられたが、終盤にかけては3万8200円~3万8290円で保ち合い、3万8240円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや買い先行で始まることになろう。ナイトセッションではボリンジャーバンドの+1σ(3万8040円)を上回っての推移となり、+2σ(3万8420円)とのレンジ内での値動きだった。3万8000円固めから+2σに接近する動きをみせており、+1σに接近する局面では押し目待ち狙いの買い意欲は強そうである。
米中通商協議では中国の交渉団からのコメントはなく、簡単ではないことが窺える。ただし、10日も協議が行われることで、両国が話し合いの席に着いたことは安心感につながろう。協議の内容を見極めたいとの様子見姿勢から積極的な上値追いは期待しづらいものの、押し目狙いのロング対応となりそうだ。
上向きで推移する25日移動平均線(3万7650円)と200日線(3万7660円)とのカイリが縮小しており、ゴールデンクロス示現が近づいている。週足のボリンジャーバンドでは+1σ(3万8110円)を上回っており、ショートポジションを圧縮する動きに向かわせやすい。
週末に6月の先物・オプション特別清算指数算出日(メジャーSQ)を控え、限月交代に伴うロールオーバーが中心になるが、ヘッジ対応の動きが活発になることで上へのバイアスが強まる可能性も意識しておきたい。そのため、オプション権利行使価格の3万8000円から3万8500円のレンジを想定するものの、+2σを捉えてくる局面ではヘッジ対応の動きから5月13日の戻り高値(3万8790円)が射程に入ろう。
9日の米VIX指数は17.16(6日は16.77)に上昇した。6日に5月16日の直近安値(17.15)と3月26日につけた16.97を割り込んできたことで、いったんは反発が意識されやすいところだろう。25日線(19.41)と200日線(19.62)とのデッドクロス示現により、リスク選好に向かわせそうである。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.66倍に上昇した。一時13.69倍をつけており、抵抗線として意識されていた25日線(13.65倍)、75日線(13.66倍)を突破してきた。両線を明確に上放れてくるようだと、+1σが位置する13.73倍辺りを意識したNTロングに振れやすいとみておきたい。
→去年から始まった『コメ先物取引』で買った海外勢のことでは?日本勢は不参加。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d31668b56b0247c292fe7e096508cd2442407a7b
岸田総理がお米の売買市場を作って去年に開始した
https://i.imgur.com/Ojz8O0S.jpeg
https://i.imgur.com/x33nbpK.jpeg
日経225先物は11時30分時点、前日比350円高の3万8460円(+0.91%)前後で推移。寄り付きは3万8280円と、シカゴ日経平均先物(3万8225円)を上回る形から、買い先行で始まった。開始直後につけた3万8230円を安値にロング優勢の流れとなり、中盤にかけて3万8480円まで買われる場面もみられた。
米半導体株が買われた流れを引き継ぐ形から、アドバンテスト<6857.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株が買われ、日経平均型を牽引する形になっている。植田和男日銀総裁は参院財政金融委員会で答弁し、「基調的な物価上昇率はまだ2%に少し距離がある」「2%に近づく確度が高まれば、引き続き利上げ」などと発言。この発言後に円相場は1ドル=145円台と円安に振れたことが先物買いに向かわせたようである。
日経225先物は3万8480円まで買われた後も3万8430円~3万8480円での高値保ち合いを継続。ボリンジャーバンドの+2σ(3万8470円)を捉えており、短期的には達成感が意識されそうである。ただし、週末に6月の先物・オプション特別清算指数算出日(メジャーSQ)を控え、+2σを明確に上抜けてくるようだと、ヘッジ対応の動きによって上へのバイアスが強まる可能性はありそうだ。ショートからのエントリーは控えておきたい。
NT倍率は先物中心限月で13.72倍に上昇している。一時13.74倍まで切り上がり、+1σ(13.73倍)を捉えてきた。いったんは達成感を意識させるものの、NTロングに振れやすいだろう。
昨日のドル円は、欧州時間までは先週末の上昇からの戻り売り。目先のポジション調整が中心となると143.98円まで値を下げる場面もみられましたが、その後は米長期金利の上昇につれて再び144.77円まで買戻されました。NY連銀が公表した5月消費者調査において期待インフレ率が前月から大幅な低下となっていたこともあり、米長期金利が低下に転じると144.35円まで下押し。ただ、引けにかけては米中貿易協議が前向きな会談となり、本日10日も継続協議となったことを受けて144.64円まで買戻されてNY市場を終えています。
アジア市場に入ってからは、下押しも144.40円までの極めて浅いものにとどまると、ゴトー日とあって本邦実需の買いが断続的に観測されると昨日の高値144.95円や6日の高値145.09円を上抜けて一時145.29円まで値を上げています。
いずれにしても、市場では米中貿易協議の行方を見守っているところですが、最大のスポンサーをケンカ別れで無くした途端、図ったようにロサンゼルスでは過激デモとの衝突。週末のカナダG7サミットでも、トランプ米大統領が理由で「共同声明」をまとめられないといった四面楚歌の立場に陥っているわけで、レアアースという必需品を人質に取られているような貿易協議にあっては、もはや、その結果は明らか。日経平均が先週末からやけに底堅い推移となっていることとも無関係ではありません。
ドル円は、5月27日の安値142.12円と3日の安値142.38円できれいなダブルボトムを形成中。一目転換線や一目雲下限といった重要なサポートラインに支えられ、円ロングポジションのアンワインディングが続いていくことになりそうです。本日も、植田日銀総裁の代り映えしない、いつもの「基調的物価上昇率は2%にまだ少し距離がある」などの発言にさえも反応してしまうこと自体、市場のセンチメントを表しているといえます。
「だって子どもが増えても、投票ができるようになるのは18年後だからねえ。その時、私たちは政治家をやっていないでしょう」石破茂
https://i.imgur.com/7LDdrEi.jpeg
本日のロンドン為替市場では、引き続きロンドンで行われる閣僚級の米中貿易協議の行方を見据えながらの取引とはなりそうだ。経済指標は英雇用データやノルウェー消費者物価指数(CPI)など、またフランスとオランダの中銀総裁の講演も予定されている。
昨日、中国側との交渉を終えたベッセント米財務長官やラトニック米商務長官は、充実した協議内容だったことを強調した。米中が貿易問題で歩み寄るようだと、「世界経済の先行き不透明感が薄まる」との期待感も高まるはずだ。気になるのは、トランプ米大統領が「近く協議に加わる予定」と述べたこと。大統領の意見で「まとまるもの」が「まとまらない」可能性は否定できない。
欧州勢の入り際に発表される英雇用データでは、2-4月失業率(ILO方式)や同時期の週平均賃金に注目したい。失業率が予想通りに4.6%となれば、2021年夏以来の悪い水準となる。平均賃金は5%超えと水準としては高いままだが、除く賞与は前回から減速が見込まれている。
来週の英中銀(BOE)会合では、政策金利は据え置かれるとの見方が優勢。ただ、ベイリーBOE総裁が「賃金上昇の鈍化が追加利下げの決定的な条件になる」と強調した後だけに、本日の結果次第で早期利下げ観測が浮上してくるかもしれない。
5月ノルウェー消費者物価指数(CPI)は前年比総合が4月分から加速予想。ノルウェー中銀は前回5月会合の声明で、年内の利下げを示唆している。ただし、政策金利の引き下げは夏以降に先延ばしとの予測が広がっており、今回のインフレデータでその見方を後押しすることになりそうだ。
想定レンジ上限
・ユーロドル、6日高値1.1457ドル
・ポンドドル、5日高値1.3616ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、2日安値1.1341ドル
・ポンドドル、5月29日安値1.3416ドル
ドル円:1ドル=144.55円(前営業日NY終値比▲0.02円)
ユーロ円:1ユーロ=164.86円(▲0.26円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1405ドル(▲0.0017ドル)
日経平均株価:38211.51円(前営業日比△122.94円)
東証株価指数(TOPIX):2786.24(△0.83)
債券先物6月物:139.14円(▲0.03円)
新発10年物国債利回り:1.475%(△0.005%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月マネーストックM2
前年同月比 0.6% 0.5%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は上値が重い。日経平均株価の上昇を背景に買いが強まったほか、植田日銀総裁が「基調的な物価上昇率はまだ2%に少し距離がある」と発言したことも支えとなり、一時145.29円まで値を上げた。ただ、もっとも、145円台では戻りを売りたい向きが多く、一巡後は売りが優勢に。時間外の米10年債利回りが低下したことも重しとなり、一時144.43円まで値を下げた。
・ユーロ円も頭が重い。午前に一時165.45円まで上昇したものの、その後はドル円の失速とともに崩れ164.81円まで一転下落した。
・ユーロドルは下げ渋り。ドル円が上昇したタイミングで1.1386ドルまで下げ昨日安値の1.1387ドルをわずかに下抜けたが、ドル円が失速すると1.1410ドル台まで反発した。
・日経平均株価は3日続伸。昨日の米ハイテク株高を受けて買いが強まり、指数は一時400円超上昇した。ただ、後場に入ると急速に上げ幅を縮めるなど頭は重かった。
・債券先物相場は続落。前日の米債券価格が上昇したほか、昨日の「日本政府、超長期国債の買い戻し検討」との一部報道を受け、一時139.30円まで上げたが、上値は限られるなど方向感がなかった。
昨日行われた米中貿易協議初日は米側から前向きな声が聞かれ、トランプ米大統領も「良い報告を受けている」と発言している。協議は輸出規制の緩和が中心で、中国はレアアース輸出を米国は半導体や航空機関連の技術輸出を譲歩材料として提示。ただし、両国の根本的な対立は依然深く、小さな譲歩が長期的な関係改善につながるかは不透明だ。市場は楽観的だが、過去の例からも大きな進展は期待しすぎない方がよいとの見方もある。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
ロシア中銀、政治圧力否定も約3年ぶりに利下げ、ルーブル相場は?
インフレ鈍化やルーブル相場の底入れも追い風に追加利下げに含み、中銀の独立性への懸念も
ロシア中銀は6日の定例会合で政策金利を100bp引き下げ20.00%とする決定を行った。同行の利下げは2022年9月以来となる。同国は戦時経済が長期化する一方、物価高に直面しており、中銀は金融引き締めを進めてきた。しかし、物価高と金利高の共存が幅広い経済活動に悪影響を与える懸念が高まるなか、プーチン大統領やその周辺から金融政策に「注文」が付くなど政治的な圧力が高まる動きがみられた。
足元のインフレは依然中銀目標を大きく上回るものの、ルーブル相場が底入れの動きを強めるなか、鈍化の兆しがみられる。国際金融市場では、米ドル安に加え、ウクライナ戦争の停戦協議の進展への期待もルーブル相場の底入れを促す一方、中銀の独立性が脅かされる懸念はくすぶる。中銀は今回の利下げへの政治的圧力を否定するが、追加利下げに含みを持たせており、ルーブル相場を左右する可能性はある。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
中国はディスインフレが続き、米国「以外」への輸出を活発させる展開
内需の弱さが目立つ一方、外需喚起による「デフレの輸出」への対応を図る必要性は高まっている
世界経済と国際金融市場はトランプ関税に揺さぶられている。米中は一旦貿易戦争に突入したが、直接協議を経て報復関税を撤廃するとともに、追加協議を継続することで合意した。米中関係は改善する兆しがみられたが、その後は協議の停滞が示唆されるなど、先行き不透明感がくすぶる。米中首脳の電話会談で協議を継続することが合意されたが、米国の焦点は貿易問題からレアアースにシフトしている模様である。
中国では財政出動や金融緩和にもかかわらず、世界経済の減速懸念を受けた商品市況の調整が川上部門のディスインフレを招いている。さらに、原材料価格の下落に加え、個人消費の弱さを受けた価格競争の激化も重なり、消費者段階でもディスインフレ圧力が掛かる展開が続いている。他方、米中関係の悪化を背景に、中国は米国以外の国・地域への輸出を拡大させている。結果、5月も米国向け輸出は大幅に減少する一方、米国との関係が悪化するEUやカナダ向けのほか、新興国向け輸出は堅調に推移している。ただし、輸入は輸出に関連する原材料や部材で堅調な動きがみられるが、中国の内需向けの一般輸入や設備投資関連は低迷しており、内需の弱さが輸入の足かせとなっている様子がうかがえる。
金融面では、米ドル安を受けて人民元相場は安定しており、中銀による金融緩和余地は一段と広がっている。他方、中国の過剰生産能力やそれに伴う「デフレの輸出」が世界経済に与える影響は深刻と見込まれるなか、日本もそうした影響と無関係ではなく、CPTPPの活用などを通じた対応が求められる。
「トランプ政権は、米国との不均衡な貿易関係を助長するマクロ経済政策はもはや容認しないと貿易相手国・地域に警告してきた。為替政策の分析を引き続き強化し、操作を認定した国・地域に対する措置を厳格化する」(ベッセント財務長官)
米財務省は6月5日に発表した第2次トランプ米政権での最初の半期に一度の「外国為替報告書」で、不公平な優位性を得るために為替レートを操作した「為替操作国」は、主要な米貿易相手国にはなかった、と説明した。しかし、今後、貿易相手国・地域の為替政策の分析を強化する方針を示し、「不公正」な為替慣行への動きに対し厳しく警告した。
今回の報告書では、アイルランドとスイスが新たに監視リスト(Monitoring List)」の対象に追加され、監視リストに掲載された国・地域は、中国、日本、韓国、台湾、シンガポール、ベトナム、ドイツ、アイルランド、スイスの9カ国・地域となった。
米国議会への提出が義務づけられている為替報告書は、競争上の優位性を得るために自国通貨レートを人為的に押し下げている、すなわち、自国通貨安に誘導していると見なされる貿易相手国に圧力をかけることが目的である。
【為替操作国・監視対象国の判断基準】
1)財の対米貿易黒字:150億ドル以上
2)経常黒字額:対国内総生産(GDP)比3%以上
3)過去12カ月の外貨購入(介入):対GDP比2%以上
2つの認定基準に抵触する「監視対象国」に指定されたのは9カ国。
中国、ドイツ、シンガポール、韓国、台湾、ベトナム、日本
新規(アイルランド、スイス):大幅な経常黒字と対米貿易黒字
■中国:透明性の欠如
為替に関する指摘:
1)為替政策を不透明な形で用いており、為替レートメカニズムについて、非常に限られた透明性しか提供していない
2)中国人民銀行による管理以外にも、国有銀行を使って外国為替市場に介入し、影響を及ぼしている
・今回の報告書では中国を為替操作国には指定しないものの、「将来的に人民元高を抑制するために、公式または?公式のチャネルを通じて介入していることを示す入手可能な証拠がある場合、中国を為替操作国に指定することを妨げるものではない
・主要貿易相手国の中でも為替政策やその慣行に関する透明性の欠如が際立っている
■日本:引き締め政策の継続を推奨
日本銀行の2024年以降の利上げに言及して、引き締め政策の継続を推奨し、「円安・ドル高を正常化させるとともに、望ましい二国間貿易の構造的なリバランスにもつながる」とした。
1)対米貿易黒字(640億ドル)
2)経常収支黒字(GDP比4.8%)
・円安と商品価格の低迷によって財政収支の赤字幅が縮小したこと
・数十年にわたる対外資産の蓄積を反映して、第1次所得収支が拡大したこと
・期間中の円安は、主に日米金利差と金融政策への期待を反映している
4月までの3カ月間で英国の失業率は4.6%に上昇し、2021年半ば以来の高水準となった。賃金上昇率は前年比+5.3%と依然高く、イングランド銀行(BoE)のインフレ目標2%を大きく上回っているが、予想よりやや鈍化した。5月の雇用者数は10万9,000人減と、コロナ禍以来最大の減少幅を記録。全体として雇用環境の弱さが浮き彫りになっており、今後の景気下支え策や利下げペース加速への期待が高まっている。
大阪6月限
日経225先物 38230 +120 (+0.31%)
TOPIX先物 2786.0 -2.0 (-0.07%)
日経225先物(6月限)は前日比120円高の3万8230円で取引を終了。寄り付きは3万8280円と、シカゴ日経平均先物(3万8225円)を上回る形から、買い先行で始まった。開始直後につけた3万8230円を安値にロング優勢の流れとなり、前場中盤にかけて上げ幅を広げ、ランチタイムで3万8500円まで買われる場面もみられた。その後は3万8420円~3万8450円辺りでの保ち合いを続けていたが、後場中盤辺りから急速に失速する形となり、終盤にかけて3万8140円まで上げ幅を縮めた。
米半導体株が買われた流れを引き継ぐ形から、前場はアドバンテスト<6857.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株が買われ、日経平均型を牽引する形になった。植田和男日銀総裁は参院財政金融委員会で答弁し、「基調的な物価上昇率はまだ2%に少し距離がある」「2%に近づく確度が高まれば、引き続き利上げ」などと発言。この発言後に円相場は1ドル=145円台と円安に振れたことが先物買いに向かわせたようである。
日経225先物はランチタイムで3万8500円まで買われ、5月14日以来の水準を回復した。ただし、5月13日の戻り高値(3万8790円)を捉える動きはみられず、ボリンジャーバンドの+2σ(3万8470円)を上回ってきたこともあり、一気に利益確定に伴うロング解消に向かわせたようだ。アドバンテストなどが下落に転じたことで、短期的なショートを誘う形にもなった。
週末に6月の先物・オプション特別清算指数算出日(メジャーSQ)を控え、限月交代に伴うロールオーバーが中心のなかで、短期的な売買で押し上げた形とみられ、持ち高調整の動きも速かった。もっとも、+1σ(3万8030円)と+2σとのレンジでの推移が継続しており、+1σ接近では押し目狙いのロングが入りやすいとみておきたい。
10日の米中通商協議の内容を見極めたいところであり、前場のロングポジションを、後場中盤にかけて解消したと考えられる。スタンスとしてはニュートラルにしたとみられるため、明日も米中通商協議に関する報道を手掛かりに、仕切り直しの動きになりそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.72倍に上昇した。一時13.74倍まで切り上がり、+1σ(13.73倍)を捉えてきた。いったんは達成感を意識させるものの、25日移動平均線、75日線が位置する13.65倍が支持線として機能するようだと、NTロングに振れやすいだろう。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が2万9322枚、ソシエテジェネラル証券が2万6319枚、みずほ証券が2万1405枚、野村証券が1万5443枚、HSBC証券が1万3814枚、JPモルガン証券が9117枚、バークレイズ証券が6681枚、ゴールドマン証券が5355枚、モルガンMUFG証券が4822枚、大和証券が3943枚だった。
TOPIX先物はみずほ証券が5万3631枚、ソシエテジェネラル証券が3万6674枚、ゴールドマン証券が3万6497枚、ABNクリアリン証券が3万0554枚、ビーオブエー証券が2万6485枚、モルガンMUFG証券が2万5679枚、野村証券が2万5434枚、JPモルガン証券が2万4758枚、バークレイズ証券が1万7430枚、BNPパリバ証券が1万1731枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、昨日からロンドンで開催され、本日2日目となる米中閣僚級通商協議に関するヘッドライン、そして、トランプ米大統領の突発的な発言に警戒していく展開が予想される。
昨日からロンドンで開催されている米中通商協議には、米国からベッセント財務長官、ラトニック商務長官、グリア通商代表部(USTR)代表が出席し、中国側は何立峰副首相、王文濤商務相、李成鋼通商交渉官らが参加している。
何立峰副首相は、13日までロンドンに滞在予定とのことで、協議が本日以降も長引く可能性が高まりつつある。
ハセット米国家経済会議(NEC)委員長は、米国はレアアース問題で中国と合意することを望んでいる、と述べ、トランプ米大統領は「ロンドンから良好な報告を受けている」と、中国とはうまくやっているとしながらも、容易な相手ではないとも述べており、さらに「近く協議に加わる予定」とのことで、本日も関連ヘッドラインを注視していくことになる。
米中両国は5月10-11日にスイスのジュネーブで行われた通商協議で貿易戦争の緩和に向けて90日間(※8月12日)の停戦合意に至ったものの、その後互いに相手方が合意条件に違反していると非難し合い、関係は悪化していた。
今回、中国側はレアアースの輸出、米国側は半導体や航空機関連の技術輸出を譲歩材料として提示している模様だが、もし、米中貿易摩擦が緩和されるような貿易協定が締結された場合、ドル円は5月12日に148.65円まで上昇したように、IMM通貨先物の円の買い持ちポジションの手仕舞いを促す可能性が高まることになる。
しかしながら、今週末予定されている第6回日米通商協議での決着が見えないことや、「不確実性(uncertainty)」が払拭されることは、米連邦公開市場委員会(FOMC)による早期利下げを促す可能性があることで、ドル円の戻しは限定的なのかもしれない。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、145.60円(日足一目均衡表・雲の上限)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、143.98円 (6/9 安値)
米国とイスラエルの高官の話として一部通信社が報じたところによると、今週の停戦協議で大きな進展は期待できないが、一定の進捗はあったという。
今晩は米中貿易協議と中小企業の景況感に注目。昨日は米中貿易交渉の進展期待を背景に半導体株などが上昇したものの、週内の5月消費者物価指数(CPI)や5月生産者物価指数(PPI)などのインフレ指標の発表を控えた様子見姿勢が強まり、総じて小幅な動きとなった。スダック総合が0.31%高と続伸し、S&P500も0.09%高と小幅の2日続伸した一方、ダウ平均は1.11ドル安(0.00%)とほぼ横ばいで終了した。
今晩の取引では2日目となる米中貿易協議の行方が引き続き注目されるほか、トランプ関税の影響をより大きく受けるとされる中小企業の景況感を巡り、寄り前に発表される5月NFIB中小企業楽観度指数にも注目が集まる。NFIB中小企業楽観度指数の市場予想は95.9と4月の95.8からほぼ横ばいが見込まれているが、予想以上の悪化となればトランプ関税による景気減速懸念が強まることが警戒される。
今晩の米経済指標・イベントは5月NFIB中小企業楽観度指数など。企業決算は寄り前にJMスマッカーが発表予定。
中国商務部は10日、欧州連合(EU)を原産地とする輸入豚肉および副産物に対する反ダンピング調査について、調査期限を2025年12月16日まで延長すると発表した。調査の複雑さを理由としている。
商務部は24年6月17日付で公告を出し、EU産の関連豚肉および副産物に関する反ダンピング調査の開始を決定していた。今回の延長措置は「中華人民共和国反ダンピング条例」第26条に基づいて決められた。
東海東京インテリジェンス・ラボでは、米国で11日に発表される5月財政収支に注目している。4月までの7カ月間の累計では、財政赤字が前年同期比を22%強上回るペースで拡大しており、これはパンデミックに見舞われていた20、21年度を除けば過去最大の規模となるとのこと。5月の結果が財政赤字の拡大ペース加速を示唆するようであれば、米金利への上昇圧力が高まる可能性もあると東海東京では指摘している。
大和総研では、日本経済の予測を改訂。メーンシナリオにおける実質GDP成長率を、25年度+0.8%、26年度+0.9%と見込んでいる。暦年ベースでは25年が+1.0%で、26年が+0.8%となる。トランプ米政権の高関税政策で不確実性が大きいものの、春闘での高水準の賃上げ継続や物価上昇率の低下などにより、1人あたり実質雇用者報酬はおおむね前年比+1%台で推移すると予想。CPI上昇率の基調は同+2%程度で安定すると見込んでいる。
SMBC日興証券では、日銀の金融政策は当面様子見になると予想している。
(1)トランプ関税による経済・物価への影響を見極めたいこと、
(2)インフレ率が秋口以降2%割れし、それが26年度も続くとみられること、
(3)企業の期待インフレ率が3年後で+0.7%と低いこと、
(4)現在の企業の過大な価格転嫁による「悪いインフレ」が過ぎ去るのを待つ可能性、
(5)労働生産性がほぼゼロ成長で、賃金と物価の好循環を促す環境にはなっていないこと
―をその理由として挙げている。
中国工業情報化部は10日、教育部や人力資源社会保障部などと共同で、「食品工業デジタル化転換実施方案」を策定し、食品産業のデジタル化を加速する方針を示した。
実施方案では、2027年までに重点食品企業の経営管理におけるデジタル化普及率を80%、一定規模以上の食品企業における主要工程の数値制御化率とデジタル設計開発ツールの普及率をそれぞれ75%に引き上げると明記。スマート工場10カ所以上の育成や高水準のデジタル化工業団地5カ所以上の整備も盛り込んだ。
また、食品産業のデジタル化を支援する高度なサービス企業群の育成と、先進的で実用性の高いデジタル化ソリューションの整備にも取り組む。2030年までに先端の情報技術を一定規模以上の食品企業では全方位・全工程で普及させ、国際競争力を備えた食品産業のデジタルクラスターを形成することを目指す。
日経平均株価は3日続伸。買い先行から上値を伸ばし、一時は5/13の取引時間中につけた高値(38494円)を上回る場面もあった。一方、後場は急速に上げ幅を縮小し、陰線で取引を終えた。
RSI(9日)は前日の56.6%→58.5%(6/10)に上昇。引き続き見方は変わらず、4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇継続の判断となる。目先波動はもみ合いの範ちゅうだが、5/13高値と5/29高値(38454円)をつないで延長した上値抵抗線を明確に超えられるかが焦点となる。
一方、75日移動平均線(36665円 6/10)や100日移動平均線(37272円 同)などが依然として下落基調にあることが株価の上値を限定的にし、もみ合いを長引かせる要因になる。
今週は週足の一目均衡表で転換線が大きく上昇するタイミングとなるため、週後半にも変動が大きくなる場面が想定される。
上値メドは、心理的節目の39000円、心理的節目の39500円、2/13高値(39581円)、心理的節目の4万円、12/27高値(40398円)などがある。下値メドは、10日移動平均線(37838円 同)、25日移動平均線(37631円 同)、100日移動平均線、心理的節目の37000円、75日移動平均線、心理的節目の36500円などがある。
米財務省によると、3年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが3.972%、応札倍率(カバー)が2.52倍となった。
(10日終値:11日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=144.93円(10日15時時点比△0.38円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=165.55円(△0.69円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1423ドル(△0.0018ドル)
FTSE100種総合株価指数:8853.08(前営業日比△20.80)
ドイツ株式指数(DAX):23987.56(▲186.76)
10年物英国債利回り:4.542%(▲0.090%)
10年物独国債利回り:2.523%(▲0.044%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月英雇用統計
失業率 4.5% 4.4%・改
失業保険申請件数
3.31万件 ▲2.12万件・改
2-4月英失業率
(ILO方式) 4.6% 4.5%
5月スイスSECO消費者信頼感指数
▲36.5 ▲42.4
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ユーロドルは底堅い動き。欧州勢がユーロ売りで参入すると一時1.1373ドルと日通し安値を付けたものの、6日の安値1.1372ドルがサポートとして働くと買い戻しが優勢に。米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.43%台まで低下したこともユーロ買い・ドル売りを促し、22時過ぎに一時1.1448ドルと日通し高値を付けた。
ただ、6日の高値1.1457ドルが目先レジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。米10年債利回りが低下幅を縮めたことも相場の重し。
・ポンドドルも底堅い動き。英雇用統計で2-4月の週賃金上昇率が予想を下回ると、追加利下げ観測が高まりポンド売り先行。一時1.3456ドルと日通し安値を付けた。ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢に。米長期金利の低下に伴うポンド買い・ドル売りも入り1.3537ドル付近まで持ち直した。
・ドル円は下値が堅かった。米長期金利の低下に伴う円買い・ドル売りが先行すると一時144.45円付近まで値を下げたものの、アジア時間に付けた日通し安値144.40円が目先サポートとして意識されると下げ渋った。米長期金利が低下幅を縮小したことも相場を下支えした。
市場では「ロンドンで開催されている米中貿易協議の成り行きを見極めたいとの思惑が広がる中、警戒感よりは期待感の方がやや優勢となっており、リスク・オンの円売りも散見された」との声が聞かれた。
・ユーロ円は日本時間夕刻に一時164.63円と日通し安値を付けたものの、前日の安値164.55円がサポートとして働くと買い戻しが優勢に。ユーロドルの持ち直しにつれた買いも入り、2時過ぎに一時165.63円と日通し高値を付けた。米中貿易摩擦の緩和期待から米国株相場が小幅に上昇したことも相場の支援材料。
・ロンドン株式相場は反発。英雇用統計で2-4月の週賃金上昇率が予想を下回ると、追加利下げ観測が高まり買いが優勢となった。BPやシェルなどエネルギー株が買われたほか、セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株が値上がりした。半面、HSBCやバークレイズなど金融株が売られた。
・フランクフルト株式相場は3日続落。市場参加者の関心がロンドンで開かれている米中貿易協議に向かう中、売りが優勢となった。個別ではラインメタル(5.80%安)やシーメンス・エナジー(3.62%安)、ミュンヘン再保険(2.19%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は上昇。英賃金上昇率が予想を下回り、追加の金融緩和期待が高まった。
10日の日経平均は3日続伸。終値は122円高の38211円。まちまちかつ小動きの米国株を受けても3桁上昇スタート。10時近辺でドル円が円安に振れると、好反応を示して上を試しにいった。38400円台に乗せて高値圏で前場を終えると、後場のスタート直後には上げ幅を400円超に拡大。ただ、節目の38500円に迫ったところでは買いが続かなくなった。しばらくもみ合った後、14時台にドル円が円高に振れたところで急失速。上げ幅を2桁に縮める場面もあったがそこでは盛り返し、3桁の上昇で取引を終えた。TOPIXは後場に一時マイナス圏に沈んだが、終値ではプラスを確保した。グロース250指数は日経平均やTOPIXとは対照的に、後場に入って一段高。1.5%高と強い動きを見せた。
東証プライムの売買代金は概算で4兆0600億円。業種別では海運、精密機器、鉱業などが上昇した一方、保険、倉庫・運輸、銀行などが下落した。中期経営計画が好感されたリバーエレテック<6666.T>が買いを集めてストップ高。半面、3Q累計で営業赤字となったファーマフーズ<2929.T>が大幅に下落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり673/値下がり876と、後場に入って値下がりが値上がりを上回った。ニデックやロームなどハイテク株の一角が大幅上昇。安川電機やキーエンスなどFA関連の動きが良かった。ストップ安比例配分が2日続いたアイスペースが、下落スタートから切り返して10.3%高。足元で騰勢を強めているデータセクションが一時ストップ高となり、商いも膨らんだ。リベラウェアが急騰したほか、テラドローンやブルーイノベーションがストップ高となるなど、ドローン関連が人気化した。
一方、アドバンテストは前場では全体の上昇をけん引するような動きを見せていたものの、終盤に崩れてマイナス転換。防衛大手の三菱重工、川崎重工、IHIが強めに売られた。第一生命、T&D、SOMPOなど保険株が軟調。決算が失望を誘ったミライアルが8%を超える下落となった。
日経平均は3日続伸。ただ、前場と後場では相場の雰囲気がガラッと変わった。終日プラス圏で推移しており、一度も38000円を割り込まなかった点はポジティブ。一方、高値が38495円、終値が38211円で、38500円に迫りながらもこれを超えられず、大きく押し戻された点はネガティブ。5月29日の高値が38454円、5月13日の高値が38494円で、38500円は天井感が意識される水準となっている。
11日の米国では5月消費者物価指数(CPI)の発表や10年国債の入札があり、米国の長期金利やドル円には大きな動きが出てくる可能性がある。これらを前にあすの日本株は様子見ムードが強まるだろう。日経平均が38000円を割り込んでしまうようだと、リスク回避の売りが多めに出てくる展開も想定される。その場合には、5日線(37868円、10日時点)辺りまでで売りが一巡するかどうかに注目しておきたい。
(10日終値)
ドル・円相場:1ドル=144.87円(前営業日比△0.30円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=165.51円(△0.39円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1425ドル(△0.0003ドル)
ダウ工業株30種平均:42866.87ドル(△105.11ドル)
ナスダック総合株価指数:19714.99(△123.75)
10年物米国債利回り:4.47%(横ばい)
WTI原油先物7月限:1バレル=64.98ドル(▲0.31ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3343.4ドル(▲11.5ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は反発。米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.43%台まで低下したことを受けて一時144.45円付近まで値を下げたものの、アジア時間に付けた日通し安値144.40円が目先サポートとして意識されると買い戻しが優勢に。米10年債利回りが低下幅を縮小したことも相場を下支えし、1時30分過ぎには145.04円付近まで持ち直した。
市場では「ロンドンで開催されている米中貿易協議の成り行きを見極めたいとの思惑が広がる中、警戒感よりは期待感の方がやや優勢となっており、リスク・オンの円売りも散見された」との声が聞かれた。なお、ラトニック米商務長官は「中国との協議は非常にうまく行っている」と述べ、「必要なら協議は明日11日まで続く可能性がある」と話した。
・ユーロドルは小幅ながら続伸。欧州市場序盤には一時1.1373ドルと日通し安値を付けたものの、6日の安値1.1372ドルがサポートとして働くと買い戻しが優勢に。米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りも入り、22時過ぎには1.1448ドルと日通し高値を付けた。
ただ、6日の高値1.1457ドルが目先レジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。米長期金利が低下幅を縮めたことも相場の重し。
・ユーロ円は4日続伸。ドル円の持ち直しにつれた買いが入ったほか、米中貿易摩擦の緩和期待から米国株相場が小幅に上昇したことが相場の支援材料となった。4時過ぎには一時165.64円と日通し高値を付けた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は反発。ロンドンで開催されている米中貿易協議の成り行きを見極めたいとの雰囲気が強い中、半導体やハイテク株の一角が買われ相場を押し上げた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は3日続伸し、2月20日以来約4カ月ぶりの高値で取引を終えた。テスラやアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)などの上昇が目立った。
・米国債券相場で長期ゾーンは横ばい。ロンドンで開催されている米中貿易協議の成り行きを見極めたいとの思惑から、大きな方向感は出なかった。明日11日の5月米消費者物価指数(CPI)を前に様子見ムードも広がった。
・原油先物相場は4日ぶりに小反落。米中協議はこの日に二日目を迎え、市場では懸念より期待感が優勢となっていることもあり、米中貿易摩擦の緩和期待で買いが先行するなど底堅い動きとなった。ただ、利益確定売りも見られ、小反落して取引を終えた。
・金先物相場は反落。米中協議への進展期待で投資家のリスク選好姿勢が優勢となり、利益確定売りが優勢となった。
ロンドンで開催されている米中貿易協議について情報が錯綜している。当初「米国と中国はロンドンで貿易交渉を終了」と報じられたものの、そのあとは米当局者の話として「米中貿易協議は継続中」と伝わった
一部通信社が報じたところによると、「ベッセント米財務長官は次期米連邦準備理事会(FRB)議長候補の1人となっている」のようだ。
一部通信社が報じたところによると、「米国とメキシコは鉄鋼関税の引き下げと輸入上限に関して合意に近づいている」ようだ。
10日09:25 赤沢経済再生相
「協議の道筋は五里霧中、最終的に決めるのはトランプ大統領」
「(関税協議で)最終的に一致点見いだせるか、見えているとは言えない」
「G7サミットに同行するか、予断を持って答えられない」
10日10:41 植田日銀総裁
「利下げで経済を追加的に刺激する余地は限られている」
「基調的な物価上昇率はまだ2%に少し距離がある」
「基調的な物価が2%で推移していくように、緩和環境を維持している」
「基調的な物価が2%に近づく確度が高まれば、引き続き利上げ」
10日16:25 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「市場のボラティリティはドルへの信認に影響を及ぼす可能性」
「ECBは政策の正常化に成功した」
「政策とインフレは現在、好ましいゾーンにある」
「好ましいゾーンにあるからといってECBが静的であるという意味ではない」
「ECBは必要に応じて引き続き機動的に対応する」
10日20:04 イラン議会
「米国はテヘランとの核協議に本気ではなく、自らの要求を押し付けようとしている」
「テヘランのウラン濃縮は交渉の余地がなく、米国のそのような要求は拒否されるべきだ」
「米国との協議は戦略的な罠であるため、十分に警戒するように」
10日20:28 レーン・フィンランド中銀総裁
「ECBはインフレ水準に満足してはならず、物価上昇率が目標を大幅に下回るなどのリスクに留意すべき」
「来年はインフレ率が2%を下回ると予想されるため、ゼロ金利制約に向けて下がらないよう留意する必要がある」
「インフレ期待が目標付近でしっかり維持されるようにする必要がある」
10日22:40 ブイチッチ・クロアチア中銀総裁
「米国の関税がディスフレ要因かインフレ要因かは不明」
「9月までに関税に関するより明確な情報が得られることを期待」
「ECBは金利に関する立場を巡り非常に良好な状況にある」
11日01:50 トランプ米大統領
「14日のパレード、抗議者は誰であれ武力で鎮圧する」
11日04:00 ラトニック米商務長官
「中国との協議は非常にうまく行っている」
「中国との協議は必要であれば明日まで続く可能性」
「中国との協議を完結させるよう努める」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 5月企業物価指数(予想:前月比0.2%/前年比3.5%)
○未定 ◇ 6月月例経済報告
<海外>
○12:15 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○18:30 ◎ レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○21:00 ◎ チポローネECB専務理事、講演
○21:00 ◇ 4月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比0.1%)
○21:30 ◇ 4月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比2.0%)
○21:30 ☆ 5月米消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%/前年比2.4%)
☆ エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.3%/前年比2.9%)
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○12日01:00 ◎ 5月ロシアCPI(予想:前月比0.4%)
○12日02:00 ◎ 米財務省、10年債入札
○12日03:00 ◎ 5月米月次財政収支(予想:3145億ドルの赤字)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
昨日の海外市場でドル円は、一時144.45円付近まで値を下げたものの、アジア時間に付けた日通し安値144.40円が目先サポートとして意識されると買い戻しが優勢に。米10年債利回りが低下幅を縮小したことも相場を下支えし145.04円付近まで持ち直した。ユーロドルは1.1448ドルまで強含んだ
本日の東京時間でのドル円は、米中閣僚級協議の進展期待で底堅さを維持しそうだ。英ロンドンで協議が行われていることで、時差的な問題がありアジア時間に交渉についての報道が伝わりにくい。ただ、交渉が完全に決裂するシナリオは少ないことが、ドル円の支えになる。
米中閣僚級協議は交渉の進展内容を精査する必要もあるだろう。仮に中国がレアアースの輸出制限の緩和を示した場合でも、5月の関税強化合戦前の水準に戻っただけである。中国を標的にした他の関税方針を米国が撤回しない限りは、中国も妥協をすることはないだろう。しかし、僅かな進展でも針小棒大なトランプ政権が成果を誇張することで、ドル円が急騰し、内容を精査しないでドル買いを仕掛けると、高値掴みになるリスクもありそうだ。
米中協議は明日11日まで再延長する可能性が高まっているが、これはサプライズではない。中国の貿易交渉官である何中国副首相は先週末に「13日まで英国を訪問し『中米経済貿易メカニズム』会議に出席する」と公表していることで、中国側は交渉が簡単に終わらないことをはじめから示唆していた。米国側はベッセント米財務長官が11日の議会証言を控えて帰国の途を辿ることで、今後はラトニック米商務長官とグリア米通商(USTR)代表が交渉を担当することになる。
トランプ政権は5月にウクライナと鉱物資源協定に署名して同投資基金を設立し、ウクライナ産のレアアース獲得を目指していたが、ロシアとの和平交渉が決裂したことでレアアースを中国から輸入せざるを得ない。交渉を焦っているのはトランプ政権というのは明白だ。また、昨日はメキシコとの「鉄鋼関税の引き下げと輸入上限に関して合意に近づいている」との一部報道も伝わっているが、4週間後の7月9日に交渉期限を控えているトランプ政権は、他国との交渉合意にも焦燥感を感じているようだ。
米中協議以外にはロサンゼルスのデモに対して、トランプ大統領が州兵を派遣したことが米国では更に問題が拡大している。ロサンゼルスのデモは不法移民の取り締まりに対してのものだったが、現在米国で拡大しているデモは、州兵派遣に対するものになっている。すでに多くの州で逮捕者が出ているが、州知事の要請がない中での州兵派遣は1965年以来になる。日本と違い州の主権が強いことで、民主党の基盤が強いブルーステート(青い州)でのデモ拡大が、今後の米政局と経済へ影響を徐々に与えていくことになるかもしれない。
なお、本日は本邦から5月企業物価指数が発表される。今年に入り前年比では+4%を上回っていた同指数だが、+3.5%まで低下する予想になっている。市場の反応は限られそうだが、同時に発表される輸入物価指数とともに、同指標の結果には目を向けておきたい。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 38370 +140 (+0.36%)
TOPIX先物 2793.0 +7.0 (+0.25%)
シカゴ日経平均先物 38375 +145
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
10日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>が、2025年5月の売上高(速報値)が前年同月と比べ大幅に伸びたことが材料視され2.6%超の上昇となった。これが好感される形でエヌビディア<NVDA>やアドバンスト・マイクロ・デバイセズ<AMD>など半導体関連株全般へ買いが広がった。
ロンドンで開催されている米中貿易協議の行方を見極めたいとのムードも強かったが、ラトニック米商務長官は「交渉は順調に進んでいる」と述べ、必要なら11日も継続と伝わった。双方が合意を目指し、貿易戦争の激化を回避したいとの表れと受け止められ、底堅さにつながった。
S&P500業種別指数は、自動車・同部品、耐久消費財・アパレル、医薬品・バイオテクノロジーが上昇した。一方で、保険、資本財、消費者サービスが下落。NYダウ構成銘柄では、ナイキ<NKE>、ウォルトディズニー<DIS>、メルク<MRK>、シェブロン<CVX>が買われた半面、セールスフォース<CRM>、マクドナルド<MCD>、トラベラーズ<TRV>、シスコシステムズ<CSCO>の弱さが目立った。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比145円高の3万8375円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは日中比10円安の3万8220円で始まった。直後につけた3万8140円を安値に持ち直し、3万8200円~3万8250円辺りで保ち合いを継続。米国市場の取引開始後にレンジを上抜け、終盤にかけて3万8400円まで上げ幅を広げ、3万8370円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや買い先行で始まることになろう。ナイトセッションではボリンジャーバンドの+1σ(3万8080円)を上回っての推移となり、+2σ(3万8450円)とのレンジ内での値動きだった。3万8000円固めから+2σを捉えてくるようだと、短期的には+3σ(3万8820円)が射程に入ってくるため、5月13日につけた直近戻り高値の3万8790円をターゲットとしたショートカバーを誘う展開も意識されよう。
米中通商協議の行方を見守るなかで、新しいニュースが伝わってくるようだと、アルゴリズム発動によってトレンドが出やすくなると考えられる。それまでは積極的な売買は手控えられ、スキャルピング中心の動きになりそうだ。ただ、ラトニック商務長官の発言からは、双方が合意を目指していると受け止められ、協議進展への期待から押し目待ち狙いのロング対応に向かわせそうである。
日経225先物の25日移動平均線(3万7710円)と200日線(3万7680円)のゴールデンクロス示現により、上向きのトレンドが意識される。週末に6月の先物・オプション特別清算指数算出日(メジャーSQ)を控え、限月交代に伴うロールオーバーが中心となるなかでは、+1σと+2σによるレンジがコンセンサスとなるだろう。ただし、+2σを突破してくる局面ではヘッジ対応の動きが強まる可能性も考えられ、オプション権利行使価格の3万8125円から3万8875円のレンジを想定しておきたい。
10日の米VIX指数は16.95(9日は17.16)に低下した。25日線(19.10)と200日線(19.62)とのデッドクロス示現により、下向きのトレンドは継続。3月26日の16.97を下回ってきたことで2月14日の14.74が射程に入っており、リスク選好に向かわせそうである。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.72倍に上昇した。一時13.74倍まで切り上がり、+1σ(13.73倍)を捉えてきた。いったんは達成感が意識されるものの、25日線、75日線が位置する13.65倍が支持線として意識されるほか、米半導体株が買われた流れを引き継ぐ形で日経平均型優位の展開になるとみられ、NTロングに振れやすいだろう。
一部報道によると、「中国当局者は、ジュネーブ会談に関する我々との合意について述べた」と報じられた。
東京市場は堅調か。米国株は上昇。ダウ平均は105ドル高の42866ドルで取引を終えた。米中貿易交渉の行方をにらんで様子見姿勢の強い地合い。マイナス圏に沈む場面もあったが大型グロース株の動きが良く、終値ではプラスを確保した。ドル円は足元144円90銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて145円高の38375円、ドル建てが140円高の38370円で取引を終えた。
米国株高を好感した買いが入ると予想する。米5月消費者物価指数の発表前で売買は低調となりそうだが、ドル円が落ち着いており、売り急ぎは抑制されるだろう。きのうの日経平均は後場に失速したものの、38000円を下回ることはなかった。米国動向から大型ハイテク株には資金が向かいやすく、場中はプラス圏で落ち着いた動きが続くと予想する。日経平均の予想レンジは38150-38450円。
一部報道によると、「トランプ関税はより長期にわたって維持できると米控訴裁判所が判断」と報じられた。
日経225先物は11時30分時点、前日比150円高の3万8380円(+0.39%)前後で推移。寄り付きは3万8360円と、シカゴ日経平均先物(3万8375円)にサヤ寄せする形から、買い先行で始まった。現物の寄り付き直後には、3万8530円まで上げ幅を広げている。買い一巡後は中盤にかけて利益確定に伴うロング解消とみられる動きにより、3万8290円まで上げ幅を縮める場面もみられたが、終盤にかけては3万8350円~3万8400円辺りで底堅く推移している。
米中通商協議において、先月スイスのジュネーブで合意した内容を実行に移す方法を巡る枠組みで合意したと伝えられた。この報道をきっかけにロングの動きが強まり、3万8530円まで上げ幅を広げる形だった。ただし、ボリンジャーバンドの+2σ(3万8450円)を上回ってきたことで利食いも入りやすく、その後は+1σと+2σとのレンジ内で推移している。11日の米国では5月の消費者物価指数(CPI)の発表を控えていることも、利食いに向かわせたようだ。
NT倍率は先物中心限月で13.76倍に上昇している。+1σ(13.74倍)を上回っての推移をみせており、+2σ(13.83倍)とのレンジが意識されるようだと、NTロングに振れやすいだろう。
昨日のドル円は、東京で144.40円、欧州入り際に144.43円、そしてNYでは144.45円と下値を固める動き。米長期金利が上昇に転じるなか145.04円まで買い戻されることになりました。アジア時間に入ってからは、2日目の米中貿易協議が終わり、「ジュネーブ合意を実施するための枠組みで合意」したことが報じられると145.16円まで上昇。その後は米国際貿易裁判所に差し止め判決を受けている米相互関税について、米控訴裁判所が審議中の有効性を再び延期したことが伝わると144.66円まで下落といった落ち着きのない動き。その後は本邦実需の買いが断続的に観測されるなか再び145.15円まで買い戻されているといったところです。
早朝から、ヘッドラインに飛びつくような動きで荒い値動きを繰り返していますが、いずれにしても、米中貿易協議は「ジュネーブ合意実施」の為の枠組みで合意したのみ。レアアース規制などの具体的な話に目処がついたわけでもなく、今後の協議に委ねられることになります。また、相互関税についても、審議中の有効性は既に認められているなか、単にその期間が延期されただけの話であって、ある意味当たり前の話に市場が飛びついただけとなっています。値動きが落ち着いてきて、再び本邦実需の買いが出てきている模様。一目雲をしっかりと維持する展開が続いています。
何度もお伝えしているように、市場は既に、トランプ米大統領の度重なる朝令暮改へのリスペクトをなくしている状態。最大のスポンサーであったイーロンマスクとの罵り合いをきっかけに、国内でもロサンゼルスが内乱状態に陥るといった負の連鎖が発生しているなか、市場が構築してきたトランプ政権に対するポジション自身もまた、もはやその整合性をなくし始めているわけで、為替市場では当然のように、円ロングポジションの解消へと繋がっていくと考えるのが自然なのかもしれません。
本日のロンドン為替市場では、昨日強まったユーロ買いポンド売りの流れが継続するかに注目。重要な経済指標の発表はなく、レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事の講演が予定されている。
昨日のロンドン序盤に発表された英雇用データでは、2-4月英失業率(ILO方式)が4.6%と予想通りではあったものの、2021年5-7月期以来の高水準を記録。また、週平均賃金が総合・除くボーナスとも5%台で減速した。これを受けて年後半から英中銀に利下げ圧力が強まるとの見方が広がり、ポンドの地合いは弱まった。
ポンドは対円では、ドル円の底堅さもあり持ち直したものの、対ドルでは1.35ドル前半では上値を抑えられた。ユーロポンドは0.84ポンド前半から0.8470ポンド手前と約1カ月ぶりのユーロ高ポンド安水準まで上昇し、その後の下押し幅も限られた。
ここ2カ月ほどのユーロポンドの動きを振り返ってみる。トランプ関税が市場の不安感を一気に高めた4月前半、2023年11月以来の高値圏0.8730ポンド台まで上昇。しかしながら、欧州連合(EU)が米国と対立色を強めた一方で英米関係はそれほど悪化せず、ポンドにとってはポジティブ要因に。ユーロポンドは反転すると下落圧力を強め、5月末には0.8350ポンド台までユーロ安ポンド高に振れた。
その後、ECBの利下げ休止観測で下げ渋っているなか、昨日の弱い英雇用データでユーロ買いポンド売り戻しが強まった。クロス通貨であり、一方通行とはなり難いものの、底打ち感は出てきたように見える。
米国を巡る貿易問題では、ここ最近のニュースを見る限りEUも最悪な展開は避けられるのではないか。そうなると、欧州の金利面だけでなく経済・政治面でもユーロの底堅さにも繋がるだろう。そういったなかで、ECBのチーフエコノミストでもあるレーン専務理事が、講演で「不確実性」についてどのように言及するか注目される。
想定レンジ上限
・ユーロポンド、5月9日高値0.8493ポンドを超えると同月8日高値0.8523ポンド
・ユーロドル、5日高値1.1495ドル
想定レンジ下限
・ユーロポンド、21・90日移動平均線0.8421ポンド
・ユーロドル、6日安値1.1372ドルを割り込むと5月30日安値1.1313ドル
ドル円:1ドル=144.99円(前営業日NY終値比△0.12円)
ユーロ円:1ユーロ=165.60円(△0.09円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1422ドル(▲0.0003ドル)
日経平均株価:38421.19円(前営業日比△209.68円)
東証株価指数(TOPIX):2788.72(△2.48)
債券先物6月物:139.34円(△0.20円)
新発10年物国債利回り:1.455%(▲0.020%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月企業物価指数
前月比 ▲0.2% 0.3%・改
前年同月比 3.2% 4.1%・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は底堅い。「米中協議ではジュネーブ合意実施の枠組みで合意」との報道が伝わったことを受けて8時過ぎには一時145.16円まで値を上げたが、「米連邦高裁がトランプ関税の差し止め命令の効力停止延長を認める」と伝わると一転して144.66円まで失速した。ただ、日経平均株価が堅調に推移したことで下値は堅かった。午後には時間外の米10年債利回りが上昇したことも支えに日通し高値となる145.25円まで値を上げた。
・ユーロドルは頭が重い。朝方に1.1439ドルまで買われたが、昨日高値の1.1448ドルが目先のレジスタンスとして意識されると伸び悩み。ドル円や米長期金利の上昇に伴う売りも出たため1.1406ドルまで値を下げた。
・ユーロ円は強含み。米中合意の報道を受けて165.81円まで上昇した後は165.30円台まで下げる場面も見られたが、午後には再び高値圏に切り返している。
・日経平均株価は4日続伸。昨日の米半導体関連株が上昇したことを受けて東京エレクトロンなどの値嵩株が相場をけん引した。上げ幅は一時300円を超える場面もあった。
・債券先物相場は3営業日ぶりに反発。超長期債の発行減額の観測が相場を支え、午後には一時139.37円まで上値を伸ばした。
一部通信社が伝えたところによると、欧州連合(EU)は米国との貿易協議をトランプ大統領が設定した7月の期限以降も継続することを目指しているという。
政府は11日、6月の月例経済報告を公表。景気の基調判断を「緩やかに回復しているが、米国の通商政策等による不透明感がみられる」と前回から据え置いた。項目別では、企業収益について表現を「改善しているが、通商問題が及ぼす影響などに留意する必要がある」に変更した。表現変更は3月以来、3カ月ぶりとなる。
「債券市場参加者会合では、来年4月以降の国債買い入れについて、減らしていくことが適切との声が多く聞かれた」(植田日銀総裁)
6月5日、米財務省は「外国為替報告書」を公表し、6月の日銀金融政策決定会合での量的引き締め(QT)の中間レビューに言及した。
6月6日、日本銀行は今月の金融政策決定会合で議論する2026年4月以降の国債買い入れ計画について、現行計画で進めている超長期国債の新規発行分減額と併せて過去に発行した低利率の超長期国債を買い入れ消却する案が浮上していると報じられた。
1.外国為替報告書
6月5日に米財務省が公表した連邦議会宛の『外国為替報告書』では、円安の主な要因を金融政策格差にあるとしたうえで、日銀の金融政策正常化進捗を促していた。
日銀の金融政策については「2024年に政策金利を2 回引き上げ、中期的にインフレが持続的に目標を達成するとの期待の中で、段階的な量的引き締め(QT)を開始した」と言及した。そして、日銀は、国債購入の縮小と、既存保有分の満期償還により、2026年3月までに約8%のバランスシート縮小をもたらす可能性があると述べており、6月の金融政策決定会合でQT政策の中間レビューを発表する予定となっている。
2. 日銀が国債買い入れ減額幅圧縮を検討
6月16-17日の日銀金融政策決定会合では、2026年4月以降の国債買い入れ計画について、現行計画で進めている減額幅の圧縮を検討する見通し、と報じられている。
関係筋によると、トランプ関税などを巡り先行き「不確実性」が高い状況の下、日銀は新たな計画の期間を先行き1年程度とする、とのことである。
現行計画では、月間買い入れ予定額を昨年7月の5.7兆円程度から毎四半期に4000億円程度ずつ減らし、来年1-3月に2.9兆円程度とすることになっている。
来年4月以降の1年間に毎四半期2000億-4000億円の減額を行った場合、27年1-3月の月間買い入れ額は1.3兆-2.1兆円になる。
減額ペースの減速が必要との主張の背景には、日銀が買い入れ減額を続ける中、短期的な国債需給の悪化などで市場に無用な混乱が生じないように慎重な対応が必要との意見がある。
3.日銀の量的金融緩和(QE)と引締(QT)
・2001年:日銀は量的緩和政策を導入し、国債購入による金融緩和を開始した。市場から国債を買い入れて資金を供給し、債券価格の上昇を通じて、国債金利を低く抑えることで、金融緩和効果を生み出す仕組みだ。
・2013年4月:「異次元緩和」では、資金供給を2年で2倍に増やすとし、大量の国債を購入した。
・2016年9月:「長短金利操作(YCC)」を導入し、長期金利を抑制した。
日銀の国債保有額は急増し、時価ベースで2013年3月末の93兆円から2023年末には581兆円に達した。
・2024年3月:YCCを解除し、国債購入を金融政策の手段から外した。
・2024年6月:購入縮小決定(四半期ごとに4000億円ずつ減額)
2024年7月の購入額は5兆7000億円だったが、来年1月には2兆9,000億円まで減少する。
香港の年金基金は米国の国債が主要格付け機関によるAAA格付けを失った場合、保有する米国債の比率を引き下げる方針だと一部通信社が伝えた。香港の強制積立年金(MPF)制度では、AAA格付けが維持されている場合のみ、総資産の10%超を米国債に投資できるが、ムーディーズによる格下げで規制上の上限が意識される状況となっている。監督当局はさらなる格下げリスクに備え、各基金にコンティンジェンシープランの策定を指示しており、今後米国債の組入比率が減少すれば、市場への影響も懸念される。
NYタイムは、序盤に5月米消費者物価指数(CPI)の発表がある。市場予想はヘッドラインの数値で前月比+0.2%(4月 +0.2%)、前年比+2.4%(同+2.3%)、コアで前月比+0.3%(同+0.2%)、前年比+2.9%(同+2.8%)程度と、総じて4月より伸びが大きめになるとの見方だ。
CPIは、まず予想比での強弱に反応しやすいとみるが、インフレ動向の振れを受けた株式市場の上下によるリスクセンチメントの変化もドル相場ほか為替の方向性を左右しそうだ。
一方、ここ最近の原材料価格の上昇にもかかわらずCPIの伸びが鈍いことを、企業の価格転嫁がうまくいっていないことと結びつけ、企業体力の有無を推察する株式マーケット参加者もいるため、判断が難しい面もある。
そのほか、午前2時からの米10年債入札の結果にも留意したい。短期的な目線での債券需給の振れが、直前のマーケットの流れと関係ない米金利の振れ幅や方向性につながることもあるため、入札結果を受けた利回りの変化や為替の反応を注視したい。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、5月29日高値146.28円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値めどは、日足一目均衡表・転換線143.84円
財務省は11日、「国債買い入れ消却の7月実施は現実的ではなく想定していない」との見解を示した。
米国と中国が経済・貿易問題を協議する閣僚級会合が英ロンドンで9-10日に行われ、両国は貿易交渉の枠組みについて一致した。双方の交渉チームは今回の合意についてそれぞれ首脳に報告する見通し。中国商務部の李成鋼副部長は協議終了後、記者団に対し「過去2日間にわたり、中米双方のチームは非常に踏み込んだ意見交換を行った。われわれの対話は非常に専門的かつ理性的で、深く率直なものだった」と述べた。『経済通』が11日伝えた。
李副部長は、6月5日の米中首脳による電話協議での共通認識や、5月にスイス・ジュネーブで開いた閣僚会合での合意事項の履行について「枠組み」を策定したことを明らかにした。今回のロンドンでの交渉内容と、原則合意した履行の枠組みは両国首脳に報告する予定だとした。「今回のロンドン会合での進展が、中米間の信頼醸成をさらに進め、中米経済貿易関係の安定的かつ健全な発展を促すこと、そして世界経済の発展にも積極的なエネルギーをもたらすことを期待している」と李氏は語った。
大和証券では、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が6月10日の時点で4月の底値から既に47.1%上昇していることを指摘している。過去のSOX株価の推移を振り返ると、新たな上昇トレンドに入ると過去最高値を更新した後からも数カ月から1年以上にわたって上昇傾向となることが多いとのこと。24年7月10日の過去最高値は現行水準を12.6%上回る水準にあるが、その過去最高値を更新し、その後も数カ月以上にわたって上昇傾向となる可能性が高いと大和では考えている。
大阪6月限
日経225先物 38440 +210 (+0.54%)
TOPIX先物 2789.0 +3.0 (+0.10%)
日経225先物(6月限)は前日比210円高の3万8440円で取引を終了。寄り付きは3万8360円と、シカゴ日経平均先物(3万8375円)にサヤ寄せする形で買いが先行した。現物の寄り付き直後には、3万8530円まで上げ幅を広げた。買い一巡後は前場中盤にかけて利益確定に伴うロング解消により、3万8290円まで上げ幅を縮める場面もみられたが、前場終盤は3万8350円~3万8400円辺りで底堅く推移。後場も3万8340円~3万8460円と狭いレンジながら底堅い値動きが続いた。
米中通商協議は、先月スイスのジュネーブで合意した内容を実行に移す方法を巡る枠組みで合意したと伝えられた。この報道をきっかけにロングが強まり、3万8530円まで上げ幅を広げる形だった。ただし、ボリンジャーバンドの+2σ(3万8450円)を上回ってきたことで利食いも入りやすく、その後は+1σと+2σによるレンジ内での推移となっている。米国で5月の消費者物価指数(CPI)の発表を控えていることも、利食いに向かわせたようだ。
米中協議を終え、ラトニック米商務長官は中国によるレアアースの輸出規制が解決されることに期待感を示した。トランプ米大統領と中国の習近平国家主席から承認を得られれば、ジュネーブ合意の枠組みを実行に移すことになる。ひとまず米中貿易摩擦への懸念が和らぐ形になったため、押し目待ち狙いのロングが入りやすい。CPIを無難に通過してくると、ロングが強まる可能性もあるだろう。
ナイトセッションで+2σは3万8540円で推移している。節目の3万8500円水準では強弱感が対立しやすいものの、週末に6月の先物・オプション特別清算指数算出日(メジャーSQ)を控え、3万8500円水準で落ち着かせたいところだろう。足もとでは3万8000円から3万8500円辺りで推移していたこともあって、限月交代に伴うロールオーバーが中心のなかでは、ヘッジ対応からの大きな変動は避けたいところである。
一方で、+2σ水準を明確に上抜けてくるようだと、過熱感は警戒されるものの、ヘッジ対応を迫られることで上へのバイアスを強めてきそうだ。そのため、+3σ(3万8940円)水準が意識される可能性はありそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.78倍に上昇した。+1σ(13.74倍)を上回っての推移をみせており、+2σ(13.83倍)とのレンジに移行してきた。5月14日につけた13.86倍が射程に入ってきたことで、NTロングに振れやすいだろう。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万7417枚、ソシエテジェネラル証券が1万1536枚、野村証券が1万0830枚、みずほ証券が6451枚、JPモルガン証券が5828枚、ゴールドマン証券が5195枚、バークレイズ証券が4745枚、シティグループ証券が4075枚、モルガンMUFG証券が4021枚、ビーオブエー証券が1797枚だった。
TOPIX先物はソシエテジェネラル証券が2万0803枚、ABNクリアリン証券が1万2496枚、バークレイズ証券が1万1418枚、野村証券が9927枚、モルガンMUFG証券が8390枚、みずほ証券が7721枚、ビーオブエー証券が7683枚、ゴールドマン証券が6613枚、SMBC日興証券が4135枚、UBS証券が3781枚だった。
米ウォールストリートジャーナル(WSJ)紙が報じたところによると、「中国のレアアース輸出規制緩和は6カ月の期間限定」のようだ。
一部通信社が報じたところによると、「米国務省は中東駐留職員の退去を承認した」ようだ。
米政府は11日、「中東地域との緊張が高まる中、兵士の扶養家族の自主的な退去を許可した」と発表した。
今晩は米5月消費者物価指数(CPI)に注目。昨日は米中貿易交渉の進展が伝えられる中、台湾セミコンダクター(TSMC)の好決算を受けて半導体株が上昇したことも好感され主要3指数がそろって上昇した。ダウ平均は小幅に下落する場面もあったが、105.11ドル高(+0.25%)と反発し、S&P500とナスダック総合はそれぞれ0.55%高、0.63%高と、ともに3営業日続伸した。S&P500は今年2月に付けた史上最高値まで1.71%に接近した。投資家の不安心理を示すVIX指数は前日の17.16ポイントから16.95ポイントに低下と、センチメントも改善した。
今晩の取引ではS&P500が最高値まで2%未満に接近したことで高値警戒感が強まることが予想されるものの、米中閣僚級貿易協議が終了し、今後、中国によるレア・アースの輸出規制や米国による半導体の輸出規制の緩和・撤廃などが期待されることが引き続き相場の支援となりそうだ。経済指標では、足もとのインフレや先行きの利下げ見通しを巡り、寄り前に発表される米5月消費者物価指数(CPI)が焦点となりそうだ。5月CPIは前月比+0.2%と前月から横ばいが見込まれ、前年比では+2.5%と4月の+2.3%から上昇が見込まれている。変動の大きい食品、エネルギーを除くコアCPIは前月比+0.3%と4月の+0.2%から上昇が見込まれ、前年比でも4月の+2.8%から5月は+2.9%に上昇が見込まれている。CPIが予想を上回る伸びとなれば関税による物価上昇懸念が相場の重しとなることが警戒される。
今晩の米経済指標・イベントは米5月CPIのほか、MBA住宅ローン申請指数、EIA週間原油在庫、米10年債入札、5月財政収支など。企業決算は引け後にオラクルが発表予定。
米政府高官の話によると、米国は中国に対する10%の基本関税とフェンタニル20%関税を維持するという。
日経平均株価は4日続伸。買い先行から一時は38500円を上回る場面もあったが、戻り売りに押され伸び悩む展開となった。
RSI(9日)は前日の58.5%→49.7%(6/11)に低下。あすは上昇しやすいタイミングとなる。引き続き見方は変わらず、4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇継続の判断となる。目先波動はもみ合いの範ちゅうだが、5/13高値と5/29高値(38454円)をつないで延長した上値抵抗線を明確に超えられるかが焦点となる。
一方、75日移動平均線(36655円 6/11)や100日移動平均線(37271円 同)などが依然として下落基調にあることが株価の上値を限定的にし、もみ合いを長引かせる要因になる。
今週は週足の一目均衡表で転換線が大きく上昇するタイミングとなるため、週後半にも変動が大きくなる場面が想定される。
上値メドは、心理的節目の39000円、心理的節目の39500円、2/13高値(39581円)、心理的節目の4万円、12/27高値(40398円)などがある。下値メドは、10日移動平均線(37908円 同)、25日移動平均線(37697円 同)、100日移動平均線、心理的節目の37000円、75日移動平均線、心理的節目の36500円などがある。
米財務省によると、10年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが4.421%、応札倍率(カバー)が2.52倍となった。
(11日終値:12日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=144.51円(11日15時時点比▲0.48円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=166.15円(△0.55円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1497ドル(△0.0075ドル)
FTSE100種総合株価指数:8864.35(前営業日比△11.27)
ドイツ株式指数(DAX):23948.90(▲38.66)
10年物英国債利回り:4.552%(△0.010%)
10年物独国債利回り:2.535%(△0.012%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は下落。ロンドンで開かれた米中貿易協議を受けて、トランプ米大統領は自身のSNSに「習近平中国国家主席と私が最終承認すれば中国との合意は完了」と投稿し、「中国からレアアース(希土類)が前倒しで供給される」と言明した。米中貿易摩擦の緩和期待から円売り・ドル買いが先行すると、21時過ぎに一時145.46円まで値を上げた。
ただ、米労働省が発表した5月米消費者物価指数(CPI)が前月比0.1%/前年比2.4%と前月比で予想を下回ったほか、エネルギーと食品を除くコア指数が前月比0.1%/前年比2.8%といずれも予想を下回ると、一転円買い・ドル売りが優勢に。21時30分過ぎに144.33円と日通し安値を更新した。
そのあとは145.18円付近まで下げ渋る場面もあったが、買い戻し一巡後は再び上値が重くなった。3時過ぎには144.39円付近まで押し戻された。
・ユーロドルは底堅い動き。欧州中央銀行(ECB)による利下げ局面が終わりに近づいているとの見方が強まる中、独長期金利の上昇とともユーロ買い・ドル売りが先行。5月米CPIが予想より弱い内容となったことが分かると全般ドル売りが活発化し、3時過ぎには一時1.1500ドルと4月22日以来の高値を更新した。
・ユーロ円は強含み。ECBの利下げ観測が足もとで後退する中、円売り・ユーロ買いが先行。米中貿易摩擦の緩和期待から円売り・ユーロ買いも出やすく、23時過ぎには一時166.42円と昨年10月31日以来の高値を付けた。ただ、ドル円の下落につれた売りが出ると伸び悩んだ。
・ロンドン株式相場は小幅ながら続伸。本日の中国株や日本株が上昇したことを受けて、英株にも買いが入った。英利下げ期待の高まりも相場を下支えした。ナショナル・グリッドやSSEなど公共事業株が買われたほか、アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株が値上がりした。半面、セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株が売られた。
・フランクフルト株式相場は小幅ながら4日続落。米中貿易摩擦の緩和期待は相場を下支えしたものの、独長期金利の上昇などが嫌気されて終盤失速した。個別ではドイツテレコム(1.71%安)やブレンターク(1.65%安)、インフィニオン・テクノロジーズ(1.49%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は下落。ECBによる利下げ観測の後退を背景に売りが出た。
11日の日経平均は4日続伸。終値は209円高の38421円。米国株高を受けて、寄り付きから200円を超える上昇。開始直後には上げ幅を300円超に広げて38500円を上回った。節目を超えた後は到達感が出てきて急失速。しかし、2桁高となったところでは改めての買いが入って盛り返した。開始1時間程度で高値と安値をつけた後は動意が乏しくなっており、後場は狭いレンジでのもみ合いに終始した。TOPIXはプラス圏とマイナス圏を行き来して小幅なプラスで取引を終えた。
東証プライムの売買代金は概算で4兆0400億円。業種別ではパルプ・紙、金属製品、サービスなどが上昇した一方、その他製品、保険、非鉄金属などが下落した。証券会社が投資判断を引き上げた三越伊勢丹ホールディングス<3099.T>が急伸。半面、下方修正を発表したベストワンドットコム<6577.T>が後場に崩れてストップ安となった。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1139/値下がり426。米国で半導体株が買われた流れを受けて、東京エレクトロン、ディスコ、ソシオネクストなど半導体株の多くが大幅上昇。リクルートや良品計画に強い動きが見られた。月次が良かった物語コーポレーションや丸千代山岡屋が急伸。グループで保有している恵比寿ガーデンプレイスの売却観測報道を手がかりにサッポロHDが買いを集めた。
一方、三菱ふそうトラック・バスとの経営統合と併せて第三者割当増資を発表した日野自動車がストップ安。防衛大手の三菱重工、川崎重工、IHIが連日で売りに押されており、川崎重工とIHIは5%を超える下落となった。任天堂、コナミG、スクエニHDなどゲーム株の多くが軟調。1Qの最終赤字額が前年同期比で拡大したポールトゥウィンが急落した。
日経平均は4日続伸。開始直後に38500円を上回った後は伸び悩んだが、萎んでもプラス圏をキープして、後場に入ると値動きが落ち着いた。安値は38288円までで38400円台まで戻して終えており、38000円より上が定着しつつある。
本日の米国では5月消費者物価指数(CPI)の発表や10年国債入札があり、これらを消化した米長期金利やドル円の反応が注目される。CPIが弱くインフレへの警戒が後退すれば、米国のハイテク株にはプラスの影響が見込まれる。ただ、このケースでも米長期金利が大きく低下して円高(ドル安)が進んだ場合には、日本株には逆風となる。大幅高、大幅安どちらもあり得るし、日本株が米国株に連動しないケースも想定される。38500円を明確に超えることができるか、それともこの辺りで上昇一服となるかの決着がつきそうであるだけに、上でも下でも動いた方向に勢いがつく可能性がある。
(11日終値)
ドル・円相場:1ドル=144.56円(前営業日比▲0.31円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=166.08円(△0.57円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1487ドル(△0.0062ドル)
ダウ工業株30種平均:42865.77ドル(▲1.10ドル)
ナスダック総合株価指数:19615.88(▲99.11)
10年物米国債利回り:4.42%(▲0.05%)
WTI原油先物7月限:1バレル=68.15ドル(△3.17ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3343.7ドル(△0.3ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
MBA住宅ローン申請指数
(前週比) 12.5% ▲3.9%
5月米消費者物価指数(CPI)
(前月比) 0.1% 0.2%
(前年同月比) 2.4% 2.3%
エネルギーと食品を除くコア指数
(前月比) 0.1% 0.2%
(前年同月比) 2.8% 2.8%
5月米財政収支
3160億ドルの赤字 2584億ドルの黒字
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は反落。トランプ米大統領が自身のSNSに「習近平中国国家主席と私が最終承認すれば中国との合意は完了」「中国からレアアース(希土類)が前倒しで供給される」と投稿すると、米中貿易摩擦の緩和期待から円売り・ドル買いが先行。21時過ぎに一時145.46円と日通し高値を更新した。
ただ、米労働省が発表した5月米消費者物価指数(CPI)が前月比0.1%/前年比2.4%と前月比で予想を下回り、エネルギーと食品を除くコア指数が前月比0.1%/前年比2.8%と予想よりも弱い内容だったことが分かると一転円買い・ドル売りが優勢に。21時30分過ぎに144.33円と日通し安値を更新した。
そのあとは145.18円付近まで下げ渋る場面もあったが、買い戻し一巡後は再び上値が重くなった。「米政府は中東地域との緊張が高まる中、兵士の扶養家族の自主的な退去を許可した」「中国のレアアース輸出規制緩和は6カ月の期間限定」との一部報道を受けて、米国株相場が失速したことも相場の重し。3時過ぎには144.33円付近まで押し戻された。
・ユーロドルは3日続伸。欧州中央銀行(ECB)による利下げ局面が終わりに近づいているとの見方が強まる中、5月米CPIが予想より弱い内容となったことが分かるとユーロ買い・ドル売りが優勢となった。3時過ぎには一時1.1500ドルと4月22日以来の高値を更新した。
・ユーロ円は5日続伸。ECBの利下げ観測が足もとで後退する中、ユーロドルの上昇につれた買いが入った。23時過ぎには一時166.42円と昨年10月31日以来の高値を付けた。ただ、ドル円の下落につれた売りが出ると伸び悩んだ。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は小反落。米中貿易摩擦の緩和期待や5月米CPIが予想より弱い内容となったことを背景に、買いが優勢となった。指数は一時240ドル超上昇した。ただ、「米政府は中東地域との緊張が高まる中、兵士の扶養家族の自主的な退去を許可した」「中国のレアアース輸出規制緩和は6カ月の期間限定」との報道が伝わると失速した。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は4日ぶりに反落。前日に約4カ月ぶりの高値を付けたあとだけに利益確定目的の売りが出た。
・米国債券相場で長期ゾーンは上昇。5月米CPIが予想より弱い内容だったことが分かると、インフレへの警戒が薄れ、債券買いが広がった。
・原油先物相場は反発。米中協議を受けて米中貿易摩擦緩和への期待が高まり、石油需要の先行きに楽観的な見方で原油に買いが入った。5月米CPIの結果を受けて米利下げ期待がくすぶったのも相場の支えとなった。
この日、エネルギー情報局(EIA)が発表した週間原油在庫統計はまちまちで反応は限られた。原油在庫は364.4万バレルの取り崩しと予想以上に減少した一方で、ガソリンとディスティレート(留出油)の在庫は予想以上に増加した。
・金先物相場はほぼ横ばい。米中貿易摩擦への懸念が和らいだことが安全資産とされる金の買いを後退させたが、米CPIの結果を受けて米長期金利が低下したことが支えとなった。売り買いが交錯し、方向感は出なかった。
11日08:07 李成鋼中国商務次官
「ロンドンでの米国との会談、深い意見交換に及んだ」
「コミュニケーションは合理的かつ率直だった」
「両国はジュネーブ会談のコンセンサスについて合意」
「ここでの進展が両国の信頼拡大につながることを期待」
「協議が世界経済の発展に寄与することを期待」
11日08:17 ラトニック米商務長官
「米中協議ではジュネーブ合意実施の枠組みで合意」
「トランプ米大統領が承認すれば実施へ」
「レアアースを巡る問題は解決されると見込む」
12日00:13
「中国はフェンタニルの供給停止は議題に上っていない」
「関税水準は変更されない」
「我々の指導者たちは、この交渉が前向きなものになることを望んでいる」
「中国は常に輸出規制の撤廃を望んでいる」
「米国と中国は前向きな見方をしている」
「中国との関係は良好だ」
11日16:10 イーロン・マスク氏
「先週のトランプ大統領に関する自分の投稿を一部後悔している」
11日16:14 中国外務省報道官
「ロンドンでの米中協議に関して提供できる情報はない」
11日17:07 カザークス・ラトビア中銀総裁
「2%のインフレ維持には微調整のために追加利下げが必要となる可能性が高い」
「市場があと1回程度の利下げを織り込むのはベースラインから外れていない」
「利下げの微調整は経済の展開次第で大きく左右される」
「現時点では緩和的な領域に入る段階ではない」
11日19:40 トランプ米大統領
「イランとの協議について自信が薄れている」
11日21:08
「中国との取引が成立した」
「レアアースは中国から前倒しで供給される」
「中国の貿易開放に向け習・中国国家主席と取り組んでいく」
11日20:41 リーブス英財務相
「財政規律は交渉の余地がない」
「各省庁の予算総額は実質で年2.3%増加する」
「春に設定した支出枠に従って予算を配分する」
11日23:02 ベッセント米財務長官
「トランプ政権の影響でインフレ率は大幅に改善」
「物価上昇抑制はトランプ政権の政策によるものと評価」
「中国が合意を順守すれば、中国とのリバランスは可能」
12日03:12 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「ECBの状況は良好」
「とはいえ、政策が安定しているわけではない」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 4-6月期法人企業景気予測調査
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
<海外>
○08:01 ◇ 5月英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格(予想:▲3)
○15:00 ☆ 4月英国内総生産(GDP、予想:前月比▲0.1%)
○15:00 ◎ 4月英鉱工業生産(予想:前月比▲0.5%/前年比▲0.2%)
○15:00 ◎ 4月英製造業生産高(予想:前月比▲0.7%)
○15:00 ◇ 4月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:207.00億ポンドの赤字/44.75億ポンドの赤字)
○16:00 ◇ 4月トルコ鉱工業生産
○16:00 ◎ ミュラー・エストニア中銀総裁、講演
○16:00 ◎ エスクリバ・スペイン中銀総裁、講演
○16:00 ◎ シムカス・リトアニア中銀総裁、講演
○16:15 ◎ クノット・オランダ中銀総裁、講演
○18:00 ◎ シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○19:30 ◎ 5月インド消費者物価指数(CPI、予想:前年比3.00%)
○21:00 ◎ デギンドスECB副総裁、講演
○21:00 ◎ 4月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比3.5%)
○21:30 ◎ 5月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比2.6%)
◎ 食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.3%/前年比3.1%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:24.2万件/191.0万人)
○13日02:00 ◎ 米財務省、30年債入札
○ロシア(ロシアの日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
昨日の海外市場でドル円は、米中貿易摩擦の緩和期待から円売り・ドル買いが先行し145.46円まで上昇した。ただ、5月米消費者物価指数(CPI)がヘッドライン、コアともに市場予想より弱い結果だったことで144.33円まで弱含んだ。ユーロドルは1.1500ドルまで強含んだ。
本日の東京時間でのドル円は、上値が限られそうだ。上値を抑える要因は、昨日発表された米インフレ指標の低下と米中閣僚級会談が失望感へと変わる可能性が挙げられる。
昨日発表された5月米消費者物価指数(CPI)がヘッドライン、コアともに市場予想を下振れたことは、短期的にドルの上値を抑える要因にはなる。ただ、本日は同月の卸売物価指数(PPI)の発表を控えていることもあり、過度にドルベアになるのも難しいかもしれない。また、米小売最大手ウォルマートのレイニー最高財務責任者(CFO)は、輸入品の関税の影響で早ければ5月、確実に6月には店頭で価格が上昇する可能性を示唆している。インフレ上昇が数値として出てくるのは6月の指標以後になりそうだ。
2日間にわたり英ロンドンで行われた米中閣僚級会談は、「ジュネーブ合意」履行の枠組みで一致した。この発言を受けて市場は一時リスク選好の動きを見せたが、一部ではこの会談の成果が不透明なことを指摘している。ラトニック米商務長官も報道機関のロンドン合意条件に関する詳細についてコメントを応じていない。先進国首脳会議(G7サミット)を前に、トランプ政権が大きな進展がないにもかかわらず合意をしたことを強調したとも言えそうだ。
そもそも「ジュネーブ合意」自体が、米国の対中関税は145%から30%に、中国は125%から10%に90日間下げる決定以外は、玉虫色の内容となっていた。昨日トランプ米大統領は上述の30%関税に、特定製品への25%関税を含めて中国に対する米国の関税は合計55%になるとSNSに投稿したが、この関税率もホワイトハウス当局者は後に新しいものではないことを認めている。
また、トランプ大統領が「貿易協定の一環として中国が米国にレアアースを前払いで供給する」とも述べたが、この条件は6カ月間の暫定的なライセンスのみを発行することに同意したと米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。この条件では、中国は6カ月ごとに特定のライセンス発行の決定を再検討できるようになり、米国企業のサプライチェーンに不確実性が生じることになる。トランプ政権の発表だけでは合意したものが誇張されていることや、都合よく利用していることもあり、中国側の発表や報道を今後はより注意して目を通しておく必要があるだろう。2大経済大国がお互い交渉を続けること自体はマイナスではないが、ロンドン合意の内容を精査すると期待感から失望感へと変化するリスクには警戒しておきたい。
なお、中国は米国との交渉を進めつつも、昨日アフリカ53カ国と中国アフリカ協力フォーラムの閣僚会議を開き、中国がアフリカ諸国から輸入する製品の関税をゼロにすると発表している。トランプ政権が世界中を敵に回している状況下で、中国政府は着々と輸出入のパートナー拡大の成果をあげている。中国が通商問題で米国に対して妥協はせず、いずれは「USパッシング」の政策を進める可能性も高まりそうだ。
本日は本邦からは4-6月期法人企業景気予測調査、対外対内証券売買契約等の状況などが発表される。ここ最近は本邦の経済指標での市場の反応は鈍いことで、引き続き米中の関税に関する報道を警戒する一日になりそうだ。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 38400 -40 (-0.10%)
TOPIX先物 2789.5 +0.5 (+0.01%)
シカゴ日経平均先物 38335 -105
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
11日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落。5月の米消費者物価指数(CPI)が前月比0.1%上昇と市場予想(0.2%上昇)を下回ったほか、食品とエネルギーを除くコア指数は同0.1%上昇となり、市場予想(0.3%上昇)以下だった。トランプ米政権の関税政策が物価を押し上げるとの警戒は和らぎ、米長期金利が低下したことで、NYダウは240ドルあまり上昇する場面もあった。だが、中国が米国の自動車メーカーや製造業者向けのレアアース輸出許可に6カ月の制限を設ける方針と報じられ、不透明感が高まるなかで下落に転じた。
S&P500業種別指数は、エネルギー、消費者サービス、資本財が上昇した一方で、小売、テクノロジー・ハード・機器、食品・生活必需品小売の弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、IBM<IBM>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、スリーエム<MMM>、キャタピラー<CAT>が買われた。半面、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、ホームデポ<HD>、アップル<AAPL>、ウォルマート<WMT>、シスコシステムズ<CSCO>が下落。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比105円安の3万8335円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは日中比40円高の3万8480円で始まった。その後もロング優勢の流れとなり、米国市場の取引開始直前には3万8750円まで上げ幅を広げる場面もみられた。買い一巡後は軟化し、終盤にかけて3万8300円まで売られ、3万8400円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形で、やや売り先行で始まることになろう。もっとも、ナイトセッションで一時3万8750円まで買われ、ボリンジャーバンドの+2σ(3万8520円)突破から+3σ(3万8900円)に接近する場面もあったため、利益確定に伴うロング解消が入りやすいところだろう。
中国のレアアース輸出規制緩和は6カ月の期間限定との報道により不透明感が高まり、米国の主要な株価指数は下落したが、NYダウは一時3月5日以来の4万3000ドルに乗せたこともあり、利益確定の売りが入りやすかったとみられる。一方で、5月のCPIが予想を下回ったことにより過度なインフレ警戒は和らぐ形となり、売り一巡後は押し目狙いのロング対応に向かわせそうだ。
6月限の先物・オプション特別清算指数算出日(メジャーSQ)を明日に控え、限月交代に伴うロールオーバーが中心となり、積極的にトレンドを取りに行く動きは限られよう。オプション権利行使価格の3万8500円を挟んだ狭いレンジでの推移がコンセンサスになりそうだ。ただ、ナイトセッションで+3σに接近する場面がみられたことで、+2σと+3σによるレンジに移行する可能性はありそうだ。
+2σ水準での底堅さがみられてくるようだと、レンジの切り上がりによってヘッジ対応の動きが強まることも考えられる。そのため、オプション権利行使価格の3万8375円から3万8875円のレンジを想定しておきたい。
11日の米VIX指数は17.26(10日は16.95)に上昇した。下向きで推移する25日移動平均線(18.84)が抵抗線として機能しているため、同線のほか200日線(19.64)を上回ってくるまでは、リスク選好に向かわせそうである。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.78倍に上昇した。+1σ(13.74倍)を上回って推移しており、+2σ(13.83倍)とのレンジに移行してきた。5月14日につけた13.86倍が射程に入ってきたことで、NTロングに振れやすいだろう。米国市場の流れを引き継ぐ形で指数インパクトの大きい値がさハイテク株に利益確定の売りが入るようだと、NTロングを巻き戻す動きが強まりやすいとみられるが、+1σ接近ではNTロングに向かわせそうだ。
東京市場は小動きか。米国株は下落。ダウ平均は1ドル安の42865ドルで取引を終えた。5月の消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回り、インフレ沈静化への期待から中盤までは概ね堅調に推移した。しかし、直近で買われていた大型グロース株が弱く、終盤には失速。小幅な下落で終了した。ドル円は足元144円40銭近辺で推移している。CME225先物は円建て・ドル建てともに大証日中終値と比べて105円安の38335円で取引を終えた。
米国マーケットは5月CPIを無難に消化した。弱めのCPIを受けて米10年債利回りは低下。ドル円はやや円高(ドル安)に振れているものの、円高加速というほどの動きではない。金利低下を受けても米国株が下げているため上値は重いだろうが、ドル円が落ち着いていれば売りを急ぐ理由は乏しく、下値も堅いと考える。強気にも弱気にも傾きづらい中、前日終値近辺での一進一退が続くだろう。日経平均の予想レンジは38250-38550円。
日経225先物は11時30分時点、前日比300円安の3万8140円(-0.78%)前後で推移。寄り付きは3万8300円と、シカゴ日経平均先物(3万8335円)にサヤ寄せする形から、売り先行で始まった。現物の寄り付き直後につけた3万8390円を高値に下へのバイアスが強まり、終盤にかけて3万8090円まで下落幅を広げる場面もみられた。引け間際は3万8100円~3万8200円辺りでの保ち合いを継続。
トランプ大統領は、2週間以内に一方的に関税率を設定し、各国に書簡を送付すると報じられた。上乗せ関税の一時停止期限である7月9日より前のタイミングとなるため、この報道をきっかけにショートを仕掛ける動きが強まった。6月限の先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)を明日に控えるなかでのタイミングだったこともあり、ヘッジ対応の動きを誘う形にもなったようだ。
これによりボリンジャーバンドの+1σ(3万8120円)水準まで下げた。同水準での底堅さがみられるようだと、押し目待ち狙いのロングが入りやすくなり、ショートカバーを誘う動きに向かう可能性はありそうだ。一方で、+1σを明確に割り込む局面においては、ヘッジ対応の動きが警戒される。
NT倍率は先物中心限月で13.73倍に低下した。前日の上昇で+1σ(13.74倍)を突破し、+2σ(13.83倍)が意識されていたこともあり、リバランスが入りやすいところだった。+1σ水準で上値を抑えられると、NTロングを巻き戻す動きが強まる可能性はありそうだ。
昨日の海外市場では、欧州時間から米長期金利が上昇するにつれてドル円は買いが先行。一時145.25円まで値を上げました。前日10日の高値145.29円が、目先の目処として意識されると144.92円まで下押ししたものの、トランプ米大統領が「習近平首席と私が最終承認すれば中国との合意は完了。中国からのレアアースが前倒しして供給される」とリップサービスすると145.46円の高値まで買い上げられました。
ただ、5月米CPIコアが予想を大幅に下回る弱い数字となると米長期金利が10bpの急低下。つれるかたちで144.33円まで売り込まれました。その後は145.15円まで買戻される場面もみられましたが、引けにかけては「米政府が中東駐留職員や中東地域派遣の兵士家族の退去などを承認した」ことが判明。買われていたダウ平均がマイナスに転じるなど、リスクオフ的な動きとなると再び144.33円の安値まで値を下げました。
アジア時間に入ってからは、昨夜の先物で5月13日の戻り高値を完全に上抜けて一時38750円まで上昇していた日経平均が一転して320円近い下落。トランプ米大統領が「2週間以内に一方的な関税レターを各国に送付する」と発言したことも売りを後押し。ドル円は一時143.73円まで値を下げることになりました。その後は再び144.00円を挟んだ様子見となっているといったところです。
いずれにしても、トランプ関税については市場としてはかなり食傷気味となっていることは明らか。これをもって本格的に売り仕掛けるという局面でもなければ、ポジションの偏りからいっても、それらを煽る状況でもありません。
むしろ、イスラエルがイラン攻撃の準備が整ったことを知らされた米国が、イランの報復措置としてイラクの米軍施設が攻撃される可能性が高いことから、駐留の米国人を避難させる措置を取り始めていることのほうがリスクとなっているわけで、株価を睨みながらの動きが続いていきそうです。ドル円は目先、一目転換線が位置する143.92円や6日の安値143.45円が意識されており、下押しのレベルを見極めているところです。
本日のロンドン為替市場では、まずは東京勢もいる序盤に発表の英経済指標を受けたポンドの反応に注目。ユーロについては、トランプ関税に関するニュースに注意しつつ、複数の欧州金融当局者の講演内容を確かめながらの取引か。
英景気動向を示す指標は、4月分ではあるが国内総生産(GDP)や鉱工業生産が発表予定。GDPは前月比-0.1%とマイナス転が見込まれている。鉱工業生産は前月比・前年比ともに前回から改善予想も、依然としてマイナスのままだ。
10日発表された英雇用データを受けて、今月の英中銀金融政策委員会(MPC)ではないにしても、追加利下げ観測が強まってきたのは確か。来週は英MPCの金利発表前日に5月インフレ指標が公表予定。重要イベントを控えているなか、本日の英データが想定より弱いようだと、特に対ユーロでポンド売り圧力が強まるのではないか。
トランプ米大統領は東京朝(米国東部の11日夜)に、今後2週間以内に関税率を設定し、各国・地域に書簡を送るとの方針を明らかにした。同大統領は「貿易交渉の期限延長の用意はあるが、必要とは考えていない」とも述べている。中国との貿易問題について、ある程度めどがついたということもあり、関税を武器とした諸外国への圧力を再び強めていくもよう。
欧州連合(EU)はこれまで、トランプ米政権の関税政策について、交渉余地はあるものの報復措置も辞さない姿勢を示してきた。貿易摩擦の悪化はドル安で反応することが多いため、必ずしも通貨ユーロにとってネガティブではない。とはいえ、米EUの溝が広まるのは買い材料でもないため、年初来高値を見据え始めたユーロドルはかなり神経質な動きとなりそうだ。
当局者講演は、序盤のエストニアやリトアニア、スペインの中銀総裁から始まり、オランダ中銀総裁が予定されている。その後は欧州中央銀行(ECB)のシュナーベル専務理事やデギンドス副総裁も講演予定。不確実性についての見解に違いがでるかを注目したい。
想定レンジ上限
・ユーロドル、4月21日高値(=年初来高値)1.1573ドル
・ポンドドル、2022年2月10日高値1.3644ドル
想定レンジ上限
・ユーロドル、昨日NY序盤の下押し水準1.1453ドル
・ポンドドル、21日移動平均線1.3479ドル
ドル円:1ドル=143.73円(前営業日NY終値比▲0.83円)
ユーロ円:1ユーロ=165.67円(▲0.41円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1526ドル(△0.0039ドル)
日経平均株価:38173.09円(前営業日比▲248.10円)
東証株価指数(TOPIX):2782.97(▲5.75)
債券先物6月物:139.33円(▲0.01円)
新発10年物国債利回り:1.455%(横ばい)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4-6月期法人企業景気予測調査
大企業業況判断指数(BSI、全産業)
▲1.9 2.0
大企業業況判断指数(BSI、製造業)
▲4.8 ▲2.4
対外対内証券売買契約等の状況(前週)
対外中長期債
4586億円の処分超 1180億円の処分超
対内株式
1802億円の取得超 3361億円の所得超
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は売り優勢。トランプ米大統領が「2週間以内に一方的に関税率を設定する」「貿易交渉の期限延長の用意はあるが、必要とは考えていない」と発言したことを背景に売りが先行。日経平均株価が軟調に推移したことも重しとなるなど、午後に入っても地合いは弱く一時143.64円まで下落した。
・ユーロドルは強含み。米大統領の発言をきっかけに全般ドル安が進んだ流れに沿った。ユーロドルは一時1.1532ドルと4月22日以来の高値を付けた。
・ユーロ円はじり安。ドル円の下落や日本株安を受けて円買い・ユーロ売りが強まり、一時165.52円まで下押しした。また、4月英国内総生産(GDP)や同英鉱工業生産が予想より弱い結果となり、ポンド円は一時194.81円まで下値を広げた。
・日経平均株価は5営業日ぶりに反落。米関税政策を巡る先行き不透明感が再燃したため売りが優勢となった。外国為替市場での円高も自動車株などの売りにつながり、指数は一時300円超下げた。
・債券先物相場は反落。日本株安を受けて139.45円まで上昇したが、日銀の早期利上げ観測などから一巡後は失速した。
一部報道によると、南アフリカは米国が国際刑事裁判所(ICC)の4人の判事に制裁を科す決定を下したことに懸念を表明し、この措置を国際正義と法の支配の原則への侮辱だと非難したという。
フィナンシャルタイムズ紙が報じたところによると、トランプ米大統領は米英貿易協定の主要部分を数日以内に施行する予定だという。この協定では英国製自動車の米国への輸入10万台分に対し10%の関税を適用し、それを超える分には25%の関税が課される仕組みや、英国産鉄鋼・アルミニウムへの特別枠の設定などが盛り込まれている。
米国務省は地域情勢の緊迫化を受け、緊急でない米政府職員にイラクからの退避を命じた。イラクではテロや誘拐、武力衝突、市民の不安定な状況が続いており、米政府による緊急支援も限定的なため、いかなる理由でもイラクへの渡航は控えるよう強く警告している。
「連邦政府の現金と特別措置が、議会が休会を予定している8月に枯渇する可能性が十分にある。米国の十分な信頼と信用を守るため、予定されている休会前の7月半ばまでに債務上限を引き上げるか、適用を停止すべき。債務上限撤廃案は微妙な問題だが、トランプ大統領が望むなら議会と協力して撤廃する」(ベッセント米財務長官)
1. 2025会計年度(24年10月-25年9月)財政赤字:1兆3647.34億ドル
米財務省は、2025会計年度(24年10月~25年9月)の5月の財政収支が、3160.04億ドルの赤字だったと発表した。2024年5月は3471.31億ドルの赤字だったことで、赤字幅は311.27億ドル(▲9%)減少した。歳出は政府債務の利払い費用が減少したことで6872.33億ドル、歳入は関税収入が230億ドルと前年同月比270%増だったことで3712.29億ドルだった。
2025会計年度(24年10月-25年9月)累計の財政赤字は、前年同期比13.5%増(1624.41億ドル)の1兆3647.34億ドル、歳入は3兆4817.01億ドルで同時期としては過去最高、歳出は4兆8464.35億ドル(+8%)となり、過去最高を記録した。
国債利回りの上昇を受けて、政府のコスト負担が大きく膨らんでいるものの、5月は前年比110億ドル(▲10%)減の920億ドルだった。
米国債残高の金利は平均で約3.36%となっているが、2025年の借り換え債は9.2兆ドル、今後3年間で発行されている国債の50%が満期を迎えるため、現状の米中長期債利回りの高止まりが続いた場合、利払い額は、2倍の2兆ドルに達することが警戒されている。
ベッセント米財務長官は、米中長期債利回りの抑制を最重要課題に掲げている。
【財政赤字と対GDP比】
・2020会計年度:3兆1319億ドル(対GDP比15.0%)※過去最大
・2021会計年度:2兆7721.79億ドル(対GDP比12.4%)※過去2番目
・2022会計年度:1兆3754.81億ドル
・2023会計年度:1兆6952.40億ドル(対GDP比6.2%)
・2024会計年度:1兆8328.16億ドル(対GDP比6.4%)利払い=GDP比3.06%
2.2025年5月末債務残高:36兆2158億ドル(※米国債発行:28兆5825億ドル)
米国の2025年5月末時点での債務残高は36.2158兆ドルで、2025年第1四半期国内総生産(GDP) 29.9766兆ドルの約121%となっている。
純関税歳入は、1月が73.4億ドル、2月は72.5億ドル、3月は87.5億ドル、4月は160億ドル、5月は230億ドルで、2025会計年度では860億ドルとなった。トランプ米大統領は、関税によって1日当たり20億ドルの収入を得ていると述べていた。
米財務省に国債発行について助言する借り入れ諮問委員会(TBAC)は連邦債務上限の撤廃を提言した。国債返済コストを増加させて市場の変動を高め、ドルの基軸通貨としての地位を損ないかねないためだとしている。そして、債務上限は「財政規律を向上させるどころか米国の信用格付けを損なっており、米国の準備資産という地位に影響しかねない」として、「政府の義務を果たすのに必要なだけの資金を借り入れる幅広い権限を、議会は政権に委ねる」のが望ましいとの意見を表明した。
議会予算局(CBO)は、連邦債務上限が変更されない場合、会計上の特別措置を用いた米政府の借り入れ余地が、今年8月半ばから9月末にかけて尽きる可能性が高いとの見通しを示した。財務省は8月に財政資金が枯渇する恐れがあると警告している。
超党派の非政府組織(NGO)「責任ある連邦予算委員会(CRFB)」は、下院の法案が34年度までに米債務を少なくとも3.3兆ドル増加させ、年間財政赤字をGDP比7%超に押し上げるとの推計を発表した。
ウォーレン・バフェット氏は、「アメリカの財政赤字は長期的には持続不可能だ。長期というのが2年か20年かは分からないが」と警鐘を鳴らしている。
大和証券では、足元で海外投資家の日本株買いが勢いを増していると指摘している。財務省対内証券投資によると、4月~5月の累計で約6.6兆円の買い越しとなったとのこと。大和では海外投資マネーの国内株流入の背景に、
(1)過度の円安進行に歯止めがかかったこと、
(2)相対的な割安感が意識されやすかったこと、
(3)一部の投資家が米国への一極集中リスクを見直し始めた可能性
―などを挙げている。
トランプ政権の急な政策変更リスクへの警戒は払しょくしきれていないだけに、海外投資家を中心にポートフォリオ最適化を意図した日本株シフトが続く可能性もあると大和では考えている。
東海東京インテリジェンス・ラボではドル円に関して、テクニカル的には強力な上値抵抗帯として意識されてきた一目均衡表の「雲」の突破がみえつつあることを指摘している。5月12日にドル円は「雲」の中に突入したが、その後は跳ね返されて「雲」が上値を抑え続けてきたとのこと。米中協議の進展期待などでドル買い円売りに弾みがつけば、「雲」の上限がある145円60銭台を突破して上昇を強める可能性もありそうと東海東京ではコメント。5月12日高値の148円60銭台を超えてくれば、4月2日の相互関税発表直後につけた150円40銭台が意識されると考えている。
大和証券では、米国の5月の消費者物価指数は関税による影響が想定よりも小さかった一方、日銀5月企業物価指数では本邦企業が関税コストを値下げで吸収する姿が浮き彫りになったと指摘。これは最適関税理論に近いイメージで、この傾向が続く場合、関税政策の米経済への悪影響がエコノミストの予想を大きく下回る可能性があると考えている。一方で、この理論は輸出国側への従来想定以上の下押し圧力を意味することから、日銀による追加利上げを制約する可能性があると指摘している。
大阪6月限
日経225先物 38180 -260 (-0.67%)
TOPIX先物 2781.0 -8.0 (-0.28%)
大阪9月限
日経225先物 38150 -280 (-0.72%)
TOPIX先物 2780.0 -9.0 (-0.32%)
日経225先物(6月限)は前日比260円安の3万8180円で取引を終了。寄り付きは3万8300円と、シカゴ日経平均先物(3万8335円)にサヤ寄せする形から売り先行で始まった。現物の寄り付き直後につけた3万8390円を高値に下へのバイアスが強まり、前場終盤にかけて3万8090円まで下落幅を広げる場面もみられた。その後は3万8100円~3万8200円辺りでの保ち合いが続いた。
トランプ米大統領は2週間以内に一方的に関税率を設定し、各国に書簡を送付する、と報じられた。上乗せ関税の一時停止期限である7月9日より前のタイミングとなるため、この報道をきっかけに前場中盤にかけてショートを仕掛ける動きが強まった。明日に6月限の先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)を控えるタイミングだったこともあり、レンジを切り下げてきたことでヘッジ対応の動きを誘う形にもなったようだ。
これによりボリンジャーバンドの+1σ(3万8110円)水準まで下げた。ただ、同水準での底堅さはみられており、これまでの+1σと+2σ(3万8500円)によるレンジはかろうじてキープした形だ。SQ値が3万8000円辺りで落ち着くことになれば、ひとまず安心感につながりそうだ。一方で、+1σを割り込み3万8000円を下回ってくるようだと、中心値(25日)と+1σによるレンジが意識されやすいだろう。
3万8000円が心理的な抵抗線に変わるようだと、5月下旬以降、支持線として機能していた200日移動平均線(3万7830円)割れを狙ったショートが強まる展開が警戒されそうだ。その場合には中心値である25日線(3万7750円)を試すことになろう。SQ通過で需給が軽くなるため、短期筋のショートを誘うことになりそうだ。
もっとも、日米関税交渉については、政府は6月15日~17日の主要7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせた日米首脳会談で一定の合意を得ることを視野に入れているだろう。過度な期待は禁物だが、赤沢亮生経済再生担当大臣がサミット直前まで交渉すると報じられていることもあり、ショートに大きく傾けて週を越すことは慎重にさせよう。そのため、3万8000円を下回る局面では押し目狙いのロング対応でのショートカバーを意識したスタンスになりそうである。
NT倍率は先物中心限月で13.72倍に低下した。前日の上昇で+1σ(13.74倍)を突破し、+2σ(13.83倍)が意識されていたこともあり、リバランスが入りやすいところだった。+1σ水準で上値を抑えられると、NTロングを巻き戻す動きが強まる展開が意識されやすくなりそうだ。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はソシエテジェネラル証券が5570枚、ABNクリアリン証券が5401枚、JPモルガン証券が3552枚、野村証券が2637枚、ゴールドマン証券が1730枚、SBI証券が1333枚、みずほ証券が1274枚、UBS証券が1021枚、シティグループ証券が943枚、モルガンMUFG証券が934枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が3183枚、ソシエテジェネラル証券が2932枚、ゴールドマン証券が2769枚、JPモルガン証券が2683枚、BNPパリバ証券が2417枚、野村証券が1229枚、みずほ証券が897枚、シティグループ証券が821枚、バークレイズ証券が724枚、UBS証券が601枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、5月米卸売物価指数(PPI)や米30年債入札を見極めながら、トランプ米大統領の関税に関する発言に警戒していく展開が予想される。
ドル円の一目均衡表でのテクニカル分析では、雲(下限:144.33円、上演:145.60円)が攻防の分岐帯となっており、基準線の145.39円や転換線の143.92円もあわせて念頭に置いておきたい。
昨日、トランプ米大統領は、「一方的に関税率を設定して、今後おおよそ1週間半か2週間以内に各国・地域に書簡を送る」と述べた。4月に発表した上乗せ関税一時停止の期限が切れる7月9日より前、そして、6月15-17日に開催されるG7首脳会議終了後のタイミングとなる。
また、ベッセント米財務長官が90日間としていた「相互関税」の猶予期間の延長を示唆しており、今後の関連ヘッドラインには警戒しておきたい。
トランプ米大統領は、ウォール街では「TACO」(Trump Always Chickens Out:トランプはいつもおじけづく)と揶揄されており、期限付きで脅しをかけた後、撤回を繰り返してきており、今回の脅しの実現性を見極めていくことになる。
昨日発表された米5月消費者物価指数(CPI)は、食品とエネルギーを除くコア指数が4カ月連続で市場予想を下回っていた。本日発表される5月米卸売物価指数(PPI)の予想は前月比+0.2%、前年比+2.6%、コア指数の予想は前月比+0.3%、前年比+3.1%となっている。
米連邦準備理事会(FRB)は、インフレ指標として「PCEデフレーター」を注視しており、PPIの項目のうち、ポートフォリオ管理費、航空運賃、外来医療費などがPCEデフレーターの算出に用いられるため、注目しておきたい。
米30年債入札では、先月の20年債入札が不調となり、ドル売りにつながったことで警戒しておきたい。一時に比べて米国売りというトリプル安への警戒感は後退しているものの、不調だった場合は、米国売りが再燃する可能性がある。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、145.60円(日足一目均衡表・雲の上限)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、143.45円 (6/6 安値)
今晩は貿易交渉や米5月生産者物価指数(PPI)に注目。昨日は米5月消費者物価指数(CPI)が予想を下回る伸びにとどまり、利下げ期待がやや高まったものの、S&P500が最高値に接近したことや、米中貿易協議の最終着地点の不透明感などが重しとなった。ダウ平均は1.1ドル安(0.00%)とほぼ変わらずで終了したが、S&P500が0.27%安、ナスダック総合が0.50%安とともに4日ぶりに反落した。S&P500は一時0.34%高まで上昇し、取引時間中の史上最高値まで1.43%に迫る場面もあった。引け後の動きでは、予想を上回る決算や強い見通しを発表したオラクルが時間外で7%超上昇した。
今晩の取引では中国を始めとした貿易相手国との合意の行方や、インフレ動向が焦点となりそうだ。関税問題ではベッセント米財務長官が90日間としていた「相互関税」の猶予期間の延長を示唆しているが、トランプ米大統領は1-2週間以内に貿易相手国に合意条件を示した手紙を送るとも語っており、貿易問題をめぐる政権の姿勢に引き続き要注目となる。インフレを巡っては寄り前に発表される5月生産者物価指数(PPI)に注目が集まる。前日の5月消費者物価指数(CPI)に続き、PPIも予想を下回る伸びとなれば安心感が広がりそうだ。このほか、ロサンゼルスなどでの移民政策を巡る抗議活動の経済への影響や、中東の地政学リスクなどにも要警戒となる。
今晩の米経済指標・イベントは5月生産者物価指数(PPI)のほか新規失業保険申請件数など。企業決算は引け後にアドビが発表予定。
中国商務部の報道官は本日の記者会見で、米中経済貿易協議メカニズムの初会合では、6月5日の両国首脳による電話会談の共通認識やジュネーブ会談での共通認識の枠組みに基づき、両国の経済・貿易面での懸念解消に向けた新たな進展があったと述べた。
また、中国側は一方的な関税引き上げ措置に一貫して反対する立場であり、米国側に対しては世界貿易機関(WTO)のルールを順守し、相互尊重、平和共存、協力・共栄の原則に則って、中国側とともに中米経済貿易関係の安定的で持続可能な発展を推進するよう促すと強調した。
日経平均株価は反落。下落スタートから下げ幅を拡大する展開となった。ただ、下げ幅は限定的で上昇基調にある5日移動平均線(38127円 6/12)を意識して終えた。
RSI(9日)は前日の49.7%→54.8%(6/12)に上昇。あすも上昇しやすいタイミングとなる。引き続き見方は変わらず、4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇継続の判断となる。目先波動はもみ合いの範ちゅうだが、5/13高値と5/29高値(38454円)をつないで延長した上値抵抗線を明確に超えられるかが焦点となる。
一方、75日移動平均線(36648円 同)や100日移動平均線(37269円 同)などが依然として下落基調にあることが株価の上値を限定的にし、もみ合いを長引かせる要因になる。
一目均衡表ではあすは2本の先行スパンがねじれる(雲がねじれる)タイミングとなり、SQ通過後の動向に注目したい。
上値メドは、6/11高値(38529円)、心理的節目の39000円や39500円、2/13高値(39581円)、心理的節目の4万円などがある。下値メドは、10日移動平均線(37882円 同)、25日移動平均線(37746円 同)、100日移動平均線、心理的節目の37000円、75日移動平均線、心理的節目の36500円などがある。
米財務省によると、30年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが4.844%、応札倍率(カバー)が2.43倍となった。
(12日終値:13日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=143.55円(12日15時時点比▲0.18円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=166.15円(△0.48円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1574ドル(△0.0048ドル)
FTSE100種総合株価指数:8884.92(前営業日比△20.57)
ドイツ株式指数(DAX):23771.45(▲177.45)
10年物英国債利回り:4.477%(▲0.075%)
10年物独国債利回り:2.478%(▲0.057%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月英国内総生産(GDP)
(前月比) ▲0.3% 0.2%
4月英鉱工業生産
(前月比) ▲0.6% ▲0.7%
(前年同月比) ▲0.3% ▲0.7%
4月英製造業生産指数
(前月比) ▲0.9% ▲0.8%
4月英商品貿易収支
232.06億ポンドの赤字 198.69億ポンドの赤字
4月英貿易収支
70.26億ポンドの赤字 36.96億ポンドの赤字
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ユーロドルは底堅い動き。欧州中央銀行(ECB)による利下げ局面が終わりに近づいているとの見方が強まる中、この日もユーロ買いが進行。NYの取引時間帯に入り、5月米卸売物価指数(PPI)や前週分の米新規失業保険申請件数が予想より弱い内容だったことが分かると全般ドル売りが活発化し、21時30分過ぎに一時1.1631ドルと2021年10月以来の高値を付けた。
ただ、買い一巡後は徐々に上値を切り下げた。1.16台では戻り売りなどが出やすかったほか、米長期金利の低下が一服したことが相場の重しとなった。2時30分前には1.1564ドル付近まで下押しした。
・ドル円は弱含み。東京序盤からの弱い地合いを引き継いで円買い・ドル売りが先行。米関税政策への警戒が再び高まったほか、中東での地政学リスクの高まりも懸念されてリスク回避の円買い・ドル売りも入りやすかった。前日の5月米消費者物価指数(CPI)に続き、本日の5月米PPIが予想より弱い内容だったことが分かると一時143.19円と日通し安値を付けた。ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢となり、143.90円付近まで下げ渋った。
なお、「イスラエルは近日中の対イラン軍事行動を検討」との一部報道が伝わったほか、トランプ米大統領は「イスラエルの攻撃は差し迫っていないが、起こり得る」などと話した。
・ユーロ円は底堅い動き。東京午後に一時165.50円と日通し安値を付けたものの、前日の安値165.39円が目先サポートとして意識されると買い戻しが優勢に。ユーロドルの上昇につれた買いも入り、21時30分過ぎには166.74円と昨年7月以来の高値を付けた。ただ、ユーロドルの伸び悩むとユーロ円にも売りが出て166.12円付近まで下押しした。
・ロンドン株式相場は3日続伸し、史上最高値を更新した。中東の地政学リスクの高まりを嫌気した売りが出たものの、英利下げ期待を背景に買いが入ると持ち直した。ハルマやセイジ・グループなど情報技術セクターが買われたほか、BPやシェルなどエネルギー株が値上がりした。
・フランクフルト株式相場は5日続落。米関税政策への警戒が再び高まったほか、中東での地政学リスクの高まりが懸念されて売りが優勢となった。個別ではドイツテレコム(3.75%安)やザランド(3.18%安)、ボノビア(3.17%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は上昇。米関税政策への警戒が再び高まったほか、中東での地政学リスクの高まりも意識された。
12日の日経平均は5日ぶり反落。終値は248円安の38173円。米国株安を受けて下落スタート。開始直後には前日終値近辺まで値を戻したものの、プラス圏には浮上できずに売り直された。その後、東京時間で円高が進んだことを嫌気して、一気に下げ幅を300円超に拡大。10時台半ばに38100円近辺まで下げたところで売りが一巡したが、以降の戻りは緩慢となり、低空飛行が続いた。一方、スタンダード指数は小安く始まるも、すぐにプラス圏に浮上して場中は上げ幅を拡大。連日で史上最高値を更新した。米長期金利の低下が追い風となったREIT指数も堅調で、こちらは連日で年初来高値を更新した。
東証プライムの売買代金は概算で3兆7600億円。業種別では石油・石炭、鉱業、機械などが上昇した一方、サービス、化学、輸送用機器などが下落した。証券会社がレーティングを引き上げたサイボウズ<4776.T>が急騰。半面、証券会社が投資評価を引き下げたエムスリー<2413.T>が大幅に下落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり564/値下がり986。中東の地政学リスクの高まりを受けて、三菱重工、川崎重工、IHIの防衛大手3社が大幅高。原油高を手がかりに、INPEX、コスモエネルギー、出光興産などに資金が向かった。リミックスポイントやメタプラネットなど暗号資産関連が商いを伴って急伸。決算が好感されたANYCOLORや、証券会社が投資判断を引き上げた住友ファーマがストップ高まで買い進まれた。
一方、米国でグロース株が弱かったことから、レーザーテックやディスコなど半導体株の多くが下落。リクルートが3%を超える下落となったほか、ファーストリテイリングやキーエンスなど超値がさ株が弱かった。円高を嫌気してトヨタ、ホンダ、スズキなど自動車株が軒並み安。決算が嫌気されたRidge-iやGENDAが急落した。
日経平均は200円を超える下落。ただ、取引時間中にドル円が円高に振れた割には比較的値を保った。安値は38102円までで、終値(38173円)では5日線(38127円、12日時点)を上回った。この程度の下げであれば、前日まで4日続伸した分のクールダウンの範ちゅうにすぎない。
あすはメジャーSQ日で、序盤は振れ幅が大きくなるかもしれない。ただ、市場の関心はG7サミット(6/15~17)、日銀会合(6/16~17)、FOMC(6/17~18)など、来週消化するイベントに移っていくと思われるだけに、次第に値動きが落ち着いてくるだろう。為替動向には注意を払う必要がある。本日、米国では5月生産者物価指数(PPI)の発表と30年国債入札が予定されている。前日に5月消費者物価指数(CPI)と10年国債入札を消化して米10年債利回りが低下しているだけに、米金利低下に勢いがつくようなら、円高・ドル安がもう一段進む可能性はある。今週の日経平均は週初から38000円を上回り、きょうまで一度も38000円を割り込んでいない。下げたとしても38000円より上で推移できるかに注目したい。
(12日終値)
ドル・円相場:1ドル=143.48円(前営業日比▲1.08円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=166.22円(△0.14円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1584ドル(△0.0097ドル)
ダウ工業株30種平均:42967.62ドル(△101.85ドル)
ナスダック総合株価指数:19662.48(△46.60)
10年物米国債利回り:4.36%(▲0.06%)
WTI原油先物7月限:1バレル=68.04ドル(▲0.11ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3402.4ドル(△58.7ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月米卸売物価指数(PPI)
(前月比) 0.1% ▲0.2%・改
(前年比) 2.6% 2.5%・改
食品とエネルギーを除くコア指数
(前月比) 0.1% ▲0.2%・改
(前年比) 3.0% 3.2%・改
前週分の米新規失業保険申請件数
24.8万件 24.8万件・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は続落。前日の5月米消費者物価指数(CPI)に続き、本日の5月米卸売物価指数(PPI)が予想より弱い内容だったことが分かると全般ドル売りが先行。前週分の米新規失業保険申請件数が予想よりも弱い内容だったことも相場の重しとなり、21時30分過ぎに一時143.19円と日通し安値を付けた。
ただ、売り一巡後は下げ渋る展開に。安く始まった米国株相場が持ち直したことなどが相場を下支えし、143.90円付近まで下げ幅を縮めた。
なお、米関税政策への警戒が再び高まったほか、中東での地政学リスクが懸念されてダウ平均は一時250ドル超下落したものの、売り一巡後は買い戻しが優勢となり上げに転じた。
・ユーロドルは4日続伸。欧州中央銀行(ECB)による利下げ局面が終わりに近づいているとの見方が強まる中、この日もユーロ買いが先行。前日の米CPIと本日の米PPIの結果を踏まえ、「米国の物価上昇圧力は市場の警戒ほど高まっていない」との見方が広がると全般ドル売りが活発化した。21時30分過ぎには一時1.1631ドルと2021年10月以来の高値を更新した。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時97.60と22年3月以来の低水準を付けた。
ただ、買い一巡後は伸び悩む展開に。1.16ドル台では戻り売りなどが出やすかったほか、米長期金利の低下が一服したことが相場の重しとなった。2時30分前には1.1564ドル付近まで下押しした。
・ユーロ円は小幅ながら6日続伸。ユーロドルの上昇につれた買いが先行すると一時166.74円と昨年7月以来の高値を付けたものの、ユーロドルの伸び悩むとユーロ円にも売りが出て166.12円付近まで下押しした。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は反発。米関税政策への警戒が再び高まったほか、中東での地政学リスクが意識されて売りが先行。指数は一時250ドル超下落した。ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢となり上げに転じた。市場では「前日にオラクルが発表した決算を受けてAI需要の期待が高まると、ハイテク株の一角に買いが入った」との声が聞かれた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も反発した。
・米国債券相場で長期ゾーンは続伸。前日の5月米CPIに続き、本日の5月米PPIが予想より弱い内容だったことを受けてインフレへの警戒が薄れると買いが優勢となった。30年債入札が「好調」と受け止められたことも相場の支援材料。
・原油先物相場は小反落。前日の大幅高の反動で利益確定売りが優勢となった。ただ、中東の地政学リスクへの警戒感で買いも入り、下押しは限られた。「イスラエルは近日中の対イラン軍事行動を検討」との一部報道が伝わったほか、トランプ米大統領は「イスラエルの攻撃は差し迫っていないが、起こり得る」などと話した。
・金先物相場は続伸。為替相場でドル安が進んだことや米長期金利の低下が金の買いを後押した。また、中東の地政学リスクへの警戒感も安全資産とされる金の買いに拍車をかけた。
一部通信社が報じたところによると、「イスラエルは近日中の対イラン軍事行動を検討している」ようだ。
中国の乗用車メーカー団体、乗用車市場信息聯席会(CPCA)はこのほど、狭義での乗用車(セダン、多目的車=MPV、スポーツ多目的車=SUV)の2025年5月の小売台数が前年同月比13.3%増、前月比10.1%増の193万2000台だったと発表した。1-5月累計の小売台数は前年同期比9.1%増の881万1000台となった。ここ数年、中国本土の新車販売台数は下期に伸びる「前低後高」の傾向だったが、今年は上期から力強い傾向を示しており、5月は同月の販売台数としては過去最多だった2018年の181万台を6%上回った。
CPCAは5月の傾向として、個人購入者の約70%が買い替え助成策を利用したものだったこと、乗用車メーカーの小売り、卸売り、生産台数がいずれも同月過去最多だったこと、新エネルギー車の輸出台数が大きく伸びて1-5月累計は前年同期比95%増の64万台に達し、中国ブランド乗用車の輸出全体の37.9%を占めたことなどを挙げた。
中国ブランド車の1-5月の国内市場におけるシェアは64%と前年同期から7.9ポイント拡大した。中国ブランド車は新エネ車市場と輸出市場で台数増加が著しく、BYD(01211/002594)、吉利汽車(00175)、奇瑞汽車、重慶長安汽車(000625/200625)などの大手が市場シェアを伸ばした。一方、主要合弁ブランド車の5月の小売台数は前年同月比5%減、前月比7%増の47万台だった。
新エネ乗用車の小売台数は5月単月が前年同月比28.2%増、前月比12.1%増の102万1000台。1-5月累計では前年同期比34.1%増の435万1000台だった。新エネ乗用車の輸出台数は5月単月が前年同月比80.9%増、前月比5.8%増の20万台で、1-5月累計では前年同期比37.1%増の78万9000台だった。
12日05:19 ベッセント米財務長官
「米政権はドルの準備通貨としての地位維持にコミット」
12日07:57 トランプ米大統領
「現在は日本と韓国と交渉中」
「貿易交渉の期限延長の用意はあるが、必要とは考えていない」
「EUは交渉を望んでいる」
「2週間以内に一方的に関税率を設定する」
12日22:39
「中国との合意は素晴らしい」
13日00:32
「原油価格が若干上がっている」
「原油価格が上がるのは好ましくない」
「金利を下げたい」
「パウエルFRB議長を解任するつもりはない」
「近い将来、自動車関税は引き上げられる可能性」
「イスラエルの攻撃は差し迫っていないが、起こり得る」
「イランは核兵器を保有してはならない」
「イランとの紛争は避けたい」
12日16:22 リーブス英財務相
「4月はトランプ政権の関税が輸出に打撃を与えたため、厳しい月だった」
「歳出計画は財源を確保しており、財政規律とも整合的である」
12日16:30 中国商務省報道官
「レアアース管理に関するコミュニケーションを強化へ」
「レアアース輸出許可の発給を継続して拡大する」
12日16:50 シムカス・リトアニア中銀総裁
「非常に大きな不確実性を理由に金利政策の一時停止が重要」
「8回の利下げを経て中立水準に到達した。今はどちらの方向にも固執せず、決定の自由度を保つことが重要」
「今年中に追加利下げの可能性も排除しない」
「インフレが中期目標を下回るリスクが高まっている」
12日16:59 イラン革命防衛隊
「いかなるシナリオにも対応する準備ができており、軍事戦略も有している」
12日17:10 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「欧州中央銀行(ECB)の今後の金利動向は、確固たる立場をとらず、データに応じて決定する」
12日18:35 シュナーベルECB専務理事
「欧州中央銀行(ECB)は、金融政策面では、いい位置にいる」
12日18:53 ラガルドECB総裁
「世界経済は信じ難いショックに直面している」
※時間は日本時間
<国内>
○13:30 ◇ 4月鉱工業生産確報
○13:30 ◇ 4月設備稼働率
○13:30 ◇ 4月第三次産業活動指数(予想:前月比0.2%)
<海外>
○15:00 ◇ 5月独卸売物価指数(WPI)
○15:00 ◎ 5月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.1%/前年比2.1%)
○15:45 ◇ 5月仏CPI改定値(予想:前月比▲0.1%/前年比0.7%)
○18:00 ◎ 4月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比▲1.7%/前年比1.2%)
○18:00 ◇ 4月ユーロ圏貿易収支(予想:季節調整前なし/季節調整済183億ユーロの黒字)
○21:30 ◇ 4月カナダ製造業出荷(予想:前月比▲2.0%)
○21:30 ◇ 4月カナダ卸売売上高(予想:前月比▲0.9%)
○21:30 ◇ 1-3月期カナダ設備稼働率(予想:79.8%)
○23:00 ◎ 6月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:53.6)
○ロシア(振替休日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
昨日の海外市場でドル円は、前日の5月米消費者物価指数(CPI)に続き、5月米卸売物価指数(PPI)が予想より弱い内容だったことが分かると全般ドル売りが先行。一時143.19円まで弱含んだ。米国株相場が持ち直したことなどが相場を下支えし、143.90円付近まで下げ幅を縮める場面もあったが、中東での地政学リスクが懸念され上値も抑えられた。ユーロドルは1.1631ドルまで強含んだ。
本日の東京時間では、ドル円の値は限られそうだ。トランプ米大統領が再び関税交渉に強気な姿勢を見せていること、15日から17日までにカナダ・アルバータ州で先進国首脳会議(G7サミット)が開催されること、そしてイスラエルがイランへ攻撃する可能性が高まっていることなどで、リスク回避の動きになりやすそうだ。
2日間にわたって行われた米中閣僚級会談で、ジュネーブ合意履行の枠組みで一致し、米国は半年間限定となるもようだが、中国から期限限定でレアアース獲得にめどがついた。このことに気を良くしたのか、トランプ米大統領は他国への関税交渉に対して再び強気姿勢に戻っている。昨日の日本時間早朝にトランプ大統領は、貿易交渉の期限延長の用意はあるとしたものの、必要とは考えていないと述べ「2週間以内に一方的に関税率を設定する」と明言した。
米中会談自体でどの程度進展があったかは不明確なままだが、15日から始まるG7サミットでトランプ大統領が強気な姿勢で臨むことになる。世界中での関税合戦の再開を懸念したリスク回避の動きが進みやすい。
更に警戒しなくてはならないのは、トランプ大統領が「現在は日本と韓国と交渉中」と述べている中で、昨日は近い将来、自動車関税は引き上げられる可能性も示唆していること。この発言は、サミットで自動車の輸出大国である日韓に対しての圧力と捉えることができる。
サミットでは先月大統領に就任したばかりの韓国の李大統領も参加する予定だ。日韓にとっては自動車産業が基幹産業の一つということで、日米韓の3カ国での話し合いも持たれるか。韓国の関税交渉を担当する呂通商交渉本部長は、日経新聞のインタビューで米国との交渉について「日本との協力」の必要性を説いている。日韓とも米国への自動車の輸出総台数が年間100万台以上ということもあり、英国のように簡単に交渉(英国生産された自動車については年間10万台までは関税を10%に引き下げ)がまとまるのは難しい。
ここ最近では市場からも声が出ていないが、通商摩擦回避のために再びドル高修正についての話し合いが出る可能性もあることにも警戒しておきたい。なお、それぞれ2024年の日本から米国への輸出台数はトヨタ自動車が約53万台、続いてスバル約30万台、マツダが約28万台、日産自動車は約19万台、三菱約11万台となっている(本田技研は約5000台のみ)。
そして、新たな問題として持ち上がっているのは、イスラエルがイランへの攻撃の可能性が出てきていること。ウォールストリートジャーナル紙は、イランが6回目の交渉となる核協議で合意に達しない場合は、早ければ15日にイスラエルが攻撃を開始すると報じている。サミットだけでなく週末の中東情勢もリスクセンチメントの高まりがドル円やクロス円の重しになるだろう。
なお、本日は本邦から4月鉱工業生産確報、設備稼働率、第三次産業活動指数などが発表されるが、週末の政治的な動向に市場の注目が集まっていることで、経済指標での反応は限定的になりそうだ。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 38170 +20 (+0.05%)
TOPIX先物 2782.5 +2.5 (+0.08%)
シカゴ日経平均先物 38180 +30
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
12日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。トランプ米大統領は、イスラエルがイランを攻撃する可能性があるとの見解を示すなど、中東での地政学リスクが高まるなかで売りが先行して始まった。ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢となり上げに転じた。2025年3~5月期決算や見通しが市場予想を上回ったオラクル<ORCL>が13%を超える大幅高で上場来高値を更新。AI需要の強さを示したとして、ハイテク株や半導体株の一角に買いが広がった。
朝方に発表された5月米卸売物価指数(PPI)は前月比0.1%上昇と、市場予想(0.2%上昇)を下回ったほか、食品とエネルギーを除いたコア指数は同0.1%上昇となり、市場予想(0.3%上昇)以下だった。前日発表の5月の米消費者物価指数(CPI)も市場予想を下回るなかで、インフレ懸念が和らいだことも支援材料になっている。
S&P500業種別指数は、保険、ソフトウエア・サービス、公益事業が上昇した一方で、自動車・同部品、電気通信サービス、メディアの弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、アムジェン<AMGN>、メルク<MRK>、トラベラーズ<TRV>、エヌビディア<NVDA>が買われた。半面、ボーイング<BA>、スリーエム<MMM>、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>、ウォルマート<WMT>が下落。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比30円高の3万8180円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比70円安の3万8080円で始まった。その後もショート優勢の流れとなり、米国市場の取引開始直前には3万7950円まで下げ幅を広げる場面もみられた。ただし、中盤にかけてロングの動きからプラスに転じ、3万8270円まで上げ幅を広げた。買い一巡後は3万8120円~3万8200円辺りでの保ち合いが続き、3万8170円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや買い先行で始まることになろう。6月限の先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)は3万8000円を上回り、波乱なく通過することが見込まれる。ナイトセッションで節目の3万8000円を割り込む場面もあったが、200日移動平均線(3万7840円)、25日線(3万7760円)が支持線として意識されよう。
米国市場がハイテク主導で上昇した流れから、SQ値は高い位置で決まる可能性がある。SQ値が上値抵抗として意識されてくるようだと、短期的にショートを仕掛けてくる動きが入りやすいと考えられる。ただし、日米関税交渉について、6月15日~17日の主要7カ国首脳会議(G7サミット)にあわせた日米首脳会談で一定の合意を得ることを視野に入れている。ショートに大きく傾けて週を跨ぐことは考えにくいため、押し目狙いのロング対応でショートカバーを狙ったスタンスになりそうである。
ボリンジャーバンドの+1σ(3万8140円)での底堅さがみられるようだと、+2σ(3万8520円)とのレンジが意識されやすく、オプション権利行使価格の3万8000円から3万8500円でのレンジを想定しておきたい。
12日の米VIX指数は18.02(11日は17.26)に上昇した。一時18.87まで切り上がり、下向きで推移する25日線(18.67)を上回る場面もみられた。依然として同線が抵抗線として機能していることでリスク選好に向かわせるが、やや神経質にさせる可能性はありそうだ。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.72倍に低下した。前日の上昇で+1σ(13.74倍)を突破し、+2σ(13.83倍)が意識されていたこともあり、リバランスが入りやすいところだった。+1σ水準で上値を抑えられると、NTロングを巻き戻す動きに向かわせる半面、同バンドを上回ってくるようだと、5月14日につけた戻り高値13.86倍が射程に入ってくるとみておきたい。
東京市場は一進一退か。米国株は上昇。ダウ平均は101ドル高の42967ドルで取引を終えた。序盤には200ドル超下げる場面もあったが、早い時間に安値をつけて切り返し、プラス圏に浮上した。5月の生産者物価指数(PPI)が市場予想を下回り、10年債利回りが低下したことが支援材料となった。米金利低下を受けてドル円は足元143円40銭近辺と円高(ドル安)に振れている。CME225先物は円建てが30円高の38180円、ドル建てが160円高の38310円で取引を終えた。
米国株は上昇したが、円高は日本株には重荷となる。強弱感が交錯して方向感に欠ける展開を予想する。メジャーSQ日で序盤は振れ幅が大きくなる可能性がある。場中は為替動向に神経質となるだろう。ただ、15日からG7サミットが開催され、来週には日米中銀イベントが控えていることから、上でも下でも値幅が出ればそれを修正する動きが出てくる可能性が高い。売り買いをこなした後は値動きが落ち着き、次第に様子見姿勢が強まると予想する。日経平均の予想レンジは38050-38350円。
昨日の海外市場では、欧州時間から中東での地政学リスクが本格的に意識される展開となると、ドルスイスフランの下落を中心としたドル全面安の動きに。ドル円は欧州時間に144.14円まで買戻されたものの、NY時間に入って5月米PPIが予想を下回る弱い数字となると米長期金利の低下とともに一時143.19円まで売り込まれました。株価の買戻しにつれて143.90円まで値を戻したものの、引けにかけては再び143.47円まで下押ししてNY市場を終えました。
アジア時間に入ってからは、イスラエルがついにイランを空爆。日経平均やダウ先物が大幅な下落となるなか、米長期金利も低下。WTI原油先物は何と10%を超える暴騰。典型的なリスクオフの反応となると、為替市場でもドルスイスフランを中心に再びドル売りが強まる展開となりました。ただ、ドル円は142.80円の安値を付けた後は、143.29円まで買戻されているといったところです。
いずれにしても、今回の中東地政学リスクについては、為替市場での主役はあくまでもスイスフランとユーロドルであることは明らか。ドル円は、お付き合いさせられているだけといったところですが、為替市場全般に株式市場などよりは先んじて反応していただけに、実際の空爆後は鈍い値動きとなっています。
ユーロドルも、ユーロスイスの売りが出ていることもあってか、昨日の高値さえ上抜け出来ず、結局は戻り売りとなっているところをみるに、ドル円もまた、5月27日と3日に続き、142円台での3番底を形成しているともいえ、それぞれに個別の事情を伴った、難しいリスクオフ相場が展開されています。
日経225先物は11時30分時点、前日比520円安の3万7630円(-1.36%)前後で推移。寄り付きは3万8010円と、シカゴ日経平均先物(3万8180円)を下回り、売り先行で始まった。現物の寄り付き直後につけた3万8120円を高値に下へのバイアスが強まり、終盤にかけて3万7510円まで下落幅を広げる場面もみられた。引け間際は3万7600円~3万770円辺りでの保ち合いを継続。
トランプ米大統領は、イスラエルがイランを攻撃する可能性はあるとの見解を示すなど、中東での地政学リスクが警戒されていた。そのなかで、東京市場の取引開始時に「イスラエルがイランの核関連施設などを攻撃」と伝わった。為替市場では円相場が1ドル=142円台と円高に振れ、日経225先物はアルゴリズムが発動する形でショートの動きが強まった。6月限のSQ値は概算で3万8172.67円と波乱なく通過したものの、イスラエルのイラン攻撃を受けて、200日移動平均線(3万7830円)および25日線(3万7740円)を一気に割り込んだ。イランの報復攻撃が警戒されており、リバウンド狙いのロングは入りにくいだろう。
NT倍率は先物中心限月で13.69倍に低下した。一時13.66倍と、25日線(13.66倍)水準まで低下してきたことで下げ渋る動きをみせている。
本日のロンドン為替市場では、中東情勢を見定めながらの取引となりそうだ。東京午前にイスラエルがイランに先制攻撃をしたことが伝わると、避難通貨とされるスイスフランが対ユーロや対ドルで買われた。ユーロスイスフランは0.9308フランと早朝の水準から約100ポイント下落し、ドルスイスフランも4月下旬以来の0.80フラン半ばまでドル安フラン高に振れている。
イスラエル軍の攻撃は、イランの核関連施設を含む数十カ所とされ、今後も軍事作戦の継続が表明された。この攻撃により、イラン側は革命防衛隊の司令官が死亡したもよう。今後は、イラン側からの報復がどの程度まで強まるかに警戒が必要。紛争が長期化するようだと、中東からのエネルギー供給に対する不安感から、急騰した原油価格が高止まる可能性がある。そうなるとインフレ懸念にも当然繋がり、石油を輸入に頼る国の経済成長の足かせにもなるだろう。
今回イスラエルは、トランプ米大統領の意向に反してイラン攻撃を実行した。米国は15日にもイランと6回目となる核協議を予定しており、今回の攻撃で開催されるか不透明となった。イスラエルの行動はトランプ政権の顔に泥を塗ったことになり、国際社会のなかでも孤立感を深めてしまうだろう。逆にそれがイスラエルのより過激な行動に繋がってしまうかもしれない。
いずれにせよ本日は、株や債券、商品市場の動向を眺めながら、イスラエル対イラン関連の報道に注視し、為替はスイスフランを中心とした値動きとなりそうだ。なお、経済指標は独仏の5月消費者物価指数(CPI)が発表されるが、こちらは改定値。他、4月ユーロ圏鉱工業生産などが発表予定。
想定レンジ上限
・ドルスイスフラン、日足一目均衡表・転換線0.8153フラン
・ユーロスイスフラン、11・12日高値0.9429フラン
・ユーロドル、昨日高値1.1631ドル
想定レンジ下限
・ドルスイスフラン、心理的節目0.8000フラン
・ユーロスイスフラン、4月11日安値0.9222フラン
・ユーロドル、日足一目均衡表・転換線1.1494ドル
ドル円:1ドル=143.52円(前営業日NY終値比△0.04円)
ユーロ円:1ユーロ=165.47円(▲0.75円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1529ドル(▲0.0055ドル)
日経平均株価:37834.25円(前営業日比▲338.84円)
東証株価指数(TOPIX):2756.47(▲26.50)
債券先物9月物:139.52円(△0.70円)
新発10年物国債利回り:1.400%(▲0.055%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月鉱工業生産・確報値
前月比 ▲1.1% ▲0.9%
前年同月比 0.5% 0.7%
4月設備稼働率
前月比 1.3% ▲2.4%
4月第三次産業活動指数
前月比 0.3% ▲1.0%・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は行って来い。イスラエルがイランを空爆したことを受けて時間外のダウ先物や日経平均株価が急落するとリスク回避の売りが進行。時間外の米10年債利回りが低下したことも売りを促し、昨日安値の143.19円を下抜けて142.80円まで下げ足を速めた。ただ、対ユーロなどでドルの買い戻しが鮮明になると一転して反発。一時143.87円まで切り返した。
・ユーロドルは一転下落。イスラエルによるイラン空爆を受けて初動はドル売りで反応し、一時1.1614ドルまで値を上げた。ただ、昨日高値の1.1631ドルに届かず失速。ユーロスイスフランが急落した影響を受けると1.1512ドルまで一転下落した。
・ユーロ円は売り優勢。中東情勢の緊迫化を受けて全般円高が進むと一時164.95円まで急速に値を下げた。一巡後は165.70円台まで下げ渋ったが、対スイスフランなどでユーロ安が進んでいる影響などから戻りは鈍かった。
・日経平均株価は続落。イスラエルとイランの対立激化を懸念して売りが活発化し、指数は一時630円超下落した。もっとも、急ピッチで下げた反動から一巡後は下げ幅を縮めた。
・債券先物相場は3日続伸。中東情勢の悪化を背景に安全資産とされる債券需要が急速に高まった。
石破首相がトランプ米大統領と今夜電話会談を行うことで調整しているとNHKが伝えた。
イランの空域は当面閉鎖される予定だとイランのイスラーム共和国通信(IRNA)が伝えた。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
「トランプ劇場」の背後で強かさを増す中国外交の行方
グローバルサウスのみならず、主要国にも影響力拡大を目指すなかで関係の再構築は避けられない
このところの世界経済や国際金融市場は、米国の関税政策により混乱している。米国は安全保障上の理由や貿易赤字の縮小に向けて関税政策を駆使し、特に中国との間では高関税を応酬する貿易戦争に発展した。米中協議を経て報復課税は撤廃されたが、その後も中国のレアアース輸出を巡る懸念を受け、米国は半導体輸出規制や学生ビザの取り消しなど対抗措置に動いた。再度の協議を経て関係改善が確認されたが、今後もトランプ氏の「暴言」と「尻込み」に揺さぶられる展開が続く可能性は高いと見込まれる。
一方、中国は米国が内向き姿勢を強めるのを尻目に、「自由貿易の旗手」として新興国との連携強化による影響力拡大を図っている。地理的に近いASEAN(東南アジア諸国連合)をはじめとするアジアに加え、中東、中南米、アフリカ諸国との関係深化を図るなど、米国の空白を埋める動きをみせている。近年は新興国の間で「脱ドル」を目指す動きがみられるなか、中国は人民元建て融資枠を創設するなどその「受け皿」となるとともに、人民元の国際化を推進することも期待される。米国の国際開発庁(USAID)廃止によるソフトパワーの喪失の影響も懸念される。
米トランプ政権による「米国第一主義」は伝統的な同盟国との関係にも溝を生じさせている。その結果、中国の外交戦略に対抗する国際的な結束は弱まることも懸念される。世界は、不可逆的に影響力の拡大を目指すことが予想される中国との関係を再構築する必要に迫られることは避けられないであろう。
イスラエルはイランとの本格的な戦争の可能性に備えていると、ネタニヤフ・イスラエル首相の事務所がTASS通信に伝えた。
「中国との合意は成立した。あとは習近平国家主席と私の最終承認を残すのみだ。
習氏と私が米国との貿易に中国市場を開放すべく、緊密に協力していく。これは両国にとって偉大な勝利になるだろう」(トランプ米大統領)
トランプ米大統領(1946年6月14日生まれ)と習・中国国家主席(1953年6月15日生まれ)は、おそらく誕生日プレゼントとして米中通商合意の締結を望んでいるのかもしれない。
米国は、重要なハイテク製品への輸出規制緩和に応じ、中国大学生の留学を受け入れ、中国は、切り札であるレアアースの輸出を再開することになっている。
5月10-11日にジュネーブで締結された米中通商協定は、6月9-10日のロンドンでの米中通商合意を経て、両首脳の署名を待つ段階となっている。
1. ジュネーブ合意(5月10-11日:12日)
・相互関税率を115%引き下げて90日間猶予(※8月12日)
■米国:ベッセント米財務長官、ラトニック米商務長官、グリアUSTR代表
・相互関税率を145%から34%に引き下げる
・24%の執行を90日間停止して、ベースライン関税の10%を適用する
【例外】
・中国原産品への7.5~100%の追加関税
・フェンタニルの流入防止を目的とした中国原産品に対する20%の追加関税
・鉄鋼・アルミニウム製品や自動車・同部品に対する25%の追加関税
※ベッセント米財務長官「双方の共通認識はどちらの側もデカップリングは望んでいないということだ。かなり高い関税措置は、事実上の禁輸措置で、どちらも望んでいないものだ。われわれは貿易をすることを望んでいる」
■中国:何立峰副首相
・米国原産品への125%の追加関税率を当初の34%に戻す
・24%の執行を90日間停止し、追加関税率を10%とする
※中国商務省「今回の措置は両国の生産者と消費者の期待に応えるものであり、両国の利益および世界の共通利益にもかなっている」
2. ロンドン合意(6月9-10日)
■米国:55%(ベッセント米財務長官、ラトニック米商務長官、グリアUSTR代表)
1)10%:一律関税
2)20%:フェンタニルの流入に関連する追加課税
3)25%:最恵国待遇税率
■中国:10%(何立峰副首相)
※李成鋼中国商務次官「ロンドンでの米中通商協議で、6月5日の両首脳の電話会談での合意とジュネーブ会談での合意を実施するための枠組みで原則合意した」
イラン北西部タブリーズで新たな爆発が発生したと地元メディアが伝えた。
東海東京インテリジェンス・ラボでは、シカゴ投機筋(IMM通貨先物市場)のネット円ロング(買い持ち)ポジションが、4月29日に過去最大まで積み上がった後、6月3日時点で5週連続で縮小していることに注目している。投機筋は足元で4カ月以上にわたって円ロングを維持しているが、これ以上の円ロングの積み増しは困難と東海東京では考えている。投機である以上、いずれ「史上最大規模の円ロング」は解消されるとみており、夏休み前の円ロング解消に警戒が必要と考えている。
大阪9月限
日経225先物 37780 -370 (-0.96%)
TOPIX先物 2753.0 -27.0 (-0.97%)
日経225先物(6月限)は前日比370円安の3万7780円で取引を終了。寄り付きは3万8010円と、シカゴ日経平均先物(3万8180円)を下回り、売り先行で始まった。現物の寄り付き直後につけた3万8120円を高値に下へのバイアスが強まり、ランチタイムで3万7470円まで下落幅を広げる場面もみられた。ただし、その後は下げ渋り、後場終盤にかけて3万7800円辺りまで下げ幅を縮めた。
トランプ米大統領が、イスラエルによるイラン攻撃の可能性に言及するなど、中東での地政学リスクが警戒されていた。そのなかで、東京市場の取引開始時に「イスラエルがイランの核関連施設などを攻撃」と伝わった。為替市場では円相場が1ドル=142円台と円高に振れ、日経225先物はアルゴリズムが発動する形でショートの動きが強まった。
6月限のSQ値は概算で3万8172.67円と波乱なく通過したものの、イスラエルのイラン攻撃を受けて、200日移動平均線(3万7830円)と25日線(3万7740円)を一気に割り込んだ。後場はショートカバーが優勢となるなかで25日線水準を回復し、ナイトセッションでは現時点で200日線を上回って推移している。両線を早い段階で回復してきたことで、ショートを仕掛けにくくさせそうだ。
今回の攻撃に対し、イランは「イスラエルは厳しい処罰を受けることになる」との見解を示し、イランから無人機100機が発射されたとの報道もある。報復の応酬が激化するようだと、引き続き不安定な相場展開を余儀なくされよう。ただし、来週は6月15日~17日の主要7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせて開かれる日米首脳会談において、関税問題で一定の合意を得ることができれば、押し目狙いのスタンスに向かわせそうである。
200日線を上回って推移が続くようだと、日経平均株価も6月限のSQ値を突破してくる展開が意識されてくるだろう。SQ値を早い段階で回復してくればセンチメントの改善につながり、ショートカバーを誘う可能性がある。そのため、オプション権利行使価格の3万8000円を中心とした上下の権利行使価格である3万7500円から3万8500円辺りのレンジが意識されよう。
NT倍率は先物中心限月で13.72倍と前日比変わらず。前場に一時13.66倍と、25日線(13.66倍)水準まで低下してきた後は、下げ渋る動きをみせている。東証プライムの8割ほどの銘柄が下落するなかで、アドバンテスト<6857.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株の一角が買われ、日経平均型を支える形だった。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が3万2706枚、ソシエテジェネラル証券が1万9646枚、サスケハナ・ホンコン証券が6303枚、JPモルガン証券が4530枚、SBI証券が3555枚、バークレイズ証券が3033枚、野村証券が2222枚、ゴールドマン証券が2118枚、モルガンMUFG証券が2008枚、日産証券が1875枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が2万4143枚、ソシエテジェネラル証券が1万9564枚、バークレイズ証券が5266枚、JPモルガン証券が4666枚、モルガンMUFG証券が3383枚、ゴールドマン証券が3147枚、ビーオブエー証券が2688枚、サスケハナ・ホンコン証券が2435枚、みずほ証券が1777枚、シティグループ証券が1523枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、明日のトランプ米大統領の79歳の誕生日を控えて、内憂としての全国規模の抗議デモと外患としてのイスラエルとイランの軍事対立の影響を見極めていく展開となる。
イスラエルがイランの攻撃に踏み切ったことで、最悪のシナリオとして、第5次中東戦争に繋がった場合、有事のドル買い要因となる。しかし、米国が介入した場合、ドル売り要因となりかねないため、今後の推移を見守っていくことになる。
6月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:53.6)では、1年先のインフレ期待(※5月分6.6%)や5-10年先のインフレ期待(※5月分は4.2%)に注目しておきたい。
先日ニューヨーク連銀が発表した5月の消費者調査によると、1年先のインフレ期待は3.2%(4月は3.6%)、3年先のインフレ期待は3.0%(4月は3.2%)、5年先のインフレ期待は2.6%(4月は2.7)と、インフレ期待は全期間において低下していた。
米国の5月の消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)も伸び率が鈍化しており、今後のインフレの道筋を巡る懸念が緩和しつつあることで、米連邦公開市場委員会(FOMC)でのトランプ関税に対する「不確実性(uncertainty)」も後退する可能性が高まりつつある。
昨日発表された米5月卸売物価指数(PPI)では、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している「PCEデフレーター」の算出に用いられる項目が低下していたことで、5月PCEデフレーターの伸び率鈍化観測が高まっている。
懸念材料としては、中東情勢の緊迫化を受けて原油相場が急騰しつつあり、原油高による物価上昇懸念が高まっていることが挙げられる。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」での利下げ時期は、9月FOMC(▲0.25%=4.00-25%)と予想されており、10月FOMCでの年内2回の利下げで12月時点のFF金利誘導目標は3.75-4.00%と見込まれている。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、144.57円(6/12高値)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、142.38円 (6/3 安値)
今晩は軟調か。昨日は予想を上回る決算や強い見通しを発表したオラクルが13%高と急伸したことや、米5月生産者物価指数(PPI)が予想を下回る伸びにとどまったことが好感され主要3指数がそろって上昇。ダウ平均が101.85ドル高(+0.24%)、S&P500が0.38%高、ナスダック総合が0.24%高と主要3指数がそろって反発した。S&P500は10日終値を上回り、2月に付けた史上最高値まで1.61%に迫った。引け後の動きではイスラエルがイランの核施設などを攻撃し、イランも無人機などでイスラエルに報復攻撃をすると報じられた。
今晩は中東情勢の悪化を受けてリスク回避が強まりそうだ。イスラエルとイランの対立激化を受けてアジア時間では原油相場が急騰しており、原油高による物価上昇懸念も相場の重しとなりそうだ。経済指標では6月ミシガン大消費者信頼感指数速報値や併せて発表される6月ミシガン大1年先・5年先期待インフレ率速報値に注目が集まる。6月消費者信頼感指数速報値は59.4と前月の58.9から改善が見込まれているが、弱い結果となれば景気減速懸念が強まることが警戒される。また、前月の期待インフレ率は1年先が6.6%、5年先は4.2%と1993年2月以来の4%超えとなったが、6月速報値が引き続き高水準となれば、インフレ懸念の高まりや利下げ期待の後退が相場の重しとなりそうだ。
今晩の米経済指標・イベントは6月ミシガン大消費者信頼感指数速報値、同1年先・5年先期待インフレ率速報値など。主要な企業の決算発表はなし。
日経平均株価は続落。5日移動平均線(38145円 6/13)付近を意識したスタートから下値模索の展開となり、一時は下落幅が600円を超える場面があった。一方、後場中盤あたりから次第に下げ幅を縮小し、25日移動平均線(37760円 同)上を保って終えた。
RSI(9日)は前日の54.8%→59.2%(6/13)に上昇。引き続き見方は変わらず、4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇継続の判断となる。目先波動はもみ合いの動きだが、5/13高値と5/29高値(38454円)をつないで延長した上値抵抗線を超えていけるかが焦点となる。
一方、75日移動平均線(36636円 同)や100日移動平均線(37261円 同)などが依然として下落基調にあることが株価の上値を限定的にし、もみ合いを長引かせる要因になる。
上値メドは、心理的節目の38000円、6/11高値(38529円)、心理的節目の39000円や39500円、2/13高値(39581円)などがある。下値メドは、25日移動平均線、100日移動平均線、心理的節目の37000円、75日移動平均線、心理的節目の36500円などがある。
(13日終値:14日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=144.09円(13日15時時点比△0.57円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=166.41円(△0.94円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1549ドル(△0.0020ドル)
FTSE100種総合株価指数:8850.63(前営業日比▲34.29)
ドイツ株式指数(DAX):23516.23(▲255.22)
10年物英国債利回り:4.550%(△0.073%)
10年物独国債利回り:2.535%(△0.057%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月独卸売物価指数(WPI)
(前月比) ▲0.3% ▲0.1%
5月独消費者物価指数(CPI)改定値
(前月比) 0.1% 0.1%
(前年同月比) 2.1% 2.1%
5月仏消費者物価指数(CPI)改定値
(前月比) ▲0.1% ▲0.1%
(前年同月比) 0.7% 0.7%
4月ユーロ圏鉱工業生産
(前月比) ▲2.4% 2.4%・改
(前年比) 0.8% 3.7%・改
4月ユーロ圏貿易収支
(季調済)140億ユーロの黒字 288億ユーロの黒字・改
(季調前) 99億ユーロの黒字 368億ユーロの黒字
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は底堅い動き。イスラエルがイランの核関連施設を空爆した一方、イランは報復としてイスラエルに向けて100機以上のドローンを発射。今後軍事衝突が激化し、世界経済に悪影響を及ぼすとの懸念が高まった。投資家が運用リスクを回避する姿勢を強め、流動性が高いドルを買う動きが広がると、22時30分過ぎに一時144.48円と日通し高値を付けた。
ただ、前日の高値144.57円が目先レジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。0時30分過ぎには143.96円付近まで下押しした。
なお、石破茂首相はトランプ米大統領と電話会談を行い、米関税措置に関する日米協議の結果を踏まえつつ、米関税措置に係る日本の考えを改めて伝えた。また、両首脳は日米双方にとって利益となる合意の実現に向け、担当閣僚間での協議を加速させていくことで一致した。
・ユーロドルは下げ渋り。中東情勢の緊迫を背景に「有事のドル買い」が先行すると、20時前に一時1.1489ドルと日通し安値を付けた。ただ、前日の安値1.1485ドルが目先サポートとして意識されると下げ渋った。欧州中央銀行(ECB)による利下げ局面が終わりに近づいているとの見方が強まる中、押し目買いなども入りやすく、0時30分過ぎには1.1569ドル付近まで持ち直した。
なお、NY時間発表の6月米ミシガン大学消費者態度指数速報値は60.5と予想の53.6を上回った一方、1年先の期待インフレ率は5.1%と予想の6.4%を大幅に下回った。5-10年先は4.1%と市場予想に一致した。
・ユーロ円は堅調。東京午前に一時164.95円まで売り込まれた反動で買い戻しが先行。ドル円の上昇やユーロドルの下げ渋りにつれた買いが入ると一時166.59円まで上昇し、前日に付けた昨年7月以来の高値166.74円に迫った。
・ロンドン株式相場は4日ぶりに反落。中東情勢の緊迫化で投資家のリスク回避姿勢が強まると、株売りが優勢となった。前日に史上最高値を更新したあとだけに利益確定目的の売りも出やすかった。セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株が売られたほか、アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株が値下がりした。
・フランクフルト株式相場は6日続落。イスラエルのイラン攻撃を受けて、中東の地政学リスクの高まりが意識されると売りが優勢となった。個別ではアディダス(2.77%安)やポルシェ(2.54%安)、SAP(2.45%安)などの下げが目立ち、ラインメタル(2.72%高)などを除く35銘柄が下落した。
・欧州債券相場は下落。中東情勢の緊迫化を背景に原油先物相場が大幅に上昇。物価上昇圧力につながるとの見方から債券売りが出た。
(13日終値)
ドル・円相場:1ドル=144.07円(前営業日比△0.59円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=166.37円(△0.15円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1549ドル(▲0.0035ドル)
ダウ工業株30種平均:42197.79ドル(▲769.83ドル)
ナスダック総合株価指数:19406.83(▲255.65)
10年物米国債利回り:4.40%(△0.04%)
WTI原油先物7月限:1バレル=72.98ドル(△4.94ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3452.8ドル(△50.4ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値)
60.5 52.2
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は3日ぶりに反発。イスラエルとイランの軍事衝突が激化し、世界経済に悪影響を及ぼすとの懸念が高まる中、投資家が運用リスクを回避する姿勢を強め、流動性が高いドルを買う動きが優勢となった。22時30分過ぎに一時144.48円と日通し高値を付けた。
ただ、前日の高値144.57円が目先レジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。「イランはイスラエル領に向けて報復とみられるミサイルの一斉発射を行った」と伝わったほか、イランの最高指導者ハメネイ師が「戦争を始めたのはイスラエル、無傷では終わらせない」と表明すると、ダウ平均が一時880ドル超下落。リスク・オフの円買いも入り、4時前には143.85円付近まで下押しした。
・ユーロドルは5日ぶりに反落。中東情勢の緊迫を背景に「有事のドル買い」が先行すると、20時前に一時1.1489ドルと日通し安値を付けたものの、前日の安値1.1485ドルが目先サポートとして意識されると下げ渋った。欧州中央銀行(ECB)による利下げ局面が終わりに近づいているとの見方が強まる中、押し目買いなども入りやすく、0時30分過ぎには1.1569ドル付近まで下値を切り上げた。
なお、23時発表の6月米ミシガン大学消費者態度指数速報値は60.5と予想の53.6を上回った一方、1年先の期待インフレ率は5.1%と予想の6.4%を大幅に下回った。5-10年先は4.1%と市場予想に一致した。市場では「この日は中東情勢に投資家の関心が向いており、相場はあまり反応しなかった」との声が聞かれた。
・ユーロ円は小幅ながら7日続伸。1時前に一時166.59円と日通し高値を付けたものの、前日に付けた昨年7月以来の高値166.74円がレジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。米国株相場の下落も相場の重しとなり、3時30分過ぎには165.99円付近まで下押しした。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は大幅に反落。イスラエルとイランの軍事衝突が激化し、世界経済に悪影響を及ぼすとの懸念が高まる中、投資家が運用リスクを回避する姿勢を強め株売りが広がった。指数は一時880ドル超下落した。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も大幅反落した。
・米国債券相場で長期ゾーンは3日ぶりに反落。中東情勢の緊迫化を背景にWTI原油先物相場が急騰すると、インフレ懸念による債券売りが広がった。
・原油先物相場は大幅反発。イスラエルによる対イラン攻撃を受けて急伸した。イランも応戦し、軍事衝突が激化するとの懸念が強まっている。中東の地政学リスクの高まりで原油の供給混乱が警戒され、一時77ドル台まで大幅高となった。
・金先物相場は3日続伸。イスラエルがイランの核関連施設などを攻撃し、イランも報復の反撃に出ている。中東の地政学リスクが意識され、投資家のリスクオフの動きが強まった。米株が大幅安となった一方で、逃避資産の金に買いが入った。
イスラエル軍は「イランからイスラエルに向けたミサイル発射を確認した」と発表した。
一部通信社が報じたところによると、「イランはイスラエルを狙ったミサイル第2弾を発射した」ようだ。
13日05:24 ラトニック米商務長官
「中国に対する関税適用停止の延長はないだろう」
13日10:13 赤沢経済再生相
「日米首脳会談は必ずあると思う」
「関税措置の見直しを強く求めることは現時点でも変わらない」
13日16:21 イラン軍
「イスラエルへの報復に制限はない」
13日22:34 石破首相
「トランプ米大統領と電話会談を行った」
「カナダで会談行うことで一致した」
「日米首脳会談の具体的な日時は調整」
「米関税措置の撤廃を求める立場に変わりはない」
13日23:08 赤沢経済再生相
「日米関税交渉は重要な局面を迎えている」
「日米首脳電話会談の内容を踏まえ、全力で合意を目指す」
13日23:09 スターマー英首相
「英米通商協定の最終合意への障壁はない」
14日03:32 イランの最高指導者ハメネイ師
「戦争始めたのはイスラエル、無傷では済まない」
※時間は日本時間
16日
○日銀金融政策決定会合(1日目)
17日
○未定 ☆ 日銀金融政策決定会合(終了後、決定内容発表)
○15:30 ☆ 植田和男日銀総裁、定例記者会見
18日
○08:50 ◎ 5月貿易統計(通関ベース)
○08:50 ◎ 4月機械受注
19日
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
20日
○08:30 ☆ 5月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合)
○08:30 ☆ 5月全国CPI(生鮮食料品・エネルギー除く)
○08:50 ☆ 4月30-5月1日分の日銀金融政策決定会合議事要旨
○15:40 ◎ 植田和男日銀総裁、あいさつ
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
15日
○主要7カ国(G7)首脳会議(G7サミット、カナダ・アルバータ州、17日まで)
16日
○11:00 ◎ 5月中国鉱工業生産
○11:00 ◎ 5月中国小売売上高
○15:30 ◇ 5月スイス生産者輸入価格
○16:00 ◇ 4月トルコ経常収支
○16:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○21:00 ◎ チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○21:15 ◇ 5月カナダ住宅着工件数
○21:30 ◎ 6月米ニューヨーク連銀製造業景気指数
○17日02:00 ◎ 米財務省、20年債入札
○南アフリカ(青年の日)、休場
17日
○18:00 ◎ 6月独ZEW景況感指数
○18:00 ◎ 6月ユーロ圏ZEW景況感指数
○21:30 ◇ 4月対カナダ証券投資
○21:30 ☆ 5月米小売売上高
○21:30 ◇ 5月米輸入物価指数
○22:15 ◎ 5月米鉱工業生産
◇ 設備稼働率
○23:00 ◇ 4月米企業在庫
○23:00 ◎ 6月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数
○18日00:45 ◎ センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
○07:45 ◇ 1-3月期ニュージーランド(NZ)経常収支
○15:00 ◎ 5月英消費者物価指数(CPI)
○15:00 ◎ CPIコア指数
◇ 小売物価指数(RPI)
○16:30 ◎ スウェーデン中銀、政策金利発表
○16:30 ◎ エルダーソンECB専務理事、講演
○17:00 ◇ 4月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
○17:00 ◎ 5月南アフリカCPI
○18:45 ◎ エスクリバ・スペイン中銀総裁、講演
○18:00 ☆ 5月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値
○18:00 ☆ 5月ユーロ圏HICPコア改定値
○18:30 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○19:15 ◎ クノット・オランダ中銀総裁、講演
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○20:00 ◇ 4月南アフリカ小売売上高
○21:30 ◎ 5月米住宅着工件数
◎ 建設許可件数
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○19日01:00 ☆ 1-3月期ロシア国内総生産(GDP)改定値
○19日03:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表
○19日03:00 ☆ FOMC、経済・金利見通し発表
○19日03:30 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○19日05:00 ◎ 4月対米証券投資動向
○19日06:30 ☆ ブラジル中銀、政策金利発表
19日
○07:45 ☆ 1-3月期NZ・GDP
○10:30 ◎ 5月豪雇用統計(失業率/新規雇用者数)
○16:30 ☆ スイス国立銀行(中央銀行、SNB)、政策金利発表
○17:00 ◎ ノルウェー中銀、政策金利発表
○18:00 ◇ 4月ユーロ圏建設支出
○18:45 ◎ デギンドスECB副総裁、講演
○20:00 ◎ トルコ中銀、政策金利発表
○20:00 ☆ 英中銀(BOE)、政策金利発表
○20:00 ☆ 英中銀MPC議事要旨
○ポーランド、ブラジル(聖体節)、米国(ジューンティーンス)、休場
20日
○08:01 ◇ 6月英消費者信頼感指数(Gfk調査)
○15:00 ◇ 5月独生産者物価指数(PPI)
○15:00 ◎ 5月英小売売上高
○15:45 ◇ 6月仏企業景況感指数
○17:30 ◎ 5月香港CPI
○21:30 ◎ 4月カナダ小売売上高
○21:30 ◇ 5月カナダ鉱工業製品価格
○21:30 ◇ 5月カナダ原料価格指数
○21:30 ◎ 6月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数
○23:00 ◎ 6月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値)
○23:00 ◎ 5月米景気先行指標総合指数
○ニュージーランド(マタリキ)、スウェーデン(夏至祭)、休場
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
◆豪ドル、米政府の強気の関税交渉によるリスクセンチメント悪化に警戒
◆豪ドル、雇用統計で利下げサイクル変更の可否を見極め
◆ZAR、ネガティブ要素も多いが高金利維持で底堅い展開
予想レンジ
豪ドル円 91.00-95.00円
南ア・ランド円 7.90-8.30円
6月16日週の展望
豪ドルは、来週は神経質な動きになりそうだ。市場が注目する国外要因では15-17日にカナダで行われる主要7カ国首脳会議(G7サミット)。豪国内からは5月の雇用統計に注目が集まる。
今週2日間にわたって行われた米中閣僚級貿易協議では、ジュネーブ合意履行の枠組みで一致し、半年間の限定だが米国は中国からのレアアース輸入の合意が報じられている。この会談を経て、レアアース獲得の見通しが立ったこともあり、トランプ米大統領が再び他国に対する関税交渉に強気の姿勢を見せていることが警戒されている。関税賦課の延長期限(90日間)の期日まで4週間を切っている中で、トランプ米大統領は11日には「2週間以内に一方的に関税率を設定する」と明言。サミットで交渉が進まなかった国に対しては高賦課関税を掛けるということでもあり、各国は米国との交渉進展を急ぐことになりそうだ。豪州はG7参加国ではなく、対米貿易赤字を計上していることで高賦課関税は予想されていない。ただ、他国に対して関税圧力が増すと、リスクセンチメント悪化で豪ドルは売られやすくなるだろう。
豪州からは、来週は18日に5月ウエストパック景気先行指数、19日に5月雇用統計が発表予定。注目は雇用統計。4月は新規雇用者数が市場予想を上回ったが、雇用者増は「シグナルというよりノイズ」である可能性が強いとされている。インフレ率は一貫して低下し、民間部門の賃金上昇も鈍化していることを考えると、5月も雇用統計がよほど強くならない限りは、豪準備銀行(RBA)の利下げサイクルが変わらない可能性が高い。なお、ニュージーランド(NZ)からは18日に1-3月期の経常収支、19日に同月期の国内総生産(GDP)が発表される。
南アフリカ・ランド(ZAR)は引き続き堅調な動きが予想される。米国からの関税賦課や、冬季に向けての電力不足など様々な問題を抱える中でZARは堅調地合いを維持している。4月の製造業生産は前年比で-6.3%と、6カ月連続でマイナスになるなど南ア経済に対しての不安は拭いきれない。ただ、トランプ関税の影響で世界的に投機資金の向かう先が限られ、高金利を維持する可能性が高い南アに資金が流入していることが、引き続きZARの支えになりそうだ。なお、来週の南アからの経済指標は18日に5月消費者物価指数(CPI)、4月小売売上高が発表される。また、19日には南ア準備銀行(SARB)の金融安定化レビューが公開される。
6月9日週の回顧
豪ドルは対ドルでは底堅いが、対円では上値が重かった。米中の関税交渉期待で対ドルでは一時年初来高値となる0.6546ドルまで強含んだ。ただ対円では、トランプ米大統領が「一方的に関税率を設定する」と発言したほか、イスラエルによるイラン攻撃でリスク回避の動きが強まると94円後半から92円前半まで押し戻された。ZARは対ドルでは年初来高値を更新。対円でも3月末の水準まで上昇したが週後半は上げ幅を吐き出した。中国がアフリカの53カ国に対して関税をゼロにすると発表したことが支えになったが、対円ではリスク回避の動きが重しになった。
◆ポンド、英中銀会合では金利の据え置きがほぼ織込み済み
◆ポンド、賃金の伸び低下を確認。金利発表前日の5月CPIに注目
◆加ドル、関税交渉を睨みつつ金融政策発表に伴ったドルや円の動きに左右
予想レンジ
ポンド円 192.00-197.00円
加ドル円 102.50-106.50円
6月16日週の展望
来週19日はイングランド銀行(英中銀、BOE)の政策金利発表が予定されている。前回5月会合では政策金利を4.50%から4.25%への引き下げが決定された。ただ、票は5人が0.25%の利下げを支持、2人が0.50%の利下げを支持、2人が据え置きを支持と3通りに割れた。米関税の不確実性が経済・インフレ見通しの不透明感を高めていることがメンバーの票割れにつながっている。ベイリーBOE総裁は「全ての会合がライブ」との見解を示しているが、市場は来週の会合での金利据え置きをほぼ織り込んでいる。
政策金利発表前日の18日には、5月消費者物価指数(CPI)の発表も予定されている。結果が市場予想と大きく乖離すれば、BOEメンバーの政策判断に影響を与える可能性もある。5月会合後に発表された4月CPIは前年比3.5%と3月から予想以上に伸びが大幅加速し、BOEが注視するサービス物価も市場やBOEの予想を大きく上回った。5月もCPIの伸びが加速すれば、BOEが年内の利下げペースを落とすとの見方が一段と高まりそうだ。
ただ、今週発表された2-4月失業率は4.6%と前回の4.5%からやや上昇。平均賃金(除賞与)は前年比5.2%と7カ月ぶりの低水準となった。インフレの緩和を見込んでいるBOEが「賃金の伸びの鈍化」への確信を高めると8月にも利下げを再開する可能性はある。
カナダ国内では、5月住宅着工件数や4月小売売上高などの発表が予定されている。結果が加ドルの動意につながる可能性は低く、関税・貿易をめぐる米政府との協議を睨みつつ、来週に金融政策の結果公表を控えるドルや円相場に左右される動きが見込まれる。日銀と米連邦準備制度理事会(FRB)では、ともに今回の会合で政策金利の据え置きが予想されており、今後の政策運営についてヒントが得られるかが注目されている。
なお、6日に発表された5月雇用統計では、雇用者数は減少予想に反して0.88万人増となった一方で、失業率は7.0%とコロナ禍の2020年と21年を除くと2016年9月以来の高水準を記録した。関税の影響を鑑みると、5月の雇用状況は底堅さを示したとの声も出ている。また、通商政策の不透明感を背景に販売が減少していた不動産市場に持ち直しの兆しが見え始めているとの見方もある。ただ、米関税の全体的な影響を判断するのは時期尚早で、経済データ次第ではカナダ中銀(BOC)が早い段階で利下げを再開する可能性がある。
6月9日週の回顧
米インフレデータが予想比下振れし、全般ドル売りが優勢。ポンドドルは英賃金の伸びが鈍化したことを受けて一時売りが入るも、ドル安を支えに2022年2月以来の高値水準となる1.36ドル台前半に切り返した。ドル/加ドルは小動きながら1.36加ドル割れまでドル売り・加ドル買いが優勢となった。
対円では米中貿易摩擦への懸念が和らいだことが支えとなるも、ドル円の下げが重しとなり、ポンド円は196円半ば、加ドル円は106円前半で上値が抑えられた。
◆ドル円、G7サミット・米関税率・中東情勢に警戒
◆日銀の国債買入額見直し、FOMCのドットプロットなどにも注目
◆ユーロドル、欧米通商協議や地政学リスクに注意
予想レンジ
ドル円 141.50-145.50円
ユーロドル 1.1400-1.1750ドル
6月16日週の展望
ドル円は、トランプ米大統領が「2週間以内に各国に通告する」とした関税率への警戒感や中東の地政学リスクが上値を抑えるか。そういった中、先進国首脳会議(G7サミット)前後での通商交渉、現状維持予想の日銀金融政策決定会合における国債買入額消却を巡る協議や、米連邦公開市場委員会(FOMC)でのドット・プロット(金利予測分布図)に注目する展開が想定される。
来週初めから17日まで開催されるサミット期間前後に、日米首脳会談の可能性が高まっている。また、サミットに合わせて韓国の李大統領も日韓・米韓の首脳会談の調整を行っていると報じられ、自動車関税の引き上げを考えているトランプ米大統領と日韓の首脳会談が注目される。日韓ともに対米自動車の輸出台数が突出しており、交渉は難航することが予想される。
米国では17-18日にFOMCが開催されるが、トランプ関税の不確実性を理由に前回に続いて現状の金融政策の維持が見込まれている。FOMCに付議される地区連銀経済報告での景気判断は、前回の「ほとんど停滞」から「わずかながら減退」へ引き下げられた。景気減退の認知による、「経済・金利見通し」への変化などにも注目が集まる。
また、16-17日の日銀金融政策決定会合では、トランプ関税の不確実性を理由に、FOMC同様、前回に続いて現状の金融政策の維持が見込まれている。注目ポイントは、米財務省が「外国為替報告書」で、円安是正のために利上げ継続を要請していたことに対する見解や、2026年4月以降の国債買入れ減額幅の圧縮、または、過去に発行した低利率の超長期国債の買入れ消却などとなる。市場では、国債買入れ減額幅に関して、現状の4000億円程度から2000億円程度まで半減されると予想する向きが多い。
20日に発表予定の5月コア消費者物価指数(CPI)は、前年比+3.7%と予想されており、4月の3.5%からの上昇が見込まれている。予想通りならば、早期利上げ観測が高まることになりそうだ。
ユーロドルは、難航しているEUの米国との関税協議や、米国からの一方的な関税率通告への警戒感が上値を抑える展開が予想される。ただ、中東情勢などの地政学リスクでは、全般ドル売りでの反応となっており、注意しておきたい。経済指標では、独6月ZEW景況指数に注目。
6月9日週の回顧
ドル円は、米中閣僚級貿易協議で、貿易摩擦緩和に向けた暫定的計画で合意に達し、トランプ米大統領が「中国との合意は成立した。あとは習主席と私の最終承認を残すのみだ」と述べたことで145.46円まで上昇した。ただ、5月米CPIやPPIが予想を下回ったほか、中東の地政学リスクの高まりを受けて142円台後半まで反落した。ユーロドルは、地政学リスクからドルスイスフラン中心にドル売りが強まる展開となると一時1.1631ドルまで買われた。
13日の日経平均は大幅続落。終値は338円安の37834円。米国株高を受けても小安く始まり、すぐに下げ幅を3桁に拡大。イスラエル軍によるイラン攻撃が伝わったことでリスク回避ムードが強まり、序盤は下を試す流れが続いた。一方、37500円台に入って600円超下げたところで売りが一巡すると、10時台半ば辺りからは値を戻す展開。後場は緩やかに下げ幅を縮める動きが続き、大引けが後場の高値となった。
東証プライムの売買代金は概算で5兆1900億円。メジャーSQ日で商いは膨らんだ。業種別では鉱業、石油・石炭、電気・ガスなどが上昇した一方、空運、繊維、サービスなどが下落した。1:3の株式分割などを発表したイオン<8267.T>が大幅上昇。半面、1Q決算が失望を誘ったエニグモ<3665.T>が後場に入って急落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり291/値下がり1303。中東の地政学リスクの高まりを受けて、防衛大手の三菱重工やIHIが大幅上昇。細谷火工や石川製作所など中小型の防衛株にも資金が向かったほか、原油高への思惑からINPEXが買いを集めた。人材サービスで好決算が確認できており、タイミーが急伸してビジョナルがストップ高。今期の営業黒字見通しを提示した3Dマトリックスがストップ高となった。
一方、東京エレクトロン、ディスコ、レーザーテックなど半導体株が大幅安。円高進行を受けてトヨタ、SUBARU、マツダなど自動車株が売りに押された。インドで墜落事故が発生してボーイング株が売られたことを嫌気して、AeroEdgeや東レが大幅安。決算を材料にダブルスコープやMacbeeが急落した。
日経平均は大幅安。ただ、一時600円超下落したものの、パニック的な下げにはならなかった。終値(37834円)ではしっかり25日線(37760円、13日)を上回っている。本当の意味でのリスクオフであれば、25日線を割り込んだ時点で下げが加速していただろう。金曜に崩れたにもかかわらず大引けが後場の高値となっており、押し目買い意欲の強さがうかがえる。きょうは軟調相場の中でソフトバンクG<9984.T>とアドバンテスト<6857.T>が2%を超える上昇となった。米長期金利が低下してきたことで主力グロース株に資金が入りやすくなる展開も想定されるだけに、来週もこの2銘柄の動向には注目しておきたい。
【来週の見通し】
堅調か。日銀金融政策決定会合(6/16~17)とFOMC(6/17~18)が注目イベントとなるが、今回はどちらも政策変更はないとみられている。植田総裁やパウエル議長の発言が為替市場や債券市場を刺激する可能性はあり、米国が利下げ見送りの場合にはトランプ大統領がFRBへの不満を表明すると思われるが、波乱は少ないだろう。中東の地政学リスクの高まりは懸念材料ではある。ただ、このような局面では中央銀行から市場の不安を取り除くようなメッセージが出てくる展開も期待できる。FOMCの結果を確認するまでは様子見姿勢が強まりやすい上に、米国は木曜19日が休場で、やや手がけづらさはある。それでも、現時点での日米中央銀行のスタンスを確認することで買いは入りやすくなるとみており、週を通してはしっかりとした動きを予想する。
衛星テレビ局「アルジャジーラ」がイラン外相の発言として伝えたところによると、「イスラエルの侵攻が停止すれば、外交と交渉への復帰のための環境を整える用意がある」という。
イランは仲介役のカタールとオマーンに対し、「イスラエルの攻撃を受けている間はイスラエルとの停戦交渉には応じない」と語ったと一部通信社が伝えた。
<国内>
○日銀金融政策決定会合(1日目)
<海外>
○11:00 ◎ 5月中国鉱工業生産(予想:前年比6.0%)
○11:00 ◎ 5月中国小売売上高(予想:前年比4.9%)
○15:30 ◇ 5月スイス生産者輸入価格
○16:00 ◇ 4月トルコ経常収支(予想:75.0億ドルの赤字)
○16:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○19:30 ◎ チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○21:15 ◇ 5月カナダ住宅着工件数(予想:25.00万件)
○21:30 ◎ 6月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:▲6.0)
○17日02:00 ◎ 米財務省、20年債入札
○主要7カ国(G7)首脳会議(G7サミット、カナダ・アルバータ州、17日まで)
○南アフリカ(青年の日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
今週の日経225先物は、中東情勢の緊迫化を警戒しつつも、G7サミットに合わせた日米首脳会談や日米の金融政策に関心が向かうことになりそうだ。
13日の日経225先物は「イスラエルがイランの核関連施設などを攻撃」と伝わったことで地政学リスクが高まり、一時3万7470円まで売られたが、終盤にかけてショートカバーが入り3万7780円で終えていた。取引終了後のナイトセッションでは開始直後につけた3万7850円を安値に3万8000円を回復する場面もみられるなど、プラス圏での推移が続いた。13日の米国市場は主要な株価指数が大幅に下落したものの、日経225先物は落ち着いた値動きをみせている。
ナイトセッションでの底堅い値動きによって、25日移動平均線(3万7760円)、200日線(3万7840円)を回復しており、両線での底堅さがみられるようだと、ショートを仕掛けにくくさせそうだ。週足では52週線(3万7920円)を上回って終えていることも心理的な支えになるだろう。
イスラエルによるイランへの大規模な攻撃に対しては、イランが報復攻撃に乗り出している。イラン核問題を巡り15日に予定されていたイランと米国の協議は中止となり、中東情勢の一層の緊迫化が懸念される。イスラエルの攻撃について米国は関与を否定しているが、イスラエルは米政府の許可なしでは実現しなかったと主張していると伝えられており、米国を巻き込んだ三つどもえの構図に発展しかねない点は警戒要因である。
日米関税交渉については、6月15日~17日の主要7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせて日米首脳会談が予定されている。13日には6回目の日米閣僚協議が行われたが、赤沢亮正経済再生担当大臣は会見で、G7サミットに合わせて行われる首脳会談前に一定の合意には至らなかったことを明らかにした。市場の期待感が後退するなかで、日米首脳会談で一定の合意を得ることができればロングが入りやすいだろう。
先週はイスラエルによるイラン攻撃でハシゴを外された形だったが、先週発表された米国の経済指標では、5月の消費者物価指数(CPI)、卸売物価指数(PPI)はいずれも市場予想を下回った。13日発表された6月のミシガン大消費者態度指数は市場予想を上回り、6カ月ぶりに改善。併せて発表された1年先期待インフレ率速報値は低下した。中東を巡る地政学リスクが小康状態をみせてくるようだと、ショートカバーを誘いそうだ。
日経225先物はナイトセッションで上昇したが、日中でのショートポジションをカバーする動きが入ったとみられる。改めてショートが強まる可能性はあるが、まずはボリンジャーバンドの-1σ(3万7380円)と+1σ(3万8130円)によるレンジを想定する。バンドは横ばいで推移しているため、ブレイクしたとしても-2σ(3万7010円)と+2σ(3万8500円)でのレンジになるだろう。不安定ではあるが、200日線水準での底堅さを見極めつつ、ショートが強まる局面では、その後のカバーを想定した押し目狙いのロング対応に向かわせよう。
テクニカル面ではパラボリックのSAR値(3万7640円)を上回って推移しており、陽転シグナルを継続している。一目均衡表では雲を上回っての推移が続くなか、遅行スパンが5月13日の直近戻り高値(38760円)を通過してくるため、いったん陰転シグナルを発生させる可能性がある。ただし、その後は実線が下向きで推移するため、早い段階で実線を上回る形で上方シグナルを点灯させそうだ。
13日の米VIX指数は20.82(12日は18.02)に上昇した。週間(6月6日は16.77)でもリバウンドをみせている。抵抗線として機能していた25日線(18.62)、200日線(19.65)のほか、判断の分かれ目となる20.00を上回ってきたことで、市場心理を神経質にさせそうだ。ただし、地政学リスクの高まりから主要な株価指数が大幅に下落するなかで、それほど強い動きにはならなかった。75日線(23.71)や5月23日の直近高値(25.53)を明確に上抜けてくるまでは、積極的なショートは控えておきたい。
先週のNT倍率は先物中心限月で13.72倍(6日は13.61倍)に上昇した。米中貿易摩擦を巡る懸念が和らぎ、アドバンテスト<6857.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株の買い戻しが日経平均型を牽引した。週末には一時13.66倍に低下する場面もみられたが、25日線(13.66倍)が支持線として意識されていた。同線のほか75日線(13.63倍)に接近する局面では、その後のリバランスを想定したNTロングに向かわせそうである。
6月第1週(6月2日-6日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では8週連続の買い越しであり、買い越し額は6301億円(5月第5週は6360億円の買い越し)だった。なお、現物は3985億円の買い越し(同6165億円の買い越し)と10週連続の買い越しであり、先物は2315億円の買い越し(同195億円の買い越し)と2週連続の買い越し。個人は現物と先物の合算で1132億円の買い越しと9週ぶりの買い越し。信託銀行は現物と先物の合算で7901億円の売り越しとなり、7週連続の売り越しだった。
主要スケジュールでは、16日に中国5月鉱工業生産、中国5月小売売上高、米国6月ニューヨーク連銀製造業景気指数、17日に日銀金融政策決定会合終了後に政策金利、植田日銀総裁記者会見、米国5月小売売上高、米国5月鉱工業生産、18日に4月機械受注、5月貿易収支、米国5月住宅着工件数、FOMC終了後に政策金利、パウエルFRB議長記者会見、19日にイングランド銀行(BOE)政策金利、20日に5月全国消費者物価指数、日銀金融政策決定会合議事要旨、米国5月コンファレンス・ボード景気先行指数などが予定されている。
13日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、イスラエルとイランの軍事衝突が激化し、リスク・オンのドル買いが優勢となり、一時144.48円まで上昇した後、ダウ平均の大幅下落を受けたリスク・オフの円買いで143.85円付近まで下押しした。ユーロドルは、中東情勢の緊迫を背景にした有事のドル買いで一時1.1489ドルまで下落後、1.1569ドル付近まで下値を切り上げた。ユーロ円は、米国株相場の下落により、166.59円から165.99円付近まで下押しした。
本日の東京外国為替市場のドル円は、中東の地政学リスクの高まりを受けた有事のドル買いで底堅い展開が予想される中、中東情勢関連のヘッドラインに警戒しながら、G7首脳会議でのトランプ関税や中東情勢への対応、そして日米の金融政策決定会合での決定を見据えていくことになる。
トランプ米大統領は、昨日、イスラエルとイランの衝突に米国が関与する可能性があるとの認識を示しており、米国がイスラエル支援に踏み切った場合は、ドル売りの可能性が高まることには警戒しておきたい。
先週13日にイスラエル軍がイランの核兵器開発を阻止するために核・弾道ミサイル関連施設を攻撃し、イランも反撃していることで、最悪のシナリオとして第5次中東戦争が勃発する可能性、すなわち、ホルムズ海峡の封鎖などで、原油価格が120-130ドル辺りまで上昇する可能性を念頭に入れて相場に臨むことになる。
1973年の第4次中東戦争(1973年10月6日~10月23日)では、第1次オイルショックにより、原油価格は1バレル=3ドル台から11.65ドルまで上昇した。
本日から開催される日銀金融政策決定会合や明日から開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)では、前回同様にトランプ関税の不確実性に加えて、中東の地政学リスクの不透明性を理由に政策金利の据え置きが予想されている。しかし、中東情勢の緊迫化を受けた原油価格の上昇の可能性、すなわち、インフレ率の上昇という懸念が高まる中での予防的な早期利上げに関する議論に注目しておきたい。
イスラエルは、イラン政権によるイスラエル国家を破壊するための「イスラエル破壊計画」を理由に、イランの核兵器開発を阻止するために予防的な先制攻撃に踏み切ったと表明している。
イランの核関連施設は地下60-90メートルに埋設されているため、数発のバンカーバスター(地中貫通爆弾)での攻撃が必要とのことだが、13日の第1段階の攻撃では、イランの防空システムを破壊したとのことで、今後は第2段階での核関連施設への集中攻撃が警戒されている。
しかし、イスラエル軍が目的通りにイランの核燃料濃縮施設を破壊した場合、周辺地域が放射能汚染に襲われることになりかねないため、イスラエルの国際的な孤立懸念が高まることになる。
トランプ米政権は、13日のイラン攻撃は事前に通告されていたものの、15日に予定されていた6回目の米国・イラン核協議が中止となったことで面子を潰されたことになり、今後の対応にも注目しておきたい。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 37960 +180 (+0.47%)
TOPIX先物 2771.0 +18.0 (+0.65%)
シカゴ日経平均先物 37910 +130
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
13日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落。イスラエルによる核施設などへの大規模な攻撃に対してイランが報復攻撃に乗り出しており、中東情勢の一層の緊迫化が懸念され、リスク回避姿勢が強まった。原油価格の大幅高を受けたインフレ懸念も相場の重荷となった。6月のミシガン大消費者態度指数は市場予想を上回り、6カ月ぶりに改善。併せて発表された1年先期待インフレ率は低下したが、市場の反応は限られた。
S&P500業種別指数は、エネルギー、自動車・同部品の2セクターのみが上昇した。一方で、耐久消費財・アパレル、各種金融、半導体・同製造装置、家庭用品・パーソナル用品、消費者サービスの弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、シェブロン<CVX>、ジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ>が買われた半面、シャーウィン・ウィリアムズ<SHW>、ビザ<V>、ナイキ<NKE>、アメリカン・エキスプレス<AXP>、セールスフォース<CRM>が下落。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比130円高の3万7910円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比100円高の3万7880円で始まった。その後もロング優勢の流れとなり、米国市場の取引開始直後には3万8100円台を回復し、中盤にかけて3万8140円まで上げ幅を広げた。買い一巡後は3万7850円まで上げ幅を縮め、終盤にかけては3万7850円~3万7960円辺りで保ち合い、3万7960円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや買い先行で始まることになろう。ただし、ナイトセッションではプラス圏での推移とはなったが、日中のショートポジションをカバーする動きが入ったとみられる。米国市場で主要な株価指数が大幅に下落するなかで、改めてショートが強まる可能性はある。ただし、ナイトセッションで25日移動平均線(3万7760円)、200日線(3万7840円)を上回って終えており、両線が支持線として意識されるなかで、押し目狙いのロング対応に向かわせよう。
イスラエルとイランを巡る中東情勢の緊迫化を警戒しつつも、6月15日~17日の主要7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせた日米首脳会談で、関税交渉について一定の合意を得ることができれば、ロングが入りやすい。そのため、積極的なショートの動きは手控えられよう。傾向としては膠着感が強まりやすいとみられ、まずはボリンジャーバンドの-1σ(3万7380円)と+1σ(3万8130円)によるレンジを想定する。
13日の米VIX指数は20.82(12日は18.02)に上昇した。抵抗線として機能していた25日線(18.62)、200日線(19.65)のほか、判断の分かれ目となる20.00を上回ってきた。ただし、地政学リスクの高まりにより米主要株価指数が下落するなかでそれほど強い動きにはならなかった。積極的なショートは控えておきたい。
先週末のNT倍率は先物中心限月で13.72倍(12日は13.72倍)と変わらず。一時13.66倍に低下する場面もみられたが、25日線(13.66倍)が支持線として意識されおり、同線のほか75日線(13.63倍)に接近する局面では、その後のリバランスを想定したNTロングに向かわせそうである。
東京市場は波乱含みか。先週末の米国株は、中東の地政学リスクの高まりを嫌気して大幅安。ダウ平均は769ドル安の42197ドルで取引を終えた。ドル円は足元144円60銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが130円高の37910円、ドル建てが280円高の38060円で取引を終えた。
米国株は大きく下げたが、日本株はイスラエル軍によるイラン攻撃を13日に先んじて消化しており、スタートは落ち着いた動きになると予想する。ただ、場中はニュースにかなり神経質になると思われる。中東情勢は緊迫化しており、戦闘は継続している。また、G7サミットに関するニュースがマーケットを刺激する可能性もある。特段のニュースがなければ模様眺めムードが強まるとみるが、何らかのニュースが出てきた際には、動いた方向に勢いがつく可能性が高い。その動きが取引時間中に修正される展開も想定され、終日不安定な地合いが続くだろう。日経平均の予想レンジは37300-38300円。
中国人民銀行(PBOC)は16日、銀行システムに対し6カ月物のリバースレポを通じて4000億元の資金を供給すると発表した。これは今月満期を迎える4兆元規模のインターバンクNCD(譲渡性預金証書)償還に伴う流動性不足を補う狙い。先週も3カ月物で1兆元を供給しており、PBOCは今年に入り、経済全体を下支えするために流動性管理を慎重に行っており、今後も追加の資金供給が必要になる可能性がある。
先週末の海外市場では、前日から続いたドルスイスフランを中心としたドル売りのアンワインディングといったところ。中東情勢の緊迫化を受けたスイスフラン急騰が今回の地政学リスクの中心であったことは先週末もお伝えしていますが、イスラエルがイランへの空爆を実際に実施したことをきっかけに、そのポジション調整が進むことになりました。有事のドル買いといった側面もドルの買い戻しを後押し。ドル円はイスラエルの空爆の一報を受けた直後の142.80円の安値から一気に144.48円まで買戻されました。米10年債利回りもまた同様に、空爆直後につけた4.3082%から一気に4.4442%まで急騰しています。
この週末も、そして今現在においても、イスラエルとイランのミサイルが両国の上空を飛び交っているわけですが、市場はいたって落ち着いた動きとなっています。ドル円は週明け早朝のオセアニア市場で先週末高値の144.48円や12日の高値144.57円を上抜けると目先のSLを付けるかたちで上げ足を速め一時144.75円まで値を上げたものの、その後は144.16円まで下押し。日経平均が大幅な上昇となるなか再び下値を切り上げるなど、神経質な動きが続いています。
いずれにしても、市場では今回の衝突がホルムズ海峡閉鎖などに繋がらない限り、一定のリスクオフを既に織込んでいるわけで、日本にとっては、ある意味、「遠くの戦争」にあたることもあってか、逆に日経平均の堅調さにつながっているのかもしれず、ドル円もまた、日本製鉄のUSスチール買収が承認された今、かかる巨額買収資金のドル買い需要などが意識されるなかでのリスクオンという動きとなっていくのであれば、一向に進まないトランプシフトによる円買いポジションの解消が加速していってもおかしくはありません。
日経225先物は11時30分時点、前日比400円高の3万8180円(+1.05%)前後で推移。寄り付きは3万8070円と、シカゴ日経平均先物(3万7910円)を上回り、買い先行で始まった。直後につけた3万8000円を安値にロングが強まり、3万8180円まで買われた。買い一巡後は中盤にかけて3万8030円まで上げ幅を縮める場面もみられたが、終盤にかけて3万8190円まで上げ幅を広げている。
日経225先物はナイトセッションからの強い値動きが続き、先週末の下落部分を埋める動きをみせてきた。ボリンジャーバンドの+1σ(3万8140円)を回復してきたため、目先的には達成感は意識されそうだが、同バンドでの底堅さがみられるようだと、ショートカバーを誘う可能性はありそうだ。日経平均株価は寄り付き直後に6月のSQ値(3万8172.67円)を突破したことで、センチメント改善に向かわせた面もあるだろう。
NT倍率は先物中心限月で13.76倍に上昇した。13.69倍と低下して始まったが、25日移動平均線(13.66倍)が支持線として意識されるなかで、+1σ(13.74倍)を上回ってきている。
「イスラエルを地上の地図から抹殺してしまえ」
(イランのマフムード・アフマディネジャド元大統領:2010年9月国連総会)
1973年10月6日、ユダヤ教の贖罪日(ヨム・キプール)に、エジプト軍がイスラエルへ先制攻撃をしたことで、第4次中東戦争が勃発した。
2025年6月13日、イスラエルは、イランの核兵器開発を阻止するために核施設に先制攻撃「作戦名:ライジング・ライオン(立ち上がるライオン)」を実施し、200機を超える戦闘機でイランの100カ所以上の標的を攻撃したと発表した。イランのメディアは国内の主要なウラン濃縮施設などで爆発があったと伝えた。
イスラエル軍は、「イラン政権がイスラエル国家を破壊するための具体的な計画(※イスラエル破壊計画)を持っていた」ことを示す資料を入手したと述べた。
トランプ米大統領は、イスラエルの行動を事前に承知していたと認め、イランが交渉のテーブルに戻ると期待しているが、同国が核爆弾を持つことはできないとの立場を繰り返し表明した。
1. 第4次中東戦争:1973年10月6日~10月23日(18日間)
・10月6日:エジプトとシリアがイスラエルへ先制攻撃
・10月9日:イスラエル軍によるゴラン高原への反撃開始
・10月15日:イスラエル軍によるシナイ半島方面へ反撃開始
・10月16日:イスラエル軍がスエズ運河を渡河し西岸の一部を確保
・10月16日:石油輸出国機構の中東6カ国が原油価格を70%引き上げ
・10月17日:アラブ石油輸出国機構(OAPEC)がイスラエルを援助する西側諸国への石油供給の段階的削減を決定(※第1次オイルショック)
・10月23日:停戦
■第1次オイルショック;1バレル=3ドル⇒5ドル(+70%)⇒11.65ドル(+130%)
2. 第5次中東戦争?:2025年6月13日~
・6月13日:イスラエル軍がイランの核兵器開発を阻止するために核施設に先制攻撃
・イラン国営テレビ「革命防衛隊のホセイン・サラミ司令官が殺害され、首都テヘランにある同部隊の本部が攻撃を受けた」
・イランの最高指導者ハメネイ師「イスラエルは厳しい処罰を受けることになる」
・イスラエルのカッツ国防相「イランへの先制攻撃に続き、イスラエル国内と民間人に対するミサイル攻撃と無人機攻撃が当面予想される」
・ルビオ米国務長官「イスラエルによる対イラン攻撃に米国は関与していない。中東地域における米国の利益や人員を標的にしないことを望む」
・イスラエル軍
「ここ数か月間で蓄積された情報は、イラン政権が核開発計画の不可逆点に近づいている証拠を提示した。数千キログラムに及ぶ濃縮ウランを製造しようとする動きと、地下施設に分散化・要塞化された濃縮拠点の存在が相まって、イラン政権は軍用レベルの濃縮ウランを製造する能力を持つに至っており、短期間で核兵器を獲得することが可能になっている」
・6月14日:イスラエルがイラン南部ブシェール州にある世界最大のガス田を攻撃
本日のロンドン為替市場のユーロドルは、戦火が拡大しつつあるイスラエルとイランの交戦に関するヘッドラインや原油価格の動向に注目していく展開が予想される。
中東情勢の緊迫化は、有事のドル買いにより、ユーロドルは上値を抑えられることが予想される。
しかし、イランが世界の原油供給の20%が通過するホルムズ海峡の封鎖に踏み切った場合、原油価格は100ドル超まで上昇することが見込まれるため、先日の欧州中央銀行(ECB)理事会での原油価格見通し66.70ドルから大幅に乖離することになる。
ECBは、今年のインフレ率の見通しを2.0%、来年を1.6%に引き下げており、原油価格の低位安定をインフレ鈍化の一因に挙げて、中立金利水準(1.75-2.25%)まで利下げしてきた。
しかし、原油価格の上昇基調が長期化した場合は、金融政策の判断に影響するため、注視しておきたい。また、原油価格が高止まりした場合、インフレ上昇と景況感の悪化というスタグフレーションへの警戒感も高まることになる。
本日講演が予定されているナーゲル独連銀総裁やチポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事による想定外の原油価格高騰への見解に注目しておきたい。
本日からG7首脳会議が開催されるが、議題は、トランプ関税、ウクライナ情勢などに加えて、イスラエルとイランの全面衝突を回避する方策が協議されると思われる。
トランプ米大統領は、イスラエルによるイランへの攻撃を事前に知らされていたものの、現時点では関与していない、と述べつつも、今後、関与する可能性はある、と述べている。
また、フランス、ドイツ、イギリスは、イランの核兵器開発を懸念していた中で、イスラエルが核施設を打撃することで抑止効果が生じたという判断のため、イスラエルの自衛権を擁護する姿勢を見せている、とも報じられており、G7とイランや中東諸国との軋轢を生じさせている。
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1631ドル(6/12高値)
・ユーロ円:168.01円(2024/7/26高値)
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.1405ドル(6/11安値)
・ユーロ円:164.82円(日足一目均衡表・転換線)
ドル円:1ドル=144.07円(前営業日NY終値比横ばい)
ユーロ円:1ユーロ=166.48円(△0.11円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1556ドル(△0.0007ドル)
日経平均株価:38311.33円(前営業日比△477.08円)
東証株価指数(TOPIX):2777.13(△20.66)
債券先物9月物:138.93円(▲0.59円)
新発10年物国債利回り:1.445%(△0.045%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は上値が重い。イスラエルとイランを巡る地政学リスクが高まるなか、先週末の海外市場で進んだ有事のドル買いが先行し、朝方には144.75円まで値を上げた。もっとも、その後は買いも一服。明日に日銀金融政策決定会合の結果公表を控えて持ち高調整目的の売りも散見され、15時前には143.98円付近まで押し戻された。
・ユーロドルは小高い。しばらくは1.15ドル台前半でのもみ合いとなっていたが、ドル円の下落を受けて14時30分過ぎに1.1562ドルまで上昇した。なお、デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁は「ユーロドルの為替水準1.1500ドルはインフレ目標2%に対して障壁ではない」などの見解を示した。
・ユーロ円は買いが一服。朝方に166.87円まで上昇する場面があったものの、その後はドル円の失速とともに166.30円台まで押し戻された。
・日経平均株価は3営業日ぶりに反発。中東の地政学リスクは先週金曜の下げでいったん消化したとの見方が強まり、幅広い銘柄に買いが入った。値がさの半導体関連株への買いが目立ち、指数は一時500円超高まで上昇幅を拡大した。
・債券先物相場は4営業日ぶりに反落。中東情勢の悪化で原油の急騰リスクが高まるなか、インフレを懸念した売りが優勢に。一時138円92銭まで下げ幅を広げた。
大阪9月限
日経225先物 38360 +580 (+1.53%)
TOPIX先物 2780.5 +27.5 (+0.99%)
日経225先物(6月限)は前日比580円高の3万8360円で取引を終了。寄り付きは3万8070円と、シカゴ日経平均先物(3万7910円)を上回り、買い先行で始まった。直後につけた3万8000円を安値にロングが強まり、3万8180円まで買われた。買い一巡後は前場中盤にかけて3万8030円まで上げ幅を縮める場面もみられたが、前場終盤にかけて上げ幅を広げ、後場半ばには3万8320円まで上昇。終盤にかけて3万8210円まで調整する場面もみられたが、引け間際にはショートカバーとみられる動きが強まり、3万8360円と本日の高値で取引を終えた。
日経225先物はナイトセッションからの強い値動きが続き、先週末の下落部分を埋める動きをみせた。ボリンジャーバンドの+1σ(3万8140円)を回復してきたため、目先的には達成感は意識されやすかったが、+1σを上回っての推移が続いたことでショートカバーに向かわせ、+2σ(3万8550円)が意識されてきそうである。
為替市場ではドル円が1ドル=144円台半ばと円安に振れて推移していたことが材料視された。また、日経平均株価は寄り付き直後に6月のSQ値(3万8172.67円)を突破したことで、センチメント改善に向かわせたこともロングに振れやすかったとみられる。
そのほか、アドバンテスト <6857.T> [東証P]が1社で日経平均株価を約217円押し上げたほか、ソフトバンクグループ <9984.T> [東証P]、ファーストリテイリング <9983.T> [東証P]、東京エレクトロン <8035.T> [東証P]など指数インパクトの大きい値がさ株の強い値動きが、日経平均型を牽引する形だった。
グローベックスのS&P500指数先物、ナスダック100先物は、現在プラス圏で推移している。先週末の大幅な下げに対する自律反発の動きをみせてくるようだと、安心感につながるだろう。ただし、中東情勢は沈静化の兆しがみられず、トランプ米大統領はイスラエルとイランの衝突に「関与する可能性はある」と述べたと報じられている。米国の軍事介入となれば地政学リスクが一段と高まる可能性があるだろう。
日経225先物は+1σを中心とした、25日移動平均線(3万7780円)と+2σとのレンジを想定しておきたい。主要7カ国首脳会議(G7サミット)にあわせた日米首脳会談でリスク選好の動きが強まる局面においては、+2σ突破から+3σ(3万8980円)に接近する場面もありそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.79倍に上昇した。13.69倍と低下して始まったが、25日線(13.66倍)が支持線として意識されるなかで、+1σ(13.74倍)を上回ってきている。+2σ(13.84倍)や5月14日の戻り高値13.86倍が射程に入ってきており、NTロングに向かわせよう。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万7943枚、ソシエテジェネラル証券が1万2094枚、JPモルガン証券が3301枚、サスケハナ・ホンコンが3096枚、モルガンMUFG証券が1960枚、バークレイズ証券が1840枚、ゴールドマン証券が1832枚、野村証券が1523枚、日産証券が1432枚、ドイツ証券が1180枚だった。
TOPIX先物はソシエテジェネラル証券が1万5723枚、ABNクリアリン証券が1万4989枚、バークレイズ証券が5211枚、JPモルガン証券が4025枚、モルガンMUFG証券が2163枚、ゴールドマン証券が1965枚、ビーオブエー証券が1736枚、野村証券が1371枚、みずほ証券が1303枚、サスケハナ・ホンコン921枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、緊張度の高まる中東情勢が否応なく意識される中、神経質な展開が見込まれる。
前週末にイスラエルがイランに攻撃を行ったことで、中東情勢が一気に緊迫化している。本日は「イスラエルのイラン最高指導者殺害計画を米国が拒否」と報じられるなど、依然として緊張度の高い状態が続いている。万一、双方の攻撃が激化するようだと、リスク回避ムードが一段と強まることで株価が下落し、結果ドル円やクロス円の重しとなることが予想される。現時点ではイスラエルとイランの2国間での戦争状態に留まっているが、周辺国や米国を巻き込む場合は事態が一段と混迷化してリスク回避ムードに拍車をかけることも懸念される。
さて、相場格言で「遠くの戦争は買い」というのがあるが、中東は日本や米国と地理的に距離がある。このことから、ショック的な初動が落ち着く動きを見せる場面では、本日の東京市場のように下落したドル円や株価が反発することもあり得る。いずれにせよ、ドル円は神経質な展開は避けられそうにないと見る。
また、本日からG7サミットが開催される。平時であればトランプ米大統領による関税に関する発言に注意といえるが、今回に関しては同大統領や参加者から緊迫化した中東情勢に対してどのようなメッセージを出すかも気になるところである。
なお、経済指標では、NY時間序盤に6月ニューヨーク連銀製造業景気指数が発表予定。市場予想は-6.0と前月の-9.2よりわずかに改善見通しだが、4カ月連続マイナスが見込まれている。もっとも、前週末の6月米ミシガン大学消費者態度指数速報値は予想を上回ったが反応は薄かったことを考えると、現在の市場環境では手掛かり材料になりにくいかもしれない。
想定レンジ上限
・ドル円は、日足・一目均衡表の基準線145.39円
想定レンジ下限
・ドル円は、13日安値142.80円
今週のNY市場は中東情勢と金融政策会合に注目。先週はダウ平均が1.32%安、S&P500が0.39%安、ナスダック総合が0.63%安となり、主要3指数がそろって3週ぶりに反落した。5月消費者物価指数(CPI)や5月生産者物価指数(PPI)が予想を下回る伸びにとどまったことや、予想を上回る決算や強いAI需要見通しを発表したオラクルが急伸し、AI関連株の上昇をけん引したものの、週末金曜日にイスラエルがイランの核施設や軍事施設などを攻撃し、イランが報復としてイスラエルにミサイルで反撃したことで中東の地政学リスクが高まりリスク回避が強まった。S&P500は木曜日に2月に付けた史上最高値まで1.61%に迫ったが、2.72%安に後退した。
今週は中東情勢緊迫によるリスク回避姿勢が続くことが株式相場の重しとなることが予想されるほか、年内の利下げ見通しを巡り米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果にも注目が集まる。イスラエルは週末のイラン全土に攻撃対象を拡大しており、イランは夜間に限定していた軍事作戦を15日には日中にも実施した。中東情勢の緊迫化を受けた原油価格の急上昇によるインフレ懸念の強まりも相場の重しとなりそうだ。17日-18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利の据え置きが確実視されているが、年後半の利下げ見通しを巡り公表されるFOMCメンバーのFF金利見通しや、会合後のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長会見での発言に要注目となる。このほかの経済指標は5月小売売上高、5月鉱工業生産、5月住宅着工件数、6月フィラデルフィア連銀業況指数、5月景気先行指数など。
今晩の米経済指標・イベントは6月NY連銀製造業業況指数など。企業決算は引け後にレナーが発表予定。
日経平均株価は大幅反発。買い先行後は上値を伸ばす展開となり、5日移動平均線(38190円 6/16)上を回復する陽線を形成して終えた。
RSI(9日)は前日の59.2%→67.8%(6/16)に上昇。引き続き見方は変わらず、4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇継続の判断となる。目先波動はもみ合いの範ちゅうだが、5/13高値と5/29高値(38454円)をつないで延長した上値抵抗線を超えていけるかが焦点となる。
一方、25日移動平均線(37786円 同)の上昇一服が株価の上値を限定的にし、もみ合いを長引かせる要因になる。
上値メドは、6/11高値(38529円)、心理的節目の39000円や39500円、2/13高値(39581円)などがある。下値メドは、25日移動平均線、100日移動平均線(37260円 同)、心理的節目の37000円、75日移動平均線(36637円 同)、心理的節目の36000円などがある。
米財務省によると、20年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが4.942%、応札倍率(カバー)が2.68倍となった。
(16日終値:17日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=144.37円(16日15時時点比△0.30円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=167.15円(△0.67円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1577ドル(△0.0021ドル)
FTSE100種総合株価指数:8875.22(前営業日比△24.59)
ドイツ株式指数(DAX):23699.12(△182.89)
10年物英国債利回り:4.533%(▲0.017%)
10年物独国債利回り:2.527%(▲0.008%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月スイス生産者輸入価格
(前月比) ▲0.5% 0.1%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ユーロドルは伸び悩み。中東情勢の緊張は続いているものの、市場では過度な警戒が和らぎ、足もとで進んでいた「株安・原油高・ドル高」を巻き戻す動きが優勢となった。前週末の高値1.1614ドルを上抜けると一時1.1615ドルまで値を上げた。NY時間発表の6月米ニューヨーク連銀製造業景気指数が▲16.0と予想の▲6.0を下回ったこともユーロ買い・ドル売りを誘った。
ただ、ロンドン16時(日本時間24時)のフィキシングに絡んだドル買いのフローが観測されると上値が重くなった。米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いも出て、2時過ぎには1.1573ドル付近まで下押しした。
・ドル円は下値が堅かった。しばらくは144円台前半中心でのもみ合いが続いていたが、NY市場に入ると下落した。低調な米経済指標をきっかけに円買い・ドル売りが入ったほか、「イランはイスラエルとの戦闘緩和にオープン」との一部報道が伝わると、原油先物価格が下落し、米国株相場が一段と上昇。全般ドル売りが加速し、23時30分過ぎには一時143.65円と日通し安値を更新した。
ただ、ロンドン・フィキシングに絡んだドル買いのフローが入ると下げ幅を縮めた。米金利上昇に伴う円売り・ドル買いも出て、2時30分過ぎは144.41円付近まで下値を切り上げた。
・ユーロ円はユーロドルの上昇につれた買いが先行し一時167.22円と昨年7月以来の高値を付けたものの、20時過ぎには166.68円付近まで下押しした。ただ、そのあとはドル円の持ち直しにつれた買いが入り167.19円付近まで再び強含んだ。
・ロンドン株式相場は反発。先週末に急上昇した原油先物価格が下落すると、投資家のリスク回避姿勢が後退し買いが入った。時間外のダウ先物の上昇なども相場を下支えした。ハルマやセイジ・グループなど情報技術セクターが買われたほか、HSBCやバークレイズなど金融株が値上がりした。半面、アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株が売られた。
・フランクフルト株式相場は7日ぶりに反発。足もとで相場下落が続いたあとだけに短期的な戻りを期待した買いが入った。原油先物価格の下落や米国株相場の上昇も投資家心理の改善につながった。個別ではシーメンス・エナジー(4.57%高)やザルトリウス(4.09%高)、ダイムラー・トラック・ホールディング(2.49%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は上昇。原油先物価格の反落を受けて、インフレ懸念が和らいだ。
16日の日経平均は3日ぶり大幅反発。終値は477円高の38311円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1132/値下がり432。動きの良さが目立ったアドバンテストが9.6%高。1銘柄で日経平均を約218円押し上げた。スタンダード銘柄のメタプラネットが全市場の売買代金ランキング3位となる大商いで25.6%高。好材料のあった銘柄が跳ねており、上方修正を発表したアクシージアや丹青社が急騰した。リカバリーウェア「BAKUNE」の販売好調などを受けて通期見通しを引き上げたTENTIALは、場中に値が付かずストップ高比例配分となった。
一方、1Qが減益となった三井ハイテックや上期の純利益が計画未達となったHISが急落。前営業日に決算で跳ねたビジョナルやタイミーが利益確定売りに押された。株価上昇で地政学リスクに対する過度な警戒が後退する中、INPEX、ENEOS、出光興産など原油高メリット銘柄が軟調。サンバイオ、リベラウェア、データセクション、ゼンムテックなど、グロース市場の人気どころの一角が強めに売られた。
日経平均は大幅高。アドバンテストの貢献が大きかったとはいえ、後場も買いの勢いが緩まず終日強い動きとなった。安値38055円は寄り付き直後につけており、終値(38311円)では5日線(38190円、16日時点、以下同じ)を上回った。米国株安を跳ね返して大きく上昇したことから、目先は下値不安が和らぎ、買いが入りやすくなると見込まれる。
あすは日銀金融政策決定会合の結果を消化する。今回は金融政策は現状維持が濃厚で、引け後の植田総裁会見が注目を集める。結果発表直後の振れ幅は大きくなる可能性があるが、基本的には総裁会見を前に様子見姿勢が強まるだろう。米国ではあすからFOMCが開催される。日経平均は改めて38000円より上で値を固めたい局面。5日線より上をキープできるかに注目したい。
(16日終値)
ドル・円相場:1ドル=144.75円(前営業日比△0.68円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=167.35円(△0.98円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1561ドル(△0.0012ドル)
ダウ工業株30種平均:42515.09ドル(△317.30ドル)
ナスダック総合株価指数:19701.21(△294.38)
10年物米国債利回り:4.44%(△0.04%)
WTI原油先物7月限:1バレル=71.77ドル(▲1.21ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3417.3ドル(▲35.5ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月米ニューヨーク連銀製造業景気指数
▲16.0 ▲9.2
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は続伸。「イランはイスラエルとの戦闘緩和にオープン」との一部報道が伝わると、原油先物価格が下落し、米国株相場が一段と上昇。全般ドル売りが加速した。23時30分過ぎには一時143.65円と日通し安値を更新した。
ただ、ロンドン16時(日本時間24時)のフィキシングに絡んだドル買いのフローが入ると持ち直した。中東の地政学リスクへの警戒が根強い中、「イランはイスラエルへの大規模攻撃を準備」「イスラエルは再びイランを攻撃」との報道もドル買いを促し、5時前には144.88円と日通し高値を更新した。米20年債入札後に米長期金利が上昇したことも相場の支援材料。
・ユーロドルは小反発。6月米ニューヨーク連銀製造業景気指数が▲16.0と予想の▲6.0を下回るとユーロ買い・ドル売りが先行。「イランは敵対行為を緩和するための協議をイスラエルと米国に求めている」との一部報道をきっかけに、足もとで進んでいた「株安・原油高・ドル高」を巻き戻す動きが優勢になると、前週末の高値1.1614ドルを上抜けて一時1.1615ドルまで値を上げた。
ただ、ロンドン・フィキシングに絡んだドル買いのフローが観測されると上値が重くなった。米長期金利の上昇に伴うドル買いも入り、5時過ぎには1.1555ドル付近まで下押しした。
・ユーロ円は8日続伸。20時過ぎに一時166.68円付近まで下押ししたものの、そのあとはドル円の持ち直しにつれた買いが入り、一時167.46円と昨年7月以来の高値を付けた。
ユーロ円以外のクロス円も上昇が目立った。ポンド円は一時196.69円、豪ドル円は94.55円、NZドル円は87.78円、カナダドル円は106.74円、南アフリカランド円は8.13円まで値を上げた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は反発。「イランはイスラエルとの戦闘緩和にオープン」との一部報道が伝わると、原油先物価格が下落し、株買いが優勢となった。指数は一時500ドル超上昇した。ただ、「イランはイスラエルへの大規模攻撃を準備」「イスラエルは再びイランを攻撃」との報道が伝わると伸び悩んだ。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も反発した。
・米国債券相場で長期ゾーンは続落。「イランはイスラエルとの戦闘緩和にオープン」との一部報道が伝わると、中東情勢を巡る過度な警戒が後退し、相対的に安全な資産とされる米国債に売りが出た。米20年債入札も相場の重し。
・原油先物相場は反落。イスラエルとイランの紛争激化で週末もエネルギー供給に対する不安感が高まり、週明けは77ドル半ばまで急騰して始まった。もっとも一巡後は調整売りに押され、「イランはイスラエルとの戦闘緩和にオープン」との一部報道をきっかけに69.30ドル台まで売り込まれた。しかしながらその後、イスラエルが再びイランを攻撃したことが伝わると、紛争長期化が危惧されてこの日の下げ幅を縮小した。
・金先物相場は4日ぶりに反落。米WSJ紙が、「イランは、敵対行為を緩和するための協議をイスラエルと米国に求めている」と報じた。これを受けて中東地政学リスクへの過度な警戒感が後退し、リスク回避資産とされる金への売り圧力が強まった。もっとも3400ドル手前では下げ止まり、イスラエルの対イラン再攻撃が伝わると、両国間の緊張の高まりが懸念されて下値を切り上げた。
米ウォールストリートジャーナル(WSJ)紙が報じたところによると、「イランはイスラエルとの戦闘緩和にオープン」のようだ。
一部通信社が報じたところによると、「イランはイスラエルに大きな打撃を与える用意がある」ようだ。
カナダでの主要7カ国(G7)首脳会議に合わせて、日米首脳は会談を実施した。
16日07:15 トランプ米大統領
「今こそ合意の時だ。どうなるか見てみよう」
「米国はイスラエルを支持し続ける」
17日00:39
※カーニー加首相との会談後
「カナダとはきっと上手くいくと確信している」
「私は関税を支持する者だ」
「我々は異なる考えを持っているが、カーニー氏の考えも聞くつもり」
16日10:14 フォンデアライエン欧州委員長
「私たちはロシアに対してさらなる圧力をかけなければならない」
「制裁はロシアに圧力をかけるうえで極めて重要だ」
16日14:17 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「ユーロドルの為替水準1.1500ドルは、インフレ目標2%に対して障壁ではない」
「インフレ目標が未達成となるリスクは限定的」
「市場は、ECBが限りなく目標に近づいていると認識している」
16日16:27 ナーゲル独連銀総裁
「中東の情勢を物価安定へのリスクとして注視している」
「当面は利下げ停止や利下げを示唆するのは賢明ではない」
※時間は日本時間
<国内>
○未定 ☆ 日銀金融政策決定会合、終了後政策金利発表(予想:0.50%で据え置き)
○15:30 ☆ 植田和男日銀総裁、定例記者会見
<海外>
○18:00 ◎ 6月独ZEW景況感指数(予想:35.0)
○18:00 ◎ 6月ユーロ圏ZEW景況感指数
○21:30 ◇ 4月対カナダ証券投資
○21:30 ☆ 5月米小売売上高(予想:前月比▲0.7%/自動車を除く前月比0.1%)
○21:30 ◇ 5月米輸入物価指数(予想:前月比▲0.2%)
○22:15 ◎ 5月米鉱工業生産(予想:前月比0.1%)
◇ 設備稼働率(予想:77.7%)
○23:00 ◇ 4月米企業在庫(予想:前月比横ばい)
○23:00 ◎ 6月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:36)
○18日00:05 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○18日00:45 ◎ センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
○主要7カ国(G7)首脳会議(G7サミット、カナダ・アルバータ州、最終日)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
16日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、「イランはイスラエルとの戦闘緩和にオープン」との報道で143.65円まで下落後、「イスラエルは再びイランを攻撃」との報道で144.88円まで反発した。ユーロドルは「イランは敵対行為を緩和するための協議をイスラエルと米国に求めている」との報道で1.1615ドルまで上昇後、1.1555ドル付近まで押し戻された。
本日の東京外国為替市場のドル円は、中東情勢関連のヘッドラインに警戒しながら、日銀金融政策決定会合の結果を見極め、15時30分からの植田日銀総裁の記者会見を待つ展開となる。
中東情勢に関しては、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が、イランがイスラエルとの敵対行為を緩和したい意向を示しており、米国がイスラエルの軍事行動に加わらない限り、米国との核協議を再開する用意がある、と報じたことで、緊張がやや緩和している。
トランプ米大統領も、イランがイスラエルとの対立緩和について話し合いを望んでいる、と述べており、本日も関連ヘッドラインを注視していくことになる。
昨日は、「イランはイスラエルとの戦闘緩和にオープン」「イランは敵対行為を緩和するための協議をイスラエルと米国に求めている」「イランはイスラエルへの大規模攻撃を準備」「イスラエルは再びイランを攻撃」などの報道が飛び交っていた。
昨日からカナダで開催されているG7首脳会議では、イスラエルとイランの紛争の緊張緩和を求める共同声明の草案が作成されており、イスラエルに自衛権があるとの記述がある、と報じられている。
しかし、米政府当局者によると、トランプ米大統領はこの声明に署名しない、とのことで、通商問題と同様に米国対G6諸国の構図が浮き彫りになっている。
中東情勢のリスクシナリオは、第5次中東戦争まで戦火が拡大して、イランがホルムズ海峡を封鎖して原油価格が高騰する場合となる。ホルムズ海峡では、毎日世界の石油消費の約21%に相当する約2000万バレルの原油が通過し、中国、インド、日本、韓国などのアジア諸国はエネルギー供給の80%以上を依存している。
NY原油先物は、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻を受けて6月に122ドルまで上昇していたが、2022年12月の日本の消費者物価指数(CPI)は前年比+4.0%、米国のCPIは、6月に前年比+9.1%まで上昇していた。
本日までの日銀金融政策決定会合や本日からの米連邦公開市場委員会(FOMC)では、原油価格高騰によるインフレ再燃に対する対応策に注目しておきたい。
本日までの日銀金融政策決定会合では、トランプ関税の不確実性や中東情勢の不透明性から政策金利(※0.50%)の維持が見込まれているが、植田日銀総裁の会見では、中東情勢の緊迫化を受けて原油価格が上昇基調を辿って高止まりするリスクシナリオへの対応策などに注目しておきたい。
日銀金融政策決定会合での議題は、2025年4月以降の超長期債利回り急上昇により世界の債券市場の混乱の震源地となっている日本の長期債市場のボラティリティの緩和、すなわち、2026年4月以降の国債買い入れの減額ペースが緩む可能性が報じられていた。
米財務省が先日公表した「外国為替報告書」では、国債買い入れの減額は量的金融引締政策(QT)と見なされて、円高要因と指摘されていた。
現状の4000億円の減額から2000億円程度へと減額幅が縮められた場合、円安要因となるため、植田日銀総裁の見解に注目しておきたい。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 38570 +210 (+0.54%)
TOPIX先物 2794.5 +14.0 (+0.50%)
シカゴ日経平均先物 38510 +150
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
16日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。イスラエルとイランの軍事衝突を巡り、「イランはイスラエルとの紛争終結と自国の核開発プログラムを巡る交渉再開を急ぐ意向を示唆」と伝わった。トランプ米大統領も「イランが対話を求めている」と述べた。中東の地政学リスクへの警戒が和らぎ、原油先物相場の上昇が一服。NYダウの上げ幅は一時500ドルを超える場面があった。主要7カ国首脳会議(G7サミット)が開幕し、関税交渉の進展期待も下支えになった。
S&P500業種別指数は、半導体・同製造装置、メディア、耐久消費財・アパレルが上昇。一方で、医薬品・バイオテクノロジー、公益事業、電気通信サービスの弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、ナイキ<NKE>、アメリカン・エキスプレス<AXP>、シスコシステムズ<CSCO>、セールスフォース<CRM>が買われた。半面、マクドナルド<MCD>、ジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ>、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>が軟調。
日経225先物(清算値)は大阪比150円高の3万8510円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比40円高の3万8400円で始まった。その後は軟化し、3万8290円まで売られる場面もみられた。だが、米国市場の取引開始直後にはプラス圏を回復し、中盤にかけて3万8610円まで上げ幅を広げた。買い一巡後は3万8470円~3万8570円辺りで保ち合い、3万8570円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや買い先行で始まることになろう。ただし、前日の日中取引で500円高と大幅に反発し、ボリンジャーバンドの+1σ(3万8160円)を突破した。ナイトセッションでは+2σ(3万8610円)を捉えており、強弱感が対立しやすい水準だろう。+2σを突破してくると、5月13日と6月12日につけた3万8760円のダブルトップ水準が射程に入ってくるだろうが、+3σ(3万9020円)に接近することで過熱感も警戒されてきそうである。
そのため、+2σ水準に位置するオプション権利行使価格の3万8625円を中心とした、上下の権利行使価格である3万8375円から3万8875円のレンジを想定する。G7サミットに合わせた日米首脳会談で関税措置を巡る交渉で一定の進展がみられるとロングが勢いを増しそうだが、+3σ接近では短期的には過熱を警戒したショートが入りやすいだろう。
16日の米VIX指数は19.11(13日は20.82)に低下した。先週末に突破した200日移動平均線(19.64)を割り込み、一時18.67と25日線(18.65)に接近する場面もみられた。地政学リスクへの警戒が和らいだことが材料視された形である。G7サミットに参加する国・地域が米国との首脳会談で関税交渉の機会を窺っていることもあり、交渉進展への期待からリスク選好が強まりそうだ。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.79倍に上昇した。13.69倍と低下して始まったが、25日線(13.66倍)が支持線として意識されるなかで、+1σ(13.74倍)を上回った。+2σ(13.84倍)や5月14日の戻り高値13.86倍が射程に入ってきており、NTロングでのスプレッド狙いに向かわせよう。
東京市場は堅調か。米国株は上昇。ダウ平均は317ドル高の42515ドルで取引を終えた。中東の地政学リスクに対する過度な警戒が後退し、前営業日の大幅安に対する買い戻しが入った。半導体株が強く、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が大幅上昇。好地合いの中、投資家の不安心理を示すVIX指数は大きく低下した。ドル円は足元144円70銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが150円高の38510円、ドル建てが280円高の38640円で取引を終えた。
米国株高を好感した買いが入ると予想する。きのうの東京市場ではアドバンテスト<6857.T>が大幅高となって全体の上昇をけん引したが、米国市場でも半導体株が強かったことで、ハイテク関連の買い安心感が強まると思われる。本日は日銀金融政策決定会合の発表日で、引け後の植田総裁会見を見定めたい状況ではあるため、買い一巡後は様子見姿勢が強まるとみる。金融政策は現状維持が濃厚だが、結果発表後の為替動向には注意を払う必要がある。それでも、VIX指数の低下でリスクを取りやすい地合いが醸成される中、場中はしっかりとした動きが続くだろう。日経平均の予想レンジは38400-38700円。
トランプ米大統領は国家安全保障会議(NSC)に対し、シチュエーションルーム(大統領が重要な作戦や重大な事件の状況確認や、世界各地に展開する米軍や各国首脳と秘匿通信などを行うために使用)で待機するよう要請したとFOXニュースが伝えた。
在イスラエル中国大使館は中国国民に対し、できるだけ早く陸路の国境検問所を通じてイスラエルから退避するよう勧告していると一部通信社が伝えた。
市場は早朝から本日の日銀金融政策決定会合どころではない状況となっています。トランプ米大統領がカナダでのG7サミットでの集合写真撮影後に、予定を切り上げて米国に戻ることが判明。トランプ米大統領自身からもイラン在住の米国人の即時退去が促され、米国家安全保障会議をシチュエーションルームで用意することが指示された模様。米空母が中東に直行している状況を鑑みるに、あれだけ関与しないと言っていた米軍のイラン空爆の可能性が高まったといえます。
地下深くに点在しているイランのウラン濃縮施設を攻撃するには、米国のバンカーバスターという爆弾しか届かないことは周知の事実ではありましたが、市場では実際に米国が参加するとは予想していなかったはず。トランプ米大統領も前日まで、米国の参加に否定的な発言を繰り返していたわけで、かかる状況の変化もまた、恐らく、イーロンマスクなきあとのホワイトハウス内のパワーバランスの変化に起因しているのかもしれません。
いずれにしても、アジア市場では「大きく反応のしようがない」というのが本音。ダウ先物が売られている一方、日経平均が堅調な推移となっているなか、ドル円も底堅い動きとなっています。有事のドル買いやら、リスクオフやら、今回の中東地政学リスクは複雑な反応を繰返しているわけですが、基本的にやはり、現在のポジションを増やすという状況ではなく、あくまでもポジションをアンワインディングして縮小していくというステージにあることは明らか。ドル円は目先、一目雲の中に再び入り込んできています。
日経225先物は11時30分時点、前日比140円高の3万8500円(+0.36%)前後で推移。寄り付きは3万8430円と、シカゴ日経平均先物(3万8510円)にサヤ寄せする形で、やや買いが先行して始まった。現物の寄り付き直後に3万8310円と下落に転じる場面もみられたが、中盤にかけて上へのバイアスが強まり、3万8560円まで買われた。買い一巡後は3万8500円~3万8550円辺りでの保ち合いを継続。
トランプ米大統領は、イランの首都テヘランからの避難を呼び掛けたと報じられ、開始直後は弱含む場面もあったが、ショートの動きはそれほど強まらなかった。為替市場では円相場が1ドル=145円台まで円安・ドル高が進んだことでハイテク株が買われ、日経平均型を牽引する形になった。ただし、一時3万8560円まで買われたもののナイトセッションでつけた3万8610円には届かず、ボリンジャーバンドの+2σ(3万8590円)接近では過熱感が意識されやすいようである。
NT倍率は先物中心限月で13.82倍に上昇した。一時13.85倍をつけており、5月14日の13.86倍に迫っている。+2σ(13.85倍)を捉えてきたことで、いったんはリバランスの動きが意識されそうだ。
「『国宝』は映画の宝石である」(トム・ハンクス)
2025年6月6日、吉田修一氏の小説『国宝』の映画版が公開された。
吉田修一作家生活20周年記念作品である『国宝』は、朝日新聞出版10周年記念作品として、2017年1月1日から2018年5月29日までの約500日間連載され、2018年9月7日に『国宝 上 青春篇』『国宝 下 花道篇』の二部構成(800ページ)で朝日新聞出版から発売された。任侠に生まれて、歌舞伎役者に引き取られた喜久雄と歌舞伎の名門に生まれた俊介の2人が、血筋と才能の狭間で葛藤しながら、芸の道に生きる物語である。
2025年5月18日、第78回カンヌ国際映画祭の「監督週間」部門で世界初上映され、約6分間のスタンディングオベーションを受けた。
小説も傑作だが、映画も監督、脚本、俳優、そしてカメラマン(ソフィアン・エル・ファニ)により傑作だと思うが、個人的にはラストシーンは原作の「阿古屋」にすべきだったと勝手に惜しんでいるのだが。
相場の世界でも、血筋と才能に似たものとして、才能は努力によって開花するのか、というテーマのナラティブがある。
1.タートルズ
1983年、「伝説のトレーダー」「シカゴの相場王子」と呼ばれたリチャード・デニスは、友人の数学者トレーダーのウィリアム・エックハートと「優秀なトレーダーは育成できるのか、生まれつきか」という永遠のテーマの実証実験を行った。
エックハートは「トレーダーの才覚は先天的なものだ」と主張し、デニスは「正しい手法と訓練があれば誰でも成功できる」と考えていた。
『ウォールストリート・ジャーナル』に募集広告を出して選考した23名の素人に対して、2週間の集中特訓でトレード手法を教え込んだ。デニスが東南アジアの旅行中に見たウミガメの養殖から「トレーダーも養殖できる」と豪語し「タートルズ(亀)」と命名された彼らは、市場の片隅に橋頭堡を構築していった。
2. 国宝
フランスの詩人ジャン・コクトーが「宗教劇ではない宗教」と喝破していた歌舞伎という日本の演劇、伝統芸能を題材とした映画『国宝』の主役と準主役は、本物の歌舞伎役者ではなく、1年半の練習を積んだ俳優が、それぞれ、血筋を受け継いだ役者と才能に溢れた役者を演じている。そして、この両名には、役者としての血筋はなく、努力と天性の賜物が備わっている。
芸術、音楽、スポーツの世界では、血筋による才能の継承は20%程度とのことで、残り80%の努力がなければ、子供達が同じ舞台に立つことは稀である。
例えば、6月3日に89歳(野8球9)で亡くなった長嶋氏の後継者には、息子の一茂氏ではなく、甲子園球場での5打席連続敬遠を偶然テレビ観戦されていた松井氏が選ばれた。
しかし、日本は、明治維新の後に西洋から伝えられた民主主義ではなく、維新前からの封建主義が優勢なので、国会には血筋を受け継いだ2世や3世の議員が溢れている。
本日のロンドン為替市場のユーロドルは、6月の独・ユーロ圏ZEW景況感指数を見極めながら、中東情勢に関するヘッドラインや原油価格の動向を注視していく展開が予想される。
トランプ米大統領が「全員、直ちにテヘランから避難すべきだ」と述べ、国家安全保障会議(NSC)に対して、シチュエーションルーム(大統領が重要な作戦や重大な事件の状況確認や、世界各地に展開する米軍や各国首脳と秘匿通信などを行うために使用)で待機するよう要請し、G7首脳会議が開催されているカナダから急遽帰国し、中東に空母を追加で配置して多数の空中給油機を展開するなど中東地域に軍事力を集中していることが明らかになったことで、本日のイスラエル・イランの軍事衝突に関するヘッドラインには警戒しておきたい。
6月独ZEW景況感指数の予想は35.0で、5月の25.2からの改善が見込まれている。4月は-14.0だったことで、ドイツ経済の今後6カ月間の楽観的な見通しが確認されることになる。しかし、欧米通商交渉は、依然として難航しており、ウクライナ情勢や中東情勢などの地政学リスクも不透明であることで、予断を許さない状況は続くことになる。
また、イスラエルとイランの軍事衝突が第5次中東戦争に拡大し、イランがホルムズ海峡の封鎖に踏み切る可能性も残されており、原油価格の上昇と景況感の悪化というスタグフレーションへの警戒感も払拭されていない。
昨日は、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会が、EU製品に対する米国の10%の関税率を受け入れる用意があるとの報道は憶測に過ぎず、協議の現状を反映していないと表明しており、欧米通商交渉が難航していることが示された。
トランプ米大統領は、先週、2週間以内に、各国に対する関税率を通告する、と述べており、中東情勢に加えて通商問題でも予断を許さない状況が続いている。
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1631ドル(6/12高値)
・ユーロ円:168.01円(2024/7/26高値)
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.1485ドル(6/12安値)
・ユーロ円:164.28円(日足一目均衡表・基準線)
ドル円:1ドル=144.66円(前営業日NY終値比▲0.09円)
ユーロ円:1ユーロ=167.20円(▲0.15円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1558ドル(▲0.0003ドル)
日経平均株価:38536.74円(前営業日比△225.41円)
東証株価指数(TOPIX):2786.95(△9.82)
債券先物9月物:138.67円(▲0.26円)
新発10年物国債利回り:1.475%(△0.025%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標) <発表値> <前回発表値>
日銀金融政策決定会合(日銀金融市場調節目標)
政策金利 0.50%で据え置き 0.50%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は神経質な値動き。「トランプ米大統領が米国家安全保障会議(NSC)にシチュエーションルームの準備をするように命じた」との報道が伝わると、中東情勢を巡る地政学リスクが意識され、一時145.11円までドル買いの反応が見られた。その後は日銀金融政策決定会合の結果公表を控えて買いも一服となり、日銀の金融政策公表後には本邦長期金利の上昇とともに144.41円まで押し戻されたが、売りの勢いも長続きしなかった。
なお、日銀は政策金利を0.50%で据え置いたほか、来年4月からの国債買い入れの減額ペースを2000億円程度に圧縮することを明らかにした。いずれも市場予想に沿った内容だった。
・ユーロ円はもみ合い。朝方に167.59円の高値をつけた後、ドル円の下げにつれて167.02円まで失速したものの、総じて167円台前半で方向感なく上下した。
・ユーロドルは下げ渋り。中東情勢を巡る懸念からドル買いの反応が見られた場面で1.1543ドルまで下押ししたが、その後は1.1568ドルまで買い戻しが入った。
・日経平均株価は続伸。前日の米国株式市場で半導体株が買われた流れを受けて、この日の東京市場でも関連株に買いが集まった。指数は一時270円近く上昇。もっとも、その後は日銀金融政策決定会合が手掛かりとならなかったほか、日銀総裁の会見を見極めたいとの思惑も広がったため、積極的に上値を追う展開とはならなかった。
・債券先物相場は続落。日銀が7-9月期の国債買い入れオペの運営方針で中長期ゾーンを減らしたことが明らかになり、中長期債の需給が緩むとの思惑が広がった。
東海東京インテリジェンス・ラボでは欧州株に関するリポートの中で、イギリスの5月雇用統計では給与所得者数が大幅な減少となったことを指摘している。給与税の引き上げが発表されて以降、企業による投資や雇用への悪影響が懸念されてきたが、それが実際に数字となって表れていると捉えている。4月の英実質GDP成長率も予想以上の減速となった。こうした中、市場では英国の利下げ観測が拡大しているとのこと。足元では来年1-3月期までに3回弱程度(0.25%×3)の追加利下げが予想されていると東海東京ではコメントしている。
大阪9月限
日経225先物 38510 +150 (+0.39%)
TOPIX先物 2784.5 +4.0 (+0.14%)
日経225先物(6月限)は前日150円高の3万8510円で取引を終了。寄り付きは3万8430円と、シカゴ日経平均先物(3万8510円)にサヤ寄せする形で、やや買いが先行した。現物の寄り付き直後に3万8310円と下落に転じる場面もみられたが、前場中盤にかけて上へのバイアスが強まり、3万8560円まで買われた。ただし、買い一巡後は膠着感が強まり、後場は3万8440円~3万8540円処で保ち合いが続いた。
トランプ米大統領は、イランの首都テヘランからの避難を呼び掛けたと報じられ、開始直後は弱含む場面もあった。また、日米首脳会談で石破茂首相は「双方の認識が一致していない点が残っている」と述べ、合意に向けて隔たりがあると伝わったことも、ややショートに向かわせたようである。
ただ、ショートの動きはそれほど強まらなかった。為替市場では1ドル=145円台まで円安・ドル高が進んだことでハイテク株が買われ、日経平均型を牽引する形になった。さらに、トランプ大統領が緊迫度を増す中東情勢に対応するため、G7サミットの予定を切り上げ帰国すると報じられ、イスラエルとイランの停戦に向けた思惑なども、ロングに向かわせたのだろう。
もっとも、地政学リスクへの警戒が後退したとしてショートを仕掛けづらくさせたが、楽観視はできなかった。トランプ大統領の中東情勢への対応見極めで積極的なロングも入りづらく、後場の膠着につながったようである。
現物の後場の取引開始時には、日銀の金融政策決定会合の結果が判明。政策金利は据え置かれ、2026年4月以降の国債買い入れの減額ペースは、四半期ごとの減額幅を4000億円から2000億円に圧縮することを決定した。いずれも予想通りだったことで市場の反応は限られた。
日経225先物はボリンジャーバンドの+1σ(3万8190円)と+2σ(3万8600円)によるレンジ内での推移であり、+2σに接近する場面では短期的な過熱感も意識されていたのだろう。そのため、+1σ近辺での押し目狙いのロング対応から、+2σに接近する場面では戻り待ち狙いのショートが入りそうである。イスラエルとイランが停戦で合意すれば、上へのバイアスが強まろうが、短期的に+2σ突破から+3σ(3万9050円)に迫る場面では利益確定に伴うロング解消を意識しておきたいところである。
NT倍率は先物中心限月で13.83倍に上昇した。一時13.85倍をつけており、5月14日の13.86倍に迫っている。+2σ(13.85倍)を捉えてきたことで、いったんはリバランスの動きを意識しておきたい。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万5700枚、ソシエテジェネラル証券が9324枚、サスケハナ・ホンコン証券が2154枚、モルガンMUFG証券が1495枚、バークレイズ証券が1433枚、BNPパリバ証券が1418枚、野村証券が1358枚、日産証券が1244枚、JPモルガン証券が1172枚、ドイツ証券が955枚だった。
TOPIX先物はソシエテジェネラル証券が1万4430枚、ABNクリアリン証券が1万3542枚、バークレイズ証券が4019枚、JPモルガン証券が3017枚、モルガンMUFG証券が2812枚、ゴールドマン証券が2398枚、ビーオブエー証券が2107枚、野村証券が1121枚、シティグループ証券が1045枚、UBS証券が866枚だった。
ドル円は引き続き中東情勢への警戒感が下支えとなりそうだ。中東情勢への過度な懸念はいったん和らいだが、中東情勢の不安定化で「有事のドル買い」圧力は残されている。トランプ米大統領は主要7カ国首脳会議(G7サミット)を切り上げ、首都ワシントンに向けカナダの開催地を後にした。イスラエルとイランの攻撃の応酬が続く中、ホワイトハウスで対応にあたるとみられている。トランプ米大統領は「米国民の中東退去支援に取り組んでいる」と述べた。
中東の地政学リスクがドルの下支えとなる一方で、トランプ関税の不確実やトランプ減税法案による財政不安などで依然としてドルの上値は重く、ドル円は145円台で売りも出やすい。本日のNYタイムでは米5月小売売上高や同輸出入物価指数の発表が予定されている。小売売上高は前月比-0.7%予想と、関税の発動を控えて自動車の駆け込み購入が増えた後の需要低下でマイナスに転じると見込まれるが、同コア(除自動車)は前月比+0.1%と前月から横ばいが予想されている。予想以上に関税の影響が確認されれば、ドルに売り圧力が強まりそうだ。
なお、本日の東京タイムでは日銀が政策金利を0.50%で据え置いたほか、来年4月からの国債買い入れの減額ペースを2000億円程度に圧縮することを明らかにした。ほぼ市場予想通りの結果と言える。また、植田日銀総裁は「経済・物価の見通しが実現していけば、経済・物価の改善に応じて引き続き政策金利を引き上げる」と繰り返し、関税・通商協議の不確実を強調した。発言内容に大きなサプライズは見られていない。
・想定レンジ上限
ドル円、日足一目均衡表・雲の上限145.60円近辺が上値めど。
・想定レンジ下限
ドル円、日足一目均衡表・転換線144.00円近辺が下値めど。
今晩は中東情勢や5月小売売上高に注目。昨日はイスラエルとイランの紛争が収束に向かうとの見方や、原油価格が反落したことなどで主要3指数がそろって上昇した。先週金曜日に769ドル安となったダウ平均は317.3ドル高(+0.75%)と反発し、S&P500とナスダック総合もそれぞれ0.94%高、1.52%高と反発した。引け後の動きではイスラエルがイランの首都テヘランに空爆を行い、国営テレビ局が爆撃された。トランプ米大統領はG7サミットの予定を切り上げ帰国したことで、中東情勢の緊迫度の高まりが意識されている。
今晩は緊迫度が高まる中東情勢が引き続き警戒されるほか、景気動向や利下げ見通しを巡り、5月小売売上高が注目される。昨日は6月NY連銀製造業業況指数が前月分や予想を下回る悪化となったが、小売売上高も4月分の前月比+0.1%から5月は-0.7%と減少が見込まれ、弱い結果となれば景気減速懸念や景気後退懸念が強まることが警戒される。
今晩の米経済指標・イベントは5月小売売上高のほか、5月輸入物価、5月鉱工業生産、6月NAHB 住宅市場指数など。企業決算は寄り前にジャビルが発表予定。
1. 日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(全員一致)。
無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0.5%程度で推移するよう促す。
2. 長期国債買入れの減額について、月間の長期国債の買入れ予定額を、2026年1~3月までは原則として毎四半期 4,000億円程度ずつ、2026年4~6月以降は原則として毎四半期 2,000億円程度ずつ減額し、2027年1~3月に2兆円程度とする計画を決定した(賛成8反対1)。
3. わが国の景気は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している。海外経済は、各国の通商政策等の影響を受けて一部に弱めの動きもみられるが、総じてみれば緩やかに成長している。輸出や鉱工業生産は、一部に米国の関税引き上げに伴う駆け込みの動きがみられるが、基調としては横ばい圏内の動きを続けている。企業収益が改善傾向にあるもとで、設備投資は緩やかな増加傾向にある。個人消費は、物価上昇の影響などから消費者マインドに弱さがみられるものの、雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな増加基調を維持している。住宅投資は弱めの動きとなっている。公共投資は横ばい圏内の動きとなっている。わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比をみると、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、既往の輸入物価上昇や米などの食料品価格上昇の影響もあって、足もとでは3%台半ばとなっている。予想物価上昇率は、緩やかに上昇している。
先行きのわが国経済を展望すると、各国の通商政策等の影響を受けて、海外経済が減速し、わが国企業の収益なども下押しされるもとで、緩和的な金融環境などが下支え要因として作用するものの、成長ペースは鈍化すると考えられる。その後については、海外経済が緩やかな成長経路に復していくもとで、成長率を高めていくと見込まれる。消費者物価(除く生鮮食品)については、これまで物価上昇率を押し上げてきた既往の輸入物価上昇やこのところの米などの食料品価格上昇の影響は減衰していくと考えられる。この間、消費者物価の基調的な上昇率は、成長ペース鈍化などの影響を受けて伸び悩むものの、その後は、成長率が高まるもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、「展望レポート」の見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。
リスク要因としては様々なものがあるが、とくに、各国の通商政策等の今後の展開やその影響を受けた海外の経済・物価動向を巡る不確実性はきわめて高く、その金融・為替市場やわが国経済・物価への影響については、十分注視する必要がある。
日銀HPより
長期金利は金融市場において形成されることが基本であり、日本銀行による長期国債の買入れは、国債市場の安定に配慮するための柔軟性を確保しつつ、予見可能な形で減額していくことが適切である。こうした観点から、2027年3月までの長期国債の買入れは、以下のとおり運営する。
1. 月間の長期国債の買入れ予定額を、2026年1~3月までは原則として毎四半期4,000億円程度ずつ、2026年4~6月以降は原則として毎四半期 2,000億円程度ずつ減額し、2027年1~3月に2兆円程度とする。
2.2026年6月の金融政策決定会合では、長期国債買入れの減額計画の中間評価を行う。中間評価では、今回の減額計画を維持することが基本となるが、国債市場の動向や機能度を点検したうえで、必要と判断すれば、適宜、計画に修正を加える。また、同時に、2027年4月以降の長期国債の買入れ方針について検討し、その結果を示すこととする。
3. 長期金利が急激に上昇する場合には、毎月の買入れ予定額にかかわらず、機動的に、買入れ額の増額や指値オペ、共通担保資金供給オペなどを実施する。
4. なお、必要な場合には、金融政策決定会合において、減額計画を見直すこともありうる。
日銀HPより
日経平均株価は続伸。寄り付きから上値を伸ばし、しっかりの展開となった。後場は伸び悩んだものの、終値で38500円台を回復。直近高値を更新した。
RSI(9日)は前日の67.8%→66.8%(6/17)に低下。引き続き見方は変わらず、4/7安値(30792円)を起点とした短期波動は上昇継続の判断となる。目先波動はまだもみ合いの範ちゅうだが、5/13高値と5/29高値(38454円)をつないで延長した上値抵抗線をこのまま明確に超えていけるかが焦点となる。
一方、25日移動平均線(37800円 6/17)の上昇一服が株価の上値を限定的にし、もみ合いを長引かせる要因になる。
上値メドは、心理的節目の39000円、2/13高値(39581円)、心理的節目の4万円、12/27高値(40398円)などがある。下値メドは、心理的節目の38000円、25日移動平均線、100日移動平均線(37256円 同)、心理的節目の37000円、75日移動平均線(36642円 同)、心理的節目の36000円などがある。
(17日終値:18日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=145.24円(17日15時時点比△0.58円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=166.83円(▲0.37円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1486ドル(▲0.0072ドル)
FTSE100種総合株価指数:8834.03(前営業日比▲41.19)
ドイツ株式指数(DAX):23434.65(▲264.47)
10年物英国債利回り:4.550%(△0.017%)
10年物独国債利回り:2.535%(△0.008%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月独ZEW景況感指数
47.5 25.2
6月ユーロ圏ZEW景況感指数
35.3 11.6
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は底堅い動き。イスラエルとイランの軍事衝突が激化し、世界経済に悪影響を及ぼすとの懸念が高まる中、投資家が運用リスクを回避する姿勢を強め、「有事のドル買い」が優勢となった。前日と同様に、ロンドン16時(日本時間24時)のフィキシングに向けたドル買いのフローが観測されると一時145.29円まで値を上げた。
その後、一目均衡表基準線145.30円や雲上限145.60円がレジスタンスとして意識されるといったんは144.91円付近まで伸び悩む場面もあったが、下押しは限定的だった。3時前には145.30円と日通し高値を更新した。
なお、メルツ独首相は「米国は17日中に対イラン参戦の是非を決定へ」と述べたほか、「トランプ米大統領は米国家安全保障会議(NSC)チームと会談」「イスラエル・イラン問題で政策を決定する」との報道が伝わった。
・ユーロドルは軟調。イスラエルとイランの攻撃の応酬が続くなど中東情勢が緊迫する中、「株安・原油高・ドル高」の様相が強まった。前日の安値1.1524ドルを下抜けると、3時前に一時1.1479ドルと日通し安値を付けた。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時98.79まで上昇した。
なお、5月米小売売上高や5月米鉱工業生産、6月米NAHB住宅市場指数など、この日発表の米経済指標は軒並み予想を下回ったものの、相場の反応は限られた。
・ユーロ円は弱含み。ドル相場となったためユーロ円自体は方向感が出にくく、しばらくはもみ合いの展開が続いた。ただ、NY午後に入ると中東情勢の緊迫を背景に米国株相場が軟調に推移。リスク回避の円買いが入り、3時前に一時166.75円と日通し安値を更新した。
・ロンドン株式相場は反落。中東情勢を巡る地政学リスクへの警戒感が根強い中、売りが優勢となった。アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株が売られたほか、HSBCやバークレイズなど金融株が値下がりした。リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株も軟調だった。
・フランクフルト株式相場は反落。イスラエルとイランの軍事衝突が激化し、世界経済に悪影響を及ぼすとの懸念が高まる中、投資家が運用リスクを回避する姿勢を強め、株売りが広がった。個別ではフレゼニウス・メディカル・ケア(4.47%安)やコメルツ銀行(4.33%安)、ザランド(2.44%安)などの下げが目立ち、MTUエアロ・エンジンズ(1.69%高)などを除く35銘柄が下落した。
・欧州債券相場は下落。6月独ZEW景況感指数が47.5と予想の35.0を上回ると債券売りが優勢となった。
17日の日経平均は続伸。終値は225円高の38536円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり955/値下がり593。米国で半導体株が強かった流れを受けて、レーザーテックやディスコなど半導体株が軒並み大幅高。前日に急伸したアドバンテストも2%超上昇した。データセンター需要増への期待が高まったか、東電HD、北海道電力、九州電力など電力株の一角に強い動きが見られた。ソフトバンクGなど大型グロース株の動きが良く、任天堂、DeNA、コナミGなどゲーム株が全般堅調。決算を材料にプロレドパートナーズが値を飛ばした。
一方、ファーストリテイリング、良品計画、神戸物産など小売の一角が軟調。大林組や清水建設など建設株が弱く、内需株やディフェンシブ色の強い銘柄は総じてさえなかった。証券会社が投資判断を引き下げたチヨダが大幅安。グロース銘柄では1Q決算が失望を誘ったテラドローンが6%を超える下落となった。
日経平均は日銀会合を無難に消化して3桁の上昇。前引けが38501円、大引けが38536円で、後場は動意自体が限られた。ここ数カ月の値動きからは38500円は天井感が意識される水準であったが、この近辺で伸び悩んだにもかかわらず、大きく失速することはなかった。6月11日に38529円まで上昇した後に失速したものの、38000円を割り込んだのは13日の1営業日のみにとどまり、早々に38500円台を回復してきた。売り圧力がかなり和らいでいることがうかがえる。
きのうはアドバンテストが派手に上昇し、きょうはアドバンテストを含めて多くの半導体株が大きく上昇した。米国でもエヌビディアだけでなく多くの半導体株の動きが良くなっており、半導体株ラリーに対する期待が高まりつつある。米国では本日からFOMCが開催される。政策金利は据え置きが濃厚だが、そのことが米長期金利の上昇を招かなければ、米国のグロース株には悪くない地合いが想定される。日経平均は半導体株が強く買われたきのうときょうは陽線を形成しているだけに、ここで値を消すことなく、もう一段の上昇が見られるかに注目したい。
(17日終値)
ドル・円相場:1ドル=145.29円(前営業日比△0.54円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=166.79円(▲0.56円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1480ドル(▲0.0081ドル)
ダウ工業株30種平均:42215.80ドル(▲299.29ドル)
ナスダック総合株価指数:19521.09(▲180.12)
10年物米国債利回り:4.39%(▲0.05%)
WTI原油先物7月限:1バレル=74.84ドル(△3.07ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3406.9ドル(▲10.4ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
5月米小売売上高
(前月比) ▲0.9% ▲0.1%・改
(除く自動車) ▲0.3% 0.0%・改
5月米輸入物価指数
(前月比) 0.0% 0.1%
5月米鉱工業生産
(前月比) ▲0.2% 0.1%・改
設備稼働率 77.4% 77.7%
4月米企業在庫
(前月比) 0.0% 0.1%
6月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数
32 34
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は3日続伸。イスラエルとイランの軍事衝突が激化し、世界経済に悪影響を及ぼすとの懸念が高まる中、投資家が運用リスクを回避する姿勢を強めると米国株相場が下落。為替市場では「有事のドル買い」が優勢となった。前日と同様に、ロンドン16時(日本時間24時)のフィキシングに向けたドル買いのフローが観測されると一時145.29円まで値を上げた。
一目均衡表基準線145.30円や雲上限145.60円がレジスタンスとして意識されるといったんは144.91円付近まで伸び悩む場面もあったが、下押しは限定的だった。4時30分前には一時145.38円まで買われ、日通し高値を更新した。
なお、トランプ米大統領が自身のSNSでイランに対して「無条件降伏」を求めたほか、爆撃は望まないとしながらも「我々はしびれを切らしている」などと投稿。米国が軍事介入し、中東情勢が一段と悪化することへの警戒が広がった。
・ユーロドルは反落。イスラエルとイランの交戦が続く中、米軍が中東地域に戦闘機を追加配備したことが伝わった。中東情勢の更なる緊迫化で「株安・原油高・ドル高」の様相が強まった。前日の安値1.1524ドルを下抜けると、4時前に一時1.1475ドルと日通し安値を付けた。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時98.87まで上昇した。
なお、5月米小売売上高や5月米鉱工業生産、6月米NAHB住宅市場指数など、この日発表の米経済指標は軒並み予想を下回ったものの、相場の反応は限られた。
・ユーロ円は9日ぶりに反落。中東情勢の緊迫を背景に米国株相場が軟調に推移すると、リスク回避の円買い・ユーロ売りが優勢となった。5時過ぎに一時166.71円と日通し安値を更新した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は反落。イスラエルとイランの交戦が続く中、米軍が中東地域に戦闘機を追加配備したことが伝わった。中東情勢の更なる緊迫化で投資家が運用リスクを回避する姿勢を強めると、株売りが優勢となった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も反落した。
・米国債券相場で長期ゾーンは3日ぶりに反発。中東情勢の緊迫を背景に相対的に安全な資産とされる米国債が買われた。この日発表の米経済指標は軒並み予想を下回ったことも相場の支援材料。
・原油先物相場は大幅に反発。イスラエルとイランの交戦が続くなか、米軍が中東地域に戦闘機を追加配備したことが伝わった。中東情勢の緊迫化が一層高まると、同地域からのエネルギー供給に対して先行き不透明感が深まった。原油買いの勢いは緩むことなく、75ドル台まで上値を伸ばした。
・金先物相場は続落。為替市場でドル高が進み、ドル建て金に割高感が生じて売りが強まった。弱い米経済指標も支えとならず、一時3385ドル前後まで下値を広げている。ただ一巡後は、イスラエルとイランの交戦を巡る地政学リスクが再び意識されて下げ幅を縮小した。
一部通信社が報じたところによると、「トランプ米大統領は国家安全保障会議チームと午後1時に会談する」ようだ。イスラエル・イラン問題で政策を決定するという。
米ウォールストリートジャーナル(WSJ)紙が報じたところによると、「米国はイランの核研究巡りイスラエルと意見が対立している」ようだ。また、「トランプ米大統領はイランの核の脅威はますます緊迫していると認識している」という。
CNNが報じたところによると、「トランプ大統領と国家安全保障会議(NSC)チームとの会合が終了した」ようだ。
17日07:07 カーニー加首相
「トランプ米大統領と30日以内に合意を目指して協議を進めることで一致」
17日07:34 トランプ米大統領
「全員、直ちにテヘランから避難すべきだ」
「イランは私が結ぶように言った合意に署名すべきだった」
17日14:20
「マクロン仏大統領は私が今なぜワシントンに向かっているのか全く分かっていない」
「ワシントンに戻るのと停戦は関係ない」
17日16:08
「米国民の中東退去支援に取り組んでいる」
「イランは核兵器保有に非常に近づいている」
17日18:05
「日本との合意は可能性あり、だが相手はタフ」
「EUはまだ公正な合意を提示していない」
「医薬品関税は間もなく導入される」
「イランとの核問題の「真の終結」を望んでいる」
17日08:33 レビット米報道官
「トランプ米大統領は今夜ワシントンに戻る」
17日08:43 マクロン仏大統領
「アメリカはイラン側と会談する提案をしており、今後の展開を見守ることになる」
「トランプ米大統領はG7首脳に対し、イスラエルとイランの間で停戦を実現するための協議が行われていると伝えた」
「欧州はイランの核問題に関する真剣な交渉に参加する用意」
17日12:34 日本銀行声明
「国債買い入れを毎四半期2000億円程度ずつ減額」
「見通し期間後半には物価目標と整合的な水準で推移」
「中間評価では減額計画維持が基本だが必要なら修正加える」
「田村委員が国債買い入れ計画に反対」
※時間は日本時間
17日15:38 植田日銀総裁
「新たな国債買い入れ減額計画の考え、従来と変わらない」
「柔軟性確保の観点で、来年6月に中間評価を行うことにした」
「通常の市場の動きとは異なる形で長期金利が急激に上昇するなど例外的な状況生じれば、機動的に対応」
「実質金利は極めて低い水準にある」
「経済・物価の見通しが実現していけば、経済・物価の改善に応じて引き続き政策金利を引き上げ」
「より自由な金利形成のためには国債買い入れのさらなる減額が適切」
「国債買い入れ減額ペースが速すぎると市場安定に不測の影響及ぼす可能性」
「経済・物価、大きな構図に変化はない」
「物価を巡り、上下双方向のリスクがある」
「経済・物価共に下振れリスクのほうが大きい」
「各種データやヒアリング情報など、できるだけ幅広い情報で判断するのが従来以上に重要」
「大規模緩和の副作用が顕現化しないように、国債買い入れの減額を進める」
「センチメント系の指標は悪いものが増えているが、ハード系はしっかりしている」
「(利上げ判断は)見通しの確度次第」
「(国債買い入れ減額計画で)4-5月の市場動向や市場機能度を見て今回の決定となった」
「国債買い入れの先行きは来年の中間評価で改めて考え示せればと思う」
「食品価格の上昇や原油高が続けば基調物価に無視できない影響を与えるリスクある」
「(今回の国債買い入れ減額計画で)将来の市場の不安定さを未然に防ぐ措置というのが基本的な考え方」
「通商政策の影響が出てきて製造業の収益低下に向かえば、コストカット型の価格賃金設定が復活するリスクも無視できない」
「関税巡り米中間には前向きの動きが見られたが、通商政策の先行き不確実性は高い」
「予想インフレ率や基調的物価上昇率、まだ2%にアンカーされてない」
「保有ETFは、日銀の3原則に従い処分方法を時間かけて検討していく姿勢に変わりない」
「関税が落ち着いても、経済への影響を巡る不確実性は大きい」
「企業収益の悪化による賃金への影響、いつになったら見極められるかは悩ましい」
「(国債買い入れ減額のペースダウンについて)減額継続で市場機能度の回復を目指しているが、そのペースが限界的にゆっくりになる」
「限界的な違いだが、少し慎重に進もうということで2000億円になった」
「通商交渉、後ずれすればするほど通商政策を巡る状況が不確実という判断が続く」
「国債買い入れ減額ペース半減について、マクロ的な悪影響はそれほど見てない」
「通商政策の影響は年後半に本格化する可能性、基調物価や政策の判断につなげていきたい」
「(ビハインドザカーブに陥るリスクについて)そういう状況にはない」
「基調的物価上昇率について、上がりつつあるが加速感をもって上がっている状況ではない」
「国債補完供給の減額措置の対応拡充、一方的に金利がどちらに行くとは想定していない」
「長期金利、場合によってはコントロール可能」
「国債補完供給の減額措置の対応について、狙いは市場機能の回復を高めること」
「預金準備率の変更、その必要性がないと判断」
「データや情報の総合判断として利上げ確率は決まってくる」
「26年4月以降の国債買い入れ減額計画、市場の機能回復と安定性のバランスをとった」
「近い将来の利上げ確率、私から言うのは適切でない」
「(利上げの判断について)ハードデータが今後どうなるか見たい」
「消費者物価指数総合の上昇率が基調物価に影響を与えるかも見たい」
18日00:48 フォンデアライエン欧州委員長
「米国との貿易交渉は複雑だが前進している」
「EUと米国は7月9日までに貿易交渉を終結させることで合意し、これを目指して取り組んでいる」
18日01:49 メルツ独首相
「米国は17日中に対イラン参戦の是非を決定へ」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◎ 4月機械受注(予想:船舶・電力除く民需 前月比▲9.5%/前年比4.2%)
○08:50 ◎ 5月貿易統計(通関ベース、予想:季節調整前8965億円の赤字、季節調整済3590億円の赤字)
<海外>
○07:45 ◇ 1-3月期ニュージーランド(NZ)経常収支(予想:22.00億NZドルの赤字)
○15:00 ◎ 5月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%/前年比3.3%)
○15:00 ◎ CPIコア指数(予想:前年比3.5%)
◇ 小売物価指数(RPI、予想:前月比0.2%/前年比4.2%)
○16:30 ◎ スウェーデン中銀、政策金利発表(予想:2.00%に引き下げ)
○16:30 ◎ エルダーソン欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○17:00 ◇ 4月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
○17:00 ◎ 5月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%/前年比2.8%)
○17:45 ◎ エスクリバ・スペイン中銀総裁、講演
○18:00 ☆ 5月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比1.9%)
○18:00 ☆ 5月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比2.3%)
○18:30 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○19:15 ◎ クノット・オランダ中銀総裁、講演
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○20:00 ◇ 4月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比3.1%)
○21:30 ◎ 5月米住宅着工件数(予想:135.0万件、前月比▲0.8%)
◎ 建設許可件数(予想:142.5万件、前月比0.2%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:24.5万件/193.2万人)
○22:00 ◎ パネッタ伊中銀総裁、講演
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○23:30 ◎ ナーゲル独連銀総裁、センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○19日00:15 ◎ マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁、講演
○19日01:00 ☆ 1-3月期ロシア国内総生産(GDP)改定値(予想:前年比1.4%)
○19日03:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表(予想:4.25-4.50%で据え置き)
○19日03:00 ☆ FOMC、経済・金利見通し発表
○19日03:30 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○19日05:00 ◎ 4月対米証券投資動向
○19日06:30 ☆ ブラジル中銀、政策金利発表(予想:14.75%で据え置き)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
17日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、イスラエルとイランの軍事衝突が激化して「有事のドル買い」が優勢となり、145.38円まで上昇した。ユーロドルは、中東情勢の更なる緊迫化で「株安・原油高・ドル高」の様相が強まり、1.1475ドルまで下落した。ユーロ円は、米国株相場が軟調に推移し、リスク回避の円買い・ユーロ売りが優勢となり166.71円まで下落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、中東情勢緊迫化を受けた有事のドル買いでこれまで上値を抑えてきた一目均衡表・雲の上限145.55円を上抜ける可能性が高まりつつある。
トランプ米大統領は、カナダで開催中のG7首脳会議を途中で切り上げてワシントンに戻り、ホワイトハウスのシチュエーション・ルーム(作戦司令室)で、イスラエルとイランの交戦で緊迫する中東情勢への対応のための国家安全保障会議(NSC)の会合を開催した。
さらに、米軍空母「ニミッツ」が南シナ海から中東の方向へ西進していると報じられており、米軍がイスラエルとイランの軍事衝突に関与する可能性が高まっており、本日も関連ヘッドラインに警戒しておきたい。
8時50分に発表される日本の5月貿易統計(通関ベース)は、季節調整前8965億円の赤字、季節調整済3590億円の赤字と予想されているが、対米貿易黒字額を確認し、トランプ米政権による相互関税率の算出をしておきたい。
4月に発表された日本に対する相互関税率24%は、2024年の米国の対日貿易赤字(685億ドル)を日本からの輸入金額(1482億ドル)で割って算出されていた。日本の5月、そして1-5月の対米貿易黒字により相互関税の妥当性を確認しておきたい。
ベッセント米財務長官は、4月にトランプ政権が各国と行う通商交渉について、日本が非常に迅速に名乗り出たことで、日本を優先する可能性が高いと述べていた。しかし、日本側の代表である赤沢経済再生相と米国側の代表であるベッセント米財務長官、ラトニック米商務長官、グリア通商代表部(USTR)代表による6回に及ぶ通商交渉、そしてG7首脳会議でのトランプ米大統領と石破首相との日米首脳会談でも、通商合意には至らず、石破政権の通商交渉戦術の失敗に終わった。
明朝3時に発表される米連邦公開市場委員会(FOMC)の政策金利は、トランプ関税の不確実性(uncertainty)を理由に4.25-4.50%での据え置きが見込まれている。
イスラエルとイランの軍事衝突での最悪のシナリオは、第5次中東戦争に拡大して、ホルムズ海峡(日量2000万バレル超の原油が通過)の封鎖などで、原油価格が100ドル超まで上昇する可能性である。
NY原油先物は、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻を受けて6月に122ドルまで上昇したが、2022年6月の米国の消費者物価指数(CPI)は前年比+9.1%まで上昇していた。
FOMC参加者による「経済・金利見通し」、ドット・プロット(金利予測分布図)やパウエルFRB議長の記者会見でリスクシナリオへの言及に注目しておきたい。
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 38210 -300 (-0.77%)
TOPIX先物 2768.5 -16.0 (-0.57%)
シカゴ日経平均先物 38230 -280
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
17日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落。イスラエルとイランの軍事衝突を巡り、トランプ米大統領が自身のSNSにイランに対する忍耐を失いつつあるとして「無条件降伏」を求めた。米軍によるイラン攻撃を選択肢として検討しているとも報じられ、米国の軍事介入により中東情勢が一段と緊迫することへの警戒が広がった。トランプ大統領は「停戦ではなく、完全な終結」と述べており、米政府の関与を巡って緊張が高まった。
5月の米小売売上高が前月比0.9%減と、市場予想(0.6%減程度)以上に落ち込んだことも重荷になった。関税引き上げ前の駆け込み的な消費が一巡し、「減速を示唆した」と受け止められたようだ。
S&P500業種別指数はエネルギーのみが上昇した一方で、自動車・同部品、耐久消費財・アパレル、医薬品・バイオテクノロジー、電気通信サービス、運輸の弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、シェブロン<CVX>、ビザ<V>、IBM<IBM>、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>が買われた。半面、メルク<MRK>、ナイキ<NKE>、スリーエム<MMM>、アムジェン<AMGN>、ジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ>が軟調。
シカゴ日経平均先物(清算値)は大阪比280円安の3万8230円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比80円安の3万8430円で始まった。3万8260円まで下げた後は持ち直し、米国市場の取引開始直後には3万8450円まで下落幅を縮める場面もみられた。ただし、終盤にかけて下へのバイアスが強まり、3万8200円まで下げ幅を広げ、3万8210円とナイトセッションの安値圏で取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、売り先行で始まることになろう。前日はトランプ大統領が中東情勢への対応を理由にG7サミットの予定を切り上げて帰国したことで、イスラエルとイランの停戦に向けた思惑などがロングに向かわせていた。ただ、本日は米政府の関与による戦争激化への警戒感がリスク回避姿勢につながりそうである。
米連邦準備理事会(FRB)が18日まで開く米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果やパウエルFRB議長の記者会見を見極めたいとして積極的な売買を手控える動きもありそうだ。FOMCでは四半期ごとの経済予測とドットチャートを公表する予定である。原油価格の高騰によるインフレ再燃によって、年内2回の利下げ予想を織り込んでいる状況が後退する可能性については注意しておきたい。
日経225先物はナイトセッションで3万8200円まで売られたが、ボリンジャーバンドの+1σ(3万8200円)水準で下げ止まる形だった。前日の上昇で+2σ(3万8610円)を捉えてきたこともあり、短期的には過熱感が意識されていたため、過熱を冷ます調整の範囲内である。+1σを割り込んできたとしても、中心値となる25日移動平均線(3万7790円)が支持線として意識されやすく、押し目狙いのロング対応に向かわせよう。
FOMCの結果待ちのなかでポジションを傾けにくい状況でもあり、短期的にショートが強まる局面では、その後のショートカバー狙いのスタンスになりそうだ。そのため、+2σを中心にオプション権利行使価格の3万7875円から3万8625円のレンジを想定する。
17日の米VIX指数は21.60(16日は19.11)に上昇した。地政学リスクの高まりから再び25日線(18.79)、200日線(19.65)を上回ってきた。ただし、依然としてボトム圏での推移であるため、75日線(23.69)辺りを明確に上抜けてくるまでは、リスク回避姿勢はそれほど強まらないだろう。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.83倍に上昇した。一時13.85倍をつけており、5月14日の13.86倍に迫っている。+2σ(13.85倍)を捉えてきたことで、いったんはリバランスに伴うNTロングを巻き戻す動きを意識しておきたいところである。
東京市場は軟調か。米国株は下落。ダウ平均は299ドル安の42215ドルで取引を終えた。イスラエルとイランの紛争激化に対する警戒が高まり、幅広い業種が売られる展開。5月小売売上高など経済指標が弱かったことも嫌気され、終盤にかけて下げ幅を広げた。ドル円は足元145円30銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが280円安の38230円、ドル建てが150円安の38360円で取引を終えた。
米国株の引け味が悪く、日本株も売りに押されると予想する。NY原油が大きく上昇しており、米国ではエネルギー株以外は弱かった。ただ、エヌビディアは小幅な下落にとどまったほか、AMDやマイクロンはプラスで終えるなど、半導体株は相対的に値を保っている。ドル円は円安に振れており、大きく下げるようなら下値では買いが入ると考える。本日の米国ではFOMCの結果が発表される。売り一巡後は様子見姿勢の強い地合いが続くだろう。日経平均の予想レンジは38200-38550円。
イタリアのメローニ首相はイランの核危機について「外交的対話による解決が不可欠」と強調し、現時点での取り組みは成果を上げていないと述べた。また、ロシアのプーチン大統領を交渉の仲介役とする案については「最適ではない」と否定的な見解を示し、現在進行中の貿易交渉にも悲観的な姿勢を表明した。
日経225先物は11時30分時点、前日比280円高の3万8790円(+0.72%)前後で推移。寄り付きは3万8240円と、シカゴ日経平均先物(3万8230円)にサヤ寄せする形で、売りが先行して始まった。ただし、寄り付きを安値に上へのバイアスが強まり、現物の寄り付き時にはプラス圏を回復。その後、3万8500円~3万8600円辺りでの保ち合いをみせていたが、中盤以降にレンジを上抜け、終盤にかけて3万8810円まで上げ幅を広げている。
朝方は中東情勢が一段と緊迫することへの警戒から売りが先行したものの、ボリンジャーバンドの+1σ(3万8260円)水準が支持線として機能する形から反転し、+2σ(3万8700円)を突破してきた。寄り付き後の急速な切り返しによってショートカバーの動きも強まったとみられる。+2σを突破してきたことで過熱感は警戒されるものの、ヘッジ対応の動きが意識されやすいため、ショートは控えておきたい。瞬間的には+3σ(3万9150円)辺りが意識されてくる可能性はありそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.83倍と横ばいで推移。朝方は13.79倍に低下する場面もみられたが、その後の切り返しにより、一時13.84倍とプラス圏を回復。+1σ(13.76倍)と+2σ(13.85倍)とのレンジ内での推移を継続している。
昨日の海外市場では、トランプ米大統領がカナダでのG7サミットを1日で切り上げて米国に戻るといった緊急事態のなか、全般有事のドル買いが強まることになりました。5月米小売売上高が予想を大幅に下回る弱い数字となると、その直後こそドル売りでの反応となったものの、GDP算出に関係する、いわゆる、リテールコントロールに属する数値は予想を上回ってることがわかると、米長期金利が一転して上昇。同時に公表された5月米輸入物価指数も予想を上回る強い結果。その後は有事のドル買いの流れとなるなか145.29円まで買い上げられました。一旦は144.91円まで下押ししたものの、下値も限定的となると引けにかけては145.38円まで高値を更新しています。
アジア時間に入ってからは、早朝に昨日高値を上抜けて一時145.44円まで値を上げる場面もみられましたが、11日の高値145.46円を前に戻り売り。米国では国家安全保障会議(NSC)がシチュエーションルームで開催されたわけですが、その場でイラン空爆のオペレーションは実施されず、約1時間30分に及ぶミーティングが終了。市場では、米国の次のアクションを見極めるべく、ポジション調整となっているといったところです。ドル円は目先、NY時間午後の下押しレベルである144.91円や、一目雲下限が位置する144.89円が意識されています。
いずれにしても、日経平均は寄付き安値の前場高値引けといったかなり堅調な展開。ダウ平均が下落するなかにあっても、市場参加者の言葉を借りれば、「恐らく日本株が受け皿になっている」からか、やけに底堅い動きが続いています。
タッカーカールソンをはじめとする、圧倒的なトランプ支持者の多くが、今回の米国によるイラン空爆を回避すべく声を荒げているなか、「アメリカファースト」だったはずのトランプ政権の決断が迫られているところです。なお、今夜のFOMCでは、市場の注目は専ら、ドットチャートの中央値の変化に集まっています。
「今なお双方の認識が一致していない点が残っている。日本の国益を守りながら、日米双方にとって利益となる合意ができるように精力的に調整する」(石破首相:6月16日)
2025年6月16日、トランプ米大統領と石破首相は、G7首脳会議にあわせて日米首脳会談に臨んだものの、日米通商合意には至らなかった。
ベッセント米財務長官は、4月にトランプ政権が各国と行う通商交渉について、日本が非常に迅速に名乗り出たことで、日本を優先する可能性が高いと述べていた。しかし、日本側の代表である赤沢経済再生相と米国側の代表であるベッセント財務長官、ラトニック商務長官、グリアUSTR代表による6回に及ぶ通商交渉、そしてG7首脳会議でのトランプ米大統領と石破首相との日米首脳会談でも、通商合意には至らず、石破政権の通商交渉戦術の失敗に終わった。
1.トランプ米大統領(4月20日)
トランプ米大統領は、自身のソーシャルメディア・プラットフォームに非関税貿易障壁のごまかし(Non-Tariff cheating)と題した投稿を行った。
1)為替操作
2)関税および輸出補助金として作用する付加価値税(VAT)
3)コストを下回るダンピング(不当廉売)
4)輸出補助金および他の政府補助金
5)保護的な農業基準
6)保護的な技術規格(ボーリングのボールを使った日本の検査)
7)偽造、著作権侵害、知的財産の窃盗
8)関税逃れのための積み替え
2. 第1回日米通商交渉(4月16日)※日本代表:赤沢経済再生相
赤沢経済再生相は通商交渉を行い、日米双方が率直かつ建設的な姿勢で協議に臨み、可能な限り早期に合意し、首脳間で発表できるよう目指すことを合意した。
3. 第2回日米通商交渉(5月1日)
「両国間の貿易拡大、非関税措置、経済安全保障面の協力など具体的な議論を進めた」と語った。
・自動車、自動車部品、鉄鋼、アルミニウムに対する追加関税措置の撤廃を求めた
・日米両国とも守るべき国益があり、事務方で詰める、積み上げることがある
米国は、交渉対象は相互関税(日本24%)のうち一律適用(10%)を除いた追加分の14%で、関税で「合意枠組み案」を提示し、自動車や鉄鋼は交渉外の意向、と報じられている。
・輸入自動車の安全審査を簡素化する特例の拡大
・米国産の大豆・トウモロコシの輸入拡大、造船分野での協力―
4. 第3回日米通商交渉(5月23日)
米国政府による一連の関税措置の見直しを強く申し入れたほか、貿易の拡大、非関税措置、経済安全保障面での協力などについて協議した。
5. 第4回日米通商交渉(5月30日)
「日米が互いの立場を十分認識するとともに、合意に向けた議論が進展していることを確認した」と述べ、日米間の調整をさらに加速し、6月中旬のG7首脳会議前に再び協議を行うことで一致したと説明した。
6. 第5回日米通商交渉(6月5-6日)
「議論がさらに進展した」と説明したものの「一致点はまだ見いだせていない」と述べた。
赤沢経済再生相は、米国による一連の関税措置の見直しを申し入れ、貿易の拡大、非関税措置、経済安全保障面での協力、レアアースのサプライチェーン強化などを提案した。
7. 第6回日米通商交渉(6月13日)
「非常に突っ込んだやり取りを行い、合意の可能性を探った」と述べた。
本日のロンドン為替市場のユーロドルとポンドドルは、中東情勢に関するヘッドラインや原油価格の動向を注視しながら、5月の英・ユーロ圏のインフレ率を見極めていく展開が予想される。
明日のイングランド銀行金融政策委員会(MPC)では、政策金利の据え置きが予想されているものの、本日発表される5月英消費者物価指数が予想を大幅に下回った場合は、前回のハト派(5人が0.25%の利下げを支持、2人が0.50%の利下げを支持)の勢いが強まる可能性に警戒しておきたい。
5月英消費者物価指数(CPI)は前月比+0.2%、前年比+3.3%と予想されており、4月の前年比+3.5%からの伸び率鈍化が見込まれている。
また、5月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比+1.9%やユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比+2.3%)の上下振れにも警戒しておきたい。
中東情勢に関しては、トランプ米大統領が米国人に対してテヘランからの退去を呼びかけ、エルサレムの米国大使館が6/18-20休館となるなど、軍事衝突が激化する可能性が高まりつつある。
トランプ米大統領がカナダで開催中のG7首脳会議を途中で切り上げてワシントンに戻り、ホワイトハウスのシチュエーション・ルーム(作戦司令室)で、イスラエルとイランの交戦で緊迫する中東情勢への対応のための国家安全保障会議(NSC)の会合を開催した。
さらに、米軍空母「ニミッツ」が、中東情勢が緊迫する中、南シナ海から中東の方向へ西進していると報じられており、米軍がイスラエルとイランの軍事衝突に関与する可能性が高まっており、本日も関連ヘッドラインに警戒しておきたい。
先ほど、イスラエル軍がイランの核施設を攻撃した、と報じられている。
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1631ドル(6/12高値)
・ユーロ円:167.61円(6/17高値)
・ポンドドル:1.3335ドル(5/20安値)
・ポンド円:196.85円(6/17高値)
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.1381ドル(日足一目均衡表・基準線)
・ユーロ円:165.88円(日足一目均衡表・転換線)
・ポンドドル:1.3083ドル(日足一目均衡表・基準線)
・ポンド円:193.77円(6/13安値)
ドル円:1ドル=145.01円(前営業日NY終値比▲0.28円)
ユーロ円:1ユーロ=166.83円(△0.04円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1504ドル(△0.0024ドル)
日経平均株価:38885.15円(前営業日比△348.41円)
東証株価指数(TOPIX):2808.35(△21.40)
債券先物9月物:138.86円(△0.19円)
新発10年物国債利回り:1.460%(▲0.015%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標) <発表値> <前回発表値>
5月貿易統計(通関ベース)
季節調整前 6376億円の赤字 1156億円の赤字・改
季節調整済 3055億円の赤字 3492億円の赤字・改
4月機械受注(船舶・電力除く民需)
前月比 ▲9.1% 13.0%
前年同月比 6.6% 8.4%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は上値が重い。朝方に145.44円の高値をつけた後は徐々に上値を切り下げる展開となり、144.90円まで押し戻された。米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表やパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見内容を見極めたいとの思惑から持ち高調整売りが出た。東京時間の昼過ぎには「イスラエル軍がイランの核施設を攻撃した」などの報道も伝わったが、「有事のドル買い」にはつながらなかった。
・ユーロドルは小高い。FOMCを控えた持ち高調整目的のドル売りに押され、朝方につけた安値1.1475ドルから1.1515ドルまで切り返した。
・ユーロ円はもみ合い。全般にドル絡みの取引が目立ったこともあり、166円台後半の狭いレンジ内で方向感なく推移した。
・日経平均株価は3日続伸。安く寄り付いたものの、すぐに切り返してプラス圏に浮上した。前日に日銀が追加利上げに慎重な姿勢を示したことも相場の支えとなって、後場も底堅い地合いを維持。この日の高値で取引を終えた。
・債券先物相場は3営業日ぶりに反発。昨日の米国債券相場が上昇した流れを引き継いだほか、中東情勢の緊迫化で安全資産とされる債券需要が高まった。
中国人民銀行(中央銀行)の潘功勝行長は、上海で開催された陸家嘴フォーラムで講演し、人民元がすでに世界第2の貿易金融通貨となり、全体ベースで世界第3の決済通貨となったと明らかにした。国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)構成通貨における人民元の比率も世界第3位に位置付けられているという。『AAストックス』が中国本土メディアを引用して18日伝えた。
潘行長は、国際通貨システムが多極化に向かうことにより、主権通貨を発行する各国が政策運営においてより厳格な規律を求められ、制度の強靱性が高まると指摘。これが世界経済および金融の安定維持に資すると述べた。
今後については、少数の主権通貨が並立し、相互に競争と抑制を働かせる構図へと移行する可能性があると展望。そのうえで、単一の通貨が支配的な地位を占める場合でも、複数の通貨が共存する場合でも、主権通貨国には財政規律や金融監督の強化、経済の構造改革を進める責任があると強調した。
大和証券では、石破首相が9日に名目GDPを1000兆円に引き上げる目標などを参院選の自民党公約に明記するよう指示したことが伝わったことを受けてコメントしている。ハードルの高い施策であるが、株価の長期見通しにとってはインパクトの大きい目標と大和では捉えている。名目値で表される企業業績は名目GDPとの高い相関がうかがえるとのこと。仮に名目GDPが1000兆円に達した場合、過去の相関から導かれるEPSは約650ptとなり、TOPIXのPERを現状並みの14倍程度とすると、約9000ptと試算されるとのこと。株価が約3倍になるポテンシャルがあるという話だけに、中長期に軸足を置いた戦略が採られれば、日本株の上昇余地はなお大きいとの期待を高め得る話題になると大和では考えている。
SBI証券では、厚生労働省が発表する毎月勤労統計の常用雇用指数と、総務省が発表する労働力調査の雇用者数の伸びのかい離が、無視できないほど拡大していることを指摘している。前者を用いて総賃金を求めると、経済全体の賃金の伸びの過大評価につながるとみている。常用雇用指数の伸びは、労働力率の上昇を考慮しても日本の人口減少と整合性が取れないほど高いとのこと。過去3カ月は雇用者数と就業者数(労働力調査)が前月比で低下する中、常用雇用指数(毎月勤労統計)の上昇が続いており、両者のかい離が再び目立ち始めたとSBIではコメントしている。
第一生命経済研究所では、トランプ交渉が難航するリスクについてリポートしている。カナダG7での日米首脳会談は、合意に至らずに終わったもよう。イスラエル、ロシア、中国など、トランプ大統領の意のままには動かない国は多く、日本を含めて貿易相手国もそう簡単には米国には従わない。そうなると、トランプ大統領の時間管理が狂ってくると第一生命では考えている。各国との関税交渉は7月9日の期限が守れずに延長され、さらに次の期限を延長しても成果が得られない可能性があるとコメント。これに伴い、米国経済も悪化していくリスクが強まると指摘している。
大阪9月限
日経225先物 38850 +340 (+0.88%)
TOPIX先物 2807.0 +22.5 (+0.80%)
日経225先物(6月限)は前日340円高の3万8850円で取引を終了。寄り付きは3万8240円とシカゴ日経平均先物(3万8230円)にサヤ寄せする形で、売りが先行した。ただし、寄り付きを安値に上へのバイアスが強まり、現物の寄り付き時にはプラス圏を回復。その後、3万8500円~3万8600円辺りで保ち合いをみせていたが、前場中盤以降にレンジを上抜け、前場終盤にかけて3万8810円まで上げ幅を広げた。午後の取引では膠着感が強まったものの3万8740円~3万8840円と高値圏で保ち合い、終盤にかけてこのレンジを上抜き3万8880円まで買われる場面もみられた。
朝方は中東情勢の緊迫化を警戒して売りが先行したが、ボリンジャーバンドの+1σ(3万8260円)水準が支持線として機能する形で反転し、+2σ(3万8700円)を突破した。寄り付き後の急速な切り返しによってショートカバーの動きも強まったとみられる。+2σを突破してきたことで過熱感は警戒されたが、ヘッジ対応の動きが意識されやすいなかで、+3σ(3万9150円)に接近する動きをみせている。
バンドは緩やかに拡大しており、ナイトセッションでは+2σが3万8850円、+3σは3万9350円処で推移している。+2σの上昇に沿ったトレンドを形成してくるようだと、ピーク感はそれほど強まらないだろう。週足では+1σ(3万8250円)突破から+2σ(3万9870円)が意識されてくる可能性があり、短期的な過熱を警戒しつつも先高期待は強く、押し目狙いのスタンスに向かわせそうだ。
また、地政学リスクが警戒され、米連邦公開市場(FOMC)を控えるなかでも強い値動きが継続しており、仕掛け的な動きというよりも、実需の資金流入とみられる。6月第1週(6月2日-6日)時点での海外投資家の売買動向は、現物と先物合算で8週連続の買い越しである。5月半ばの戻り高値(3万8760円)を明確に突破してきたことで、ヘッジファンドなどによるカバーの動きが本格化することも意識されてこよう。
NT倍率は先物中心限月で13.84倍に上昇した。朝方は13.79倍に低下する場面もみられたが、その後は切り返してプラス圏を回復。ほぼ、前日の値幅での推移であり、+1σ(13.76倍)と+2σ(13.85倍)によるレンジ内での動きだった。週足では26週移動平均線(13.87倍)に接近しており、同線を突破してくるようだと、52週線(14.06倍)を射程に入れたNTロングに振れやすくなりそうである。
手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万7876枚、ソシエテジェネラル証券が1万0894枚、バークレイズ証券が2783枚、サスケハナ・ホンコン証券が2538枚、モルガンMUFG証券が1759枚、JPモルガン証券が1644枚、日産証券が1451枚、野村証券が1329枚、ゴールドマン証券が1301枚、みずほ証券が1276枚だった。
TOPIX先物はABNクリアリン証券が1万5004枚、ソシエテジェネラル証券が1万3904枚、バークレイズ証券が4319枚、JPモルガン証券が2831枚、ゴールドマン証券が2618枚、モルガンMUFG証券が2270枚、ビーオブエー証券が1718枚、UBS証券が1660枚、みずほ証券が1116枚、SMBC日興証券が1109枚だった。
本日これまでのドル円は東京の朝方に145.44円まで上昇したが、11日の高値145.46円を前に伸び悩み、145円を挟んでの動きとなっている。144円後半で下げ渋り底堅い動きも、先週同様に145円台での売り圧力も強い。
中東の緊迫化を背景とした「有事のドル買い」がドル円の支えとなっている。また、昨日に日銀の金融政策イベントを通過し、追加利上げの気運が高まっていないことも円高圧力を弱め、ドル円の下値は堅い。ただ、足もとのドルに「有事のドル買い」を除けば買い材料は乏しい。トランプ関税、トランプ政権の大型減税案などを背景としたドルの重い地合いは変わっていない。よって、足もとのドル円は神経質な動きも方向感は出にくい。米関税政策を巡る貿易戦争に中東地域の緊迫化が加わり、経済・物価の不透明感が世界的に強まっている。
ドル円は引き続き中東関連のヘッドラインに注目しつつ、視線は米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表やパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見に向けられそうだ。中東情勢を巡っては米国がイスラエルのイラン攻撃に加わるとの観測が再燃している。トランプ米大統領はイランに「無条件降伏」を要求し、米国の忍耐は限界に近づいていると警告した。トランプ米政権の圧力にイランの出方が注目される。
今回のFOMCでは4会合連続となる政策金利据え置きを決めると広く予想されている。また、トランプ政権による一連の政策変更が経済に及ぼす影響をもっと見極める必要があるとあらためて指摘する見通しだ。見通しを巡る高度の不確実性を背景に、市場は最新の四半期経済予測の景気・金利予想に注目が集まっている。当局者は引き続き年内2回の利下げ見通しを示す可能性がある一方、金利予測分布図(ドット・プロット)で示される利下げ回数が中央値で今年は1回だけに減る可能性があるとの見方も出ている。
・想定レンジ上限
ドル円、日足一目均衡表・雲の上限145.55円近辺や5月29日高値146.28円が上値めど。
・想定レンジ下限
ドル円、日足一目均衡表・転換線144.13円近辺や16日安値143.65円が下値めど。
今晩はFOMCに注目。昨日は中東の緊張が一段と高まったことや、それを受けて原油相場が再び上昇したこと、5月小売売上高が予想以上に悪化し景気減速懸念が強まったことなどが重しとなり、ダウ平均が299.29ドル安(-0.70%)、S&P500が0.84%安、ナスダック総合が0.91%安と、主要3指数がそろって反落した。投資家の不安心理を示すVIX指数は前日の19.11ポイントから21.60ポイントに上昇と、センチメントは再び悪化した。トランプ米大統領はイランに対して「無条件降伏」を求めており、米国自身がイランへの軍事攻撃を検討しているとも報じられた。
今晩は緊迫度が高まる中東情勢が引き続き警戒されるほか、年内の利下げ見通しを巡り、取引時間午後に結果が公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)が焦点となりそうだ。今会合では政策金利の据え置きが確実視されているが、年内の利下げ見通しを巡り、公表されるメンバーのFF金利見通し(ドットプロット)や会合後のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見が注目される。CMEのフェドウォッチ・ツールでは63%の確率で年内2回(0.50%)の利下げが予想されており、FOMCの結果が利下げに積極的なハト派的な内容となれば相場の支援となることが期待される。
今晩の米経済指標・イベントはFOMC結果公表、パウエルFRB議長記者会見のほか、5月住宅着工件数、5月建設許可件数、新規失業保険申請件数など。主要な企業の決算発表はなし。翌19日はジューンティーンスの祝日でNY株式市場は休場となる。
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