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既婚女性
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夜勤の終わりが近づく病院の廊下は、いつもより静まり返っていた。
ふと足元を見ると、長い線路が廊下の真ん中にまっすぐ伸びている。
錆びた鉄の光が冷たく、まるで昔の廃線跡みたいだった。
恐る恐る目をそらすと、その線路は忽然と消えていた。
「気のせいか…？」そう思いながらも、背筋がぞくりとした。
その瞬間、遠くの方からガタンゴトンという重い音が響いてきた。
振り返ると、廊下の奥にはもう誰もいないはずなのに、確かに貨物列車がゆっくりと近づいてくる気配がした。
誰にも見えない線路を、誰にも乗れない列車が走っている――そんな気がして、僕はすぐにその場を離れた。
焼肉屋のトイレトンネル
大学の帰り、友人のユウジと一緒に、駅前の小さな焼肉屋に入った。
古びた店だが、肉の質は良く、地元の人間には人気がある。カウンターに座ると、年配の店主が無言で七輪を置いた。
肉を焼いてしばらくすると、俺の腹がゴロゴロ鳴った。
「ちょっとトイレ行ってくる」
奥にある暖簾をくぐり、トイレの扉を開けた。…瞬間、違和感が走った。
中はトイレではなかった。
そこには、薄暗い長いトンネルが続いていた。地面はコンクリート、天井には切れかけの蛍光灯が点々と続いている。
「え？これ、店のトイレだよな…？」
不安に思いながらも腹の痛みには勝てず、トンネルを進む。50メートルほど歩いた頃、やっと簡素な扉が現れた。トイレのマークがある。中に入って用を済ませると、急に「ザザザ…」というノイズが耳元で鳴った。
振り返ると、誰もいないはずの個室に、足だけが覗いていた。
土で汚れた、裸足のような足。
凍りついたように立ち尽くしていると、個室のドアがゆっくり開き始めた。
俺は慌てて個室を飛び出し、元のトンネルを全力で走った。振り返ると、誰もいない。…ただ、照明が一つ一つ、バチン、バチンと音を立てて消えていっていた。
ようやく焼肉屋の中に戻ると、ユウジが心配そうに言った。
「おい、大丈夫か？トイレ、ずいぶん長かったな。30分ぐらい経ってたぞ。」
「トンネルが…あったんだよ、トイレの中に。奥に…誰か…いた。」
そう言うと、ユウジは怪訝そうな顔をした。
「なに言ってんだ？トイレはカウンターのすぐ横にあるだろ。…暖簾の奥、厨房だぞ？」
「え？……」
俺が入ったあの暖簾の奥には、トイレなんてなかった。
コンビニのトイレ
夜11時すぎ。仕事帰りに立ち寄った、小さなコンビニ。
都内のはずれにある、少し古びた店舗だったが、弁当を買おうと思って立ち寄った。
店内には年配の店員がひとりだけ。どこか無表情で、ずっとレジの画面を見ていた。
買い物を済ませたあと、腹に違和感が走った。
「あ、すみません。トイレ借りていいですか？」
店員は無言でレジ横の小さな扉を指差した。
扉には「関係者以外立入禁止」のプレートが下がっていたが、その奥にトイレがあるらしい。
「すみません」と軽く頭を下げて扉を開けると、すぐ横の壁に“TOILET”と書かれたドアがあった。
けれど、そのドアを開けた先にあったのは――真っ暗な通路だった。
長い、地下通路のような廊下。タイル張りの床に、カビ臭い湿気。照明はチカチカと頼りなく、まばらに光っている。
一瞬、足が止まったが、腹の痛みが限界だった。
「まあ…奥にあるんだろ」
そう思って進むと、どこかで水の流れる音が聞こえてきた。
やっとトイレらしき扉を見つけて中へ。古いが使用はできそうだ。
用を済ませて出ようとしたそのとき、背後で「ゴン…ゴン…」と何かがドアを叩く音が聞こえた。
「すみません、入ってます！」
叫ぶが、音は止まない。むしろ、もう一つの個室の中から、何かが這い出してくる音が…。
「ガサ…ガサ…ズズズ…」
慌ててトイレを出て、通路を引き返す。しかし…来たはずの道がどこまでも続いている。
いつの間にか、照明の数も増え、左右の壁には知らない扉が無数に並んでいた。
どれも「TOILET」と書かれているが、中を覗く勇気は出なかった。
ただ、どこかの扉の向こうで、誰かがずっと笑っていた。小さく、低く、湿った声で。
「ウフフフフ……ウフ……」
走っても走っても出口は見えず、焦りで転んだ瞬間、背後から誰かの手が首筋を撫でた。
その瞬間――目の前に、また“TOILET”のドアが現れた。
恐る恐る開けると、そこは最初に入ったコンビニのトイレだった。
何事もなかったように、鏡の前に立っている自分がいる。
ホッとしたのも束の間、鏡の中の自分が――こっちを見て笑った。
…口だけが、動いていた。
「まだ出ちゃダメだよ」
アニメイト秋葉原、通路の奥
日曜の午後。
アニメ好きのカズは、秋葉原のアニメイトにやってきた。限定グッズの発売日で、7階のフロアは人でごった返していた。
会計を済ませたあと、ふと「そういえば展示スペース、前と変わったって言ってたな」と思い出す。
壁際のポスターの間に、小さな貼り紙があった。
「展示スペースは裏通路からもご覧いただけます →」
※スタッフ専用通路には入らないでください
横に目をやると、棚の隙間に、小さな通路の入り口があった。
ふだん通らない場所だが、人混みを避けられるならと、カズはそこに足を踏み入れた。
通路は異様に狭くて暗かった。
壁はコンクリート打ちっぱなし、空調の音すら聞こえず、まるで別の建物の裏側に来たような感じだった。
2分ほど歩くと、小さな展示室のような空間があった。
だが、そこに飾られていたのは――
見覚えのない、奇妙なアニメキャラたちのグッズだった。
どれも目が異常に大きく、顔のパーツが微妙に歪んでいる。
パッケージには「見てるよ」「ずっといっしょ」といった意味不明なコピーが書かれていた。
「なんだこれ…？フェイク？」
ふと背後で、パタッと音がした。振り返ると、通ってきた通路が塞がれていた。
…いつの間にか、元の場所に戻る道がない。
慌てて展示室の奥に進むと、今度は細長い廊下。
そこには、等身大のアニメキャラパネルが、両側にぎっしり並んでいた。
その間を抜けていくと――どこからか声がした。
「君もキャラになれるよ」
「こっちにおいで」
「一緒に、グッズになろう？」
パネルの目が、カズを追って動いていた。
もう叫びながら走るしかなかった。
ようやく出口らしきドアを見つけて、全力で押し開けると…
――そこは、アニメイトの1階だった。入り口のすぐ横。だが、誰もカズに気づいていない。
呼び止めても、目の前を歩く人がスッとすり抜けていく。
自分の手を見ると、プラスチックの質感があった。
手首のところに、小さなタグがついていた。
「カズ（非売品）」
その日から、アニメイト秋葉原の狭い通路には、誰も近づかなくなった。
なぜなら、夜遅くにそこを通りかかると――
棚の隙間から、グッズたちがこっちを見て笑っているのが見えるという。
違いが分かる男かよ
まだ巨乳ナースと隠れ巨乳ナースの方が違い分かるわ
AIによる要約 ： 異空間の展示室に迷い込んだカズは、グッズ化されて姿を消した。