乃木坂浪漫最終更新 2025/09/28 16:151.君の名はcw7L6「お疲れさまでした」礼儀正しくスタッフにお辞儀をするメンバー達を横目に俺は家路に着いた一生で一回しか目にすることのない繁華街の人々はいつか確実に人生の終着点が訪れることを理解していないように見えたウメザワと呼ばれている長身のメンバーがリーダーなのだろうか?ふと思ったがそんなことはどうでも良い人間の脳は興味がないことにリソースを割かないように出来ている街の空気は今年も早い夏の到来を暗示していた2025/09/27 05:23:0426コメント欄へ移動すべて|最新の50件2.君の名はcw7L6「女子の集団をまとめるのは大変なのよ」ウメザワと呼ばれるメンバーは言った「女子脳は縦社会に向いてないからかな」「そうなのよRさん、もう私キャプテンやりたくない…!」唐突にカミングアウトされて困っている俺に向けてウメザワは言った「あっ、ごめんなさい!こんなこと言うつもりは無かったんです」「別に良いよ、人間誰でもストレスからは逃れられない」アイドルの苦悩なんぞ全く理解の範疇外だったが一般論を言っただけだった2025/09/27 05:34:533.君の名はcw7L6アイドルの楽屋に食事を届けることが俺の仕事だ単なる出入りの業者ということだ家から近いという理由だけで単に暇潰しの為の不定期職を選んだだけで給与なんぞどうでも良かったマンションの自室に帰りウイスキーを飲みながらTVを着けると何処かのアイドルグループが映っていたチャンネルを変えようとした瞬間にウメザワと呼ばれる例の長身の娘が前列で披露している姿があった2025/09/27 05:43:314.君の名はcw7L6その娘はツツイと呼ばれていたある日楽屋に食事を差し入れた時にツツイはこう言った「Rさんですか?」「はい、そうです」何故ツツイと呼ばれる娘が俺を知っているのか不思議に思いながらも返事をしたツツイは「収録が20時に終わるので待っていて貰えますか?」逡巡しながらも「わかりました、S出口にいます」と答えた2025/09/27 05:56:355.君の名はcw7L620時過ぎにツツイは裏口に現れた「ごめんなさーい!ちょっと収録が押しちゃいました」「良いですよ、時間は有り余ってるんで」「Rさんって何をしてる人なんですか?」ツツイは言った「見ての通りケータリングの食事を届けているバイトですよ」「ふーん、そうかなぁ…他に何かしてるんじゃないですか?」「何もしてないですよ」「…この前ウメザワさんと親密に話されてましたよね?」「親密かどうか解らないけど」(ウメザワってあの長身の娘か)「へー、そうですか!Rさんの彼女かと思いましたよ」2025/09/27 06:15:436.君の名はcw7L6どのように答えて良いか解らず黙っていた俺に対してツツイはこう言った「私達人気アイドルグループなんです」「知ってますよ」「でも私のこと知らないじゃないですか」かなり面倒臭い展開になりそうだったが我慢して俺はこう言った「個人のことは知らないのでごめんね」ツツイはこう言った「やっぱりRさんって正直な人なんですね」2025/09/27 06:30:337.君の名はcw7L6乃木坂を歩きながらツツイはこう言った「あーん、もうアイドル辞めたい!」「アイドルも大変なんだねぇ…」話を合せようとした瞬間にツツイが「Rさん!私が誰か知ってるの?」俺は「ちょっとわからない…」と答えたツツイは微笑んでいたが乃木坂を歩いている人間の目線が明らかにツツイに向いていることを俺は気付いていた2025/09/27 06:49:328.君の名はcw7L6ツツイはこう言った「普通に勉強して高校から大学に進学してれば良かったかな?でも学校の勉強に何の価値があるのか理解出来なくて」「学校の勉強自体に大した意味は無いよ?凡人の篩い分けの尺度に学歴が適用されてるだけさ」「でも論理的な思考能力はデスクワーク職では有利になるかな」ツツイはこう言った「ごめんなさい、難しくてわかりません」「頭を使う訓練をしてきた人間は最大公約数の社会では役に立つってことさ」「でも尺度が適用されない少数派の人間にはこんな尺度はまるで役に立たない」「その他大勢の尺度に収まらない人間だけが唯一無二の価値を生み出すんだ」ツツイは黙って聞いていたがこう言った「Rさんって頭が良いですよね」2025/09/27 06:55:389.君の名はcw7L6「そうかな、普通だと思ってるけど」「自分のことを普通と言う人間は信用してはいけないって話を先輩のマイさんから聞いたわよ」ツツイは少し微笑みながら言った「Rさんって謎の人よね、週に1~2回見掛けるけど普段何してるの?」俺は自分のことを話すことが好きではないが何故かツツイには少し話す気になった「資産があるからあんまり働きたくないんだよ」「労働で得られる収入なんてたかが知れてるからね」2025/09/27 16:11:2710.君の名はcw7L6「ふ~ん、余裕があるように見えるのはお金持ちだからなんですね」「特に欲しい物もないけどね、物欲の変わりに時間を買えるならいくらでも出すけど」「これでウメザワさんみたいに大人を演出しよう」ツツイは胸元から黒色のサングラスを取り出すと掛けたサイズが少し大きいせいか子供が眼鏡を掛けている感じがした「どう?似合う?Rさん」俺は少し考えてから言った「・・ああ似合うよ」2025/09/27 16:22:2911.君の名はcw7L6「あっ、今ちょっと笑いそうになったでしょ?」「そんなことないよ」間髪入れず俺は答えた「こう見えてももう成人なんですからね!」「え?」「え?じゃありません!お酒も飲めるんですからね!」まさかツツイが成人してるとは思わなかった見た感じ明らかに成人なのはウメザワと呼ばれてるメンバーだけだと思っていたからだった2025/09/27 16:29:5512.君の名はcw7L6「明日オフなんだよね私」「へー、じゃあゆっくり休暇でも…」「あっ、ここに未成年者誘拐犯がいます!と叫んじゃおうかな?」「さっき成人だって言って…」「うるさい!」結局俺は言われるがまま青山にあるフレンチ料理店へと誘導された店内は中規模で薄暗く丸テーブルが10個ほどあるレイアウトだった客は3組ほど居たが明らかに一般層とは違う人種であることが即座に理解できた2025/09/27 16:47:2313.君の名はcw7L6「シャルドネの2020をお願いします、前菜からお任せで」「Rさんは何を飲むの?」「ピノノアールにしようかな?ビンテージはお任せで」普段ワインは飲まないが渋みのあるピノノアールは地層が生み出した芳醇な香りが好きだった窓際の月明かりがツツイを照らしていた目線の先には完璧な造形美が演出されたツツイが居た2025/09/27 19:54:3114.君の名はcw7L6「どうしたの?Rさん黙っちゃって」「…何でもないよ」これほどまでに美しいツツイを垣間見て言葉を失ってしまった俺は平静を装いながら答えた「ふ~ん」前菜のベジタブルを食べながら耳に付けたイヤリングを揺らしたツツイは言った「Rさん!」「ハ、ハイ!」夢から連れ戻された感覚で咄嗟に反応したが心はここにあらずだった2025/09/27 20:10:4215.君の名はcw7L6会計はツツイが席を立ってる間に済ませたツツイは「私が誘ったんだから私に払わせてください」と言ったが俺は「安いから良いよ、次回から高く付いたら少し払ってね」と遮ったフラ付く足取りで青山の路地を抜け山の手に向けて俺達は歩いてたグラスで5杯は飲んでいたツツイは足元がフラ付いていた「おーい、ワインは後から来るけど大丈夫か?」「タイジョウブ!子供扱いしないでよね!」酔いが回っているのは明らかだった(やれやれ…これだから困る)俺は内心こう思っていた2025/09/27 20:23:0916.君の名はcw7L6俺は道端でこのまま寝そうなツツイを背負って仕方なく山の手に向かって歩いていた(なんでこんなことしなくちゃならないんだ…)誘いを断って帰れば良かったと心底思っていたすると通りすがりの2人組の女子から声が聞こえた「あれ?アヤメじゃない?」「アヤメはんですよ、どうはれました?」1人は例の長身の娘ウメザワと呼ばれている女子もう一人は関西弁の娘だったウメザワよりは年下であることは明らかだった2025/09/27 20:32:2817.君の名はcw7L6「Rさんじゃないですか?アヤメどうされました?」「お弁当業者の方ですわなぁ…」面倒なことになりそうな展開に俺はこう言った「ちょっと泥酔してるみたいなんで持ち帰ってくれますか?」ウメザワはこう言った「アヤメは心を開かないとこんなことにはならないんですよ?ね?マオ」マオと呼ばれた女子は言った「アヤメはんは簡単に心を許さない人でっせ?珍しい失態ですわなぁ」2025/09/27 20:42:4918.君の名はcw7L6「レイを失ったアヤメの心を理解してるんですか?」ウメザワはこう言った「アヤメはんを傷物にしようとして酔わせはったんじゃ?」「いや、ツツイが勝手に酔い潰れて…」弁解しようとした瞬間に容赦ない二人の詰問が続く「アヤメは明日確かオフだったわね」「そうですわ月に1回ある完全オフですわ」「Rさんも隅に置けませんね」「そうですわ!アヤメはんのガードを崩すとか並じゃありまへんわ」2025/09/27 21:04:3819.君の名は4EE0K刺さるような目線を残して彼女達は去っていった「おーい大丈夫かよアヤメちゃん、家はどこ?」「う~ん…頭痛い、Rさんの家まで連れてって」「おいおい」持て余した状況で考えたが仕方ない一旦休ませてその後に帰らせようと思い自宅に向かった背負っていても軽いので負担にはならなかった自宅マンションに着くとアヤメをソファに寝かせ俺は一息付いた2025/09/28 07:32:5820.君の名は5HnE6続きお願いします2025/09/28 07:49:4921.ウンコを吐くまで食べるNDQJLでんがなまんがな五百城で草2025/09/28 07:56:2222.君の名は4EE0K台所でシーバスリーガルの水割りを作りアヤメと反対側のソファに座り飲み直しながらTVを付けると歌番組が放送されていたチャンネルを変えようとすると丁度乃木坂の順番だったウメザワと呼ばれるメンバーは長身で目立つ為、即認識出来たふとさっきの関西弁の娘とアヤメもいるのだろうか?少し見回すとマオと呼ばれていたメンバーとアヤメも居たアイドルなんぞ興味は無いが不思議な感じがして暫く眺めているとアヤメが言った2025/09/28 08:16:5523.君の名は4EE0K「あっ、先月収録したやつだ」「スタジオの空調が効き過ぎて寒かったのよね」「あー起きたかい、時間も遅いからそろそろ帰った方が…」「うるさい!Rさんは直ぐ分別付いたこと言って私を落ち込ませるのね」「ほらRさん、メンバーの立ち位置で何か聞きたいことない?」特に無かったが絡まれると面倒なので咄嗟に反応した「前にいるメンバーは目立つよね、じゃんけんで決めてるのかな」「馬鹿じゃないの?Rさんそんな訳ないでしょ!」2025/09/28 08:46:5924.君の名は4EE0K「すみません、私が浅はかでした」「差し支えなければアイドルの仕組みについて教えて頂けますでしょうか」俺は機械が喋っていることを悟られないように抑揚を込めて言った「よろしい!教えて上げます」画面を見つめながら毛布を被ったアヤメはこう言った「当たり前だけど私達って人気商売なのよ」「ファンの方々と実際に接触することもあるから対応が求められる訳」「今は実際の接触自体は無くなったけどファンとの対応力が人気の決め手になるのよ」「へー、そうなんだ」俺は言った2025/09/28 09:14:1625.君の名は5HnE6文才あるね2025/09/28 09:30:2026.君の名は5HnE6あげ2025/09/28 16:15:35
礼儀正しくスタッフにお辞儀をするメンバー達を横目に俺は家路に着いた
一生で一回しか目にすることのない繁華街の人々はいつか確実に
人生の終着点が訪れることを理解していないように見えた
ウメザワと呼ばれている長身のメンバーがリーダーなのだろうか?
ふと思ったがそんなことはどうでも良い
人間の脳は興味がないことにリソースを割かないように出来ている
街の空気は今年も早い夏の到来を暗示していた
ウメザワと呼ばれるメンバーは言った
「女子脳は縦社会に向いてないからかな」
「そうなのよRさん、もう私キャプテンやりたくない…!」
唐突にカミングアウトされて困っている俺に向けてウメザワは言った
「あっ、ごめんなさい!こんなこと言うつもりは無かったんです」
「別に良いよ、人間誰でもストレスからは逃れられない」
アイドルの苦悩なんぞ全く理解の範疇外だったが一般論を言っただけだった
単なる出入りの業者ということだ
家から近いという理由だけで単に暇潰しの為の不定期職を
選んだだけで給与なんぞどうでも良かった
マンションの自室に帰りウイスキーを飲みながらTVを着けると
何処かのアイドルグループが映っていた
チャンネルを変えようとした瞬間にウメザワと呼ばれる
例の長身の娘が前列で披露している姿があった
ある日楽屋に食事を差し入れた時にツツイはこう言った
「Rさんですか?」
「はい、そうです」
何故ツツイと呼ばれる娘が俺を知っているのか不思議に
思いながらも返事をした
ツツイは「収録が20時に終わるので待っていて貰えますか?」
逡巡しながらも「わかりました、S出口にいます」
と答えた
「ごめんなさーい!ちょっと収録が押しちゃいました」
「良いですよ、時間は有り余ってるんで」
「Rさんって何をしてる人なんですか?」
ツツイは言った
「見ての通りケータリングの食事を届けているバイトですよ」
「ふーん、そうかなぁ…他に何かしてるんじゃないですか?」
「何もしてないですよ」
「…この前ウメザワさんと親密に話されてましたよね?」
「親密かどうか解らないけど」(ウメザワってあの長身の娘か)
「へー、そうですか!Rさんの彼女かと思いましたよ」
ツツイはこう言った
「私達人気アイドルグループなんです」
「知ってますよ」
「でも私のこと知らないじゃないですか」
かなり面倒臭い展開になりそうだったが我慢して俺はこう言った
「個人のことは知らないのでごめんね」
ツツイはこう言った
「やっぱりRさんって正直な人なんですね」
「あーん、もうアイドル辞めたい!」
「アイドルも大変なんだねぇ…」
話を合せようとした瞬間にツツイが「Rさん!私が誰か知ってるの?」
俺は「ちょっとわからない…」と答えた
ツツイは微笑んでいたが乃木坂を歩いている人間の目線が
明らかにツツイに向いていることを俺は気付いていた
「普通に勉強して高校から大学に進学してれば良かったかな?
でも学校の勉強に何の価値があるのか理解出来なくて」
「学校の勉強自体に大した意味は無いよ?凡人の篩い分けの
尺度に学歴が適用されてるだけさ」
「でも論理的な思考能力はデスクワーク職では有利になるかな」
ツツイはこう言った
「ごめんなさい、難しくてわかりません」
「頭を使う訓練をしてきた人間は最大公約数の社会では役に立つってことさ」
「でも尺度が適用されない少数派の人間にはこんな尺度はまるで役に立たない」
「その他大勢の尺度に収まらない人間だけが唯一無二の価値を生み出すんだ」
ツツイは黙って聞いていたがこう言った
「Rさんって頭が良いですよね」
「自分のことを普通と言う人間は信用してはいけないって話を先輩のマイさんから聞いたわよ」
ツツイは少し微笑みながら言った
「Rさんって謎の人よね、週に1~2回見掛けるけど普段何してるの?」
俺は自分のことを話すことが好きではないが何故かツツイには少し話す気になった
「資産があるからあんまり働きたくないんだよ」
「労働で得られる収入なんてたかが知れてるからね」
「特に欲しい物もないけどね、物欲の変わりに時間を買えるならいくらでも出すけど」
「これでウメザワさんみたいに大人を演出しよう」
ツツイは胸元から黒色のサングラスを取り出すと掛けた
サイズが少し大きいせいか子供が眼鏡を掛けている感じがした
「どう?似合う?Rさん」
俺は少し考えてから言った
「・・ああ似合うよ」
「そんなことないよ」
間髪入れず俺は答えた
「こう見えてももう成人なんですからね!」
「え?」
「え?じゃありません!お酒も飲めるんですからね!」
まさかツツイが成人してるとは思わなかった
見た感じ明らかに成人なのはウメザワと呼ばれてる
メンバーだけだと思っていたからだった
「へー、じゃあゆっくり休暇でも…」
「あっ、ここに未成年者誘拐犯がいます!と叫んじゃおうかな?」
「さっき成人だって言って…」
「うるさい!」
結局俺は言われるがまま青山にあるフレンチ料理店へと誘導された
店内は中規模で薄暗く丸テーブルが10個ほどあるレイアウトだった
客は3組ほど居たが明らかに一般層とは違う人種であることが即座に理解できた
「Rさんは何を飲むの?」
「ピノノアールにしようかな?ビンテージはお任せで」
普段ワインは飲まないが渋みのあるピノノアールは地層が生み出した
芳醇な香りが好きだった
窓際の月明かりがツツイを照らしていた
目線の先には完璧な造形美が演出されたツツイが居た
「…何でもないよ」
これほどまでに美しいツツイを垣間見て言葉を失ってしまった
俺は平静を装いながら答えた
「ふ~ん」
前菜のベジタブルを食べながら耳に付けたイヤリングを揺らしたツツイは言った
「Rさん!」
「ハ、ハイ!」
夢から連れ戻された感覚で咄嗟に反応したが心はここにあらずだった
ツツイは「私が誘ったんだから私に払わせてください」
と言ったが俺は「安いから良いよ、次回から高く付いたら少し払ってね」と遮った
フラ付く足取りで青山の路地を抜け山の手に向けて俺達は歩いてた
グラスで5杯は飲んでいたツツイは足元がフラ付いていた
「おーい、ワインは後から来るけど大丈夫か?」
「タイジョウブ!子供扱いしないでよね!」
酔いが回っているのは明らかだった
(やれやれ…これだから困る)
俺は内心こう思っていた
(なんでこんなことしなくちゃならないんだ…)
誘いを断って帰れば良かったと心底思っていた
すると通りすがりの2人組の女子から声が聞こえた
「あれ?アヤメじゃない?」
「アヤメはんですよ、どうはれました?」
1人は例の長身の娘ウメザワと呼ばれている女子
もう一人は関西弁の娘だった
ウメザワよりは年下であることは明らかだった
「お弁当業者の方ですわなぁ…」
面倒なことになりそうな展開に俺はこう言った
「ちょっと泥酔してるみたいなんで持ち帰ってくれますか?」
ウメザワはこう言った
「アヤメは心を開かないとこんなことにはならないんですよ?ね?マオ」
マオと呼ばれた女子は言った
「アヤメはんは簡単に心を許さない人でっせ?珍しい失態ですわなぁ」
ウメザワはこう言った
「アヤメはんを傷物にしようとして酔わせはったんじゃ?」
「いや、ツツイが勝手に酔い潰れて…」
弁解しようとした瞬間に容赦ない二人の詰問が続く
「アヤメは明日確かオフだったわね」
「そうですわ月に1回ある完全オフですわ」
「Rさんも隅に置けませんね」
「そうですわ!アヤメはんのガードを崩すとか並じゃありまへんわ」
「おーい大丈夫かよアヤメちゃん、家はどこ?」
「う~ん…頭痛い、Rさんの家まで連れてって」
「おいおい」
持て余した状況で考えたが仕方ない
一旦休ませてその後に帰らせようと思い自宅に向かった
背負っていても軽いので負担にはならなかった
自宅マンションに着くとアヤメをソファに寝かせ俺は一息付いた
ソファに座り飲み直しながらTVを付けると歌番組が放送されていた
チャンネルを変えようとすると丁度乃木坂の順番だった
ウメザワと呼ばれるメンバーは長身で目立つ為、即認識出来た
ふとさっきの関西弁の娘とアヤメもいるのだろうか?
少し見回すとマオと呼ばれていたメンバーとアヤメも居た
アイドルなんぞ興味は無いが不思議な感じがして暫く眺めていると
アヤメが言った
「スタジオの空調が効き過ぎて寒かったのよね」
「あー起きたかい、時間も遅いからそろそろ帰った方が…」
「うるさい!Rさんは直ぐ分別付いたこと言って私を落ち込ませるのね」
「ほらRさん、メンバーの立ち位置で何か聞きたいことない?」
特に無かったが絡まれると面倒なので咄嗟に反応した
「前にいるメンバーは目立つよね、じゃんけんで決めてるのかな」
「馬鹿じゃないの?Rさんそんな訳ないでしょ!」
「差し支えなければアイドルの仕組みについて教えて頂けますでしょうか」
俺は機械が喋っていることを悟られないように抑揚を込めて言った
「よろしい!教えて上げます」
画面を見つめながら毛布を被ったアヤメはこう言った
「当たり前だけど私達って人気商売なのよ」
「ファンの方々と実際に接触することもあるから対応が求められる訳」
「今は実際の接触自体は無くなったけどファンとの対応力が人気の決め手になるのよ」
「へー、そうなんだ」
俺は言った